JP5035496B2 - 印刷インキ用着色顔料及び該印刷インキ用着色顔料を含有する印刷インキ並びに顔料分散体 - Google Patents

印刷インキ用着色顔料及び該印刷インキ用着色顔料を含有する印刷インキ並びに顔料分散体 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、着色力が高く、微粒子でありながら、分散性及び耐光性に優れた印刷インキ用着色顔料を提供する。
【0002】
本発明に係る印刷インキ用着色顔料は、凸版インキ、オフセットインキ、グラビアインキ、スクリーンインキ、フレキソインキ、水性インキ及び水性ボールペン、油性ボールペン等の筆記具用インキ等の各種印刷インキの着色顔料として用いることができる。
【0003】
【従来の技術】
周知のとおり、凸版インキ、オフセットインキ、グラビアインキ、スクリーンインキ、フレキソインキ、水性インキ及び水性ボールペン、油性ボールペン等の筆記具用インキ等の印刷インキ用着色顔料として、無機顔料及び有機顔料が用途に応じて使用されている。
【0004】
無機顔料は、一般に隠蔽力が高く、耐熱性、耐光性は優れているが、着色力が低く、鮮明な色相が得られにくいことが知られている。また、無機顔料の中には鮮明な色相を有するものもあるが、それらの多くは構成元素として鉛、水銀、カドミウム、クロム等の有害金属を含有しているため、衛生面、安全性面及び環境汚染防止の観点から、代替顔料が求められている。
【0005】
一方、有機顔料は、一般に色相は鮮明であって着色力が高いが、隠蔽力が小さく、耐光性及び耐熱性が劣ることが知られている。
【0006】
印刷インキ用着色顔料に要求される特性は、インキの種類、使用目的等によって種々異なるものであるが、鮮明な色相を有する印刷物を得るためには、着色顔料として鮮明な色相を有することが要求される。
【0007】
また、印刷の高速化により、濃度の大きいインキが要求されており、それに伴って着色力の高い印刷インキ用着色顔料が要求されている。
【0008】
更に、印刷インキ用着色顔料のビヒクル中における分散性は、印刷インキの製造工程における生産性と、印刷インキの保存安定性に大きく影響するため、分散性が優れるとともに、ビヒクル中における分散安定性に優れた印刷インキ用着色顔料が要求されている。
【0009】
更に、印刷物は、戸外で直射日光や風雨に曝される場合があるため、長期に亘って鮮明な印刷画像を維持できること、即ち耐光性に優れていることが必要である。
【0010】
これまでに、優れた特性を有する着色顔料を得るために、無機顔料と有機顔料とを組み合わせる技術が試みられており、例えば、黄鉛とフタロシアニンブルーとを共沈させる方法や無機顔料の粒子表面に有機顔料を付着させる方法(特開平4−132770号公報、特開平11−181329号公報等)等が提案されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
着色力が高く、微粒子でありながら、分散性及び耐光性に優れた印刷インキ用着色顔料は、現在最も要求されているところであるが、未だ得られていない。
【0012】
即ち、前出の黄鉛とフタロシアニンブルーを共沈させる方法は、黄鉛を用いているために毒性を有しているとともに、共沈によって製造されているために、フタロシアニンブルーの付着強度が十分とは言えず、これを用いて得られた印刷インキは、保存安定性が十分とは言い難い。
【0013】
また、前出特開平4−132770号公報に記載の方法は、無機顔料の存在下で有機顔料を析出させる方法であるため、有機顔料の付着強度が十分とは言い難いものである。
【0014】
また、前出特開平11−181329号公報に記載の方法は、オルガノポリシロキサンを環状シリコーンに溶解し、得られた溶液に有機顔料を添加して微粒化処理した後、高吸油性無機顔料を含浸し、次いで、環状シリコーンを揮発させる方法であり、有機顔料の付着強度が十分とは言い難いものである。
【0015】
なお、特開平11−323174号公報には、黒色酸化鉄粒子粉末又は黒色含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面にアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物が被覆されており、該オルガノシラン化合物被覆にカーボンブラック微粒子粉末が付着している鉄系黒色複合粒子粉末が記載されているが、黒色の芯粒子にカーボンブラックを固着させる技術である。
【0016】
そこで、本発明は、着色力が高く、微粒子でありながら、分散性及び耐光性に優れた印刷インキ用着色顔料を提供することを技術的課題とする。
【0017】
【課題を解決する為の手段】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
【0018】
即ち、本発明は、白色無機粒子粉末の粒子表面が糊剤によって被覆されていると共に該被覆に有機顔料又はカーボンブラックが付着している平均粒子径0.001〜10.0μmの複合粒子粉末からなることを特徴とする印刷インキ用着色顔料である(本発明1)。
【0019】
また、本発明は、白色無機粒子粉末の粒子表面が有機ケイ素化合物及びカップリング剤から選ばれる一種又は二種以上の糊剤によって被覆されていると共に該被覆に有機顔料又はカーボンブラックが付着している平均粒子径0.001〜10.0μmの複合粒子粉末からなることを特徴とする印刷インキ用着色顔料である(本発明2)。
【0020】
また、本発明は、有機顔料又はカーボンブラックの付着量が白色無機粒子粉末100重量部に対して1〜500重量部であることを特徴とする本発明1又は本発明2の印刷インキ用着色顔料である(本発明3)。
【0021】
また、本発明は、本発明1乃至本発明3のいずれかの印刷インキ用着色顔料のいずれかを含有する印刷インキである。
【0022】
また、本発明は、本発明1乃至本発明3のいずれかの印刷インキ用着色顔料のいずれかを含有することを特徴とする顔料分散体である。
【0023】
本発明の構成をより詳しく説明すれば次の通りである。
【0024】
先ず、本発明に係る印刷インキ用着色顔料について述べる。
【0025】
本発明に係る印刷インキ用着色顔料は、芯粒子粉末である白色無機粒子粉末の粒子表面が有機ケイ素化合物、カップリング剤、オリゴマー及び高分子化合物から選ばれる一種又は二種以上の糊剤で被覆されており、該被覆に有機顔料又はカーボンブラック(以下、「有機顔料等」と言う。)が付着している平均粒子径0.001〜10.0μmの複合粒子からなる。
【0026】
なお、本発明に係る印刷インキ用着色顔料は、芯粒子である白色無機粒子の粒子表面に有機顔料等からなる有色付着層を複数設けてもよい。例えば、白色無機粒子の粒子表面が糊剤で被覆され、該被覆に有機顔料等が付着している有色付着層(以下、「第一有色付着層」という)が形成され(以下、第一有色付着層が形成されている白色無機粒子を「中間顔料」という)、更に、第一有色付着層の表面に糊剤が被覆され、当該被覆に有機顔料等が付着している有色付着層(以下、「第二有色付着層」という)が形成されている形態をいう。必要に応じて、同様にして、更に、有色付着層を形成してもよい。(以下、二層以上の有色付着層を形成した着色顔料を「複数の有色付着層を有する着色顔料」という。)
【0027】
本発明における白色無機粒子としては、二酸化チタン、酸化亜鉛等の白色顔料、雲母チタン、白雲母等のパール顔料、シリカ粉、ホワイトカーボン、微粉ケイ酸、珪藻土等のシリカ微粒子、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナホワイト、ホワイトカーボン、タルク、透明性酸化チタン、サチン白等の体質顔料が挙げられる。
【0028】
無機粒子の粒子形状は、球状、粒状、多面体状、針状、紡錘状、米粒状、フレーク状、鱗片状及び板状等のいずれの形状であってもよい。
【0029】
白色無機粒子粉末の粒子サイズは、平均粒子径が0.0009〜9.99μm、好ましくは0.0014〜9.49μm、より好ましくは0.0019〜8.99μmである。
【0030】
平均粒子径が9.99μmを超える場合には、得られる着色顔料が粗大粒子となるため着色力が低下し、0.0009μm未満の場合には、粒子の微細化による分子間力の増大により凝集を起こしやすくなるため、粒子表面への糊剤による均一な被覆処理及び有機顔料等による均一な付着処理が困難となる。
【0031】
白色無機粒子粉末のBET比表面積値は0.5m/g以上である。BET比表面積値が0.5m/g未満の場合には、白色無機粒子が粒子及び粒子相互間で焼結が生じた粒子となっており、得られる着色顔料は粗大粒子となり着色力が低下する。着色顔料の着色力を考慮すると、BET比表面積値は、好ましくは1.0m/g以上、より好ましくは1.5m/g以上である。白色無機粒子粉末の粒子表面への糊剤による均一な被覆処理及び有機顔料等による均一な付着処理を考慮すると、その上限値は500m/gであり、好ましくは400m/g、より好ましくは300m/gである。
【0032】
