JP2008063586A - ポリシラン化合物の製造方法 - Google Patents

ポリシラン化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】取り扱いが容易で、低エネルギーで露光可能であり、ポジ型感光性材料として有用であり、高い透明性、耐熱性、および絶縁性を有し得る薄膜を形成可能なポリシラン化合物を提供すること。
【解決手段】フェノール性水酸基含有基およびカルボキシル基含有基のうちの少なくとも一方を有するポリシラン化合物であって、該フェノール性水酸基含有基およびカルボキシル基含有基のうちの少なくとも1個が、酸素原子を介して主鎖のケイ素原子に結合している、ポリシラン化合物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリシラン化合物の製造方法に関する。さらに詳しくは、LSI、薄膜トランジスタ、光電変換装置、感光体、有機EL用バンク材、光学デバイス材料、絶縁材料等の製造に使用される光重合性ポリシラン化合物の製造方法に関する。
従来からポリシラン材料は、その特異的な化学的、光学的性質が注目されており、耐熱材料、絶縁材料、光学デバイス材料などとして期待されている。しかし、ポリシラン自体は成形性に劣るため、そのままでは上記材料として使用することが困難である。ポリシランの高い透明性や耐熱性という優れた性質を生かすため、ポリシランと各種樹脂とを混合して利用するという試みがなされている。しかし、ポリシランは他の樹脂との相溶性が低いという欠点があるため、十分な展開はなされていない。
ポリシランの主鎖のケイ素−ケイ素結合は、光分解性があることからポジ型の感光性材料としての検討も試みられてきたが、光分解反応の制御が困難で満足する結果が得られていないのが現状である。
これまで種々の感光性のシラン含有ポリマーが知られている。その中でポジ型の感光性材料となり得るケイ素含有ポリマーとしては、例えば、特許文献1に、側鎖にアルコキシまたはシロキシル基により保護されたフェノール基(ヒドロキシフェニル基)を有するポリシラン化合物が記載されている。しかし、露光により光分解を行うには、ArFエキシマレーザーなどの高エネルギーを必要とし、かつ露光後、現像を行う前にハードベークによる脱保護を行う必要があるという問題がある。
ポジ型の感光性材料となり得るケイ素含有ポリマーとして、フェノール基含有アルカリ可溶性ポリシランも知られており、これは露光後に脱保護を必要としない。しかし、このポリシランを製造するためには、分子構造中にフェノール部分をするシラン単量体の該フェノール性水酸基をシリルエーテルとして保護した後に、この単量体を重合し、その後、脱シリル化を行うという複雑な製造工程を必要とし、製造コストも高いという問題がある。
また、特許文献2には、ポリシクロヘキシルメチルシランを光酸化してポリシロキサンとする、該ポリシクロヘキシルメチルシランでなるネガ型の感光性ポリシラン膜を形成する方法が開示されている。この公報には、分子内にSi−O−Si結合を有するラダー型ポリシラン、あるいはポリフェニルメチルシルセスオキサンなどを用いてポジ型の感光性ポリシラン膜を形成する方法も開示されている。しかしながら、両者とも露光に際して、ArFエキシマレーザーを使用するなど、高エネルギーを要し、また、ポリフェニルメチルシルセスオキサンの製造には、多段階の反応を要するなど、製造コストが高いという問題がある。
このように、感光性材料とした場合に、低エネルギーで露光が可能であり、簡便に製造され得、反応の制御が容易(取り扱いの容易)なポリシラン化合物は、得られていないのが、実情である。
特開平5−230380号公報 特開平10−282677号公報
本発明は、上記従来の課題を解決することにあり、その目的とするところは、取り扱いが容易で、低エネルギーで露光可能であり、ポジ型感光性材料として有用なポリシラン化合物を提供することにある。本発明の他の目的は、有機溶媒に可溶であり、有機溶媒溶液として基体に塗布することができ、それによって十分に均一な塗膜を与えることができる、ポジ型感光性材料として有用なポリシラン化合物を提供することにある。本発明のさらに他の目的は、上記優れた性質を有するポリシラン化合物を有利に製造する方法を提供することにある。本発明のさらなる目的は、上記ポリシラン化合物を含有する感光性樹脂組成物を提供することにある。本発明のさらなる目的は、上記ポリシラン化合物を含有する感光性樹脂組成物から得られ、種々の分野に利用され得る材料を提供することにある。
発明者らは、上記ポリシラン化合物について検討を重ねた結果、特定の反応性基を有し、ポジ型の感光性樹脂として有用なポリシラン化合物を得ることに成功し、本発明を完成するに至った。
本発明のポリシラン化合物は、フェノール性水酸基含有基およびカルボキシル基含有基のうちの少なくとも一方を有するポリシラン化合物であって、該フェノール性水酸基含有基およびカルボキシル基含有基のうちの少なくとも1個は、酸素原子を介して主鎖のケイ素原子に結合している。
好適な実施態様においては、上記ポリシラン化合物は、下記一般式(1)および(2)の少なくとも一方を繰り返し単位として有するポリマーまたはオリゴマーである:
