JP2008133442A - 樹脂組成物、光学材料、及び、該光学材料の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物とを含む樹脂組成物であって、該有機樹脂成分は、エポキシ基含有化合物を含むものであり、該オルガノシロキサン化合物は、下記平均組成式:
R1aR2bYcSiOd
(式中、R1は、飽和脂肪族炭化水素基を表す。R2は、アリール基又はアラルキル基を表す。Yは、RO基、水酸基、ハロゲン原又は水素原子を表す。Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。a、b、c及びdは、0≦a<3、0≦b<3、0≦c<3、0<a+b+c<3、0<a+b<3、及び、a+b+c+2d=4を満たす。)で表される樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
R1aR2bYcSiOd
(式中、R1は、飽和脂肪族炭化水素基を表す。R2は、アリール基及びアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。Yは、RO基、水酸基、ハロゲン原子及び水素原子からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。a、b、c及びdは、0≦a<3、0≦b<3、0≦c<3、0<a+b+c<3、0<a+b<3、及び、a+b+c+2d=4を満たす。)で表される樹脂組成物である。なお、本明細書中、「エポキシ基」とは、エポキシ基及びグリシジル基を含むものとする。
以下に本発明を詳述する。
したがって、ハンドリング性に優れた一液性樹脂組成物(一液性硬化性樹脂組成物)として提供することができ、樹脂組成物として種々の用途に好適に用いることができる。このように、有機樹脂成分を含む樹脂組成物であって、上記平均組成式で表されるオルガノシロキサン化合物を含有せしめる樹脂組成物(硬化性樹脂組成物)の保存安定性改良方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。更に、オルガノシロキサン化合物を用いると、有機樹脂成分の硬化性に影響することがないので、所望の硬化速度を有する有機樹脂成分を選ぶことにより、樹脂組成物(光学材料)の硬化性を制御することができる。例えば、硬化反応性の高いエポキシ成分を用いて、硬化時の硬化性を高めることができることとなる。なお、本明細書中、「有機樹脂成分」とは、エポキシ基含有化合物を含む有機樹脂全体を指すものである。エポキシ基含有化合物の含有量としては、全有機樹脂成分中、30質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、50質量%以上であり、更に好ましくは、80質量%以上であり、最も好ましくは、100質量%である。
上記オルガノシロキサン化合物は、R1が上記のものであればいずれも好適に用いることができるが、中でも、R1がアルキル基であることが好ましい。
上記R1としてより好ましくは、工業的に入手しやすい点で、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルへキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロへキシル基であり、更に好ましくは、メチル基、シクロへキシル基である。
上記飽和脂肪族炭化水素基が、オルガノシロキサン化合物の1分子中に複数ある場合は、同一であっても異なっていてもよい。
上記R2としては、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基などのアリール基;ベンジル基などのアラルキル基;メチルフェニル基(トルイル基)、ジメチルフェニル基(キシリレン基)、ジエチルフェニル基、メチルベンジル基などの如く、アリール基、アラルキル基の水素原子の一部又は全部が、脂肪族炭化水素基で置換されてなる基が好ましい。これらを総称して無置換−炭化水素基(II)と称することがある。
上記R2としては、工業的に入手し易い点でフェニル基、ベンジル基が特に好ましい。最も好ましくは、フェニル基である。
)が例示される。
上記非反応性置換基において、上記ハロゲン原子としてはフッ素原子が好ましい。
上記アルコキシ基としては、アルコキシ基を構成するアルキル鎖が、R1における脂肪族炭化水素基(1)群に例示したアルキル基であるもの、又は、同じく(2)群に例示したシクロアルキル基であるものが好ましい。より好ましくは、メチル基、シクロへキシル基である。
上記反応性置換基ならびに反応性基置換−炭化水素基は、硬化性樹脂組成物の粘度を上昇させる場合があることから、本願発明の硬化性樹脂組成物の常温における保存安定性の低下を招くおそれがある。したがって、これらの反応性置換基は、ないか、又は、少ないことが好ましい。
上記オルガノシロキサン化合物が反応性置換基を有する場合、反応性置換基の炭化水素基に対する割合としては、炭化水素基(R1+R2)100質量%中、50質量%未満が好ましい。また、10質量%未満が好ましく、1質量%未満が好ましい。より好ましくは、0.1質量%未満であり、更に好ましくは、0.01質量%未満であり、特に好ましくは、0.001質量%未満である。最も好ましくは、0質量%(検出されない)である。なお、上述したように、反応性置換基は、上記反応性基置換−炭化水素基に含有される反応性置換基のことである。また、オルガノシロキサン化合物の分子末端のケイ素原子に、R1及び/又はR2が結合する場合は、これ(又はこれら)のR1及び/又はR2は、上記「オルガノシロキサン化合物が有する炭化水素基」に含まれる。また、反応性基置換−炭化水素基に含まれる反応性置換基の割合としては、反応性基置換−炭化水素基100質量%中30質量%未満が好ましい。また、5質量%未満が好ましく、0.5質量%未満が好ましい。より好ましくは、0.05質量%未満であり、更に好ましくは、0.005質量%未満であり、特に好ましくは、0.0005質量%未満である。最も好ましくは、0質量%(検出されない)である。
上記Yは、Rがアルキル基であるOR基、塩素原子、水酸基、水素原子であることが好ましい。より好ましくは、Rが炭素数1〜5のアルキル基からなるOR基であり、更に好ましくは、Rが炭素数1のアルキル基からなるOR基、すなわち、メトキシ基である。
上記Yの含有量としては、低いことが好ましい。Yの含有率が高いと、硬化性樹脂組成物の常温における硬化反応が進むおそれがあるためである。具体的には、平均組成式におけるcの値が、1未満であることが好ましい。より好ましくは、0.4未満であり、更に好ましくは、0.1未満であり、特に好ましくは、0.01未満である。最も好ましくは、0である。またR1、R2の合計モル数に比べ、Yの含有モル数が小さいことが、同様の理由から好ましい。具体的には、c<a+bであることが好ましい。より好ましくは、c<(a+b+c)×0.4である。すなわち、本発明の硬化性樹脂組成物において、上記オルガノシロキサン化合物を表す平均組成式は、c<(a+b+c)×0.4を満たすことが好ましい。言い替えれば、本発明の硬化性樹脂組成物において、上記平均組成式で表されるオルガノシロキサン化合物であり、該式におけるYの含有量がc<(a+b+c)×0.4を満たすことが好ましい。更に好ましくは、c<(a+b+c)×0.2であり、特に好ましいは、c<(a+b+c)×0.1であり、最も好ましくは、c<(a+b+c)×0.01である。
上記オルガノシロキサン化合物分子の結合基における、上記R1又はR2からなる炭化水素基の割合は、末端結合基100モル%に対し、50モル%以上であることが好ましい。より好ましくは、80モル%以上であり、更に好ましくは、90モル%以上であり、特に好ましくは、100モル%である。
より好ましくは、0.2未満であり、更に好ましくは、0.1未満であり、特に好ましくは、0.01未満である。一方、低屈折率の樹脂の場合には、bの割合b/(a+b+c)は、0.4未満が好ましい。より好ましくは0.2未満であり、更に好ましくは0.1未満であり、最も好ましくは0.01未満である。
上記オルガノシロキサン化合物において、a、b、c及びdとしては、a=1、b=0、c=0〜0.4及びd=1.5〜1.3であることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物において、上記オルガノシロキサン化合物は、ラダー状シルセスキオキサン化合物であることが好ましい。また上記オルガノシロキサン化合物は、上記平均組成式に示されるオルガノシロキサン化合物であり、ラダー状シルセスキオキサン化合物であることが好ましい。なお、ラダー状とは、シルセスキオキサン化合物の分子形態を表し、当該分子形態を表す技術用語として認められている意味を有するものである。
上記オルガノシロキサン化合物の製造方法としては、本発明の作用効果を発揮する限り特に限定されないが、例えば、下記式(I):
R1sSiX1 (4−s) (I)
(上記式中、R1は上述のR1と同じである。X1は、加水分解性基を表す。sは、1、2又は3である。)、下記式(II):
R2tSiX2 (4−t) (II)
(上記式中、R2は上述のR2と同じである。X2は、加水分解性基を表す。tは、1、2又は3である。)、及び、下記式(III):
R1s´R2t´SiX3 (4−s´−t´) (III)
(上記式中、R1及びR2は上述のR1及びR2と同じである。X3は、加水分解性基を表す。s´及びt´は、同一又は異なって、1又は2であり、s´+t´は、2又は3である。)で表される加水分解性シラン化合物を、単独又は混合して有機溶媒中で加水分解・縮合して得ることが好ましい。
上記式(I)〜(III)において、X1、X2及びX3としては、同一でもよく異なってもよく、RO基、水酸基、水素原子、ハロゲン原子であることが好ましい。なお、Rとしては、アルキル基を表す。Rの炭素数としては、1〜5が好ましく、1又は2がより好ましい。
X1、X2及びX3としては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、塩素原子であることが好ましい。
上記式(I)及び(II)を共加水分解・縮合するか、上記式(I)及び/又は(II)と式(III)とを共加水分解・縮合するか、上記(III)を単独で加水分解・縮合することにより、上記シロキサンABが得られることとなる。なお、上記式(I)及び(II)を共加水分解・縮合する場合、上記式(I)や(II)において、R1、R2等は適宜設定することができ、同一又は異なるシロキサン化合物(AB)を得ることができることとなる。
上記(III)において、s´及びt´は、1であることが好ましい。
Si(X4)4 (IV)
(式中、X4は、加水分解性基を表す。)で表されるものであることが好適である。
上記X4は、同一又は異なっていてもよく、好ましい態様も上記X1〜X3と同様である。
本発明の硬化性樹脂組成物においては、上記有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物とを含むものであるが、有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物との合計100質量%に対し、有機樹脂成分を50〜99.9質量%、オルガノシロキサン化合物を0.1〜50質量%含むことが好ましい。このような含有量とすることで、透明性とアッベ数がいずれも高い硬化性樹脂組成物とすることができる。特に、有機樹脂成分として熱硬化性樹脂を用いた場合には、熱可塑性樹脂にはできない耐熱性の克服が可能であり、ガラスにはできない複雑で安価な加工が可能となる。上記含有量としてより好ましくは、有機樹脂成分が70〜99質量%、オルガノシロキサン化合物が1〜30質量%であり、更に好ましくは、有機樹脂成分が80〜97質量%、オルガノシロキサン化合物が3〜20質量%である。
本発明の樹脂組成物(硬化性樹脂組成物)は、有機樹脂成分としてエポキシ基含有化合物を含むものである。
上記有機樹脂は、エポキシ基を少なくとも一つ有する。エポキシ基を少なくとも一つ有することにより、従来の熱硬化性プラスチック材料と同等の作業性を有しながら、無機ガラスに匹敵する耐熱性を示し、成形、加工性に優れるといった優れた特性を発揮することができる。以下、本発明の有機樹脂成分として好適に用いることができるエポキシ基を少なくとも一つ有する化合物について説明する。
上記エポキシ(メタ)アクリレートとは、1官能以上のエポキシドと(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートであり、エポキシドとしては、例えば、(メチル)エピクロルヒドリンと、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールS、水添ビスフェノールF、それらのエチレンオキシド、プロピレンオキシド変性物等から合成されるエピクロルヒドリン変性水添ビスフェノール型エポキシ樹脂;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート等の脂環式エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート等のヘテロ環含有のエポキシ樹脂等の脂環式エポキシド;
(メチル)エピクロルヒドリンと、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF、それらのエチレンオキシド、プロピレンオキシド変性物等から合成されるエピクロルヒドリン変性ビスフェノール型のエポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエンと各種フェノール類と反応させて得られる各種ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のエポキシ化物;2,2´,6,6´−テトラメチルビフェノールのエポキシ化物、フェニルグリシジルエーテル等の芳香族エポキシド;
