JP2011203696A - 耐擦傷性フィルム - Google Patents

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知之 井上
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Abstract

【課題】高い耐擦傷性と高い可撓性とを有する耐擦傷性フィルムを提供する。
【解決手段】耐擦傷性フィルムに関する。ガラス繊維の基材に透明樹脂組成物を含浸し硬化して形成される。画像表示装置の画像表示部に設置して用いられる。
【選択図】なし

Description

本発明は、各種画像表示装置の画像表示部に設置して用いられる耐擦傷性フィルムに関するものである。
従来、タッチパネルの表面等に設置する耐擦傷性フィルムとしては、一般的にPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等のプラスチックフィルムの表面にハードコート層を設けて形成されたものが用いられている(例えば、特許文献1参照)。そしてこの耐擦傷性フィルムは、可撓性を有するプラスチックフィルムを基材として用い、耐擦傷性を有するハードコート層を上記基材の表面に設けることによって、耐擦傷性と可撓性とを両立させることができるものである。
特開2010−44687号公報
しかしながら、従来の技術では、耐擦傷性については鉛筆硬度(JIS K5400 8.4)を3H〜4Hとし、可撓性については耐屈曲性試験(JIS C5016 8.6)の結果を10mmφ程度とするのが限界である。その理由は、プラスチックフィルム単独ではベース基材の硬度が足りないため、可撓性のないハードコート層を数μm以上の膜厚で形成しなければならないが、この膜厚を厚くすると耐擦傷性は向上する反面、可撓性が低下するというトレードオフの関係が存在するためである。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、高い耐擦傷性と高い可撓性とを有する耐擦傷性フィルムを提供することを目的とするものである。
本発明に係る耐擦傷性フィルムは、ガラス繊維の基材に透明樹脂組成物を含浸し硬化して形成され、画像表示装置の画像表示部に設置して用いられることを特徴とするものである。
前記耐擦傷性フィルムにおいて、鉛筆硬度(JIS K5400 8.4)が3H以上であり、耐屈曲性試験(JIS C5016 8.6)の結果が8mmφ以下であることが好ましい。
前記耐擦傷性フィルムにおいて、透明樹脂層が表面に形成されていることが好ましい。
前記耐擦傷性フィルムにおいて、透明樹脂層が、1分子内に5個以上の光重合性基を有する光重合性多官能化合物を50〜90質量%含有し、かつ、粘度が5000mPa・s(25℃)以下であるコーティング材を用いて形成されていることが好ましい。
前記耐擦傷性フィルムにおいて、透明樹脂組成物にガラス繊維よりも屈折率の大きい高屈折率樹脂として下記式(I)で表される3官能以上のエポキシ樹脂が配合されていることが好ましい。
Figure 2011203696
前記耐擦傷性フィルムにおいて、透明樹脂組成物にガラス繊維よりも屈折率の大きい高屈折率樹脂として下記式(II)で表される3官能のエポキシ樹脂が配合されていることが好ましい。
Figure 2011203696
前記耐擦傷性フィルムにおいて、透明樹脂組成物にガラス繊維よりも屈折率の大きい高屈折率樹脂としてシアネートエステル樹脂が配合されていることが好ましい。
前記耐擦傷性フィルムにおいて、透明樹脂組成物の硬化後のガラス転移温度が220℃以上であることが好ましい。
前記耐擦傷性フィルムにおいて、透明樹脂組成物に硬化開始剤としてオクタン酸亜鉛が配合されていることが好ましい。
前記耐擦傷性フィルムにおいて、透明樹脂組成物にガラス繊維よりも屈折率の大きい高屈折率樹脂及びガラス繊維よりも屈折率の小さい低屈折率樹脂が配合され、ガラス繊維の屈折率が1.55〜1.57、硬化後の高屈折率樹脂の屈折率が1.58〜1.63、硬化後の低屈折率樹脂の屈折率が1.47〜1.53であることが好ましい。
前記耐擦傷性フィルムにおいて、透明樹脂組成物にガラス繊維よりも屈折率の大きい高屈折率樹脂及びガラス繊維よりも屈折率の小さい低屈折率樹脂が配合され、ガラス繊維の屈折率が1.50〜1.53、硬化後の高屈折率樹脂の屈折率が1.54〜1.63、硬化後の低屈折率樹脂の屈折率が1.47〜ガラス繊維の屈折率であることが好ましい。