Figure 2008063586
ここで、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、フェノール性水酸基含有基、またはカルボキシル基含有基であり、Rは、アルキル基またはアリール基である。
好適な実施態様においては、上記Rは、メチル基またはフェニル基である。
本発明のポリシラン化合物の製造方法は、次式で示される繰り返し単位(3)を有するアリール置換ポリシラン化合物を脱アリールハロゲン化する工程:
Figure 2008063586
(ここで、Rは各々独立してアルキル基またはアリール基であり、該アリール置換ポリシラン化合物中、少なくとも1個はアリール基である);および得られたハロゲン基含有ポリシラン化合物に、フェノール性水酸基およびカルボキシル基のうちの少なくとも一方と、ヒドロキシル基とを有する化合物を反応させる工程を包含する。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、上記ポリシラン化合物を含有する。
本発明の材料は、上記ポリシラン化合物を含有するポジ型感光性樹脂組成物より得られる材料であって、有機EL用バンク材、光学デバイス材料、絶縁材料、平坦化膜材料、有機EL用封止剤、および保護膜材料でなる群から選択される少なくとも1種である。
本発明によれば、このように、フェノール性水酸基含有基およびカルボキシル基含有基のうちの少なくとも一方を有する特定構造のポリシラン化合物、および該化合物の簡便な製造方法が提供される。このポリシラン化合物は、光照射により主鎖が切断され、低エネルギーで露光が可能なポジ型の感光性材料として有用である。このポリシラン化合物は、有機溶媒に可溶であり、有機溶媒溶液として基体に塗布することができ、それによって十分に均一な薄膜を与えることができる。この薄膜は、パターニング特性に優れ、解像度の高いパターンが得られる。光照射により得られるパターンは、耐熱性、透明性、密着性、硬度、および絶縁性に優れる。
本発明のポリシラン化合物はまた、該化合物を含む重合性の組成物とすることが可能であり、それによって種々の材料が調製され得る。
本発明のポリシラン化合物あるいは該化合物を含む感光性樹脂組成物は、LSI、薄膜トランジスタ、光電変換装置、感光体、光学材料、接着剤、樹脂封止剤などの製造に広く使用され得る。
A.ポリシラン化合物
本発明のポリシラン化合物は、分子内にフェノール性水酸基およびカルボキシル基のうちの少なくとも一方を有するポリシラン化合物であって、該フェノール性水酸基含有基およびカルボキシル基含有基のうちの少なくとも1個が、酸素原子を介して主鎖のケイ素原子に結合している。
このポリシラン化合物は、例えば、下記一般式(1)および(2)の少なくとも一方を繰り返し単位として有するポリマーまたはオリゴマーである。
Figure 2008063586
ここで、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、フェノール性水酸基含有基、またはカルボキシル基含有基であり、Rは、アルキル基またはアリール基である。但し、分子内に存在するRおよびRのうち、少なくとも1つはフェノール性水酸基含有基またはカルボキシル基含有基である。
すなわち、本発明の光重合性ポリシラン化合物は、フェノール性水酸基およびカルボキシル基のうちの少なくとも一方でなる基を側鎖に有するポリシランあるいはオリゴシランからなる。このポリシラン化合物は、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよく、さらには一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位を有するコポリマーであってもよい。
上記RおよびRのうちのフェノール性水酸基含有基としては、ヒドロキシベンジル基を有する炭素数1〜24のアルキル基またはアリール基が好ましく、カルボキシル基含有基としては、カルボキシル基を有する炭素数1〜24のアルキル基またはアリール基が好ましい。後述の、フェノール性水酸基およびカルボキシル基のうちの少なくとも一方と、ヒドロキシル基とを有する化合物に由来する基が好ましい。
のアルキル基としては、メチル基、エチル基、ブチル基などの低級アルキル基が挙げられる。好ましいアルキル基はメチル基である。Rのアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、トルイル基、メトキシフェニル基などが挙げられる。好ましいアリール基は、フェニル基である。
本明細書で「ポリシラン化合物」とは、主鎖がSi−Si結合の連続でなり、実質的に主鎖にシロキサン結合を含有しないケイ素含有オリゴマーまたはポリマーをいう。「感光性樹脂」とは、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線、分子線、γ線、シンクロトロン放射線、プロトンビーム線などの光源を照射したときに重合可能な樹脂であるか、該樹脂における結合が切断され得る樹脂であることを意味する。あるいは両方の機能を併せ持つ樹脂である。
