JP2012136580A - 透明フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】リタデーションや光漏れの少ない、光学特性に優れた透明フィルムを提供する。
【解決手段】透明フィルムは、透明樹脂組成物をガラス繊維基材に含浸し硬化させてなり、屈折率の最大値と最小値との差が0.001以下である。透明樹脂組成物は、硬化物の屈折率がガラス繊維よりも大きい高屈折率樹脂と、硬化物の屈折率がガラス繊維よりも小さい低屈折率樹脂とを含有する。また、透明樹脂組成物は、硬化物のガラス転移温度が200℃以上であることが好ましい。また、透明樹脂組成物は、エラストマーを含有するものであることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶ディスプレイの基板等に用いられる透明フィルムに関する。
近年、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイの薄型、軽量化が進んでいるが、これをさらに進める手段としてガラス基板のプラスチックフィルムへの置き換えが検討されている。ガラス基板をプラスチックフィルムに置き換えることでより薄くより軽くできるとともに、割れにくさやフレキシビリティーといった性質を付与できる。
さらに、このような一般の透明プラスチックフィルムの特性に加えて、耐熱性が高く、温度や湿度に対する寸法安定性の高いものとして、透明樹脂およびガラス繊維の基材からなる透明フィルムが提案されている(特許文献1、2参照)。
このような透明フィルムを製造する際には、ガラス繊維よりも屈折率の大きい高屈折率樹脂と、ガラス繊維よりも屈折率の小さい低屈折率樹脂とを混合して、屈折率がガラス繊維の屈折率に近似するように調整し、透明な樹脂組成物を得ている。そして、ガラス繊維の基材に樹脂組成物を含浸し、乾燥して半硬化することによりプリプレグを作製し、このプリプレグを加熱加圧成形することにより透明フィルムが製造される。高屈折率樹脂および低屈折率樹脂としては、エポキシ樹脂等が用いられている。
このように基材のガラス繊維とマトリクス繊維(樹脂組成物)の屈折率とを合わせることにより、透明フィルム内での光の屈折を抑え、視認性に優れたディスプレイの透明フィルムとして用いることができる。
そして、この透明フィルムは、液晶ディスプレイ等に要求される透明性、耐熱性、寸法安定性といった一般的物性に加えて、ITO膜等の導電膜との密着性、表面平滑性、ガスバリア性等の性能も付与し得る材料として注目されている。
特開2004−307851号公報 特開2009−066931号公報
しかしながら、上記のような透明樹脂およびガラス繊維基材からなる透明フィルムは、リタデーョンに改善の余地があった。すなわち、この透明フィルムをガラス基板に代替するものとして液晶ディスプレイ等に用いる場合に、リタデーションが大きいために光漏れが発生し、コントラストの低下に代表される表示品質の低下を招く懸念があるという問題点があった。
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、リタデーションや光漏れの少ない、光学特性に優れた透明フィルムを提供することを目的とするものである。
本発明に係る透明フィルムは、硬化物の屈折率がガラス繊維よりも高い高屈折率樹脂と、硬化物の屈折率がガラス繊維よりも低い低屈折率樹脂とを含有する透明樹脂組成物を、ガラス繊維基材に含浸し硬化させてなり、屈折率の最大値と最小値との差が0.001以下であることを特徴とする。
前記透明樹脂組成物は、硬化物のガラス転移温度が200℃以上であることが好ましい。
前記透明樹脂組成物は、エラストマーを含有するものであることが好ましい。
前記透明樹脂組成物は、前記高屈折率樹脂として、下記構造式(I)で表される化合物によるエポキシ樹脂を含有するものであることが好ましい。
Figure 2012136580
前記透明樹脂組成物は、前記高屈折率樹脂として、下記構造式(II)で表される化合物によるエポキシ樹脂を含有するものであることが好ましい。
Figure 2012136580
