JP2005298634A - 透明複合基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 550nmでの光線透過率が80%以上である透明複合基板の製造方法であって、繊維布(a)と透明樹脂(b1)を含む樹脂複合体の少なくとも片面に、室温もしくは加熱時に流動性を有する透明樹脂(b2)が形成された剥離性金属箔をラミネートし、透明樹脂(b1)および透明樹脂(b2)を硬化させた後に剥離性金属箔を剥離する透明複合基板の製造方法。
Description
クスタイプ)、カラーフィルター基板、太陽電池用基板等としては、ガラス板が広く用い
られている。しかしながらガラス板は、割れ易い、曲げられない、比重が大きく、液晶セル基板の軽量化や薄型化に不向きなどの理由から、その代替としてプラスチック素材が検討されている。
表示素子用プラスチック基板に用いられる樹脂は例えば特許文献1には脂環式エポキシ樹脂、酸無水物系硬化剤、アルコール、硬化触媒からなる組成物、特許文献2には脂環式エポキシ樹脂、アルコールで部分エステル化した酸無水物系硬化剤、硬化触媒からなる樹脂組成物が、特許文献3には脂環式エポキシ樹脂、カルボン酸を有する酸無水物系硬化剤、硬化触媒からなる樹脂組成物が示されている。しかしながら、これら従来のガラス代替用プラスチック材料は、ガラス板に比べ線膨張係数が大きく、特に、アクティブマトリックス表示素子基板に用いるとその製造工程において反りやアルミ配線の断線などの問題が生じ、これら用途への使用は困難である。したがって、表示素子基板、特にアクティブマトリックス表示素子用基板に要求される、透明性や耐熱性等を満足しつつ線膨張係数の小さなプラスチック素材が求められている。
このような問題を解決するため、エポキシ樹脂とその屈折率に近いガラス繊維を用いて透明な複合体が得られることが提案されている(特許文献4、非特許文献1)。
従来、これらプラスチック基板(積層板)を得るためには通常ガラスクロスに樹脂を含浸し、半硬化状態としたプリプレグの1枚又は複数枚を重ね合わせて加熱成形して樹脂層のみの積層板とするか、あるいは、銅箔等の金属板とともに加熱成形することにより、金属層と樹脂層から成る積層板とした後にエッチング処理等により、金属板を剥離して用いることが一般的である。しかしながら、これら方法で得られたプラスチック基板を直交した偏光板間(クロスニコル)に挟んで光を当てると偏光が乱れて光漏れが生じることがある。このため、これら材料を液晶表示素子基板などに用いるとコントラストが低下する恐れがあった。
さらに、これら表示装置に用いられる透明プラスチック基板には、表面平滑性が求められる。特に表示装置に用いる場合は基板上に直接半導体素子を書き込むこともあり2μm以下レベルでの平滑性が求められている。
れるために液晶表示装置に用いることはできなかった。また、金属箔の代わりにガラス板を使用することにより表面平滑性の良いプラスチック基板を得ることは可能だが、加圧成形時にガラス板が割れや生じることがあり、使用困難であった。
また、多段型のバッチプレスでは、生産性が低いばかりか各段の熱盤内に温度ムラがあり成型時に各積層板にかかる熱履歴が異なるために、板厚精度、成形性、反り、寸法変化率等の品質において差が生じ、品質のバラツキが少ない積層板を製造することは難しかった。
(1) 550nmでの光線透過率が80%以上である透明複合基板の製造方法であって、繊維布(a)と透明樹脂(b1)を含む樹脂複合体の少なくとも片面に、室温もしくは加熱時に流動性を有する透明樹脂(b2)が形成された剥離性金属箔をラミネートし、透明樹脂(b1)および透明樹脂(b2)を硬化させた後に剥離性金属箔を剥離する透明複合基板の製造方法。
(2) 前記透明樹脂(b1)の硬化後の屈折率と繊維布の屈折率との差が0.01以下である1記載の透明複合基板の製造方法。
(3) 前記繊維布(a)の屈折率が1.45〜1.56である(1)、(2)記載の透明複合基板の製造方法。
