JP5555167B2 - シリコーン樹脂組成物、酸化金属粒子及びその製造方法 - Google Patents
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Description
これらの特性に加えて、絶縁特性に優れるため、半導体・電子分野においても重要な材料となっている。
また耐久性(耐紫外線性及び耐熱性)、得られる膜の可撓性や加工性等に優れるシリコーン樹脂を用いる場合は、シリコーン樹脂における透過性、透明性等の光学特性を優れたものとすることが特に要求されることになる。
なお、シロキサン化合物に関し、基材をシロキサン化合物等で処理することにより、基材表面に撥水処理を行うとともに、基材の熱膨張係数の変化を防止する光通信デバイス用基材が開示されている(例えば、特許文献10参照)。また、コンクリート表面用の撥水性コーテイング中の活性剤として使用したり、無機充填剤用の疎水剤として使用するシロキサン化合物が開示されている(例えば、特許文献11参照)。更に、新規な有機ケイ素化合物の製造方法について開示されている(例えば、特許文献12参照)。更に、粒子を修飾することにより樹脂に対する分散性を高めることが開示されている(例えば、特許文献13参照)。
上述したシロキサン化合物の処理に関する文献(特許文献10〜13)に記載の技術は、そもそも本発明とは技術分野が違う等によって課題が異なるものである。
すなわち、従来技術における課題としては、シリコーン樹脂の透明性を損なわない程度に、シリコーン樹脂に酸化金属粒子を分散させることが望まれていた。言い換えれば、酸化金属粒子がナノレベルで分散した透明なシリコーン樹脂組成物を得ることが望まれていた。
上記シリコーン樹脂組成物は、透明性、高屈折率であることに加え、耐紫外線性、耐熱性に優れるために、光学材料、特に光半導体封止剤として有用なものである。
なお、本発明は、第1の本発明、第2の本発明、第3の本発明によって構成され、それぞれ独立に実施することができるが、第1の本発明が、第2の本発明、第3の本発明を上位概念化したり最適化したりしたものであり、第2の本発明、第3の本発明に係る基礎出願における開示内容と重複するものである。
なお、酸化金属粒子を分散させるシリコーン樹脂が1)ジメチルシリコーン樹脂(単に「ジメチルシリコーン」とも言う)であるか、2)フェニルメチルシリコーン樹脂(単に「フェニルメチルシリコーン」とも言う)であるかによって分散剤の好ましい形態が異なることも見出した。酸化金属粒子の1)ジメチルシリコーンへの分散においては、分散性と凝集・ゲル化防止ということが必要要素となる。一方で、酸化金属粒子の2)フェニルメチルシリコーンへの分散においては、分散性が必要要素となり、凝集・ゲル化防止という要素は必須とはならない。これら1)及び2)の好ましい形態については、後に詳しく述べる。
本発明におけるシリコーン樹脂組成物は、上述した特性が要求される光学用途、特に、白色LED封止材等の光学封止材用途、電気泳動表示装置におけるマイクロカプセル内包液用途等に好適に適用し得るものである。
本発明には、下記のような(1)〜(6)の形態のものがある。
(1)本発明における酸化金属粒子を含有するシリコーン樹脂組成物。
(2)本発明におけるシリコーン樹脂組成物を光学材料用に用いる光学材料用樹脂組成物。
(3)本発明における光学材料用樹脂組成物を光半導体封止材用に用いる光半導体封止材用樹脂組成物。
(4)本発明における光学材料用樹脂組成物を硬化させて得られる光学材料。
(5)本発明における光半導体封止材用樹脂組成物を硬化させて得られる光半導体封止材。
(6)本発明における酸化金属粒子を得るために用いるシランカップリング剤。
上記樹脂組成物において、マトリックス成分であるオルガノシロキサン組成物を構成する分子のケイ素原子と酸素原子とにより構成される−(Si−O)−のユニット数と、上記金属酸化物ナノ粒子の平均粒子径と、上記金属酸化物ナノ粒子の表面処理に用いたケイ素原子を含む化合物の−(Si−O)−ユニット数とを、一定の範囲内に揃えると、ナノ粒子を含む樹脂組成物中の該表面処理を施したナノ粒子の分散性及び相溶性といった物性が更に向上することを見出した。
上記知見に基づき、高含有量の金属酸化物ナノ粒子含有樹脂組成物であって、高分散性、高相溶性と高屈折率とを満足する硬化物が得られることを見出し、本発明の完成に至った。
(1)下記平均組成式1で表されるオルガノシロキサン組成物;
R1 aR2 bSiOc (式1)
(式1中、R1は、直鎖又は分岐を有し、該分岐は環状であっても良いアルキル基、アリール基及びアラルキル基から選ばれる少なくとも一種であり、R2は、環状エーテル基、ビニル基、アルコキシ基、水酸基、酸無水物基から選ばれる少なくとも一種を有する基、又は、水素原子であり、Siはケイ素原子を表し、OはR2に含まれない酸素原子を表す。また、a、b及びcは、該オルガノシロキサン化合物中の1ケイ素原子あたりの夫々の基又は原子の結合数を表し、aは0以上3未満、bは0を越えて3未満であり、cは0を超えて2未満であり、かつa+b+2c=4を満たす正の数値。)からなる第1成分と、
平均粒子径が2〜50nmである金属酸化物ナノ粒子からなる第2成分とを少なくとも含む、発光デバイスの発光素子を覆うために用いられる硬化用樹脂組成物であって、該第2成分を構成するナノ粒子の粒子表面が少なくともケイ素原子を含む化合物で表面処理を施すことを特徴とする発光デバイスの発光素子を覆うために用いられる硬化用樹脂組成物。
(4)上記表面処理を施した第2成分が、上記金属酸化物ナノ粒子にビニル基の結合したシリコーン鎖を有する又は重合性官能基を有さないシリコーン鎖のみを有する上記(1)〜(3)記載の硬化用樹脂組成物。
(7)上記(1)記載の第1成分において上記R2として環状エーテル基を2個以上含んでいる化合物と酸無水物基を2個以上有する化合物とを含んでいる上記(1)または(2)記載の硬化用樹脂組成物。
(8)上記(1)〜(7)記載の硬化用樹脂組成物を硬化して得られる硬化物。
(9)上記(8)記載の硬化物を有する発光デバイス。
なお、これら第1の本発明、第2の本発明、第3の本発明は、適宜組み合わせることができる。また各々の本発明における好ましい形態は、当該本発明以外の本発明においても好ましい形態として適用することができる。
本発明のシリコーン樹脂組成物は、酸化金属粒子がシロキサン結合を複数もつシリコーン鎖を有する分散剤で処理されてなり、シリコーン樹脂がシロキサン結合を複数もつシリコーン鎖を有し、該分散剤のシリコーン鎖長が該シリコーン樹脂のシリコーン鎖長以上である。これにより、シリコーン樹脂組成物中における酸化金属粒子の分散性を際立って優れたものとすることができる。
なお、シリコーン樹脂とは、水素原子及び/又は有機基をもつケイ素と酸素が交互に結合してできた主鎖よりなる重合体(ポリマー)であり、シロキサン結合とは、Si−O結合をいう。
本発明における分散性の向上は、シリコーン鎖の−(Si−O)−ユニット数に起因して起こり、例えば、以下のようにして、シリコーン鎖とマトリックス(シリコーン樹脂)との相互作用が働くことが考えられる。(1)酸化金属粒子の粒子表面は、水酸基の存在等から極性が高いものとなっている。ここでシリコーン鎖がマトリックスとなるシリコーン樹脂のそれ以上長い分散剤で処理するほど酸化金属粒子の極性を疎水性にすることができ、酸化金属粒子全体としてのシリコーン樹脂との親和性を優れたものとすることができる。(2)シリコーン鎖がマトリックスとなるシリコーン樹脂のそれ以上長い分散剤で処理するほど酸化金属粒子のみかけ比重が下がり、また当該シリコーン鎖がシリコーン樹脂中に延びて存在することにより酸化金属粒子が沈降に対する抵抗を受けることになる。
なお、シリコーン鎖としては、環状、デンドリマー構造(分岐構造)もあるため、分子量ではなく、−(Si−O)−ユニット長をシリコーン鎖長とする。
2種以上の分散剤で処理した場合や2種以上のシリコーン樹脂を用いる場合は、複数の分散剤やシリコーン樹脂が有するシリコーン鎖長の平均値を当該鎖長とすることができる。またシリコーン鎖長は、シリコーン鎖中にアルキレン基等のその他の基が存在する場合は、すなわち、−(Si−O)−ユニットとアルキレン基等とによってシリコーン鎖の主鎖が構成される場合は、当該その他の基を除いた−(Si−O)−ユニット部分の長さの和とすることができる。シリコーン鎖が−(Si−O)−ユニットの鎖が複数ある分岐構造を有する場合は、最も長い鎖を主鎖とし、当該主鎖の−(Si−O)−ユニット部分の長さをシリコーン鎖長とすることができる。
上記処理方法としては、後述する第2の本発明における表面処理する方法を適宜用いることができ、酸化金属粒子がシリコーン鎖を有する形態の好ましい形態も、第2の本発明において説明する通りである。また、酸化金属粒子の好ましい形態(粒子径、粒度分布、結晶性、測定方法・製造方法等における好ましい形態)は、後述する第3の本発明におけるナノ粒子の好ましい形態と同様である。
この場合、分散剤のシリコーン鎖長がシリコーン樹脂のシリコーン鎖長以上であり、且つ、分散剤が持つシリコーン鎖が、ケイ素原子数が6個以上から構成されるものに特定されることになる。これによって、分散剤のシリコーン鎖とシリコーン樹脂のシリコーン鎖との相互作用、分散剤によって処理された酸化金属粒子のシリコーン樹脂への相溶性の面でより有利な作用効果を発揮することになり、分散剤が発揮する分散性を優れたものとすることができる。
また上記シリコーン樹脂組成物の好ましい形態としては、シリコーン樹脂がジメチルシリコーン樹脂であり、酸化金属粒子がシロキサン結合を構成するケイ素原子数が2個以上、5個以下のシリコーン鎖(I)を有する処理剤、及び、当該ケイ素原子数が6個以上のシリコーン鎖(II)を有する分散剤で処理されてなる形態が挙げられる。
この場合、シリコーン鎖(II)を有する分散剤の分散性に加えて、シリコーン鎖(I)を有する処理剤によって凝集・ゲル化防止効果が発揮されることになる。
更に、上記シリコーン樹脂組成物の好ましい形態としては、シリコーン樹脂がフェニルメチルシリコーン樹脂であり、酸化金属粒子がフェニルメチルシリコーン構造を有する分散剤で処理されてなる形態が挙げられる。
