JP4868126B2 - 黒色複合粒子粉末 - Google Patents

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Description

本発明は、高い黒色度及び体積固有抵抗値並びにシャープな粒子径分布を有すると共に、可視光領域において優れた光吸収性を有することを特徴とする、分散性及び保存安定性に優れた黒色複合粒子粉末に関するものである。
現在、インキ、塗料、ゴム、プラスチック等の黒色着色剤として、カーボンブラック、黒鉛、黒色酸化鉄等の黒色顔料、ペリレンブラック等の黒色有機顔料及び二色又は三色の有機顔料を混合することによって得られる黒色顔料等が知られている。
これら黒色顔料のうち、殊に、最も一般的に用いられているカーボンブラックは、可視光領域における光吸収性に優れており、高い黒色度を有しているが、粒子サイズが平均粒子径0.005〜0.05μm程度の微粒子であるため自己凝集しやすく、微粒子の状態で樹脂組成物中へ分散することは困難であると共に、凝集物は最大粒子径で一般に0.1μm〜5mmもの粗大粒子を形成することが知られている。また、かさ密度が0.1g/cm程度とかさ高い粉末であるため、取り扱いが困難で、作業性が悪いものであった。更に、カーボンブラック粒子粉末は、それ自体導電性であるため、高い絶縁性を要求される用途には不向きである。
また、一般に、有機顔料の比重は1.3〜2.5の幅を持っており、数種類の有機顔料を混合して得られた黒色顔料は、一見黒く見えていても、個々の有機顔料の比重差から、例えば塗料ビヒクルやモノマー中に分散させた場合、長期保存時、比重差による色分かれが生じ易い。
これまでに、カーボンブラック以外の顔料を用いて黒色顔料を得る方法として、350〜2100nmの領域における太陽熱放射反射率が特定値以上である有色有機顔料を混合することにより、マンセル記号(N−1)の黒色を有する熱遮蔽性黒色顔料組成物が提案されている(特許文献1及び特許文献2)。
また、優れた赤外線反射性及び着色力を有する熱遮蔽性顔料を得ることを目的として、白色無機粒子粉末の粒子表面にオルガノシラン化合物を介してペリレンブラックが付着している熱遮蔽性顔料が知られている(特許文献3)。
特開平4−255769号公報 特開2002−20647号公報 特開2004−10851号公報
高い黒色度及び体積固有抵抗値並びにシャープな粒子径分布を有すると共に、可視光領域において優れた光吸収性を有する分散性及び保存安定性に優れた黒色複合粒子粉末は、現在最も要求されているところであるが、未だ得られていない。
即ち、前出特許文献1及び2には、350〜2100nmの領域における太陽熱放射反射率が特定値以上である赤、橙、黄、緑、青、紫系の有彩色の顔料を混合することにより、マンセル記号(N−1)の黒色を有する熱遮蔽性黒色顔料組成物を得る方法が記載されているが、これらの方法で得られた黒色顔料組成物は、760nm〜2100nmの近赤外領域における反射率向上を目的としたものであり、更に、長期間の使用により顔料が劣化して配色のバランスが崩れて変色し易いという問題もある。また、ビヒクルやモノマー中に分散させた場合、各有機顔料の比重差に起因して色分れを起こし易く、更に、分散レベルが異なる既存の有機顔料を分散・混合しているだけなので、粒子径が不均一になり易く、ビヒクルや樹脂、モノマー等への分散が困難となる。
前出特許文献3には、白色無機粒子粉末の粒子表面にオルガノシラン化合物を介してペリレンブラックを付着させる方法が記載されているが、付着させる有機顔料に起因して、黒色度が十分ではなく、また、可視領域の光吸収性についても十分とはいえないものである。
そこで、本発明は、高い黒色度及び体積固有抵抗値並びにシャープな粒子径分布を有すると共に、可視光領域において優れた光吸収性を有し、且つ、分散性及び保存安定性に優れた黒色複合粒子粉末を提供することを技術的課題とする。
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
即ち、本発明は、無機粒子粉末の粒子表面に少なくとも3色以上の有機顔料が付着している複合粒子粉末からなり、JIS Z 8729に定める表色指数により前記複合粒子粉末の明度(L値)が32.0以下、彩度(c値)が7.0以下であることを特徴とする黒色複合粒子粉末である(本発明1)。
また、本発明は、無機粒子粉末の粒子表面が表面改質剤によって被覆されていると共に該表面改質剤被覆無機粒子の粒子表面に少なくとも3色以上の有機顔料が付着している複合粒子粉末からなり、JIS Z 8729に定める表色指数により前記複合粒子粉末の明度(L値)が32.0以下、彩度(c値)が7.0以下であることを特徴とする黒色複合粒子粉末である(本発明2)。
また、本発明は、複合粒子粉末の体積固有抵抗値が1.0×10Ω・cm以上であることを特徴とする本発明1又は2の黒色複合粒子粉末である(本発明3)。
また、本発明は、有機顔料が赤色系有機顔料、青色系有機顔料、黄色系有機顔料、緑色系有機顔料、紫色系有機顔料、橙色系有機顔料及び褐色系有機顔料から選ばれることを特徴とする本発明1乃至3のいずれかの黒色複合粒子粉末である(本発明4)。