白色無機粒子粉末の色相は、L値が70.00以上、C値が18.00以下の範囲のものが好ましく、より好ましくは、L値が75.00以上、C値が16.00以下である。L値、C値が上記範囲外の場合には、色相が白色を呈しているとは言い難く、本発明の目的とする着色顔料を得ることが困難となる。
【0033】
本発明における白色無機粒子粉末のうち白色顔料の隠蔽力は、後述する評価法により600cm/g以上が好ましい。また、本発明における白色無機粒子粉末のうちパール顔料及び体質顔料の隠蔽力は600cm/g未満が好ましい。
【0034】
白色無機粒子粉末の耐光性は、後述する評価方法により、ΔE値の下限値が5.0を超え、上限値が12.0、好ましくは11.0、より好ましくは10.0である。
【0035】
本発明における糊剤としては、白色無機粒子の粒子表面へ有機顔料等を付着できるものであれば何を用いてもよく、好ましくはアルコキシシラン、ポリシロキサン、フルオロアルキルシラン等の有機ケイ素化合物、シラン系、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系の各種カップリング剤、オリゴマー又は高分子化合物の一種又は二種以上である。白色無機粒子の粒子表面への有機顔料等の付着強度を考慮すれば、より好ましくはアルコキシシラン、ポリシロキサン、フルオロアルキルシラン等の有機ケイ素化合物、シラン系、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系の各種カップリング剤である。
【0036】
殊に、芯粒子としてシリカ微粒子を用いた場合には、糊剤としては、有機ケイ素化合物もしくはシラン系カップリング剤を用いることが好ましい。
【0037】
本発明における有機ケイ素化合物としては、化1で表わされるアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物、化2で表わされるポリシロキサン、化3で表わされる変成ポリシロキサン、化4で表わされる末端変成ポリシロキサン並びに化5で表されるフルオロアルキルシラン又はこれらの混合物を用いることができる。
【0038】
【化1】
Figure 0005035496
【0039】
アルコキシシランとしては、具体的には、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0040】
白色無機粒子の粒子表面への有機顔料等の付着強度を考慮すると、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランから生成するオルガノシラン化合物がより好ましく、最も好ましくはメチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン及びフェニルトリエトキシシランから生成するオルガノシラン化合物である。
【0041】
【化2】
Figure 0005035496
【0042】
【化3】
Figure 0005035496
【0043】
【化4】
Figure 0005035496
【0044】
白色無機粒子の粒子表面への有機顔料等の付着強度を考慮すると、メチルハイドロジェンシロキサン単位を有するポリシロキサン、ポリエーテル変成ポリシロキサン及び末端がカルボン酸で変成された末端カルボン酸変成ポリシロキサンが好ましい。
【0045】
【化5】
Figure 0005035496
【0046】
フルオロアルキルシランとしては、具体的には、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルロデシルメチルジメトキシシラン、トリフルオロプロピルエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0047】
白色無機粒子の粒子表面への有機顔料等の付着強度を考慮すると、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシランから生成するフッ素含有オルガノシラン化合物が好ましく、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシランから生成するフッ素含有オルガノシラン化合物が最も好ましい。
【0048】
カップリング剤のうち、シラン系カップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0049】
チタネート系カップリング剤としては、イソプロピルトリステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスフェイト)チタネート、テトラ(2−2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスフェイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられる。
【0050】
アルミネート系カップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムジイソプロボキシモノエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート等が挙げられる。
【0051】
ジルコネート系カップリング剤としては、ジルコニウムテトラキスアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビスアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラキスエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリブトキシモノエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート等が挙げられる。
【0052】
オリゴマーとしては、分子量300以上、10,000未満のものが好ましく、高分子化合物としては、分子量10,000以上、100,000程度のものが好ましい。白色無機粒子への均一な被覆処理を考慮すれば、液状、もしくは、水又は各種溶剤に可溶なオリゴマー又は高分子化合物が好ましい。
【0053】
糊剤による被覆量は、糊剤被覆白色無機粒子粉末に対してC換算で0.01〜15.0重量%が好ましく、より好ましくは0.02〜12.5重量%、最も好ましくは0.03〜10.0重量%である。
【0054】
0.01重量%未満の場合には、白色無機粒子粉末100重量部に対して1重量部以上の有機顔料等を付着させることが困難である。15.0重量%を超える場合には、白色無機粒子粉末100重量部に対して有機顔料等を1〜500重量部付着させることができるため、必要以上に被覆する意味がない。
【0055】
本発明における有機顔料等としては、一般に印刷インキの着色剤として用いられている赤色系有機顔料、青色系有機顔料、黄色系有機顔料、緑色系有機顔料、橙色系有機顔料、褐色系有機顔料、紫色系有機顔料及び黒色系有機顔料等の各種有機顔料及びカーボンブラックを使用することができる。
【0056】
赤色系有機顔料としては、キナクリドンレッド等のキナクリドン顔料、パーマネントレッド等のアゾ系顔料、縮合アゾレッド等の縮合アゾ顔料、ジアンスラキノニルレッド等の建染染料系顔料及びペリレンレッド等のペリレン顔料を用いることができる。青色系有機顔料としては、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー等のフタロシアニン系顔料及びアルカリブルーを用いることができる。黄色系有機顔料としては、ハンザエロー等のモノアゾ系顔料、ベンジジンエロー、パーマネントエロー等のジスアゾ系顔料、縮合アゾイエロー等の縮合アゾ顔料及びイソインドリンイエロー等のイソインドリン系顔料を用いることができる。緑色系顔料としては、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系顔料を用いることができる。黒色系有機顔料としては、アニリンブラック、ペリレンブラック等を用いることができる。
【0057】
本発明におけるカーボンブラックは、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック微粒子粉末を用いることができる。
【0058】
なお、要求される色相に応じて前記各有機顔料等を混合して用いてもよい。また、求められる色相及び特性等に応じて同系色の色であっても二種以上を用いてもよい。
【0059】
なお、複数の有色付着層を有する着色顔料において、第一有色付着層に付着させる有機顔料等と第二有色被覆層以降に付着させる有機顔料等は同一であっても、同色で異種類の有機顔料等、異色の有機顔料等でもいずれでもよい。また、組み合わせる有機顔料等として、耐光性等の機能を有するものを選択することにより、複数の機能を有する印刷インキ用着色顔料を得ることが可能となる。
【0060】
有機顔料等の付着量は、白色無機粒子粉末100重量部に対して1〜500重量部である。
【0061】
1重量部未満の場合及び500重量部を超える場合には、本発明の目的とする着色顔料を得ることが困難となる。好ましくは30〜400重量部であり、より好ましくは50〜300重量部である。
