JP5571979B2 - 新規フルオレン化合物およびその金属酸化物複合体 - Google Patents

新規フルオレン化合物およびその金属酸化物複合体 Download PDF

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本発明は、アルコキシシリル基などの加水分解縮合性基を有する新規なフルオレン化合物、およびこのフルオレン化合物の製造方法に関する。また、本発明は、前記フルオレン化合物を含む重合性組成物、およびこの重合性組成物が硬化した硬化物(金属酸化物複合体)に関する。
高屈折率材料を得るための方法には、イオウ元素を導入する方法や、酸化チタンや酸化ジルコニウムなどの無機粒子を有機成分(ポリマーなど)と複合化(コンポジット化)するなどの方法が知られている。しかし、イオウ元素の大量導入には臭気の問題や、原料中の不純物から副生するジスルフィドによる安定性の低下などの問題が生じる場合があり、また、無機ナノ粒子とのコンポジット化では粒子の凝集に伴う問題(例えば、透明性の低下)がある。
一方、芳香族骨格の導入により高屈折率材料を得る試みもなされている。特に、芳香族骨格の中でもフルオレン骨格(9,9−ビスフェニルフルオレン骨格)は、高屈折率、高耐熱性などの特性を有するため、このようなフルオレン骨格を有する化合物を用いた高屈折率材料が検討されている。
例えば、特開2005−314692号公報(特許文献1)には、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂[例えば、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテル、9,9−ビス(グリシジルオキシC2−4アルコキシフェニル)フルオレンなど]、アルコキシシラン類および光酸発生剤で構成された光重合性樹脂組成物が開示されている。
このようにフルオレン骨格を有する化合物を用いた高屈折率材料が開発されつつあるが、さらなるフルオレン骨格を有する化合物の開発が望まれる。
特開2005−314692号公報(特許請求の範囲、実施例)
従って、本発明の目的は、高屈折率などの優れた特性を有する硬化物を生成可能な新規フルオレン化合物、このフルオレン化合物を製造する方法、前記フルオレン化合物を含む重合性組成物およびその硬化物を提供することにある。
本発明の他の目的は、非ケイ素系金属アルコキシド(チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシドなど)とともに加水分解縮合可能であり、高屈折率、高透明性などの特性を有する硬化物を形成できるフルオレン化合物、このフルオレン化合物を製造する方法、前記フルオレン化合物を含む重合性組成物およびその硬化物を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、非ケイ素系金属アルコキシドの割合を高めて加水分解縮合(又はゾルゲル反応)させても、クラックのない硬化膜を形成できるフルオレン化合物、このフルオレン化合物を製造する方法、前記フルオレン化合物を含む重合性組成物およびその硬化物を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類のアリルエーテルと、メルカプト基を有するアルコキシシランとをエンチオール反応させると、アルコキシシリル基を有する新規なフルオレン化合物が得られること、このフルオレン化合物は、加水分解縮合性を有し、特に、非ケイ素系金属アルコキシドと組み合わせて加水分解縮合(ゾルゲル反応)させると、高屈折率、高透明性などの優れた特性を有する有機・無機ハイブリッド硬化膜(金属酸化物複合膜)が得られること、さらには、組成物中の非ケイ素系金属アルコキシドの割合を高めてもクラックがなく、非常に高い屈折率を有するハイブリッド硬化膜を形成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明のフルオレン化合物は、下記式(1)で表される。
Figure 0005571979
[式中、Rは、ハロゲン原子、シアノ基又はアルキル基、Rはアルキル基、Rはアルキレン基、Xは−Si(OR)(R)3−a[式中、Rはアルキル基又は基−[(RO)−R](式中、Rは、アルキレン基であり、Rはアルキル基であり、bは1以上の整数を示す)、Rは、水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子又は炭化水素基を示し、aは1〜3の整数を示す。]で表される基を示し、kは0〜4の整数、mは0〜2の整数である。]
上記式(1)において、例えば、RはC2−4アルキレン基、RはC1−4アルキル基又はC1−4アルコキシC1−4アルキル基、aは2又は3であってもよい。
代表的には、前記式(1)で表される化合物は、9,9−ビス[3−(トリC1−4アルコキシシリルC2−4アルキルチオ)プロポキシフェニル]フルオレン、又は9,9−ビス[3−(トリC1−4アルコキシシリルC2−4アルキルチオ)プロポキシ−C1−4アルキルフェニル]フルオレンであってもよい。
本発明には、下記式(2)
Figure 0005571979
(式中、R、R、k、mは前記と同じ。)
で表される化合物と、下記式(3)
HS−R−Si(OR)(R)3−a (3)
(式中、R、R、R、aは前記と同じ。)
で表される化合物とを反応させて、前記フルオレン化合物(前記式(1)で表される化合物)を製造する方法も含まれる。
本発明のフルオレン化合物は、加水分解縮合性基を有しており、重合性組成物を形成できる。このような重合性組成物は、前記フルオレン化合物および金属アルコキシド(例えば、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、および亜鉛から選択された非ケイ素系金属の金属アルコキシド)を含む重合性組成物であってもよい。
このような重合性組成物において、フルオレン化合物と金属アルコキシドとの割合は、例えば、前者/後者(重量比)=95/5〜10/90程度であってもよい。
また、重合性組成物は、さらに、酸触媒(特に、光酸発生剤)を含んでいてもよい。
本発明には、前記重合性組成物が硬化した硬化物(加水分解縮合したゾルゲル反応物)も含まれる。
本発明の新規なフルオレン化合物は、9,9−ビスフェニル骨格とともに、アルコキシシリル基などの加水分解縮合性基を有する化合物であるため、加水分解縮合により、高屈折率などの優れた特性を有する硬化物を生成可能である。また、本発明のフルオレン化合物は、非ケイ素系金属アルコキシド(チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシドなど)とともに加水分解縮合可能であり、高屈折率、高透明性などの特性を有する硬化物を形成できる。特に、非ケイ素系金属アルコキシドの割合を高めて加水分解縮合(又はゾルゲル反応)させても、クラックのない硬化膜を形成できる。そのため、本発明では、非常に高屈折率の硬化膜を得ることもできる。
図1は、実施例1で得られた化合物とテトラn−ブトキシチタンを用いて作製したハイブリッド膜において、テトラn−ブトキシチタンの各割合における屈折率をプロットした図である。 図2は、実施例2で得られた化合物とテトラn−ブトキシチタンを用いて作製したハイブリッド膜において、テトラn−ブトキシチタンの各割合における屈折率をプロットした図である。 図3は、実施例1で得られた化合物とテトラn−ブトキシジルコニウムを用いて作製したハイブリッド膜において、テトラn−ブトキシジルコニウムの各割合における屈折率をプロットした図である。 図4は、実施例2で得られた化合物とテトラn−ブトキシジルコニウムを用いて作製したハイブリッド膜において、テトラn−ブトキシジルコニウムの各割合における屈折率をプロットした図である。
