JP2009244755A - 透明基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】水蒸気などのガスの遮断性が高く、また表面の平滑性が高い透明基板を提供する。
【解決手段】ガラス繊維より屈折率の大きい高屈折率樹脂と、ガラス繊維より屈折率の小さい低屈折率樹脂とを混合して、屈折率がガラス繊維の屈折率に近似するように調整された樹脂組成物を、ガラス繊維基材に含浸・硬化して作製される透明積層板1を備える。そして、透明積層板1の表面にゾル溶液を塗布してゲル化させるゾルゲル法によって透明層2を形成する。ゾルゲル法で形成される透明層2は緻密な層であり、水蒸気などのガスを遮断する効果が高く、ガスが透過することを遮断することができると共に、また透明積層板1の表面の凹凸をこの透明層2で埋めて平坦にならすことができ、表面の平滑性を高めることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶ディスプレイなどに用いられる透明基板に関するものである。
透明積層板によって形成される透明基板は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイなどにおいて、ガラス板に代わる材料として検討されている(例えば特許文献1等)。
透明基板として用いられるこのような透明積層板の一例として、ガラスクロスなどガラス繊維からなる基材に、ガラス繊維と屈折率が近似する透明熱硬化性樹脂を含浸してプリプレグを調製し、このプリプレグを加熱加圧成形することによって作製したものを挙げることができる。透明熱硬化性樹脂としては一般にエポキシ樹脂が使用されているが、樹脂の屈折率をガラス繊維の屈折率に近似させるために、ガラス繊維より屈折率の大きいエポキシ樹脂と、ガラス繊維より屈折率の小さいエポキシ樹脂とを混合し、屈折率がガラス繊維の屈折率に近似するように混合比率を調整した樹脂組成物を用いるようにしている。このように基材のガラス繊維とマトリクス樹脂の屈折率を合わせることによって、透明積層板内での光の屈折を抑え、視認性に優れたディスプレイの透明基板として使用することができるものである。
図3はこのような透明積層板によって形成される透明基板Aを用いて作製した液晶ディスプレイの概略構成の一例を示すものであり、一対の透明基板Aを平行に配置し、この透明基板A間に駆動素子10が搭載されるようになっている。この駆動素子10は、一方の透明基板Aに設けられた画素電極11とTFT12、他方の透明基板Aに設けられた共通電極13、透明基板A間に充填される液晶分子14などを備えて形成されるものである。
特開2004−307851号公報
上記のような液晶ディスプレイにあって、対向して配置される透明基板Aの間隔が不均一であると、充填されている液晶分子14の厚みが不均一になって、液晶分子14の配向性が部分的に乱れ、光の散乱が生じるおそれがある。また液晶分子14は水蒸気や酸素などが作用すると劣化し易く、水蒸気などの作用で液晶ディスプレイの寿命が低下するおそれがある。
しかし透明基板Aは、ガラス基材に樹脂を含浸・硬化して作製した透明積層板によって形成されているものであり、樹脂をマトリクスとするため、ガラス板のような高いガス遮断性を有するものではない。従ってこのような透明基板Aを液晶ディスプレイの基板として用いると、水蒸気や酸素などのガスが透明基板Aを透過することを完全に遮断することはできず、液晶分子に水蒸気や酸素などが作用して劣化させるおそれがあるという問題があった。
また透明基板Aは、ガラス基材に樹脂を含浸・硬化して作製した透明積層板によって形成されているため、表面の平滑性をガラス基板のように高く形成することは困難であり、特にガラスクロスなどで形成されるガラス基材の凹凸が表面に表れて、平滑性が低くなる傾向にある。従ってこのような透明基板Aを液晶ディスプレイの基板として用いると、対向して配置される透明基板Aの間隔が不均一になって、充填されている液晶分子14に配向の乱れが生じて光の散乱が起こり、鮮明な画像を得ることができなくなるおそれがあるという問題があった。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、水蒸気などのガスの遮断性が高く、また表面の平滑性が高い透明基板を提供することを目的とするものである。
本発明に係る透明基板は、ガラス繊維より屈折率の大きい高屈折率樹脂と、ガラス繊維より屈折率の小さい低屈折率樹脂とを混合して、屈折率がガラス繊維の屈折率に近似するように調整された樹脂組成物を、ガラス繊維基材に含浸・硬化して作製される透明積層板1を備え、透明積層板1の表面にゾル溶液を塗布してゲル化させるゾルゲル法によって透明層2が形成されていることを特徴とするものである。