【0062】
複数の有色付着層を有する着色顔料においては、各有色付着層における有機顔料等の付着量は、所望の色相及び特性に応じて前記有機顔料等全体での付着量の上限値を超えない範囲で適量を付着させればよい。
【0063】
本発明に係る印刷インキ用着色顔料の粒子形状や粒子サイズは、芯粒子である白色無機粒子の粒子形状や粒子サイズに大きく依存し、芯粒子に相似する粒子形態を有している。
【0064】
即ち、本発明に係る印刷インキ用着色顔料は、平均粒子径が0.001〜10.0μm、好ましくは、0.0015〜9.50μm、より好ましくは0.0020〜9.00μmである。
【0065】
本発明に係る印刷インキ用着色顔料の平均粒子径が10.0μmを超える場合には、粒子サイズが大きすぎるため、着色力が低下する。平均粒子径が0.001μm未満の場合には、粒子の微細化による分子間力の増大により凝集を起こしやすいため、ビヒクル中への分散が困難となる。
【0066】
本発明に係る印刷インキ用着色顔料のBET比表面積値は、1.0〜500m/gであり、好ましくは1.5〜400m/g、より好ましくは2.0〜300m/gである。BET比表面積値が1.0m/g未満の場合には、粒子が粗大であったり、粒子及び粒子相互間で焼結が生じた粒子となっており、着色力が低下する。BET比表面積値が500m/gを超える場合には、粒子の微細化による分子間力の増大により凝集を起こしやすいため、ビヒクル中への分散性が低下する。
【0067】
本発明に係る印刷インキ用着色顔料の有機顔料等の脱離の程度は、後述する評価方法により5又は4が好ましく、より好ましくは5である。有機顔料等の脱離の程度が3以下の場合には、脱離した有機顔料等によりビヒクル中での均一な分散が阻害される場合があるとともに、脱離した部分の白色無機粒子粉末の色相が粒子表面に現れるため、均一な色相を得ることが困難となる。
【0068】
本発明に係る印刷インキ用着色顔料の着色力は、後述する評価方法により115%以上が好ましく、より好ましくは120%以上である。
【0069】
本発明に係る印刷インキ用着色顔料の隠蔽力は、白色無機粒子粉末として白色顔料を用いた場合、後述する評価方法により700cm/g以上が好ましく、より好ましくは750cm/g以上である。白色無機粒子粉末として体質顔料又はパール顔料を用いた場合、700cm/g未満が好ましく、より好ましくは650cm/g以下、更により好ましくは600cm/g以下、最も好ましくは580cm/g以下である。
【0070】
本発明に係る印刷インキ用着色顔料の耐光性は、後述する評価方法において、ΔE値で5.0以下、好ましくは4.0以下である。殊に、紫外線防御効果のある酸化チタン及び酸化亜鉛等を芯粒子として用いた場合には、ΔE値が4.0以下が好ましく、より好ましくは3.0以下である。
【0071】
本発明に係る印刷インキ用着色顔料は、必要により、白色無機粒子粉末の粒子表面をあらかじめ、アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物より選ばれる少なくとも1種からなる中間被覆物で被覆しておいてもよく、中間被覆物で被覆しない場合に比べ、白色無機粒子粉末の粒子表面からの有機顔料等の脱離をより低減することができるとともに、耐光性が向上する。
【0072】
中間被覆物による被覆量は、中間被覆物が被覆された白色無機粒子粉末に対してAl換算、SiO換算又はAl換算量とSiO換算量との総和で0.01〜20重量%が好ましい。
【0073】
0.01重量%未満である場合には、有機顔料等の脱離の抑制効果及び耐光性向上効果が得られない。0.01〜20重量%の被覆量により、有機顔料等の脱離の抑制効果及び耐光性向上が十分に得られるので、20重量%を超えて必要以上に被覆する意味がない。
【0074】
中間被覆物で被覆されている本発明に係る印刷インキ用着色顔料は、中間被覆物で被覆されていない本発明に係る印刷インキ用着色顔料の場合とほぼ同程度の粒子サイズ、BET比表面積値、色相(L値、a値、b値)、着色力及び隠蔽力を有している。また、有機顔料等の脱離の程度及び耐光性は中間被覆物を被覆することによって向上し、脱離の程度は5が好ましく、耐光性は、ΔE値で4.0以下、好ましくは3.0以下である。
【0075】
次に、本発明に係る印刷インキ用着色顔料を配合した印刷インキについて述べる。
【0076】
本発明に係る印刷インキは、前記本発明に係る印刷インキ用着色顔料を用いる。印刷インキとしては、特に限定されるものではないが、例えば、凸版インキ、オフセットインキ、グラビアインキ、スクリーンインキ、フレキソインキ、水性インキ及び筆記具用インキ等である。
【0077】
本発明に係る印刷インキのうち凸版印刷インキの構成材料及び組成割合は、着色顔料が5〜40重量部、好ましくは8〜35重量部、より好ましくは10〜30重量部であり、ビヒクルが95〜60重量部、好ましくは92〜65重量部、より好ましくは90〜70重量部であり、その他添加剤が0〜20重量部である。
【0078】
凸版印刷インキのビヒクルは樹脂、油及び溶剤から構成され、樹脂としては、ロジン変性フェノール樹脂、アルキド樹脂、石油樹脂、ギルソナイト、ロジン、硬化ロジン、エステルガム、油溶性フェノール樹脂、ロジンフマル酸、高酸化マレイン酸、高酸化フマル酸、エポキシ樹脂等であり、油としては植物油、加工油、鉱油であり、溶剤としては高沸点石油溶剤、グリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール等)、グリコール誘導体である。必要により、その他添加物として、ワックス(ポリエチレンワックス)、コンパウンド、体質顔料、ドライヤー、分散剤、増粘剤、ゲル化剤、チキソトロピー付与剤等を用いてもよい。
【0079】
本発明に係る着色顔料を配合した凸版印刷インキは、貯蔵安定性がΔE値で1.5以下が好ましく、より好ましくは1.2以下である。印刷した場合には、後述する組成において、塗膜の耐光性がΔE値で5.0以下、好ましくは4.0以下である。
【0080】
本発明に係る印刷インキのうちオフセットインキの構成材料及び組成割合は、着色顔料が5〜40重量部、好ましくは8〜35重量部、より好ましくは10〜30重量部であり、ビヒクルが95〜60重量部、好ましくは92〜65重量部、より好ましくは90〜70重量部であり、その他添加剤が0〜20重量部である。
【0081】
オフセットインキのビヒクルは樹脂、油及び溶剤から構成され、樹脂としてはロジン変性フェノール樹脂、アルキド樹脂、石油樹脂、ギルソナイト、ロジン、エステルガム、ロジンエステル、炭化水素溶剤可溶マレイン酸樹脂、環化ゴム、エポキシ樹脂等であり、油としては植物油、加工油、鉱油等であり、溶剤としては高沸点石油溶剤、アルコール、大豆油である。必要により、その他の添加物として、ワックス(ポリエチレンワックス)、コンパウンド、体質顔料、ドライヤー、分散剤、増粘剤、ゲル化剤、チキソトロピー付与剤等を用いてもよい。
【0082】
本発明に係る着色顔料を配合したオフセットインキは、光沢度が70%以上が好ましく、より好ましくは75%以上、更により好ましくは80%以上であり、貯蔵安定性がΔE値で1.5以下が好ましく、より好ましくは1.2以下である。印刷した場合には、後述する組成において、塗膜の耐光性がΔE値で5.0以下、好ましくは4.0以下である。
【0083】
本発明に係る印刷インキのうちグラビアインキの構成材料及び組成割合は、着色顔料が3〜50重量部、好ましくは4〜45重量部、より好ましくは5〜40重量部であり、ビヒクルが97〜50重量部、好ましくは96〜45重量部、より好ましくは95〜60重量部であり、その他添加剤が0〜20重量部、好ましくは0〜15重量部、より好ましくは0〜10重量部である。
【0084】
グラビアインキのビヒクルは樹脂及び溶剤から構成され、樹脂としては石油樹脂、ギルソナイト、ロジン、硬化ロジン、エステルガム、ロジンエステル、マレイン酸樹脂、環化ゴム、ニトロセルロース、アクリル樹脂、塩化ゴム、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂等であり、溶剤としては脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素(トルエン、キシレン)、エステル(酢酸エチル)、ケトン系溶剤(メチルエチルケトン)、アルコール(イソプロピルアルコール)、グリコール誘導体である。必要により、その他の添加物として、可塑剤(フタル酸ジオクチル)、ワックス、コンパウンド、体質顔料、ドライヤー、分散剤、増粘剤、ゲル化剤、チキソトロピー付与剤等を用いてもよい。
【0085】
本発明に係る着色顔料を配合したグラビアインキは、光沢度が70%以上が好ましく、より好ましくは75%以上、更により好ましくは80%以上であり、貯蔵安定性がΔE値で1.5以下が好ましく、より好ましくは1.2以下である。印刷した場合には、後述する組成において、塗膜の耐光性がΔE値で5.0以下、好ましくは4.0以下である。
【0086】
