JP5632122B2 - 複合粒子、樹脂組成物、及び、その硬化物 - Google Patents
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Description
以下に本発明を詳述する。
上記複合粒子が分散される媒体は、樹脂成分であることが好ましく、これにより、優れた光学特性、機械強度特性、耐熱性等に優れた樹脂組成物を得ることができるが、該複合粒子の分散性を向上させる効果を得ることができるものであれば特に限定されるものではない。例えば、有機溶媒等へ分散させる場合にも、分散性が向上したものとすることができ、本発明の複合粒子を好適に用いることができる。
本願の複合粒子において、表面に有する「炭素数が7個以上の共役系芳香族骨格」の含有量は特に限定されないが、複合粒子中の灰分を100質量%として、炭素数が7個以上の共役系芳香族骨格が、2質量%以上であることが該有機骨格を有することによる効果(分散性向上効果)に優れる点で好ましい。また、30質量%以下であることが好ましい。30質量%を超えても分散性向上効果がさらに高まり難く、無機系微粒子から洗浄により離脱するものの割合が高まるおそれがある。「炭素数が7個以上の共役系芳香族骨格」の含有量としては、上述した理由から、さらに好ましくは、3〜20質量%の範囲であり、特に好ましくは、5〜15質量%の範囲である。なお、「灰分」とは、複合粒子を空気雰囲気下で昇温した後に無機系微粒子表面に残留する有機物量のことである。より具体的には、TG−DTA(熱重量−示差熱分析)により、空気雰囲気下、昇温速度10℃/分にて、25℃より800℃まで昇温した時に無機系微粒子表面に残留する有機物量のことである。
有機溶媒で洗浄しても離脱しない形態である、炭素数が7個以上の共役系芳香族骨格の含有量は、上述した範囲と同様である。表面に有する炭素数が7個以上の共役系芳香族骨格の内、洗浄しても離脱しない表面に有する炭素数が7個以上の共役系芳香族骨格の割合が高いほど好ましい。
上記複合粒子は、単一の無機系微粒子からなることが好ましい。すなわち、凝集等により複数の1次粒子が集合した状態ではないことが好ましい。例えば、透過型電子顕微鏡で上記複合粒子を観察したときには、無機系微粒子からなる像が観察されるが、該無機系微粒子が凝集せずに分散していることが好ましく、複合粒子の粒子径は、該無機系微粒子からなる像の大きさで定義され、該粒子径の数平均粒子径が、好ましくは、1μm以下であり、より好ましくは、100nm以下であり、更に好ましくは、20nm以下であり、特に好ましくは、15nm以下である。
上記複合粒子は、屈折率が1.6以上であることが好ましい。複合粒子の屈折率が1.6以上とすることにより、該複合粒子を含む樹脂組成物及びその硬化物の屈折率をより向上させることができる。複合粒子の屈折率としては、1.8以上がより好ましく、2.0以上が更に好ましい。また、屈折率が高い複合粒子を用いることにより、該複合粒子の樹脂組成物中での含有量を低減することができるため、更に透明性を向上させることもできる。
上記無機系微粒子の形状は、球状に限られず、例えば、楕円球状、立方体状、直方体状、ピラミッド状、針状、柱状、棒状、筒状、りん片状、板状(例えば、六角板状)等の薄片状、紐状等が好適である。
上記無機系微粒子は、屈折率が1.6以上であることが好ましい。無機系微粒子の屈折率が1.6以上であることにより、該無機系微粒子を含む樹脂組成物及びその硬化物の屈折率をより向上させることができる。無機系微粒子の屈折率としては、1.8以上がより好ましく、2.0以上が更に好ましい。また、無機系微粒子の樹脂組成物中での含有量を低減することができるため、更に透明性を向上させることもできる。
上記金属酸化物微粒子は、チタン、ジルコニウム、亜鉛、ランタン、イットリウム、インジウム、錫及びニオブからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素を含むことが好ましい。これらの金属元素を含む金属酸化物微粒子であることによって、より高い屈折率を有するものとすることができる。そのため、上記共役系芳香族骨格を無機系微粒子表面に有する複合粒子を含んでなる樹脂組成物を、より高屈折率のものとすることができる。例えば、高屈折率を要求される機器に用いられる、カメラ用のレンズ、反射防止フィルム、有機EL(エレクトロルミネッセンス)に使用される光取り出し層等の光学部材として使用される場合に特に好ましい。このような金属酸化物微粒子は、単一酸化物(一種の金属元素と酸素とからなる酸化物)であってもよいし、固溶体の形態であってもよいし、複合酸化物の形態であってもよい。上記複合酸化物の形態としては、二種以上の金属元素と酸素とを含む酸化物微粒子の形態である。より好ましくは、一種の金属元素と酸素とを含む金属酸化物微粒子である。上記金属元素としては、高屈折率化の観点から、ジルコニウム、チタン、亜鉛及び/又はニオブを金属元素として含むものであることがより好ましい。本発明では、無機系微粒子表面に共役系芳香族骨格を有することで樹脂組成物等への分散性を向上させることができるが、このような本発明の効果は、無機系微粒子の表面に導入された共役系芳香族骨格に起因するものと考えられ、表面に共役系芳香族骨格を有する無機系微粒子の一種(例えば、酸化ジルコニウム微粒子)で本発明の効果を得ることができていれば、他の金属元素においても本発明の効果を得ることができることは明白である。すなわち、表面に共役系芳香族骨格を有することができる金属元素であれば本発明の効果を得ることができるものとなる。なお、金属酸化物の一つである酸化ジルコニウムは、晶系によって屈折率が変化するが、2.0〜2.3程度の高屈折率のものである点で好ましい。また、高屈折率であるだけではなく、光の透過範囲が広い点や、化学的安定性に優れる点、更に光触媒活性を有しない点でも好ましい金属酸化物である。すなわち、金属酸化物微粒子としては、酸化ジルコニウム微粒子であることがより好ましい形態の一つである。
上記共役系芳香族骨格としては、上述した骨格や環構造を有するものであればいずれも好適に用いることができる。また、上記化学式(1−8)で表されるように、フルオレン骨格にビスフェノールが結合した構造(25個の炭素原子によって構成された共役構造)等がより好ましい形態として挙げられる。
例えば、下記式(a)で表されるフルオレン構造は太線部でも6員環同士が結ばれている。その結果、芳香環に挟まれた真ん中の5員環も共鳴構造になっているので、点線の丸印で囲んだ炭素も共役構造の一部となり、一つの共役構造を構成する炭素数は13個となる。更に、下記式(b)で表される構造のように、フルオレン構造とベンゼン環が直接結合すると、共役構造が更に拡張することになり、一つの共役構造を構成する炭素数は25個となる。
