JP2007168150A - 透明複合シート - Google Patents
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表示素子用プラスチック基板に用いられている樹脂としては例えば特許文献1には脂環式エポキシ樹脂、酸無水物系硬化剤、アルコール、硬化触媒からなる組成物、特許文献2には脂環式エポキシ樹脂、アルコールで部分エステル化した酸無水物系硬化剤、硬化触媒からなる樹脂組成物が、特許文献3には脂肪環式エポキシ樹脂、カルボン酸を有する酸無水物系硬化剤、硬化触媒からなる樹脂組成物が示されている。
しかしながら特許文献1から3に示された従来のガラス代替プラスチック材料はガラスと比較し線膨張係数が大きく、特にアクティブマトリックス表示素子基板に用いるとその製造工程において反りやアルミ配線の断線などの問題が生じ、これらの用途への展開は困難である。
特許文献4から6に示されているガラスクロス複合体においては特許文献1から3に示されたプラスチック材料よりは大幅な線膨張率の低下が見られるが、これらのガラスクロス複合体はうねりを有しており表示素子用基板として用いた場合は表示品位が低下するので不適当である。
まずコア層のうねり発生要因について説明する。
図3は、繊維織布を模式的に示した上面図である。図3に示すように繊維織布8は緯糸9と経糸10から構成されている。緯糸と経糸とで構成される繊維織布においては緯糸と経糸とが重なり合う部分、緯糸、経糸単独部分、緯糸・経糸に囲まれている空隙部分が存在する。この織密度の不均一性はシート内の単位体積あたりの樹脂量不均一性をもたらす。
一般に樹脂は硬化、固化する過程、及び硬化温度から冷却する過程において収縮を生ずる。樹脂と繊維状フィラーの収縮量が同等であれば室温において界面応力は生じない。しかし一般に樹脂と繊維とでは線膨張率が異なる場合が多く、樹脂と繊維状フィラーの界面に応力が生じる。
コア層の単位体積あたりの樹脂量が均一である場合、温度に対する体積あたりの寸法変化率が均一であるので、生じる応力も面内おいて均一となり、うねりは生じない。しかし先に述べたように織布においてはシート内の単位体積あたりの樹脂量が不均一であることが多く、応力の不均一性をもたらす。この応力不均一性がうねりの主原因の一つと考えられる。
うねりがなく平坦なコア層に均一に表面平滑樹脂層をコートしてもうねりが生じないこと、および、うねりがなく平坦なコア層に故意に厚さ分布のある表面平滑樹脂層をコートした場合うねりが生じるという事実からも上記のような単位体積あたりの樹脂量の不均一性、つまり面内応力の不均一性がうねりの主要因であることが推測される。
ただし、コア層、およびコート層の単位体積あたりの樹脂量の不均一性がもたらす応力のバラツキ量に対して複合体構造が有する剛性が充分に高い場合、うねりの発生は抑制される。
(1)透明樹脂及び繊維状フィラーを含むコア層、及び透明樹脂を含む表面平滑化層から構成される透明複合シートであって、前記コア層の透明樹脂及び前記表面平滑化層の透明樹脂が化学式(1)で示される水添ビフェニル型脂環式エポキシ樹脂を含む樹脂組成物を硬化させて得られるものである透明複合シート、
(3)前記コア層の繊維状フィラーがガラス繊維布である(1)又は(2)記載の透明複合シート、
(4)前記表面平滑化層が更に無機フィラーを含有するものである(1)〜(3)いずれか記載の透明複合シート、
(5)前記表面平滑化層の表面のうねり特性値が1.5×10−6以下である(1)〜(4)いずれか記載の透明複合体シート、
(6)波長400nmでの光線透過率が80%以上である(1)〜(5)いずれか記載の透明複合シート、
(7)30〜150℃での平均線膨張係数が40ppm以下である(1)〜(6)いずれか記載の透明複合シート、
(8)(1)〜(7)いずれか記載の透明複合シートを用いた表示素子、
(9)(1)〜(7)いずれか記載の透明複合シートを用いた太陽電池、
である。
本発明の透明複合シートは、透明樹脂及び繊維状フィラーを含むコア層、及び透明樹脂を含む表面平滑化層から構成される透明複合体シートであって、前記コア層の透明樹脂及び前記表面平滑化層の透明樹脂が化学式(1)で示される脂環式エポキシ樹脂を含む樹脂組成物を硬化させて得られるものである。
