JP4951310B2 - 透明シート - Google Patents

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本発明はディスプレイデバイス等の用途や窓材等の建材用途に用いられる透明シートに関する。
従来から、液晶ディスプレイデバイス、プラズマディスプレイデバイス、EL(エレクトロルミナサンス)ディスプレイデバイス等に用いられる光学シートとして、或いは、窓材等の建材分野において、透過率が高く、また、耐衝撃性等にも優れた透明基材が求められている。
例えば、下記特許文献1には、ガラスクロスと硬化性樹脂からなるFRPであって、硬化後の前記樹脂のアッベ数が45以上であって、ガラスクロスのガラス繊維の屈折率と硬化性樹脂の屈折率との差が0.01以下であることを特徴とする全光線透過率が70%以上の透明FRPが記載されている。前記透明FRPにおいては、透明樹脂とガラスクロスの光学特性として、屈折率だけではなく、屈折率の波長依存性を表すアッベ数も近づけることにより、全光線透過率70%以上を達成することが開示されている。そして、前記特性を有する透明FRPを得るために、その実施例ではトリグリシジルイソシアヌレートを酸無水物で硬化させたエポキシ樹脂や、ジシクロペンタジエニルジアクリレートをUV硬化したアクリル系樹脂が硬化性の透明樹脂として用いられている。
アッベ数は以下の式(1)により算出される。
アッベ数V=(Nd−1)/(Nf−Nc) (1)
ここで、Ndは波長589.2nmにおける屈折率、Nfは波長486.1nmにおける屈折率、Ncは波長656.3nmにおける屈折率である。
大きいアッベ数Vは、屈折率の波長依存性が小さいことを示す。そして、ガラスは比較的屈折率の波長依存性が小さいためにアッベ数が大きく、一方、一般的な透明樹脂は屈折率の波長依存性が大きいためにアッベ数が小さい。
例えば、特許文献1に記載されたような、ジシクロペンタジエニルジアクリレートを硬化してなる透明樹脂のアッベ数は、従来の一般的なエポキシ樹脂やアクリル系樹脂よりも大きいが、ガラスよりは大幅に小さかった。この理由は、これらの樹脂は、その分子主鎖中にビニル結合を有するために、分子屈折及び分子分散が大きいためであると考えられる。従って、前記樹脂を透明樹脂として用いた上記のような透明FRPにおいては、未だ、広い波長領域の全域で高い透過率を得ることが困難であった。また、一般的に「屈折率」と呼ばれている波長589.2nm付近における、透明樹脂とガラスとの屈折率を合わせても、前記透明樹脂のアッベ数はガラスのアッベ数よりも大幅に小さいために、その他の波長領域における屈折率の差が大きくなる。そのために、その他の波長領域の光が上記のような透明FRPに入射したときには、ガラスと透明樹脂との界面において光の反射による光散乱が生じ、白ぼけたような着色が生じるという問題があった。
特開2005−8721号公報
本発明は、基材であるガラスクロスに透明樹脂を保持してなる透明シートにおいて、従来の透明樹脂では達成できなかった、広い範囲において高い透過率を維持することができ、また、白ぼけたような着色の発生を抑制することができる、ディスプレイデバイス等の分野において好ましく用いられる透明シートを提供することを目的とする。
本発明の透明シートは、基材であるガラスクロスに透明樹脂を保持してなる透明シートであって、前記透明樹脂が、ジシクロペンタジエン誘導体を主鎖骨格に有する第1のエポキシ化合物と、シクロヘキサン誘導体を有する第2のエポキシ化合物とを含有する組成物の硬化物であることを特徴とするものである。このような透明シートによれば広い範囲において高い透過率を維持することができ、また、白ぼけたような着色の発生の少ない、耐衝撃性に優れた透明シートを得ることができる。
また、前記第1のエポキシ化合物としては、下記式(1)および/または式(2)で表されるエポキシ化合物またはその誘導体を含有することが好ましい。
Figure 0004951310
Figure 0004951310
(式(1)及び式(2)中、nは2〜10000の整数)。これらを含有する組成物の硬化物は、特にアッベ数が高い点から好ましい。
