JP5601627B2 - 透明複合シート、およびそれを用いた透明複合基板 - Google Patents
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Description
前記ガラス繊維布(B)と前記ガラスフィラー(C)の波長589nmにおける同一温度での屈折率差が−0.01〜+0.01であり、
前記ガラスフィラー(C)は、アスペクト比が1.5〜10であり且つ平均短軸直径が4〜15μmであるガラスフィラーを30体積%以上(好ましくは70体積%以上)含有するものである、
ことを特徴とするものである。
本発明に用いられる樹脂硬化物(A)としては透明性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂の硬化物;(メタ)アクリル系モノマーおよびオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート系モノマーおよびオリゴマーなどの紫外線硬化性モノマーおよびオリゴマー(以下、これらをまとめて「紫外線硬化性樹脂」という)の硬化物が挙げられる。前記熱硬化性樹脂は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。また、前記紫外線硬化性樹脂も1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
本発明においては、上述したような熱硬化性樹脂のうち、透明性が高い、耐熱性が高い、耐薬品性が高いといった観点から、エポキシ樹脂が好ましい。このようなエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート骨格を有するエポキシ樹脂、カルド骨格を有するエポキシ樹脂、ポリシロキサン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式構造を有するエポキシ樹脂などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
本発明に用いられる(メタ)アクリル系モノマーおよびオリゴマーとしては2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する公知の多官能の(メタ)アクリレートおよびその部分重合体が挙げられる。また、この多官能(メタ)アクリル系モノマーと(メタ)アクリル酸などの単官能の(メタ)アクリル系モノマーとを併用してもよい。
次に、本発明に用いられるガラス繊維布(B)について説明する。本発明に用いられるガラス繊維布(B)としては、ガラス繊維を編んで布状にしたガラスクロスや、ガラス繊維をからみ合わせて布状にしたガラス不織布などが挙げられる。ガラス繊維布(B)の厚さとしては特に制限はないが、30〜300μmが好ましく、50〜100μmがより好ましい。
次に、本発明に用いられるガラスフィラー(C)について説明する。本発明においては、ガラスフィラー(C)として、同一温度(好ましくは室温)での波長589nmにおけるガラス繊維布(B)との屈折率差が−0.01〜+0.01のガラスフィラーを使用する。ガラス繊維布(B)との屈折率差が前記範囲外になると透明複合シートの透明性が低下する。また、透明複合シートの透明性がより向上するという観点から、同一温度(好ましくは室温)での波長589nmにおけるガラス繊維布(B)とガラスフィラー(C)との屈折率差は−0.005〜+0.005であることが好ましい。
次に、本発明の透明複合シートの製造方法について説明する。先ず、前記熱硬化性樹脂とガラスフィラー(C)と、必要に応じて硬化剤および硬化促進剤とを含有する熱硬化性樹脂組成物、あるいは、紫外線硬化性樹脂とガラスフィラー(C)と、必要に応じて光重合開始剤とを含有する紫外線硬化性樹脂組成物を調製する。これらの樹脂組成物の調製方法としては特に制限はなく、各成分を一括で混合してもよいし、予め、熱硬化性樹脂と硬化剤および硬化促進剤との混合物、あるいは紫外線硬化性樹脂と光重合開始剤との混合物を調製し、この混合物にガラスフィラー(C)を添加してもよい。また、前記樹脂組成物には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料などを添加してもよい。
(1)ガラス繊維布
ベンジルアルコールと1−アセトキシ−2−エトキシエタンとを種々の比率で混合して種々の屈折率の屈折率調整液を調製した。これらをそれぞれ石英セルに入れ、ガラスクロスを浸した状態でヘーズメーター(日本電色工業(株)製「NDH5000」)を使用してヘイズを室温で測定した。ヘイズが最も低くなった屈折率調整液について589nmにおける屈折率を室温で測定し、これをガラスクロスの屈折率とした。
ベンジルアルコールと1−アセトキシ−2−エトキシエタンとを種々の比率で混合して種々の屈折率の屈折率調整液を調製した。各屈折率調整液100質量部にガラスフィラーを150質量部分散させ、この分散液をPET製(125μm厚)のスペーサーとともに2枚のガラス板で挟み、ヘーズメーター(日本電色工業(株)製「NDH5000」)を使用してヘイズを室温で測定した。ヘイズが最も低くなった屈折率調整液について589nmにおける屈折率を室温で測定し、これをガラスフィラーの屈折率とした。
(1)ガラスフィラー
室温での屈折率がガラスフィラーの屈折率と一致するように混合比を調整して作製したベンジルアルコールと1−アセトキシ−2−エトキシエタンとの混合液(屈折率調整液)100質量部にガラスフィラーを150質量部分散させ、この分散液をPET製(125μm厚)のスペーサーとともに2枚のガラス板で挟み、ヘーズメーター(日本電色工業(株)製「NDH5000」)を使用してヘイズを室温で測定した。