[式(1)で表されるフルオレン化合物]
本発明のフルオレン化合物は、下記式(1)で表される。
Figure 0005571979
[式中、Rは、ハロゲン原子、シアノ基又はアルキル基、Rはアルキル基、Rはアルキレン基、Xは−Si(OR)(R)3−a[式中、Rはアルキル基又は基−[(RO)−R](式中、Rは、アルキレン基であり、Rはアルキル基であり、bは1以上の整数を示す)、Rは、水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子又は炭化水素基を示し、aは1〜3の整数を示す。]で表される基を示し、kは0〜4の整数、mは0〜2の整数である。]
上記式(1)のRにおいて、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられ、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC1−6アルキル基(例えば、C1−4アルキル基、特にメチル基)などが挙げられる。なお、kが複数(2以上)である場合、基Rは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、フルオレン(又はフルオレン骨格)を構成する2つのベンゼン環に置換する基Rは同一であってもよく、異なっていてもよい。また、フルオレンを構成するベンゼン環に対する基Rの結合位置(置換位置)は、特に限定されない。好ましい置換数kは、0〜1、特に0である。なお、フルオレンを構成する2つのベンゼン環において、置換数kは、互いに同一又は異なっていてもよい。
また、前記式(1)のRにおいて、アルキル基としては、前記と同様のアルキル基、例えば、メチル基などのC1−12アルキル基(好ましくはC1−8アルキル基、さらに好ましくはC1−6アルキル基など)などが挙げられる。Rの数mは、0〜2であればよく、特に0又は1であってもよい。なお、Rは異なるベンゼン環において同一又は異なっていてもよく、mが2である場合、同一のベンゼン環において同一又は異なる基であってもよい。
前記式(1)において、基Rで表されるアルキレン基としては、特に限定されないが、例えば、C2−10アルキレン基(例えば、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブタン−1,2−ジイル基、ヘキシレン基などのC2−6アルキレン基)などが例示でき、特に、C2−4アルキレン基(特に、エチレン基、プロピレン基などのC2−3アルキレン基)が好ましい。なお、Rは、異なるベンゼン環において、同一の又は異なるアルキレン基であってもよいが、通常、同一であってもよい。
また、前記式(1)の基X(−Si(OR)(R)3−a、および−[(RO)−R])において、アルキル基としては、前記例示の基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などのC1−10アルキル基、好ましくはC1−6アルキル基、さらに好ましくはC1−4アルキル基などが挙げられる。また、炭化水素基としては、アルキル基(前記例示の基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などのC1−10アルキル基、好ましくはC1−6アルキル基、さらに好ましくはC1−4アルキル基)、アリール基(前記例示の基、例えば、フェニル基、トリル基などのC6−10アリール基)などの不飽和炭化水素基などが挙げられる。特に、RおよびRは、低級アルキル基(例えば、メチル基、エチル基などのC1−4アルキル基、好ましくはC1−2アルキル基)であるのが好ましい。また、Rで表されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、好ましくは塩素原子であってもよい。さらに、Rで表されるアルキレン基としては、前記例示の基、例えば、エチレン基、プロピレン基などのC2−10アルキレン基(好ましくはC2−6アルキレン基、さらに好ましくはC2−4アルキレン基)などが挙げられる。また、基−[(RO)−R]において、bは、例えば、1〜10、好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4(例えば、1〜2)、特に1であってもよい。また、aは1〜3であればよいが、加水分解縮合性の観点から、2又は3であるのが好ましく、特に3であるのが好ましい。
好ましい態様では、Rがアルキル基(例えば、メチル基、エチル基などのC1−4アルキル基、好ましくはC1−2アルキル基)又はアルコキシアルキル基[例えば、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基などのC1−4アルコキシC2−4アルキル基(特に、C1−2アルコキシエチル基)]、Rがアルキル基(例えば、メチル基などのC1−4アルキル基)又はアリール基(特に、アルキル基)、aが2又は3(特に3)であってもよい。
代表的な基Xには、例えば、トリアルコキシシリル基(例えば、トリメトキシシリル基などのトリC1−4アルコキシシリル基)、アルキルジアルコキシシリル基(例えば、メチルジメトキシシリル基などのC1−4アルキルジC1−4アルコキシシリル基)などが含まれる。
代表的な前記式(1)で表される化合物には、例えば、9,9−ビス[3−(トリアルコキシシリルアルキルチオ)プロポキシフェニル]フルオレン{例えば、9,9−ビス{4−[3−(3−トリメトキシシリルプロピルチオ)プロポキシ]フェニル}フルオレン、9,9−ビス{4−[3−(3−トリエトキシシリルプロピルチオ)プロポキシ]フェニル}フルオレン、9,9−ビス{4−[3−(2−トリメトキシシリルエチルチオ)プロポキシ]フェニル}フルオレンなどの9,9−ビス[3−(トリC1−4アルコキシシリルC2−4アルキルチオ)プロポキシフェニル]フルオレン}、9,9−ビス[3−(トリアルコキシシリルアルキルチオ)プロポキシ−アルキルフェニル]フルオレン{例えば、9,9−ビス{4−[3−(3−トリメトキシシリルプロピルチオ)プロポキシ]−3−メチルフェニル}フルオレン、9,9−ビス{4−[3−(3−トリエトキシシリルプロピルチオ)プロポキシ]−3−メチルフェニル}フルオレン、9,9−ビス{4−[3−(2−トリメトキシシリルエチルチオ)プロポキシ]−3−メチルフェニル}フルオレンなどの9,9−ビス[3−(トリC1−4アルコキシシリルC2−4アルキルチオ)プロポキシ−C1−4アルキルフェニル]フルオレン}などが挙げられる。
(製造方法)
本発明のフルオレン化合物は、下記式(2)
Figure 0005571979
(式中、R、R、k、mは前記と同じ。)
で表される化合物と、下記式(3)
HS−R−Si(OR)(R)3−a (3)
(式中、R、R、R、aは前記と同じ。)
で表される化合物とを反応(エンチオール反応)させることにより得られる。
前記式(2)において、R、R、k、mは好ましい態様を含めて、前記と同じである。代表的な前記式(2)で表される化合物としては、例えば、9,9−ビス(アリルオキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−アリルオキシフェニル)フルオレン]、9,9−ビス(アリルオキシ−アルキルフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−アリルオキシ−3−メチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(アリルオキシ−C1−4アルキルフェニル)フルオレンなど]などが含まれる。