樹脂と繊維状フィラーとの複合体は熱線膨張率の異なる材料を複合化するため、シート作製時のプロセス温度や材料の熱膨張差に起因する熱応力が複合材料中で発生する。
生じた熱応力が複合シート面内において均一であれば複合シートのうねりは生じないが、先に述べたように緯糸と経糸とで構成される繊維織布においては緯糸と経糸とが重なり合う部分、緯糸、経糸単独部分、緯糸・経糸に囲まれている空隙部分が存在し、このような織密度の不均一性はシート内の単位体積あたりの樹脂量不均一性をもたらし、ひいては応力の不均一性をもたらす。この複合シート面内の応力の不均一性がうねりの主原因の一つと考えられる。
このような複合シート主要因となるコア層の応力の面内不均一性を低減する方法としては織布の織密度の均一性の向上、たとえば織り方、開繊方法等を工夫しコア層内の単位体積あたりの樹脂の均一性をできるだけ高くすることが考えられる。しかしながら織布である場合、織密度の均一性を向上するには限界がある。
織密度に不均一性がある場合においてもコア層のうねりを小さくする、つまり繊維と樹脂マトリックスとの界面の応力を低くする手法としてはマトリックス樹脂の線膨張を小さくする、又はマトリックス樹脂のガラス転移温度を低くする、又は応力が限りなくゼロになる温度を低くし室温との温度差を小さくする、もしくは弾性率を下げるなどの対策が考えられる。なぜなら繊維とマトリックス樹脂との界面に生じる応力は数式(1)であらわすことができるからである。
前記光カチオン系硬化触媒としては旭電化工業製のSP170等が上げられる。
光硬化する場合は必要に応じて硬化反応を促進させるため増感剤、酸増殖剤等もあわせて用いることが可能である。
具体的にはシリケート構造を有するシリカ微粒子、または酸化チタン微粒子、酸化ジルコニア微粒子、アルミナ微粒子等が挙げられる。これらの粒子は屈折率の調整のために適宜用いることができる。
さらにシリカ微粒子を用いる場合、同じシリカ微粒子の中でも表面処理が施されているシリカ微粒子がより好ましい。なぜなら微粒子表面にはカチオン重合を促進する活性水素(シラノール基)が存在し、表面処理がない場合、硬化反応が進行し保存安定性が低いからである。
コア層内の繊維状フィラー量が多ければ、コア層面内の単位体積あたりの樹脂量の均一性が向上し、応力の均一性が向上する。
ただし、平均分散粒子系が100nmを超える場合であっても表面平滑化層の透明樹脂の屈折率を無機フィラーの屈折率に合わせれば使用することが可能である。
表面平滑化層の表面のうねり特性値は後述する方法で測定するが、1.5×10−6以下であることが好ましく、更に好ましくは1.0×10−6以下である。うねり特性値が上限値を超えるとセルギャップの均一性を保つことが困難となり、表示品位が低下する恐れがある。
NEガラス系ガラスクロス(厚さ90μm、屈折率1.510、日東紡製)に水添ビフェニル型脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業製、E−BP)70重量部、オキセタニルシリケート(東亜合成製、OXT−191)30重量部、芳香族スルホニウム系熱カチオン触媒(三新化学製SI−100L)1重量部を混合した樹脂組成物を含浸させ脱泡した。このガラスクロスを銅箔に挟み込んで80℃で2時間加熱後、250℃で更に2時間加熱し厚さ0,1mmの透明複合シートのコア層を得た。
得られたコア層の両面にE−BP100重量部、光カチオン系重合触媒(旭電化製SP170)3重量部とからなる樹脂組成物を塗布した後、UV光を照射し、窒素雰囲気下250℃でさらに2時間加熱し厚さ4μmの表面平滑化層を形成した。