本発明に係る複合粒子粉末は、高い黒色度及び可視光領域において優れた光吸収性を有し、且つ、分散性に優れているので、黒さを要求される塗料及び樹脂組成物の黒色着色用粒子粉末として好適である。
また、高い体積固有抵抗値を有すると共に、可視光領域において優れた光吸収性を有するので、黒色で且つ高い電気抵抗を必要とする塗料や樹脂等の着色や可視光を遮蔽する用途には、特に好適に用いることできる。
本発明の構成をより詳しく説明すれば次の通りである。
先ず、本発明に係る黒色複合粒子粉末について述べる。
本発明に係る黒色複合粒子粉末は、芯粒子粉末である無機粒子粉末の粒子表面に3色以上の有機顔料を混合して得られた混合顔料が付着している複合粒子からなる。
本発明における無機粒子粉末としては、白色無機粒子粉末及び有色無機粒子粉末のいずれをも用いることができる。白色無機粒子粉末としては、二酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化亜鉛等の白色粒子粉末、雲母チタン、白雲母等のパール顔料、シリカ粉、ホワイトカーボン、微粉ケイ酸、珪藻土等のシリカ微粒子並びにクレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナホワイト、タルク及び透明性酸化チタン等の体質顔料が挙げられる。有色無機粒子としては、マグネタイト、ゲータイト及びへマタイト等の酸化鉄系粒子粉末、チタンブラック等が挙げられる。可視光領域における光遮蔽性を考慮すれば、屈折率の高い白色粒子粉末が好ましく、より好ましくは二酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化亜鉛等である。
無機粒子粉末の平均一次粒子径は、0.001〜10.0μmが好ましく、より好ましくは0.003〜9.5μm、更により好ましくは0.005〜9.0μmであり、粒子形状は、球状、粒状、多面体状、針状、紡錘状、米粒状、フレーク状、鱗片状及び板状等のいずれの形状であっても良い。
無機粒子粉末の一次粒子径の粒子径の幾何標準偏差値は、2.0以下が好ましく、より好ましくは1.8以下、更に好ましくは1.5以下である。2.0を超える場合には、得られる黒色複合粒子粉末の粒度分布が広く、ビヒクルや樹脂あるいはモノマー中における分散性が低下するため好ましくない。
本発明における無機粒子粉末のBET比表面積値は、0.5m/g以上が好ましい。BET比表面積値が0.5m/g未満の場合には、無機粒子が粗大であったり、粒子及び粒子相互間で焼結が生じた粒子となっており、得られる黒色複合粒子粉末もまた粗大粒子となり着色力及びビヒクルや樹脂あるいはモノマー中における分散性が低下する。黒色複合粒子粉末の着色力及びビヒクルや樹脂あるいはモノマー中における分散性を考慮すると、BET比表面積値は、より好ましくは1.0m/g以上、更により好ましくは1.5m/g以上である。無機粒子粉末の粒子表面への表面改質剤による均一な被覆処理及び/又は有機顔料による均一な付着処理を考慮すると、その上限値は1000m/g程度であり、好ましくは800m/g、より好ましくは500m/gである。
本発明における無機粒子粉末の色相は、無機粒子粉末の粒子表面に付着させる有機顔料の配合比を調節することで黒色複合粒子を得ることができるため特に限定されないが、調色の容易さという観点から、彩度(c値)はできる限り低い方が好ましい。具体的には、c値は18.00以下であることが好ましく、より好ましくは15.00以下、更により好ましくは12.00以下、最も好ましくは9.00以下である。
本発明における無機粒子粉末の体積固有抵抗値は、1.0×10Ω・cm以上であることが好ましく、より好ましくは5.0×10Ω・cm以上、更により好ましくは1.0×10Ω・cm以上である。
本発明に係る黒色複合粒子粉末は、平均一次粒子径の粒度分布及びビヒクルや樹脂あるいはモノマー中における分散性及び分散安定性を考慮した場合、芯粒子粉末である無機粒子粉末の粒子表面が表面改質剤によって被覆されていると共に、該表面改質剤被覆粒子表面に少なくとも3色以上の有機顔料を混合して得られた混合顔料が付着している複合粒子からなるものが好ましい。
本発明において、表面改質剤を用いる場合には、無機粒子の粒子表面へ有機顔料を付着できるものであれば何を用いてもよく、アルコキシシラン、フルオロアルキルシラン、シラン系カップリング剤及びオルガノポリシロキサン等の有機ケイ素化合物、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系などのカップリング剤、低分子あるいは高分子界面活性剤等を好適に用いることができる。
