JP4442300B2 - 複合シート、及びそれを用いた表示素子 - Google Patents

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本発明は、複合シート、及びそれを用いた表示素子に関する。
プリント回路板については小型化、高機能化の要求が強くなる一方、表面が平滑なものを安価、高速で製造する必要がある。さらにその傾向が強い商品として、表示素子用のプラスチックシートがある。直接目に触れる表示素子、例えば近年使用実績の増えてきた液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、ELディスプレイ等はもともとガラス板を素材としていたが、大面積化されても割れにくく、しかも軽い素材としてプラスチックシートが使用されはじめているためである。
しかしプリント基板にしても表示素子用のプラスチックシートにしても、例えば、ガラスエポキシ積層板等の樹脂を含浸させた繊維布を含む積層板の提案も有るが(例えば特許文献1参照)、繊維布を含み、200nmレベルの平滑面を有する複合シートに関する提案というのはまだなされていなかった。
特開平11−2812号公報
本発明は、以上のような問題を鑑み、高度な平滑性を有する複合シートに関するものであり、それを使用した表示素子に関するものである。
すなわち本発明は、
(1) 繊維布と硬化性樹脂からなるベース基板と、ベース基板の少なくとも片面側に無機充填材を含む硬化性樹脂層を持ち、更にその外側に無機充填材を含まない硬化性樹脂層を有する最大表面粗さが200nm以下である複合シート、
(2) 無機充填材を含む硬化性樹脂層の表面凹凸ピッチが100μm以下である(1)の複合シート、
である。
本発明により得られる複合シートは、最大表面粗さが200nm以下の高度な平滑性を有するものである。さらにその複合シートを利用することにより、高い表示性能の表示素子を得ることができる。
本発明の複合シートとは、繊維布と硬化性樹脂からなるベース基板と、ベース基板の外側に無機充填材を含む硬化性樹脂層を持ち、更にその外側に無機充填材を含まない硬化性樹脂層を持つ、最大表面粗さ200nm以下の高度な平滑性を有する複合シートである。これはプリント回路板の一部や、各種表示素子用の透明/不透明の複合シートにおける要求と合致しているものであり、本特許はそれらを主な対象とするが、それ以外の用途について適用しても問題はない。
繊維布と硬化性樹脂からなるベース基板とは、例えばガラスクロスへの硬化性樹脂のディッピングや、圧縮成型による成型等の各種成形方法によって製造されるシート状の基
板である。また成形後、研磨等によって表面処理を行っても良く、特に限定はしない。
本発明の特徴は、最大表面粗さが200nm以下の高度な平滑性を有する複合シートで、繊維布と硬化性樹脂からなるベース基板の少なくとも片面側に無機充填材を含む熱硬化性もしくは紫外線硬化性樹脂等の硬化性樹脂層を有し、更にその外側に無機充填材を含まない硬化性樹脂層を有することにある。ガラスクロス等の凹凸を持つ繊維布に樹脂を含侵あるいは塗布して乾燥、硬化させる際、硬化後のベース基板の表面は、樹脂の硬化収縮により繊維布の凹凸を反映したものとなり、表面形状は凹凸を持つ粗いものとなる。最大表面粗さが200nmより大きく、表面の凹凸ピッチが100μmを超える粗面に無機充填材を含まない樹脂をコーティングするだけでは、レベリング効果によりベース基板表面の凹凸を樹脂がなぞってしまい、凹凸を樹脂で埋めることは困難であったが、本発明者らは、ベース基板に無機充填材を含む樹脂を塗布することで、ベース基板表面の凹凸を無機充填材及び樹脂で埋め、その結果ベース基板表面の凹凸のピッチを100μm以下にすることで、その後の無機充填材を含まない樹脂をコーティングする際に、樹脂が表面の凹凸をなぞることなく、効果的に凹凸を埋め、最大表面粗さ200nm以下の高度な平滑面を得ることを見い出した。
本発明の繊維布とは、例えばガラス繊維、カーボン繊維、金属繊維、鉱物繊維、等々による織布、不織布、マット類等や、あるいは紙があげられ、これらの基材の原料繊維は単独又は混合して使用してもよい。最も好適に使用されるものとしてはガラスクロス、ガラス不織布、紙が挙げられる。
本発明の熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂等、熱によって三次元架橋し硬化する樹脂であれば特に限定はしない。これら樹脂は単独でも混合しても良い。また用いる樹脂が硬化剤及び硬化促進剤を必要とする場合はそれを併用することができる。熱硬化性樹脂として最も好適に使用されるものはエポキシ樹脂である。このとき硬化剤としてアミン系、特にジシアンジアミドと芳香族アミン、テトラメチレンヘキサミン及びフェノールノボラック系硬化剤や酸無水物系硬化剤が使用される。硬化促進剤としては、トリフェニルホスフィン等の有機燐系や、イミダゾール系の窒素系の硬化促進剤が好適に使用される。
本発明の紫外線硬化性樹脂は、アクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂等の、紫外線により三次元架橋し硬化する樹脂であれば特に限定はしない。これらは単独でも混合しても良い。このとき硬化促進剤として紫外線照射によりラジカルを発生させうる物質、例えばアリールアルキルケトンや、紫外線照射によってカチオンを発生させうる物質、例えばアリールジアゾニウム塩などを配合することが望ましい。
