JP5448358B2 - 樹脂組成物、光学材料、及び、光学部材 - Google Patents
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Description
「ポリマー光導波路と関連材料の技術・市場展望」、株式会社 ジャパンマーケティングサーベイ、平成15年2月17日、p.2−6、17−22、28−32
以下に本発明を詳述する。
上記硬化体の屈折率としては、より好ましくは、1.48以下であり、更に好ましくは、1.47以下であり、特に好ましくは、1.46以下である。なお、屈折率の測定方法は、プリズムカプラー(SAIRON TECHNOLOGY社製、「SPA−4000」)を用いる方法等が挙げられる。上記屈折率は、プリズムカプラーを用いて測定した場合に、室温(25℃)の条件下で、波長が830nmの光に対して測定したときの屈折率である。
R1aR2bYcSiOd
(式中、R1は、飽和脂肪族炭化水素基を表す。R2は、アリール基、アラルキル基、及び、アリール基又はアラルキル基の水素原子の一部若しくは全部が脂肪族炭化水素基で置換されてなる基からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。Yは、RO基、水酸基、ハロゲン原子及び水素原子からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。a、b、c及びdは、0<a<3、0≦b<3、0≦c<3、0<a+b+c<3、0<a+b<3、及び、a+b+c+2d=4を満たす。R1、R2、Y、Rが複数個ある場合には、それぞれ同一でもよく、異なっていてもよい。)で表されるオルガノシロキサン化合物を含むことが好ましい。上記樹脂組成物がオルガノシロキサン化合物を含むことにより、硬化収縮率が小さく、厚膜化が可能であり、種々の用途に好適に用いることができる。特に光導波路に用いた場合に、クラッドとコアとの密着性に優れ、光損失を低減する等必要な物性を満たすことができる。また、上記樹脂組成物は、成形が容易であり、加熱硬化特性に優れ、ハンドリング等の作業性がよく、保存安定性に優れたものとなる。また、成形体は、優れた透明性(光学的均質性)、低い屈折率等の光学特性を示し、耐熱性がよく、耐曲げ強度等の機械的特性に優れている。更に、上記オルガノシロキサン化合物は、不活性な(反応性の低い)有機基であるR1及び/又はR2を有することから、本発明の樹脂組成物は、長期間保存しても経時的な粘度の上昇が小さく、硬化剤や硬化触媒を添加しても常温でゲル化反応が進行し難い。
上記オルガノシロキサン化合物は、R1が上記のものであればいずれも好適に用いることができるが、中でも、R1がアルキル基であることが好ましい。R1として、特に好ましくは、メチル基である。
上記R1としてより好ましくは、工業的に入手しやすい点で、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルへキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロへキシル基であり、更に好ましくは、メチル基、シクロへキシル基である。
上記飽和脂肪族炭化水素基が、オルガノシロキサン化合物の1分子中に複数ある場合は、同一であっても異なっていてもよい。
上記R2としては、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基などのアリール基;ベンジル基などのアラルキル基;メチルフェニル基(トルイル基)、ジメチルフェニル基(キシリレン基)、ジエチルフェニル基、メチルベンジル基などの如く、アリール基、アラルキル基の水素原子の一部又は全部が、脂肪族炭化水素基で置換されてなる基が好ましい。これらを総称して無置換−炭化水素基(II)と称することがある。
上記R2としては、工業的に入手し易い点でフェニル基、ベンジル基が特に好ましい。最も好ましくは、フェニル基である。
上記非反応性置換基において、上記ハロゲン原子としてはフッ素原子が好ましい。
上記アルコキシ基としては、アルコキシ基を構成するアルキル鎖が、R1における脂肪族炭化水素基(1)群に例示したアルキル基であるもの、又は、同じく(2)群に例示したシクロアルキル基であるものが好ましい。より好ましくは、メチル基、シクロへキシル基である。
上記反応性置換基ならびに反応性基置換−炭化水素基は、樹脂組成物に含まれると、本発明の有機樹脂成分に含まれるカチオン重合性基含有化合物と相まって、カチオン硬化速度を向上し、耐熱性を向上させることから、樹脂組成物に含まれることが好ましい。一方、これらの反応性置換基は、硬化性樹脂組成物の粘度を上昇させる場合があることから、本願発明の硬化性樹脂組成物の常温における保存安定性の低下を招くおそれがある。したがって、これらの反応性置換基は、少量含まれることが好ましい。
上記Yは、Rがアルキル基であるOR基、塩素原子、水酸基、水素原子であることが好ましい。より好ましくは、Rが炭素数1〜5のアルキル基からなるOR基であり、更に好ましくは、Rが炭素数1のアルキル基からなるOR基、すなわち、メトキシ基である。
上記Yの含有量としては、低いことが好ましい。Yの含有率が高いと、硬化性樹脂組成物の常温における硬化反応が進むおそれがあるためである。具体的には、平均組成式におけるcの値が、1未満であることが好ましい。より好ましくは、0.4未満であり、更に好ましくは、0.1未満であり、特に好ましくは、0.01未満である。最も好ましくは、0である。またR1、R2の合計モル数に比べ、Yの含有モル数が小さいことが、同様の理由から好ましい。具体的には、c<a+bであることが好ましい。より好ましくは、c<(a+b+c)×0.4である。すなわち、本発明の硬化性樹脂組成物において、上記オルガノシロキサン化合物を表す平均組成式は、c<(a+b+c)×0.4を満たすことが好ましい。言い替えれば、本発明の硬化性樹脂組成物において、上記平均組成式で表されるオルガノシロキサン化合物であり、該式におけるYの含有量がc<(a+b+c)×0.4を満たすことが好ましい。更に好ましくは、c<(a+b+c)×0.2であり、特に好ましくは、c<(a+b+c)×0.1であり、最も好ましくは、c<(a+b+c)×0.01である。