有機ケイ素化合物としては、具体的には、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン及びデシルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トルフルオロプロピルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン及びトリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン等のフルオロアルキルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、ポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、変性ポリシロキサン等のオルガノポリシロキサン等が挙げられる。
チタネート系カップリング剤としては、イソプロピルトリステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスフェイト)チタネート、テトラ(2−2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスフェイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられる。
アルミネート系カップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムジイソプロボキシモノエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート等が挙げられる。
ジルコネート系カップリング剤としては、ジルコニウムテトラキスアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビスアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラキスエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリブトキシモノエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート等が挙げられる。
低分子系界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジオクチルスルホンコハク酸塩、アルキルアミン酢酸塩、アルキル脂肪酸塩等が挙げられる。高分子系界面活性剤としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸−マレイン酸塩コポリマー、オレフィン−マレイン酸塩コポリマー等が挙げられる。
有機顔料の付着効果を考慮すれば、アルコキシシラン、フルオロアルキルシラン、ポリシロキサン等の有機ケイ素化合物、シラン系、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系の各種カップリング剤を用いることが好ましい。
表面改質剤による被覆量は、表面改質剤被覆無機粒子粉末に対してC換算で0.01〜15.0重量%が好ましい。表面改質剤を0.01〜15.0重量%の範囲で処理することにより、無機粒子粉末の粒子表面に有機顔料を効果的に付着することができる。より好ましくは0.02〜12.5重量%であり、更により好ましくは0.03〜10.0重量%である。
本発明における有機顔料としては、一般に、塗料、樹脂組成物及びゴム組成物の着色剤として用いられている赤色系有機顔料、青色系有機顔料、黄色系有機顔料、緑色系有機顔料、橙色系有機顔料、褐色系有機顔料及び紫色系有機顔料等の各種有機顔料を使用することができる。
各種有機顔料の中で、赤色系有機顔料としては、ブリリアントカーミン、パーマネントレッド等のアゾ系顔料、縮合アゾレッド等の縮合アゾ顔料及びジアミノアントラキノニルレッド、キナクリドンレッド、チオインジゴレッド、ペリレンレッド、ペリノンレッド、イソインドリンレッド、ジケトピロロピロールレッド等の縮合多環系顔料、リソールルビンBCA等を用いることができる。青色系有機顔料としては、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー等のフタロシアニン系顔料、インダンスロンブルー、インジゴブルー等の縮合多環系顔料及びアルカリブルーを用いることができる。黄色系有機顔料としては、ハンザエロー等のモノアゾ系顔料、ベンジジンエロー、パーマネントエロー等のジスアゾ系顔料、縮合アゾイエロー等の縮合アゾ顔料及びアントラピリミジンイエロー、イソインドリノンイエロー、イソインドリンイエロー、キノフタロンイエロー等の縮合多環系顔料を用いることができる。緑色系有機顔料としては、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系顔料を用いることができる。橙色系有機顔料としては、パーマネントオレンジ、リソールファストオレンジ、ピラゾロンオレンジ、バルカンファストオレンジ等のアゾ系顔料及びキナクリドン、ペリノンオレンジ、イソインドリノンオレンジ、イソインドリンオレンジ、ジケトピロロピロールオレンジ等の縮合多環系顔料を用いることができる。褐色系有機顔料としては、パーマネントブラウン、パラブラウン、ベンズイミダゾロンブラウン等のアゾ系顔料及びチオインジゴブラウン等の縮合多環系顔料を用いることができる。紫色系有機顔料としては、ファストバイオレット等のアゾ系顔料及び無置換キナクリドン、ジオキサジンバイオレット、ペリレンバイオレット等の縮合多環系顔料を用いることができる。本発明に用いられる有機顔料としては、以上に例示した顔料に限られるものではない。