本発明で言う最大表面粗さとは、測定平面内における最大の凹凸の高低差を示す数値である。ただし表面粗さに関しては測定機によって示す数値が大きく異なることが良く知られている。それ故、今回規定する表面粗さの数値に関しては、光学的原理に基づく非接触表面粗さ測定による数値と規定する。
また、表面の凹凸のピッチは、上記非接触表面粗さ測定機(zygo社製干渉計等)によって測定平面内で得られたベース基板および複合シートの断面の波形1において、その波形を10μm幅でサンプリングしたときのサンプリング幅内の高低差の最大のものの平均値を求め、その平均値をプロットし繋げた波形を波形2とし、波形2において隣り合う2つの凹凸の頂点間の長さと規定した。
本特許では、ベース基板に無機充填材を含む樹脂を塗布することで、ベース基板表面の凹凸ピッチが100μm以下になることが必要であるが、好ましくは75μm以下、最も好ましくは50μm以下である。また、ベース基板表面の凹凸ピッチは、100μmよりも大きく5000μm以下であることが好ましく、より好ましくは200μmよりも大きく1000μm以下である。
本発明の無機充填材としては、特に限定しないが、ガラスビーズ、ガラスパウダー、ガラス繊維、球状シリカ、破砕シリカなどがあげられ、表示素子用の透明なプラスチックシートを製造する際には、屈折率を任意に調整できるという点で、ガラスビーズ、ガラスパウダー、ガラス繊維が好ましい。ガラスビーズ、ガラスパウダー等の無機微粒体の平均径は特に限定されるものではないが、0.01〜100μmであることが好ましい。0.01μm未満であると、無機微粒体は凝集が著しく、樹脂内での均一分散ができず、表面の凹凸を効果的に埋めることは困難である。また100μmより大きい無機微粒体では、平滑性は悪化するため好ましくない。ガラス短繊維等の繊維状充填材の繊維長は特に限定されるものではないが、100μmより長い繊維状充填材では、平滑性が悪化するため好ましくない。ガラスの種類としては、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、Tガラスなどがあげられ、中でもアルカリ金属が少ないEガラス、Sガラス、Tガラス、NEガラスが好ましい。
ベース基板の外側に塗布する無機充填材の含有量は、無機充填材の樹脂に混合する割合としては10〜80重量%が好ましく、より好ましくは20〜80重量%、さらに好ましくは30〜80重量%である。混合物は無溶剤で用いても、溶剤で希釈して用いてもよい。
無機充填材の粒子径は流体中に浮遊する粒子に光を照射した時の任意の散乱角度における散乱光の強さより求めるいわゆる光散乱法によって求めることができる。また、繊維状充填材の繊維長は、電子顕微鏡により求めることができる。
ベース基板表面に100μm以下の凹凸ピッチが形成されれば、あとは一般の樹脂コーティングによって、目的とする最大表面粗さが200nm以下の平滑性を有する複合シートを得ることができる。上記ベース基板表面の凹凸ピッチを小さくする工程および、一般の樹脂コーティングには、バーコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、ダイコーター、スプレーコーター等を好適に用いることができる。
次に、本発明の実施例を比較例とともに具体的に説明する。
(実施例1)
(1)ワニスAの調製
脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業製EHPE3150)100重量部、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(新日本理化製リカシッドMH−700)75重量部、テトラフェニルホスホニウムブロマイド(北興化学工業製TPP−PB)0.5重量部を、アセトン120重量部と混合してワニスAとした。
(2)ベース基板の作成
以下の要領で複合シートを作成した。ワニスAをディッピングにて、厚さ80μmのNEガラス系ガラスクロス(日東紡績製NEA2319E)に含侵させた。樹脂によりガラスクロスが完全に含浸されなおかつ2〜3μmの樹脂厚が乗る状態になるように両面から塗布した。含浸後、転写材を用いずオーブン中につるした状態で、120℃で5分処理し、更に200℃で2時間処理した。そのときの最大表面粗さは3240nm、凹凸のピッチは450μmであった。
(3)無機充填材含有コーティング用樹脂Bの調製
以下の要領で無機充填材含有樹脂Bを調製した。ジシクロペンタジエニルアクリレート(東亞合成(株)製M−203)50重量部、ビス〔4−(アクリロイロキシエトキシ)フェニル〕スルフィド(東亞合成(株)製TO−2066)50重量部、(1−ヒドロキ
シ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバスペシャリティケミカル製、イルガキュア184)0.5重量部を、80℃で溶融混合した後、この樹脂と平均径10μmのNEガラス粉末(日東紡績製)を30重量部を混合し、無機充填材含有樹脂Bとした。