この場合、フェニルメチルシリコーン構造を持つ分散剤とシリコーン樹脂とを用いることによって分散性が発揮されることになり、凝集・ゲル化は起こらない。
これらの好ましい形態、特にジメチルシリコーンを用いる場合とフェニルメチルシリコーンを用いる場合とについて、下記に詳細に説明する。
図1は、本発明における酸化金属粒子の粒子径、分散剤のシリコーン鎖長、シリコーン樹脂のシリコーン鎖長の関係を模式的・概念的に表したものである。この図において、酸化金属粒子が球状、分散剤やシリコーン樹脂のシリコーン鎖が直鎖のように表され、分散剤が酸化金属粒子に直接結合したように表されているが、そのような形態に限られるものではない。酸化金属粒子の粒子径の測定については、粒子測定に通常用いられる測定機器を用いて算出することができ、平均粒子径として求めることができる。シリコーン鎖の長さの決め方は、上記した通りである。
酸化金属粒子の粒子径をXとし、シリコーン樹脂が有するシリコーン鎖長をAとし、分散剤が有するシリコーン鎖長をBとすると、Xは、2〜50nmであることが好ましい。この粒径範囲の酸化金属粒子を用いることにより、シリコーン鎖長(A)、シリコーン鎖長(B)の下記好ましい範囲と相まって、酸化金属粒子をシリコーン樹脂に分散するという本発明の効果がより顕著に発揮されることになる。
表面修飾シリコーン鎖長(B)≧マトリックスシリコーン鎖長(A)
と表されることになる。
本発明のシリコーン鎖は、−(Si−O)−のユニット長さを表すものであるが、ユニット数としての好ましい範囲を示せば次のようになる。シリコーン樹脂が有するシリコーン鎖のユニット数をAとし、分散剤が有するシリコーン鎖のユニット数をBとする。
上記分散剤が有するシリコーン鎖における−(Si−O)−ユニット数は、3〜15000であることが好ましい。
上記ユニット数の下限値としては、より好ましくは、4である。更に好ましくは、5である。上限値としては、より好ましくは、1500である。更に好ましくは、1200であり、更に好ましくは、1000である。特に好ましくは、800である。
上記ユニット数は、例えば、3〜15000であることが本発明のシリコーン樹脂組成物における好ましい実施形態である。Si−O長は、1.61Åであるので、シリコーン鎖長(B)の好ましい範囲は、鎖長としては0.48〜2415nm(分子量が222〜1110000)となる。
上記ユニット数の下限値としては、より好ましくは、4である。上限値としては、より好ましくは、1499である。更に好ましくは、1000であり、更に好ましくは、700である。特に好ましくは、500である。
シリコーン鎖長(A)の好ましい範囲も、ユニット数が3〜15000であれば、鎖長としては0.48〜2415nm(分子量が222〜1110000)となる。
本発明においては、上記好ましい範囲内とした上で、シリコーン鎖長(B)がシリコーン鎖長(A)以上となるように設定することになる。
上記ユニット数A、ユニット数B、粒径Xの特に好ましい形態は、下記(1)、(2)の式で表すことができる。
0.01<B/X<7500 (1)
1≦B/A<5000 (2)
上記B/Xが0.01(ユニット/nm)以下であると、酸化金属粒子の表面被覆率が充分に上がらないことから、分散性が充分なものとならないおそれがある。7500(ユニット/nm)以上であれば、シリコーン樹脂組成物の粘度が非常に高くなり、作業性に問題が発生する可能性がある。上記B/Aが1未満であっても5000以上であっても、シリコーン鎖長(A)とシリコーン鎖長(B)とのバランスがとれず、本発明の有利な効果を充分に発揮することができなくなるおそれがある。
上記B/Aは、1以上である。上限値としては、400以下が好ましい。より好ましくは、350以下であり、更に好ましくは、300以下である。
これらのうち、上記(A)で表される分散剤構造を有する分散剤がより好ましい。
本発明の分散剤で処理された酸化金属粒子の製造における好ましい形態としては、酸化金属粒子を溶媒中に分散させ、分散剤で処理する工程を行う。処理工程の後に、通常は未反応の分散剤等を酸化金属粒子から分離するために、貧溶媒を加えて粒子を析出(再沈殿)させる。そして、ろ過を行って粉状の生成物を得、当該粉状生成物を再度溶媒又はシリコーン樹脂中に分散させる工程を行う。この再分散工程が、酸化金属粒子の凝集・ゲル化によってできなくなるおそれがあった。上記のような凝集・ゲル化防止に関する好ましい形態を適用すれば、すなわち、凝集・ゲル化防止作用を発揮する化合物によって酸化金属粒子を処理しておけば、処理された酸化金属粒子の製造において不具合が生じることが防止され、製造上有利な効果を得ることができる。
本発明の好ましい形態の一つは、シリコーン樹脂組成物の製造方法としては、酸化金属粒子を溶媒中に分散させ、分散剤で処理する工程、分散剤処理工程の後に、貧溶媒を加えて粒子を析出させる工程、粒子析出工程の後に、ろ過を行って粉状の生成物を得、当該粉状生成物を再度溶媒又はシリコーン樹脂中に分散させる工程を含むものである。粉状生成物を再度溶媒に分散させる場合は、その後にシリコーン樹脂中に分散させることになる。
上記化学式(C)で表される化合物においては、シロキサン構造によって耐熱性が発揮され、−Si(OMe)3の末端構造が酸化金属粒子表面への吸着作用を発揮することになると考えられる。
なお、上記化学式(C)で表される化合物によって処理された酸化金属粒子、その製造方法、及び、該粒子とシリコーン樹脂とを含むシリコーン樹脂組成物については、それら自体で上記凝集・ゲル化防止に関する効果を発揮できるものであり、それら自体のみによって本発明を構成することができる。すなわち、上記化学式(C)で表される化合物によって処理された酸化金属粒子に係る発明もまた、独立した発明となり得るものである。
例えば、上記化学式(D)で表される分散剤であるPVD−1631(商品名、分子量19000、m:n〔ジフェニルシロキサン基とジメチルシロキサン基との比率〕=1:1、両末端ビニル基、Gelest社製)と、トリメトキシシランの反応物を表面処理剤として使用することにより、フェニルメチルシリコーンであるPVD−1625(商品名、分子量9500、ジフェニルシロキサン基とジメチルシロキサン基との比率は、PVD−1631と同様、両末端ビニル基、Gelest社製)へ分散できることを確認している。この際、上記化学式(C)で表される化合物を併用しなくても凝集・ゲル化は起こらないことを確認した。
すなわち、2)フェニルメチルシリコーンへの分散の好ましい形態においては、ジフェニルシロキサン基とジメチルシロキサン基とを必須とするシリコーン鎖を持つシリコーンを分散剤として用いればよく、1)ジメチルシリコーンへの分散に関する好ましい形態において用いられる凝集・ゲル化防止作用を発揮する化合物を併用しなくてもよい。
表面修飾シリコーン鎖長(B)≧マトリックスシリコーン鎖長(A)
となるようにすることが好ましい。
また分散剤におけるシリコーン鎖のフェニル基量(シリコーン鎖中のフェニル基のモル数の合計)を表面修飾シリコーンのフェニル基量とし、シリコーン樹脂におけるシリコーン鎖のフェニル基量(シリコーン鎖中のフェニル基のモル数の合計)をマトリックスシリコーンのフェニル基量とすれば、
0.2×表面修飾シリコーンのフェニル基量≦マトリックスシリコーンのフェニル基量≦5.0×表面修飾シリコーンのフェニル基量
となるようにすることが好ましい。このように、表面修飾シリコーンのフェニル基量とマトリックスシリコーンのフェニル基量とを調整し、大きく異ならないようにすることが、両者の相互作用による分散性向上の見地から好ましい。
フェニルメチルシリコーン構造を有する分散剤におけるジフェニルシロキサン基とジメチルシロキサン基との比率(モル比)については、ジフェニルシロキサン基:ジメチルシロキサン基=1:1となる又はそれと同等と評価し得る比率とすることが好ましいが、上記フェニル基量やシリコーン樹脂として用いるフェニルメチルシリコーンのジフェニルシロキサン基とジメチルシロキサン基との比率等を考慮して適宜設定することができる。
上記1)ジメチルシリコーンへ酸化金属粒子を分散させる場合には、
表面修飾シリコーン鎖長(B)≧マトリックスシリコーン鎖長(A)
となるようにしつつ、酸化金属粒子がシロキサン結合を構成するケイ素原子数が2個以上、5個以下のシリコーン鎖(I)を有する処理剤、及び、当該ケイ素原子数が6個以上のシリコーン鎖(II)を有する分散剤で処理されてなることが好適である。更に、シリコーン鎖(I)においては、シロキサン結合を構成するケイ素原子数が3個以上であることが好ましい。シリコーン鎖長が長いシリコーン鎖(II)がシリコーン樹脂と相互作用して相溶性が発揮され、シリコーン鎖長が短いシリコーン鎖(I)によって凝集・ゲル化防止作用が発揮されることになる。
この場合、シリコーン樹脂組成物にアルキルカルボン酸が含まれることが好ましい形態の1つであると言える。アルキルカルボン酸は、シリコーン鎖を有する分散剤や処理剤によって酸化金属粒子を処理する際に好ましく使用される化合物であり、通常では、シリコーン樹脂組成物に残存するからである。もちろん、アルキルカルボン酸が除去されたシリコーン樹脂組成物も好ましい形態の1つであるが、シリコーン樹脂組成物の使用用途によって支障がなければアルキルカルボン酸が残存していてもよい。アルキルカルボン酸が含有されるか否かの分析は、通常化学分析において用いられる分析機器によって判別することができる。
なお、シロキサン結合を構成するケイ素原子数が2個以上、5個以下のシリコーン鎖(I)を有する処理剤、及び、当該ケイ素原子数が6個以上のシリコーン鎖(II)を有する分散剤の添加量・使用量における好ましい形態は、それぞれ、第2の本発明におけるシリコーン鎖(I)を有するシラン化合物(A)とシリコーン鎖(II)を有するシラン化合物(B)の添加量・使用量における好ましい形態と同様である。またアルキルカルボン酸については、第3の本発明において、「被覆剤」として詳しく説明する。上記好ましい形態は、当該被覆剤をシリコーン樹脂組成物が含む形態である。
表面修飾シリコーン鎖長(B)≧マトリックスシリコーン鎖長(A)
となるようにしつつ、酸化金属粒子がシロキサン結合を構成するケイ素原子数が6個以上のシリコーン鎖(II)を有する分散剤で処理されてなることが好適である。分散剤構造に関しては、フェニルメチルシリコーン構造を有すること、また、下記式を満たすようにすることが好ましい。
