JP2008063496A - 路面標示材料用着色材及び該路面標示材料用着色材を用いた路面標示材料用塗料組成物 - Google Patents

路面標示材料用着色材及び該路面標示材料用着色材を用いた路面標示材料用塗料組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、有害な元素を含有しないとともに、着色力、隠蔽力、耐光性及び耐熱性に優れ、且つ、高い流動性を有する路面標示材料用着色材及び経時に伴う色相変化が抑制され、且つ、路面標示用塗料の粘度を低減することのできる、該着色材を配合してなる路面標示材料用塗料組成物に関するものである。
【解決手段】 無機粒子粉末の粒子表面が表面改質剤によって被覆されていると共に該表面改質剤被覆無機粒子の粒子表面に有機顔料が付着している複合粒子粉末からなり、該複合粒子粉末の粒度分布が少なくとも2つ以上のピークを有することを特徴とする路面標示材料用着色材、および、該着色材、結着剤樹脂及び充填材からなる路面標示材料用塗料組成物である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、有害な元素を含有しないとともに、着色力、隠蔽力、耐光性及び耐熱性に優れ、且つ、高い流動性を有する路面標示材料用着色材及び経時に伴う色相変化が抑制され、且つ、路面標示用塗料の粘度を低減することのできる、該着色材を配合してなる路面標示材料用塗料組成物に関するものである。
従来、交通法規の遵守及び交通事故の防止・減少を図ることを目的に、区画線及び道路標示等に、白や黄色の路面標示用材料が用いられている。
一方、近年では、種々の文字や複雑なマークを路面標示として用いることも多くなっており、スクールゾーンや自転車道などに、緑色やレンガ色などの色相の路面標示材料が使用されている他、コミュニティ広場や買い物道路、ジョギングコース、サイクリングロード、遊歩道、公園等に、環境美化やPR効果を期待して、デザイン化されたカラーマークの要望も多く出されている。
路面標示材料は、JIS K 5665により、ペイント式常温用(1種)、ペイント式加熱用(2種)、溶融式(3種)に分類されている他、上記カラーマークに対応して、貼り付け式路面標示材料(加熱接着タイプ、常温接着タイプ)がある。
路面標示材料は、上記いずれの場合も、屋外において長期に亘って用いられることから、敷設後の経時変化に伴う色相変化が少ないことが要求される。色相変化を引き起こす要因としては、紫外線や酸性雨等による着色顔料の変色及び樹脂の劣化等が知られており、路面標示材料に用いられる着色材には、高い耐候性が必要とされている。
また、上記路面標示材料のうち、殊に、溶融式(3種)の場合、200℃前後の高温で加熱溶融させて用いるため、この用途に用いられる着色材には、高温の加熱によって変色しない耐熱性が求められている。
更に、アスファルトやコンクリート等の路面を隠蔽し、目的とする色相を発現させるため、路面標示材料に用いられる着色材には、隠蔽力及び着色力に優れていることが求められている。
路面標示材料の中でも、道路標示における「黄色」は、その目的が交通上の「規制」、「警戒」を表わす色として、道路利用者にとっては大きな意味を持っており、「道路標示黄色」として、警察庁より色相が統一されている。
現在、黄色の路面標示材料用顔料としては、耐熱性、耐候性が優れると共に、鮮明な色相が得られることから、黄鉛が主に用いられているが、黄鉛は、クロムや鉛等の重金属を含有しており、衛生面、安全性面及び環境汚染防止の観点から、代替となる黄色顔料が望まれている。
黄鉛以外の路面標示材料用黄色顔料としては、チタンイエロー、含水酸化鉄、バナジウム酸ビスマス等の無機顔料及びアゾ系、イソインドリノン系、アンスラキノン系等の黄色系有機顔料が知られている。
しかしながら、前記無機顔料は、耐熱性及び耐候性は優れているが、着色力が小さいと共に、鮮明な色相が得られにくく、一方、前記有機顔料は、色相は鮮明であるが、隠蔽力が小さく、耐熱性及び耐光性が劣ることから、いずれにしても、黄鉛代替として満足のできる特性を得ることは困難であった。
また、路面標示材料用顔料として有機顔料を用いたり、色相の鮮明さ及び着色力を向上するために粒子径を微細化した場合には、路面標示材料用塗料組成物の流動性が悪くなり、施工時間の増大を招くことから、路面標示材料の施工時における施工性、流動性の改良要請はますます強まりつつある。
これまでに、黄鉛代替の黄色顔料として、環境汚染等の問題がなく、耐候性、耐熱性等を改善することを目的として、無機顔料と有機顔料とを組み合わせる技術が試みられている(特許文献1乃至特許文献5)。
また、環境汚染等の問題がなく、更に、経時に伴う色相変化が抑制され、且つ、再帰反射性に優れた路面標示材料を得ることを目的として、無機粒子の粒子表面が糊剤によって被覆されていると共に該糊剤被覆に有機顔料が付着している複合粒子粉末からなる路面標示材料用着色材が提案されている(特許文献6)。
特開平4−132770号公報 特開平7−331113号公報 特開平8−209030号公報 特開平9−100420号公報 特開2001−220550号公報 特開2004−91599号公報
有害な元素を含有しないとともに、着色力、隠蔽力、耐光性及び耐熱性に優れ、且つ、高い流動性を有する路面標示材料用着色材は、現在最も要求されているところであるが、未だ得られていない。
