JP6726452B2 - 光学用硬化性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

高屈折率且つ高アッベ数で透明性に優れた硬化物を得ることができる光学用硬化性樹脂組成物に関し、特にプラスチックレンズ等の成形材料として好適に用いることができる光学用硬化性樹脂組成物に関する。
プラスチックは、ガラスに比較して軽量で割れにくく染色が容易であるため、近年、レンズ等の各種光学用途に使用されている。光学用プラスチック材料としては、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート等の熱硬化性樹脂やポリ(メチルメタクリレート)等の熱可塑性樹脂が、一般に用いられている。しかしながら、これらのプラスチックの屈折率は1.50以下であることから、レンズ材料に用いた場合、度数が強くなるほどレンズが厚くなり、軽量を長所とするプラスチックの優位性が損なわれてしまう。このため、プラスチック材料の高屈折率化が検討されている。
高屈折率のプラスチック製光学製品としては、例えば、特開2004−310001号公報(特許文献1)に、チイラニル基にジスルフィド結合が直結したチイラニルジスルフィド構造を、一分子中に1〜4単位有するジスルフィド化合物を必須モノマーとして得られる重合体からなる光学製品が提案されている。
当該光学製品は、上記ジスルフィド化合物に重合触媒を添加して成形用ガラス型に注入し、50℃で1時間、その後60℃で5時間、さらに120℃で3時間加熱重合することにより得られる(段落0045)。当該光学製品は、熱可塑性樹脂を主体とし、耐熱性は、せいぜい100℃程度である(第1表)。また、成形に長時間を要するため、生産性の点で実用的でない。
一般に熱可塑性樹脂は耐熱性に劣るため、発光ダイオードの封止層や半田付けなどが適用される光学機器の材料としては、耐熱性が不十分である。このため、熱や光により架橋硬化することができる硬化性樹脂をベースとして高屈折率化を図った材料が検討されている。
例えば、特開2009−84310号公報(特許文献2)には、芳香族エポキシ樹脂と、脂環式エポキシ樹脂及び/又は水添エポキシ樹脂と、カチオン硬化触媒とを含む熱・光硬化性樹脂組成物が提案されている。
ここで開示されている硬化性樹脂組成物の硬化物は、屈折率1.57以上で、アッベ数35以下である。
アッベ数は、光の色分散の大きさを表す指標であり、アッベ数の低いレンズでは、周辺部に色がついてみえる等の不具合がある。アッベ数の低いレンズは色収差(色ずれ)の原因となるため、物の輪郭の鮮明さが求められる用途では、高屈折率だけでなく、アッベ数も高いことが求められる。
特開2006−316264号公報(特許文献3)には、発光ダイオード素子などの高屈折性封止材に用いられる材料として、酸化ジルコニウム、酸化チタン等の金属酸化物微粒子、シロキサン系縮合物、及びキレート化剤を含有する組成物が提案されている。これらの金属酸化物の配合による高屈折率化は、芳香族エポキシ樹脂を主とする組成物と比べて、高屈折率化に伴うアッベ数の低下が小さいという特徴を有する。特許文献3には、当該組成物の硬化物の25℃における波長633nmの光屈折率は1.55〜3.00であり、該組成物を硬化して形成された厚さ10μmの硬化膜の波長500〜700nmの光透過率は90%以上であることが開示されている(段落0010)。
また、特許第5213148号(特許文献4)には、光透過性と耐熱性に優れるとともに、高い屈折率を有する光半導体封止材組成物として、平均粒子径が1〜30nmである酸化ジルコニウム粒子と特定構造を有する分散剤とエポキシ樹脂とを含有する樹脂組成物が提案されている。当該樹脂組成物の硬化物は、屈折率1.58〜1.60、耐熱性試験前の透過率が89%で、耐熱試験後であっても82〜83%であり、耐熱性に優れることが示されている(表1)。しかしながら、アッベ数についての記載はない。
特開2015−17193号公報(特許文献5)には、(メタ)アクリル酸とアルケニルエーテル化合物を反応させて得られる(メタ)アクリレートを重合してなる自己架橋タイプの共重合体(段落0018)、ジルコニア微粒子、及び溶剤を含有する組成物が、高屈折率、光線の平均透過率も高いことが開示されている(表2)。ここでは、膜厚200nmの塗膜を形成し、屈折率を評価している。
さらに、特開2012−214642号公報(特許文献6)には、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランの加水分解物、ジルコニア又はシリカナノ粒子を含有する透明な分散液とペンタエリスリトールトリアクリレートとを混合した樹脂組成物から得られた塗膜(厚み5μm)の硬化物は、シランカップリング剤の含有量を増大することで、屈折率1.55以上、光線透過率91%以上を確保できることが示されている(実施例、第1表、第2表)。
特開2004−310001号公報 特開2009−84310号公報 特開2006−316264号公報 特許5213148号公報 特開2015−17193号公報 特開2012−214642号公報
ジルコニア微粒子等の無機酸化物粒子は、硬化物の屈折率を高めることができるという利点がある。一方、特許文献4の段落0003に記載のとおり、ナノレベルの粒子は表面エネルギーが高いために凝集性が高くなる傾向にあるため、屈折率増大のために多量に配合させた場合、粒子が十分に分散することができず、光透過性などが大幅に低下するという問題がある。
特許文献4では、特定構造を有する分散剤を併存させることで、酸化ジルコニウム粒子の含有量を高め、屈折率を高めている。しかしながら、当該組成物の硬化は、100℃で1時間、150℃で1時間加熱で、得られた硬化物の厚みは25μmである。このように、酸化ジルコニウムを含有した組成物は、一般に硬化に時間がかかり、成形性の点で改善が求められる。
前記特許文献6では、硬化時間は記載されていないが、紫外線照射による硬化(段落0056)であることから、短時間で硬化物が得られると考えられる。しかしながら、得られる硬化物の厚みは6μmである。
光学レンズなどの材料として利用するためには、例えば、厚み100μm以上の硬化物の成形にも対応できる必要がある。しかしながら、上記特許文献6をはじめ、他の文献においても、100μm以上の厚みを有する硬化物を作製した例は開示されていない。
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、耐熱性及び透明性に優れ、且つ高屈折率、高アッベ数の厚み100μm以上の硬化物を効率よく生産することができる硬化性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、屈折率を高めるために無機酸化物粒子を配合した硬化性樹脂組成物において、透明性を損なうことなく、無機酸化物粒子の含有量を増大することについて種々検討した。その結果、無機酸化物粒子を大量に含有させる場合、組成物の状態において安定的に分散させても、硬化の過程で、無機酸化物粒子が再び凝集してしまうことがあり、透明性が損なわれているとの知見を得た。
本発明者は、さらなる検討を行い、無機酸化物粒子の分散性を高めるために行った表面修飾とマトリックスとなる樹脂との組合せが硬化物の透明性に影響を与えていることを見出し、無機酸化物粒子の表面修飾、硬化性樹脂の反応性官能基との組合せ、硬化反応を工夫することで本発明を完成した。
すなわち、本発明の光学用硬化性樹脂組成物は、(A)反応性官能基(Fa)を有し、当該反応性官能基(Fa)が反応して硬化する硬化性樹脂であって、脂肪族ジ(メタ)アクリレート樹脂、脂環ジ(メタ)アクリレート樹脂、脂環式エポキシ樹脂、及び水添型芳香族エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む硬化性樹脂;(B)前記硬化性樹脂(A)の硬化物よりも高い屈折率を有する金属酸化物ナノ粒子であって、表面が前記反応性官能基(Fa)反応と異なる反応機構の反応性官能基(Fb)で修飾されている表面修飾ナノ粒子;及び(C)前記硬化性樹脂(A)の反応を開始させる第1の硬化剤を含有する。
(D)前記反応性官能基(Fb)の反応を開始させる第2の硬化剤をさらに含有し、第2の硬化剤(D)は、第1の硬化剤(C)による硬化性樹脂(A)の反応よりも遅れて反応を開始させる化合物、又は第1の硬化剤(C)による硬化性樹脂(A)の反応よりも反応速度が遅い反応触媒であることが好ましい。また、前記第2の硬化剤(D)の反応開始温度が、前記第1の硬化剤(C)の反応開始温度よりも高いことが好ましい。
またさらに、(E)硬化反応の条件下で、前記反応性官能基(Fb)と同じ反応機構で反応することができる反応性官能基(Fe1)を有する化合物(Fe1含有化合物)を含有してもよい。前記Fe1含有化合物(E)は、反応性官能基(Fe1)以外の反応性官能基(Fe2)をさらに有していてもよい。
前記金属酸化物は、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タンタル、酸化インジウム、酸化ハフニウム、酸化スズ、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化タングステン、酸化ニオブ及びこれらの複合体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、前記硬化性樹脂は、脂環式エポキシ樹脂及び水添型芳香族エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。この場合、前記反応性官能基(Fb)は、アクリロイル基又はメタクリロイル基であることが好ましい。
記硬化性樹脂(A)と前記表面修飾ナノ粒子(B)との含有量比(A:B)は、5:1〜1:5であることが好ましい。
また、本発明は、上記本発明の樹脂組成物が第1及び第2の硬化剤を含有する場合の光学用硬化性樹脂組成物の硬化方法であって、前記反応性官能基(Fa)と前記第1の硬化剤(C)との反応が、前記反応性官能基(Fb)と前記第2の硬化剤(D)の反応よりも早期に開始される条件で硬化する硬化方法も包含する。
さらに、本発明は、上記本発明の光学用硬化性樹脂組成物の硬化物であって、屈折率が1.55以上で且つアッベ数が37以上である光学用成形品も包含する。

なお、本明細書において、「アクリル」と「メタクリル」、「アクリレート」と「メタクリレート」、「アクリロイル」と「メタクリロイル」について、両者を特段の区別しないときは、それぞれ「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリロイル」と総称する。
本発明の光学用硬化性樹脂組成物は、硬化に際して屈折率を高める無機酸化物粒子の凝集を防止しているので、耐熱性及び透明性に優れ、且つ高屈折率、高アッベ数の厚み100μm以上の硬化物を効率よく生産することができる。
〔硬化性樹脂組成物〕
本発明の光学用硬化性樹脂組成物は、
(A)反応性官能基(Fa)を有し、当該反応性官能基(Fa)が反応して硬化する硬化性樹脂;
(B)前記硬化性樹脂(A)の硬化物よりも高い屈折率を有する金属酸化物のナノ粒子であって、前記反応性官能基(Fa)の反応と異なる反応機構の反応性官能基(Fb)で、表面が修飾されている表面修飾ナノ粒子;及び
(C)前記硬化性樹脂(A)の反応を開始させる第1の硬化剤
を含有する。
以下、各成分について説明する。
(A)熱及び/又は光硬化性樹脂
本発明の硬化性樹脂組成物の主成分となる硬化性樹脂としては、熱及び/又は光により重合を開始して硬化できる樹脂であればよく、その種類は特に限定しないが、通常、エポキシ樹脂又は硬化性(メタ)アクリル系樹脂が用いられ、好ましくはエポキシ樹脂である。
(1)エポキシ樹脂
本発明で用いるエポキシ樹脂とは、反応性官能基(Fa)としてエポキシ基を含有する樹脂である。エポキシ樹脂は、通常、樹脂中の反応性官能基(Fa)であるエポキシ基と、当該官能基と反応することができる化合物(第1の硬化剤)とが反応して、架橋構造を形成し、硬化することができる。なお、本明細書中、エポキシ基とは、3員環のエーテルであるオキシラン環を含むものであり、狭義のエポキシ基の他、グリシジル基(グリシジルエーテル基及びグリシジルエステル基を含む。)を含むものである。
