JP2012184318A - 硬化性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】無機物としての金属を多量に含有した場合において、十分に高い透明性を呈する硬化性組成物を提供する。
【解決手段】重合性単量体と、一般式M(OR)n(1)で表わされる金属アルコキシドとを含むことを特徴とする、硬化性組成物(式中、Mは、Al,Si,Ti,Y,Zr,Nb,Cd,Ba,Ta及びCeからなる群より選ばれる少なくとも一種であり、Rは一般式(2)を有する特定の基であり、Rはビニル基又は水酸基で置換されていてもよいアルキル基であって、nは2〜5の整数)。
Figure 2012184318

【選択図】なし

Description

本発明は、高機能性樹脂に広く用いられる無機物を含有した硬化性組成物に関する。
プラスチック材料は様々な分野で使用され、それぞれの用途に応じた高機能化プラスチック材料が開発されている。このプラスチック材料の高機能化の手法として、ナノサイズの無機微粒子を高度に分散させ、無機物が有する性能を効果的に発現させるナノテクノロジーが今注目されている。例えば、カメラやピクアップレンズ、フィルムレンズ、メガネ用レンズ、ハードコート材、反射防止材などの光学部品の分野では、透明光学樹脂に無機物をハイブリッド化し、透明性を損なうことなく無機物が有する様々な機能を付与する試みがなされている。
このような透明性が要求される用途での無機物のハイブリッド化技術は、透明光学樹脂と無機物との屈折率の違いによって、光散乱が生じ透明性が損なわれ易い。そのため、光が無機物によって散乱されることのない粒子サイズに制御するナノテクノロジーが盛んに研究されている。一般に粒子径が小さくなるほど、粒子の凝集性が極めて高くなる。
このため、微粒子になるほど二次凝集が生じ易く、凝集によって無機物の粒子径が増大するため、光が散乱されて白濁し透明性は著しく損なわれることから、透明光学樹脂材料の適用においては一次粒子を凝集させずに高度に分散させる技術が要求される。また、このように高度に無機粒子を分散させた分子レベルの微粒子は、これまでの高分子にない剛性や硬度の向上、耐熱性の付与や熱伝導性、電気伝導性、放熱性、屈折率、紫外線吸収などといった無機物が有する特徴のある機能を付与したプラスチック材料として期待が寄せられている。
プラスチック材料に無機物をハイブリッド化する手法として、大きく分けてトップダウン法とボトムアップ法が挙げられ、ボトムアップ法は更にゾルゲル法、水熱合成法、In−situ法などに分けられる。
トップダウン法は、特許文献1に開示されている様にビーズミル、ジェットミル、超音波ホモジナーザーなどを用いて機械的に粉砕または解砕し、透明になるまで高度に分散させる技術である。前記したように、ナノレベルの微粒子は、凝集性が極めて高く、微粒子化するほどその凝集力は強くなる。このため、解砕した粒子が二次凝集によって凝集体を形成し易く、高い透明性を得るには極めて高度な分散技術が必要とされる。特許文献2では分散剤や表面修飾技術との併用した検討がなされているが、光学材料として十分な特性を得るには至っていない。
水熱合成法(特許文献3)やゾル―ゲル法(非特許文献1)を用いて無機ナノ粒子を合成する方法は多くの報告があり、1nmからμmオーダーまで粒子径を制御する技術が開示されている。また、このような手法を応用したものとして、特許文献4、5には粒子生成段階においてカップリング剤などの修飾剤により表面修飾し、有機溶剤中にナノ分散させる技術が提案されている。
しかしながら、カップリング剤を用いて表面を修飾する技術は、修飾するカップリング剤の特性を無視することができず、無機粒子の機能を十分に発現させることができないといった問題があった。例えば、高屈折率の無機物を適用した場合、マトリックスとなる高分子と相溶性が高いカップリング剤が検討されているが、カップリング剤自体の屈折率が低いものが大半であり、屈折率を高める効果が半減し、大量の無機物が必要となる。粒子の二次凝集や修飾剤による凝集物が生じ易いなどの多くの課題がある。
また、表面修飾剤を用いない手法として、金属カルボン酸塩から誘導される化合物をエタノールなどの溶媒中に有機モノマーを混在させて直接反応させる方法やモノマー中でゾル−ゲル反応によってナノ粒子を形成させるIn−situ合成法が様々提案されている。この方式によれば、高屈折率を有する無機物を直接モノマー中で析出させるため、高度に分散された透明性の高い材料を得ることができる。
しかしながら、無機物を溶解させる量に制限を受け、過飽和になった場合は二次凝集によって濁りが生じ易いという問題がある。また、特許文献6ではカップリング剤などの修飾剤を添加する手法も検討されているが、上記と同様に多量の添加量を必要とするため二次凝集し易いなどの問題があり、薄膜などへの適用があってもバルクな材料への適用例は極めて少ないのが現状である。また、金属カルボン酸塩は有機溶媒やモノマーに対する溶解性に乏しく、使用できるモノマーに制限を受けるなどの問題がある。
また、金属アルコキシドを用いたゾル−ゲル反応では、アルコキシド同士の縮合反応により金属が高分子量化することは古くから知られており(非特許文献2)、特許文献7には水酸基を有するアクリルモノマーと金属アルコキシドとの縮合反応によって有機−無機ハイブリッド化する手法や特許文献8に開示されている様に金属アルコキシドをモノマー中に含有させる手法が提案されている。