本発明のポリシラン化合物の分子量は特に限定されないが、通常、200〜100,000である。
B.ポリシラン化合物の合成
本発明のフッ素含有ポリシラン化合物は、例えば、次のスキームで示される方法により合成される。
Figure 2008063586
この方法においては、上記式(3)の単位を有するアリール置換ポリシラン化合物を出発物質とする。このポリシラン化合物は、アリール基を有するポリシラン化合物あるいはアリール基を有するオリゴシラン化合物である。この化合物のRは上記式(2)の化合物のRと同じアリール基あるいはアルキル基であるが、少なくとも1個のRは、アリール基である。このアリール置換ポリシラン化合物を(i)脱アリールし、ハロゲン化(脱アリールハロゲン化)すること(工程(a))により、ポリシリルハライドあるいはオリゴシリルハライド(以下、ハロゲン基含有ポリシラン化合物と総称する;上記スキームにおいて(4)または(5)の一般式の単位を有するポリシラン)とする。次いで、(ii)得られたハロゲン基含有ポリシラン化合物に、ヒドロキシル基とヒドロキシル基とフェノール性水酸基含有基およびカルボキシル基含有基のうちの少なくとも一方とを有する化合物を反応させること(工程(b))により、本発明のポリシラン化合物(上記スキームにおいて(1)および(2)のうちの少なくとも一方の単位を有するポリシラン)が得られる。なお、上記スキームにおいて、Xはハロゲンを示す。
以下、このスキームに従って、フッ素含有ポリシラン化合物の合成について、詳細に説明する。
B.1 アリール置換ポリシラン化合物の合成(出発物質の調製)
出発物質であるアリール置換ポリシラン化合物(3)は、該ポリシラン化合物(3)の構成単位を有するモノマーを原料として、例えば、以下の(I)から(V)の方法のうちのいずれかにより製造することができる:(I)アリール基を有するハロシラン類を、ハロゲン原子に対して当量のアルカリ金属の存在下で、脱ハロゲン縮重合させる方法(いわゆる「キッピング法」、J. Am. Chem. Soc., 第110巻, 124頁(1988年)、Macromolecules, 23巻, 3423頁(1990年));(II)電極還元によりアリール基を有するハロシラン類を脱ハロゲン縮重合させる方法(J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1161頁(1990年)、J. Chem. Soc., Chem. Commun., 897頁(1992年));(III)金属触媒の存在下にアリール基を有するヒドロシラン類を脱水素縮重合させる方法(特開平4-334551号公報);(IV)ビフェニルなどで架橋されたジシレンのアニオン重合による方法(Macromolecules, 23巻, 4494頁(1990年));および、(V)フェニル基あるいはアルキル基を有する環状ケイ素化合物を上記の方法で合成した後、公知の方法(例えば、Z. Anorg. Allg. Chem., 459巻, 123-130頁(1979年)など)によりヒドロ置換体やハロゲン置換体などに誘導する。これらのハロゲン化環状ケイ素化合物(シクロシラン化合物)は公知の方法(例えば、Mh. Chem. 第106巻, 503頁(1975年)、Z. Anorg. Allg. Chem., 第621巻, 1517頁(1995年)、J. Chem. Soc., Chem. Commun., 777頁(1984年))で合成することができる。
B.2 アリール置換ポリシラン化合物の脱アリールハロゲン化(工程a)
アリール置換ポリシラン化合物(3)の脱アリールハロゲン化は、該アリール置換ポリシラン化合物とハライドとを反応させることによって行われる。好ましいハライドとしては塩化水素、臭化水素、および塩化アセチルが挙げられる。中でも塩化水素が好ましく用いられる。
これらのハライドは、アリール置換ポリシラン化合物のアリール基1モルに対して、1〜10モルの割合で添加される。添加量は、導入したいフェノール性水酸基またはカルボキシル基の量を考慮して、決定すればよい。
脱アリールハロゲン化に使用する溶媒としては、脱アリールハロゲン化を阻害しないならば、特に限定されない。炭化水素系溶媒あるいはハロゲン化炭化水素系溶媒が好ましく用いられる。
炭化水素系溶媒としては、例えばn−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ジシクロペンタジエン、ベンゼン、トルエン、キシレン、デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、スクワランなどを挙げることができる。ハロゲン化炭化水素系溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジククロメタン、クロロトルエンなどを挙げることができる。これらのうち、化合物の溶解性の点から、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタンなどが好ましい。