なお、前記式(2)で表される化合物は、市販品を使用してもよく、慣用の方法により合成したものを使用してもよい。例えば、前記式(2)で表される化合物は、下記式(2A)で表される化合物をアリル化することにより得ることができる。代表的には、下記式(2A)で表される化合物と、アリルハライド(例えば、アリルブロマイドなど)とを反応させることにより得てもよい。
Figure 0005571979
(式中、R、k、mは前記と同じ。)
なお、副生するハロゲン化水素をトラップ(捕捉)するため、アリルハライドを用いるアリル化反応は、塩基存在下で行ってもよい。
また、前記式(3)において、R、R、R、aは好ましい態様を含めて前記と同じである。代表的な前記式(3)で表される化合物(アルコキシシラン類)としては、メルカプトアルキルトリアルコキシシラン(例えば、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプトC2−4アルキルトリC1−4アルコキシシラン)、メルカプトアルキルジアルコキシシラン(例えば、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシランなどのメルカプトC2−4アルキルC1−4アルキルジC1−4アルコキシシラン)などが挙げられる。
エンチオール反応において、前記式(3)で表される化合物の使用割合は、前記式(2)で表される化合物1モルに対して、例えば、2〜20モル、好ましくは2〜10モル、さらに好ましくは2〜8モル(例えば、2〜5モル)程度であってもよい。
前記式(2)で表される化合物と前記式(3)で表される化合物との反応(エンチオール反応)は、通常、重合開始剤の存在下で行ってもよい。重合開始剤としては、熱重合開始剤(熱ラジカル発生剤)、光重合開始剤(光ラジカル発生剤)が挙げられ、好ましい重合開始剤は光重合開始剤である。
光重合開始剤又は光ラジカル発生剤としては、例えば、ベンゾイン類(ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類など);アセトフェノン類(アセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−フェニル−2−ヒドロキシ−アセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなど);プロピオフェノン類(p−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンなど);ブチリルフェノン類[1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オンなど];アミノアセトフェノン類[2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ジエチルアミノ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルホリノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−(4−メチルフェニル)プロパン−1−オン、1−(4−ブチルフェニル)−2−ジメチルアミノ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−メトキシフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−ジメチルアミノフェニル)−ブタン−1−オンなど];ベンゾフェノン類(ベンゾフェノン、ベンジル、N,N’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーズケトン)、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンなどのN,N’−ジアルキルアミノベンゾフェノンなど);ケタール類(アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなど);チオキサンテン類(チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテンなど);アントラキノン類(2−エチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノンなど);(チオ)キサントン類(チオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなど);アクリジン類(1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタンなど);トリアジン類(2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジンなど);スルフィド類(ベンジルジフェニルサルファイドなど);アシルフォスフィンオキサイド類(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドなど);チタノセン系光重合開始剤;オキシムエステル類などが例示できる。これらの光重合開始剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
なお、光重合開始剤は、市販品、例えば、商品名「イルガキュア」「ダロキュア」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、商品名「サイラキュア」(ユニオンカーバイド社製)などとして入手できる。
熱重合開始剤としては、ジアルキルパーオキサイド類(ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなど)、ジアシルパーオキサイド類[ジアルカノイルパーオキサイド(ラウロイルパーオキサイドなど)、ジアロイルパーオキサイド(ベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルトルイルパーオキサイド、トルイルパーオキサイドなど)など]、過酸エステル類[過酢酸t−ブチル、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエートなどの過カルボン酸アルキルエステルなど]、ケトンパーオキサイド類、パーオキシカーボネート類、パーオキシケタール類などの有機過酸化物;アゾニトリル化合物[2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)など]、アゾアミド化合物{2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}など}、アゾアミジン化合物{2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩など}、アゾアルカン化合物[2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)など]、オキシム骨格を有するアゾ化合物[2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)など]などのアゾ化合物などが含まれる。熱重合開始剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