有機顔料の付着量は、無機粒子粉末の表面積によっても異なるが、無機粒子粉末100重量部に対して0.1〜500重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜400重量部、更により好ましくは1〜300重量部である。0.1重量部未満の場合には、本発明の目的とする高い黒色度を有する黒色複合粒子粉末を得ることが困難となる。また、500重量部を超える場合には、均一性の高い有機顔料の付着層を形成することが困難となる。
本発明に係る黒色複合粒子の粒子形状や粒子サイズは、芯粒子である無機粒子の粒子形状や粒子サイズに大きく依存し、芯粒子に相似する粒子形態を有している。
本発明に係る黒色複合粒子粉末の粒子形状は、球状、粒状、針状、紡錘状、米粒状、フレーク状、板状及び不定形等のいずれの形状であってもよい。
本発明に係る黒色複合粒子粉末の粒子サイズは、用途に応じて適宜選べばよいが、好ましくは、平均一次粒子径が0.001〜10.0μmであり、より好ましくは0.003〜9.5μm、更により好ましくは0.005〜9.0μmである。平均一次粒子径が10.0μmを超える場合には、粒子サイズが大きすぎるため、着色力が低下し、好ましくない。
本発明に係る黒色複合粒子の一次粒子の粒子径の幾何標準偏差値は2.0以下が好ましく、より好ましくは1.8以下、更に好ましくは1.5以下である。2.0を超える場合には、黒色複合粒子粉末の粒度分布が広く、ビヒクルや樹脂あるいはモノマー中における分散性が低下するため好ましくない。
本発明に係る黒色複合粒子粉末のBET比表面積値は0.5m/g以上が好ましい。BET比表面積値が0.5m/g未満の場合には、粗大粒子となって着色力が低下し、樹脂組成物などの着色材としては好ましくない。着色力を考慮すると、BET比表面積値は、より好ましくは1.0m/g以上、更により好ましくは1.5m/g以上である。塗料用組成物中における分散性及び分散安定性、及び樹脂組成物中における分散性を考慮すると、その上限値は500m/g程度であり、好ましくは400m/g、より好ましくは300m/gである。
本発明に係る黒色複合粒子粉末の明度(L値)は、32.0以下であり、好ましくは30.0以下、より好ましくは28.0以下である。また、彩度(C値)は7.0以下であり、好ましくは6.0以下、より好ましくは5.0以下である。明度及び彩度が上記範囲を外れる場合は、黒色度が優れているとは言い難い。
本発明に係る黒色複合粒子粉末の体積固有抵抗値は、1.0×10Ω・cm以上が好ましく、より好ましくは1.0×10Ω・cm〜1.0×1014Ω・cmであり、さらに好ましくは1.0×10〜1.0×1014Ω・cmである。体積固有抵抗値が1.0×10Ω・cm未満の場合には、体積固有抵抗値が低すぎるため、高い絶縁性を求められる用途に対しては不向きである。
本発明に係る黒色複合粒子粉末の可視領域(400〜700μm−1)における光吸収性は、後述する評価方法により光反射率として10.0%以下が好ましく、より好ましくは7.5%以下、更により好ましくは5.0%以下である。光反射率が10.0%を超える場合には、光遮蔽性が弱く、可視光領域における光の透過を嫌う用途には不向きである。
本発明に係る黒色複合粒子粉末は、高い黒色度や電気抵抗値を要求される各種用途の着色材として用いることができる。具体的には、溶剤系塗料又は水系塗料や各種モノマー及び樹脂組成物等に好適に用いることができる。
塗料用途としては、本発明に係る黒色複合粒子粉末及び溶剤からなり、必要により、樹脂、溶剤、必要により油脂、消泡剤、体質顔料、乾燥促進剤、界面活性剤、硬化促進剤、助剤等を配合し、希釈・分散することにより用いられる。
水系塗料の溶剤としては、水と水系塗料用に通常使用されているエチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のグリコールエーテル系溶剤、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレン又はオキシプロピレン付加重合体、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール等のアルキレングリコール、グリセリン、2−ピロリドン等の水溶性有機溶剤とを混合して使用することができる。
溶剤系塗料の溶剤としては、溶剤系塗料用に通常使用されている大豆油、トルエン、キシレン、シンナー、ブチルアセテート、メチルアセテート、メチルイソブチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル系溶剤、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素系溶剤、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素系溶剤、ミネラルスピリット等の石油系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系溶剤、脂肪族炭化水素等を用いることができる。