本発明に係る耐擦傷性フィルムによれば、ガラス繊維の基材に透明樹脂組成物を含浸し硬化して形成されているので、高い耐擦傷性と高い可撓性とを両立させることができるものである。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明において耐擦傷性フィルムは、ガラス繊維の基材に透明樹脂組成物を含浸し硬化して形成される。このように、耐擦傷性フィルムは、ガラス繊維の基材に透明樹脂組成物が保持されている透明複合シートであるが、具体的には、ガラス繊維よりも屈折率の大きい高屈折率樹脂と、ガラス繊維よりも屈折率の小さい低屈折率樹脂とを混合して、屈折率がガラス繊維の屈折率に近似するように調製された透明樹脂組成物を、ガラス繊維の基材に含浸し硬化して形成することができる。
透明樹脂組成物に配合される高屈折率樹脂としては、上記式(I)で表される3官能以上の多官能エポキシ樹脂を用いることが好ましい。
上記式(I)で表される3官能以上の多官能エポキシ樹脂は、これを用いることで、高い透明性を維持しつつ、ガラス転移温度が高く硬化物の耐熱性を高めることができ、さらに熱による変色も抑制することができる。
式(I)におけるRの2価の有機基としては、例えば、フェニレン基等の置換または無置換のアリーレン基、置換または無置換のアリーレン基と炭素原子または炭素鎖とが結合した構造を持つ基等が挙げられる。炭素原子または炭素鎖としては、例えば、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基等のアルキレン基、カルボニル基等が挙げられる。
の2価の有機基としては、式(I)の右側のグリシジルオキシ基にフェニレン基が結合してグリシジルオキシフェニル基を構成する基が好ましく用いられる。また、熱による耐擦傷性フィルムの変色抑制の点から、アリーレン基同士の間に介在する炭素原子または炭素鎖に、メチレン基(−CH−)を含まないものが好ましく用いられる。
の2価の有機基としては、例えば、下記の構造(四角括弧内)が挙げられる。
Figure 2011203696
式(I)におけるR〜R10の置換基としては、特に限定されないが、例えば、低級アルキル基等の炭化水素基、その他の有機基等が挙げられる。R〜R10のエポキシ基含有の分子鎖としては、例えば、下記の構造(四角括弧内)が挙げられる。
Figure 2011203696
(式中、mは正の整数を示す。)
式(I)で表される3官能以上の多官能エポキシ樹脂としては、例えば、上記式(II)、(III)、(IV)で表される多官能エポキシ樹脂を用いることができる。
Figure 2011203696
(式中、nは正の整数を示す。)
Figure 2011203696
特に高屈折率樹脂としては、上記式(II)で表される3官能のエポキシ樹脂を用いることが好ましい。これにより、他の式(I)で表される3官能以上の多官能エポキシ樹脂を用いる場合に比べて、高い透明性を維持しつつ、ガラス転移温度が高く硬化物の耐熱性を高めることができ、さらに熱による変色も抑制することができる。
透明樹脂組成物に配合される高屈折率樹脂としては、シアネートエステル樹脂を用いることが好ましい。
シアネートエステル樹脂としては、例えば、2,2−ビス(4−シアネートフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−シアネートフェニル)メタン、2,2−ビス(4−シアネートフェニル)エタン、これらの誘導体、芳香族シアネートエステル化合物等を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シアネートエステル樹脂は、剛直な分子骨格を有しているので、硬化物に高いガラス転移温度を付与することができる。例えば、シアネートエステル樹脂は、エポキシ樹脂とともに硬化反応をさせることでトリアジン環やオキサゾリン環を生成し、エポキシ樹脂の架橋密度を高め、剛直な構造を形成することで硬化物に高いガラス転移温度を付与することができる。また、シアネートエステル樹脂は常温で固形であるため、後述のように透明樹脂組成物をガラス繊維の基材に含浸し乾燥することによりプリプレグを調製する際に、指触乾燥することが容易になり、プリプレグの取扱い性が良好になる。
透明樹脂組成物におけるシアネートエステル樹脂の配合量は、高屈折率樹脂及び低屈折率樹脂の全量に対して、好ましくは10〜40質量%、より好ましくは25〜35質量%である。上記配合量が10質量%よりも少な過ぎるとガラス転移温度が十分に向上しない場合があり、上記配合量が40質量%よりも多過ぎると溶解度が不足し、シアネートエステル樹脂が含浸工程や保存中にワニス中から析出する場合がある。