(4) 前記繊維布(a)がガラスクロスである(1)〜(3)記載の透明複合基板の製造方法。
(5) 前記繊維布(a)がガラス不織布である(1)〜(3)記載の透明複合基板の製造方法。
(6) 前記透明樹脂(b1)および/または(b2)がエポキシ樹脂を含む(1)〜(5)記載の透明複合基板の製造方法。
(7) 前記透明樹脂(b1)が下記化学式(1)で示される脂環式エポキシ樹脂を構成成分として含む(1)〜(6)の透明複合基板の製造方法。
(10) 前記透明樹脂(b1)をカチオン系硬化触媒(d)で硬化したことを特徴とする(1)〜(9)記載の透明複合基板の製造方法。
(11) 前記透明樹脂(b2)がエポキシ樹脂及び酸無水物を含む(1)〜(10)記載の透明複合基板の製造方法。
(12) 前記透明樹脂(b1)および/または(b2)に無機充填材を含有する(1)〜(11)記載の透明複合基板の製造方法。
(13) 前記無機充填材の屈折率が前記透明樹脂(b1)および/または(b2)の硬化後の屈折率、ならびに繊維布の屈折率との差が0.01以下である(12)記載の透明複合基板の製造方法。
(14) 前記無機充填材の平均粒径は、2μm以下である(12)、(13)記載の透明複合基板の製造方法。
(15) 前記無機充填材の含有量が、前記透明樹脂(b1)および/または(b2)の樹脂成分100重量部に対して10〜400重量部である(12)〜(14)記載の透明複合基板の製造方法。
(16) 前記剥離性金属箔は25℃から180℃の平均線膨張係数が30ppm以下で、かつ転写面側の表面粗さ(Ry)が2μm以下である(1)〜(15)記載の透明複合基板の製造方法。
(17) 前記剥離性金属箔はヤング率が50GPa以上である(1)〜(16)記載
の透明複合基板の製造方法。
(18) 前記剥離性金属箔がアルミニウム、銅、ステンレス鋼より選ばれる1種類以上の金属を含む(1)〜(17)記載の透明複合基板の製造方法。
(19) 前記透明複合基板の表面粗さ(Ry)が2μm以下である(1)〜(18)記載の透明複合基板の製造方法。
(20) 前記透明樹脂(b1)および(b2)のガラス転移温度が150℃以上であることを特徴とする(1)〜(19)記載の透明複合基板の製造方法。
(21) 前記透明複合基板を連続的に巻き取ることを特徴とする(1)〜(20)記載の複合基板の製造方法。
(22) 前記透明複合基板が表示素子用基板であることを特徴とする(1)〜(21)記載の複合基板の製造方法。
である。
の少なくとも片面にラミネートし、樹脂を硬化させた後に剥離性樹脂シートを剥離することにより透明で平滑なプラスチック基板が得られることを見出したものである。
本発明において、ラミネート時に、透明樹脂が形成されていない純粋な剥離性金属箔を用いると、プリプレグの表面形状、圧力によって変形し、また、転写される銅箔自体の表面平滑性が不十分であるのに対して、透明樹脂(b2)が形成された剥離性金属箔は樹脂複合体の表面形状に沿って樹脂が変形しラミネートすることができ、かつ、ラミネートロールの加圧に従って、プリプレグ表面をむらなく平坦化、かつ、平滑化できるという利点がある。
本発明において、繊維布(a)としては、ガラスクロス、ガラスペーパー(不織布)等のガラス繊維基材が好ましいが、その他、合成繊維、鉱物繊維等からなる織布や不織布等が挙げることができる。本発明で用いる繊維布の屈折率は特に制限されないが、1.45〜1.56であることが好ましく、より好ましくは1.50〜1.54である。特にガラス繊維の屈折率が1.50〜1.54である場合は、ガラスのアッベ数に近い樹脂が選択でき好ましい。樹脂とガラスとのアッベ数が近いと広い波長領域において両者の屈折率が一致し、広い波長領域で高い光線透過率が得られる。繊維布の屈折率が1.56を超える場合では、同じ屈折率でアッベ数が45以上の樹脂を選択するのが困難であり、1.45未満では特殊な組成のガラス繊維となり、コスト的に不利である。