JP2008266609A - 透明樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造時にゲル化することなく連続生産が可能であり、耐熱性等の基本性能に優れ、しかも透明性等の光学特性に優れる有機無機複合樹脂組成物及びその光学部材を提供する。
【解決手段】有機成分と無機成分とを含む有機無機複合樹脂組成物であって、該有機無機複合樹脂組成物は、有機成分と無機成分との合計量100質量%に対して不飽和結合量が40質量%以上である有機無機複合樹脂組成物、上記有機無機複合樹脂組成物によって構成される光学部材用硬化性材料、及び、上記光学部材用硬化性材料を硬化させてなる光学部材。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機無機複合樹脂組成物及びその硬化物に関する。より詳しくは、光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途、機械部品材料、電気・電子部品材料等として有用な有機無機複合樹脂組成物及びその硬化物に関する。
熱硬化性の樹脂組成物は、例えば、機械部品材料、電気・電子部品材料、自動車部品材料、土木建築材料、成形材料等として有用であり、また、塗料や接着剤の材料としても用いられるものである。更に、無機物質が含有された樹脂組成物は、熱膨張率を低下させることができるだけでなく、無機物質と樹脂との屈折率を合わせることで樹脂組成物及びその硬化物の外観を制御し、透明性を発現させることもできることから、電気・電子部品材料や光学用途における材料として特に有用である。例えば、デジタルカメラモジュールは携帯電話に搭載されるなど小型化が進み、低コスト化も求められているため無機ガラスに代わってPMMA・PCやポリシクロオレフィン等のプラスチックレンズの採用が進んでいる。近年においては新規用途として車載用カメラや宅配業者向けバーコード読み取り機等の車載化ニーズが高まっている。これら用途に適用する際、夏季の高温暴露等を考慮し、長時間の耐熱性が要求されている。従来のプラスチック材料よりも優れた耐熱性を必要とすることから熱硬化型材料の検討が進んでいる。
熱硬化性樹脂組成物の製造方法に関し、粒径70nm以下の無機粒子を分散させた有機溶媒に、脂環式エポキシ樹脂を含有する熱硬化性樹脂を溶解させて混合し、次にこのものから有機溶媒を除去した後に、硬化剤を添加して混合することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、このような製造方法で得られる熱硬化性樹脂組成物においては、光学用途等で用いる場合に、粗大な無機粒子を完全に消失させて一次粒子として充分に分散させ、可視光を無機粒子によって散乱されることなく、透明性を充分なものとすることが求められている。具体的には、乾式シリカを溶媒分散した分散体と脂環式エポキシからなる樹脂が開示されており、このような場合、柔軟性、耐破壊性、増粘抑制効果、ビーズミルの混合等不純物の混入防止、透明性の向上等において工夫の余地があった。
またエポキシ樹脂および無機酸化物粒子を少なくとも含んでなる組成物を硬化させることにより成型したエポキシ樹脂成型体であって、該成型体中に平均粒径が50nm以下の無機酸化物粒子が分散していることを特徴とするエポキシ樹脂成形体が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。ここでは、湿式シリカとエポキシ樹脂が開示されているが、エポキシ樹脂として、ビスフェノールA(アッベ数 34.1)を用いている。このような場合、シリカ濃度を充分なものとし、溶媒脱気時の増粘を抑え、離型性、材料強度、光学特性等を向上する工夫の余地があった。したがって、耐熱性等の基本性能を備えたものであって、光学特性を向上させ、種々の光学部材に好適に適用できるようなものが求められていた。
特開2004−346288号公報(第2頁) 特開2004−250521号公報(第2頁)
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、製造時にゲル化することなく連続生産が可能であり、耐熱性等の基本性能に優れ、しかも高屈折で高い透明性を有する等の光学特性に優れる有機無機複合樹脂組成物及びその光学部材を提供することを目的とするものである。
本発明者等は、有機成分と無機成分とを含む有機無機複合樹脂組成物について種々検討したところ、成形が容易であり、光学用途等種々の用途における材料として有用であることに着目し、特定の構造を有する有機無機複合樹脂組成物を用いると、強度や耐熱性等の優れた物性を有し、透明性と屈折率がいずれも高く、アッベ数が低い等、種々の光学特性に優れたものとなり、光学用途等に好適に用いることができる樹脂組成物となることを見いだした。また、特定の有機成分と無機成分、具体的には、不飽和結合を有する有機成分と不飽和結合を有する無機成分とを用いることにより、上述の優れた光学特性を有する有機無機複合樹脂組成物とすることができることを見いだした。このような有機成分と無機成分とを用いることで、無機成分が均一に分散され、高い透明性を有するだけでなく、特に不飽和結合を有する無機成分(例えば、不飽和結合を有するシリカ)を用いることで、高い屈折率を有する有機無機複合樹脂組成物とすることができることを見いだした。本発明の有機無機複合樹脂組成物は、ガラスにはできない複雑な加工を安価に行うことができ、更に、製造時にゲル化しにくく、光学用途等に好適に用いることができる樹脂組成物を連続生産できることを見いだした。また、特に熱硬化性樹脂を用いた場合に、熱可塑性樹脂では達成できない耐熱性を有することができ、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。更に、レンズ等の光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途、機械部品材料、電気・電子部品材料、自動車部品材料、土木建築材料、成形材料等の様々な用途に好適に適用することができることも見いだし、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、有機成分と無機成分とを含む有機無機複合樹脂組成物であって、上記有機無機複合樹脂組成物は、硬化後の硬化体100質量%に対して不飽和結合量が40質量%以上である有機無機複合樹脂組成物である。
以下に本発明を詳述する。
本発明の有機無機複合樹脂組成物は、硬化後の硬化体(硬化物ともいう。)100質量%に対して不飽和結合を40質量%以上有するものである。本発明において、不飽和結合量とは、不飽和結合を形成する炭素原子、硫黄原子、窒素原子、ホウ素原子、ケイ素原子、リン原子、ゲルマニウム原子、酸素原子、及び、付加する水素原子、ハロゲン原子の合計質量である。すなわち、硬化体100質量%中に含まれる不飽和結合を形成する原子、並びに、該原子に結合している水素原子及びハロゲン原子の合計質量である。具体的には、−CHCHCHCl−CH=CCl−CHCH−構造を有する場合、不飽和結合量は、CH=CCl部分の合計質量を意味する。
また炭素原子が芳香環を形成する場合、硬化体100質量%中に含まれる芳香環の質量%を表すものとする。この場合、芳香環が置換基を有していても、不飽和結合を有しない置換基の質量を含めるのではなく、炭素原子と水素原子とによって構成される芳香環の質量を不飽和結合の合計量の計算に参入することになる。なお、芳香環にハロゲン原子が置換基として結合している場合は、上記定義よりハロゲン原子も含まれる。本発明においては、不飽和結合が芳香環によって構成される形態が好ましい形態の一つである。
上記不飽和結合量が40質量%未満であると、アッベ数を充分に低くすることができず、透明性、屈折率等の光学特性に優れた有機無機複合樹脂組成物とすることができないおそれがある。より好ましくは、43質量%以上であり、更に好ましくは、45質量%以上である。上限としては、70質量%以下であることが好ましい。
上記有機無機複合樹脂組成物において、有機成分の不飽和結合と無機成分の不飽和結合の割合(モル比)としては、〔有機成分の不飽和結合〕/〔無機成分の不飽和結合〕=100/0〜10/90であることが好ましい。より好ましくは、90/10〜10/90であり、更に好ましくは、80/20〜20/80であり、特に好ましくは、60/40〜40/60である。
上記不飽和結合が芳香環に由来する場合、このような芳香環を有する化合物としては、例えば、有機成分における芳香環(例えば、フェニル基、フルオレン骨格、カルバゾール骨格)、二重結合を有するアルケニル基等が挙げられる。なお、不飽和結合を有する化合物は、有機成分、無機微粒子、必要に応じて添加されるその他の成分のいずれかに含まれることとなる。
上記有機無機複合樹脂組成物において、該有機無機複合樹脂組成物の硬化体の不飽和結合量の定量方法としては、元素分析、NMR、IR等により有機無機複合樹脂組成物を分析し、構造等を明らかにした上でH−NMR等で定量分析を行い、不飽和結合を形成する炭素原子、硫黄原子、窒素原子、ホウ素原子、ケイ素原子、リン原子、ゲルマニウム原子、酸素原子、及び、付加する水素原子、ハロゲン原子を定量することにより求めることができる。なお、有機無機複合樹脂組成物としては、本発明の作用効果を発揮する限り特に限定されず、不飽和結合を有さない成分が含まれていてもよい。
上記不飽和結合量は、具体的には、以下の方法により求めることができる。
(1)有機無機複合樹脂組成物を硬化させ硬化体を得る。
(2)上記硬化体及び/又は樹脂組成物を元素分析することにより組成式を求め、IR、NMR測定により該硬化体が有する不飽和結合の存在、及び、該不飽和結合を形成する官能基を特定する。
(3)質量を定量した硬化体及び/又は樹脂組成物、並びに、質量を定量した外部基準を用いて、NMR測定する。
(4)上記(3)のNMR測定において、外部基準のピーク面積と、不飽和結合に由来するピーク面積、外部基準の質量とから、NMR測定に用いた硬化体に含まれる不飽和結合量を算出する。
(5)上記(4)の結果から、硬化体100質量%に含まれる不飽和結合量を求める。
なお、上記(2)及び(3)のNMR測定においては、最適な核種を1つ又は2つ以上選択して、測定することとする。例えば、不飽和結合が芳香環由来のものである場合は、H−NMR単独や、13C−NMRとの組み合わせが好適であり、不飽和結合を形成する原子にフッ素原子が結合している場合は、19F−NMRが好適である。また、用いる外部基準は、各種に応じて適宜選択し、H−NMRの場合では、一般的にTMSが好適である。
上記有機無機複合樹脂組成物は、有機成分が芳香環を有することを必須とし、硬化後の硬化体100質量%に対して芳香環量が40質量%以上である有機無機複合樹脂組成物であることが好ましい。上記有機無機複合樹脂組成物は、芳香環を有する有機成分を必須として含むものであることが好ましく、有機無機複合樹脂組成物に含まれる有機成分としては、該成分中に芳香環を有するものが含まれるものであることが好適である。なお、有機成分としては、有機化合物から構成される成分であればよく、本発明の作用効果を発揮する限り特に限定されず、芳香環を有さない成分が含まれていてもよい。また、上記有機成分としては、無機成分との相溶性に優れ、該成分が有機樹脂に均一に分散されるものであることが好ましい。
上記芳香環量としては、硬化後の硬化体100質量%に対して、40質量%以上である。このような範囲とすることで、アッベ数が充分に低く、透明性、屈折率が充分に高い等の光学特性に優れた有機無機複合樹脂組成物とすることができる。より好ましくは、43質量%以上であり、更に好ましくは、45質量%以上である。上限としては、70質量%以下であることが好ましい。なお、このような芳香環量は、有機成分と無機成分とに含まれる芳香環量をいう。すなわち、有機成分だけが芳香環を持つ場合は、硬化後の硬化体100質量%に対する有機成分中の芳香環の質量%であり、無機成分も芳香環を持つ場合には、硬化後の硬化体100質量%に対する有機成分中の芳香環量及び無機成分中の芳香環量の合計質量%である。無機成分も芳香環を持つ場合の有機成分の芳香環と無機成分の芳香環の割合(モル比)としては、〔有機成分の芳香環〕/〔無機成分の芳香環〕=90/10〜10/90であることが好ましい。より好ましくは、80/20〜20/80であり、更に好ましくは、60/40〜40/60である。
上記有機無機複合樹脂組成物は、無機成分を含むものである。無機成分を含有することで、有機無機複合樹脂組成物のアッベ数を低いものとすることができ、また、熱膨張率を低下させることができる。また、無機成分(無機物質)と有機成分(例えば、樹脂)との屈折率をあわせることで樹脂組成物及びその硬化物の外観を制御し、透明性を発現させることもでき、電気・電子部品材料や光学用途における材料として特に有用なものとすることができる。更に、無機成分を含むことで離型効果を発揮することができる。具体的には、有機成分として例えば熱硬化性樹脂(特に、エポキシ材料)を含む場合、有機成分が接着効果を有することとなり、このような有機無機複合樹脂組成物は硬化させた場合に金型に接着するおそれがある。無機成分を適量加えることにより、離型効果がみられ、金型から容易に剥がれることとなる。
上記無機成分としては、金属や金属化合物等の無機化合物から構成される成分であればよく、特に限定されるものではないが、芳香環を有するものであることが好ましい。無機成分が芳香環を有することにより有機無機複合樹脂組成物に含まれる芳香環量が多くなり、アッベ数を充分に小さくすることができ、本発明の作用効果を充分に発揮することができる。このように、芳香環を有する有機成分(例えば、有機樹脂)と芳香環を有する無機成分(例えば、無機分散体や無機微粒子)とを含む有機無機複合樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。なお、無機成分に含まれる芳香環量としては、上述した芳香環量(有機成分と無機成分とに含まれる芳香環量)、及び、有機成分の芳香環と無機成分の芳香環の割合から求めることができる。
上記無機成分としてはまた、金属酸化物であることが好ましい。より好ましくは、シリカ(シリカ系高分子化合物)である。無機成分がシリカ系高分子化合物であることにより、耐熱性、透明性に優れた有機無機複合樹脂組成物とすることができる。なお、無機成分の詳細は後述する。
上記無機成分としては、芳香環を有するシリカ系高分子化合物あることが好ましい。この場合、上述した芳香環を有することによる特性とシリカ系高分子化合物である特性とを併せ持ち、種々の用途に好適な有機無機複合樹脂組成物とすることができる。このような芳香環を有するシリカ系高分子化合物としては、ポリシロキサン結合と芳香環を必須とするものであり、該化合物の構造としては、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよく、ラダー状、かご状、キュービック状等の構造のポリシルセスキオキサンであることが好適である。具体的には、シリコーンオリゴマーPPSQ−E(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)、シリコーンオリゴマーPPSQ−H(小西化学工業社製、PPSQ−H、数平均分子量2200)等が好ましい。中でも、シリコーンオリゴマーPPSQ−Eがより好ましい。なお、シリコーンオリゴマーPPSQ−Eは、粒子が液相合成法で合成されており、後工程で粉末化されたものであり、後述する湿式無機微粒子に相当するものである。シリコーンオリゴマーPPSQ−Eは、フェニルシリカともいい、構造中にベンゼン環を有する粉末ポリマーシリカであり、紐状の形態であるため、溶液中で凝集せず分散しやすい。
上記シリカ系高分子化合物中の芳香環量としては、ケイ素原子量100質量%に対して、40質量%以上であることが好ましい。このように、上記無機成分は、芳香環を有するシリカ系高分子化合物であり、ケイ素原子量100質量%に対するシリカ系高分子化合物中の芳香環量が40質量%以上である有機無機複合樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。上記シリカ系高分子化合物中の芳香環量が40質量%未満であると、有機無機複合樹脂組成物のアッベ数が充分には小さくならず、光学用途に好適に用いることができないおそれがある。上記芳香環量としてより好ましくは、50質量%以上であり、更に好ましくは、100質量%以上であり、特に好ましくは、200質量%以上である。
上記無機成分は、湿式法により得られたものであることが好ましい。このようにして得られる無機成分としては、微粒子の形態であってもよく、無機微粒子(以下、単に「湿式無機微粒子」ともいう。)であることが好適である。以下、無機成分が無機微粒子の形態である場合について説明するが、無機成分の形態は本発明の作用効果を発揮する限り特に限定されない。また、無機微粒子の形状は、球状に限られず、例えば、楕円球状、立方体状、直方体状、ピラミッド状、針状、柱状、棒状、筒状、りん片状、(六角)板状等の薄片状、紐状等が好適である。
上記無機微粒子がシリカを含む微粒子である場合、珪酸ソーダ水溶液の酸又はアルカリ金属塩による中和、分解反応によりシリカの析出を行うことにより得られるものである。上記無機成分は、湿式無機微粒子であることが好適であるが、例えば、乾式法により製造された無機微粒子等を含有していてもよい。無機成分100質量%中の湿式無機微粒子の含有量としては、10〜100質量%であることが好ましい。より好ましくは、50〜100質量%であり、更に好ましくは、80〜100質量%である。実質的に全ての無機成分が湿式無機微粒子であることが特に好ましい。このように、無機微粒子が湿式材料である形態もまた、本発明の好ましい形態の一つである。また、有機無機複合樹脂組成物に含まれる有機成分としては、芳香環を有するエポキシ化合物であることが好適である。すなわち、有機成分と無機成分とを含む有機無機複合樹脂組成物であって、該無機成分は、湿式法により得られたものである無機系微粒子を必須とするものであり、該有機成分は、不飽和結合を有するエポキシ化合物を必須とする有機無機複合樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記無機成分は、外部添加法と内部析出法のいずれを用いても樹脂成分に好適に配合することができる。これらの中で、外部添加法が樹脂との反応のおそれがないためより好ましい。このようにして配合した無機成分は、有機無機複合樹脂組成物中で一次粒径で分散していることが好適である。すなわち、無機微粒子としては、分散体(無機分散体)である形態が好ましい。上記無機微粒子としてより好ましくは、湿式シリカ分散体である。無機成分が一次粒径で分散している場合、有機無機複合樹脂組成物は濁らず、該有機無機複合樹脂組成物は種々の用途に好適に用いることができるが、一次粒子が凝集して二次粒子化する等して、可視光と同程度の大きさとなると、有機無機複合樹脂組成物が濁るおそれがある。
上記有機成分においては、有機成分が芳香環を有することを必須とし、硬化後の硬化体100質量%に対して芳香環量が40質量%以上であれば特に限定されないが、アッベ数が35以下であることが好ましい。アッベ数が35以下であるとは、「全有機成分のアッベ数の平均値が35以下である」ことを意味するものであり、アッベ数が35を超える有機成分が含まれていてもよい。アッベ数を35以下(全有機成分のアッベ数の平均値が35以下)とすることで、有機無機複合樹脂組成物を光学用途に用いた場合に、光学特性に優れたものとすることができる。35を超えると、光の波長分散を大きくできないおそれがあり、充分な光学特性を発揮せず、種々の光学用途に好適な材料とはならないおそれがある。また、本発明の有機無機複合樹脂組成物を硬化させて光学部材(例えば、レンズ)として用いる場合には、アッベが35以下である効果が顕著に発揮されることとなる。具体的には、本発明の光学部材(レンズ)を高アッベ数のレンズと組み合わせて用いることで、光の分散が小さくなり、解像度があがり、にじみが生じないといった効果が発現する。このような優れた光学特性は組み合わせるレンズのアッベ数の差が大きいほど顕著である。レンズのアッベ数の差は、20以上であることが望ましいが、一般的にレンズのアッベ数は20〜70の範囲であり、高アッベ数のレンズとしてはアッベ数20〜40のレンズが主流であることから、アッベ数が20以上異なるレンズを組み合わせることは容易ではない。少しでもアッベ数の差を大きくするために、本発明のレンズのアッベ数はより小さい方が有利である。具体的には、アッベ数が33.5と36.3との2.8程度の差であっても、上記用途においては、効果の面で顕著な差が生じることとなる。
上記有機成分においては、後述するような好適な形態を適宜組み合わせることによりアッベ数を35以下とすることができる。上記アッベ数として好ましくは、35以下であり、より好ましくは、34以下であり、更に好ましくは、33.5以下であり、特に好ましくは、30以下である。上記有機成分としては、アッベ数が35以下(全有機成分のアッベ数の平均値が35以下)のものであれば特に限定されないが、例えば、アッベ数35以下の有機樹脂が全有機成分中40質量%以上含まれることが好ましい。アッベ数35以下の有機樹脂の割合としてより好ましくは、60質量%以上であり、更に好ましくは、80質量%以上であり、特に好ましくは、100質量%(実質的にすべてがアッベ数35以下のもの)である。
上記有機成分としては、また、有機樹脂成分であることが好適であり、硬化性樹脂、熱可塑性樹脂が好ましい。例えば、プラスチックレンズ用途においては、無機のレンズに比べて加工が容易であり、大きさや形状を自由に変えられ、大量生産にも好適である。現在は、有機成分としてゼオネックスなどの熱可塑性樹脂が加工性の面から良く使われている。熱硬化性樹脂は、熱可塑性樹脂に比べて、加工の面に困難さを伴うことから現在は普及していないが、本発明においては、例えば、後述する特定の離型剤を用いること等により、硬化性樹脂も好適に用いることができる。例えば、金型を用いて連続生産する場合には、熱硬化性樹脂を好適に用いることができる。可溶性樹脂を溶媒に溶解させて塗布して溶媒を除いて成形体を得る方法もあるが、金型等の連続生産で溶媒が含まれている場合には、溶媒が金型の内部に残るため、成形体内部に気泡が生じる可能性がある。一方熱硬化性樹脂においては、金型等で成型するに際して、溶媒に溶解させなくても成形体を得ることができる。したがって、溶媒を実質的に使用しない熱硬化性樹脂においては、成形体に気泡が生じることがなく、この点から有利である。また、耐熱性という観点では熱硬化性樹脂が望まれており、耐熱性を求められるレンズ等の用途においては、より好ましくは、硬化性樹脂である。
上記有機成分は、溶媒を含んでいてもよく、有機成分に含まれる溶媒量としては、有機成分100質量%に対して、20質量%以下であることが好ましい。20質量%を超えると、有機樹脂成分を含む場合に上述したように、成形体に気泡が生じるおそれがある。溶媒量としてより好ましくは、10質量%以下であり、更に好ましくは、5質量%以下であり、特に好ましくは、3質量%以下であり、最も好ましくは、1質量%以下である。
上記硬化性樹脂としては、硬化性を有するとともに、高分子量からオリゴマー程度の分子量を有する樹脂を含有するものであれば特に限定されないが、中でも、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂であることが好適である。硬化性樹脂の形態としては、例えば、(1)液状又は固形の硬化性樹脂からなる形態、(2)液状又は固形の硬化性樹脂と該樹脂成分よりも低分子量の硬化性化合物又は溶剤(非硬化性)等を含有する形態、及び、(3)液状又は固形の非硬化性樹脂と該樹脂成分よりも低分子量の硬化性化合物とを含有する形態等が挙げられる。上記(3)液状又は固形の非硬化性樹脂と該樹脂成分よりも低分子量の硬化性化合物を含有する形態としては、例えば、PMMA等のアクリル樹脂のオリゴマー成分と(メタ)アクリレートモノマー等を含有する形態を挙げることができる。
上記硬化性樹脂として、例えば、グリシジル基及び/又はエポキシ基を少なくとも1つ有する化合物、多価フェノール化合物、重合性不飽和結合を有する化合物、脂環式化合物等を好適に使用することができ、これらの化合物を単独、又は、2種以上の混合物として使用することもできる。これらの中でも、光学特性を優れたものとすることができ、種々の用途に好適に用いることができる点で、芳香環を有するエポキシ化合物を必須とすることが好ましい。このように、上記有機成分は、芳香環を有するエポキシ化合物を必須とする上記有機無機複合樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記芳香環を有するエポキシ化合物としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フルオレンエポキシ(大阪ガスケミカル社製)オンコート EX−1020、フルオレンエポキシ(大阪ガスケミカル社製)オンコート EX−1010等が好ましく、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。より好ましくは、ビスフェノールA、フルオレンエポキシ(大阪ガスケミカル社製)オンコート EX−1020、フルオレンエポキシ(大阪ガスケミカル社製)オンコート EX−1010、オグソールPG100(大阪ガスケミカル社製)、オグソールEG210(大阪ガスケミカル社製)であり、更に好ましくは、ビスフェノールA、オグソールPG100である。なお、本発明の有機成分として好適に用いることができるグリシジル基及び/又はエポキシ基を少なくとも1つ有する化合物、多価フェノール化合物、重合性不飽和結合を有する化合物、脂環式化合物については、後に詳述する。