それに対し、下記式(c)で表されるビスフェノールAのような構造を有する化合物である場合には、フルオレン構造のように中心の炭素が芳香環に結合してはいるが、中心の炭素自身は環構造の一部ではなく共役構造をとっていないので、この場合の一つの共役構造を構成する炭素数は6個となる。
なお、ここでは結合の形態について述べたが、上述したように、共役系芳香族骨格は、無機系微粒子の表面に付着している形態であってもよく、化学結合しているものに限られるものではない。
すなわち、本発明は、無機系微粒子が表面処理されてなる複合粒子であって、該複合粒子は、炭素数が7個以上の共役系芳香族骨格を含む加水分解性硅素化合物(A)を必須として無機系微粒子が表面処理されたものでもある。複合粒子は、無機系微粒子が表面処理されたものであることで、樹脂等との親和性が高まり、分散性が向上することとなる。
以下に表面処理の方法について詳述する。
図1の(f−1)〜(f−3)に示すように、Rに水酸基が結合した化合物と、SiX3のシリコン原子に、塩素原子、イソシアネート基、エポキシ基等が結合した化合物とを反応させることで、図1中の(A)〜(C)で示すSiX3とRとを2価の有機基で繋いだ化合物を生成し、この化合物により無機系微粒子の表面処理を行うことで無機系微粒子1の表面を構成する原子と結合させ、Rと無機系微粒子とを有機鎖2で結合した形態の複合粒子を形成する方法、図1の(g)に示すように、Rにビニル基が結合した化合物と、H−SiX3とでヒドロシリル化させることで、図1中の(D)で示すSiX3とRとをアルキレン基で繋いだ化合物を生成し、この化合物により無機系微粒子1の表面処理を行うことで、無機系微粒子1の表面を構成する原子と結合させ、Rを無機系微粒子表面に有する複合粒子を形成する方法、図1の(h)に示すように、R−SiR1R2Hに対してSiX3にビニル基が結合した化合物とを反応させることで、図1中の(E)で示す化合物を形成し、この化合物(E)により無機系微粒子1の表面処理を行うことで無機系微粒子1の表面を構成する原子と結合させ、Rを無機系微粒子表面に有する複合粒子を形成する方法等が挙げられる。R1、R2に関しては、上述したものと同様である。また、図2に示すように、図2中のRにビニル基が結合した化合物(F)と、図2中の(G)で示すSiX3を含む化合物を共重合させることで化合物(H)を形成し、この(H)を無機系微粒子1と反応させることで、Rを無機系微粒子表面に有する複合粒子を製造する方法も挙げられる。また、図3に示すように、(I)で示すRに有機鎖を介してチオール基が結合した化合物と、(J)で示すSiX3を有する化合物を反応させることで化合物(K)を形成し、この(K)を無機系微粒子と反応させることでRを無機系微粒子表面に有する複合粒子を製造する方法も挙げられる。なお、上述した有機鎖2については、無機系微粒子と反応する化合物等によって適宜変更されるものであり、上述の図1〜図3、及び、後述する図4〜図11中の有機鎖2は同一のものでもよいし、異なっていてもよい。
上記加水分解性珪素化合物(A)としては、下記式;
Rn1SiX(4−n1)
(式中、Rは、炭素数が7個以上の共役系芳香族骨格を有する基を表す。Xは、同一若しくは異なって、R3O基、水素原子、ハロゲン原子又は水酸基である。R3は、同一若しくは異なって、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。n1は、1〜3の数を表す。)で表される化合物が好ましい。このような、加水分解性珪素化合物(A)においてRとSiとは、炭素数が7個以上の共役系芳香族骨格がSi原子と直接結合していてもよいし、有機鎖を介して結合していてもよい。好ましくは、有機鎖を介して結合している形態である。
R−(LhSiX(4−h))i
(式中、Rは、炭素数が7個以上の共役系芳香族骨格を有する基を表す。Lは、同一若しくは異なって、炭素数が7個以上の共役系芳香族骨格を除く任意の構造の有機鎖を表す。Xは、同一若しくは異なって、R3O基、水素原子、ハロゲン原子又は水酸基を表す。R3は、同一若しくは異なって、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。hは、1〜3の数であり、iは、1以上の数を表す。)で表される化合物が好ましい。R3として好ましくは、アルキル基であり、より好ましくは、炭素数が1〜5のアルキル基、特に好ましくは、メチル基及び/又はエチル基である。hの好ましい値としては、1である。iの好ましい値としては、1又は2であり、より好ましくは、1である。
R4 kSiX4−k (4)
(式中、R4はラジカル重合性基を有する有機基を表し、kは1〜3の整数を表す。Xは、加水分解性基を表す。)で表されるものであることが好ましい。上記R4は、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、ビニル基、及び、スチリル基からなる群より選ばれる少なくとも一つを含む有機基であることが好ましい。
CH2=C(−R5)−COOR6− (5)
(ここで、R5は水素原子またはメチル基を表し、R6は置換基を有していてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を表す。)
CH2=C(−R7)− (6)
(ここで、R7は水素原子またはメチル基を表す。)
CH2=C(−R8)−R9− (7)
(ここで、R8は水素原子またはメチル基を表し、R9は置換基を有していてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を表す。)で表されるラジカル重合性基などを好ましい有機基として挙げることができる。
より好ましくは、攪拌しながら加熱する方法である。加熱する時間としては、0.1〜24時間であることが好ましく、より好ましくは、0.5〜4時間である。攪拌する時間としては、0.1〜24時間であることが好ましく、より好ましくは、0.5〜4時間である。攪拌しながら加熱する場合も、攪拌及び加熱する時間としては同様である。
反応性基(I)と反応性基(II)との好適な組み合わせについて下記表1にまとめる。
このような方法としては、例えば、図11で示すように、無機系微粒子の表面水酸基と、Rを有してなるエポキシ基、スルフィド基、オキセタン基、又は、アルコール性水酸基との反応により炭素数が7個以上の共役系芳香族骨格を無機系微粒子表面に有する複合粒子を製造する方法が挙げられる。図11中のエポキシ基、スルフィド基、オキセタン基、又は、アルコール性水酸基との反応を行う無機系微粒子は、その表面を構成する金属元素に水酸基が結合した形態となっている。
以下に、本発明の複合粒子を含んでなる樹脂組成物について説明する。
上記ビフェニル化合物としては、下記一般式(14);
該分散剤(D)は、下記一般式(I);
Ra−Rb−O−(CO−Rc−O)p−CO−Rd−COOH (I)