(4)コーティング用樹脂Cの調製
以下の要領でコーティング用樹脂Cを調製した。ジシクロペンタジエニルアクリレート(東亞合成(株)製M−203)50重量部、ビス〔4−(アクリロイロキシエトキシ)フェニル〕スルフィド(東亞合成(株)製TO−2066)50重量部、(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバスペシャリティケミカル製、イルガキュア184)0.5重量部を、80℃で溶融混合してコーティング用樹脂Cとした。
(5)表面凹凸ピッチ変換処理およびコーティング処理
以下の要領で表面凹凸ピッチ変換処理およびコーティング処理を行った。無機充填材含有樹脂Bを、バーコーターを利用して、上記のベース基板表面に塗布した。バーの溝の形状は、深さ200μm、ピッチは300μmであった。塗布した樹脂は、水銀ランプを用いて紫外線で硬化させた。紫外線は500mJ/cm照射した。その後200℃で5分間加熱して後硬化させた。そのときの最大表面粗さは2130nm、凹凸のピッチは45μmであった。
その後、上記基板にコーティング用樹脂Cを上記バーコーターでコーティングした。コーティングした樹脂は、上記条件で硬化させた。
(6)測定結果
zygo社製干渉計を用いて上記複合シートの最大表面粗さを測定した。最大表面粗さは156nmであった。
(実施例2)
(1)ベース基板の作成
実施例1と同じ要領でベース基板を作成した。ビスアミノフェノール化合物およびジカルボン酸として下記に記載の合成方法により得られたものを用いた以外は、実施例1と同様にした。
(2)無機充填材含有樹脂Dの調製
以下の要領で無機充填材含有樹脂Dを調製した。ジシクロペンタジエニルアクリレート(東亞合成(株)製M−203)50重量部、ビス〔4−(アクリロイロキシエトキシ)フェニル〕スルフィド(東亞合成(株)製TO−2066)50重量部、(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバスペシャリティケミカル製、イルガキュア184)0.5重量部を、80℃で溶融混合した後、この樹脂と直径7μm、長さ30μmのNEガラス短繊維(日東紡績製)30重量部を混合し、無機充填材含有樹脂Dとした。
(3)表面凹凸ピッチ変換処理およびコーティング処理
以下の要領で表面凹凸ピッチ変換処理およびコーティング処理を行った。無機充填材含有樹脂Dを、バーコーターを利用して、上記のベース基板表面に塗布した。バーの溝の形状は、深さ200μm、ピッチは300μmであった。塗布した樹脂は、水銀ランプを用いて紫外線で硬化させた。紫外線は500mJ/cm照射した。その後200℃で5分間加熱して後硬化させた。そのときの最大表面粗さは2950nm、凹凸のピッチは60μmであった。
その後、上記基板にコーティング用樹脂Cを上記バーコーターでコーティングした。コーティングした樹脂は、上記条件で硬化させた。
(4)測定結果
zygo社製干渉計を用いて上記複合シートの最大表面粗さを測定した。最大表面粗さは195nmであった。
(比較例1)
(1)ベース基板の作成
実施例1と同じ要領でベース基板を作成した。
(2)コーティング処理
以下の要領でコーティング処理を行った。コーティング用樹脂Cを、バーコーターを利用して、上記のベース基板表面にコーティングした。バーの溝の形状は、深さ200μm、ピッチは300μmであった。コーティングした樹脂は、水銀ランプを用いて紫外線で硬化させた。紫外線は500mJ/cm照射した。その後200℃で5分間加熱して後硬化させた。そのときの最大表面粗さは1425nm、凹凸のピッチは450μmであった。
その後、上記基板にコーティング用樹脂Cを上記バーコーターでコーティングした。コーティングした樹脂は、上記条件で硬化させた。
(3)測定結果
zygo社製干渉計を用いて上記複合シートの最大表面粗さを測定した。最大表面粗さは450nmであった。
ベース基板表面に無機充填材を含まない樹脂をコーティングした場合の複合シートのイメージ図。 ベース基板表面に無機充填材を含む樹脂を塗布し、凹凸ピッチを100μm以下に変換した後、無機充填材を含まない樹脂をコーティングした場合の複合シートのイメージ図。
符号の説明
1 ベース基板
2 最終コーティング層
3 表面凹凸ピッチ変換層
4 無機充填材

Claims (2)

  1. 少なくとも、ガラス繊維布と硬化性樹脂からなるベース基板(A)、無機充填材を含む硬化性樹脂層(B)及び無機充填材を含まない硬化性樹脂層(C)がこの順に積層されてなる複合シートであって、
    前記硬化性樹脂層(B)に含まれる無機充填材が、0.01μm以上100μm以下の平均粒径を有するガラスビーズもしくはガラスパウダー、または100μm以下の繊維長を有するガラス短繊維であり、
    前記硬化性樹脂層(B)中の無機充填材の含有量が硬化性樹脂の重量に対し10〜80重量%であり、
    該複合シートの最大表面粗さが200nm以下である複合シート。
  2. 無機充填材を含む硬化性樹脂層の表面凹凸ピッチが100μm以下である請求項1記載の複合シート。
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