JP2005226012A - プラスチック複合透明シート及びそれを使用した表示素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 硬化性樹脂(a)、繊維状無機充填剤(b)を必須成分とし、平均粒径が5〜100nmの粉末状無機充填剤(c)を繊維状無機充填剤(b)の表面に付着させたプラスチック複合透明シート、およびそれらを利用した表示素子。
Description
しかしながら、従来のガラス代替用プラスチック材料は、線膨張係数が大きいため、例えばアクティブマトリックス表示素子基板に用いるとその製造工程において反りやアルミ配線の断線などの問題が生じ、適用が困難であり、問題であった。
ガラス代替のプラスチック材料における線膨張係数を低減せしめるため、繊維状の充填剤を配合することが考えられる。ところが繊維状の充填剤を配合すると、繊維状の充填剤と樹脂の界面で応力が発生し、複屈折現象を生じる。複屈折現象を生じるとそのプラスチック基板は光学用途に使用することが困難になる可能性があり、複屈折を起こりにくくする技術が要求される。
更に、表示装置に用いられるプラスチックシートには表面平滑性が求められている。特に表示装置に用いる場合は基板上に直接半導体素子を書き込むこともあり最大表面粗さで200nmレベルでの平滑性が求められているが、表面性状の平滑なものを作成することが非常に困難であり、問題であった。
(1) 硬化性樹脂(a)、繊維状無機充填剤(b)を必須成分とし、平均粒径が5
〜100nmの粉末状無機充填剤(c)を繊維状無機充填剤(b)の表面に付着させたプラスチック複合透明シート
(2)プラスチック複合透明シートの全重量に対し、繊維状無機充填剤(b)と粉末状無機充填剤(c)の合計量が50〜95重量%を占めることを特徴とする(1)のプラスチック複合透明シート。
(3) 前記硬化性樹脂(a)と繊維状無機充填剤(b)の屈折率の差が、0.01以下である(1)、(2)のプラスチック複合透明シート。
(4) 波長550nmにおける光線透過率が60%以上である(1)〜(3)の透明プラスチック複合透明シート。
(5) 30〜150℃の平均線膨張係数が25ppm以下である(1)〜(4)のプラスチック複合透明シート。
(6) 前記樹脂組成物のアッベ数が、45以上である(1)〜(5)のプラスチック複合透明シート。
(7) 基板表面の最大表面粗さが200nm以下である(1)〜(6)のプラスチック複合透明シート。
(8) 粉末状無機充填剤(c)が、金属酸化物である(1)〜(7)のプラスチック複合透明シート。
(9) (1)〜(8)のプラスチック複合透明シートを利用した表示素子。
である。
本発明中の硬化性樹脂(a)とは、熱硬化性樹脂もしくは高エネルギー線硬化性樹脂のことを示す。
上述の熱硬化性樹脂とは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂等、熱によって三次元架橋し硬化する樹脂一般を示す。これらは単独でも混合しても良い。熱硬化性樹脂として最も好適に使用されるものはエポキシ樹脂であり、例えば化学構造式(1)〜(3)に示されるエポキシ樹脂が特に好適である。また用いる樹脂が硬化剤及び硬化促進剤を必要とする場合はそれを併用することもできる。このとき硬化剤としてアミン系、特にジシアンジアミドと芳香族アミン、テトラメチレンヘキサミン及びフェノールノボラック系硬化剤や酸無水物系硬化剤が使用される。硬化促進剤としては、トリフェニルホスフィン等の有機燐系や、イミダゾール系の窒素系の硬化促進剤、ジアルキル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウム塩等の光カチオン触媒もしくは熱カチオン触媒が好適に使用される。
系が5〜100nmと非常に微細なため、その粒子表面の反応性や付着性が非常に強くなり、他の材質の表面に用意に付着・反応し、軽い洗浄程度では除去することが困難となる。それ故、繊維状充填剤(b)の表面に粉末状無機充填剤(c)の水ゾルもしくは有機溶剤ゾルを塗布・乾燥させることで、ごく容易に繊維状充填剤(b)の表面や繊維間に粉末状無機充填剤(c)が付着・反応する事が電子顕微鏡観察で観測されている。その状態で硬化性樹脂(a)を繊維状充填剤(b)に塗布含浸させた場合、通常ならば樹脂と繊維状充填剤(b)の界面で生じる熱応力がなぜか緩和され、その結果、界面応力により誘起される光の複屈折が起こりにくくなることが観測された。この現象を利用して、繊維状無機充填剤を配合したプラスチック複合透明シートにおけるミクロな複屈折性を大幅に改善することが可能となった。なおなぜ粉末状無機充填剤(c)の塗布で熱応力が緩和されるかについては充分解明されていない。また、粉末状無機充填剤(c)の粒子径が可視光線の波長より大幅に短いことにより、無機充填剤の材質に関わらず、プラスチック複合透明シート中の無機充填剤は散乱現象、回折現象を生じにくく、その結果として目に見えなくなるため、仮に粉末状無機充填剤(c)を大量に繊維状充填剤(b)表面に塗布したとしても、プラスチック複合透明シートにおける光線透過率を低下せしめることはない。