この発明によれば、ゾルゲル法で透明積層板1の表面に形成される透明層2は、緻密な層として形成されるものであり、水蒸気などのガスを遮断する効果が高く、ガスが透過することを遮断することができると共に、また透明積層板1の表面の凹凸をこの透明層2で埋めて平坦にならすことができ、表面の平滑性を高めることができるものである。
また本発明において、上記の透明層2は、2〜4官能のアルコキシシランを含むゾル溶液を透明積層板1の表面に塗布してゲル化させるゾルゲル法によって形成されていることを特徴とするものであり、ガス遮断性能の高い透明層2を形成することができるものである。
また本発明において、上記のゾル溶液の塗布は、スピンコーティング法によって行なわれていることを特徴とするものである。
この発明によれば、透明層2を均一な膜厚で形成することができ、表面の平滑性を向上する効果を高く得ることができるものである。
また本発明は、ゾルゲル法による透明層2の他、気相蒸着法によっても透明層2aが形成されていることを特徴とするものである。
気相蒸着法によって透明積層板1の表面に形成される透明層2aは、緻密な層として形成されるものであり、水蒸気などのガスを遮断する効果を高く得ることができるものである。
また本発明は、透明層2によって形成される表面の粗さ(Ra)が20nm以下であることを特徴とするものである。
透明基板の表面の平滑性が粗さ(Ra)20nm以下であることによって、透明基板を平行に配置してディスプレイの駆動素子の液晶分子を充填するにあたって、液晶分子に配向の乱れが生じることをより有効に防いで光の散乱を防止することができ、鮮明な画像を得ることができるものである。
本発明によれば、ゾルゲル法によって透明積層板1の表面に形成される透明層2は、緻密な層として形成されるものであり、水蒸気などのガスを遮断する効果が高く、ガスが透過することを遮断することができるものである。また透明積層板1の表面の凹凸をこの透明層2で埋めて平坦にならすことができ、表面の平滑性を高めることができるものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
まず、本発明において使用する透明積層板について説明する。この透明積層板は、ガラス繊維より屈折率の大きい高屈折率樹脂と、ガラス繊維より屈折率の小さい低屈折率樹脂とを混合して、屈折率がガラス繊維の屈折率に近似するように調整された樹脂組成物を、ガラス繊維基材に含浸・硬化して作製されるものである。
上記のガラス繊維より高屈折率の樹脂として、シアネートエステル樹脂を用いるのが好ましい。シアネートエステル樹脂は、1分子中に2個以上のシアネート基を有するシアネートエステル化合物が3量化でトリアジン環を生成して重合したものであり、シアネートエステル化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−シアナートフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−シアナートフェニル)メタン、2,2−ビス(4−シアナートフェニル)エタン等、あるいはこれらの誘導体など、芳香族シアネートエステル化合物を用いることができる。これらは単独で用いる他、複数種を組み合わせて用いるようにしてもよい。このシアネートエステル樹脂は剛直な分子骨格を有するものであり、このため、硬化物に高いガラス転移温度を与えるものである。またシアネートエステル樹脂は常温で固形であるので、後述のように樹脂組成物をガラス繊維の基材に含浸して乾燥することによってプリプレグを調製する際に、指触乾燥することが容易になるので、プリプレグの取り扱い性が良好になるものである。
ここで、ガラス繊維の屈折率が例えば1.562である場合、高屈折率樹脂として用いるシアネートエステル樹脂は屈折率が1.6前後のものが好ましく、ガラス繊維の屈折率をnとすると、n+0.03〜n+0.06の範囲のものであることが望ましい。尚、本発明において、樹脂の屈折率は、いずれも硬化した樹脂の状態での屈折率をいうものであり、ASTM D542で試験した値である。
一方、上記のガラス繊維より低屈折率の樹脂としては、低屈折率であれば任意のエポキシ樹脂を用いることができるが、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂を用いるのが好ましい。ガラス繊維の屈折率が例えば1.562である場合、この低屈折率のエポキシ樹脂としては屈折率が1.5前後のものが好ましく、ガラス繊維の屈折率をnとすると、n−0.04〜n−0.08の範囲のものであることが望ましい。