(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)ブチレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類の(ポリ)グリシジルエーテル;グリコール類のアルキレンオキシド変性物の(ポリ)グリシジルエーテル;トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ジグリセリン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の脂肪族多価アルコールの(ポリ)グリシジルエーテル;脂肪族多価アルコールのアルキレンオキシド変性物の(ポリ)グリシジルエーテル等のアルキレン型エポキシド;
アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボン酸のグリシジルエステル、多価アルコールと多価カルボン酸とのポリエステルポリオールのグリシジルエーテル;グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレートの共重合体;高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化大豆油、エポキシ化ひまし油、エポキシ化ポリブタジエン等の脂肪族エポキシ樹脂等が好適である。
上記水添エポキシ化合物としては、芳香族エポキシ化合物の完全又は部分水添物等が好ましい。なお、芳香族エポキシ化合物は、芳香族グリシジルエーテル化合物を含む。
上記エポキシ基含有化合物の中でも、脂環式エポキシ化合物、水添エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物がこの順に好ましい。具体的には、脂環式エポキシ化合物としては、脂環式エポキシ基を有する多官能脂環式エポキシ化合物(以下、単に「多官能脂環式エポキシ化合物」とも言う。)が好適である。水添エポキシ化合物としては、飽和脂肪族環状炭化水素骨格に直接的又は間接的に結合したグリシジルエーテル基を有する多官能グリシジルエーテル化合物(以下、単に「多官能グリシジルエーテル化合物」とも言う。)が好適である。脂肪族エポキシ化合物としては、脂肪族グリシジルエーテル化合物が好適である。芳香族エポキシ化合物としては、芳香族グリシジルエーテル化合物が好適である。これらの中でもより好ましくは、硬化性樹脂組成物の硬化速度が高い点で、多官能脂環式エポキシ化合物、多官能グリシジルエーテル化合物である。このように、高い硬化速度を発揮できることから、触媒量が同じであれば、より短時間で硬化物を得ることができる。
上記脂環式エポキシ化合物としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート等の脂環式エポキシ化合物;トリグリシジルイソシアヌレート等のヘテロ環含有のエポキシ樹脂等の脂環式エポキシド等が好ましい。
これらの中でも、より好ましくは脂環式エポキシ化合物;水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノールS型エポキシ化合物、水添ビスフェノールF型エポキシ化合物等であり、更に好ましくは、脂環式エポキシ化合物である。脂環式エポキシ化合物を用いると、他の有機化合物成分を用いる場合に比べて、光/熱酸発生剤等のカチオン硬化触媒の添加量を少なくしても、高い硬化速度を発揮することができる。したがって、より短時間で硬化物を得ることができだけでなく、触媒量を低減することより、耐熱性に優れ、加熱による熱変色、機械的強度の劣化が抑制された硬化物を得ることができる。
これらのエポキシA及びBは、ともに用いてもよく、エポキシA及びBの組み合わせや割合を変えることによって、所望のアッベ数及び屈折率を有する樹脂組成物とすることができる。なお、上記エポキシ基を少なくとも1つ有する化合物は、単独、又は、2種以上の混合物として使用することもできる。
本発明の硬化性樹脂組成物及び硬化物は、有機樹脂成分(特に、エポキシ基含有化合物)及び/又はオルガノシロキサン化合物を適宜選択することにより、アッベ数及び/又は屈折率を所望のものとすることができる。以下、高アッベ数、低屈折率の樹脂組成物及び硬化物を目的とする場合について、更に説明する。
上記高アッベ数、低屈折率の硬化性樹脂組成物に含まれるオルガノシロキサン化合物としては、不活性かつ低屈折率のオルガノシロキサン化合物であることが好ましい。具体的には、上述したシロキサンA及びシロキサンABの少なくとも一方であるオルガノシロキサン化合物が好適である。飽和脂肪族炭化水素基は、鎖状であっても環状であってもよい。
上記高アッベ数、低屈折率の硬化性樹脂組成物として好適なオルガノシロキサン化合物の含有量としては、オルガノシロキサン化合物100質量%中、50質量%以上が好ましく、更に80質量%以上が好ましく、特に100質量%が好ましい。
上記特性を有する樹脂組成物においては、エポキシ基含有化合物として、脂肪族エポキシ化合物、水添エポキシ化合物、及び、脂環式エポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つのエポキシ基含有化合物(エポキシA)が主成分であることが好ましい。これらの化合物の具体例は、上述したとおりである。なお、より高屈折率化する場合は、エポキシ基等をスルフィド基に置換した化合物や、芳香族エポキシ化合物の芳香環を臭素化した化合物を用いることが好ましい。スルフィド基に置換した場合、用途によっては耐熱性が不充分となる場合があることから、例えば、耐リフロー性を有する硬化性樹脂組成物を得る場合は、エポキシ基含有化合物を用いることが好ましい。なお、「耐リフロー性を有する」とは、半田に耐える耐熱性を有する性能(機能)のことをいい、「リフローアブル」であるとも言う。例えば、耐熱性を有するカメラモジュールを「リフローアブルカメラモジュール」と言う。
上記エポキシAの含有量としては、エポキシAが全有機樹脂成分中、60質量%以上であることが好ましい。60質量%以上であれば、有機樹脂成分の主成分となり、エポキシAの効果が充分に発揮されることとなり、高アッベ数、低屈折率の樹脂組成物及び硬化物を得ることができる。エポキシAの含有量としてより好ましくは、80質量%以上であり、更に好ましくは、95質量%以上である。
上記有機樹脂成分としては、アッベ数が45以上(全有機樹脂成分のアッベ数の平均値が45以上)のものであれば特に限定されないが、例えば、アッベ数45以上の有機樹脂が全有機樹脂成分中40質量%以上含まれることが好ましい。アッベ数45以上の有機樹脂の割合としてより好ましくは、60質量%以上であり、更に好ましくは、80質量%以上であり、特に好ましくは、100質量%(実質的にすべてがアッベ数45以上のもの)である。なお、上記有機樹脂成分としては、有機樹脂成分全体のアッベ数が45以上のものであれば、本発明の作用効果を発揮する限り特に限定されないが、オルガノシロキサン化合物との相溶性に優れ、該成分が有機樹脂に均一に分散されるものであることが好ましい。具体的には、下記に示すエポキシAが好ましい。
上記脂環式エポキシ化合物を用いることで、アッベ数の向上が可能であり、光学特性を優れたものとすることができ、種々の用途に好適に用いることができる。
上記脂環式エポキシ化合物としては、下記化学式:
上記水添エポキシ化合物としては、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂等が好ましい。これらの中でも、より好ましくは脂環式エポキシ化合物;水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂等の水添エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート等のヘテロ環含有のエポキシ樹脂等の脂環式エポキシド等が好ましい。
上記高アッベ数、低屈折率の硬化性樹脂組成物を目的とする場合は、上述したような有機樹脂成分及びオルガノシロキサン化合物を上述の範囲で用いることが好適である。これらの組み合わせとしては特に限定されず、用途によって適宜選択することができる。
したがって、これらの特定のオルガノシロキサン化合物及び特定のエポキシ化合物を適宜選択することにより、特に光学用途において、厳密に制御された光学特性を有する光学材料とすることができ、様々な市場の要求に応えることができる。更に、厳密に制御された光学特性を有するレンズなどの光学材料成形体、膜等の上記樹脂組成物の硬化物を得ることができる。
上記組み合わせにおいて、オルガノシロキサン化合物をシロキサンB(又はR2の比率の高いオルガノシロキサン化合物(AB))とすると、高屈折率にシフトすることとなり、エポキシAに由来した高アッベ数、かつオルガノシロキサン化合物に由来した高屈折率を有する樹脂組成物を得ることができる。
また、エポキシA、A´、B、C、D、オルガノシロキサン化合物としては、上記又は下記の1種又は2種以上の化合物を用いることができる。
本発明の樹脂組成物においては、オルガノシロキサン化合物として、反応性の低い有機基(R1及び/又はR2)を有するオルガノシロキサン化合物を用いるが、反応性が高い官能基や酸/塩基性官能基を有するポリシロキサンを用いると、常温でのゲル化などが生じることとなり、保存安定性を損ねる反応が硬化反応と同序列で起こる。
名称:3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、製品名:セロキサイド2021P
名称:2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物、製品名:EHPE3150
名称:2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物と3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、製品名:EHPE3150CE
名称:1,2:8,9−ジエポキシリモネン、製品名:セロキサイド3000
名称:ビニルシクロヘキセンモノオキサイド1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、製品名:セロキサイド2000
セロキサイド 2081、(いずれも、ダイセル化学工業社製)。これらの中でも、2021P、EHPE3150がより好ましい。
以下に上記脂環式エポキシ化合物について説明する。
上記セロキサイド 3000は、下記式:
上記セロキサイド 2000は、下記式:
上記セロキサイド 2000は、ビニル基を有するモノエポキシドであり、代表的な一般性状は、色相(APHA) <50、純度(%) >95、沸点(℃/8〜9mmHg) 49〜53、粘度(mPa・s/25℃) 1.5である。
上記EHPE 3150は、下記式:
上記EHPE 3150の特徴としては、塩素系不純物がなく(原料材料に塩素系は使用していない)、エポキシ基の反応性が大きく、硬化物のTgが高く、耐候性、透明性を有することである。
上記セロキサイド 2021は、下記式:
上記セロキサイド 2021Pは、セロキサイド 2021の精製品である。代表的な一般性状は、色相 (APHA)<50、エポキシ当量 128〜145、粘度(mPa・s/25℃)150〜400である。
上記セロキサイド 2081は、イプシロン−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル3´,4´−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートである。
上記セロキサイド 2081は、可撓性を有し、代表的な一般性状は、形状(常温) 液状、色相(APHA) <100、エポキシ当量 190〜210、粘度(mPa・s/25℃) 80〜130である。
上記樹脂組成物、光学材料において、低アッベ数、高屈折率のものを得る場合、不飽和結合量が多い有機樹脂成分を用いることが好ましい。すなわち、有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物とを含む硬化性樹脂組成物であって、上記硬化性樹脂組成物は、硬化後の硬化体100質量%に対して不飽和結合量が30質量%以上である硬化性樹脂組成物が好ましい。
ここでいう「不飽和結合量」は、硬化体に含有される不飽和結合量の総量を意味する。有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物以外の成分(その他の成分)が不飽和結合を有する場合、その他の成分が有する不飽和結合も上記総量に含まれる。
上記樹脂組成物は、硬化後の硬化体(硬化物ともいう。)100質量%に対して不飽和結合を30質量%以上有するものであることが好ましい。ここで、不飽和結合量とは、不飽和結合を形成する炭素原子、硫黄原子、窒素原子、ホウ素原子、ケイ素原子、リン原子、ゲルマニウム原子、酸素原子、及び、付加する水素原子、ハロゲン原子の合計質量である。すなわち、硬化体100質量%中に含まれる不飽和結合を形成する原子、並びに、該原子に結合している水素原子及びハロゲン原子の合計質量である。具体的には、−CH2CH2CHCl−CH=CCl−CH2CH2−構造を有する場合、不飽和結合量は、CH=CCl部分の合計質量を意味する。