本発明に係る印刷インキのうちスクリーンインキの構成材料及び組成割合は、着色顔料が1〜30重量部、好ましくは2〜25重量部、より好ましくは3〜20重量部であり、体質顔料が5〜40重量部、好ましくは10〜35重量部であり、ビヒクルが94〜30重量部、好ましくは93〜40重量部、より好ましくは92〜45重量部であり、乾性油が0〜40重量部、好ましくは0〜35重量部であり、その他添加剤が0〜20重量部、好ましくは0〜15重量部、より好ましくは0〜10重量部である。
【0087】
スクリーンインキのビヒクルは樹脂及び溶剤から構成され、樹脂としてはアルキド樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ケトン樹脂、石油樹脂、ロジンエステル、マレイン酸樹脂、環化ゴム、セルロース誘導体(ニトロセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース)、アクリル樹脂、塩化ゴム、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等であり、溶剤としては脂肪族炭化水素(ミネラルスピリット)、芳香族炭化水素、アルコール、グリコール誘導体、エステル、ケトン系溶剤等である。必要によりその他の添加物として、可塑剤、コンパウンド、ドライヤー、分散剤、増粘剤、ゲル化剤、チキソトロピー付与剤、酸化防止剤、架橋剤、硬化剤、消泡剤、つや消し剤、紫外線防止剤、界面活性剤等を用いてもよい。
【0088】
本発明に係る着色顔料を配合したスクリーンインキは、光沢度が70%以上が好ましく、より好ましくは75%以上、更により好ましくは80%以上であり、貯蔵安定性がΔE値で1.5以下が好ましく、より好ましくは1.2以下である。印刷した場合には、後述する組成において、塗膜の耐光性がΔE値で5.0以下、好ましくは4.0以下である。
【0089】
本発明に係る印刷インキのうち水性インキの構成材料及び組成割合は、着色顔料が1〜30重量部、好ましくは2〜25重量部、より好ましくは3〜20重量部であり、体質顔料が0〜40重量部、好ましくは0〜30重量部であり、ビヒクルが99〜30重量部、好ましくは98〜40重量部、より好ましくは97〜50重量部であり、その他添加剤が0〜20重量部、好ましくは0〜15重量部、より好ましくは0〜10重量部である。
【0090】
水性インキのビヒクルは水性樹脂、溶剤及び水溶化剤からなり、水性樹脂としては水溶性樹脂(デンプン、セルロースエステル、セルロースエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸塩)、水溶化樹脂(セラック、ロジン/マレイン酸樹脂、スチレン/マレイン酸樹脂、アクリル樹脂)、水性分散樹脂(アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、合成ゴムラテックス、ポリウレタン、ポリエステル、アルキド樹脂、エポキシエステル、ロジンエステル)等であり、溶剤としては水、アルコール、エステル系溶剤、ケトン系溶剤(メチルエチルケトン)、アルコール(イソプロピルアルコール)、グリコール誘導体であり、水溶化剤としてはアンモニア水、水溶性有機アミンである。必要によりその他の添加物として、可塑剤、ワックス、コンパウンド、さび止め剤、かび防止剤、消泡剤、ドライヤー、分散剤等を用いてもよい。
【0091】
本発明に係る着色顔料を配合した水性インキは、光沢度が70%以上が好ましく、より好ましくは75%以上、更により好ましくは80%以上であり、貯蔵安定性がΔE値で1.5以下が好ましく、より好ましくは1.2以下である。印刷した場合には、後述する組成において、塗膜の耐光性がΔE値で5.0以下、好ましくは4.0以下である。
【0092】
本発明に係る印刷インキのうちボールペン用インキの構成材料及び組成割合は、着色顔料が5〜50重量部、好ましくは5〜45重量部、より好ましくは5〜40重量部であり、溶剤が35〜94重量部、好ましくは35〜93重量部、より好ましくは35〜92重量部であり、樹脂が1〜35重量部、好ましくは2〜30重量部、より好ましくは3〜25重量部であり、その他添加剤が0〜20重量部、好ましくは0〜15重量部、より好ましくは0〜10重量部である。
【0093】
ボールペン用インキのうち有機溶剤系インキにおける溶剤としては、グリコール系溶剤、脂肪酸、グリコールエーテル系溶剤、アルコール系溶剤、エステル系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤、石油系溶剤、ケトン系溶剤等であり、樹脂としてはビニル系樹脂、炭化水素系樹脂、フェノール樹脂、マレイン酸樹脂、スチレン/アクリル酸共重合体、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体、ケトン樹脂等である。必要によりその他の添加物として、樹脂(粘度調整剤)、潤滑剤、防腐剤、防カビ剤、防錆剤、分散剤、pH調整剤等をもちいてもよい。
【0094】
ボールペン用インキのうち水系インキにおける溶剤としては、水、グリコール系溶剤、脂肪酸、グリコールエーテル系溶剤、アルコール系溶剤等であり、樹脂としては水溶性樹脂(デンプン、セルロースエステル、セルロースエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸塩)、水溶化樹脂(セラック、ロジンマレイン酸樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、アクリル樹脂)、水性分散樹脂(アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、合成ゴムラテックス、ポリウレタン、ポリエステル、アルキド樹脂、エポキシエステル、ロジンエステル)等である。必要によりその他の添加物として、樹脂(粘度調整剤)、潤滑剤、防腐剤、防カビ剤、防錆剤、分散剤、pH調整剤等を用いてもよい。
【0095】
本発明に係る着色顔料を配合したボールペン用インキは、貯蔵安定性がΔE値で1.5以下が好ましく、より好ましくは1.2以下である。印刷した場合には、後述する組成において、塗膜の耐光性がΔE値で5.0以下、好ましくは4.0以下である。
【0096】
次に、本発明に係る印刷インキ用着色顔料の製造法について述べる。
【0097】
本発明に係る着色顔料は、白色無機粒子と糊剤を混合し、白色無機粒子の粒子表面を糊剤によって被覆し、次いで、糊剤によって被覆された白色無機粒子と有機顔料等とを混合することによって得ることができる。
【0098】
白色無機粒子粉末の粒子表面への糊剤による被覆は、白色無機粒子粉末と糊剤又は糊剤の溶液とを機械的に混合攪拌したり、白色無機粒子粉末に糊剤の溶液又は糊剤を噴霧しながら機械的に混合攪拌すればよい。添加した糊剤は、ほぼ全量が白色無機粒子粉末の粒子表面に被覆される。
【0099】
なお、糊剤としてアルコキシシラン又はフルオロアルキルシランを用いた場合、被覆されたアルコキシシラン又はフルオロアルキルシランは、その一部が被覆工程を経ることによって生成する、アルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物又はフルオロアルキルシランから生成するフッ素含有オルガノシラン化合物として被覆されていてもよい。この場合においてもその後の有機顔料等の付着に影響することはない。
【0100】
糊剤を均一に白色無機粒子の粒子表面に被覆するためには、白色無機粒子の凝集をあらかじめ粉砕機を用いて解きほぐしておくことが好ましい。
【0101】
白色無機粒子と糊剤との混合攪拌、有機顔料等と粒子表面に糊剤が被覆されている白色無機粒子との混合攪拌をするための機器としては、粉体層にせん断力を加えることのできる装置が好ましく、せん断、へらなで及び圧縮が同時に行える装置、例えば、ホイール型混練機、ボール型混練機、ブレード型混練機、ロール型混練機を用いることが好ましい。ホイール型混練機がより効果的に使用できる。
【0102】
前記ホイール型混練機としては、エッジランナー(「ミックスマラー」、「シンプソンミル」、「サンドミル」と同義語である)、マルチマル、ストッツミル、ウエットパンミル、コナーミル、リングマラー等があり、好ましくはエッジランナー、マルチマル、ストッツミル、ウエットパンミル、リングマラーであり、より好ましくはエッジランナーである。前記ボール型混練機としては、振動ミルがある。前記ブレード型混練機としては、ヘンシェルミキサー、プラネタリーミキサー、ナウターミキサーがある。前記ロール型混練機としては、エクストルーダーがある。
【0103】
白色無機粒子と糊剤との混合攪拌時における処理条件は、白色無機粒子の粒子表面に糊剤ができるだけ均一に被覆されるように、適宜調整すればよく、線荷重は19.6〜1960N/cm(2〜200Kg/cm)が好ましく、より好ましくは98〜1470N/cm(10〜150Kg/cm)、最も好ましくは147〜980N/cm(15〜100Kg/cm)であり、処理時間は5分〜24時間が好ましく、より好ましくは10分〜20時間の範囲であり、撹拌速度は2〜2000rpmが好ましく、より好ましくは5〜1000rpm、最も好ましくは10〜800rpmの範囲である。