低屈折率の水添ビスフェノール型エポキシ樹脂において、ビスフェノール型としては、ビスフェノールA型の他に、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型などを用いることもできる。
また、低屈折率の水添ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、常温で固形の固形型水添ビスフェノール型エポキシ樹脂を用いるのが好ましい。常温で液状の液状型水添ビスフェノール型エポキシ樹脂を使用することもできるが、プリプレグを調製する際に、指触で粘着性のある状態にまでしか乾燥することができず、プリプレグの取り扱い性が悪くなるので、固形型水添ビスフェノール型エポキシ樹脂を使用するのが好ましいのである。さらに、低屈折率のエポキシ樹脂として、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂以外のものを併用することも可能であり、例えば1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサンを含むエポキシ樹脂を併用することができる。このエポキシ樹脂は屈折率を微調整するために併用するものであり、また常温で固体であるために透明積層板の製造を容易にするためにも最適な樹脂である。
そして、上記の高屈折率のシアネートエステル樹脂と、低屈折率の水添ビスフェノール型エポキシ樹脂などエポキシ樹脂とを混合して、ガラス繊維の屈折率に近似した樹脂組成物を調製して用いるものである。高屈折率のシアネートエステル樹脂と低屈折率のエポキシ樹脂の混合比率は、ガラス繊維の屈折率に近似させるように、任意に調整されるものである。ここで、樹脂組成物の屈折率はガラス繊維の屈折率にできるだけ近いことが望ましいが、ガラス繊維の屈折率をnとすると、n−0.02〜n+0.02の範囲で近似するように調整するのが好ましい。
またこの樹脂組成物は、その硬化樹脂のガラス転移温度(Tg)が170℃以上になるように調製されるのが好ましい。ガラス転移温度が170℃以上であることによって、透明積層板の耐熱性を高めることができるものである。ガラス転移温度の上限は特に設定されるものではないが、実用的には280℃程度がガラス転移温度の上限である。ガラス転移温度の調整は、樹脂組成物中の上記のシアネートエステル樹脂の配合比率を変えることによって行なうことができるものであり、併用する低屈折率樹脂の種類に左右されるが、樹脂組成物の樹脂分中、シアネートエステル樹脂が約30質量%以上であれば、樹脂組成物のガラス転移温度を170℃以上に調整することができる。
さらに樹脂組成物には、硬化開始剤(硬化剤)を配合することができる。この硬化開始剤としては、有機金属塩を用いることができる。この有機金属塩としては、例えば、オクタン酸、ステアリン酸、アセチルアセトネート、ナフテン酸、サリチル酸等の有機酸と、Zn、Cu、Fe等の金属との塩を挙げることができる。これらは一種を単独で用いる他に、二種以上を併用することもできるが、中でも、オクタン酸亜鉛が好ましい。硬化開始剤としてオクタン酸亜鉛を用いることによって、硬化樹脂のガラス転移温度を高めることができるものである。樹脂組成物中のオクタン酸亜鉛など有機金属塩の含有量は、特に限定されるものではないが、0.01〜0.1PHRの範囲が好ましい。
また硬化開始剤として、カチオン系硬化剤を用いることもできる。このようにカチオン系硬化剤を用いることによって樹脂の透明性を高めることができるものである。カチオン系硬化剤としては、特に限定されるものではないが、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、アンモニウム塩、アルミニウムキレート、三フッ化ホウ素アミン錯体などを用いることができる。樹脂組成物中のカチオン系硬化剤の含有量は、特に限定されるものではないが、0.2〜3.0PHRの範囲が好ましい。
さらに硬化開始剤として、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の3級アミン、2−エチル−4−イミダゾール、4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチル−イミダゾール(2E4MZ)などの硬化触媒を用いることもできる。樹脂組成物中の硬化触媒の含有量は、特に限定されるものではないが、0.5〜5PHRの範囲が好ましい。