また炭素原子が芳香環を形成する場合、硬化体100質量%中に含まれる芳香環の質量%を表すものとする。この場合、芳香環が置換基を有していても、不飽和結合を有しない置換基の質量を含めるのではなく、炭素原子と水素原子とによって構成される芳香環の質量を不飽和結合の合計量の計算に参入することになる。なお、芳香環にハロゲン原子が置換基として結合している場合は、上記定義よりハロゲン原子も含まれる。本発明においては、不飽和結合が芳香環によって構成される形態が好ましい形態の一つである。
上記硬化性樹脂組成物において、有機樹脂成分の不飽和結合とオルガノシロキサン化合物の不飽和結合の割合(モル比)としては、〔有機樹脂成分の不飽和結合〕/〔オルガノシロキサン化合物の不飽和結合〕=100/0〜10/90であることが好ましい。より好ましくは、90/10〜10/90であり、更に好ましくは、80/20〜20/80であり、特に好ましくは、60/40〜40/60である。
上記硬化性樹脂組成物において、該硬化性樹脂組成物の硬化体の不飽和結合量の定量方法としては、元素分析、NMR、IR等により硬化性樹脂組成物を分析し、構造等を明らかにした上で1H−NMR等で定量分析を行い、不飽和結合を形成する炭素原子、硫黄原子、窒素原子、ホウ素原子、ケイ素原子、リン原子、ゲルマニウム原子、酸素原子、及び、付加する水素原子、ハロゲン原子を定量することにより求めることができる。なお、硬化性樹脂組成物としては、本発明の作用効果を発揮する限り特に限定されず、不飽和結合を有さない成分が含まれていてもよい。
(1)硬化性樹脂組成物を硬化させ硬化体を得る。
(2)上記硬化体及び/又は樹脂組成物を元素分析することにより組成式を求め、IR、NMR測定により該硬化体が有する不飽和結合の存在、及び、該不飽和結合を形成する官能基を特定する。
(3)質量を定量した硬化体及び/又は樹脂組成物、並びに、質量を定量した外部基準を用いて、NMR測定する。
(4)上記(3)のNMR測定において、外部基準のピーク面積と、不飽和結合に由来するピーク面積、外部基準の質量とから、NMR測定に用いた硬化体に含まれる不飽和結合量を算出する。
(5)上記(4)の結果から、硬化体100質量%に含まれる不飽和結合量を求める。
なお、上記(2)及び(3)のNMR測定においては、最適な核種を1つ又は2つ以上選択して、測定することとする。例えば、不飽和結合が芳香環由来のものである場合は、1H−NMR単独や、13C−NMRとの組み合わせが好適であり、不飽和結合を形成する原子にフッ素原子が結合している場合は、19F−NMRが好適である。また、用いる外部基準は、各種に応じて適宜選択し、1H−NMRの場合では、一般的にTMSが好適である。
上記芳香環量としては、硬化後の硬化体100質量%に対して、30質量%以上である。このような範囲とすることで、アッベ数が充分に低く、透明性、屈折率が充分に高い等の光学特性に優れた硬化性樹脂組成物とすることができる。より好ましくは、35質量%以上であり、更に好ましくは、40質量%以上である。上限としては、70質量%以下であることが好ましい。なお、このような芳香環量は、有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物とに含まれる芳香環量をいう。すなわち、有機樹脂成分だけが芳香環を持つ場合は、硬化後の硬化体100質量%に対する有機樹脂成分中の芳香環の質量%であり、オルガノシロキサン化合物も芳香環を持つ場合には、硬化後の硬化体100質量%に対する有機樹脂成分中の芳香環量及びオルガノシロキサン化合物中の芳香環量の合計質量%である。オルガノシロキサン化合物も芳香環を持つ場合の有機樹脂成分の芳香環とオルガノシロキサン化合物の芳香環の割合(モル比)としては、〔有機樹脂成分の芳香環〕/〔オルガノシロキサン化合物の芳香環〕=99/1〜10/90であることが好ましい。より好ましくは、80/20〜20/80であり、更に好ましくは、60/40〜40/60である。
上記オルガノシロキサン化合物の中でも、特にシロキサンBが好ましい。シロキサンBは、低アッベ樹脂組成物に好適に用いることができる。
上記シロキサンBとしては、ポリシロキサン結合と芳香環を必須とするものであり、該化合物の構造としては、直鎖状又は分岐状、ラダー状、かご状、キュービック状等の構造のポリシルセスキオキサンであることが好適である。具体的には、シリコーンオリゴマーPPSQ−E(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)、シリコーンオリゴマーPPSQ−H(小西化学工業社製、PPSQ−H、数平均分子量2200)等が好ましい。中でも、シリコーンオリゴマーPPSQ−Eがより好ましい。なお、シリコーンオリゴマーPPSQ−Eは、粒子が液相合成法で合成されており、後工程で粉末化されたものであり、後述する湿式方により得られたものである。シリコーンオリゴマーPPSQ−Eは、紐状の形態であるため、溶液中で凝集せず分散しやすい。
上記芳香環量としてより好ましくは、50質量%以上であり、更に好ましくは、100質量%以上であり、特に好ましくは、200質量%以上である。
上記オルガノシロキサン化合物において、シロキサンB以外に芳香環を有するオルガノシロキサン化合物が含まれる場合には、オルガノシロキサン化合物中の芳香環量としては、オルガノシロキサン化合物中のケイ素原子量100質量%に対し、上述した範囲であることが好ましい。具体的には、オルガノシロキサン化合物が、シロキサンBとシロキサンABとから構成される場合は、オルガノシロキサン化合物中の芳香環量は、シロキサンBとシロキサンAB中のケイ素原子量を100質量%として、これに対するシロキサンBとシロキサンAB中の芳香環量(質量%)を言う。シロキサンABは、高屈折率の硬化性樹脂組成物とするためには、上記平均組成式において、a<bであるシロキサンAB(R1<R2であるシロキサンAB)であることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物において、上記有機樹脂成分は、アッベ数の平均値が45未満であり、オルガノシロキサン化合物を表す平均組成式がb>aを満たすことが好ましい。
言い替えれば、本発明の硬化性樹脂組成物において、上記有機樹脂成分の総量は、アッベ数の平均値が45未満であり、オルガノシロキサン化合物が、上記式で表されるオルガノシロキサン化合物であり、該化合物が、該式におけるa、bが、b>aなる化合物であることが好ましい。
上記エポキシ(B)の含有量としては、有機樹脂成分100質量%中、60質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、80質量%以上である。なお、含有量の上限は、99質量%である。
上記芳香族エポキシ化合物(B)としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フルオレンエポキシ(大阪ガスケミカル社製)オンコート EX−1020又はオグソールEG210、フルオレンエポキシ(大阪ガスケミカル社製)オンコート EX−1010又はオグソールPG等が好ましく、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。より好ましくは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フルオレンエポキシ(大阪ガスケミカル社製)オグソールEG−210である。
本発明の樹脂組成物としては、有機樹脂成分としてエポキシ基含有化合物を含むものであればよいが、その他の有機成分(樹脂成分)を含むものであってもよい。その他の成分としては、重合性不飽和結合を有する化合物、多価フェノール化合物、脂環式化合物等の硬化性樹脂成分が好適である。
上記重合性不飽和結合を有する化合物としては、重合性不飽和結合を有するものであればよいが、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、フマレート基及びマレイミド基からなる群より選択される1種以上の基を有する化合物であることが好ましい。なお、本発明においては、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基とメタクリロイル基とを意味するものであり、アクリロイル基を有する場合、アクリロイル基中にビニル基を有することになるが、この場合には、アクリロイル基とビニル基とを有することとしないで、アクリロイル基を有することとする。また、フマレート基とは、フマレート構造を有する基、すなわちフマル酸エステルの構造を有する基を意味する。
上記(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、(ポリ)エステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、上述したエポキシ(メタ)アクリレート、(ポリ)エーテル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、アルキレン(メタ)アクリレート、芳香環を有する(メタ)アクリレート、脂環構造を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらはそれぞれ1種又は2種以上を用いることができる。
これらの中でも、アッベ数を向上させる場合には、脂環式化合物であることが好ましい。脂環式化合物を用いることで、アッベ数の向上が可能であるだけでなく、光学特性を優れたものとすることができ、種々の用途に好適に用いることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物において、有機樹脂成分は、分子量(重量平均分子量)が700以上である有機樹脂を必須とするものであることが好ましい。有機樹脂成分がこのような分子量を有する有機樹脂を含むことにより、樹脂組成物を硬化させたときに、一体感のあるものとでき、剥離の際の強度が向上し、割れることがなく、好適な材料硬度とすることができる。上記有機樹脂成分に必須として含まれる有機樹脂の分子量としては、700〜10000であることが好ましい。分子量が10000を超えると、樹脂組成物の透明性が充分ではなくなるおそれがある。
上記樹脂組成物において、分子量が700以上の成分(有機樹脂)が樹脂組成物総量100質量%に対し、10質量%以上含まれることが好ましい。また、成型のしやすさの面から、分子量が700以上の成分(具体的には、700〜1万)は90質量%以下とすることが好ましい。分子量が700以上の有機樹脂の含有量としてより好ましくは、10〜80質量%である。20〜80質量%、20〜70質量%も好適である。更に好ましくは、30〜70質量%である。また、30質量%以上であることが好ましい。例えば30〜90質量%が好適である。このように、分子量が700以上の有機樹脂成分を10〜90質量%含んでなる樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。なお、有機樹脂の分子量の測定方法としては、下記のとおりである。
上記有機樹脂成分の分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー社製、商品名「HLC−8220GPC」を用い、下記の条件で測定することができる。
(分子量の測定条件)
カラム:東ソー社製「TSK−GEL SUPER HZM−N 6.0*150」×4本
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.6mL/分
温度:40℃
検量線:ポリスチレン標準サンプル(東ソー社製)を用いて作成。
上記高分子量成分の分子量としては、上述した分子量(重量平均分子量)が700以上である有機樹脂と同様であることが好ましい。具体的には、700〜10000が好ましい。
上記2種以上の分子量を有する有機樹脂成分としては、2種以上のエポキシ化合物であることが好ましい。このような有機樹脂成分の好適な組み合わせとしては、(1)高分子量成分がエポキシA´であり、低分子量成分がエポキシCである形態、(2)高分子量成分がエポキシA´であり、低分子量成分がエポキシA´及びCである形態、(3)高分子量成分がエポキシBであり、低分子量成分がエポキシB及びCである形態、(4)高分子量成分がエポキシA´であり、低分子量成分がエポキシB及びCである形態、(5)低分子量成分がエポキシA´であり、高分子量成分がエポキシCである形態、(6)低分子量成分がエポキシBであり、高分子量成分がエポキシCである形態、(7)低分子量成分がエポキシA´及びCであり、高分子量成分がエポキシCである形態、(8)低分子量成分がエポキシB及びCであり、高分子量成分がエポキシCである形態である。これらの中でも、低分子量成分が、エポキシCである形態(形態(1)〜(4))が好ましい。脂環式エポキシ(エポキシC)(エポキシシクロヘキサン化合物)を低分子量成分として含むと、硬化前は低粘度でありながら、加熱時の硬化密度が高く、且つ、機械的特性に優れる硬化物が得られる。上記組み合わせの中でも、高アッベ数の硬化性樹脂組成物の場合は、高分子量成分がエポキシA´であり、低分子量成分がエポキシCである形態(形態(1))がより好ましく、形態(1)において、高分子量成分(エポキシA´)として、エポキシC以外の脂環式エポキシを含む形態が更に好ましい。
上記分子量が700以上のものと700未満のものの割合としては、〔700以上/(樹脂組成物全体)〕=10〜90であることが好ましい。より好ましくは、20〜80であり、更に好ましくは、30〜70である。なお、有機樹脂の具体例としては、上述したとおりである。
また低分子量成分と高分子量成分の割合としては、高分子量成分/(有機樹脂成分総量)=30〜90質量%であることが好ましい。より好ましくは、35〜80質量%であり、更に好ましくは、40〜70質量%である。