【0104】
糊剤の添加量は、白色無機粒子粉末100重量部に対して0.15〜45重量部が好ましい。0.15〜45重量部の添加量により、白色無機粒子粉末100重量部に対して有機顔料等を1〜500重量部付着させることができる。
【0105】
白色無機粒子の粒子表面に糊剤を被覆した後、有機顔料等を添加し、混合攪拌して糊剤被覆に有機顔料等を付着させる。必要により更に、乾燥乃至加熱処理を行ってもよい。
【0106】
有機顔料等は、少量ずつを時間をかけながら、殊に5分〜24時間、好ましくは5分〜20時間程度をかけて添加するか、若しくは、白色無機粒子粉末100重量部に対して5〜25重量部の有機顔料等を、所望の添加量となるまで分割して添加することが好ましい。
【0107】
混合攪拌時における処理条件は、有機顔料等が均一に付着するように適宜調整すればよく、線荷重は19.6〜1960N/cm(2〜200Kg/cm)が好ましく、より好ましくは98〜1470N/cm(10〜150Kg/cm)、最も好ましくは147〜980N/cm(15〜100Kg/cm)であり、処理時間は5分〜24時間が好ましく、より好ましくは10分〜20時間の範囲であり、撹拌速度は2〜2000rpmが好ましく、より好ましくは5〜1000rpm、最も好ましくは10〜800rpmの範囲である。
【0108】
有機顔料等の添加量は、白色無機粒子粉末100重量部に対して1〜500重量部であり、好ましくは30〜400重量部、より好ましくは50〜300重量部である。有機顔料等の添加量が上記範囲外の場合には、目的とする印刷インキ用着色顔料が得られない。
【0109】
乾燥乃至加熱処理を行う場合の加熱温度は、通常40〜150℃が好ましく、より好ましくは60〜120℃であり、加熱時間は、10分〜12時間が好ましく、30分〜3時間がより好ましい。
【0110】
なお、糊剤としてアルコキシシラン及びフルオロアルキルシランを用いた場合には、これらの工程を経ることにより、最終的にはアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物又はフルオロアルキルシランから生成するフッ素含有オルガノシラン化合物となって被覆されている。
【0111】
本発明に係る印刷インキ用着色顔料は、前記処理工程を経ることによって、添加した有機顔料等が微細化されて均一、且つ緻密に糊剤を介して白色無機粒子の粒子表面に付着層を形成しているものである。
【0112】
複数の有色付着層を有する印刷インキ用着色顔料は、白色無機粒子粉末と糊剤とを混合し、白色無機粒子粉末の粒子表面を糊剤によって被覆し、次いで、糊剤によって被覆された白色無機粒子粉末と有機顔料等とを混合して糊剤被覆に有機顔料等を付着させて第一有色付着層を形成する(中間顔料)。次いで、前記第一有色付着層を形成した中間顔料と糊剤とを混合し、更に、糊剤被覆中間顔料と有機顔料等とを混合して第一有色付着層上に糊剤を介して有機顔料等を付着させることによって得ることができる。前記各工程における糊剤との混合処理及び有機顔料等との混合処理は上記各処理と同様にして行えばよい。なお、必要に応じて糊剤による被覆及び有機顔料等の付着を繰り返すことによって3層以上の有色付着層を形成した印刷インキ用着色顔料を得ることができる。
【0113】
白色無機粒子粉末は、必要により、アルコキシシラン又はポリシロキサンとの混合撹拌に先立って、あらかじめ、アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物より選ばれる少なくとも一種からなる中間被覆物で被覆しておいてもよい。
【0114】
中間被覆物による被覆は、白色無機粒子粉末を分散して得られる水懸濁液に、アルミニウム化合物、ケイ素化合物又は当該両化合物を添加して混合攪拌することにより、又は、必要により、混合攪拌後にpH値を調整することにより、前記白色無機粒子粉末の粒子表面を、アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物より選ばれる少なくとも一種からなる中間被覆物で被覆し、次いで、濾別、水洗、乾燥、粉砕する。必要により、更に、脱気・圧密処理等を施してもよい。
【0115】
アルミニウム化合物としては、酢酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム等のアルミニウム塩や、アルミン酸ナトリウム等のアルミン酸アルカリ塩等が使用できる。
【0116】
ケイ素化合物としては、3号水ガラス、オルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム等が使用できる。
【0117】
次に、印刷インキの製造法について述べる。
【0118】
本発明に係る印刷インキは、用いられる印刷インキの種類に応じて適切な製造法を用いればよい。例えば、凸版インキやオフセットインキのような粘度の高い印刷インキを製造する場合には、樹脂、乾性油、溶剤及び/又はその他添加剤を混合、加熱、溶解してビヒクルを作製し、次いで、前記ビヒクル中に着色顔料を添加して、ミキサー又はニーダーを用いて混合し、更に、3本ロールミル等で練肉し、練肉した後に、希釈、調整して印刷インキとする。
【0119】
また、グラビアインキやフレキソインキなどの粘度の低い印刷インキを製造する場合には、高速攪拌機を使用して樹脂を溶剤に溶解してビヒクルを作製し、次いで、前記ビヒクルと印刷インキ用着色顔料とを配合して練肉し、その後、希釈、調整して印刷インキとする。
【0120】
なお、印刷インキを製造するにあたり、樹脂中に高濃度の印刷インキ用着色顔料を配合させた顔料分散体を用いることによって、印刷インキ用着色顔料を容易に分散させることが可能となり、練肉する時間を短縮することができる。
【0121】
本発明における顔料分散体とは、顔料ペースト、ミルベース及び着色チップ等であり、本発明に係る着色顔料を顔料分散体構成基材100重量部に対して5〜1000重量部、好ましくは10〜800重量部含有している。
【0122】
顔料分散体構成基材としては、樹脂、溶剤及び/又は油脂、必要により、用途に応じて消泡剤、体質顔料、乾燥促進剤、界面活性剤、硬化促進剤、助剤等が配合される。
【0123】
本発明における顔料分散体に使用する樹脂、溶剤及び油脂としては、前記印刷インキ用と同一の樹脂、溶剤及び油脂を使用することができる。
【0124】
なお、顔料分散体中の樹脂の組成は、印刷インキ作製時の希釈用樹脂と同一の樹脂を用いても、また、異なる樹脂を用いてもよいが、異なる樹脂を使用する場合には、樹脂同士の相溶性を考慮して決めればよい。
【0125】
本発明における顔料分散体は、本発明に係る着色顔料及び樹脂、必要に応じて、溶剤及び/又は油脂、添加剤とをバタフライミキサー、プラネタリーミキサー、ポニーミキサー、ディゾルバー、タンクミキサー、ハイスピードミキサー、ホモミキサー、ニーダー、ロールミル、サンドミル、アトライター、ボールミル等の分散機を用いて混練・分散させることにより得ることができる。
【0126】
着色チップの場合、本発明に係る着色顔料及び樹脂とを必要により、リボンブレンダー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の混合機で混合した後、周知の単軸混練押出機や二軸混練押出機等で混練、成形した後切断するか、又は、上記混合物をバンバリーミキサー、加圧ニーダー等で混練して得られた混練物を粉砕又は成形、切断することにより得ることができる。
【0127】
【発明の実施の形態】
本発明の代表的な実施の形態は、次の通りである。
【0128】
粒子の平均粒子径は、いずれも電子顕微鏡写真に示される粒子350個の粒子径をそれぞれ測定し、その平均値で示した。
【0129】
比表面積値は、BET法により測定した値で示した。
【0130】
白色無機粒子粉末の粒子表面に存在しているAl量及びSi量のそれぞれは、「蛍光X線分析装置3063M型」(理学電機工業株式会社製)を使用し、JIS K0119の「けい光X線分析通則」に従って測定した。
【0131】
白色無機粒子粉末を被覆している糊剤の被覆量及び白色無機粒子粉末に付着している有機顔料の被覆量は、「堀場金属炭素・硫黄分析装置EMIA−2200型」(株式会社堀場製作所製)を用いて炭素量を測定することにより求めた。
【0132】
白色無機粒子に付着している有機顔料等の脱離の程度は、下記の方法により5段階で評価した。5が白色無機粒子の粒子表面からの有機顔料等の脱離量が少ないことを示す。
【0133】
被測定粒子粉末2gとエタノール20mlを50mlの三角フラスコに入れ、60分間超音波分散を行った後、回転数10,000rpmで15分間遠心分離を行い、被測定粒子粉末と溶剤部分とを分離した。得られた被測定粒子粉末を80℃で1時間乾燥させ、電子顕微鏡写真(×50,000)に示される視野の中に存在する、脱離して再凝集した有機顔料等の個数を目視で観察し、白色無機粒子と有機顔料等を、糊剤を介さず単に混合しただけの混合顔料の電子顕微鏡写真(×50,000)と比較して5段階で評価した。
【0134】