本発明によれば、リタデーションが小さく、光漏れが抑制された光学特性に優れた透明フィルムを得ることができるものである。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
本実施形態の透明フィルムは、ガラス繊維の基材に透明樹脂が保持されている透明なフィルムである。この透明フィルムは、屈折率の最大値と最小値との差が0.001以下となるように、透明樹脂組成物(樹脂組成物)をガラス繊維基材に含浸し硬化して形成されている。透明樹脂組成物は、透明樹脂を形成する樹脂組成物であり、少なくとも硬化後に透明となるものであればよい。樹脂組成物は、ガラス繊維よりも屈折率の大きい高屈折率樹脂と、ガラス繊維よりも屈折率の小さい低屈折率樹脂とを混合して屈折率がガラス繊維の屈折率に近似するように調整されており、そのため、屈折率の最大値と最小値との差が上記のように小さくなっている。
なお、本明細書において、樹脂の屈折率は、いずれも硬化した樹脂の状態(硬化樹脂)での屈折率を意味するものである。すなわち、樹脂および樹脂組成物はその硬化物として屈折率が測定されるものである。屈折率は、ASTM D542に従った試験により、その値が測定される。
従来、ガラスクロスと透明樹脂を組み合わせた透明フィルムにおけるリタデーションの大きさの原因は、樹脂の内部応力によって発生する樹脂の配向によるものであるとされてきた(特許第4424044号公報、特開2005−240028号公報等参照)。しかしながら、発明者がミクロ領域での偏光ラマン分析等を行ったところ、このような透明フィルム内には樹脂の配向がないことが確認された。つまり、発明者により、リタデーションや光漏れの大きさの主原因は樹脂の配向ではないことが発見された。そして、鋭意検討の結果、透明フィルムのリタデーションや光漏れの主原因は、ガラスクロスを含む透明フィルム内において、樹脂の屈折率の分布が散乱していることにより引き起こされていることが発見された。そして、透明樹脂内の屈折率の分布を小さくすることで、リタデーションや光漏れの小さい透明フィルムを得ることができるのではないかという着想に基づき、上記の透明フィルムが発明されたものである。
樹脂組成物に配合される高屈折率樹脂としては、シアネートエステル樹脂、および上記構造式(I)で表される化合物によるエポキシ樹脂が好ましく用いられる。これらは1種単独で用いてもよく、両者を併用してもよい。
シアネートエステル樹脂としては、例えば、2,2−ビス(4−シアネートフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−シアネートフェニル)メタン、2,2−ビス(4−シアネートフェニル)エタン、これらの誘導体、芳香族シアネートエステル化合物等を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シアネートエステル樹脂は、エポキシ樹脂とともに硬化反応をさせることでトリアジン環やオキサゾリン環を生成し、エポキシ樹脂の架橋密度を高め、剛直な構造を形成することで硬化物に高いガラス転移温度を付与することができる。また、シアネートエステル樹脂は常温で固形であるため、樹脂組成物をガラス繊維の基材に含浸し乾燥することによりプリプレグを調製する際に、指触乾燥することが容易になり、プリプレグの取扱い性が良好になる。
樹脂組成物におけるシアネートエステル樹脂を配合する場合の配合量は、高屈折率樹脂および低屈折率樹脂の全量に対して好ましくは10〜40質量%、より好ましくは25〜35質量%である。シアネートエステル樹脂の配合量がこの範囲になることで、ガラス転移温度を十分に向上させることができるものであり、また、溶解度が不足してシアネートエステル樹脂が含浸工程や保存中にワニス中から析出することを抑制することができるものである。
上記の構造式(I)で表される化合物は、3官能以上の多官能エポキシ化合物である。そして、これを単量体として用い、重合させて得たエポキシ樹脂(多官能エポキシ樹脂)を用いることで、高い透明性を維持しつつ、ガラス転移温度が高く硬化物の耐熱性を高めることができ、さらに熱による変色も抑制できるものである。