上記2種以上の分子量を有する有機樹脂成分としては、上述したように、2種以上のエポキシ化合物であることが好ましい。中でも、脂環式エポキシを含むことが好適である。このように、分子量の異なる2種以上のエポキシ化合物をオルガノシロキサン化合物と溶媒5%以下で混合してなる樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記樹脂組成物はまた、可とう性を有する成分(可とう性成分)を含むことが好適である。可とう性成分を含むことにより、一体感のある樹脂組成物とできる。上記可とう性成分としては、(1)有機樹脂成分とは異なる化合物からなる可とう性成分である形態、(2)有機樹脂成分の1種が可とう性成分である形態のいずれも好適に適用することができる。具体的には、−〔−(CH2)n−O−〕m− で表されるオキシアルキレン骨格を有する化合物(nは2以上、mは1以上の整数である。好ましくは、nは2〜12、mは1〜1000の整数である。より好ましくは、nは3〜6、mは1〜20の整数である。)が好ましい。例えば、ジャパンエポキシレジン社製のYED−216D、ジャパンエポキシレジン社製のYL−7217(オキシアルキレン鎖がオキシブチレンである、エポキシ当量437、液状エポキシ樹脂(10℃以上));高分子エポキシ樹脂(例えば、水添ビスフェノール(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1000、固形水添エポキシ樹脂);脂環式固形エポキシ樹脂(ダイセル工業社製 EHPE−3150);脂環式液状エポキシ樹脂(ダイセル工業社製、セロキサイド2081);液状ニトリルゴム等の液状ゴム、ポリブタジエン等の高分子ゴム、粒径100nm以下の微粒子ゴム等が好ましい。これらの中でもより好ましくは、末端や側鎖や主鎖骨格等に硬化性の官能基を含む化合物である。このように、上記可とう性成分は、硬化性の官能基を含んでなる樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。なお、上記「硬化性の官能基」とは、「エポキシ基(グリシジル基)等の熱又は光で硬化する官能基(樹脂組成物を硬化反応をさせる基)」をいう。
上記可とう性成分の含有量としては、有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物と可とう性成分との合計100質量%中、有機樹脂成分を40〜99質量%、オルガノシロキサン化合物を1〜60質量%、可とう性成分を0.01〜40質量%含むことが好ましい。すなわち、可とう性成分が10質量%以下である樹脂組成物が好適である。可とう性成分の含有量としてより好ましくは、0.1〜35質量%であり、更に好ましくは、0.5〜30質量%である。
また上記可とう性成分の含有量としては、有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物と可とう性成分との合計100質量%中、有機樹脂成分を40〜99質量%、オルガノシロキサン化合物を1〜60質量%、可とう性成分を0.01〜40質量%含むことが好ましい。特に、可とう性成分が10質量%以下である樹脂組成物が好適である。可とう性成分の含有量としてより好ましくは、0.1〜5質量%であり、更に好ましくは、0.5〜1質量%である。
本発明の硬化性樹脂組成物としては、(1)可とう性材料(エポキシが好ましい)を含んでなる脂環式硬化性物質と無機分散体からなる形態、(2)可とう性を有する材料(可とう性成分)と硬化性材料とオルガノシロキサン化合物を含んでなる形態もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
本発明の樹脂組成物は、120℃で2分間硬化させたときの硬化物の耐曲げ強度が、60MPa以上のものであることが好ましい。上記樹脂組成物は、後述するように、金型を用いて硬化させた後、硬化物を金型から取り出し、ポストキュア(ベーク)を行うことが好ましい。この場合、上記硬化物の耐曲げ強度は、ポストキュア(ベーク)を行う前であって、金型を用いて120℃で2分間硬化させたときに得られる硬化物の強度をいう。
上記樹脂組成物の粘度として特に好ましくは、10000Pa・s以下であり、更に好ましくは、1000Pa・s以下であり、最も好ましくは、200Pa・s以下である。
上記離型剤(又は添加剤)としては、通常の離型剤を好適に用いることができるが、炭素数8〜36のアルコール、カルボン酸、カルボン酸エステル及びカルボン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物であることが好ましい。このような離型剤を含有することで、金型を用いて硬化する際に、容易に金型を剥がすことができ、硬化物の表面に傷をつけることなく外観を制御し、透明性を発現させることもできることから、電気・電子部品材料や光学用途における材料として特に有用である。好ましくは、アルコール、カルボン酸、カルボン酸エステルであり、より好ましくはカルボン酸(特に高級脂肪酸)及びカルボン酸エステルである。カルボン酸及びカルボン酸エステルは、カチオン硬化反応を阻害することなく、離型効果を充分に発揮できることから好ましい。なおアミンは、カチオン硬化反応を阻害する可能性があることから、離型剤として用いない方が好ましい。
上記化合物は、直鎖状、分岐状、環状等のいずれの構造であってもよく、分岐しているものが好ましい。
上記炭素数としては、8〜36の整数であると、樹脂組成物の透明性、作業性等の機能を損なうことなく優れた剥離性を示す硬化物となる。炭素数として好ましくは、8〜20であり、より好ましくは、10〜18である。
上記炭素数が8〜36のカルボン酸とは、1価又は多価のカルボン酸であり、2−エチルヘキサン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、1−ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸、1−ヘキサコサン酸、ベヘン酸等が好適である。好ましくは、オクタン酸、ラウリン酸、2−エチルヘキサン酸、ステアリン酸である。
上記炭素数が8〜36のカルボン酸塩とは、上記カルボン酸と、アミン、Na、K、Mg、Ca、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Snとの組み合わせで得られるカルボン酸塩等が好適である。これらのなかでも、ステアリン酸Zn、ステアリン酸Mg、2−エチルヘキサン酸Zn等が好ましい。
上記離型剤の含有量としては、樹脂組成物100質量%に対して、10質量%以下であることが好ましい。10質量%を超えると樹脂が硬化しにくくなる等のおそれがある。より好ましくは、0.01〜5質量%であり、更に好ましくは、0.1〜2質量%である。
本発明の樹脂組成物は、エポキシ基含有化合物を含むものであることから、カチオン硬化触媒を用いることでカチオン硬化性樹脂組成物となる。
上記カチオン硬化性樹脂組成物とは、カチオン重合性基を分子中に少なくとも1個有する化合物を含む樹脂組成物である。カチオン硬化性樹脂組成物としては、カチオン重合性基を2個以上有する化合物を含むことが好ましい。より好ましくは、カチオン重合性基を2個以上有する多官能カチオン硬化性化合物を含むことである。
本発明の樹脂組成物において、エポキシ基含有化合物として好適な水添エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、及び、芳香族エポキシ化合物は多官能カチオン硬化性化合物である。これらの化合物は、多官能カチオン硬化性化合物であることから、樹脂組成物に含まれることが好ましい。
上記エポキシ基含有化合物以外のカチオン重合性基を有する化合物も本発明の樹脂組成物に含まれていてもよい。このようなカチオン重合性基としては、オキセタン基;ジオキソラン基;トリオキサン基;ビニルエーテル基等が好適である。これらのエポキシ基含有化合物以外のカチオン重合性基を有する化合物は、主に硬化速度を調整する目的で樹脂組成物に添加することが好ましい。
上記硬化触媒としては、従来公知のものを好適に用いることができ、例えば、カチオン硬化触媒が好ましい。このように、上記樹脂組成物は、カチオン硬化触媒を含む樹脂組成物(カチオン硬化系樹脂組成物)が好ましい。カチオン硬化触媒を有することで、硬化剤を用いた系に比べて硬化性樹脂組成物の保存安定性がより優れたものとなる。更に、硬化性樹脂組成物の硬化速度を速くすることができ、生産性よく硬化物を得ることができる。また、得られる硬化物は、耐熱性、透明性、機械的特性に優れるものとなる。なお、上記カチオン硬化系樹脂組成物としては、カチオン重合性基を有する有機樹脂成分を必須とするものであることが好ましい。
上記熱潜在性硬化触媒とは、熱潜在性硬化剤、熱潜在性カチオン発生剤、カチオン重合開始剤とも呼ばれ、樹脂組成物において硬化温度になれば、硬化剤としての実質的な機能を発揮するものである。熱潜在性硬化触媒は後述する硬化剤と異なり、樹脂組成物に含まれていても、樹脂組成物の常温での経時的な粘度上昇やゲル化を引き起こすことなく、また、熱潜在性硬化触媒の作用として、硬化反応を充分に促進することができ、優れた効果を発揮することができ、ハンドリング性に優れた一液性樹脂組成物(一液性光学材料)を提供することができる。特に、硬化性樹脂組成物を光学材料として用いる場合には、熱潜在性硬化剤を含むカチオン硬化系樹脂組成物であることが好ましい。カチオン硬化系樹脂組成物は保存安定性に優れる点で好ましい。このように、エポキシ基等のカチオン重合性基を有する有機樹脂成分、及び、熱潜在性硬化触媒を含む樹脂組成物であって、上記平均組成式で表されるオルガノシロキサン化合物を含有する樹脂組成物(硬化性樹脂組成物)の保存安定性改良方法もまた本発明の好ましい形態の一つである。カチオン硬化系樹脂組成物における有機樹脂成分は硬化速度の向上の観点からは、脂環式エポキシ化合物(エポキシシクロヘキサン骨格)、水添エポキシ化合物(水添ビスA)が好ましく、触媒量を減量するという観点からは、脂環式エポキシ化合物(エポキシシクロヘキセン)が好ましい。
(R1 aR2 bR3 cR4 dZ)+m(AXn)−m(1)
(式中、Zは、S、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、N及びハロゲン元素からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を表す。R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、有機基を表す。a、b、c及びdは、0又は正数であり、a、b、c及びdの合計はZの価数に等しい。カチオン(R1 aR2 bR3 cR4 dZ)+mはオニウム塩を表す。Aは、ハロゲン化物錯体の中心原子である金属元素又は半金属元素(metalloid)を表し、B、P、As、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Coからなる群より選ばれる少なくとも一つである。Xは、ハロゲン元素を表す。mは、ハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷である。nは、ハロゲン化物錯体イオン中のハロゲン元素の数である。)で表されるものであることが好ましい。
また硬化条件としては硬化温度を段階的に変化させてもよい。例えば、樹脂組成物の硬化物を製造する上での生産性を向上する目的で型内に所定の温度・時間で保持した後、型から取り出して空気又は不活性ガス雰囲気内に静置して熱処理することも可能である。この場合の硬化温度としては型内保持温度を25℃〜250℃、より好ましくは60℃〜200℃、更に好ましくは80〜180℃であり、保持時間は10秒〜5分、より好ましくは30秒〜5分である。
更に一般式AXn(OH)−で表される陰イオンも用いることができる。また、その他の陰イオンとしては、過塩素酸イオン(ClO4 −)、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CF3SO3 −)、フルオロスルホン酸イオン(FSO3 −)、トルエンスルホン酸イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸イオン等が挙げられる。
ヨードニウム塩タイプ:UVEシリーズ(ゼネラル・エレクトリック社製)、FCシリーズ(3M社製)、UV9310C(GE東芝シリコーン社製)、Photoinitiator 2074(ローヌプーラン社製)、WPIシリーズ(和光純薬社製)
スルホニウム塩タイプ:CYRACUREシリーズ(ユニオンカーバイド社製)、UVIシリーズ(ゼネラル・エレクトリック社製)、FCシリーズ(3M社製)、CDシリーズ(サトーマー社製)、オプトマーSPシリーズ・オプトマーCPシリーズ(アデカ社製)、サンエイドSIシリーズ(三新化学工業社製)、CIシリーズ(日本曹達社製)、WPAGシリーズ(和光純薬社製)、CPIシリーズ(サンアプロ社製)
等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物の硬化方法としては、熱硬化や光硬化等の種々の方法を好適に用いることができるが、樹脂組成物に上記硬化触媒や必要に応じてその他の材料を混合して1液とし、硬化物の形状に合わせた金型に該混合液を塗出して硬化させ、その後硬化物を金型から取り出す方法が好適に用いられる。このような方法においては、硬化触媒等を混合した硬化性樹脂組成物の粘度は、取り扱いが容易であることから、著しく上昇しない方が好ましい。
上記硬化方法おいては、金型から取り出し、形状を保てる程度の硬度であればよく、1kgf/cm2以上の力で押し出したときの形状変化の割合が10%以下の硬化強度(硬度)であることが好ましい。上記形状変化の割合として好ましくは、1%以下であり、より好ましくは、0.1%以下であり、更に好ましくは、0.01%以下である。