前記エポキシ樹脂としては、2官能又はそれ以上(2官能超の場合を「多官能」と総称する場合がある)の(水添)芳香族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂を含むものが好適である。本発明の樹脂組成物に含有されるエポキシ樹脂は、1種類に限らず、2種類以上のエポキシ樹脂を組み合わせて用いてもよい。また、水添は、完全水素添加されたものに限定されず、部分水素添加されたものであってもよい。
耐熱性及び強度の観点から、(水添)芳香族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂が好ましく用いられる。
上記芳香族エポキシ樹脂とは、分子中に芳香環及び2以上のエポキシ基を有する化合物であり、例えば、ビスフェノール骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等の芳香環共役系を有するグリシジル化合物であることが好ましい。これらの芳香環は、完全水素添加又は部分水素添加されていてもよい。
(水添)芳香族エポキシ樹脂のうち、中でも、より高屈折率を実現させるため、ビスフェノール骨格及び/又はフルオレン骨格を有する化合物が好ましく、より好ましくは、フルオレン骨格を有する化合物である。また、芳香族エポキシ樹脂の臭素化化合物や含硫黄化合物を用いることによっても、より高屈折率を達成でき、しかも、臭素や硫黄を含まない化合物に比べてアッベ数も高いため、用途に応じて適宜使用することが好ましい。
上記芳香族エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フルオレン系エポキシ樹脂、ブロモ置換基を有する芳香族エポキシ樹脂等が挙げられ、中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及びフルオレン系エポキシ樹脂が好ましい。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製、828EL、1003又は1007)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フルオレン系エポキシ樹脂(大阪ガスケミカル社製、オグソールPG−100)等が好ましく用いられる。より好ましくは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フルオレン系エポキシ樹脂を用いることができる。
上記芳香族エポキシ樹脂としてはまた、芳香族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂が好適であるが、芳香族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、高分子量エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ノボラック・アラルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂等の他、ベンゼン環を持つグリシジルエーテル化合物(ベンゼン環を持つエポキシ樹脂)等が挙げられる。
上記エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール等のビスフェノール類とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるものが好適である。
上記高分子量エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、上記エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂を上記ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール等のビスフェノール類と更に付加反応させることにより得られるものが好適である。
上記ノボラック・アラルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、ナフトール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール等のフェノール類とホルムアルデヒド、アセトアルテヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、ジシクロペンタジエン、テルペン、クマリン、パラキシリレングリコールジメチルエーテル、ジクロロパラキシリレン、ビスヒドロキシメチルビフェニル等を縮合反応させて得られる多価フェノール類を、更にエピハロヒドリンと縮合反応することにより得られるものが好適である。
上記ベンゼン環を持つグリシジルエーテルとしては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、4−メトキシフェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、p−sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル等が挙げられる。具体的には、ナガセケムテックス社製のEX−141、145、146、147、201等が挙げられる。
上記脂肪族エポキシ樹脂とは、脂肪族エポキシ基を有する樹脂であり、脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂が好適である。
上記脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG600)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(PPG)、グリセロール、ジグリセロール、テトラグリセロール、ポリグリセロール、トリメチロールプロパン及びその多量体、ペンタエリスリトール及びその多量体、グルコース、フルクトース、ラクトース、マルトース等の単/多糖類等とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるもの、プロピレングリコール骨格、アルキレン骨格、オキシアルキレン骨格を有するもの、水添芳香族グリシジルエーテル類、シクロヘキシル骨格、トリシクロデカン骨格、イソボルニル骨格、アダマンチル骨格等の脂肪族環状骨格を有するもの等が好適である。中でも、中心骨格にプロピレングリコール骨格、アルキレン骨格、オキシアルキレン骨格、脂肪族環状骨格を有する脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂等が好適である。
上記脂環式エポキシ樹脂とは、脂環式エポキシ基を有する化合物であり、脂環式エポキシ基としては、例えば、エポキシシクロヘキサン基(エポキシシクロヘキサン骨格)、環状脂肪族炭化水素に直接又は炭化水素を介して付加したエポキシ基等が挙げられる。中でも、エポキシシクロヘキサン基を有する化合物が好適である。
上記エポキシシクロヘキサン基を有するエポキシ樹脂としては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、イプシロン−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物等が好適である。また、上記エポキシシクロヘキサン基を有するエポキシ樹脂以外の脂環式エポキシ樹脂としては、例えば、トリス−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)イソシアヌレート等のヘテロ環含有のエポキシ樹脂等の脂環式エポキシド等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂としてはまた、ヒダントインやシアヌール酸、メラミン、ベンゾグアナミンとエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる窒素含有グリシジルエーテル型エポキシ樹脂を用いることもできる。
このようなエポキシ樹脂は、エポキシ樹脂の構造、使用する硬化剤の種類に応じて、反応し硬化する。エポキシ樹脂の硬化反応としては、反応性官能基(Fa)であるエポキシ基の開環重合によるもの(開環重合型)、開環により生じた水酸基を利用した脱水又は脱アルコールの縮合反応によるもの(縮合型)、エポキシ基又は水酸基を利用した重付加反応によるもの(付加重合型)が挙げられ、いずれであってもよい。
(2)硬化性(メタ)アクリル系樹脂
本発明で用いることができる硬化性(メタ)アクリル系樹脂とは、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレートなどの2官能以上の(メタ)アクリレートモノマー及び/又はオリゴマー、及び/又は有機骨格単位の主鎖末端または側鎖に、反応性官能基(Fa)として(メタ)アクリロイル基を2個以上有する樹脂の混合物である。含有する反応性官能基(Fa)は、同一でも異なっていてもよい。すなわち、1分子中にアクリロイル基とメタクリロイル基を含む化合物であってもよい。
前記有機骨格としては、脂肪族アルキル基、オキシアルキレン基、脂環式化合物、芳香族化合物を、ウレタン結合、エステル結合、エーテル結合、カーボネート結合等により連結したオリゴマー又はポリマー骨格が挙げられる。
具体的には、ウレタン骨格を分子中に1個有し、更に、ウレタン骨格及び/又は他の脂肪族炭化水素を含む有機骨格(例えば、エステル骨格、エーテル骨格、カーボネート骨格、オキシアルキレン骨格、(メタ)アクリレート系(共)重合体骨格等)を分子中に1個以上有する(メタ)アクリレート化合物(以下、「ウレタン(メタ)アクリレート化合物」とも称す。);エステル骨格を分子中に2個以上有し、場合によってはウレタン骨格以外の脂肪族炭化水素を含む有機骨格(例えば、エーテル骨格、カーボネート骨格、オキシアルキレン骨格、(メタ)アクリレート系(共)重合体骨格等)を更に有する(メタ)アクリレート化合物(以下、「ポリエステル(メタ)アクリレート化合物」とも称す。);エーテル骨格を分子中に2個以上有し、場合によってはウレタン骨格以外の脂肪族炭化水素を含む有機骨格(例えば、エステル骨格、カーボネート骨格、オキシアルキレン骨格、(メタ)アクリレート系(共)重合体骨格等)を更に有する(メタ)アクリレート化合物(以下、「ポリエーテル(メタ)アクリレート化合物」とも称す。)が挙げられる。以上のような(メタ)アクリレート化合物を用いた硬化性(メタ)アクリル系樹脂およびその製造方法については、例えば、特開2011−128225号に開示されているアクリル樹脂を用いることができる。
前記2官能以上の(メタ)アクリレートモノマーとしては、トリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングルコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族グリコールのジアクリレート;ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、イソボルニルジ(メタ)アクリレート、アダマンチルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等の脂環式骨格のジアクリレート;ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジアクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物ジアクリレート等の芳香族含有骨格ジアクリレート;2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のポリオールの(メタ)アクリル酸付加物が挙げられる。