また、前記第2のエポキシ化合物が、水素添加ビスフェノール型エポキシ化合物、水素及び臭素添加ビスフェノール型エポキシ化合物及び1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサンから選ばれる少なくとも一つであることが入手の容易さの点から好ましい。
また、前記硬化がカチオン重合による熱硬化である場合には、高い精度で樹脂の屈折率を調製できる点から好ましい。
また、波長589.2nmにおける屈折率をNd、波長486.1nmにおける屈折率をNf、波長656.3nmにおける屈折率をNcとしたとき、前記ガラスクロスと前記透明樹脂のNd、Nf及びNcそれぞれの差が0.01以下であることが好ましい。このような屈折率の条件を満たす場合には、広範な波長領域で高い透過性を維持することができ、従って、白ぼけたような着色が生じにくい。
本発明によれば、広い範囲において高い透過率を維持することができ、また、白ぼけたような着色の発生が少ない透明シートを提供することができる。
本発明の透明シートは、基材であるガラスクロスに透明樹脂を保持してなる透明シートであって、前記透明樹脂が、ジシクロペンタジエン誘導体を主鎖骨格に有する第1のエポキシ化合物と、シクロヘキサン誘導体を有する第2のエポキシ化合物とを含有する組成物の硬化物であることを特徴とするものである。
図1は本発明の透明シート1の一実施態様を示す模式的断面図である。透明シート1は、複数の経繊維束2と複数の緯繊維束3とからなる1枚のガラスクロス4に、透明樹脂5が保持されて構成されている。経繊維束2は多数の経繊維21が束ねられたもので、緯繊維束3も経繊維束2と同様に、図示を省略した多数の緯繊維から構成されている。
はじめに透明シートを構成するガラスクロスについて説明する。
基材として用いられるガラスクロスは、透明樹脂を保持させてシートとしたときに支持体として機能し、透明シートの耐衝撃性や寸法安定性を向上させるものである。
前記ガラスクロスとしては、透明シート1を形成した場合に十分な透明性を有するものであれば特に限定されない。
ガラスクロスを構成するガラス成分としては、耐衝撃性を高める点からEガラス及び/又はNEガラスであることが好ましい。Eガラスは無アルカリガラスとも称され、樹脂強化用ガラス繊維として汎用されるガラスであり、NEガラスはNew Eガラスのことである。
ガラスクロスの屈折率(589.2nmにおける屈折率、以下同様)は、1.55〜1.57が好ましく、1.555〜1.565がさらに好ましい。前記範囲であれば、透明性に優れた透明シートが得られる。
なお、経繊維及び/又は緯繊維の直径は、耐衝撃性を高める点から5〜9μmであることが好ましい。なお、経繊維及び/又は緯繊維には、透明シートの耐衝撃性を向上させる目的で、ガラス繊維処理剤として通常使用されているシランカップリング剤で表面処理しておくことが好ましい。
ガラスクロスの単位面積当たりの重量としては、光透過性と耐衝撃性を確保するため、45〜220g/mが好ましい。
透明シート1中のガラスクロス4の含有割合は、シート全体中において、40〜65質量%であることが好ましい。前記範囲であれば、適度な耐衝撃性が確保できるとともに、充分な透明性が得られる。
また、図1では、便宜上、ガラスクロス4を1枚有する透明シート1を示しているが、耐衝撃性を充分に高めるためには、ガラスクロスを2〜20枚重ねたものであることが好ましい。
次に透明シートを構成する透明樹脂について説明する。
前記透明樹脂は、ジシクロペンタジエン誘導体を主鎖骨格に有する第1のエポキシ化合物と、シクロヘキサン誘導体を主鎖骨格に有する第2のエポキシ化合物とを含有する樹脂組成物を硬化させることにより形成される。
前記第1のエポキシ化合物はジシクロペンタジエン誘導体を主鎖骨格に有するエポキシ化合物である。本発明者らは、このような第1のエポキシ化合物が、ガラスの屈折率に比較的近い屈折率を有するとともに、さらに、アッベ数が大きいことを見出した。アッベ数が大きい理由は、以下のような理由によるものであると考えている。すなわち、このような構造の樹脂は、構造体の分子屈折が大きく、分子体積が小さく、また、分子分散が小さい。その結果、波長589.2nmにおいて同じ屈折率を有する他の一般的な透明樹脂のアッベ数と比べてアッベ数が大きくなると考えられる。このため一般的に透明樹脂として用いられているビスフェノールA型エポキシ樹脂等を透明樹脂として用いた場合に比べて、ガラスクロスと透明樹脂とのアッベ数の差が小さいために広い波長領域にわたって屈折率を近づけることができる。