用いる炭化水素系溶媒あるいはハロゲン化炭化水素溶媒は、水分を予め除去しておくことが望ましい。これらの溶媒の使用量は特に限定されないが、アリール置換ポリシラン化合物1重量部に対して、好ましくは1〜20重量部であり、より好ましくは2〜10重量部である。
脱アリールハロゲン化反応の温度は、−78℃〜+100℃であることが好ましく、0〜50℃であることがさらに好ましい。反応温度が−78℃を下回ると反応速度が遅く生産性が上がらず、また、反応温度が+100℃を越える場合には、反応が複雑になり、得られるポリシラン化合物の溶解性が低下する傾向にある。このようにして、ハロゲン基含有ポリシラン化合物(上記スキームにおいて(4)または(5)の一般式の単位を有するポリシラン)が形成される。反応液から生成したハロゲン基含有ポリシラン化合物を単離し、または必要に応じて溶剤置換などを行い、あるいは反応液をそのままそのまま次工程に用いてもよい。
B.3 フェノール性水酸基含有基およびカルボキシル基含有基のうちの少なくとも一方の基の導入(工程(b))
上述のハロゲン基含有ポリシラン化合物に、フェノール性水酸基およびカルボキシル基のうちの少なくとも一方とヒドロキシル基とを有する化合物を反応させることにより、本発明のポリシラン化合物(一般式(1)および(2)のうちの少なくとも一方の単位を有するポリシラン)が得られる。例えば、該ハロゲン基含有ポリシラン化合物に、フェノール性水酸基とヒドロキシル基とを有する化合物、または、カルボキシル基とヒドロキシル基とを有する化合物、あるいはその両方を反応させることにより、本発明のポリシラン化合物が得られる。
上記ハロゲン基含有ポリシラン化合物は、ケイ素原子上に加水分解性ハロゲン原子(X)を有している。この加水分解性ハロゲン原子(X)は、上記反応により、上記フェノール性水酸基とヒドロキシル基とを有する化合物あるいはカルボキシル基とヒドロキシル基に由来する基と置換し、安定なエーテル結合が形成される。
フェノール性水酸基およびカルボキシル基のうちの少なくとも一方とヒドロキシル基とを有する化合物としては、フェノール性水酸基とヒドロキシル基とを有する化合物として、ヒドロキシベンジル化合物が、カルボキシル基とヒドロキシル基とを有する化合物として、ヒドロキシカルボン酸化合物が挙げられる。
フェノール性水酸基とヒドロキシル基とを有する化合物としては、ヒドロキシベンジル基を有する炭素数1〜24の脂肪族化合物あるいは芳香族化合物が好ましい。フェノール性水酸基とヒドロキシル基とを有する化合物としては、次の化合物が挙げられる:4−ヒドロキシベンジルアルコール、3−ヒドロキシベンジルアルコール、4−ヒドロキシメチル−2,5−ジメチルフェノール、2−シクロヘキシル−4−ヒドロキシメチル−5−メチルフェノール、2−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシメチル−5−メチルフェノール、4−ヒドロキシメチル−5−メチル−5−イソプロピルフェノール、2,6−ジヒドロキシメチル−4−メチルフェノール、2,4−ジヒドロキシメチル−6−メチルフェノール、2,6−ジヒドロキシメチル−3,4−ジメチルフェノール、4、6−ジヒドロキシメチル−2,3−ジメチルフェノール、4−ターシャリーブチル−2,6−ジヒドロキシメチルフェノール、4−シクロヘキシル−2,6−ジヒドロキシメチルフェノール、2−シクロヘキシル−4,6−ジヒドロキシメチルフェノール、2,6−ジヒドロキシメチル−4−エチルフェノール、4,6−ジヒドロキシメチル−2−エチルフェノール、4,6−ジヒドロキシメチル−2−イソプロピルフェノール、6−シクロヘキシル−2,4−ジヒドロキシメチル−3−メチルフェノール、ビス(2−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−5−メチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−5−メチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−2,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−2,3−ジメチルフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−4,5−ジメチルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジヒドロキシメチルフェニル)プロパン、1,5−ジヒドロ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、4−ヒドロキシフェニルエチルアルコール、3−(4−ヒドロキシフェニル)−1−プロパノール、ホモバニリルアルコールなど。