ヘーズメーター(日本電色工業(株)製「NDH5000」)を使用してヘイズを室温で測定した。
透明複合シートを150℃で3時間加熱して乾燥させた後、この透明複合シートの厚さ方向にガラスクロスが存在しない部分(以下、「バスケットホール部」という)の高さHdryを、非接触3次元表面構造解析顕微鏡(Zygo社製「NewView5500」)を用いて測定した。次に、この透明複合シートを純水に24時間浸漬した後、この透明複合シートのバスケットホール部の高さHwetを、前記非接触3次元表面構造解析顕微鏡を用いて測定した。なお、前記HdryおよびHwetは、透明複合シートのガラス繊維束が交差している部分の表面を基準面(高さ=0)として測定し、この基準面に対して膨らんだ場合をマイナス、凹んだ場合をプラスとした。このようにして測定したHdryおよびHwetから、透明複合シートの吸湿および乾燥による表面凹凸高さの変化量(Hdry−Hwet)を求めた。
ガラスフィラー(C)として、Tガラス系ガラス繊維(日東紡(株)製)を粉砕して得たガラスフィラー(以下、「ガラスフィラー1」という)を使用した。このガラスフィラー1の粒度分布を、レーザー回折・散乱式粒度分布計(日機装(株)製「マイクロトラックMT3300」)を用いて測定したところ、図1に示す結果が得られた。また、このガラスフィラー1の形状を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、図2に示すようにロッド状のガラスフィラーとガラス微粉末との混合物であることが確認された。図2に示した結果から明らかなように、このガラス微粉末は、その形状がランダムであり且つアスペクト比が約1とみなせるものであった。
ガラスフィラー(C)として、Tガラス系ガラス繊維(日東紡(株)製)を粉砕したものをエタノールに分散させ、静置後、沈殿を回収した。この操作を数回繰りかえして分級し、ガラス微粉末を除去して得たガラスフィラー(以下、「ガラスフィラー2」という)を使用した。このガラスフィラー2の粒度分布を実施例1と同様にして測定したところ、図5に示す結果が得られた。また、このガラスフィラー2の形状をSEMにより観察したところ、大部分は図3に示したものと同じロッド状であることが確認された。
ガラスフィラー1を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして透明複合シートを作製した。この透明複合シートの吸湿および乾燥による表面凹凸高さの変化量およびヘイズを前記方法に従って測定した。これらの結果を表1に示す。
ガラスフィラーとして、実施例2で除去したガラス微粉末(以下、「ガラスフィラー3」という)を使用した。このガラスフィラー3の粒度分布を実施例1と同様にして測定したところ、図6に示す結果が得られた。また、このガラスフィラー3の形状をSEMにより観察したところ、図4に示したものと同じように、実施例2のアスペクト比が1.5〜10であるガラスフィラーの平均短軸直径11μmより小さい粒径のガラスフィラーは、その形状がランダムであり且つアスペクト比が約1とみなせるものであった。なお、ガラスフィラー3のメジアン径は3.2μmであった。
Claims (7)
- 樹脂硬化物(A)、ガラス繊維布(B)およびガラスフィラー(C)を含有する透明複合シートであって、
前記ガラス繊維布(B)と前記ガラスフィラー(C)の波長589nmにおける同一温度での屈折率差が−0.01〜+0.01であり、
前記ガラスフィラー(C)は、アスペクト比が1.5〜10であり且つ平均短軸直径が4〜15μmであるガラスフィラーを30体積%以上含有するものである、
ことを特徴とする透明複合シート。 - 前記ガラス繊維布(B)と前記ガラスフィラー(C)の組成が略同一であることを特徴とする請求項1に記載の透明複合シート。
- 前記ガラスフィラー(C)が前記ガラス繊維布(B)に用いられるガラス繊維の粉砕物であることを特徴とする請求項2に記載の透明複合シート。
- 前記ガラスフィラー(C)は、屈折率が同一温度において該ガラスフィラー(C)の屈折率と一致するように混合比を調整して作製したベンジルアルコールと1−アセトキシ−2−エトキシエタンとの混合液100質量部に該ガラスフィラー(C)150質量部を分散させて調製した分散液の厚さ125μmにおけるヘイズが12%以下となるものであることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の透明複合シート。
- 前記ガラスフィラー(C)は、アスペクト比が1.5〜10であり且つ平均短軸直径が4〜15μmであるガラスフィラーを70体積%以上含有するものであることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の透明複合シート。
- 前記ガラスフィラー(C)の含有量が前記樹脂硬化物(A)100容量部に対して10〜100容量部であることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の透明複合シート。
- 請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の透明複合シートからなる層と無機層および有機層のうちの少なくとも一方の層とを備えるものであることを特徴とする透明複合基板。
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