(但し、Raは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基及び(メタ)アクリロイル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基である。Rbは、アルキレン基、又は、アリール基である。Rcは、アルキレン基である。Rdは、アルキレン基、アリール基、及び、アルキン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基である。pは、1以上の整数である。)で示される化合物(1)、下記一般式(II);
Re−[CO−(O−Rf−CO)n−OH]m (II)
(但し、Reは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基及び置換基を有していてもよいビニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種である。Rfは、アルキレン基である。nは、1以上の数であり、mは1〜4の数である。)で示される化合物(2)、及び/又は、下記一般式(III);
Rg−Rh−O−(CO−Ri−O)r−H (III)
(但し、Rgは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基及び(メタ)アクリロイル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基である。Rhは、アルキレン基、又は、アリール基を表す。Riは、アルキレン基を表す。rは、1以上の数である。)で示される化合物(3)を含むものであることが好ましい。分散剤としては、上記一般式(I)、(II)、(III)で示される化合物から1種又は2種以上を用いることが好適である。また、分散剤としては、各一般式で表される化合物の一種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、特に限定されるものではない。
CH2=C(CH3)−COO−(CH2)5−COOH (20)
CH3−COO−(CH2)5−COOH (21)
CH2=C(CH3)−COO−CH2−[CO(CH2)5O]gH (24)
(式中、gは、平均付加モル数を表し、1〜10の整数である。)
−O−(CO−Rj−O)n 2−CO−Rk−COOH基
(当該基中、Rj、Rk及びn2は、それぞれ上記一般式(I)のRc、Rd及びpと同様である。)、
−CO−(O−RL−CO)n 3−OH基
(当該基中、RL及びn3は、それぞれ上記一般式(II)のRf及びnと同様である。)、又は、
−O−(CO−Rm−O)n 4−H基
(当該基中、Rm及びn4は、それぞれ上記一般式(III)のRi及びrと同様である。)を有する重合体が挙げられる。当該重合体は、−O−(CO−Rj−O)n 2−CO−Rk−COOH基等を有する(メタ)アクリル酸エステルを共重合させることにより得られる。
また、上記一般式(III)で表される化合物(3)としてより好ましいものとしては、下記式;
樹脂組成物を構成する樹脂成分がカチオン重合性の化合物の場合には、カチオン重合開始剤を用いる方法が好ましい。カチオン重合開始剤は、硬化性樹脂組成物にカチオン重合を開始させることができるものであれば、特に限定されないが、光潜在性カチオン発生剤、熱潜在性カチオン発生剤が好適である。
熱潜在性カチオン発生剤とは、熱潜在性硬化触媒、熱潜在性硬化剤とも呼ばれ、樹脂組成物において硬化温度になれば、硬化剤としての実質的な機能を発揮するものである。熱潜在性カチオン発生剤は後述する硬化剤と異なり、硬化性樹脂組成物に含まれていても、硬化性樹脂組成物の常温での経時的な粘度上昇やゲル化を引き起こすことがなく、また、熱潜在性カチオン発生剤の作用として、優れた硬化反応促進効果を発揮することができるため、ハンドリング性に優れた一液性樹脂組成物(一液性光学材料)を提供することができる。特に、硬化性樹脂組成物を光学材料として用いる場合には、熱潜在性硬化剤を用いることが好ましい。
(R15 cR16 dR17 eR18 fZ)+w1(AYn5)−w1 (25)
(式中、Zは、S、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、N及びハロゲン元素からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を表す。R15、R16、R17及びR18は、同一又は異なって、有機基を表す。c、d、e及びfは、0又は正数であり、c、d、e及びfの合計はZの価数に等しい。カチオン(R15 cR16 dR17 eR18 fZ)+w1はオニウム塩を表す。Aは、ハロゲン化物錯体の中心原子である金属元素又は半金属元素(metalloid)を表し、B、P、As、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Coからなる群より選ばれる少なくとも一つである。Yは、ハロゲン元素を表す。wは、ハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷である。n5は、ハロゲン化物錯体イオン中のハロゲン元素の数である。)で表されるものであることが好ましい。
また硬化条件としては硬化温度を段階的に変化させてもよい。例えば、硬化性樹脂組成物から硬化物を製造する上での生産性を向上する目的で型内に所定の温度・時間で保持した後、型から取り出して空気又は不活性ガス雰囲気内に静置して熱処理することも可能である。この場合の硬化温度としては型内保持温度を25℃〜250℃、より好ましくは60℃〜200℃、更に好ましくは80〜180℃であり、保持時間は10秒〜5分、より好ましくは30秒〜5分である。
更に一般式AYn5(OH)−で表される陰イオンも用いることができる。また、その他の陰イオンとしては、過塩素酸イオン(ClO4 −)、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CF3SO3 −)、フルオロスルホン酸イオン(FSO3 −)、トルエンスルホン酸イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸イオン等が挙げられる。
ジアゾニウム塩タイプ;AMERICUREシリーズ(アメリカン・キャン社製)、ULTRASETシリーズ(アデカ社製)、WPAGシリーズ(和光純薬社製)
ヨードニウム塩タイプ;UVEシリーズ(ゼネラル・エレクトリック社製)、FCシリーズ(3M社製)、UV9310C(GE東芝シリコーン社製)、Photoinitiator 2074(ローヌプーラン社製)、WPIシリーズ(和光純薬社製)
スルホニウム塩タイプ;CYRACUREシリーズ(ユニオン・カーバイド社製)、UVIシリーズ(ゼネラル・エレクトリック社製)、FCシリーズ(3M社製)、CDシリーズ(サトーマー社製)、オプトマーSPシリーズ・オプトマーCPシリーズ(アデカ社製)、サンエイドSIシリーズ(三新化学工業社製)、CIシリーズ(日本曹達社製)、WPAGシリーズ(和光純薬社製)、CPIシリーズ(サンアプロ社製)