以上のような硬化性(メタ)アクリル系樹脂は、通常、ラジカル重合開始剤により、(メタ)アクリロイル基のラジカル重合が開始され、架橋硬化する。
耐熱性、強度付与の点からは、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物を50〜100質量%含有することが好ましい。これにより、三次元的に網状硬化した硬化物を得ることができる。
また、硬化性に影響を及ぼさない範囲内(具体的には硬化性樹脂の50質量%以下、好ましくは30質量%以下)であれば、イソアミル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドキシブチル(メタ)アクリレート等の脂肪族、脂環族、芳香族化合物のモノ(メタ)アクリレートを含有してもよい。
(B)表面修飾された金属酸化物ナノ粒子(以下「表面修飾ナノ粒子」と称することがある)
本発明で用いられる表面修飾ナノ粒子は、硬化物に高屈折性を付与する高屈折性の金属酸化物微粒子のマトリックス樹脂中の分散性を高めるために、粒子表面を親油化処理したものである。硬化物に高屈折性を付与する金属酸化物の配合により、硬化物の透明性が損なわれないように、マトリックス樹脂中でナノ粒子として微分散させるためである。本発明においては、金属酸化物の表面を修飾する有機化合物は化学結合および/または配位するか、或いは水素結合や塩の形成によって金属酸化物に付着するか何れでもよく、本発明において「表面修飾」とは、有機酸化合物が金属酸化物に化学的に結合および/または配位した状態、または物理的に付着した状態の両方を包含する。
本発明で用いる表面修飾ナノ粒子を構成する金属酸化物粒子は、(A)硬化性樹脂の硬化物よりも高い屈折率を有する金属酸化物のナノ粒子である。かかる金属酸化物としては、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タンタル、酸化インジウム、酸化ハフニウム、酸化スズ、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化タングステン、酸化ニオブおよびこれらの複合体からなる群より選ばれる1又は2種以上であることが好ましい。2種以上の酸化物の固溶体としては、ITO、ATOなどが挙げられる。複合酸化物としては、例えばチタン酸バリウム(BaTiO3)、灰チタン石(CaTiO3)、スピネル(MgAl24)などがある。これらの金属酸化物のうち、特にZrO2が好ましく用いられる。
このような金属酸化物は、25℃における波長589nmの光の屈折率が好ましくは1.55以上、より好ましくは1.60以上、特に好ましくは1.70以上を有している。従って、このような金属酸化物のナノ粒子を含有することにより、組成物の高屈折率化を図ることが可能となる。
前記金属酸化物微粒子の1次平均粒子径は、好ましくは0.1〜100nm、より好ましくは0.1〜70nm、特に好ましくは0.1〜50nmである。金属酸化物微粒子の1次平均粒子径が上記範囲にあると、光透過性に優れた硬化物を得ることができる。
前記平均粒子径は、金属酸化物粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)、電界放射型透過電子顕微鏡(FE−TEM)、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)などで拡大観察し、無作為に100個の粒子を選択してその長軸方向の長さを測定し、その算術平均を求めることで決定できる。
金属酸化物粒子の形状としては、特に限定されず、球状、粒状、楕円球状、立方体状、直方体状、ピラミッド状、針状、柱状、棒状、筒状、りん片状、板状、薄片状などが挙げられる。溶媒への分散性などを考慮すると、前記形状としては、球状、粒状、柱状などが好ましい。
金属酸化物粒子は市販品を用いてもよく、または公知の製造方法により製造することも可能である。好ましい製造方法は、水存在下、金属成分とカルボン酸化合物等の有機化合物との水熱反応が挙げられる。
前記金属成分は、水熱反応により金属酸化物を生成する化合物に含まれている限り特に限定されない。金属成分を含む化合物としては、種々の金属酸化物前駆体が挙げられ、例えば各種金属の水酸化物、塩化物、オキシ塩化物、硫酸塩、酢酸塩、有機酸塩、アルコキシド等が含まれ、さらには各種金属とカルボン酸の塩であってもよい。例えばジルコニウムでの例では、水酸化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニル、オキシ酢酸ジルコニル、オキシ硝酸ジルコニル、硫酸ジルコニウム、オクタン酸ジルコニウム、2−エチルヘキサン酸ジルコニウム、オレイン酸酸化ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、ステアリン酸酸化ジルコニウム、ラウリン酸酸化ジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム等のジルコニウムアルコキサイド等が挙げられる。また、チタンでの例では、水酸化チタン、塩化チタン、オキシ塩化チタン、オキシ酢酸チタン、オキシ硝酸チタン、硫酸チタン、オクタン酸チタン、オレイン酸酸化チタン、酢酸チタン、ステアリン酸酸化チタン、ラウリン酸酸化チタン、テトラブトキシチタン(例えば、テトラ−n−ブトキシチタン)等のチタンアルコキサイド等が例示できる。
上記のような金属酸化物ナノ粒子は、単独の状態では、親水性であるとともに、表面エネルギーが高いため、マトリックス樹脂中で凝集しやすい。この点、親油化する表面修飾を施すことにより、マトリックス樹脂中に一次粒子の状態で、微分散させることができる。
表面修飾は、粒子表面を親油化できる方法であれば特に限定しないが、通常、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤のように、無機化合物と結合形成可能な有機基及び親油化のための反応性官能基(Fb)を有する化合物が用いられる。
反応性官能基(Fb)としては、(メタ)アクリロイルオキシ基、エポキシ基、アミノ基、ビニル基、チオール基、酸無水物基、フェノール基などが挙げられる。
従って、例えば、シランカップリング剤としては、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリロイルオキシ系シランカップリング剤;ジエトキシ(グリシディルオキシプロピル)メチルシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ系シランカップリング剤;N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1、3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ系シランカップリング剤などを用いることができる。
このようなシランカップリング剤は、加水分解基であるアルコキシ基が加水分解により水酸基を生成し、この水酸基が酸化物粒子表面と結合を形成する。従って、このような表面修飾剤で処理された粒子の表面は、表面修飾に用いたカップリング剤由来の反応性官能基を有する。かかる反応性官能基が、酸化物粒子表面を修飾する反応性官能基(Fb)となる。
上記シランカップリング剤処理の粒子に対するシランカップリング剤の量としては、金属酸化物粒子100質量部に対して、1〜100質量部の範囲内が好ましい。上記修飾量が1質量部未満では、媒体中での粒子の分散性が低くなるおそれがあり、上記修飾量が100質量部を超えると、粒子中の金属酸化物の含有量が少なくなるため、光学性能の向上が少なくなるおそれがある。上記修飾量は5〜70質量部の範囲内がさらに好ましく、10〜40質量部の範囲内が最も好ましい。
シランカップリング剤等のカップリング剤を用いる表面修飾の方法は、特に限定しないが、通常、シランカップリング剤の分散液に、酸化物ナノ粒子を添加混合、必要に応じて加熱等することにより反応させて行うことができる。
酸化物ナノ粒子は、粉末状の粒子を添加してもよいし、適宜分散媒に分散させたスラリー又は分散液として添加してもよい。
ここで用いることができる分散媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、2-プロパノール(IPA)、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコールなどのアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、酢酸イソペンチル、酢酸ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸シクロヘキシル、エチレングリコールモノアセテート等のエステル類;エチレングリコール、ヘキシレングリコールなどのグリコール類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プルピレングリコールものエチルエーテルなどのエーテル類を含む親水性溶媒、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、酢酸イソペンチル、酢酸ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸シクロヘキシル、エチレングリコールモノアセテートなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ブチルメチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジプロピルケトン、メチルペンチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類;トルエン等の極性溶媒が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上混合して使用してもよい。
表面修飾ナノ粒子は、表面が反応性官能基(Fb)で修飾されているので、有機溶媒と親和性を有する。よって、上記各種有機溶媒中でもナノ微粒子として安定的に分散された状態となっている。具体的には透明性の高い溶液状態として扱うことができる。
表面修飾ナノ粒子は、通常、表面修飾に用いた表面修飾液に、ナノ粒子が分散した分散液の状態で用いてもよいし、減圧留去して溶剤留去後の粉末として用いてもよい。
ナノ粒子分散液中の固形分率は、特に限定しないが、20〜90%であることが好ましく、より好ましくは50〜80%である。
本発明で用いる表面修飾ナノ粒子は、上記カップリング剤以外の有機化合物でさらに表面修飾されていてもよい。表面修飾に用いられる有機化合物は、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミン基、チオール基、アミド基等金属酸化物粒子の表面に配位および/または結合可能な置換基を有する有機化合物やシランカップリング剤、界面活性剤等が挙げられ、1種または2種以上を用いてもよい。金属酸化物粒子への結合力が強く、粒子への疎水性の付与および成形または硬化した物品の変色等の悪影響が少ないという点で、カルボキシル基を有する有機化合物、シランカップリング剤、界面活性剤が好ましい。これらの有機化合物は、反応性官能基(Fb)を有していても有していなくてもよい。
上記有機化合物の修飾量としては、金属酸化物ナノ粒子全体の0質量%〜50質量%の範囲内が好ましい。上記修飾量が50質量%を超えると粒子中の金属酸化物の含有量が少なくなるため、成形または硬化した物品の屈折率の向上が少なくなるおそれがある。上記修飾量は5質量%〜40質量%の範囲内がさらに好ましく、10質量%〜30質量%の範囲内が最も好ましい。