上記のように高屈折率のシアネートエステル樹脂、低屈折率の水添ビスフェノール型エポキシ樹脂などエポキシ樹脂、硬化開始剤を配合することによって樹脂組成物を調製することができるものである。この樹脂組成物は、必要に応じて溶剤に溶解乃至分散して樹脂ワニスとして使用するものである。この溶剤としては、特に限定されるものではないが、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、2−ブタノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジアセトンアルコール、N,N’−ジメチルアセトアミドなどを用いることができる。
一方、ガラス繊維としては、透明積層板の耐衝撃性を高める効果の点からEガラスやNEガラスであることが好ましい。Eガラスは無アルカリガラスとも称され、樹脂強化用ガラス繊維として汎用されるガラスであり、NEガラスはNewEガラスのことである。またガラス繊維には、耐衝撃性を向上させる目的で、ガラス繊維処理剤として通常使用されているシランカップリング剤によって表面処理しておくことが好ましい。ガラス繊維の屈折率は1.55〜1.57の範囲であることが好ましく、1.555〜1.565の範囲であることがさらに好ましい。ガラス繊維の屈折率がこの範囲であれば、視認性に優れた透明積層板を得ることができるものである。ガラス繊維の基材としては、ガラス繊維の織布あるいは不織布を使用することができる。
そしてガラス繊維の基材に樹脂組成物のワニスを含浸し、加熱して乾燥することによって、プリプレグを調製することができる。乾燥条件は特に限定されるものではないが、乾燥温度100〜160℃、乾燥時間1〜10分間の範囲が好ましい。
次にこのプリプレグを1枚、あるいは複数枚重ね、加熱加圧成形することによって、樹脂組成物を硬化させて、透明積層板を得ることができるものである。加熱加圧成形の条件は、特に限定されるものではないが、温度150〜200℃、圧力1〜4MPa、時間10〜120分間の範囲が好ましい。
上記のようにして得られる透明積層板にあって、高屈折率のシアネートエステル樹脂と低屈折率の水添ビスフェノール型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂が重合して形成される樹脂マトリクスは、シアネートエステル樹脂を含有することによってガラス転移温度が高いものであり、耐熱性に優れた透明積層板を得ることができるものである。またシアネートエステル樹脂や水添ビスフェノール型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂はいずれも透明性に優れるものであり、高い透明性を確保した透明積層板を得ることができるものである。この透明積層板において、ガラス繊維の基材の含有率は25〜65質量%の範囲であることが好ましく、この範囲であれば、ガラス繊維による補強効果で高い耐衝撃性を得ることができると共に、十分な透明性を得ることができるものである。
ここで、ガラス繊維の基材としては、透明性を高く得るために、厚みの薄いもの複数枚重ねて用いるのが好ましい。具体的には、ガラス繊維基材として厚み50μm以下のものを用い、この50μm以下の厚みのガラス繊維基材を2枚以上重ねて使用するのが好ましい。ガラス繊維基材の厚みの下限は特に限定されるものではないが、10μm程度が実用上の下限である。またガラス繊維基材の枚数も特に限定されるものではないが、20枚程度が実用上の上限である。このように複数枚のガラス繊維基材を用いて透明積層板を製造する場合、各ガラス繊維基材に樹脂組成物を含浸・乾燥してプリプレグを作製し、このプリプレグを複数枚重ねて加熱加圧成形することによって透明積層板を得ることができるが、複数枚のガラス繊維基材を重ねた状態で樹脂組成物を含浸・乾燥してプリプレグを作製し、このプリプレグを加熱加圧成形して透明積層板を得るようにしてもよい。
そして、上記のように作製した透明積層板1の表面に、ゾルゲル法で透明層2を形成することによって、図1に示すような本発明に係る透明基板Aを得ることができるものである。
ゾルゲル法は、金属アルコキシドなどを溶媒中で加水分解・重縮合させて得られる金属酸化物微粒子分散ゾルを基板に塗布してゲル化させることによって、薄膜を形成するようにしたものである。
この金属アルコキシドとしては、シリコンアルコキシド(アルコシキシラン)を用いることができるものであり、2〜4官能のアルコキシシランを用いるのが望ましい。例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシランなどを用いることができる。