即ち、前出特許文献1乃至2には無機顔料の存在下で有機顔料を析出させる方法が、特許文献3には有機顔料と屈折率2.2以上の無機顔料及びカップリング剤を混合機に入れ、攪拌混合することにより無機顔料表面に有機顔料を付着させる方法が、特許文献4乃至5には着色剤としてバナジン酸ビスマス又は有機黄色顔料と無機顔料とを含む顔料組成物を用いることが記載されているが、いずれも無機顔料への有機顔料の付着強度が十分ではないため、遊離した有機顔料によって路面標示材料用塗料組成物の流動性が悪くなる傾向にある。また、いずれの場合も、着色材及び路面標示材料用塗料組成物の流動性については考慮されておらず、用いる無機顔料についても、平均粒子径の異なる2種以上の無機粒子粉末を用いることについての記載もなされていない。
前出特許文献6には、無機粒子の粒子表面が糊剤によって被覆されていると共に該糊剤被覆に有機顔料が付着している複合粒子粉末からなる路面標示材料用着色材が記載されているが、後出比較例に示すとおり、着色材の流動性については考慮されていない。
そこで、本発明は、有害な元素を含有しないとともに、着色力、隠蔽力、耐光性及び耐熱性に優れ、且つ、高い流動性を有する路面標示材料用着色材を提供することを技術的課題とする。
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
即ち、本発明は、無機粒子粉末の粒子表面が表面改質剤によって被覆されていると共に該表面改質剤被覆無機粒子の粒子表面に有機顔料が付着している複合粒子粉末からなり、該複合粒子粉末の粒度分布が少なくとも2つ以上のピークを有することを特徴とする路面標示材料用着色材である(本発明1)。
また、本発明は、無機粒子粉末として平均粒子径の異なる2種以上の無機顔料を用いることを特徴とする本発明1の路面標示材料用着色材である(本発明2)。
また、本発明は、複合粒子粉末の粒子表面が流動化剤及び/又は可塑剤によって被覆されていることを特徴とする本発明1又は2の路面標示材料用着色材である(本発明3)。
また、本発明は、複合粒子粉末の流動性指数が60以上であることを特徴とする本発明1乃至3の路面標示材料用着色材である(本発明4)。
また、本発明は、少なくとも結着剤樹脂、着色材、充填材からなる路面標示材料用塗料であって、前記着色材として、本発明1乃至4の路面標示材料用着色材を用いることを特徴とする路面標示材料用塗料組成物である(本発明5)。
本発明に係る路面標示材料用着色材は、有害な元素を含有しないとともに、着色力、隠蔽力、耐光性及び耐熱性に優れ、且つ、高い流動性を有するので、路面標示材料の着色材として好適である。
また、本発明に係る路面標示材料用塗料組成物は、上記路面標示材料用着色材を用いることにより、経時に伴う色相変化が抑制され、且つ、路面標示用塗料の粘度を低減することができるため、施工性に優れた路面標示材料用塗料組成物として好適である。
本発明の構成をより詳しく説明すれば次の通りである。
先ず、本発明に係る路面標示材料用着色材について述べる。
本発明に係る路面標示材料用着色材は、無機粒子粉末の粒子表面に有機顔料が付着している複合粒子粉末からなる。
本発明における無機粒子粉末としては、平均粒子径の異なる2種以上の無機顔料を用いる。具体的には、二酸化チタン、酸化ジルコニウム及び酸化亜鉛等の白色顔料、シリカ微粒子(シリカ粉、ホワイトカーボン、微粉ケイ酸、珪藻土等)、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナホワイト、タルク及び透明性酸化チタン等の体質顔料、チタンイエロー、ヘマタイト、含水酸化鉄等の無機顔料を用いることができ、同一種類の無機顔料を組み合わせて用いても、異なる種類の無機顔料を組み合わせて用いてもよい。
無機顔料の粒子形状は、球状、粒状、多面体状、針状、紡錘状、米粒状、フレーク状、鱗片状及び板状等のいずれの形状であってもよい。得られる路面標示材料用着色材の流動性を考慮すれば、同一の粒子形状もしくは球状と粒状、針状と紡錘状のように類似する粒子形状を組み合わせることが好ましい。
無機顔料の各粒子サイズは、平均粒子径が0.01〜10.0μmの範囲のものを用いることができる。平均粒子径が10.0μmを超える場合には、得られる路面標示材料用着色材が粗大粒子となり、着色力が低下するため好ましくない。平均粒子径が0.01μm未満の場合には、粒子の微細化により凝集を起こしやすくなるため、無機粒子の粒子表面への表面改質剤による均一な被覆処理及び有機顔料による均一な付着処理が困難となる。より好ましくは0.02〜5.0μm、更により好ましくは0.03〜3.0μmである。
本発明において、異なる粒子径の無機顔料を組み合わせて用いる無機粒子粉末の大粒子と小粒子の粒径比は、大粒子と小粒子との平均粒子径の比が3.8以上であることが好ましく、より好ましくは4.2以上、更により好ましくは4.6以上である。異なる粒子径を有する無機粒子粉末の平均粒子径の比が3.8未満の場合には、十分な流動性を有する路面標示材料用着色材を得ることが困難となる。
本発明における無機顔料の色相は、目的とする路面標示材料用着色材の色相に応じて適宜選択すればよいが、L値は30.0以上が好ましく、より好ましくは50.0以上、更により好ましくは60.0以上であり、最も好ましくは70.0以上であり、C値は70.0以下が好ましい。調色性を考慮すれば、C値は20.0以下がより好ましく、更により好ましくは15.0以下、最も好ましくは10.0以下である。
本発明に係る路面標示材料用着色材は、路面標示材料用塗料組成物中における流動性及びこれを用いて得られた路面標示材料の耐摩耗性を考慮した場合、芯粒子粉末である無機粒子粉末の粒子表面が表面改質剤によって被覆されている複合粒子からなるものが好ましい。
本発明における表面改質剤としては、無機粒子の粒子表面へ有機顔料を付着できるものであれば何を用いてもよく、アルコキシシラン、フルオロアルキルシラン、シラン系カップリング剤及びオルガノポリシロキサン等の有機ケイ素化合物、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系などのカップリング剤、低分子あるいは高分子界面活性剤等を好適に用いることができる。