特に、1.50〜1.54の範囲であれば、SガラスやNEガラスなどの一般的なガラス繊維が適用でき、かつ同じ屈折率でアッベ数が45以上の樹脂の選択も可能である。ガラスクロスやガラスペーパーに用いられるガラスの種類としては、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、Tガラス、石英ガラスなどがあげられ、中でもアッベ数が45以上の樹脂と屈折率を一致させることができ、かつ入手が容易なSガラス、Tガラス、NEガラスが好ましい。またガラスクロスやガラスペーパーを用いる場合、フィラメントの織り方に限定はなく、平織り、ななこ織り、朱子織り、綾織りなどが適用でき、中でも平織りが好ましい。ガラスクロスの厚みは、通常、30〜200μmであるのが好ましく、より好ましくは40〜150μmである。ガラスクロスやガラス不織布などのガラス繊維布は1枚だけでもよく、複数枚を重ねて用いてもよい。
樹脂としてアクリレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂などがあげられるが、透明性、耐熱性、生産性の面から2つ以上の官能基を有するエポキシ樹脂が好ましい。透明樹脂(b1)および(b2)のガラス転移温度は、150℃以上が好ましく、より好ましくは200℃以上、さらに好ましくは250℃以上である。液晶表示素子用基板等の表示素子用基板として使用する場合、ガラス転移温度が150℃未満ならば、表示素子用基板の製造工程でかかる熱処理に基板の変形が発生することがある。
本発明の透明樹脂(b1)は、繊維布との屈折率を合わせる目的で一般式(1)で示される脂環式エポキシ樹脂または一般式(2)で示される水添ビフェニル型脂環式エポキシ樹脂と屈折率の異なる成分を併用することが好ましい。屈折率の異なる成分としては、併用することで繊維布と屈折率を合わせる事ができ、透明な複合体を得ることができる成分であれば特に制限されないが、エポキシ基を有する化合物やオキセタニル基を有する化合物が、一般式(1)で示される脂環式エポキシ樹脂または一般式(2)で示される水添ビフェニル型脂環式エポキシ樹脂と共架橋するので好ましい。
繊維布として、NEガラスクロスを用いる場合には、一般式(1)で示される脂環式エポキシ樹脂または一般式(2)で示される水添ビフェニル型脂環式エポキシ樹脂よりも屈折率の低い樹脂を併用することが好ましい。一般式(1)で示される脂環式エポキシ樹脂または一般式(2)で示される水添ビフェニル型脂環式エポキシ樹脂よりも屈折率の低い成分としては、各種のエポキシ基を有する化合物やオキセタニル基を有する化合物を用いることができるが、耐熱性が優れていることからオキセタニル基を有するシルセスキオキサン(c)が特に好ましい。オキセタニル基を有するシルセスキオキサン(c)を併用することで、優れた耐熱性を維持したまま、繊維布と屈折率を合わせる事ができる。
繊維布の表裏にラミネートし、しかる後に剥離性基材シートを剥離すること方法が挙げられるが特に限定するものではない。
級アミン類、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等のリン化合物、四級アンモニウム塩、有機金属塩類、およびこれらの誘導体等があげられ、これらのなかでもリン化合物が好ましい。これら硬化促進剤は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
2当量がより好ましい。
また、ロール形式の場合、連続的に巻き取ることにより、ロール状の透明複合基板を得ることができる。
無機充填材の配合量としては、硬化性樹脂等の樹脂成分100重量部に対して、10〜
400重量部が好ましく、より好ましくは40〜300重量部である。10重量部より少ないと無機充填材を添加することによる低熱膨張化の効果が少なく、400重量部を超えると樹脂組成物中の無機充填材の割合が大きすぎて、樹脂ワニスのガラス基材への塗布、含浸などの操作が困難となる傾向がある。
