JP5732609B2 - 透明フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、液晶ディスプレイの基板等に用いられる透明フィルムに関するものである。
従来、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイの薄型、軽量化が進んでいるが、これをさらに進める手段としてガラス基板のプラスチックフィルムへの置き換えが検討されている。ガラス基板をプラスチックフィルムに置き換えることで、より薄くより軽くすることができると共に、割れにくさやフレキシビリティー(柔軟性)といった性質を付与することができる。
さらに、このような一般の透明プラスチックフィルムの特性に加えて、耐熱性が高く、温度や湿度に対する寸法安定性が高いものとして、透明樹脂及びガラス繊維の基材からなる透明フィルムが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
この透明フィルムを製造する際には、ガラス繊維よりも屈折率の大きい高屈折率樹脂と、ガラス繊維よりも屈折率の小さい低屈折率樹脂とを混合して、屈折率がガラス繊維の屈折率に近似するように樹脂組成物を調製する。そしてガラス繊維の基材に樹脂組成物を含浸し、乾燥して半硬化することによりプリプレグを作製し、このプリプレグを加熱加圧成形することにより透明フィルムが製造される。高屈折率樹脂及び低屈折率樹脂としては、エポキシ樹脂等が用いられている。
このように、基材を構成するガラス繊維の屈折率とマトリクス樹脂(樹脂組成物)の屈折率とを合わせることにより、透明フィルム内での光の屈折を抑え、視認性に優れたディスプレイの透明フィルムとして用いることができる。
そしてこの透明フィルムは、液晶ディスプレイ等に要求される透明性、耐熱性、寸法安定性といった一般的な物性に加えて、ITO膜等の導電膜との密着性、表面平滑性、ガスバリア性等の性能も付与し得る材料として注目されている。
特開2004−307851号公報 特開2009−066931号公報
しかし、従来の透明フィルムには、光学特性や外観品質の点で改善の余地があった。具体的には、透明フィルムのガラス繊維としてEガラス繊維を用いると、透過率、ヘイズ(曇り度)、リタデーション(位相差)等の光学特性について満足な数値が得られないという問題がある。一方、Tガラス繊維やNEガラス繊維を用いると、リタデーションが小さくなり複屈折が生じにくくなるものの、これらのガラス繊維に含まれるホローファイバーと呼ばれる中空ファイバーの部分が透明にならないので外観品質を損ねてしまうという問題がある。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、従来よりも光学特性及び外観品質に優れた透明フィルムを提供することを目的とするものである。
本発明に係る透明フィルムは、ガラス繊維の基材に透明樹脂組成物を含浸し硬化して形成される透明フィルムであって、前記ガラス繊維がUNガラス繊維であり、前記UNガラス繊維において、酸化ホウ素(B)の含有量が12〜22質量%、酸化マグネシウム(MgO)の含有量が2〜12質量%、酸化アルミニウム(Al)の含有量が7〜17質量%、二酸化ケイ素(SiO)の含有量が45〜55質量%、酸化カルシウム(CaO)の含有量が10質量%以下、酸化ストロンチウム(SrO)の含有量が5質量%以下、酸化バリウム(BaO)の含有量が10質量%以下であり、前記透明樹脂組成物に、前記ガラス繊維よりも屈折率の大きい高屈折率樹脂と、前記ガラス繊維よりも屈折率の小さい低屈折率樹脂と、硬化開始剤とが配合されていることを特徴とするものである。
本発明に係る透明フィルムは、ガラス繊維がUNガラス繊維であり、前記UNガラス繊維として、酸化ホウ素(B)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化アルミニウム(Al)、二酸化ケイ素(SiO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)及び酸化バリウム(BaO)をそれぞれ所定量含有するものが用いられ、前記ガラス繊維の基材に含浸される透明樹脂組成物に、前記ガラス繊維よりも屈折率の大きい高屈折率樹脂と、前記ガラス繊維よりも屈折率の小さい低屈折率樹脂と、硬化開始剤とが配合されていることによって、従来よりも、透過率、ヘイズ、リタデーション等の光学特性について満足な数値が得られると共に、ホローファイバーが少なくなり、良好な外観品質が得られるものである。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明において透明フィルムは、エポキシ樹脂等が配合された透明樹脂組成物をガラス繊維の基材に含浸し硬化して形成することができる。このように、透明フィルムは、ガラス繊維の基材に透明樹脂組成物が保持されている透明複合シートであるが、具体的には、ガラス繊維よりも屈折率の大きい高屈折率樹脂と、ガラス繊維よりも屈折率の小さい低屈折率樹脂とを混合して、屈折率がガラス繊維の屈折率に近似するように調製された透明樹脂組成物を、ガラス繊維の基材に含浸し硬化して形成することができる。