構造式(I)におけるRは、水素又は有機基である。有機基としては、特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基などの低級アルキル基等の炭化水素基、その他の有機基等が挙げられる。
構造式(I)におけるRは、隣接する炭素原子及び酸素原子に結合する2価の有機基であることが好ましく、そのようなものとしては、例えば、フェニレン基等の置換または無置換のアリーレン基、置換または無置換のアリーレン基と炭素原子または炭素鎖とが結合した構造を持つ基等が挙げられる。炭素原子または炭素鎖としては、例えば、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基等のアルキレン基、カルボニル基等が挙げられる。
としては、構造式(I)において、グリシジルオキシ基にフェニレン基が結合してグリシジルオキシフェニルを構成する基が好ましく用いられる。また、熱による透明フィルムの変色抑制の点から、アリーレン基同士の間に介在する炭素原子または炭素鎖に、メチレン基(−CH−)を含まないものが好ましく用いられる。
の2価の有機基としては、例えば、下記の構造(四角括弧内)が挙げられる。
Figure 2012136580
構造式(I)におけるR〜R10の置換基としては、特に限定されないが、例えば、水素、低級アルキル基等の炭化水素基、その他の有機基等が挙げられる。R〜R10のエポキシ基含有の分子鎖としては、例えば、下記の構造が挙げられる。
Figure 2012136580
(式中、mは正の整数を示す)。
上記のエポキシ樹脂は、常温(25℃)で流動性を失い固形となる範囲であることが好ましい。常温で固形であることで、透明フィルムの製造を容易にすることができる。エポキシ樹脂は、例えば、融点が85℃程度であることが好ましい。また、エポキシ樹脂の分子量は、特に限定されないが、例えば、重量平均分子量で2000〜3000であることが好ましい。
高屈折率樹脂としては、また、上記の構造式(II)で表される化合物によるエポキシ樹脂が好ましく用いられる。構造式(II)の化合物は、3官能のエポキシ化合物であり、透明性が高く、ガラス転移温度が高く硬化物の耐熱性を高めることができる。
高屈折率樹脂としてのシアネートエステル樹脂、構造式(I)又は(II)で表される化合物によるエポキシ樹脂、あるいはこれらの混合物(高屈折率樹脂混合物)の屈折率は、好ましくは1.58〜1.63である。例えば、ガラス繊維の屈折率が1.563(Eガラス繊維)である場合、高屈折率樹脂は屈折率が1.6前後のものが好ましく、ガラス繊維の屈折率をnとするとn+0.03〜n+0.06の範囲のものが好ましい。また、ガラス繊維の屈折率が1.528(Tガラス繊維)である場合、高屈折率樹脂は屈折率が1.55前後のものが好ましく、ガラス繊維の屈折率をnとすると、n+0.03〜n+0.08の範囲のものが好ましい。
ガラス繊維よりも屈折率の小さい低屈折率樹脂としては、エポキシ樹脂を用いることができる。
低屈折率樹脂としては、下記の構造式(III)で表されるエポキシ樹脂が好ましく用いられる。構造式(III)のエポキシ樹脂を構成する化合物は、3官能のエポキシ化合物であり、脂環式で透明性が高く、ガラス転移温度が高く硬化物の耐熱性を高めることができる。
Figure 2012136580
(式中、Rは有機基を示し、n及びmは独立して整数を示す)。
構造式(III)において、有機基Rは、脂環式エポキシ構造を構成できるものであれば任意であってよいが、例えば、炭素数1〜10の直鎖または分岐の炭化水素基等が挙げられる。構造式(III)において、mは、特に限定されないが、例えば1〜5である。構造式(III)において、nは、特に限定されないが、好ましくは1〜50である。また、このm及びnの値は、常温(25℃)で流動性を失い固形となる範囲で設定されることが好ましい。常温で固形であることで、透明フィルムの製造を容易にすることができる。
構造式(III)によって表されるエポキシ樹脂は、例えば、融点が85℃程度であることが好ましく、分子量は、特に限定されないが、例えば、重量平均分子量で2000〜3000であることが好ましい。