カルボキシル基とヒドロキシル基とを有する化合物としては、カルボキシル基を有する炭素数1〜24の脂肪族化合物あるいは芳香族化合物が好ましい。カルボキシル基とヒドロキシル基とを有する化合物としては、次の化合物が挙げられる:グリコール酸、2−ヒドロキシイソブタン酸、2−ヒドロキシ−2−メチルブタン酸、2−エチル−2−ヒドロキシブタン酸、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、2−ヒドロキシカプロン酸、10−ヒドロキシデカン酸、12−ヒドロキシドデカン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、シトラマリック酸、2−イソプロピルリンゴ酸、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタル酸、クエン酸、キニック酸、ヘキサハイドロマンデル酸、トロピン酸、マンデル酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールプロパン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸など。これらの化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して使用することも出来る。
ハロゲン基含有ポリシラン化合物に、フェノール性水酸基およびカルボキシル基のうちの少なくとも一方とヒドロキシル基とを有する化合物を反応させる場合の両者の割合は特に限定されない。例えば、後者の化合物としてヒドロキシベンジル化合物を用いる場合には、その使用量は、ハロゲン基含有ポリシラン化合物((4)または(5)の一般式の単位を有するポリシラン)のハロゲン原子1モルに対して0.1〜4モル当量であり、好ましくは0.2〜1.0モル当量である。すなわち、ハロゲン原子は、全てヒドロキシベンジル基で置換されてもよいし、溶解性やその他の特性を考慮して、一部のみが置換されるように処理されてもよい。
ハロゲン基含有ポリシラン化合物((4)または(5)の一般式の単位を有するポリシラン)に、上記フェノール性水酸基およびカルボキシル基のうちの少なくとも一方とヒドロキシル基とを有する化合物を反応させる際に用いる溶媒は、ハロゲン基含有ポリシラン化合物と反応しない溶媒であれば特に限定されない。通常、炭化水素系溶媒あるいはハロゲン化炭化水素系溶媒が好ましく、上記脱アリールハロゲン化反応に用いられる、上記例示した溶媒のいずれをも使用することが可能である。例えば、工程aで使用したのと同じ溶媒を使用することができる。これらの溶媒は、単独であるいは2種以上を混合して使用することができる。反応は、−78〜+100℃で行われる。0〜40℃がさらに好ましい。
上記反応により、一般式(1)および(2)の構造のうちの少なくとも一方を繰り返し単位として有する本発明のポリシラン化合物が得られる。残留した加水分解性ハロゲン原子は、ヒドロキシル基を有し上記カルボキシル基およびヒドロキシル基を含有しない化合物で処理することにより、該化合物に由来する基と置換し、安定なエーテル結合が形成される。(1)および(2)式において、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、フェノール性水酸基含有基またはカルボニル基含有基であり、これらは、上述のフェノール性水酸基とヒドロキシル基とを有する化合物あるいはカルボキシル基とヒドロキシル基とを有する化合物に由来する。
C.ポリシラン化合物を含有するポジ型感光性樹脂組成物
本発明のポリシラン化合物は、種々の用途に使用され得る。例えば、このポリシラン化合物は、光を照射することにより、主鎖のケイ素−ケイ素結合(感光性部位)が開裂して、親水性の高いシラノール残基が形成されるため、該ポリシラン化合物を含むポジ型の感光性樹脂組成物として用いることができる。
このポリシラン化合物を含有するポジ型感光性樹脂組成物より、種々の材料を得ることが可能である。例えば、有機EL用バンク材、光学デバイス材料、絶縁材料、平坦化膜材料、有機EL用封止剤、保護膜材料などの種々の材料を得ることができる。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、本発明のポリシラン化合物、および通常、開始剤を含有し、さらに必要に応じて、塗工時に必要な溶媒、界面活性剤のような添加剤などを含有する。
本発明の感光性組成物は種々の形態で利用され得るが、一般に、基板上に該組成物でなる薄膜を形成して、光学デバイス、光導波路などの調製に用いられるのが好適である。
上記開始剤とは、光で開裂して働く化合物および/または増感効果を有する化合物をいう。このような化合物としては、例えば、次の化合物が挙げられる:アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン等のアセトフェノン類;ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類;ベンジルジメチルケタール、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン等のイオウ化合物;2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン等のアントラキノン類;アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド等の有機過酸化物;2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール等のチオール化合物など。