上記有機化合物としては、炭素数5以上のカルボン酸が金属酸化物ナノ粒子の媒体中での分散性が向上するため好ましい。上記カルボン酸の炭素数が5未満では、金属酸化物ナノ粒子の表面が十分疎水性に変化することができないため、媒体中での粒子の分散性が低下するおそれがある。上記炭素数が5以上の脂肪族カルボン酸としては、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、2−エチルヘキサン酸、2−メチルヘプタン酸、4−メチルオクタン酸、サリチル酸、ナフテン酸、デカン酸、ウンデシル酸、ネオデカン酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ピバリン酸、2,2−ジメチル酪酸、3,3−ジメチル酪酸、2,2−ジメチル吉草酸、2,2−ジエチル酪酸、3,3−ジエチル酪酸、ステアリン酸、プリスタン酸、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、アクリル酸、メタクリル酸、2−アクリロイロキシエチルコハク酸、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸などのC3-9脂肪族ジカルボン酸の(メタ)アクリロイロキシC1-6アルキルアルコールによるハーフエステル類;2−アクリロイロキシエチルフタル酸、2−メタクリロイロキシエチルフタル酸などのC8-14芳香族ジカルボン酸の(メタ)アクリロイロキシC1-6アルキルアルコールによるハーフエステル類等が挙げられ、1種のみで使用してもよく2種以上を併用してよい。
上記界面活性剤は、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両性イオン界面活性剤等のイオン性界面活性剤、あるいは非イオン系界面活性剤が好適に用いられる。
陰イオン系界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム等の脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、脂肪酸エステルスルフォン酸ナトリウム等の脂肪酸系、アルキルリン酸、アルキルリン酸エステル、アルキルリン酸エステルナトリウム等のリン酸系、アルファオレインスルフォン酸ナトリウム等のオレフィン系、アルキル硫酸ナトリウム等のアルコール系、アルキルベンゼン系等が挙げられる。
陽イオン系界面活性剤としては、例えば、塩化アルキルメチルアンモニウム、塩化アルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム等が挙げられる。
両性イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミノカルボン酸塩等のカルボン酸系、フォスフォベタイン等のリン酸エステル系が挙げられる。
非イオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラノリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の脂肪酸系、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。
前記有機化合物を金属酸化物ナノ粒子の表面に修飾する方法としては、各種有機化合物と金属酸化物粒子を溶媒中で混合撹拌する方法やボールミル等による混合など公知のいずれの方法も用いることができる。有機化合物にカルボン酸を用いる場合には、混合のほかに水存在下、金属成分とカルボン酸化合物とを水熱反応を行なうことも好適な製造方法である。なお、カルボン酸化合物の場合にはエステル交換によりカルボン酸の種類を交換することも可能である。
(B)成分を構成する表面修飾ナノ粒子に含まれる反応性官能基(Fb)は、硬化性樹脂の反応性官能基(Fa)の反応と異なる反応機構を示すことができる反応性官能基である。
ここでいう反応機構とは、樹脂組成物の(C)成分として含まれる第1の硬化剤により起こる硬化性樹脂の反応性官能基(Fa)の硬化反応と異なる反応機構の意味である。例えば、反応性官能基(Fa)の反応がエポキシ基の開環反応であれば、エポキシ基の開環反応以外の反応、また反応性官能基の反応が(メタ)アクリロイル基のラジカル重合反応であれば、ラジカル重合以外の反応、反応性官能基の反応が脱水縮合反応であれば脱水縮合反応以外の反応をいう。
従って、表面修飾ナノ粒子の表面修飾は、使用する硬化性樹脂の種類、具体的には反応性官能基(Fa)の種類に応じて、反応性官能基Faの反応と異なる種類の反応が進むような反応性官能基(Fb)で修飾されるように、適宜選択すればよい。
具体的な組み合わせ例としては、エポキシ樹脂と、反応性官能基(Fb)として(メタ)アクリロイル基、ビニル基を有する表面修飾ナノ粒子との組合せ;硬化性(メタ)アクリル系樹脂と、反応性官能基(Fb)としてエポキシ基又はアミノ基を有する表面修飾ナノ粒子との組合わせなどが挙げられる。
このような表面修飾ナノ粒子は、表面の反応性官能基(Fb)の種類に応じて、ラジカル重合あるいは付加反応、付加縮合反応により、ナノ粒子同士を結着することができる。これにより、硬化物の強度が増大し、分厚い成形体を製造することが可能になる。
一方、表面修飾ナノ粒子の重合、硬化反応が進みすぎて、硬化物中で粗大粒子化すると、硬化物の透明性が低下することになる。この点、本発明の硬化性樹脂組成物は、樹脂組成物の状態だけでなく、硬化物の状態においても、表面修飾ナノ粒子の微分散状態が保持され、透明性に優れている。機構は明らかではないが、硬化性樹脂の反応性官能基(Fa)の硬化反応が、表面修飾ナノ粒子の反応性官能基(Fb)の硬化反応よりも先行する条件を選択することで、マトリックス樹脂の硬化を先行させることができるので、硬化の途中で、金属酸化物ナノ粒子同士が凝集、結着して、粗大粒子を形成することを抑制できたためと考えられる。そして、マトリックス樹脂のネットワークが形成された後に、表面修飾ナノ粒子の結着が生成しても、微分散状態での結着であることから、粗大粒子の生成が阻止されたためと考えられる。
以上のようにして、(A)硬化性樹脂が架橋硬化することにより形成されたネットワーク構造のマトリックス中に微分散したナノ粒子が、ナノ粒子同士で結着するので、透明性を損なうことなく、硬化物の強度増大に寄与することができる。
(C)第1の硬化剤(樹脂用硬化剤)
第1の硬化剤は、(A)成分である硬化性樹脂の硬化反応を開始させるための硬化剤である。この第1の硬化剤は、樹脂用硬化剤と称する場合もある。
硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を含有する場合、樹脂用硬化剤としては、酸無水物、アミン類、カチオン硬化剤、フェノール類(フェノール樹脂含む)、チオール類を用いることができる。
硬化性樹脂としてアクリル樹脂を含有する場合、ラジカル重合開始剤を用いることができる。
以上のような樹脂用硬化剤は、(A)硬化性樹脂中の反応性官能基(Fa)に応じて適宜選択され、1種類に限らず、2種類以上混合して用いてもよい。
i)(メタ)アクリロイル用ラジカル重合開始剤
ラジカル重合開始剤は、加熱又は光照射によりラジカルを発生し、硬化性(メタ)アクリル系樹脂中の(メタ)アクリロイル基等のビニル基の重合を開始させることができる。
ラジカル重合開始剤としては、ラジカルを発生して上記重合を開始させることができる化合物であれば特に限定されず、例えば、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1,1’−アゾビス−1−シクロヘプタンニトリル、1,1’−アゾビス−1−フェニルエタン、フェニルアゾトリフェニルメタン、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−2−メチルプロピオン酸メチル、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’アゾビス−2−メチルバレロニトリル等のアゾ系開始剤類;過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化tert−ブチル、過酸化プロピオニル、過酸化ラウロイル、過酢酸tert−ブチル、過安息香酸tert−ブチル、tert−ブチルヒドロペルオキシド、tert−ブチルペルオキシピバレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーイソノナノエート、t−アミルパーオキシアセテート、t−アミルパーオキシベンゾエート等の過酸化物系開始剤類;2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン等のアルキルフェノン系開始剤類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系開始剤類;ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム等のチタノセン系開始剤類;1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル系開始剤類等が挙げられる。
ii)カチオン重合開始剤
カチオン重合開始剤は、加熱又は光によりエポキシ基の酸素原子に作用することで開環するとともにカルボカチオンを発生させ、カチオン重合を開始させることができる。ここでいうカチオン重合とは、上記カルボカチオンを経由する反応だけでなく、明確なカチオンの発生を経由せず、カチオン重合態様で進行する反応も含む。
カチオン重合開始剤は、エポキシ樹脂用硬化剤として一般に使用されている酸無水物類、アミン類、フェノール樹脂類等とは異なり、樹脂組成物に含まれていても、樹脂組成物の常温での経時的な粘度上昇やゲル化を引き起こすことなく、またカチオン硬化剤の作用として、硬化反応を充分に促進して優れた効果を発揮することができるので、ハンドリング性により優れた一液性樹脂組成物を提供することができる。
上記カチオン重合開始剤としては、例えば、下記一般式で表される化合物が好適である。
(R Z)+m(AXn)−m
式中、Zは、S、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、N及びハロゲン元素からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を表す。R、R、R及びRは、同一又は異る有機基を表す。a、b、c及びdは、0又は正数であり、a、b、c及びdの合計はZの価数に等しい。カチオン(R Z)+mはオニウム塩を表す。Aは、ハロゲン化物錯体の中心原子である金属元素又は半金属元素(Metalloid)を表し、B、P、As、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Coからなる群より選ばれる少なくとも一つである。Xは、ハロゲン元素を表す。mは、ハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷である。nは、ハロゲン化物錯体イオン中のハロゲン元素の数である。
上記式中の陰イオン(AXn)−mの具体例としては、テトラフルオロボレート(BF4−)、ヘキサフルオロホスフェート(PF6−)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6−)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6−)、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl6−)等が挙げられる。一般式AXn(OH)で表される陰イオンも用いることができる。また、その他の陰イオンとしては、過塩素酸イオン(ClO )、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CFSO )、フルオロスルホン酸イオン(FSO )、トルエンスルホン酸イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸イオン等が挙げられる。