また、低屈折率樹脂としては、例えば、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂を用いることができる。水添ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型等のものを用いることができる。好ましくは、常温で固形の水添ビスフェノール型エポキシ樹脂が用いられる。常温で液状の水添ビスフェノール型エポキシ樹脂を用いることもできるが、その場合、樹脂組成物をガラス繊維の基材に含浸し乾燥することによりプリプレグを調製する際に、指触で粘着性のある状態にまでしか乾燥することができなくなるおそれがありプリプレグの取扱い性が悪くなるおそれがある。
低屈折率樹脂の屈折率は、好ましくは1.47〜1.53である。すなわち、低屈折率樹脂は屈折率が1.5前後のものが好ましく、例えば、ガラス繊維の屈折率が1.563(Eガラス繊維)である場合、ガラス繊維の屈折率をnとするとn−0.04〜n−0.08の範囲のものが好ましい。また、ガラス繊維の屈折率が1.528(Tガラス繊維)である場合、低屈折率樹脂は、ガラス繊維の屈折率をnとすると、n−0.01〜n−0.03の範囲のものが好ましい。
高屈折率樹脂と低屈折率樹脂の含有量の比は、質量比で、高屈折率樹脂:低屈折率樹脂が5:95〜70:30の範囲であることが好ましい。それぞれの樹脂がこの範囲の含有比で配合されることにより、屈折率の最大値と最小値の差を小さくすることがより容易となる。
樹脂組成物には、硬化開始剤(硬化剤)を配合することができる。この硬化開始剤としては、例えば、有機金属塩を用いることができる。有機金属塩としては、例えば、オクタン酸、ステアリン酸、アセチルアセテート、ナフテン酸、サリチル酸等の有機酸と、Zn、Cu、Fe等の金属との塩等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、オクタン酸亜鉛が好ましい。硬化開始剤としてオクタン酸亜鉛を用いることにより、硬化樹脂のガラス転移温度を高めることができる。樹脂組成物におけるオクタン酸亜鉛等の有機金属塩の配合量は、好ましくは0.01〜0.1PHRの範囲である。
なお、本明細書においてPHRは高屈折率樹脂と低屈折率樹脂との合計質量に対する質量割合(質量%)の単位である。
また、硬化開始剤として、カチオン系硬化剤を用いることもできる。カチオン系硬化剤を用いることにより、硬化樹脂の透明性を高めることができる。カチオン系硬化剤としては、例えば、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族アンモニウム塩、アルミニウムキレート、三フッ化ホウ素アミン錯体等が挙げられる。樹脂組成物におけるカチオン系硬化剤の配合量は、好ましくは0.2〜3.0PHRの範囲である。
さらに硬化開始剤として、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の3級アミン、2−エチル−4−イミダゾール、4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール系化合物などの硬化触媒を用いることもできる。樹脂組成物におけるこれら硬化触媒の配合量は、好ましくは0.5〜5.0PHRの範囲である。
樹脂組成物には、エラストマーを配合することができる。エラストマーを配合することにより、リタデーションが小さく耐熱性の高いフィルムを得ることができる。エラストマーとしては、例えば、ポリビニルブチラール、スチレンブタジエンゴム、カルボキシル基末端ブタジエンニトリルゴムなどを挙げることができる。樹脂組成物におけるエラストマーの配合量は、好ましくは3〜20PHRの範囲である。
樹脂組成物は、その硬化物(硬化樹脂)のガラス転移温度(Tg)が好ましくは200℃以上、より好ましくは210℃以上、さらに好ましくは230℃以上になるように調製される。硬化後の高いガラス転移温度により、透明フィルムの耐熱性を高めることができる。ガラス転移温度の上限は特に限定されないが、実用的には280℃程度が上限である。なお、ガラス転移温度は、JIS C6481 TMA法に従って、その値が測定される。
