JP2008274260A - 樹脂組成物及び光学部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂組成物としての加工性に富み、また、樹脂組成物を硬化させた後の硬化物において高い強度を有し、離型時に割れない等の取り扱い性に優れる樹脂組成物及びその樹脂組成物を硬化してなる光学部材を提供する。
【解決手段】有機樹脂成分を含む樹脂組成物であって、該樹脂組成物は、その分子量分布における分子量700以上の有機樹脂成分の割合が、有機樹脂成分総量に対して15〜90質量%含んでなるものである樹脂組成物、該樹脂組成物によって構成される光学部材用硬化性材料、該光学部材用硬化性材料を硬化させてなる光学部材。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物及び光学部材に関する。より詳しくは、光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途、機械部品材料、電気・電子部品材料等として有用な樹脂組成物及びその光学部材に関する。
熱硬化性の樹脂組成物は、例えば、機械部品材料、電気・電子部品材料、自動車部品材料、土木建築材料、成形材料等として有用であり、また、塗料や接着剤の材料としても用いられるものである。例えば、デジタルカメラモジュールは携帯電話に搭載されるなど小型化が進み、低コスト化も求められているため無機ガラスに代わってPMMA・PCやポリシクロオレフィン等のプラスチックレンズの採用が進んでいる。近年においては新規用途として車載用カメラや宅配業者向けバーコード読み取り機等の車載化ニーズが高まっている。これらの用途に適用する際、夏季の高温暴露等を考慮し、長時間の耐熱性が要求されている。従来のプラスチック材料よりも優れた耐熱性を必要とすることから熱硬化型材料の検討が進んでいる。
このような硬化型材料では、加工性や、硬化した後の硬化物の取り扱い性に優れることも求められている。例えば、レンズ等の光学部材に用いる場合には、精密な加工性が求められており、更に、高い強度を有し、取り扱い性に優れていることも求められている。しかしながら、従来のガラスを用いたレンズでは強度が低く、また、プラスチックレンズ等においても、充分な加工性と、高い強度を両立させるものはなく、硬化型材料を構成する材料等について改善する余地があった。
ところで、熱硬化性樹脂組成物に関しては、無機成分を含有するものも開示されている。例えば、(a)有機溶剤に分散されたコロイダルシリカ、(b)脂環式ポリエポキシ化合物及び(c)金属キレート化合物を必須成分として含有し、且つ(a)成分と(b)成分の配合割合が固形分比で(a)成分5〜85重量%及び(b)成分95〜15重量%であり、そして(c)成分が(a)成分及び(b)成分の固形分の合計100重量部当たり0.01〜30重量部含有することを特徴とする有機溶剤系熱硬化性組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。これによると、分子量が高い材料を用いた樹脂が提供されているが、透明性や生産性の面において、工夫の余地があった。
またエポキシ樹脂および無機酸化物粒子を少なくとも含んでなる組成物を硬化させることにより成型したエポキシ樹脂成型体であって、該成型体中に平均粒径が50nm以下の無機酸化物粒子が分散していることを特徴とするエポキシ樹脂成形体が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。ここでは、湿式シリカとエポキシ樹脂が開示されているが、エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(アッベ数 34.1)を用いている。このような場合、光のにじみを小さくし、高いアッベ数を得る等において、光学特性を向上する工夫の余地があった。したがって、耐熱性等の基本性能を備えたものであって、光学特性を向上させ、種々の光学部材に好適に適用であるようなものが求められていた。
特許2865741号公報(第1頁) 特開2004−250521号公報(第2頁)
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、樹脂組成物としての加工性に富み、また、樹脂組成物を硬化させた後の硬化物において高い強度を有し、離型時に割れない等の取り扱い性に優れる樹脂組成物及びその樹脂組成物を硬化してなる光学部材を提供することを目的とするものである。
本発明者等は、有機樹脂成分を含む樹脂組成物について種々検討したところ、光学用途等種々の用途における材料として有用であることに着目し、特定の有機樹脂成分を用いると、透明性が高く、硬化を行う前の樹脂組成物、該樹脂組成物を硬化させた硬化物について、成形が容易であり、加工特性に優れたものとなり、また、高い強度を有し、取り扱い性に優れたものとすることができるため、光学用途等に好適に用いることができる樹脂組成物となることを見いだした。具体的には、樹脂組成物中の分子量分布における分子量700以上の有機樹脂成分の割合が、有機樹脂成分総量に対して15〜90質量%含んでなるものとする、言い換えると、樹脂組成物中の分子量分布における分子量700未満の有機樹脂成分の割合が、有機樹脂成分総量に対して10〜85質量%含んでなるものとすることによって、優れた成形性を有し、高い強度を持つことで取り扱い性に優れたものとすることができることを見いだした。分子量が700以上の高分子樹脂材料を用いることで、優れた強度を有するものとなり、また、分子量が700未満の低分子樹脂材料を用いることで、硬化性樹脂組成物の粘度を低下させることができ、ガラスにはできない複雑な加工を安価に行うことができる。また、特に熱硬化性樹脂を用いた場合には、熱可塑性樹脂では達成できない耐熱性を有することができ、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。更に、レンズ等の光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途、機械部品材料、電気・電子部品材料、自動車部品材料、土木建築材料、成形材料等の様々な用途に好適に適用することができることも見いだし、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、有機樹脂成分を含む樹脂組成物であって、該樹脂組成物は、その分子量分布における分子量700以上の有機樹脂成分の割合が、有機樹脂成分総量に対して15〜90質量%含んでなるものである樹脂組成物である。
以下に本発明を詳述する。
本発明の樹脂組成物は、有機樹脂成分を含むものである。このように、有機樹脂成分を含む樹脂組成物は、硬化した後の硬化物を取り扱い性に優れるものとすることができる。例えば、レンズ等の光学材料として用いる場合には、ガラス等をレンズとして使用する場合と比較して、割れにくさ等の利点を有する。
上記樹脂組成物は、有機樹脂成分以外の他の成分を含んでいてもよく、樹脂組成物を構成する成分としては特に限定されるものではない。上記樹脂組成物は、該樹脂組成物100質量%中、有機樹脂成分を40質量%以上含むことが好ましい。より好ましくは、60質量%以上であり、更に好ましくは、70質量%以上であり、特に好ましくは、80質量%以上である。
なお、本明細書中で単に「硬化」という場合には、硬化性樹脂組成物等のように樹脂組成物を構成する成分を重合させることで硬くなるような場合のみならず、熱可塑性樹脂等を一旦軟化させて、その後硬くさせるような場合も含むものとする。また、「硬化性」という場合には、樹脂組成物を構成する成分等を重合させることで硬化する性質を指すものとする。
上記樹脂組成物は、樹脂組成物中の分子量分布における分子量700以上の有機樹脂成分の割合が、有機樹脂成分総量に対して15〜90質量%含んでなるものである。言い換えると、樹脂組成物中の分子量分布における分子量700未満の有機樹脂成分の割合が、有機樹脂成分総量に対して10〜85質量%含んでなるものである。すなわち、樹脂組成物中の分子量分布における分子量700以上の有機樹脂成分の割合が、有機樹脂成分総量に対して15〜90質量%含んでなるものであり、かつ該分子量分布における分子量700未満の有機樹脂成分の割合が、有機樹脂成分総量に対して10〜85質量%含んでなるものである。このように、分子量が700以上の有機樹脂成分(以下、「高分子量成分」とも言う。)と700未満の有機樹脂成分(以下、「低分子量成分」とも言う。)とを必須とすることにより、製造時の粘度低減と製品の機械強度の向上という効果が得られることとなる。すなわち、樹脂組成物の加工特性(粘度、流れ性)に優れ、樹脂組成物の硬化物の機械的強度に優れるといった、両特性を満足するものとすることができる。有機樹脂成分として、高分子量成分だけであると、樹脂組成物の粘度が上昇する。また、低分子量成分のみであると、硬いが脆いものとなり、割れやすくなる。この問題は低分子量成分が硬化性樹脂、特に多官能エポキシ化合物である場合に顕著である。本発明のように、低分子量成分と高分子量成分とを併用することによって、成形性を向上させ、かつ割れにくく、取り扱い性の改善されたものとすることができる。また、樹脂組成物を硬化させる際の硬化収縮率については、高分子量成分の方が低分子量成分より小さいことから、高分子量成分を多く含むことが好ましく、高分子量成分及び低分子量成分の含有量を調整することによって、硬化収縮率についても調整することができる。これらの高分子量成分と低分子量成分とは、組成が同じであってもよく、異なっていてもよい。例えば、図1(a)及び(b)は、分子量分布を示す模式図であり、縦軸は、化合物の量を示し、横軸は、分子量を示しているが、図1(a)で示すように、分子量が700未満である領域と700以上である領域との両方にまたがった、一つのピークの極大値を有する分子量分布であってもよいし、図1(b)で示すように、700未満である領域と700以上である領域とのそれぞれにピークの極大値を有する分子量分布であってもよい。
上記樹脂組成物は、その分子量分布において、分子量700未満の領域に少なくとも1つの分子量ピークの極大値を有し、かつ、分子量700以上の領域に少なくとも1つの分子量ピークの極大値を有するものであることが好ましい。このように、分子量700未満の領域と分子量700以上の領域とのそれぞれに分子量ピークの極大値を有する場合、樹脂組成物を構成する有機樹脂成分の分子量に低分子側と高分子側とで偏りが生じていることとなる。このような場合、低分子量成分を含むことにより得られる効果と高分子量成分を含むことにより得られる効果をより顕著に発揮することができる。なお、分子量分布において、極大値を有する2つのピークは、図1(b)で示すように一部で重なっていてもよいし、重ならずに完全に分離したものであってもよい。また、2つのピークの極大値に起因する化合物の組成は同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。
上記樹脂組成物は、重量平均分子量が700以上の有機樹脂成分を少なくとも1種、及び、重量平均分子量が700未満の有機樹脂成分を少なくとも1種含んでなることが好ましい。このように、重量平均分子量が異なる2種を含むことにより、低分子量成分を含むことにより得られる効果と高分子量成分を含むことにより得られる効果をより顕著に発揮することができる。なお、重量平均分子量は、同様の組成で構成される一種により平均されたものである。
また、上記樹脂組成物は、重量平均分子量が700以上の有機樹脂成分の総量が、有機樹脂成分の総量に対して、15〜90質量%であることが好ましい。言い換えると、重量平均分子量が700未満の有機樹脂成分の総量が、有機樹脂成分の総量に対して、10〜85質量%であることが好ましい。このように、重量平均分子量が異なる2種の化合物を含むことにより、低分子量成分を含むことにより得られる効果と高分子量成分を含むことにより得られる効果をより顕著に発揮することができる。
なお、樹脂組成物中の有機樹脂成分の分子量、及び、分子量分布における有機樹脂成分の割合は、以下に示す方法で測定することができる。
<分子量及び分子量分布の測定方法>
上記有機樹脂成分に含まれる化合物、例えば、分子量700未満の有機樹脂成分、分子量700未満の有機樹脂成分等の分子量は次のようにして求めることができる。高分子量成分の割合は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)の分子量検量線から求めた分子量700以上の高分子側領域のS1と全領域S2との比率(S1/S2)であり、低分子量成分の割合は、分子量700未満の低分子側領域のS0と全領域S2との比率(S0/S2)である。例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー社製、商品名「HLC−8220GPC」を用い、下記の条件で測定することができる。
(分子量の測定条件)
カラム:東ソー社製「TSK−GEL SUPER HZM−N 6.0*150」×4本
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.6mL/分
温度:40℃
尚、分子量700のポイントは、標準サンプルとしてポリスチレンオリゴマー(東ソー社製、商品名「TSKスタンダードポリスチレン」を用い、この標準サンプルで上記GPC条件における分子量検量線を作成して求めた。また、分子量700以上の有機樹脂成分及び分子量700未満の有機樹脂成分の含有量は、この検量線を使用し、次のような方法で求めた。まず、上記GPC条件で測定対象となる樹脂組成物のクロマトグラムを得る。検量線上の分子量700の点から垂線を下ろしたとき、この垂線とベースラインとピーク波形で囲まれる高分子量側領域の面積S1と、クロマトグラムとベースラインで囲まれた全ピーク波形面積S2の比率(S1/S2)を全樹脂組成物に占める、分子量700以上の含有量(wt%)とした。また、分子量700未満の含有量(wt%)は、上記垂線とベースラインとピーク波形で囲まれる低分子量側領域の面積S0と、クロマトグラムとベースラインで囲まれた全ピーク波形面積S2の比率領域分子量700未満の低分子側領域のS0と全領域S2との比率(S0/S2)である。
本発明の樹脂組成物の一形態について、GPC分析結果及び検量線を示すチャート図を図2に示す。GPC分析では、樹脂組成物中の有機樹脂成分が測定でき、GPC分析結果を用いて上記方法により、有機樹脂成分総量に対する分子量が700以上の有機樹脂成分の割合を得ることができる。
上述のように、GPCにより分子量700以上の有機樹脂成分、分子量700未満の有機樹脂成分、それぞれの含有量の分析をすることが可能である。その構成成分等の分析については、前記のGPC装置に東ソー社製のFC−8010、AS8071等の分取装置を組み合わせることで、樹脂組成物中の目的分子量の成分を分取し、その特定分子量成分についてNMR分析、IR分析、元素分析等で構造・定量分析を実施することで、樹脂組成物の構成成分の分析が可能である。
上記有機樹脂成分は、例えば、硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等が好ましい。例えば、プラスチックレンズ用途においては、無機のレンズに比べて加工が容易であり、大きさや形状を自由に変えられ、大量生産にも好適である。有機樹脂成分としてゼオネックスなどの熱可塑性樹脂が加工性の面から好適に用いられる。熱硬化性樹脂は、熱可塑性樹脂に比べて、加工の面に困難さを伴うことから現在は普及していないが、本発明においては、例えば、後述する特定の離型剤を用いること等により、硬化性樹脂も好適に用いることができる。例えば、金型を用いて連続生産する場合には、熱硬化性樹脂を好適に用いることができる。可溶性樹脂を溶媒に溶解させて塗布して溶媒を除いて成形体を得る方法もあるが、金型等の連続生産で溶媒が含まれている場合には、溶媒が金型の内部に残るため、成形体内部に気泡が生じる可能性がある。一方熱硬化性樹脂においては、金型等で成型するに際して、溶媒に溶解させなくても成形体を得ることができる。したがって、溶媒を実質的に使用しない熱硬化性樹脂においては、成形体に気泡が生じることがなく、この点から有利である。また、耐熱性という観点では熱硬化性樹脂が望まれており、耐熱性を求められるレンズ等の用途においては、より好ましくは、硬化性樹脂である。また、硬化性樹脂においては、高分子量成分と低分子量成分を組み合わせる本発明の効果が顕著である。
上記硬化性樹脂としては、硬化性を有するものであれば特に限定されないが、中でも、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂であることが好適である。硬化性樹脂の形態としては、例えば、(1)液状又は固形の硬化性樹脂からなる形態、及び、(2)液状又は固形の硬化性樹脂と溶剤(非硬化性)等を含有する形態等が挙げられる。(3)液状若しくは固形の非硬化性樹脂、分子量が700以上の有機樹脂成分及び分子量が700未満の有機樹脂成分を含有する形態等が挙げられる。上記(3)液状若しくは固形の非硬化性樹脂、分子量が700以上の有機樹脂成分及び分子量が700未満の有機樹脂成分を含有する形態としては、例えば、PMMA等のアクリル樹脂のオリゴマー成分と(メタ)アクリレートモノマー等を含有する形態を挙げることができる。
上記硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ基を少なくとも1つ有する化合物、多価フェノール化合物、重合性不飽和結合を有する化合物、脂環式化合物、水添化合物等を好適に使用することができ、これらの化合物を単独、又は、2種以上の混合物として使用することもできる。なお、本明細書中で「エポキシ基」とは、3員環のエーテルであるオキシラン環を含む基を意味するものである。具体的には、エポキシ基、エポキシ基の構造を含むグリシジル基が好ましい。エポキシ基としては、エポキシシクロヘキシル基等のエポキシ基、グリシジルエーテル基、グリシジルエステル基等のグリシジル基等を好適に用いることができる。これらの中でも、脂環式化合物(脂環式硬化材料)及び水添化合物(水添硬化材料)の少なくとも一方を含むものであることが好ましい。脂環式化合物や水添化合物を用いることで、アッベ数、屈折率等の光学特性の調整をより容易に行うことができ、光学特性を優れたものとすることができ、種々の用途に好適に用いることができる。
上記脂環式化合物及び水添化合物としては、後述するビスフェノール類やテトラメチルビフェノール、テトラメチルビスフェノールF、ハイドロキノン、ナフタレンジオール等の芳香族骨格を水素化した脂環式グリコール類;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート等の脂環式エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート等のヘテロ環含有のエポキシ樹脂等の脂環式エポキシド;脂環式変性ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート(日本化薬社製の「R−629」又は「R−644」);テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、モルフォリノエチル(メタ)アクリレート等の構造中に酸素原子及び/又は窒素原子を有する脂環式アクリレート;N−シクロヘキシルマレイミド等の脂環式単官能マレイミド類;N,N´−メチレンビスマレイミド、N,N´−エチレンビスマレイミド、N,N´−トリメチレンビスマレイミド、N,N´−ヘキサメチレンビスマレイミド、N,N´−ドデカメチレンビスマレイミド、1,4−ジマレイミドシクロヘキサン等の脂環式ビスマレイミド;水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノールS型エポキシ化合物、水添ビスフェノールF型エポキシ化合物等の水添エポキシ化合物が好ましい。これらの中でも、より好ましくは脂環式エポキシ化合物及び/又は水添エポキシ化合物であり、更に好ましくは、脂環式エポキシ化合物である。なお、上記水添エポキシ化合物とは、エポキシ化合物の水添物のことであり、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂等の芳香族多官能グリシジルエーテル化合物の水添物であることが好ましい。
上記硬化性樹脂としては、エポキシ基を有するエポキシ化合物であることが好ましい。エポキシ化合物の含有量は特に限定されないが、総有機樹脂成分中40質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、60質量%以上であり、更に好ましくは、80質量%以上であり、特に好ましくは、実質的にすべてがエポキシ化合物であることである。
上述したことから、硬化性樹脂組成物に含まれる有機樹脂成分としては、脂環式硬化材料にエポキシが含まれる脂環式エポキシ材料、及び/又は、水添硬化材料にエポキシが含まれる水添エポキシ材料であることが好ましい。つまり、上記樹脂組成物は、脂環式エポキシ化合物及び水添エポキシ化合物の少なくとも一方を必須とするものであることがより好ましい。なお、脂環式エポキシ化合物は、エポキシ基を含む脂環式化合物のことであり、同様に、水添エポキシ化合物は、エポキシ基を含む水添化合物のことである。