上記カチオン重合開始剤のうち、熱潜在性カチオン硬化触媒の具体的な商品としては、例えば、AMERICUREシリーズ(アメリカン・キャン社製)、ULTRASETシリーズ(アデカ社製)、WPAGシリーズ(和光純薬社製)等のジアゾニウム塩タイプ;UVEシリーズ(ゼネラル・エレクトリック社製)、FCシリーズ(3M社製)、UV9310C(GE東芝シリコーン社製)、Photoinitiator2074(ローヌプーラン社製)、WPIシリーズ(和光純薬社製)等のヨードニウム塩タイプ;CYRACUREシリーズ(ユニオンカーバイド社製)、UVIシリーズ(ゼネラル・エレクトリック社製)、FCシリーズ(3M社製)、CDシリーズ(サトーマー社製)、オプトマーSPシリーズ・オプトマーCPシリーズ(アデカ社製)、サンエイドSIシリーズ(三新化学工業社製)、CIシリーズ(日本曹達社製)、WPAGシリーズ(和光純薬社製)、CPIシリーズ(サンアプロ社製)等のスルホニウム塩タイプ等が挙げられる。
光潜在性カチオン硬化触媒としては、例えば、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムホスフェート、p−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、p−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−クロルフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−クロルフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジフェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロフォスフェート、ビス[4−(ジフェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−Fe−ヘキサフルオロホスフェート、ジアリルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等が好適である。これらは市場より容易に入手することができ、例えば、SP−150、SP−170(旭電化社製);イルガキュア261(チバ・ガイギー社製);UVR−6974、UVR−6990(ユニオンカーバイド社製);CD−1012(サートマー社製)等が好適である。これらの中でも、オニウム塩を使用することが好ましい。また、オニウム塩としては、トリアリールスルホニウム塩及びジアリールヨードニウム塩のうち少なくとも1種を使用することが好ましい。
また、各種ルイス酸も熱カチオン硬化触媒として用いることができる。ルイス酸としては、例えば、遷移金属元素、希土類元素やMg、Zn、P、As、Sb、Sn、B、Alのハロゲン化物や有機塩、有機金属化合物等が挙げられる。具体的には、塩化鉄、塩化銅、塩化パラジウム、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム、トリフルオロメタンスルホン酸イットリウム、トリフルオロメタンスルホン酸ユウロピウム、酢酸マグネシウム、トリフルオロメタンスルホン酸マグネシウム、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛、五フッ化リン、五フッ化ヒ素、五フッ化アンチモン、塩化スズ、三フッ化ホウ素、トリブチルボラン、トリフェニルボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、ビス(ペンタフルオロフェニル)フェニルボラン、ペンタフルオロフェニルジフェニルボラン、トリス(4−フルオロフェニル)ボラン、塩化アルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム等が挙げられる。中でも、三フッ化ホウ素、トリブチルボラン、トリフェニルボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、ビス(ペンタフルオロフェニル)フェニルボラン、ペンタフルオロフェニルジフェニルボラン、トリス(4−フルオロフェニル)ボラン等のホウ素化合物、塩化アルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム等のアルミニウム化合物が好ましい。
また、熱カチオン硬化触媒としては、金属キレート化合物又は金属アルコキシドも好適に用いることができる。金属キレート化合物又は金属アルコキシドとしては、下記一般式(1)で表される金属キレート化合物を好適に用いることができる。
(1)式中、Mは、Al、Mg、Ti又はZrのいずれかを表す。Rは、同一又は異なって、炭素数1〜6のアルキル基又はアルコキシル基を表す。R2は、同一又は異なって、炭素数1〜12のアルキル基を表す。aは、Mで表される金属原子のイオンの価数を表す。bは、0〜3の数を表す。(1)式中、酸素原子とMとの間の点線は、酸素原子がMに配位していることを表す。Mに配位する2つの酸素原子と、該2つ酸素原子の間の3つの炭素原子とで形成される構造部分の点線の円弧は、この構造部分の少なくとも1対の原子が二重結合で結ばれていることを表し、該二重結合が、点線の円弧部分を形成する環構造と共役していてもよい。
なお、「Rは、同一又は異なって、炭素数1〜6のアルキル基又はアルコキシル基を表す」とは、bを付した()の中の構造部分が複数ある場合、当該複数の構造部分におけるRの構造が同一であってもよく、異なっていてもよいことを意味する。Rについても同様である。
Figure 0006726452
上記一般式(1)で表される金属キレート化合物の具体例としては、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、プレンアクトAL−M(商品名、川研ファインケミカル(株)製)、アルミニウムモノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセチルアセトネート)等のアルミニウムキレート化合物;マグネシウムエチルアセトアセテートモノイソプロピレート、マグネシウムビス(エチルアセトアセテート)、マグネシウムアセトアセテートモノイソプロピレート、マグネシウムビス(アセチルアセトネート)等のマグネシウムキレート化合物;ジルコニウムトリス(アセチルアセトネート)、チタニウムビス(アセトアセテート)ジブチレートなどが挙げられる。
上記一般式(1)で表される化合物のうち、金属アルコキシドは、下記一般式(2)で表される化合物である。すなわち、上記一般式(1)においてb=0で表される化合物である。(2)式中、Rはアルキル基を表す。
Figure 0006726452
上記一般式(2)において、Rはアルキル基を表すが、アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−デシル基などが挙げられる。Rは炭素数1〜22のアルキル基であることが好ましい。
上記一般式(2)で表される金属アルコキシドの具体例としては、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリsec−ブトキシド、アルミニウムトリtert−ブトキシド等のアルミニウムアルコキシド;マグネシウムジエトキシド、マグネシウムジイソプロポキシド、マグネシウムジtert−ブトキシド等のアルミニウムアルコキシド;チタニウムテトライソプロポキシドなどが挙げられる。
また、硬化調整剤として、アミン化合物、ホスフィン化合物、ポリアルコール、ポリエーテル等の化合物も用いることができる。上記化合物の具体例としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−ウンデシルオキシピペリジン−4−イル)カーボネート等のアミン化合物;トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリトルイルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン等のホスフィン化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のポリアルコール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル等が挙げられる。
iii)酸無水物
酸無水物は、エポキシ基と反応して、カルボキシル基を生じるという付加重合を起こすことができる。したがって、酸無水物は、通常、エポキシ樹脂と同当量含有することになる。
酸無水物(酸無水物系硬化剤)としては、例えば、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル、酸無水物、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ナジック酸無水物、メチルナジック酸無水物、ヘット酸無水物、ハイミック酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸−無水マレイン酸付加物、クロレンド酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸等の脂環式カルボン酸無水物;ドデセニル無水コハク酸、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ポリドデカン二酸無水物等の脂肪族カルボン酸の無水物;フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコール無水トリメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の芳香族カルボン酸無水物等が挙げられる。
iv)アミン類
アミン類は、エポキシ基と反応し、付加重合によりエポキシ樹脂の伸長、架橋硬化を進行させることができる。したがって、アミン類は、通常、エポキシ樹脂と同等量含有することになる。
上記アミン類(アミン系硬化剤)としては、芳香族アミンが好ましく、例えば、1,3−ジアミノ−2,4−ジエチルトルエン、ビス(3−エチル−4−アミノフェニル)メタン、フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ビス−(アミノフェニル)プロパン、ジアミノジフェニルスルホン、トルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン及びこれらの誘導体等が挙げられる。
v)フェノール類
フェノール類(フェノール樹脂類を含む)は、フェノールに含まれる水酸基が付加重合して、エポキシ樹脂の伸長、架橋硬化が進行する。
上記フェノール類(フェノール系硬化剤)としては、例えば、ビスフェノールA、テトラブロムビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−ビフェニルフェノール、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリレン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェノール)、トリスヒドロキシフェニルメタン、ピロガロール、ジイソプロピリデン骨格を有するフェノール類;1,1−ジ−4−ヒドロキシフェニルフルオレン等のフルオレン骨格を有するフェノール類;フェノール化ポリブタジエン等のポリフェノール化合物、フェノール、クレゾール類、エチルフェノール類、ブチルフェノール類、オクチルフェノール類、ビスフェノールA、ブロム化ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ナフトール類等の各種フェノールを原料とするノボラック樹脂:キシリレン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有フェノールノボラック樹脂、フルオレン骨格含有フェノールノボラック樹脂等の各種ノボラック樹脂が挙げられる。
エポキシ樹脂用硬化剤としては、上記酸無水物、アミン類又はフェノール類、カチオン重合開始剤の中でも、好ましくは酸無水物であり、より好ましくは、脂環式カルボン酸無水物であり、更に好ましくは、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、へキサヒドロ無水フタル酸であり、更に好ましくは、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、へキサヒドロ無水フタル酸である。