粗さRyは低いほど好ましいが、2μmを超えるシートを用いるとこの面が転写し表面粗さが粗くなるので好ましくない。プラスチック基板の製造工程に耐えうる耐熱性が必要であると共に、線膨張係数が30ppmを越える様な金属箔を用いると、金属箔を剥離する前の複合基板にストレスが内在するためにカールが発生し、後工程を円滑に行うことが難しくなることがある。またヤング率が50GPaより小さい金属箔を用いると、樹脂の硬
化収縮にまけてシワやうねりが発生する。具体的な材質としては、アルミニウム、銅、ステンレスより選ばれる1種類以上の金属を含むことが好ましい。また必要に応じて転写面側には離型処理が施されていてもよい。また、剥離性金属箔の剥離に関しては、そのまま機械的に剥離しても良いし、エッチング等の方法により、化学的に除去しても良く、特に限定しない。
a)光線透過率
分光光度計U3200(島津製作所製)で400nm及び550nmの光線透過率を測定した
b)ガラス転移温度(Tg)
セイコー電子(株)製DMS―210型粘弾性測定装置で測定し、1Hzでのtanδの最大値をガラス転移温度(Tg)とした。
Sガラス系ガラスクロス(厚さ100μm、屈折率1.528、ユニチカクロス製、#2117タイプ)を焼きだしし、有機物を除去した後、グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン(エポキシシラン)で処理した。このガラスクロスに、水添ビフェニル型脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業製、E−BP)96重量部、オキセタニル基を有するシルキセスキオキサン(東亞合成製、OX−SQ)4重量部、芳香族スルホニウム系熱カチオン触媒(三新化学製、SI−100L)1重量部を溶融混合した樹脂(硬化後の樹脂の屈折率1.530)を含浸し、脱泡した後、窒素雰囲気下のオーブン中で吊るしながら、80℃2時間加熱後、さらに200℃にて2時間加熱してガラスクロス/樹脂複合体を得た。また、トリグリシジルイソシアヌレート(日産化学工業製TEPIC)90重量部、ビスフェノールS型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業製エピクロンEXA1514)10重量部、メチル水添無水ナジック酸(新日本理化製リカシッドHMA−100)170重量部、及びテトラフェニルホスホニウムブロマイド(北興化学工業製TPP−PB)2重量部を溶融混合し、この樹脂を厚み25μmの離形処理した表面粗さRy0.8μm、ヤング率が70Gpa、線膨張係数が23ppmのアルミニウム箔上にコートした。その後、前記ガラスクロス/樹脂複合体に両面に樹脂をコートしたアルミニウム箔をラミネートして、80℃にて1時間加熱、さらに200℃にて2時間加熱した後、アルミニウム箔を剥離して厚さ0.1mmの透明複合基板を得た。得られた透明複合基板は、550nmでの光
線透過率は88%、ガラス転移温度は300℃以上、表面粗さRyが1.0μmと表示基板として使用する十分なものであった。
NEガラス系ガラスクロス(厚さ100μm、屈折率1.510、日東紡製)を焼きだし
して有機物を除去した後、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(エポキシシラン)で処理した。このガラスクロスに水添ビフェニル型脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業製、E−BP)75重量部、オキセタニル基を有するシルキセスキオキサン(東亞合成製
、OX−SQ)25重量部、芳香族スルホニウム系熱カチオン触媒(三新化学製、SI−