このように、上記有機樹脂成分は、脂環式エポキシ化合物、及び/又は、水添エポキシ化合物を必須とするものである樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。脂環式エポキシ化合物、及び/又は、水添エポキシ化合物は、有機樹脂成分に含まれていればよくその含有量は特に限定されないが、総有機樹脂成分における好ましい含有量としては、上述したエポキシ化合物の含有量と同様である。
また、樹脂組成物総量に対するエポキシ当量としては、100〜3000であることが好ましい。エポキシ当量が3000を超えると、硬化物(例えば、レンズ等)の熱膨張係数が大きくなる。100未満であると、硬化物が機械的に脆くなるおそれがある。樹脂組成物総量に対するエポキシ当量として、より好ましくは、110〜1400であり、更に好ましくは、150〜1000である。なお、「樹脂組成物総量に対するエポキシ当量」は、樹脂組成物の総質量を、該樹脂組成物中に含有されているエポキシ基のモル数で割ることによって求められる。
上記脂環式エポキシ化合物としては、エポキシシクロヘキサン骨格を有するエポキシ樹脂、環状脂肪族炭化水素に直接又は炭化水素基を介してエポキシ基が付加したエポキシ樹脂等が好適である。脂環式エポキシ化合物としてより好ましくは、エポキシシクロヘキサン基を有する樹脂が好適である。上記水添エポキシ化合物としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂等の芳香族多官能グリシジルエーテル化合物の水添物が好適である。水添エポキシ化合物としてより好ましくは、芳香族エポキシ化合物の完全又は部分水添物等がより好ましい。
本発明では、硬化性樹脂として、熱可塑性樹脂等の非硬化性成分と低分子量の硬化性化合物とを含有したものを好適に使用することもできる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンからなるABS樹脂、塩化ビニル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、アセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキシド、ポリエステル、ポリイミド等を挙げることができる。前記硬化性化合物としては、多価フェノール化合物、重合性不飽和結合を有する化合物、及び、後述するエポキシ基を少なくとも1つ有する化合物について例示する中から、適宜選択して使用すればよい。なお、本発明の有機樹脂として好適に用いることができるエポキシ基を少なくとも1つ有する化合物、多価フェノール化合物、重合性不飽和結合を有する化合物については、後述する。
上記有機樹脂成分においては、高アッベ数の光学部材に適用する場合は、アッベ数が45以上であることが好ましい。上記アッベ数が45以上であるとは、「全有機樹脂成分のアッベ数の平均値が45以上である」ことを意味するものであり、アッベ数が45未満の有機樹脂成分が含まれていてもよい。アッベ数を45以上(全有機樹脂成分のアッベ数の平均値が45以上)とすることで、樹脂組成物を光学用途に用いた場合に、光の分散が小さくなり、解像度があがり、光学特性に優れたものとすることができる。45未満であると、例えば、眼鏡用レンズに用いた場合ににじみがみられるおそれがあり、充分な光学特性を発揮せず、種々の光学用途に好適な材料とはならないおそれがある。上記有機樹脂成分においては、後述するような好適な形態を適宜組み合わせることによりアッベ数を45以上とすることができる。
上記アッベ数としてより好ましくは47以上であり、更に好ましくは、50以上である。
上記有機樹脂成分としては、アッベ数が45以上(全有機樹脂成分のアッベ数の平均値が45以上)のものであることが好適であるが、例えば、アッベ数45以上の有機樹脂が全有機成分中40質量%以上含まれることが好ましい。アッベ数45以上の有機樹脂の割合としてより好ましくは、60質量%以上であり、更に好ましくは、80質量%以上であり、特に好ましくは、100質量%(実質的にすべてがアッベ数45以上のもの)である。
上記有機樹脂成分は、分子量が700以上の有機樹脂成分を含むものである。有機樹脂成分がこのような分子量を有する有機樹脂を含むことにより、樹脂組成物を硬化させたときに、一体感のあるものとでき、剥離の際の強度が向上し、割れることがなく、好適な材料硬度とすることができる。
上記有機樹脂成分は、分子量が700以上の有機樹脂の含有量を、有機樹脂成分100質量%中、15〜90質量%含んでなるものである。分子量が700以上の成分(有機樹脂)が有機樹脂成分中に30質量%未満であると、樹脂組成物を硬化させたときの強度が充分ではないおそれがあり、また、90質量%を超えると、成型のしやすさが充分ではなくなるおそれがある。分子量が700以上の有機樹脂の含有量として好ましくは、30〜90質量%であり、より好ましくは、35〜80質量%であり、更に好ましくは、40〜70質量%である。
上記有機樹脂成分に必須として含まれる、分子量が700以上の有機樹脂の分子量としては、700〜10000であることが好ましい。分子量が10000を超えると、樹脂組成物の透明性が充分ではなくなるおそれがある。上記高分子量成分の分子量として、より好ましくは、1000〜5000であり、更に好ましくは、2000〜4000である。
上記高分子量成分のエポキシ当量としては、130〜5000であることが好ましい。より好ましくは、180〜2500であり、更に好ましくは、350〜2000である。なお、「高分子量成分のエポキシ当量」は、高分子量成分の総質量をエポキシ基の数で割ることで求められる。上記分子量が700以上の高分子量成分としては、例えば、脂環式エポキシ化合物、水添エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物等を好適に用いることができる。具体的には既に記述のYL−7170、YX−8034、EMPE−3150等であるが、これらはそれ自体が、上記分子量700以上の高分子量成分を15質量%以上含むエポキシ化合物であるため、本発明の樹脂組成物における高分子成分の原料として好適に使用し得る。更に、YL−7170、EMPE−3150は、重量平均分子量が700以上であり、高分子成分の原料として、好ましく採用し得る。
上記有機樹脂成分は、分子量が700未満の有機樹脂成分を含むものである。有機樹脂成分がこのような分子量を有する有機樹脂を含むことにより、低粘度の硬化性樹脂組成物とすることができ、硬化性樹脂組成物の成形性を向上させることができる。上記有機樹脂成分に必須として含まれる有機樹脂の分子量としては、150〜700であることが好ましい。分子量が150未満であると、成型時の揮発による成形物のふくれを発生するおそれがある。
上記有機樹脂成分においては、分子量が700未満の有機樹脂の含有量が、有機樹脂成分100質量%中、10〜70質量%含んでなるものであることが好ましい。分子量が700未満の成分(有機樹脂)が有機樹脂成分中に10質量%未満であると、樹脂組成物を硬化させたときの強度が充分ではないおそれがあり、また、70質量%を超えると、成型のしやすさが充分ではなくなるおそれがある。分子量が700未満の有機樹脂の含有量として好ましくは、20〜65質量%であり、より好ましくは、30〜60質量%である。
上述した樹脂組成物における分子量700未満の有機樹脂成分の原料としては、例えば、水添エポキシ化合物としてはYX8000、YX8034、脂環式エポキシ化合物としてはセロキサイド2021P、芳香族エポキシ化合物としてはオグソールPG100が好ましく例示される。
上記硬化性樹脂組成物は、光学部材として好適に用いることができるものであり、高分子量成分と、低分子量成分との含有量を調整することによって、アッベ数、屈折率等の光学特性についても調整することができる。これにより、例えば、高アッベ光学部材、低アッベ光学部材を製造することができる。以下、高アッベ光学部材としての好ましい形態、低アッベ光学部材としての好ましい形態についてそれぞれ説明する。
上記高アッベ光学部材としては、アッベ数が高いという理由から、低分子量成分及び高分子量成分がともに水添エポキシ化合物、及び/又は、脂環式エポキシ化合物を含むものであることが好ましい。低分子量成分及び高分子量成分として好ましくは、低分子量成分及び高分子量成分の80質量%以上が、水添エポキシ化合物及び/又は脂環式エポキシ化合物であることである。低分子量成分のうち、80質量%以上が水添及び/又は脂環式であり、高分子量成分のうち、80質量%以上が水添及び/又は脂環式であることが特に好ましい。また、高アッベ光学部材を製造する場合には、上述したアッベ数45以上の有機樹脂を用いることがより好ましい。有機樹脂成分100質量%に対する、アッベ数45以上の有機樹脂の含有量は、上述した範囲であることが好ましい。
また、低分子量成分及び高分子量成分がともに水添エポキシ化合物であること、低分子量成分及び高分子量成分がともに脂環式エポキシ化合物であることもまた好ましい形態である。
また、高アッベ光学部材として用いる場合、組成物、硬化物における、不飽和結合量が10質量%以下であることが好ましい。不飽和結合を有する化合物としては、例えば、有機樹脂成分における芳香環(例えば、フェニル基)、二重結合を有するアルケニル基等が挙げられる。なお、不飽和結合を有する化合物は、有機樹脂成分や、必要に応じて添加されるその他の成分のいずれかに含まれることとなる。このような不飽和結合を有する化合物は、一般にアッベ数を下げることから、不飽和結合の含有量が10質量%を超えると、樹脂組成物のアッベ数が充分に大きなものとはならず、例えば、レンズとして用いた場合に光のにじみが大きくなり、種々の用途に好適に用いることができないおそれがある。不飽和結合を有する化合物の割合としてより好ましくは、樹脂組成物(有機樹脂成分と必要に応じてその他の成分)100質量%中、8質量%以下であり、更に好ましくは、6質量%以下である。特に好ましくは、実質的に含まれないことである。すなわち、有機樹脂成分、必要に応じて添加されるその他の成分のいずれにも含まれない形態が好ましい。
このような不飽和結合を有する化合物としては樹脂組成物を硬化した硬化物においても含有量が上記範囲であることが好ましい。このように、二重結合性(芳香環等)の含有量が樹脂中に10%以下である樹脂組成物及び硬化物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。このような硬化性樹脂組成物は、例えば、波長分散の低い高アッベレンズ等として好適に用いることができる。
上記低アッベ光学部材としては、短時間で硬化が進むため、低分子量成分及び高分子量成分がともに水添エポキシ化合物、及び/又は、脂環式エポキシ化合物を含むものであることが好ましい。また、アッベ数制御のため、芳香族エポキシ化合物を10質量%以上含むことが好ましい。より好ましくは、30質量%以上であることが好ましい。総有機樹脂成分中の芳香族エポキシ化合物の含有量範囲としては、10〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは、30〜50質量%以上である。芳香族エポキシ化合物は、低分子量成分の1つであることが好ましい。芳香族エポキシ化合物としては、ビスフェノール骨格を有する、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポシキ樹脂、炭素数が7個以上の共役構造を有する芳香族化合物であることが好ましい。
上記硬化性樹脂組成物、該硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物においては、不飽和結合量が10質量%を超えるものであることが好ましい。これによれば、低アッベ数であり、かつ屈折率の高いことが要求される光学部材として好適に用いることができる。同様に、上記樹脂組成物についても、不飽和結合を有する化合物の割合が10質量%を超えるものであることが好ましい。更に、低分子量成分としては、その少なくとも1つが炭素数が7個以上の共役構造を有する芳香族化合物であることが好ましい。上記7個以上の炭素原子から構成される共役構造とは、1つの共役単位を構成することになる原子団に属する炭素数が7個以上であるものである。共役単位は、共役二重結合を例に取れば、少なくとも2個の二重結合と1個の単結合を含むことになるが、本発明においては、共役し得る二重結合と単結合のすべてを含んだ構造単位を1つの共役単位として炭素数を数えることになり、当該単位を含む結合構造を示した場合に、共鳴に関わる部分の一まとまりを一つの共役単位という。従って、低アッベ光学部材としては、低分子量成分として水添及び/又は脂環式と芳香族エポシキ化合物(炭素数が7個以上の共役構造を含む)とを含み、高分子量成分として水添及び/又は脂環式を含む形態が好ましい。共役単位の好ましい形態は後述する。
上記7個以上の炭素原子から構成される共役構造を有する芳香族化合物としては、具体的には、下記化学式(1−1)〜(1−8):
Figure 2008274260
で表される構造のいずれかを有することが好ましい。すなわち、上記化学式(1−1)で表されるフルオレン骨格(13個の炭素原子によって構成された共役構造)、上記化学式(1−2)で表されるアントラセン環(14個の炭素原子によって構成された共役構造)、上記化学式(1−3)で表されるジベンゾチオフェン環(12個の炭素原子によって構成された共役構造)、上記化学式(1−4)で表されるカルバゾール(12個の炭素原子によって構成された共役構造)、上記化学式(1−5−1)及び(1−5−2)で表されるスチルベン(14個の炭素原子によって構成された共役構造)、上記化学式(1−6)で表されるビフェニル(12個の炭素原子によって構成された共役構造)、上記化学式(1−7)で表されるナフタレン環(10個の炭素原子によって構成された共役構造)のいずれかを有することが好ましい。これらの中でも、フルオレン、カルバゾール等を骨格構造に有するものや、アントラセン環、ジベンゾチオフェン環を有するものであることがより好ましい。すなわち、上記共役構造が、フルオレン骨格、アントラセン環、ジベンゾチオフェン環及びカルバゾール骨格から選ばれる少なくとも一つの構造を必須とすることは、本発明の好ましい形態の一つである。上記共役構造としては、上述した骨格や環構造を有するものであればいずれも好適に用いることができる。また、上記化学式(1−8)で表されるフルオレン骨格にビスフェノールが結合した構造(25個の炭素原子によって構成された共役構造)等がより好ましい形態として挙げられる。
なお、骨格構造に有するとは、これらの構造において、共鳴構造を有する範囲で置換基を有していてもよいことを意味する。
なお、上記した化合物等の共役構造の数え方の具体例については下記の通りである。
例えば、下記式(a)で表されるフルオレン構造は太線部でも6員環同士が結ばれている。その結果、芳香環に挟まれた真ん中の5員環も共鳴構造になっているので、点線の丸印で囲んだ炭素も共役構造の一部となり、共役構造は13個となる。更に、下記式(b)で表される構造のように、フルオレン構造とベンゼン環が直接結合すると、共役構造が更に拡張することになり、構造の共役構造は25個となる。
それに対し、下記式(c)で表されるビスフェノールAのような構造を有する化合物である場合には、フルオレン構造のように中心の炭素が芳香環に結合してはいるが、中心の炭素自身は環構造の一部ではなく共役構造をとっていないので、この場合の一つの共役構造を構成する炭素数は6個となる。
Figure 2008274260
また、直鎖状の化合物の場合には、下記式(d)及び(e)に示す構造である場合ともに一つの共役構造を構成する炭素数は7個と数える。
Figure 2008274260
上記分子量が700以上の有機樹脂成分(高分子量成分)と700未満の有機樹脂成分(低分子量成分)とを含む樹脂組成物の調製方法としては、低分子量成分を溶媒に分散させた後、必要に応じて他の成分とを混合し、溶媒(溶剤)を留去した後、高分子量成分を添加する方法が好ましい。低分子量成分を溶媒に分散させた分散液、又は、低分子量成分と必要に応じてその他の成分とを混合した混合物(溶媒を含む混合物)100質量%中、溶媒を5質量%以下となるよう調製してなる形態が好ましい。上記のように混合することで、樹脂組成物の粘度が上昇することなく、好適な樹脂組成物を得ることができる。また、高分子量成分の樹脂組成物へのなじみをよくすることができる。このように、有機樹脂成分を含む硬化性樹脂組成物を製造する方法であって、該製造方法は、分子量が700未満の有機樹脂成分(低分子量成分)を溶媒中に分散させ、該溶媒の少なくとも一部を留去した後、分子量が700以上の有機樹脂成分(高分子量成分)を混合し、最終的に溶媒5質量%以下で調製する工程を含む樹脂組成物の製造方法もまた、本発明の好ましい実施形態の一つである。
上記溶媒量としては、混合物(分子量が700以上の有機樹脂成分及び分子量が700未満の有機樹脂成分と、必要に応じてその他の有機樹脂成分と溶媒との混合物)100質量%中、溶媒5質量%以下である。5質量%を超えると発泡や成形体の強度低下のおそれがある。溶媒量としてより好ましくは、3質量%以下であり、更に好ましくは、1質量%以下である。一方、本発明の好ましい形態の一つとして溶媒を用いた樹脂組成物の製造時(脱溶媒時)の粘度上昇を抑えるという観点からは、0.05〜5質量%の溶媒を混合物(樹脂組成物)100質量%中に残すことが好ましい。溶媒の残存量としてより好ましくは、0.1〜3質量%であり、更に好ましくは、0.5〜2質量%である。本発明においては、例えば、高沸点溶媒等を同時にエバポレートすることにより、短期間で溶媒を上記範囲とすることができ、樹脂組成物を好適に得ることができることとなる。上記溶媒としては、2−エチル−1−ヘキサノール、ドデカノール等の高沸点アルコールが好ましい。なお、高沸点アルコールの具体例については、後述する。このような高沸アルコールの残存量は、0.01〜2質量%であることが好ましい。
上記樹脂組成物はまた、可とう性を有する成分(可とう性成分)を含むことが好適である。可とう性成分を含むことにより、一体感のある樹脂組成物とできる。上記可とう性成分としては、(1)有機樹脂成分とは異なる化合物からなる可とう性成分である形態、(2)有機樹脂成分の1種が可とう性成分である形態のいずれも好適に適用することができる。具体的には、−〔−(CHn1−O−〕m1− で表されるオキシアルキレン骨格を有する化合物(n1は2以上、m1は1以上の整数である。好ましくは、n1は2〜12、m1は1〜1000の整数である。より好ましくは、n1は3〜6、m1は1〜20の整数である。);高分子エポキシ樹脂(例えば、水添ビスフェノール(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1400、固形水添エポキシ樹脂);液状ニトリルゴム等の液状ゴム、ポリブタジエン等の高分子ゴム、粒径100nm以下の微粒子ゴム等が好ましい。これらの中でもより好ましくは、末端や側鞘や主鎖骨格等に硬化性の官能基を含む化合物である。このように、上記可とう性成分は、硬化性の官能基を含んでなる樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。なお、上記「硬化性の官能基」とは、「エポキシ基、オキセタン基等の熱又は光で硬化する官能基(樹脂組成物を硬化反応をさせる基)」をいう。
上記可とう性成分としては、硬化性の官能基を含む化合物を好適に適用できるが、硬化性の官能基を含む化合物の中でも特に好ましくは、エポキシ基を含む化合物である。
上記可とう性成分の含有量としては、有機樹脂成分と可とう性成分との合計100質量%中、有機樹脂成分を40〜99質量%、可とう性成分を0.01〜40質量%含むことが好ましい。可とう性成分が40%以下である樹脂組成物が好適である。可とう性成分の含有量としてより好ましくは、0.1〜30質量%であり、更に好ましくは、0.5〜20質量%である。
上記樹脂組成物としては、粘度が10000Pa・s以下であることが好ましい。より好ましくは、1000Pa・s以下であり、更に好ましくは、200Pa・s以下であり、特に好ましくは10〜200Pa・sである。粘度の下限としては、1Pa・s以上であることが好ましく、より好ましくは5Pa・s以上であり、更に好ましくは10Pa・s以上である。
本発明の樹脂組成物の硬化方法としては、熱硬化や光硬化等の種々の方法を好適に用いることができるが、樹脂組成物に硬化剤や必要に応じてその他の材料を混合して1液とし、硬化物の形状に合わせた金型内で該混合液を硬化させ、その後硬化物を金型から取り出す方法が好適に用いられる。このような方法においては、硬化剤等を混合した硬化性樹脂組成物の粘度は、取り扱いが容易であることから、著しく上昇しない方が好ましい。すなわち、混合直後に比べて25℃で3日間保存後の硬化性樹脂組成物の粘度が、200%以下であることが好ましい。200%を超えると、金型への液の注入が困難となりうるおそれがあり、金型内での流動性にも悪影響を与えるおそれがある。より好ましくは、180%以下であり、更に好ましくは、150%以下である。このように、上記樹脂組成物は、硬化性樹脂組成物として1液での混合物の粘度上昇率が、25℃で3日間保存後に混合直後に比べて200%以下となる樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