上記芳香環を有するエポキシ化合物は、有機成分に含まれていればよく、硬化後の硬化体100質量%に対して芳香環量が40質量%以上であれば特に限定されないが、総有機成分中40質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、60質量%以上であり、更に好ましくは、80質量%以上であり、特に好ましくは、実質的にすべてが芳香環を有するエポキシ化合物であることである。
本発明の有機無機複合樹脂組成物の好ましい実施形態は、芳香環を有するエポキシ化合物と芳香環を有するシリカ系高分子化合物とを必須とし、有機成分中の芳香環量及び無機成分中の芳香環量の合計質量が40%以上であり、シリカ系高分子化合物中の芳香環量が、45質量%以上である。すなわち、有機成分と無機成分とを含む有機無機複合樹脂組成物であって、該有機無機複合樹脂組成物は、有機成分が芳香環を有するエポキシ化合物を必須とし、該無機成分が芳香環を有するシリカ系高分子化合物であり、ケイ素原子量100質量%に対するシリカ系高分子化合物中の芳香環量が50質量%以上であり、硬化後の硬化体100質量%に対して芳香環量が40質量%以上である有機無機複合樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。上記シリカ系高分子化合物中の芳香環量及び硬化後の硬化体100質量%に対する芳香環量(有機成分と無機微粒子の両方に含まれる芳香環量)の好ましい範囲は、それぞれ上述したとおりである。また、芳香環を有するエポキシ化合物、及び、芳香環を有するシリカ系高分子化合物の好適な化合物もそれぞれ上述したとおりであり、無機成分と有機成分との組み合わせとしては、上述した化合物を適宜選択して用いることができる。これらの組み合わせの中で、特に好ましい形態としては、ビスフェノールAとシリコーンオリゴマーPPSQ−E又はPPSQ−Hとを含む形態、フルオレンエポキシとシリコーンオリゴマーPPSQ−E又はPPSQ−Hとを含む形態である。
本発明では、硬化性樹脂として、グリシジル基及び/又はエポキシ基を少なくとも1つ有する化合物、多価フェノール化合物、重合性不飽和結合を有する化合物、脂環式化合物等が好適であるが、熱可塑性樹脂等の非硬化性成分と低分子量の硬化性化合物とを含有するものを使用することもできる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンからなるABS樹脂、塩化ビニル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、アセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキシド、ポリエステル、ポリイミド等を挙げることができる。上記硬化性化合物としては、多価フェノール化合物、重合性不飽和結合を有する化合物、及び、グリシジル基及び/又はエポキシ基を少なくとも1つ有する化合物について例示する中から、適宜選択して使用すればよい。
上記有機成分は、分子量が700以上である有機樹脂を必須とするものであることが好ましい。有機成分がこのような分子量を有する有機樹脂を含むことにより、有機無機複合樹脂組成物を硬化させたときに、一体感のあるものとでき、剥離の際の強度が向上し、割れることがなく、好適な材料硬度とすることができる。上記有機成分に必須として含まれる有機樹脂の分子量としては、700〜10000であることが好ましい。分子量が10000を超えると、有機無機複合樹脂組成物の透明性が充分ではなくなるおそれがある。
上記有機成分においては、分子量が700以上である有機樹脂を必須とするものが好適であるが、分子量が700以上の成分(有機樹脂)が有機成分中に30質量%以上含まれることが好ましい。また、成型のしやすさの面から、700以上の成分(具体的には、700〜10000)は90質量%以下とすることが好ましい。分子量が700以上の有機樹脂の含有量としてより好ましくは、35〜80質量%であり、更に好ましくは、40〜70質量%である。このように、分子量が700以上の有機成分を30〜90質量%含んでなる樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。なお、有機樹脂の分子量の測定方法としては、下記のとおりである。
<分子量の測定方法>
上記環状部位及び長鎖炭化水素基含有高分子化合物の分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー社製、商品名「HLC−8220GPC」を用い、下記の条件で測定することができる。
(分子量の測定条件)
カラム:東ソー社製「TSK−GEL SUPER HZM−N 6.0*150」×4本
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.6mL/分
温度:40℃
検量線:ポリスチレン標準サンプル(東ソー社製)を用いて作成。
本発明の有機無機複合樹脂組成物においては、透明性に優れた硬化物を与えることができるものであるが、透明性を向上させると光学部材としての性能が向上し、光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途等の種々の用途に好適に用いることができる樹脂組成物となる。透明性を向上させるには、無機成分が有機無機複合樹脂組成物中で均一に分散していることが好ましく、例えば、無機成分が無機微粒子である場合には(有機無機複合樹脂組成物における無機微粒子)、平均粒径が400nm以下が好ましい。より好ましくは100nm以下であり、更に好ましくは、50nm以下であり、特に好ましくは、20nm以下である。
上記無機微粒子(有機無機複合樹脂組成物における無機微粒子)は、平均粒径が400nm以下が好ましく、より好ましくは、1nm〜400nmのものである。このような粒度分布とすることで、本発明の樹脂組成物の硬化物は、可視光領域でのレイリー散乱が充分に抑制され、透明性に優れるといった種々の優れた光学特性を発揮することができる。
平均粒径が1nm未満であると、無機物の特性である耐熱性に悪影響を与えるおそれがある。また400nmを超えると、無機微粒子が大きいことに起因して可視光が無機微粒子によって散乱され、透明性が低下し、上述した種々の用途に用いることができないおそれがある。無機微粒子の粒度分布としてより好ましくは、一次粒径が1nm〜100nmであり、更に好ましくは、1nm〜50nmであり、特に好ましくは、20nm以下である。なお、本発明における無機微粒子は、平均粒径が上記範囲であるものであることが好ましく、1nm以下の微粒子が含まれていてもよい。また、粒子の形状ではないもの、例えば、ポリマー状のものも含まれていてもよく、このようなポリマー状のものは、小さければ透明性が高く、二次微粒子を作っていても可視光より小さな粒子となるため有機無機複合樹脂組成物が透明なものとなる。このような無機微粒子を含む有機無機複合樹脂組成物(樹脂組成物)としては、(1)100nm以下の粒径を持つシリカとエポキシ材料を含んでなる形態、(2)少なくとも分子量600以上の硬化性材料と粒径100nm以下の無機微粒子を含んでなる形態が好適である。また、(2)の形態においては、無機微粒子がシリカ粒子であることが好ましい。このように、分子量600以上の硬化性物質とシリカ粒子を含んでなる樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記可視光領域でのレイリー散乱は、樹脂組成物を光学用途で用いる場合に、光の波長よりも短い粒子による光の散乱として考慮することが必要となるものである。レイリー散乱の光散乱特性は次式(1)のようになる。
Figure 2008266609
:散乱係数、n:粒子数、d:粒子径、m:反射係数、λ:波長
散乱係数の波長と散乱粒子の大きさに関わるパラメータとして次式(2)が挙げられる。
Figure 2008266609
D:粒子径、λ:波長、α<0.4はレイリー散乱の領域
いずれの式からも短波長の光ほど光散乱性は高くなることが示唆されるが、光実装用途に用いられる光通信波長は近赤外線領域である。したがって、特に光学用途で対象となる可視光領域の光波長でレイリー散乱による光散乱を充分に抑制し、可視光透過性が低下せず、透明性に優れ、その他の性能も充分に優れた樹脂組成物とすることが求められている。
なお、上記無機微粒子の一次粒径の大きさ(平均粒径、粒度分布)は、X線小角散乱法による慣性半径とその散乱強度から求めることができる。X線小角散乱法は、密度不均一領域の電子密度の揺らぎがX線照射時の散乱挙動を変えることによって、100nm以下の粒子のサイズを測定することができるため、特に、分散媒中の一次粒子の分布状態をそのまま把握することができる。
X線小角散乱法では、樹脂が分散媒の場合であっても、硬化前の分散状態を把握できるというメリットがある。その測定原理を簡単に説明する。通常、有機化合物である分散媒と、ナノサイズの無機微粒子とでは、元来、密度・電子状態・結合様式が異なるものであり、両者の界面で電子密度の揺らぎが生じる。密度が不均一な混合物中を単色X線が通過すると、入射方向に対して極めて小さい角度領域(2θ=0〜5゜)で散漫な回折を生じる。この回折強度パターンを解析することで、密度の不均一領域の大きさや形状がわかり、有機/無機ナノコンポジットのモルフォロジーが明らかになるのである。ここで、粒径(密度不均一領域の大きさ)が均一の場合、ギニエの小角散乱強度式より、散乱強度は次式(3)で表される。
Figure 2008266609
式(1)中のqは、数学的には空間をフーリエ変換したものであり、距離の逆数に比例する値(Å−1)であって、散乱角の関数として次式(4)で表される。
Figure 2008266609
ギニエプロットは、X線散乱強度−q値のプロットである。散乱角度の増大により散乱強度の急激な減少を示す領域が小角散乱領域であり、中心ピークの幅は密度の不均一領域のサイズ、すなわち一次粒子の慣性半径とほぼ逆比例する。よって、散乱強度の増減挙動をFunkuchenの方法に適用し、ギニエプロットの右端から順に接線を引いて、各接線の勾配から、慣性半径とその散乱強度を算出すれば、それらの強度比から一次粒子の慣性半径の分布の相対比を求めることができる。
上記無機微粒子の粒子径のその他の測定方法としては、透過型電子顕微鏡(TEM)を好適に用いることができる。TEMでは、有機無機複合樹脂組成物における、無機微粒子の分散状態及び個々の粒子径を評価することができる。組成物が液状樹脂の場合には、液状樹脂を試料とし、組成物が固体の場合や、硬化後の成型物の場合には、これらをミクロトームを用いて、薄膜切片を作成し、これを試料としてTEM像を観察することにより、無機微粒子の一次粒径、分散、凝集状態を確認することができる。
X線小角散乱法による慣性半径の測定やTEMによる観察は、樹脂組成物における無機微粒子の一次粒径や粒度分布又は分散状態を直接に評価する方法として有用である。
また組成物における無機微粒子の分散状態や分散粒径を評価する方法として、別法として、樹脂組成物が液状物の場合や溶媒可溶性の樹脂の場合には、動的光散乱式粒度分布測定法等も採用しうる。通常、適度な微粒子濃度になるように溶媒で希釈したものを測定試料とするために、希釈により微粒子の分散状態が変化することがあるが、分散状態・分布の相対的な比較評価を簡易に行える点で有用である。
以上、組成物における無機微粒子の粒子径(一次粒径、分散粒径)に関する評価方法は、目的に応じて、適宜、選ぶことができる。
本発明の有機無機複合樹脂組成物において、好ましい形態としては、有機成分としてアッベ数35以下の有機樹脂を総有機成分中40%以上(好ましくは60、80%以上)含有し、湿式無機(珪素酸化物)量を10〜40%(好ましくは15〜30)含有する形態であり、より好ましい形態としては、芳香環を有する有機成分を40%以上(80%以上)、湿式シリカを10%以上含んでなる形態であり、更に好ましい形態としては、芳香環を有するエポキシを40%(80%)以上、湿式シリカ分散体を10%以上含んでなる形態である。このように、芳香環を有する硬化物と弱酸性の湿式シリカ分散体からなる有機無機複合樹脂組成物(透明樹脂組成物)もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記有機無機複合樹脂組成物はまた、可とう性を有する成分(可とう性成分)を含むことが好適である。可とう性成分を含むことにより、一体感のある有機無機複合樹脂組成物とできる。上記可とう性成分としては、(1)有機成分とは異なる化合物からなる可とう性成分である形態、(2)有機成分の1種が可とう性成分である形態のいずれも好適に適用することができる。具体的には、−〔−(CH)n−O−〕m− で表されるオキシアルキレン骨格を有する化合物(nは2以上、mは1以上の整数である。好ましくは、nは2〜12、mは1〜1000の整数である。より好ましくは、nは3〜6、mは1〜20の整数である。);高分子エポキシ樹脂(例えば、水添ビスフェノール(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1000、固形水添エポキシ樹脂);液状ニトリルゴム等の液状ゴム、ポリブタジエン等の高分子ゴム、粒径100nm以下の微粒子ゴム等が好ましい。これらの中でもより好ましくは、末端や側鎖や主鎖骨格等に硬化性の官能基を含む化合物である。このように、上記可とう性成分は、硬化性の官能基を含んでなる有機無機複合樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。なお、上記「硬化性の官能基」とは、「エポキシ基、グリシジル基等の熱又は光で硬化する官能基(樹脂組成物を硬化反応をさせる基)」をいう。
上記可とう性成分としては、硬化性の官能基を含む化合物を好適に適用できるが、硬化性の官能基を含む化合物の中でも特に好ましくは、エポキシ基を含む化合物である。
上記可とう性成分の含有量としては、有機成分と無機成分と可とう性成分との合計100質量%中、有機成分を40〜99質量%、無機成分を1〜60質量%、可とう性成分を0.01〜10質量%含むことが好ましい。すなわち、可とう性成分が10%以下である樹脂組成物が好適である。可とう性成分の含有量としてより好ましくは、0.1〜5質量%であり、更に好ましくは、0.5〜1質量%である。
本発明の有機無機複合樹脂組成物としては、上述のように、有機成分と無機成分とを含むものであり、可とう性成分を含むことが好適である。すなわち、(1)可とう性材料(エポキシが好ましい)を含んでなる硬化性物質と無機分散体からなる形態、(2)可とう性を有する材料(可とう性成分)と硬化性材料と粒径100nm以下の無機微粒子を含んでなる形態もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
本発明の有機無機複合樹脂組成物は、120℃で2分間硬化させたときの硬化物の耐曲げ強度が、60MPa以上のものであることが好ましい。上記有機無機複合樹脂組成物は、後述するように、金型を用いて5分以内で硬化させた後、硬化物を金型から取り出し、ポストキュア(ベーク)を行うことが好ましい。この場合、上記硬化物の耐曲げ強度は、ポストキュア(ベーク)を行う前であって、金型を用いて120℃で2分間硬化させたときに得られる硬化物の強度をいう。
このように、無機成分と有機成分とを含む有機無機複合樹脂組成物であって、該有機無機複合樹脂組成物は、可とう性を有する成分を含み、120℃で2分間硬化させたときの硬化物の耐曲げ強度が、60MPa以上である有機無機複合樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記有機無機複合樹脂組成物としては、粘度が10000Pa・s以下であることが好ましい。より好ましくは、1000Pa・s以下であり、更に好ましくは、100Pa・s以下である。
上記有機無機複合樹脂組成物としてはまた、有機成分と無機成分とを含む有機無機複合樹脂組成物であって、該有機無機複合樹脂組成物は、2種以上の有機樹脂と無機微粒子とを溶媒5質量%以下に調製される形態が好ましい。このような形態に調製することにより、連続生産可能となり、一体感を有し、強度が高く、透明性・耐熱性が高い熱硬化性樹脂を得ることができ、500nm透過率80%以上であるレンズ材料(光学材料)として有用な熱硬化性材料を提供することができる。
上記溶媒量としては、混合物(2種以上の有機樹脂と無機微粒子と溶媒(と必要に応じてその他の成分)との混合物)100質量%中、溶媒5質量%以下である。5質量%を超えると発泡や成形体の強度低下のおそれがある。溶媒量としてより好ましくは、3質量%以下であり、更に好ましくは、1質量%以下である。本発明の好ましい形態の一つとして樹脂組成物の粘度上昇を抑えるという観点からは、0.05〜5質量%の溶媒を混合物(樹脂組成物)100質量%中に残すことが好ましい。溶媒の残存量としてより好ましくは、0.1〜3質量%であり、更に好ましくは、0.5〜2質量%である。本発明においては、例えば、高沸点溶媒等を同時にエバポレートすることにより、短期間で溶媒を上記範囲とすることができ、有機無機複合樹脂組成物を好適に得ることができることとなる。上記溶媒としては、2−エチル−1−ヘキサノール、ドデカノール等が好ましい。
上記2種以上の有機樹脂は、分子量が700以上のものと700未満のものとを必須とする2種以上の有機樹脂を含む有機無機複合樹脂組成物であることが好ましい。分子量が700以上のもの(高分子量有機樹脂、高分子材料)と700未満のもの(低分子量有機樹脂)とを必須とすることにより、製造時の粘度低減と製品の機械強度の向上という効果が得られることとなる。
上記有機無機複合樹脂組成物においては、高分子材料と低分子材料とを含むことが好適であるが、これらの調製方法としては、低分子材料と無機微粒子(と必要に応じてその他の成分)とを混合し、溶媒(溶剤)を留去した後、高分子材料を添加する方法が好ましく、混合物(低分子材料と無機微粒子と高分子材料と溶媒(と必要に応じてその他の成分)との混合物)100質量%中、溶媒を5質量%以下となるよう調製してなる形態が好ましい。樹脂(有機無機複合樹脂組成物)形成の際に、溶剤を留去するが、通常は、この際の加熱により高分子材料が無機微粒子と化学結合や物理結合を形成する等して、有機無機複合樹脂組成物の粘度が上昇することとなるが、上記のように混合することで、有機無機複合樹脂組成物の粘度が上昇することなく、好適な樹脂組成物を得ることができる。また、高分子量材料の樹脂組成物へのなじみをよくすることができる。このように、有機成分と無機成分とを含む有機無機複合樹脂組成物を製造する方法であって、該製造方法は、2種以上の有機樹脂と無機微粒子とを混合し、最終的に溶媒5質量%以下で調製する工程を含む有機無機複合樹脂組成物の製造方法もまた、本発明の好ましい実施形態の一つである。このような製造方法としてより好ましくは、上記2種以上の有機樹脂が分子量が700以上のもの(高分子材料)と700未満のもの(低分子材料)とを必須とするものである形態である。更に好ましくは、上記混合工程は、低分子材料と無機微粒子と溶媒とを含む混合物から溶媒の少なくとも一部を除去した後、高分子材料を添加してなる形態である。
上記分子量が700以上の有機樹脂、分子量の測定方法及び有機無機複合樹脂組成物に含まれる無機成分としては、上述と同様であることが好ましい。
上記分子量が700以上のものと700未満のものの割合としては、〔700以上/(樹脂組成物全体)〕=30〜90であることが好ましい。より好ましくは、35〜80であり、更に好ましくは、40〜70である。なお、有機樹脂の具体例としては、上述したとおりである。
上記2種以上の有機樹脂としては、2種以上のエポキシ化合物であることが好ましい。中でも、不飽和結合を有する2種以上のエポキシを含むことが好適である。不飽和結合としては、芳香環に由来するものであることが好ましい。また、無機成分としては、上述したように、シリカであることが好適である。このように、2種以上のエポキシをシリカと溶媒5%以下で混合する樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記有機無機複合樹脂組成物の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、(1)無機成分、有機成分及び溶媒を含む混合物を調製する工程と、(2)上記混合物から溶媒を脱気する脱気工程とを含むものであることが好ましい。
上記(1)の調製工程としては、上記3成分が含まれる混合物が調製できれば特に限定されず、3成分が均一に混合されていればよく、任意の添加(配合)順序、混合方法を用いることができる。更に、上記混合物にはその他の成分が含まれていてもよい。
上記溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、アセトニトリル、クロロホルム、トルエン、キシレン等が好ましい。より好ましくは、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、トルエンである。
上記調製工程としては、100℃以下で調製を行うことが好ましい。
上記調製工程において、有機成分と無機成分と溶媒との割合としては、(有機成分+無機成分)/(有機成分+無機成分+溶媒)=10〜90質量%であることが好ましい。より好ましくは、15〜60質量%である
上記(2)の脱気工程としては、高沸点成分共存下で行われるものであることが好ましい。高沸点成分共存下で脱気することにより、無機成分を高濃度とすることができ、透明性と屈折率がいずれも高く、アッベ数が低い有機無機複合樹脂組成物を得ることができる。また、混合物の増粘を効果的に抑えることができ、連続生産が可能となる。なお、「高沸点成分共存下」とは、脱気工程において、高沸点成分が共存する期間があればよく、該共存期間は、脱気工程の全期間であっても一部の期間であってもよいが、増粘防止のため、全期間であることが好ましい。
上記高沸点成分の添加方法としては、本発明の作用効果を発揮する限り特に限定されず、一括で添加してもよく、滴下して添加してもよく、分割添加等であってもよい。中でも、一括添加が好適である。また、高沸点成分の添加時期(又は添加開始時期)としては特に限定されず、例えば、(1)調製工程の終了後であって、脱気工程の開始前であってもよく、(2)調製工程の中であってもよく、(3)脱気工程の中であってもよい。これらの中でも、増粘防止のため、(1)であることが好ましい。このように、無機成分(無機物)と有機成分(有機物)を混合した後の溶媒を脱気する前に高沸点材料を添加する製造方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記高沸点成分の添加量としては、有機成分と無機成分と脱気前の溶媒と高沸点成分と必要に応じてその他の成分の混合物100質量%に対し、0.01〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.1〜5質量%であり、更に好ましくは、0.5〜3質量%である。
上記高沸点成分の添加量が上記範囲であると、ゲル化の抑制効果が充分であり、しかも、脱気終了後の組成物中に残存する高沸点成分の割合が、後述する好ましい範囲である組成物が比較的低温で短時間で得られやすく好ましい。一方、高沸点成分の添加量が10質量%を超えても、ゲル化の抑制効果は発揮されるものの、脱気終了後の組成物中に残存する高沸点成分の割合が、後述する好ましい上限値を超える組成物が得られやすく、得られた組成物を成型、硬化することにより得られる硬化物の機械的強度等の特性が不充分となる場合がある。また、高沸点成分の添加量が10質量%を超えると、脱気終了後の組成物中に残存する高沸点成分の割合を、後述する好ましい範囲するために、脱気時の加熱温度を高くしたり、脱気時間を長時間にする必要があり、得られる組成物の粘度が高くなり、成型加工適正が低下することがあり、また、経済的にも好ましくない。
なお、高沸点成分は、脱気工程終了時に組成物中に残存することとなる。その割合としては、脱気工程終了時の混合物100質量%中、0.01〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.01〜5質量%であり、更に好ましくは、0.5〜3質量%である。
上記脱気終了後の組成物中に残存する高沸点成分の割合が、上記範囲であると、得られた組成物を成型、硬化することにより得られる硬化物の均質性、透明性、機械的強度に優れるものが得られやすいので好ましい。一方、10質量%を超えると、得られた組成物を成型、硬化した場合に、得られる硬化物の機械的強度が不充分となる場合がある。
上記高沸点成分の残存量は、ガスクロマトグラフィー(GC)で測定することができる。
測定条件としては、下記のとおりである。
(GCの測定条件)
カラム:GLサイエンス社製「DB−17」
キャリアーガス:ヘリウム
流速:1.44mL/分
上記脱気工程においては、溶媒を脱気できる条件であれば特に限定されないが、有機成分の分解や硬化反応、無機成分の凝集が過度におこるのを抑制する条件であることが好ましい。具体的には、脱気温度は200℃以下であることが好ましい。より好ましくは、100℃以下であり、更に好ましくは、80℃以下である。脱気時間としては、72時間以下であることが好ましい。より好ましくは、24時間以下であり、更に好ましくは、2時間以下である。脱気工程における圧力としては、常圧であってもよいが、200torr以下であることが好ましく、100torr以下であることがより好ましい。
上記脱気工程において、脱気工程終了とは、その時点の混合物100質量%に対して、溶媒の含有量が5質量%以下となる場合である。脱気工程終了時の溶媒の含有量としてより好ましくは、3質量%以下であり、更に好ましくは、1質量%以下であり、特に好ましくは0.5質量%以下である。