前者の水酸基を有するアクリルモノマーと金属アルコキシドとの縮合反応による方法は、最終的に加水分解して微粒子化する手法で上記In−situ合成法と何ら変わりはなく、無機物を所定の大きさにコントロールし析出させる技術としては困難を要する。また、金属アルコキシドを含有するモノマー組成では加熱硬化時に残存するアルコキシドの縮合もしくは分解脱離によって発泡が生じ易く、更には残存するアルコキシドによる硬化阻害やアルコキシドが単離することによって成形体が脆くなり易いといった課題があった。
一方、光学部材に広く適用されている光学樹脂としては、無機物をハイブリッド化した高機能性材料としてアナターゼ晶のチタニア粒子を高分子に充填し、セルフクリーニング性を有するコーティング膜が実用化されている。
しかしながら、このような材料はナノレベルの極薄膜での適用であり、バルクな製品に適用した場合は光散乱が生じる。すなわち、このような材料はチタニア粒子の一次粒子径もしくは二次粒子径の光散乱断面積が光の波長よりも大きく、光散乱が生じて透明性が損なわれるため、薄膜化することによって光散乱を少なくして光透過性を得ているのが実態であり、バルクな材料に適用した場合、透明度は大きく低下する。更に、無機物を高充填化した場合、二次凝集が生じ易く、無機物が高充填化されたバルクな材料がないのが現状である。
特開2007−246799公報 特開2007−99931公報 特開平9−71418公報 特開2007−119617公報 特開2007−70603公報 特開2002−12794公報 特開2002−212248公報 特開2003−160614公報
Journal of Applied Physics,第37巻,4603〜4608(1998) ゾルゲル法の科学 (作花済夫著)
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、無機物としての金属を多量に含有した場合において、十分に高い透明性を呈する硬化性組成物を提供することを目的とする。
上記目的を達成すべく、本発明は、
重合性単量体と、一般式
[化1]
M(OR)n (1)
で表わされる金属アルコキシドとを含むことを特徴とする、硬化性組成物
(式中、Mは、Al,Si,Ti,Y,Zr,Nb,Cd,Ba,Ta及びCeからなる群より選ばれる少なくとも一種であり、Rは一般式(2)〜(4)式からなる群より選ばれる少なくとも一種の基であり、Rはビニル基又は水酸基で置換されていてもよいアルキル基であって、nは2〜5の整数、
Figure 2012184318
Figure 2012184318
Figure 2012184318

に関する。
本発明によれば、硬化性組成物を構成する一般式(1)で表わされる金属アルコキシドが、一般式(2)〜(4)で示されるような、アルコールから水酸基が除去されてなるアルコール残基等の基を有している。一般式(2)における基は第3級炭素を有し、さらにこの第3級炭素の3つの結合手には総てアルキル基が結合しているので、金属アルコキシドの嵩高さが大きくなり、例えば硬化性組成物を硬化させて樹脂硬化物を製造する際に、金属アルコキシドにおける金属が当該金属アルコキシドから離脱しやすくなる。したがって、最終的に得る樹脂硬化物中においては、金属が分子レベルの大きさで分散するようになるので、金属を多量に含む場合においても当該樹脂硬化物の透明性を高く保持することができる。
また、一般式(3)及び(4)における基は、4つの結合手総てにアルキル基が結合した第4級炭素を有しているので、この場合も金属アルコキシドの嵩高さが大きくなり、例えば硬化性樹脂組成物を硬化させて樹脂硬化物を製造する際に、金属アルコキシドにおける金属が当該金属アルコキシドから離脱しやすくなる。したがって、最終的に得る樹脂硬化物中においては、金属が分子レベルの大きさで分散するようになるので、金属を多量に含む場合においても当該樹脂硬化物の透明性を高く保持することができる。
なお、一般式(1)で表わされる金属アルコキシド中に含まれる基(R)の分子鎖が長くなって、金属アルコキシドにおける第3級炭素あるいは第4級炭素と金属元素との距離が長くなると、第3級炭素及び第4級炭素が存在することによって生じる金属アルコキシドの嵩高さが、金属アルコキシドの金属に与える影響が小さくなる。したがって、金属アルコキシドから金属が離脱することが困難になり、最終的に得る樹脂硬化物中に、分子レベルの金属を分散させることが困難となる。
以上説明したように、本発明によれば、無機物としての金属を多量に含有した場合において、十分に高い透明性を呈する硬化性組成物を提供することができる。
以下、本発明のその他の特徴及び利点について説明する。
(金属アルコキシド)
本発明の硬化性組成物における金属アルコキシドは、一般式
[化5]
M(OR)n (1)
で表わされる(式中、Mは、Al,Si,Ti,Y,Zr,Nb,Cd,Ba,Ta及びCeからなる群より選ばれる少なくとも一種であり、Rは一般式(2)〜(4)式より選ばれる少なくとも一種の基であり、Rはビニル基又は水酸基を有していてもよいアルキル基であって、nは2〜5の整数、
Figure 2012184318
Figure 2012184318
Figure 2012184318
)。
一般式(2)で表わされる基を有する金属アルコキシドは、以下に例示する第3級アルコールと金属塩化物とを縮合反応して得ることができる。
上記第3級アルコールとしては、t−ブチルアルコール、t−アミルアルコール、3−メチル−3−ペンタノール、2−メチル−3−ブテン−2−オールなどを挙げることができ、特にt−ブチルアルコール及び2−メチル−3−ブテン−2−オールが好ましい。これらの第3級アルコールを金属塩化物と縮合反応させることにより、特に分子の嵩高さの大きい一般式(2)で示される基を含む金属アルコキシドを得ることができる。