透明樹脂組成物に配合される高屈折率樹脂としては、シアネートエステル樹脂や下記式(I)で表される3官能以上の多官能エポキシ樹脂を用いることが好ましい。これらは1種単独で用いてもよく、両者を併用してもよい。
Figure 0005732609
式(I)におけるR1、R3〜R10の置換基としては、例えば、水素原子、低級アルキル基等の炭化水素基、その他の1価の有機基等が挙げられ、R2の置換基としては、例えば、2価の有機基等が挙げられる。
シアネートエステル樹脂としては、例えば、2,2−ビス(4−シアネートフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−シアネートフェニル)メタン、2,2−ビス(4−シアネートフェニル)エタン、これらの誘導体、芳香族シアネートエステル化合物等を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シアネートエステル樹脂は、エポキシ樹脂と共に硬化反応をさせることでトリアジン環やオキサゾリン環を生成し、エポキシ樹脂の架橋密度を高め、剛直な構造を形成することで硬化物に高いガラス転移温度(Tg)を付与することができる。また、シアネートエステル樹脂は常温で固形であるため、後述のように透明樹脂組成物をガラス繊維の基材に含浸し乾燥することによりプリプレグを作製する際に、指触乾燥することが容易になり、プリプレグの取扱い性が良好になる。
透明樹脂組成物にシアネートエステル樹脂を配合する場合、その配合量は、高屈折率樹脂及び低屈折率樹脂の全量に対して、好ましくは10〜40質量%、より好ましくは25〜35質量%である。上記配合量が10質量%以上であるとガラス転移温度(Tg)を十分に向上させることができ、上記配合量が40質量%以下であると溶解度が良好でシアネートエステル樹脂が含浸工程や保存中にワニス中から析出することを抑制することができる。
上記式(I)で表される3官能以上の多官能エポキシ樹脂は、これを用いることで、高い透明性を維持しつつ、ガラス転移温度(Tg)が高く硬化物の耐熱性を高めることができ、さらに熱による変色も抑制することができる。
式(I)におけるR2の2価の有機基としては、例えば、フェニレン基等の置換又は無置換のアリーレン基、置換又は無置換のアリーレン基と炭素原子又は炭素鎖とが結合した構造を持つ基等が挙げられる。炭素原子又は炭素鎖としては、例えば、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基等のアルキレン基、カルボニル基等が挙げられる。
R2の2価の有機基としては、式(I)の右側のグリシジルオキシ基にフェニレン基が結合してグリシジルオキシフェニル基を構成する基が好ましく用いられる。また、熱による透明フィルムの変色抑制の点から、アリーレン基同士の間に介在する炭素原子又は炭素鎖に、メチレン基(−CH−)を含まないものが好ましく用いられる。
R2の2価の有機基としては、例えば、下記の構造(四角括弧内)が挙げられる。
Figure 0005732609
式(I)におけるR3〜R10のエポキシ基含有の分子鎖としては、例えば、下記の構造(四角括弧内)が挙げられる。
Figure 0005732609
(式中、pは正の整数を示す。)
式(I)で表される3官能以上の多官能エポキシ樹脂としては、例えば、下記式(I-a)、(I-b)、(I-c)で表される多官能エポキシ樹脂を用いることができる。
Figure 0005732609
Figure 0005732609
(式中、qは正の整数を示す。)
Figure 0005732609
特に高屈折率樹脂としては、上記式(I-a)で表される3官能のエポキシ樹脂を用いることが好ましい。これにより、他の式(I)で表される3官能以上の多官能エポキシ樹脂を用いる場合に比べて、高い透明性を維持しつつ、ガラス転移温度(Tg)が高く硬化物の耐熱性を高めることができ、さらに熱による変色も抑制することができる。
高屈折率樹脂としての、シアネートエステル樹脂、式(I)で表される3官能以上の多官能エポキシ樹脂、あるいはこれらの混合物の屈折率は、好ましくは1.58〜1.63である。