等が挙げられる。これらの中でも、サンエイドSIシリーズが好ましく、サンエイドSI−60L、サンエイドSI−80L、サンエイドSI−100L(三新化学工業社製)等を好適に用いることができる。
上記ラジカル重合開始剤としては、ラジカルを発生して上記硬化性樹脂組成物の重合を開始させる化合物であれば特に限定されない。具体的には、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2.2’−アゾビス−2−メチルプロピオン酸メチル、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’アゾビス−2−メチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス−1−シクロヘプタンニトリル、1,1’−アゾビス−1−フェニルエタン、フェニルアゾトリフェニルメタン等のアゾ系開始剤類;過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化tert−ブチル、過酸化プロピオニル、過酸化ラウロイル、過酢酸tert−ブチル、過安息香酸tert−ブチル、tert−ブチルヒドロペルオキシド、tert−ブチルペルオキシピバレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の過酸化物系開始剤類;等が挙げられる。これらのうち、過酸化物系開始剤類が特に好ましい。具体的には、t−ブチルパーオキシベンゾエート等を用いることが好ましい。
以下、その他の有機成分について説明する。
上記エポキシ(メタ)アクリレートとは、1官能以上のエポキシドと(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートであり、エポキシドとしては、例えば、(メチル)エピクロルヒドリンと、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールS、水添ビスフェノールF、それらのエチレンオキシド、プロピレンオキシド変性物等から合成されるエピクロルヒドリン変性水添ビスフェノール型エポキシ樹脂;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート等の脂環式エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート等のヘテロ環含有のエポキシ樹脂等の脂環式エポキシド;(メチル)エピクロルヒドリンと、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF、それらのエチレンオキシド、プロピレンオキシド変性物等から合成されるエピクロルヒドリン変性ビスフェノール型のエポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエンと各種フェノール類と反応させて得られる各種ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のエポキシ化物;フェニルグリシジルエーテル等の芳香族エポキシド;(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)ブチレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類の(ポリ)グリシジルエーテル;グリコール類のアルキレンオキシド変性物の(ポリ)グリシジルエーテル;トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ジグリセリン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の脂肪族多価アルコールの(ポリ)グリシジルエーテル;脂肪族多価アルコールのアルキレンオキシド変性物の(ポリ)グリシジルエーテル等のアルキレン型エポキシド;アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボン酸のグリシジルエステル、多価アルコールと多価カルボン酸とのポリエステルポリオールのグリシジルエーテル;グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレートの共重合体;高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化大豆油、エポキシ化ひまし油、エポキシ化ポリブタジエン等の脂肪族エポキシ樹脂等が好適である。
硬化物の濁度(ヘイズ)としては、20%以下であることが好ましい。硬化物の濁度としてより好ましくは10%以下であり、更に好ましくは5%以下であり、特に好ましくは1%以下である。また、硬化物の透明性としては、可視光領域(波長が360〜780nmの領域)の光透過率が75%以上であることが好ましい。硬化物の光線透過率はより好ましくは80%以上であり、更に好ましくは85%以上であり、特に好ましくは、87%以上である。
上記硬化物において、硬化物の屈折率・アッベ数は適用される光学系の光学設計に応じて幅広い数値が求められる。なお、硬化物の光線透過率はJIS K7361−1に、濁度はJIS K7136に、屈折率・アッベ数はJIS K7142にそれぞれ準拠した方法で測定することができる。
上記硬化物のPCT吸湿率は硬化条件により変化するが、硬化条件を最適化することにより、2%以下にすることが好ましく、1%以下にすることが好ましく、より好ましくは0.5%以下、更に好ましくは0.2%以下である。
特に車載用カメラや宅配業者向けバーコード読み取り機などの用途では、長時間の紫外線照射や夏季の高温暴露により黄変や強度劣化が懸念されるが、これらの現象は空気や水分と紫外線照射又は熱線暴露との相乗効果により酸素ラジカルが発生することが原因と考えられる。耐湿性が向上することで、樹脂組成物中への吸湿が抑制され、紫外線照射又は熱線暴露との相乗効果による酸素ラジカル発生も抑えられるため、樹脂組成物の黄変や強度低下を引き起こすことなく長時間にわたり優れた耐熱性を発揮することができる。
本発明の光学用部材としては、上記樹脂組成物を熱や光によって硬化させて得られる硬化物を含んで構成されるものであることが好ましい。なお、光学用部材は、上記樹脂組成物を含むものであるが、光学用部材の用途に応じて適宜その他の成分を含んでいてもよい。具体的には、UV吸収剤、IRカット剤、反応性希釈剤、顔料、洗料、酸化防止剤、光安定剤、可塑剤、非反応性化合物、連鎖移動剤、熱重合開始剤、嫌気重合開始剤、光安定剤、重合禁止剤、消泡剤等が好適である。