本発明の樹脂組成物は、有機樹脂成分を含むものであり、該有機樹脂成分の好適な例は上述したとおりである。すなわち、エポキシ基を少なくとも1つ有する化合物、多価フェノール化合物、重合性不飽和結合を有する化合物、脂環式化合物等の硬化性樹脂が好適であり、中でも、脂環式化合物が好ましい。
以下、本発明の有機樹脂として好適に用いることができるエポキシ基を少なくとも一つ有する化合物、多価フェノール化合物、重合性不飽和結合を有する化合物について説明する。なお、有機樹脂成分は、不飽和結合量が少ないものが好ましいことから、多価フェノール化合物の芳香環等不飽和結合を有するものは、樹脂組成物の不飽和結合が10質量%以下となるように含まれることが好適である。
上記有機樹脂は、エポキシ基を少なくとも一つ有するものであることが好ましい。エポキシ基を少なくとも一つ有することにより、従来の熱硬化性プラスチック材料と同等の作業性を有しながら、無機ガラスに匹敵する耐熱性を示し、成形、加工性に優れるといった優れた特性を発揮することができる。このように、上記樹脂組成物は、エポキシ基を少なくとも1つ有するものである樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記エポキシ基を少なくとも1つ有する化合物としては、以下のような化合物等が好適である。ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール等のビスフェノール類とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、及び、これらを上記ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール等のビスフェノール類と更に付加反応させることにより得られる高分子量エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノール、クレゾール、キシレノール、ナフトール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール等のフェノール類とホルムアルデヒド、アセトアルテヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、ジシクロペンタジエン、テルペン、クマリン、パラキシリレングリコールジメチルエーテル、ジクロロパラキシリレン、ビスヒドロキシメチルビフェニル等を縮合反応させて得られる多価フェノール類を更にエピハロヒドリンと縮合反応することにより得られるノボラック・アラルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;テトラメチルビフェノール、テトラメチルビスフェノールF、ハイドロキノン、ナフタレンジオール等とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる芳香族結晶性エポキシ樹脂、及び、更に上記ビスフェノール類やテトラメチルビフェノール、テトラメチルビスフェノールF、ハイドロキノン、ナフタレンジオール等を付加反応させることにより得られる芳香族結晶性エポキシ樹脂の高分子量体;上記ビスフェノール類やテトラメチルビフェノール、テトラメチルビスフェノールF、ハイドロキノン、ナフタレンジオール等の芳香族骨格を水素化した脂環式グリコール類やエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、PEG600、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、PPG、グリセロール、ジグリセロール、テトラグリセロール、ポリグリセロール、トリメチロールプロパン及びその多量体、ペンタエリスリトール及びその多量体、グルコース、フルクトース、ラクトース、マルトース等の単/多糖類等とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂;(3,4−エポキシシクロヘキサン)メチル3´,4´−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート等のエポキシシクロへキサン骨格を有するエポキシ樹脂;テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、安息香酸とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ヒダントインやシアヌール酸、メラミン、ベンゾグアナミンとエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる室温で固形の3級アミン含有グリシジルエーテル型エポキシ樹脂。中でも、上記脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂やエポキシシクロヘキサン骨格を有するエポキシ樹脂が光照射時の外観劣化抑制を目的とした場合はより好適に用いられる。
上記多価フェノール化合物としては、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する芳香族骨格同士が、炭素数が2以上の有機骨格を介して結合してなる構造を有するものを好適に使用することができる。上記多価フェノール化合物において、芳香族骨格とは、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する芳香環である。この芳香族骨格は、フェノール型等の構造を有する部位であり、フェノール型、ハイドロキノン型、ナフトール型、アントラセノール型、ビスフェノール型、ビフェノール型等が好適である。これらの中でもフェノール型が好ましい。また、これらフェノール型等の構造を有する部位は、アルキル基、アルキレン基、アラルキル基、フェニル基、フェニレン基等によって適宜置換されていてもよい。
上記多価フェノール化合物において、有機骨格とは、多価フェノール化合物を構成する芳香環骨格同士を結合し、炭素原子を必須とする部位を意味するものである。また、炭素数が2以上の有機骨格としては、環構造を有することが好ましい。環構造とは、脂肪族環、芳香族環等といった環を有する構造であり、環としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が好ましい。更に、有機骨格としては、トリアジン環、フォスファゼン環等の窒素原子を含有する環構造及び/又は芳香環を有することが好ましく、中でもトリアジン環及び/又は芳香環を有することが特に好ましい。なお、多価フェノール化合物は、上記以外の芳香族骨格や有機骨格を有していてもよく、また、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する芳香族骨格同士が、炭素数が1の有機骨格(メチレン)を介して結合してなる構造を同時に有していてもよい。
上記多価フェノール化合物は、有機骨格として窒素原子を含有する環構造を有する場合には窒素原子含有率が1〜50質量%であることが好ましい。1質量%未満であると、得られる樹脂組成物の難燃性が充分なものとはならないおそれがあり、50質量%を超えると、物性と難燃性とが充分に両立されたものとはならないおそれがある。より好ましくは、3〜30質量%であり、更に好ましくは、5〜20質量%である。なお、窒素原子含有率とは、多価フェノール化合物を100質量%としたときの多価フェノール化合物を構成する窒素原子の質量割合である。
上記重合性不飽和結合を有する化合物としては、重合性不飽和結合を有するものであればよいが、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、フマレート基及びマレイミド基からなる群より選択される1種以上の基を有する化合物であることが好ましい。すなわち、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、ビニル基を有する化合物、フマレート基を有する化合物及びマレイミド基を有する化合物よりなる群から選択される1種以上の化合物であることが好ましい。なお、本発明においては、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基とメタクリロイル基とを意味するものであり、アクリロイル基を有する場合、アクリロイル基中にビニル基を有することになるが、この場合には、アクリロイル基とビニル基とを有することとしないで、アクリロイル基を有することとする。また、フマレート基とは、フマレート構造を有する基、すなわちフマル酸エステルの構造を有する基を意味する。
上記(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、(ポリ)エステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、(ポリ)エーテル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、アルキレン(メタ)アクリレート、芳香環を有する(メタ)アクリレート、脂環構造を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらはそれぞれ1種又は2種以上を用いることができる。
上記ビニル基を有する化合物としては、他末端がハロゲン原子、水酸基又はアミノ基で置換されていてもよいアルキルビニルエーテル(以下、アルキルビニルエーテルともいう)、他末端がハロゲン原子、水酸基又はアミノ基で置換されていてもよいシクロアルキルビニルエーテル(以下、シクロアルキルビニルエーテルともいう)、ビニルエーテル基がアルキレン基と結合し、更に置換基を有していてもよいアルキル基、シクロアルキル基及び芳香族基からなる群より選択される1種以上の基と、エーテル結合、ウレタン結合及びエステル結合からなる群より選択される1種以上の結合を介して結合している構造を有するモノビニルエーテル、ジビニルエーテル及びポリビニルエーテル(以下、モノビニルエーテル、ジビニルエーテル及びポリビニルエーテルともいう)等が挙げられる。これらはそれぞれ1種又は2種以上を用いることができる。
上記フマレート基を有する化合物としては、例えば、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート等のフマル酸エステル類、フマル酸と多価アルコールとのエステル化反応物等が好適である。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
上記マレイミド基を有する化合物としては、例えば、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−tert−ブチルマレイミド、N−ペンチルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、2−マレイミドエチル−エチルカーボネート、2−マレイミドエチル−イソプロピルカーボネート、N−エチル−(2−マレイミドエチル)カーバメート等の単官能脂肪族マレイミド類;N−シクロヘキシルマレイミド等の脂環式単官能マレイミド類;N−フェニルマレイミド、N−2−メチルフェニルマレイミド、N−2−エチルフェニルマレイミド、N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−2−クロロフェニルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−2−トリフルオロメチルフェニルマレイミド等の芳香族単官能マレイミド類;N,N´−メチレンビスマレイミド、N,N´−エチレンビスマレイミド、N,N´−トリメチレンビスマレイミド、N,N´−ヘキサメチレンビスマレイミド、N,N´−ドデカメチレンビスマレイミド、1,4−ジマレイミドシクロヘキサン等の脂環式ビスマレイミド;N,N´−(4,4´−ジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N´−(4,4´−ジフェニルオキシ)ビスマレイミド、N,N´−p−フェニレンビスマレイミド、N,N´−m−フェニレンビスマレイミド、N,N´−2,4−トリレンビスマレイミド、N,N´−2,6−トリレンビスマレイミド、N,N´−〔4,4´−ビス(3,5−ジメチルフェニル)メタン〕ビスマレイミド、N,N´−〔4,4´−ビス(3,5−ジエチルフェニル)メタン〕ビスマレイミド等の芳香族ビスマレイミド類等が好適である。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
上記重合性不飽和結合を有する化合物として用いることができるその他の化合物としては、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド等の単官能(メタ)アクリルアミド類;メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の多官能(メタ)アクリルアミド類;酢酸ビニル、ケイ皮酸ビニル等のカルボン酸ビニル誘導体;スチレン、ジビニルスチレン等のスチレン誘導体;ラウリルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ラウリルアルコールエトキシアクリレート、エポキシステアリルアクリレート、2−(1−メチル−4−ジメチル)ブチル−5−メチル−7−ジメチルオクチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエトキシエチルアクリレート、フェノールポリアルコキシアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート、ノニルフェノールポリプロピレンオキサイド変性アクリレート、ブトキシポリプロピレングリコールアクリレート、テトラヒドロフルフリルアルコールラクトン変性アクリレート、ラクトン変性2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート;2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、アクリル酸ダイマー、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシアルキルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリシクロデカニルオキシエチルアクリレート、イソボルニルオキシエチルアクリレート等のアクリレート類;アクリロイルモルホリン、ダイアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のN−ビニルアミド類;ヒドロキシブチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル等のビニルエーテル類;クロルフェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、ラウリルマレイミド等のマレイミド類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのジアクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物のジアクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物のジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、2,2−ジ(グリシジルオキシフェニル)プロパンのアクリル酸付加物、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジアクリレート、トリス(ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートのトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパントリアクリレート等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、上述した樹脂等の他に、無機微粒子成分を含むものであることが好ましい。樹脂組成物が、無機微粒子成分と有機樹脂成分とを含むものであることにより、更に、強度が高く、連続生産が可能で、成型が容易であり、透明性が高い樹脂組成物とすることができる。透明性とアッベ数がいずれも高く、屈折率等の光学特性が優れたものとなり、特に高アッベ数を要求される光学用途等に好適に用いることができる樹脂組成物とすることができる。本発明の樹脂組成物は、ガラスにはできない複雑な加工を安価に行うことができ、また、特に熱硬化性樹脂を用いた場合に、熱可塑性樹脂では達成できない耐熱性を有するこの場合、上記有機樹脂成分は、無機微粒子成分との相溶性に優れ、該成分が有機樹脂に均一に分散されるものであることが好ましい。また、無機物質が含有された樹脂組成物は、熱膨張率を低下させることができ、無機物質と樹脂との屈折率を合わせることで樹脂組成物及びその硬化物の外観を制御し、透明性を発現させることもできることから、電気・電子部品材料や光学用途における材料として特に有用である。
本発明はまた、有機樹脂成分と無機微粒子成分とを含む有機無機複合樹脂組成物であって、該有機樹脂成分は、分子量が700以上の有機樹脂成分を含んでなる有機無機複合樹脂組成物でもある。この場合においても、有機樹脂成分として、分子量が700未満の有機樹脂成分を含んでなることはより好ましい形態である。樹脂組成物の粘度を低下させ、分子量が700未満の有機樹脂成分の含有量、好ましい化合物等については上述したものを用いることができる。上記分子量が700以上の有機樹脂成分は、有機樹脂成分総量に対して15〜90質量%含んでなるものであることが好ましい。より好ましくは、30〜90質量%である。分子量が700未満の有機樹脂成分を含有しない場合においても、無機微粒子を含有することで、熱膨張率を低下させることができ、更に樹脂組成物のアッベ数を高いものとする効果を得ることができる。また、無機物質と樹脂との屈折率をあわせることで樹脂組成物及びその硬化物の外観を制御し、透明性を発現させることもでき、電気・電子部品材料や光学用途における材料として特に有用なものとすることができる。更に、無機微粒子成分を含むことで離型効果を発揮することができる。具体的には、有機樹脂成分として例えば熱硬化性樹脂(特に、エポキシ材料)を含む場合、有機樹脂成分が接着効果を有することとなり、このような樹脂組成物は硬化させた場合に金型に接着するおそれがある。無機微粒子成分を適量加えることにより、離型効果がみられ、金型から容易に剥がれることとなる。
上記樹脂組成物が無機微粒子を含む場合、上記可とう性成分の含有量としては、有機樹脂成分と無機微粒子成分と可とう性成分との合計100質量%中、有機樹脂成分を40〜99質量%、無機微粒子成分を1〜60質量%、可とう性成分を0.01〜40質量%含むことが好ましい。可とう性成分が40%以下である樹脂組成物が好適である。可とう性成分の含有量としてより好ましくは、0.1〜30質量%であり、更に好ましくは、0.5〜20質量%である。
本発明の樹脂組成物としては、上述のように、有機樹脂成分と無機微粒子とを含むものであり、可とう性成分を含むことが好適である。すなわち、(1)可とう性材料(エポキシが好ましい)を含んでなる脂環式硬化性物質と無機分散体からなる形態、(2)可とう性を有する材料(可とう性成分)と硬化性材料と粒径100nm以下の無機微粒子を含んでなる形態もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記無機微粒子成分は、溶液中に15質量%として分散させたときの25℃におけるpHが4〜11となる無機系微粒子であることが好適である。本発明の樹脂組成物のような樹脂を形成する際に溶媒を脱気するが、通常は、その際に増粘し、ゲル化を起こし生産性が悪くなるおそれがある。上記pHを有する無機微粒子を用いると、pHが高いために溶媒脱気時の増粘が小さく、ゲル化を起こさない。特に有機樹脂成分として脂環式エポキシ化合物及び/又は水添エポキシ化合物を用いた場合、上記pH範囲であると環構造部分が開環することなく、ゲル化が抑制されることとなる。また、樹脂の経時安定性も向上する。さらに、樹脂組成物を硬化する場合には、硬化時に溶媒の揮発がないため連続生産が可能であり、種々の用途に好適に用いることができる。上記無機微粒子のpHとしてより好ましくは、4〜9であり、更に好ましくは、4〜7であり、特に好ましくは、4〜6である。このような範囲とすることにより、樹脂組成物の着色をより充分抑えることができることとなる。また、上記樹脂組成物が不飽和結合を有する化合物を含む場合、すなわち、上記樹脂組成物が、有機樹脂成分と、無機微粒子とを含み、該有機樹脂成分が、不飽和結合を有する化合物を必須とする場合、低アッベ光学部材に用いる場合には、不飽和結合を有する化合物の割合として好ましくは、樹脂組成物(有機樹脂成分と無機微粒子と必要に応じてその他の成分)100質量%中、10質量%以下である。より好ましくは、8質量%以下であり、更に好ましくは、6質量%以下である。特に好ましくは、実質的に含まれないことである。