0.2×表面修飾シリコーンのフェニル基量≦マトリックスシリコーンのフェニル基量≦5.0×表面修飾シリコーンのフェニル基量
フェニルメチルシリコーンを用いる場合は、ジメチルシリコーンを用いる場合と異なって、凝集・ゲル化は起こらず、シリコーン鎖長が短いシリコーン鎖(I)を有する処理剤を使用する必要はない。
この場合も、上記と同様の理由から、シリコーン樹脂組成物にアルキルカルボン酸が含まれることが好ましい形態の1つであると言える。
上記シリコーン樹脂組成物は、光学材料用樹脂組成物と言うこともできる。本発明のシリコーン樹脂組成物が適用される用途としては、光学材料用樹脂組成物、光学材料用樹脂組成物を硬化させて得られる光学材料、光学材料用樹脂組成物を光半導体封止材用に用いる光半導体封止材用樹脂組成物、光半導体封止材用樹脂組成物を硬化させて得られる光半導体封止材等が挙げられる。これら用途については第2の本発明の説明において詳述する。
これらの用途については、第1の本発明、第2の本発明、第3の本発明のいずれも好適に適用することできる。
当該酸化金属粒子は、上記分散剤を必須として処理されてなるものであり、それ自体がシリコーン樹脂組成物に対する分散性に優れ、屈折率を高めることができるものとして有用である。
本発明はそして、シリコーン鎖を有するシリコーン樹脂に分散する酸化金属粒子を製造する方法であって、上記製造方法は、シロキサン結合を複数もつシリコーン鎖を有する分散剤によって酸化金属粒子を処理する工程を含み、該分散剤のシリコーン鎖長が該シリコーン樹脂のシリコーン鎖長以上である酸化金属粒子の製造方法でもある。
酸化金属粒子の製造方法については、後述する第2の本発明、第3の本発明においても詳述するが、このような製造方法を第1の本発明、第2の本発明、第3の本発明において適用することは、本発明の好ましい実施形態の1つであると言える。
なお、第1の発明における分散剤、処理剤は、第2の発明においては、シランカップリング剤、第3の本発明においては、ケイ素原子を含む化合物と表現されているが、同様の意味であり、いずれのものも第1の本発明、第2の本発明、第3の本発明において適用することができる。
第2の本発明に係る酸化金属粒子は、シロキサン結合を構成するケイ素原子数が2個以上、5個以下のシリコーン鎖(I)、及び、当該ケイ素原子数が6個以上のシリコーン鎖(II)を有する。
これにより、本発明の酸化金属粒子を含有するシリコーン樹脂組成物が、耐紫外線性や耐熱性等の特性を充分なものとするとともに、酸化金属粒子の分散性を優れたものとすることができ、透明性を際立って優れたものとすることができる。また、酸化金属粒子を含有するため、屈折率が高いものとすることができる。
上述のシリコーン鎖を「有する」形態としては、シリコーン鎖が酸化金属粒子の表面に付着及び/又は結合している形態が好ましい。例えば、シリコーン鎖を有する酸化金属粒子を、該シリコーン鎖を溶解し得る有機溶媒(例えば、メタノール等)で洗浄しても離脱しない形態であることが好ましい。例としては、酸化金属粒子の表面にシリコーン鎖を含む化合物が付着している(酸化金属粒子の表面を構成する原子と化学結合はしていなくてもよい)形態、酸化金属粒子の表面を構成する元素と、シリコーン鎖を含む基とが化学結合(共有結合)している形態等が好適である。
なお、上記R1〜R3における炭化水素部分は、シリコーン鎖とシリコーン鎖との結合鎖となることもある。このとき、R1〜R3は、置換基としてシリコーン鎖を有する炭化水素基である。
R1〜R3のいずれかが、置換基としてシリコーン鎖を有する炭化水素基である場合、それがR3であることが好ましい。
R1、R2は、好ましくは、置換基があってもよい。炭素数1〜6の炭化水素基であり、より好ましくは炭素数1〜2の炭化水素基であり、より好ましくはメチル基である。
R3は、好ましくは、置換基があってもよい炭化水素基又は水素原子であり、より好ましくは、アルケニル基又は水素原子であり、更に好ましくはビニル基又は水素原子である。
一方、シリコーン鎖(I)、(II)は、アルケニル基及び/又はヒドロシリル基を有することが好ましく、該シリコーン鎖を構成するケイ素原子の少なくとも1個のケイ素原子にアルケニル基が結合している形態、該シリコーン鎖を構成するケイ素原子の少なくとも1個のケイ素原子がヒドロシリル基を形成している形態が好ましい。
上記アルケニル基の中でも、ビニル基が好ましい。
したがって、上記式において、R1〜R3のいずれかがアルケニル基であることが好ましく、特にR3がアルケニル基であることが好ましい。あるいは、R3が水素原子であることが好ましい。
なお、上記アルコキシシリル基のケイ素原子Aとは、アルコキシシリル基と酸化金属粒子とが化学結合した形態においては、当該化学結合する前にアルコキシシリル基を構成するケイ素原子であったケイ素原子を含むものである。
上記ケイ素原子数の数え方は、ケイ素原子Aに直接結合する形態、間接的に結合する形態に応じて、以下の通りである。
(1)ケイ素原子に結合しているシリコーン鎖が1個である場合:シリコーン鎖を構成するケイ素原子数。
(2)ケイ素原子に結合しているシリコーン鎖を含む基は1個であるが、シリコーン鎖が有機基を介して2個あるような場合:2個のシリコーン鎖を構成するケイ素原子数の合計。
(3)ケイ素原子に、シリコーン鎖を含む基が2個以上結合している場合:各シリコーン鎖を構成するケイ素原子数の合計。
上記(1)〜(3)の例を、以下に示す。
上記シリコーン鎖(II)は、シロキサン結合を構成するケイ素原子数が8個以上であることが好ましい。シリコーン鎖(II)のシロキサン結合を構成するケイ素原子数の上限値は、1500個以下であることが好ましく、1000個以下がより好ましい。
これにより、本発明の酸化金属粒子を含有するシリコーン樹脂組成物において、透明性を更に優れたものとすることができる。
本発明の酸化金属粒子におけるシリコーン鎖(I)とシリコーン鎖(II)の合計含有量が、酸化金属粒子における金属酸化物100質量%に対し、5質量%以上であり、また70質量%以下であることが好ましい。5質量%未満であると、シリコーン樹脂への分散性が不充分となるおそれがある。一方、酸化金属粒子における金属酸化物粒子(金属酸化物成分)が高屈折率であっても、上記含有量が70質量%を超えると酸化金属粒子の屈折率が低減してしまうために、シリコーン樹脂の高屈折率化が困難となる場合がある。
上記含有量は、更に好ましくは、10質量%以上であり、また、50質量%以下である。
すなわち、金属酸化物としては特に限定されず、各種金属元素を金属成分とする金属酸化物に対し効果を発揮し得る。例えば、樹脂組成物において、樹脂組成物を硬化して得られる封止材からの出射効率を高めるためには高い屈折率が要求されるが、本発明の酸化金属粒子を含有することにより、高い屈折率を達成することができる。
好ましい金属酸化物は、以下の通りである。
(1)光学材料、光半導体封止材へ適用する場合には、Si、Al、Ti、Zr、Zn、Nb、Y、La、In、Snを金属成分とする酸化物が、無色又は着色があっても光学材料として使用できる程度である点で好適である。すなわち、Si、Al、Ti、Zr、Zn、Nb、Y、La、In及びSnからなる群より選択される少なくとも1種を金属成分とする酸化物が好ましい。
(2)光半導体封止材等、高屈折率化が要求される用途へ適用する場合には、Ti、Zr、Zn、Nb、Y、La、In、Snを金属成分とする酸化物が好適である。すなわち、Ti、Zr、Zn、Nb、Y、La、In及びSnからなる群より選択される少なくとも1種を金属成分とする酸化物が好ましい。
上記(2)の理由としては、酸化物が高屈折率であり、シリコーン樹脂組成物の屈折率を高める点で、金属酸化物の使用量が少量で済む、又は、高い屈折率とできるためである。
中でも、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化ニオビウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化インジウム及び酸化スズ(酸化第二スズ)からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。X線回折学的に、又は、電子線回折学的にこれらの結晶に帰属されるものが好ましい。
更に、Ti、Zr、Zn、Nbを金属元素成分とする酸化物が好ましい。
特に、酸化ジルコニウムは、晶系により屈折率は変化するが、2.0〜2.3と高く、可視光に対する透過性が高いと共に、長波長紫外線に対する透過性も高いために、光触媒活性が低く、マトリックス樹脂であるシリコーン樹脂を光劣化させ難い点で好適である。
上記酸化金属粒子としては、高屈折率酸化物であることが好ましい。高屈折率酸化物を用いれば、該酸化金属粒子を含むシリコーン樹脂組成物、及び、該シリコーン樹脂組成物によって形成される光学材料等の屈折率を高いものとすることができ、光学用途等に好適に用いることができる。
上記酸化金属粒子の屈折率としては、1.9以上であることが好ましい。1.9未満であると、シリコーン樹脂組成物の高屈折率化を充分には行えないおそれがあるが、1.9以上であると、光学用途に好適に用いることができる。より好ましくは、2.0以上であり、更に好ましくは、2.1以上である。具体的には、1.9〜2.7であることが好ましい。
アルケニル基及び/又はヒドロシリル基を有するものとすることにより、当該基が硬化時の重合反応に関与することができるため、シリコーン樹脂組成物の硬化性がより向上することになる。
上記アルケニル基の中でも、ビニル基が好ましい。
本発明の酸化金属粒子は、シリコーン樹脂に含有させるために用いるものであることが好ましい。これにより、本発明の効果がより顕著なものとなる。
(1)シリコーン鎖の長さの違う、2種のシラン化合物(上記シリコーン鎖(I)を有するシラン化合物(A)、上記シリコーン鎖(II)を有するシラン化合物(B))で金属酸化物粒子を表面処理する方法(ここで、シラン化合物(A)、シラン化合物(B)は、他の構造的、組成的に違うものを用いる場合もあれば、シリコーン鎖のみ違う化合物を用いる場合もある。)、(2)製品としては1種であるが、シリコーン鎖の長さに分布のある(シリコーン鎖(I)、シリコーン鎖(II)をいずれも含むような、ケイ素原子数に分布のある)シラン化合物で金属酸化物粒子を表面処理する方法。