なお、本発明において、樹脂の屈折率は、いずれも硬化した樹脂の状態(硬化樹脂)での屈折率を意味するものであり、ASTM D542に従って試験した値である。
他方、透明樹脂組成物に配合される低屈折率樹脂としては、エポキシ樹脂を用いることができる。中でも、下記式(II)で表される構造を有する多官能エポキシ樹脂が好ましく用いられる。このような多官能エポキシ樹脂は、脂環式で透明性が高く、ガラス転移温度(Tg)が高く硬化物の耐熱性を高めることができる。
Figure 0005732609
式(II)において、有機基Rは、外側の四角括弧内の脂環式エポキシ構造に基づく本発明の効果を損なわない範囲内において任意であってよいが、例えば、炭素数1〜10の直鎖又は分岐の炭化水素基等が挙げられる。式(II)のmは、特に限定されないが、例えば1〜5であり、nは、特に限定されないが、好ましくは常温(25℃)で流動性を失い固形となる範囲とされる。常温で固形であることで、透明フィルムの製造を容易にすることができる。
式(II)で表される構造を有する多官能エポキシ樹脂としては、例えば、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールに1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサンを付加して得られるものを用いることができる。具体的には、例えば、下記式(II-a)で表されるものを用いることができる。
Figure 0005732609
(式中、3つのnはそれぞれ独立に正の整数を示す。)
この多官能エポキシ樹脂は、例えば、融点が85℃程度であり、分子量は、特に限定されないが、例えば、重量平均分子量で2000〜3000程度である。
また、低屈折率樹脂としては、式(II)で表される構造を有する多官能エポキシ樹脂の他、例えば、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂を用いることができる。水添ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型等のものを用いることができる。好ましくは、常温で固形の水添ビスフェノール型エポキシ樹脂が用いられる。常温で液状の水添ビスフェノール型エポキシ樹脂を用いることもできるが、透明樹脂組成物をガラス繊維の基材に含浸し乾燥することによりプリプレグを作製する際に、指触で粘着性のある状態にまでしか乾燥することができないことが多く、プリプレグの取扱い性が悪くなる場合がある。
低屈折率樹脂の屈折率は、好ましくは1.47〜1.53である。低屈折率樹脂は屈折率が1.5前後のものが好ましく、ガラス繊維の屈折率をnとすると、n−0.04〜n−0.08の範囲のものが好ましい。ガラス繊維の屈折率が1.528(UNガラス)である場合、低屈折率樹脂の屈折率は、ガラス繊維の屈折率をnとすると、n−0.01〜n−0.03の範囲のものが好ましい。
透明樹脂組成物の硬化後のガラス転移温度(Tg)は200℃以上であることが好ましく、210℃以上であることがより好ましく、230℃以上であることが最も好ましい。このように、硬化樹脂の高いガラス転移温度(Tg)により、透明フィルムの耐熱性を高めることができる。ガラス転移温度(Tg)の上限は特に限定されないが、実用的には280℃程度が上限である。なお、本発明においてガラス転移温度(Tg)は、JIS C6481 TMA法に従って測定した値である。
本発明において、透明樹脂組成物には、硬化開始剤(硬化剤)を配合することができる。硬化開始剤としては、例えば、有機金属塩等を用いることができる。有機金属塩としては、例えば、オクタン酸、ステアリン酸、アセチルアセトネート、ナフテン酸、サリチル酸等の有機酸と、Zn、Cu、Fe等の金属との塩等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。このように、硬化開始剤として有機金属塩を用いることにより、硬化樹脂のガラス転移温度(Tg)を高めることができる。中でも、硬化開始剤としてはオクタン酸亜鉛を用いることが好ましい。このように、硬化開始剤としてオクタン酸亜鉛を用いることにより、他の有機金属塩を用いる場合に比べて、硬化樹脂のガラス転移温度(Tg)をより高めることができる。透明樹脂組成物における有機金属塩の配合量は、好ましくは0.01〜0.1PHRの範囲である。