上記ポストキュアにおいて、硬化温度及び硬化時間としては、硬化させる樹脂組成物等に応じて適宜設定することができる。例えば、硬化温度としては、80〜200℃であることが好ましい。より好ましくは、100〜180℃であり、更に好ましくは、110〜150℃である。ポストキュアの硬化時間としては、硬化温度にも依存するが、1〜48時間であることが好ましい。より好ましくは、1〜10時間であり、更に好ましくは、2〜5時間である。
本発明の樹脂組成物は、硬化触媒を用いて熱硬化することにより、硬化物とすることができる。上記硬化触媒として上述した熱潜在性カチオン発生剤を用いることが好ましい。なお、熱潜在性カチオン発生剤等のカチオン硬化触媒を用いるカチオン硬化以外の硬化方法として硬化剤を使用する方法がある。このような硬化剤としては、例えば、酸無水物類、アミン類、フェノール樹脂類等が挙げられる。具体的には、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸、メチルナジック酸等の酸無水物類;アンモニア、1〜3級アミン、ヘキサメチレンテトラミン等のアミン類;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、テルペンフェノール樹脂等の種々のフェノール樹脂類;種々のフェノール類とヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザール等の種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂等の各種のフェノール樹脂類;BF3錯体、スルホニウム塩類、イミダゾール類等の1種又は2種以上を用いることができる。また、多価フェノール化合物で硬化することも好ましい態様である。
なお、上述した硬化剤及び硬化促進剤は、本発明の作用効果の一つである優れた保存安定性を充分には発揮できないおそれが生じるため、硬化剤及び硬化促進剤を添加することが必要不可欠である場合以外は、積極的には使用しない方がよい。
本発明の樹脂組成物は、上述する硬化方法によって硬化物を得ることができ、このような硬化物としては、種々の光学特性に優れたのもとなる。例えば、硬化物の濁度(ヘイズ)としては、20%以下であることが好ましい。このように、上記樹脂組成物の硬化物の濁度が、20%以下である樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。硬化物の濁度としてより好ましくは10%以下であり、更に好ましくは5%以下であり、特に好ましくは1%以下である。透明性としては、可視光領域(波長が360〜780nmの領域)の光透過率が75%以上であることが好ましい。硬化物の光線透過率はより好ましくは80%以上であり、更に好ましくは85%以上であり、特に好ましくは、87%以上である。
上記硬化物において、硬化物の屈折率・アッベ数は適用される光学系の光学設計に応じて幅広い数値が求められる。なお、硬化物の光線透過率はJIS K7361−1に、濁度はJIS K7136に、屈折率・アッベ数はJIS K7142にそれぞれ準拠した方法で測定できる。
上記硬化物のPCT吸湿率は硬化条件により変化するが、硬化条件を最適化することにより、2%以下にすることが好ましく、1.0%以下にすることが好ましく、より好ましくは0.5%以下、更に好ましくは0.2%以下である。
特に車載用カメラや宅配業者向けバーコード読み取り機などの用途では、長時間の紫外線照射や夏季の高温暴露により黄変や強度劣化が懸念されるが、これらの現象は空気や水分の紫外線照射又は熱線暴露の相乗効果により酸素ラジカルの発生が原因と考えられる。樹脂組成物の耐湿性が向上することで、樹脂組成物中への吸湿が抑制され、紫外線照射又は熱線暴露の相乗効果による酸素ラジカル発生も抑えられるため、長期にわたり黄変や強度低下の抑制された耐熱性に優れる硬化物となる。
本発明はまた、上記樹脂組成物によって構成される光学材料でもある。光学材料とは、上記樹脂組成物を用いた硬化材料であり、単に「硬化材料」又は「光学部材用硬化性材料」とも言う。本発明の樹脂組成物は、上述のように優れた透明性・光学特性を発揮し、該樹脂組成物を硬化させた硬化物もまた、同様の特性を発揮することから、光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途等の種々の用途に好適に用いることができる。本発明の光学材料としては、上記樹脂組成物によって形成される硬化性光学材料であって、熱や光によって硬化する熱・光硬化性光学材料(熱硬化性光学材料や光硬化性光学材料)であることが好ましい。
上記光学材料としては、上述したように、オルガノシロキサン化合物及び/又はエポキシ化合物の組み合わせによりアッベ数、屈折率を制御することができる。これらの好適な組み合わせ等は、上述のとおりである。また、このような光学材料の硬化方法、粘度等の種々の特性等は、上記樹脂組成物におけるものと同様であることが好ましい。
上記光学材料が低アッベ数である形態としては、光学材料のアッベ数が35以下であり、波長500nmにおける透過率が60%以上であることが好ましい。アッベ数及び透過率がこのような範囲であることにより、高い透明性や解像度を有する光学特性に優れた光学材料となる。光学材料のアッベ数としてより好ましくは、34以下であり、更に好ましくは、33.5以下であり、特に好ましくは、30以下である。光学材料の透過率としてより好ましくは、80%以上であり、更に好ましくは、85%以上である。
上記光学材料としては、上記樹脂組成物を含むものであるが、光学材料の用途に応じて適宜その他の成分を含んでいてもよい。具体的には、UV吸収剤、IRカット剤、反応性希釈剤、顔料、染料、酸化防止剤、光安定剤、可塑剤、非反応性化合物、連鎖移動剤、熱重合開始剤、嫌気重合開始剤、光安定剤、重合禁止剤、消泡剤等が好適である。
上記光学部材のアッベ数及び屈折率としては、上述のように樹脂組成物を構成するオルガノシロキサン化合物及び/又はエポキシ化合物の組み合わせによりアッベ数、屈折率を制御することができ、用途に応じて好適な範囲のものを選択することができる。例えば高アッベ数の光学部材とする場合は、上記光学材料におけるものと同様であることが好ましい。このような高いアッベ数の硬化物であることから、下記の種々の用途に用いることができる。
上記硬化物の用途として具体的には、眼鏡レンズ、(デジタル)カメラや携帯電話や車載カメラ等カメラレンズ、フィルター、回折格子、プリズム、光案内子、光ビーム集光レンズや光拡散用レンズ、ウォッチガラス、表示装置用のカバーガラス等の透明ガラスやカバーガラス等の光学用途;フォトセンサー、フォトスイッチ、LED、発光素子、光導波管、合波器、分波器、断路器、光分割器、光導波路、光ファイバー接着剤等のオプトデバイス用途;LCDや有機ELやPDP等の表示素子用基板、カラーフィルター用基板、タッチパネル用基板、ディスプレイ保護膜、ディスプレイバックライト、導光板、反射防止フィルム、防曇フィルム等の表示デバイス用途等が好適である。
上記用途の中でも、レンズ用途においては、今後の方向として以下の光学特性が要求されると考えられる。本発明における硬化性樹脂組成物、光学材料、及び、光学材料の制御方法は、これらの目的にも好適に用いることができる。
(1)高アッベレンズ
アッベ数:50以上、屈折率:1.5程度
(2)低アッベレンズ
アッベ数:35以下、屈折率:1.57以上
上記硬化物の形状としては、用途に応じて適宜設定することができ、特に限定されず、異形品等の成形体、フィルム、シート、ペレット等の形態も挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物とを適宜選択することにより、アッベ数及び/又は屈折率を制御することができる。このような制御においては、有機樹脂成分を適宜選択することにより、アッベ数及び/又は屈折率、特にアッベ数を制御することができる。硬化性樹脂組成物のアッベ数対屈折率の相関線を考えた場合、有機樹脂成分の種類を選ぶことで、アッベ数がほぼ決まり、オルガノシロキサン化合物を選ぶことで、有機樹脂成分のアッベ数を維持しつつ屈折率を上げたり下げたりすることができる。例えば、屈折率を低減させる場合には、シロキサンA、R1の割合の多いシロキサンAB等を用いることが好適であり、屈折率を上昇させる場合には、シロキサンB、R2の割合の多いシロキサンAB等を用いることが好適である。本発明の硬化性樹脂組成物の屈折率を上げるためには、高屈折率の金属酸化物微粒子を併用することもできるが、真比重が高い点、高度な透明性の実現が容易ではない点、カチオン重合性化合物の安定性にマイナスの影響を与える点から、本願発明におけるオルガノシロキサン化合物を用いることが好ましい。オルガノシロキサン化合物の中でも、反応性基のないオルガノシロキサン化合物(メタロキサンポリマー)が好適であり、水酸基やアルコキシ基等上記オルガノシロキサン化合物の式中Y基のないものがより好適である。
上記(1)の形態としては、オルガノシロキサン化合物としてシロキサンA(上記平均組成式においてb=0)を含有する形態(形態(1−1))、オルガノシロキサン化合物としてシロキサンB(上記平均組成式においてa=0)を含有する形態(形態(1−2))、オルガノシロキサン化合物としてシロキサンAB(上記平均組成式においてa≠0かつb≠0)を含有する形態(形態(1−3))が好ましい。形態(1−3)は言い換えると、上記シロキサンABにおけるR1とR2の割合によりアッベ数及び/又は屈折率を制御する形態、すなわち、シロキサンABを用いて該シロキサンABのR1含有量を変化させる形態(形態(b)ともいう)である。
上記形態(2)としては、R1とR2の含有比率の異なるオルガノシロキサン化合物2種以上を併用する形態が好ましい。具体的には、シロキサンAとシロキサンBとを併用する形態(形態(2−1))、2種以上のシロキサンABを併用する形態(形態(2−2))、シロキサンAとシロキサンABとを併用する形態(形態2−3))、シロキサンBとシロキサンABとを併用する形態(形態2−4))が好適である。なお、上記形態(2−1)において、「シロキサンAとシロキサンBとを併用する」とは、シロキサンAとシロキサンBとを必須として含むことを言い、その他のオルガノシロキサン化合物(例えば、シロキサンAB)を含んでいてもよい。形態(2−2)〜(2−4)、及び、以下の形態(2)に関する説明についても同様である。すなわち、シロキサンA、シロキサンB及びシロキサンABのすべてを含む形態も上記形態(2−1)〜(2−4)の好適な形態の一つである。
上記形態(2−2)は、R1とR2の含有比率の異なる2種以上のシロキサンABを併用する形態である。例えば、R1>R2である2種以上のシロキサンABを併用する形態も含まれる。より好ましくは、R1>R2であるシロキサンABとR1<R2であるシロキサンABとを併用する形態である。上記形態(2−3)としてより好ましくは、シロキサンAとR1<R2であるシロキサンABとを併用する形態である。上記形態(2−4)としてより好ましくは、シロキサンBとR1>R2であるシロキサンABとを併用する形態である。
なお、上述したように、シロキサンAとは、上記オルガノシロキサン化合物(I)に含まれ、上記平均組成式におけるb=0のものをいい、シロキサンBとは、上記オルガノシロキサン化合物(II)に含まれ、平均組成式におけるa=0のものをいう。シロキサンABとは、上述の平均組成式においてa≠0かつb≠0のものをいう。また、R1>R2は、平均組成式において、R1の割合の方がR2の割合より多いことを意味し、a>bであることを言う。R1<R2についても同様であり、a<bであることを意味する。
上記形態(ii)としては、脂肪族エポキシ化合物、水添エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つを用いる形態、上記形態(iii)としては、芳香族エポキシ化合物の中の1種又は2種以上を用いる形態が好適である。
上記製造方法において、更に好ましくは、(i)〜(iii)において、R1がアルキル基であり、R2がフェニル基である形態である。このように、上記光学材料のアッベ数及び/又は屈折率を制御する方法であって、該制御方法は、エポキシ基含有化合物として、脂肪族エポキシ化合物、水添エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つと、芳香族エポキシ化合物とを併用し、オルガノシロキサン化合物のアルキル基とフェニル基との割合を変化させてアッベ数及び/又は屈折率を制御する光学材料の制御方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記制御方法において、R1がアルキル基であり、R2がフェニル基であることがより好ましい。すなわち、上記光学材料のアッベ数及び/又は屈折率を制御する方法であって、該制御方法は、エポキシ基含有化合物として、脂肪族エポキシ化合物、水添エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つを用い、オルガノシロキサン化合物の飽和脂肪族炭化水素基(R1)とアリール基及びアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも一種(R2)との割合を、a/(a+b)×100=0〜100%の範囲で変化させてアッベ数及び/又は屈折率を制御する光学材料の制御方法もまた、本発明の一つである。なお、「オルガノシロキサン化合物の飽和脂肪族炭化水素基(R1)とアリール基及びアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも一種(R2)との割合を変化させ」るとは、R1又はR1の割合が0となる場合も含まれる。すなわち、オルガノシロキサン化合物が飽和脂肪族炭化水素基(R1)を含まない場合、オルガノシロキサン化合物がアリール基及びアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも一種(R2)を含まない場合も含まれる。