ジシクロペンタジエン誘導体を主鎖骨格に有するエポキシ化合物としては、ジシクロペンタジエン誘導体を主鎖骨格中に50質量%以上、さらには、60質量%以上含有するようなエポキシ化合物が特に好ましく、具体的には、例えば、前記式(1)で表されるエポキシ化合物や、前記式(2)で表されるエポキシ化合物等が挙げられる。
前記式(1)で表されるエポキシ化合物は、硬化時の屈折率が1.593、アッベ数が45程度であり、例えば、大日本インキ工業(株)製の「HP−7200」として市販されている。また、前記式(2)で表されるエポキシ化合物は、硬化時の屈折率が1.567、アッベ数が58程度である。前記式(2)で表されるエポキシ化合物は、前記式(1)で表されるエポキシ化合物を公知の方法、すなわち、ルテニウム触媒等を用いて水素添加する方法等により容易に得ることができる。式(1)で表されるエポキシ化合物は、熱硬化の際の収縮率が小さく、また、製造コストが低い点から好ましく用いられる。
また、前記式(2)で表されるエポキシ化合物は、前記(1)で表されるエポキシ化合物に比べて、屈折率がガラスに近く、アッベ数が大きいためにより好ましい。この理由は、前記式(1)で表されるエポキシ化合物のベンゼン環に水素添加することにより、分子屈折が大きく、また、分子体積が小さくなり、さらに、二重結合を含まないために分子分散が小さくなってより大きなアッベ数が得られると考えている。また、前記式(2)で表されるエポキシ化合物は、さらに、屈折率をさらに高め、アッベ数をさらに大きくするために、水素添加された水素原子の一部が臭素原子に置換されていてもよい。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記式(1)で表されるエポキシ化合物の組成物中における含有割合としては、50〜98質量%、さらには53〜55質量%であることが好ましい。また、前記式(2)で表されるエポキシ化合物の透明樹脂を形成するため樹脂組成物中における含有割合としては、2〜50質量%、さらには、45〜47質量%であることが好ましい。このような含有割合の場合には屈折率及びアッベ数がガラスクロスにより近いものとなる。
前記第2のエポキシ化合物は、シクロヘキサン誘導体を主鎖骨格に有するエポキシ化合物である。この第2のエポキシ化合物は、透明樹脂の屈折率を低くするために用いられる。透明樹脂を形成するための樹脂成分としてシクロヘキサン誘導体を主鎖骨格に有するエポキシ化合物を含有させることにより、アッベ数を大幅に低下させることなく透明樹脂の屈折率を低くして微調整することができる。なお、この特性は、シクロヘキサンを含有するエポキシ化合物の分子分散が小さいことによるものであると考えている。
第2のエポキシ化合物の具体例としては、例えば、水素添加ビスフェノール(A、F)型エポキシ化合物、水素及び臭素添加ビスフェノール型エポキシ化合物及び1,2−エポキシ−4‐(2−オキシラニル)シクロヘキサン等が挙げられる。
これらの中では、特に、1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサンは、常温で固体であるために、液状のポリマーよりも、プリプレグ(部分硬化物)の保管性や、作業性(ハンドリング性)がよい点から好ましい。また、水素及び臭素添加ビスフェノール型エポキシ化合物は、アッベ数を大きく低下させることなく屈折率を増加させることができ、特に屈折率が1.6以上のガラスクロスを用いる場合には好ましく用いられる。