したがって、金属アルコキシドにおける金属が当該金属アルコキシドから離脱しやすくなり、最終的に得る樹脂硬化物中において、金属が分子レベルの大きさで分散するようになるので、金属を多量に含む場合においても当該樹脂硬化物の透明性を高く保持することができる。
一般式(3)及び(4)で表わされる基を有する金属アルコキシドは、以下に例示する第4級炭素を有するアルコールあるいは第4級炭素を有するエーテル化合物と金属塩化物とを縮合反応して得ることができる。
上記第4級炭素を有するアルコールとしては、2,2−ジメチル−1−プロパノール、2,2−ジメチル−1−ブタノール、2−エチル−2−メチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノールを挙げることができる。第4級炭素を有するエーテル化合物としては、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテルなどが挙げられる。特に、金属との結合が分子の嵩高さにより脱離し易く、また反応性を持ったトリメチロールプロパンモノアリルエーテルが好ましい。
したがって、金属アルコキシドにおける金属が当該金属アルコキシドから離脱しやすくなり、最終的に得る樹脂硬化物中において、金属が分子レベルの大きさで分散するようになるので、金属を多量に含む場合においても当該樹脂硬化物の透明性を高く保持することができる。
なお、上述した第3級アルコール、並びに第4級炭素を有するアルコール及び第4級炭素を有するエーテル化合物に対して、他のアルコールを混合させることもできる。混合させるアルコールの種類としては、脂肪族のアルコール類が好ましく、金属アルコキシドとして一般的な炭素数2〜4のメトキシド、エトキシド、ブトキシド、プロポキシド、イソプロポキシドなどのアルコキシド基が得られるメタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノール等が好ましい。特に、容易に縮合脱揮する低分子量のメタノール、エタノールや比較的嵩高いイソプロパノールが好ましい。
本発明に用いられる上記第3級アルコール等に対して混合する脂肪族アルコール類は、質量比(第3級アルコール等/脂肪族アルコール類)で1/1〜5/1の範囲にあることが好ましく、さらには3/1〜4.5/1の範囲にあることが好ましい。
上記質量比が1/1未満であると、第3級アルコール等の割合が減少し、第3級アルコール等、すなわち一般式(1)で表される金属アルコキシド中の、一般式(2)等で表される基に起因した分子の嵩高さによる、金属アルコキシドからの金属離脱の効果が減少してしまい、最終的に得る樹脂硬化物中に分子レベルの大きさで分散する金属の量が不十分となる場合がある。また、その他のアルコールを脱揮及び濃縮するのに時間を要し、かつアルコキシドの残渣が生じ易く発泡などの問題が生じる。
また、上記質量比が5/1を越えると、第3級アルコール等の脱離速度が速くゲルを生じ易く、ゲルが一端生成するとアルコキシドの脱揮が妨げられたり、溶液全体にゲルの濁りが生じたり、さらには発泡が生じ易くなるため加工が困難になるなどの問題が生じる。
なお、上述した金属塩化物は、一般式(1)で表わされる金属アルコキシド中の金属Mを含んだ金属塩化物であることが必要である。上述した金属Mの種類によって、2価から5価の金属塩化物を構成する。
また、本発明における硬化性組成物中の金属アルコキシド化合物の配合量は、硬化性組成物の全質量に対して、金属アルコキシドを700℃で1時間燃焼させ有機物を除去した後に得られる無機化合物の量として1.0〜75質量%であることが好ましい。75質量%を超えると硬化時の加熱によってアルコキシド単体もしくはアルコキシド縮合物などの揮発成分による発泡やアルコキシドの縮合物の相分離によって白濁が生じ、また硬化物の強度低下の原因となるため好ましくない。また、1.0質量%未満では金属アルコキシドの量が不十分となり、最終的に得る樹脂硬化物中における金属量が不十分となる場合がある。
さらに、金属アルコキシドを構成する金属Mは、上述のように、それぞれの用途に応じた金属種が用いられ、Al、Si、Ti、Y、Zr、Nb、Cd、Ba、Ta又はCeを挙げることができる。
特に、透明光学樹脂に適用する場合は、金属酸化物としたときのバンドギャップエネルギーが3.0eV以上の金属酸化物が好ましく、さらには可視光で最もエネルギーが高い波長380nmにおけるエネルギー3.26eV以上のバンドギャップエネルギーを有する金属酸化物を選定することが好ましい。特に、Zrは酸化物を形成したときにバンドギャップエネルギーが5.0eVであり光学樹脂用の金属種としては好ましい。
(重合性単量体)
本発明の金属アルコキシドと混合させる重合性単量体は、電荷移動による着色を防止すべく、カチオン重合活性が低く、かつ高分子を形成するものであれば特に制限は無く、ビニルモノマー、エステル基又はエーテル基含有重合性単量体、グリシジル基を有するエポキシモノマー等があげられる。
ビニルモノマーとしては芳香族ビニル系化合物、多官能芳香族ビニル化合物またはその共重合体組成物、エステル基又はエーテル基含有重合性単量体は、単官能または多官能のアクリロイル化合物またはメタアクリロイル化合物、もしくは単官能または多官能のビニルエーテル化合物等があげられる。光学樹脂用途としては分子中にカルボニル基などの官能基や電荷移動が生じ難い脂肪族系ビニルモノマー若しくはスルフィド系ビニルモノマーが着色の観点から好ましく、単官能または多官能の脂肪族系ビニルモノマーまたはスルフィド系ビニルモノマーの1種以上からなることが特に好ましい。