上記R1とR1との割合a/(a+b)×100としては、上述と同様であることが好ましい。すなわち、上記樹脂組成物及び硬化物として、屈折率が低いものを得たい場合、脂肪族炭化水素基含有量が多い方が好ましい。具体的には、a/(a+b)×100が、50%以上であることが好ましい。より好ましくは、80〜100%であり、更に好ましくは、100%である。樹脂組成物及び硬化物として、屈折率が高いものを得たい場合、アリール基又はアラルキル基含有量が多い方が好ましい。具体的には、a/(a+b)×100が、50%未満であることが好ましい。より好ましくは、0〜20%であり、更に好ましくは、0%である。
上記光学材料の制御方法は、エポキシ基含有化合物として、脂肪族エポキシ化合物、水添エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つと、芳香族エポキシ化合物とを併用することが好ましい。
上記オルガノシロキサン化合物(I)と、オルガノシロキサン化合物(II)との割合としては、(I)/((I)+(II))×100=0〜100%の範囲であることが好ましい。屈折率が低いものを得たい場合は、50%以上であることが好ましい。より好ましくは、80〜100%であり、更に好ましくは、100%である。屈折率が高いものを得たい場合は、50%未満であることが好ましい。より好ましくは、0〜20%であり、更に好ましくは、0%である。
R1aR2bYcSiOd
(式中、R1は、飽和脂肪族炭化水素基を表す。R2は、アリール基及びアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。Yは、RO基、水酸基、ハロゲン原子及び水素原子からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。a、b、c及びdは、0≦a<3、0≦b<3、0≦c<3、0<a+b+c<3、0<a+b<3、及び、a+b+c+2d=4を満たす。)で示されるオルガノシロキサン化合物を1種又は2種以上用いオルガノシロキサン化合物総量におけるR1とR2との割合を変化させてアッベ数及び/又は屈折率を制御する光学材料の制御方法もまた、本発明の一つである。
上記形態においては、実質的にエポキシAのみを用いるものであることが好ましく、上述した(i)〜(iii)の全てを含む形態において、エポキシBが含まれない形態であることが好ましい。すなわち、上記(i)〜(iii)の形態であって、エポキシAを主成分とする形態も好ましい。
上記(i)と(ii)とを用いる形態においては、上記形態(i)が上記形態(a)であるものも好適である。このように、上記光学材料のアッベ数及び/又は屈折率を制御する方法であって、該制御方法は、有機樹脂成分として、脂肪族エポキシ化合物、水添エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物からなる群の1種又は2種以上を用い、オルガノシロキサン化合物として、シロキサンAと、シロキサンBとを併用し、該オルガノシロキサン化合物のシロキサンA含有量を変化させる光学材料の制御方法も、好ましい形態の一つである。
上述した制御方法において、オルガノシロキサン化合物がR1及び/又はR2を有する場合、R1が、アルキル基であり、R2がフェニル基であることが好ましい。このように、上記光学材料の制御方法は、オルガノシロキサン化合物として、飽和脂肪族炭化水素基が、アルキル基であり、アリール基及びアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも一つがフェニル基である光学材料の制御方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記制御方法において、具体的な方法としては、上記樹脂組成物等において詳述したとおりであることが好ましい。
本発明はまた、上記光学材料の制御方法を用いる光学材料の製造方法でもある。このような製造方法としては、上記樹脂組成物を製造できるものである限り特に限定されないが、例えば、オルガノシロキサン化合物、有機樹脂の均一混合が困難な場合には、(1)オルガノシロキサン化合物、有機樹脂及び溶媒を含む混合物を調製する工程と、(2)上記混合物から溶媒を脱気する脱気工程とを含むものであることが好ましい。
上記(1)の調製工程としては、上記3成分が含まれる混合物が調製できれば特に限定されず、3成分が均一に混合されていればよく、任意の添加(配合)順序、混合方法を用いることができる。更に、上記混合物にはその他の成分が含まれていてもよい。
上記調製工程としては、減圧度を調整して、100℃以下で調製を行うことが好ましい。
上記調製工程において、有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物と溶媒との割合としては、(有機樹脂成分+オルガノシロキサン化合物)/(有機樹脂成分+オルガノシロキサン化合物+溶媒)=10〜90質量%であることが好ましい。より好ましくは、15〜60質量%である
このような製造方法は、オルガノシロキサン化合物として無機微粒子の溶媒分散体を原料とした場合や、オルガノシロキサンの溶液を原料として用いた場合などに好適に適用することができる。高沸点成分共存下で脱気することにより、オルガノシロキサン化合物を高濃度とすることができ、透明性とアッベ数がいずれも高い樹脂組成物を得ることができる。また、混合物の増粘及びゲル化を効果的に抑えることができ、連続生産が可能となる。なお、「高沸点成分共存下」とは、脱気工程において、高沸点成分が共存する期間があればよく、該共存期間は、脱気工程の全期間であっても一部の期間であってもよいが、増粘防止のため、全期間であることが好ましい。
上記高沸点成分は、高沸点成分は、脱気工程終了時に最終生成物である硬化性樹脂組成物にも含まれることとなる。高沸点成分としては、後述するように、高沸点アルコールであることが好ましい。アルコールは、一般に、シラノール基へのエステル化反応活性が高く、金属水酸基を封鎖する反応が起こりやすいことが知られている。本発明の硬化性樹脂組成物は、例えば、オルガノシロキサンがシラノール基を有する場合、樹脂組成物の製造過程や保存時に高沸点アルコールが共存すると、シラノール基を封鎖する反応が起こり、樹脂組成物の保存安定性が改善される。
上記オルガノシロキサン化合物は、溶液中に分散させたときの25℃におけるpHが3.4〜11であるオルガノシロキサン化合物を有機溶媒分散体として、その有機溶媒分散体に由来する形態を有するオルガノシロキサン化合物である。
上記オルガノシロキサン化合物の好ましい形態は、本明細書中に記載される好ましい形態と適宜組み合わせることができる。
上記高沸点成分の残存量は、ガスクロマトグラフィー(GC)で測定することができる。測定条件としては、下記のとおりである。
(GCの測定条件)
カラム:GLサイエンス社製「DB−17」
キャリアーガス:ヘリウム
流速:1.44mL/分
上記脱気工程において、脱気工程終了とは、その時点の混合物100質量%に対して、溶媒の含有量が5質量%以下となる場合である。脱気工程終了時の溶媒の含有量としてより好ましくは、3質量%以下であり、更に好ましくは、1質量%以下であり、特に好ましくは0.5質量%以下である。
多価アルコールは1価アルコールに比べ、上述したオルガノシロキサン化合物に含まれる金属水酸基へのエステル化反応活性が高いために、樹脂組成物の保存安定性を改善される効果に優れることとなる。
上記高沸点アルコールとしては、また、融点が20℃以下のものであることが好ましい。融点が20℃より高い場合には、樹脂組成物の製造直後や保存時に、高沸点アルコールが析出するおそれがある。
上記製造方法において、製造される樹脂組成物は、有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物とを含むものであるが、有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物としては、上述のものを好適に用いることができる。また、その他の成分や硬化方法等、樹脂組成物に関する記載はすべて上記樹脂組成物の製造方法に好適に適用することができるものである。なお、有機樹脂成分として特に好ましくは、脂環式エポキシ化合物であり、上記有機樹脂成分は、脂環式エポキシ化合物である樹脂組成物の製造方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記オルガノシロキサン化合物の外部添加法、具体的には、オルガノシロキサン化合物の樹脂組成物への添加形態、分散体について説明する。
上記媒体としては、溶媒、可塑剤、モノマー、液状樹脂等を例示することができる。溶媒としては、水、有機溶媒、鉱物油、植物油、ワックス油、シリコーン油等が好適に使用できるが、エポキシ基を有する化合物が容易に溶解する溶媒が好ましい。
上記溶媒及びオルガノシロキサン化合物を含む溶液としては、例えば、溶媒分散体の形態が挙げられる。溶媒分散体におけるオルガノシロキサン化合物の含有量については、特に限定はないが、好ましくは溶媒分散体全体の10〜70重量%、さらに好ましくは20〜50重量%であり、溶媒分散体は、この程度の含有量において取扱いやすい。溶媒分散体における溶媒の含有量については、特に限定はないが、好ましくは溶媒分散体全体の90〜30重量%、さらに好ましくは80〜50重量%である。
上記有機溶媒としては、光学材料の製造方法において上述した有機溶媒のなかから適宜選択して用いることができる。
水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)を60g、水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1000、固形水添エポキシ樹脂)を35gそれぞれ秤量し、140℃で均一となるように混合した。更に加えて、100℃でメチルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PMSQ−E、数平均分子量1800)5gを均一になるように混合し、実施例1−1用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)を91g、メチルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PMSQ−E、数平均分子量1800)9gを100℃で均一になるように混合し、実施例1−2用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)を91g、メチルフェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PMPSQ−E、数平均分子量1100)9gを100℃で均一になるように混合し、実施例1−3用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)を65g、水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1000、固形水添エポキシ樹脂)を25gそれぞれ秤量し、140℃で均一となるように混合した。更に加えて、100℃でメチルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PMSQ−E、数平均分子量1800)10gを均一になるように混合し、実施例1−4用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)を55.5g、水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1000、固形水添エポキシ樹脂)を30gそれぞれ秤量し、140℃で均一となるように混合した。更に加えて、100℃でメチルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PMSQ−E、数平均分子量1800)4.5g、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、セロキサイド2021P、エポキシ当量130)10gを均一になるように混合し、実施例1−5用樹脂組成物を得た。収量100gであり、表中記載の濃度にてステアリン酸、SI−80L添加後の粘度は23Pa・Sであった。
水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)を68g、水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1000、固形水添エポキシ樹脂)を22gそれぞれ秤量し、140℃で均一となるように混合した。更に加えて、100℃でフェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)10gを均一になるように混合し、実施例1−6用樹脂組成物を得た。収量100gであり、表中記載の濃度にてステアリン酸、SI−80L添加後の粘度は18Pa・Sであった。