上記硬化剤の含有量としては、用いる硬化剤や硬化性樹脂の種類等によって適宜選択すればよい。
含有量は特に限定しないが、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤の場合、硬化性樹脂100重量部に対し、通常0.01〜10重量部であり、好ましくは0.1〜5重量部である。
酸無水物、アミン類又はフェノール樹脂を用いる場合、(A)成分である硬化性樹脂と当量用いることが好ましい。当該硬化剤の含有量(酸無水物、アミン類及びフェノール樹脂の総量)としては、上記樹脂組成物100質量%に対し、5〜70質量%であることが好適である。より好ましくは15〜50質量%である。
(D)第2の硬化剤:ナノ粒子用硬化剤
本発明の樹脂組成物には、さらに、(B)表面修飾ナノ粒子表面を修飾している反応性官能基(Fb)の反応を開始させるための硬化剤(以下、「ナノ粒子用硬化剤」)を含有してもよい。ナノ粒子用硬化剤を含有することにより、表面修飾ナノ粒子の表面を修飾している反応性官能基(Fb)が硬化反応することができる。これにより、ナノ粒子同士が架橋構造を形成して結着することができるため、硬化物の強度が増大する。
表面修飾ナノ粒子表面の反応性官能基(Fb)が(メタ)アクリロイル基の場合、ラジカル重合開始剤を用いる。
表面修飾ナノ粒子表面の反応性官能基(Fb)がエポキシ基の場合、カチオン重合開始剤、酸無水物、アミン類又はフェノール類を用いる。
ナノ粒子用硬化剤として用いることができるラジカル開始剤、酸無水物、アミン類、カチオン硬化剤、フェノール類、チオール類などは、いずれも樹脂用硬化剤として例示したものを用いることができる。
ナノ粒子用硬化剤は、表面修飾ナノ粒子の表面の反応性官能基(Fb)の種類により選択されるが、ナノ粒子表面の硬化反応が、硬化性樹脂の硬化反応よりも遅れて開始、あるいはゆっくりの反応速度で反応する組合せを選択することが好ましい。
かかる組合せは、例えば、ナノ粒子用硬化剤の開始温度が、樹脂用硬化剤の開始温度よりも高くなる組合せ;加熱により硬化反応が開始する硬化系と光照射により硬化反応が開始する硬化系のように、硬化反応の開始機構が異なる組合せ;所定温度での反応速度が異なる組合せなどが挙げられる。
ここで、硬化剤の開始温度とは、ラジカル重合開始剤及びカチオン重合開始剤の場合には、ラジカル種またはカチオン活性種を発生させることができる温度をいい、酸無水物、アミン類の場合、反応温度をいう。
例えば、樹脂用硬化剤がラジカル重合開始剤で、ナノ粒子用開始剤がカチオン重合開始剤の場合、ラジカルを発生させることができる温度がカチオン活性種を発生させることができる温度よりも低くなる組合せを選択する。
また、樹脂用硬化剤が酸無水物又はアミン類で、ナノ粒子用開始剤がラジカル重合開始剤の場合、ラジカル種の発生が遅い温度で、酸無水物又はアミン類と硬化性樹脂が反応できる温度となる組み合わせを選択する。
(E)反応性官能基(Fe)含有化合物
本発明の光学用硬化性樹脂組成物は、さらに、前記反応性官能基(Fb)と同種の反応性官能基(Fe1)を含有する化合物(Fe1含有化合物)を含有してもよい。
したがって、反応性官能基Fe1としては、反応性官能基Fbで列挙されたような反応性官能基、すなわち(メタ)アクリロイルオキシ基、エポキシ基、アミノ基、ビニル基、チオール基、酸無水物基、フェノール基などのうち、表面修飾ナノ粒子(B)に含まれる反応性官能基(Fb)の種類に応じて決定される。
例えば、表面修飾ナノ粒子表面の反応性官能基(Fb)が(メタ)アクリロイル基の場合、(メタ)アクリロイル化合物を含有させることが好ましい。
Fe1含有化合物中に、反応性官能基Fe1は、少なくとも1つ有していればよい。従って、(E)成分となる(メタ)アクリレート化合物としては、
イソアミル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の脂肪族、脂環族、芳香族化合物のモノ(メタ)アクリレートの他、硬化性(メタ)アクリル系樹脂で例示したような2官能以上の(メタ)アクリレートを用いることができる。
Fe1含有化合物(E)を含有する場合、表面修飾ナノ粒子表面の反応性官能基(Fb)と化合物(E)中の反応性官能基(Fe1)とが反応することができ、ナノ粒子間に化合物(E)が介在した硬化物が得られる。したがって、(E)成分の添加は、ナノ粒子間間隔を広げたい場合等に効果的である。
Fe1含有化合物(E)は、Fe1以外の反応性官能基(Fe2)をさらに有していてもよい。反応性官能基(Fe2)としては、反応性官能基(Fb)として用いられるような官能基、すなわち(メタ)アクリロイルオキシ基、エポキシ基、アミノ基、ビニル基、チオール基、酸無水物基、フェノール基を用いることができる。これらのうち、併用する硬化性樹脂の反応性官能基(Fa)と反応するものが好ましい。
例えば、硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を使用し、反応性官能基(Fe1)として(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸などが好ましく用いられる。
(E)成分として、反応性官能基Fe1及びFe2を有する化合物(Fe1・Fe2含有化合物)を用いた場合、当該Fe1・Fe2含有化合物の反応性官能基Fe1と表面修飾ナノ粒子の表面の反応性官能基(Fb)とが反応し、反応性官能基(Fe2)が硬化性樹脂の反応性官能基(Fa)と反応することになるため、硬化性樹脂と表面修飾ナノ粒子との間に架橋結合が形成されることになる。この場合であっても、本発明の硬化性樹脂組成物では、ナノ粒子がマトリックスである硬化性樹脂中に微分散された状態で硬化性樹脂の硬化が先行することにより、ナノ粒子の微分散状態を固定安定化することができる。従って、硬化性樹脂の硬化反応に続いて、表面修飾ナノ粒子同士の結合形成、結着が起こっても、透明性を損なうような凝集は防止される。一方、硬化性樹脂とナノ粒子の結合強化により、硬化物の強度アップを図ることができる。
なお、硬化性樹脂(A)として硬化性(メタ)アクリル系樹脂を用いる場合、(E)成分として挙げた(メタ)アクリレート化合物は、硬化性(メタ)アクリル系樹脂の構成成分と共通する。しかしながら、本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂の反応性官能基(Fa)と表面修飾ナノ粒子の反応性官能基(Fb)とは、異なる反応機構で硬化する組み合わせを選択することから、(E)成分として含有される(メタ)アクリレート系化合物は、表面修飾ナノ粒子の反応性官能基(Fb)が(メタ)アクリロイル基の場合に限られる。
(F)その他
上記成分の他、以下の成分を含有してもよい。
(1)光増感剤
第1の硬化剤又は第2の硬化剤として光潜在性カチオン硬化触媒を用いる場合、光増感剤を併用することが好ましい。光増感剤としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル等のアミン類等を用いることができる。
(2)硬化促進剤
第1の硬化剤又は第2の硬化剤として酸無水物、アミン類又はフェノール樹脂類を用いる場合、硬化促進剤を併用することが好ましい。
硬化促進剤としては、3級アミン類、ジアザビシクロアルケン類、イミダゾール類、有機リン系化合物類、およびそれらの有機酸塩、4級アンモニウム塩類、4級ホスホニウム塩類、有機金属化合物類、ホウ素化合物類、金属ハロゲン化物類が挙げられる。
3級アミン類としては、例えば、ベンジルジメチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
ジアザビシクロアルケン類としては、例えば、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等が挙げられる。
イミダゾール類としては、例えば、1H−イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール等が挙げられる。
有機リン系化合物類としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ(p−メトキシ)フェニルホスフィン、亜リン酸トリフェニル等が挙げられる。
4級アンモニウム塩類としては、例えば、テトラオクチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
4級ホスホニウム塩類としては、テトラフェニルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムラウリレート、テトラブチルホスホニウムアセテート、メチルトリブチルホスホニウムジメチルホスフェート、テトラブチルホスホニウムベンゾトリアゾレート、テトラブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウム o,o−ジエチルホスホロジチロエート等が挙げられる。
有機金属化合物類としては、オクチル酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、オクチル酸錫、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)等が挙げられる。
ホウ素化合物類としては、三フッ化ホウ素、トリフェニルボラン等が挙げられる。金属ハロゲン化物としては、塩化亜鉛、塩化スズ等が挙げられる。
中でも、硬化物の耐熱性、透明性の点で、イミダゾール類、有機リン系化合物類、4級ホスホニウム塩類が好ましい。
上記硬化促進剤は、1種又は2種以上を併せて用いることができる。硬化促進剤の使用量は、上記光学材料用樹脂組成物の総量100質量%に対し、0.01〜10質量%とすることが好ましく、より好ましくは0.03〜5質量%である。
(3)離型剤
本発明の樹脂組成物は、無溶剤タイプの樹脂組成物を提供することが可能であることから、塗工材料としてだけでなく、金型成形の成形材料として用いることができる。したがって、成形材料として用いる場合、成形後の離型を容易にするために、離型剤を含有させることが好ましい。
離型剤としては、通常の離型剤を好適に用いることができるが、好ましくはアルコール、カルボン酸、カルボン酸エステル及びカルボン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましい。また、これらの化合物の炭素数(炭素原子数)が8〜36であることが好適である。
硬化剤としてカチオン重合開始剤を用いる場合、離型剤として、アルコール、カルボン酸及びカルボン酸エステルを用いることが好ましく、より好ましくは、カルボン酸(特に高級脂肪酸)及びカルボン酸エステルである。硬化反応を阻害することなく、離型効果を充分に発揮できる。
(4)その他
本発明の光学用硬化性樹脂組成物は、上述した必須成分や好適成分の他に、反応性希釈剤、不飽和結合を有さない飽和化合物、顔料、染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、非反応性化合物、連鎖移動剤、熱重合開始剤、嫌気重合開始剤、重合禁止剤、無機充填剤や有機充填剤、カップリング剤等の密着向上剤、熱安定剤、防菌・防カビ剤、難燃剤、艶消し剤、消泡剤、レベリング剤、湿潤・分散剤、沈降防止剤、増粘剤・タレ防止剤、色分かれ防止剤、乳化剤、スリップ・スリキズ防止剤、皮張り防止剤、乾燥剤、防汚剤、帯電防止剤、導電剤(静電助剤)等を含有してもよい。
〔樹脂組成物の調製〕
以上の組成を有する樹脂組成物の調製方法は特に限定しない。各成分の混合順序も限定しない。
表面修飾ナノ粒子は、単独の粉末状で配合してもよいし、適宜分散媒に分散させた分散液として配合してもよいし、硬化性樹脂、(E)成分を配合する場合は(E)成分と適宜割合で混合したマスターバッチとした後、硬化性樹脂、その他の成分が所定比率となるように希釈混合してもよい。
