JP2017097051A - 光学用硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
当該光学製品は、上記ジスルフィド化合物に重合触媒を添加して成形用ガラス型に注入し、50℃で1時間、その後60℃で5時間、さらに120℃で3時間加熱重合することにより得られる(段落0045)。当該光学製品は、熱可塑性樹脂を主体とし、耐熱性は、せいぜい100℃程度である(第1表)。また、成形に長時間を要するため、生産性の点で実用的でない。
ここで開示されている硬化性樹脂組成物の硬化物は、屈折率1.57以上で、アッベ数35以下である。
またさらに、(E)前記反応性官能基(Fb)と同種の反応性官能基(Fe1)を有する化合物(Fe1含有化合物)を含有してもよい。前記Fe1含有化合物(E)は、反応性官能基(Fe1)以外の反応性官能基(Fe2)をさらに有していてもよい。
前記硬化性樹脂(A)と前記表面修飾ナノ粒子(B)との含有量比(A:B)は、5:1〜1:5であることが好ましい。
本発明の光学用硬化性樹脂組成物は、
(A)反応性官能基(Fa)を有し、当該反応性官能基(Fa)が反応して硬化する硬化性樹脂;
(B)前記硬化性樹脂(A)の硬化物よりも高い屈折率を有する金属酸化物のナノ粒子であって、前記反応性官能基(Fa)の反応と異なる反応機構の反応性官能基(Fb)で、表面が修飾されている表面修飾ナノ粒子;及び
(C)前記硬化性樹脂(A)の反応を開始させる第1の硬化剤
を含有する。
以下、各成分について説明する。
本発明の硬化性樹脂組成物の主成分となる硬化性樹脂としては、熱及び/又は光により重合を開始して硬化できる樹脂であればよく、その種類は特に限定しないが、通常、エポキシ樹脂又は硬化性(メタ)アクリル系樹脂が用いられ、好ましくはエポキシ樹脂である。
本発明で用いるエポキシ樹脂とは、反応性官能基(Fa)としてエポキシ基を含有する樹脂である。エポキシ樹脂は、通常、樹脂中の反応性官能基(Fa)であるエポキシ基と、当該官能基と反応することができる化合物(第1の硬化剤)とが反応して、架橋構造を形成し、硬化することができる。なお、本明細書中、エポキシ基とは、3員環のエーテルであるオキシラン環を含むものであり、狭義のエポキシ基の他、グリシジル基(グリシジルエーテル基及びグリシジルエステル基を含む。)を含むものである。
(水添)芳香族エポキシ樹脂のうち、中でも、より高屈折率を実現させるため、ビスフェノール骨格及び/又はフルオレン骨格を有する化合物が好ましく、より好ましくは、フルオレン骨格を有する化合物である。また、芳香族エポキシ樹脂の臭素化化合物や含硫黄化合物を用いることによっても、より高屈折率を達成でき、しかも、臭素や硫黄を含まない化合物に比べてアッベ数も高いため、用途に応じて適宜使用することが好ましい。
上記エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール等のビスフェノール類とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるものが好適である。
上記高分子量エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、上記エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂を上記ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール等のビスフェノール類と更に付加反応させることにより得られるものが好適である。
上記脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG600)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(PPG)、グリセロール、ジグリセロール、テトラグリセロール、ポリグリセロール、トリメチロールプロパン及びその多量体、ペンタエリスリトール及びその多量体、グルコース、フルクトース、ラクトース、マルトース等の単/多糖類等とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるもの、プロピレングリコール骨格、アルキレン骨格、オキシアルキレン骨格を有するもの、水添芳香族グリシジルエーテル類、シクロヘキシル骨格、トリシクロデカン骨格、イソボルニル骨格、アダマンチル骨格等の脂肪族環状骨格を有するもの等が好適である。中でも、中心骨格にプロピレングリコール骨格、アルキレン骨格、オキシアルキレン骨格、脂肪族環状骨格を有する脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂等が好適である。
上記エポキシシクロヘキサン基を有するエポキシ樹脂としては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、イプシロン−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物等が好適である。また、上記エポキシシクロヘキサン基を有するエポキシ樹脂以外の脂環式エポキシ樹脂としては、例えば、トリス−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)イソシアヌレート等のヘテロ環含有のエポキシ樹脂等の脂環式エポキシド等が挙げられる。