重合開始剤の割合は、前記式(2)で表される化合物及び前記式(3)で表される化合物の総量100重量部に対して、例えば、0.1〜15重量部(例えば、0.2〜10重量部)程度の範囲から選択でき、例えば、0.3〜10重量部(例えば、0.5〜7重量部)、好ましくは0.7〜5重量部程度であってもよい。
なお、光重合開始剤は、光増感剤と組み合わせてもよい。光増感剤としては、慣用の成分、例えば、第3級アミン類[例えば、トリアルキルアミン、トリアルカノールアミン(トリエタノールアミンなど)、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸アミルなどのジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーズケトン)、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンなどのビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノンなど]、トリフェニルホスフィンなどのフォスフィン類、N,N−ジメチルトルイジンなどのトルイジン類、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセンなどのアントラセン類などが挙げられる。光増感剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
光増感剤の使用量は、前記光重合開始剤100重量部に対して、例えば、0.1〜150重量部(例えば、1〜100重量部)、好ましくは5〜75重量部(例えば、10〜50重量部)程度であってもよい。
なお、反応は、溶媒中で行ってもよい。溶媒としては、例えば、アルコール類(エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのアルキルアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類など)、炭化水素類(ヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類など)、ハロゲン化炭化水素類(塩化メチレン、クロロホルムなど)、エーテル類(ジメチルエーテル、ジエチルエーテルなどの鎖状エーテル類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類など)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酪酸エチルなど)、ケトン類(アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドンなど)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなど)、カルビトール類(メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトールなど)、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類(プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテルなど)、グリコールエーテルエステル類(エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなど)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、ニトリル類(アセトニトリル、ベンゾニトリルなど)、N−メチルピロリドンなどの有機溶媒が挙げられる。溶媒は、単独で又は混合溶媒として使用できる。
溶媒中の前記式(2)で表される化合物および前記式(3)で表される化合物の総量の割合は、例えば、1〜90重量%、好ましくは5〜80重量%、さらに好ましくは10〜50重量%程度であってもよい。
エンチオール反応は、前記式(2)で表される化合物と前記式(3)で表される化合物とを接触させることにより進行するが、通常、前記式(2)で表される化合物および前記式(3)で表される化合物を含む反応系に、活性エネルギーを付与することにより反応(エンチオール反応)させてもよい。活性エネルギーの付与により、容易にエンチオール反応を進行させることができる。
活性エネルギーとしては、重合開始剤の種類などに応じて、熱エネルギー及び/又は光エネルギー(特に、少なくとも光エネルギー)を利用できる。
熱エネルギーを付与する場合(例えば、熱重合開始剤を使用する場合など)、加熱温度としては、例えば、50〜250℃、好ましくは60〜200℃、さらに好ましくは80〜180℃程度であってもよい。
また、光エネルギーを付与する場合(例えば、光重合開始剤を使用する場合など)、光としては、放射線(ガンマー線、X線など)、紫外線、可視光線などが利用できるが、通常、紫外線である場合が多い。
光源としては、例えば、紫外線の場合は、ディープ(Deep)UVランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、レーザー光源(ヘリウム−カドミウムレーザー、エキシマレーザーなどの光源)などを用いることができる。光の波長は、例えば、150〜800nm、好ましくは150〜600nm、さらに好ましくは200〜400nm(特に300〜400nm)程度であってもよい。照射光量(照射エネルギー)は、特に限定されず、例えば、1〜10000mW、好ましくは5〜5000mW、さらに好ましくは10〜1000mW程度であってもよい。また、照射時間は、特に限定されず、例えば、5秒〜60分、好ましくは10秒〜30分、さらに好ましくは30秒〜10分程度であってもよい。
なお、熱エネルギー(加熱)と光エネルギー(光照射)とを組み合わせてもよい。
上記のようにして、前記式(1)で表される化合物が得られる。反応混合物からの前記式(1)で表される化合物の分離精製は、慣用の方法を用いて行うことができる。
[重合性組成物および硬化物]
本発明のフルオレン化合物は、加水分解縮合性基(すなわち、前記式(1)において、−Si(OR)(R)3−aで表される基)を有しているため、加水分解縮合(ゾルゲル反応)により重合(又は硬化)可能であり、重合性組成物を形成できる。
(金属アルコキシド)
重合性組成物において、加水分解縮合性成分は、前記フルオレン化合物のみで構成してもよいが、加水分解縮合性を高めるため、他の加水分解縮合性成分と組み合わせてもよい。
他の加水分解縮合性成分としては、例えば、加水分解縮合性有機金属化合物が挙げられる。加水分解縮合性有機金属化合物(又は金属アルコキシド、詳細には、前記フルオレン化合物でない金属アルコキシド)としては、加水分解縮合性有機ケイ素化合物(前記フルオレン化合物でない加水分解縮合性有機ケイ素化合物)、非ケイ素系加水分解縮合性有機金属化合物(単に、非ケイ素系有機金属化合物などということがある)などが挙げられる。特に、加水分解縮合性有機金属化合物として、少なくとも非ケイ素系加水分解縮合性有機金属化合物を使用すると、高屈折率の硬化物(加水分解縮反応物)を効率よく得ることができる。
加水分解縮合性有機ケイ素化合物(ケイ素アルコキシド、アルコキシシラン)としては、例えば、モノアルコキシシラン(例えば、ビニルジメチルエトキシシランなどのアルケニルジアルキルアルコキシシランなど)、ジアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、テトラアルコキシシラン、テトラアリールオキシシラン、これらのオリゴマーなどが挙げられる。