1:白色無機粒子と有機顔料等を、糊剤を介さず単に混合した場合と同程度。
2:白色無機粒子100個当たりに30個以上50個未満。
3:白色無機粒子100個当たりに10個以上30個未満。
4:白色無機粒子100個当たりに5個以上10個程度。
5:白色無機粒子100個当たりに5個未満。
【0135】
白色無機粒子粉末、有機顔料及び印刷インキ用着色顔料の色相は、試料0.5gとヒマシ油0.5mlとをフーバー式マーラーで練ってペースト状とし、このペーストにクリアラッカー4.5gを加え、混練、塗料化してクリアベースフィルム上に150μm(6mil)のアプリケーターを用いて塗布した塗布片(塗膜厚み:約30μm)を作製し、該塗布片について標準白色板をバックにして「多光源分光測色計MSC−IS−2D」(スガ試験機株式会社製)を用いて測定を行い、JIS Z 8729に定めるところに従って表色指数L値、a値及びb値で示した。なお、C値は彩度を表し、下記数1に従って求めることができる。
【0136】
【数1】
値=((a値)+(b値1/2
【0137】
印刷インキ用着色顔料の着色力は、まず下記に示す方法に従って作製した原色エナメルと展色エナメルのそれぞれを、キャストコート紙上に150μm(6mil)のアプリケーターを用いて塗布して塗布片を作製し、該塗布片について、「多光源分光測色計MSC−IS−2D」(スガ試験機株式会社製)を用いてL値を測色し、その差をΔL値とした。
【0138】
次いで、着色顔料の標準試料として、着色顔料と同様の割合で有機顔料等と白色無機粒子粉末とを単に混合した混合顔料を用いて、上記と同様にして原色エナメルと展色エナメルの塗布片を作製し、各塗布片のL値を測色し、その差をΔLs値とした。
【0139】
得られた着色顔料のΔL値と標準試料のΔLs値を用いて下記数2に従って算出した値を着色力(%)として示した。
【0140】
【数2】
着色力(%)=100+{(ΔLs−ΔL)×10}
【0141】
原色エナメルの作製:
上記試料粉体10gとアミノアルキッド樹脂16g及びシンナー6gとを配合して3mmφガラスビーズ90gと共に140mlのガラスビンに添加し、次いで、ペイントシェーカーで45分間混合分散した後、アミノアルキッド樹脂50gを追加し、更に5分間ペイントシェーカーで分散させて、原色エナメルを作製した。
【0142】
展色エナメルの作製:
上記原色エナメル12gとアミラックホワイト(二酸化チタン分散アミノアルキッド樹脂)40gとを配合し、ペイントシェーカーで15分間混合分散して、展色エナメルを作製した。
【0143】
白色無機粒子粉末、有機顔料等及び印刷インキ用着色顔料の隠蔽力は、上記で得られた原色エナメルを用いて、JIS K 5101 8.2のクリプトメーター法に従って得られた値で示した。
【0144】
白色無機粒子粉末、有機顔料等及び印刷インキ用着色顔料の耐光性は、前述の着色力を測定するために作製した原色エナメルを、透明ガラス板(0.8mm(厚さ)×70mm(幅)×150mm(長さ))に150μmの厚みで塗布、乾燥して塗膜を形成し、得られた測定用塗布片の半分を金属製フォイルで覆い、「アイ スーパーUVテスター」(SUV−W13(岩崎電気株式会社製))を用いて、紫外線を照射強度100mW/cmで6時間連続照射した後、金属製フォイルで覆うことによって紫外線が照射されなかった部分と紫外線照射した部分との色相(L値、a値、b値)を標準白色板をバックにしてそれぞれ測定し、紫外線が照射されなかった部分の測定値を基準に、下記数3に従って算出したΔE値によって示した。
【0145】
【数3】
ΔE値=((ΔL値)+(Δa値)+(Δb値)1/2
ΔL値: 比較する試料の紫外線照射有無のL値の差
Δa値: 比較する試料の紫外線照射有無のa値の差
Δb値: 比較する試料の紫外線照射有無のb値の差
【0146】
印刷インキ用着色顔料を用いた各種印刷インキの各色相は、後述する処方によって調製した各印刷インキを透明ガラス板(0.8mm(厚さ)×70mm(幅)×150mm(長さ))に150μmの厚みで塗布、乾燥して塗膜を形成して得られた測定用塗布片を、標準白色板をバックにして「多光源分光測色計MSC−IS−2D」(スガ試験機株式会社製)を用いて測定を行い、L値、a値及びb値で示した。
【0147】
塗膜の光沢度は、前記測定用塗布片を「グロスメーター UGV−5D」(スガ試験機株式会社製)を用いて入射角60°の時の光沢度で示した。光沢度が高いほど、印刷インキ用着色顔料を配合した印刷インキの分散性が優れていることを示す。
【0148】
各印刷インキを用いた塗膜の耐光性は、前述の印刷インキの色相を測定するために作製した測定用塗布片の半分を金属製フォイルで覆い、「アイ スーパーUVテスター」(SUV−W13(岩崎電気株式会社製))を用いて、紫外線を照射強度100mW/cmで6時間連続照射した後、金属製フォイルで覆うことによって紫外線が照射されなかった部分と紫外線照射した部分との色相(L値、a値、b値)をそれぞれ測定し、紫外線が照射されなかった部分の測定値を基準に、前記数3に従って算出したΔE値によって示した。
【0149】
着色顔料を用いた各種印刷インキの塗膜の透明性は、後述する処法によって調製した印刷インキを厚さ100μmのクリアベースフィルムに塗布して得られた塗膜について、「自記光電分光光度計UV−2100」(株式会社島津製作所製)を用いて測定した光透過率から、下記数4によって定義される線吸収係数で示した。
【0150】
【数4】
線吸収係数(μm−1)=ln(1/t)/FT
t:λ=900nmにおける光透過率(−)
FT:測定に用いたフィルムの塗膜の厚み(μm)
【0151】
印刷インキの貯蔵安定性は、後述する処方によって調製した各印刷インキを透明ガラス板(0.8mm(厚さ)×70mm(幅)×150mm(長さ))(JIS−G−3141)に150μmの厚みで塗布、乾燥して製造した塗膜のL値、a値及びb値と、密閉容器に入れた該印刷インキを60℃において1週間静置して得られた印刷インキを透明ガラス板に塗布、乾燥して製造した塗膜のL値、a値及びb値を測定し、下記数5に従って得られたΔE値で示した。
【0152】
【数5】
ΔE値=((ΔL+(Δa+(Δb1/2
ΔL値: 比較する塗膜の静置前後のL値の差
Δa値: 比較する塗膜の静置前後のa値の差
Δb値: 比較する塗膜の静置前後のb値の差
【0153】
<印刷インキ用着色顔料の製造>
シリカ粒子粉末(粒子形状:球状、平均粒子径0.022μm、BET比表面積値193.8m/g、L値92.4、a値0.2、b値0.4、C値0.4、隠蔽力10cm/g、耐光性8.14)7.0kgに、メチルハイドロジェンポリシロキサン(商品名:TSF484:GE東芝シリコーン株式会社製)280gを、エッジランナーを稼動させながらシリカ粒子粉末に添加し、588N/cm(60Kg/cm)の線荷重で30分間混合攪拌を行った。なお、このときの攪拌速度は22rpmで行った。
【0154】
次に、有機顔料B−1(種類:フタロシアニン系顔料、粒子形状:粒状、平均粒子径0.06μm、BET比表面積値71.6m/g、隠蔽力240cm/g、耐光性ΔE値10.84、L値17.70、a値9.72、b値−23.44)7.0kgを、エッジランナーを稼動させながら30分間かけて添加し、更に588N/cm(60Kg/cm)の線荷重で120分間混合攪拌を行い、メチルハイドロジェンポリシロキサン被覆に有機顔料B−1を付着させた後、乾燥機を用いて80℃で60分間乾燥を行い、印刷インキ用着色顔料を得た。なお、このときの攪拌速度は22rpmで行った。
【0155】
得られた印刷インキ用着色顔料は、平均粒子径が0.026μmの粒状粒子であった。BET比表面積値は128.1m/g、色相のうちL値は20.89、a値は9.41、b値は−21.63であり、着色力は158%、隠蔽力は550cm/g、耐光性ΔE値は1.60、有機顔料の脱離の程度は5であり、メチルハイドロジェンポリシロキサンの被覆量はC換算で1.08重量%であった。有機顔料の付着量はC換算で33.16重量%(シリカ粒子粉末100重量部に対して100重量部に相当する)であった。
【0156】
得られた印刷インキ用着色顔料の電子顕微鏡写真の観察結果より、添加した有機顔料B−1の粒子がほとんど認められないことから、有機顔料B−1のほぼ全量がメチルハイドロジェンポリシロキサン被覆に付着していることが認められた。また、有機顔料B−1は添加時の粒子形状及び粒子サイズを維持しておらず、芯粒子よりもはるかに微細化された状態で芯粒子の粒子表面に付着層を形成していることが認められた。
【0157】
<オフセットインキの製造>
ロジン変性フェノール樹脂70.0重量部、アマニ油20.0重量部及び軽油10.0重量部を200℃で1時間加熱してワニスを調整した。該ワニス70.0重量部、前記で得られた印刷インキ用着色顔料25.0重量部、コンパウンド2.0重量部、コバルトドライヤ3.0重量部を、三本ロールミルを用いて練肉し、オフセットインキを得た。
【0158】
印刷インキ用着色顔料 25.0重量部、
ロジン変性フェノール樹脂 49.0重量部、
アマニ油 14.0重量部、
石油系溶剤 7.0重量部、