本発明で用いることができる硬化性(メタ)アクリル系樹脂とは、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレートなどの2官能以上の(メタ)アクリレートモノマー及び/又はオリゴマー、及び/又は有機骨格単位の主鎖末端または側鎖に、反応性官能基(Fa)として(メタ)アクリロイル基を2個以上有する樹脂の混合物である。含有する反応性官能基(Fa)は、同一でも異なっていてもよい。すなわち、1分子中にアクリロイル基とメタクリロイル基を含む化合物であってもよい。
耐熱性、強度付与の点からは、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物を50〜100質量%含有することが好ましい。これにより、三次元的に網状硬化した硬化物を得ることができる。
また、硬化性に影響を及ぼさない範囲内(具体的には硬化性樹脂の50質量%以下、好ましくは30質量%以下)であれば、イソアミル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドキシブチル(メタ)アクリレート等の脂肪族、脂環族、芳香族化合物のモノ(メタ)アクリレートを含有してもよい。
本発明で用いられる表面修飾ナノ粒子は、硬化物に高屈折性を付与する高屈折性の金属酸化物微粒子のマトリックス樹脂中の分散性を高めるために、粒子表面を親油化処理したものである。硬化物に高屈折性を付与する金属酸化物の配合により、硬化物の透明性が損なわれないように、マトリックス樹脂中でナノ粒子として微分散させるためである。本発明においては、金属酸化物の表面を修飾する有機化合物は化学結合および/または配位するか、或いは水素結合や塩の形成によって金属酸化物に付着するか何れでもよく、本発明において「表面修飾」とは、有機酸化合物が金属酸化物に化学的に結合および/または配位した状態、または物理的に付着した状態の両方を包含する。
このような金属酸化物は、25℃における波長589nmの光の屈折率が好ましくは1.55以上、より好ましくは1.60以上、特に好ましくは1.70以上を有している。従って、このような金属酸化物のナノ粒子を含有することにより、組成物の高屈折率化を図ることが可能となる。
前記金属成分は、水熱反応により金属酸化物を生成する化合物に含まれている限り特に限定されない。金属成分を含む化合物としては、種々の金属酸化物前駆体が挙げられ、例えば各種金属の水酸化物、塩化物、オキシ塩化物、硫酸塩、酢酸塩、有機酸塩、アルコキシド等が含まれ、さらには各種金属とカルボン酸の塩であってもよい。例えばジルコニウムでの例では、水酸化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニル、オキシ酢酸ジルコニル、オキシ硝酸ジルコニル、硫酸ジルコニウム、オクタン酸ジルコニウム、2−エチルヘキサン酸ジルコニウム、オレイン酸酸化ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、ステアリン酸酸化ジルコニウム、ラウリン酸酸化ジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム等のジルコニウムアルコキサイド等が挙げられる。また、チタンでの例では、水酸化チタン、塩化チタン、オキシ塩化チタン、オキシ酢酸チタン、オキシ硝酸チタン、硫酸チタン、オクタン酸チタン、オレイン酸酸化チタン、酢酸チタン、ステアリン酸酸化チタン、ラウリン酸酸化チタン、テトラブトキシチタン(例えば、テトラ−n−ブトキシチタン)等のチタンアルコキサイド等が例示できる。
表面修飾は、粒子表面を親油化できる方法であれば特に限定しないが、通常、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤のように、無機化合物と結合形成可能な有機基及び親油化のための反応性官能基(Fb)を有する化合物が用いられる。
従って、例えば、シランカップリング剤としては、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリロイルオキシ系シランカップリング剤;ジエトキシ(グリシディルオキシプロピル)メチルシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ系シランカップリング剤;N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1、3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ系シランカップリング剤などを用いることができる。
酸化物ナノ粒子は、粉末状の粒子を添加してもよいし、適宜分散媒に分散させたスラリー又は分散液として添加してもよい。
ナノ粒子分散液中の固形分率は、特に限定しないが、20〜90%であることが好ましく、より好ましくは50〜80%である。
陰イオン系界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム等の脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、脂肪酸エステルスルフォン酸ナトリウム等の脂肪酸系、アルキルリン酸、アルキルリン酸エステル、アルキルリン酸エステルナトリウム等のリン酸系、アルファオレインスルフォン酸ナトリウム等のオレフィン系、アルキル硫酸ナトリウム等のアルコール系、アルキルベンゼン系等が挙げられる。