NEガラス系ガラスクロス(厚さ90μm、屈折率1.510、日東紡製)に水添ビフェニル型脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業性、E−BP)100重量部、ナノリシカMEK分散ゾル(小西化学製、PMSQナノ粒子、平均粒径20nm、固形分20wt%)60重量部を混合し溶剤を揮発させた後に芳香族スルホニウム系熱カチオン触媒(三新化学製SI−100L)1重量部を混合した樹脂組成物を含浸させ脱泡した。このガラスクロスを銅箔に挟み込んで80℃で2時間加熱後、250℃で更に2時間加熱し厚さ0,1mmの透明複合シートのコア層を得た。
得られたコア層の両面にE−BP100重量部、光カチオン系重合触媒(旭電化製SP170)3重量部とからなる樹脂組成物を瘻塗布した後、UV光を照射し、窒素雰囲気下250℃でさらに2時間加熱し厚さ4μmの表面平滑化層を形成した。
Tガラス系ガラスクロス(厚さ90μm、屈折率1.523、日東紡製)に水添ビフェニル型脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業性、E−BP)100重量部、芳香族スルホニウム系熱カチオン触媒(三新化学製SI−100L)1重量部を混合した樹脂組成物を含浸させ脱泡した。このガラスクロスを銅箔に挟み込んで80℃で2時間加熱後、250℃で更に2時間加熱し厚さ0,1mmの透明複合シートのコア層を得た。
得られたコア層の両面にE−BP100重量部、光カチオン系重合触媒(旭電化製SP170)3重量部とからなる樹脂組成物を塗布した後、UV光を照射し、窒素雰囲気下250℃でさらに2時間加熱し厚さ4μmの表面平滑化層を形成した。
NEガラス系ガラスクロス(厚さ90μm、屈折率1.510、日東紡製)に水添ビフェニル型脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業性、E−BP)70重量部、オキセタニルシリケート(東亜合成製、OXT−191)30重量部、芳香族スルホニウム系熱カチオン触媒(三新化学製SI−100L)1重量部を混合した樹脂組成物を含浸させ脱泡した。このガラスクロスを銅箔に挟み込んで80℃で2時間加熱後、250℃で更に2時間加熱し厚さ0,1mmの透明複合シートのコア層を得た。
得られたコア層の両面にE−BP100重量部、ナノリシカゾル(扶桑化学製、クウォートロン、平均粒径40nm、固形分25wt%)200重量部を混合し溶剤を揮発させた後に光カチオン系重合触媒(旭電化製SP170)3重量部とからなる樹脂組成物を塗布した後、UV光を照射し、窒素雰囲気下250℃でさらに2時間加熱し厚さ4μmの表面平滑化層を形成した。
NEガラス系ガラスクロス(厚さ90μm、屈折率1.510、日東紡製)に多官能脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業性、EHPE−3150)80重量部、ビスフェノールS型エポキシ樹脂(大日本インキ化学社製、EXA−1514)20重量部、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(新日本理化社製、MH−700G)77重量部、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール(四国化成製)1重量部を混合した樹脂組成物を含浸させ脱泡した。このガラスクロスを銅箔に挟み込んで80℃で2時間加熱後、200℃で更に2時間加熱し厚さ0,1mmの透明複合シートのコア層を得た。
得られたコア層の両面にE−BP100重量部、光カチオン系重合触媒(旭電化製SP170)3重量部とからなる樹脂を塗布した後、UV光を照射し、窒素雰囲気下250℃でさらに2時間加熱し厚さ4μmの表面平滑化層を形成した。
NEガラス系ガラスクロス(厚さ90μm、屈折率1.510、日東紡製)に水添ビフェニル型脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業性、E−BP)70重量部、オキセタニルシリケート(東亜合成製、OXT−191)30重量部、芳香族スルホニウム系熱カチオン触媒(三新化学製SI−100L)1重量部を混合した樹脂組成物を含浸させ脱泡した。このガラスクロスを銅箔に挟み込んで80℃で2時間加熱後、250℃で更に2時間加熱し厚さ0,1mmの透明複合シートのコア層を得た。