高屈折率樹脂としての、式(I)で表される3官能以上の多官能エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂、あるいはこれらの混合物の屈折率は、好ましくは1.58〜1.63である。例えば、ガラス繊維の屈折率が1.562である場合、高屈折率樹脂は屈折率が1.6前後のものが好ましく、ガラス繊維の屈折率をnとすると、n+0.03〜n+0.06の範囲のものが好ましい。
なお、本発明において、樹脂の屈折率は、いずれも硬化した樹脂の状態(硬化樹脂)での屈折率を意味するものであり、ASTM D542に従って試験した値である。
他方、透明樹脂組成物に配合される低屈折率樹脂としては、エポキシ樹脂を用いることができる。低屈折率樹脂の屈折率は、好ましくは1.47〜1.53である。例えば、ガラス繊維の屈折率が1.562である場合、低屈折率樹脂は屈折率が1.5前後のものが好ましく、ガラス繊維の屈折率をnとすると、n−0.04〜n−0.08の範囲のものが好ましい。
低屈折率樹脂として用いられるエポキシ樹脂としては、1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサンを含むエポキシ樹脂、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂等を用いることができる。
1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサンを含むエポキシ樹脂は、常温で固形であるため、耐擦傷性フィルムの製造を容易にすることができる。
水添ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型等のものを用いることができる。好ましくは、常温で固形の水添ビスフェノール型エポキシ樹脂が用いられる。常温で液状の水添ビスフェノール型エポキシ樹脂を用いることもできるが、透明樹脂組成物をガラス繊維の基材に含浸し乾燥することによりプリプレグを調製する際に、指触で粘着性のある状態にまでしか乾燥することができないことが多く、プリプレグの取扱い性が悪くなる場合がある。
本発明では、上述のような高屈折率樹脂と低屈折率樹脂とを混合して、屈折率がガラス繊維の屈折率に近似するように、透明樹脂組成物を調製することができる。高屈折率樹脂と低屈折率樹脂との混合比率は、ガラス繊維の屈折率に近似させるように、任意に調整することができる。ここで、透明樹脂組成物の屈折率はガラス繊維の屈折率にできるだけ近いことが好ましく、具体的にはガラス繊維の屈折率をnとすると、好ましくはn−0.02〜n+0.02、より好ましくはn−0.01〜n+0.01の範囲で近似するように調整する。
透明樹脂組成物の硬化後のガラス転移温度(Tg)は220℃以上であることが好ましい。このように、硬化樹脂の高いガラス転移温度により、耐擦傷性フィルムの耐熱性を高めることができる。ガラス転移温度の上限は特に限定されないが、実用的には280℃程度が上限である。なお、本発明においてガラス転移温度は、JIS C6481 TMA法に従って測定した値である。
本発明において、透明樹脂組成物には、硬化開始剤(硬化剤)を配合することができる。硬化開始剤としては、有機金属塩等を用いることができる。有機金属塩としては、例えば、オクタン酸、ステアリン酸、アセチルアセトネート、ナフテン酸、サリチル酸等の有機酸と、Zn、Cu、Fe等の金属との塩等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、硬化開始剤としてはオクタン酸亜鉛を用いることが好ましい。このように、硬化開始剤としてオクタン酸亜鉛を用いることにより、他の有機金属塩を用いる場合に比べて、硬化樹脂のガラス転移温度をより高めることができる。透明樹脂組成物における金属キレート及びオクタン酸亜鉛等の金属塩の配合量は、好ましくは0.01〜0.1PHRの範囲である。
また、硬化開始剤としては、カチオン系硬化開始剤を用いることも好ましい。カチオン系硬化開始剤としては、例えば、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、アンモニウム塩、アルミニウムキレート、三フッ化ホウ素アミン錯体等が挙げられる。このように、硬化開始剤としてカチオン系硬化開始剤を用いることにより、硬化樹脂の透明性を高めることができる。透明樹脂組成物におけるカチオン系硬化開始剤の配合量は、好ましくは0.2〜3.0PHRの範囲である。