陽イオン系界面活性剤としては、例えば、塩化アルキルメチルアンモニウム、塩化アルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム等が挙げられる。
両性イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミノカルボン酸塩等のカルボン酸系、フォスフォベタイン等のリン酸エステル系が挙げられる。
非イオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラノリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の脂肪酸系、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。
ここでいう反応機構とは、樹脂組成物の(C)成分として含まれる第1の硬化剤により起こる硬化性樹脂の反応性官能基(Fa)の硬化反応と異なる反応機構の意味である。例えば、反応性官能基(Fa)の反応がエポキシ基の開環反応であれば、エポキシ基の開環反応以外の反応、また反応性官能基の反応が(メタ)アクリロイル基のラジカル重合反応であれば、ラジカル重合以外の反応、反応性官能基の反応が脱水縮合反応であれば脱水縮合反応以外の反応をいう。
第1の硬化剤は、(A)成分である硬化性樹脂の硬化反応を開始させるための硬化剤である。この第1の硬化剤は、樹脂用硬化剤と称する場合もある。
硬化性樹脂としてアクリル樹脂を含有する場合、ラジカル重合開始剤を用いることができる。
以上のような樹脂用硬化剤は、(A)硬化性樹脂中の反応性官能基(Fa)に応じて適宜選択され、1種類に限らず、2種類以上混合して用いてもよい。
ラジカル重合開始剤は、加熱又は光照射によりラジカルを発生し、硬化性(メタ)アクリル系樹脂中の(メタ)アクリロイル基等のビニル基の重合を開始させることができる。
ラジカル重合開始剤としては、ラジカルを発生して上記重合を開始させることができる化合物であれば特に限定されず、例えば、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1,1’−アゾビス−1−シクロヘプタンニトリル、1,1’−アゾビス−1−フェニルエタン、フェニルアゾトリフェニルメタン、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−2−メチルプロピオン酸メチル、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’アゾビス−2−メチルバレロニトリル等のアゾ系開始剤類;過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化tert−ブチル、過酸化プロピオニル、過酸化ラウロイル、過酢酸tert−ブチル、過安息香酸tert−ブチル、tert−ブチルヒドロペルオキシド、tert−ブチルペルオキシピバレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーイソノナノエート、t−アミルパーオキシアセテート、t−アミルパーオキシベンゾエート等の過酸化物系開始剤類;2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン等のアルキルフェノン系開始剤類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系開始剤類;ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム等のチタノセン系開始剤類;1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル系開始剤類等が挙げられる。
カチオン重合開始剤は、加熱又は光によりエポキシ基の酸素原子に作用することで開環するとともにカルボカチオンを発生させ、カチオン重合を開始させることができる。ここでいうカチオン重合とは、上記カルボカチオンを経由する反応だけでなく、明確なカチオンの発生を経由せず、カチオン重合態様で進行する反応も含む。
カチオン重合開始剤は、エポキシ樹脂用硬化剤として一般に使用されている酸無水物類、アミン類、フェノール樹脂類等とは異なり、樹脂組成物に含まれていても、樹脂組成物の常温での経時的な粘度上昇やゲル化を引き起こすことなく、またカチオン硬化剤の作用として、硬化反応を充分に促進して優れた効果を発揮することができるので、ハンドリング性により優れた一液性樹脂組成物を提供することができる。
(R1 aR2 bR3 cR4 dZ)+m(AXn)−m
式中、Zは、S、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、N及びハロゲン元素からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を表す。R1、R2、R3及びR4は、同一又は異る有機基を表す。a、b、c及びdは、0又は正数であり、a、b、c及びdの合計はZの価数に等しい。カチオン(R1 aR2 bR3 cR4 dZ)+mはオニウム塩を表す。Aは、ハロゲン化物錯体の中心原子である金属元素又は半金属元素(Metalloid)を表し、B、P、As、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Coからなる群より選ばれる少なくとも一つである。Xは、ハロゲン元素を表す。mは、ハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷である。nは、ハロゲン化物錯体イオン中のハロゲン元素の数である。