単官能または多官能肪族系ビニルモノマーとしては脂肪族系ビニルモノマー、水酸基含有脂肪族ビニルモノマー、アリルエーテル基含有化合物、ビニルエーテル化合物、脂環式ビニルモノマー等が挙げられ、具体的例としては、1−オクテン、β−メタクリルアルコール、1−ブテン−3−オール、アリルアルコール、アリルグリシジルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ビニルシクロヘキサン、アリルシクロヘキサンシクロオクテン、シクロドデセン等が挙げられる。特には、アルコキシドを脱揮濃縮する際の製造条件で揮発し難い炭素数が15以上のモノマーが好ましい。
単官能または多官能スルフィド系ビニルモノマーの具体的例としては、アリルスルフィド、アリルプロピルスルフィド、アリルメチルジスルフィド、1,1−ビス(メチルチオ)エチレン、ジアリルジスルフィド、アリルプロピルジスルフィド、3−メチル−2−ブテン−1−チオール、等が挙げられる。アルコキシドを脱揮濃縮する際の製造条件で揮発しないモノマーが好ましく、ジアリルジスルフィド、フェノキシエチルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアリルエーテルが特に好ましい。
また、最終的に得る樹脂硬化物中の金属の屈折率に近くなるような、屈折率が高い芳香環を有するモノマーを使用することも好ましいが、電荷移動し易いビニル系の芳香族モノマーを用いた場合は着色し易いことから、電荷移動し難い分子構造を有する反応性モノマーが好ましく、具体的にはフェノキシ基やビスフェノール骨格を有するモノマーが好ましい。具体例としては、単官能及び多官能の(メタ)アクリロイル化合物が挙げられるが、これ以外に電化移動し難い骨格を有する芳香族系の反応性モノマーであればこの限りではない。
単官能(メタ)アクリロイル化合物の具体的例としては、フェノキシエチルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリロイル化合物の具体的例としては、ビスフェノールA−ジアクリレート、2,2−ビス(4−(2−アクリロキシエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(アクリロキシ−ジ−(エチレンオキシ)フェニル))プロパン、2,2−ビス(4−(アクリロキシ−ポリ−(エチレンオキシ)フェニル))プロパン;フェノール樹脂初期縮合体の多価アクリレート;ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ノボラック系エポキシ樹脂等とアクリル酸とを反応させて得られるエポキシアクリレート類;上述したアクリレートがメタクリレート類になったもの等が挙げられる。
また、上記ビニルモノマーにはラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。ラジカル重合開始剤の代表的な例を挙げると、過酸化物があるがこれらに限定されない。また過酸化物ではないが、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンもラジカル開始剤として使用できる。しかしながら、本発明の硬化性組成物の硬化に用いられる開始剤はこれらの例に限定されない。
また、透明光学樹脂用の開始剤としては上記のラジカル開始剤も適用できるが、カチオン重合性が高いビニルエーテル化合物やエポキシモノマーを添加し硬化させることもできる。特に、バルクな製品に対しては、ラジカル開始剤は着色し易いため、カチオン重合性の高いビニルエーテルやエポキシモノマーを使用することが好ましい。
グリシジル基を有するエポキシモノマーとしては、カチオン重合性が低いものであれば公知のエポキシモノマー使用できるが、光学樹脂用途としては屈折率が高く、電荷移動し難い分子構造を有するモノマー、具体的にはビスフェノール類から誘導されるエポキシモノマーが好ましく、これらエポキシモノマーを1種または2種類以上を混合して用いることができる。
ビスフェノール類から誘導されるエポキシモノマーの具体的例としてはビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ビフェノール等から誘導されるエポキシ樹脂、およびその芳香族環を核水素化したものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
通常、エポキシモノマーは硬化剤とともに使用される。エポキシモノマーと反応させる硬化剤としては、公知のものであれば種々の化合物を適用できる。例えば、有機アミン化合物、ジシアンジアミド及びその誘導体、イミダゾール及びその誘導体、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ビフェノールなどの2価フェノール化合物、ノボラック樹脂あるいはアラルキルフェノール樹脂、酸無水物化合物、ヒドラジド化合物等を適用することができ、必要に応じて2種類以上を用いてもよい。特に、本発明の効果を得るための好ましい硬化剤は酸無水物硬化物であり、更に好ましくは無水ヘキサヒドロフタル酸、メチル化無水ヘキサヒドロフタル酸、水素化無水ナジック酸が挙げられる。