上記オルガノシロキサン化合物分子の結合基における、上記R1又はR2からなる炭化水素基の割合は、末端結合基100モル%に対し、50モル%以上であることが好ましい。より好ましくは、80モル%以上であり、更に好ましくは、90モル%以上であり、特に好ましくは、100モル%である。
より好ましくは、0.2未満であり、更に好ましくは、0.1未満であり、特に好ましくは、0.01未満である。一方、樹脂の屈折率を低くしたい場合には、bの割合b/(a+b+c)は、0.4未満が好ましい。より好ましくは0.2未満であり、更に好ましくは0.1未満であり、最も好ましくは0.01未満である。
上記オルガノシロキサン化合物において、a、b、c及びdとしては、a=1、b=0、c=0〜0.4及びd=1.5〜1.3であることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物において、上記オルガノシロキサン化合物は、ラダー状シルセスキオキサン化合物であることが好ましい。また上記オルガノシロキサン化合物は、上記平均組成式に示されるオルガノシロキサン化合物であり、ラダー状シルセスキオキサン化合物であることが好ましい。なお、ラダー状とは、シルセスキオキサン化合物の分子形態を表し、当該分子形態を表す技術用語として認められている意味を有するものである。
上記オルガノシロキサン化合物の製造方法としては、本発明の作用効果を発揮する限り特に限定されないが、例えば、下記式(I):
R1sSiX1 (4−s) (I)
(上記式中、R1は上述のR1と同じである。X1は、加水分解性基を表す。sは、1、2又は3である。)、下記式(II):
R2tSiX2 (4−t) (II)
(上記式中、R2は上述のR2と同じである。X2は、加水分解性基を表す。tは、1、2又は3である。)、及び、下記式(III):
R1s´R2t´SiX3 (4−s´−t´) (III)
(上記式中、R1及びR2は上述のR1及びR2と同じである。X3は、加水分解性基を表す。s´及びt´は、同一又は異なって、1又は2であり、s´+t´は、2又は3である。)で表される加水分解性シラン化合物を、単独又は混合して有機溶媒中で加水分解・縮合して得ることが好ましい。
上記式(I)〜(III)において、X1、X2及びX3としては、同一でもよく異なってもよく、RO基、水酸基、水素原子、ハロゲン原子であることが好ましい。なお、Rとしては、アルキル基を表す。Rの炭素数としては、1〜5が好ましく、1又は2がより好ましい。
X1、X2及びX3としては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、塩素原子であることが好ましい。
上記シラン化合物(1)及びシラン化合物(2)を共加水分解・縮合するか、上記シラン化合物(1)及び/又はシラン化合物(2)と式(III)で表されるシラン化合物(シラン化合物(3))とを共加水分解・縮合するか、上記シラン化合物(3)を単独で加水分解・縮合することにより、上記シロキサンABが得られることとなる。なお、上記シラン化合物(1)及びシラン化合物(2)を共加水分解・縮合する場合、上記式(I)や(II)において、R1、R2等は適宜設定することができ、同一又は異なるシロキサン化合物(AB)を得ることができることとなる。
上記式(III)において、s´及びt´は、1であることが好ましい。
Si(X4)4 (IV)
(式中、X4は、加水分解性基を表す。)で表されるシラン化合物(シラン化合物(4))ものであることが好適である。
上記X4は、同一又は異なっていてもよく、好ましい態様も上記X1〜X3と同様である。
本発明の硬化性樹脂組成物においては、上記有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物とを含むものであるが、有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物との合計100質量%に対し、有機樹脂成分を10〜99.9質量%、オルガノシロキサン化合物を0.1〜90質量%含むことが好ましい。このような含有量とすることで、透明性とアッベ数がいずれも高い硬化性樹脂組成物とすることができる。特に、有機樹脂成分として熱硬化性樹脂を用いた場合には、熱可塑性樹脂にはできない耐熱性の克服が可能であり、ガラスにはできない複雑で安価な加工が可能となる。上記含有量としてより好ましくは、有機樹脂成分が20〜99質量%、オルガノシロキサン化合物が0.1〜70質量%であり、更に好ましくは、有機樹脂成分が50〜90質量%、オルガノシロキサン化合物が1〜50質量%である。
本発明の樹脂組成物は、カチオン重合性基含有化合物を有機樹脂成分として含むものであることが好ましい。このような樹脂組成物は、カチオン重合性基を分子中に少なくとも1個有する化合物を含む樹脂組成物であり、「カチオン硬化性樹脂組成物」とも言う。カチオン硬化性樹脂組成物としては、カチオン重合性基を2個以上有する化合物を含むことが好ましい。より好ましくは、カチオン重合性基を2個以上有する多官能カチオン硬化性化合物を含むことである。
上記硬化性樹脂組成物は、カチオン硬化性樹脂組成物(カチオン重合性基を有する樹脂成分)であることにより、硬化剤を用いずに硬化することができ、本発明の作用効果を充分に発揮し、保存安定性に優れたものとし、更に着色しないものとすることができる。
上記カチオン重合性基含有化合物は、上述したカチオン重合性基を1種又は2種以上有するものである。好ましい形態としては、エポキシ基含有化合物を有する形態、エポキシ基含有化合物とそれ以外のカチオン重合性基を有する化合物とを併用する形態である。エポキシ基含有化合物とそれ以外のカチオン重合性基を有する化合物とを併用する形態は、エポキシ基含有化合物以外のカチオン重合性基を有する化合物を樹脂組成物に添加することで、硬化速度(カチオン硬化速度)を調整することができる。
上記水添エポキシ化合物としては、芳香族エポキシ化合物の完全又は部分水添物等が好ましい。なお、芳香族エポキシ化合物は、芳香族グリシジルエーテル化合物を含む。