コンパウンド 2.0重量部、
ドライヤ(コバルトドライヤ) 3.0重量部。
【0159】
得られたオフセットインキの貯蔵安定性は、ΔE値で0.97であった。
【0160】
次いで、前記オフセットインキを透明ガラス板(0.8mm(厚)×70mm(幅)×150mm(長さ))に塗布して得られた塗膜の光沢度は109%、色相はL値が57.26、a値が4.72、b値が−22.58、耐光性ΔE値が2.60であり、線吸収係数は0.0810μm−1であった。
【0161】
<グラビアインキの製造>
硬化ロジン20.0重量部、石油樹脂12.0重量部及び溶剤68.0重量部を混合し、高速攪拌機を用いてワニスを調整した。次いで、該ワニス75.0重量部と前記で得られた印刷インキ用着色顔料7.0重量部、体質顔料15.0重量部及び添加剤3.0重量部を混合し、サンドミルを用いて練肉し、グラビアインキを得た。
【0162】
印刷インキ用着色顔料 7.0重量部、
体質顔料(炭酸カルシウム) 15.0重量部、
硬化ロジン 15.0重量部、
石油樹脂 9.0重量部、
溶剤(トルエン) 51.0重量部、
添加剤(ポリエチレンワックス) 3.0重量部。
【0163】
得られたグラビアインキの貯蔵安定性は、ΔE値で0.96であった。
【0164】
次いで、前記グラビアインキを透明ガラス板(0.8mm(厚)×70mm(幅)×150mm(長さ))に塗布して得られた塗膜の光沢度は112%、色相はL値が58.69、a値が4.98、b値が−23.16、耐光性ΔE値が2.59であり、線吸収係数は0.0765μm−1であった。
【0165】
<水性インキの製造>
アクリル樹脂25.0重量部を28%アンモニア水5.0重量部、イソプロピルアルコール14.0重量部及び水56.0重量部に溶解させ、水性ビヒクルを作製した。次いで、該水性ビヒクル28.0重量部と前記で得られた印刷インキ用着色顔料15.0重量部及び水7.0重量部をサンドミルを用いて練肉後、該水性ビヒクルを47.5重量部、添加剤2.0重量部及び消泡剤0.5重量部を追加添加して水性インキを得た。
【0166】
印刷インキ用着色顔料 15.0重量部、
水性ビヒクル 28.0重量部、
水 7.0重量部、
追加水性ビヒクル 47.5重量部、
添加剤(ポリエチレンワックス) 2.0重量部、
消泡剤 0.5重量部。
【0167】
得られた水性インキの貯蔵安定性は、ΔE値で0.98であった。
【0168】
次いで、前記水性インキを透明ガラス板(0.8mm(厚)×70mm(幅)×150mm(長さ))に塗布して得られた塗膜の光沢度は110%、色相はL値が58.41、a値が4.92、b値が−23.22、耐光性ΔE値が2.53であり、線吸収係数は0.0928μm−1であった。
【0169】
【作用】
本発明において最も重要な点は、白色無機粒子の粒子表面が糊剤によって被覆されていると共に、該被覆に有機顔料等が微細化された状態で均一な付着層を形成している印刷インキ用着色顔料は、着色力が高く、微粒子でありながら、分散性及び耐光性に優れているという事実である。
【0170】
本発明に係る着色顔料が優れた分散性を有する理由として、本発明者は、糊剤によって有機顔料が体質顔料の粒子表面に強固に付着されているので粒子表面から脱離する有機顔料又はカーボンブラックが少なく、そのため、脱離した有機顔料又はカーボンブラックによって系内の分散が阻害されないことによるものと考えている。
【0171】
本発明に係る印刷インキ用着色顔料の耐光性が優れている理由としては、未だ明らかではないが、比較的耐光性に優れている芯粒子の粒子表面に、耐光性に優れた糊剤を介して染料と比べて格段に耐光性に優れている有機顔料等を付着させたことによるものと考えている。
【0172】
そして、本発明に係る印刷インキ用着色顔料を用いて得られた印刷インキは、分散性及び貯蔵安定性に優れていると共に、該印刷インキを用いて得られた印刷画像は優れた耐光性を有している。
【0173】
本発明に係る印刷インキの分散性が優れている理由について、本発明者は、芯粒子表面からの有機顔料等の脱離が抑制された本発明に係る印刷インキ用着色顔料を用いたことによるものと考えている。
【0174】
本発明に係る印刷インキの貯蔵安定性が優れている理由について、本発明者は、通常、印刷インキ中に分散されており、時間の経過と共に自己凝集あるいは結晶成長して沈降しやすい有機顔料等が、本発明に係る印刷インキ用着色顔料を用いた場合には、有機顔料等が微細に分散された状態で芯粒子表面に付着しているため、自己凝集あるいは結晶成長を起こすことなく、個々の粒子が分散した状態で印刷インキ中に存在しているためと考えている。
【0175】
本発明に係る印刷インキを用いて得られた印刷画像が優れた耐光性を有している理由として、本発明者は、印刷インキ用着色顔料として、前記本発明に係る印刷インキ用着色顔料を用いたことによるものと考えている。
【0176】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を示す。
【0177】
芯粒子1〜6:
芯粒子粉末として表1に示す特性を有する白色無機粒子粉末を用意した。
【0178】
【表1】
Figure 0005035496
【0179】
芯粒子7:
芯粒子1の酸化チタン粒子粉末20kgと水150lとを用いて、酸化チタン粒子粉末を含むスラリーを得た。得られた酸化チタン粒子粉末を含む再分散スラリーのpH値を、水酸化ナトリウム水溶液を用いて10.5に調整した後、該スラリーに水を加えスラリー濃度を98g/lに調整した。このスラリー150lを加熱して60℃とし、このスラリー中に1.0mol/lのアルミン酸ナトリウム溶液5444ml(酸化チタン粒子粉末に対してAl換算で1.0重量%に相当する)を加え、30分間保持した後、酢酸を用いてpH値を7.5に調整した。この状態で30分間保持した後、濾過、水洗、乾燥、粉砕して粒子表面がアルミニウムの水酸化物により被覆されている酸化チタン粒子粉末を得た。
【0180】
このときの製造条件を表2に、得られた表面処理済み酸化チタン粒子粉末の諸特性を表3に示す。
【0181】
芯粒子8〜12:
芯粒子2〜6の各白色無機粒子粉末を用い、表面被覆物の種類及び量を種々変化させた以外は、前記芯粒子7と同様にして粒子表面が被覆物で被覆されている白色無機粒子粉末を得た。
【0182】
このときの製造条件を表2に、得られた表面処理済み白色無機粒子粉末の諸特性を表3に示す。
【0183】
【表2】
Figure 0005035496
【0184】
【表3】
Figure 0005035496
【0185】
尚、表面処理工程における被覆物の種類のAはアルミニウムの水酸化物であり、Sはケイ素の酸化物を表わす。
【0186】
有機顔料及びカーボンブラック微粒子粉末:
有機顔料及びカーボンブラック微粒子粉末として表4に示す諸特性を有する有機顔料及びカーボンブラック微粒子粉末を用意した。
【0187】
【表4】
Figure 0005035496
【0188】
実施例1〜12、比較例1〜3:
糊剤による被覆工程における添加物の種類、添加量、エッジランナー処理の線荷重及び時間、有機顔料等の付着工程における有機顔料等の種類、添加量、エッジランナー処理の線荷重及び時間を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態と同様にして着色顔料を得た。
【0189】
このときの製造条件を表5に、得られた印刷インキ用着色顔料の諸特性を表6に示す。
【0190】
なお、実施例2では、芯粒子粉末100重量部に対して、有機顔料R−1 50.0重量部と有機顔料Y−1 30.0重量部をあらかじめヘンシェルミキサー等で混合した後、該混合顔料80.0重量部を20分かけて添加した。実施例3では、芯粒子粉末100重量部に対して、有機顔料B−1を15.0重量部づつ10回に分けて添加した。実施例4では、芯粒子粉末100重量部に対して、有機顔料C−1 100.0重量部を100分かけて添加した。実施例9では、芯粒子粉末100重量部に対して、有機顔料C−2 100.0重量部を20重量部づつ5回に分けて添加した。
【0191】
【表5】
Figure 0005035496
【0192】
【表6】
Figure 0005035496
【0193】
<複数の有色付着層を有する印刷インキ用着色顔料>
実施例13:
酸化チタン粒子粉末(粒子形状:粒状、平均粒子径0.253μm、BET比表面積値10.3m/g、L値96.63、a値−0.58、b値−0.69、C値0.90、隠蔽力1,560cm/g、耐光性ΔE値6.15)20kgを凝集を解きほぐすために、純水150lに攪拌機を用いて邂逅し、更に「TKパイプラインホモミクサー」(特殊機化工業株式会社製)を3回通して酸化チタン粒子粉末を含むスラリーを得た。
【0194】
次いで、この酸化チタン粒子粉末を含むスラリーを横型サンドグラインダー「マイティーミルMHG−1.5L」(井上製作所株式会社製)を用いて軸回転数2000rpmにおいて5回パスさせて、酸化チタン粒子粉末を含む分散スラリーを得た。
【0195】