さらに、エポキシモノマーと硬化剤の反応には硬化促進剤を併用することもできる。エポキシモノマーと硬化剤に添加する硬化促進剤としては、公知のものであれば種々の化合物を適用できる。
その他、金属塩化物と反応可能な水酸基を有するモノマーを使用することもでき、このような水酸基含有モノマー化合物としては、カチオン重合性の低いモノマーであれば適用可能であるが、光学用樹脂としては電荷移動の少なく着色し難い単官能または多官能の1価もしくは2価の水酸基を有する脂肪族系化合物が1種以上の混合物からなるものが好ましい。
さらに、本発明の硬化性組成物には、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤、着色剤、可塑剤、離型剤、帯電防止剤、耐候助剤、内部潤滑剤、外部潤滑剤、帯電防止剤、難燃剤、光安定剤、蛍光増白剤等の添加剤を1種又は2種以上含有してもよい。
本発明の硬化性組成物を硬化することにより硬化体が得られる。硬化の方法は任意であり、熱、光、電子線等による方法を採用することができる。例えばビニル系モノマーに無機化合物を含有させた組成物において、加熱により硬化を行う場合の温度は、開始剤有無種類によっても異なるが、80〜300℃、より好ましくは120〜250℃の範囲で選ばれる。また時間は、1分〜10時間程度、より好ましくは1分〜5時間である。
また、本発明のエポキシモノマーに無機化合物を含有させた組成物において、加熱により硬化を行う場合その温度は、80〜200℃、より好ましくは130〜170℃の範囲で選ばれる。また時間は、1分〜10時間程度、より好ましくは1分〜5時間である。
本発明の樹脂組成物の加工方法に特に制限はなく、圧縮成形、射出成形、押出し成形等により所定形状に成形することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
特性評価は、以下の方法により行なった。
(1)全光線透過率、ヘイズの測定
JIS K7105のB法に準拠して行なった。但し、試験片は40mm×40mm×厚み2mmを適用した。
(2)硬化物の屈折率、アッベ数の測定
アタゴ製DR−M4 多波長アッベ屈折率計を用いて、D線(589nm)及びアッベ数の測定を行った。試験片は10mm×30mm×厚み2mmを適用した。
(3)硬化物の線膨張係数
セイコー電子工業(株)製熱応力歪測定装置TMA/SS120Uを用いて30℃から270℃の範囲で測定し、40℃と60℃の2点で結ばれた直線の傾きから線膨張率を算出した。昇温速度は5℃/分とした。
(4)硬化物のTgの測定
セイコーインスツルメント製DMS6100を用いて、Tg及び動的粘弾性の測定を行った。試験片は10mm×40mm×厚み2mmを適用した。
(5)硬化物の曲げ試験
JIS−7171に準拠し、80mm×10mm×4mmの試験片を用いて、オートグラフ(島津製作所(株)製)により曲げ弾性率、曲げ強度、曲げたわみを測定した。破断せずに支点間から外れた試験片については、「破断せず」と表記した。
(6)硬化物の鉛筆硬度
JIS K 7112に従い、30mm×10mm×2mmの試験片を用いて、電子比重計(アルファーミラージュ(株)製MD−300S)を用いて測定を行った。
(7)硬化物の曲げ試験
JIS−7171に準拠し、80mm×10mm×4mmの試験片を用いて、オートグラフ(島津製作所(株)製)により曲げ弾性率、曲げ強度、曲げたわみを測定した。破断せずに支点間から外れた試験片については、「破断せず」と表記した。
(8)無機化合物の充填量:無機化合物の含有割合は、有機−無機化合物複合体を700℃で燃焼させた後に残る灰分よって求めた。
使用した原料を次に示す。
四塩化ジルコニウム:和光純薬工業株式会社製
2−メチル−3−ブテン−2−オール:東京化成株式会社製
トリメチロールプロパンモノアリルエーテル:ACROS社製
フェノキシエチルアクリレート:共栄社化学株式会社製ライトエステルPO
ジアリルジスルフィド:東京化成株式会社製
ジビニルベンゼン共重合体:新日鐵化学株式会社
パーブチルC:日本油脂株式会社
(合成例1)
(ジルコニウムアルコキシドの調整−1)
トルエン50mlを500mlセパラブルフラスコに投入し、エタノール6g及びt−ブチルアルコール30gを秤量し投入後、氷冷下塩化ジルコニウム25gを投入し、溶解後、溶媒エタノールを150ml添加し、アンモニアガスを160分間バブリングして中和を行った。中和後、析出した塩化アンモニウムをろ過し、ジルコニウムアルコキシド溶液(A液)245gを得た。
(合成例2)
(ジルコニウムアルコキシドの調整−2)
投入するエタノールを10gとした以外は合成例2と同様にして、ジルコニウムアルコキシド溶液(B液)249gを得た。
(合成例3)
(ジルコニウムアルコキシドの調整−3)
投入するエタノールを20g、t−ブチルアルコールを20gとした以外は合成例2と同様にして、ジルコニウムアルコキシド溶液(C液)を249g得た。
(合成例4)
(ジルコニウムアルコキシドの調整−4)
投入するエタノールを30g、t−ブチルアルコールを0gとした以外は合成例2と同様にして、ジルコニウムアルコキシド溶液(D液)を239g得た。
(合成例5)
(ジルコニウムアルコキシドの調整−5)