透明樹脂を形成するために用いられる前記樹脂組成物の硬化方法は特に限定されないが、本発明においては、カチオン重合によるものが特に好ましい。透明なエポキシ樹脂を得るために、一般的に用いられている硬化方法は酸無水物を硬化剤とした開環重合による方法であるが、この重合によれば熱処理や減圧脱泡処理の際に一部の酸無水物が昇華し、設計どおりの屈折率を安定して得ることが難しい。また、本発明に関する樹脂は特に主骨格中のジシクロペンタジエン誘導体の量が重要であるため一般的な主剤・硬化剤型のエポキシの重合方法ではなく、ホモ重合が行えるカチオン重合が特に好ましい。この重合方法を行うことで主鎖骨格中に好ましい量のジシクロペンタジエン誘導体を含有させることができる。
前記硬化剤の具体例としては、例えば、エポキシ系樹脂の場合、ジシアンジアミドやフェノールノボラック等を用いることができる。また、硬化剤が使用される場合、調製時に硬化促進剤を用いてもよい。硬化促進剤としては、例えば、2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)等のイミダゾール類やジメチルベンジルアミン等が挙げられる。
また、本発明に用いられる樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、さらにその他の成分、例えば、酸化防止剤や酸化防止助剤、シランカップリング剤等を含有してもよい。
このようにして形成される透明樹脂の屈折率と前記ガラスクロスを構成するガラスの屈折率との屈折率の差としては、例えば、波長589.2nmにおける屈折率をNd、波長486.1nmにおける屈折率をNf、波長656.3nmにおける屈折率をNcとしたとき、前記ガラスクロスと前記透明樹脂のNd、Nf及びNcそれぞれの差が0.02以下、さらには0.01以下、とくには、0.005以下であることが、広い波長範囲で高い透過率を維持することができる点から好ましい。
また、ガラスクロスを構成するガラスのアッベ数と透明樹脂のアッベ数との差としては、10以下、さらには、5以下であることが好ましい。この範囲であれば透明シートは広い波長領域の光を屈折・拡散することなく透過させることができるので着色が少なくなる。
透明シートの厚みとしては、適度な耐衝撃性と柔軟性を備える点から0.1〜3mmであることが好ましい。また、その単位体積当たりの重量としては、耐衝撃性の維持と軽量化とを達成し得る点から0.8〜1.7g/cmであることが好ましい。
本発明の透明シートは、例えば、上記のようなガラスクロスに、未硬化の透明樹脂組成物を含浸させ、ガラスクロスと未硬化の透明樹脂組成物との複合体を形成し、得られた複合体を複数枚重ね合わせて加熱プレスにより圧着することにより製造することができる。
本発明において、透明樹脂が熱硬化性透明樹脂である場合、熱硬化性樹脂は未硬化の状態では粘度が低いのでガラスクロスに含浸させ易く、ガラスクロスとの複合体を容易に形成できる。なお、熱硬化性樹脂は、硬化剤、必要により硬化促進剤及び添加剤を溶剤に投入し、これをミキサーやブレンダー等で均一に混合することによって、ワニスとして調製
することができる。
溶剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルフォルムアミド(DMF)、メチルエチルケトン(MEK)、メトキシプロパノール(MP)等を用いることができる。溶剤は、1種のみを用いることができるほか、2種以上を混合して用いることもできる。
複合体形成工程においては、予め脱泡処理されたワニスを用いることもできる。この処理によると得られる透明シート中の気泡を低減することができ、透明性を確保し易い点で好ましい。
上記のようにして調製された透明樹脂組成物のワニスをガラスクロスに含浸させ、その後、例えば120〜170℃の温度で4〜8分加熱し、溶剤を除去すると共に部分硬化することによって、複合体を作製することができる。そして、得られた複合体を複数枚重ね合わせて、必要により上下両面に離型フィルムを配設し公知の加熱プレスにより圧着させることによって完全硬化させて本発明の透明シートが得られる。加熱プレス時の条件としては、特に限定されないが、例えば、温度が、150〜200℃、圧力が、1〜4MPa、時間が1時間以上である。
このようにして得られた透明シートは、広い波長領域において光透過率が高いために光の散乱が少ない透明基材であり、従来のガラスや透明樹脂板に代替する用途に好ましく用いられる。なお、樹脂とガラスクロスとの複合材料であるために、ガラスよりも軽量で、且つ、耐衝撃性に優れている。また、透明樹脂板よりも難燃性及び強度に優れるとともに、特に、熱膨張率が小さい点において優れている。