(1)式中、Mは、Al、Mg、Ti又はZrのいずれかを表す。R1は、同一又は異なって、炭素数1〜6のアルキル基又はアルコキシル基を表す。R2は、同一又は異なって、炭素数1〜12のアルキル基を表す。aは、Mで表される金属原子のイオンの価数を表す。bは、0〜3の数を表す。(1)式中、酸素原子とMとの間の点線は、酸素原子がMに配位していることを表す。Mに配位する2つの酸素原子と、該2つ酸素原子の間の3つの炭素原子とで形成される構造部分の点線の円弧は、この構造部分の少なくとも1対の原子が二重結合で結ばれていることを表し、該二重結合が、点線の円弧部分を形成する環構造と共役していてもよい。
なお、「R1は、同一又は異なって、炭素数1〜6のアルキル基又はアルコキシル基を表す」とは、bを付した()の中の構造部分が複数ある場合、当該複数の構造部分におけるR1の構造が同一であってもよく、異なっていてもよいことを意味する。R2についても同様である。
上記一般式(2)で表される金属アルコキシドの具体例としては、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリsec−ブトキシド、アルミニウムトリtert−ブトキシド等のアルミニウムアルコキシド;マグネシウムジエトキシド、マグネシウムジイソプロポキシド、マグネシウムジtert−ブトキシド等のアルミニウムアルコキシド;チタニウムテトライソプロポキシドなどが挙げられる。
酸無水物は、エポキシ基と反応して、カルボキシル基を生じるという付加重合を起こすことができる。したがって、酸無水物は、通常、エポキシ樹脂と同当量含有することになる。
酸無水物(酸無水物系硬化剤)としては、例えば、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル、酸無水物、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ナジック酸無水物、メチルナジック酸無水物、ヘット酸無水物、ハイミック酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸−無水マレイン酸付加物、クロレンド酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸等の脂環式カルボン酸無水物;ドデセニル無水コハク酸、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ポリドデカン二酸無水物等の脂肪族カルボン酸の無水物;フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコール無水トリメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の芳香族カルボン酸無水物等が挙げられる。
アミン類は、エポキシ基と反応し、付加重合によりエポキシ樹脂の伸長、架橋硬化を進行させることができる。したがって、アミン類は、通常、エポキシ樹脂と同等量含有することになる。
フェノール類(フェノール樹脂類を含む)は、フェノールに含まれる水酸基が付加重合して、エポキシ樹脂の伸長、架橋硬化が進行する。
上記フェノール類(フェノール系硬化剤)としては、例えば、ビスフェノールA、テトラブロムビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−ビフェニルフェノール、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリレン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェノール)、トリスヒドロキシフェニルメタン、ピロガロール、ジイソプロピリデン骨格を有するフェノール類;1,1−ジ−4−ヒドロキシフェニルフルオレン等のフルオレン骨格を有するフェノール類;フェノール化ポリブタジエン等のポリフェノール化合物、フェノール、クレゾール類、エチルフェノール類、ブチルフェノール類、オクチルフェノール類、ビスフェノールA、ブロム化ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ナフトール類等の各種フェノールを原料とするノボラック樹脂:キシリレン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有フェノールノボラック樹脂、フルオレン骨格含有フェノールノボラック樹脂等の各種ノボラック樹脂が挙げられる。
含有量は特に限定しないが、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤の場合、硬化性樹脂100重量部に対し、通常0.01〜10重量部であり、好ましくは0.1〜5重量部である。