ジアルコキシシランとしては、例えば、ジアルキルジアルコキシシラン(例えば、ジメチルジメトキシシランなどのジC1−4アルキルジC1−4アルコキシシランなど);ジアリールジアルコキシシラン(例えば、ジフェニルジメトキシシランなどのジC6−10アリールジC1−4アルコキシシランなど);(グリシジルオキシアルキル)アルキルジアルコキシシラン[例えば、3−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシランなどの(グリシジルオキシC2−4アルキル)C1−4アルキルジC1−4アルコキシシランなど]などの置換基(例えば、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、およびハロゲン原子から選択された少なくとも1種の置換基)を有するジアルコキシシランが挙げられる。
トリアルコキシシランとしては、例えば、トリアルコキシシラン(例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシランなどのトリC1−4アルコキシシランなど);アルキルトリアルコキシシラン(例えば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシランなどのC1−4アルキルトリC1−4アルコキシシランなど);アリールトリアルコキシシラン(例えば、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランなどのC6−10アリールトリC1−4アルコキシシラン、好ましくはC6−8アリールトリC1−4アルコキシシランなど);ハロアルキルトリアルコキシシラン(例えば、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのクロロC2−4アルキルトリC1−4アルコキシシランなど)、アミノ基を有するトリアルコキシシラン(例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノC2−4アルキルトリC1−4アルコキシシラン)などの置換基(例えば、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、およびハロゲン原子から選択された少なくとも1種の置換基)を有するトリアルコキシシランが挙げられる。
テトラアルコキシシランとしては、上記例示のジ又はトリアルコキシシランに対応するテトラアルコキシシラン、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどのテトラC1−4アルコキシシランなどが挙げられる。テトラアリールオキシシラン類としては、例えば、テトラアリールオキシシラン[例えば、テトラフェノキシシランなどのテトラC6−10アリールオキシシラン、好ましくはテトラC6−8アリールオキシシランなど]などが挙げられる。
加水分解縮合性有機ケイ素化合物には、アルコキシシラン(例えば、前記例示のジアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、テトラアルコキシシランなど)のオリゴマー(又はその部分縮合物)も含まれる。このようなオリゴマーは、単一のアルコキシシランのオリゴマーであってもよく、複数のアルコキシシランの縮合物(例えば、トリアルコキシシランとテトラアルコキシシランとのオリゴマー、異種のテトラアルコキシシランのオリゴマーなど)であってもよい。前記オリゴマーは、通常、トリアルコキシシラン、テトラアルコキシシラン、およびテトラアリールオキシシランから選択された少なくとも1種で少なくとも構成された有機ケイ素化合物の縮合物であってもよい。
なお、オリゴマーの平均重合度は、例えば、2〜10、好ましくは2〜8、さらに好ましくは3〜6程度であってもよい。
加水分解縮合性有機ケイ素化合物は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
代表的な加水分解縮合性有機ケイ素化合物としては、トリアルコキシシラン、テトラアルコキシシラン、これらのオリゴマー[例えば、テトラアルコキシシラン(例えば、テトラC1−4アルコキシシランなど)のオリゴマー]などが挙げられる。
非ケイ素系加水分解縮合性有機金属化合物(非ケイ素系金属アルコキシド)としては、例えば、非ケイ素系金属(チタン、ジルコニウム、アルミニウムおよび亜鉛から選択された金属など)を含む加水分解縮合性有機金属化合物が挙げられる。非ケイ素系金属アルコキシドとしては、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、および亜鉛から選択された非ケイ素系金属の金属アルコキシド、例えば、下記式(4)で表される金属アルコキシド又はそのオリゴマー(又はその加水分解縮合物)などが挙げられる。
M(OR)(R) (4)
[式中、Mはチタン、ジルコニウム、アルミニウム又は亜鉛を表す。Rは、アルキル基又は基−[(R10O)−R11](式中、R10は、アルキレン基であり、R11はアルキル基であり、cは1以上の整数を示す)、Rは、水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、nは1以上の整数、pは0又は1以上の整数を表す。]
前記式(4)において、基R(および基R11)で表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのC1−18アルキル基、好ましくはC1−10アルキル基、さらに好ましくはC1−6アルキル基(例えば、C1−4アルキル基)などが例示できる。基Rで表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが例示できる。また、基R10で表されるアルキレン基としては、限定されないが、例えば、C2−4アルキレン基(エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブタン−1,2−ジイル基など)などが例示でき、特に、C2−3アルキレン基(特に、エチレン基、プロピレン基)が好ましい。アルキレンオキシ(R10O)単位の付加数cは、1以上であればよく、例えば、1〜4、好ましくは1〜2、さらに好ましくは1であってもよい。
好ましい基−ORには、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などのC1−10アルコキシ基、好ましくはC1−6アルコキシ基)、アルコキシアルキル基[例えば、2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基などのC1−4アルコキシC2−4アルコキシ基(特に、C1−2アルコキシエトキシ基)など]などが含まれる。
また、好ましい置換数nは、金属原子Mの種類に応じて、例えば、2〜4程度である。なお、置換数mが複数である場合、複数の基Rは、同一又は異なっていてもよい。
基Rで表される炭化水素基としては、前記式(1)で表される化合物の項で例示の前記基Rと同様の炭化水素基、例えば、アルキル基(例えば、C1−6アルキル基など)、アリール基(例えば、C6−10アリール基など)などが含まれる。なお、好ましい置換数pは、0〜2である。また、置換数pが複数である場合、複数の基Rは、同一又は異なっていてもよい。