本発明の透明シートによれば、ガラスクロスの平面方向では15ppm程度、垂直方向では60ppm程度の熱膨張率を達成することができる。これは一般的なポリカーボネートの熱膨張率70ppmと比較して非常に小さく、ガラスの熱膨張率9ppmに近い。また、本発明の透明シートの曲げ弾性係数は20GPa前後であり、ガラスの曲げ弾性係数29GPaや一般的なポリカーボネートの2GPa前後の中間に位置する値である。従って、従来の透明材料であるガラスや透明プラスチックとは異なる用途展開が可能である。このような特性を活かし、透明シートは液晶ディスプレイやプラズマディスプレイやELディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ、また電子ペーパー等にも使用可能である。さらに、自動車、船舶、航空機等の移動体の窓材や住宅やビル等の建築物用窓材にも使用可能である。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、単に「部」とあるのは「質量部」を意味する。
(実施例1)
所定の容器に、ジシクロペンタジエン誘導体を主鎖骨格に有する第1のエポキシ化合物として、式(1)で示される熱硬化性エポキシ化合物(大日本インキ工業(株)製「HP‐7200」)120部、シクロヘキサンを含有する第2のエポキシ化合物として、水素添加ビスフェノールA型エポキシ化合物(アデカ(株)製「EP‐4080」)80部、硬化剤(芳香族スルホニウム塩、三新化学工業(株)製「SI‐150L」)1.8部、トルエン50部、及びメチルエチルケトン50部を投入して、温度70℃で攪拌溶解して、ガラスクロスに含浸するためのエポキシ化合物組成物のワニスを調整した。
次に、幅500mmのガラスクロス(旭シュエーベル社製、3313タイプ、繊維径6μm、重量80g/m、Eガラス、屈折率1.565、アッベ数58)に前記エポキシ化合物組成物のワニスを含浸させ、温度150℃で5分間加熱乾燥して溶剤を乾燥させるとともに部分硬化させてガラスクロス複合体を作製した。
この複合体を3枚重ね合わせ、加熱プレス機により170℃、2MPa、15分間の条件でプレス加工することにより3枚の複合体を圧着し、ガラスクロスに透明のエポキシ樹脂が保持された透明シートが得られた。
そして、得られた透明シートの400〜800nmの波長における光透過率を日立製作所(株)製の可視紫外分光光度計U‐4100を用いて測定した。得られた光透過率と波長の関係を示すグラフを図2に示す。
一方、ガラスクロスに保持された透明樹脂のみ、及び、ガラスクロスのみの屈折率の波長依存性を(株)アタゴ製の多波長アッベ屈折計 DR−M2を用いて測定した。屈折率と波長の関係を示すグラフを図3に示す。なお、得られた透明樹脂の589.2nmにおける屈折率は1.565であり、アッベ数は52であった。
(実施例2)
所定の容器に、第1のエポキシ化合物として、式(1)で示される熱硬化性エポキシ化合物120部、第2のエポキシ化合物として、1,2−エポキシ−4‐(2−オキシラニル)シクロヘキサンを80質量%含むエポキシ化合物(ダイセル化学工業(株)製「EHPE3150」)80部、硬化剤(「SI‐150L」)1.8部、トルエン50部、及びメチルエチルケトン50部を投入して、温度70℃で攪拌溶解して、ガラスクロスに含浸するためのエポキシ化合物組成物のワニスを調整した。
次に、幅500mmのガラスクロス(旭シュエーベル社製、3313タイプ)に前記エポキシ化合物組成物のワニスを含浸させ、温度150℃で2.5分間加熱乾燥して溶剤を乾燥させるとともに部分硬化させてガラスクロス複合体を作製した。
この複合体を3枚重ね合わせ、加熱プレス機により170℃、2MPa、15分間の条件でプレス加工することにより3枚の複合体を圧着し、ガラスクロスに透明のエポキシ樹脂が保持された透明シートが得られた。