水系塗料用樹脂としては、水系塗料用や水性インクに通常使用されている水溶性アクリル樹脂、水溶性スチレン−マレイン酸樹脂、水溶性アルキッド樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性ウレタンエマルジョン樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性ポリエステル樹脂等を用いることができる。溶剤系塗料用樹脂としては、溶剤系塗料用や油性印刷インクに通常使用されているアクリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂、ガムロジン、ライムロジン等のロジン系樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂、ニトロセルロース、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂等のロジン変性樹脂、石油樹脂等を用いることができる。
油脂としては、あまに油、きり油、オイチシカ油、サフラワー油等の乾性油を加工したボイル油を用いることができる。
消泡剤としては、ノプコ8034(商品名)、SNデフォーマー477(商品名)、SNデフォーマー5013(商品名)、SNデフォーマー247(商品名)、SNデフォーマー382(商品名)(以上、いずれもサンノプコ株式会社製)、アンチホーム08(商品名)、エマルゲン903(商品名)(以上、いずれも花王株式会社製)等の市販品を使用することができる。
本発明に係る黒色複合粒子粉末を用いることにより、得られた塗料は分散安定性が向上すると共に、これを用いて得られた塗布膜は、高い電気抵抗値並びに優れた黒色度及び耐光性を得ることができる。
次に、樹脂用途としては、本発明に係る黒色複合粒子粉末及び周知の熱可塑性樹脂とともに、必要により、滑剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、各種安定剤等の添加剤が配合される。
樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブチレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−EPDM−スチレン共重合体、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ロジン・エステル、ロジン、天然ゴム、合成ゴム等を用いることができる。
また、本発明に係る黒色複合粒子粉末を用いた樹脂の着色方法として、本発明に係る黒色複合粒子粉末をモノマー中に分散させた後、重合させることによる方法を用いてもよい。
重合方法は特に限定されず、乳化重合、懸濁重合等、いずれの方法を用いることができるが、乳化重合の場合、ポリマー中に乳化剤が残留し易く電気抵抗値を低下させる場合があるため、好ましくは懸濁重合である。
重合用モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、等の不飽和カルボン酸類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル類、ジビニルベンゼン類、スチレン系モノマー、ジエン系モノマー等を用いることができる。
本発明に係る黒色複合粒子粉末を用いることにより、得られた樹脂組成物は高い電気抵抗値及び優れた黒色度及び耐光性を得ることができる。
次に、本発明に係る黒色複合粒子粉末の製造法について述べる。
本発明1に係る黒色複合粒子粉末は、芯粒子である無機粒子の粒子表面に有機顔料を付着させることによって得ることができる。
芯粒子の粒子表面に有機顔料を付着させる方法としては、本発明の目的とする特性を満たすものであれば特に限定するものではなく、例えば、湿式処理、メカノケミカル処理等によって得ることができる。
本発明2に係る黒色複合非磁性粒子粉末は、無機粒子粉末と表面改質剤とを混合し、無機粒子粉末の粒子表面を表面改質剤によって被覆し、次いで表面改質剤によって被覆された無機粒子粉末と有機顔料とを混合することによって得ることができる。
無機粒子粉末の粒子表面への表面改質剤による被覆は、無機粒子粉末と表面改質剤又は表面改質剤の溶液とを機械的に混合攪拌したり、無機粒子粉末に表面改質剤の溶液又は表面改質剤を噴霧しながら機械的に混合攪拌すればよい。
無機粒子粉末と表面改質剤との混合攪拌、有機顔料と粒子表面に表面改質剤が被覆されている無機粒子粉末との混合攪拌をするための機器としては、粉体層にせん断力を加えることのできる装置が好ましく、殊に、せん断、へらなで及び圧縮が同時に行える装置、例えば、ホイール型混練機、ボール型混練機、ブレード型混練機、ロール型混練機を用いることができ、ホイール型混練機がより効果的に使用できる。