上記高沸点成分としては、沸点が100℃以上のアルコールであることが好ましい。沸点が100℃未満のアルコールでは、混合物の増粘が充分には防げないおそれがある。高沸点成分としては、沸点が120℃以上のアルコールがより好ましく、沸点が150℃以上のアルコールが更に好ましく、沸点が190℃以上のアルコールが特に好ましい。
上記高沸点アルコールとしては、1級、2級、3級アルコールがあるが、通常、1級、2級が好ましく採用される。また、アルコールとしては、脂肪族飽和アルコール、脂肪族環状アルコール、脂肪族不飽和アルコール、グリコール類、グリコールエーテル・グリコールエステル類、芳香族アルコール、複素環式アルコールが例示される。中でも、脂肪族飽和アルコール、脂肪族環状アルコール、脂肪族不飽和アルコール、グリコール類が好ましく、更に、脂肪族飽和アルコール、脂肪族環状アルコールが好ましい。
上記脂肪族飽和アルコールとしては、アルキル基が直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、また、1級アルコール、2級アルコール、3級アルコール、いずれも採用可能であるが、1級アルコール、2級アルコールが好ましく、特に1級アルコールが好ましい。また、炭素数としては、炭素数4〜36のものが好ましく、更に炭素数4〜18、特に炭素数5〜18、最も炭素数6〜12のものが好ましい。また、脂肪族環状アルコールとしては、炭素数6以上のものが好ましく、特に炭素数6〜36のものが好ましい。
以下、上記製造方法で好適に使用しうるアルコールを例示する。
(1)炭素数4以上の脂肪族飽和アルコール類
<炭素数4〜36の脂肪族1級アルコール>
1−ブタノール、1−アミルアルコール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、1−ノナノール、1−デカノール、1−ウンデカノール、1−ドデカノール、1−トリデカノール、1−テトラデカノール、1−ペンタデタノール、1−ヘキサデカノール、1−ヘプタデカノール、1−オクタデカノール、1−エイコサノール、1−ドコサノール、1−テトラコサノール、1−ヘキサコサノール、1−オクタコサノール等の炭素数4〜36の直鎖状の脂肪族1級アルコール、
イソブチルアルコール、イソアミルアルコール、イソヘキサノール、イソオクタノール、2−エチルヘキサノール、イソノナノール、2−メチルオクタノール、イソデカノール、イソオクタデカノール、2−デシル−1−テトラデカノール等の炭素数4〜36の分岐状の脂肪族1級アルコール、
等の炭素数4〜36の脂肪族飽和1級アルコール;
<炭素数4〜36の脂肪族飽和2級アルコール>
2−ブタノール(sec−ブチルアルコール)、2−ヘキサノール、2−オクタノール等の炭素数4〜36の脂肪族飽和2級アルコール;
等の炭素数4〜36の脂肪族飽和アルコール類。
(2)脂肪族環状アルコール類
シクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、4−エチルシキロヘキサノール、4−t−ブチルシクロヘキサノール等の炭素数6〜36の脂肪族環状アルコール類。
(3)脂肪族不飽和アルコール類
クロチルアルコール、プロパルギルアルコール等の脂肪族不飽和アルコール類。
(4)グリコール類
エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンチルグリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、オクチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、チオジグリコール、スピログリコール等の炭素数2〜36のグリコール類。
(5)グリコールエーテル・グリコールエステル類
エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノアセテート等のグリコールエーテル・グリコールエステル類。
(6)芳香族、複素環式アルコール類
ベンジルアルコール、シンナミルアルコール等の芳香族アルコール類。
フルフリルアルコール等の複素環式アルコール類。
上記製造方法において、製造される有機無機複合樹脂組成物は、有機成分と無機成分とを含むものであるが、有機成分と無機成分としては、上述のものを好適に用いることができる。また、その他の成分や硬化方法等、有機無機複合樹脂組成物に関する記載はすべて上記有機無機複合樹脂組成物の製造方法に好適に適用することができるものである。なお、有機成分として特に好ましくは不飽和結合を有するエポキシ化合物であり、上記有機成分は、不飽和結合を有するエポキシ化合物である有機無機複合樹脂組成物の製造方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。なお、不飽和結合としては、芳香環に由来するものであることが好ましい。
本発明の有機無機複合樹脂組成物は、上記製造方法から得られるものであることが好ましいが、この場合、上記製造方法においては、高沸点成分の共存下で脱気し、高沸点成分は組成物中に残存することから、有機無機複合樹脂組成物に高沸点成分が含まれることとなる。高沸点成分の好ましい形態としては、上述したように、高沸点のアルコールであり、高沸点材料(高沸点アルコール)を含む有機成分(例えば、不飽和結合(好ましくは芳香環)を有する硬化性物質)と無機成分(例えば、無機分散体)からなる有機無機複合樹脂組成物であることが好ましい。このように、沸点100℃以上(好ましくは120℃以上であり、より好ましくは150℃以上であり、更に好ましくは190℃以上である。)のアルコール、有機成分(例えば、熱硬化性材料)、無機成分(例えば、無機酸化物)を含む透明有機無機複合樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記有機無機複合樹脂組成物は、高沸点成分の共存下で製造されるものであることが好適である。このような製造方法によると、製造時にゲル化が抑制され、増粘を効果的に抑えることができ、連続生産が可能となる。更に、得られた有機無機複合樹脂組成物は、粘度が作業性に好適な範囲となり、取り扱い性に優れるものとなる。有機無機複合樹脂組成物の製造直後の粘度としては、0.01〜10000Pa・sであることが好ましい。0.01Pa・s未満であると、成型の際に型からのもれが発生するおそれがあり、10000Pa・sを超えると、材料(得られた有機無機複合樹脂組成物)の取り扱いが困難となるおそれがある。より好ましくは、1〜1000Pa・sであり、更に好ましくは、5〜100Pa・sである。
上記有機無機複合樹脂組成物はまた、製造後の粘度が著しく上昇せず、増粘が効果的に抑制され、製造後の保存安定性に優れるものとなる。有機無機複合樹脂組成物の製造後の粘度としては、製造直後に比べて4℃で1日間保存後が、140%以下であることが好ましい。4℃で1日間保存後の粘度が140%を超えると、保存安定性に優れず、各種用途に好適に用いることができないおそれがある。4℃で1日間保存後の粘度としてより好ましくは、130%以下であり、更に好ましくは、120%以下である。また4℃で6日間保存後の粘度が、240%以下であることが好ましい。4℃で6日間保存後の粘度が240%を超えると、粘度変化により取り扱い時の粘度のばらつきが発生し、安定的な成型が困難となるおそれがある。4℃で6日間保存後の粘度としてより好ましくは、200%以下であり、更に好ましくは、180%以下である。
このように、上記有機無機複合樹脂組成物は、(1)製造直後の粘度が0.01〜10000Pa・sである形態、(2)4℃で1日間保存後の粘度が混合直後に比べて140%以下となる形態、(3)4℃で6日間保存後の粘度が混合直後に比べて240%以下となる形態、であることが好ましい。
上記有機無機複合樹脂組成物の粘度は、下記方法により測定・評価することができる。
<粘度測定・評価方法>
有機無機複合樹脂組成物の40℃、回転速度D=1/s時の粘度をR/Sレオメーター(米国ブルックフィールド社製)にて評価する。
粘度20Pa・s以上ではRC25−1の測定治具を使用し、20未満ではRC50−1の治具を使用する。
D=1/s時点の粘度が測定できないものについては、D=5〜100/sの値を外挿して、有機無機複合樹脂組成物の粘度として評価する。
本発明の有機無機複合樹脂組成物は、有機成分を含むものであり、該有機成分の好適な例は上述したとおりである。すなわち、グリシジル基及び/又はエポキシ基を少なくとも1つ有する化合物、多価フェノール化合物、重合性不飽和結合を有する化合物等の硬化性樹脂、脂環式化合物等が好適である。
以下、本発明の有機樹脂として好適に用いることができるエポキシ及び/又はグリシジル基を少なくとも一つ有する化合物、多価フェノール化合物、重合性不飽和結合を有する化合物、脂環式化合物について説明する。なお、有機成分は、不飽和結合量が多いものが好ましいことから、脂環式化合物等の不飽和結合を有さないものは、有機無機複合樹脂組成物の不飽和結合が40質量%以上となるように含まれることが好適である。
上記有機樹脂は、エポキシ及び/又はグリシジル基を少なくとも一つ有するものであることが好ましい。エポキシ及び/又はグリシジル基を少なくとも一つ有することにより、従来の熱硬化性プラスチック材料と同等の作業性を有しながら、無機ガラスに匹敵する耐熱性を示し、成形、加工性に優れるといった優れた特性を発揮することができる。このように、上記有機無機複合樹脂組成物は、グリシジル基及び/又はエポキシ基を少なくとも1つ有するものである有機無機複合樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記グリシジル基及び/又はエポキシ基を少なくとも1つ有する化合物としては、以下のような化合物等が好適である。ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール等のビスフェノール類とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、及び、これらを上記ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール等のビスフェノール類と更に付加反応させることにより得られる高分子量エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノール、クレゾール、キシレノール、ナフトール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール等のフェノール類とホルムアルデヒド、アセトアルテヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、ジシクロペンタジエン、テルペン、クマリン、パラキシリレングリコールジメチルエーテル、ジクロロパラキシリレン、ビスヒドロキシメチルビフェニル等を縮合反応させて得られる多価フェノール類を更にエピハロヒドリンと縮合反応することにより得られるノボラック・アラルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;テトラメチルビフェノール、テトラメチルビスフェノールF、ハイドロキノン、ナフタレンジオール等とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる芳香族結晶性エポキシ樹脂、及び、更に上記ビスフェノール類やテトラメチルビフェノール、テトラメチルビスフェノールF、ハイドロキノン、ナフタレンジオール等を付加反応させることにより得られる芳香族結晶性エポキシ樹脂の高分子量体;上記ビスフェノール類やテトラメチルビフェノール、テトラメチルビスフェノールF、ハイドロキノン、ナフタレンジオール等の芳香族骨格を水素化した脂環式グリコール類やエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、PEG600、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、PPG、グリセロール、ジグリセロール、テトラグリセロール、ポリグリセロール、トリメチロールプロパン及びその多量体、ペンタエリスリトール及びその多量体、グルコース、フルクトース、ラクトース、マルトース等の単/多糖類等とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂;(3,4−エポキシシクロヘキサン)メチル3´,4´−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート等のエポキシシクロへキサン骨格を有するエポキシ樹脂;テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、安息香酸とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ヒダントインやシアヌール酸、メラミン、ベンゾグアナミンとエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる室温で固形の3級アミン含有グリシジルエーテル型エポキシ樹脂。中でも、上記脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂やエポキシシクロヘキサン骨格を有するエポキシ樹脂が光照射時の外観劣化抑制を目的とした場合はより好適に用いられる。
上記多価フェノール化合物としては、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する芳香族骨格同士が、炭素数が2以上の有機骨格を介して結合してなる構造を有するものを好適に使用することができる。上記多価フェノール化合物において、芳香族骨格とは、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する芳香環である。この芳香族骨格は、フェノール型等の構造を有する部位であり、フェノール型、ハイドロキノン型、ナフトール型、アントラセノール型、ビスフェノール型、ビフェノール型等が好適である。これらの中でもフェノール型が好ましい。また、これらフェノール型等の構造を有する部位は、アルキル基、アルキレン基、アラルキル基、フェニル基、フェニレン基等によって適宜置換されていてもよい。
上記多価フェノール化合物において、有機骨格とは、多価フェノール化合物を構成する芳香環骨格同士を結合し、炭素原子を必須とする部位を意味するものである。また、炭素数が2以上の有機骨格としては、環構造を有することが好ましい。環構造とは、脂肪族環、芳香族環等といった環を有する構造であり、環としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が好ましい。更に、有機骨格としては、トリアジン環、フォスファゼン環等の窒素原子を含有する環構造及び/又は芳香環を有することが好ましく、中でもトリアジン環及び/又は芳香環を有することが特に好ましい。なお、多価フェノール化合物は、上記以外の芳香族骨格や有機骨格を有していてもよく、また、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する芳香族骨格同士が、炭素数が1の有機骨格(メチレン)を介して結合してなる構造を同時に有していてもよい。
上記多価フェノール化合物は、有機骨格として窒素原子を含有する環構造を有する場合には窒素原子含有率が1〜50質量%であることが好ましい。1質量%未満であると、得られる樹脂組成物の難燃性が充分なものとはならないおそれがあり、50質量%を超えると、物性と難燃性とが充分に両立されたものとはならないおそれがある。より好ましくは、3〜30質量%であり、更に好ましくは、5〜20質量%である。なお、窒素原子含有率とは、多価フェノール化合物を100質量%としたときの多価フェノール化合物を構成する窒素原子の質量割合である。
本発明において使用できる多価フェノール化合物としてはまた、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する芳香族骨格を形成する化合物(以下、芳香族骨格を形成する化合物ともいう)と、炭素数が2以上の有機骨格を形成する化合物(以下、有機骨格を形成する化合物ともいう)とを必須成分とする反応原料によって製造されるものであることが好適である。
上記反応原料とは、芳香族骨格を形成する化合物と、有機骨格を形成する化合物とを必須成分とし、必要により用いられる他の化合物を含み、また、反応を行うために必要により用いられる溶剤等を含む混合物を意味する。なお、芳香族骨格を形成する化合物、及び、有機骨格を形成する化合物はそれぞれ1種又は2種以上を用いることができる。
上記芳香族骨格を形成する化合物としては、芳香族環に1個又は2個以上のフェノール性水酸基が結合する化合物であればよく、1個又は2個以上の水酸基以外の置換基が結合していてもよい。上記芳香族骨格を形成する化合物としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、p−エチルフェノール、混合クレゾール、p−ヒドロキシエチルフェノール、p−n−プロピルフェノール、o−イソプロピルフェノール、p−イソプロピルフェノール、混合イソプロピルフェノール、o−sec−ブチルフェノール、m−tert−ブチルフェノ−ル、p−tert−ブチルフェノール、ペンチルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、2,4−ジ−s−ブチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2,6−ジ−s−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、3−メチル−4−イソプロピルフェノール、3−メチル−5−イソプロピルフェノール、3−メチル−6−イソプロピルフェノール、2−t−ブチル−4−メチルフェノール、3−メチル−6−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−4−エチルフェノール等が好適である。また、フェノール性水酸基を2個以上有する化合物としては、例えば、カテコール、レゾルシン、ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF等が好適であり、α−ナフトール、β−ナフトール等の多環式の芳香族骨格を形成する化合物も好適である。
上記有機骨格を形成する化合物としては、(1)α−ヒドロキシアルキル基、α−アルコキシアルキル基及びα−アセトキシアルキル基のいずれかを有する芳香族系化合物、(2)不飽和結合を有する化合物、(3)アルデヒド、ケトン等のカルボニル基を有する化合物、(4)これら特定の活性基又は活性部位を2種類以上有する化合物、(5)アミノ基、ヒドロキシアルキルアミノ基及びジ(ヒドロキシアルキル)アミノ基のいずれかを有する化合物等が好適である。
上記(1)の芳香族系化合物としては、p−キシリレングリコール、p−キシリレングリコールジメチルエーテル、p−ジアセトキシメチルベンゼン、m−キシリレングリコール、m−キシリレングリコールジメチルエーテル、m−ジアセトキシメチルベンゼン、p−ジヒドロキシイソプロピルベンゼン、p−ジメトキシイソプロピルベンゼン、p−ジアセトキシイソプロピルベンゼン、トリヒドロキシメチルベンゼン、トリヒドロキシイソプロピルベンゼン、トリメトキシメチルベンゼン、トリメトキシイロプロピルベンゼン、4,4´−ヒドロキシメチルビフェニル、4,4´−メトキシメチルビフェニル、4,4´−アセトキシメチルビフェニル、3,3´−ヒドロキシメチルビフェニル、3,3´−メトキシメチルビフェニル、3,3´−アセトキシメチルビフェニル、4,4´−ヒドロキシイソプロピルビフェニル、4,4´−メトキシイソプロピルビフェニル、4,4´−アセトキシイソプロピルビフェニル、3,3´−ヒドロキシイソプロピルビフェニル、3,3´−メトキシイソプロピルビフェニル、3,3´−アセトキシイソプロピルビフェニル、2,5−ヒドロキシメチルナフタレン、2,5−メトキシメチルナフタレン、2,5−アセトキシメチルナフタレン、2,6−ヒドロキシメチルナフタレン、2,6−メトキシメチルナフタレン、2,6−アセトキシメチルナフタレン、2,5−ヒドロキシイソプロピルナフタレン、2,5−メトキシイソプロピルナフタレン、2,5−アセトキシイソプロピルナフタレン、2,6−ヒドロキシイソプロピルナフタレン、2,6−メトキシイソプロピルナフタレン、2,6−アセトキシイソプロピルナフタレン等が好適である。
上記(2)の不飽和結合を有する化合物としては、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、トリビニルベンゼン、トリイソプロペニルベンゼン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、テルペン類等が好適である。上記(3)のカルボニル基を有する化合物としては、炭素数5〜15の各種アルデヒド類又はケトン類が好適であり、ベンズアルデヒド、オクタナール、シクロヘキサノン、アセトフェノン、ヒドロキシベンズアルデヒド、ヒドロキシアセトフェノン、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド、グリオキザール、グルタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、シクロヘキサンジアルデヒド、トリシクロデカンジアルデヒド、ノルボルナンジアルデヒド、スベルアルデヒド等が好ましい。
上記(4)の特定の活性基又は活性部位を2種類以上有する化合物において、カルボニル基と不飽和結合とを有する化合物としては、イソプロペニルベンズアルデヒド、イソプロペニルアセトフェノン、シトロネラール、シトラール、ペリルアルデヒド等が好適である。また、α−ヒドロキシアルキル基又はα−アルコキシアルキル基と、不飽和結合とを有する化合物としては、ジヒドロキシメチルスチレン、ジヒドロキシメチルα−メチルスチレン、ジメトキシメチルスチレン、ジメトキシメチルα−メチルスチレン、ヒドロキシメチルジビニルベンゼン、ヒドロキシメチルジイソプロピルベンゼン、メトキシメチルジビニルベンゼン、メトキシメチルジイソプロピルベンゼン等が好適である。
上記(5)のアミノ基、ヒドロキシアルキルアミノ基、及び、ジ(ヒドロキシアルキル)アミノ基のいずれかを有する化合物としては、メラミン、ジヒドロキシメチルメラミン、トリヒドロキシメチルメラミン、アセトグアナミン、ジヒドロキシメチルアセトグアナミン、テトラヒドロキシメチルアセトグアナミン、ベンゾグアナミン、ジヒドロキシメチルベンゾグアナミン、テトラヒドロキシメチルベンゾグアナミン、尿素、ジヒドロキシメチル尿素、テトラヒドロキシメチル尿素、エチレンジアミン、ジヒドロキシメチルエチレンジアミン、テトラヒドロキシメチルエチレンジアミン、ヘキサエチレンジアミン、ジヒドロキシメチルヘキサエチレンジアミン、テトラヒドロキシメチルヘキサエチレンジアミン、p−キシリレンジアミン、p−ジヒドロキシメチルアミノベンゼン、m−キシリレンジアミン、m−ジヒドロキシメチルアミノベンゼン、4,4´−オキシジアニリン、4,4´−オキシジヒドロキシメチルアニリン、4,4´−メチレンジアニリン、4,4´−メチレンジヒドロキシメチルアニリン等が好適である。これらの中でも、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン等のトリアジン骨格を有する化合物等が好ましい。
上記反応原料としては、芳香族骨格を形成する化合物(以下、原料Aともいう)と、上記(1)〜(5)のうちの少なくともいずれか1種の有機骨格を形成する化合物(以下、原料Bともいう)とを必須成分とすることが好ましい。より好ましくは、原料Aと、上記(1)〜(4)のうちの少なくともいずれか1種の有機骨格を形成する化合物(以下、原料B1ともいう)と、上記(5)の有機骨格を形成する化合物(以下、原料B2ともいう)とを必須成分とすることである。この場合の反応原料の反応順序としては、反応開始前に原料A、原料B1及び原料B2をあらかじめ混合させておき、原料Aと原料B1との反応が完結する前に原料B2を反応させることが好ましく、例えば、原料Aと原料B1と原料B2とを同時に反応させるか、又は、一段階目に原料Aと原料B2とを反応させた後、二段階目に更に原料B1を反応させることが好ましい。これにより、難燃性をより確実に向上させることができ、また、電子材料等の成形材料や接着剤、塗料等に好適に適用することができるものとなる。より好ましくは、一段階目に原料Aと原料B2とを反応させた後、二段階目に更に原料B1を反応させることである。
上記多価フェノール化合物を製造するときに用いる原料Aと原料Bとの配合モル比としては、1/1以上が好ましく、また、10/1以下が好ましい。1/1よりも原料Aが少ないと、本発明の樹脂組成物の製造の際にゲル化するおそれがあり、10/1よりも原料Aが多いと、樹脂組成物の難燃性が発現しにくくなるおそれがある。より好ましくは、樹脂組成物が高温度で高強度を発揮することが可能となることから、1.3/1以上であり、また、8/1以下である。更に好ましくは、1.8/1以上であり、また、5/1以下である。
上記多価フェノール化合物は、上記反応原料を触媒の存在下に反応させてなるものであることが好ましい。多価フェノール化合物の製造に用いることができる触媒としては、上記反応原料を反応させることができるものであればよい。上記触媒において原料B1を反応させる場合には、酸触媒としては、塩酸、硫酸、リン酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の無機酸や有機スルホン酸の他、三フッ化ホウ素又はその錯体、トリフルオロメタンスルホン酸、ヘテロポリ酸等の超強酸、活性白土、合成ゼオライト、スルホン酸型イオン交換樹脂、パーフルオロアルカンスルホン酸型イオン交換樹脂等の固体酸触媒等が好適である。上記原料B1を反応させる場合の触媒の使用量としては、それぞれの酸強度によって適宜設定されるが、原料B1に対して、0.001〜100質量%が好ましい。これらの範囲で均一系となるような触媒としては、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、三フッ化ホウ素等が好ましく、これらの使用量としては0.001〜5質量%が好ましい。不均一系のイオン交換樹脂や活性白土等の使用量としては、1〜100質量%が好ましい。