ここで、上記(1)の方法が、シリコーン鎖(I)、シリコーン鎖(II)の存在量を制御しやすいために、好ましい形態となる。
上述した各シラン化合物(シリコーン鎖(I)を有するシラン化合物(A)、シリコーン鎖(II)を有するシラン化合物(B)、シリコーン鎖の長さに分布のあるシラン化合物)の使用量は、シラン化合物におけるシリコーン鎖(I)、シリコーン鎖(II)の存在量が、上述したシリコーン鎖(I)とシリコーン鎖(II)との質量比の好ましい形態となるものであることが好ましい。
すなわち、上記シリコーン鎖(I)を有するシラン化合物(A)とシリコーン鎖(II)を有するシラン化合物(B)の添加量の割合は、シリコーン鎖(I)とシリコーン鎖(II)との質量比が5/95〜95/5となるように添加することが好適である。
より好ましい範囲は、10/90〜90/10である。更に好ましい範囲は、15/85〜85/15である。
一方、シランカップリング剤使用量(総量)の上限は、100質量%以下であることが好ましい。100質量%を超えてシランカップリング剤を添加しても、金属酸化物粒子の表面に導入されずに遊離の状態となるおそれがある。更に、金属酸化物粒子の屈折率等の光学的特徴を酸化金属粒子として発揮するためには、80質量%以下が好ましい。
上記表面処理する方法としては、通常の方法を適宜用いることができるが、例えば金属酸化物粒子を溶媒(例えば、トルエン等)中に分散させ、シランカップリング剤を添加して処理を行う形態が好ましい。また、未反応シラン及び遊離分散剤等は、貧溶媒を添加して沈殿させることにより除去することが好ましい。貧溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルのようなアルコール系溶媒が好ましく、メタノールが更に好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。更に、貧溶媒を加えて粒子を析出させ、ろ過やデカンテーション等により粉を得る形態が好ましい。
シランカップリング剤が2種以上のシラン化合物からなる場合は、シランカップリング剤(混合物)として添加してもよいが、個々のシラン化合物を個別に順次、添加、表面処理してもよい。例えば、シリコーン鎖(I)を有するシラン化合物で表面処理した後、シリコーン鎖(II)を有するシラン化合物で表面処理してもよい。
重量平均分子量500以上のシリコーン鎖含有シラン化合物を含有することにより、粒子の透明分散性を付与することができ、重量平均分子量500未満のシリコーン鎖含有シラン化合物を更に含有することにより、鎖同士の絡まり合いを充分に防ぐことができ、粒子の安定性を付与することができると考えられる。すなわち、シランカップリング剤が重量平均分子量500以上のシリコーン鎖含有シラン化合物又は重量平均分子量500未満のシリコーン鎖含有シラン化合物のいずれか一方のみを含有するのではなく、これらの両方を有するところに本発明の本質的な特徴があり、これにより上記2種類のシラン化合物が相乗的に作用して顕著に優れた効果が発揮されると考えられる。
なお、上記重量平均分子量500以上のシリコーン鎖含有シラン化合物の重量平均分子量の上限値は、100000以下であることが好ましい。より好ましくは、50000以下である。また、上記重量平均分子量500未満のシリコーン鎖含有シラン化合物の重量平均分子量の下限値は、200以上であることが好ましい。より好ましくは、300以上である。
例えば、以下の測定条件が好ましい。
使用カラム:Shodex GF−7MHQ(商品名、昭和電工社製) 2本
溶離液:THF(テトラヒドロフラン)
流速:0.6ml/min.
カラム温度:40℃
標準物質:ポリスチレン
検出器:RI(示差屈折率)検出器
打ち込み量:0.5質量%溶液で10μL
上記アルケニル基の中でもビニル基が好ましい。
上記シラン化合物の具体的な構造式としては、例えば、下記反応式により得られる式(A)で表される化合物、式(B)で表される化合物、式(C)で表される化合物が挙げられる。下記化学式中のnは、括弧内のシロキサン結合が繰り返されていることを示す。
上記ビニル基を有する好ましい化合物例としては、例えば式(A)で表される化合物が例示され、ヒドロシリル基を有する好ましい化合物例としては、式(B)で表される化合物が例示される。
式(A)で表される化合物におけるシリコーン鎖を構成するケイ素原子における置換基がメチル基の場合は、式(A)で表される化合物における原料(ジビニルシロキサン化合物)として、両末端ジビニルジメチルポリシロキサン(MVD8MV クラリアント社製)を用いることが好ましく、式(B)で表される化合物におけるシリコーン鎖を構成するケイ素原子における置換基がメチル基の場合は、式(B)で表される化合物における原料(ジハイドロジエンシロキサン化合物)としては両末端ジハイドロジメチルポリシロキサン(MHD6MH クラリアント社製)を用いることが好ましい。
上記白金触媒は、例えば塩化白金酸六水和物(H2PtCl6・6H2O)、ジビニルテトラメチルジシロキサン−Pt錯体が挙げられる。
酸化金属粒子表面へのシリコーン鎖導入方法として、シリコーン鎖を有するカップリング剤による導入のみではなく、官能基を有するシランカップリング剤により表面処理を行い、その後にその官能基と反応し得る官能基を有するシリコーン鎖含有化合物を反応させることで、粒子表面にシリコーン鎖を導入してもよい。具体的には、例えばビニルトリメトキシシランにより粒子表面を処理し、そのビニル基にヘプタメチルトリシロキサンをヒドロシリル化反応により付加させ、粒子表面にシリコーン鎖を導入させる方法等が挙げられる。
また、酸化金属粒子表面に導入されるシリコーン鎖の形状として直鎖状、デンドリマー構造を含む枝分かれ状が挙げられる。粒子表面へのデンドリマー構造の導入方法はデンドリマー構造を形成してから粒子表面へ反応させる方法、粒子表面でデンドリマー構造を形成していく方法があり、どちらの方法で導入しても構わない。
R1−COOH 式(i)
(式中、R1は、炭素数5〜30の炭化水素基を示す。)
で表される被覆剤で被覆されていることも好ましい。通常、水中やアルコール中で合成される酸化金属粒子はシリコーン鎖構造を有する表面処理剤が溶解できない水やアルコールのような極性溶媒にしか分散しないため、シリコーン鎖構造を粒子表面に導入することは非常に難しい。これに対し、上記式(i)で表される被覆剤で被覆された粒子はシリコーン鎖構造を有する表面処理剤が可溶なトルエン等の疎水性溶媒に分散可能であるために、シリコーン鎖構造の表面への導入が非常に容易となる。
R2−COOH 式(ii)
(式中、R2は、炭素数5〜30の直鎖状炭化水素基を示す。)
で表される被覆剤を挙げることができる。
炭素数5以上の分枝鎖状炭化水素基を有する上記式(i)で表される被覆剤は、非極性の溶媒等に対する分散性を向上させることができるが、上記式(ii)の被覆剤を併用することにより、かかる分散性をより一層改善し得る。上記式(ii)の被覆剤は、R2の炭素数は5〜30が好ましく、5〜20がより好ましく、例えば、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ステアリン酸などの直鎖状カルボン酸を挙げることができる。
酸化金属粒子表面へのシリコーン鎖導入方法として、アルコキシシリル基を有するシランカップリング剤を用いる以外に、カルボキシル基、またはエポキシ基を有するシリコーン樹脂を用いることも好ましい。
なお、本発明は、上述した酸化金属粒子を含有するシリコーン樹脂組成物でもある。
上記シリコーン樹脂は、本明細書中、1分子中に少なくとも2つの官能基を有するオルガノシロキサンである。
ここで、従来のシリコーン樹脂組成物について説明する。従来のシリコーン樹脂組成物においては、耐熱性を充分なものとするとともに、光半導体封止材等の要求性能である耐紫外線性と、屈折率を満足するシリコーン樹脂を得ることが望まれていた。例えば、ジメチルシリコーン等、官能基(置換基)がアルキル等の脂肪族炭化水素基であるシリコーン鎖を基本骨格とするシリコーン樹脂は、耐紫外線性に優れるが、屈折率が低い(通常、1.5未満)ために、光半導体素子用封止材としては不充分であった。また、官能基(置換基)をフェニル基等の芳香環を有するものを主成分とすれば(たとえばフェニルメチルシリコーン、ジフェニルシリコーン等)、シリコーン樹脂の屈折率が高まるものの(例えば、1.5程度)、耐紫外線性は低下するため、光半導体素子用封止材としては不充分であった。本発明のシリコーン樹脂組成物は、耐紫外線性を充分なものとしたうえで、屈折率を優れたものとすることができ、この点を解決したものである。
すなわち、上記官能基(置換基)としては、本発明の技術分野で用いられるものを適宜用いることができるが、脂肪族炭化水素基であることが好ましい。これにより、耐紫外線性を充分に優れたものとすることができる。
R1 aR2 bSiOc (式1)
式1中、R1は、同一若しくは異なって、直鎖又は分岐を有し、該分岐は環状であっても良いアルキル基、アリール基及びアラルキル基から選ばれる少なくとも一種であり、R2は、同一若しくは異なって、環状エーテル基、アルケニル基(より好ましくは、ビニル基)、アルコキシ基及び水酸基から選ばれる少なくとも一種を有する基、又は、水素原子であり、Siはケイ素原子を表し、OはR2に含まれない酸素原子を表す。また、a、b及びcは、該オルガノシロキサン化合物中の1ケイ素原子あたりのそれぞれの基又は原子の結合数を表し、aは、0以上3未満であり、bは、0を超えて3未満であり、cは、0を超えて2未満であり、かつa+b+2c=4を満たす正の数値である。
本発明のシリコーン樹脂組成物は、上記R1及びR2とa、b、cとを満足する限りにおいて複数のシリコーン樹脂を含んでいてもよく、また該シリコーン樹脂は直鎖及び/又は分岐を有していてもよく、例えばデンドリマー等の構造を有していても良い。
ヒドロシリル化反応により硬化を行う場合には、二重結合を含有する化合物を用いることも好ましい。具体的な化合物としては、ビニルシクロヘキセン、シクロペンタジエン、トリアリルイソシアヌレート、トリビニルシクロヘキサンを挙げることができる。