また、硬化開始剤としては、カチオン系硬化開始剤を用いることもできる。カチオン系硬化開始剤としては、例えば、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族アンモニウム塩、アルミニウムキレート、三フッ化ホウ素アミン錯体等が挙げられる。このように、硬化開始剤としてカチオン系硬化開始剤を用いることにより、硬化樹脂の透明性を高めることができる。透明樹脂組成物におけるカチオン系硬化開始剤の配合量は、好ましくは0.2〜3.0PHRの範囲である。
さらに硬化開始剤として、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の3級アミン、2−エチル−4−イミダゾール、4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等の硬化触媒を用いることもできる。透明樹脂組成物におけるこれらの硬化触媒の配合量は、好ましくは0.5〜5.0PHRの範囲である。
そして、透明樹脂組成物は、高屈折率樹脂、低屈折率樹脂、必要に応じて硬化開始剤等を配合することにより調製することができる。この透明樹脂組成物は、必要に応じて溶媒で希釈してワニスとして調製することができる。溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、2−ブタノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジアセトンアルコール、N,N’−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
基材を構成するガラス繊維としては、UNガラス繊維を用いることができる。具体的には、ガラス繊維としては、酸化ホウ素(B)の含有量が12〜22質量%、酸化マグネシウム(MgO)の含有量が2〜12質量%、酸化アルミニウム(Al)の含有量が7〜17質量%、二酸化ケイ素(SiO)の含有量が45〜55質量%、酸化カルシウム(CaO)の含有量が10質量%以下(下限は0質量%)、酸化ストロンチウム(SrO)の含有量が5質量%以下(下限は0質量%)、酸化バリウム(BaO)の含有量が10質量%以下(下限は0質量%)であるものを用いる。ガラス繊維を構成する上記の成分のいずれかが上記の含有量の範囲を逸脱すると、Eガラス繊維、Tガラス繊維及びNEガラス繊維と同様に光学特性及び外観品質を共に優れたものとすることができなくなるものである。このようなガラス繊維の熱膨張率は3〜6ppm/℃、ヤング率は50〜100Pa、比重は2.4〜2.6、軟化点は700〜9500℃、1MHzにおける誘電率は4.0〜6.0、1MHzにおける誘電正接は0.0001〜0.0050であることが好ましい。そして、このようなガラス繊維の基材を用いて透明フィルムを製造すると、従来よりも、透過率、ヘイズ、リタデーション等の光学特性について満足な数値が得られると共に、ホローファイバーが少なくなり、良好な外観品質が得られるものである。すなわち、従来のEガラス繊維を用いた透明フィルムに比べて、本発明の透明フィルムは、透過率が高く、ヘイズ及びリタデーションが低いので光学特性に優れているものである。さらに、従来のTガラス繊維やNEガラス繊維を用いた透明フィルムに対して、本発明の透明フィルムは、ホローファイバーが少ないので良好な外観品質が得られるものである。このように、本発明の透明フィルムは、従来のEガラス繊維、Tガラス繊維及びNEガラス繊維を用いた透明フィルムの欠点を打ち消し、これらのガラス繊維の利点を併有しているものである。
また、ガラス繊維には、耐衝撃性を向上させる目的で、ガラス繊維処理剤として通常用いられているシランカップリング剤により表面処理しておくことが好ましい。ガラス繊維の屈折率は1.50〜1.53、硬化後の高屈折率樹脂の屈折率は1.54〜1.63、硬化後の低屈折率樹脂の屈折率は1.47〜ガラス繊維の屈折率であることが好ましい。この場合、よりリタデーションが低く、視認性に優れた透明フィルムを得ることができる。ガラス繊維の基材としては、ガラス繊維の織布あるいは不織布を用いることができる。
そしてガラス繊維の基材に透明樹脂組成物のワニスを含浸し、加熱して乾燥することにより、プリプレグを作製することができる。乾燥条件は、特に限定されないが、乾燥温度100〜160℃、乾燥時間1〜10分間の範囲が好ましい。
次にこのプリプレグを1枚、あるいは複数枚重ね、加熱加圧成形することにより、透明樹脂組成物を硬化させて透明フィルムを得ることができる。加熱加圧成形の条件は、特に限定されないが、温度150〜200℃、圧力1〜4MPa、時間10〜120分間の範囲が好ましい。
そして、上記のようにして得られる透明フィルムにおいて、高屈折率樹脂と低屈折率樹脂とが重合して形成される樹脂マトリクスは、ガラス転移温度(Tg)が高いものであり、耐熱性に優れた透明フィルムを得ることができる。