上記無機微粒子のpHは、無機微粒子を15質量%、有機溶媒を35質量%、水を50質量%となるように調整して、25℃でHORIBA社製pHメーターを用いて測定した値である。無機微粒子濃度、有機溶媒量、水量及び測定温度によりpH値が変化するため、上記組成でサンプルを調整しpH値を測定することが好ましい。
上記有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール(IPA)、ブタノール、メチルエチルケトン(MEK)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、アセトン、アセトニトリル、エチレングリコール、メチルイソブチルケトン(MIBK)等が好ましい。
より好ましくは、MEK、メタノール、エタノール、イソプロパノール(IPA)、ブタノールであり、更に好ましくは、MEKである。
このような有機溶媒を上記範囲で用いることにより、無機微粒子の分散性を優れたものとし、無機微粒子のpHを測定することができることとなる。
上記水としては、pH7の中性のイオン交換水を用いることが好ましい。水を上記割合で混合することで、無機微粒子のpHを正確に測定することができる。
上記無機微粒子としては、金属や金属化合物等の無機化合物から構成される微粒子であればよく、特に限定されるものではないが、金属酸化物であることが好ましく、シリカであることが好ましい。具体的には、日産化学工業社製オルガノシリカゾル MEK−STが好適である。なお、無機微粒子の詳細は後述する。このように、分子量700以上の硬化性物質とシリカ粒子を含んでなる樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記無機微粒子成分は、湿式法により得られたものである無機系微粒子(以下、単に「湿式無機微粒子」ともいう。)を必須とするものであることが好ましい。無機微粒子がシリカを含む微粒子である場合、珪酸ソーダ水溶液の酸又はアルカリ金属塩による中和、分解反応によりシリカの析出を行うことにより得られるものである。すなわち、上記樹脂組成物としては、湿式無機微粒子と脂環式化合物とを必須とするものが好ましい。このように、有機樹脂成分と無機微粒子成分とを含む樹脂組成物であって、該無機微粒子成分は、湿式法により得られたものである無機系微粒子を必須とするものであり、該有機樹脂成分は、脂環式エポキシ化合物及び/又は水添エポシキ化合物を必須とする樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記無機微粒子成分は、湿式無機微粒子を必須とする限り特に限定されず、例えば、乾式法により製造された無機微粒子等を含有していてもよい。無機微粒子成分100質量%中の湿式無機微粒子の含有量としては、10〜100質量%であることが好ましい。より好ましくは、50〜100質量%であり、更に好ましくは、80〜100質量%である。実質的に全ての無機微粒子成分が湿式無機微粒子であることが特に好ましい。このように、無機微粒子が湿式材料である形態もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記無機微粒子成分は、外部添加法と内部析出法のいずれを用いても樹脂成分に好適に配合することができる。これらの中で、外部添加法が樹脂との反応のおそれがないためより好ましい。このようにして配合した無機微粒子成分は、樹脂組成物中で一次粒径で分散していることが好適である。すなわち、無機微粒子としては、分散体(無機微粒子分散体)である形態が好ましい。より好ましくは、湿式シリカ分散体である。無機微粒子成分が一次粒径で分散している場合、樹脂組成物は濁らず、該樹脂組成物は種々の用途に好適に用いることができるが、一次粒子が凝集して二次粒子化する等して、可視光と同程度の大きさとなると、樹脂組成物が濁り、アッベ数が小さくなるおそれがある。
本発明の硬化性樹脂組成物においては、無機微粒子を含有することによって、より透明性に優れた硬化物を与えることができる。そして、透明性を向上させると光学部材としての性能が向上し、光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途等の種々の用途に好適に用いることができる硬化性樹脂組成物となる。透明性を向上させるには、無機微粒子(樹脂組成物における無機微粒子)は、平均粒径が400nm以下が好ましい。より好ましくは100nm以下であり、更に好ましくは、50nm以下であり、特に好ましくは、20nm以下である。なお、上記無機微粒子は、平均粒径が上記範囲であるものであることが好ましく、1nm以下の微粒子が含まれていてもよい。また、粒子の形状ではないもの、例えば、ポリマー状のものも含まれていてもよく、このようなポリマー状のものは、小さければ透明性が高く、二次微粒子を作っていても可視光より小さな粒子となるため樹脂組成物が透明なものとなる。このような無機微粒子を含む樹脂組成物(樹脂組成物)としては、(1)100nm以下の粒径を持つシリカとエポキシ材料を含んでなる形態、(2)少なくとも分子量700以上の硬化性材料と粒径100nm以下の無機微粒子を含んでなる形態が好適である。
上記無機微粒子(樹脂組成物における無機微粒子)の粒度分布としては、1nm〜400nmのものであることが好ましい。このような粒度分布とすることで、本発明の樹脂組成物の硬化物は、可視光領域でのレイリー散乱が充分に抑制され、透明性に優れるといった種々の優れた光学特性を発揮することができる。平均粒径が1nm未満であると、無機物の特性である耐熱性に悪影響を与えるおそれがある。また400nmを超えると、無機微粒子が大きいことに起因して可視光が無機微粒子によって散乱され、透明性が低下し、上述した種々の用途に用いることができないおそれがある。無機微粒子の粒度分布としてより好ましくは、一次粒径が1nm〜100nmであり、更に好ましくは、1nm〜50nmである。
上記可視光領域でのレイリー散乱は、樹脂組成物を光学用途で用いる場合に、光の波長よりも短い粒子による光の散乱として考慮することが必要となるものである。レイリー散乱の光散乱特性は次式(1)のようになる。
Figure 2008274260
:散乱係数、n:粒子数、d:粒子径、m:反射係数、λ:波長
散乱係数の波長と散乱粒子の大きさに関わるパラメータとして次式(2)が挙げられる。
Figure 2008274260
D:粒子径、λ:波長、α<0.4はレイリー散乱の領域
いずれの式からも短波長の光ほど光散乱性は高くなることが示唆されるが、光実装用途に用いられる光通信波長は近赤外線領域である。したがって、特に光学用途で対象となる可視光領域の光波長でレイリー散乱による光散乱を充分に抑制し、可視光透過性が低下せず、透明性に優れ、その他の性能も充分に優れた樹脂組成物とすることが求められている。
なお、上記無機微粒子の一次粒径の大きさ(平均粒径、粒度分布)は、X線小角散乱法による慣性半径とその散乱強度から求めることができる。X線小角散乱法は、密度不均一領域の電子密度の揺らぎがX線照射時の散乱挙動を変えることによって、100nm以下の粒子のサイズを測定することができるため、特に、分散媒中の一次粒子の分布状態をそのまま把握することができる。
上記無機微粒子の粒子径のその他の測定方法としては、透過型電子顕微鏡(TEM)を好適に用いることができる。TEMでは、樹脂組成物における、無機微粒子の分散状態及び個々の粒子径を評価することができる。組成物が液状樹脂の場合には、液状樹脂を試料とし、組成物が固体の場合や、硬化後の成型物の場合には、これらをミクロトームを用いて、薄膜切片を作成し、これを試料としてTEM像を観察することにより、無機微粒子の一次粒径、分散、凝集状態を確認することができる。
X線小角散乱法による慣性半径の測定やTEMによる観察は、樹脂組成物における無機微粒子の一次粒径や粒度分布又は分散状態を直接に評価する方法として有用である。
また組成物における無機微粒子の分散状態や分散粒径を評価する方法として、別法として、樹脂組成物が液状物の場合や溶媒可溶性の樹脂の場合には、動的光散乱式粒度分布測定法等も採用しうる。通常、適度な微粒子濃度になるように溶媒で希釈したものを測定試料とするために、希釈により微粒子の分散状態が変化することがあるが、分散状態・分布の相対的な比較評価を簡易に行える点で有用である。
以上、組成物における無機微粒子の粒子径(一次粒径、分散粒径)に関する評価方法は、目的に応じて、適宜、選ぶことができる。
上記有機樹脂成分と無機微粒子成分とを含む硬化性樹脂組成物である場合、有機樹脂成分と無機微粒子成分との合計100質量%に対し、有機樹脂成分を40〜99質量%、無機微粒子成分を1〜60質量%含むことが好ましい。このような含有量とすることで、透明性とアッベ数が制御された樹脂組成物とすることができる。特に、有機樹脂成分として熱硬化性樹脂を用いた場合には、熱可塑性樹脂にはできない耐熱性の克服が可能であり、ガラスにはできない複雑で安価な加工が可能となる。上記含有量としてより好ましくは、有機樹脂成分が60〜90質量%、無機微粒子成分が10〜40質量%であり、更に好ましくは、有機樹脂成分が70〜90質量%、無機微粒子成分が10〜30質量%である。特に好ましくは、無機微粒子成分が15〜30である。
本発明の樹脂組成物においては、溶液中に15質量%として分散させたときの25℃におけるpHが4〜9(好ましくは4〜6)であり、平均粒径が100nmより小さい無機微粒子と、脂環式硬化材料及び/又は水添硬化材料からなる樹脂組成物である形態が好ましい。このような形態においては、脂環式硬化材料及び/又は水添硬化材料を用いることでアッベ数の向上が可能であり、硬化時に溶媒の揮発がないため連続生産が可能であり、無機微粒子を分散できるため透明性・耐熱性の高い光学用樹脂の作製が可能である。pHが高いために、樹脂形成する際、溶媒脱気する過程において、増粘の程度が低く、ゲル化を起こすおそれが小さく、樹脂の経時安定性も向上する利点がある。本発明においては、有機樹脂成分と無機微粒子成分とを含む樹脂組成物であって、該無機微粒子成分は、湿式法により得られたものである無機系微粒子を必須とするものであり、該有機樹脂成分は、アッベ数が45以上であることを特徴とする樹脂組成物である形態も好ましい。また、本発明の樹脂組成物において、好ましい形態としては、有機樹脂成分としてアッベ数45以上の有機樹脂を総有機成分中40%以上(好ましくは60、80%以上)含有し、湿式無機(珪素酸化物)量を10〜40%(好ましくは15〜30)含有する形態であり、より好ましい形態としては、脂環式硬化材料及び/又は水添硬化材料を40%以上(80%以上)、湿式シリカを10%以上含んでなる形態であり、更に好ましい形態としては、脂環式エポキシ化合物及び/又は水添エポキシ化合物を40%(80%)以上、湿式シリカ分散体を10%以上含んでなる形態である。このように、脂環式エポキシ化合物及び/又は水添エポキシ化合物と弱酸性の湿式シリカ分散体からなる樹脂組成物(透明樹脂組成物)、及び、上述したpH範囲の無機微粒子を用いて製造する樹脂組成物の製造方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
なお、本明細書に記載する無機微粒子の好ましい形態等を適宜組み合わせることによって、上述したように、無機微粒子を15質量%、有機溶媒を35質量%、水を50質量%である溶液の25℃でのpHを4〜11となる特性のもの等、本発明の好ましい形態のものとすることができる。
上記無機微粒子としては、金属や金属化合物等の無機化合物から構成される微粒子であればよく、特に限定されるものではない。無機微粒子としては、シリコン、チタン、ジルコニウム、インジウム、錫、ランタン、イットリウム等の金属元素を金属成分とする金属酸化物や、オルガノポリシロキサンを必須とするものが好適であり、樹脂組成物の用途に応じて、適宜好ましい無機微粒子を選択することができる。例えば、低屈折率光学部材用(高アッベ光学部材)には、屈折率が、1.5以下の金属酸化物粒子が好ましく、例えば、シリコンを金属成分とする金属酸化物(例えば、シリカ粒子)等が好適である。また、高屈折率光学部材用(低アッベ光学部材)には、屈折率が、1.9以上の金属酸化物粒子が好ましく、例えば、チタン、ジルコニウム、インジウム、錫、ランタン、イットリウムからなる群より選択される金属元素を金属成分とする金属酸化物粒子が好適である。無機微粒子における無機成分としては、金属の酸化物、水酸化物、(酸)窒化物、(酸)硫化物、炭化物、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、(塩基性)炭酸塩、(塩基性)酢酸塩等が例示される。これらの中でも好ましくは、金属の酸化物(金属酸化物)である。なお、金属酸化物とは、以下のものを意味/包含するものである。すなわち、金属(M)を金属成分とし、メタロキサン(M−O)結合を主たる結合成分とする化合物を意味する。また、単一の金属成分からなる単一酸化物、複数の金属成分からなる複合酸化物、これらの金属酸化物に金属元素M、酸素とは異なる異種の金属元素が固溶してなる固溶体酸化物が例示される。また、定比組成からなる金属酸化物、不定比組成:例えば、ZnO(1−δ)、TiO(2−δ)、Ni(1−δ)O等の金属元素又は酸素元素が定比組成に対して過剰又は欠損した、不定比組成の金属酸化物も好ましく採用し得る。金属酸化物の形態としては、結晶質、非品質いずれも包含する。結晶質であるか非晶質であるかや、結晶性が高いか低いかは、通常、X線回折測定により評価することができる。また、水和した金属酸化物も本発明でいう金属酸化物に含まれる。また、金属酸化物粒子の製造過程での原料由来の残基、原子、原子団が、表面又は内部の金属原子又は酸素原子の一部に結合したものも含まれていてもよい。例えば、有機基、水酸基、硝酸根、硫酸根、ハロゲン原子、水素原子、アルカリ金属原子(イオン)等である。上記有機基としては、メトキシ基、ブトキシ基等のアルコキシル基;エタノイル基(アセトキシ基)、プロパノイル基等のカルボキシル基;β−ジカルボニル基;β−ケトエステル基;アルキル基;シクロアルキル基;アリール基;アラルキル基等が好ましく例示される。
上記無機微粒子としては、微粒子の樹脂との親和性向上、分散性向上等の目的で、表面処理された粒子も包含される。表面処理剤としては、特に限定されず、微粒子表面に有機鎖、高分子鎖の導入又は表面電荷制御の目的で、各種の有機化合物、無機化合物、有機金属化合物等が用いられる。例えば、
1)カップリング剤;シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤等のカップリング剤;金属アルコキシド類及びこれらの(部分)加水分解・縮合物;金属石鹸;等の有機金属化合物。
2)有機アミン、βジケトン化合物、カルボン酸等の有機化合物。
3)従来公知の高分子系分散剤の他に、(メタ)アクリル樹脂系、ポリスチレン樹脂系、ポリオレフィン系、酢酸ビニル樹脂系、アクリルシリコーン系等のビニル系モノマーの(共)重合体系ポリマー;アルキド樹脂系ポリマー;アミノ樹脂系ポリマー;エポキシ樹脂系ポリマー;ポリアミド樹脂系ポリマー;ポリイミド樹脂系ポリマー;ポリウレタン樹脂系ポリマー;ポリエステル樹脂系ポリマー;フェノール樹脂系ポリマー;オルガノポリシロキサン系ポリマー;ポリアルキレングリコール系ポリマー;フッ素樹脂系等の高分子化合物及びこれらの変性物。
4)(カチオン系、アニオン系、両性、ノニオン系等の)各種界面活性剤。
5)アルカリ金属イオン、ハロゲンイオン。
等が好適である。
上記金属元素(M)としては、任意であるが、例えば、金属元素(M)としては、特に限定はないが、例えば、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra等のアルカリ土類金属元素;La、Ce等のランタノイド系金属元素;Ac等のアクチノイド系金属元素;Sc、Y等のIIIa族金属元素;Ti、Zr、Hf等のIVa族金属元素;V、Nb、Ta等のVa族金属元素;Cr、Mo、W等のVIa族金属元素;Mn、Tc、Re等のVIIa族金属元素;Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt等のVIII族金属元素;Cu、Ag、Au等のIb族金属元素;Zn、Cd、Hg等のIIb族金属元素;Al、Ga、In、Tl等のIIIb族金属元素;Si、Ge、Sn、Pb等のIVb族金属元素;Sb、Bi等のVb族金属元素;Se、Te等のVIb族金属元素等を挙げることができ、これらが1種または2種以上併存していてもよい。これらの中でも、組成物の目的とする、電気的特性、光学特性、磁気的特性等により選択することができる。例えば、光学物性のうち、高屈折率の樹脂組成物を得たい場合には、Ti、Zr、In、Zn、La、Al等が好ましく、低屈折率の組成物を得たい場合は、Siが好ましい。
上記微粒子の形状としては、特に限定されない。形状の具体例としては、球状、楕円球状、立方体状、直方体状、ピラミッド状、針状、柱状、棒状、筒状、りん片状、(六角)板状等の薄片状などが例示される。
上記無機微粒子としては、液相合成法で得られた無機微粒子、特に、後述する液相合成法で得られた金属酸化物微粒子が好ましい。例えば、後述するアルコキシド化合物及び/又はカルボン酸塩化合物の加水分解縮合物からなる無機微粒子は、気相合成法により得られる無機微粒子とは異なる微細構造を有している。例えば、無機微粒子がSi、Al、P、Fe、Ag、Sn、Ti、V、Cr、Mn、Co、Cu、Zn、Sb、La等の金属元素又は非金属元素を含有してなる場合、核磁気共鳴(NMR)測定により確認することができる。一例として、Siを含有する場合について述べると、1個のSi原子の周りを4個の酸素原子が配位したSiO原子団が構成する正四面体が基本構造となっており、SiO原子団同士が酸素原子を共有化するか否かで異なる微細構造をとる。シリカをハロゲン化珪素の加熱分解や加熱還元化した珪砂の空気酸化により製造した場合、すべてのSiO原子団は酸素原子を共有化するため、Si−NMR測定を行うと、−120〜−100ppmにピークトップを持つQシリカ成分のみが観測される。これに対して上記アルコキシド化合物及び/又はカルボン酸塩化合物の加水分解縮合物の場合、酸素原子を共有しないSiO原子団が出現し、Qシリカ成分とともに−100ppm〜−90ppmにピークトップを持つQシリカ成分も確認される。このようなNMR測定は、無機微粒子がアルコキシド化合物及び/又はカルボン酸塩化合物の加水分解縮合物であるかどうかを確認するための有力な手法となり得、更に無機微粒子により期待される各種性能がどの程度付与されうるかを調べることも可能である。
上記樹脂組成物を得るための無機微粒子の樹脂成分への配合方法としては、外部添加法と内部析出法とが好適に用いられる。
上記無機微粒子の外部添加法、具体的には、無機微粒子の樹脂組成物への添加形態、分散体について説明する。
上記無機微粒子/金属酸化物粒子の形態としては、粒子が液状の媒体に分散した形態で、樹脂成分と混合することが好ましい。媒体としては、溶媒、可塑剤、モノマー、液状樹脂等を例示することができる。溶媒としては、水、有機溶媒、鉱物油、植物油、ワックス油、シリコーン油等が好適である。
溶媒分散体としては、表面改質された無機系微粒子を含み、溶媒をさらに含む。この場合の溶媒としては、上述の溶媒を挙げることができる。溶媒分散体における無機系微粒子の含有量については、特に限定はないが、好ましくは溶媒分散体全体の10〜70質量%、さらに好ましくは20〜50質量%であり、溶媒分散体は、この程度の含有量において取扱いやすい。溶媒分散体における溶媒の含有量については、特に限定はないが、好ましくは溶媒分散体全体の90〜30質量%、さらに好ましくは80〜50質量%である。
有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、脂肪族および芳香族のカルボン酸エステル類、エーテル類、エーテルエステル類、脂肪族および芳香族の炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類のほか、鉱物油、植物油、ワックス油、シリコーン油等を挙げることができる。
可塑剤分散体としては、可塑剤に分散させるものであり、上記無機微粒子、好ましくは表面改質された無機系微粒子を含み、可塑剤をさらに含有する。この場合、可塑剤としては、特に限定はなく、例えば、りん酸トリブチル、りん酸2−エチルヘキシル等のりん酸エステル系可塑剤;フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、フタル酸オクチルデシル等のフタル酸エステル系可塑剤;オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、等の脂肪族−塩基酸エステル系可塑剤;アジピン酸ジブチル, セバシン酸ジ−2−エチルヘキシルなどの脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤;ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラートなどの二価アルコールエステル系可塑剤;アセチルリシノール酸メチル、アセチルクエン酸トリブチルなどのオキシ酸エステル系可塑剤等の従来公知の可塑剤を挙げることができる。