上記エポキシ基含有化合物の中でも、脂環式エポキシ化合物、水添エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物がこの順に好ましい。具体的には、脂環式エポキシ化合物としては、脂環式エポキシ基を有する多官能脂環式エポキシ化合物(以下、単に「多官能脂環式エポキシ化合物」とも言う。)が好適である。水添エポキシ化合物としては、飽和脂肪族環状炭化水素骨格に直接的又は間接的に結合したグリシジルエーテル基を有する多官能グリシジルエーテル化合物(以下、単に「多官能グリシジルエーテル化合物」とも言う。)が好適である。脂肪族エポキシ化合物としては、脂肪族グリシジルエーテル化合物が好適である。芳香族エポキシ化合物としては、芳香族グリシジルエーテル化合物が好適である。これらの中でもより好ましくは、硬化性樹脂組成物の硬化速度が高い点で、多官能脂環式エポキシ化合物、多官能グリシジルエーテル化合物である。このように、高い硬化速度を発揮できることから、触媒量が同じであれば、より短時間で硬化物を得ることができる。
本発明の樹脂組成物(硬化性樹脂組成物)は、有機樹脂成分としてエポキシ基含有化合物を含むものであることが好ましい。エポキシ基含有化合物を含む場合、本発明の樹脂組成物を種々の用途、特に、光導波路用途において好適に用いることができる。従来のポリマー系材料、例えば、アクリル樹脂では、硬化収縮率が大きく、1〜2mm程度の厚膜とした場合にクラックが入り成膜することが困難であったが、エポキシ基含有化合物を含む樹脂組成物においては硬化収縮率が小さく、クラックが入ることなく好適に成膜することができる。また、硬化収縮率が小さいと、クラッドとコアとの密着性が高まり、クラッドとコアとの間での光の屈折の際に光のもれが生じにくくなり、光損失を低減することができる。
上記エポキシ(メタ)アクリレートとは、1官能以上のエポキシドと(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートであり、エポキシドとしては、例えば、(メチル)エピクロルヒドリンと、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールS、水添ビスフェノールF、それらのエチレンオキシド、プロピレンオキシド変性物等から合成されるエピクロルヒドリン変性水添ビスフェノール型エポキシ樹脂;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート等の脂環式エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート等のヘテロ環含有のエポキシ樹脂等の脂環式エポキシド;
(メチル)エピクロルヒドリンと、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF、それらのエチレンオキシド、プロピレンオキシド変性物等から合成されるエピクロルヒドリン変性ビスフェノール型のエポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエンと各種フェノール類と反応させて得られる各種ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のエポキシ化物;2,2´,6,6´−テトラメチルビフェノールのエポキシ化物、フェニルグリシジルエーテル等の芳香族エポキシド;
(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)ブチレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類の(ポリ)グリシジルエーテル;グリコール類のアルキレンオキシド変性物の(ポリ)グリシジルエーテル;トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ジグリセリン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の脂肪族多価アルコールの(ポリ)グリシジルエーテル;脂肪族多価アルコールのアルキレンオキシド変性物の(ポリ)グリシジルエーテル等のアルキレン型エポキシド;
アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボン酸のグリシジルエステル、多価アルコールと多価カルボン酸とのポリエステルポリオールのグリシジルエーテル;グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレートの共重合体;高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化大豆油、エポキシ化ひまし油、エポキシ化ポリブタジエン等の脂肪族エポキシ樹脂等が好適である。
上記脂環式エポキシ化合物を用いることで、硬化速度の向上が可能であり、光学特性を優れたものとすることができ、種々の用途に好適に用いることができる。
本発明の樹脂組成物は、その硬化体の屈折率が1.49以下と低いものであるが、樹脂組成物や硬化体の用途に応じて所望の屈折率のものを得ることができる。具体的には、有機樹脂成分(特に、エポキシ基含有化合物)及び/又はオルガノシロキサン化合物を適宜選択することにより、屈折率を所望のものとすることができる。また、通常、屈折率とアッベ数とは連動して変化し、屈折率を低くする場合は、アッベ数は高くなる。したがって、屈折率だけでなくアッベ数を変化させたい場合にも、好適に適用することができる。
なお、本発明の樹脂組成物は、硬化体の屈折率が1.49以下であり、この屈折率を満たす好適な有機樹脂成分及び/又はオルガノシロキサン化合物は、上述のとおりである。したがって、以下に示す説明は、これを満たしたうえで更にアッベ数及び/又は屈折率を変える場合の説明であり、「主成分」等の説明もこのような要件を満たしたうえで主成分となることを意味する。
以下、高アッベ数、低屈折率の樹脂組成物及び硬化物を目的とする場合について、更に説明する。