上記触媒において原料B2を反応させる場合には、塩基性触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物及びこれらの酸化物、アンモニア、1〜3級アミン類、ヘキサメチレンテトラミン、炭酸ナトリウム等が好適であり、酸触媒としては、塩酸、硫酸、スルホン酸等の無機酸、シュウ酸、酢酸等の有機酸、ルイス酸、酢酸亜鉛等の2価金属塩等の塩基性触媒が好適である。また、原料B2の反応後に必要に応じて、中和、水洗して塩類等の不純物を除去することが好ましい。なお、触媒としてアミン類を使用した場合には中和、水洗等の不純物除去は行わないことが望ましい。
上記多価フェノール化合物は、原料Aにおける芳香環と、原料Bにおける置換基とが縮合して得られることになるが、この際に多価フェノール化合物と共にカルボン酸やアルコール、水等が副生することになる。このように副生するカルボン酸やアルコール、水は、反応中や反応後に減圧下で留去したり、溶媒との共沸等の操作を行ったりすることにより煩雑な工程を必要とすることなく反応生成物から容易に取り除くことが可能である。なお、反応生成物とは、上記のように反応させることにより得られるものすべてを含む混合物を意味し、多価フェノール化合物や副生するカルボン酸やアルコール、水の他に、必要に応じて用いられる触媒や後述する溶媒等を含むことになる。
上記多価フェノール化合物の製造での反応条件において、反応温度としては、副生するカルボン酸や、アルコール、水等が揮発して留去される温度とすることが好ましく、100〜240℃とすることが好ましい。より好ましくは、110〜180℃であり、更に好ましくは、130〜160℃である。このように、多価フェノール化合物の製造では、カルボン酸等が副生することになるが、反応生成物から容易に取り除くことが可能である。また、使用する原料、触媒の種類や量、反応温度等に依存するが、反応時間としては、原料Aと原料Bとの反応が実質的に完結するまで、すなわちカルボン酸やアルコール、水が生じなくなるまでとすることが好ましく、30分〜24時間とすることが好ましい。より好ましくは、1〜12時間である。
上記多価フェノール化合物の製造における反応方法としては、溶媒の存在下で反応を行ってもよく、溶媒としては、原料Aと原料Bとの反応に不活性な有機溶媒を用いることが好ましく、トルエン、キシレン、モノクロルベンゼン、ジクロルベンゼン等を用いることができる。溶媒を用いることにより、原料を溶媒中に溶解させて均質化することができる。また、原料B1を反応させる場合には無溶媒で反応を行うことが好ましい。
上記多価フェノール化合物の製造において、反応生成物からカルボン酸、アルコール、水等の副生物や溶媒を取り除く場合、0.1〜10kPaの減圧下、上記温度で蒸留することにより留去させることが好適である。このとき、未反応のフェノール類も留去されることもあるため、反応が実質的に完結した後に行うことが好ましい。
上記重合性不飽和結合を有する化合物としては、重合性不飽和結合を有するものであればよいが、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、フマレート基及びマレイミド基からなる群より選択される1種以上の基を有する化合物であることが好ましい。すなわち、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、ビニル基を有する化合物、フマレート基を有する化合物及びマレイミド基を有する化合物よりなる群から選択される1種以上の化合物であることが好ましい。なお、本発明においては、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基とメタクリロイル基とを意味するものであり、アクリロイル基を有する場合、アクリロイル基中にビニル基を有することになるが、この場合には、アクリロイル基とビニル基とを有することとしないで、アクリロイル基を有することとする。また、フマレート基とは、フマレート構造を有する基、すなわちフマル酸エステルの構造を有する基を意味する。
上記(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、(ポリ)エステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、(ポリ)エーテル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、アルキレン(メタ)アクリレート、芳香環を有する(メタ)アクリレート、脂環構造を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらはそれぞれ1種又は2種以上を用いることができる。
上記(ポリ)エステル(メタ)アクリレートとは、主鎖にエステル結合を1つ以上有する(メタ)アクリレートであり、例えば、脂環式変性ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート(日本化薬社製の「R−629」又は「R−644」)、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド変性フタル酸(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性コハク酸(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の単官能(ポリ)エステル(メタ)アクリレート類;
ピバリン酸エステルネオペンチルグリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、エピクロルヒドリン変性フタル酸ジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパン又はグリセリン1モルに1モル以上のε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン又はメチルバレロラクトン等の環状ラクトン化合物を付加して得たトリオールのモノ、ジ又はトリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトール又はジトリメチロールプロパン1モルに1モル以上のε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン又はメチルバレロラクトン等の環状ラクトン化合物を付加して得たトリオールのモノ、ジ、トリ又はテトラ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトール1モルに1モル以上のε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン又はメチルバレロラクトン等の環状ラクトン化合物を付加して得たトリオールのモノ、又はポリ(メタ)アクリレートのトリオール、テトラオール、ペンタオール又はヘキサオール等の多価アルコールのモノ(メタ)アクリレート又はポリ(メタ)アクリレート;
(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコール、(ポリ)ブチレングリコール、(ポリ)ペンタンジオール、(ポリ)メチルペンタンジオール、(ポリ)ヘキサンジオール等のジオール成分と、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ヘット酸、ハイミック酸、クロレンディック酸、ダイマー酸、アルケニルコハク酸、セバチン酸、アゼライン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、2−ナトリウムスルホテレフタル酸、2−カリウムスルホテレフタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、オルソフタル酸、4−スルホフタル酸、1,10−デカメチレンジカルボン酸、ムコン酸、シュウ酸、マロン酸、グルタン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の多塩基酸からなるポリエステルポリオールの(メタ)アクリレート;上記ジオール成分と多塩基酸とε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン又はメチルバレロラクトンとからなる環状ラクトン変性ポリエステルジオールの(メタ)アクリレート等の多官能(ポリ)エステル(メタ)アクリレート類等が好適である。
上記ウレタン(メタ)アクリレートとは、主鎖にウレタン結合を1つ以上有する(メタ)アクリレートであり、少なくとも1つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有するヒドロキシ化合物とイソシアネート化合物との反応によって得られる化合物であることが好適である。
上記少なくとも1つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有するヒドロキシ化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート又はグリシジル(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸付加物、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の各種の水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物や、上記の水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とε−カプロラクトンとの開環反応物等が好適である。
上記イソシアネート化合物としては、例えば、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3´−ジメチルジフェニル−4,4´−ジイソシアネート、3,3´−ジエチルジフェニル−4,4´−ジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類;イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環構造のジイソシアネート類;イソシアネートモノマーの一種類以上のビュレット体又は、上記ジイソシアネート化合物を3量化したイソシアヌレート体等のポリイソシアネート;これらイソシアネート化合物と各種のポリオールとのウレタン化反応によって得られるポリイソシアネート等が好適である。
上記ポリイソシアネートの製造原料としてのポリオールとしては、例えば、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)ブチレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコール等の(ポリ)アルキレングリコール類;エチレングリコール、プロパンジオール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等のアルキレングリコール類の、エチレンオキシド変性物、プロピレンオキシド変性物、ブチレンオキシド変性物、テトラヒドロフラン変性物、ε−カプロラクトン変性物、γ−ブチロラクトン変性物、δ−バレロラクトン変性物、メチルバレロラクトン変性物等;
エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、プロピレングリコールとテトラヒドロフランの共重合体、エチレングリコールとテトラヒドロフランの共重合体、ポリイソプレングリコール、水添ポリイソプレングリコール、ポリブタジエングリコール、水添ポリブタジエングリコール等の炭化水素系ポリオール類;アジピン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸と、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール等のポリオールとのエステル化反応物である脂肪族ポリエステルポリオール類;テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸とネオペンチルグリコール等のポリオールとのエステル化反応物である芳香族ポリエステルポリオール類;ポリカーボネートポリオール類;アクリルポリオール類;ポリテトラメチレンヘキサグリセリルエーテル(ヘキサグリセリンのテトラヒドロフラン変性物)等の多価水酸基化合物;上記の多価水酸基含有化合物の末端エーテル基のモノ及び多価水酸基含有化合物;上記の多価水酸基含有化合物と、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、イタコン酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸等のジカルボン酸とのエステル化により得られる多価水酸基含有化合物;グリセリン等の多価水酸基化合物と、動物、植物の脂肪酸エステルとのエステル交換反応により得られるモノグリセリド等の多価水酸基含有化合物等が好適である。
上記エポキシ(メタ)アクリレートとは、1官能以上のエポキシドと(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートであり、エポキシドとしては、例えば、(メチル)エピクロルヒドリンと、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールS、水添ビスフェノールF、それらのエチレンオキシド、プロピレンオキシド変性物等から合成されるエピクロルヒドリン変性水添ビスフェノール型エポキシ樹脂;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート等の脂環式エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート等のヘテロ環含有のエポキシ樹脂等の脂環式エポキシド;
(メチル)エピクロルヒドリンと、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF、それらのエチレンオキシド、プロピレンオキシド変性物等から合成されるエピクロルヒドリン変性ビスフェノール型のエポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエンと各種フェノール類と反応させて得られる各種ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のエポキシ化物;2,2´,6,6´−テトラメチルビフェノールのエポキシ化物、フェニルグリシジルエーテル等の芳香族エポキシド;
(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)ブチレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類の(ポリ)グリシジルエーテル;グリコール類のアルキレンオキシド変性物の(ポリ)グリシジルエーテル;トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ジグリセリン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の脂肪族多価アルコールの(ポリ)グリシジルエーテル;脂肪族多価アルコールのアルキレンオキシド変性物の(ポリ)グリシジルエーテル等のアルキレン型エポキシド;
アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボン酸のグリシジルエステル、多価アルコールと多価カルボン酸とのポリエステルポリオールのグリシジルエーテル;グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレートの共重合体;高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化大豆油、エポキシ化ひまし油、エポキシ化ポリブタジエン等の脂肪族エポキシ樹脂等が好適である。
上記(ポリ)エーテル(メタ)アクリレートとは、主鎖にエーテル結合を1つ以上有する(メタ)アクリレートであり、例えば、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性ブチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、2−メトキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の単官能(ポリ)エーテル(メタ)アクリレート類;
ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、プロピレングリコールとテトラヒドロフランの共重合体、エチレングリコールとテトラヒドロフランの共重合体、ポリイソプレングリコール、水添ポリイソプレングリコール、ポリブタジエングリコール、水添ポリブタジエングリコール等の炭化水素系ポリオール類、ポリテトラメチレンヘキサグリセリルエーテル(ヘキサグリセリンのテトラヒドロフラン変性物)等の多価水酸基化合物と、(メタ)アクリル酸とから誘導される多官能(メタ)アクリレート類;ネオペンチルグリコール1モルに1モル以上のエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド及び/又はテトラヒドロフラン等の環状エーテルを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート;
ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類のアルキレンオキシド変性体のジ(メタ)アクリレート;水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、水添ビスフェノールS等の水添ビスフェノール類のアルキレンオキシド変性体のジ(メタ)アクリレート;トリスフェノール類のアルキレンオキシド変性体のジ(メタ)アクリレート;水添トリスフェノール類のアルキレンオキシド変性体のジ(メタ)アクリレート;p,p´−ビフェノール類のアルキレンオキシド変性体のジ(メタ)アクリレート;水添ビフェノール類のアルキレンオキシド変性体のジ(メタ)アクリレート;p,p´−ジヒドロキシベンゾフェノン類のアルキレンオキシド変性体のジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパン又はグリセリン1モルに1モル以上のエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド及び/又はテトラヒドロフラン等の環状エーテル化合物を付加して得たトリオールのモノ、ジ又はトリ(メタ)アクリレート;
ペンタエリスリトール又はジトリメチロールプロパン1モルに1モル以上のエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド及び/又はテトラヒドロフラン等の環状エーテル化合物を付加して得たトリオールのモノ、ジ、トリ又はテトラ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトール1モルに1モル以上のエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド及び/又はテトラヒドロフラン等の環状エーテル化合物を付加して得たトリオールのモノ又はポリ(メタ)アクリレートのトリオール、テトラオール、ペンタオール、ヘキサオール等の多価アルコールの単官能(ポリ)エーテル(メタ)アクリレート又は多官能(ポリ)エーテル(メタ)アクリレート類等が好適である。
上記アルキル(メタ)アクリレート又はアルキレン(メタ)アクリレートとは、主鎖が直鎖アルキル、分岐アルキル、直鎖アルキレン基又は分岐アルキレン基であり、側鎖又は末端にハロゲン原子及び/又は水酸基を有していてもよい(メタ)アクリレートであり、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ネリル(メタ)アクリレート、ゲラニル(メタ)アクリレート、ファルネシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート、トランス−2−ヘキセン(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート類;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレートの炭化水素ジオールのジ(メタ)アクリレート類;
トリメチロールプロパンのモノ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレート又はトリ(メタ)アクリレート(以下、ジ、トリ、テトラ等の多官能の総称として「ポリ」を用いる。)、グリセリンのモノ(メタ)アクリレート又はポリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのモノ(メタ)アクリレート又はポリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンのモノ(メタ)アクリレート又はポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのモノ(メタ)アクリレート又はポリ(メタ)アクリレートのトリオール、テトラオール、ヘキサオール等の多価アルコールのモノ(メタ)アクリレート又はポリ(メタ)アクリレート類;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート類;2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等の臭素原子を持つ(メタ)アクリレート;
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、ヘキサデカフルオロノニル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−8−メチルデシル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のフッ素原子を有する(メタ)アクリレート類等が好適である。
上記芳香環を有する(メタ)アクリレートとは、主鎖又は側鎖に芳香環を有する(メタ)アクリレートであり、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジルアクリレート等の単官能(メタ)アクリレート類;ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールFジアクリレート、ビスフェノールSジアクリレート等のジアクリレート類等が好適である。
上記脂環構造を有する(メタ)アクリレートとは、主鎖又は側鎖に、構成単位に酸素原子又は窒素原子を含んでいてもよい脂環構造を有する(メタ)アクリレートであり、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、ビシクロヘプチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ビシクロペンチルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデシル(メタ)アクリレート、ビシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ビシクロオクチル(メタ)アクリレート、トリシクロヘプチル(メタ)アクリレート、コレステロイド骨格置換(メタ)アクリレート等の脂環構造を有する単官能(メタ)アクリレート類;水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、水添ビスフェノールS等の水添ビスフェノール類のジ(メタ)アクリレート、水添トリスフェノール類のジ(メタ)アクリレート、水添p,p´−ビフェノール類のジ(メタ)アクリレート;「カヤラッドR684」(日本化薬社製)等のジシクロペンタン系ジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシ(メタ)アクリレート等の環状構造を持つ多官能(メタ)アクリレート類;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、モルフォリノエチル(メタ)アクリレート等の構造中に酸素原子及び/又は窒素原子を有する脂環式アクリレート等が好適である。