ヒドロシリル化反応による硬化を行う場合、酸化金属粒子表面、または酸化金属粒子表面に導入されているシリコーン鎖にアルケニル基、酸化金属粒子を含有するシリコーン樹脂にヒドロシリル基が含有されていることが好ましい。
上記カチオン硬化触媒としては、ジアゾニウム塩系カチオン硬化触媒、ヨードニウム塩系カチオン硬化触媒及びスルホニウム塩系カチオン硬化触媒からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。これらの具体的な商品としては、例えば、AMERICUREシリーズ(商品名、アメリカン・キャン社製)、ULTRASETシリーズ(商品名、アデカ社製)、WPAGシリーズ(商品名、和光純薬社製)等のジアゾニウム塩タイプ;UVEシリーズ(商品名、ゼネラル・エレクトリック社製)、FCシリーズ(商品名、3M社製)、UV9310C(商品名、GE東芝シリコーン社製)、RHODORSIL(登録商標)PHOTOINITIATOR 2074(商品名、ローディアジャパン社製)、WPIシリーズ(商品名、和光純薬社製)等のヨードニウム塩タイプ;CYRACUREシリーズ(商品名、ユニオン・カーバイド社製)、UVIシリーズ(商品名、ゼネラル・エレクトリック社製)、FCシリーズ(商品名、3M社製)、CDシリーズ(商品名、サートマー社製)、オプトマーSPシリーズ・オプトマーCPシリーズ(商品名、アデカ社製)、サンエイドSIシリーズ(商品名、三新化学工業社製)、CIシリーズ(商品名、日本曹達社製)、WPAGシリーズ(商品名、和光純薬社製)、CPIシリーズ(商品名、サンアプロ社製)等のスルホニウム塩タイプ等の1種又は2種以上が挙げられる。
本発明のシリコーン樹脂組成物が、アルコキシ基、または水酸基を有している場合、架橋反応は加水分解・重縮合反応により進行する。この場合、酢酸、塩酸等の酸性化合物、ジブチル錫ジラウレート等の有機錫化合物を反応促進触媒として用いることができる。
上記有機過酸化物としては、具体的には、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロキサノンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド等の如きケトンパーオキサイド;キュメンハイドロパーオキサイド、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド等の如きハイドロパーオキサイド;ターシャリーブチルパーオキシオクトエート、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート等の如きパーオキシエステル;1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、トリス−(ターシャリーブチルパーオキシ)トリアジン等の如きジアルキルパーオキサイド;イソブチリルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等の如きジアシルパーオキサイド;1,1−ジ−ターシャリーブチルパーオキシシクロへキサン、2,2−ジ−(ターシャリーブチルパーオキシ)−ブタン等の如きパーオキシケタール:ターシャリーブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ビス(4−ターシャリーブチルシクロへキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート等の如きパーカーボネート等をあげることができる。また、上記有機アゾ化合物としては、具体的には、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスカルボンアミド等のアゾビスアルカノニトリルをあげることができる。これらのラジカル重合開始剤は、1種で用いてもよく2種以上を併用することもできる。
上記ラジカル重合開始剤に、コバルト、マンガン、鉄、銅、その他の重金属のオクチル酸塩あるいはナフテン酸塩の如き多価金属の有機酸塩及び必要ならばジメチルアニリン、ジメチルパラトルイジン等の如き第3級アミン等の重合促進剤やハイドロキノン、ナフトエキノン、ターシャリーブチルカテコール、p−ベンゾキノン、ブチレーテッドヒドロキシトルエン、ニトロキシドラジカル類等の重合禁止剤等を少量加えることも反応速度の制御、ポットライフの改善のため好ましく実施し得る。
なお、硬化触媒は樹脂の構造にならないもの、硬化剤は樹脂中に組み込まれるものを意味する。
下限は、より好ましくは、10質量%である。更に好ましくは、20質量%である。上限は、より好ましくは、80質量%である。更に好ましくは、70質量%である。
本発明の光学材料用樹脂組成物は、上述した耐紫外線性、耐熱性に優れ、所望の屈折率に制御された、透明性に顕著に優れた光学材料を形成することができるものである。
本発明の光学材料用樹脂組成物におけるシリコーン樹脂組成物の好ましい形態は、上述した本発明のシリコーン樹脂組成物の好ましい形態と同様である。
本発明の光学材料における光学材料用樹脂組成物の好ましい形態は、上述した本発明の光学材料用樹脂組成物の好ましい形態と同様である。
本発明の光半導体封止材用樹脂組成物は、上述した耐紫外線性、耐熱性に優れ、所望の屈折率に制御された、透明性に顕著に優れた光半導体封止材を形成することができるものである。
本発明の光半導体封止材用樹脂組成物の好ましい形態は、上述した本発明の光学材料用樹脂組成物の好ましい形態と同様である。
樹脂組成物を光学材料、特に光半導体素子(LED等のEL〔発光素子〕)用の封止材へ適用する場合には、可視光に対する高い透過性と透明性(可視光が散乱しない)が要求されることはもちろん、更に、出射される光に含まれる短波長の光(紫外線)に対する耐久性(耐紫外線性)が要求される。しかも作動時に素子温度が高まるために、優れた耐紫外線性が要求される(図2参照)。また、上記したように屈折率を充分なものとすることも要求される。
本発明の光半導体封止材は、上述した耐紫外線性、耐熱性に優れ、所望の屈折率に制御された、透明性に顕著に優れたものである。中でも、白色LED封止材用樹脂組成物が特に好ましい。
本発明の光半導体封止材における光半導体封止材用樹脂組成物の好ましい形態は、上述した本発明の光半導体封止材用樹脂組成物の好ましい形態と同様である。
これらの他にも、本発明の酸化金属粒子、シリコーン樹脂組成物は、特公昭50−15115号公報、特表2004−526210号公報、特開昭64−86116号公報等に記載の用途である表示装置、記録装置、電気泳動粒子、電気泳動表示装置等にも好適に用いることができる。
上記電気泳動表示装置は、通常では基板と表示層とから構成されるものであり、表示層に電場や磁場を加えることにより、表示層内の酸化金属粒子を電気泳動させて表示を行うものである。この場合、表示層は、例えばマイクロカプセル及びそれを表示層内に固定するバインダーから構成されることになる。バインダーの材料としては、熱硬化性樹脂及び/又は光硬化性樹脂が好適である。なお、分散媒としてシリコーンオイルが用いられる場合があるが、本明細書におけるシリコーン樹脂はシリコーンオイルと称されるものであってもよい。本発明の酸化金属粒子を用いることにより、分散媒中の酸化金属粒子の分散性が優れたものとなり、電気泳動表示装置における表示性能を良好なものとすることができる。
本発明のシランカップリング剤を用いることにより、上述した耐紫外線性、耐熱性に優れ、所望の屈折率に制御された、透明性に顕著に優れた光学材料等を得ることが可能となる。
本発明のシランカップリング剤の好ましい形態としては、上述した本発明の酸化金属粒子を得るために用いられるシランカップリング剤の好ましい形態と同様である。
第3の本発明は、下記平均組成式1で表されるオルガノシロキサン組成物;
R1 aR2 bSiOc (式1)
(式1は、第2の本発明と同様である。)
からなる第1成分(マトリックス成分)と、平均粒子径が2〜50nmである金属酸化物ナノ粒子からなる第2成分とを少なくとも含む、発光デバイスの発光素子を覆うために用いられる硬化用樹脂組成物であって、該第2成分を構成するナノ粒子の粒子表面が少なくともケイ素原子を含む化合物で表面処理を施すことを特徴とする発光デバイスの発光素子を覆うために用いられる硬化用樹脂組成物である。
第3の発明における式1の好ましい形態は、上述した第2の本発明における式1の好ましい形態と同様である。
また、上記第2成分を構成する上記ナノ粒子の平均直径は、2〜50nmが好ましく、また3〜30nmが好ましい。4〜20nmがより好ましく、5〜15nmが更に好ましい。上記平均粒子径が小さすぎると分散性で劣ることがあり、大きすぎると光散乱などにより透過度が低下することがあり好ましくない。
本発明に係る酸化ジルコニウムナノ粒子の粒度分布は、σ/x×100[式中、σは粒子の粒度分布の標準偏差を示し、xは粒子の50%累積径(nm)を示す]で表される変換係数として30%以下が好ましい。当該変換係数が30%を超えると粒子サイズにバラツキが生じ、結果として光透過性や屈折率などの物性にバラツキが生じるおそれがある。当該変換係数は25%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましい。
R3−COOH 式(i) [式中、R3は炭素数5〜30の炭化水素基を示す。]
上記被覆剤(i)−ジルコニウム複合体に水を混合し、2MPaG未満で水熱反応することにより得られた被覆剤(i)で被覆された酸化ジルコニウムナノ粒子を得る工程(b)を含む工程により得られた酸化ジルコニウムを含む無機金属酸化物ナノ粒子が好ましい。
本発明におけるナノ粒子を構成する酸化ジルコニウムとしては、結晶性のより高いものが好ましい。非晶質のものよりも結晶質のものの方が安定であり一般的には活性が高い。
C=100×(S1−S2)/S1 式〔1〕
[式中、S1はX線回折測定により得られたX線回折チャートのトータル面積値を示し、S2はX線回折測定により得られたX線回折チャートのベース部分の面積値を示す。]