上記高アッベ数、低屈折率の硬化性樹脂組成物に含まれるオルガノシロキサン化合物としては、不活性かつ低屈折率のオルガノシロキサン化合物であることが好ましい。具体的には、上述したシロキサンA及びシロキサンABの少なくとも一方であるオルガノシロキサン化合物が好適である。飽和脂肪族炭化水素基は、鎖状であっても環状であってもよい。
上記高アッベ数、低屈折率の硬化性樹脂組成物として好適なオルガノシロキサン化合物の含有量としては、オルガノシロキサン化合物100質量%中、50質量%以上が好ましく、更に80質量%以上が好ましく、特に100質量%が好ましい。
上記特性を有する樹脂組成物においては、エポキシ基含有化合物として、脂肪族エポキシ化合物、水添エポキシ化合物、及び、脂環式エポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つのエポキシ基含有化合物(エポキシA)が主成分であることが好ましい。これらの化合物の具体例は、上述したとおりである。
上記エポキシAを主成分とする場合、該エポキシAの含有量としては、エポキシAが全有機樹脂成分中、60質量%以上であることが好ましい。60質量%以上であれば、有機樹脂成分の主成分となり、エポキシAの効果が充分に発揮されることとなり、高アッベ数、低屈折率の樹脂組成物及び硬化物を得ることができる。エポキシAの含有量としてより好ましくは、80質量%以上であり、更に好ましくは、95質量%以上である。
上記脂肪族オキセタン化合物を主成分とする場合、該脂肪族オキセタン化合物の含有量としては、脂肪族オキセタン化合物が全有機樹脂成分中、60質量%以上であることが好ましい。60質量%以上であれば、有機樹脂成分の主成分となり、脂肪族オキセタン化合物の効果が充分に発揮されることとなり、高アッベ数、低屈折率の樹脂組成物及び硬化物を得ることができる。脂肪族オキセタン化合物の含有量としてより好ましくは、80質量%以上であり、更に好ましくは、95質量%以上である。
上記エポキシAと脂肪族オキセタン化合物とにより主成分を構成する場合、該エポキシAの含有量としては、エポキシAと脂肪族オキセタン化合物との合計質量が全有機樹脂成分中、60質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、80質量%以上であり、更に好ましくは、95質量%以上である。
上記水添エポキシ化合物としては、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂等が好ましい。これらの中でも、より好ましくは脂環式エポキシ化合物;水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物において、有機樹脂成分は、分子量(重量平均分子量)が700以上である有機樹脂を必須とするものであることが好ましい。有機樹脂成分がこのような分子量を有する有機樹脂を含むことにより、樹脂組成物を硬化させたときに、好適な材料強度とすることができる。上記有機樹脂成分に必須として含まれる有機樹脂の分子量としては、700〜10000であることが好ましい。分子量が10000を超えると、樹脂組成物の透明性が充分ではなくなるおそれがある。
上記樹脂組成物において、分子量が700以上の成分(有機樹脂)が樹脂組成物総量100質量%に対し、10質量%以上含まれることが好ましい。また、成型のしやすさの面から、分子量が700以上の成分(具体的には、700〜1万)は90質量%以下とすることが好ましい。分子量が700以上の有機樹脂の含有量としてより好ましくは、10〜80質量%である。20〜80質量%、20〜70質量%も好適である。更に好ましくは、30〜70質量%である。また、30質量%以上であることが好ましい。例えば30〜90質量%が好適である。このように、分子量が700以上の有機樹脂成分を10〜90質量%含んでなる樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。なお、有機樹脂の分子量の測定方法としては、下記のとおりである。
上記有機樹脂成分の分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー社製、商品名「HLC−8220GPC」を用い、下記の条件で測定することができる。
(分子量の測定条件)
カラム:東ソー社製「TSK−GEL SUPER HZM−N 6.0*150」×4本
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.6mL/分
温度:40℃
検量線:ポリスチレン標準サンプル(東ソー社製)を用いて作成。
上記高分子量成分の分子量としては、上述した分子量(重量平均分子量)が700以上である有機樹脂と同様であることが好ましい。具体的には、700〜10000が好ましい。
上記2種以上の分子量を有する有機樹脂成分としては、2種以上のエポキシ化合物又は脂肪族オキセタン化合物の組み合わせであることが好ましい。
上記分子量が700以上のものと700未満のものの割合としては、〔700以上/(樹脂組成物全体)〕=10〜90であることが好ましい。より好ましくは、20〜80であり、更に好ましくは、30〜70である。なお、有機樹脂の具体例としては、上述したとおりである。
また低分子量成分と高分子量成分の割合としては、高分子量成分/(有機樹脂成分総量)=30〜90質量%であることが好ましい。より好ましくは、35〜80質量%であり、更に好ましくは、40〜70質量%である。
上記2種以上の分子量を有する有機樹脂成分としては、上述したように、2種以上のエポキシ化合物であることが好ましい。中でも、脂肪族エポキシ化合物又は脂肪族オキセタン化合物を含むことが好適である。このように、分子量の異なる2種以上のエポキシ化合物をオルガノシロキサン化合物と溶媒5%以下で混合してなる樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記硬化触媒としては、従来公知のものを好適に用いることができ、例えば、カチオン硬化触媒が好ましい。このように、上記樹脂組成物は、カチオン硬化触媒を含む樹脂組成物(カチオン硬化系樹脂組成物)が好ましい。カチオン硬化触媒を有することで、硬化剤を用いた系に比べて硬化性樹脂組成物の保存安定性がより優れたものとなる。更に、硬化性樹脂組成物の硬化速度を速くすることができ、生産性よく硬化物を得ることができる。また、得られる硬化物は、耐熱性、透明性、機械的特性に優れるものとなる。なお、上記カチオン硬化系樹脂組成物としては、カチオン重合性基を有する有機樹脂成分を必須とするものであることが好ましい。