さらに硬化開始剤として、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の3級アミン、2−エチル−4−イミダゾール、4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等の硬化触媒を用いることもできる。透明樹脂組成物におけるこれらの硬化触媒の配合量は、好ましくは0.5〜5.0PHRの範囲である。
透明樹脂組成物は、高屈折率樹脂、低屈折率樹脂、必要に応じて硬化開始剤等を配合することにより調製することができる。この透明樹脂組成物は、必要に応じて溶媒で希釈してワニスとして調製することができる。溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、2−ブタノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジアセトンアルコール、N,N’−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
基材を構成するガラス繊維としては、耐擦傷性フィルムの耐衝撃性を高める点や、安価で供給品質が安定している点等から、Eガラス、NEガラス、Tガラスの繊維が好ましく用いられる。Eガラス繊維は無アルカリガラス繊維とも称され、樹脂強化用ガラス繊維として汎用されるガラス繊維であり、NEガラスはNewEガラスのことである。
また、ガラス繊維には、耐衝撃性を向上させる目的で、ガラス繊維処理剤として通常用いられているシランカップリング剤により表面処理しておくことが好ましい。ガラス繊維の屈折率は、好ましくは1.55〜1.57、より好ましくは1.555〜1.565である。この場合、硬化後の高屈折率樹脂の屈折率は1.58〜1.63、硬化後の低屈折率樹脂の屈折率は1.47〜1.53であることが好ましい。ガラス繊維、高屈折率樹脂及び低屈折率樹脂の屈折率が上記の範囲であれば、視認性に優れた耐擦傷性フィルムを得ることができる。さらにこの場合は低コストの原料を用いて形成できるので、低コストで信頼性の高い耐擦傷性フィルムを得ることができる。あるいはガラス繊維の屈折率が1.50〜1.53、硬化後の高屈折率樹脂の屈折率が1.54〜1.63、硬化後の低屈折率樹脂の屈折率が1.47〜ガラス繊維の屈折率であることも好ましい。この場合も、視認性に優れた耐擦傷性フィルムを得ることができる。さらにこの場合はガラス繊維と透明樹脂組成物の屈折率を広い波長で合わせることができるので、より透明な耐擦傷性フィルムを得ることができる。ガラス繊維の基材としては、ガラス繊維の織布あるいは不織布を用いることができる。
そしてガラス繊維の基材に透明樹脂組成物のワニスを含浸し、加熱して乾燥することにより、プリプレグを調製することができる。乾燥条件は、特に限定されないが、乾燥温度100〜160℃、乾燥時間1〜10分間の範囲が好ましい。
次にこのプリプレグを1枚、あるいは複数枚重ね、加熱加圧成形することにより、透明樹脂組成物を硬化させて耐擦傷性フィルムを得ることができる。加熱加圧成形の条件は、特に限定されないが、温度150〜200℃、圧力1〜4MPa、時間10〜120分間の範囲が好ましい。
上記のようにして得られる耐擦傷性フィルムにおいて、高屈折率樹脂と低屈折率樹脂とが重合して形成される樹脂マトリクスは、ガラス転移温度が高いものであり、耐熱性に優れた耐擦傷性フィルムを得ることができる。
また、上記に例示したような高屈折率樹脂と低屈折率樹脂は、透明性に優れるものであり、高い透明性を確保した耐擦傷性フィルムを得ることができる。この耐擦傷性フィルムにおいて、ガラス繊維の基材の含有率は25〜65質量%の範囲が好ましい。この範囲であれば、ガラス繊維による補強効果で高い耐衝撃性を得ることができるとともに、十分な透明性を得ることができる。また、ガラス繊維が多過ぎると表面の凹凸が大きくなり、透明性も低下する。一方、ガラス繊維が少な過ぎると耐擦傷性フィルムの熱膨張係数が大きくなる場合がある。