樹脂組成物は、上記の高屈折率樹脂、低屈折率樹脂、および必要に応じて硬化開始剤、エラストマー等を配合することにより調製することができる。この樹脂組成物は、必要に応じて溶媒で希釈してワニスとして調製することができる。溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、2−ブタノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジアセトンアルコール、N,N’−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
ガラス繊維の基材を構成するガラス繊維としては、透明フィルムの耐衝撃性を高める点や、安価で供給品質が安定している点等から、EガラスやNEガラスの繊維が好ましく用いられる。Eガラス繊維は無アルカリガラス繊維とも称され、樹脂強化用ガラス繊維として汎用されるガラス繊維であり、NEガラスはNewEガラスのことである。また、Tガラスの繊維を用いることもできる。Tガラスは、汎用のEガラスに比べて機械的、熱的特性が優れ、より低いリタデーション値を得ることができる。
ガラス繊維の基材としては、ガラス繊維の織布あるいは不織布を用いることができる。
例えば、Tガラス繊維で形成されたTガラスクロスや、Eガラス繊維で形成されたEガラスクロスを用いることができ、その他に、UNガラスクロスも使用可能である。
また、ガラス繊維は、耐衝撃性を向上させる目的で、ガラス繊維処理剤として通常用いられているシランカップリング剤により表面処理しておくことが好ましい。
ガラス繊維の屈折率は、Eガラス繊維では1.563であり、Tガラス繊維では1.528であるが、特に限定されるものではなく、例えば、1.45〜1.65の範囲にすることができる。ガラス繊維の屈折率がこの範囲であれば、視認性に優れた透明フィルムを得ることができる。
そして、透明フィルムを作製するにあたっては、まず、ガラス繊維の基材に樹脂組成物のワニスを含浸し、加熱して乾燥することにより、プリプレグを調製することが好ましい。このとき、透明フィルムの屈折率の最大値と最小値との差が0.001以下となるように、ワニス中の高屈折率樹脂と低屈折率樹脂とを均一に混合しておくことが好ましい。また、プリプレグ中に、高屈折率樹脂と低屈折率樹脂とが均一に分散されていることが好ましい。乾燥条件は、特に限定されないが、乾燥温度100〜160℃、乾燥時間1〜10分間の範囲が好ましい。
次に、このプリプレグを1枚、あるいは複数枚重ね、加熱加圧成形することにより、樹脂組成物を硬化させて透明フィルムを得ることができる。加熱加圧成形の条件は、特に限定されないが、温度150〜200℃、圧力1〜4MPa、時間10〜120分間の範囲が好ましい。
透明フィルムに用いるガラス繊維基材は、1枚であってもよいし、複数枚であってもよい。例えば、透明性を高く得るために、厚みの薄いものを複数枚重ねて用いるようにすることもできる。具体的には、ガラス繊維基材として厚み50μm以下のものを用い、これを2枚以上重ねて用いることができる。ガラス繊維基材の厚みは、特に限定されないが、10μm程度が実用上の下限である。また、ガラス繊維基材の枚数も特に限定されないが、20枚程度が実用上の上限である。このように複数枚のガラス繊維基材を用いて透明フィルムを製造する場合、各々のガラス繊維基材に樹脂組成物を含浸、乾燥してプリプレグを作製し、このプリプレグを複数枚重ねて加熱加圧成形することにより透明フィルムを得ることができる。あるいは、複数枚のガラス繊維基材を重ねた状態で樹脂組成物を含浸、乾燥してプリプレグを作製し、このプリプレグを加熱加圧成形して透明フィルムを得るようにしてもよい。
透明フィルムにおいて、ガラス繊維基材の含有率は25〜65質量%の範囲が好ましく、より好ましくは35〜60質量%の範囲である。この範囲であれば、ガラス繊維による補強効果で高い耐衝撃性を得ることができるとともに、十分な透明性を得ることができる。透明フィルムにおけるガラス繊維基材の含有率は、表面の凹凸が大きくなったり透明性が低下したりするおそれがないようにこの範囲を超えないようにすることが好ましいものである。また、ガラス繊維基材の含有率は、透明フィルムの熱膨張係数が大きくなる場合がないようにこの範囲を下回らないようにすることが好ましいものである。