水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)を53g、水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1000、固形水添エポキシ樹脂)を17gそれぞれ秤量し、140℃で均一となるように混合した。更に加えて、100℃でメチルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PMSQ−E、数平均分子量1800)30gを均一になるように混合し、実施例1−7用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)を55g、水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1000、固形水添エポキシ樹脂)を30gそれぞれ秤量し、140℃で均一となるように混合した。更に加えて、100℃でメチルフェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PMPSQ−E、数平均分子量1100)10g、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、セロキサイド2021P、エポキシ当量130)5gを均一になるように混合し、実施例1−8用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)を5g、水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1000、固形水添エポキシ樹脂)を25gそれぞれ秤量し、140℃で均一となるように混合した。更に加えて、100℃でフェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)3g、メチルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PMSQ−E、数平均分子量1800)7gを均一になるように混合し、実施例1−9用樹脂組成物を得た。収量100gであり、表中記載の濃度にてステアリン酸、SI−80L添加後の粘度は19Pa・Sであった。
水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)を65g、水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1000、固形水添エポキシ樹脂)を15gそれぞれ秤量し、140℃で均一となるように混合した。更に加えて、100℃でフェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)3g、メチルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PMSQ−E、数平均分子量1800)7g、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、セロキサイド2021P、エポキシ当量130)10gを均一になるように混合し、実施例1−10用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1000、固形水添エポキシ樹脂)を50g、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、セロキサイド2021P、エポキシ当量130)45gをそれぞれ秤量し、140℃で均一となるように混合した。更に加えて、100℃でメチルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PMSQ−E、数平均分子量1800)5gを均一になるように混合し、実施例1−11用樹脂組成物を得た。収量100gであり、表中記載の濃度にてステアリン酸、SI−80L添加後の粘度は49Pa・Sであった。
水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)を55g、水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1000、固形水添エポキシ樹脂)を15gそれぞれ秤量し、140℃で均一となるように混合した。更に加えて、100℃でフェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)3g、メチルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PMSQ−E、数平均分子量1800)7g、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、EHPE−3150、エポキシ当量177)20gを均一になるように混合し、実施例1−12用樹脂組成物を得た。収量100gであり、表中記載の濃度にてステアリン酸、SI−80L添加後の粘度67Pa・Sであった。
水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)を20g、水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1000、固形水添エポキシ樹脂)を10gそれぞれ秤量し、140℃で均一となるように混合した。更に加えて、100℃で脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、セロキサイド2021P、エポキシ当量130)40g、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、EHPE−3150、エポキシ当量177)20gを均一になるように混合した。更に加えて、70℃でフェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)3g、メチルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PMSQ−E、数平均分子量1800)7gを均一になるように混合し、実施例1−13用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)を55g、水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1000、固形水添エポキシ樹脂)を15g、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、セロキサイド2081、エポキシ当量201)を20g、それぞれ秤量し、140℃で均一となるように混合した。更に加えて、70℃でフェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)3g、メチルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PMSQ−E、数平均分子量1800)7gを均一になるように混合し、実施例1−14用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、828EL、エポキシ当量188、液状エポキシ樹脂)を60g、ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、JER1007、エポキシ当量1998、固形エポキシ樹脂)を20g、それぞれ秤量し、150℃で均一となるように混合した。更に加えて、90℃で脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、セロキサイド2021P、エポキシ当量130)10g、フェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)10g、を均一になるように混合し、実施例1−15用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、828EL、エポキシ当量188、液状エポキシ樹脂)を60g、ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、JER1007、エポキシ当量1998、固形エポキシ樹脂)を20g、それぞれ秤量し、150℃で均一となるように混合した。更に加えて、90℃で脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、セロキサイド2021P、エポキシ当量130)10g、フェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)10g、を均一になるように混合し、実施例1−16用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、828EL、エポキシ当量188、液状エポキシ樹脂)を60g、ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、JER1007、エポキシ当量1998、固形エポキシ樹脂)を20g、それぞれ秤量し、150℃で均一となるように混合した。更に加えて、90℃で脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、セロキサイド2021P、エポキシ当量130)10g、フェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)10g、を均一になるように混合し、実施例1−17用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、828EL、エポキシ当量188、液状エポキシ樹脂)を20g、ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、JER1007、エポキシ当量1998、固形エポキシ樹脂)を10g、それぞれ秤量し、150℃で均一となるように混合した。更に加えて、100℃で脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、セロキサイド2021P、エポキシ当量130)25g、フルオレン系エポキシ化合物(大阪ガスケミカル社製、オンコ−トEX−1020、エポキシ当量296)35g、フェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)10gを均一になるように混合し、実施例1−18用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、828EL、エポキシ当量188、液状エポキシ樹脂)を55g、ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、JER1007、エポキシ当量1998、固形エポキシ樹脂)を20g、それぞれ秤量し、150℃で均一となるように混合した。更に加えて、80℃で脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、セロキサイド2021P、エポキシ当量130)10g、オキセタン化合物(宇部興産社製、ETERNACOLL(R)、OXBP)5g、フェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)10gを均一になるように混合し、実施例1−19用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、828EL、エポキシ当量188、液状エポキシ樹脂)を25g、ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、JER1007、エポキシ当量1998、固形エポキシ樹脂)を10g、それぞれ秤量し、150℃で均一となるように混合した。更に加えて、100℃で脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、セロキサイド2021P、エポキシ当量130)25g、フルオレン系エポキシ化合物(大阪ガスケミカル社製、オグソ−ルEG−210、エポキシ当量340)30g、フェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)10gを均一になるように混合し、実施例1−20用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1000、固形水添エポキシ樹脂)を10g、ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、828EL、エポキシ当量188、液状エポキシ樹脂)を60g、ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、JER1007、エポキシ当量1998、固形エポキシ樹脂)を15gをそれぞれ秤量し、150℃で均一となるように混合した。更に加えて、100℃で脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、セロキサイド2021P、エポキシ当量130)10g、フェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)5gを均一になるように混合し、実施例1−21用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