酸化ジルコニウムの既知の結晶系としては立方晶、正方晶および単斜晶の3種類が知られている。本発明の酸化ジルコニウムとしては高い屈折率を有するものが好ましいので、正方晶が結晶構造全体の70%以上であるものが好ましく、75%以上のものがより好ましく、85%以上であるものがさらに好ましい。なお、正方晶の割合は、X線回折チャートから正方晶、立方晶および単斜晶に帰属される回折ピークを同定し、これらの含有比率をXRayCrystalなどの解析ソフトで計算することにより求めることができる。また、酸化ジルコニウムの正方晶は、X線構造回折解析データにおいて、格子面(101)、(112)、(200)、(211)、(110)の回折ピークの存在により確認することができる。
酸化ジルコニウムナノ粒子の製造方法は、少なくとも酸化ジルコニウム前駆体と式(i)の被覆剤から被覆剤(i)−ジルコニウム複合体を調製する工程;上記被覆剤(i)−ジルコニウム複合体に水を混合し、2MPaG未満で水熱反応することにより被覆剤(i)で被覆された酸化ジルコニウムナノ粒子を得る工程;および、得られた酸化ジルコニウムナノ粒子に、少なくともケイ素原子を含む化合物で表面処理する工程;を含むことを特徴とする。以下、当該方法を実施の順番に従って説明する。
本発明方法の原料である酸化ジルコニウム前駆体は、被覆剤(i)と共に被覆剤(i)−ジルコニウム複合体を形成することが可能であり、且つ水熱反応により被覆剤(i)−ジルコニウム複合体から酸化ジルコニウムナノ粒子となる前駆体であれば特に制限されない。例えば、ジルコニウムの水酸化物、塩化物、オキシ塩化物、オキシ硝酸塩、硫化物、カルボン酸塩、アミノ化合物塩、および金属アルコキシドなどを用いることができる。これらのうち、オキシ塩化物とオキシ硝酸塩は安価であり且つ微細な粒子が得られることから好ましい。
次に、被覆剤(i)−ジルコニウム複合体に水を混合し、2MPaG未満で水熱反応することにより被覆剤(i)で被覆された酸化ジルコニウムナノ粒子を得る。
水の量は、(水のモル数)/(ジルコニウムのモル数)であらわされる比が2以上、100以下となるようにすることが好ましく、4以上、50以下がより好ましい。上記比が2未満の場合には分散性に劣る酸化ジルコニウムナノ粒子が生成するおそれがあり得る。一方、上記比が100を超えると水の量が多くなるため、1回の反応における酸化ジルコニウムナノ粒子の生成量が少なくなる問題が生じ得る。
上記被覆剤(i)−ジルコニウム複合体と水の混合液が静置状態で二層になる場合には、続く水熱反応直前に激しく撹拌することにより懸濁状態にしてもよい。
反応温度は、使用する溶媒などの沸点を考慮し、反応容器内の圧力が2MPaG未満となるように設定すればよい。水の飽和水蒸気圧を考慮すれば200℃以下の温度で反応させることが好ましい。
反応時間は特に制限されないが、通常は0.1時間以上、30時間以下程度であり、0.5時間以上、20時間以下が好ましい。
反応系雰囲気は特に制限されず、空気、酸素、水素、窒素、アルゴン、二酸化炭素などとすることができる。凝集の抑制や安全を考慮すれば、窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気で反応させることが好ましい。
次に、得られた酸化ジルコニウムナノ粒子に、少なくともケイ素原子を含む化合物で表面処理を作用させて、上記第2成分を得ることが出来る。
上記ナノ粒子に対してケイ素原子を含む化合物で表面処理を行うことにより、上記第2成分が得られる。上記ケイ素原子を含む化合物は、後述する条件を満たす化合物であればよく、上記ナノ粒子に表面処理を効率よく施すためには、少なくとも1末端にカルボキシル基やアルコキシシリル基、エポキシ基を有しているのが好ましい。
上記第2成分におけるシリコーン鎖は、直鎖及び/又は分岐を有していても良いが、分岐の無いシリコーン鎖を有していることが好ましく、より好ましくは分岐の無いシリコーン鎖が上記第2成分上の全シリコーン鎖の3%以上の本数であり、5%以上の本数が好ましく、10%以上の本数がより好ましい。
上記硬化用樹脂組成物中には、硬化を促進させるために触媒を有しているのが好ましく、該硬化用触媒は公知の触媒を用いることが出来る。
更に、本発明の樹脂組成物を用いることによって、光損失の少ない、耐久性に優れた発光半導体デバイスが得られる。
(NMR測定条件)
溶媒:CDCl3
濃度:5質量%
MVD8MV(両末端ジビニルジメチルポリシロキサン、クラリアント社製):ビニル基(6.2ppm〜5.6ppm、6Hに相当)、及び−SiCH3に由来するメチル基(0.3ppm〜−0.2ppm)の面積比が7.1:92.9であったことから、−SiCH3に由来するメチル基の水素原子量は79Hであり、n=11.1であることを確認した。
(表面処理剤Aの合成)
温度計、ガス吹き込み管、滴下ロート、還流冷却器、及び、撹拌機を備えた4つ口フラスコに両末端ジビニルジメチルポリシロキサン(MVD8MV、クラリアント社製)50.0g、トルエン39.0g、ジビニルテトラメチルジシロキサン−Pt錯体キシレン溶液(白金濃度2%、アルドリッチ社製)37.4μlを仕込み、窒素気流下で撹拌しながら50℃まで昇温した。一方、滴下ロート内にトリエトキシシラン9.0g、トルエン20.0g混合液を投入した。上記フラスコ内の溶液を50℃で撹拌しながら、該フラスコ内に滴下ロートの混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後、50℃で3時間加熱を行うことで50質量%表面処理剤A液を得た。得られた反応物の1H−NMRを測定したところトリエトキシシランに含有されるヒドロシリル基に由来するピーク(4.4〜4.2ppm)が消失していることから反応が問題なく進み、下式に示す構造の化合物からなる表面処理剤Aが合成されたことを確認した。また、1H−NMRにおけるビニル基(6.2〜5.6ppm)と−Si(OCH2−CH3)3基由来のメチレン基(3.9〜3.7ppm)の面積比は26:74であった。
温度計、ガス吹き込み管、滴下ロート、還流冷却器、及び、撹拌機を備えた4つ口フラスコに両末端ジハイドロジメチルポリシロキサン(MHD6MH、クラリアント社製)50.0g、トルエン42.8g、ジビニルテトラメチルジシロキサン−Pt錯体キシレン溶液(白金濃度2%、アルドリッチ社製)74.2μlを仕込み、窒素気流下で撹拌しながら50℃まで昇温した。一方、滴下ロート内にビニルトリメトキシシラン(KBM−1003、信越化学工業社製)12.8g、トルエン20.0g混合液を投入した。上記フラスコ内の溶液を50℃で撹拌しながら、該フラスコ内に滴下ロートの混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後、50℃で3時間加熱を行うことで50質量%表面処理剤B液を得た。得られた反応物の1H−NMRを測定したところビニルトリメトキシシランに含有されるビニル基に由来するピーク(6.3〜5.7ppm)が消失していることから反応が問題なく進み、下式に示す構造の化合物からなる表面処理剤Bが合成されたことを確認した。また、1H−NMRにおけるヒドロシリル基(4.8〜4.6ppm)と−Si(OCH3)3基由来のメトキシ基(3.7〜3.5ppm)の面横比は11:89であった。
温度計、ガス吹き込み管、滴下ロート、還流冷却器、及び、撹拌機を備えた4つ口フラスコにヘプタメチルトリシロキサン(クラリアント社製)30.0g、トルエン30.0g、ジビニルテトラメチルジシロキサン−Pt錯体キシレン溶液(白金濃度2%、アルドリッチ社製)116μlを仕込み、窒素気流下で撹拌しながら50℃まで昇温した。一方、滴下ロート内にビニルトリメトキシシラン(KBM−1003、信越化学工業社製)20.0g、トルエン50.0gを投入した。上記フラスコ内の溶液を50℃で撹拌しながら、該フラスコ内に滴下ロート中の混合溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、50℃で3時間加熱を行うことで50質量%表面処理剤C溶液を得た。得られた反応物の1H−NMRを測定したところへプタメチルトリシロキサンに含有されるヒドロシリル基に由来するピーク(4.6〜4.4ppm)、及びビニルトリメトキシシランに含有されるビニル基に由来するピーク(6.3〜5.7ppm)が消失していることから反応が問題なく進み、下式に示す構造の化合物からなる表面処理剤Cが合成されたことを確認した。また、1H−NMRにおける−Si(OCH3)3基由来のメトキシ基(3.7〜3.5ppm)、−Si−CH2−CH2−Si−に由来するメチレン鎖(0.7〜0.4ppm)、−SiCH3に由来するメチル基(0.2〜−0.1ppm)の面積比は25:10:65であった。
温度計、ガス吹き込み管、滴下ロート、還流冷却器、および撹拌機を備えた4つ口フラスコに両末端ジビニルジメチルポリシロキサン(MVD8MV クラリアント社製)250.0g、トルエン180.5g、ジビニルテトラメチルジシロキサン・Pt錯体キシレン溶液(白金濃度2%、アルドリッチ社製)215μlを仕込み、窒素気流下で撹拌しながら50℃まで昇温した。一方、滴下ロート内にトリメトキシシラン30.5g、トルエン100.0g混合液を投入した。上記フラスコ内の溶液を50℃で撹拌しながら、該フラスコ内に滴下ロートの混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後、50℃で3時間加熱を行うことで50質量%表面処理剤D溶液を得た。得られた反応物の1H−NMRを測定したところトリメトキシシランに含有されるヒドロシリル基に由来するピーク(4.4〜4.2ppm)が消失していることから反応が問題なく進み、下式に示す構造の化合物からなる表面処理剤Dが合成されたことを確認した。また、1H−NMRにおけるビニル基(6.2〜5.6ppm)と−Si(OCH3)3基由来のメトキシ基(3.6〜3.5ppm)の面積比は31:69であった。