また、上記に例示したような高屈折率樹脂と低屈折率樹脂は、透明性に優れるものであり、高い透明性を確保した透明フィルムを得ることができる。この透明フィルムにおいて、ガラス繊維の基材の含有率は25〜65質量%の範囲が好ましく、より好ましくは35〜60質量%の範囲である。この範囲であれば、ガラス繊維による補強効果で高い耐衝撃性を得ることができると共に、十分な透明性を得ることができる。また、ガラス繊維が多過ぎると表面の凹凸が大きくなり、透明性も低下する。一方、ガラス繊維が少な過ぎると透明フィルムの熱膨張係数が大きくなる場合がある。
また、ガラス繊維の基材は、透明性を高く得るために、厚みの薄いものを複数枚重ねて用いることができる。具体的には、ガラス繊維の基材として厚み50μm以下のものを用い、これを2枚以上重ねて用いることができる。ガラス繊維の基材の厚みは、特に限定されないが、10μm程度が実用上の下限である。また、ガラス繊維の基材の枚数も特に限定されないが、20枚程度が実用上の上限である。このように複数枚のガラス繊維の基材を用いて透明フィルムを製造する場合、各々のガラス繊維の基材に透明樹脂組成物を含浸、乾燥してプリプレグを作製し、このプリプレグを複数枚重ねて加熱加圧成形することにより透明フィルムを得ることができるが、複数枚のガラス繊維の基材を重ねた状態で透明樹脂組成物を含浸、乾燥してプリプレグを作製し、このプリプレグを加熱加圧成形して透明フィルムを得るようにしてもよい。このようにして得られる透明フィルムの厚みの平均値は30〜200μmであることが好ましい。
このようにして得られる本発明の透明フィルムは、透明性及び耐熱性に優れ、さらにリタデーションも低いものとなる。透明フィルムの白色光透過率は、例えば88%以上とすることができる。また、透明フィルムの表面にITOにより導電性を付与することも可能であり、液晶ディスプレイ等に適している。
また、本発明の透明フィルムは寸法安定性も高く、特に面方向(XY方向)において低い熱膨張係数(CTE)を有している。例えば、50〜150℃における面方向の熱膨張係数を30ppm/℃以下とすることができる。
また、本発明の透明フィルムの表面は平滑であり、例えば、表面粗さ(Rz)を1μm以下とすることができる。
本発明の透明フィルムの少なくとも片面にはハードコート層を設けることができる。ハードコート層としては、従来のプラスチックフィルム等のハードコート層として知られている構成を適用することもできるが、例えば、透明フィルムの表面にラミネート転写工法で数μmのエポキシ樹脂層を形成することで、表面が平滑なハードコート層を得ることができる。具体的には、まずキャリアフィルムとなるPETフィルム等に、溶媒に溶解した分子量の大きいエポキシ樹脂を塗工する。次にこのフィルムを真空ラミネータを用いて透明フィルムの表面にラミネートする。その後、紫外線照射あるいは熱処理でエポキシ樹脂を硬化させ、最後にキャリアフィルムを除去することで平滑なハードコート層を得ることができる。
また、本発明の透明フィルムの少なくとも片面にはガスバリア層を設けることができる。例えば、透明フィルムの表面に、SiOやSiONxの薄膜をスパッタリング等により形成することで、あるいはこれらの無機薄膜と、アクリル樹脂若しくはエポキシ樹脂又はこれらの混合物等の有機樹脂膜とを積層することで、平滑なガスバリア層を得ることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、表1の配合量は質量部を示す。
実施例及び比較例の配合成分として以下のものを用いた。
1.高屈折率樹脂
・テクモアVG3101、(株)プリンテック製、上記式(I-a)で表される分子構造を有する3官能エポキシ樹脂、屈折率1.59
・BADCy、Lonza社製、固形のシアネートエステル樹脂、2,2−ビス(4−シアネートフェニル)プロパン、屈折率1.59
2.低屈折率樹脂
・EHPE3150、ダイセル化学工業(株)製、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物、エポキシ当量185、分子量2234、屈折率1.51
3.硬化開始剤
・SI−150L、三新化学工業(株)製、カチオン系硬化開始剤(SbF 系スルホニウム塩)
・オクタン酸亜鉛
上記の高屈折率樹脂及び低屈折率樹脂を表1に示す量(質量部)で配合し、さらに硬化開始剤を配合し、これに溶媒であるトルエン50質量部及びメチルエチルケトン50質量部を添加して、温度70℃で攪拌溶解することにより、透明樹脂組成物のワニスを調製した。