酸無水物、アミン類又はフェノール樹脂を用いる場合、(A)成分である硬化性樹脂と当量用いることが好ましい。当該硬化剤の含有量(酸無水物、アミン類及びフェノール樹脂の総量)としては、上記樹脂組成物100質量%に対し、5〜70質量%であることが好適である。より好ましくは15〜50質量%である。
本発明の樹脂組成物には、さらに、(B)表面修飾ナノ粒子表面を修飾している反応性官能基(Fb)の反応を開始させるための硬化剤(以下、「ナノ粒子用硬化剤」)を含有してもよい。ナノ粒子用硬化剤を含有することにより、表面修飾ナノ粒子の表面を修飾している反応性官能基(Fb)が硬化反応することができる。これにより、ナノ粒子同士が架橋構造を形成して結着することができるため、硬化物の強度が増大する。
表面修飾ナノ粒子表面の反応性官能基(Fb)がエポキシ基の場合、カチオン重合開始剤、酸無水物、アミン類又はフェノール類を用いる。
ナノ粒子用硬化剤は、表面修飾ナノ粒子の表面の反応性官能基(Fb)の種類により選択されるが、ナノ粒子表面の硬化反応が、硬化性樹脂の硬化反応よりも遅れて開始、あるいはゆっくりの反応速度で反応する組合せを選択することが好ましい。
例えば、樹脂用硬化剤がラジカル重合開始剤で、ナノ粒子用開始剤がカチオン重合開始剤の場合、ラジカルを発生させることができる温度がカチオン活性種を発生させることができる温度よりも低くなる組合せを選択する。
また、樹脂用硬化剤が酸無水物又はアミン類で、ナノ粒子用開始剤がラジカル重合開始剤の場合、ラジカル種の発生が遅い温度で、酸無水物又はアミン類と硬化性樹脂が反応できる温度となる組み合わせを選択する。
本発明の光学用硬化性樹脂組成物は、さらに、前記反応性官能基(Fb)と同種の反応性官能基(Fe1)を含有する化合物(Fe1含有化合物)を含有してもよい。
したがって、反応性官能基Fe1としては、反応性官能基Fbで列挙されたような反応性官能基、すなわち(メタ)アクリロイルオキシ基、エポキシ基、アミノ基、ビニル基、チオール基、酸無水物基、フェノール基などのうち、表面修飾ナノ粒子(B)に含まれる反応性官能基(Fb)の種類に応じて決定される。
例えば、表面修飾ナノ粒子表面の反応性官能基(Fb)が(メタ)アクリロイル基の場合、(メタ)アクリロイル化合物を含有させることが好ましい。
イソアミル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の脂肪族、脂環族、芳香族化合物のモノ(メタ)アクリレートの他、硬化性(メタ)アクリル系樹脂で例示したような2官能以上の(メタ)アクリレートを用いることができる。
例えば、硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を使用し、反応性官能基(Fe1)として(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸などが好ましく用いられる。
上記成分の他、以下の成分を含有してもよい。
(1)光増感剤
第1の硬化剤又は第2の硬化剤として光潜在性カチオン硬化触媒を用いる場合、光増感剤を併用することが好ましい。光増感剤としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル等のアミン類等を用いることができる。
第1の硬化剤又は第2の硬化剤として酸無水物、アミン類又はフェノール樹脂類を用いる場合、硬化促進剤を併用することが好ましい。
硬化促進剤としては、3級アミン類、ジアザビシクロアルケン類、イミダゾール類、有機リン系化合物類、およびそれらの有機酸塩、4級アンモニウム塩類、4級ホスホニウム塩類、有機金属化合物類、ホウ素化合物類、金属ハロゲン化物類が挙げられる。
ジアザビシクロアルケン類としては、例えば、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等が挙げられる。
イミダゾール類としては、例えば、1H−イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール等が挙げられる。
有機リン系化合物類としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ(p−メトキシ)フェニルホスフィン、亜リン酸トリフェニル等が挙げられる。
4級アンモニウム塩類としては、例えば、テトラオクチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
4級ホスホニウム塩類としては、テトラフェニルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムラウリレート、テトラブチルホスホニウムアセテート、メチルトリブチルホスホニウムジメチルホスフェート、テトラブチルホスホニウムベンゾトリアゾレート、テトラブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウム o,o−ジエチルホスホロジチロエート等が挙げられる。
有機金属化合物類としては、オクチル酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、オクチル酸錫、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)等が挙げられる。
ホウ素化合物類としては、三フッ化ホウ素、トリフェニルボラン等が挙げられる。金属ハロゲン化物としては、塩化亜鉛、塩化スズ等が挙げられる。