得られたコア層の両面にアクリル樹脂(東亞合成製:M−315)50重量部、R−604(日本化薬製、R−604)50重量部、及び光ラジカル発生剤(チバスペシャリティケミカル製、イルガキュア907)3重量部とからなる樹脂組成物を塗布した後、UV光を照射し、窒素雰囲気下250℃でさらに2時間加熱し厚さ4μmの表面平滑化層を形成した。
評価方法は以下の通りである。
所定の計測面積(S1)における基板表面をレーザー変位計をスキャンさせて、計測した基板表面積(S2)の計測面積に対する増分率(S2-S1)/S1をうねり特性値として算出し、下記のような基準でうねり特性値を判定した。
良好○:うねり特性値 1.5×10−6以下
劣悪×:うねり特性値 1.5×10−6を超える値
測定方法の詳細は以下の通りである。図1-aは表面形状計測装置を示す。計測装置は固定されたレーザー変位計3(キーエンス社製;LT-9030M)とX−Yオートステージ2(コムス社製)で構成されている。オートステージ上に基板1を設置し、計測範囲4[XL×YL]を設定する。オートステージX方向に移動させることによりレーザー変位計を走査させ、計測ピッチXPで基板表面の高さを計測する。この走査をピッチYP毎に実施することにより、XP、YP(図1-b)間隔での基板表面形状データを得る。今回の計測ではXLおよびYLを50mm、XPおよびYPを0.5mmに設定し計測を実施した。
図2-aは所定の範囲で計測された基板表面5を示している。計測した基板形状の表面積を算出するため、隣り合う計測ポイント4点から構成される要素の面積を求める。計測表面の局所部分6を拡大したものを図2-bに示す。隣り合う4点で構成される要素7において、基準点7aを設定し、XP側の点7bと基準点の高さ差ZXの算出により基準点に対する7bのベクトル(XP、0、ZX)、YP側の点7cと基準点の高さ差ZYの算出により基準点に対する7cのベクトル(0、YP、ZY)を得る。この両ベクトルのなす平面の面積を要素7の面積と近似し、外積の大きさを求めることにより面積を得る。計測表面を構成している各要素に対して同様の手法で面積を求め、これらの総和を算出することで計測した基板の表面積(S2)を得る。計測された表面形状がフラットであるほど得られた表面積は計測面積XL×YLに近づくことから、算出された表面積(S2)より計測面積(S1)を引き、凹凸に伴う表面積増加量を算出する。表面積増加量(S2-S1)を計測面積(S1)で割ることで正規化した値をうねり特性値とした。
SEIKO電子(株)製TMA/SS6000型熱応力歪み測定装置を用いて、窒素雰囲気下、1分間に5℃の割合で昇温させ、荷重を5gにし引っ張りモードで測定を行い、所定温度範囲における平均線膨張係数を算出した。
SEIKO電子(株)製DNS210型動的粘弾性測定装置を用いて、1Hzでのtanδの最大値をガラス転移温度(Tg)とした。
分光光度計U3200(島津製作所製)で400nmにおける光線透過率を測定した。
2 X−Yオートステージ
3 レーザー変位計
4 計測範囲
5 計測された基板表面
6 計測表面の局所部分
7 隣り合う4点で構成される要素
8 繊維織布
9 緯糸
10 経糸
Claims (9)
- 前記コア層の厚さが50〜200μmである請求項1記載の透明複合シート。
- 前記コア層の繊維状フィラーがガラス繊維布である請求項1又は2記載の透明複合シート。
- 前記表面平滑化層が更に無機フィラーを含有するものである請求項1〜3いずれか記載の透明複合シート。
- 前記表面平滑化層の表面のうねり特性値が1.5×10−6以下である請求項1〜4いずれか記載の透明複合体シート。
- 波長400nmでの光線透過率が80%以上である請求項1〜5いずれか記載の透明複合シート。
- 30〜150℃での平均線膨張係数が40ppm以下である請求項1〜6いずれか記載の透明複合シート。
- 請求項1〜7いずれか記載の透明複合シートを用いた表示素子。
- 請求項1〜7いずれか記載の透明複合シートを用いた太陽電池。
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