前記ホイール型混練機としては、エッジランナー(「ミックスマラー」、「シンプソンミル」、「サンドミル」と同義語である)、マルチマル、ストッツミル、ウエットパンミル、コナーミル、リングマラー等があり、好ましくはエッジランナー、マルチマル、ストッツミル、ウエットパンミル、リングマラーであり、より好ましくはエッジランナーである。前記ボール型混練機としては、振動ミル等がある。前記ブレード型混練機としては、ヘンシェルミキサー、プラネタリーミキサー、ナウターミキサー等がある。前記ロール型混練機としては、エクストルーダー等がある。
無機粒子粉末の粒子表面に表面改質剤を被覆した後、有機顔料を添加し、混合攪拌して表面改質剤被覆無機粒子表面に有機顔料を付着させる。3色以上の有機顔料は、別々に添加してもよいし、あらかじめ混合しておいたものを添加してもよい。また、有機顔料は処理量にもよるが、少量ずつを時間をかけながら、殊に5分〜12時間、好ましくは5分〜10時間程度をかけて添加するか、もしくは、無機粒子粉末100重量部に対して5〜25重量部の有機顔料を、所望の添加量となるまで分割して添加することが好ましい。
表面改質剤被覆無機粒子表面に有機顔料を付着させた後、必要により更に、乾燥乃至加熱処理を行ってもよい。乾燥乃至加熱処理を行う場合の加熱温度は、通常40〜80℃が好ましく、より好ましくは50〜70℃であり、加熱時間は、10分〜6時間が好ましく、30分〜3時間がより好ましい。
なお、表面改質剤としてアルコキシシラン及びフルオロアルキルシランを用いた場合には、これらの工程を経ることにより、最終的にはアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物又はフルオロアルキルシランから生成するフッ素含有オルガノシラン化合物となって被覆されている。
<作用>
本発明において最も重要な点は、無機粒子粉末の粒子表面に少なくとも3色以上の有機顔料を混合して得られた混合顔料が付着している黒色複合粒子粉末は、高い黒色度及び体積固有抵抗値並びにシャープな粒子径分布を有すると共に、可視光領域において優れた光吸収性を有するという事実である。
本発明に係る黒色複合粒子粉末が、シャープな粒子径分布を有する理由について、本発明者は、通常、3種もしくはそれ以上の有機顔料を単に混合した場合、見かけ上黒色の粒子を得ることができるが、各有機顔料の分散性や平均一次粒子径はそれぞれ異なるため、得られた混合顔料は粒子サイズに非常に大きなバラツキが生じるが、本発明に係る黒色複合粒子粉末の場合、比較的粒度分布の揃った無機粒子粉末の粒子表面に有機顔料を均一に付着させるため、有機顔料を単にミックスして得られたた黒色顔料とは異なり、シャープな粒子径分布を得ることができたものと考えている。
以下、本発明における実施例を示し、本発明を具体的に説明する。
粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡を用いて写真撮影を行い、そこに示された粒子350個の粒子径をそれぞれ測定し、その平均値で示した。
粒子径の粒度分布は、下記の方法により求めた幾何標準偏差値で示した。
即ち、上記拡大写真に示される粒子の粒子径を測定した値を、その測定値から計算して求めた粒子の実際の粒子径と個数から統計学的手法に従って対数正規確率紙上に横軸に粒子径を、縦軸に所定の粒子径区間のそれぞれに属する粒子の累積個数(積算フルイ下)を百分率でプロットする。そして、このグラフから粒子の個数が50%及び84.13%のそれぞれに相当する粒子径の値を読みとり、幾何標準偏差値=積算フルイ下84.13%における粒子径/積算フルイ下50%における粒子径(幾何平均径)に従って算出した値で示した。幾何標準偏差値が1に近いほど、粒子径の粒度分布が優れていることを意味する。
比表面積値は、BET法により測定した値で示した。
無機粒子粉末の粒子表面に被覆されている表面改質剤の被覆量及び黒色複合粒子粉末に付着している有機顔料の被覆量は、「堀場金属炭素・硫黄分析装置EMIA−2200型」(株式会社堀場製作所製)を用い、下記手順で炭素量を測定することにより求めた。
あらかじめ、芯粒子である無機粒子粉末の単位重量当たりの炭素量を測定しておき、次いで、黒色複合粒子粉末の炭素量を測定し、単位重量当たりの炭素量の変化量から、有機顔料の付着量を求めた。
無機粒子粉末及び黒色複合粒子粉末の明度(L値)及び彩度(c値)は、試料0.5gとヒマシ油0.75mlとをフーバー式マーラーで練ってペースト状とし、このペーストにクリアーラッカー4.5gを加え、混練、塗料化してキャストコート紙上に150μmのアプリケーターを用いて塗布して塗布片を作製し、該塗布片について、「分光測色計 CM−3610d」(ミノルタ株式会社製)を用いてL値及びc値を測定した。
無機粒子粉末及び黒色複合粒子粉末の各体積固有抵抗値は、下記の方法で測定用試料を作製し該測定用試料の体積固有抵抗値を測定することにより求めた。
測定試料0.5gを測り取り、KBr錠剤成形器(株式会社島津製作所)を用いて、1.372×10Pa(140Kg/cm)の圧力で加圧成形を行い、円柱状の被測定試料を作製した。