なお、ガラス繊維の基材は、透明性を高く得るために、厚みの薄いものを複数枚重ねて用いることができる。具体的には、ガラス繊維の基材として厚み50μm以下のものを用い、これを2枚以上重ねて用いることができる。ガラス繊維の基材の厚みは、特に限定されないが、10μm程度が実用上の下限である。また、ガラス繊維の基材の枚数も特に限定されないが、20枚程度が実用上の上限である。このように複数枚のガラス繊維の基材を用いて耐擦傷性フィルムを製造する場合、各々のガラス繊維の基材に透明樹脂組成物を含浸、乾燥してプリプレグを作製し、このプリプレグを複数枚重ねて加熱加圧成形することにより耐擦傷性フィルムを得ることができるが、複数枚のガラス繊維の基材を重ねた状態で透明樹脂組成物を含浸、乾燥してプリプレグを作製し、このプリプレグを加熱加圧成形して耐擦傷性フィルムを得るようにしてもよい。
このようにして得られる本発明の耐擦傷性フィルムは、ガラス繊維の基材が用いられていることによって耐擦傷性を高めることができると共に、透明樹脂組成物が用いられていることによって可撓性を高めることができるものである。このように、本発明の耐擦傷性フィルムは、耐擦傷性と可撓性とを両立させることができるので、好適に画像表示装置の画像表示部に設置して用いられる。画像表示装置としては、例えば、タッチパネル、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等を挙げることができる。そして、必要に応じて耐擦傷性フィルムの表面に接着層を設け、この接着層によって耐擦傷性フィルムを画像表示装置の画像表示部に設置することができる。
特に本発明の耐擦傷性フィルムは、鉛筆硬度が3H以上(上限は9H)であり、耐屈曲性試験の結果が8mmφ以下(下限は0.1mmφ)であることが好ましい。鉛筆硬度は、JIS K5400 8.4によって測定することができ、また耐屈曲性試験は、JIS C5016 8.6によって行うことができる。これにより、耐擦傷性及び可撓性をより高く得ることができるものである。
また、本発明の耐擦傷性フィルムの表面には透明樹脂層が形成されていることが好ましい。この透明樹脂層によって、鉛筆硬度など耐擦傷性をより高めることができるものである。
ここで、透明樹脂層は、光重合性多官能化合物及びメチルエチルケトン等の溶媒等を配合して調製されたコーティング材を用いて形成することができる。具体的には、コーティング材としては、1分子内に5個以上の光重合性基を有する光重合性多官能化合物を、単官能光重合性化合物やその他の添加剤など固形分全量に対して50〜90質量%含有し、かつ、粘度が5000mPa・s(25℃)以下(下限は実質上10mPa・s(25℃))であるものを用いることが好ましい。なお、光重合性基の個数の上限は、分子の粘度が上昇するおそれがあるため、実質上10個程度である。光重合性多官能化合物としては、例えば、6個の光重合性基を有するジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、3個の光重合性基を有するペンタエリスリトールトリアクリレート等を用いることができる。光重合性多官能化合物の含有量が50質量%未満であると、耐擦傷性を高める効果を十分に得ることができないおそれがあり、逆に光重合性多官能化合物の含有量が90質量%を超えると、硬すぎて可撓性や屈曲性が悪化するおそれがある。また、コーティング材の粘度が5000mPa・s(25℃)を超えると、膜厚のコントロールが難しくなり、その結果、例えば膜厚が大きくなりすぎた場合には、可撓性や屈曲性が悪化するおそれがある。そして、透明樹脂層は、コーティング材を耐擦傷性フィルムの表面に塗布して乾燥させた後、紫外線を照射することによって形成することができる。このようにして形成された透明樹脂層によって、鉛筆硬度など耐擦傷性をより高めることができるものである。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、表1の配合量は質量部を示す。
実施例及び比較例の配合成分として以下のものを用いた。
1.高屈折率樹脂
・テクモアVG3101、(株)プリンテック製、上記式(II)で表される分子構造を有する3官能エポキシ樹脂、屈折率1.59
・EPPN−501、日本化薬(株)製、上記式(III)で表される分子構造を有する多官能エポキシ樹脂、屈折率1.59
・GTR−1800、日本化薬(株)製、上記式(IV)で表される分子構造を有する4官能エポキシ樹脂、屈折率1.59
・JER1006、ジャパンエポキシレジン(株)製、固形のビスフェノールA型の2官能エポキシ樹脂、屈折率1.59
・BADCy、Lonza社製、固形のシアネートエステル樹脂、2,2−ビス(4−シアネートフェニル)プロパン、屈折率1.59
2.低屈折率樹脂