中でも、硬化物の耐熱性、透明性の点で、イミダゾール類、有機リン系化合物類、4級ホスホニウム塩類が好ましい。
本発明の樹脂組成物は、無溶剤タイプの樹脂組成物を提供することが可能であることから、塗工材料としてだけでなく、金型成形の成形材料として用いることができる。したがって、成形材料として用いる場合、成形後の離型を容易にするために、離型剤を含有させることが好ましい。
硬化剤としてカチオン重合開始剤を用いる場合、離型剤として、アルコール、カルボン酸及びカルボン酸エステルを用いることが好ましく、より好ましくは、カルボン酸(特に高級脂肪酸)及びカルボン酸エステルである。硬化反応を阻害することなく、離型効果を充分に発揮できる。
本発明の光学用硬化性樹脂組成物は、上述した必須成分や好適成分の他に、反応性希釈剤、不飽和結合を有さない飽和化合物、顔料、染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、非反応性化合物、連鎖移動剤、熱重合開始剤、嫌気重合開始剤、重合禁止剤、無機充填剤や有機充填剤、カップリング剤等の密着向上剤、熱安定剤、防菌・防カビ剤、難燃剤、艶消し剤、消泡剤、レベリング剤、湿潤・分散剤、沈降防止剤、増粘剤・タレ防止剤、色分かれ防止剤、乳化剤、スリップ・スリキズ防止剤、皮張り防止剤、乾燥剤、防汚剤、帯電防止剤、導電剤(静電助剤)等を含有してもよい。
以上の組成を有する樹脂組成物の調製方法は特に限定しない。各成分の混合順序も限定しない。
表面修飾ナノ粒子は、単独の粉末状で配合してもよいし、適宜分散媒に分散させた分散液として配合してもよいし、硬化性樹脂、(E)成分を配合する場合は(E)成分と適宜割合で混合したマスターバッチとした後、硬化性樹脂、その他の成分が所定比率となるように希釈混合してもよい。
本発明の光学用硬化性樹脂組成物の硬化反応は、加熱や活性エネルギー線の照射等により開始させることができる。
無溶剤タイプの樹脂組成物とすることにより、基材表面への塗工だけでなく、金型を用いて成形することができる。プレス成形、注型成形、サンドイッチ成形等に供することができる。これらの成型方法を適用することにより、厚み100μm以上の成形体を得ることができる。
金型成形の場合、金型に樹脂組成物を注入後、加熱またはエネルギー線照射して金型内で硬化;あるいは所定温度に加熱した金型に樹脂組成物を注入し、硬化反応を開始させてもよい。
そして、ナノ粒子用硬化剤を含有する場合、硬化性樹脂の硬化反応に遅れて、あるいは硬化性樹脂の硬化反応の終了後に、ナノ粒子表面の反応性官能基の反応が開始される。
このように硬化反応が進むことで、表面修飾ナノ粒子が凝集、結着して、粗大粒子となることを防止できると考えられる。ナノ粒子の硬化反応は、硬化性樹脂の硬化がある程度、進行した状態、あるいは硬化性樹脂の硬化反応終了後に開始するので、ナノ粒子はマトリックス樹脂のネットワーク構造により硬化反応により結着できるナノ粒子が限定的となり、その結果、粗大粒子となることを防止できると考えられる。
上記波長180〜500nmの紫外線又は可視光線の光発生源としては、例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、水銀−キセノンランプ、エキシマーランプ、ショートアーク灯、ヘリウム・カドミニウムレーザー、アルゴンレーザー、エキシマーレーザー、太陽光等が好適である。また、これらの光源とともに、赤外線、遠赤外線、熱風、高周波加熱等を用いて熱エネルギーを加えてもよい。
加熱による硬化と、活性エネルギー線照射による硬化とを組み合わせてもよい。
本発明の樹脂組成物は、上述のように優れた透明性・光学特性を発揮できる硬化物、具体的には、屈折率1.55以上(好ましくは1.57以上)で且つアッベ数35以上(好ましくは37以上)である光学用成形品を提供できるため、光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途等の種々の用途に好適に用いることができる。具体的には、眼鏡レンズ、(デジタル)カメラや携帯電話や車裁カメラのカメラ用撮像レンズ、フィルター、回折格子、プリズム、光案内子、光ビーム集光レンズや光拡散用レンズ、ウォッチガラス、表示装置用のカバーガラス等の透明ガラスやカバーガラス等の光学用途;フォトセンサー、フォトスイッチ、LED、発光素子、光導波管、合波器、分波器、断路器、光分割器、光ファイバー接着剤等のオプトデバイス用途;LCDや有機ELやPDP等の表示素子用基板、カラーフィルター用基板、タッチパネル用基板、ディスプレイ保護膜、ディスプレイバックライト、導光板、反射防止フィルム、防曇フィルム等の表示デバイス用途等が好適である。
また、耐熱性に優れていることから、半田付け等の製造、使用において、高温に曝される光学機器の材料として用いることもできる。
(1)金属酸化物粒子の結晶状態の同定
金属酸化物の結晶状態の同定は、XRD(スペクトリス株式会社、全自動多目的X線開設装置XPertPro)を用いて行った。
FE−SEM(日立超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡S−4800)を用いて測定した。
屈折率計(アタゴ社製、DR−M2)を用いて、25℃にて、486nm、589nmおよび656nmでの屈折率を求め、これらの屈折率からアッベ数を求めた。