そして、透明シートの400〜800nmの波長における光透過率、及び、透明樹脂の屈折率の波長依存性を実施例1と同様にして測定した。結果を図2及び図3に示す。なお、得られた透明樹脂の589.2nmにおける屈折率は1.565であり、アッベ数は51であった。
(実施例3)
所定の容器に、第1のエポキシ化合物として、式(2)で示される熱硬化性エポキシ化合物(「HP‐7200」の水素添加反応物)180部、第2のエポキシ化合物として、1,2−エポキシ−4‐(2−オキシラニル)シクロヘキサンを含むエポキシ化合物(「EHPE3150」)20部、硬化剤(「SI‐150L」)1.8部、トルエン50部、及びメチルエチルケトン50部を投入して、温度70℃で攪拌溶解して、ガラスクロスに含浸するためのエポキシ化合物組成物のワニスを調整した。
次に、幅500mmのガラスクロス(旭シュエーベル社製、3313タイプ)に前記エポキシ化合物組成物のワニスを含浸させ、温度150℃で4分間加熱乾燥して溶剤を乾燥させるとともに部分硬化させてガラスクロス複合体を作製した。
この複合体を3枚重ね合わせ、加熱プレス機により170℃、2MPa、15分間の条件でプレス加工することにより3枚の複合体を圧着し、ガラスクロスに透明のエポキシ樹脂が保持された透明シートを得た。
そして、透明シートの400〜800nmの波長における光透過率、及び、透明樹脂の屈折率の波長依存性を実施例1と同様にして測定した。結果を図2及び図3に示す。なお、得られた透明樹脂の589.2nmにおける屈折率は1.565であり、アッベ数は56であった。
(実施例4)
所定の容器に、第1のエポキシ化合物として、式(2)で示される熱硬化性エポキシ化合物の一部の水素を臭素置換したエポキシ化合物(「HP‐7200」の水素及び臭素添加反応物)110部、第2のエポキシ化合物として、1,2−エポキシ−4‐(2−オキシラニル)シクロヘキサンを含むエポキシ化合物(「EHPE3150」)90部、硬化剤(「SI‐150L」)1.8部、トルエン50部、及びメチルエチルケトン50部を投入して、温度70℃で攪拌溶解して、ガラスクロスに含浸するためのエポキシ化合物組成物のワニスを調整した。
次に、幅500mmのガラスクロス(旭シュエーベル社製、3313タイプ)に前記エポキシ化合物組成物のワニスを含浸させ、温度150℃で4分間加熱乾燥して溶剤を乾燥させるとともに部分硬化させてガラスクロス複合体を作製した。
この複合体を3枚重ね合わせ、加熱プレス機により170℃、2MPa、15分間の条件でプレス加工することにより3枚の複合体を圧着し、ガラスクロスに透明のエポキシ樹脂が保持された透明シートを得た。
そして、透明シートの400〜800nmの波長における光透過率、及び、透明樹脂の屈折率の波長依存性を実施例1と同様にして測定した。結果を図2及び図3に示す。なお、得られた透明樹脂の589.2nmにおける屈折率は1.565であり、アッベ数は58であった。
(比較例1)
所定の容器に、ビスフェノールA型エポキシ化合物(ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート1006」)54部、及び1,2−エポキシ−4‐(2−オキシラニル)シクロヘキサンを含むエポキシ化合物(「EHPE3150」)46部、硬化剤(「SI‐150L」)0.9部、トルエン50部、及びメチルエチルケトン50部を投入して、温度70℃で攪拌溶解して、ガラスクロスに含浸するためのエポキシ化合物組成物のワニスを調整した。
次に、幅500mmのガラスクロス(旭シュエーベル社製、3313タイプ)に前記エポキシ化合物組成物のワニスを含浸させ、温度150℃で2.5分間加熱乾燥して溶剤を乾燥させるとともに部分硬化させてガラスクロス複合体を作製した。
この複合体を3枚重ね合わせ、加熱プレス機により170℃、2MPa、15分間の条件でプレス加工することにより3枚の複合体を圧着し、ガラスクロスに透明のエポキシ樹脂が保持された透明シートを得た。
そして、透明シートの400〜800nmの波長における光透過率、及び、透明樹脂の屈折率の波長依存性を実施例1と同様にして測定した。結果を図2及び図3に示す。なお、得られた透明樹脂の589.2nmにおける屈折率は1.569であり、アッベ数は39であった。
(比較例2)