モノマー分散体としては、樹脂成分となる重合性モノマーに分散するものであり、上記無機微粒子、好ましくは表面改質された無機系微粒子を含み、モノマーをさらに含有する。モノマー分散体に用いられるモノマーとしては、特に限定はなく、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等の(メタ)アクリル系モノマー、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマー、塩化ビニル、酢酸ビニル等のビニル系モノマーなど、従来公知のモノマーを挙げることができる。
樹脂組成物を調製するための上記無機微粒子粉体、微粒子分散体における微粒子の粒子径としては、微細であることが透明な樹脂組成物が得られ、得られた樹脂組成物における微粒子の配合効果(例えば、熱膨張係数の低減効果、アッベ数の向上効果、屈折率制御効果等)が大きくなる点から好ましく、具体的には、微粒子の一次粒径は、1nm〜400nm、より好ましくは、100nm以下、更に好ましくは50nm以下、特に好ましくは20nm以下である。微粒子の一次粒径は、例えば、上述した小角X線散乱法による慣性半径を測定する方法、電子顕微鏡より任意の粒子に関して粒子径を測定する方法、比表面積測定より測定される比表面積径Ds(nm);
Ds=6000/(ρ×S)
(但し、ρ:金属酸化物系粒子の真比重、S:B.E.T.法で測定される金属酸化物系粒子の比表面積(m/g))、又は、結晶質の場合にはX線回折測定による結晶子径の測定により、求めることができる。
上記無機微粒子粉体、微粒子分散体における微粒子の分散粒径は、一次粒径又はそれに近い大きさに分布していることが好ましく、具体的には、平均粒子径が、400nm以下、更に好ましくは70nm以下、特に好ましくは30nm以下である。また分散粒子径は、動的光散乱法、遠心沈降法等により評価することができる。樹脂組成物中における一次粒径並びに分散粒径に関しても上記微粒子粉体、微粒子分散体の場合と同様の範囲が好ましく、前記した小角X線散乱法等で評価することができる。
このような範囲としては、樹脂組成物においても、同様の範囲であることが好ましい。
上記外部添加法に用いる無機微粒子の中で、その製造方法としては、従来技術公知の液相合成法、気相合成法、固相合成法のうち、透明性を確保できる液相合成法で得られた微粒子を本願でいう湿式粒子(湿式無機微粒子)とする。本発明の樹脂組成物においては、湿式無機微粒子を必須とするものであることが好適であるが、例えば、気相合成法、固相合成法で得られた無機微粒子を含んでいてもよいが、上述したように全ての無機微粒子成分が湿式無機微粒である形態が好ましい。
上記湿式無機微粒子として好適なものとしては、本願の組成物の原料として、乾燥工程を経ずに得られ、無機微粒子を含有する液状物として提供できるものである。すなわち、本発明の無機微粒子としては、液相合成法により合成されたものであればよく、中でも、液相合成法により合成されたものであって、乾燥工程を経ないものが好ましい。乾燥物を経ないとは、微粒子の合成(生成)(液相合成法)から、本願複合樹脂組成物(樹脂組成物)の原料として用いるまで、乾燥粉末化する工程を経ないことを表し、いわゆるオール湿式プロセスのことをいう。例えば、一貫した液相プロセス、液状プロセスである。また、ウエットなケーキ状態を減る工程は、湿式プロセスの範囲に含まれる。当然、本願の複合樹脂組成物の構成成分となる有機樹脂成分の1つに、微粒子合成反応液から乾燥過程を経ずに、分散させたものも湿式無機微粒子に含まれる。液状物には、ウエットケーキ、溶媒分散体、液状樹脂分散体等が含まれる。
なお、無機微粒子の中でも好適に使用しうる金属酸化物微粒子の気相合成法、固相合成法としては以下のものが好適である。
〔気相合成法〕
無機又は有機金属塩を、蒸気化して、通常、空気中で高温(酸化)熱分解する方法に代表され、例えば、金属ハロゲン化物を加熱し酸化して酸化物とする方法(例えば、アルミニウム、ケイ素、チタンなどのハロゲン化物をガス化して酸素又は水蒸気などによって高温気相酸化分解する方法はアルミナ、シリカ、酸化チタン等の微細粉末の工業的製法)、金属カルボニル化合物や有機金属化合物を酸化熱分解する方法が例示される。また、金属原料(金属、鉱物)を加熱し、金属蒸気を高温で空気酸化する方法(例えば、フランス法ZnOの工業的製法)も例示される。
〔固相合成法〕
金属の水酸化物や炭酸塩を加熱して分解し酸化物を得る方法が挙げられる。液相合成法で、金属酸化物(水和物)の中間体を得た後、気相又は固相で酸化物に転換する手法が例示される。例えば、酸アルカリによる分解沈殿法で、金属炭酸塩等の金属塩類を得た後、加熱して分解し酸化物を得る方法が好適である。
次に本発明の必須成分である湿式無機微粒子の中でも有用な湿式金属酸化物微粒子の液相合成法について説明する。
〔液相合成法〕
酸アルカリによる分解沈殿法、有機金属化合物の加水分解・縮合法、金属ハロゲン化物の加水分解・縮合法、水熱反応などの沈殿法が好ましく採用し得る。
酸アルカリによる分解沈殿法:金属塩類の水溶液のアルカリによる分解、塩基性塩の酸による分解、金属塩類と塩基性塩の複分解等の反応が例示される。後述の水ガラスの水溶液のアルカリによる中和反応によるシリカ粒子の製造方法は、酸アルカリによる分解沈殿法の一例である。
これら沈殿法により、通常、金属の酸化物又は酸化物水和物の反応液が得られるが、これらは、本発明の金属酸化物微粒子原料として好ましく採用し得る。
上記の各種方法のうち、有機金属化合物の加水分解、縮合法以外は、通常、ろ過、洗浄による不純物の除去工程を経た後、粉末化及び/又は(溶媒置換や粉末の分散媒体への再分散による)分散体化した後、使用することが好ましい。
有機金属化合物の加水分解・縮合法の場合は得られた反応液より、上記の洗浄工程を経ずとも、所望の形態(粉末、分散体)に加工することができる。
液相合成法により金属酸化物(水和物)微粒子の反応液を得た後、乾燥工程を経ずに、樹脂成分と混合する形態に調製する一貫した液相プロセスが、乾燥時の2次凝集を回避することができるため、好適である。具体的には、反応液を必要に応じて濃縮し、加熱溶媒置換等の如く、反応液中の溶媒成分の除去と所望の分散媒体(樹脂成分、モノマー、溶媒など)への置換を同時に行うプロセスが好ましい。
上記無機微粒子の液相合成法の中でも、内部析出法にも好ましく適用し得る、有機金属化合物の加水分解・縮合法について説明する。
有機金属化合物の中でも、アルコキシド化合物(好ましくは金属アルコキシド)及び/又はカルボン酸塩化合物(好ましくはカルボン酸金属塩)が好適である。
以下に、アルコキシド化合物やカルボン酸塩化合物の加水分解反応及び縮合反応を示す。
M´(OR+aHO(加水分解)→M´(OH)+aROH
M´(OH)→M´(OH)→M´O2/c(縮合物)
(式中、M´は金属元素を表し、Rはアルキル基又はアシル基を表す。a、b及びcは任意の数値である。)
上記アルコキシド化合物やカルボン酸塩化合物としては、下記一般式(1);
M´(ORn2 (1)
(式中、M´は金属元素、Rはアルキル基又はアシル基を表し、n2は1〜7の整数を表す。)で表される化合物及び/又は下記一般式(2);
(Rm2M´(OR (2)
(式中、M´及びRは一般式(1)と同様である。Rは有機基を表し、m2及びpは1〜6の整数を表す。)で表される化合物が好適である。
上記一般式(1)及び一般式(2)におけるRのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好適であり、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が好ましい。また、Rのアシル基としては、炭素数1〜4のアシル基が好適であり、アセチル基、プロピオニル基、ブチニル基等が好ましい。
上記一般式(2)におけるRの有機基としては、炭素数1〜8の有機基が好適であり、メチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等のアルキル基;3−フルオロプロピル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリクロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基;2−メルカプトプロピル基等のメルカプト基含有アルキル基;2−アミノエチル基、2−ジメチルアミノエチル基、3−アミノプロピル基、3−ジメチルアミノプロピル基等のアミノ基含有アルキル基;フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基;2−グリシドキシエチル基、3−グリシドキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基等のエポキシ基含有有機基;ビニル基、3−(メタ)アクリルオキシプロピル基等の不飽和基含有有機基等が好ましい。
上記一般式(1)及び一般式(2)における金属元素M´としては、上記一般式(1)及び一般式(2)に示す化合物の構造を取り得る金属元素であれば周期表のどの元素でもよく、上述した金属(M)と同様のものを採用しうる。好ましくは、B、Al、Ga、In、Tl等のIIIB族;C、Si、Ge、Sn、Pb等のIVB族;Ti、Zr、Zn、Ca、Na、Li、Te、Mg、Ni、Cr、Ba、Ta、Mo、Tb、Cs等を挙げることができる。
また前記アルコキシド化合物やカルボン酸塩化合物としては、M´が異なる2種以上のものを併用する、又は、2種類以上のM´を複合的に含有するものを使用してもよい。特に、光学用途においては、絶縁性が要求されるため、イオン伝導性の低いものを選択することが好ましく、前記金属元素M´としては、アルカリ金属及びアルカリ土類金属を除く典型金属元素、遷移金属元素、又は、非金属元素が好ましい。アルカリ金属及びアルカリ土類金属を除く典型金属元素としては、Al又はInが好適であり、非金属元素としては、Siが好適である。
上記M´がSiである場合のアルコキシド化合物やカルボン酸塩化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アニリン、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]アニリン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン類;テトラアセチルオキシシラン、テトラプロピオニルオキシシラン等のテトラアシルオキシシラン類;メチルトリアセチルオキシシラン、エチルトリアセチルオキシシラン等のトリアシルオキシシラン類;ジメチルジアセチルオキシシラン、ジエチルジアセチルオキシシラン等のジアシルオキシシラン類等が好適である。これらの中でも、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランが好ましい。
上記M´がSi以外である場合のアルコキシド化合物としては、Cu(OCH、Zn(OC、B(OCH、Al(OCH、Al(OC、Al(iso−OC、Al(OC、Ga(OC、Y(OC、Ge(OC、Pb(OC、P(OCH、Sb(OC、VO(OC、Ta(OC、W(OC、La(OC、Nd(OC、Ti(OCH、Ti(OC、Ti(iso−OC、Ti(OC、Zr(OCH、Zr(OC、Zr(OC、Zr(OC等の単一金属アルコキシド;La[Al(iso−OC、Mg[Al(iso−OC、Mg[Al(sec−OC、Ni[Al(iso−OC、(CO)Zr[Al(OC、Ba[Zr(OC等の複合金属アルコキシド等が好適である。
アルコキシド化合物及び/又はカルボン酸塩化合物の加水分解・縮合反応は、これらの化合物を、通常、有機溶媒中で、水と接触させることにより行わせることができる。アルコールが有機溶媒として好ましい。また、加水分解・縮合反応を進めるために、通常、加水分解触媒を共存させる。外部添加法で用いる金属酸化物微粒子を得るための触媒としては、塩酸、硝酸等の無機酸、酢酸等のカルボン酸等の酸触媒、アンモニア、アミン等の塩基性触媒が好ましい。金属元素M´の種類により、適宜選択し得る。反応温度は通常0〜120℃であることが好ましく、より好ましくは、10〜100℃である。
内部添加法で好適な触媒、条件に関しては、後述する。
次に、金属酸化物微粒子の中でも特に有用なケイ素系酸化物微粒子、及び、その製法について説明する。上記ケイ素系酸化物粒子(分散体)の具体例としては、SiOを主成分とする、シリカ粒子の他に、ケイ素の一部に、アルキル基等の有機基が結合した、ポリオルガノシロキサン系粒子が挙げられる。ポリオルガノシロキサンとしては、従来のポリオルガノシロキサンが採用可能であり、粒子状でない形態のポリオルガルシロキサンも好適に用いることができる。例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサンなどの線状のシリコーン化合物、ポリメチルシルセスキオキサン、ポリフェニルシルセスキオキサンなどのポリシルセスキオキサン化合物、カルボキシル基変成、アルコール変成、アミン変成、ポリエーテル変成、エポキシ変成などの変成シリコーン化合物などが挙げられる。ポリオルガノシロキサンを樹脂組成物中に含有させる場合には、その含有量は樹脂組成物の総質量に対して、0.01〜10質量%の範囲が好ましく、更に、0.1〜2質量%の範囲が好ましい。ポリオルガノシロキサンは、高アッベ光学部材、低アッベ光学部材いずれにも適用可能である。
例えば、ポリメチルシルセスキオキサン系粒子等のポリオルガノシロキサン系粒子等のポリオルガノシロキサンとしては・・・・一般式(3);
m3SiO(4−m3)/2 (3)
が好ましく例示される。
上記のシリカ粒子としては、a)水ガラスを出発原料とする方法、b)加水分解可能なシリコン化合物の加水分解・縮合反応により得られたものが好ましい。
a)水ガラスと硝酸、塩酸等の無機酸とを水媒体中で混合する方法(前記酸アルカリによる分解沈殿法の一つ)や水ガラス水溶液をイオン交換樹脂と接触させることにより水ガラス中のアルカリ金属成分とプロトンをイオン交換する方法(イオン交換方法)が好ましく用いられる。この方法によると、コロイダル状のシリカ粒子が生成する。
得られた反応液(シリカの微細な粒子が生成、前者の方法では無機酸根とアルカリ金属の塩が溶解している)より、必要に応じて、脱塩処理を施し、溶媒成分を一部除去することにより濃縮されたシリカ粒子の水系分散体が得られる。従来技術公知の方法(加熱溶媒置換、遠心分離と再分散等)で所望の溶媒に溶媒置換することができる。
b)前記一般式(1)において、M´=Siの場合のシリコン化合物を、含水有機溶媒中、好ましくは含水アルコール中で、好ましくは、加水分解触媒存在下で、加水分解、縮合反応させることにより得られる。触媒は、塩酸、硝酸等の無機酸、酢酸等のカルボン酸等の酸触媒、アンモニア、アミン等の塩基性触媒が好ましく、特に塩基性触媒が好ましい。
得られたシリカ粒子の反応液を濃縮及び/又は所望の有機溶媒に溶媒置換することにより、シリカ粒子の微粒子分散体とすることができる。
オルガノシロキサン系粒子系粒子等のポリオルガノシロキサン・・・・一般式(3) Rm3SiO(4−m3)/2の製法例
前記一般式(2)におけるM´=Siの場合のシリコン化合物の少なくとも一種、又は、前記一般式(2)におけるM´=Siの場合のシリコン化合物の少なくとも一種及び前記一般式(1)におけるM´=Siの場合のシリコン化合物の少なくとも一種を、上記(b)と同様に、(共)加水分解・縮合することにより、得られる。
工業的に入手可能なケイ素系酸化物粒子分散体の例としては、日産化学のオルガノシリカゾルが好適である。
本発明で使用する無機微粒子、及び、粒子状でないポリオルガノシロキサンの製造方法としては、上述した有機樹脂成分を含有してなる液体媒体中で、アルコキシド化合物及び/又はカルボン酸塩化合物を加水分解及び縮合して無機微粒子を得る方法(内部析出法)が好適である。樹脂成分を含有する液体媒体中で加水分解縮合物を得ることによって、有機−無機の複合化が行われ、マトリックスである樹脂中に、無機微粒子が微細に分散した有機−無機ハイブリッド(複合体)である本発明の樹脂組成物を得ることができる。このようにして得られた有機−無機ハイブリッドは、優れた硬化性及び難燃性を発揮するものである。
上記樹脂組成物の他の説明としては、下記のとおりである。なお、内部析出法及び外部添加法の両方に共通する。
本発明の樹脂組成物は、上記無機微粒子を1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、50質量%以下、より好ましくは40質量%以下含有することが好ましい。1質量%以上とすることにより、得られる樹脂組成物の難燃性や熱的性質の改善効果が充分に発現することとなる。50質量%を超えると、高粘度化して組成物を均一に混合できないおそれがある。無機微粒子の代わりにポリオルガノシロキサン(粒子状、又は、非粒子状)を用いる場合については、前記した範囲が好ましい。
上記樹脂組成物としてはまた、2種以上の有機樹脂と無機微粒子とを溶媒5質量%以下に調製してなる形態が好ましい。このような形態に調製することにより、連続生産可能となり、一体感を有し、強度が高く、透明性・耐熱性が高い熱硬化性樹脂を得ることができ、500nm透過率80%以上であるレンズ材料(光学材料)として有用な熱硬化性材料を提供することができる。このように、有機樹脂成分と無機微粒子成分とを含む樹脂組成物であって、該樹脂組成物は、2種以上の有機樹脂と無機微粒子とを溶媒5質量%以下に調製してなる樹脂組成物もまた、本発明の一つである。また、無機微粒子の代わりにポリオルガノシロキサン(粒子状、又は、非粒子状)を用いた場合も同様の方法を好適に用いることができる。
上記溶媒量としては、混合物(2種以上の有機樹脂と無機微粒子と溶媒(と必要に応じてその他の成分)との混合物)100質量%中、溶媒5質量%以下である。5質量%を超えると発泡や成形体の強度低下のおそれがある。溶媒量としてより好ましくは、3質量%以下であり、更に好ましくは、1質量%以下である。本発明の好ましい形態の一つとして樹脂組成物の粘度上昇を抑えるという観点からは、0.05〜5質量%の溶媒を混合物(樹脂組成物)100質量%中に残すことが好ましい。溶媒の残存量としてより好ましくは、0.1〜3質量%であり、更に好ましくは、0.5〜2質量%である。本発明においては、例えば、高沸点溶媒等を同時にエバポレートすることにより、短期間で溶媒を上記範囲とすることができ、樹脂組成物を好適に得ることができることとなる。上記溶媒としては、2−エチル−1−ヘキサノール、ドデカノール等が好ましい。また、無機微粒子の代わりにポリオルガノシロキサン(粒子状、又は、非粒子状)を用いた場合も同様である。
上記樹脂組成物においては、高分子量成分と低分子量成分とを含むものであるが、更に無機微粒子を含むことが好適な形態の一つであり、これらの調製方法としては、低分子量成分と無機微粒子(と必要に応じてその他の成分)とを混合し、溶媒(溶剤)を留去した後、高分子量成分を添加する方法が好ましく、混合物(低分子量成分と無機微粒子と高分子量成分と溶媒(と必要に応じてその他の成分)との混合物)100質量%中、溶媒を5質量%以下となるよう調製してなる形態が好ましい。樹脂(樹脂組成物)形成の際に、溶剤を留去するが、通常は、この際の加熱により高分子量成分が無機微粒子と化学結合や物理結合を形成する等して、樹脂組成物の粘度が上昇することとなるが、上記のように混合することで、樹脂組成物の粘度が上昇することなく、好適な樹脂組成物を得ることができる。また、高分子量材料の樹脂組成物へのなじみをよくすることができる。このように、有機樹脂成分と無機微粒子成分とを含む樹脂組成物を製造する方法であって、該製造方法は、2種以上の有機樹脂と無機微粒子とを混合し、最終的に溶媒5質量%以下で調製する工程を含む樹脂組成物の製造方法もまた、本発明の好ましい実施形態の一つである。このような製造方法としてより好ましくは、上記2種以上の有機樹脂が分子量が700以上のもの(高分子量成分)と700未満のもの(低分子量成分)とを必須とするものである形態である。更に好ましくは、上記混合工程は、低分子量成分と無機微粒子と溶媒とを含む混合物から溶媒の少なくとも一部を除去した後、高分子量成分を添加してなる形態である。また、無機微粒子の代わりにポリオルガノシロキサン(粒子状、又は、非粒子状)を用いた場合も同様の方法を好適に用いることができる。
上記分子量が700以上の有機樹脂、分子量の測定方法及び樹脂組成物に含まれる無機微粒子成分としては、上述と同様であることが好ましい。上記分子量が700以上のものと700未満のものの割合としては、〔700以上/(樹脂組成物全体)〕×100=15〜90%であることが好ましい。より好ましくは、30〜90%であり、更に好ましくは、35〜80%であり、特に好ましくは、40〜70%である。なお、有機樹脂の具体例としては、後述する。