有機ケイ素化合物としては、具体的には、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン及びデシルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トルフルオロプロピルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン及びトリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン等のフルオロアルキルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、ポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、変性ポリシロキサン等のオルガノポリシロキサン等が挙げられる。
チタネート系カップリング剤としては、イソプロピルトリステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスフェイト)チタネート、テトラ(2−2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスフェイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられる。
アルミネート系カップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムジイソプロボキシモノエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート等が挙げられる。
ジルコネート系カップリング剤としては、ジルコニウムテトラキスアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビスアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラキスエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリブトキシモノエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート等が挙げられる。
低分子系界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジオクチルスルホンコハク酸塩、アルキルアミン酢酸塩、アルキル脂肪酸塩等が挙げられる。高分子系界面活性剤としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸−マレイン酸塩コポリマー、オレフィン−マレイン酸塩コポリマー等が挙げられる。
有機顔料の付着効果を考慮すれば、アルコキシシラン、フルオロアルキルシラン、ポリシロキサン等の有機ケイ素化合物、シラン系、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系の各種カップリング剤を用いることが好ましい。
表面改質剤による被覆量は、表面改質剤被覆無機粒子粉末に対してC換算で0.01〜15.0重量%が好ましい。表面改質剤を0.01〜15.0重量%の範囲で処理することにより、無機粒子粉末の粒子表面に有機顔料を効果的に付着することができる。より好ましくは0.02〜12.5重量%であり、更により好ましくは0.03〜10.0重量%である。
本発明における有機顔料としては、一般に塗料及び樹脂組成物の着色剤として用いられている赤色系有機顔料、青色系有機顔料、黄色系有機顔料、緑色系有機顔料、橙色系有機顔料、褐色系有機顔料及び紫色系有機顔料等の各種有機顔料を使用することができる。
各種有機顔料の中で、赤色系有機顔料としては、キナクリドンレッド等のキナクリドン顔料、パーマネントカーミン、パーマネントレッド等のアゾ系顔料、縮合アゾレッド等の縮合アゾ顔料及びペリレンレッド等のペリレン顔料を用いることができる。青色系有機顔料としては、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー等のフタロシアニン系顔料及びアルカリブルーを用いることができる。黄色系有機顔料としては、ハンザエロー等のモノアゾ系顔料、ベンジジンエロー、パーマネントエロー等のジスアゾ系顔料及び縮合アゾイエロー等の縮合アゾ顔料を用いることができる。緑色系有機顔料としては、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系顔料を用いることができる。橙色系有機顔料としては、パーマネントオレンジ、リソールファストオレンジ、バルカンファストオレンジ等のアゾ系顔料を用いることができる。褐色系有機顔料としては、パーマネントブラウン、パラブラウン等のアゾ系顔料を用いることができる。紫色系有機顔料としては、ファストバイオレット等のアゾ系顔料を用いることができる。
前記各有機顔料は、要求される色相に応じて混合して用いてもよい。また、必要により、芯粒子である無機粒子の粒子表面に有機顔料からなる有色付着層を複数層設けてもよい。
なお、複数の有色付着層を有する路面標示材料用着色材において、第一有色付着層に付着させる有機顔料と第二有色被覆層以降に付着させる有機顔料は同一であっても、同色で異種類の有機顔料、異色の有機顔料でもいずれでもよい。