代表的な非ケイ素系金属アルコキシドとしては、アルミニウムアルコキシド[例えば、トリアルコキシアルミニウム(トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリプロポキシアルミニウム、トリn−ブトキシアルミニウム、トリs−ブトキシアルミニウム、トリt−ブトキシアルミニウムなどのトリC1−4アルコキシアルミニウムなど)など]、チタンアルコキシド[例えば、ジアルキルジアルコキシチタン(ジエチルジエトキシチタンなどのジアルキルジC1−4アルコキシチタン)などのジアルコキシチタン;トリアルコキシチタン(例えば、トリメトキシチタンなどのトリC1−4アルコキシチタン)、アルキルトリアルコキシチタン(例えば、エチルトリメトキシチタンなどのアルキルトリC1−4アルコキシチタン)、アリールトリアルコキシチタン(例えば、フェニルトリメトキシチタンなどのアリールトリC1−4アルコキシチタン)などのトリアルコキシチタン;テトラアルコキシチタン(例えば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトライソブトキシチタン、テトラn−ブトキシチタン、テトラt−ブトキシチタン、テトラノニルオキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、テトラキス(メトキシプロポキシ)チタン、テトラステアリルオキシチタン、テトライソステアリルオキシチタンなどのテトラC1−18アルコキシチタン、好ましくはテトラC1−10アルコキシチタン、さらに好ましくはテトラC1−6アルコキシチタンなど)など]、ジルコニウムアルコキシド[例えば、テトラアルコキシジルコニウム(例えば、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトライソブトキシジルコニウム、テトラn−ブトキシジルコニウム、テトラt−ブトキシジルコニウム、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)ジルコニウム、テトラキス(2−メチル−2−ブトキシ)ジルコニウムなどのテトラC1−18アルコキシジルコニウム、好ましくはテトラC1−10アルコキシジルコニウム、さらに好ましくはテトラC1−6アルコキシジルコニウムなど)など]、亜鉛アルコキシド(例えば、ビスメトキシエトキシ亜鉛など)などが挙げられる。
なお、非ケイ素系金属アルコキシドは、錯体(金属錯体)を形成していていもよい。錯体において、配位子(又は配位子を形成する化合物)としては、特に制限されないが、特に、有機化合物[キレート形成性有機化合物(例えば、アセチルアセトン、アセト酢酸エステルなどのβ−ジケトン構造を有する化合物など)など]を配位子とする錯体であってもよい。
なお、非ケイ素系有機金属化合物(非ケイ素系金属アルコキシド)には、前記と同様に、非ケイ素系金属アルコキシド(例えば、テトラアルコキシチタン、テトラアルコキシジルコニウムなど)のオリゴマー(非ケイ素金属アルコキシドの加水分解縮合性基が部分的に縮合した部分縮合物)も含まれる。このようなオリゴマー(部分縮合物)は、硬化前において、ゾル状を保持できる(又は加水分解縮合性基が残存している)限り、縮合の程度(部分縮合)は特に限定されず、例えば、前記ケイ素アルコキシドの場合と同様の範囲であってもよい。
非ケイ素系有機金属化合物は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
前記式(1)で表されるフルオレン化合物と金属アルコキシド(加水分解縮合性有機金属化合物)との割合は、例えば、前者/後者(重量比)=99/1〜1/99の範囲から選択でき、97/3〜5/95、好ましくは95/5〜10/90、さらに好ましくは93/7〜15/85(例えば、90/10〜20/80)、特に88/12〜25/75程度であってもよい。特に、前記式(1)で表されるフルオレン化合物と金属アルコキシドとの割合は、例えば、前者/後者(重量比)=30/70〜1/99(例えば、40/60〜3/97)、好ましくは45/55〜5/95(例えば、50/50〜7/93)、さらに好ましくは55/45〜10/90(例えば、60/40〜15/85)程度であってもよい。本発明では、金属アルコキシドの割合を高めても、クラック(割れ)や透明性を損なうことなく、硬化物(硬化膜)を形成できる。
なお、金属アルコキシドは、非ケイ素系有機金属化合物単独で構成してもよく、加水分解縮合性有機ケイ素化合物と組み合わせてもよい。金属アルコキシドにおいて、非ケイ素系有機金属化合物の割合は、例えば、50重量%以上(例えば、60〜100重量%)、好ましくは70重量%以上(例えば、75〜100重量%)、さらに好ましくは80重量%以上(例えば、90〜100重量%)であってもよい。
重合性組成物は、酸触媒を含んでいてもよい。酸触媒によりゾルゲル反応が効率よく進行する。酸触媒としては、無機酸(硫酸、塩酸、リン酸など)、有機酸[脂肪族カルボン酸(ギ酸、酢酸、無水酢酸、シュウ酸、マロン酸)、芳香族カルボン酸(例えば、安息香酸など)、スルホン酸(メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などのアルカンスルホン酸など)など]、陽イオン交換樹脂などが挙げられる。また、酸触媒には、光酸発生剤も含まれる。光酸発生剤としては、前記例示の光酸発生剤が含まれる。光酸発生剤を用いると、光照射により容易にゾルゲル反応を進行させることができる。酸触媒は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
酸触媒の使用量は、その種類にもよるが、加水分解縮合成分(例えば、前記式(1)で表される化合物、前記式(1)で表される化合物および金属アルコキシドの総量)100重量部に対して、例えば、0.01〜30重量部、好ましくは0.05〜20重量部、さらに好ましくは0.1〜10重量部、特に0.3〜5重量部程度であってもよい。
なお、重合性組成物は、溶媒を含む塗布液(コーティング液)の形態であってもよい。溶媒としては、前記例示の溶媒が使用できる。また、加水分解縮合(ゾルゲル反応)は、空気中の水分などにより進行するが、ゾルゲル反応を効率よく進行させるため、重合性組成物は水を含んでいてもよい。
このようなコーティング液の重合性組成物において、加水分解縮合成分(例えば、前記式(1)で表される化合物、前記式(1)で表される化合物および金属アルコキシドの総量)の割合は、例えば、1〜99重量%、好ましくは10〜97重量%、さらに好ましくは30〜95重量%、特に50〜90重量%程度であってもよい。
重合性組成物は、必要に応じて、慣用の添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤としては、例えば、顔料、着色剤、増粘剤、増感剤、消泡剤、レベリング剤、塗布性改良剤、滑剤、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、耐光安定剤など)、可塑剤、界面活性剤、溶解促進剤、充填剤、帯電防止剤、硬化剤などが挙げられる。これらの添加剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
なお、前記組成物は、各種成分を混合することにより製造できる。例えば、前記式(1)で表される化合物と、金属アルコキシドと、酸触媒(光酸発生剤など)と、必要に応じて他の成分(溶媒など)とを混合することにより調製できる。