幅3mmにカットした試料を、支点間距離10mmの曲げ試験用治具にセットし、動的粘弾性測定装置(RSA−III、ティー・エイ・インスツルメント社製)を用いて0.05mm/sの速度で中心部を押し下げ、割れた時点の荷重(単位:g)を測定した。
UV−VIS分光光度計(Agilent 8453、アジレント・テクノロジー社製)を用いて、400nmおよび700nmにおける平行線透過率を測定した。
(1)酸化ジルコニウムナノ粒子の合成
40℃の純水700gに水酸化ナトリウム(キシダ化学株式会社、特級)を撹拌下、添加して溶解させた。次いで、ネオデカン酸(ジャパンエポキシレジン株式会社)495gを撹拌下、添加し、ネオデカン酸ナトリウム水溶液を調製した。該溶液を80℃に加熱し、740gのジルコゾールZC−20(第一希元素化学工業株式会社製のZrOCl2)を撹拌下、20分かけて投入し、80℃で1時間半撹拌を続けたところ、白色で高粘度なネオデカン酸ジルコニウムが生成した。
次にテトラデカン1270gを添加して撹拌すると、油相と水相の2相からなる溶液が得られた。この油相は、ネオデカン酸ジルコニウム及びテトラデカンを含有する。水相を分離除去して油相部分を回収し、純水で3回洗浄した。洗浄後の油相1000g、ステアリン酸15g、純水500gを攪拌機付きオートクレーブ内に仕込み、反応容器中の雰囲気を窒素ガスにより置換した。その後、175℃まで加熱し、3時間反応させ、酸化ジルコニウムナノ粒子含有溶液を得た。反応中の容器内圧力は、0.9MPaであった。
TG−DTA(熱重量−示差熱分析)により、空気雰囲気下、10℃/分の速度で800℃まで昇温し、酸化ジルコニウムナノ粒子の質量減少率を測定したところ、20質量%の減少率となった。
(1)で得られたネオデカン酸で被覆された酸化ジルコニウムナノ粒子10gを、トルエン90gに分散させた。この酸化ジルコニウムナノ粒子分解液に、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社のシランカップリング剤「KBM−503」)1.5g添加後、80℃で1時間還流し、減圧雰囲気下にて分散媒を除去した。このようにして、酸化ジルコニウムナノ粒子表面とシランカップリング剤とを反応させ、酸化ジルコニウム粒子をメタクリロイル修飾した。このメタクリロイル修飾酸化ジルコニウム粒子をFT−IRで分析したところ、表面処理前に認められたC−H結合(2800〜3000cm-1)とあわせて、シランカップリング剤由来のSi−O−C(1000〜1130cm-1)が確認できた。したがって、酸化ジルコニウム粒子の表面が、シランカップリング剤由来のメタクリロキシプロピル基で修飾されていることがわかる。
このように得られた表面がメタクリロイル修飾された酸化ジルコニウムナノ粒子5gを、メチルイソブチルケトン50gに混合し撹拌したところ、透明な分散液が得られた。
以下の硬化性樹脂を用いた。
(1)エポキシ樹脂1(Ep1):脂環式エポキシ樹脂
ダイセル社の「セロキサイド2021P」を用いた。酸性物質と高い反応性を示す2官能の脂環式エポキシ樹脂である。
三菱化学社製の「828EL」を用いた。2官能のビスフェノールA型エポキシ樹脂である。
ダイセル社の「EHPE3150」で、多官能脂環式エポキシ樹脂である。酸無水物、フェノール、アミン、カチオン触媒など各種硬化剤により硬化させることができる。
三菱化学社の「YX−8000」を用いた。ビスフェノールA骨格が水素添加により飽和化されている。
大阪ガスケミカル社の「オグゾールPG−100」を用いた。芳香族骨格を有する2官能のエポキシ樹脂である。
三菱化学社の「1007」を用いた。高分子量固形タイプのビスフェノールA型エポキシ樹脂である。
2官能アクリレート化合物として、共栄化学社のエポキシエステル「3000A」(ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物)、2官能メタクリレート化合物として、共栄化学社のライトエステル「BP−2EMK」(ビスフェノールAのエチレンオイサイド付加物ジメタクリレート)を用いた。
また、反応性官能基(Fe2)としてエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物として、グリシジルメタクリレート(日油社)を用いた。
(1)酸無水物
新日本理化社製の液状脂環式酸無水物「リカシッドMH−700G」(4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸=70/30)
エポキシ基と無水フタル酸との反応は、硬化促進剤の有無や種類等にもよるが、およそ50〜70℃程度から緩やかに起こり始め、熱分析(DSC)による反応発熱ピーク温度は約100〜160℃である。
三新化学工業社のカチオン重合開始剤「SI−80L」(カチオン発生温度:110℃)を用いた。
日油株式会社の「パーヘキシルD(商品名)」(ジ−t−ヘキシルパーオキサイド(熱分析による発熱開始温度146℃))又は「パーロイルL(商品名)」(ジラウロイルパーオキサイド(熱分析(DSC)による発熱開始温度102℃)を用いた。
四国化成社製の2E4MZ(2−エチル―4−メチルイミダゾール)又は1B2PZ(1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール)を用いた