上記(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、(メタ)アクリル酸ポリマーとグリシジル(メタ)アクリレートとの反応物又はグリシジル(メタ)アクリレートポリマーと(メタ)アクリル酸との反応物等のポリ(メタ)アクリル(メタ)アクリレート;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリレート;トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート等のイソシアヌル(メタ)アクリレート;ヘキサキス[((メタ)アクリロイルオキシエチル)シクロトリフォスファゼン]等のフォスファゼン(メタ)アクリレート;ポリシロキサン骨格を有する(メタ)アクリレート;ポリブタジエン(メタ)アクリレート;メラミン(メタ)アクリレート等を用いてもよい。これらの(メタ)アクリロイル基を有する化合物の中でも、1分子中に1〜6個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましい。
上記ビニル基を有する化合物としては、他末端がハロゲン原子、水酸基又はアミノ基で置換されていてもよいアルキルビニルエーテル(以下、アルキルビニルエーテルともいう)、他末端がハロゲン原子、水酸基又はアミノ基で置換されていてもよいシクロアルキルビニルエーテル(以下、シクロアルキルビニルエーテルともいう)、ビニルエーテル基がアルキレン基と結合し、更に置換基を有していてもよいアルキル基、シクロアルキル基及び芳香族基からなる群より選択される1種以上の基と、エーテル結合、ウレタン結合及びエステル結合からなる群より選択される1種以上の結合を介して結合している構造を有するモノビニルエーテル、ジビニルエーテル及びポリビニルエーテル(以下、モノビニルエーテル、ジビニルエーテル及びポリビニルエーテルともいう)等が挙げられる。これらはそれぞれ1種又は2種以上を用いることができる。
上記アルキルビニルエーテルとしては、例えば、メチルビニルエーテル、ヒドロキシメチルビニルエーテル、クロロメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、3−クロロプロピルビニルエーテル、3−アミノプロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、4−アミノブチルビニルエーテル、ペンチルビニルエーテル、イソペンチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールモノビニルエーテル、ヘプチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、イソオクチルビニルエーテル、ノニルビニルエーテル、イソノニルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、イソデシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、イソドデシルビニルエーテル、トリデシルビニルエーテル、イソトリデシルビニルエーテル、ペンタデシルビニルエーテル、イソペンタデシルビニルエーテル、ヘキサデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、メチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル等が挙げられる。
上記シクロアルキルビニルエーテルとしては、例えば、シクロプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシシクロプロピルビニルエーテル、2−クロロシクロプロピルビニルエーテル、シクロプロピルメチルビニルエーテル、シクロブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシシクロブチルビニルエーテル、3−クロロシクロブチルビニルエーテル、シクロブチルメチルビニルエーテル、シクロペンチルビニルエーテル、3−ヒドロキシシクロペンチルビニルエーテル、3−クロロシクロペンチルビニルエーテル、シクロペンチルメチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、4−ヒドロキシシクロへキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、4−アミノシクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジオールモノビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等が好適である。
上記モノビニルエーテル、ジビニルエーテル及びポリビニルエーテルのうち、エーテル結合を有する化合物としては、例えば、エチレングリコールメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールメチルビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールメチルビニルエーテル、ジプロピレングリコールモノビニルエーテル、ジプロピレングリコールメチルビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールモノビニルエーテル、トリプロピレングリコールメチルビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、ポリプロピレングリコールメチルビニルエーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテル、
テトラメチレングリコールメチルビニルエーテル、ジ(テトラメチレングリコール)モノビニルエーテル、ジ(テトラメチレングリコール)メチルビニルエーテル、ジ(テトラメチレングリコール)ジビニルエーテル、トリ(テトラメチレングリコール)モノビニルエーテル、トリ(テトラメチレングリコール)メチルビニルエーテル、トリ(テトラメチレングリコール)ジビニルエーテル、ポリ(テトラメチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(テトラメチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(テトラメチレングリコール)ジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールメチルビニルエーテル、ジ(ヘキサメチレングリコール)モノビニルエーテル、ジ(ヘキサメチレングリコール)メチルビニルエーテル、ジ(ヘキサメチレングリコール)ジビニルエーテル、トリ(ヘキサメチレングリコール)モノビニルエーテル、トリ(ヘキサメチレングリコール)メチルビニルエーテル、トリ(ヘキサメチレングリコール)ジビニルエーテル、ポリ(ヘキサメチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(ヘキサメチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(ヘキサメチレングリコール)ジビニルエーテル等が好適である。
上記モノビニルエーテル、ジビニルエーテル及びポリビニルエーテルのうち、ウレタン結合を有する化合物としては、1分子中に少なくとも1個の水酸基を有する(ポリ)アルキレングリコールのモノビニルエーテルと1分子中に少なくとも1個のイソシアネート基を有する化合物のウレタン化反応によって得られる化合物であることが好ましい。
上記1分子中に少なくとも1個の水酸基を有する(ポリ)アルキレングリコールのモノビニルエーテルとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルエチルビニルエーテル、ジプロピレングリコールモノビニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールモノビニルエーテル等が好適である。
上記1分子中に少なくとも1個のイソシアネート基を有する化合物としては、例えば、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3´−ジメチルジフェニル−4,4´−ジイソシアネート、3,3´−ジエチルジフェニル−4,4´−ジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート類;プロピルイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族、脂環族のイソシアネート類等が好適である。また、上記1分子中に少なくとも1個のイソシアネート基を有する化合物の1種類以上の二量体又は三量体等のポリイソシアネートを上記ウレタン結合を有する化合物の原料として用いてもよい。
上記モノビニルエーテル、ジビニルエーテル及びポリビニルエーテルのうち、ウレタン結合を有する化合物としては、上記1分子中に少なくとも1個のイソシアネート基を有する化合物のうち、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物と各種のアルコール類とのウレタン化反応によって得られるアダクト体を用いてもよい。
上記アルコール類としては、1分子中に少なくとも1個の水酸基を持つ化合物等が好適であり、平均分子量が100000以下のものが好ましい。上記アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジクロロネオペンチルグリコール、ジブロモネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジオール、スピログリコール、トリシクロデカンジメチロール、水添ビスフェノールA、エチレンオキシド付加ビスフェノ−ルA、プロピレンオキシド付加ビスフェノ−ルA、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレ−ト等が好適である。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
上記アルコール類としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等を用いてもよい。上記ポリエステルポリオールとしては、上述のアルコール類のうちのポリオール成分とカルボン酸との反応によって得られるものが好ましい。上記カルボン酸としては、公知慣用の各種のカルボン酸、又はそれらの酸無水物等を用いることができ、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘット酸、ハイミック酸、クロレンディック酸、ダイマー酸、アジピン酸、こはく酸、アルケニルこはく酸、セバチン酸、アゼライン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、2−ナトリウムスルホテレフタル酸、2−カリウムスルホテレフタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、5−ナトリウム−スルホイソフタル酸のジメチル−ないしはジエチルエステル等の5−ナトリウム−スルホイソフタル酸のジ−低級アルキルエステル類、オルソフタル酸、4−スルホフタル酸、1,10−デカメチレンジカルボン酸、ムコン酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、トリメリット酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラブロモフタル酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸もしくはピロメリット酸、又はこれらの酸無水物やメタノール、エタノール等のアルコールとのエステル化合物等が好適である。また、ε−カプロラクトンと上述のポリオール成分との開環反応によって得られるラクトンポリオールを用いてもよい。
上記ポリエーテルポリオールとしては、公知慣用のものを用いることができ、例えば、ポリテトラメチレングリコール、プロピレンオキシド変性ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキシド変性ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のエーテルグリコール、3官能以上のポリオールを開始剤として環状エーテルを開環重合してできるポリエーテルポリオール等が好適である。
上記ポリカーボネートポリオールは、カーボネートと各種のポリオールとのエステル交換反応によって得られるものが好ましい。上記カーボネートとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ビスクロロフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、フェニル−トリル−カーボネート、フェニル−クロロフェニル−カーボネートもしくは2−トリル−4−トリル−カーボネート;ジメチルカーボネートもしくはジエチルカーボネートのようなジアリール−ないしはジアルキルカーボネート等好適である。上記ポリカーボネートポリオールの製造原料としてのポリオールとしては、上記アルコール類、ポリエステルポリオール又はポリエーテルポリオール等が好適である。
上記モノビニルエーテル、ジビニルエーテル及びポリビニルエーテルのうち、エステル結合を有する化合物は、1分子中に少なくとも1個の水酸基を有するアルキレングリコールのモノビニルエーテルと1分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を有する化合物とのエステル化反応によって得られるものが好適である。
上記1分子中に少なくとも1個の水酸基を有するアルキレングリコールのモノビニルエーテルとしては、上記のウレタン結合を有する化合物における、1分子中に少なくとも1個の水酸基を有する(ポリ)アルキレングリコールのモノビニルエーテル等が好適である。
上記1分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を有する化合物としては、公知のカルボン酸及びその酸無水物を用いることができ、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、吉草酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘット酸、ハイミック酸、クロレンディック酸、ダイマー酸、アジピン酸、こはく酸、アルケニルこはく酸、セバチン酸、アゼライン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、2−ナトリウムスルホテレフタル酸、2−カリウムスルホテレフタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸;5−ナトリウム−スルホイソフタル酸のジメチル−又はジエチルエステル等の5−ナトリウム−スルホイソフタル酸のジ−低級アルキルエステル類、オルソフタル酸、4−スルホフタル酸、1,10−デカメチレンジカルボン酸、ムコン酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、トリメリット酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラブロモフタル酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸若しくはピロメリット酸、シクロヘキサンジカルボン酸又はこれらの酸無水物等が好適である。更に、これらのカルボン酸のうち、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物と上記のウレタン結合を有する化合物におけるアルコール類との反応によって得られるカルボン酸を用いることもできる。
上記フマレート基を有する化合物としては、例えば、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート等のフマル酸エステル類、フマル酸と多価アルコールとのエステル化反応物等が好適である。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
上記マレイミド基を有する化合物としては、例えば、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−tert−ブチルマレイミド、N−ペンチルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、2−マレイミドエチル−エチルカーボネート、2−マレイミドエチル−イソプロピルカーボネート、N−エチル−(2−マレイミドエチル)カーバメート等の単官能脂肪族マレイミド類;N−シクロヘキシルマレイミド等の脂環式単官能マレイミド類;N−フェニルマレイミド、N−2−メチルフェニルマレイミド、N−2−エチルフェニルマレイミド、N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−2−クロロフェニルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−2−トリフルオロメチルフェニルマレイミド等の芳香族単官能マレイミド類;N,N´−メチレンビスマレイミド、N,N´−エチレンビスマレイミド、N,N´−トリメチレンビスマレイミド、N,N´−ヘキサメチレンビスマレイミド、N,N´−ドデカメチレンビスマレイミド、1,4−ジマレイミドシクロヘキサン等の脂環式ビスマレイミド;N,N´−(4,4´−ジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N´−(4,4´−ジフェニルオキシ)ビスマレイミド、N,N´−p−フェニレンビスマレイミド、N,N´−m−フェニレンビスマレイミド、N,N´−2,4−トリレンビスマレイミド、N,N´−2,6−トリレンビスマレイミド、N,N´−〔4,4´−ビス(3,5−ジメチルフェニル)メタン〕ビスマレイミド、N,N´−〔4,4´−ビス(3,5−ジエチルフェニル)メタン〕ビスマレイミド等の芳香族ビスマレイミド類等が好適である。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
上記重合性不飽和結合を有する化合物として用いることができるその他の化合物としては、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド等の単官能(メタ)アクリルアミド類;メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の多官能(メタ)アクリルアミド類;酢酸ビニル、ケイ皮酸ビニル等のカルボン酸ビニル誘導体;スチレン、ジビニルスチレン等のスチレン誘導体;ラウリルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ラウリルアルコールエトキシアクリレート、エポキシステアリルアクリレート、2−(1−メチル−4−ジメチル)ブチル−5−メチル−7−ジメチルオクチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエトキシエチルアクリレート、フェノールポリアルコキシアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート、ノニルフェノールポリプロピレンオキサイド変性アクリレート、ブトキシポリプロピレングリコールアクリレート、テトラヒドロフルフリルアルコールラクトン変性アクリレート、ラクトン変性2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート;2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、アクリル酸ダイマー、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシアルキルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリシクロデカニルオキシエチルアクリレート、イソボルニルオキシエチルアクリレート等のアクリレート類;アクリロイルモルホリン、ダイアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のN−ビニルアミド類;ヒドロキシブチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル等のビニルエーテル類;クロルフェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、ラウリルマレイミド等のマレイミド類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのジアクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物のジアクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物のジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、2,2−ジ(グリシジルオキシフェニル)プロパンのアクリル酸付加物、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジアクリレート、トリス(ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートのトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパントリアクリレート等が挙げられる。
上記脂環式化合物としては、上述したビスフェノール類やテトラメチルビフェノール、テトラメチルビスフェノールF、ハイドロキノン、ナフタレンジオール等の芳香族骨格を水素化した脂環式グリコール類;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート等の脂環式エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート等のヘテロ環含有のエポキシ樹脂等の脂環式エポキシド;脂環式変性ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート(日本化薬社製の「R−629」又は「R−644」);テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、モルフォリノエチル(メタ)アクリレート等の構造中に酸素原子及び/又は窒素原子を有する脂環式アクリレート;N−シクロヘキシルマレイミド等の脂環式単官能マレイミド類;N,N´−メチレンビスマレイミド、N,N´−エチレンビスマレイミド、N,N´−トリメチレンビスマレイミド、N,N´−ヘキサメチレンビスマレイミド、N,N´−ドデカメチレンビスマレイミド、1,4−ジマレイミドシクロヘキサン等の脂環式ビスマレイミド;水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールS、水添ビスフェノールF等が好ましい。
以下に、本発明の樹脂組成物に好適に用いることができる無機微粒子について説明する。なお、本明細書に記載する無機微粒子の好ましい形態等を適宜組み合わせることによって、上述したように、無機微粒子を15質量%、有機溶媒を35質量%、水を50質量%である溶液の25℃でのpHを4〜11となる特性のもの等、本発明の好ましい形態のものとすることができる。
上記無機微粒子としては、金属や金属化合物等の無機化合物から構成される微粒子であればよく、特に限定されるものではない。無機微粒子における無機成分としては、金属の酸化物、水酸化物、(酸)窒化物、(酸)硫化物、炭化物、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、(塩基性)炭酸塩、(塩基性)酢酸塩等が例示される。これらの中でも好ましくは、金属の酸化物(金属酸化物)である。なお、金属酸化物とは、以下のものを意味/包含するものである。すなわち、金属(M)を金属成分とし、メタロキサン(M−O)結合を主たる結合成分とする化合物を意味する。また、単一の金属成分からなる単一酸化物、複数の金属成分からなる複合酸化物、これらの金属酸化物に金属元素M、酸素とは異なる異種の金属元素が固溶してなる固溶体酸化物が例示される。また、定比組成からなる金属酸化物、不定比組成:例えば、ZnO(1−δ)、TiO(2−δ)、Ni(1−δ)O等の金属元素又は酸素元素が定比組成に対して過剰又は欠損した、不定比組成の金属酸化物も好ましく採用し得る。金属酸化物の形態としては、結晶質、非品質いずれも包含する。結晶質であるか非晶質であるかや、結晶性が高いか低いかは、通常、X線回折測定により評価することができる。また、水和した金属酸化物も本発明でいう金属酸化物に含まれる。また、金属酸化物粒子の製造過程での原料由来の残基、原子、原子団が、表面又は内部の金属原子又は酸素原子の一部に結合したものも含まれていてもよい。例えば、有機基、水酸基、硝酸根、硫酸根、ハロゲン原子、水素原子、アルカリ金属原子(イオン)等である。上記有機基としては、メトキシ基、ブトキシ基等のアルコキシル基;エタノイル基(アセトキシ基)、プロパノイル基等のカルボキシル基;β−ジカルボニル基;β−ケトエステル基;アルキル基;シクロアルキル基;アリール基;アラルキル基等が好ましく例示される。
上記無機微粒子としては、微粒子の樹脂との親和性向上、分散性向上等の目的で、表面処理された粒子も包含される。表面処理剤としては、特に限定されず、微粒子表面に有機鎖、高分子鎖の導入又は表面電荷制御の目的で、各種の有機化合物、無機化合物、有機金属化合物等が用いられる。例えば、