温度計、ガス吹き込み管、滴下ロート、還流冷却器、および撹拌機を備えた4つ口フラスコに両末端ジビニルジフェニルシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体(PDV−1631、分子量19000、m:n=1:1、Gelest社製)30.0g、トルエン18.19g、ジビニルテトラメチルジシロキサン・Pt錯体キシレン溶液(白金濃度2%、アルドリッチ社製)5.1μlを仕込み、窒素気流下で撹拌しながら80℃まで昇温した。一方、滴下ロート内にトリメトキシシラン0.19g、トルエン12.0g混合液を投入した。上記フラスコ内の溶液を80℃で撹拌しながら、該フラスコ内に滴下ロートの混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で3時間加熱を行うことで50質量%表面処理剤E溶液を得た。得られた反応物の1H−NMRを測定したところトリメトキシシランに含有されるヒドロシリル基に由来するピーク(4.4〜4.2ppm)が消失していることから反応が問題なく進み、下式に示す構造の化合物からなる表面処理剤Eが合成されたことを確認した。また、1H−NMRにおけるビニル基(6.2〜5.6ppm)と−Si(OCH3)3基由来のメトキシ基(3.7〜3.4ppm)の面積比は56:44であった。
(合成例1:ネオデカン酸で処理された酸化ジルコニウムナノ粒子の合成)
40℃の純水700gに水酸化ナトリウム100g(キシダ化学株式会社、特級)を撹拌下、添加して溶解させた。次いで、ネオデカン酸495g(ジャパンエポキシレジン株式会社)を撹拌下、添加し、ネオデカン酸ナトリウム水溶液を調整した。該溶液を80℃とし、740gのジルコゾールZC−20(第一稀元素化学工業株式会社製)を撹拌下、20分かけて投入し、80℃で1時間半撹拌を続けたところ、白色で高粘度なネオデカン酸ジルコニウムが生成した。次にテトラデカンを1270g添加して撹拌すると、ネオデカン酸ジルコニウムとテトラデカンからなる油相と水相の二相からなる溶液が得られた。水相を分離除去して油相部分を回収した。このようにして得られた油相部を純水で3回洗浄した。次いで油相1000gと純水500gを撹拌機付きオートクレーブ内に仕込み、反応容器中の雰囲気を窒素ガスにより置換した。その後、175℃まで加熱し、3時間反応させた。175℃反応中の容器中圧力は、0.9MPaであった。反応後の溶液を取出し、底部にたまった沈殿物をろ過により回収した。該沈殿物をアセトンで洗浄し、乾燥させた後、トルエンに再分散させたところ、白濁溶液となった。次に、精製工程として定量ろ紙(アドバンテック東洋社製 No.5C)にて再度ろ過を行い、沈殿物中の粗大粒子などを除去した。更に、ろ液中のトルエンを減圧除去することで白色の酸化ジルコニウムナノ粒子を回収した。
上記酸化ジルコニウムナノ粒子の結晶構造をX線回折装置にて確認したところ、正方晶および単斜晶系結晶構造に帰属される回折線が検出された。回折線の強度から、結晶構造は、主として正方晶からなり、わずかに単斜晶を含むものであることが確認された。また、該粒子の粒子径をFE−SEMで測定したところ、平均粒子径は5nmであった。更に赤外吸収スペクトル(FT−IR)により分析したところ、C−H由来の吸収およびCOOH由来の吸収が認められた。当該吸収は、酸化ジルコニウムナノ粒子を被覆しているネオデカン酸に由来するものと考えられる。TG−DTA(熱重量−示差熱分析)により、空気雰囲気下、10℃/分の速度で800℃まで昇温し、酸化ジルコニウムナノ粒子の質量減少率を測定したところ、19質量%の減少率となった。
2−エチルヘキサン酸ジルコニウムミネラルスピリット溶液(第一稀元素化学工業社製、ジルコニア含有量12.0%)(782g)に純水(268g)を混合した。当該混合物を撹拌機付きオートクレーブ内に仕込み、反応容器中の雰囲気を窒素ガスにより置換した。その後、180℃まで加熱し、16時間反応させることにより酸化ジルコニウムを合成した。180℃反応中の容器中圧力は、1.03MPaであった。反応後の溶液を取出し、底部にたまった沈殿物をろ過により回収した。該沈殿物をアセトンで洗浄し、乾燥させた後、当該沈殿物(100g)をトルエン(800mL)に再分散させたところ、白濁溶液となった。次に、精製工程として定量ろ紙(アドバンテック東洋社製 No.5C)にて再度ろ過を行い、沈殿物中の粗大粒子などを除去した。更に、ろ液中のトルエンを減圧除去することで白色の酸化ジルコニウムナノ粒子を回収した。
上記酸化ジルコニウムナノ粒子の結晶構造をX線回折装置にて確認したところ、正方晶および単斜晶系結晶構造に帰属される回折線が検出された。回折線の強度から、結晶構造は、主として正方晶からなり、わずかに単斜晶を含むものであることが確認された。得られたX線回折チャートから求めたC値は18であった。よって、上記酸化ジルコニウムナノ粒子の結晶性が高いことが分かった。
また、該粒子の粒子径をFE−SEMで測定したところ、平均粒子径は12nmであった。更に赤外吸収スペクトル(FT−IR)により分析したところ、C−H由来の吸収およびCOOH由来の吸収が認められた。当該吸収は、酸化ジルコニウムナノ粒子を被覆している2−エチルヘキサン酸に由来するものと考えられる。TG−DTA(熱重量−示差熱分析)により、空気雰囲気下、10℃/分の速度で800℃まで昇温し、酸化ジルコニウムナノ粒子の質量減少率を測定したところ、12質量%の減少率となった。よって、酸化ジルコニウムナノ粒子を被覆していた2−エチルヘキサン酸は、粒子全体の12質量%であることが確認された。
また、粒度分布を測定し、式:σ/x×100[式中、σは粒子の粒度分布の標準偏差を示し、xは粒子の50%累積径(nm)を示す]から変換係数を求めたところ、20%であった。よって、上記ナノ粒子の粒子サイズのバラツキは少ないことがわかった。
合成例1で得られた酸化ジルコニウムナノ粒子12.3gをトルエン87.7g中に分散させ、表面処理剤A溶液12.3g、表面処理剤C溶液3.6g、及び超純水5.7gを添加し、90℃で1時間撹拌下、還流することでシランカップリング剤処理を行った。更に、貧溶媒であるメタノール300gを加えて粒子を析出、再沈殿させることにより未反応シラン化合物及び遊離ネオデカン酸と分離し、ろ過により取り出した粉を25℃にて24時間乾燥後、オルガノシロキサンで表面処理された白色の酸化ジルコニウムナノ粒子を得た。
合成例1で得られた酸化ジルコニウムナノ粒子12.3gをトルエン87.7g中に分散させ、表面処理剤B溶液14.0g、表面処理剤C溶液3.6g、及び超純水5.7gを添加し、90℃で1時間撹拌下、還流することでシランカップリング剤処理を行った。更に、貧溶媒であるメタノール300gを加えて粒子を析出、再沈殿させることにより未反応シラン化合物及び遊離ネオデカン酸と分離し、ろ過により取り出した粉を25℃にて24時間乾燥後、オルガノシロキサンで表面処理された白色の酸化ジルコニウムナノ粒子を得た。
合成例1で得られた酸化ジルコニウムナノ粒子12.3gをトルエン87.7g中に分散させ、表面処理剤A溶液12.3g、及び超純水3.8gを添加し、90℃で1時間撹拌下、還流することでシランカップリング剤処理を行った。更に、貧溶媒であるメタノール300gを加えて粒子を析出、再沈殿させることにより未反応シラン化合物及び遊離ネオデカン酸と分離し、ろ過により取り出した粉を25℃にて24時間乾燥後、オルガノシロキサンで表面処理された白色の酸化ジルコニウムナノ粒子を得た。
合成例1で得られた酸化ジルコニウムナノ粒子12.3gをトルエン87.7g中に分散させ、表面処理剤B溶液14.0g、及び超純水3.8gを添加し、90℃で1時間撹拌下、還流することでシランカップリング剤処理を行った。更に、貧溶媒であるメタノール300gを加えて粒子を析出、再沈殿させることにより未反応シラン化合物及び遊離ネオデカン酸と分離し、ろ過により取り出した粉を25℃にて24時間乾燥後、オルガノシロキサンで表面処理された白色の酸化ジルコニウムナノ粒子を得た。
合成例1で得られた酸化ジルコニウムナノ粒子12.3gをトルエン87.7g中に分散させ、表面処理剤C溶液7.1g、及び超純水3.8gを添加し、90℃で1時間撹拌下、還流することでシランカップリング剤処理を行った。更に、貧溶媒であるメタノール300gを加えて粒子を析出、再沈殿させることにより未反応シラン化合物及び遊離ネオデカン酸と分離し、ろ過により取り出した粉を25℃にて24時間乾燥後、オルガノシロキサンで表面処理された白色の酸化ジルコニウムナノ粒子を得た。
(粒子の安定性試験方法)
再沈殿で取り出した粒子1gを空気下、25℃にて24時間放置後、トルエン20gに再分散できた粒子を○、再分散せず不溶化した粒子を×とした。
(透明分散性試験方法)
シリコーン鎖シランカップリング剤で表面処理したジルコニアナノ粒子3.0g、MHD6MH7.0gをトルエン10.0gに溶解させ、その後エバポレーターにて脱溶剤を行った。脱溶剤後の樹脂が無色透明なものを○、白濁したものを×とした。
蛍光X線分析用無水四ほう酸リチウム(関東化学社製)6g、ジルコニアナノ粒子0.6gを混合し、白金製ビード皿に入れて1200℃にて10分間加熱することで蛍光X線測定用サンプルを得た。得られたサンプルの蛍光X線測定(測定装置:PW2404 PANalytical社製)を行い、ジルコニアナノ粒子中のZrO2量、SiO2重量含有量を測定した。SiO2重量含有量よりSi含有量を算出した。
合成例1で得られた酸化ジルコニウムナノ粒子12.3gをトルエン87.7g中に分散させ、表面処理剤A溶液14.0g、ビニルトリメトキシシラン2.0g、及び超純水9.0gを添加し、90℃で1時間撹拌下、還流することでシランカップリング剤処理を行った。更に、貧溶媒であるメタノール300gを加えて粒子を析出、再沈殿させることにより未反応シラン化合物及び遊離ネオデカン酸と分離し、ろ過により取り出し、オルガノシロキサンで表面処理された白色の酸化ジルコニウムナノ粒子湿体品を得た。得られた酸化ジルコニウムナノ粒子湿体品の150℃×30分加熱後の質量減少率が14質量%であったことから、得られた湿体品の固形分が86%であることを確認した。
合成例1で得られた酸化ジルコニウムナノ粒子12.3gをトルエン87.7g中に分散させ、ビニルトリメトキシシラン2.0g、及び超純水2.0gを添加し、90℃で1時間撹拌下、還流することでシランカップリング剤処理を行った。更に、得られた反応溶液にX−22−162C(両末端カルボキシル変性シリコーン樹脂、官能基当量2300g/mol、信越化学工業社製)1.0gを添加することにより、オルガノシロキサンにより表面処理された酸化ジルコニウムナノ粒子溶液を得た。