また本発明では、シリコンアルコキシドとセラミックス粒子とを含有する無機質酸化物ゾルを用いてゾルゲル法で透明層2を形成するのが好ましいものであり、この無機質酸化物ゾルを用いたゾルゲル法を説明する。
無機質酸化物ゾルとしては、特にアルコキシシランとセラミックス粒子とが、水、有機溶剤等の溶媒に分散混合されたものを用いることが好ましい。有機溶剤を用いる場合は、メタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、2−プロパノール、メチルエチルケトン等の適宜のものが用いられ、またこのような有機溶剤を一種のみ用いるほか、二種以上を併用することもできる。セラミックス粒子としては、適宜のものが用いられるが、特に電気的絶縁性が高く且つ汎用されているアルミニウム、ケイ素、チタンの各酸化物のうちの少なくとも一種からなるものであることが好ましい。またセラミックス粒子の粒径は、無機質酸化物ゾルにて形成される透明層2の厚み以下であればよい。この無機酸化物ゾル中の各成分の含有量は適宜調整されるが、好ましくはアルコキシシランを20〜30質量%、セラミックス粒子を50〜55質量%、溶剤を15〜30質量%とすることが好ましい。
そして、この無機酸化物ゾルを上記の透明積層板1の表面に塗布し、加熱処理する。無機酸化物ゾルの塗布は、浸漬(ディッピング)、スプレー、印刷、ロールコート、スピンコーティング、バーコート等の適宜の手法を用いることができる。これらのなかでも、スピンコーティング法で塗布を行なうと、膜厚が均一で表面が平滑な透明層2を形成することができるので、表面平滑な透明基板Aを得るうえで好ましい。
塗布後の加熱処理は適宜の条件で行うことができ、例えばまず50〜60℃で10〜15分間加熱処理を施すことで溶剤を揮発させた後、続いて150〜180℃で20〜40分間加熱処理を施すことにより、アルコキシシランをゲル化させて、透明層2を形成することができるものである。この透明層2の膜厚は特に限定されるものではないが、1〜1000μm程度の範囲に設定するのが好ましい。
そして上記のように透明積層板1の表面に透明膜2を積層することによって形成される透明基板Aにあって、透明層2はゾルゲル法で形成されているため、コーティング法などで形成される層と比較して、緻密な層として形成されるものであり、外気の水蒸気や酸素等のガスは緻密なこの透明層2によって遮断され、これらのガスが透明基板Aを透過することを防ぐことができるものである。従って、透明基板Aにディスプレイの駆動素子10を搭載するにあたって、これらのガスが駆動素子10に作用し、駆動素子10の液晶分子14を劣化させたりすることを防ぐことができるものである。
透明積層板1に透明層2を積層して形成される透明基板Aのガス透過性は、水蒸気透過率(WVTR)が0.1g/m・24h以下であることが望ましい。透明基板Aの水蒸気透過率(WVTR)が0.1g/m・24h以下であることによって、水蒸気などのガスが駆動素子10に作用して劣化させることを有効に防ぐことができるものである。この水蒸気透過率(WVTR)は小さければ小さいほど望ましいのはいうまでもない。ここで、水蒸気透過率は、JIS Z0208(1976)に準拠した方法で測定された値である。
また透明積層板1の表面に透明層2を設けることによって、透明積層板1の表面の凹凸を透明層2で埋めて平坦にならすことができるものであり、透明層2によって形成される透明基板Aの表面の平滑性を高めることができるものである。このように透明基板Aの表面の平滑性を高めることによって、既述の図3のように一対の透明基板Aを平行に配置して駆動素子10の液晶分子14を充填するにあたって、透明基板A間の間隔を均一な寸法に設定することができ、液晶分子14に配向の乱れが生じることを防いで、光の散乱が発生することを防止することができるものであり、鮮明な画像のディスプレイを作製することができるものである。
透明層2によって形成される透明基板Aの表面の平滑性は、表面粗さRaが20μm以下であることが望ましい。表面粗さRaが20μm以下であることによって、透明基板A間の間隔をより均一に設定することができ、液晶分子14に配向の乱れが生じることをより確実に防いで、光の散乱が発生することを防止することができるものである。この表面粗さRaは小さければ小さいほど望ましいのはいうまでもない。ここで、表面粗さRaはJIS B0601(1994)で規定される算術平均粗さであり、測定は次のようにして行なった。株式会社東京精密製の蝕針式表面粗さ計「SURFCOM 130A」を用いて、透明積層板の表面凹凸を縦、横、45°バイアス方向についてそれぞれ3点測定し、合計9点の測定値の平均値をRa値とした。