本発明の樹脂組成物は、溶剤に溶解した液状樹脂組成物であってもよいが、溶剤を留去した無溶剤タイプの樹脂組成物であってもよい。溶剤の留去は、減圧蒸留等により行うことができる。溶剤タイプ、無溶剤タイプのいずれであっても、表面修飾ナノ粒子は、表面がマトリックス樹脂である(A)硬化性樹脂と親和性を有しているので、樹脂組成物において、ナノ粒子の状態で安定的に微分散できる状態にある。
〔硬化方法及び硬化物〕
本発明の光学用硬化性樹脂組成物の硬化反応は、加熱や活性エネルギー線の照射等により開始させることができる。
無溶剤タイプの樹脂組成物とすることにより、基材表面への塗工だけでなく、金型を用いて成形することができる。プレス成形、注型成形、サンドイッチ成形等に供することができる。これらの成型方法を適用することにより、厚み100μm以上の成形体を得ることができる。
金型成形の場合、金型に樹脂組成物を注入後、加熱またはエネルギー線照射して金型内で硬化;あるいは所定温度に加熱した金型に樹脂組成物を注入し、硬化反応を開始させてもよい。
ここで、硬化開始は、硬化性樹脂の硬化反応が先行するように条件を設定する。例えば、(i)ナノ粒子用硬化剤を含有しない場合、硬化性樹脂の硬化反応が開始する温度に設定する;(ii)樹脂用硬化剤とナノ粒子用硬化剤を含有する場合において、樹脂用硬化剤の開始温度に加熱する;(iii)硬化性樹脂の反応性官能基の反応温度とナノ粒子表面の反応性官能基の反応温度が異なる場合に、高い反応温度に対応する温度にまで加熱した反応系内に、硬化性樹脂とナノ粒子を添加し、反応温度が低い成分(樹脂)の硬化反応が、反応温度の高い成分(ナノ粒子)の硬化反応よりも早く進むようにする;(iv)樹脂用硬化剤が光照射により反応を開始する開始剤で、ナノ粒子用硬化剤が加熱により反応開始する開始剤である組合せにおいて、常温で光照射した後、ナノ粒子用硬化剤が反応を開始できる温度に加熱する等が挙げられる。
以上のような反応条件の設定により、まず硬化性樹脂の反応を開始させることができるので、樹脂のネットワーク構造が形成される。本発明の光学用硬化性樹脂組成物は、表面修飾ナノ粒子が、硬化性樹脂中に均一に分散した状態となっている。かかる状態で、硬化性樹脂が硬化して、ネットワークを形成するため、表面修飾ナノ粒子は、樹脂の網状構造にとりこまれた状態となることができると考えられる。
そして、ナノ粒子用硬化剤を含有する場合、硬化性樹脂の硬化反応に遅れて、あるいは硬化性樹脂の硬化反応の終了後に、ナノ粒子表面の反応性官能基の反応が開始される。
このように硬化反応が進むことで、表面修飾ナノ粒子が凝集、結着して、粗大粒子となることを防止できると考えられる。ナノ粒子の硬化反応は、硬化性樹脂の硬化がある程度、進行した状態、あるいは硬化性樹脂の硬化反応終了後に開始するので、ナノ粒子はマトリックス樹脂のネットワーク構造により硬化反応により結着できるナノ粒子が限定的となり、その結果、粗大粒子となることを防止できると考えられる。
このようにして得られた硬化物は、高屈折率化のために含有するナノ粒子の凝集粗大化が抑制されているので、硬化性樹脂本来の透明性が損なわれずに済む。しかも、第2の硬化剤を含有する場合、表面修飾ナノ粒子が表面の反応性官能基により、ファンデルワールス力による単なる凝集だけでなく、化学結合により粒子同士が結着できるので、硬化物の強度増大に寄与できる。
さらに、表面修飾ナノ粒子の反応性官能基(Fb)と反応し得る官能基だけでなく、硬化性樹脂の反応性官能基(Fa)とも反応し得る官能基を有する2官能性の化合物を用いた場合、ナノ粒子同士の結着に伴い、マトリックス樹脂との結合も形成される。これにより、さらにナノ粒子が硬化物中で安定した状態となることから、硬化物の強度増大を図ることが可能となる。
尚、上記熱硬化は、空気中及び/又は窒素等の不活性ガス雰囲気の常圧下、減圧下、加圧下のいずれの雰囲気下でも行うことができる。また、硬化温度を段階的に変化させてもよい。例えば、生産性向上等の観点から、樹脂組成物を型内で所定の温度・時間で保持した後、型から取り出して空気中及び/又は窒素等の不活性ガス雰囲気内に静置して熱処理(ポストベーク)してもよい。これにより、寸法精度により優れた成形品を得ることができる。
活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、可視光線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線、マイクロ波、高周波、赤外線、レーザー光線等を用いることができ、活性種を発生させる化合物の吸収波長を考慮して適宜選択すればよい。
上記波長180〜500nmの紫外線又は可視光線の光発生源としては、例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、水銀−キセノンランプ、エキシマーランプ、ショートアーク灯、ヘリウム・カドミニウムレーザー、アルゴンレーザー、エキシマーレーザー、太陽光等が好適である。また、これらの光源とともに、赤外線、遠赤外線、熱風、高周波加熱等を用いて熱エネルギーを加えてもよい。
上記活性エネルギー線照射の照射時間、すなわち活性エネルギー線による硬化での硬化時間は、活性エネルギー線の種類や照射量等によって適宜設定すればよい。
加熱による硬化と、活性エネルギー線照射による硬化とを組み合わせてもよい。
このようにして得られた硬化物は、ナノ粒子が凝集して粗大粒子となることがなく、マトリックス樹脂中に微分散して存在できることから、表面修飾ナノ粒子の含有量が増大しても、優れた透明性を保持することができる。ナノ粒子同士を、透明性を損なうことなく、結着させることができるので、ナノ粒子の含有量を増大させて、硬化物の強度アップを図ることが可能となる。したがって、本発明の光学用硬化性樹脂組成物は、特に表面修飾ナノ粒子の含有量増大及び/又は表面修飾ナノ粒子用の硬化剤の配合により、従来困難であった厚み100μm以上の硬化物を得ることができる。
また、本発明の樹脂組成物は、屈折率1.55以上、好ましくは1.57以上で、アッベ数35以上、好ましくは37以上、より好ましくは41以上の硬化物を提供できる。
〔用途〕
本発明の樹脂組成物は、上述のように優れた透明性・光学特性を発揮できる硬化物、具体的には、屈折率1.55以上(好ましくは1.57以上)で且つアッベ数35以上(好ましくは37以上)である光学用成形品を提供できるため、光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途等の種々の用途に好適に用いることができる。具体的には、眼鏡レンズ、(デジタル)カメラや携帯電話や車裁カメラのカメラ用撮像レンズ、フィルター、回折格子、プリズム、光案内子、光ビーム集光レンズや光拡散用レンズ、ウォッチガラス、表示装置用のカバーガラス等の透明ガラスやカバーガラス等の光学用途;フォトセンサー、フォトスイッチ、LED、発光素子、光導波管、合波器、分波器、断路器、光分割器、光ファイバー接着剤等のオプトデバイス用途;LCDや有機ELやPDP等の表示素子用基板、カラーフィルター用基板、タッチパネル用基板、ディスプレイ保護膜、ディスプレイバックライト、導光板、反射防止フィルム、防曇フィルム等の表示デバイス用途等が好適である。
特に本発明の樹脂組成物は、厚み100μm以上の成形体を製造することもできるので、光学レンズのように、ある程度の厚み、強度を要する成形体材料として用いることができる。本発明の樹脂組成物の硬化物は、高屈折率、高アッベ数であることから、色ずれのない高性能の眼鏡レンズとして使用できる。
また、耐熱性に優れていることから、半田付け等の製造、使用において、高温に曝される光学機器の材料として用いることもできる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味するものとする。
〔測定・評価方法〕
(1)金属酸化物粒子の結晶状態の同定
金属酸化物の結晶状態の同定は、XRD(スペクトリス株式会社、全自動多目的X線開設装置XPertPro)を用いて行った。
(2)金属酸化物粒子の粒子径
FE−SEM(日立超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡S−4800)を用いて測定した。
(3)屈折率およびアッベ数
屈折率計(アタゴ社製、DR−M2)を用いて、25℃にて、486nm、589nmおよび656nmでの屈折率を求め、これらの屈折率からアッベ数を求めた。
(4)強度(g)
幅3mmにカットした試料を、支点間距離10mmの曲げ試験用治具にセットし、動的粘弾性測定装置(RSA−III、ティー・エイ・インスツルメント社製)を用いて0.05mm/sの速度で中心部を押し下げ、割れた時点の荷重(単位:g)を測定した。
(5)光線透過率(%)
UV−VIS分光光度計(Agilent 8453、アジレント・テクノロジー社製)を用いて、400nmおよび700nmにおける平行線透過率を測定した。
〔表面修飾ジルコニアナノ粒子の調製〕
(1)酸化ジルコニウムナノ粒子の合成
40℃の純水700gに水酸化ナトリウム(キシダ化学株式会社、特級)を撹拌下、添加して溶解させた。次いで、ネオデカン酸(ジャパンエポキシレジン株式会社)495gを撹拌下、添加し、ネオデカン酸ナトリウム水溶液を調製した。該溶液を80℃に加熱し、740gのジルコゾールZC−20(第一希元素化学工業株式会社製のZrOCl)を撹拌下、20分かけて投入し、80℃で1時間半撹拌を続けたところ、白色で高粘度なネオデカン酸ジルコニウムが生成した。
次にテトラデカン1270gを添加して撹拌すると、油相と水相の2相からなる溶液が得られた。この油相は、ネオデカン酸ジルコニウム及びテトラデカンを含有する。水相を分離除去して油相部分を回収し、純水で3回洗浄した。洗浄後の油相1000g、ステアリン酸15g、純水500gを攪拌機付きオートクレーブ内に仕込み、反応容器中の雰囲気を窒素ガスにより置換した。その後、175℃まで加熱し、3時間反応させ、酸化ジルコニウムナノ粒子含有溶液を得た。反応中の容器内圧力は、0.9MPaであった。
得られた酸化ジルコニウムナノ粒子含有溶液にメタノールを加えることにより白色沈澱物が得られた。該沈殿物を濾過にて回収し、アセトンで洗浄後、乾燥した。得られた酸化ジルコニウムの白色粉末の結晶構造をXRDにて確認したところ、正方晶及び単斜晶系結晶構造に帰属される回折線が検出された。回折線の強度から、結晶構造は、主として正方晶から成り、わずかに単斜晶を含むものであることが確認された。また、該粒子の粒子径をFE−SEMで測定したところ、平均粒子径は5nmであった。さらに、赤外吸収スペクトル(FT−IR)により分析したところ、C−H由来の吸収およびCOOH由来の吸収が認められた。当該吸収は、酸化ジルコニウムナノ粒子を被覆しているネオデカン酸に由来するものと考えられる。
TG−DTA(熱重量−示差熱分析)により、空気雰囲気下、10℃/分の速度で800℃まで昇温し、酸化ジルコニウムナノ粒子の質量減少率を測定したところ、20質量%の減少率となった。
(2)表面メタクリロイル化(メタクリロイル修飾)
(1)で得られたネオデカン酸で被覆された酸化ジルコニウムナノ粒子10gを、トルエン90gに分散させた。この酸化ジルコニウムナノ粒子分解液に、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社のシランカップリング剤「KBM−503」)1.5g添加後、80℃で1時間還流し、減圧雰囲気下にて分散媒を除去した。このようにして、酸化ジルコニウムナノ粒子表面とシランカップリング剤とを反応させ、酸化ジルコニウム粒子をメタクリロイル修飾した。このメタクリロイル修飾酸化ジルコニウム粒子をFT−IRで分析したところ、表面処理前に認められたC−H結合(2800〜3000cm-1)とあわせて、シランカップリング剤由来のSi−O−C(1000〜1130cm-1)が確認できた。したがって、酸化ジルコニウム粒子の表面が、シランカップリング剤由来のメタクリロキシプロピル基で修飾されていることがわかる。