全有機顔料の付着量は、無機粒子粉末100重量部に対して1〜500重量部が好ましい。1重量部未満の場合には、無機粒子の粒子表面に付着する有機顔料が少なすぎるため、本発明の目的とする着色力の大きい路面標示材料用着色材を得ることが困難となる。500重量部を超える場合には、有機顔料の付着量が多いため有機顔料が脱離しやすくなり、その結果、路面標示材料中における分散性が低下し、均一な色相を得ることが困難となる。また、脱離した有機顔料により路面標示材料用塗料組成物の流動性が低下するため好ましくない。より好ましくは5〜400重量部であり、更により好ましくは10〜300重量部である。
複数の有色付着層を有する路面標示材料用着色材においては、各有色付着層における有機顔料の付着量は、所望の色相及び特性に応じて前記有機顔料全体での付着量の上限値を超えない範囲で適量を付着させればよい。
本発明に係る路面標示材料用着色材の粒子形状や粒子サイズは、芯粒子である無機粒子の粒子形状や粒子サイズに大きく依存し、芯粒子に相似する粒子形態を有している。
本発明に係る路面標示材料用着色材は、粒度分布として少なくとも2つ以上のピークを有しており、その各々のピークにおける粒子径はいずれも0.01〜10.0μmの範囲であることが好ましい。大粒子の粒子径(大粒子に相当するピークの粒子径)が10.0μmを超える場合には、粒子サイズが大きすぎるため、着色力が低下する。小粒子の粒子径(小粒子に相当するピークの粒子径)が0.01μm未満の場合には、粒子の微細化により凝集を起こしやすくなるため、路面標示材料用塗料組成物中における分散が困難となる。より好ましくは0.02〜5.0μm、更により好ましくは0.03〜3.0μmである。
本発明に係る路面標示材料用着色材の大粒子と小粒子との粒径比は、3.8以上であることが好ましく、より好ましくは4.2以上、更により好ましくは4.6以上である。大粒子と小粒子との粒子径の比が3.8未満の場合には、十分な流動性を得ることが困難である。
本発明に係る路面標示材料用着色材の粒子形状は、球状、粒状、多面体状、針状、紡錘状、米粒状、フレーク状、鱗片状及び板状等のいずれの形状であってもよい。路面標示材料用着色材の流動性を考慮すれば、同一もしくは球状と粒状、針状と紡錘状のように類似する粒子形状を有するものが好ましい。
本発明に係る路面標示材料用着色材の流動性は、パウダーテスターによる流動性指数が60以上が好ましく、より好ましくは65以上である。パウダーテスターによる流動性指数が60以下である場合には、十分な流動性を有しているとは言えず、路面標示材料用塗料組成物の粘度を低減することが困難となり、敷設時の施工性が低下するため好ましくない。
本発明に係る路面標示材料用着色材の着色力は、後述する評価方法において、110%以上が好ましく、より好ましくは115%以上、更により好ましくは120%以上である。
本発明に係る路面標示材料用着色材の耐熱性は、後述する評価方法において、180℃以上が好ましい。殊に、JIS K 5665(3種)に規定されている溶融式の路面標示塗料に用いられる場合には、190℃以上が好ましく、より好ましくは200℃以上、更により好ましくは210℃以上である。この場合、耐熱温度が190℃未満の場合には、加熱溶融中に塗料が変色してしまう場合がある。
本発明に係る路面標示材料用着色材の耐光性は、後述する評価方法において、ΔE値で5.0以下が好ましく、より好ましくは4.0以下である。耐光性がΔE値で5.0を超える場合には、路面標示材料用着色材が紫外線等によって変色しやすく、これを用いて得られた路面標示材料は、敷設後の経時変化に伴う色相変化が大きくなるため好ましくない。
本発明に係る路面標示材料用着色材の有機顔料の脱離率は20%以下が好ましく、より好ましくは15%以下である。有機顔料の脱離率が20%を超える場合には、脱離した有機顔料により路面標示材料用塗料組成物中での均一な分散が阻害される場合があるとともに、脱離した部分の無機粒子の色相が粒子表面に現れるため、均一且つ目的とする色相を得ることが困難となる。
本発明に係る路面標示材料用着色材は、必要により、路面標示材料用着色材の粒子表面を、更に、流動化剤及び/又は可塑剤によって被覆しておいてもよく、流動化剤及び/又は可塑剤によって被覆しない場合に比べ、路面表示材料用着色材の流動性が向上すると共に、路面標示材料用塗料組成物の粘度を低減することができる。
本発明における流動化剤としては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス、及びこれらの誘導体、パラフィンワックス、マイクロワックス等の石油系ワックスを用いることができる。路面標示材料用着色材の流動性改善効果を考慮すれば、ポリオレフィンワックスが好ましい。
本発明における可塑剤としては、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル等のフタル酸エステル、大豆油等の植物油、植物油変性アルキド樹脂、ナフテン系、パラフィン系、及びオレフィン系の鉱物油、液状合成ゴム類を単独又は併用して用いることができる。路面標示材料用着色材の流動性改善効果を考慮すれば、フタル酸エステルが好ましい。
流動化剤及び/又は可塑剤による被覆量は、無機粒子粉末100重量部に対して0.1〜30重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜20重量部であり、更により好ましくは1〜10重量部である。0.1重量部未満の場合には、流動化剤及び/又は可塑剤の被覆量が少なすぎるため、路面標示材料用着色材の流動性をより改善することは困難である。30重量部を超える場合には、流動化剤及び/又は可塑剤の被覆量が多すぎるため、得られる路面標示材料の耐汚染性が低下する。
本発明3に係る路面標示材料用着色材は、本発明1に係る路面標示材料用着色材とほぼ同程度の粒子サイズ、流動性、着色力、耐熱性、耐光性及び有機顔料の脱離率を有している。