これらの化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに、それ自体では、開始剤として作用しないが、上記の化合物と組み合わせて用いることにより、開始剤の能力を増大させ得るような化合物を添加することもできる。そのような化合物としては、例えば、ベンゾフェノンと組み合わせて使用すると効果のあるトリエタノールアミン等の第三級アミンを挙げることができる。
開始剤は、上記ポリシラン化合物100重量部当たり0.1〜30重量部の割合で含有されるのが好ましい。開始剤の含有量が0.1重量部未満の場合には、ポリシラン主鎖の開裂の速度が遅くなり、感度が低下する傾向にある。一方、30重量部を超える場合には、例えば、基板上に薄膜を形成した場合に、光が基板まで達しにくいため、開裂反応の進行が不充分となり、感度が低下する。基板上の薄膜のパターニングを行う場合には、パターニング不良となる傾向にある。
感光性樹脂組成物に含有される溶媒としては、炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒などが挙げられる。
炭化水素系溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ジシクロペンタジエン、ベンゼン、トルエン、キシレン、デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、スクワランなどを挙げることができる。
ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノンなどを挙げることができる。
エーテル系溶媒溶媒としては、例えば、次の化合物を挙げることができる:ジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジ−イソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチルプロピルエーテル、アニソール、フェネトール、ジフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど。
エステル系溶媒としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、酢酸メチルセロソルブ、酢酸エチルセロソルブ、酢酸ブチルセロソルブ、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソアミル、酢酸プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどを例示することができる。
これらの有機溶媒は、単独で、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
上記界面活性剤としては、フッ素系、シリコーン系、ノニオン系などの界面活性剤がある。この界面活性剤を微量添加することにより、感光性樹脂組成物溶液の塗膜の平滑性・平坦性を最適に調整し得ることが出来る。
感光性樹脂組成物中における上記ポリシラン化合物の濃度は、特に制限されないが、好ましくは組成物全体の重量を基準として、0.05〜50重量%である。感光性樹脂組成物の溶液の粘度は、通常1〜500mPa・sの範囲にある。しかしながら、粘度は、例えば、塗布装置や目的の塗布膜厚に応じて、適宜選択することができる。
上記感光性樹脂組成物を塗布して、薄膜をその表面に形成するための基板は、特に限定されない。例えば、石英、ホウ珪酸ガラス、ソーダガラスなどのガラスでなるガラス基板;ケイ素、金、銀、銅、ニッケル、チタン、アルミニウム、タングステンなどの金属でなる金属基板;さらに、これらの金属でなる層を表面に有するガラス基板またはプラスチック基板のような複合基板が挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物(塗布液)を基板に塗布して用いる場合、その方法としては、スピンコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ディップコート法、スプレー法、インクジェット法等の方法が挙げられる。塗布する場合の雰囲気は特に限定されず、空気中で行うことができる。好ましくは、乾燥空気中で行われる。
スピンコート法を用いる場合のスピナーの回転数は形成する薄膜の厚み、塗布溶液の組成などにより決まるが、100〜5000rpm、より好ましくは300〜3000rpmが採用される。塗布した後は、溶媒を除去するために加熱処理を行うことが好ましい。加熱する温度は、使用する溶媒の種類、沸点により異なるが、好ましくは、90〜200℃である。加熱は上記塗布工程と同じ乾燥空気雰囲気中で行なうことが好ましい。