1)カップリング剤;シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤等のカップリング剤;金属アルコキシド類及びこれらの(部分)加水分解・縮合物;金属石鹸;等の有機金属化合物。
2)有機アミン、βジケトン化合物、カルボン酸等の有機化合物。
3)従来公知の高分子系分散剤の他に、(メタ)アクリル樹脂系、ポリスチレン樹脂系、ポリオレフィン系、酢酸ビニル樹脂系、アクリルシリコーン系等のビニル系モノマーの(共)重合体系ポリマー;アルキド樹脂系ポリマー;アミノ樹脂系ポリマー;エポキシ樹脂系ポリマー;ポリアミド樹脂系ポリマー;ポリイミド樹脂系ポリマー;ポリウレタン樹脂系ポリマー;ポリエステル樹脂系ポリマー;フェノール樹脂系ポリマー;オルガノポリシロキサン系ポリマー;ポリアルキレングリコール系ポリマー;フッ素樹脂系等の高分子化合物及びこれらの変性物。
4)(カチオン系、アニオン系、両性、ノニオン系等の)各種界面活性剤。
5)アルカリ金属イオン、ハロゲンイオン。
等が好適である。
上記金属元素(M)としては、任意であるが、例えば、金属元素(M)としては、特に限定はないが、例えば、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra等のアルカリ土類金属元素;La、Ce等のランタノイド系金属元素;Ac等のアクチノイド系金属元素;Sc、Y等のIIIa族金属元素;Ti、Zr、Hf等のIVa族金属元素;V、Nb、Ta等のVa族金属元素;Cr、Mo、W等のVIa族金属元素;Mn、Tc、Re等のVIIa族金属元素;Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt等のVIII族金属元素;Cu、Ag、Au等のIb族金属元素;Zn、Cd、Hg等のIIb族金属元素;Al、Ga、In、Tl等のIIIb族金属元素;Si、Ge、Sn、Pb等のIVb族金属元素;Sb、Bi等のVb族金属元素;Se、Te等のVIb族金属元素等を挙げることができ、これらが1種または2種以上併存していてもよい。これらの中でも、組成物の目的とする、電気的特性、光学特性、磁気的特性等により選択することができる。例えば、光学物性のうち、高屈折率の樹脂組成物を得たい場合には、Ti、Zr、In、Zn、La、Al等が好ましく、低屈折率の組成物を得たい場合は、Siが好ましい。
上記無機微粒子としては、液相合成法で得られた無機微粒子、特に、後述する液相合成法で得られた金属酸化物微粒子が好ましい。例えば、後述するアルコキシド化合物及び/又はカルボン酸塩化合物の加水分解縮合物からなる無機微粒子は、気相合成法により得られる無機微粒子とは異なる微細構造を有している。例えば、無機微粒子がSi、Al、P、Fe、Ag、Sn、Ti、V、Cr、Mn、Co、Cu、Zn、Sb、La等の金属元素又は非金属元素を含有してなる場合、核磁気共鳴(NMR)測定により確認することができる。一例として、Siを含有する場合について述べると、1個のSi原子の周りを4個の酸素原子が配位したSiO原子団が構成する正四面体が基本構造となっており、SiO原子団同士が酸素原子を共有化するか否かで異なる微細構造をとる。シリカをハロゲン化珪素の加熱分解や加熱還元化した珪砂の空気酸化により製造した場合、すべてのSiO原子団は酸素原子を共有化するため、Si−NMR測定を行うと、−120〜−100ppmにピークトップを持つQシリカ成分のみが観測される。これに対して上記アルコキシド化合物及び/又はカルボン酸塩化合物の加水分解縮合物の場合、酸素原子を共有しないSiO原子団が出現し、Qシリカ成分とともに−100ppm〜−90ppmにピークトップを持つQシリカ成分も確認される。このようなNMR測定は、無機微粒子がアルコキシド化合物及び/又はカルボン酸塩化合物の加水分解縮合物であるかどうかを確認するための有力な手法となり得、更に無機微粒子により期待される各種性能がどの程度付与されうるかを調べることも可能である。
上記有機無機複合樹脂組成物を得るための無機微粒子の樹脂成分への配合方法としては、外部添加法と内部析出法とが好適に用いられる。
上記無機微粒子の外部添加法、具体的には、無機微粒子の樹脂組成物への添加形態、分散体について説明する。
上記無機微粒子/金属酸化物粒子の樹脂組成物への添加形態としては、粒子が液状の媒体に分散した形態で、樹脂成分と混合する形態が好ましい。媒体としては、溶媒、可塑剤、モノマー、液状樹脂等を例示することができる。溶媒としては、水、有機溶媒、鉱物油、植物油、ワックス油、シリコーン油等が好適である。このような外部添加法においては、表面改質された無機系微粒子を含み、溶媒をさらに含む溶媒分散体の形態とすることが好ましい。この場合の溶媒としては、上述の溶媒を挙げることができる。溶媒分散体における無機系微粒子の含有量については、特に限定はないが、好ましくは溶媒分散体全体の10〜70重量%、さらに好ましくは20〜50重量%であり、溶媒分散体は、この程度の含有量において取扱いやすい。溶媒分散体における溶媒の含有量については、特に限定はないが、好ましくは溶媒分散体全体の90〜30重量%、さらに好ましくは80〜50重量%である。
上記有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、脂肪族および芳香族のカルボン酸エステル類、エーテル類、エーテルエステル類、脂肪族および芳香族の炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類のほか、鉱物油、植物油、ワックス油、シリコーン油等を挙げることができる。
上記溶媒として可塑剤を用いた場合には、無機微粒子を可塑剤に分散させた可塑剤分散体となり、上記無機微粒子、好ましくは表面改質された無機系微粒子を含み、可塑剤をさらに含有する。この場合、可塑剤としては、特に限定はなく、例えば、りん酸トリブチル、りん酸2−エチルヘキシル等のりん酸エステル系可塑剤;フタル酸ジメチル、 フタル酸ジブチル、フタル酸オクチルデシル等のフタル酸エステル系可塑剤;オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、等の脂肪族−塩基酸エステル系可塑剤;アジピン酸ジブチル, セバシン酸ジ−2−エチルヘキシルなどの脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤;ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラートなどの二価アルコールエステル系可塑剤;アセチルリシノール酸メチル、アセチルクエン酸トリブチルなどのオキシ酸エステル系可塑剤等の従来公知の可塑剤を挙げることができる。
上記溶媒としてモノマーを用いた場合には、樹脂成分となる重合性モノマーに無機微粒子が分散するモノマー分散体となり、上記無機微粒子、好ましくは表面改質された無機系微粒子を含み、モノマーをさらに含有する。モノマー分散体に用いられるモノマーとしては、特に限定はなく、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等の(メタ)アクリル系モノマー、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマー、塩化ビニル、酢酸ビニル等のビニル系モノマーなど、従来公知のモノマーを挙げることができる。
本発明の樹脂組成物を調製するための上記無機微粒子粉体、微粒子分散体における微粒子の粒子径としては、微細であることが透明な樹脂組成物が得られ、得られた樹脂組成物における微粒子の配合効果(例えば、熱膨張係数の低減効果、アッベ数の向上効果、屈折率制御効果等)が大きくなる点から好ましく、具体的には、微粒子の一次粒径は、1nm〜400nm、より好ましくは、100nm以下、更に好ましくは50nm以下、特に好ましくは20nm以下である。微粒子の一次粒径は、例えば、上述した小角X線散乱法による慣性半径を測定する方法、電子顕微鏡より任意の粒子に関して粒子径を測定する方法、比表面積測定より測定される比表面積径Ds(nm);
Ds=6000/(ρ×S)
(但し、ρ:金属酸化物系粒子の真比重、S:B.E.T.法で測定される金属酸化物系粒子の比表面積(m2/g))、又は、結晶質の場合にはX線回折測定による結晶子径の測定により、求めることができる。
上記無機微粒子粉体、微粒子分散体における微粒子の分散粒径は、一次粒径又はそれに近い大きさに分布していることが好ましく、具体的には、平均粒子径が、400nm以下、更に好ましくは70nm以下、特に好ましくは30nm以下である。また分散粒子径は、動的光散乱法、遠心沈降法等により評価することができる。樹脂組成物中における一次粒径並びに分散粒径に関しても上記微粒子粉体、微粒子分散体の場合と同様の範囲が好ましく、上記小角X線散乱法等で評価することができる。
このような範囲としては、樹脂組成物においても、同様の範囲であることが好ましい。
上記外部添加法に用いる無機微粒子の製造方法としては、従来技術公知の液相合成法、気相合成法、固相合成法のうち、透明性を確保できる液相合成法で得られた微粒子を本願でいう湿式粒子(湿式無機微粒子)とする。本発明の有機無機複合樹脂組成物においては、湿式無機微粒子を必須とすることが好適であり、例えば、気相合成法、固相合成法で得られた無機微粒子を含んでいてもよいが、上述したように全ての無機成分が湿式無機微粒である形態が好ましい。
上記湿式無機微粒子として好適なものとしては、本願の組成物の原料として、乾燥工程を経ずに得られ、無機微粒子を含有する液状物として提供できるものである。すなわち、本発明の無機微粒子としては、液相合成法により合成されたものであればよく、中でも、液相合成法により合成されたものであって、乾燥工程を経ないものが好ましい。乾燥物を経ないとは、微粒子の合成(生成)(液相合成法)から、本願複合樹脂組成物(有機無機複合樹脂組成物)の原料として用いるまで、乾燥粉末化する工程を経ないことを表し、いわゆるオール湿式プロセスのことをいう。例えば、一貫した液相プロセス、液状プロセスである。また、ウエットなケーキ状態を減る工程は、湿式プロセスの範囲に含まれる。また、本発明の有機無機複合樹脂組成物(複合樹脂組成物)の構成成分となる有機成分の1つに、微粒子合成反応液から乾燥過程を経ていない無機微粒子を分散させたものも湿式無機微粒子に含まれる。液状物には、ウエットケーキ、溶媒分散体、液状樹脂分散体等が含まれる。
なお、無機微粒子の中でも好適に使用しうる金属酸化物微粒子の気相合成法、固相合成法としては以下のものが好適である。
〔気相合成法〕
無機又は有機金属塩を、蒸気化して、通常、空気中で高温(酸化)熱分解する方法に代表され、例えば、金属ハロゲン化物を加熱し酸化して酸化物とする方法(例えば、アルミニウム、ケイ素、チタンなどのハロゲン化物をガス化して酸素又は水蒸気などによって高温気相酸化分解する方法はアルミナ、シリカ、酸化チタン等の微細粉末の工業的製法)、金属カルボニル化合物や有機金属化合物を酸化熱分解する方法が例示される。また、金属原料(金属、鉱物)を加熱し、金属蒸気を高温で空気酸化する方法(例えば、フランス法ZnOの工業的製法)も例示される。
〔固相合成法〕
金属の水酸化物や炭酸塩を加熱して分解し酸化物を得る方法が挙げられる。液相合成法で、金属酸化物(水和物)の中間体を得た後、気相又は固相で酸化物に転換する手法が例示される。例えば、酸アルカリによる分解沈殿法で、金属炭酸塩等の金属塩類を得た後、加熱して分解し酸化物を得る方法が好適である。
次に本発明の無機成分の好適な形態である湿式無機微粒子の中でも有用な湿式金属酸化物微粒子の液相合成法について説明する。
〔液相合成法〕
酸アルカリによる分解沈殿法、有機金属化合物の加水分解・縮合法、金属ハロゲン化物の加水分解・縮合法、水熱反応などの沈殿法が好ましく採用し得る。
酸アルカリによる分解沈殿法:金属塩類の水溶液のアルカリによる分解、塩基性塩の酸による分解、金属塩類と塩基性塩の複分解等の反応が例示される。後述の水ガラスの水溶液のアルカリによる中和反応によるシリカ粒子の製造方法は、酸アルカリによる分解沈殿法の一例である。
これら沈殿法により、通常、金属の酸化物又は酸化物水和物の反応液が得られるが、これらは、本発明の金属酸化物微粒子原料として好ましく採用し得る。
上記の各種方法のうち、有機金属化合物の加水分解、縮合法以外は、通常、ろ過、洗浄による不純物の除去工程を経た後、粉末化及び/又は(溶媒置換や粉末の分散媒体への再分散による)分散体化した後、使用することが好ましい。
有機金属化合物の加水分解・縮合法の場合は得られた反応液より、上記の洗浄工程を経ずとも、所望の形態(粉末、分散体)に加工することができる。
液相合成法により金属酸化物(水和物)微粒子の反応液を得た後、乾燥工程を経ずに、樹脂成分と混合する形態に調製する一貫した液相プロセスが、乾燥時の2次凝集を回避することができるため、好適である。具体的には、反応液を必要に応じて濃縮し、加熱溶媒置換等の如く、反応液中の溶媒成分の除去と所望の分散媒体(樹脂成分、モノマー、溶媒など)への置換を同時に行うプロセスが好ましい。
上記無機微粒子の液相合成法の中でも、内部析出法にも好ましく適用し得る、有機金属化合物の加水分解・縮合法について説明する。
有機金属化合物の中でも、アルコキシド化合物(好ましくは金属アルコキシド)及び/又はカルボン酸塩化合物(好ましくはカルボン酸金属塩)が好適である。
以下に、アルコキシド化合物やカルボン酸塩化合物の加水分解反応及び縮合反応を示す。
M´(OR+aHO(加水分解)→M´(OH)+aROH
M´(OH)→M´(OH)→M´O2/c(縮合物)
(式中、M´は金属元素を表し、Rはアルキル基又はアシル基を表す。a、b及びcは任意の数値である。)
上記アルコキシド化合物やカルボン酸塩化合物としては、下記一般式(1);
M´(OR (1)
(式中、M´は金属元素、Rはアルキル基又はアシル基を表し、nは1〜7の整数を表す。)で表される化合物及び/又は下記一般式(2);
(RM´(OR (2)
(式中、M´及びRは一般式(1)と同様である。Rは有機基を表し、m及びpは1〜6の整数を表す。)で表される化合物が好適である。
上記一般式(1)及び一般式(2)におけるRのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好適であり、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が好ましい。また、Rのアシル基としては、炭素数1〜4のアシル基が好適であり、アセチル基、プロピオニル基、ブチニル基等が好ましい。
上記一般式(2)におけるRの有機基としては、炭素数1〜8の有機基が好適であり、メチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等のアルキル基;3−フルオロプロピル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリクロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基;2−メルカプトプロピル基等のメルカプト基含有アルキル基;2−アミノエチル基、2−ジメチルアミノエチル基、3−アミノプロピル基、3−ジメチルアミノプロピル基等のアミノ基含有アルキル基;フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基;2−グリシドキシエチル基、3−グリシドキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基等のエポキシ基含有有機基;ビニル基、3−(メタ)アクリルオキシプロピル基等の不飽和基含有有機基等が好ましい。
上記一般式(1)及び一般式(2)における金属元素M´としては、上記一般式(1)及び一般式(2)に示す化合物の構造を取り得る金属元素であれば周期表のどの元素でもよく、上述した金属(M)と同様のものを採用しうる。好ましくは、B、Al、Ga、In、Tl等のIIIB族;C、Si、Ge、Sn、Pb等のIVB族;Ti、Zr、Zn、Ca、Na、Li、Te、Mg、Ni、Cr、Ba、Ta、Mo、Tb、Cs等を挙げることができる。
上記アルコキシド化合物やカルボン酸塩化合物としては、M´が異なる2種以上のものを併用する、又は、2種類以上のM´を複合的に含有するものを使用してもよい。特に、光学用途においては、絶縁性が要求されるため、イオン伝導性の低いものを選択することが好ましく、上記金属元素M´としては、アルカリ金属及びアルカリ土類金属を除く典型金属元素、遷移金属元素、又は、非金属元素が好ましい。アルカリ金属及びアルカリ土類金属を除く典型金属元素としては、Al又はInが好適であり、非金属元素としては、Siが好適である。
上記M´がSiである場合のアルコキシド化合物やカルボン酸塩化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アニリン、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]アニリン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン類;テトラアセチルオキシシラン、テトラプロピオニルオキシシラン等のテトラアシルオキシシラン類;メチルトリアセチルオキシシラン、エチルトリアセチルオキシシラン等のトリアシルオキシシラン類;ジメチルジアセチルオキシシラン、ジエチルジアセチルオキシシラン等のジアシルオキシシラン類等が好適である。これらの中でも、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランが好ましい。
上記M´がSi以外である場合のアルコキシド化合物としては、Cu(OCH、Zn(OC、B(OCH、Al(OCH、Al(OC、Al(iso−OC、Al(OC、Ga(OC、Y(OC、Ge(OC、Pb(OC、P(OCH、Sb(OC、VO(OC、Ta(OC、W(OC、La(OC、Nd(OC、Ti(OCH、Ti(OC、Ti(iso−OC、Ti(OC、Zr(OCH、Zr(OC、Zr(OC、Zr(OC等の単一金属アルコキシド;La[Al(iso−OC、Mg[Al(iso−OC、Mg[Al(sec−OC、Ni[Al(iso−OC、(CO)Zr[Al(OC、Ba[Zr(OC等の複合金属アルコキシド等が好適である。
アルコキシド化合物及び/又はカルボン酸塩化合物の加水分解・縮合反応は、これらの化合物を、通常、有機溶媒中で、水と接触させることにより行わせることができる。アルコールが有機溶媒として好ましい。また、加水分解・縮合反応を進めるために、通常、加水分解触媒を共存させる。外部添加法で用いる金属酸化物微粒子を得るための触媒としては、塩酸、硝酸等の無機酸、酢酸等のカルボン酸等の酸触媒、アンモニア、アミン等の塩基性触媒が好ましい。金属元素M´の種類により、適宜選択し得る。反応温度は通常0〜120℃であることが好ましく、より好ましくは、10〜100℃である。
内部添加法で好適な触媒、条件に関しては、後述する。
次に、金属酸化物微粒子の中でも特に有用な湿式法ケイ素系酸化物微粒子、その製法について説明する。
上記ケイ素系酸化物粒子(分散体)の具体例としては、SiOを主成分とする、シリカ粒子の他に、ケイ素の一部に、アルキル基等の有機基が結合した、例えば、ポリメチルシルセスキオキサン系粒子等のオルガノシロキサン系粒子・・・一般式(3) RSiO(4−m)/2が好ましく例示される。
上記のシリカ粒子としては、a)水ガラスを出発原料とする方法、b)加水分解可能なシリコン化合物の加水分解・縮合反応により得られたものが好ましい。
a)水ガラスと硝酸、塩酸等の無機酸とを水媒体中で混合する方法(上記酸アルカリによる分解沈殿法の一つ)や水ガラス水溶液をイオン交換樹脂と接触させることにより水ガラス中のアルカリ金属成分とプロトンをイオン交換する方法(イオン交換方法)が好ましく用いられる。この方法によると、コロイダル状のシリカ粒子が生成する。
得られた反応液(シリカの微細な粒子が生成、前者の方法では無機酸根とアルカリ金属の塩が溶解している)より、必要に応じて、脱塩処理を施し、溶媒成分を一部除去することにより濃縮されたシリカ粒子の水系分散体が得られる。従来技術公知の方法(加熱溶媒置換、遠心分離と再分散等)で所望の溶媒に溶媒置換することができる。
b)上記一般式(1)において、M´=Siの場合のシリコン化合物を、含水有機溶媒中、好ましくは含水アルコール中で、好ましくは、加水分解触媒存在下で、加水分解、縮合反応させることにより得られる。触媒は、塩酸、硝酸等の無機酸、酢酸等のカルボン酸等の酸触媒、アンモニア、アミン等の塩基性触媒が好ましく、特に塩基性触媒が好ましい。
得られたシリカ粒子の反応液を濃縮及び/又は所望の有機溶媒に溶媒置換することにより、シリカ粒子の微粒子分散体とすることができる。
オルガノシロキサン系粒子・・・・一般式(3) RSiO(4−m)/2の製法例
上記一般式(2)におけるM´=Siの場合のシリコン化合物の少なくとも一種、又は、上記一般式(2)におけるM´=Siの場合のシリコン化合物の少なくとも一種及び上記一般式(1)におけるM´=Siの場合のシリコン化合物の少なくとも一種を、上記(b)と同様に、(共)加水分解・縮合することにより得られる。
工業的に入手可能なケイ素系酸化物粒子分散体の例としては、日産化学のオルガノシリカゾルが好適である。
本発明で使用する無機微粒子の製造方法としては、上述した樹脂成分を含有してなる液体媒体中で、アルコキシド化合物及び/又はカルボン酸塩化合物を加水分解及び縮合して無機微粒子を得る方法(内部析出法)が好適である。樹脂成分を含有する液体媒体中で加水分解縮合物を得ることによって、有機−無機の複合化が行われ、マトリックスである樹脂中に、無機微粒子が微細に分散した有機−無機ハイブリッド(複合体)である本発明の樹脂組成物を得ることができる。このようにして得られた有機−無機ハイブリッドは、優れた硬化性及び難燃性を発揮するものである。
以下に、内部析出法について説明する。内部析出法においては、上述した有機金属化合物の加水分解・縮合法の説明で記載した原料等を好適に用いることができる。
上記無機微粒子の具体的な製造方法(内部析出法)としては、まず、樹脂を含有してなる液体媒体、好ましくは樹脂を含有してなる溶液を調製し、その溶液にアルコキシド化合物及び/又はカルボン酸塩化合物と、水又はそれを含有する溶媒とを投入して、加水分解反応及び縮合反応を行えば良い。上記樹脂成分を含有してなる液体媒体としては、上記樹脂成分と溶剤、可塑剤、又は、滑剤として、エーテル結合、エステル結合、及び、窒素原子よりなる群から選択される少なくとも一つ以上の構造を有する化合物を使用することが好ましい。
上記エーテル結合を有する化合物としては、例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アニソール、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、ペンチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ベンジルエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、ペラトロール、プロピレンオキシド、1,2−エポキシブタン、ジオキサン、トリオキサン、フラン、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、シオネール、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、グリセリンエーテル、クラウンエーテル、メチラール、アセタール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、2−フェノキシエタノール、2−(ベンジルオキシ)エタノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等が好適である。
上記エステル結合を有する化合物としては、例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸sec−ヘキシル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸ベンジル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソペンチル、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン、モノブチリン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、酪酸エステル類、イソ酪酸エステル類、イソ吉草酸エステル類、ステアリン酸エステル類、安息香酸エステル類、ケイ皮酸エチル類、アビエチン酸エステル類、アジピン酸エステル類、γ−ブチロラクトン類、シュウ酸エステル類、マロン酸エステル類、マレイン酸エステル類、酒石酸エステル類、クエン酸エステル類、セバシン酸エステル類、フタル酸エステル類、二酢酸エチレン類等が好適である。
上記窒素原子を含有してなる化合物としては、例えば、ニトロメタン、ニトロエタン、1−ニトロプロパン、2−ニトロプロパン、ニトロベンゼン、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、α−トルニトリル、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、ε−カプロラクタム等が好適である。
上記エーテル結合、エステル結合及び窒素原子からなる群より選ばれた構造を複数有する化合物としては、例えば、N−エチルモルホリン、N−フェニルモルホリン、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、フェノキシエチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテルアセテート等が好適である。