次に、本発明に係る路面標示材料用着色材を配合した路面標示材料用塗料組成物について述べる。
本発明に係る路面標示材料用着色材を配合した路面標示材料のうち、JIS K 5665(3種)に規定されている溶融式路面標示材料の場合、路面標示材料用塗料組成物の流動性は、後述する評価方法により、3又は4が好ましく、より好ましくは4である。
また、路面標示材料用塗料組成物を用いて得られた路面標示材料は、耐アルカリ性は4又は5が好ましく、より好ましくは5であり、耐摩耗性は200mg以下が好ましく、より好ましくは180mg以下であり、耐光性ΔE値は5.0以下が好ましく、より好ましくは4.0以下であり、耐老化性はΔE値で2.5以下が好ましく、より好ましくは2.0以下である。
本発明に係る路面標示材料中における路面標示材料用着色材の配合割合は、目的とする路面標示材料の色相に応じて路面標示材料構成基材に対して0.1〜60重量%の範囲で使用することができる。殊に、JIS K 5665(3種)に規定されている溶融式路面標示材料の場合は、路面標示材料構成基材に対して0.5〜30重量%の範囲で使用することができる。
路面標示材料構成基材としては、路面標示材料用着色材、樹脂、充填材の他、路面標示材料の種類に応じて必要により、ガラスビーズ(反射材)、可塑剤、溶剤、消泡剤、界面活性剤、助剤等が配合される。
樹脂としては、路面標示用塗料に一般的に使用されている植物油変性アルキド樹脂、ウレタン化アルキド樹脂、ビニル化アルキド樹脂、ビニル樹脂、アクリル樹脂、石油樹脂、ロジン及びその誘導体、テルペン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、キシレン樹脂、メラミン樹脂、フタル酸樹脂、フェノール樹脂、天然ゴム、合成ゴム、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性マレイン酸樹脂、水溶性アルキッド樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性ウレタンエマルジョン樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性ポリエステル樹脂等を単独、もしくは2種以上を混合して用いることができる。
充填材としては、路面標示用塗料に一般的に使用されている炭酸カルシウム、タルク、硅石粉、ガラスビーズ等の体質顔料を用いることができる。
溶剤としては、路面標示用塗料に一般的に使用されているトルエン、キシレン、シンナー等の芳香族系溶剤、メチルイソブチルケトン、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル系溶剤、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤等を単独、もしくは2種以上を混合して用いることができる。
次に、本発明に係る路面標示材料用着色材の製造法について述べる。
本発明に係る路面標示材料用着色材は、無機粒子粉末と表面改質剤とを混合し、無機粒子粉末の粒子表面を表面改質剤によって被覆し、次いで表面改質剤によって被覆された無機粒子粉末と有機顔料とを混合することによって得ることができる。
本発明における無機粒子粉末は、異なる粒子径の無機顔料を組み合わせることによって構成されており、小粒子径の無機顔料と大粒子径の無機顔料との配合比は、1:9〜9:1の範囲にあることが好ましく、より好ましくは2:8〜8:2、更により好ましくは2:8〜7:3の範囲である。
無機粒子粉末の粒子表面への表面改質剤による被覆は、無機粒子粉末と表面改質剤又は表面改質剤の溶液とを機械的に混合攪拌したり、無機粒子粉末に表面改質剤の溶液又は表面改質剤を噴霧しながら機械的に混合攪拌すればよい。
無機粒子粉末と表面改質剤との混合攪拌、有機顔料と粒子表面に表面改質剤が被覆されている無機粒子粉末との混合攪拌をするための機器としては、粉体層にせん断力を加えることのできる装置が好ましく、殊に、せん断、へらなで及び圧縮が同時に行える装置、例えば、ホイール型混練機、ボール型混練機、ブレード型混練機、ロール型混練機を用いることができ、ホイール型混練機がより効果的に使用できる。
前記ホイール型混練機としては、エッジランナー(「ミックスマラー」、「シンプソンミル」、「サンドミル」と同義語である)、マルチマル、ストッツミル、ウエットパンミル、コナーミル、リングマラー等があり、好ましくはエッジランナー、マルチマル、ストッツミル、ウエットパンミル、リングマラーであり、より好ましくはエッジランナーである。前記ボール型混練機としては、振動ミル等がある。前記ブレード型混練機としては、ヘンシェルミキサー、プラネタリーミキサー、ナウターミキサー等がある。前記ロール型混練機としては、エクストルーダー等がある。
無機粒子粉末の粒子表面に表面改質剤を被覆した後、有機顔料を添加し、混合攪拌して表面改質剤被覆無機粒子表面に有機顔料を付着させる。有機顔料は、少量ずつを時間をかけながら、殊に5分〜24時間、好ましくは5分〜20時間程度をかけて添加するか、若しくは、無機粒子粉末100重量部に対して5〜25重量部の有機顔料を、所望の添加量となるまで分割して添加することが好ましい。また、複数の有機顔料を用いて調色を行う場合には、調色に用いる有機顔料を別々に添加してもよいし、あらかじめ混合しておいたものを添加してもよい。
複数の有色付着層を有する路面標示材料用着色材は、有機顔料が付着している複合粒子粉末に、更に表面改質剤を添加して混合攪拌した後、有機顔料を添加して混合攪拌し、最初の有機顔料層上に表面改質剤を介して有機顔料の第2層を形成するか、もしくはこれを繰り返し、2層以上の有機顔料層を付着させてもよい。