本願の複合粒子を反射防止フィルムの高屈折率層に用いる場合、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートを有機成分として用いることが好ましい。
上記樹脂組成物は、本発明の作用効果を発揮できる限り、製造方法は特に限定されないが、例えば、上記樹脂組成物を構成する成分を均一混合することが困難な場合には、(1)樹脂組成物を構成する複合粒子と、樹脂成分と、溶媒とを含む混合物を調製する工程と、(2)上記混合物から溶媒を脱気する脱気工程とを含むものであることが好ましい。
調製工程としては、減圧度を調整して、100℃以下で調製を行うことが好ましい。
調製工程において、樹脂成分と溶媒との割合としては、(樹脂組成物を構成する複合粒子成分+樹脂成分)/(樹脂組成物を構成する複合粒子成分+樹脂成分+溶媒)=10〜90質量%であることが好ましい。より好ましくは、15〜60質量%である。上記溶媒として、具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、アセトニトリル、クロロホルム、トルエン、キシレン等が好ましい。より好ましくは、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、トルエンである。
上記高沸点成分の添加方法としては、本発明の作用効果を発揮する限り特に限定されず、一括で添加してもよく、滴下して添加してもよく、分割添加等であってもよい。中でも、一括添加が好適である。また、高沸点成分の添加時期(又は添加開始時期)としては特に限定されず、例えば、(1)調製工程の終了後であって、脱気工程の開始前であってもよく、(2)調製工程の中であってもよく、(3)脱気工程の中であってもよい。これらの中でも、増粘防止のため、(1)であることが好ましい。このように、樹脂組成物を構成する成分を混合した後の溶媒を脱気する前に高沸点成分を添加する製造方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
なお、高沸点成分は、脱気工程終了時に組成物中に残存することとなる。その割合としては、脱気工程終了時の混合物100質量%中、0.01〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.1〜5質量%であり、更に好ましくは、0.5〜3質量%である。
上記高沸点成分の残存量は、ガスクロマトグラフィー(GC)で測定することができる。測定条件としては、下記のとおりである。
(GCの測定条件)
カラム;GLサイエンス社製「DB−17」
キャリアーガス;ヘリウム
流速;1.44mL/分
上記脱気工程において、脱気工程終了とは、その時点の混合物100質量%に対して、溶媒の含有量が5質量%以下となる場合である。脱気工程終了時の溶媒の含有量としてより好ましくは、3質量%以下であり、更に好ましくは、1質量%以下であり、特に好ましくは0.5質量%以下である。
上記溶媒及び複合粒子を含む溶液としては、例えば、溶媒分散体の形態が挙げられる。溶媒分散体における複合粒子の含有量については、特に限定はないが、好ましくは溶媒分散体全体の10〜70重量%、さらに好ましくは20〜50重量%であり、溶媒分散体は、この程度の含有量において取扱いやすい。溶媒分散体における溶媒の含有量については、特に限定はないが、好ましくは溶媒分散体全体の90〜30重量%、さらに好ましくは80〜50重量%である。
上記のように調製された樹脂組成物に、樹脂成分として硬化性樹脂を用いている場合は、前記重合開始剤あるいは後述する硬化剤を添加混合することにより、硬化性樹脂組成物を調製することができる。重合開始剤、硬化剤は、樹脂成分の種類、硬化機構に準じて選択すればよい。
上記ポストキュアにおいて、硬化温度及び硬化時間としては、硬化させる樹脂組成物等に応じて適宜設定することができる。例えば、硬化温度としては、80〜200℃であることが好ましい。より好ましくは、100〜180℃であり、更に好ましくは、110〜150℃である。ポストキュアの硬化時間としては、硬化温度にも依存するが、1〜48時間であることが好ましい。より好ましくは、1〜10時間であり、更に好ましくは、2〜5時間である。
上記樹脂組成物が上記複合粒子と、カチオン重合性基を有する化合物を必須として含む樹脂成分とを含有する場合には、重合開始剤を用いて熱硬化することにより、硬化物とすることができる。重合開始剤としては、上述した熱潜在性カチオン発生剤を用いることが好ましい。なお、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化方法としては、熱潜在性カチオン発生剤等の重合開始剤を用いた硬化方法以外の硬化方法も採用し得る。例えば、硬化剤を使用することができる。このような硬化剤としては、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸、メチルナジック酸、3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチル−3,6エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸等の酸無水物類;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、テルペンフェノール樹脂等の種々のフェノール樹脂類;種々のフェノール類とヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザール等の種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂等の各種のフェノール樹脂類;BF3錯体、スルホニウム塩類、イミダゾール類等の1種又は2種以上を用いることができる。また、多価フェノール化合物で硬化することも好ましい態様である。
なお、上述した硬化剤及び硬化促進剤は、樹脂組成物の硬化反応を促進し、ハンドリングが容易になる等の利点があるが、このような酸無水物・アミノ化合物などの従来公知の硬化剤等は、酸無水物硬化に通常使用する脂環式酸無水物の屈折率が低いこと、アミノ化合物は黄変しやすいことが知られている。したがって、高屈折率光学用部材に用いる場合は、硬化剤及び硬化促進剤を添加することが必要不可欠である場合以外は、積極的には使用しないほうがよい。