合成例1で得られた酸化ジルコニウムナノ粒子12.3gをトルエン87.7g中に分散させ、表面処理剤C溶液4.0g、表面処理剤D溶液12.0g、及び超純水8.0gを添加し、90℃で1時間撹拌下、還流することでシランカップリング剤処理を行った。更に、貧溶媒であるメタノール300gを加えて粒子を析出、再沈殿させることにより未反応シラン化合物及び遊離ネオデカン酸と分離し、ろ過により取り出した粉を25℃にて24時間乾燥後、オルガノシロキサンで表面処理された白色の酸化ジルコニウムナノ粒子を得た。TG−DTA(熱重量−示差熱分析)により、空気雰囲気下、800℃まで昇温した時の、該粒子の質量減少率を測定したところ、17質量%の減少率となった。蛍光X線により測定したZr原子とSi原子の量比は、Zr原子94.3に対しSi原子5.7となった。CHNコーダーにより測定した得られた粒子のC原子含有量は14.0%、H原子含有量は3.2%であった。真比重計により測定した得られた粒子の比重は2.11であった。JISK0070に従い測定して得られた粒子のヨウ素価は4.387であった。またこの値を下式に代入して求めた、得られた粒子の二重結合当量は0.173mmol/gであった。
二重結合当量(mmol/g)=ヨウ素価/253.81/100×1000
合成例2で得られた酸化ジルコニウムナノ粒子11.4gをトルエン87.7g中に分散させ、表面処理剤E溶液10.0g、及び超純水5.0gを添加し、90℃で1時間撹拌下、還流することでシランカップリング剤処理を行った。更に、貧溶媒であるメタノール300gを加えて粒子を析出、再沈殿させることにより未反応シラン化合物及び遊離ネオデカン酸と分離し、ろ過により取り出した粉を25℃にて24時間乾燥後、オルガノシロキサンで表面処理された白色の酸化ジルコニウムナノ粒子を得た。
合成例1で得られた酸化ジルコニウムナノ粒子12.3gをトルエン87.7g中に分散させ、ビニルトリメトキシシラン2.0gを添加、及び超純水2.0gを添加し、90℃で1時間撹拌下、還流することでシランカップリング剤処理を行った。更に、貧溶媒であるメタノール300gを加えて粒子を析出、再沈殿させることにより未反応シラン化合物及び遊離ネオデカン酸と分離し、ろ過により取り出し、オルガノシロキサンで表面処理された白色の酸化ジルコニウムナノ粒子湿体品を得た。得られた酸化ジルコニウムナノ粒子湿体品の150℃×30分加熱後の質量減少率が15質量%であったことから、得られた湿体品の固形分が85%であることを確認した。
実施例1で得られた酸化ジルコニウムナノ粒子10.0g、MHD6MH(両末端ジハイドロジメチルポリシロキサン、クラリアント社製)2.0gをトルエン5.0gに溶解させ、その後ジビニルテトラメチルジシロキサン−Pt錯体キシレン溶液5μlを加え、樹脂組成物を得た。
10milアプリケーターを使用し、得られた樹脂組成物をガラス表面上に成膜した。この膜を50℃×3時間、次いで80℃×1時間、次いで120℃×1時間の条件で硬化させた。得られた硬化膜は無色透明なものであった。
実施例1で得られた酸化ジルコニウムナノ粒子10.0g、2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン1.0gをトルエン5.0gに溶解させ、その後ジビニルテトラメチルジシロキサン−Pt錯体キシレン溶液5μlを加え、樹脂組成物を得た。
10milアプリケーターを使用し、得られた樹脂組成物をガラス表面上に成膜した。この膜を50℃×3時間、次いで80℃×1時間、次いで120℃×1時間の条件で硬化させた。得られた硬化膜は無色透明なものであった。
実施例1で作製したジルコニアナノ粒子6.0g、X−22−169AS(商品名、両末端脂環式エポキシ変性シリコーンオイル、官能基当量500g/mol、信越化学工業社製)3.0g、RHODORSIL(登録商標)PHOTOINITIATOR 2074(商品名、ローディアジャパン社製)0.18gをトルエン5.0gに溶解させ、樹脂組成物を得た。
10milアプリケーターを使用し、得られた樹脂組成物をガラス表面上に成膜した。この膜を50℃×3時間、次いで150℃×1時間の条件で硬化させた。得られた硬化膜は無色透明なものであった。
参考例Cで得られた酸化ジルコニウムナノ粒子湿体品11.6g、2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン1.0gをトルエン5.0gに溶解させ、その後ジビニルテトラメチルジシロキサン−Pt錯体キシレン溶液5μlを加え、樹脂組成物を得た。
10milアプリケーターを使用し、得られた樹脂組成物をガラス表面上に成膜した。この膜を50℃×3時間、次いで80℃×1時間、次いで120℃×1時間の条件で硬化させた。得られた硬化膜は無色透明なものであった。
参考例Dで得られた酸化ジルコニウムナノ粒子溶液105.0gに、MHD6MH(両末端ジハイドロジメチルポリシロキサン、クラリアント社製)4.0gを加え、その後ジビニルテトラメチルジシロキサン−Pt錯体キシレン溶液5μlを加え、樹脂組成物を得た。
10milアプリケーターを使用し、得られた樹脂組成物をガラス表面上に成膜した。この膜を50℃×3時間、次いで80℃×1時間、次いで120℃×1時間の条件で硬化させた。得られた硬化膜は無色透明なものであった。
参考例Eで得られたジルコニアナノ粒子6.0g、両末端ジビニルジフェニルシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体(PDV−1625、分子量9500、Gelest社製)3.0g、トルエン10.0gを仕込み、均一になるまで撹拌を行い、樹脂組成物を得た。10milアプリケーターを使用し、得られた樹脂組成物をガラス板上に成膜した。この膜を120℃で乾燥させることで得られた膜は無色透明なものであった。
実施例2で得られた酸化ジルコニウムナノ粒子10.0g、MVD8MV(両末端ジビニルジメチルポリシロキサン、クラリアント社製)2.0gをトルエン5.0gに溶解させ、その後ジビニルテトラメチルジシロキサン−Pt錯体キシレン溶液5μlを加え、樹脂組成物を得た。ここで、表面処理剤Bのシリコーン鎖長はシリコーン樹脂MVD8MVのシリコーン鎖長よりも短いものであった。
10milアプリケーターを使用し、得られた樹脂組成物をガラス表面上に成膜した。この膜を50℃×3時間、次いで80℃×1時間、次いで120℃×1時間の条件で硬化させた。得られた硬化膜は透明性を有さず白濁したものとなった。
比較例1で得られた酸化ジルコニウムナノ粒子湿体品11.8g、2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン1.0gをトルエン5.0gに溶解させ、その後ジビニルテトラメチルジシロキサン−Pt錯体キシレン溶液5μlを加え、樹脂組成物を得た。
10milアプリケーターを使用し、得られた樹脂組成物をガラス表面上に成膜した。この膜を50℃×3時間、次いで80℃×1時間、次いで120℃×1時間の条件で硬化させた。得られた硬化膜は透明性を有さず白濁したものとなった。
ナスフラスコに表3に示す化合物を仕込み、均一になるまで撹拌した後、エバポレーターで溶剤除去を行うことで樹脂組成物を得た。
下記表1中、表面処理剤A溶液、表面処理剤B溶液、表面処理剤C溶液、表面処理剤D溶液、表面処理剤E溶液における丸カッコ内の数値は、表面処理剤自体の量を表す。また表2中、実施例1、実施例2、参考例C、参考例D、参考例E、比較例1、及び、表3中、実施例7は、それぞれの実施例・参考例・比較例で得られた酸化ジルコニウムナノ粒子を仕込んでいる。
スライドガラス(S9112 松浪硝子工業社製)上に1mm厚の型枠を作成し、得られた樹脂組成物を流し込んだ。上からスライドガラス(S9112 松浪硝子工業社製)にて蓋をし全光線透過率・ヘイズ測定サンプルを作成した。
1mm厚の型枠をスライドガラス(S9112 松浪硝子工業社製)2枚により挟み込み作成したサンプルをリファレンスとして測定後、上記で作成したサンプルの全光線透過率、及びヘイズの測定を濁度計(NDH−2000型 日本電色社製)を用いて行った。
スライドガラス(S9112 松浪硝子工業社製)上に1mm厚の型枠を作成し、得られた樹脂組成物を流し込んだ。上からスライドガラス(S9112 松浪硝子工業社製)にて蓋をし150℃×1時間加熱することにより硬化物を得た。屈折率計(アタゴ社製、DR−M2)を用いて得られた硬化物の20℃における589nmの屈折率を測定した。
2:封止材料
3:デバイス(LED発光チップ)
Claims (6)
- 酸化金属粒子とシリコーン樹脂とを含むシリコーン樹脂組成物であって、
該酸化金属粒子は、シロキサン結合を構成するケイ素原子数が2個以上、5個以下のシリコーン鎖(I)を有する処理剤、及び、当該ケイ素原子数が6個以上のシリコーン鎖(II)を有する分散剤で処理されてなり、
該シリコーン樹脂は、シロキサン結合を複数もつシリコーン鎖を有するジメチルシリコーン樹脂であり、
該分散剤のシリコーン鎖長は、シリコーン樹脂のシリコーン鎖長以上であることを特徴とするシリコーン樹脂組成物。 - 前記シリコーン樹脂組成物を光学材料として用いることを特徴とする請求項1又は2に記載のシリコーン樹脂組成物。
- 前記シリコーン樹脂組成物は、チタンアルコキシドの縮合物を含まないことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシリコーン樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のシリコーン樹脂組成物に用いられることを特徴とする酸化金属粒子。
- シリコーン鎖を有するシリコーン樹脂に分散する酸化金属粒子を製造する方法であって、
該製造方法は、シロキサン結合を構成するケイ素原子数が2個以上、5個以下のシリコーン鎖(I)を有する処理剤、及び、当該ケイ素原子数が6個以上のシリコーン鎖(II)を有する分散剤によって酸化金属粒子を処理する工程を含み、
該シリコーン樹脂は、ジメチルシリコーン樹脂であり、
該分散剤のシリコーン鎖長は、シリコーン樹脂のシリコーン鎖長以上であることを特徴とする酸化金属粒子の製造方法。
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