次いで、被測定試料を温度25℃、相対湿度60%環境下に12時間以上暴露した後、この被測定試料をステンレス電極の間にセットし、ホイートストンブリッジ(TYPE2768 横河北辰電気株式会社製)で15Vの電圧を印加して抵抗値R(Ω)を測定した。
次いで、被測定(円柱状)試料の上面の面積A(cm)と厚みt(cm)を測定し、下記数1にそれぞれの測定値を挿入して、体積固有抵抗値(Ω・cm)を求めた。
<数1>
体積固有抵抗値(Ω・cm)=R×(A/t
黒色複合粒子粉末の可視光領域における光吸収性は、前述の明度及び彩度を測定するために作製した塗布片を「分光測色計 CM−3610d」(ミノルタ株式会社製)を用いて反射率(%)を測定した。反射率は、塗布片に照射された光のうち塗布片上の塗布層に吸収されなかった光が検出器によって検出された値であるため、反射率が低いほど、塗布層に光が吸収されたこと、即ち光吸収性が高いことを示す。
溶剤系塗料の分散安定性は、後述する処方によって調製した各塗料をキャストコート紙上に150μm(6mil)のアプリケーターを用いて塗布して塗布片を作製し、得られた塗膜のL値、a値及びb値と、該塗料用着色組成物を25℃において1週間静置して得られた各塗料用着色組成物をキャストコート紙上に塗布、乾燥して得られた塗膜のL値、a値及びb値を「分光測色計 CM−3610d」(ミノルタ株式会社製)を用いて測定し、下記数2に従って得られたΔE値で示した。
<数2>
ΔE値=((ΔL値)+(Δa値)+(Δb値)1/2
ΔL値: 比較する試料の放置前後のL値の差
Δa値: 比較する試料の放置前後のa値の差
Δb値: 比較する試料の放置前後のb値の差
溶剤系塗料からなる塗膜の光沢度は、後述する処方によって調製した各塗料をキャストコート紙上に150μmの厚みで塗布、乾燥して塗膜を形成して得られた測定用塗布片を「グロスメーター UGV−5D」(スガ試験機株式会社製)を用いて入射角60°の時の光沢度で示した。光沢度が高いほど、黒色複合粒子粉末を配合した塗料の分散性が優れていることを示す。
溶剤系塗料を用いて得られた塗膜の明度(L値)及び彩度(c値)は、前述の塗膜の光沢度を測定するために作製した測定用塗布片について、「分光測色計 CM−3610d」(ミノルタ株式会社製)を用いてL値及びc値を測定した。
溶剤系塗料を用いて得られた塗布膜の電気抵抗値(Ω/cm)は、後述する処方によって調製した各塗料を塗布した被測定塗膜を25℃、相対温度60%環境下に12時間以上暴露した後、幅6.5mmの金属製の電極に、幅6mmにスリットした塗膜を、塗布面が金属製電極に接触するように置き、その両端に各170gのおもりを付け、電極に塗布膜を密着させた後、電極間に500Vの直流電圧をかけて電気抵抗値を測定した。
溶剤系塗料を用いて得られた塗膜の耐光性は、後述する処方によって調製した各塗料を冷間圧延鋼板(0.8mm×70mm×150mm)(JIS G−3141)に150μmの厚みで塗布、乾燥して塗膜を形成して得られた測定用塗布片の半分を金属製フォイルで覆い、「アイ スーパーUVテスター」(SUV−W13(岩崎電気株式会社製))を用いて、紫外線を照射強度100mW/cmで6時間連続照射した後、金属製フォイルで覆うことによって紫外線が照射されなかった部分と紫外線照射した部分との色相(L値、a値、b値)をそれぞれ測定し、紫外線が照射されなかった部分の測定値を基準に、前記数4に従って算出したΔE値によって示した。
<数4>
ΔE値=((ΔL値)+(Δa値)+(Δb値)1/2
ΔL値: 比較する試料の紫外線照射有無のL値の差
Δa値: 比較する試料の紫外線照射有無のa値の差
Δb値: 比較する試料の紫外線照射有無のb値の差
<実施例1:黒色複合粒子粉末の製造>
無機粒子粉末(種類:シリカ、粒子形状:粒状、平均粒子径:0.014μm、幾何標準偏差値:1.32、BET比表面積値:200.4m/g、L値:93.93、c値:4.81、)5.0kgをエッジランナー「MPUV−2型」(製品名、株式会社松本鋳造鉄工所製)に投入し、次いで、メチルハイドロジェンポリシロキサン(商品名:TSF484:GE東芝シリコーン株式会社製)200gを、エッジランナーを稼動させながらシリカ粒子粉末に添加し、588N/cmの線荷重で20分間混合攪拌を行った。
次に、有機顔料B(種類:ピグメントブルー(フタロシアニン系顔料)、平均一次粒子径:85nm、BET比表面積値:83.6m/g、L値:24.45、a値:6.03、b値:−12.60、C値:13.97)3.0kgと有機顔料R(種類:ピグメントレッド(ジケトピロロピロール系顔料)、平均一次粒子径:128nm、BET比表面積値:81.6m/g、L値:37.97、a値:43.26、b値:23.20、C値:49.09)0.5kg及び有機顔料Y(種類:ピグメントイエロー(アゾ系顔料)、平均一次粒子径:416nm、BET比表面積値:33.7m/g、L値:80.04、a値:13.13、b値:89.65、C値:90.61)1.5kgをあらかじめよく混合しておいた混合顔料を、エッジランナーを稼動させながら1時間おきに1.0kgづつ5時間かけて添加し、更に588N/cmの線荷重で120分間、混合攪拌を行い、メチルハイドロジェンポリシロキサン被覆の上に混合顔料を付着させて黒色複合粒子粉末を得た。なお、このときの撹拌速度は22rpmで行った。