100℃で脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、セロキサイド2021P、エポキシ当量130)25g、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、EHPE−3150、エポキシ当量177)15g、フルオレン系エポキシ化合物(大阪ガスケミカル社製、オグソ−ルEG−210、エポキシ当量340)50g、フェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)10gを均一になるように混合し、実施例1−22用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
100℃で脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、セロキサイド2021P、エポキシ当量130)20g、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、EHPE−3150、エポキシ当量177)10g、臭素系エポキシ化合物(ジャパンエポキシレジン社製、JER5050、エポキシ当量395)60g、フェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)8g、メチルフェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PMPSQ−E、数平均分子量1100)2gを均一になるように混合し、実施例1−23用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
100℃で脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、セロキサイド2021P、エポキシ当量130)25g、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、EHPE−3150、エポキシ当量177)15g、臭素系エポキシ化合物(ジャパンエポキシレジン社製、JER5050、エポキシ当量395)15g、フルオレン系エポキシ化合物(大阪ガスケミカル社製、オグソ−ルEG−210、エポキシ当量340)40g、フェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)5gを均一になるように混合し、実施例1−24用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、828EL、エポキシ当量188、液状エポキシ樹脂)を25g、ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、JER1007、エポキシ当量1998、固形エポキシ樹脂)を10g、それぞれ秤量し、150℃で均一となるように混合した。更に加えて、100℃で脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、セロキサイド2021P、エポキシ当量130)25g、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、JER152、エポキシ当量175、多官能エポキシ樹脂)を30g、フェニルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)9g、メチルシリコンオリゴマー(小西化学工業社製、PMSQ−E、数平均分子量1800)1gを均一になるように混合し、実施例1−25用樹脂組成物を得た。収量100gであった。
水添ビスフェノールA(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)22.8gとシリコーン(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)9.8gを均一になるように混合し、実施例1−26用樹脂組成物を得た。収量32.6g、粘度3Pa・sであった。NMRより求めた不飽和結合の量は、18質量%であった。
水添ビスフェノールA(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)を比較例1−1用樹脂組成物として用いた。
合成例1−28(YL−7170=100(wt%))
水添ビスフェノール(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1000、固形水添エポキシ樹脂)53.7g、イソプロパノール36.7gを80℃で混合し、比較例1−2用樹脂組成物を得た。
合成例1−29(828EL=100(wt%))
ビスフェノールA(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート 828EL、エポキシ当量184〜194)を比較例1−3用樹脂組成物として用いた。
水添ビスフェノールA(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)168gとオルガノシリカゾル(日産化学工業社製、MEK−ST、粒子径10〜15nm、固形分30%)240gを均一になるように混合し、80℃でエバポレーターを用いて溶媒の減圧留去を行った。収量249.7g、粘度40Pa・sであった。
合成例1−30で得られた樹脂組成物を93.6g、YX−8000を10gそれぞれ秤量し、50℃で均一になるように混合し、実施例1−27用樹脂組成物を得た。収量103.6g、粘度1Pa・sであった。
水添ビスフェノールA(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)27gとオルガノシリカゾル(日産化学工業社製、MEK−ST、粒子径10〜15nm、固形分30%)60gを均一になるように混合し、80℃でエバポレーターを用いて溶媒の減圧留去を行い、実施例1−28用樹脂組成物を得た。収量47.32g、粘度880Pa・sであった。
合成例1−30で得られた樹脂組成物を34.7g、水添ビスフェノール(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1000、固形水添エポキシ樹脂)を25g、YX−8000を41.6gそれぞれ秤量し、80℃で均一になるように混合し、実施例1−29用樹脂組成物を得た。収量101.3g、粘度130Pa・sであった。
(硬化用樹脂組成物の調製)
上記樹脂組成物(実施例1−1〜実施例1−25)に対しては、離型剤としてステアリン酸を全重量に対して表1記載の濃度となるように添加し、80℃で均一混合した。50℃に冷却後、熱潜在性カチオン発生剤(カチオン系重合開始剤)(三新化学工業社製、サンエイドSI−80L,固形分50%)を全重量に対して表1記載の濃度となるように添加し均一になるように混合した。
上記樹脂組成物(比較例1−1〜比較例1−3、実施例1−26〜実施例1−29)に対しては、離型剤としてステアリン酸を全重量に対して0.5wt%となるように、80℃で均一混合した。50℃に冷却後、カチオン系重合開始剤(三新化学工業社製、サンエイドSI−80L)を全重量に対して1wt%(固形分換算で0.5wt%)となるように添加し均一になるように混合した。
(成形体)
樹脂組成物を必要に応じて熱を加え(50℃等)減圧脱泡処理を行った後、溶媒の存在により気泡が発生する場合には、減圧処理を行いながら、150℃2時間で硬化を行い、実施例1−1〜実施例1−25は500μmのフィルムを、実施例1−26〜実施例1−29、比較例1−1〜比較例1−3は表中に記載の膜厚のフィルムを得た。
得られた樹脂組成物及び成型体について、下記の物性を評価した。結果を表1〜3に示す。
濁度:濁度計(日本電色社製、NDH2000)を用いて評価した。
(硬化物):前述の成型体、フィルムのヘイズを評価した。
透過率:吸光度計(島津製作所製、分光光度計UV−3100)を用いて、波長500nmにおける硬化物の透過率を評価した。
(硬化物):前述の成型体、フィルムの透過率を評価した。実施例1−7、1−10、1−20、1−24については、260℃、5分乾燥機内に保持した後のフィルムの透過率も評価した。
<粘度>
離型剤、硬化剤を加える前の樹脂組成物の40℃、回転速度D=1/s時の粘度をR/Sレオメーター(米国ブルックフィールド社製)にて評価した。粘度20Pa・s以上ではRC25−1の測定治具を使用し、20未満ではRC50−1の治具を使用した。D=1/s時点の粘度が測定できないものについては、D=5〜100/sの値を外挿して、樹脂組成物の粘度として評価した。
<屈折率、アッベ数の評価>
屈折率計(アタゴ社製、DR−M2)を用いて20℃にて評価した。
(硬化物):前述の成形体、フィルムの屈折率、アッベ数を評価した。
Claims (15)
- 有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物とを含む樹脂組成物であって、
該有機樹脂成分は、エポキシ基含有化合物を含むものであり、
該オルガノシロキサン化合物は、下記平均組成式:
R1aR2bYcSiOd
(式中、R1は、飽和脂肪族炭化水素基を表す。R2は、アリール基及びアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。Yは、RO基、水酸基、ハロゲン原子及び水素原子からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。a、b、c及びdは、0≦a<3、0≦b<3、0≦c<3、0<a+b+c<3、0<a+b<3、及び、a+b+c+2d=4を満たす。)で表されることを特徴とする樹脂組成物。 - 前記オルガノシロキサン化合物は、式中、a+bが1又は2であることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
- 前記オルガノシロキサン化合物は、ラダー状であり、式中、a+bが1であることを特徴とする請求項1又は2記載の樹脂組成物。
- 前記オルガノシロキサン化合物は、アルキルシロキサンとフェニルシロキサンとを併用したものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記エポキシ基含有化合物は、脂肪族エポキシ化合物、水添エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、及び、芳香族エポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つを含むものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記エポキシ基含有化合物は、分子量が700以上のものと700未満のものとを必須とするものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物によって構成されることを特徴とする光学材料。
- 請求項7記載の光学材料を硬化させてなることを特徴とする光学部材。
- 請求項7記載の光学材料のアッベ数及び/又は屈折率を制御する方法であって、
該制御方法は、エポキシ基含有化合物として、脂肪族エポキシ化合物、水添エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つと、芳香族エポキシ化合物とを併用し、
それらの割合を変化させてアッベ数及び/又は屈折率を制御することを特徴とする光学材料の制御方法。 - 請求項7記載の光学材料のアッベ数及び/又は屈折率を制御する方法であって、
該制御方法は、エポキシ基含有化合物として、脂肪族エポキシ化合物、水添エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つを用い、前記オルガノシロキサン化合物の飽和脂肪族炭化水素基(R1)とアリール基及びアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも一種(R2)との割合を、a/(a+b)×100=0〜100%の範囲で変化させてアッベ数及び/又は屈折率を制御することを特徴とする光学材料の制御方法。 - 前記光学材料の制御方法は、エポキシ基含有化合物として、脂肪族エポキシ化合物、水添エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つと、芳香族エポキシ化合物とを併用することを特徴とする請求項10記載の光学材料の制御方法。
- 前記光学材料の制御方法は、オルガノシロキサン化合物として、飽和脂肪族炭化水素基含有量がアリール基及びアラルキル基の合計モル数量よりも多いモル数のオルガノシロキサン化合物(I)と、アリール基及びアラルキル基の合計モル数量が飽和脂肪族炭化水素基含有量よりも多いモル数のオルガノシロキサン化合物(II)とを併用し、オルガノシロキサン化合物(I)と、オルガノシロキサン化合物(II)との割合を、(I)/((I)+(II))×100=0〜100%の範囲で変化させることにより、アッベ数及び/又は屈折率を制御することを特徴とする請求項10又は11記載の光学材料の制御方法。
- 前記光学材料の制御方法は、オルガノシロキサン化合物として、飽和脂肪族炭化水素基が、アルキル基であり、アリール基及びアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも一つがフェニル基であることを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の光学材料の制御方法。
- 前記エポキシ基含有化合物は、エポキシシクロヘキサン骨格を有するものであることを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載の光学材料の制御方法。
- 請求項9〜14のいずれかに記載の光学材料の制御方法を用いることを特徴とする光学材料の製造方法。
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