表面改質剤被覆無機粒子表面に有機顔料を付着させた後、必要により更に、乾燥乃至加熱処理を行ってもよい。乾燥乃至加熱処理を行う場合の加熱温度は、通常40〜80℃が好ましく、より好ましくは50〜70℃であり、加熱時間は、10分〜6時間が好ましく、30分〜3時間がより好ましい。
なお、表面改質剤としてアルコキシシラン及びフルオロアルキルシランを用いた場合には、これらの工程を経ることにより、最終的にはアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物又はフルオロアルキルシランから生成するフッ素含有オルガノシラン化合物となって被覆されている。
本発明3に係る路面標示材料用着色材は、上記で得られた路面標示材料用着色材を流動化剤及び/又は可塑剤で被覆することによって得ることができる。
路面標示材料用着色材の流動化剤及び/又は可塑剤による被覆は、路面標示材料用着色材と流動化剤及び/又は可塑剤とを機械的に混合攪拌すればよい。
路面標示材料用着色材と流動化剤及び/又は可塑剤との混合攪拌をするための機器としては、前述の無機粒子粉末と表面改質剤との混合攪拌及び有機顔料と粒子表面に表面改質剤が被覆されている無機粒子粉末との混合攪拌をするための機器を用いることができ、ホイール型混練機がより効果的に使用できる。
次に、本発明に係る路面標示材料用塗料組成物に製造法について述べる。
本発明に係る路面標示材料用塗料組成物は、前記路面標示材料用着色材と樹脂、充填材、ガラスビーズ、可塑剤等の路面標示材料構成機材を溶融釜で160〜190℃の温度範囲で加熱混合することによって得ることができる。
以下、本発明における実施例を示し、本発明を具体的に説明する。
無機顔料及び有機顔料の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡を用いて写真撮影を行い、そこに示された粒子350個の粒子径をそれぞれ測定し、その平均値で示した。
路面標示材料用着色材の大粒子の粒子径と小粒子の粒子径の比は、上記と同様にして粒子径を測定し、その最大ピークの粒子径と最小ピークの粒子径の比から求めた。
無機粒子粉末の粒子表面に被覆されている表面改質剤の被覆量及び路面標示材料用着色材に付着している有機顔料及び路面標示材料用着色材の粒子表面に被覆されている流動化剤、可塑剤の被覆量は、「堀場金属炭素・硫黄分析装置EMIA−2200型」(株式会社堀場製作所製)を用い、下記手順で炭素量を測定することにより求めた。
無機顔料の明度(L値)及び彩度(C値)、並びに有機顔料の色相(L値、a値、b値、C値)は、JIS K 5101のフーバー式マーラー法に従い、試料0.5gとヒマシ油0.75mlとをフーバー式マーラーで練ってペースト状とし、このペーストにクリアーラッカー4.5gを加え、混練、塗料化してキャストコート紙上に150μmのアプリケーターを用いて塗布して塗布片を作製し、該塗布片について、「分光測色計 CM−3610d」(ミノルタ株式会社製)を用いて測定を行い、JIS Z 8929に定めるところに従って表色指数で示した。
路面標示材料用着色材の着色力は、まず下記に示す方法に従って作製した原色エナメルと展色エナメルのそれぞれを、キャストコート紙上に150μm(6mil)のアプリケーターを用いて塗布して塗布片を作製し、該塗布片について、「分光測色計 CM−3610d」(ミノルタ株式会社製)を用いてL値を測色し、その差をΔL値とした。
次いで、路面標示材料用着色材の標準試料として、路面標示材料用着色材と同様の割合で有機顔料と無機粒子粉末とを単に混合した混合顔料を用いて、上記と同様にして原色エナメルと展色エナメルの塗布片を作製し、各塗布片のL値を測色し、その差をΔLs値とした。
得られた路面標示材料用着色材のΔL値と標準試料のΔLs値を用いて下記数1に従って算出した値を着色力(%)として示した。
<数1>
着色力(%)=100+{(ΔLs値−ΔL値)×10}
原色エナメルの作製:
上記試料粉体3gとアミノアルキッド樹脂16g及びシンナー10gとを配合して3mmφガラスビーズ90gと共に140mlのガラスビンに添加し、次いで、ペイントシェーカーで60分間混合分散した後、アミノアルキッド樹脂50gを追加し、更に5分間ペイントシェーカーで分散させて、原色エナメルを作製した。
展色エナメルの作製:
上記原色エナメル12gとアミラックホワイト(二酸化チタン分散アミノアルキッド樹脂)40gとを配合し、ペイントシェーカーで15分間混合分散して、展色エナメルを作製した。
有機顔料及び路面標示材料用着色材の耐光性は、前述の着色力を測定するために作製した原色エナメルを、冷間圧延鋼板(0.8mm×70mm×150mm)(JIS G3141)に150μmの厚みで塗布、乾燥して塗膜を形成し、得られた測定用塗布片の半分を金属製フォイルで覆い、「アイ スーパーUVテスター SUV−W13」(岩崎電気株式会社製)を用いて、紫外線を照射強度100mW/cmで6時間連続照射した後、金属製フォイルで覆うことによって紫外線が照射されなかった部分と紫外線照射した部分との色相(L値、a値、b値)をそれぞれ測定し、紫外線が照射されなかった部分の測定値を基準に、下記数2に従って算出したΔE値によって示した。
<数2>
ΔE値=((ΔL値)+(Δa値)+(Δb値)1/2
ΔL値: 比較する試料の紫外線照射有無のL値の差
Δa値: 比較する試料の紫外線照射有無のa値の差
Δb値: 比較する試料の紫外線照射有無のb値の差
路面標示材料用着色材の流動性は、「パウダテスター」(ホソカワミクロン株式会社製)を用いて、安息角(度)、圧縮度(%)、スパチュラ角(度)、凝集度の各粉体特性値を測定し、該各測定値を同一基準の数値に置き換えた各々の指数を求め、各々の指数を合計した流動性指数で示した。流動性指数が100に近いほど、流動性が優れていることを意味する。