40℃の純水700gに水酸化ナトリウム100g(キシダ化学株式会社製、特級)を攪拌下、添加して溶解させた。次いで、ネオデカン酸495g(ジャパンエポキシレジン株式会社)を攪拌下、添加し、ネオデカン酸ナトリウム水溶液を調製した。該溶液を80℃とし、740gのジルコゾールZC−20(第一希元素化学工業株式会社製)を攪拌下、20分かけて投入し、80℃で1時間半攪拌を続けたところ、白色で高粘度なネオデカン酸ジルコニウムが生成した。次にテトラデカンを1270g添加して攪拌すると、ネオデカン酸ジルコニウムとテトラデカンからなる油相と水相の二相からなる溶液が得られた。水相を分離除去して油相部分を回収した。このようにして得られた油相部を純水で3回洗浄した。次いで油相1000gと純水500gを攪拌機付きオートクレーブ内に仕込み、反応容器中の雰囲気を窒素ガスにより置換した。その後、175℃まで加熱し、3時間反応させた。175℃反応中の容器中圧力は、0.9MPaであった。反応後の溶液を取出し、底部にたまった沈殿物をろ過により回収した。該沈殿物をアセトンで洗浄し、乾燥させた後、トルエンに分散させたところ、白濁溶液となった。次に、精製工程として定量濾紙(アドバンテック東洋社製 No.5C)にて再度ろ過を行い、沈殿物中の粗大粒子などを除去した。更に、ろ液中のトルエンを減圧除去することで白色の酸化ジルコニウムナノ粒子を回収した。
トルエン80.16gにパラフェニルフェノール(para−Phenylphenol)13.98g(82.2mmol)に3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(KBE−9007、信越化学工業社製)20.34g(82.2mmol)、ジブチルチンジラウレート(DBTDL)0.017gを加え、90℃まで昇温し5時間加熱した。これにより、BiPh−Si(OEt)3を得た。1H−NMRより反応転化率(conversion)が90%であることを確認した。
トルエン64.40gにフェノール7.60g(80.8mmol)に3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(KBE−9007、信越化学工業社製)20.00g(80.8mmol)、ジブチルチンジラウレート(DBTDL)0.014gを加え、90℃まで昇温し5時間加熱した。これにより、Ph−U−Si(OEt)3トルエン溶液を得た。1H−NMRより反応転化率(conversion)が89%であることを確認した。
トルエン67.06gにベンジルアルコール8.74g(80.8mmol)に3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(KBE−9007、信越化学工業社製)20.00g(80.8mmol)、ジブチルチンジラウレート(DBTDL)0.014gを加え、90℃まで昇温し5時間加熱した。これにより、Bz−U−Si(OEt)3トルエン溶液を得た。1H−NMRより反応転化率(conversion)が95%であることを確認した。
トルエン112.49gにビスフェノールフルオレン28.21g(80.8mmol)に3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(KBE−9007、信越化学工業社製)20.00g(80.8mmol)、ジブチルチンジラウレート(DBTDL)0.024gを加え、90℃まで昇温し5時間加熱した。これにより、F−U−Si(OEt)3トルエン溶液を得た。1H−NMRより反応転化率(conversion)が93%であることを確認した。
トルエン13.52gにプラクセルFM−1(ダイセル化学工業社製)20.00g(0.082mmol)、無水フタル酸11.55g(0.078mol)、トリフェニルホスフィン0.4gを加え、60℃にて5時間加熱することで、FM−1−Phトルエン溶液を得た。1H−NMRにて反応が完結していることを確認した。
合成例1にて得られた酸化ジルコニウムナノ粒子12.3gをトルエン87.7gに分散させて溶液を調製し、該溶液にBiPh−Si(OEt)3溶液28.0g(固形分8.4g)および超純水4gを添加し、90℃で1時間攪拌下、還流した。
還流処理後の溶液を放冷した後、n−ヘキサンを添加することで分散粒子を凝集させて溶液を白濁させた。次いで、白濁溶液から凝集粒子を濾紙により分離後、室温で真空乾燥し、BiPh−Si(OEt)3で処理された酸化ジルコニウムナノ粒子を調製した。
処理後の酸化ジルコニウムナノ粒子の結晶構造をX線回折装置にて確認したところ、正方晶および単斜晶系結晶構造に帰属される回折線が検出された。回折線の強度から、結晶構造は、主として正方晶からなり、わずかに単斜晶を含むものであることが確認された。また、該粒子の粒子径をFE−SEMで測定したところ、平均粒子径は5nmであった。さらに、赤外吸収スペクトル(FT−IR)により分析したところ、アルキル鎖及び芳香族骨格のC−H由来の吸収およびCOOH由来の吸収、さらにSi−O−C由来の吸収が確認でき、更に1H−NMRにより、芳香族骨格由来のピークが確認されたことから、処理後の酸化ジルコニウムナノ粒子は、ネオデカン酸およびBiPh−Si(OEt)3の2種の被覆剤により被覆されていることが確かめられた。TG−DTA(熱重量−示差熱分析)により、空気雰囲気下、800℃まで昇温した時の、該粒子の質量減少率を測定したところ、19質量%の減少率となった。
合成例1にて得られた酸化ジルコニウムナノ粒子12.3gをトルエン87.7gに分散させて溶液を調製し、該溶液にBiPh−Si(OEt)3溶液28.0g(固形分8.4g)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製 KBM−503)0.95gおよび超純水5gを添加し、90℃で1時間攪拌下、還流した。
還流処理後の溶液を放冷した後、n−ヘキサンを添加することで分散粒子を凝集させて溶液を白濁させた。次いで、白濁溶液から凝集粒子を濾紙により分離後、室温で真空乾燥し、BiPh−Si(OEt)3、及び、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランで処理された酸化ジルコニウムナノ粒子を調製した。
処理後の酸化ジルコニウムナノ粒子の結晶構造をX線回折装置にて確認したところ、正方晶および単斜晶系結晶構造に帰属される回折線が検出された。回折線の強度から、結晶構造は、主として正方晶からなり、わずかに単斜晶を含むものであることが確認された。また、該粒子の粒子径をFE−SEMで測定したところ、平均粒子径は5nmであった。さらに、赤外吸収スペクトル(FT−IR)により分析したところ、アルキル鎖及び芳香族骨格のC−H由来の吸収およびCOOH由来の吸収、さらにSi−O−C由来の吸収が確認でき、更に1H−NMRにより、芳香族骨格由来のピーク及びメタクリル基の二重結合由来のピークが確認されたことから、処理後の酸化ジルコニウムナノ粒子は、ネオデカン酸、BiPh−U−Si(OEt)3、及び、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの3種の被覆剤により被覆されていることが確かめられた。TG−DTA(熱重量−示差熱分析)により、空気雰囲気下、800℃まで昇温した時の、該粒子の質量減少率を測定したところ、20質量%の減少率となった。