得られた分散スラリーの325mesh(目開き44μm)における篩残分は0%であった。この分散スラリーを濾別、水洗して、酸化チタン粒子粉末のケーキを得た。この酸化チタン粒子粉末のケーキを120℃で乾燥した後、乾燥粉末11.0kgをエッジランナー「MPUV−2型」(製品名、株式会社松本鋳造鉄工所製)に投入し、294N/cm(30Kg/cm)で30分間混合撹拌を行い、粒子の凝集を軽く解きほぐした。
【0196】
次に、メチルトリエトキシシラン(商品名:TSL8123:GE東芝シリコーン株式会社製)220gを200mlのエタノールで混合希釈して得られるメチルトリエトキシシラン溶液を、エッジランナーを稼動させながら上記酸化チタン粒子粉末に添加し、392N/cm(40Kg/cm)の線荷重で20分間混合攪拌を行った。なお、このときの撹拌速度は22rpmで行った。
【0197】
次に、有機顔料B−1(種類:フタロシアニン系顔料、粒子形状:粒状、平均粒子径0.06μm、BET比表面積値71.6m/g、隠蔽力240cm/g、L値17.70、a値9.72、b値−23.44、耐光性ΔE値10.84)2,200gを、エッジランナーを稼動させながら20分間かけて添加し、更に392N/cm(40Kg/cm)の線荷重で60分間、混合攪拌を行い、メチルトリエトキシシラン被覆の上に有機顔料B−1が付着している中間顔料を得た。なお、このときの撹拌速度は22rpmで行った。
【0198】
メチルトリエトキシシランの被覆量と有機顔料B−1の付着量とを確認するために、得られた中間顔料の一部を分取し、乾燥機を用いて105℃で60分間加熱処理を行った。メチトリエトキシシランの被覆量は、C換算で0.130重量%であり、有機顔料B−1の付着量はC換算で11.04重量%(酸化チタン粒子粉末100重量部に対して20重量部に相当する)であった。電子顕微鏡写真観察の結果、有機顔料B−1がほとんど認められないことから、有機顔料B−1のほぼ全量がメチルトリエトキシシランから生成するオルガノシラン化合物被覆層に付着していることが認められた。
【0199】
次に、メチルトリエトキシシラン(商品名:TSL8123:GE東芝シリコーン株式会社製)220gを、エッジランナーを稼動させながら上記中間顔料に添加し、588N/cm(60Kg/cm)の線荷重で30分間混合攪拌を行って、表面にメチルトリエトキシシランが被覆されている中間顔料を得た。なお、この時の攪拌速度は22rpmで行った。
【0200】
次に、有機顔料B−2(種類:フタロシアニン系顔料、粒子形状:粒状、平均粒子径0.08μm、BET比表面積値56.3m/g、隠蔽力272cm/g、L値17.32、a値−11.60、b値−26.53、耐光性ΔE値10.21)5500gを、エッジランナーを稼動させながら50分間かけて添加し、更に588N/cm(60Kg/cm)の線荷重で120分間混合攪拌を行い、有機顔料B−1付着層にメチルトリエトキシシランを介して有機顔料B−2を付着させた後、乾燥機を用いて80℃で60分間熱処理を行って、印刷インキ用着色顔料を得た。なお、この時の攪拌速度は22rpmで行った。
【0201】
電子顕微鏡写真観察の結果、有機顔料B−2がほとんど認められないことから、有機顔料B−2のほぼ全量が、メチルトリエトキシシラン被覆層に付着していることが認められた。
【0202】
このときの製造条件を表7及び表8に、得られた印刷インキ用着色顔料の諸特性を表11に示す
【0203】
実施例14〜36、比較例4〜10:
芯粒子の種類、第一有色付着層の付着工程における糊剤の種類、添加量、エッジランナー処理の線荷重及び時間、有機顔料等の種類、添加量、エッジランナー処理の線荷重及び時間並びに第二有色付着層の付着工程における糊剤の種類、添加量、エッジランナー処理の線荷重及び時間、有機顔料等の種類、添加量、エッジランナー処理の線荷重及び時間を種々変化させた以外は、前記実施例13と同様にして着色顔料を得た。
【0204】
このときの製造条件を表7乃至表10に、得られた印刷インキ用着色顔料の諸特性を表11乃至表13に示す。
【0205】
なお、実施例2では、芯粒子粉末100重量部に対して、有機顔料R−1 50.0重量部と有機顔料Y−1 30.0重量部をあらかじめヘンシェルミキサー等で混合した後、該混合顔料80.0重量部を20分かけて添加した。実施例3では、芯粒子粉末100重量部に対して、有機顔料B−1を15.0重量部づつ10回に分けて添加した。実施例4では、芯粒子粉末100重量部に対して、有機顔料C−1 100.0重量部を100分かけて添加した。実施例9では、芯粒子粉末100重量部に対して、有機顔料C−2 100.0重量部を20重量部づつ5回に分けて添加した。
【0206】
【表7】
Figure 0005035496
【0207】
【表8】
Figure 0005035496
【0208】
【表9】
Figure 0005035496
【0209】
【表10】
Figure 0005035496
【0210】
【表11】
Figure 0005035496
【0211】
【表12】
Figure 0005035496
【0212】
【表13】
Figure 0005035496
【0213】
<オフセットインキの製造>
実施例37〜52、比較例11〜30:
印刷インキ用着色顔料の種類を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態と同様にしてオフセットインキを得た。
【0214】
得られたオフセットインキの諸特性及び塗膜の諸特性を表14及び表15に示す。
【0215】
【表14】
Figure 0005035496
【0216】
【表15】
Figure 0005035496
【0217】
<グラビアインキの製造>
実施例53〜68、比較例31〜50:
印刷インキ用着色顔料の種類を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態と同様にしてグラビアインキを得た。
【0218】
得られたグラビアインキの諸特性を表16及び表17に示す。
【0219】
【表16】
Figure 0005035496
【0220】
【表17】
Figure 0005035496
【0221】
<水性インキの製造>
実施例69〜84、比較例51〜70:
印刷インキ用着色顔料の種類を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態と同様にして水性インキを得た。
【0222】
得られた水性インキの諸特性を表18及び表19に示す。
【0223】
【表18】
Figure 0005035496
【0224】
【表19】
Figure 0005035496
【0225】
<顔料分散体の製造>
実施例85〜92:
印刷インキ用着色顔料の種類、樹脂の種類、添加剤の種類及び溶剤の種類及び配合量を種々変化させて顔料分散体を得た。
【0226】
このときの製造条件を表20に示す。
【0227】
【表20】
Figure 0005035496
【0228】
<印刷インキの製造>
実施例93〜100:
顔料分散体の種類、樹脂の種類、添加剤の種類及び溶剤の種類及び配合量を種々変化させて、印刷インキを得た。
【0229】
このときの製造条件を表21に、得られた印刷インキの諸特性を表22に示す。
【0230】
【表21】
Figure 0005035496
【0231】
【表22】
Figure 0005035496
【0232】
【発明の効果】
本発明に係る印刷インキ用着色顔料は、着色力が高く、微粒子でありながら、分散性及び耐光性に優れているので印刷インキ用着色顔料として好適である。
【0233】
本発明に係る印刷インキは、着色力が高く、分散性及び耐光性に優れている着色顔料を用いることから、凸版インキ、オフセットインキ、グラビアインキ、スクリーンインキ、フレキソインキ、水性インキ及び水性ボールペン、油性ボールペン等の筆記具用インキ等の各種印刷インキの着色顔料として好適である。

Claims (5)

  1. 白色無機粒子粉末の粒子表面が糊剤によって被覆されていると共に該被覆に有機顔料又はカーボンブラックが付着している平均粒子径0.001〜10.0μmの複合粒子粉末からなることを特徴とする印刷インキ用着色顔料。
  2. 白色無機粒子粉末の粒子表面が有機ケイ素化合物及びカップリング剤から選ばれる一種又は二種以上の糊剤によって被覆されていると共に該被覆に有機顔料又はカーボンブラックが付着している平均粒子径0.001〜10.0μmの複合粒子粉末からなることを特徴とする印刷インキ用着色顔料。
  3. 有機顔料又はカーボンブラックの付着量が白色無機粒子粉末100重量部に対して1〜500重量部であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の印刷インキ用着色顔料。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の印刷インキ用着色顔料を含有する印刷インキ。
  5. 求項1乃至請求項3のいずれかに記載の印刷インキ用着色顔料を含有することを特徴とする顔料分散体。
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