上記2種以上の有機樹脂としては、2種以上のエポキシ化合物であることが好ましい。中でも、脂環式エポキシ化合物及び/又は水添エポキシ化合物、特に脂環式エポキシ化合物を含むことが好適である。すなわち、高分子量成分として高分子量エポキシ化合物と、低分子量成分として低分子量エポキシ化合物を併用することが好ましい。また、無機微粒子成分としては、上述したように、シリカであることが好適である。このように、2種以上のエポキシ化合物をシリカと溶媒5%以下で混合する樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。また、無機微粒子の代わりにポリオルガノシロキサン(粒子状、又は、非粒子状)を用いた場合も同様の方法を好適に用いることができる。
本発明の樹脂組成物の製造方法としては、上記樹脂組成物を製造できるものである限り特に限定されないが、例えば、(1)無機微粒子(又は、ポリオルガノシロキサン)、有機樹脂及び溶媒を含む混合物を調製する工程と、(2)上記混合物から溶媒を脱気する脱気工程とを含むものであることが好ましい。
上記(1)の調製工程としては、上記3成分が含まれる混合物が調製できれば特に限定されず、3成分が均一に混合されていればよく、任意の添加(配合)順序、混合方法を用いることができる。更に、上記混合物にはその他の成分が含まれていてもよい。
上記溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、アセトニトリル、クロロホルム、トルエン、キシレン等が好ましい。より好ましくは、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、トルエンである。
上記調製工程としては、100℃以下で調製を行うことが好ましい。
上記調製工程において、有機樹脂成分と無機微粒子成分と溶媒との割合としては、(有機樹脂成分+無機微粒子成分)/(有機樹脂成分+無機微粒子成分+溶媒)=10〜90質量%であることが好ましい。より好ましくは、15〜60質量%である。また、無機微粒子成分の代わりに、粒子状でないポリオルガノシロキサンを用いる場合にも同様の方法を用いることができる。
上記(2)の脱気工程としては、高沸点成分共存下で行われるものであることが好ましい。高沸点成分共存下で脱気することにより、無機微粒子成分(又は、非粒子状ポリオルガノシロキサン)を高濃度とすることができ、透明性とアッベ数がいずれも高い樹脂組成物を得ることができる。また、混合物の増粘を効果的に抑えることができ、連続生産が可能となる。なお、「高沸点成分共存下」とは、脱気工程において、高沸点成分が共存する期間があればよく、該共存期間は、脱気工程の全期間であっても一部の期間であってもよいが、増粘防止のため、全期間であることが好ましい。
上記高沸点成分の添加方法としては、本発明の作用効果を発揮する限り特に限定されず、一括で添加してもよく、滴下して添加してもよく、分割添加等であってもよい。中でも、一括添加が好適である。また、高沸点成分の添加時期(又は添加開始時期)としては特に限定されず、例えば、(1)調製工程の終了後であって、脱気工程の開始前であってもよく、(2)調製工程の中であってもよく、(3)脱気工程の中であってもよい。これらの中でも、増粘防止のため、(1)であることが好ましい。このように、無機微粒子成分や非粒子状ポリオルガノシロキサン等の無機物と有機樹脂成分等の有機物とを混合した後の溶媒を脱気する前に高沸点材料を添加する製造方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記高沸点成分の添加量としては、有機樹脂成分と無機微粒子成分と脱気前の溶媒と高沸点成分と必要に応じてその他の成分の混合物100質量%に対し、0.01〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.1〜5質量%であり、更に好ましくは、0.5〜3質量%である。
なお、高沸点成分は、脱気工程終了時に組成物中に残存することとなる。その割合としては、脱気工程終了時の混合物100質量%中、0.01〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.01〜5質量%であり、更に好ましくは、0.5〜3質量%である。また、上記無機微粒子成分の代わりに非粒子状ポリオルガノシロキサンを用いる場合にも、同様の高沸点成分の添加量を好ましく用いることができる。
上記高沸点成分の残存量は、ガスクロマトグラフィー(GC)で測定することができる。測定条件としては、下記のとおりである。
(GCの測定条件)
カラム:GLサイエンス社製「DB−17」
キャリアーガス:ヘリウム
流速:1.44mL/分
上記脱気工程においては、溶媒を脱気できる条件であれば特に限定されないが、有機樹脂成分の分解や硬化反応、無機微粒子成分の凝集が過度におこるのを抑制する条件であることが好ましい。具体的には、脱気温度は200℃以下であることが好ましい。より好ましくは、100℃以下であり、更に好ましくは、80℃以下である。脱気時間としては、72時間以下であることが好ましい。より好ましくは、24時間以下であり、更に好ましくは、2時間以下である。脱気工程における圧力としては、常圧であってもよいが、200torr以下であることが好ましく、100torr以下であることがより好ましい。
上記脱気工程において、脱気工程終了とは、その時点の混合物100質量%に対して、溶媒の含有量が5質量%以下となる場合である。脱気工程終了時の溶媒の含有量としてより好ましくは、3質量%以下であり、更に好ましくは、1質量%以下であり、特に好ましくは0.5質量%以下である。また、上記無機微粒子成分の代わりに非粒子状ポリオルガノシロキサンを用いる場合にも、同様の方法を好ましく用いることができる。更に、無機微粒子成分と非粒子状ポリオルガノシロキサンを併用してもよい。
上記高沸点成分としては、2−エチル−1−ヘキサノール、ドデカノール、ブタノール等の沸点が100℃以上のアルコール等が好ましい。より好ましくは、沸点が120℃以上のアルコール(具体的には、2−エチル−1−ヘキサノール、ドデカノール)であり、更に好ましくは、沸点が150℃以上のアルコールである。このように、高沸点材料がアルコールである組成物が好ましい。沸点が120℃以上のアルコールとしては、上記の中でも2−エチル−1−ヘキサノール、ドデカノールがより好ましく、2−エチル−1−ヘキサノールが更に好ましい。なお、沸点が100℃未満のアルコールでは、混合物の増粘が充分には防げられないおそれがあることから、沸点が100℃以上のアルコールであることが好ましい。上記高沸点成分は、沸点が100℃以上のアルコールである樹脂組成物の製造方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。なお、沸点120℃以上のアルコールの中でも、沸点150℃以上のアルコールがより好ましく、沸点190℃以上のアルコールが更に好ましい。
本発明の樹脂組成物としては、上述の方法で製造されることが好適である。すなわち、有機樹脂成分と無機微粒子成分とを含む樹脂組成物を製造する方法であって、該製造方法は、無機微粒子、有機樹脂成分及び溶媒を含む混合物を調製する工程と、該混合物から溶媒を脱気する脱気工程とを含み、該脱気工程が、高沸点成分共存下で行われる樹脂組成物の製造方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記製造方法において、製造される樹脂組成物は、有機樹脂成分と無機微粒子成分とを含むものであるが、有機樹脂成分と無機微粒子成分としては、上述のものを好適に用いることができる。また、その他の成分や硬化方法等、樹脂組成物に関する記載はすべて上記樹脂組成物の製造方法に好適に適用することができるものである。なお、有機樹脂成分として特に好ましくは、脂環式エポキシ化合物及び/又は水添エポシキ化合物を必須とするものであり、最も好ましくは、脂環式エポキシ化合物を必須とするものである。樹脂組成物の製造方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。また、上記無機微粒子成分の代わりに非粒子状ポリオルガノシロキサンを用いた形態も好ましい形態の一つである。更に、無機微粒子成分と非粒子状ポリオルガノシロキサンを併用してもよい。
本発明の樹脂組成物は、上記製造方法から得られるものであることが好ましいが、この場合、上記製造方法においては、高沸点成分の共存下で脱気し、高沸点成分は組成物中に残存することから、樹脂組成物に高沸点成分が含まれることとなる。高沸点成分の好ましい形態としては、上述したように、高沸点のアルコールであり、高沸点材料(高沸点アルコール)を含む有機樹脂成分(例えば、脂環式硬化性物質)と無機微粒子成分(例えば、無機分散体)からなる樹脂組成物であることが好ましい。このように、沸点100℃以上(好ましくは120℃以上であり、より好ましくは150℃以上であり、更に好ましくは190℃以上である。)のアルコール、有機樹脂成分(例えば、熱硬化性材料)、無機微粒子成分(例えば、無機酸化物)を含む透明樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
本発明の樹脂組成物は、上述した樹脂や無機微粒子(又は、粒子状でないポリオルガノシロキサン)の他に、離型剤、硬化剤、硬化促進剤、反応性希釈剤、不飽和結合をもたない飽和化合物、顔料、染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、非反応性化合物、連鎖移動剤、熱重合開始剤、嫌気重合開始剤、重合禁止剤、無機充填剤や有機充填剤、カップリング剤等の密着向上剤、熱安定剤、防菌・防カビ剤、難燃剤、艶消し剤、消泡剤、レベリング剤、湿潤・分散剤、沈降防止剤、増粘剤・タレ防止剤、色分かれ防止剤、乳化剤、スリップ・スリキズ防止剤、皮張り防止剤、乾燥剤、防汚剤、帯電防止剤、導電剤(静電助剤)等を含有してもよい。
上記離型剤(又は添加剤)としては、通常の離型剤を好適にもちいることができるが、炭素数8〜36のアルコール、カルボン酸、カルボン酸エステル及びカルボン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物であることが好ましい。このような離型剤を含有することで、金型を用いて硬化する際に、容易に金型を剥がすことができ、硬化物の表面に傷をつけることなく外観を制御し、透明性を発現させることもできることから、電気・電子部品材料や光学用途における材料として特に有用である。
上記化合物としては、上述した群より選ばれる少なくとも一つの化合物を有するものであればよく、これらの中でも好ましくは、アルコール、カルボン酸、カルボン酸エステルであり、より好ましくはカルボン酸である。
上記化合物は炭素数8〜36であり、直鎖状、分岐状、環状等のいずれの構造であってもよく、分岐しているものが好ましい。
上記炭素数としては、8〜36の整数である。このような範囲のある程度の長鎖を有するのものであれば、本発明の作用効果を発揮し、樹脂組成物の透明性、作業性等の機能を損なうことなく優れた剥離性を示すことができる。また、入手が比較的容易であり、経済性も優れたものとすることができる。炭素数として好ましくは、8〜20であり、より好ましくは、10〜18である。
上記化合物は、炭素数8〜36のアルコール、カルボン酸、カルボン酸エステル及びカルボン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物であり、具体例としては、下記のものが好適である。
上記炭素数が8〜36アルコールとは、一価又は多価のアルコールであり、直鎖状のものでも分岐状のものでもよい。具体的には、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、パルミチルアルコール、マーガリルアルコール、ステアリルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール、ミリシルアルコ−ル、メチルペンチルアルコール、2−エチルブチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、3.5−ジメチル−1−ヘキサノール、2,2,4−トリメチル−1−ペンタノール、ジペンタエリスリトール、2−フェニルエタノール等が好適である。上記アルコールとしては、脂肪族アルコールが好ましく、なかでも、オクチルアルコール(オクタノール)、ラウリルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール(2−エチルヘキサノール)、ステアリルアルコールがより好ましい。
上記炭素数が8〜36のカルボン酸とは、1価又は多価のカルボン酸であり、2−エチルヘキサン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、1−ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸、1−ヘキサコサン酸、ベヘン酸等が好適である。好ましくは、オクタン酸、ラウリン酸、2−エチルヘキサン酸、ステアリン酸である。
上記炭素数が8〜36のカルボン酸エステルとは、(1)上記アルコールとカルボン酸とから得られるカルボン酸エステル、(2)メタノール、エタノール、プロパノール、ヘプタノール、ヘキサノール、グリセリン、ベンジルアルコール等の炭素数1〜7のアルコールと上記カルボン酸との組み合わせで得られるカルボン酸エステル、(3)酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、ブタン酸等の炭素数1〜7のカルボン酸と上記アルコールとの組み合わせで得られるカルボン酸エステル等が好適である。これらのなかでも、ステアリン酸メチルエステル、ステアリン酸エチルエステル、酢酸オクチル等が好ましい。
上記炭素数が8〜36のカルボン酸塩とは、上記カルボン酸と、アミン、Na、K、Mg、Ca、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Snとの組み合わせで得られるカルボン酸塩等が好適である。これらのなかでも、ステアリン酸Zn、ステアリン酸Mg、2−エチルヘキサン酸Zn等が好ましい。
上述の化合物の中でもより好ましくは、ステアリン酸及びステアリン酸エステル等のステアリン酸系化合物、アルコール系化合物であり、更に好ましくは、ステアリン酸系化合物である。このように、上記樹脂組成物は、ステアリン酸系化合物を含有する樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記離型剤の含有量としては、樹脂組成物100質量%に対して、10質量%以下であることが好ましい。10質量%を超えると樹脂が硬化しにくくなる等のおそれがある。より好ましくは、0.01〜5質量%であり、更に好ましくは、0.1〜2質量%である。
上記硬化剤としては、種々のものが挙げられるが、例えば、熱潜在性硬化剤、光潜在性硬化剤等の重合開始剤や、酸無水物硬化剤等が挙げられる。重合開始剤を用いる場合には、短時間で硬化を行うことができるため、薄膜材料や、撮像用レンズ等の小型薄膜を製造する場合に好適である。また、酸無水物硬化剤を用いる場合には、硬化時の温度を厳密に制御することができるため、厚膜や、成形体を製造する場合に好適である。
酸無水物硬化剤としては、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水ドデシニルコハク酸、無水ジクロルコハク酸、無水マレイン酸、無水メチルナジック酸、無水ピロメリット酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルブテニルテトラヒドロ無水フタル酸、アルキルスチレンー無水マレイン酸共重合体、テトラブロム無水フタル酸、ポリアゼライン酸無水物、無水クロレンディク酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の酸無水物が挙げられる。製造時の作業性や硬化後の特性、生産性等の観点からは、これらの中でも常温で液状であるものが好ましい。
上記硬化剤としては、熱潜在性硬化剤も好ましい。熱潜在性硬化剤とは、熱潜在性カチオン発生剤、カチオン重合開始剤とも呼ばれ、樹脂組成物において硬化温度になれば、硬化剤としての実質的な機能を発揮するものである。このような熱潜在性カチオン発生剤を用いることにより、例えば、室温で硬化がすすむような有機樹脂を用いた場合であっても、室温で硬化を進まないようにすることができ、硬化反応のハンドリングが容易にできるようになる。また、得られる樹脂組成物の耐湿性が劇的に改善され、過酷な使用環境においても樹脂組成物が有する優れた光学特性を保持し、種々の用途に好適に用いることができるものとなる。通常、屈折率が高い水分が樹脂組成物やその硬化物に含まれると、濁りの原因になるが、優れた耐湿性が発揮できることから、このような濁りが抑制され、レンズ等の光学用途に好適に用いることができる。特に車載用カメラや宅配業者向けバーコード読み取り機などの用途では、長時間の紫外線照射や夏季の高温暴露により黄変や強度劣化が懸念されるが、これらの現象は空気や水分の紫外線照射又は熱線暴露の相乗効果により酸素ラジカルの発生が原因と考えられる。耐湿性が向上することで、樹脂組成物中への吸湿が抑制され、紫外線照射又は熱線暴露の相乗効果による酸素ラジカル発生も抑えられるため、樹脂組成物の黄変や強度低下を引き起こすことなく長時間にわたり優れた耐熱性を発揮する。
上記熱潜在性カチオン発生剤としては、下記一般式(4);
(R Z)+k(AXn3−k(4)
(式中、Zは、S、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、N及びハロゲン元素からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を表す。R、R、R及びRは、同一又は異なって、有機基を表す。d、e、f及びgは、0又は正数であり、d、e、f及びgの合計はZの価数に等しい。カチオン(R Z)+kはオニウム塩を表す。Aは、ハロゲン化物錯体の中心原子である金属元素又は半金属元素(metalloid)を表し、B、P、As、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Coからなる群より選ばれる少なくとも一つである。Xは、ハロゲン元素を表す。kは、ハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷である。kは、ハロゲン化物錯体イオン中のハロゲン元素の数である。)で表されるものであることが好ましい。
上記熱潜在性カチオン発生剤としては、上述の構造を有するものであればよいが、これらは、一般に、硬化温度でカチオンが発生することになる。硬化温度としては、25〜250℃であることが好ましい。より好ましくは60〜200℃、更に好ましくは80〜180℃である。
また硬化条件としては硬化温度を段階的に変化させてもよい。例えば、樹脂組成物の硬化物を製造する上での生産性を向上する目的で型内に所定の温度・時間で保持した後、型から取り出して空気又は不活性ガス雰囲気内に静置して熱処理することも可能である。この場合の硬化温度としては型内保持温度を25℃〜250℃、より好ましくは60℃〜200℃、更に好ましくは80〜180℃であり、保持時間は10秒〜5分、より好ましくは30秒〜5分、更に好ましくは1分〜3分である。
上記一般式(4)の陰イオン(AXn3−kの具体例としては、テトラフルオロボレート(BF4−)、ヘキサフルオロホスフェート(PF6−)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6−)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6−)、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl6−)等が挙げられる。
更に一般式AXn3(OH)で表される陰イオンも用いることができる。また、その他の陰イオンとしては、過塩素酸イオン(ClO )、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CFSO )、フルオロスルホン酸イオン(FSO )、トルエンスルホン酸イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸イオン等が挙げられる。
上記熱潜在性カチオン発生剤の具体的な商品としては、ジアゾニウム塩タイプ:AMERICUREシリーズ(アメリカン・キャン社製)、ULTRASETシリーズ(アデカ社製)、WPAGシリーズ(和光純薬社製)
ヨードニウム塩タイプ:UVEシリーズ(ゼネラル・エレクトリック社製)、FCシリーズ(3M社製)、UV9310C(GE東芝シリコーン社製)、Photoinitiator 2074(ローヌプーラン社製)、WPIシリーズ(和光純薬社製)