合成例1にて得られた酸化ジルコニウムナノ粒子12.3gをトルエン87.7gに分散させて溶液を調製し、該溶液にF−U−Si(OEt)3溶液40.4g(固形分12.1g)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製 KBM−503)0.95gおよび超純水5gを添加し、90℃で1時間攪拌下、還流した。
還流処理後の溶液を放冷した後、n−ヘキサンを添加することで分散粒子を凝集させて溶液を白濁させた。次いで、白濁溶液から凝集粒子を濾紙により分離後、室温で真空乾燥し、F−U−Si(OEt)3、及び、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランで処理された酸化ジルコニウムナノ粒子を調製した。
処理後の酸化ジルコニウムナノ粒子の結晶構造をX線回折装置にて確認したところ、正方晶および単斜晶系結晶構造に帰属される回折線が検出された。回折線の強度から、結晶構造は、主として正方晶からなり、わずかに単斜晶を含むものであることが確認された。また、該粒子の粒子径をFE−SEMで測定したところ、平均粒子径は5nmであった。さらに、赤外吸収スペクトル(FT−IR)により分析したところ、アルキル鎖及び芳香族骨格のC−H由来の吸収およびCOOH由来の吸収、さらにSi−O−C由来の吸収が確認でき、更に1H−NMRにより、芳香族骨格由来のピーク及びメタクリル基の二重結合由来のピークが確認されたことから、処理後の酸化ジルコニウムナノ粒子は、ネオデカン酸およびF−U−Si(OEt)3、及び、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの3種の被覆剤により被覆されていることが確かめられた。TG−DTA(熱重量−示差熱分析)により、空気雰囲気下、800℃まで昇温した時の、該粒子の質量減少率を測定したところ、19質量%の減少率となった。
合成例1にて得られた酸化ジルコニウムナノ粒子12.3gをトルエン87.7gに分散させて溶液を調製し、該溶液にPh−U−Si(OEt)3溶液23.1g(固形分6.9g)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製 KBM−503)0.95gおよび超純水5gを添加し、90℃で1時間攪拌下、還流した。
還流処理後の溶液を放冷した後、n−ヘキサンを添加することで分散粒子を凝集させて溶液を白濁させた。次いで、白濁溶液から凝集粒子を濾紙により分離後、室温で真空乾燥し、Ph−U−Si(OEt)3、及び、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランで処理された酸化ジルコニウムナノ粒子を調製した。
処理後の酸化ジルコニウムナノ粒子の結晶構造をX線回折装置にて確認したところ、正方晶および単斜晶系結晶構造に帰属される回折線が検出された。回折線の強度から、結晶構造は、主として正方晶からなり、わずかに単斜晶を含むものであることが確認された。また、該粒子の粒子径をFE−SEMで測定したところ、平均粒子径は5nmであった。さらに、赤外吸収スペクトル(FT−IR)により分析したところ、アルキル鎖及び芳香族骨格のC−H由来の吸収およびCOOH由来の吸収、さらにSi−O−C由来の吸収が確認でき、更に1H−NMRにより、芳香族骨格由来のピーク及びメタクリル基の二重結合由来のピークが確認されたことから、処理後の酸化ジルコニウムナノ粒子は、ネオデカン酸およびPh−U−Si(OEt)3の3種の被覆剤により被覆されていることが確かめられた。TG−DTA(熱重量−示差熱分析)により、空気雰囲気下、800℃まで昇温した時の、該粒子の質量減少率を測定したところ、19質量%の減少率となった。
合成例1にて得られた酸化ジルコニウムナノ粒子12.3gをトルエン87.7gに分散させて溶液を調製し、該溶液にBz−U−Si(OEt)3溶液24.1g(固形分7.2g)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製 KBM−503)0.95gおよび超純水5gを添加し、90℃で1時間攪拌下、還流した。
還流処理後の溶液を放冷した後、n−ヘキサンを添加することで分散粒子を凝集させて溶液を白濁させた。次いで、白濁溶液から凝集粒子を濾紙により分離後、室温で真空乾燥し、Bz−U−Si(OEt)3、及び、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランで処理された酸化ジルコニウムナノ粒子を調製した。
処理後の酸化ジルコニウムナノ粒子の結晶構造をX線回折装置にて確認したところ、正方晶および単斜晶系結晶構造に帰属される回折線が検出された。回折線の強度から、結晶構造は、主として正方晶からなり、わずかに単斜晶を含むものであることが確認された。また、該粒子の粒子径をFE−SEMで測定したところ、平均粒子径は5nmであった。さらに、赤外吸収スペクトル(FT−IR)により分析したところ、アルキル鎖及び芳香族骨格のC−H由来の吸収およびCOOH由来の吸収、さらにSi−O−C由来の吸収が確認でき、更に1H−NMRにより、芳香族骨格由来のピーク及びメタクリル基の二重結合由来のピークが確認されたことから、処理後の酸化ジルコニウムナノ粒子は、ネオデカン酸およびBz−U−Si(OEt)3の3種の被覆剤により被覆されていることが確かめられた。TG−DTA(熱重量−示差熱分析)により、空気雰囲気下、800℃まで昇温した時の、該粒子の質量減少率を測定したところ、20質量%の減少率となった。
上記合成例2〜6によって得られたジルコニア粒子について、表2に示す。
実施例1用樹脂組成物
合成例2で得られた酸化ジルコニウム粒子(1)2.5g及びオグソールEA−200(大阪ガスケミカル社製)2.5g、パーブチルZ(日油社製、t−ブチルパーオキシベンゾエート)0.1gをトルエン20.0gに溶解させた後、エバポレーターにてトルエンを脱揮し、実施例1用樹脂組成物を得た。
合成例3で得られた酸化ジルコニウム粒子(2)2.5g及びオグソールEA−200(大阪ガスケミカル社製)2.5g、パーブチルZ(日油社製、t−ブチルパーオキシベンゾエート)0.1gをトルエン20.0gに溶解させた後、エバポレーターにてトルエンを脱揮し、実施例2用樹脂組成物を得た。
合成例4で得られた酸化ジルコニウム粒子(3)2.5g及びオグソールEA−200(大阪ガスケミカル社製)2.5g、パーブチルZ(日油社製、t−ブチルパーオキシベンゾエート)0.1gをトルエン20.0gに溶解させた後、エバポレーターにてトルエンを脱揮し、実施例3用樹脂組成物を得た。
合成例3で得られた酸化ジルコニウム粒子(2)2.5g及びオグソールEA−200(大阪ガスケミカル社製)2.5g、分散剤としてFM−1を0.05g、パーブチルZ(日油社製、t−ブチルパーオキシベンゾエート)0.1gをトルエン20.0gに溶解させた後、エバポレーターにてトルエンを脱揮し、実施例3用樹脂組成物を得た。