100L)1重量部を溶融混合した樹脂(硬化後の樹脂の屈折率1.510)を含浸し、脱泡した後、窒素雰囲気下のオーブン中で吊るしながら、80℃2時間加熱後、さらに200℃にて2時間加熱してガラスクロス/樹脂複合体を得た。また、多官能脂環式エポキシ(ダイセル化学工業製EHPE3150)100重量部、メチル水添無水ナジック酸(新日本理化製リカシッドHNA−100)102重量部、テトラフェニルホスホニウムブロマイド(北興化学工業製TPP−PB)2重量部をメチルイソブチルケトンに溶解し、この樹脂を厚み20μmの離形処理した表面粗さRy1.2μm、ヤング率が200Gpa、線膨張係数が12ppmステンレス鋼箔上にコートした後、オーブン中125℃5分加熱後、放冷してタック性のない樹脂厚み12μmの樹脂付きステンレス鋼箔を得た。このガラスクロス/樹脂複合体を樹脂付きステンレス箔に挟み込んで、真空プレスを用いて、80℃にて1時間加熱、さらに250℃にて2時間加熱した後、ステンレス鋼箔を剥離して厚さ0.10mmの透明複合基板を得た。得られた透明複合基板は、550nmでの
光線透過率は88%、ガラス転移温度は285℃、表面粗さRyが1.5μmと表示基板として使用する十分なものであった。
NEガラス系ガラスクロス(厚さ100μm、屈折率1.510、日東紡製)を焼きだし
して有機物を除去した後、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(エポキシシラン)で処理した。このガラスクロスに2,2−ビス(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)プロパン(ダイセル化学工業製、E−DOA)100重量部、芳香族スルホニウム系熱カチオン触媒(三新化学製、SI−100L)1重量部をメチルイソブチルケトンで溶解した樹脂(硬化後の樹脂の屈折率1.512)を含浸し、乾燥炉で100℃10分、180℃20分加熱してロール状のガラスクロス/樹脂複合体を得た。また、多官能脂環式エポキシ(ダイセル化学工業製EHPE3150)100重量部、メチル水添無水ナジック酸(
新日本理化製リカシッドHNA−100)102重量部、テトラフェニルホスホニウムブロマイド(北興化学工業製TPP−PB)2重量部をメチルイソブチルケトンで溶解し、この樹脂をロール状の厚み17μm、表面粗さRy1.2μm、ヤング率が130Gpa、線膨張係数が17ppm圧延銅箔上にコートした後、乾燥炉中125℃5分加熱後、放冷してタック性のない樹脂付き銅箔を得た。このガラスクロス/樹脂複合体に樹脂付き銅箔を80℃、10Mpa、0.2m/分の圧着条件でラミネートした後、200℃の乾燥炉内で1時間加熱した後、更に両側の銅箔をエッチングして全面除去して、厚さ0.10
mmのロール状の透明複合基板を得た。得られた透明複合基板は、550nmでの光線透過率は88%、ガラス転移温度は285℃以上、表面粗さRyが1.5μmと表示基板として使用する十分なものであった。
NEガラス系ガラスクロス(厚さ100μm、屈折率1.510、日東紡製)を焼きだし
して有機物を除去した後、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(エポキシシラン)で処理した。このガラスクロスに2,2−ビス(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)プロパン(ダイセル化学工業製、E−DOA)100重量部、芳香族スルホニウム系熱カチオン触媒(三新化学製、SI−100L)1重量部をメチルイソブチルケトンで溶解した樹脂(硬化後の樹脂の屈折率1.512)を含浸し、乾燥炉で100℃10分、180℃20分加熱してロール状のガラスクロス/樹脂複合体を得た。また、NEガラス系ガラスクロス(厚さ100μm、屈折率1.510、日東紡製)をビーズミルで粉砕、グリシドキ
シプロピルトリメトキシシラン(エポキシシラン)で処理して、平均粒径0.5μmのガラ