このようにして得られる透明フィルムにおいては、透明樹脂組成物における高屈折率樹脂と低屈折率樹脂とが重合して樹脂マトリクスが形成される。そのため、リタデーションが低く、高い透明性を示し、ガラス転移温度が高く、耐熱性に優れた透明フィルムとなるものである。
透明フィルムの白色光透過率は、例えば88%以上とすることができる。また、透明フィルムは、その表面にITO膜等の導電膜を形成して導電性を付与することも可能であり、液晶ディスプレイ等に適するものである。
また、上記の透明フィルムは寸法安定性も高く、特に面方向(XY方向)において低い熱膨張係数(CTE)を有している。例えば、50〜150℃における面方向の熱膨張係数を30ppm/℃以下とすることができる。
また、透明フィルムは、表面が平滑であることが好ましく、例えば、表面粗さ(Rz)を1μm以下とすることができる。上記のような樹脂組成物によれば、透明フィルムの表面を容易に平滑にすることが可能となる。
透明フィルムの透明性は、目視により確認することができるが、例えば、日本電色工業(株)製のヘイズメーターNDH2000などのヘイズメーターを用いて、JISK7136に準拠して透明フィルムのヘイズ値を測定することでも確認することができる。
さらに、上記の透明フィルムには、その少なくとも片面にハードコート層を設けて、ハードコート層付き透明フィルム(透明ハードコートフィルム)とすることができる。ハードコート層は両面に設けてもよい。ハードコート層としては、プラスチックフィルム等のハードコート層として知られている構成のものを適用することができる。ハードコート層は透明な方が好ましい。例えば、上記の透明フィルムの表面に、ラミネート転写工法で数μmのエポキシ樹脂層を形成することで、表面が平滑なハードコート層を得ることができる。具体的には、まず、キャリアフィルムとなるPETフィルム等に、溶媒に溶解した分子量の大きいエポキシ樹脂を塗工する。次に、このフィルムを真空ラミネータにより透明フィルムの表面にラミネートする。その後、紫外線照射あるいは熱処理でエポキシ樹脂を硬化させ、最後にキャリアフィルムを除去することで、透明フィルムの表面に平滑なハードコート層を形成して、透明ハードコートフィルムを得ることができる。ハードコート層の形成により、表面平滑性や耐衝撃性を向上することができる。
また、上記の透明フィルムには、その少なくとも片面にガスバリア層を設けることができる。ガスバリア層は両面に設けてもよい。例えば、上記のような透明フィルムの表面に、SiOやSiONの薄膜をスパッタリング等により形成することで、あるいはこれらの無機薄膜と有機薄膜とを積層することで、表面が平滑なガスバリア層を形成することができる。ガスバリア層の形成により、ガスバリア性を高めることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。なお、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
実施例および比較例の配合成分として以下のものを用いた。
〔高屈折率樹脂〕
・テクモアVG3101、(株)プリンテック製、上記式(I−a)で表される分子構造を有する3官能エポキシ樹脂、屈折率1.59
・BADCy、Lonza社製、固形のシアネートエステル樹脂、2,2−ビス(4−シアネートフェニル)プロパン、屈折率1.59
〔低屈折率樹脂〕
・EHPE3150、ダイセル化学工業(株)製、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物、上記式(III)で表されるエポキシ樹脂、エポキシ当量185、分子量2234、屈折率1.51
〔硬化開始剤〕
・SI150L、三新化学社製、カチオン系開始剤
・SI100L、三新化学社製、カチオン系開始剤
・オクタン酸亜鉛
〔エラストマー〕
・ポリビニルブチラール
なお、溶媒としてトルエン、メチルエチルケトンを用いた。