合成例3で得られた酸化ジルコニウム粒子(2)2.5g及びオグソールEA−200(大阪ガスケミカル社製)2.5g、分散剤としてFM−1−Ph溶液0.086g(固形分量0.06g)、パーブチルZ(日油社製、t−ブチルパーオキシベンゾエート)0.1gをトルエン20.0gに溶解させた後、エバポレーターにてトルエンを脱揮し、実施例3用樹脂組成物を得た。
合成例5で得られた酸化ジルコニウム粒子(4)2.5g及びオグソールEA−200(大阪ガスケミカル社製)2.5g、パーブチルZ(日油社製、t−ブチルパーオキシベンゾエート)0.1gをトルエン20.0gに溶解させた後、エバポレーターにてトルエンを脱揮し、比較例1用樹脂組成物を得た。
合成例6で得られた酸化ジルコニウム粒子(5)2.5g及びオグソールEA−200(大阪ガスケミカル社製)2.5g、パーブチルZ(日油社製、t−ブチルパーオキシベンゾエート)0.1gをトルエン20.0gに溶解させた後、エバポレーターにてトルエンを脱揮し、比較例2用樹脂組成物を得た。
オグソールEA−200(大阪ガスケミカル社製)5.0g、パーブチルZ(日油社製、t−ブチルパーオキシベンゾエート)0.1gをトルエン20.0gに溶解させた後、エバポレーターにてトルエンを脱揮し、比較例3用樹脂組成物を得た。
上記実施例1〜5及び比較例1〜2用樹脂組成物をガラス板(150mm×70mm×2mm)上に5milアプリケーターを用いて膜厚が125μmになるように塗工を行った。その後、窒素雰囲気下150℃にて30分加熱を行うことにより、硬化塗膜を得た。そして、波長400nmにおける硬化塗膜の透過率を測定した。
T=100−T1+T2
得られた樹脂組成物を500μmの厚みに調整された型枠に流し込んだ後に、上からガラス板にて蓋をし、150℃にて30分加熱することにより、硬化物を得た。屈折率計(アタゴ社製、DR−M2)を用いて得られた硬化物の20℃における589nmの屈折率を測定した。測定結果を下記表3に示す。
2:有機鎖
Claims (15)
- 炭素数が7個以上の共役系芳香族骨格を無機系微粒子表面に有する複合粒子であって、
該共役系芳香族骨格は、フルオレン骨格、アントラセン環、ジベンゾチオフェン環、カルバゾール骨格、スチルベン骨格及びビフェニル骨格からなる群より選ばれる少なくとも一つの構造を必須とすることを特徴とする複合粒子。 - 前記無機系微粒子は、金属酸化物微粒子であることを特徴とする請求項1又は2記載の複合粒子。
- 前記金属酸化物微粒子は、チタン、ジルコニウム、亜鉛、ランタン、イットリウム、インジウム、錫及びニオブからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の複合粒子。
- 前記複合粒子は、無機系微粒子が表面処理されてなる複合粒子であって、
該複合粒子は、炭素数が7個以上の共役系芳香族骨格を含む加水分解性珪素化合物(A)を必須として無機系微粒子が表面処理されたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の複合粒子。 - 前記複合粒子は、下記一般式(4);
R 4 k SiX 4−k (4)
(式中、R 4 はラジカル重合性基を有する有機基を表し、kは1〜3の整数を表す。Xは、加水分解性基を表す。)で表される、ラジカル重合性基を有する加水分解珪素化合物(B)で表面処理されてなるものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の複合粒子。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の複合粒子と樹脂成分とを含んでなることを特徴とする樹脂組成物。
- 前記樹脂組成物は、無色透明なものであることを特徴とする請求項7記載の樹脂組成物。
- 前記樹脂成分は、7個以上の炭素原子から構成される共役構造を有する芳香族化合物(C)を必須とすることを特徴とする請求項7又は8記載の樹脂組成物。
- 前記樹脂組成物は、芳香族化合物(C)が(メタ)アクリレート系化合物であり、熱及び/又は光硬化性であることを特徴とする請求項9記載の樹脂組成物。
- 前記樹脂組成物は、芳香族化合物(C)がエポキシ系化合物であり、熱及び/又は光硬化性であることを特徴とする請求項9記載の樹脂組成物。
- 前記樹脂組成物は、更に、分散剤(D)を含み、
該分散剤(D)は、下記一般式(I);
Ra−Rb−O−(CO−Rc−O)p−CO−Rd−COOH (I)
(式中、Raは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基及び(メタ)アクリロイル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基である。Rbは、アルキレン基、又は、アリーレン基である。Rcは、アルキレン基である。Rdは、アルキレン基、アリーレン基、及び、アルキニレン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基である。pは、1以上の整数である。)で示される化合物(1)、下記一般式(II);
Re−[CO−(O−Rf−CO)n−OH]m (II)
(但し、Reは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基及び置換基を有していてもよいビニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種である。Rfは、アルキレン基である。nは、1以上の数であり、mは1〜4の数である。)で示される化合物(2)、及び/又は、下記一般式(III);
Rg−Rh−O−(CO−Ri−O)r−H (III)
(但し、Rgは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基及び(メタ)アクリロイル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基である。Rhは、アルキレン基、又は、アリーレン基を表す。Riは、アルキレン基を表す。rは、1以上の数である。)で示される化合物(3)を含むことを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 請求項7〜12のいずれかに記載の樹脂組成物を硬化させてなることを特徴とする硬化物。
- 前記硬化物は、JIS K7361−1により求められる波長360〜780nmの領域の光透過率が75%以上を示すものであることを特徴とする請求項13記載の硬化物。
- 前記硬化物は、無色透明なものであることを特徴とする請求項13又は14記載の硬化物。
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