・EHPE3150、ダイセル化学工業(株)製、固形の1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサンを含むエポキシ樹脂、屈折率1.51
3.硬化開始剤
・オクタン酸亜鉛
・SI−150L、三新化学工業(株)製、カチオン系硬化開始剤(SbF 系スルホニウム塩)
上記の高屈折率樹脂及び低屈折率樹脂を表1に示す量(質量部)で配合し、さらに硬化開始剤を配合し、これに溶媒であるトルエン50質量部及びメチルエチルケトン50質量部を添加して、温度70℃で攪拌溶解することにより、透明樹脂組成物のワニスを調製した。
次に、実施例1〜6、8、9については、厚み25μmのガラスクロス(旭化成エレクトロニクス(株)製、品番「1037」、Eガラス、屈折率1.56)に、上記の透明樹脂組成物のワニスを含浸し、150℃で5分間加熱することにより、溶媒を除去するとともに樹脂を半硬化させてプリプレグを作製した。
また、実施例7については、厚み25μmのガラスクロス(日東紡績(株)製、品番「1037」、Tガラス、屈折率1.528)に、上記の樹脂組成物のワニスを含浸し、150℃で5分間加熱することにより、溶媒を除去するとともに樹脂を半硬化させてプリプレグを作製した。
そして、実施例1〜9については、プリプレグを2枚重ねて、プレス機にセットし、170℃、2MPa、15分の条件で加熱加圧成形することにより、樹脂の含有率が63質量%、厚み70μmの耐擦傷性フィルムを得た。
さらに、実施例9については、次の(1)(2)のようにして、耐擦傷性フィルムの表面に透明樹脂層を形成した。
(1)コーティング材の調製
コーティング材は、HFC−KT20(ハリマ化成(株)製)を1質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(A−DPH、新中村化学工業(株)製)を72質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート(A−TMM−3、新中村化学工業(株)製)を22重量部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(IRGACURE184、チバ・ジャパン(株)製)を5質量部配合し、さらに不揮発分率が35質量%となるようにメチルエチルケトンを配合して希釈することによって、粘度が200mPa・s(25℃)のコーティング材を調製した。なお、1分子内に6個の光重合性基を有するジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの含有量は、コーティング材の固形分全量に対して72質量%である。
(2)コーティング材の塗布
コーティング材を耐擦傷性フィルムの表面に塗布し、80℃で3分間加熱して乾燥させた後、紫外線照射機を用いて500mJ/cmの紫外線を照射することによって、硬化後の膜厚が3μmの透明樹脂層を形成した。
また、比較例1については、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(A4100、東洋紡績(株)製)をそのまま耐擦傷性フィルムとして用いた。
さらに、比較例2については、上記(1)(2)と同様にして、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(A4100、東洋紡績(株)製)の表面に透明樹脂層を形成した。
このようにして得られた実施例及び比較例の耐擦傷性フィルムについて、次の測定及び評価を行った。
[硬化樹脂のガラス転移温度]
透明樹脂組成物が硬化した硬化樹脂のガラス転移温度(Tg)をJIS C6481 TMA法に従って測定した。
[透明性(ヘイズ)]
JIS K7136に従って耐擦傷性フィルムのヘイズ値を測定し、透明性を評価した。
[鉛筆硬度]
鉛筆硬度は、JIS K5400 8.4によって測定した。
[耐屈曲性試験]
耐屈曲性試験は、JIS C5016 8.6によって行い、屈曲性を評価した。
これらの測定及び評価の結果を表1に示す。
Figure 2011203696
実施例1〜9と比較例1、2とを対比すると、実施例1〜9の方が耐擦傷性と可撓性とを両立させることができることが確認された。
また、透明樹脂層のない比較例1と、透明樹脂層のある比較例2とを対比すると、前者は可撓性に問題はないものの、耐擦傷性に問題があり、後者は耐擦傷性に問題はないものの、可撓性に問題があり、両者にはトレードオフの関係が存在することが確認された。