上記熱潜在性カチオン発生剤とは、熱潜在性硬化剤、熱潜在性硬化触媒、カチオン重合開始剤とも呼ばれ、樹脂組成物において硬化温度になれば、硬化剤としての実質的な機能を発揮するものである。熱潜在性カチオン発生剤は後述する硬化剤と異なり、樹脂組成物に含まれていても、樹脂組成物の常温での経時的な粘度上昇やゲル化を引き起こすことなく、また、熱潜在性カチオン発生剤の作用として、硬化反応を充分に促進することができ、優れた効果を発揮することができ、ハンドリング性に優れた一液性樹脂組成物(一液性光学材料)を提供することができる。特に、硬化性樹脂組成物を光学材料として用いる場合には、熱潜在性カチオン発生剤を含むカチオン硬化系樹脂組成物であることが好ましい。カチオン硬化系樹脂組成物は保存安定性に優れる点で好ましい。このように、エポキシ基等のカチオン重合性基を有する有機樹脂成分、及び、熱潜在性カチオン発生剤を含む樹脂組成物であって、上記平均組成式で表されるオルガノシロキサン化合物を含有する樹脂組成物(硬化性樹脂組成物)の保存安定性改良方法もまた本発明の好ましい形態の一つである。カチオン硬化系樹脂組成物における有機樹脂成分は硬化速度の向上の観点からは、脂環式エポキシ化合物、水添エポキシ化合物が好ましく、触媒量を減量するという観点からは、脂環式エポキシ化合物が好ましい。
(R5 eR6 fR7 gR8 hZ)+k(AXn2)−k(3)
(式中、Zは、S、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、N及びハロゲン元素からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を表す。R5、R6、R7及びR8は、同一又は異なって、有機基を表す。e、f、g及びhは、0又は正数であり、e、f、g及びhの合計はZの価数に等しい。カチオン(R5 eR6 fR7 gR8 hZ)+kはオニウム塩を表す。Aは、ハロゲン化物錯体の中心原子である金属元素又は半金属元素(metalloid)を表し、B、P、As、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Coからなる群より選ばれる少なくとも一つである。Xは、ハロゲン元素を表す。kは、ハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷である。n2は、ハロゲン化物錯体イオン中のハロゲン元素の数である。)で表されるものであることが好ましい。
また硬化条件としては硬化温度を段階的に変化させてもよい。例えば、樹脂組成物の硬化物を製造する上での生産性を向上する目的で型内に所定の温度・時間で保持した後、型から取り出して空気又は不活性ガス雰囲気内に静置して熱処理することも可能である。この場合の硬化温度としては型内保持温度を25℃〜250℃、より好ましくは60℃〜200℃、更に好ましくは80〜180℃であり、保持時間は10秒〜5分、より好ましくは30秒〜5分である。
更に一般式AXn(OH)−で表される陰イオンも用いることができる。また、その他の陰イオンとしては、過塩素酸イオン(ClO4 −)、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CF3SO3 −)、フルオロスルホン酸イオン(FSO3 −)、トルエンスルホン酸イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸イオン等が挙げられる。
スルホニウム塩タイプ:CYRACUREシリーズ(ユニオンカーバイド社製)、UVIシリーズ(ゼネラル・エレクトリック社製)、FCシリーズ(3M社製)、CDシリーズ(サトーマー社製)、オプトマーSPシリーズ・オプトマーCPシリーズ(アデカ社製)、サンエイドSIシリーズ(三新化学工業社製)、CIシリーズ(日本曹達社製)、WPAGシリーズ(和光純薬社製)、CPIシリーズ(サンアプロ社製)
等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物の製造方法としては、上記樹脂組成物を製造できるものである限り特に限定されないが、例えば、オルガノシロキサン化合物、有機樹脂の均一混合が困難な場合には、(1)オルガノシロキサン化合物、有機樹脂及び溶媒を含む混合物を調製する工程と、(2)上記混合物から溶媒を脱気する脱気工程とを含むものであることが好ましい。
上記(1)の調製工程としては、上記3成分が含まれる混合物が調製できれば特に限定されず、3成分が均一に混合されていればよく、任意の添加(配合)順序、混合方法を用いることができる。更に、上記混合物にはその他の成分が含まれていてもよい。
上記調製工程としては、減圧度を調整して、100℃以下で調製を行うことが好ましい。
上記調製工程において、有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物と溶媒との割合としては、(有機樹脂成分+オルガノシロキサン化合物)/(有機樹脂成分+オルガノシロキサン化合物+溶媒)=10〜90質量%であることが好ましい。より好ましくは、15〜60質量%である。
このような製造方法は、オルガノシロキサン化合物として無機微粒子の溶媒分散体を原料とした場合や、オルガノシロキサンの溶液を原料として用いた場合などに好適に適用することができる。高沸点成分共存下で脱気することにより、オルガノシロキサン化合物を高濃度とすることができ、透明性とアッベ数がいずれも高い樹脂組成物を得ることができる。また、混合物の増粘及びゲル化を効果的に抑えることができ、連続生産が可能となる。なお、「高沸点成分共存下」とは、脱気工程において、高沸点成分が共存する期間があればよく、該共存期間は、脱気工程の全期間であっても一部の期間であってもよいが、増粘防止のため、全期間であることが好ましい。