上記の実施の形態では、ゾルゲル法による透明層2を1層設けるようにしたが、この透明層2は複数層設けるようにしてもよい。
また、このようなゾルゲル法による透明層2の他に、気相蒸着法による透明層2aを形成するようにしてもよい。気相蒸着法には熱CVD、プラズマCVD、レーザCVDなどの化学蒸着法(CVD)と、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング、レーザアブレーションなどの物理蒸着法(PVD)があるが、これらの気相蒸着法で形成した透明層2aは、コーティング法などで形成される膜と比較して、緻密で薄い膜に形成することができるものである。
また気相蒸着法として、化学蒸着法(CVD)の一種ともいえる、蒸着重合法を採用することもできる。蒸着重合法は、2成分以上のモノマーを基板上に同時に蒸着し、基板上でこれらのモノマーを重合させて高分子膜を形成するようにしたものである。
気相蒸着法で形成する透明層2aの材料としては、特に限定されるものではなく、有機材料、無機材料など任意材料を用いることができる。無機材料としては、例えば、珪素窒化物(SiN)、珪素酸窒化物(SiON)、酸化珪素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化マグネシウム(MgO)などを挙げることができ、有機材料としては、ポリイミド、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリアミド、セルロース、アクリル樹脂などを挙げることができる。また気相蒸着法による透明層2aの膜厚は、特に限定されるものではないが、10〜1000nm程度が好ましい。
このようにゾルゲル法による透明層2の他に、気相蒸着法による透明層2aを形成するにあたっては、例えば図2(a)のように、透明積層板1の表面にゾルゲル法による透明層2を設けた後、この上に気相蒸着法による透明層2aを設けて積層するようにしてもよく、あるいは逆に、透明積層板1の表面に気相蒸着法による透明層2aを設けた後、この上にゾルゲル法による透明層2を設けて積層するようにしてもよい。さらに図2(b)のように、透明積層板1の一方の表面にゾルゲル法による透明層2を、他方の表面に気相蒸着法による透明層2aを設けるようにしてもよい。このようにゾルゲル法による透明層2と気相蒸着法による透明層2aを設けることによって、水蒸気などのガスの遮断を複数段階で行なうことができ、透明基板Aのガス遮断性能を高めることができるものである。
また特に図2(a)のように、ゾルゲル法による透明層2と気相蒸着法による透明層2aを重ねて積層することによって、表面を平滑化する効果を高く得ることができるものである。このようにゾルゲル法による透明層2と気相蒸着法による透明層2aを重ねて積層する場合、ゾルゲル法による成膜のほうが表面を平滑にすることができることと、気相蒸着法による膜は平滑な面に成膜するほうがより欠陥のないガスバリア性の高い膜を形成することができるということから、透明積層板1の表面にゾルゲル法による透明層2を設けた後、この上に気相蒸着法による透明層2aを設けるようにするほうが好ましい。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
高屈折率樹脂として、固形型のシアネートエステル樹脂(Lonza社製「BADCy」、2,2−ビス(4−シアナートフェニル)プロパン:屈折率1.59)を52質量部、低屈折率樹脂として、固形型の1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサンを含むエポキシ樹脂(ダイセル化学工業(株)製「EHPE3150」:屈折率1.51)を48質量部配合し、さらに硬化開始剤としてオクタン酸亜鉛を0.02質量部配合し、これにトルエン50質量部、メチルエチルケトン50質量部を添加して、温度70℃で攪拌溶解することによって、樹脂組成物のワニスを調製した。この樹脂組成物の硬化物の屈折率は1.56であった。
次に、厚み25μmのガラス繊維クロス(旭化成エレクトロニクス(株)製品番「1037」、Eガラス、屈折率1.562)に、上記の樹脂組成物のワニスを含浸し、150℃で5分間加熱することによって、溶剤を除去すると共に樹脂を半硬化させてプリプレグを調製した。