これに対して、透明樹脂層のない実施例4と、透明樹脂層のある実施例9とを対比すると、前者は耐擦傷性にも可撓性にも何ら問題はなく、後者は可撓性を損なうことなく、耐擦傷性がより高められていることが確認された。

Claims (11)

  1. ガラス繊維の基材に透明樹脂組成物を含浸し硬化して形成され、画像表示装置の画像表示部に設置して用いられることを特徴とする耐擦傷性フィルム。
  2. 鉛筆硬度(JIS K5400 8.4)が3H以上であり、耐屈曲性試験(JIS C5016 8.6)の結果が8mmφ以下であることを特徴とする請求項1に記載の耐擦傷性フィルム。
  3. 透明樹脂層が表面に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の耐擦傷性フィルム。
  4. 透明樹脂層が、1分子内に5個以上の光重合性基を有する光重合性多官能化合物を50〜90質量%含有し、かつ、粘度が5000mPa・s(25℃)以下であるコーティング材を用いて形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の耐擦傷性フィルム。
  5. 透明樹脂組成物にガラス繊維よりも屈折率の大きい高屈折率樹脂として下記式(I)で表される3官能以上のエポキシ樹脂が配合されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の耐擦傷性フィルム。
    Figure 2011203696
  6. 透明樹脂組成物にガラス繊維よりも屈折率の大きい高屈折率樹脂として下記式(II)で表される3官能のエポキシ樹脂が配合されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の耐擦傷性フィルム。
    Figure 2011203696
  7. 透明樹脂組成物にガラス繊維よりも屈折率の大きい高屈折率樹脂としてシアネートエステル樹脂が配合されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の耐擦傷性フィルム。
  8. 透明樹脂組成物の硬化後のガラス転移温度が220℃以上であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の耐擦傷性フィルム。
  9. 透明樹脂組成物に硬化開始剤としてオクタン酸亜鉛が配合されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の耐擦傷性フィルム。
  10. 透明樹脂組成物にガラス繊維よりも屈折率の大きい高屈折率樹脂及びガラス繊維よりも屈折率の小さい低屈折率樹脂が配合され、ガラス繊維の屈折率が1.55〜1.57、硬化後の高屈折率樹脂の屈折率が1.58〜1.63、硬化後の低屈折率樹脂の屈折率が1.47〜1.53であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の耐擦傷性フィルム。
  11. 透明樹脂組成物にガラス繊維よりも屈折率の大きい高屈折率樹脂及びガラス繊維よりも屈折率の小さい低屈折率樹脂が配合され、ガラス繊維の屈折率が1.50〜1.53、硬化後の高屈折率樹脂の屈折率が1.54〜1.63、硬化後の低屈折率樹脂の屈折率が1.47〜ガラス繊維の屈折率であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の耐擦傷性フィルム。
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JP2016071336A (ja) * 2014-09-26 2016-05-09 富士フイルム株式会社 光学フィルム及びそれを備えた偏光板、液晶表示装置、及び光学フィルムの製造方法
US9766378B2 (en) 2014-09-26 2017-09-19 Fujifilm Corporation Optical film, polarizing plate equipped with the optical film, liquid crystal display device, and method for producing an optical film
JP2018022062A (ja) * 2016-08-04 2018-02-08 グンゼ株式会社 フォルダブルディスプレイ用フィルムおよびその製造方法

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