スフィラーを得た。次に、多官能脂環式エポキシ(ダイセル化学工業製EHPE3150)100重量部、メチル水添無水ナジック酸(新日本理化製リカシッドHNA−100)102重量部、テトラフェニルホスホニウムブロマイド(北興化学工業製TPP−PB)2重量部、平均粒径0.5μmのガラスフィラー50重量部をメチルイソブチルケトンで溶解・混合し、この樹脂をロール状の厚み17μm、表面粗さRy1.2μm、ヤング率が130Gpa、線膨張係数が17ppm圧延銅箔上にコートした後、乾燥炉中125℃5分加熱後、放冷してタック性のない樹脂厚み12μmの樹脂付き銅箔を得た。このガラスクロス/樹脂複合体に樹脂付き銅箔を80℃、10Mpa、0.2m/分の圧着条件でラミネートした後、200℃の乾燥炉内で1時間加熱した後、更に両側の銅箔をエッチングして全面除去して、厚さ0.10mmのロール状の透明複合基板を得た。得られた透明
複合基板は、550nmでの光線透過率は85%、ガラス転移温度は290℃、表面粗さRyが1.5μmと表示基板として使用する十分なものであった。
Eガラス系ガラス不織布(厚さ60μm、屈折率1.560、日東紡製)を焼きだしして
有機物を除去した後、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(エポキシシラン)で処理した。このガラス不織布に水添ビフェニル型脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業製、E−BP)60重量部、ビスフェノールS型エポキシ樹脂(大日本インキ製、EXA−1514)40重量部、芳香族スルホニウム系熱カチオン触媒(三新化学製、SI−100L)1重量部を混合した樹脂(硬化後の樹脂の屈折率1.560)を含浸し、脱泡した後、窒素雰囲気下のオーブン中で吊るしながら、80℃2時間加熱後、さらに200℃にて2時間加熱してガラス不織布/樹脂複合体を得た。また、トリグリシジルイソシアヌレート(日産化学工業製TEPIC)20重量部、ビスフェノールS型エポキシ樹脂(大日本インキ製、EXA−1514)80重量部、メチル水添無水ナジック酸(新日本理化製リカシッドHNA−100)75重量部、テトラフェニルホスホニウムブロマイド(北興化学工業製TPP−PB)1重量部を110℃で溶融混合した樹脂を厚み17μm、表面粗さRy1.2μm、ヤング率が130Gpa、線膨張係数が17ppm圧延銅箔上にコートした。その後、前記ガラス不織布/樹脂複合体に両面に樹脂をコートした圧延銅箔をラミネートして、80℃にて1時間加熱、さらに200℃にて2時間加熱した後、圧延銅箔
を塩化第二鉄溶液でエッチングを行い、厚さ60μmの透明複合基板を得た。得られた透明複合基板は、550nmでの光線透過率は88%、ガラス転移温度は240℃、表面粗さRyが1.4μmと表示基板として使用する十分なものであった。
剥離性金属箔に表面粗さRyが5μmの電解銅箔(18μm)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、0.1mmの透明複合基板を得た。得られた複合基板は、550nmで
の光線透過率は86%、ガラス転移温度は300℃以上であったが、表面粗さRyが4.3μmと表示基板として使用するには平滑性が不十分なものであった。
(比較例2)
NEガラス系ガラスクロス(厚さ100μm、屈折率1.510、日東紡製)を焼きだし
して有機物を除去した後、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(エポキシシラン)で処理した。このガラスクロスに水添脂環式エポキシ樹脂(ナガセケムテック製、デコナールDX−216)23重量部、カルド型エポキシ樹脂(ナガセケムテック製、BPFG)8重量部、ポリプロピレン型エポキシ樹脂(ナガセケムテック製、デコナールEX−931)30重量部、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(新日本理化製リカシッドMH−700)38重量部、硬化促進剤に1−ブチル2−フェニルイミダゾール(四国化成性 1B2PZ)0.3重量部を混合した樹脂(硬化後の樹脂の屈折率1.510)を用いた以外は実施例2と同様に行い、0.1mmの透明複合基板を得た。得られた複合基板は、550nmでの光線透過率は87%、表面粗さRyは1.5μmであったが、ガラス転移温度は60℃であり、表示基板加工工程の熱処理で基板の変形が発生し、表示基板として使用するには不十分なものであった。