本発明の硬化物(前記重合性樹脂組成物が硬化(又は架橋)した硬化物)は、前記組成物に硬化反応(又は架橋反応又はゾルゲル反応)により硬化(又は架橋)させることにより製造又は調製できる。実用的な方法では、前記重合性樹脂組成物を、基材上に塗布して塗膜を形成したのち、加熱及び/又は光照射することにより、本発明の硬化物(硬化膜、硬化パターンなど)を調製してもよい。
例えば、光酸発生剤を含む重合性組成物では、塗膜に光照射する(又は必要に応じて光照射後、さらに加熱する)ことにより、本発明の硬化物(硬化膜、硬化パターンなど)を調製してもよい。すなわち、光酸発生剤を含む重合性組成物においては、光照射により発生する酸(又は酸触媒)により、前記式(1)で表される化合物(および金属アルコキシド)を縮重合(ゾルゲル反応)させることによって、硬化物(ハイブリッド硬化物)を製造する。
硬化物(有機無機ハイブリッド硬化物)は、特に限定されず、三次元的硬化物、硬化膜や硬化パターンなどの一次元又は二次元的硬化物、点又はドット状硬化物などであってもよい。本発明の光重合性樹脂組成物は、特に、基材上での薄膜を製造するのに適している。このような方法により得られる硬化物は、耐熱性、可視光の透明性などに優れ、さらに、屈折率が高い。
塗布方法としては、例えば、フローコーティング法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、スクリーン印刷法、キャスト法、バーコーティング法、カーテンコーティング法、ロールコーティング法、グラビアコーティング法、ディッピング法、スリット法などを挙げることができる。
塗膜の厚みは、硬化物の用途によって応じて選択でき、例えば、0.01μm〜10mm、好ましくは0.05μm〜1mm、さらに好ましくは0.1〜500μm程度であってもよい。
照射又は露光する光は、例えば、ガンマー線、X線、紫外線、可視光線などであってもよく、通常、可視光又は紫外線、特に紫外線である場合が多い。光の波長は、例えば、150〜800nm、好ましくは150〜600nm、さらに好ましくは200〜400nm(特に300〜400nm)程度である。照射光量(照射エネルギー)は、塗膜の厚みなどに応じて選択でき、特に限定されないが、例えば、1〜10000mW、好ましくは5〜5000mW、さらに好ましくは10〜1000mW程度であってもよい。また、照射時間は、特に限定されず、例えば、5秒〜60分、好ましくは10秒〜30分、さらに好ましくは30秒〜10分程度であってもよい。
塗膜(又は被膜)は、加熱(加熱処理)すると、硬化又は架橋反応(ゾルゲル反応)を促進させることができる。塗膜の加熱は、光照射と組み合わせて行ってもよい。光照射と組み合わせる場合、加熱は、光照射後、又は光照射とともに行われ、通常、光照射後(アフターキュア)に行われる場合が多い。加熱温度は、例えば、60〜250℃、好ましくは100〜200℃程度であってもよい。加熱時間は、3秒以上(例えば、3秒〜5時間程度)の範囲から選択でき、例えば、5秒〜2時間、好ましくは20秒〜30分程度であってもよく、通常、1分〜3時間(例えば、5分〜2.5時間)程度であってもよい。
なお、パターンや画像を形成する場合(例えば、プリント配線基板などを製造する場合)、基材上に形成した塗膜をパターン露光してもよく、このパターン露光は、レーザ光の走査により行ってもよく、フォトマスクを介して光照射することにより行ってもよい。このようなパターン露光により生成した非照射領域(未露光部)を現像剤で現像(又は溶解)することによりパターン又は画像を形成できる。現像剤としては、水、アルカリ水溶液、親水性溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、セロソルブ類、セロソルブアセテート類など)や、これらの混合液などを用いることができる。
露光後に被膜を加熱する場合、現像工程は、加熱工程の前に行ってもよく、加熱工程の後で行ってもよい。このような方法では、小さな露光量でも、基材上に、精細で高精度のパターンを形成できる。
光学薄膜を形成する場合には、前記重合性樹脂組成物を、基材上に複数層形成してもよい。また、基材上に他の機能層などを形成した後、その機能層の上に、前記光重合性樹脂組成物で形成された層を形成してもよい。本発明の硬化物は、可視光の透過性やハードコート性に優れ、高い屈折率を有し、光学的特性にも優れるため、特に、液晶ディスプレイなどの反射防止膜の高屈折率層、反射板などの光学薄膜に適している。
基材の材質は、用途に応じて選択され、例えば、半導体(例えば、シリコン、ガリウム砒素、窒化ガリウム、炭化シリコンなど)、金属(アルミニウム、銅など)、セラミック(酸化ジルコニウム、酸化チタン、PZTなど)、透明無機材料(ガラス、石英、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウムなど)、透明樹脂(ポリメチルメタクリレートなど)などが用いられる。
このようにして得られる本発明の硬化物は、高屈折率であり、硬化物(硬化膜)の屈折率は、使用する金属アルコキシドの種類などにもよるが、例えば、1.6以上(例えば、1.61〜1.85)、好ましくは1.62〜1.84、さらに好ましくは1.63〜1.83程度であり、特に1.65以上(例えば、1.67〜1.85、好ましくは1.7〜1.84、さらに好ましくは1.73〜1.81、特に1.75〜1.82程度)とすることもできる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
なお、実施例において、屈折率は、反射分光膜厚計(FE−3000、大塚電子社製)を用いて波長589nmにおいて測定した。
(合成例1)
攪拌機を備えた500mlの四つ口セパラブルフラスコに、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(BCF、大阪ガスケミカル(株)製)30.4重量部(0.09mol)、アリルブロマイド(関東化学(株)製)35.9重量部(0.30mol)、炭酸カリウム(関東化学(株)製)54.8重量部(0.40mol)をアセトン200mlで58℃にて7時間還流攪拌して反応させた。HPLCにて原料BCFが消失したことを確認した後に、生成した塩をろ過し、50℃、10torrにて減圧濃縮後、エタノール300重量部を添加し、50℃に昇温して溶解させた後に、10℃以下まで冷却したところ、白色の方状結晶が生成した。得られた結晶をろ過し、85℃で24時間乾燥したところ、37.4重量部(収率91%)で得られた。得られた結晶をHPLCにて分析したところ、純度が99.4%であった。また、得られた結晶のNMR、FT−IRおよびMASSを測定し、目的物[9,9−ビス(4−アリルオキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、分子量458]であることを確認した。
(合成例2)
攪拌機を備えた500mlの四つ口セパラブルフラスコに、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(BPF、大阪ガスケミカル(株)製)17.5重量部(0.05mol)、アリルブロマイド(関東化学(株)製)20.1重量部(0.17mol)、炭酸カリウム(関東化学(株)製)30.4重量部(0.22mol)をアセトン100mlで58℃にて7時間還流攪拌して反応させた。HPLCにて原料BPFが消失したことを確認した後に、生成した塩をろ過し、50℃、10torrにて減圧濃縮後、エタノール100重量部を添加し、50℃に昇温して溶解させた後に、10℃以下まで冷却したところ、白色の結晶物が生成した。得られた結晶をろ過し、85℃で24時間乾燥したところ、18.5重量部(収率86%)で得られた。得られた結晶をHPLCにて分析したところ、純度が99.8%であった。また、得られた結晶のNMR、FT−IRおよびMASSを測定し、目的物[9,9−ビス(4−アリルオキシフェニル)フルオレン、分子量430]であることを確認した。