ポリシランの主鎖のSi−Si結合を切断する露光処理に使用する光としては、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線、分子線、γ線、シンクロトロン放射線、プロトンビーム線などが挙げられる。光源の具体例としては、低圧あるいは高圧の水銀ランプ、重水素ランプ、希ガス(例えば、アルゴン、クリプトン、キセノン等)の共鳴線を出す放電管、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、あるいはXeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどを励起種とするエキシマレーザーなどが挙げられる。
これらの光源の出力は10〜5000Wであり、通常100〜1000Wの出力で十分である。これらの光の波長は、本発明のポリシラン化合物が多少でも該光を吸収するものであれば、特に限定されない。光の波長は、好ましくは170nm〜600nmである。
次に本発明の感光性樹脂組成物につき、基板上に所定のパターンを形成する例を挙げて説明する。
本発明のポリシラン化合物は、上述のように、有機溶媒に可溶である。従って、該ポリシラン化合物を含む組成物を容易に液状の塗工液として基板上に塗布し、ポリシラン化合物を含む組成物の薄膜を形成することが可能である。
次に、例えば、上記基板上に形成された薄膜に所定のパターンを有するマスクを介して光照射を行なうと、照射された部分のポリシラン化合物の主鎖(Si−Si結合)が切断されて、1〜20個の繰り返し単位を有するオリゴマーが生成する。比較的低エネルギーの照射でポリシラン化合物の主鎖の切断が生じる。主鎖が切断された部分には親水性のシラノール基が形成される。さらにポリシラン化合物にはフェノール系水酸基あるいはカルボキシル基が存在するため、形成されたオリゴマーもこれらの基を有する。従って、このオリゴマーは、アルカリ溶液に対する可溶性が高くなる。例えば、照射後の薄膜を有する基板をアルカリ水溶液で処理(現像)することにより、該照射部分は溶解して除去される。もとの未露光部分の薄膜は、アルカリ水溶液に不溶であるため、未露光部分のパターンが残留し、高い解像度が得られる。
未露光部分の薄膜で形成されるレジストは、上記ポリシラン化合物(Si−Si結合を有する)に由来する優れた透明性、絶縁性、および高い屈折率を有し、無機膜並みの硬度、耐熱性および寸法安定性を有する。
以下に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
以下の実施例および比較例における評価方法は次のとおりである。
(評価方法)
各々の実施例で得られたポリシラン化合物から形成される薄膜および比較例で得られた薄膜について、以下のように試験を行う。
1.薄膜のパターニング特性
ポリシラン化合物を含む溶液を、スピンナーを用いてガラス基板上に塗布した後、90℃のホットプレート上で120秒間プリベークして、膜厚約0.5μmの塗膜を得る。次いで、塗膜を有するガラス基板上に所定のパターンを有するマスクをセットし、250Wの高圧水銀ランプを用いて、波長405nmにて光強度9.5mW/cmの紫外線を1000mJ/cmのエネルギー量となるように照射する。次いで、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて23℃で60秒間の現像処理を行ない、塗膜の露光部を除去し、残存した薄膜でなるパターンを有する基板を得る。このパターン形状を走査型電子顕微鏡で観察する。パターン形状が矩形である場合を良好と評価し、テーパーあるいはスソ引き、または樹脂残渣が見られる場合を不良と評価する。
2.光線透過率
上記1項のプリベークにより得られた塗膜につき、日立製分光光度計U−2000を用いて分光透過率を測定し、可視光領域における最低透過率を光線透過率とする。
3.耐熱性
上記1項で得られたパターンを有する基板を240℃で60分間加熱し、パターン状態(形状、表面状態)の観察を行ない、分光透過率を測定する。パターン形状に変化がない場合を良好と評価し、パターン形状の崩れ(溶融)が見られる場合を不良と評価する。さらに、加熱処理による透過率の低下量を求め、低下量が5%以内の場合を良好と評価し、低下量が5%を超える場合を不良と評価する。
4.鉛筆硬度
上記1項のプリベークにより得られた塗膜を240℃で60分間加熱し、得られた硬化膜について鉛筆硬度をJIS−K−5400の試験法に準じて測定する。鉛筆硬度試験機を用いて荷重9.8Nをかけた際の硬化膜にキズが付かない最も高い硬度を鉛筆硬度とする。
5.屈折率
上記1項のプリベークにより得られた塗膜を240℃で60分間加熱し、得られた硬化膜について、光干渉式膜質測定機にて830nmにおける屈折率を測定する。
6.絶縁性
上記1項でガラス基板の代わりにアルミ基板を用い、プリベークにより得られた塗膜を240℃で60分間加熱し、得られた硬化膜について、プレシジョンLCRメーターHP4284A(アジレントテクノロジー社製)を用い、室温にて周波数1MHzにおける硬化膜の誘電特性(比誘電率および誘電正接)を測定する。
(実施例1)
(デカフェニルシクロペンタシランの脱フェニルハロゲン化(工程a))