路面標示材料用着色材の耐熱性は、熱分析装置SSC5000(セイコー電子工業株式会社製)を用いて被測定粒子粉末の示差走査熱量測定(DSC)を行い、得られた該DSCチャート上に示されるピークを形成する2つの変曲点のうち、最初の変曲点を構成する2つの曲線のそれぞれについて接線を引き、両接線の交点に対応する温度を読み取って、その温度で示した。
路面標示材料用着色材に付着している有機顔料の脱離率(%)は、下記の方法により求めた値で示した。有機顔料の脱離率が0%に近いほど、路面標示材料用着色材の粒子表面からの有機顔料の脱離量が少ないことを示す。
被測定粒子粉末3gとエタノール40mlを50mlの沈降管に入れ、20分間超音波分散を行った後、120分静置し、比重差によって被測定粒子粉末と脱離した有機顔料を分離した。次いで、この被測定粒子粉末に再度エタノール40mlを加え、更に20分間超音波分散を行った後120分静置し、被測定粒子粉末と脱離した有機顔料を分離した。この被測定粒子粉末を100℃で1時間乾燥させ、前述の「堀場金属炭素・硫黄分析装置EMIA−2200型」(株式会社堀場製作所製)を用いて炭素量を測定し、下記数3に従って求めた値を有機顔料の脱離率(%)とした。
<数3>
有機顔料の脱離率(%)={(Wa−We)/Wa}×100
Wa:路面標示材料用着色材の有機顔料付着量
We:脱離テスト後の路面標示材料用着色材の有機顔料付着量
路面標示材料用塗料組成物の流動性は、後述する処方によって調製した各塗料100gを15cmの高さから水平のアルミ板に鉛直方向へ流し、下記基準により流動性の優劣を判定した。
4:十分広がる(直径10cmを超える)。
3:わずかに広がる(直径5〜10cm)。
2:流れ落ちても広がらない。
1:流れ落ちない。
路面標示材料の耐アルカリ性は、後述する処方によって調製した各塗料を用いてJIS K 5665に従って試験片の作製及び評価を行った。また、試験片のアルカリ溶液への浸漬前後の色相(L値、a値、b値)をそれぞれ測定し、アルカリ溶液に浸漬する前の測定値を基準に、下記数4に従ってΔE値を算出し、下記基準により耐アルカリ性の優劣を判定した。
<数4>
ΔE値=((ΔL値)+(Δa値)+(Δb値)1/2
ΔL値:比較する試料片のアルカリ溶液浸漬前後のL値の差
Δa値:比較する試料片のアルカリ溶液浸漬前後のa値の差
Δb値:比較する試料片のアルカリ溶液浸漬前後のb値の差
5:試料片の塗膜に膨れ、割れ、はがれ及び穴が認められず、且つ、ΔE値が3.0未満であった。
4:試料片の塗膜に膨れ、割れ、はがれ及び穴が認められず、且つ、ΔE値が3.0以上4.0未満であった。
3:試料片の塗膜に膨れ、割れ、はがれ及び穴が認められず、且つ、ΔE値が4.0以上5.0未満であった。
2:試料片の塗膜に膨れ、割れ、はがれ及び穴は認められないが、ΔE値が5.0以上であった。
1:試料片の塗膜に膨れ、割れ、はがれまたは穴が認められた。
路面標示材料の耐摩耗性は、後述する処方によって調製した各塗料を用いてJIS K 5665に従って試験片の作製及び測定を行った。
路面標示材料の耐光性は、後述する処方によって調製した各塗料をガラス板(約200×100×2mm)に塗布した試験片の半分を金属製フォイルで覆い、「アイ スーパーUVテスター」(SUV−W13(岩崎電気株式会社製))を用いて、紫外線を照射強度100mW/cmで6時間連続照射した後、金属製フォイルで覆うことによって紫外線が照射されなかった部分と紫外線照射した部分との色相(L値、a値、b値)をそれぞれ測定し、紫外線が照射されなかった部分の測定値を基準に、前記数2に従って算出したΔE値によって示した。
路面標示材料の耐老化性は、後述する処方によって調製した各塗料をガラス板(約200×100×2mm)に塗布した試験片を温度60℃、相対湿度90%の環境下に1ヶ月間放置し、放置前後の色相(L値、a値、b値)をそれぞれ測定し、下記数5に従って算出したΔE値によって示した。
<数5>
ΔE値=((ΔL値)+(Δa値)+(Δb値)1/2
ΔL値:比較する試料の放置前後のL値の差
Δa値:比較する試料の放置前後のa値の差
Δb値:比較する試料の放置前後のb値の差
<実施例1−1:路面標示材料用着色材の製造>
無機顔料1(種類:酸化チタン、粒子形状:粒状、平均粒子径:0.253μm、L値:96.26、C値:1.03)0.9kgと無機顔料4(種類:沈降性硫酸バリウム、粒子形状:粒状、平均粒子径:1.209μm、L値:92.09、C値:2.72)2.1kgとをエッジランナー「MPUV−2型」(製品名、株式会社松本鋳造鉄工所製)に投入し、次いで、メチルトリエトキシシラン(商品名:TSL8123:GE東芝シリコーン株式会社製)60gを、エッジランナーを稼動させながら上記無機顔料を混合した無機粒子粉末に添加し、588N/cmの線荷重で20分間混合攪拌を行った。
次に、有機顔料Y−2(種類:ピグメントイエロー(縮合多環系顔料)、平均一次粒子径:0.06μm、L値:66.35、a値:42.75、b値:67.76、耐光性ΔE値:15.70)450gを添加し、588N/cmの線荷重で20分間混合攪拌を行い、次いで、有機顔料Y−3(種類:ピグメントイエロー(縮合多環系顔料)、平均一次粒子径:0.06μm、L値:83.31、a値:4.27、b値:83.95、耐光性ΔE値:15.31)450gを添加し、更に588N/cmの線荷重で20分間混合攪拌を行い、最後に、有機顔料Or−1(種類:ピグメントオレンジ(縮合多環系顔料)、平均一次粒子径:0.06μm、L値:51.21、a値:44.94、b値:40.96、耐光性ΔE値:14.62)300gを添加し、更に588N/cmの線荷重で20分間混合攪拌を行い、メチルトリエトキシシラン被覆の上に、上記有機顔料を付着させて路面標示材料用着色材を得た。