(実施例1)
100mlのナスフラスコに、合成例1で合成した9,9−ビス(4−アリルオキシ−3−メチルフェニル)フルオレン5g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)4.7g、特級THF50mlを添加し、30分攪拌させて完全に溶解させた後に、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア184)を0.1g添加し、紫外線照射装置(ウシオ電機社製 SP−9)を用いて、365nmのUV光を53mWで120秒間照射した。
その後、減圧下で溶媒及び残存するMPTMSを留去し、粘性液体を得た。
得られた粘性液体のNMR及びFT−IR測定を行い、下記式で表される目的物が得られたことを確認した。なお、NMRは、溶媒CDCl、日本電子社製 AL−300を用い、300MHzで測定した。
Figure 0005571979
(実施例2)
実施例1において、9,9−ビス(4−アリルオキシ−3−メチルフェニル)フルオレン5gを、合成例1で合成した9,9−ビス(4−アリルオキシフェニル)フルオレン4.7gに変更した以外は実施例1と同様に合成した結果、下記式で表される目的物が得られたことを確認した。
Figure 0005571979
(実施例3)
100mlのナスフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)3g及び含水率5重量%のPGMEA5滴を添加し、実施例1にて得られた化合物5gと、この実施例1にて得られた化合物に対して図1に示す割合のテトラn−ブトキシチタン(分子量340)とを添加した後に、80℃で1時間加熱した。この溶液に光酸発生剤(シリコリース CATA211 荒川化学工業(株)製)100mgを加え、ガラス基板にスピンコートで製膜し、160℃で1分間乾燥した。得られた塗膜に、365nmのUV光を53mWで120秒間の照射後、160℃で1時間加熱してゾル−ゲル反応を完結させてハイブリッド膜(膜厚約5μm)を作製した。このようにして得られたハイブリッド膜の光学特性を評価したところ、380〜780nmの可視光領域で全光線透過率80%以上、ヘイズ値0.3以下の透明な薄膜であることがわかった。
屈折率を測定した結果を図1に示す。なお、図1において、テトラn−ブトキシチタン含量とは、実施例1にて得られた化合物およびテトラn−ブトキシチタン総量に対するテトラn−ブトキシチタンの割合を示し、例えば、20重量%の場合、実施例1にて得られた化合物80重量部に対してテトラn−ブトキシチタン20重量部(すなわち、1.25g)を使用したことを意味する(以下、同じ)。図1から明らかなように、屈折率はテトラn−ブトキシチタン(チタニア)の含量とともに大きくなり、70重量%含有してもクラックのない薄膜を作製できた。
(実施例4)
実施例3において、実施例1にて得られた化合物に代えて実施例2にて得られた化合物を使用したこと以外は、実施例3と同様にしてハイブリッド膜(膜厚約5μm)を作製した。このようにして得られたハイブリッド膜の光学特性を評価したところ、380〜780nmの可視光領域で全光線透過率80%以上、ヘイズ値0.3以下の透明な薄膜であることがわかった。
屈折率を測定した結果を図2に示す。実施例3の場合と同様に、屈折率はテトラn−ブトキシチタン(チタニア)の含量とともに大きくなり、70重量%含有してもクラックのない薄膜を作製できた。
(実施例5)
実施例3において、テトラn−ブトキシチタンに代えて、テトラn−ブトキシジルコニウムを使用したこと以外は、実施例3と同様にしてハイブリッド膜を作製した。このようにして得られたハイブリッド膜の光学特性を評価したところ、380〜780nmの可視光領域で全光線透過率80%以上、ヘイズ値0.3以下の透明な薄膜(膜厚約5μm)であることがわかった。
屈折率を測定した結果を図3に示す。実施例3の場合と同様に、屈折率はテトラn−ブトキシジルコニウム(ジルコニア)の含量とともに大きくなり、70重量%含有してもクラックのない薄膜を作製できた。
(実施例6)
実施例3において、実施例1にて得られた化合物に代えて実施例2にて得られた化合物を使用するとともに、テトラn−ブトキシチタンに代えてテトラn−ブトキシジルコニウムを使用したこと以外は、実施例3と同様にしてハイブリッド膜(膜厚約5μm)を作製した。このようにして得られたハイブリッド膜の光学特性を評価したところ、380〜780nmの可視光領域で全光線透過率80%以上、ヘイズ値0.3以下の透明な薄膜であることがわかった。
屈折率を測定した結果を図3に示す。実施例3の場合と同様に、屈折率はテトラn−ブトキシジルコニウム(ジルコニア)の含量とともに大きくなり、70重量%含有してもクラックのない薄膜を作製できた。
本発明の新規なフルオレン化合物は、9,9−ビスフェニル骨格とともに、アルコキシリル基などの加水分解縮合性基を有する化合物であり、加水分解縮合により、高屈折率などの優れた特性を有する硬化物を生成可能できる。特に、非ケイ素系金属アルコキシド(チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシドなど)と組み合わせてゾルゲル反応させると、高屈折率、高透明性などの特性を有する硬化物を形成できる。
このような本発明のフルオレン化合物(又はその重合性組成物)は、塗料、電気機器の絶縁材、電線被覆材、電子機器の封止材、プリント配線基板、保護膜、フォトレジスト、印刷製版材、インキ、接着剤、粘着材、液晶ディスプレイなどの反射防止膜の高屈折率層、反射板などの広範な用途に用いることができる。

Claims (3)

  1. 下記式(2)
    Figure 0005571979
    (式中、R はハロゲン原子、シアノ基又はアルキル基、R はアルキル基、kは0〜4の整数、mは0〜2の整数である)
    で表される化合物と、下記式(3)
    HS−R −Si(OR ) (R ) 3−a (3)
    [式中、R はアルキレン基、R はアルキル基又は基−[(R O) −R ](式中、R はアルキレン基であり、R はアルキル基であり、bは1以上の整数を示す)、R は水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子又は炭化水素基を示し、aは1〜3の整数を示す]
    で表される化合物とを反応させて、下記式(1)
    Figure 0005571979
    [式中、Xは−Si(OR ) (R ) 3−a (式中、R 、R 、aは前記と同じ)を示し、R 〜R 、k、mは前記と同じ]
    で表されるフルオレン化合物を製造する方法
  2. 式(1)において、RがC2−4アルキレン基、RがC1−4アルキル基又はC1−4アルコキシC1−4アルキル基であり、aが2又は3である請求項1記載の方法
  3. 式(1)で表されるフルオレン化合物が、9,9−ビス[3−(トリC1−4アルコキシシリルC2−4アルキルチオ)プロポキシフェニル]フルオレン、又は9,9−ビス[3−(トリC1−4アルコキシシリルC2−4アルキルチオ)プロポキシ−C1−4アルキルフェニル]フルオレンである請求項1又は2記載の方法
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