得られた黒色複合粒子粉末は、平均一次粒子径が0.018μmの粒状粒子粉末であった。粒子径の幾何標準偏差値は1.33、BET比表面積値は62.9m/g、明度(L値)は25.1、彩度(c値)は0.7、体積固有抵抗値は1.7×1011Ω・cm、光の吸収性は4.4%であった。メチルハイドロジェンポリシロキサンの被覆量はSi換算で1.60重量%であり、付着している有機顔料の量は、C換算で29.5重量%であった。
電子顕微鏡写真観察の結果、有機顔料がほとんど認められないことから、有機顔料のほぼ全量がメチルハイドロジェンポリシロキサン被覆に付着していることが認められた。
<参考使用例1:黒色複合粒子粉末を含む溶剤系塗料の製造>
前記黒色複合粒子粉末10gとアミノアルキッド樹脂及びシンナーとを下記割合で配合して3mmφガラスビーズ90gと共に140mlのガラスビンに添加し、次いで、ペイントシェーカーで90分間混合分散し、ミルベースを作製した。
黒色複合粒子粉末 3.8重量部、
アミノアルキッド樹脂 20.3重量部、
(アミラックNo.1026:関西ペイント株式会社製)
シンナー 12.7重量部。
前記ミルベースを用いて、下記割合となるようにアミノアルキッド樹脂を配合し、ペイントシェーカーで更に15分間混合分散して、黒色複合粒子粉末を含む溶剤系塗料を得た。
ミルベース 36.7重量部、
アミノアルキッド樹脂 63.3重量部。
(アミラックNo.1026:関西ペイント株式会社製)
得られた溶剤系塗料の分散安定性はΔE値で0.85であった。
次いで、前記溶剤系塗料を塗布、乾燥して得られた塗膜の光沢度は93%、明度L値は26.2、彩度C値は1.1、電気抵抗値は2.7×1012Ω/cm、耐光性ΔE値は3.18であった。
前記実施例1及び使用例1に従って黒色複合粒子粉末及び溶剤系塗料を作製した。各製造条件及び得られた黒色複合粒子粉末及び溶剤系塗料の諸特性を示す。
無機粒子1〜4:
無機粒子粉末として表1に示す特性を有する無機粒子粉末を用意した。
Figure 0004868126
有機顔料:
有機顔料として表2に示す諸特性を有する有機顔料を用意した。
Figure 0004868126
実施例2〜6、比較例1〜3:
表面改質剤による被覆工程における添加物の種類、添加量、有機顔料の付着工程における有機顔料の種類、添加量を種々変化させた以外は、前記実施例1と同様にして黒色複合粒子粉末を得た。
なお、いずれの実施例及び比較例においても、有機顔料はあらかじめよく混合したものを用いた。また、実施例2では、無機粒子粉末100重量部に対して、混合顔料:100重量部を20重量部づつ5回に分けて添加した。実施例3では、無機粒子粉末100重量部に対して、混合顔料:50重量部を25重量部づつ2回に分けて添加した。実施例5では、無機粒子粉末100重量部に対して、混合顔料:200重量部を25重量部づつ8回に分けて添加した。
このときの製造条件を表3に、得られた黒色複合粒子粉末の諸特性を表4に示す。
Figure 0004868126
Figure 0004868126
実施例2〜6の各実施例で得られた黒色複合粒子粉末は、電子顕微鏡観察の結果、有機顔料がほとんど認められないことから、有機顔料のほぼ全量が表面改質剤被覆無機粒子に付着していることが確認された。
<溶剤系塗料>
使用例1〜6、比較使用例1〜3:
着色粒子粉末の種類を種々変化させた以外は、前記参考使用例1と同様にして溶剤系塗料を得た。
このときの製造条件及び得られた溶剤系塗料の諸特性を表5に示す。
Figure 0004868126
本発明に係る有色微小複合粒子粉末及び分散体は、一般的に使用されている塗料、印刷インキ等、水系又は溶剤系を問わず様々な用途の着色材として使用することができる。

Claims (3)

  1. 無機粒子粉末の粒子表面に少なくとも3色以上の有機顔料が付着している複合粒子粉末からなり、JIS Z 8729に定める表色指数により前記複合粒子粉末の明度(L値)が32.0以下、彩度(c値)が7.0以下であって、体積固有抵抗値が1.0×10 Ω・cm以上であることを特徴とする黒色複合粒子粉末。
  2. 無機粒子粉末の粒子表面が表面改質剤によって被覆されていると共に該表面改質剤被覆無機粒子の粒子表面に少なくとも3色以上の有機顔料が付着している複合粒子粉末からなり、JIS Z 8729に定める表色指数により前記複合粒子粉末の明度(L値)が32.0以下、彩度(c値)が7.0以下であって、体積固有抵抗値が1.0×10 Ω・cm以上であることを特徴とする黒色複合粒子粉末。
  3. 有機顔料が赤色系有機顔料、青色系有機顔料、黄色系有機顔料、緑色系有機顔料、紫色系有機顔料、橙色系有機顔料及び褐色系有機顔料から選ばれることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の黒色複合粒子粉末。
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