トルエン50mlを500mlセパラブルフラスコに投入し、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル10g秤量し投入後、氷冷下塩化ジルコニウム25gを投入し、次いで2−メチル−3−ブテン−2−オール20gを滴下させて塩化ジルコニウムが完全に溶解させた。次いで、溶媒エタノールを150ml添加し、アンモニアガスを160分間バブリングして中和を行った。中和後、析出した塩化アンモニウムをろ過し、ジルコニウムアルコキシド溶液(E液)を239g得た。
(合成例6)
(ジルコニウムアルコキシドの調整−5)
トルエン50mlを500mlセパラブルフラスコに投入し、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル30g秤量し投入後、氷冷下塩化ジルコニウム25gを投入し塩化ジルコニウムが完全に溶解させた。次いで、溶媒エタノールを150ml添加し、アンモニアガスを160分間バブリングして中和を行った。中和後、析出した塩化アンモニウムをろ過し、ジルコニウムアルコキシド溶液(F液)を239g得た。
(合成例7)
(ジビニルベンゼン共重合体の調整)
ジビニルベンゼン278.6ml(1.96モル)、エチルビニルベンゼン282.8ml(1.15モル)、スチレン116.6(0.97モル)、フェノキシエチルメタクリレート427.3ml(2.25モル)、トルエン1200mlを30Lの反応器内に投入し、50℃で37.7ml(0.3モル)の三フッ化ホウ素のジエチルエーテル錯体、重合調節剤として酢酸ブチル50ml添加、6.5時間反応させた。蒸留水1000mlに炭酸水素ナトリウム50.4g(0.6モル)を溶解させた水溶液で停止させた後、室温で反応混合液を大量のn−へキサンに投入し、共重合体を析出させた。得られた共重合体をn−へキサンで洗浄し、濾別、乾燥、秤量して、464.6gのジビニルベンゼン共重合体を得た。
(実施例1)
ジアリルジスルフィド5.0gとフェノキシエチルアクリレート3.0gとの混合物に、ジルコニウムアルコキシド溶液(A液)を混合し、60℃×10hPaにてA液に含まれる溶媒及びアルコキシドを脱揮し、組成物重量21.0gの白色粉末を得た。フェノキシエチルアクリレート10gにこの白色粉末5.0gと開始剤として過酸化物パーブチルCを0.05g添加し、150℃に加熱し硬化させることによって、僅かに黄色と僅かに濁りがあるほぼ透明な硬化物を得た。屈折率ndは1.553であった。また、硬化物を700℃にて燃焼させた後の灰分は15.9重量%であった。
(実施例2)
ジアリルジスルフィド5.0gとフェノキシエチルアクリレート3.0gとの混合物に、ジルコニウムアルコキシド溶液(B液)を混合し、60℃×10hPaにてB液に含まれる溶媒及びアルコキシドを脱揮した。脱揮後の組成物重量は21.1gの白色粉末であった。この白色粉末10gをフェノキシエチルアクリレート10gに溶解させ、開始剤として過酸化物パーブチルCを0.05g添加し150℃に加熱し硬化させることによって、僅かに黄色を帯びた透明な硬化物を得た。この硬化物の屈折率ndは1.573であった。また、白色粉末及び硬化物を700℃にて燃焼させた後の灰分はそれぞれ、62.3重量%と31.5重量%であった。
(実施例3)
ジビニルベンゼン共重合体3gをフェノキシエチルアクリレート7gに溶解させたモノマー溶液に実施例1の白色粉末5gと開始剤として過酸化物パーブチルCを0.05g添加し、150℃に加熱し硬化させることによって、僅かにオレンジ色を帯びた透明な硬化物を得た。屈折率ndは1.573であった。また、硬化物を700℃にて燃焼させた後の灰分は15.8重量%であった。
(実施例4)
ジアリルジスルフィド5.0gとフェノキシエチルアクリレート3.0gの混合物に、ジルコニウムアルコキシド溶液(C液)を混合し、60℃×10hPaにてC液に含まれる溶媒及びアルコキシドを脱揮し、組成物重量21.9gの白色粉末を得た。フェノキシエチルアクリレート10gにこの白色粉末5.0gと開始剤として過酸化物パーブチルCを0.05g添加し、150℃に加熱し硬化させることによって、僅かに黄色を帯びた透明な硬化物を得た。また、硬化物の一部にアルコキシドの残渣が原因と推定される発泡が観察された。屈折率ndは1.543であった。また、硬化物を700℃にて燃焼させた後の灰分は15.1重量%であった。
(実施例5)
ジアリルジスルフィド3.0gとフェノキシエチルアクリレート2.0gとの混合物に、ジルコニウムアルコキシド溶液(B液)を混合し、60℃×10hPaにてB液に含まれる溶媒及びアルコキシドを脱揮し、組成物重量18.2gの白色粉末を得た。本粉末を700℃で1時間、有機分を燃焼し除去した後の灰分は全重量の73.2重量部であった。この白色粉末3.0gをフェノキシエチルアクリレート10gに溶解させ、開始剤として過酸化物パーブチルCを0.05g添加し、150℃に加熱し硬化させることによって、僅かに黄色を帯びた透明な硬化物を得た。また、硬化物の一部にアルコキシドの残渣が原因と推定される発泡が観察された。屈折率ndは1.560であった。また、硬化物を700℃にて燃焼させた後の灰分は17.0重量%であった。
(実施例6)
ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(EpA:エポキシ当量187g/eq.)30gにジルコニウムアルコキシド溶液(B液)の25gを混合し、60℃×10hPaにてB液に含まれる溶媒及びアルコキシドを脱揮し、組成物重量31.5gの無色透明な高粘度液体を得た。この溶液に硬化剤としてメチル化ヘキサヒドロ無水フタル酸(MH:酸無水物当量168g/eq.)を用いて、エポキシ当量と酸無水物当量の比=1:1となるように27.0g加え、よく混合し、さらに硬化促進剤としてテトラ−n−ブチルホスホニウムo,o’−ジエチルホスホロジチオネートを全体の0.36gを投入し、140℃で12時間硬化し硬化物を得た。屈折率ndは1.554であった。また、成形体を700℃にて燃焼させた後の灰分は2.3重量%であった。