上記高沸点成分は、高沸点成分は、脱気工程終了時に最終生成物である硬化性樹脂組成物にも含まれることとなる。高沸点成分としては、後述するように、高沸点アルコールであることが好ましい。アルコールは、一般に、シラノール基へのエステル化反応活性が高く、金属水酸基を封鎖する反応が起こりやすいことが知られている。本発明の硬化性樹脂組成物は、例えば、オルガノシロキサンがシラノール基を有する場合、樹脂組成物の製造過程や保存時に高沸点アルコールが共存すると、シラノール基を封鎖する反応が起こり、樹脂組成物の保存安定性が改善される。
上記オルガノシロキサン化合物は、溶液中に分散させたときの25℃におけるpHが3.4〜11であるオルガノシロキサン化合物を有機溶媒分散体として、その有機溶媒分散体に由来する形態を有するオルガノシロキサン化合物である。
上記オルガノシロキサン化合物の好ましい形態は、本明細書中に記載される好ましい形態と適宜組み合わせることができる。
上記高沸点成分の残存量は、ガスクロマトグラフィー(GC)で測定することができる。測定条件としては、下記のとおりである。
(GCの測定条件)
カラム:GLサイエンス社製「DB−17」
キャリアーガス:ヘリウム
流速:1.44mL/分
上記脱気工程において、脱気工程終了とは、その時点の混合物100質量%に対して、溶媒の含有量が5質量%以下となる場合である。脱気工程終了時の溶媒の含有量としてより好ましくは、3質量%以下であり、更に好ましくは、1質量%以下であり、特に好ましくは0.5質量%以下である。
多価アルコールは1価アルコールに比べ、上述したオルガノシロキサン化合物に含まれる金属水酸基へのエステル化反応活性が高いために、樹脂組成物の保存安定性を改善される効果に優れることとなる。
上記高沸点アルコールとしては、また、融点が20℃以下のものであることが好ましい。融点が20℃より高い場合には、樹脂組成物の製造直後や保存時に、高沸点アルコールが析出するおそれがある。
上記製造方法において、製造される樹脂組成物は、有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物とを含むものであるが、有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物としては、上述のものを好適に用いることができる。また、その他の成分や硬化方法等、樹脂組成物に関する記載はすべて上記樹脂組成物の製造方法に好適に適用することができるものである。なお、有機樹脂成分として特に好ましくは、脂肪族エポキシ化合物であり、上記有機樹脂成分は、脂肪族エポキシ化合物である樹脂組成物の製造方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記オルガノシロキサン化合物の外部添加法、具体的には、オルガノシロキサン化合物の樹脂組成物への添加形態、分散体について説明する。
上記媒体としては、溶媒、可塑剤、モノマー、液状樹脂等を例示することができる。溶媒としては、水、有機溶媒、鉱物油、植物油、ワックス油、シリコーン油等が好適に使用できるが、エポキシ基を有する化合物が容易に溶解する溶媒が好ましい。
上記溶媒及びオルガノシロキサン化合物を含む溶液としては、例えば、溶媒分散体の形態が挙げられる。溶媒分散体におけるオルガノシロキサン化合物の含有量については、特に限定はないが、好ましくは溶媒分散体全体の10〜70重量%、さらに好ましくは20〜50重量%であり、溶媒分散体は、この程度の含有量において取扱いやすい。溶媒分散体における溶媒の含有量については、特に限定はないが、好ましくは溶媒分散体全体の90〜30重量%、さらに好ましくは80〜50重量%である。
上記有機溶媒としては、上述した有機溶媒のなかから適宜選択して用いることができる。
本発明の樹脂組成物の硬化方法としては、熱硬化や光硬化等の種々の方法を好適に用いることができるが、樹脂組成物に上記硬化触媒や必要に応じてその他の材料を混合して1液として用いる方法が好適に用いられる。このような方法においては、硬化触媒等を混合した硬化性樹脂組成物の粘度は、取り扱いが容易であることから、著しく上昇しない方が好ましい。
なお、上述した硬化剤及び硬化促進剤を樹脂組成物中に含む場合、本発明の作用効果の一つである優れた保存安定性を充分には発揮できないおそれが生じるため、硬化剤及び硬化促進剤を添加することが必要不可欠である場合以外は、積極的には使用しない方がよい。
本発明の樹脂組成物は、上述する硬化方法によって硬化物を得ることができ、このような硬化物としては、種々の光学特性に優れたのもとなる。例えば、硬化物の濁度(ヘイズ)としては、20%以下であることが好ましい。このように、上記樹脂組成物の硬化物の濁度が、20%以下である樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。硬化物の濁度としてより好ましくは10%以下であり、更に好ましくは5%以下であり、特に好ましくは1%以下である。透明性としては、波長が360〜1600nmの領域における光透過率が75%以上であることが好ましい。硬化物の光線透過率はより好ましくは80%以上であり、更に好ましくは85%以上であり、特に好ましくは、87%以上である。
上記硬化物において、硬化物の屈折率・アッベ数は適用される光学系の光学設計に応じて幅広い数値が求められる。なお、硬化物の光線透過率はJIS K7361−1に準拠した方法、屈折率・アッベ数はプリズムカプラーで測定できる。
本発明はまた、上記樹脂組成物によって構成される光学材料でもある。光学材料とは、上記樹脂組成物を用いた硬化材料であり、単に「硬化材料」又は「光学部材用硬化性材料」とも言う。本発明の樹脂組成物は、上述のように優れた透明性・光学特性を発揮し、該樹脂組成物を硬化させた硬化物もまた、同様の特性を発揮することから、光学用途(光学透明用途)、オプトデバイス用途、表示デバイス用途等の種々の用途に好適に用いることができる。本発明の光学材料としては、上記樹脂組成物によって形成される硬化性光学材料であって、熱や光によって硬化する熱・光硬化性光学材料(熱硬化性光学材料や光硬化性光学材料)であることが好ましい。