このように得られた表面がメタクリロイル修飾された酸化ジルコニウムナノ粒子5gを、メチルイソブチルケトン50gに混合し撹拌したところ、透明な分散液が得られた。
〔硬化性樹脂〕
以下の硬化性樹脂を用いた。
(1)エポキシ樹脂1(Ep1):脂環式エポキシ樹脂
ダイセル社の「セロキサイド2021P」を用いた。酸性物質と高い反応性を示す2官能の脂環式エポキシ樹脂である。
(2)エポキシ樹脂2(Ep2):ビスフェノールA型エポキシ樹脂
三菱化学社製の「828EL」を用いた。2官能のビスフェノールA型エポキシ樹脂である。
(3)エポキシ樹脂3(Ep3):多官能脂環式エポキシ樹脂
ダイセル社の「EHPE3150」で、多官能脂環式エポキシ樹脂である。酸無水物、フェノール、アミン、カチオン触媒など各種硬化剤により硬化させることができる。
(4)エポキシ樹脂4(Ep4):水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂
三菱化学社の「YX−8000」を用いた。ビスフェノールA骨格が水素添加により飽和化されている。
(5)エポキシ樹脂5(Ep5):芳香族エポキシ樹脂
大阪ガスケミカル社の「オグゾールPG−100」を用いた。芳香族骨格を有する2官能のエポキシ樹脂である。
(6)エポキシ樹脂6(Ep6):ビスフェノールA型エポキシ樹脂
三菱化学社の「1007」を用いた。高分子量固形タイプのビスフェノールA型エポキシ樹脂である。
〔(メタ)アクリレート系化合物〕
2官能アクリレート化合物として、共栄化学社のエポキシエステル「3000A」(ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物)、2官能メタクリレート化合物として、共栄化学社のライトエステル「BP−2EMK」(ビスフェノールAのエチレンオイサイド付加物ジメタクリレート)を用いた。
また、反応性官能基(Fe2)としてエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物として、グリシジルメタクリレート(日油社)を用いた。
〔硬化剤〕
(1)酸無水物
新日本理化社製の液状脂環式酸無水物「リカシッドMH−700G」(4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸=70/30)
エポキシ基と無水フタル酸との反応は、硬化促進剤の有無や種類等にもよるが、およそ50〜70℃程度から緩やかに起こり始め、熱分析(DSC)による反応発熱ピーク温度は約100〜160℃である。
(2)カチオン重合開始剤
三新化学工業社のカチオン重合開始剤「SI−80L」(カチオン発生温度:110℃)を用いた。
(3)有機過酸化物系ラジカル開始剤
日油株式会社の「パーヘキシルD(商品名)」(ジ−t−ヘキシルパーオキサイド(熱分析による発熱開始温度146℃))又は「パーロイルL(商品名)」(ジラウロイルパーオキサイド(熱分析(DSC)による発熱開始温度102℃)を用いた。
〔硬化促進剤〕
四国化成社製の2E4MZ(2−エチル―4−メチルイミダゾール)又は1B2PZ(1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール)を用いた
〔樹脂組成物No.1,2,7,8の調製〕
硬化性樹脂として、表1に示すように、Ep1〜Ep5を、所定割合で組み合わせたエポキシ樹脂を用いた。
セパラブルフラスコに、上記で調製したメタクリロイル化ジルコニアナノ粒子分散液(分散媒:メチルイソブチルケトン、固形分70%)142.9部(固形分換算100部)、及びエポキシ樹脂用硬化剤として酸無水物50.2部を仕込み、内温50℃で撹拌しながら溶剤を減圧留去した。表1に示す割合にてEp1,Ep2,Ep3,Ep4,Ep5を混合したエポキシ樹脂混合物を、上記減圧留去したセパラブルフラスコに添加した。室温に冷却後、表1に示す硬化促進剤1部を加えて混合し、エポキシ樹脂組成物を調製した。
〔樹脂組成物No.3−6,9,10,13の調製〕
表1に示す(メタ)アクリレート系化合物を、エポキシ樹脂を混合する時点で添加し、エポキシ樹脂、メタクリロイル化ジルコニアナノ粒子、硬化剤、硬化促進剤を表1に示す組成にしたがい、No.1と同様にして調製した。
〔樹脂組成物No.11の調製〕
硬化性樹脂として、表1に示す割合にてEp1,Ep2及びEp6を混合したエポキシ樹脂混合物を使用し、エポキシ樹脂用硬化剤として、酸無水物に代えてカチオン重合開始剤1部を使用し、表面修飾ナノ粒子、硬化促進剤を含有しなかった以外は、No.1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を得た。
〔樹脂組成物No.12の調製〕
セパラブルフラスコに、上記で調製したメタクリロイル化ジルコニアナノ粒子分散液(分散媒:メチルイソブチルケトン、固形分70%)142.9部(固形分換算100部)、及び表1に示す割合で(メタ)アクリレート化合物を仕込み、内温50℃で撹拌しながら溶剤を減圧留去した。室温に冷却後、硬化剤としてパーヘキシルDを0.3部加えて混合して、硬化性(メタ)アクリル系樹脂組成物を調製した。
〔評価用硬化物の作製〕
上記で調製した樹脂組成物を、1mmのスペーサーを挟んだ2枚のガラス板間に注入し、150℃のオーブンで15分硬化し、厚さ1mmの板状の硬化物を得た。これをさらに窒素下で150℃1時間ポストベークし、評価用硬化物として用いた。
作製した評価用硬化物について、上記測定方法に基づき、屈折率、アッベ数、強度、光線透過率を測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 0006726452
No.11は、表面修飾ナノ粒子を含有しない場合である。カチオン重合開始剤を樹脂用硬化剤として採用し、芳香族骨格の割合を高くすることで、高屈折率化を図った場合である。屈折率は1.59以上であり、金属酸化物ナノ粒子を配合した場合に匹敵できる高屈折率を達成することができた。しかしながら、アッベ数が35以下にまで低下し、高屈折率、高アッベ数が求められる光学分野の用途には不十分であった。
No.12は、硬化性樹脂として硬化性(メタ)アクリル系樹脂を用いた場合で、硬化性樹脂の反応性官能基(Fa)とメタクリロイル化ジルコニア粒子表面の反応性官能基(Fb)とが、共通の硬化反応機構となる場合である。得られた硬化物の透明性は、他の組成物と比べて劣っていた。硬化反応過程で、メタクリロイル化ジルコニア粒子同士の結着凝集が起こりやすく、硬化物中に、ジルコニア粒子の粗大粒子が形成され、透明性が低下したためと思われる。
No.1〜9は、メタクリロイル化ジルコニア粒子とエポキシ樹脂との組合せで、且つエポキシ樹脂の硬化反応が先行して起こるように第1の硬化剤を選択した場合である。アッベ数35以上、好ましくは37以上、より好ましくは41以上、特に好ましくは43.0以上を保持しつつ、屈折率1.55以上、好ましくは1.57以上、より好ましくは1.59以上という高屈折率化を図ることができ、しかも透明性も優れていた。
No.2−7,9は、エポキシ樹脂と酸無水物との反応より遅れて反応が開始するラジカル重合開始剤を用いた場合である。No.1とNo.2との比較から、透明性については同程度であるのに対して、強度がNo.2では大幅に増大していた。これは、表面修飾ナノ粒子同士がメタクリロイル基のラジカル重合により強固に結着できたためと考えられる。
No.10は、開始温度が102℃と低いラジカル重合開始剤を使用した場合である。メタクリロイル化ナノ粒子の硬化反応が、エポキシ樹脂の硬化反応よりも先行した場合で、硬化物の光線透過率が、No.1〜9と比べて劣っていた。メタクリロイル化ジルコニア粒子の凝集を抑制できず、粗大粒子が形成されたためと考えられる。
No.3−6,9は、(E)成分となる(メタ)アクリレート化合物をさらに含有する場合である。透明性については、(メタ)アクリレート化合物を配合しない場合と同程度であった(例えば、No.2とNo.3の比較)。しかしながら、アッベ数、屈折率が高くなる傾向にあった。芳香環量が増加したためと、架橋度の上昇で密度が変化したことによるものと考えられる。
No.13は、(E)成分として、硬化性樹脂と反応できる反応性官能基(Fe2)を有し、且つメタクリロイル化ジルコニア粒子と共通の反応性官能基(Fe1)を有する化合物(グリシジルメタクリレート)を用いた場合である。No.5との比較から、強度が大幅に増大していた。硬化性樹脂が先行して硬化できる系で、且つ表面修飾ジルコニア粒子と硬化性樹脂が架橋結合を形成することで、さらなる強度アップを図れることがわかる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、高屈折率で透明性に優れ、且つ高強度で、厚み100μm以上の硬化物を得ることができるので、レンズ等の光学成形材料として好適である。

Claims (9)

  1. (A)反応性官能基(Fa)を有し、当該反応性官能基(Fa)が反応して硬化する硬化性樹脂であって、脂肪族ジ(メタ)アクリレート樹脂、脂環ジ(メタ)アクリレート樹脂、脂環式エポキシ樹脂、及び水添型芳香族エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む硬化性樹脂;
    (B)前記硬化性樹脂(A)の硬化物よりも高い屈折率を有する金属酸化物ナノ粒子であって、表面が前記反応性官能基(Fa)反応と異なる反応機構の反応性官能基(Fb)で修飾されている表面修飾ナノ粒子
    (C)前記硬化性樹脂(A)の反応を開始させる第1の硬化剤;及び
    (D)前記反応性官能基(Fb)の反応を開始させる第2の硬化剤
    を含有する光学用硬化性樹脂組成物であって、
    前記第2の硬化剤(D)は、反応開始温度が前記第1の硬化剤(C)の反応開始温度よりも高く、第1の硬化剤(C)による硬化性樹脂(A)の反応よりも遅れて反応を開始させる化合物又は第1の硬化剤(C)による硬化性樹脂(A)の反応よりも反応速度が遅い反応触媒である光学用硬化性樹脂組成物
  2. 前記金属酸化物は、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タンタル、酸化インジウム、酸化ハフニウム、酸化スズ、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化タングステン、酸化ニオブ及びこれらの複合体からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の光学用硬化性樹脂組成物。
  3. 前記硬化性樹脂は、脂環式エポキシ樹脂及び水添型芳香族エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の光学用硬化性樹脂組成物。
  4. 前記反応性官能基(Fb)は、アクリロイル基又はメタクリロイル基である請求項に記載の光学用硬化性樹脂組成物。
  5. さらに、(E)硬化反応の条件下で、前記反応性官能基(Fb)と同じ反応機構で反応することができる反応性官能基(Fe1)を有する化合物を含有する請求項1〜のいずれか1項に記載の光学用硬化性樹脂組成物。
  6. 前記反応性官能基(Fe1)含有化合物(E)は、前記反応性官能基(Fe1)以外の反応性官能基(Fe2)を有している請求項に記載の光学用硬化性樹脂組成物。
  7. 前記硬化性樹脂(A)と前記表面修飾ナノ粒子(B)との含有量比(A:B)は、5:1〜1:5である請求項1〜のいずれかに記載の光学用硬化性樹脂組成物。
  8. 請求項に記載の光学用硬化性樹脂組成物の硬化方法であって、
    前記反応性官能基(Fa)と前記第1の硬化剤(C)との反応が、前記反応性官能基(Fb)と前記第2の硬化剤(D)の反応よりも早期に開始される条件で硬化する硬化方法。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載の光学用硬化性樹脂組成物の硬化物であって、屈折率が1.55以上で且つアッベ数が37以上である光学用成形品。
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