上記溶媒等の使用量としては、樹脂100重量部に対して、5重量部以上が好ましく、また、500重量部以下が好ましい。より好ましくは、20重量部以上であり、また、200重量部以下である。上記その他の溶媒としては、メタノール、エタノール等が好適である。
上記樹脂を含有する液体媒体中での加水分解及び縮合の反応条件において、反応温度としては、0〜120℃とすることが好ましい。より好ましくは、10〜100℃であり、更に好ましくは、20〜80℃である。また、反応時間としては、30分〜24時間とすることが好ましい。より好ましくは、1〜12時間である。上記無機微粒子を調製する場合における反応条件としては、反応温度は調製する無機微粒子により適宜設定すればよく、反応圧力は常圧としても加圧してもよいが、本発明では、例えば、反応温度を100℃以下、好ましくは、50〜100℃とし、更に好ましくは、70〜100℃とし、反応圧力を常圧とし、反応時間を4〜10時間とすることができる。
上記有機無機複合樹脂組成物の製造方法(内部析出法)としては、水の存在下で金属アルコキシド及び/又はカルボン酸金属塩を加水分解及び縮合して製造されることが好ましい。また、このような製造方法において、2種類以上の金属アルコキシド及び/又はカルボン酸金属塩の一部を加水分解及び縮合した反応液に残りの金属アルコキシド及び/又はカルボン酸金属塩を投入し、引き続き加水分解及び縮合する製造方法であることがより好ましい。
上記金属アルコキシド及びカルボン酸金属塩は金属元素に結合する有機基の種類や数によって加水分解及び縮合の反応速度が異なり、一般に低極性の有機基であってヘテロ元素を介することなく金属にσ結合で結合する有機基が多い、又は、O、Nなどのヘテロ元素を介して結合する有機基が少ないほど反応速度が低い。反応速度の異なる金属アルコキシド及び/又はカルボン酸金属塩を一括投入した場合、反応初期においては反応速度の速い金属アルコキシド及び/又はカルボン酸金属塩のみが加水分解及び縮合し、系内の金属アルコキシド及び/又はカルボン酸金属塩の組成が変化してしまい、反応後期においては反応速度の遅い金属アルコキシド及び/又はカルボン酸金属塩のみが加水分解及び縮合する。このため加水分解及び縮合物は原料組成だけでなくその粒径も不均一であり、屈折率の分布が大きくなり、樹脂組成物が可視光透過の際にレイリー散乱を起こしやすい。
上記製造方法としては、2種類以上の金属アルコキシド及び/又はカルボン酸金属塩のうち、加水分解及び縮合速度の低い化合物から投入して、所定の反応率まで加水分解及び縮合を進めた後に、加水分解及び縮合速度の速い化合物を投入し、引き続き加水分解及び縮合するのが好ましい。これにより、得られる加水分解及び縮合物の原料組成や粒径は均一になりやすく、樹脂組成物が可視光透過の際のレイリー散乱を起こしにくくなる。2種類以上の金属アルコキシド及び/又はカルボン酸金属塩の加水分解及び縮合反応の分割数としては、用いる原料の数に分割するのが最も好ましいが、反応速度に応じて反応速度の速い化合物の混合体と反応速度の遅い化合物の混合体に2分割してもよい。
上記加水分解及び縮合の反応率については、種々の方法によって行うことができる。金属アルコキシド及び/又はカルボン酸金属塩の一例としてアルコキシシランの場合を挙げる。アルコキシシランの場合ではアルコキシシリル骨格が加水分解しシラノールとなり、更にシラノール同士の脱水縮合又はシラノールとアルコキシシリル骨格との脱アルコール縮合が進行してシロキサン縮合を形成する。そこで例えば、ガスクロマトグラフィーによって未反応シランを定量する、NMRによってアルコキシル基を定量する、FT−IRによりシラノールを定量することで反応率の変化を追跡することが可能となる。
上記加水分解及び縮合反応の次工程を行うかどうかはガスクロマトグラフィーによる未反応の金属アルコキシド及び/又はカルボン酸金属塩での定量によるのが好ましく、残存率としては50〜0%、より好ましくは40〜0%、更に好ましくは30〜0%である。ガスクロマトグラフィーの測定条件は公知公用の条件でよい。
上記加水分解及び縮合反応においては反応を促進するために、金属キレート化合物を使用することもできる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。上記内部析出法における加水分解・縮合反応においては、このような触媒が好ましい。上記金属キレート化合物としては、Zr(OR(RCOCHCOR4−q、Ti(OR(RCOCHCOR4−r、及び、Al(OR(RCOCHCOR4−sからなる群より選択される1種以上の化合物やこれらの部分加水分解物等が好適である。
上記金属キレート化合物におけるR及びRは、同一又は異なって、炭素数1〜6の有機基を表し、Rは、炭素数1〜6の有機基又は炭素数1〜16のアルコキシル基を表し、q及びrは、0〜3の整数、sは、0〜2の整数である。R及びRにおける炭素数1〜6の有機基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、フェニル基等が好適である。また、Rにおける炭素数1〜16のアルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基等が好適である。
上記金属キレート化合物としては、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム等のジルコニウムキレート化合物;ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム等のチタニウムキレート化合物;ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・アセチルアセトナートアルミニウム、i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム等のアルミニウムキレート化合物等が好適である。これらの中でも、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムが好ましい。
上記金属キレート化合物の使用量としては、上記一般式(1)で表される化合物及び/又は上記一般式(2)で表される化合物100重量部に対して、30重量部以下が好ましい。30重量部を超えると、成形品の表面外観が低下するおそれがある。より好ましくは、20重量部以下であり、更に好ましくは、10重量部以下である。
上記有機無機複合樹脂組成物の他の説明としては、下記のとおりである。なお、内部析出法及び外部添加法の両方に共通する。
本発明の樹脂組成物は、上記無機微粒子を1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、50質量%以下、より好ましくは40質量%以下含有することが好ましい。1質量%以上とすることにより、得られる樹脂組成物の難燃性や熱的性質の改善効果が充分に発現することとなる。50質量%を超えると、高粘度化して組成物を均一に混合できないおそれがある。
本発明の樹脂組成物は、上述した樹脂や無機微粒子の他に、離型剤、硬化剤、硬化促進剤、反応性希釈剤、不飽和結合をもたない飽和化合物、顔料、染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、非反応性化合物、連鎖移動剤、熱重合開始剤、嫌気重合開始剤、重合禁止剤、無機充填剤や有機充填剤、カップリング剤等の密着向上剤、熱安定剤、防菌・防カビ剤、難燃剤、艶消し剤、消泡剤、レベリング剤、湿潤・分散剤、沈降防止剤、増粘剤・タレ防止剤、色分かれ防止剤、乳化剤、スリップ・スリキズ防止剤、皮張り防止剤、乾燥剤、防汚剤、帯電防止剤、導電剤(静電助剤)等を含有してもよい。
上記離型剤(又は添加剤)としては、通常の離型剤を好適にもちいることができるが、炭素数8〜36のアルコール、カルボン酸、カルボン酸エステル及びカルボン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物であることが好ましい。このような離型剤を含有することで、金型を用いて硬化する際に、容易に金型を剥がすことができ、硬化物の表面に傷をつけることなく外観を制御し、透明性を発現させることもできることから、電気・電子部品材料や光学用途における材料として特に有用である。
上記化合物としては、上述した群より選ばれる少なくとも一つの化合物を有するものであればよく、これらの中でも好ましくは、アルコール、カルボン酸、カルボン酸エステルであり、より好ましくはカルボン酸である。
上記化合物は炭素数8〜36であり、直鎖状、分岐状、環状等のいずれの構造であってもよく、分岐しているものが好ましい。
上記炭素数としては、8〜36の整数である。このような範囲のある程度の長鎖を有するのものであれば、本発明の作用効果を発揮し、樹脂組成物の透明性、作業性等の機能を損なうことなく優れた剥離性を示すことができる。また、入手が比較的容易であり、経済性も優れたものとすることができる。炭素数として好ましくは、8〜20であり、より好ましくは、10〜18である。
上記化合物は、炭素数8〜36のアルコール、カルボン酸、カルボン酸エステル及びカルボン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物であり、具体例としては、下記のものが好適である。
上記炭素数が8〜36アルコールとは、一価又は多価のアルコールであり、直鎖状のものでも分岐状のものでもよい。具体的には、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、パルミチルアルコール、マーガリルアルコール、ステアリルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール、ミリシルアルコ−ル、メチルペンチルアルコール、2−エチルブチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、3.5−ジメチル−1−ヘキサノール、2,2,4−トリメチル−1−ペンタノール、ジペンタエリスリトール、2−フェニルエタノール等が好適である。上記アルコールとしては、脂肪族アルコールが好ましく、なかでも、オクチルアルコール(オクタノール)、ラウリルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール(2−エチルヘキサノール)、ステアリルアルコールがより好ましい。
上記炭素数が8〜36のカルボン酸とは、1価又は多価のカルボン酸であり、2−エチルヘキサン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、1−ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸、1−ヘキサコサン酸、ベヘン酸等が好適である。好ましくは、オクタン酸、ラウリン酸、2−エチルヘキサン酸、ステアリン酸である。
上記炭素数が8〜36のカルボン酸エステルとは、(1)上記アルコールとカルボン酸とから得られるカルボン酸エステル、(2)メタノール、エタノール、プロパノール、ヘプタノール、ヘキサノール、グリセリン、ベンジルアルコール等の炭素数1〜7のアルコールと上記カルボン酸との組み合わせで得られるカルボン酸エステル、(3)酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、ブタン酸等の炭素数1〜7のカルボン酸と上記アルコールとの組み合わせで得られるカルボン酸エステル等が好適である。これらのなかでも、ステアリン酸メチルエステル、ステアリン酸エチルエステル、酢酸オクチル等が好ましい。
上記炭素数が8〜36のカルボン酸塩とは、上記カルボン酸と、アミン、Na、K、Mg、Ca、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Snとの組み合わせで得られるカルボン酸塩等が好適である。これらのなかでも、ステアリン酸Zn、ステアリン酸Mg、2−エチルヘキサン酸Zn等が好ましい。
上述の化合物の中でもより好ましくは、ステアリン酸及びステアリン酸エステル等のステアリン酸系化合物、アルコール系化合物であり、更に好ましくは、ステアリン酸系化合物である。このように、上記有機無機複合樹脂組成物は、ステアリン酸系化合物を含有する有機無機複合樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記離型剤の含有量としては、樹脂組成物100質量%に対して、10質量%以下であることが好ましい。10質量%を超えると樹脂が硬化しにくくなる等のおそれがある。より好ましくは、0.01〜5質量%であり、更に好ましくは、0.1〜2質量%である。
上記硬化剤としては、熱潜在性硬化剤であることが好ましい。熱潜在性硬化剤とは、熱潜在性カチオン発生剤、カチオン重合開始剤とも呼ばれ、樹脂組成物において硬化温度になれば、硬化剤としての実質的な機能を発揮するものである。このような熱潜在性カチオン発生剤を用いることにより、例えば、室温で硬化がすすむような有機樹脂を用いた場合であっても、室温で硬化を進まないようにすることができ、硬化反応のハンドリングが容易にできるようになる。また、得られる樹脂組成物の耐湿性が劇的に改善され、過酷な使用環境においても樹脂組成物が有する優れた光学特性を保持し、種々の用途に好適に用いることができるものとなる。通常、屈折率が高い水分が樹脂組成物やその硬化物に含まれると、濁りの原因になるが、優れた耐湿性が発揮できることから、このような濁りが抑制され、レンズ等の光学用途に好適に用いることができる。特に車載用カメラや宅配業者向けバーコード読み取り機などの用途では、長時間の紫外線照射や夏季の高温暴露により黄変や強度劣化が懸念されるが、これらの現象は空気や水分の紫外線照射又は熱線暴露の相乗効果により酸素ラジカルの発生が原因と考えられる。耐湿性が向上することで、樹脂組成物中への吸湿が抑制され、紫外線照射又は熱線暴露の相乗効果による酸素ラジカル発生も抑えられるため、樹脂組成物の黄変や強度低下を引き起こすことなく長時間にわたり優れた耐熱性を発揮する。
上記熱潜在性カチオン発生剤としては、下記一般式(4)
(R 10 Z)+k(AXj)−k(4)
(式中、Zは、S、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、N及びハロゲン元素からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を表す。R、R、R及びR10は、同一又は異なって、有機基を表す。d、e、f及びgは、0又は正数であり、d、e、f及びgの合計はZの価数に等しい。カチオン(R 10 Z)+kはオニウム塩を表す。Aは、ハロゲン化物錯体の中心原子である金属元素又は半金属元素(metalloid)を表し、B、P、As、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Coからなる群より選ばれる少なくとも一つである。Xは、ハロゲン元素を表す。kは、ハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷である。jは、ハロゲン化物錯体イオン中のハロゲン元素の数である。)で表されるものであることが好ましい。
上記熱潜在性カチオン発生剤としては、上述の構造を有するものであればよいが、これらは、一般に、硬化温度でカチオンが発生することになる。硬化温度としては、25〜250℃であることが好ましい。より好ましくは60〜200℃、更に好ましくは80〜180℃である。
また硬化条件としては硬化温度を段階的に変化させてもよい。例えば、樹脂組成物の硬化物を製造する上での生産性を向上する目的で型内に所定の温度・時間で保持した後、型から取り出して空気又は不活性ガス雰囲気内に静置して熱処理することも可能である。この場合の硬化温度としては型内保持温度を25℃〜250℃、より好ましくは60℃〜200℃、更に好ましくは80〜180℃であり、保持時間は10秒〜5分、より好ましくは30秒〜5分、更に好ましくは1分〜3分である。
上記一般式(4)の陰イオン(AXj)−kの具体例としては、テトラフルオロボレート(BF4−)、ヘキサフルオロホスフェート(PF6−)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6−)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6−)、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl6−)等が挙げられる。
更に一般式AXj(OH)で表される陰イオンも用いることができる。また、その他の陰イオンとしては、過塩素酸イオン(ClO )、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CFSO )、フルオロスルホン酸イオン(FSO )、トルエンスルホン酸イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸イオン等が挙げられる。
上記熱潜在性カチオン発生剤の具体的な商品としては、ジアゾニウム塩タイプ:AMERICUREシリーズ(アメリカン・キャン社製)、ULTRASETシリーズ(アデカ社製)、WPAGシリーズ(和光純薬社製)
ヨードニウム塩タイプ:UVEシリーズ(ゼネラル・エレクトリック社製)、FCシリーズ(3M社製)、UV9310C(GE東芝シリコーン社製)、Photoinitiator 2074(ローヌプーラン社製)、WPIシリーズ(和光純薬社製)
スルホニウム塩タイプ:CYRACUREシリーズ(ユニオンカーバイド社製)、UVIシリーズ(ゼネラル・エレクトリック社製)、FCシリーズ(3M社製)、CDシリーズ(サトーマー社製)、オプトマーSPシリーズ・オプトマーCPシリーズ(アデカ社製)、サンエイドSIシリーズ(三新化学工業社製)、CIシリーズ(日本曹達社製)、WPAGシリーズ(和光純薬社製)、CPIシリーズ(サンアプロ社製)
等が挙げられる。
本発明の有機無機複合樹脂組成物は、40kgf/cm以下の強度で離型するものであることが好ましい。上記有機無機複合樹脂組成物において、40kgf/cm以下の強度で離型するとは、当該技術分野において容易に剥離し、製造工程で生産性よく製造することができ、樹脂組成物の連続生産ができると評価されることを意味する。離型強度が、40kgf/cmを超えると生産性よく製造できず、経済性に優れたものとならないおそれがある。剥離強度として好ましくは、20kgf/cm以下であり、より好ましくは、10kgf/cm以下であり、更に好ましくは、1kgf/cm以下であり、特に好ましくは、0.1kgf/cm以下である。
上記剥離強度は、透明材料の連続生産時に必要な条件として、副反応が生じる150℃以下の温度で短時間にある程度の材料硬度(40kgf/cm以下の強度で離型する)であることが好ましい。このような剥離強度(材料硬度)は、例えば、以下のようにして評価することができる。120℃、2.5分で樹脂組成物をSUS304基板状に高さ1mmで硬化し、30℃に30s以内で冷却し、樹脂とSUS304の界面にカッター(エヌティー社製、本体型番:L−500、刃の型番:BL−150P)を所望の力(例えば、剥離強度40kgf/cmの力)で押し当てて離型のしやすさを評価することができる。なお、剥離強度40kgf/cmの力は、1.5kgの荷重を長さ2cmの樹脂と、SUS304界面にカッターを用いて加えたときの値として算出している。なお、カッターの刃先の荷重が加わる面積を、0.04cmとした。
本発明の有機無機複合樹脂組成物の硬化方法としては、熱硬化や光硬化等の種々の方法を好適に用いることができるが、有機無機複合樹脂組成物に硬化剤や必要に応じてその他の材料を混合して1液とし、硬化物の形状に合わせた金型に該混合液を塗出して硬化させ、その後硬化物を金型から取り出す方法が好適に用いられる。このような方法においては、硬化剤等を混合した硬化性有機無機複合樹脂組成物の粘度は、取り扱いが容易であることから、著しく上昇しない方が好ましい。すなわち、混合直後に比べて25℃で3日間保存後の硬化性有機無機複合樹脂組成物の粘度が、200%以下であることが好ましい。200%を超えると、金型への液の塗出が困難となりうるおそれがあり、金型内での流動性にも悪影響を与えるおそれがある。より好ましくは、180%以下であり、更に好ましくは、150%以下である。このように、上記有機無機複合樹脂組成物は、硬化性有機無機複合樹脂組成物として1液での混合物の粘度上昇率が、25℃で3日間保存後に混合直後に比べて200%以下となる有機無機複合樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記有機無機複合樹脂組成物を硬化して硬化物を製造する方法としては、通常用いられている方法を好適に使用することができ、後述するように樹脂組成物の種類に応じて適宜選択することができるが、上記有機無機複合樹脂組成物を5分以内で硬化させて硬化物を製造する方法であることが好ましい。具体的には、上記有機無機複合樹脂組成物に硬化剤や必要に応じてその他の材料を混合して1液とし、硬化物の形状に合わせた金型に該混合液を塗出して、5分以内で硬化させることが好ましい。金型を用いた硬化を短時間で行うことにより、経済性に優れた方法とすることができる。このように、上記有機無機複合樹脂組成物を硬化して硬化物を製造する方法であって、該製造方法は、有機無機複合樹脂組成物を5分以内で硬化させて硬化物を製造する有機無機複合樹脂組成物の硬化方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記硬化時間(金型を用いた硬化時間)が5分を超えると、生産性が悪くなる。より好ましくは、3分以内であり、更に好ましくは、2分以内であり、最も好ましくは、1分以内である。上記硬化温度としては、硬化させる樹脂組成物等に応じて適宜設定することができるが、80〜200℃であることが好ましい。より好ましくは、100〜180℃であり、更に好ましくは、110〜150℃である。具体的には、110℃で3分硬化させることが好適である。
上記硬化方法おいては、金型から取り出し、形状を保てる程度の硬度であればよく、1kgf/cm以上の力で押し出したときの形状変化の割合が10%以下の硬化強度(硬度)であることが好ましい。上記形状変化の割合として好ましくは、1%以下であり、より好ましくは、0.1%以下であり、更に好ましくは、0.01%以下である。
本発明の有機無機複合樹脂組成物においては、上記のように金型を用いて5分以内で硬化させた後、硬化物を金型から取り出し、ポストキュア(ベーク)を行うことか好ましい。ポストキュアを行うことにより、硬化物が充分な硬度をもち、種々の用途に好適に用いることができる。また、ポストキュアにおいては、ある程度の硬度を持つ硬化物を更に硬化させる点から、取り扱い性に優れている。そのため、金型を用いないでよいことから、小さな面積で大量の製品をポストキュアできる利点がある。
上記ポストキュアにおいて、硬化温度及び硬化時間としては、硬化させる樹脂組成物等に応じて適宜設定することができる。例えば、硬化温度としては、80〜200℃であることが好ましい。より好ましくは、100〜180℃であり、更に好ましくは、110〜150℃である。ポストキュアの硬化時間としては、硬化温度にも依存するが、1〜48時間であることが好ましい。より好ましくは、1〜10時間であり、更に好ましくは、2〜5時間である。
以下、本発明の有機無機複合樹脂組成物の硬化方法について更に説明する。本発明の樹脂組成物の硬化には、使用する樹脂の性質に応じて、従来公知の方法を採用することができる。
本発明の樹脂組成物の樹脂成分として、グリシジル基及び/またはエポキシ基を少なくとも1つ有する化合物を含有する場合は、硬化剤を用いて熱硬化することにより、硬化物とすることができる。上記硬化剤としては、上述した熱潜在性カチオン発生剤を用いることが好ましい。また、熱潜在性カチオン発生剤以外の硬化剤としては、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸、メチルナジック酸等の酸無水物類;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、テルペンフェノール樹脂等の種々のフェノール樹脂類;種々のフェノール類とヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザール等の種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂等の各種のフェノール樹脂類;BF錯体、スルホニウム塩類、イミダゾール類等の1種又は2種以上を用いることができる。また、上記グリシジル基及び/またはエポキシ基を少なくとも1つ有する化合物を後述する多価フェノール化合物で硬化することも好ましい態様である。
上記グリシジル基及び/またはエポキシ基を少なくとも1つ有する化合物を含有する樹脂組成物の硬化においては、硬化促進剤を用いることができ、例えば、トリフェニルホスフィン、トリブチルヘキサデシルホスフォニウムブロマイド、トリブチルホスフィン、トリス(ジメトキシフェニル)ホスフィン等の有機リン化合物等の1種又は2種以上が好適である。上記硬化温度としては、70〜200℃が好ましい。より好ましくは、80〜150℃である。