上記光学材料としては、上述したように、オルガノシロキサン化合物及び/又はカチオン重合性基含有化合物(例えば、エポキシ化合物)の組み合わせによりアッベ数、屈折率を制御することができる。これらの好適な組み合わせ等は、上述のとおりである。また、このような光学材料の硬化方法等の種々の特性等は、上記樹脂組成物におけるものと同様であることが好ましい。
上記硬化物の用途として具体的には、光導波路、光ディスク、光ファイバー、フォトセンサー、フォトスイッチ、LED、発光素子、光導波管、合波器、分波器、断路器、光分割器、光導波路、光ファイバー、接着剤、筐体等のオプトデバイス用途(光学透明用途);眼鏡レンズ、(デジタル)カメラや携帯電話や車載カメラ等カメラレンズ、フィルター、回折格子、プリズム、光案内子、光ビーム集光レンズや光拡散用レンズ、ウォッチガラス、表示装置用のカバーガラス等の透明ガラスやカバーガラス等の光学用途;LCDや有機ELやPDP等の表示素子用基板、カラーフィルター用基板、タッチパネル用基板、ディスプレイ保護膜、ディスプレイバックライト、導光板、反射防止フィルム、防曇フィルム等の表示デバイス用途等が好適である。上記用途の中でも、光導波路用途が特に好適である。
上記硬化物の形状としては、用途に応じて適宜設定することができ、特に限定されず、異形品等の成形体、フィルム、シート、ペレット等の形態も挙げられる。
上記光導波路は、クラッドとコアとを構成要素として有するものであるが、上記光学部材は、クラッドとコアの両方に用いてもよく、片方に用いてもよい。より好ましくは、両方に用いる形態である。なお、クラッドとコアの材料は、同系統の材料で構成されることが好適である。同系統の材料とすると、クラッドとコアはその接触面で光が反射(全反射)するために、密着することが求められるが、同系統の材料を用いることで、クラッドとコアの硬化収縮率、熱膨張率が同等となる等、材料の相性がよくなり密着しやすくなる。
本発明の光学材料を光導波路用途に用いる場合、その製造方法としては、例えば、フォトリソ・ドライエッチング法、UV硬化法(直接露光法)、選択重合法、射出成形法、プレス成形法、電子線描画法(フッ素化ポリイミド)等が好適である。具体的には、以下のような方法を用いることができる。
(ア)コアに相当する溝が設けられたマスター型を作製し、このマスター型を利用して、下部クラッド成型用型を作製する。この際マスター型に設けられたコアに相当する溝のパターンが、下部クラッド成型用型に転写される。次いで、下部クラッド成型用型を用いて下部クラッドを成形する。下部クラッドには、下部クラッド成型用型に転写されたコアに相当する溝のパターンがさらに転写される。そして、下部クラッドに設けられたコアに相当する溝に、コア用樹脂組成物を充填し硬化させてコアを形成する。次いで、上部クラッド用の樹脂組成物を塗布して、硬化させて上部クラッドを形成する。
なお、上記(ア)〜(カ)の方法において、クラッド用樹脂組成物又はコア用樹脂組成物を充填、或は、塗布する方法としては、スピンコート、バーコート、ディップコート、スプレーコートなどの既存の方法を適宜選択することができる。
〔樹脂組成物作成方法〕
・実施例1用樹脂組成物
PMSQ−E(メチル基含有シルセスキオキサン、小西化学工業株式会社製)60.0g、セロキサイド2021P(脂環式エポキシ樹脂、ダイセル化学工業株式会社製)8.0g、YED216D(1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジャパンエポキシレジン株式会社製)32.0gを100℃にて混合した後、UVI−6976(六フッ化アリールスルホニウム塩、ダウ・ケミカル社製)2.0gを加えて自公転式遠心混合装置(シンキー社製、あわとり練太郎)を用いて混合脱泡を行うことで実施例1用樹脂組成物を作成した。
ライトアクリレートDCP−A(ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、共栄社化学社製)100gにイルガキュア189(チバ・ジャパン社製)を2.0g添加、溶解させることで作成した。
まず、シリコン基板上に、クラッド層用樹脂組成物として実施例1用樹脂組成物をスピンコートし、高圧水銀ランプを光源とする露光機(ミカサ社製、MA−60F)を用いて、照度10mW/cm2で15分間、すなわち露光エネルギー9J/cm2の紫外線照射を行って、厚さ50μmの下部クラッド層を形成した。プリズムカプラー(SPA−4000、SAIRON TECHNOLOGY社製)を用いて、下部クラッド層の屈折率を測定したところ、波長830nmにおける屈折率は1.47であった。
実施例2〜5及び比較例1用樹脂組成物においても実施例1と同様の方法で作成した。実施
例2〜5及び比較例1で用いた材料は、次の通りである。
・YED216D(1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジャパンエポキシレジン株式会社製)
・YL−7410(ポリオキシブチレンジグリシジルエーテル、ジャパンエポキシレジン株式会社製)
・セロキサイド2021P(脂環式エポキシ樹脂、ダイセル化学工業株式会社製)
・EHO(3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、宇部興産株式会社製)
・PMSQ−E(メチル基含有シルセスキオキサン、小西化学工業株式会社製)
・PMPSQ−E(メチル基フェニル基含有シルセスキオキサン、小西化学工業株式会社製)
比較例2用樹脂組成物は、ライトアクリレート1,9ND−A(共栄社化学社製、1,9−ノナンジオールジアクリレート)100gにイルガキュア189(チバ・ジャパン社製)を2.0g添加し、溶解させることで作成した。比較例3で用いたクラッド層用の材料はPMSQ−Eである。各実施例及び比較例における、クラッド層用材料の配合割合を表1に示す。