表1に示す配合量(質量部)にて、高屈折率樹脂および低屈折率樹脂を配合し、さらに硬化開始剤やエラストマーを配合し、これに溶媒として、トルエン50質量部及びメチルエチルケトン50質量部を添加して、温度70℃で撹拌溶解することにより、樹脂組成物のワニスを調製した。
次に、ガラス繊維基材に樹脂組成物のワニスを含浸し、150℃で5分間加熱することにより、溶媒を除去するとともに樹脂を半硬化させてプリプレグを作製した。
実施例1〜3では、ガラス繊維基材として、Tガラスクロス(日東紡(株)製、品番「1037」、Tガラス繊維、屈折率1.528)を用いた。また、実施例4及び比較例1では、ガラス繊維基材として、Eガラスクロス(旭化成エレクトロニクス(株)製、品番「1035」、屈折率1.563)を用いた。
そして、このプリプレグを2枚重ねて、プレス機にセットし、170℃、2MPa、15分の条件で加熱加圧成形することにより、厚み約70μmの透明フィルムを得た。
このようにして得られた実施例および比較例の透明フィルムについて次の測定および評価を行った。
[ガラス転移温度]
作製したプリプレグから樹脂分を掻き落とし、透明フィルムの成形条件と同じ条件で直圧成形して厚み2mmの樹脂板(樹脂組成物の硬化物)を得た。この樹脂板を供試サンプルとして、JIS C6481 TMA法に準拠してガラス転移温度を測定した。
[リタデーション]
東京インスツルメンツ(株)製複屈折測定装置「Abrio」を用いて、11mm×8mmの測定範囲にて透過モードで透明フィルムのリタデーションを測定した。
[屈折率分布の範囲]
実施例及び比較例の透明フィルムについて、埋め込み樹脂に挟みこみ、この状態で透明フィルムの表面と垂直な方向に厚み40μmで切断(スライス)した。これにより、透明フィルムの切断面(表面と垂直な面)を露出面とする厚み40μmの断面観察試料を作製した。切り出した試料に、切断面(露出面)と垂直な方向に観察光(633nm)を入射し、透過光の位相差を検出することで屈折率の分布を測定した。40μm×40μmの範囲で観察し、屈折率の最大値と最小値の差を屈折率分布の範囲とした。
これらの測定および評価の結果を表1に示す。各実施例の透明フィルムは、比較例のものに比べてリタデーションが低く光学特性が優れている。
Figure 2012136580

Claims (5)

  1. 硬化物の屈折率がガラス繊維よりも高い高屈折率樹脂と、硬化物の屈折率がガラス繊維よりも低い低屈折率樹脂とを含有する透明樹脂組成物を、ガラス繊維基材に含浸し硬化させてなり、屈折率の最大値と最小値との差が0.001以下である、透明フィルム
  2. 前記透明樹脂組成物は、硬化物のガラス転移温度が200℃以上である、請求項1に記載の透明フィルム。
  3. 前記透明樹脂組成物は、エラストマーを含有するものである、請求項1又は2に記載の透明フィルム。
  4. 前記透明樹脂組成物は、前記高屈折率樹脂として、下記構造式(I)で表される化合物によるエポキシ樹脂を含有するものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明フィルム。
    Figure 2012136580
    (式中、Rは水素又は有機基、Rは2価の有機基、R〜R10は独立して水素又は有機基を示す)
  5. 前記透明樹脂組成物は、前記高屈折率樹脂として、下記構造式(II)で表される化合物によるエポキシ樹脂を含有するものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明フィルム。
    Figure 2012136580
JP2010288500A 2010-12-24 2010-12-24 透明フィルム Withdrawn JP2012136580A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101385198B1 (ko) 2013-03-21 2014-04-29 (주)아이컴포넌트 디스플레이용 광학 투명 복합필름 및 제조방법

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