スルホニウム塩タイプ:CYRACUREシリーズ(ユニオンカーバイド社製)、UVIシリーズ(ゼネラル・エレクトリック社製)、FCシリーズ(3M社製)、CDシリーズ(サトーマー社製)、オプトマーSPシリーズ・オプトマーCPシリーズ(アデカ社製)、サンエイドSIシリーズ(三新化学工業社製)、CIシリーズ(日本曹達社製)、WPAGシリーズ(和光純薬社製)、CPIシリーズ(サンアプロ社製)
等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、40kgf/cm以下の強度で離型するものであることが好ましい。上記樹脂組成物において、40kgf/cm以下の強度で離型するとは、当該技術分野において容易に剥離し、製造工程で生産性よく製造することができ、樹脂組成物の連続生産ができると評価されることを意味する。離型強度が、40kgf/cmを超えると生産性よく製造できず、経済性に優れたものとならないおそれがある。剥離強度として好ましくは、20kgf/cm以下であり、より好ましくは、10kgf/cm以下であり、更に好ましくは、1kgf/cm以下であり、特に好ましくは、0.1kgf/cm以下である。
上記剥離強度は、透明材料の連続生産時に必要な条件として、副反応が生じる150℃以下の温度で短時間にある程度の材料硬度(40kgf/cm以下の強度で離型する)であることが好ましい。このような剥離強度(材料硬度)は、例えば、以下のようにして評価することができる。120℃、2.5分で樹脂組成物をSUS304基板状に高さ1mmで硬化し、30℃に30s以内で冷却し、樹脂とSUS304の界面にカッター(エヌティー社製、本体型番:L−500、刃の型番:BL−150P)を所望の力(例えば、剥離強度40kgf/cmの力)で押し当てて離型のしやすさを評価することができる。なお、剥離強度40kgf/cmの力は、1.5kgの荷重を長さ2cmの樹脂と、SUS304界面にカッターを用いて加えたときの値として算出している。なお、カッターの刃先の荷重が加わる面積を、0.04cmとした。
本発明の樹脂組成物の硬化方法としては、熱硬化や光硬化等の種々の方法を好適に用いることができるが、樹脂組成物に硬化剤や必要に応じてその他の材料を混合して1液とし、硬化物の形状に合わせた金型に該混合液を塗出して硬化させ、その後硬化物を金型から取り出す方法が好適に用いられる。このような方法においては、硬化剤等を混合した硬化性樹脂組成物の粘度は、取り扱いが容易であることから、著しく上昇しない方が好ましい。すなわち、混合直後に比べて25℃で3日間保存後の硬化性樹脂組成物の粘度が、200%以下であることが好ましい。200%を超えると、金型への液の塗出が困難となりうるおそれがあり、金型内での流動性にも悪影響を与えるおそれがある。より好ましくは、180%以下であり、更に好ましくは、150%以下である。このように、上記樹脂組成物は、硬化性樹脂組成物として1液での混合物の粘度上昇率が、25℃で3日間保存後に混合直後に比べて200%以下となる樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記樹脂組成物を硬化して硬化物を製造する方法としては、通常用いられている方法を好適に使用することができ、後述するように樹脂組成物の種類に応じて適宜選択することができるが、上記樹脂組成物を5分以内で硬化させて硬化物を製造する方法であることが好ましい。具体的には、上記樹脂組成物に硬化剤や必要に応じてその他の材料を混合して1液とし、硬化物の形状に合わせた金型に該混合液を塗出して、5分以内で硬化させることが好ましい。金型を用いた硬化を短時間で行うことにより、経済性に優れた方法とすることができる。このように、上記樹脂組成物を硬化して硬化物を製造する方法であって、該製造方法は、樹脂組成物を5分以内で硬化させて硬化物を製造する樹脂組成物の硬化方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記硬化時間(金型を用いた硬化時間)が5分を超えると、生産性が悪くなる。より好ましくは、3分以内であり、更に好ましくは、2分以内であり、最も好ましくは、1分以内である。上記硬化温度としては、硬化させる樹脂組成物等に応じて適宜設定することができるが、80〜200℃であることが好ましい。より好ましくは、100〜180℃であり、更に好ましくは、110〜150℃である。具体的には、110℃で3分硬化させることが好適である。
上記硬化方法おいては、金型から取り出し、形状を保てる程度の硬度であればよく、1kgf/cm以上の力で押し出したときの形状変化の割合が10%以下の硬化強度(硬度)であることが好ましい。上記形状変化の割合として好ましくは、1%以下であり、より好ましくは、0.1%以下であり、更に好ましくは、0.01%以下である。
本発明の樹脂組成物においては、上記のように金型を用いて5分以内で硬化させた後、硬化物を金型から取り出し、ポストキュア(ベーク)を行うことか好ましい。ポストキュアを行うことにより、硬化物が充分な硬度をもち、種々の用途に好適に用いることができる。また、ポストキュアにおいては、ある程度の硬度を持つ硬化物を更に硬化させる点から、取り扱い性に優れている。そのため、金型を用いないでよいことから、小さな面積で大量の製品をポストキュアできる利点がある。
上記ポストキュアにおいて、硬化温度及び硬化時間としては、硬化させる樹脂組成物等に応じて適宜設定することができる。例えば、硬化温度としては、80〜200℃であることが好ましい。より好ましくは、100〜180℃であり、更に好ましくは、110〜150℃である。ポストキュアの硬化時間としては、硬化温度にも依存するが、1〜48時間であることが好ましい。より好ましくは、1〜10時間であり、更に好ましくは、2〜5時間である。
以下、本発明の樹脂組成物の硬化方法について更に説明する。本発明の樹脂組成物の硬化には、使用する樹脂の性質に応じて、従来公知の方法を採用することができる。
本発明の樹脂組成物の樹脂成分として、エポキシ基を少なくとも1つ有する化合物を含有する場合は、硬化剤を用いて熱硬化することにより、硬化物とすることができる。上記硬化剤としては、上述した熱潜在性カチオン発生剤を用いることが好ましい。また、熱潜在性カチオン発生剤以外の硬化剤としては、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸、メチルナジック酸等の酸無水物類;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、テルペンフェノール樹脂等の種々のフェノール樹脂類;種々のフェノール類とヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザール等の種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂等の各種のフェノール樹脂類;BF錯体、スルホニウム塩類、イミダゾール類等の1種又は2種以上を用いることができる。また、上記エポキシ基を少なくとも1つ有する化合物を後述する多価フェノール化合物で硬化することも好ましい態様である。
上記エポキシ基を少なくとも1つ有する化合物を含有する樹脂組成物の硬化においては、硬化促進剤を用いることができ、例えば、トリフェニルホスフィン、トリブチルヘキサデシルホスフォニウムブロマイド、トリブチルホスフィン、トリス(ジメトキシフェニル)ホスフィン等の有機リン化合物等の1種又は2種以上が好適である。上記硬化温度としては、70〜200℃が好ましい。より好ましくは、80〜150℃である。
本発明の樹脂組成物の樹脂成分として、多価フェノール化合物を含有する場合は、硬化剤を用いて熱硬化することにより、硬化物とすることができる。上記硬化剤としては、エポキシ基を少なくとも2つ有する化合物を挙げることができ、上記エポキシ基を少なくとも2個有する化合物としては、1分子内に平均2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂が好適であり、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、ジシクロペンタジエン、テルペン、クマリン、パラキシリレンジメチルエーテル、ジクロロパラキシレン等を縮合反応させて得られる多価フェノールを、更にエピハロヒドリンと縮合反応することにより得られるノボラック・アラルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;テトラヒドロフタル酸、へキサヒドロフタル酸、安息香酸とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;水添ビスフェノールやグリコール類とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ヒンダトインやシアヌール酸とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる含アミングリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂等の芳香族多環式エポキシ樹脂等が好適である。また、これらエポキシ樹脂と多塩基酸類及び/又はビスフェノール類との付加反応により分子中にエポキシ基を有する化合物であってもよい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
上記多価フェノール化合物とエポキシ樹脂系硬化剤との配合質量比(多価フェノール化合物/エポキシ樹脂系硬化剤)としては、30/70以上となるようにすることが好ましく、また、70/30以下となるようにすることが好ましい。30/70未満であると、形成される硬化物の機械物性等が低下するおそれがあり、70/30を超えると、難燃性が不充分となるおそれがある。より好ましくは、35/65以上であり、また、65/35以下である。上記硬化には硬化促進剤を使用してもよく、上記硬化促進剤としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルメチルアミン、DBU(1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン)、DCMU(3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素)等のアミン類;トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(ジメトキシフェニル)ホスフィン等の有機リン化合物等が好適である。
本発明の樹脂組成物の樹脂成分として、重合性不飽和結合を有する化合物を含有する場合の硬化方法としては、活性エネルギー線の照射による硬化方法、熱による硬化方法が挙げられるが、本発明の樹脂組成物が200〜400nmに固有の分光感度を有しており、光重合開始剤不在下において、波長180〜500nmの紫外線又は可視光線を照射することによって重合させることができ、とりわけ、254nm、308nm、313nm、365nmの波長の光が硬化に有効であるので、活性エネルギー線の照射による硬化方法が好適である。また、本発明の樹脂組成物は、空気中及び/又は不活性ガス中のいずれにおいても硬化させることができる。
上記重合性不飽和結合を有する化合物を含有する樹脂組成物は、上述した紫外線又は可視光線以外の活性エネルギー線の照射によっても硬化させることができ、活性エネルギー線としては、ラジカル性活性種を生成させることができるものであればよく、上述した紫外線又は可視光線の他に、電子線、α線、β線、γ線のような電離放射線、マイクロ波、高周波、赤外線、レーザー光線等が好適であり、ラジカル性活性種を発生させる化合物の吸収波長を考慮して適宜選択すればよい。
上記波長180〜500nmの紫外線又は可視光線の光発生源としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、水銀−キセノンランプ、エキシマーランプ、ショートアーク灯、ヘリウム・カドミニウムレーザー、アルゴンレーザー、エキシマーレーザー、太陽光等が好適である。上記波長180〜500nmの紫外線又は可視光線の照射時間としては、活性エネルギー線の波長照射量によって適宜設定すればよいが、0.1マイクロ秒〜30分が好ましく、0.1ミリ秒〜1分がより好ましい。
上記活性エネルギー線の照射による硬化においては、硬化反応をより効率的に行うために、公知慣用の光重合開始剤を添加して硬化させてもよい。上記光重合開始剤の配合量としては、本発明の硬化性樹脂成分100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部であることが好ましい。0.1質量部未満であると、光重合が効率的に進行しないおそれがあり、10質量部を超えても、硬化速度の更なる向上効果はなく、逆に硬化が不充分となるおそれがある。
上記光重合開始剤としては、分子内結合開裂型の光重合開始剤、分子内水素引き抜き型の光重合開始剤等が挙げられる。上記分子内結合開裂型の光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン(チバ・ガイギー社製「イルガキュア907」)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(メルク社製「ダロキュア1173」)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ガイギー社製「イルガキュア184」)、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン(メルク社製「ダロキュア1116」)、ベンジルジメチルケタール(チバ・ガイギー社製「イルガキュア651」)、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−「4−(1−メチルビニル)フェニル」プロパン}(ラムベルティ社製エサキュアーKIP100)、4−(2−アクリロイル−オキシエトキシ)フェニル−2−ヒドロキシ−2−プロピルケトン(チバ・ガイギー社製「ZLI3331」等のアセトフェノン系、ベンゾイン、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインアルキル等のベンゾイン誘導体、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとベンゾフェノンとの混合物(チバ・ガイギー社製「イルガキュア500」)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(BASF社製「ルシリンTPO」)、ビスアシルホスフィンオキサイド(チバ・ガイギー社製「CGI1700」)等のアシルホスフィンオキサイド系、ベンジル及びベンジル誘導体、メチルフェニルグリオキシエステル、3,3´,4,4´−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(日本油脂社製BTTB)等が好適である。
上記分子内水素引き抜き型光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ο−ベンゾイル安息香酸メチル及びο−ベンゾイル安息香酸アルキル、4−フェニルベンゾフェノン、4,4´−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4´−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3´,4,4´−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3´−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系、ミヒラーケトン、4,4´−ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン等が好適である。
上記光重合開始剤として用いることができるその他の化合物としては、2,2−ジメトキシ−1,2ージフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン及びその誘導体、4−ジメチルアミノ安息香酸エステル、1,1−ジアルコキシアセトフェノン、ベンゾフェノン及びベンゾフェノン誘導体、ベンゾイル安息香酸アルキル、ビス(4−ジアルキルアミノフェニル)ケトン、ベンジル及びベンジル誘導体、ベンゾイン及びベンゾイン誘導体、ベンゾインアルキルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、チオキサントン及びチオキサントン誘導体、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−フェニルホスフィンオキサイド等が好適である。
上記光重合開始剤としては、光カチオン重合開始剤を用いることもできる。上記光カチオン重合開始剤としては、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムホスフェート、p−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、p−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−クロルフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−クロルフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジフェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロフォスフェート、ビス[4−(ジフェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−Fe−ヘキサフルオロホスフェート、ジアリルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等が好適である。これらは市場より容易に入手することができ、例えば、SP−150、SP−170(旭電化社製);イルガキュア261(チバ・ガイギー社製);UVR−6974、UVR−6990(ユニオンカーバイド社製);CD−1012(サートマー社製)等が好適である。光カチオン重合開始剤としては、これらの中でも、オニウム塩を使用することが好ましい。また、オニウム塩としては、トリアリールスルホニウム塩及びジアリールヨードニウム塩のうち少なくとも1種を使用することが好ましい。
上記活性エネルギー線の照射による硬化においては、更に、光増感剤を併用することが好ましい。上記光増感剤の配合量は、本発明の樹脂組成物100質量%に対して、0.1〜20質量%であることが好ましい。0.1質量%未満であると、光重合が効率的に進行しないおそれがあり、20質量%を超えると、塗膜内部へ紫外線が透過するのを妨げ、硬化が不充分となるおそれがある。より好ましくは、0.5〜10質量%である。
上記光増感剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル等のアミン類等が好適である。
上記重合性不飽和化合物を含有する樹脂組成物の硬化においては、更に添加剤を添加して硬化してもよく、添加剤としては、硬化促進剤、反応性希釈剤、不飽和結合をもたない飽和化合物、顔料、染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、非反応性化合物、連鎖移動剤、熱重合開始剤、嫌気重合開始剤、重合禁止剤、無機充填剤や有機充填剤、カップリング剤等の密着向上剤、熱安定剤、防菌・防カビ剤、難燃剤、艶消し剤、消泡剤、レベリング剤、湿潤・分散剤、沈降防止剤、増粘剤・タレ防止剤、色分かれ防止剤、乳化剤、スリップ・スリキズ防止剤、皮張り防止剤、乾燥剤、IRカット剤、防汚剤、帯電防止剤、導電剤(静電助剤)等が好適である。
本発明の樹脂組成物は、上述する硬化方法によって硬化物を得ることができ、このような硬化物としては、種々の光学特性に優れたのもとなる。
例えば、硬化物の濁度(ヘイズ)としては、20%以下であることが好ましい。
このように、上記樹脂組成物の硬化物の濁度が、20%以下である樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
硬化物の濁度としてより好ましくは10%以下であり、更に好ましくは5%以下であり、特に好ましくは1%以下である。透明性としては、可視光領域(波長が360〜780nmの領域)の光透過率が75%以上であることが好ましい。硬化物の光線透過率はより好ましくは80%以上であり、更に好ましくは85%以上であり、特に好ましくは、87%以上である。
上記硬化物において、硬化物の屈折率・アッベ数は適用される光学系の光学設計に応じて幅広い数値が求められる。なお、硬化物の光線透過率はJIS K7361−1に、濁度はJIS K7136に、屈折率・アッベ数はJIS K7142にそれぞれ準拠した方法で測定できる。