Claims (22)
- 550nmでの光線透過率が80%以上である透明複合基板の製造方法であって、繊維布(a)と透明樹脂(b1)を含む樹脂複合体の少なくとも片面に、室温もしくは加熱時に流動性を有する透明樹脂(b2)が形成された剥離性金属箔をラミネートし、透明樹脂(b1)および透明樹脂(b2)を硬化させた後に剥離性金属箔を剥離する透明複合基板の製造方法。
- 前記透明樹脂(b1)の硬化後の屈折率と繊維布の屈折率との差が0.01以下である請求項1記載の透明複合基板の製造方法。
- 前記繊維布(a)の屈折率が1.45〜1.56である請求項1または2記載の透明複合基板の製造方法。
- 前記繊維布(a)がガラスクロスである請求項1〜3何れか一項記載の透明複合基板の製造方法。
- 前記繊維布(a)がガラス不織布である請求項1〜3何れか一項記載の透明複合基板の製造方法。
- 前記透明樹脂(b1)および/または(b2)がエポキシ樹脂を含む請求項1〜5何れか一項記載の透明複合基板の製造方法。
- 前記透明樹脂(b1)が下記化学式(1)で示される脂環式エポキシ樹脂を構成成分として含む請求項1〜6何れか一項記載の透明複合基板の製造方法。
- 前記透明樹脂(b1)が下記化学式(2)で示される水添ビフェニル型脂環式エポキシ樹脂を構成成分として含む請求項1〜6何れか一項記載の透明複合基板の製造方法。
- 前記透明樹脂(b1)中に、オキセタニル基をもつシルセスキオキサン(c)を構成成分として含む請求項1〜8何れか一項記載の透明複合基板の製造方法。
- 前記透明樹脂(b1)をカチオン系硬化触媒(d)で硬化したことを特徴とする請求項1〜9何れか一項記載の透明複合基板の製造方法。
- 前記透明樹脂(b2)がエポキシ樹脂及び酸無水物を含む請求項1〜10何れか一項記載の透明複合基板の製造方法。
- 前記透明樹脂(b1)および/または(b2)に無機充填材を含有する請求項1〜11何れか一項記載の透明複合基板の製造方法。
- 前記無機充填材の屈折率が前記透明性樹脂(b1)および/または(b2)の硬化後の屈折率、ならびに繊維布の屈折率との差が0.01以下である請求項12何れか一項記載の透明複合基板の製造方法。
- 前記無機充填材の平均粒径は、2μm以下である請求項12または13記載の透明複合基板の製造方法。
- 前記無機充填材の含有量が、前記透明樹脂(b1)および/または(b2)の樹脂成分100重量部に対して10〜400重量部である請求項12〜14何れか一項記載の透明複合基板の製造方法。
- 前記剥離性金属箔は25℃から180℃の平均線膨張係数が30ppm以下で、かつ転写面側の表面粗さ(Ry)が2μm以下である請求項1〜15何れか一項記載の透明複合基板の製造方法。
- 前記剥離性金属箔はヤング率が50GPa以上である請求項1〜16何れか一項記載の透
明複合基板の製造方法。 - 前記剥離性金属箔がアルミニウム、銅、ステンレス鋼より選ばれる1種類以上の金属を含む請求項1〜17何れか一項記載の透明複合基板の製造方法。
- 前記透明複合基板の表面粗さ(Ry)が2μm以下である請求項1〜18何れか一項記載の透明複合基板の製造方法。
- 前記透明樹脂(b1)および(b2)のガラス転移温度が150℃以上であることを特徴とする請求項1〜19何れか一項記載の透明複合基板の製造方法。
- 前記透明複合基板を連続的に巻き取ることを特徴とする請求項1〜20何れか一項記載の複合基板の製造方法。
- 前記透明複合基板が表示素子用基板であることを特徴とする請求項1〜21何れか一項記載の複合基板の製造方法。
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