得られた路面標示材料用着色材は、小粒子(最小ピーク)の粒子径が0.255μm、大粒子(最大ピーク)の粒子径が1.210μmであり、大粒子の粒子径と小粒子の粒子径の比は4.7であった。流動性は68、着色力は126%、耐熱性は228℃、耐光性はΔE値で2.59であり、有機顔料の脱離率は7.4%であった。メチルトリエトキシシランの被覆量はC換算で0.13重量%であり、付着している有機顔料の量は、C換算で12.04重量%であった。
<実施例2−1:路面標示材料用塗料組成物の製造>
前記路面標示材料用着色材を含む、路面標示用塗料構成基材を下記配合割合で190℃の温度範囲で加熱混練し、路面標示用塗料(3種)を得た。
路面標示材料用着色材 3.0重量部、
石油樹脂 15.0重量部、
可塑剤 2.0重量部、
ガラスビーズ 20.0重量部、
重質炭酸カルシウム 60.0重量部、
得られた路面標示材料用塗料組成物の流動性は4であった。
上記で得られた路面標示用塗料を用いて試料片を作製し、各種試験を行った。
得られた路面標示材料の耐アルカリ性は5であり、耐摩耗性は151mgであり、耐光性はΔE値で2.99であり、耐老化性はΔE値で1.65であった。
前記実施例1−1及び2−1に従って路面標示材料用着色材及び路面表示材料用塗料組成物を作製した。各製造条件及び得られた路面標示材料用着色材及び熱路面表示材料用塗料組成物の諸特性を示す。
無機顔料1〜6:
無機顔料として表1に示す特性を有する無機顔料を用意した。
Figure 2008063496
有機顔料:
有機顔料として表2に示す諸特性を有する有機顔料を用意した。
Figure 2008063496
実施例1−2〜1−5、比較例1−1及び1−2:
無機顔料の種類及び配合割合、表面改質剤による被覆工程における添加物の種類、添加量、有機顔料の付着工程における有機顔料の種類、添加量、並びに、各処理工程におけるエッジランナー処理による線荷重及び処理時間を種々変化させた以外は、前記実施例1−1と同様にして路面標示材料用着色材を得た。
なお、実施例1−4では、有機顔料はあらかじめよく混合し、無機粒子粉末100重量部に対して、混合有機顔料を55重量部を55分かけて添加した。また、比較例1−1は、無機粒子粉末として1種類のものしか用いず、比較例1−2は、大粒子径と小粒子径の比が3.8未満のものを無機粒子粉末として用いた。
このときの製造条件を表2及び表3に、得られた路面標示材料用着色材の諸特性を表6に示す。
Figure 2008063496
Figure 2008063496
実施例1−6:
実施例1−1で得られた路面標示材料用着色材3.0kgに対して、更に、流動化剤としてポリエチレンワックス(分子量:1000)150gを添加し、エッジランナーにより588N/cmの線荷重で20分間混合攪拌を行い、流動化剤被覆路面標示材料用着色材を得た。
実施例1−7:
流動化剤を可塑剤に変更し、その添加量及びエッジランナー処理による線荷重及び処理時間を種々変化させた以外は、前記実施例1−6と同様にして可塑剤被覆路面標示材料用着色材を得た。
なお、比較例2−1では、実施例1−1の有機顔料の配合比と同様の割合で有機顔料をあらかじめ混合し、着色材として用いた。
このときの製造条件を表5に、得られた流動化剤又は可塑剤被覆路面標示材料用着色材の諸特性を表6に示す。
Figure 2008063496
Figure 2008063496
<路面標示材料用塗料組成物>
実施例2−2〜2−7、比較例2−1〜2−3:
路面標示材料用着色材の種類を種々変化させた以外は、前記実施例2−1と同様にして路面標示材料用塗料組成及び路面標示材料を得た。
このときの製造条件及び得られた路面標示材料用塗料組成並びに路面標示材料の諸特性を表7に示す。
Figure 2008063496
本発明に係る路面標示材料用着色材は、有害な元素を含有しないとともに、着色力、隠蔽力、耐光性及び耐熱性に優れ、且つ、高い流動性を有するので、路面標示材料の着色材として好適である。
また、本発明に係る路面標示材料用塗料組成物は、上記路面標示材料用着色材を用いることにより、経時に伴う色相変化が抑制され、且つ、路面標示用塗料の粘度を低減することができるため、施工性に優れた路面標示材料用塗料組成物として好適である。

Claims (5)

  1. 無機粒子粉末の粒子表面が表面改質剤によって被覆されていると共に該表面改質剤被覆無機粒子の粒子表面に有機顔料が付着している複合粒子粉末からなり、該複合粒子粉末の粒度分布が少なくとも2つ以上のピークを有することを特徴とする路面標示材料用着色材。
  2. 無機粒子粉末として平均粒子径の異なる2種以上の無機顔料を用いることを特徴とする請求項1記載の路面標示材料用着色材。
  3. 複合粒子粉末の粒子表面が流動化剤及び/又は可塑剤によって被覆されていることを特徴とする請求項1乃至請求項2のいずれかに記載の路面標示材料用着色材。
  4. 複合粒子粉末の流動性指数が60以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の路面標示材料用着色材。
  5. 少なくとも結着剤樹脂、着色材、充填材からなる路面標示材料用塗料であって、前記着色材として、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の路面標示材料用着色材を用いることを特徴とする路面標示材料用塗料組成物。
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