(実施例7)
ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂(EpF:エポキシ当量170g/eq.)30gにジルコニウムアルコキシド溶液(B液)の25gを混合し、60℃×10hPaにてB液に含まれる溶媒及びアルコキシドを脱揮し、組成物重量31.2gの無色透明な高粘度液体を得た。この溶液に硬化剤としてメチル化ヘキサヒドロ無水フタル酸(MH:酸無水物当量168g/eq.)を用いて、エポキシ当量と酸無水物当量の比=1:1となるように29.6g加え、よく混合し、さらに硬化促進剤としてテトラ−n−ブチルホスホニウムo,o’−ジエチルホスホロジチオネートを全体の0.36gを投入し、金型内で真空脱気して常圧に戻した後、140℃で12時間硬化し、厚さ2mmの無色透明な板を作製した。その評価結果を表1に示す。また、成形体を700℃にて燃焼させた後の灰分は2.1重量%であった。
(実施例8)
ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂(EpF:エポキシ当量170g/eq.)30gにジルコニウムアルコキシド溶液(B液)の75gを混合し、60℃×10hPaにてB液に含まれる溶媒及びアルコキシドを脱揮し、組成物重量34.3gの無色透明な高粘度液体を得た。この溶液に硬化剤としてメチル化ヘキサヒドロ無水フタル酸(MH:酸無水物当量168g/eq.)を用いて、エポキシ当量と酸無水物当量の比=1:1となるように29.6g加え、よく混合し、さらに硬化促進剤としてテトラ−n−ブチルホスホニウムo,o’−ジエチルホスホロジチオネートを全体の0.12gを投入し、金型内で真空脱気して常圧に戻した後、140℃で12時間硬化し、厚さ2mmの無色透明な板を作製した。その評価結果を表1に示す。また、成形体を700℃にて燃焼させた後の灰分は7.2重量%であった。
(実施例9)
ジルコニウムアルコキシド溶液(E液)を、硬化剤としてフェノキシエチルアクリレート7gにジビニルベンゼン3gを溶解させた溶液に混合させ、60℃×10hPaにてE液に含まれる溶媒及びアルコキシドを脱揮し、組成物重量53.8gの黄色を帯びた透明な高粘度液体を得た。この液体に開始剤として過酸化物パーブチルCを0.05g添加し、150℃に加熱し硬化させることによって、僅かに黄色を帯びた透明な硬化物を得た。屈折率ndは1.490であった。また、硬化物を700℃にて燃焼させた後の灰分は24.8重量%であった。
(実施例10)
ジルコニウムアルコキシド溶液(F液)を、硬化剤としてフェノキシエチルアクリレート7gにジビニルベンゼン3gを溶解させた溶液に混合させ、60℃×10hPaにてF液に含まれる溶媒及びアルコキシドを脱揮し、組成物重量35.3gの柿色を帯びた透明な高粘度液体を得た。この液体に開始剤として過酸化物パーブチルCを0.05g添加し、150℃に加熱して硬化させることによって、僅かに柿色を帯びた透明な硬化物を得た。屈折率ndは1.594であった。また、硬化物を700℃にて燃焼させた後の灰分は41.4重量%であった。
(比較例1)
ジアリルジスルフィド5.0gとフェノキシエチルアクリレート13.0gとの混合物に、開始剤として過酸化物パーブチルCを0.05g添加し150℃に加熱し硬化させることによって、無色透明な硬化物を得た。屈折率ndは1.528であった。
(比較例2)
ジビニルベンゼン共重合体3gをフェノキシエチルアクリレート7gに溶解させたモノマー溶液に開始剤として過酸化物パーブチルCを0.05g添加し、150℃に加熱し硬化させることによって、無色透明な硬化物を得た。屈折率ndは1.524であった。
(比較例3)
ジアリルジスルフィド3.0gとフェノキシエチルアクリレート12.0gの混合物に、開始剤として過酸化物パーブチルCを0.05g添加し、150℃に加熱し硬化させることによって、無色透明な硬化物を得た。屈折率ndは1.525であった。
(比較例4)
ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(EpA:エポキシ当量187g/eq.)30gに硬化剤としてメチル化ヘキサヒドロ無水フタル酸(MH:酸無水物当量168g/eq.)27gを混合し、さらに硬化促進剤としてテトラ−n−ブチルホスホニウムo,o’−ジエチルホスホロジチオネートを全体の0.12gを投入し、140℃で12時間硬化し硬化物を得た。屈折率ndは1.541であった。
(比較例5)
ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂(EpF:エポキシ当量170g/eq.)30gに硬化剤としてメチル化ヘキサヒドロ無水フタル酸(MH:酸無水物当量168g/eq.)29.6gを混合し、さらに硬化促進剤としてテトラ−n−ブチルホスホニウムo,o’−ジエチルホスホロジチオネートを全体の0.4gを投入し、金型内で真空脱気して常圧に戻した後、140℃で12時間硬化し、厚さ2mmの無色透明な板を作製した。評価結果を表1に示す。
(比較例6)
トリメチロールプロパンモノアリルエーテル10gにフェノキシエチルアクリレート7gにジビニルベンゼン共重合体3gを溶解したものを混合し、150℃に加熱し硬化させることによって、無色透明な硬化物を得た。屈折率ndは1.493であった。