上記硬化物のPCT吸湿率は硬化条件により変化するが、硬化条件を最適化することにより.1.0%以下にすることが好ましく、より好ましくは0.5%以下、更に好ましくは0.2%以下である。
上記硬化物の耐熱性は、クラック発生などの外観の変化が全くなく、全光線透過率・濁度の変化率が20%以下であることが好ましい。
より好ましくは全光線透過率・濁度の変化率が15%以下であり、更に好ましくは10%以下である。
特に車載用カメラや宅配業者向けバーコード読み取り機などの用途では、長時間の紫外線照射や夏季の高温暴露により黄変や強度劣化が懸念されるが、これらの現象は空気や水分の紫外線照射又は熱線暴露の相乗効果により酸素ラジカルの発生が原因と考えられる。
耐湿性が向上することで、樹脂組成物中への吸湿が抑制され、紫外線照射又は熱線暴露の相乗効果による酸素ラジカル発生も抑えられるため、樹脂組成物の黄変や強度低下を引き起こすことなく長時間にわたり優れた耐熱性を発揮する。
上述のように硬化物が優れた透明性・光学特性を発揮することができることから、本発明の樹脂組成物は、光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途等の種々の用途に好適に用いることができる。
このように、上記樹脂組成物によって構成される光学部材用硬化性材料(上記樹脂組成物を用いた硬化材料)もまた、本発明の一つである。
光学部材用硬化性材料としては、上記樹脂組成物によって形成される硬化性光学材料であって、熱や光によって硬化する熱・光硬化性光学材料(熱硬化性光学材料や光硬化性光学材料)であることが好ましい。
このような光学部材用硬化性材料は、アッベ数が45以上であり、波長500nmにおける透過率が60%以上であることが好ましい。アッベ数及び透過率がこのような範囲であることにより、高い透明性や解像度を有する光学特性に優れた光学部材用硬化性材料となる。光学部材用硬化性材料のアッベ数としてより好ましくは、55以上であり、更に好ましくは、60以上である。光学部材用硬化性材料の透過率としてより好ましくは、80%以上であり、更に好ましくは、85%以上である。
上記光学部材用硬化性材料は、150℃で5分間硬化させたときの硬化物の曲げ強度が、50MPa以上のものであることが好ましい。本発明の光学部材用硬化性材料においては、樹脂組成物はの分子量分布における分子量700以上の有機樹脂成分の割合が、有機樹脂成分総量に対して15〜90質量%含んでなるものであることにより、曲げ強度を50MPa以上のものとすることができる。本発明の光学部材用硬化性材料においては、150℃で5分間硬化させたときの硬化物の曲げ強度が、50MPa以上であれば、金型を用いた成型において離型の際、割れを起こしにくいが、50MPa未満では、離型の際、割れを生じやすくなる。上記曲げ強度としてより好ましくは、60MPa以上であり、更に好ましくは、80MPa以上であり、特に好ましくは、100MPa以上である。
上記光学部材用硬化性材料は、上述したように、金型を用いて5分以内で硬化させた後、硬化物を金型から取り出し、ポストキュア(ベーク)を行うことが好ましい。この場合、上記硬化物の曲げ強度は、ポストキュア(ベーク)を行う前であって、金型を用いて150℃で5分間硬化させたときに得られる硬化物の強度をいう。このように、樹脂組成物の分子量分布における分子量700以上の有機樹脂成分の割合が、有機樹脂成分総量に対して15〜90質量%含んでなる樹脂組成物であって、150℃で5分間硬化させたときの硬化物の曲げ強度が、50MPa以上である樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。上記樹脂組成物としては、粘度が10000Pa・s以下であることが好ましい。より好ましくは、1000Pa・s以下であり、更に好ましくは、100Pa・s以下である。また、上記樹脂組成物としては、無機微粒子成分(又は、粒子状でないポリオルガノシロキサン)や、可とう性成分を含む形態も好ましい形態であり、このような場合にも、上記条件で硬化させたときの曲げ強度が50MPa以上であることが好ましい。
上記光学部材用硬化性材料は、150℃で10分間硬化させたときの硬化物の曲げ強度が、40MPa以上のものであることが好ましい。本発明の光学部材用硬化性材料においては、有機樹脂成分と無機微粒子成分とを適宜組み合わせた樹脂組成物によって構成されることにより、曲げ強度を40MPa以上のものとすることができる。上記曲げ強度としてより好ましくは、60MPa以上であり、更に好ましくは、80MPa以上であり、特に好ましくは、100MPa以上である。
上記光学部材用硬化性材料は、上述したように、金型を用いて5分以内で硬化させた後、硬化物を金型から取り出し、ポストキュア(ベーク)を行うことが好ましい。この場合、上記硬化物の曲げ強度は、ポストキュア(ベーク)を行う前であって、金型を用いて150℃で10分間硬化させたときに得られる硬化物の強度をいう。このように、樹脂組成物の分子量分布における分子量700以上の有機樹脂成分の割合が、有機樹脂成分総量に対して15〜90質量%含んでなる樹脂組成物であって、150℃で10分間硬化させたときの硬化物の曲げ強度が、40MPa以上である樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記樹脂組成物としては、粘度が10000Pa・s以下であることが好ましい。より好ましくは、1000Pa・s以下であり、更に好ましくは、100Pa・s以下である。
本発明はまた、上記光学部材用硬化性材料を硬化させてなる光学部材でもある。このような光学部材(上記樹脂組成物により形成される硬化物)としては、高アッベ光学部材と、低アッベ光学部材とがでそれぞれに好ましい形態を有することとなる。高アッベ光学部材としては、上述の光学部材用硬化性材料の中でも、二重結合性(芳香環等)の含有量が樹脂中に10質量%以下である硬化物が好ましい。芳香環等の二重結合を有する化合物が樹脂組成物中に10質量%以下であると、屈折率等の光学特性が優れたものとなり、光学用途等に好適に用いることができる。
上記光学部材のアッベ数及び透過率としては、上記光学部材用硬化性材料におけるものと同様であることが好ましい。このような高いアッベ数の硬化物であることから、下記の種々の用途に用いることができる。
上記硬化物の用途として具体的には、眼鏡レンズ、(デジタル)カメラや携帯電話や車裁カメラ等カメラレンズ、フィルター、回折格子、プリズム、光案内子、光ビーム集光レンズや光拡散用レンズ、ウォッチガラス、表示装置用のカバーガラス等の透明ガラスやカバーガラス等の光学用途;フォトセンサー、フォトスイッチ、LED、発光素子、光導波管、合波器、分波器、断路器、光分割器、光ファイバー接着剤等のオプトデバイス用途;LCDや有機ELやPDP等の表示素子用基板、カラーフィルター用基板、タッチパネル用基板、ディスプレイ保護膜、ディスプレイバックライト、導光板、反射防止フィルム、防曇フィルム等の表示デバイス用途等が好適である。
上記硬化物の形状としては、用途に応じて適宜設定することができ、特に限定されず、異形品等の成形体、フィルム、シート、ペレット等の形態も挙げられる。
本発明の樹脂組成物及びその光学部材は、上述の構成よりなり、連続生産が可能であり、耐熱性等の基本性能に優れ、しかも透明性等の光学特性に優れ、光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途、機械部品材料、電気・電子部品材料等として有用な樹脂組成物及びその光学部材である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
合成例1
(YX−8000/YL7170/SiO=65/25/10(wt%))
水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂JER YX8000(ジャパンエポキシレジン社製、エポキシ当量205、重量平均分子量430)168gとオルガノシリカゾル MEK−ST(日産化学工業社製、粒子径10〜15nm、固形分30%)240gを均一になるように混合し、80℃でエバポレーターを用いて溶媒の減圧留去を行い、樹脂組成物1を249.7g得た。樹脂組成物1を34.7g、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂JER YL7170(ジャパンエポキシレジン社製、エポキシ当量1400、重量平均分子量5550)を25g、JER YX8000を41.6gそれぞれ秤取し、140℃で均一になるように混合した。収量101.3g、粘度80Pa・sであった。(実施例1用樹脂組成物)
合成例2
(YX−8000/YL7170/SiO=45/245/10(wt%))
樹脂組成物1を34.7g、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂JER YL7170(ジャパンエポキシレジン社製、エポキシ当量1400)を45.1g、JER YX8000を21.6gそれぞれ秤取し、140℃で均一になるように混合した。収量100.2g、粘度420Pa・sであった。(実施例2用樹脂組成物)
合成例3
(YX−8034/SiO=90/10(wt%))
水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂JER YX8034(ジャパンエポキシレジン社製、エポキシ当量277、重量平均分子量580)168gとオルガノシリカゾル MEK−ST(日産化学工業社製、粒子径10〜15nm、固形分30%)240gを均一になるように混合し、80℃でエバポレーターを用いて溶媒の減圧留去を行った。収量250.1g、粘度65Pa・sであった。(実施例3用樹脂組成物)
合成例4
(YX−8000/SiO=90/10(wt%))
水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂JER YX−8000(ジャパンエポキシレジン社製、エポキシ当量205)168gとオルガノシリカゾル MEK−ST(日産化学工業社製、粒子径10〜15nm、固形分30%)62.0gを均一になるように混合し、80℃でエバポレーターを用いて溶媒の減圧留去を行った。収量187.0g、粘度65Pa・sであった。(比較例1用樹脂組成物)
合成例5
ガスインレット、冷却管、攪拌棒つきの四つ口フラスコにエポキシ樹脂として液状のエポキシ樹脂セロキサイド−2021P(脂環式エポキシ樹脂 エポキシ当量131、重量平均分子量260、ダイセル化学工業社製)34.7部、EHPE−3150(脂環式エポキシ樹脂 エポキシ当量131、重量平均分子量3520、ダイセル化学工業株式会社)25部、オグソールPG100(芳香族エポキシ樹脂、重量平均分子量530、大阪ガスケミカル株式会社)40部を仕込み、140℃でよく攪拌して均一にした。その後、珪素化合物としてKF−6004(両末端にポリオキシエチレン鎖とポリオキシプロピレン鎖とを有する有機基を導入した変性シリコーンオイル、重量平均分子量7.7621×10、信越シリコーン社製)0.3部を投入し、均一に攪拌した。これにより、実施例4用樹脂組成物を調製した。
上記樹脂組成物は、有機樹脂成分の分子量分布は表1に示すように、分子量700未満の有機樹脂成分が76.5重量%、分子量700以上の有機樹脂成分が23.5重量%であるが、分子量700未満の有機樹脂成分のうち、芳香族エポキシ化合物が34重量%であり、脂環式エポキシ化合物が42.5重量%であった。
合成例6
セロキサイド−2021P 40g、EHPE−3150 60g、及び、KF−6004 0.3gをそれぞれ量りとり、140℃で均一に混合し、実施例5用樹脂組成物を調製した。混合時の温度等の条件については合成例5と同様である。
合成例7
セロキサイド−2021P 100g、及び、KF−6004 0.3gをそれぞれ量りとり、140℃で均一に混合し、比較例2用樹脂組成物を調製した。混合時の温度等の条件については合成例5と同様である。
合成例8
セロキサイド−2021P 100g、KF−6004 0.3g、及び、KF−6004 0.3gをそれぞれ量りとり、140℃で均一に混合し、比較例3用樹脂組成物を調製した。混合時の温度等の条件については合成例5と同様である。
上記合成例1、2、3、5、6で得られた各樹脂組成物の有機樹脂成分の分子量分布においては、いずれの樹脂組成物の場合も、分子量700以上、分子量700未満の各領域において、分子量ピークの極大値を有するものであった。
(硬化用樹脂組成物の調製)
上記樹脂組成物〔合成例1〜8〕に対して、離型剤としてステアリン酸を全重量に対して0.5wt%となるように、80℃で均一混合した。
そのご、合成例1〜4で得られた樹脂組成物に対しては、50℃に冷却後、カチオン系重合開始剤(三新化学工業社製、サンエイドSI−80L)を全重量に対して1wt%となるように添加し均一になるように混合した。
合成例5及び7で得られた樹脂組成物に対しては、50℃に冷却後、カチオン系重合開始剤(三新化学工業社製、サンエイドSI−80L)を全重量に対して0.6wt%となるように添加し均一になるように混合した。
合成例6及び8で得られた樹脂組成物に対しては、50℃に冷却後、カチオン系重合開始剤(三新化学工業社製、サンエイドSI−80L)を全重量に対して0.2wt%となるように添加し均一になるように混合した。
<粘度>
上記合成例1〜8で得た樹脂組成物の40℃、回転速度D=1/s時の粘度をR/Sレオメーター(米国ブルックフィールド社製)にて評価した。
粘度20Pa・s以上ではRC25−1の測定治具を使用し、20未満ではRC50−1の治具を使用した。D=1/s時点の粘度が測定できないものについては、D=5〜100/sの値を外挿して、樹脂組成物の粘度として評価した。
<分子量の測定>
上記GPC測定条件にて、合成例1〜8で得た樹脂組成物を測定し、分子量が700以上の有機樹脂成分の割合を求めた。
合成例1〜8で得られた樹脂組成物中の化合物の含有割合について下記表1に示す。
Figure 2008274260
なお、表1において、樹脂組成物中の各成分の重量部は、相対的な重量比率を表す。
次に、以下に示す方法で、合成例1〜8で得られた樹脂組成物を硬化させた硬化物について強度の評価を行った。
<強度の評価(曲げ強度及び弾性率)>
(硬化板):樹脂組成物を必要に応じて熱を加え(45℃等)減圧脱泡処理を行った後、型の中に流し込み150℃5分オーブン中で硬化させ、厚さ3mmの樹脂硬化板を得た。
(強度測定):熱的性質及び機械物性(曲げ強度・弾性率)は、JIS K6911に準じて測定した。
また、以下に示す方法で、合成例1〜6で得られた樹脂組成物を硬化させた硬化物の屈折率、アッベ数、透明性、及び、剥離時の強度の評価試験を行った。
<剥離時の強度試験>
成型体の連続生産時に必要な条件として、副反応が生じる200℃以下の温度で短時間にある程度の材料硬度を達成する。140℃、2分で樹脂組成物をSUS304基板上に高さ1mmで硬化し、樹脂とSUS304の界面にカッター(エヌティー社製、本体型番:L−500、刃の型番:BL−150P)を40kgf/cmの力で押し当てて離型時の材料強度を評価した。剥離強度40kgf/cmの力は、1.5kgの荷重を長さ2cmの樹脂と、SUS304界面にカッターを用いて加えたときの値として算出している。なお、カッターの刃先の荷重が加わる面積を、0.04cmとした。
離型性の評価を○と×で示した。
○:割れが生じにくい
×:割れが生じやすい
<透明性>
透明性:濁度計(日本電色社製、NDH2000)を用いて評価した。
樹脂組成物に必要に応じて熱を加え(45℃等)減圧処理を行った後、型に流し込み110℃5時間オーブン中で硬化させ、厚さ1mmの硬化物を得た。屈折率、アッベ数についてもこの成形体を用いて評価を行った。
<屈折率、アッベ数の評価>
屈折率計(アタゴ社製、DR−M2)を用いて評価した。
下記表2に、合成例1〜8の樹脂組成物を用いて形成した硬化物について、上述の評価を行った結果について示す。
Figure 2008274260
また、合成例1〜3及び合成例5〜6を用いて調整した樹脂組成物について、硬化条件を変化させて強度の評価試験を行った。評価方法を下記に示し、評価結果を下記表3に示す。
<強度の評価(曲げ強度及び弾性率)>
(硬化板):樹脂組成物を必要に応じて熱を加え(45℃等)減圧脱泡処理を行った後、型の中に流し込み150℃10分オーブン中で硬化させ、厚さ3mmの樹脂硬化板を得た。
(強度測定):熱的性質及び機械物性(曲げ強度・弾性率)は、JIS K6911に準じて測定した。
Figure 2008274260
合成例9
水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂JER YL−7170を90gとオルガノシリカゾルMEK−STを33.4gとを混合した後、80℃でエバポレーターを用いて溶媒の減圧留去を行うことにより、樹脂組成物を得た。収量115gであった(比較例4用樹脂組成物)。上記樹脂組成物はMEK−ST由来のシリカ粒子含有率が10重量%であり、有機樹脂成分の分子量分布における、分子量700未満の含有量は、5重量%であった。また、該樹脂組成物は常温において流動性が殆どないものであった。
比較例4
合成例9で得られた樹脂組成物に対し、合成例1〜8と同様にして、80℃で、離型剤としてステアリン酸を0.5wt%となるように添加し、50℃に冷却後、カチオン重合開始剤(サンエイドSI−80L)を全重量に対して1wt%となるように添加することにより、硬化性樹脂組成物を調製した。
得られた硬化性樹脂組成物は、他の硬化性樹脂組成物と同様に、硬化成型体の強度の評価、透明性の評価等を行うために成型しようとしたが、流動性が不十分であるためにできなかった。
図1は、樹脂組成物中の分子量分布を示す模式図である。(a)は、一つのピークが分子量700未満である領域と700以上である領域との両方にまたがった形態である。(b)は、700未満である領域と700以上である領域とのそれぞれにピークの極大値を有する形態である。 図2は、本発明の樹脂組成物の一形態について、GPC分析結果及び検量線を示すチャート図である。

Claims (13)

  1. 有機樹脂成分を含む樹脂組成物であって、
    該樹脂組成物は、その分子量分布における分子量700以上の有機樹脂成分の割合が、有機樹脂成分総量に対して15〜90質量%含んでなるものであることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記樹脂組成物は、その分子量分布において、分子量700未満の領域に少なくとも1つの分子量ピークの極大値を有し、かつ、分子量700以上の領域に少なくとも1つの分子量ピークの極大値を有するものであることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 前記樹脂組成物は、重量平均分子量が700以上の有機樹脂成分を少なくとも1種、及び、重量平均分子量が700未満の有機樹脂成分を少なくとも1種含んでなることを特徴とする請求項1又は2記載の樹脂組成物。
  4. 前記樹脂組成物は、重量平均分子量が700以上の有機樹脂成分の総量が、有機樹脂成分の総量に対して、15〜90質量%であることを特徴とする請求項3記載の樹脂組成物。
  5. 前記有機樹脂成分は、エポキシ化合物を必須とするものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
  6. 前記有機樹脂成分は、脂環式エポキシ化合物及び/又は水添エポキシ化合物を必須とするものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
  7. 前記樹脂組成物は、有機樹脂成分を40〜99質量%含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物。
  8. 前記樹脂組成物は、不飽和結合を有する化合物の割合が10質量%以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物。
  9. 前記樹脂組成物は、不飽和結合を有する化合物の割合が10質量%を超えるものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物。
  10. 上記樹脂組成物は、2種以上の有機樹脂成分を溶媒5質量%以下に調製してなることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の樹脂組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の樹脂組成物によって構成されることを特徴とする光学部材用硬化性材料。
  12. 前記光学部材用硬化性材料は、150℃で5分間硬化させたときの硬化物の曲げ強度が、50MPa以上のものであることを特徴とする請求項11記載の光学部材用硬化性材料。
  13. 請求項11又は12に記載の光学部材用硬化性材料を硬化させてなることを特徴とする光学部材。
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