温度計、冷却器、ガス吹込み管、および攪拌装置を備えた1Lのガラス製反応容器内を窒素ガスで置換した後、乾燥したトルエン500gとデカフェニルシクロペンタシラン250gを仕込み、攪拌し、懸濁させた。この懸濁液に塩化アルミニウムを10.0g加えた後、乾燥塩化水素ガスを導入した。NMRで反応を追跡し、フェニル基の約30%がクロル基に置換された時点で反応を終了した。アルミニウム化合物を濾過除去した後、乾燥窒素ガスを導入し、溶存塩化水素ガスを追い出した。得られた濾液を減圧濃縮し、トルエンをほぼ留去して、ポリクロロシランの黄色澄明溶液240.0gを得た。不揮発分は、65.6%、塩素含量は8.8%であった(収率91.3%)。デカフェニルシクロペンタシランを脱フェニルハロゲン化して得られたポリクロロシラン溶液は、そのまま次工程に用いた。
(ポリクロロシランへのカルボキシル基の導入(工程b))
ガラス製反応容器に、ジメチロールブタン酸 14.8g、ジクロロメタン50g、およびトリエチルアミン11.6gを加え、水冷下で攪拌した。この溶液に、工程(a)で調製したポリクロロシラン溶液40.0gを徐々に滴下した。滴下終了後、室温で30分攪拌した。反応溶液は、淡黄色スラリーとなった。この反応液に、水30gを徐々に滴下した。有機層を分液後、水層をジクロロメタン30gで抽出した。有機層を合わせて水30gで2回洗浄し、乾燥剤(無水硫酸ナトリウム)で乾燥した。乾燥剤を濾過除去後、徐々に減圧し、ジクロロメタンをほぼ留去した。淡黄色透明固体20.8gを得た。
このポリシラン化合物をプロピレングリコールモノメチルエーテルに溶解し、30%の溶液とした。この溶液を用いて、上記の方法により、薄膜のパターニング特性、光線透過率、耐熱性、鉛筆硬度、屈折率、および絶縁性について評価を行なった。その結果を表1に示す。
(実施例2)
(デカフェニルシクロペンタシランの脱フェニルハロゲン化(工程a))
温度計、冷却器、ガス吹込み管、および攪拌装置を備えた1Lのガラス製反応に、乾燥したトルエン500gとデカフェニルシクロペンタシラン200gを仕込み、攪拌し懸濁させ、湯浴で内温を約40℃とした。この懸濁液に塩化アルミニウムを4.40g加えた後、乾燥塩化水素ガスを徐々に導入した。3時間後、さらに塩化アルミニウムを4.40g加え、再び乾燥塩化水素ガスを導入した。NMRで反応を追跡し、フェニル基の約30%がクロル基に置換された時点で塩化水素導入を停止した後、乾燥窒素ガスを導入し溶存塩化水素ガスを追い出した。アルミニウム化合物を濾過除去した後、得られた濾液を減圧濃縮し、トルエンをほぼ留去してポリクロロシランの黄色澄明溶液250.4gを得た。不揮発分は、58.3%、塩素含量は11.6%であった(収率81.1%)。
(ポリクロロシランへのヒドロキシベンジル基の導入(工程b))
温度計、滴下漏斗、および攪拌装置を備えた500mlのガラス製反応容器に、p−ヒドロキシベンジルアルコール25.5g、ジクロロメタン270gおよびトリエチルアミン35.9gを加え、攪拌した。この溶液に、水冷下、工程aで調製したポリクロロシラン溶液58.3gを徐々に滴下した。滴下終了後、室温で1時間攪拌した。反応溶液は、茶褐色スラリーとなった。この反応液に、水100gを徐々に滴下した。有機層を分液後、水層をジクロロメタン100gで抽出した。有機層を合わせて5%炭酸水素ナトリウム水溶液100gで洗浄した後、5%塩化アンモニウム水溶液100gで3回洗浄し、水層のpHを7とし、乾燥剤(無水硫酸ナトリウム)で乾燥した。乾燥剤を濾過除去後、徐々に減圧し、ジクロロメタンを留去し、茶褐色飴状固体45.3gを得た(収率89.8%)。
このポリシラン化合物をプロピレングリコールモノメチルエーテルに溶解し30%の溶液とした。この溶液を用いて、実施例1と同様に評価を行なった。その結果を表1に示す。
(比較例)
デカフェニルシクロペンタシランをTHFに溶解し、30%溶液とした。この溶液を用いて、実施例1と同様に評価を行なった。その結果を表1に示す。
Figure 2008063586
表1の結果から明らかなように、実施例1および2のポリシラン化合物は成膜性に優れ、基板上に光硬化性の薄膜を容易に形成することが可能である。この薄膜のパターニング特性は良好であり、形成されたパターンは、比較例で得られた感光性を有していない塗膜と比較して同等の光線透過率、耐熱性、硬度、屈折率、および絶縁性を有する。

Claims (1)

  1. 次式で示される繰り返し単位(3)を有するアリール置換ポリシラン化合物を脱アリールハロゲン化する工程:
    Figure 2008063586
    (ここで、Rは各々独立してアルキル基またはアリール基であり、該アリール置換ポリシラン化合物中、少なくとも1個はアリール基である);および
    得られたハロゲン基含有ポリシラン化合物に、フェノール性水酸基およびカルボキシル基のうちの少なくとも一方と、ヒドロキシル基とを有する化合物を反応させる工程;
    を包含する、ポリシラン化合物の製造方法。
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