そしてこのプリプレグを2枚重ね、離型処理をしたガラス板に挟んでプレス機にセットし、170℃、2MPa、15分の条件で加熱加圧成形することによって、樹脂の含有率が63質量%、厚みが80μmの透明積層板1を得た。
この透明積層板の表面粗さRaは90nm、水蒸気透過率(WVTR)は2.6g/m24hであった。
一方、テトラエトキシシラン20質量%、粒径10μm以下のアルミナ粒子55質量%、メタノール10質量%、3−メチル−3−メトキシブタノール5質量%、2−プロパノール5質量%、メチルエチルケトン5質量%の組成からなる無機酸化物ゾル溶液を調製した。そしてこのゾル溶液を透明積層板の表面にスピンコーティング法によって塗布し、60℃で10分間加熱処理した後、続いて150℃で30分加熱処理を行なうことによってゲル化させ、厚み5μmの透明層2を形成して、透明基板Aを得た(図1参照)。
この透明基板Aにおいて、透明層2を形成した側の表面の粗さRaは20nmであり、また透明基板Aの水蒸気透過率(WVTR)は0.01g/m24hであった。
(実施例2)
実施例1で得た透明積層板1の表面に、プラズマCVD法によって、厚み100nmの珪素窒化物(SiN)からなる透明層2aを形成した。次にこの透明層2aの上に、実施例1と同じゾル溶液を実施例1と同様に塗布してゲル化させることによって、厚み5μmの透明層2を形成することによって、2層構成の透明層2,2aを設けた透明基板Aを得た(図2(a)参照)。
この透明基板Aにおいて、透明層2,2aを形成した側の表面の粗さRaは15nmであり、またこの透明基板Aの水蒸気透過率(WVTR)は0.008g/m24hであった。
(実施例3)
実施例1で得られた透明基板Aを用い、ゾルゲル法で形成した透明層2の上に、スパッタリング法によって、厚み100nmの珪素酸窒化物(SiON)からなる透明層2aを形成し、2層構成の透明層2,2aを設けた透明基板Aを得た(図2(a)参照)。
この透明基板Aにおいて、透明層2,2aを形成した側の表面の粗さRaは15nmであり、またこの透明基板Aの水蒸気透過率(WVTR)は0.008g/m24hであった。
上記の各実施例にみられるように、透明積層板1は表面粗さRaが90nm、水蒸気透過率(WVTR)が2.6g/m24hであるが、この透明積層板1にゾルゲル法による透明層2を積層して得た実施例1の透明基板Aは、表面粗さRaが20nmに、水蒸気透過率(WVTR)が0.01g/m24hになっており、表面平滑性やガス遮断性を大きく高めることができることが確認される。特に透明積層板1にゾルゲル法による透明層2と気相蒸着法による透明層2aを積層して得た実施例2,3の透明基板Aは、表面粗さRaが15nmに、水蒸気透過率(WVTR)が0.008g/m24hになっており、表面平滑性やガス遮断性を高める効果をより高く得ることができるものであった。
本発明の実施の形態の一例を示す概略図である。 本発明の他の実施の形態の一例を示すものであり、(a)(b)はそれぞれ概略図である。 液晶ディスプレイの概略構成を示す図である。
符号の説明
1 透明積層板
2 透明層

Claims (5)

  1. ガラス繊維より屈折率の大きい高屈折率樹脂と、ガラス繊維より屈折率の小さい低屈折率樹脂とを混合して、屈折率がガラス繊維の屈折率に近似するように調整された樹脂組成物を、ガラス繊維基材に含浸・硬化して作製される透明積層板を備え、透明積層板の表面にゾル溶液を塗布してゲル化させるゾルゲル法によって透明層が形成されていることを特徴とする透明基板。
  2. 透明層は、2〜4官能のアルコキシシランを含むゾル溶液を透明積層板の表面に塗布してゲル化させるゾルゲル法によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の透明基板。
  3. ゾル溶液の塗布は、スピンコーティング法によって行なわれていることを特徴とする請求項1又は2に記載の透明基板。
  4. ゾルゲル法による透明層の他、気相蒸着法によっても透明層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の透明基板。
  5. 表面の粗さ(Ra)が20nm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の透明基板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2011149018A1 (ja) * 2010-05-26 2011-12-01 パナソニック電工株式会社 透明フィルム
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