所定の容器に、側鎖にジシクロペンタジエン誘導体を有するアクリルモノマーである、東亞合成(株)性TO−2066を45部、及び光重合開始剤0.5部からなるアクリレート系化合物組成物のワニスを調整した。
次に、幅500mmのガラスクロス(旭シュエーベル社製、3313タイプ)に前記アクリレート系化合物組成物のワニスを含浸させた。そして、前記ワニスを含浸させたガラスクロス3枚を離型処理した2枚のガラス板間に挟んで、両面から40J/mの紫外線を照射して硬化させた。さらに真空オーブン中で250℃で3時間加熱硬化した後、ガラス板から剥離してガラスクロスに透明のエポキシ樹脂が保持された透明シートを得た。
そして、透明シートの400〜800nmの波長における光透過率、及び、透明樹脂の屈折率の波長依存性を実施例1と同様にして測定した。結果を図2及び図3に示す。なお、得られた透明樹脂の589.2nmにおける屈折率は1.563であり、アッベ数は42であった。
図2に示されたように、実施例1〜4で得られた本発明に係る透明シートの光透過率は、500〜800nmの波長範囲においてはいずれも80%以上、400〜500nmの波長範囲においても60%以上であった。一方、比較例1及び比較例2の透明シートにおいては、500nmにおいては70%以下、400nmにおいては30%前後の透過率しか得られなかった。
また、図3の屈折率の波長依存性のグラフを見ると、実施例1〜4で得られた透明シートの屈折率の波長依存性は、いずれも、ガラスクロスに用いたガラスの波長依存性と非常に似た波長依存性であった。一方、比較例で得られた透明シートの波長依存性は、ガラスの波長依存性と大きく異なっている(すなわち、アッベ数が大きく異なっている)。従って、比較例では特に低波長側の屈折率に大きな差を生じたために、透過率に大きな差が生じたものと考えられる。なお、比較例の透明シートの場合には、アッベ数の違いに起因して、低波長側の光の散乱によると思われる白ぼけたような着色が観察された。
本発明の透明シートの一例を示す模式断面図である。 実施例における透明シートの透過率の波長依存性を示すグラフである。 実施例における透明樹脂及びガラスの屈折率の波長依存性を示すグラフである。
符号の説明
1 透明シート
2 経繊維束
3 緯繊維束
4 ガラスクロス
5 透明樹脂
21 経繊維

Claims (6)

  1. 基材であるガラスクロスに透明樹脂を保持してなる透明シートであって、
    前記透明樹脂が、ジシクロペンタジエン誘導体を主鎖骨格に有する第1のエポキシ化合物と、シクロヘキサン誘導体を有する第2のエポキシ化合物とを含有する組成物の硬化物であり、
    前記第1のエポキシ化合物が、下記式(2)で表されるエポキシ化合物またはその誘導体を含有することを特徴とする透明シート。
    Figure 0004951310
    (式(2)中、nは2〜10000の整数)
  2. 前記第2のエポキシ化合物が、水素添加ビスフェノール型エポキシ化合物、水素及び臭素添加ビスフェノール型エポキシ化合物及び1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサンから選ばれる少なくとも一つを含有する請求項1に記載の透明シート。
  3. 前記第2のエポキシ化合物が、1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサンを含むエポキシ化合物である請求項1に記載の透明シート。
  4. 前記組成物中の前記第2のエポキシ化合物の含有割合が2〜50質量%である請求項1〜3の何れか1項に記載の透明シート。
  5. 前記組成物の硬化がカチオン重合による熱硬化である請求項1〜4の何れか1項に記載の透明シート。
  6. 波長589.2nmにおける屈折率をNd、波長486.1nmにおける屈折率をNf、波長656.3nmにおける屈折率をNcとしたとき、
    前記ガラスクロスと前記透明樹脂のNd、Nf及びNcそれぞれの差が0.02以下である請求項1〜5の何れか1項に記載の透明シート。
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