得られた光導波路に、ダイシングソー(ディスコ社製、DAD321)を用いて、光導波路の長さが5cmになるように端面をカットし、光入射口及び光射出口を形成した。波長850nmの発光ダイオードにコア径50μmの石英光ファイバーを接続し、もう一方のファイバー端を入射ファイバー端とした。一方、光パワーメーター(アンリツ社製、MT9810A)にコア径50μmの石英光ファイバーを接続し、もう一方のファイバー端を出射ファイバー端とした。入射ファイバー端と出射ファイバー端とを突き合わせた後、自動調芯機(駿河精機社製)により光パワーメーター(アンリツ社製、MT9810A)の強度が最大光量となるように、それぞれの光ファイバーの位置合わせを行い、その時の光導波路をRef(dBm)とした。続いて、光導波路の端面にそれぞれ入射ファイバー端及び出射ファイバー端を突き合わせ、自動調芯機(駿河精機社製)により光パワーメーター(アンリツ社製、MT9810A)の強度が最大光量となるように、それぞれの光ファイバーの位置合わせを行い、その時の光強度をOBS(dBm)とした。光導波路5cmの挿入損失INT(dB)は、式Ref(dBm)−OBS(dBm)により算出した。続いて、ダイシングソー(ディスコ社製、DAD321)を用いて、光導波路の一方の端面から1cm内側をカットすることにより、長さ4cmの光導波路を得た後、上記と同様にして、光導波路4cmの挿入損失INT(dB)を算出した。同様にして、光導波路を1cmずつカットし、光導波路が1cmになるまで、挿入損失INT(dB)の算出を繰り返した。横軸に光導波路の長さ(cm)、縦軸に挿入損失INT(dB)として、各データをプロットし、得られた直線の傾きから光導波路の導波損失(dB/cm)を得た。この方法は一般的にカットバック法と呼ばれる方法である。
上記方法で作製した光導波路について、85℃、85%RH、500hの耐温熱試験(吸湿試験)前、後の光損失を比較する試験を行った。結果を表2に示す。
これらの結果から、本発明の樹脂組成物は、硬化された後の屈折率が小さく、成形性に優れ、かつ耐久性に優れる樹脂組成物であることが確認された。そして、屈折率が小さく、成形性が優れていることが好適な用途、例えば、光導波路のクラッド層等に好適に用いることができることが確認された。
Claims (4)
- クラッド層と、アクリル樹脂組成物を用いたコア層とを有する光導波路であって、
該クラッド層は、カチオン重合性基含有化合物を有機樹脂成分として含む樹脂組成物の硬化体であって、
該硬化体は、830nmにおける屈折率が1.49以下であり、
該樹脂組成物は、更に、下記平均組成式:
R1aR2bYcSiOd
(式中、R1は、飽和脂肪族炭化水素基を表す。R2は、アリール基、アラルキル基、及び、アリール基又はアラルキル基の水素原子の一部若しくは全部が脂肪族炭化水素基で置換されてなる基からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。Yは、RO基、水酸基、ハロゲン原子及び水素原子からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。a、b、c及びdは、0<a<3、0≦b<3、0≦c<3、0<a+b+c<3、0<a+b<3、及び、a+b+c+2d=4を満たす。R1、R2、Y、Rが複数個ある場合には、それぞれ同一でもよく、異なっていてもよい。)で表されるオルガノシロキサン化合物、及び、熱潜在性カチオン発生剤又は光潜在性カチオン発生剤を含有し、
該有機樹脂成分、オルガノシロキサン化合物及び熱潜在性カチオン発生剤又は光潜在性カチオン発生剤の含有量は、有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物との合計100質量%に対し、有機樹脂成分が10〜99.9質量%、オルガノシロキサン化合物が0.1〜90質量%、熱潜在性カチオン発生剤又は光潜在性カチオン発生剤が固形分換算で0.01〜10質量%であり、
該カチオン重合性基含有化合物は、下記式(1):
該樹脂組成物は、溶媒量が5質量%以下に調整されてなることを特徴とする光導波路。 - クラッド層と、アクリル樹脂組成物を用いたコア層とを有する光導波路であって、
該クラッド層は、カチオン重合性基含有化合物を有機樹脂成分として含む樹脂組成物の硬化体であって、
該硬化体は、830nmにおける屈折率が1.49以下であり、
該樹脂組成物は、更に、下記平均組成式:
R1aR2bYcSiOd
(式中、R1は、飽和脂肪族炭化水素基を表す。R2は、アリール基、アラルキル基、及び、アリール基又はアラルキル基の水素原子の一部若しくは全部が脂肪族炭化水素基で置換されてなる基からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。Yは、RO基、水酸基、ハロゲン原子及び水素原子からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。a、b、c及びdは、0<a<3、0≦b<3、0≦c<3、0<a+b+c<3、0<a+b<3、及び、a+b+c+2d=4を満たす。R1、R2、Y、Rが複数個ある場合には、それぞれ同一でもよく、異なっていてもよい。)で表されるオルガノシロキサン化合物、及び、熱潜在性カチオン発生剤又は光潜在性カチオン発生剤を含有し、
該有機樹脂成分、オルガノシロキサン化合物及び熱潜在性カチオン発生剤又は光潜在性カチオン発生剤の含有量は、有機樹脂成分とオルガノシロキサン化合物との合計100質量%に対し、有機樹脂成分が10〜99.9質量%、オルガノシロキサン化合物が0.1〜90質量%、熱潜在性カチオン発生剤又は光潜在性カチオン発生剤が固形分換算で0.01〜10質量%であり、
該カチオン重合性基含有化合物は、下記式(1):
- 前記オルガノシロキサン化合物は、式中、a+bが1以上2以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光導波路。
- 前記オルガノシロキサン化合物は、ラダー状であり、式中、a+bが1であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光導波路。
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