次に、実施例1については、厚み25μmのガラスクロス(ユニチカグラスファイバー(株)製、品番「1035」、UNガラス繊維、屈折率1.528)に、上記の透明樹脂組成物のワニスを含浸し、150℃で5分間加熱することにより、溶媒を除去すると共に樹脂を半硬化させてプリプレグを作製した。
また、比較例1については、厚み25μmのガラスクロス(旭化成エレクトロニクス(株)製、品番「1035」、Eガラス繊維、屈折率1.563)に、上記の透明樹脂組成物のワニスを含浸し、150℃で5分間加熱することにより、溶媒を除去すると共に樹脂を半硬化させてプリプレグを作製した。
また、比較例2については、厚み30μmのガラスクロス(日東紡績(株)製、品番「1037」、Tガラス繊維、屈折率1.528)に、上記の透明樹脂組成物のワニスを含浸し、150℃で5分間加熱することにより、溶媒を除去すると共に樹脂を半硬化させてプリプレグを作製した。
なお、実施例1のUNガラス繊維は、酸化ホウ素(B)の含有量が12〜22質量%、酸化マグネシウム(MgO)の含有量が2〜12質量%、酸化アルミニウム(Al)の含有量が7〜17質量%、二酸化ケイ素(SiO)の含有量が45〜55質量%、酸化カルシウム(CaO)の含有量が10質量%以下(下限は0質量%)、酸化ストロンチウム(SrO)の含有量が5質量%以下(下限は0質量%)、酸化バリウム(BaO)の含有量が10質量%以下(下限は0質量%)であるが、比較例1のEガラス繊維及び比較例2のTガラス繊維は、上記の成分のいずれかが上記の含有量の範囲を逸脱するものである。
そして、実施例1、比較例1、2のそれぞれについて、プリプレグを2枚重ねて、プレス機にセットし、170℃、2MPa、15分の条件で加熱加圧成形することにより、樹脂の含有率が63質量%、厚み70μmの透明フィルムを得た。
このようにして得られた透明フィルムについて、次の測定及び評価を行った。
[透明性(ヘイズ)]
日本電色工業(株)製のヘイズメーターNDH2000を用い、JIS K7136に従って透明フィルムのヘイズ値を測定し、透明性を評価した。
[硬化樹脂のガラス転移温度]
プリプレグから樹脂分を掻き落とし、この樹脂分を用いて透明フィルムの成形条件と同じ条件で直圧成形することによって樹脂板を作製した。そして、この樹脂板を供試サンプルとしてガラス転移温度(Tg)をJIS C6481 TMA法に従って測定した。
[全光線透過率]
日本電色工業(株)製のヘイズメーターNDH2000を用いて透明フィルムの全光線透過率を測定した。
[リタデーション]
(株)東京インスツルメンツ製複屈折測定装置「Abrio」を用い、測定範囲:11mm×8mm、動作モード:透過の条件で、透明フィルムのリタデーションを測定した。なお、リタデーションは、透明フィルムの面内の光学異方性を示す遅相軸と進相軸の屈折率差△nに透明フィルムの厚みdをかけた値△n・d(nm)である。
[外観品質]
透明フィルム(サイズ:1m×1m)100枚について外観検査を行い、ホローファイバーによる外観欠陥(具体的にはスジ状の欠陥であり、断面観察により中空繊維が確認されたもの)のある透明フィルムの枚数をカウントした。そして、外観欠陥のある透明フィルムが10枚未満のものを「○」、10枚以上40枚未満のものを「△」、40枚以上のものを「×」と判定した。
これらの測定及び評価の結果を表1に示す。
Figure 0005732609
表1から明らかなように、実施例1の透明フィルムは、光学特性及び外観品質が共に優れていることが確認された。
これに対して、比較例1の透明フィルムではEガラス繊維が用いられているので光学特性が劣り、比較例2の透明フィルムではTガラス繊維が用いられているので外観品質が劣っていることが確認された。

Claims (1)

  1. ガラス繊維の基材に透明樹脂組成物を含浸し硬化して形成される透明フィルムであって、
    前記ガラス繊維がUNガラス繊維であり、
    前記UNガラス繊維において、
    酸化ホウ素(B)の含有量が12〜22質量%、
    酸化マグネシウム(MgO)の含有量が2〜12質量%、
    酸化アルミニウム(Al)の含有量が7〜17質量%、
    二酸化ケイ素(SiO)の含有量が45〜55質量%、
    酸化カルシウム(CaO)の含有量が10質量%以下、
    酸化ストロンチウム(SrO)の含有量が5質量%以下、
    酸化バリウム(BaO)の含有量が10質量%以下であり、
    前記透明樹脂組成物に、
    前記ガラス繊維よりも屈折率の大きい高屈折率樹脂と、
    前記ガラス繊維よりも屈折率の小さい低屈折率樹脂と、
    硬化開始剤と
    が配合されていることを特徴とする
    透明フィルム。
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