硬化性樹脂として、表1に示すように、Ep1〜Ep5を、所定割合で組み合わせたエポキシ樹脂を用いた。
セパラブルフラスコに、上記で調製したメタクリロイル化ジルコニアナノ粒子分散液(分散媒:メチルイソブチルケトン、固形分70%)142.9部(固形分換算100部)、及びエポキシ樹脂用硬化剤として酸無水物50.2部を仕込み、内温50℃で撹拌しながら溶剤を減圧留去した。表1に示す割合にてEp1,Ep2,Ep3,Ep4,Ep5を混合したエポキシ樹脂混合物を、上記減圧留去したセパラブルフラスコに添加した。室温に冷却後、表1に示す硬化促進剤1部を加えて混合し、エポキシ樹脂組成物を調製した。
表1に示す(メタ)アクリレート系化合物を、エポキシ樹脂を混合する時点で添加し、エポキシ樹脂、メタクリロイル化ジルコニアナノ粒子、硬化剤、硬化促進剤を表1に示す組成にしたがい、No.1と同様にして調製した。
硬化性樹脂として、表1に示す割合にてEp1,Ep2及びEp6を混合したエポキシ樹脂混合物を使用し、エポキシ樹脂用硬化剤として、酸無水物に代えてカチオン重合開始剤1部を使用し、表面修飾ナノ粒子、硬化促進剤を含有しなかった以外は、No.1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を得た。
セパラブルフラスコに、上記で調製したメタクリロイル化ジルコニアナノ粒子分散液(分散媒:メチルイソブチルケトン、固形分70%)142.9部(固形分換算100部)、及び表1に示す割合で(メタ)アクリレート化合物を仕込み、内温50℃で撹拌しながら溶剤を減圧留去した。室温に冷却後、硬化剤としてパーヘキシルDを0.3部加えて混合して、硬化性(メタ)アクリル系樹脂組成物を調製した。
上記で調製した樹脂組成物を、1mmのスペーサーを挟んだ2枚のガラス板間に注入し、150℃のオーブンで15分硬化し、厚さ1mmの板状の硬化物を得た。これをさらに窒素下で150℃1時間ポストベークし、評価用硬化物として用いた。
作製した評価用硬化物について、上記測定方法に基づき、屈折率、アッベ数、強度、光線透過率を測定した。測定結果を表1に示す。
Claims (12)
- (A)反応性官能基(Fa)を有し、当該反応性官能基(Fa)が反応して硬化する硬化性樹脂;
(B)前記硬化性樹脂(A)の硬化物よりも高い屈折率を有する金属酸化物ナノ粒子であって、表面が前記反応性官能基(Fa)反応と異なる反応機構の反応性官能基(Fb)で修飾されている表面修飾ナノ粒子;及び
(C)前記硬化性樹脂(A)の反応を開始させる第1の硬化剤
を含有する光学用硬化性樹脂組成物。 - (D)前記反応性官能基(Fb)の反応を開始させる第2の硬化剤をさらに含有し、
第2の硬化剤(D)は、第1の硬化剤(C)による硬化性樹脂(A)の反応よりも遅れて反応を開始させる化合物、又は第1の硬化剤(C)による硬化性樹脂(A)の反応よりも反応速度が遅い反応触媒である請求項1に記載の光学用硬化性樹脂組成物。 - 前記第2の硬化剤(D)の反応開始温度が、前記第1の硬化剤(C)の反応開始温度よりも高い請求項2に記載の光学用硬化性樹脂組成物。
- 前記金属酸化物は、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タンタル、酸化インジウム、酸化ハフニウム、酸化スズ、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化タングステン、酸化ニオブ及びこれらの複合体からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学用硬化性樹脂組成物。
- 前記硬化性樹脂は、エポキシ樹脂又は硬化性(メタ)アクリル系樹脂である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学用硬化性樹脂組成物。
- 前記エポキシ樹脂は、脂環式エポキシ樹脂、芳香族エポキシ樹脂、及び水添型芳香族エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項5に記載の光学用硬化性樹脂組成物。
- さらに、(E)前記反応性官能基(Fb)と同種類の反応性官能基(Fe1)を有する化合物を含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学用硬化性樹脂組成物。
- 前記反応性官能基(Fe1)含有化合物(E)は、前記反応性官能基(Fe1)以外の反応性官能基(Fe2)を有している請求項7に記載の光学用硬化性樹脂組成物。
- 前記金属酸化物ナノ粒子の表面を修飾している反応性官能基(Fb)は、(メタ)アクリロイル基である請求項1〜8のいずれかに記載の光学用硬化性樹脂組成物。
- 前記硬化性樹脂(A)と前記表面修飾ナノ粒子(B)との含有量比(A:B)は、5:1〜1:5である請求項1〜9のいずれかに記載の光学用硬化性樹脂組成物。
- 請求項2に記載の光学用硬化性樹脂組成物の硬化方法であって、
前記反応性官能基(Fa)と前記第1の硬化剤(C)との反応が、前記反応性官能基(Fb)と前記第2の硬化剤(D)の反応よりも早期に開始される条件で硬化する硬化方法。 - 請求項1〜10のいずれか1項に記載の光学用硬化性樹脂組成物の硬化物であって、屈折率が1.55以上で且つアッベ数が35以上である光学用成形品。
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