(比較例7)
トリメチロールプロパンモノアリルエーテル30gにフェノキシエチルアクリレート7gにジビニルベンゼン共重合体3gを溶解したものを混合し、150℃に加熱し硬化させることによって、無色透明な硬化物を得た。屈折率ndは1.457であった。
(比較例8)
ジアリルジスルフィド5.0gとフェノキシエチルアクリレート3.0gとの混合物に、ジルコニウムアルコキシド溶液(D液)を混合し、60℃×10hPaにてD液に含まれる溶媒及びアルコキシドの脱揮を発泡が生じなくなるまで行ったところ、65.3gの透明な高粘度溶液が得られた。この高粘度溶液に、開始剤として過酸化物パーブチルCを0.05g添加し150℃に加熱し硬化を試みたが硬化しなかった。
Figure 2012184318
表1の結果より、本発明にしたがって得た実施例7及び8に係る樹脂硬化物は、ジルコニウムアルコキシドに由来するジルコニウムが樹脂硬化物中に混在しているにも拘らず、このようなジルコニウムが混在していない樹脂硬化物中に混在しない場合と比較して、全光線透過率、ヘイズ値及びアッベ数が大きく増大していないことが分かる。これら樹脂硬化物を構成する樹脂成分はいずれもエポキシ樹脂であって同一であることから、上述した光特性が大きく劣化していないのは、本発明に樹脂硬化物中においてジルコニウムアルコキシドに由来するジルコニウムが分子レベルの大きさで均一に分散しているためと考えられる。
但し、実施例8においては、混合したジルコニウムアルコキシドの量が多いので、上述した光学特性の劣化が多少大きくなっていることが分かる。
また、本発明にしたがって得た実施例7及び8に関する樹脂硬化物においては、線膨張係数から鉛筆硬度に関する機械強度においてはほとんど劣化がないことがわかる。
以上、本発明を上記具体例に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記具体例に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。

Claims (11)

  1. 重合性単量体と、一般式
    [化1]
    M(OR)n (1)
    で表わされる金属アルコキシドとを含むことを特徴とする、硬化性組成物
    (式中、Mは、Al,Si,Ti,Y,Zr,Nb,Cd,Ba,Ta及びCeからなる群より選ばれる少なくとも一種であり、Rは一般式(2)〜(4)式からなる群より選ばれる少なくとも一種の基であり、Rはビニル基又は水酸基で置換されていてもよいアルキル基であって、nは2〜5の整数、
    Figure 2012184318
    Figure 2012184318
    Figure 2012184318
    )。
  2. 前記金属アルコキシド化合物の含有量が、前記硬化性組成物の全質量に対して、前記金属アルコキシドを700℃で1時間燃焼させ有機物を除去した後に得られる無機化合物の量として1.0〜75質量%であることを特徴とする、請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 一般式(2)で表わされる基を含む一般式(1)で表される金属アルコキシドは、t−ブチルアルコール又は2−メチル−3−ブテン−2−オールと金属塩化物とを縮合反応させて得ることを特徴とする、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
  4. 一般式(4)で表わされる基を含む一般式(1)で表される金属アルコキシドは、トリメチロールプロパンモノアリルエーテルと金属塩化物とを縮合反応させて得ることを特徴とする、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
  5. 一般式(1)で表される金属アルコキシドを縮合反応によって生成する際に、炭素数2〜4の脂肪族アルコールを混合することを特徴とする、請求項3又は4に記載の硬化性組成物。
  6. t−ブチルアルコール又は2−メチル−3−ブテン−2−オールと脂肪族アルコールとの質量比(t−ブチルアルコール又は2−メチル−3−ブテン−2−オール/脂肪族アルコール)、又はトリメチロールプロパンモノアリルエーテルと脂肪族アルコールとの質量比(トリメチロールプロパンモノアリルエーテル/脂肪族アルコール)が、1/1〜5/1であることを特徴とする、請求項5に記載の硬化性組成物。
  7. 前記Mで表わされる金属がジルコニウムであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一に記載の硬化性樹脂組成物。
  8. 前記重合性単量体は、エポキシ樹脂系単量体であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一に記載の硬化性組成物。
  9. 前記重合性単量体は、スルフィド系ビニルモノマーであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の硬化性組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか一に記載の硬化性組成物を硬化させてなることを特徴とする、樹脂硬化物。
  11. 請求項10に記載の樹脂硬化物からなることを特徴とする、光学部材。
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