粉末状無機充填剤(c)の素材に関しても特に限定しない。例としては各種金属、金属酸化物、ガラス組成物、樹脂粉末などが挙げられる。しかし特に、化学的安定性の高く、更にゾルゲル法等でナノ粒子を容易に調整する事のできる各種の金属酸化物、例えばシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化コバルトなどが好適に使用される。
以下であることが好ましく、より好ましくは500nm以下、さらに好ましくは200nm以下である。透明複合シートがこれより粗い場合は、シートに接触している液晶部分に厚みムラを生じ、表示不良の問題が起こりうる。粉末状無機充填剤(c)により繊維状充填剤(b)を表面処理することにより、粉末状無機充填剤(c)が繊維間の溝を埋めるせいか、プラスチック複合透明シート表面の表面凹凸が減り、平滑性が改善される傾向にある。
チルエチルケトンゾル、10wt%配合)
粉末状無機充填剤(c)ゾル(2):ナノシリカ試作品(平均粒子径40nm、バナナ状も
しくは棒状、メチルエチルケトンゾル、10wt%配合)
粉末状無機充填剤(c)ゾル(3):ナノアルミナ試作品(平均粒子径30nm、球状、メ
チルエチルケトンゾル、10wt%配合)
脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業製EHPE3150)80重量部、ビスフェノールS型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業製エピクロンEXA1514)20重量部、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(新日本理化製リカシッドMH−700)75重量部、テトラフェニルホスホニウムブロマイド(北興化学工業製TPP−PB)0.5重量部に対し、溶剤としてメチルエチルケトン60重量部を混合してワニスとした。
厚さ80μmのNEガラスクロスを粉末状無機充填剤(c)ゾルに室温で含浸させ、引き上げた直後に二本のガラス棒でクロスを挟んで強くしごくことによって余分なゾルを除
去し、そのまま室温放置して溶剤除去を行う。その後熱処理をかけるかもしくは全くかけないで、粉末状無機充填剤(c)で表面処理をしたガラスクロスを得た。
これを、ワニスに浸し、125℃で6分間乾燥した後、離型処理したガラス板に挟み込み、真空プレス機を用いて30kg/cm2の圧力でプレスしながら260℃で2時間硬化させ、透明プラスチック複合透明シートを得た。
(1)表面粗さ(PV値)
ZYGO社製干渉計を用いて透明複合シートの最大表面粗さ(PV値)を測定した。
(2)線膨張係数
セイコー電子(株)製TMA/SS120C型熱応力歪測定装置を用いて、窒素雰囲気下、1分間に5℃の割合で温度を30℃から400℃まで上昇させて20分間保持し、30℃〜150℃の時の値を測定して求めた。荷重を5gにし、引張モードで測定を行った。測定は、独自に設計した石英引張チャック(材質:石英,線膨張係数0.5ppm)を用
いた。
(3)光線透過率
分光光度計U3200(日立製作所製)で550nmの光線透過率を測定した。
(4)複屈折性
偏光顕微鏡を利用し、クロスニコル下でサンプルの観察を行うことにより、繊維状充填剤(b)の近傍におけるミクロの複屈折性を判定した。
Claims (9)
- 硬化性樹脂(a)、繊維状無機充填剤(b)を必須成分とし、平均粒径が5〜100nmの粉末状無機充填剤(c)を繊維状無機充填剤(b)の表面に付着させたプラスチック複合透明シート。
- プラスチック複合透明シートの全重量に対し、繊維状無機充填剤(b)と粉末状無機充填剤(c)の合計量が50〜95重量%を占めることを特徴とする請求項1記載のプラスチック複合透明シート。
- 前記硬化性樹脂(a)と繊維状無機充填剤(b)の屈折率の差が、0.01以下である請求項1または2記載のプラスチック複合透明シート。
- 波長550nmにおける光線透過率が60%以上である請求項1〜3いずれか記載の透明プラスチック複合透明シート。
- 30〜150℃の平均線膨張係数が25ppm以下である請求項1〜4いずれか記載のプラスチック複合透明シート。
- 前記樹脂組成物のアッベ数が、45以上である請求項1〜5いずれか記載のプラスチック複合透明シート。
- 基板表面の最大表面粗さが200nm以下である請求項1〜6いずれか記載のプラスチック複合透明シート。
- 粉末状無機充填剤(c)が、金属酸化物である請求項1〜7いずれか記載のプラスチック複合透明シート。
- 請求項1〜8いずれか記載のプラスチック複合透明シートを利用した表示素子。
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