本発明の樹脂組成物の樹脂成分として、多価フェノール化合物を含有する場合は、硬化剤を用いて熱硬化することにより、硬化物とすることができる。上記硬化剤としては、グリシジル基及び/又はエポキシ基を少なくとも2つ有する化合物を挙げることができ、上記グリシジル基及び/又はエポキシ基を少なくとも2個有する化合物としては、1分子内に平均2個以上のグリシジル基及び/又はエポキシ基を有するエポキシ樹脂が好適であり、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、ジシクロペンタジエン、テルペン、クマリン、パラキシリレンジメチルエーテル、ジクロロパラキシレン等を縮合反応させて得られる多価フェノールを、更にエピハロヒドリンと縮合反応することにより得られるノボラック・アラルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;テトラヒドロフタル酸、へキサヒドロフタル酸、安息香酸とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;水添ビスフェノールやグリコール類とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ヒンダトインやシアヌール酸とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる含アミングリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂等の芳香族多環式エポキシ樹脂等が好適である。また、これらエポキシ樹脂と多塩基酸類及び/又はビスフェノール類との付加反応により分子中にエポキシ基を有する化合物であってもよい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
上記多価フェノール化合物とエポキシ樹脂系硬化剤との配合質量比(多価フェノール化合物/エポキシ樹脂系硬化剤)としては、30/70以上となるようにすることが好ましく、また、70/30以下となるようにすることが好ましい。30/70未満であると、形成される硬化物の機械物性等が低下するおそれがあり、70/30を超えると、難燃性が不充分となるおそれがある。より好ましくは、35/65以上であり、また、65/35以下である。上記硬化には硬化促進剤を使用してもよく、上記硬化促進剤としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルメチルアミン、DBU(1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン)、DCMU(3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素)等のアミン類;トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(ジメトキシフェニル)ホスフィン等の有機リン化合物等が好適である。
本発明の樹脂組成物の樹脂成分として、重合性不飽和結合を有する化合物を含有する場合の硬化方法としては、活性エネルギー線の照射による硬化方法、熱による硬化方法が挙げられるが、本発明の樹脂組成物が200〜400nmに固有の分光感度を有しており、光重合開始剤不在下において、波長180〜500nmの紫外線又は可視光線を照射することによって重合させることができ、とりわけ、254nm、308nm、313nm、365nmの波長の光が硬化に有効であるので、活性エネルギー線の照射による硬化方法が好適である。また、本発明の樹脂組成物は、空気中及び/又は不活性ガス中のいずれにおいても硬化させることができる。
上記重合性不飽和結合を有する化合物を含有する樹脂組成物は、上述した紫外線又は可視光線以外の活性エネルギー線の照射によっても硬化させることができ、活性エネルギー線としては、ラジカル性活性種を生成させることができるものであればよく、上述した紫外線又は可視光線の他に、電子線、α線、β線、γ線のような電離放射線、マイクロ波、高周波、赤外線、レーザー光線等が好適であり、ラジカル性活性種を発生させる化合物の吸収波長を考慮して適宜選択すればよい。
上記波長180〜500nmの紫外線又は可視光線の光発生源としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、水銀−キセノンランプ、エキシマーランプ、ショートアーク灯、ヘリウム・カドミニウムレーザー、アルゴンレーザー、エキシマーレーザー、太陽光等が好適である。上記波長180〜500nmの紫外線又は可視光線の照射時間としては、活性エネルギー線の波長照射量によって適宜設定すればよいが、0.1マイクロ秒〜30分が好ましく、0.1ミリ秒〜1分がより好ましい。
上記活性エネルギー線の照射による硬化においては、硬化反応をより効率的に行うために、公知慣用の光重合開始剤を添加して硬化させてもよい。上記光重合開始剤の配合量としては、本発明の硬化性樹脂成分100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部であることが好ましい。0.1質量部未満であると、光重合が効率的に進行しないおそれがあり、10質量部を超えても、硬化速度の更なる向上効果はなく、逆に硬化が不充分となるおそれがある。
上記光重合開始剤としては、分子内結合開裂型の光重合開始剤、分子内水素引き抜き型の光重合開始剤等が挙げられる。上記分子内結合開裂型の光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン(チバ・ガイギー社製「イルガキュア907」)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(メルク社製「ダロキュア1173」)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ガイギー社製「イルガキュア184」)、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン(メルク社製「ダロキュア1116」)、ベンジルジメチルケタール(チバ・ガイギー社製「イルガキュア651」)、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−「4−(1−メチルビニル)フェニル」プロパン}(ラムベルティ社製エサキュアーKIP100)、4−(2−アクリロイル−オキシエトキシ)フェニル−2−ヒドロキシ−2−プロピルケトン(チバ・ガイギー社製「ZLI3331」等のアセトフェノン系、ベンゾイン、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインアルキル等のベンゾイン誘導体、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとベンゾフェノンとの混合物(チバ・ガイギー社製「イルガキュア500」)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(BASF社製「ルシリンTPO」)、ビスアシルホスフィンオキサイド(チバガイギー社製「CGI1700」)等のアシルホスフィンオキサイド系、ベンジル及びベンジル誘導体、メチルフェニルグリオキシエステル、3,3´,4,4´−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(日本油脂社製BTTB)等が好適である。
上記分子内水素引き抜き型光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ο−ベンゾイル安息香酸メチル及びο−ベンゾイル安息香酸アルキル、4−フェニルベンゾフェノン、4,4´−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4´−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3´,4,4´−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3´−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系、ミヒラーケトン、4,4´−ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン等が好適である。
上記光重合開始剤として用いることができるその他の化合物としては、2,2−ジメトキシ−1,2ージフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン及びその誘導体、4−ジメチルアミノ安息香酸エステル、1,1−ジアルコキシアセトフェノン、ベンゾフェノン及びベンゾフェノン誘導体、ベンゾイル安息香酸アルキル、ビス(4−ジアルキルアミノフェニル)ケトン、ベンジル及びベンジル誘導体、ベンゾイン及びベンゾイン誘導体、ベンゾインアルキルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、チオキサントン及びチオキサントン誘導体、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−フェニルホスフィンオキサイド等が好適である。
上記光重合開始剤としては、光カチオン重合開始剤を用いることもできる。上記光カチオン重合開始剤としては、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムホスフェート、p−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、p−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−クロルフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−クロルフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジフェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロフォスフェート、ビス[4−(ジフェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−Fe−ヘキサフルオロホスフェート、ジアリルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等が好適である。これらは市場より容易に入手することができ、例えば、SP−150、SP−170(旭電化社製);イルガキュア261(チバ・ガイギー社製);UVR−6974、UVR−6990(ユニオンカーバイド社製);CD−1012(サートマー社製)等が好適である。光カチオン重合開始剤としては、これらの中でも、オニウム塩を使用することが好ましい。また、オニウム塩としては、トリアリールスルホニウム塩及びジアリールヨードニウム塩のうち少なくとも1種を使用することが好ましい。
上記活性エネルギー線の照射による硬化においては、更に、光増感剤を併用することが好ましい。上記光増感剤の配合量は、本発明の樹脂組成物100質量%に対して、0.1〜20質量%であることが好ましい。0.1質量%未満であると、光重合が効率的に進行しないおそれがあり、20質量%を超えると、塗膜内部へ紫外線が透過するのを妨げ、硬化が不充分となるおそれがある。より好ましくは、0.5〜10質量%である。
上記光増感剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル等のアミン類等が好適である。
上記重合性不飽和化合物を含有する樹脂組成物の硬化においては、更に添加剤を添加して硬化してもよく、添加剤としては、硬化促進剤、反応性希釈剤、不飽和結合をもたない飽和化合物、顔料、染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、非反応性化合物、連鎖移動剤、熱重合開始剤、嫌気重合開始剤、重合禁止剤、無機充填剤や有機充填剤、カップリング剤等の密着向上剤、熱安定剤、防菌・防カビ剤、難燃剤、艶消し剤、消泡剤、レベリング剤、湿潤・分散剤、沈降防止剤、増粘剤・タレ防止剤、色分かれ防止剤、乳化剤、スリップ・スリキズ防止剤、皮張り防止剤、乾燥剤、IRカット剤、防汚剤、帯電防止剤、導電剤(静電助剤)等が好適である。
本発明の樹脂組成物は、上述する硬化方法によって硬化物を得ることができ、このような硬化物としては、種々の光学特性に優れたのもとなる。例えば、硬化物の濁度(ヘイズ)としては、20%以下であることが好ましい。このように、上記樹脂組成物の硬化物の濁度が、20%以下である樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。硬化物の濁度としてより好ましくは10%以下であり、更に好ましくは5%以下であり、特に好ましくは1%以下である。透明性としては、厚みが250μmの硬化物において、可視光領域(波長が360〜780nmの領域)、特に波長500nmの場合の光透過率が75%以上であることが好ましい。硬化物の光線透過率はより好ましくは80%以上であり、更に好ましくは85%以上であり、特に好ましくは、87%以上である。より好ましくは、厚みが1mmの硬化物において、上述した厚みが250μmの硬化物における好ましい光透過率を有することである。
上記硬化物において、硬化物の屈折率・アッベ数は適用される光学系の光学設計に応じて幅広い数値が求められる。なお、硬化物の光線透過率はJIS K7361−1に、濁度はJIS K7136に、屈折率・アッベ数はJIS K7142にそれぞれ準拠した方法で測定できる。
上記硬化物のPCT吸湿率は硬化条件により変化するが、硬化条件を最適化することにより.1.0%以下にすることが好ましく、より好ましくは0.5%以下、更に好ましくは0.2%以下である。
上記硬化物の耐熱性は、クラック発生などの外観の変化が全くなく、全光線透過率・濁度の変化率が20%以下であることが好ましい。より好ましくは全光線透過率・濁度の変化率が15%以下であり、更に好ましくは10%以下である。
特に車載用カメラや宅配業者向けバーコード読み取り機などの用途では、長時間の紫外線照射や夏季の高温暴露により黄変や強度劣化が懸念されるが、これらの現象は空気や水分の紫外線照射又は熱線暴露の相乗効果により酸素ラジカルの発生が原因と考えられる。耐湿性が向上することで、樹脂組成物中への吸湿が抑制され、紫外線照射又は熱線暴露の相乗効果による酸素ラジカル発生も抑えられるため、樹脂組成物の黄変や強度低下を引き起こすことなく長時間にわたり優れた耐熱性を発揮する。
上述のように硬化物が優れた透明性・光学特性を発揮することができることから、本発明の有機無機複合樹脂組成物は、光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途等の種々の用途に好適に用いることができる。このように、上記有機無機複合樹脂組成物によって構成される光学部材用硬化性材料(上記樹脂組成物を用いた硬化材料)もまた、本発明の一つである。光学部材用硬化性材料としては、上記有機無機複合樹脂組成物によって形成される硬化性光学材料であって、熱や光によって硬化する熱・光硬化性光学材料(熱硬化性光学材料や光硬化性光学材料)であることが好ましい。このような光学部材用硬化性材料は、アッベ数が35以下であり、波長500nmにおける透過率が60%以上であることが好ましい。より好ましくは、光学部材用硬化性材料は、アッベ数が34以下であり、波長500nmにおける透過率が60%以上である。アッベ数及び透過率がこのような範囲であることにより、高い透明性や解像度を有する光学特性に優れた光学部材用硬化性材料となる。光学部材用硬化性材料のアッベ数として更に好ましくは、33以下であり、特に好ましくは、30以下である。光学部材用硬化性材料の透過率としてより好ましくは、80%以上であり、更に好ましくは、85%以上である。また、上記光学部材用硬化性材料(透明光学用材料)は、上記有機無機複合樹脂組成物よって構成されることから、120℃で2分の硬化時の耐曲げ強度が60MPa以上となることが好ましい。耐曲げ強度については、上述したとおりである。また、上記光学部材用硬化性材料としては、屈折率が1.55以上であることが好ましい。このような範囲とすることで、種々の光学用途に好適に藻にいることができる。より好ましくは、1.56以上であり、更に好ましくは、1.58以上である。なお、光学部材用硬化性材料を構成する有機無機複合樹脂組成物としても、上述したアッベ数、強度、屈折率等の特性は上述と同様であることが好ましい。
本発明はまた、上記光学部材用硬化性材料を硬化させてなる光学部材でもある。このような光学部材(上記有機無機複合樹脂組成物により形成される硬化物又は硬化体)としては、上述の光学部材用硬化性材料の中でも、芳香環を有する有機成分(例えば、有機樹脂)と芳香環を有する無機成分(例えば、無機分散体や無機微粒子)からなる樹脂組成物の硬化物であることが特に好ましい。また、二重結合性(芳香環等)の含有量が樹脂中に40%以上である硬化物も好ましい。芳香環等の二重結合を有する化合物が有機無機複合樹脂組成物中に40%以上であると、屈折率等の光学特性が優れたものとなり、光学用途等に好適に用いることができる。なお、このような光学部材(硬化体)としては、上述した種々の方法により硬化させたものであることが好ましく、例えば、硬化により溶媒の一部又は全部が揮発しない場合には、該硬化体には、溶媒が含まれることとなる。このように光学部材として使用される形態において溶媒が含まれている場合には、そのような溶媒を含めて、不飽和結合量を算出する際の硬化体の質量(100質量%)を測定する。
上記光学部材のアッベ数及び透過率としては、上記光学部材用硬化性材料におけるものと同様であることが好ましい。このような低いアッベ数の硬化物であることから、下記の種々の用途に用いることができる。
上記硬化物の用途として具体的には、眼鏡レンズ、(デジタル)カメラや携帯電話や車裁カメラ等カメラレンズ、フィルター、回折格子、プリズム、光案内子、光ビーム集光レンズや光拡散用レンズ、ウォッチガラス、表示装置用のカバーガラス等の透明ガラスやカバーガラス等の光学用途;フォトセンサー、フォトスイッチ、LED、発光素子、光導波管、合波器、分波器、断路器、光分割器、光ファイバー接着剤等のオプトデバイス用途;LCDや有機ELやPDP等の表示素子用基板、カラーフィルター用基板、タッチパネル用基板、ディスプレイ保護膜、ディスプレイバックライト、導光板、反射防止フィルム、防曇フィルム等の表示デバイス用途等が好適である。
上記硬化物の形状としては、用途に応じて適宜設定することができ、特に限定されず、異形品等の成形体、フィルム、シート、ペレット等の形態も挙げられる。
本発明の樹脂組成物及びその光学部材は、上述の構成よりなり、連続生産が可能であり、耐熱性等の基本性能に優れ、しかも透明性等の光学特性に優れ、光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途、機械部品材料、電気・電子部品材料等として有用な有機無機複合樹脂組成物及びその光学部材である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
(828EL/SiO(シリコーンオリゴマーPPSQ−E)=65/35(wt%))
ビスフェノールA(ジャパンエポキシレジン社製、JER 828EL、エポキシ当量184〜194)32.5gとシリコーンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)17.5gを均一になるように混合した。収量50g、粘度7Pa・sであった。(実施例1用樹脂組成物)
(828EL/SiO(シリコーンオリゴマーPPSQ−H)=87/13(wt%))
ビスフェノールA(ジャパンエポキシレジン社製、JER 828EL、エポキシ当量184〜194)136.5gとシリコーンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−H、数平均分子量2200)20.6gと酢酸エチル150.0を均一になるように混合した。90℃でエバポレーターを用いて溶媒の減圧留去を行った。収量157.2g、粘度3.3Pa・sであった。(実施例2用樹脂組成物)
(828EL/JER1003/SiO(シリコーンオリゴマーPPSQ−E)/2021P=60/20/10/10(wt%))
ビスフェノールA(ジャパンエポキシレジン社製、JER 828EL、エポキシ当量184〜194)240.0gとビスフェノールA(ジャパンエポキシレジン社製、JER 1003、エポキシ当量670〜770)80.0gとメチルエチルケトン100.0gを均一になるように混合した。90℃でエバポレーターを用いて溶媒の減圧留去を行った。収量320.3gであった。その後、80℃でセロキサイド(ダイセル化学工業社製、2021P)40.0gを混合し、シリコーンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)40.0gを均一になるように混合した。収量400.3g、粘度22Pa・sであった。(実施例3用樹脂組成物)
(828EL/JER1256/SiO(シリコーンオリゴマーPPSQ−E)/2021P=70/10/10/10(wt%))
ビスフェノールA(ジャパンエポキシレジン社製、JER 828EL、エポキシ当量184〜194)70.0gとビスフェノールA(ジャパンエポキシレジン社製、JER 1256、エポキシ当量7000〜8500)10.0gとトルエン40.0gを均一になるように混合した。120℃でエバポレーターを用いて溶媒の減圧留去を行った。収量81.3gであった。その後、80℃でセロキサイド(ダイセル化学工業社製、2021P)10.0gを混合し、シリコーンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)10.0gを均一になるように混合した。収量101.3g、粘度22Pa・sであった。(実施例4用樹脂組成物)
(828EL/JER1007/SiO(シリコーンオリゴマーPPSQ−E)/2021P=60/20/10/10(wt%))
ビスフェノールA(ジャパンエポキシレジン社製、JER 828EL、エポキシ当量184〜194)240.0gとビスフェノールA(ジャパンエポキシレジン社製、JER 1007、エポキシ当量1750〜2200)80.0gとメチルエチルケトン100.0gを均一になるように混合した。90℃でエバポレーターを用いて溶媒の減圧留去を行った。収量322.6gであった。その後、80℃でセロキサイド(ダイセル化学工業社製、2021P)40.0gを混合し、シリコーンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)40.0gを均一になるように混合した。収量402.6g、粘度50Pa・sであった。(実施例5用樹脂組成物)
(828EL/SiO(フェニルシリコーンオリゴマー)=70/30(wt%))
ビスフェノールA(ジャパンエポキシレジン社製、JER 828EL、エポキシ当量184〜194)161.2gとフェニルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM−103)99.1gとブタノール161.2gと水27.0gを均一になるように混合した。その後、ジラウリル酸ジブチルスズ(IV)1.6gを均一になるように混合した。攪拌しながら80℃に昇温し、2時間反応を行った。120℃でエバポレーターを用いて溶媒の減圧留去を行った。収量241.7g、粘度3.3Pa・sであった。(実施例6用樹脂組成物)
(828EL/EX−1020/SiO(シリコーンオリゴマーPPSQ−H)/2021P=47.5/25/17.5/10(wt%))
ビスフェノールA(ジャパンエポキシレジン社製、JER 828EL、エポキシ当量184〜194)30.0gとフルオレンエポキシ(大阪ガスケミカル社製、オンコート EX−1020、エポキシ当量296)50.0gとセロキサイド(ダイセル化学工業社製、2021P)20.0gを均一になるように混合した(原料樹脂A)。ビスフェノールA(ジャパンエポキシレジン社製、JER 828EL、エポキシ当量184〜194)65.0gとシリコーンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−H、数平均分子量2200)35.0gとメチルエチルケトン50.0gを均一になるように混合し、90℃で減圧留去を行った(原料樹脂B−1 収量100.0g)。その後、原料樹脂Aと原料樹脂B−1を均一になるように混合した。収量200.0g、粘度15.5Pa・sであった。(実施例7用樹脂組成物)
(828EL/EX−1020/SiO(シリコーンオリゴマーPPSQ−E)/2021P=47.5/25/17.5/10(wt%))
ビスフェノールA(ジャパンエポキシレジン社製、JER 828EL、エポキシ当量184〜194)30.0gとフルオレンエポキシ(大阪ガスケミカル社製、オンコート EX−1020、エポキシ当量296)50.0gとセロキサイド(ダイセル化学工業社製、2021P)20.0gを均一になるように混合した(原料樹脂A)。ビスフェノールA(ジャパンエポキシレジン社製、JER 828EL、エポキシ当量184〜194)65.0gとシリコーンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)35.0gとメチルエチルケトン50.0gを均一になるように混合した(原料樹脂B−2)。その後、原料樹脂Aと原料樹脂B−2を均一になるように混合した。収量200.0g、粘度9.8Pa・sであった。(実施例8用樹脂組成物)
(YX−8000/SiO(MEK−ST)=70/30(wt%))
水添ビスフェノールA(ジャパンエポキシレジン社製、JER YX−8000、エポキシ当量205)168gとオルガノシリカゾル(日産化学工業社製、MEK−ST、粒子径10〜15nm、固形分30%)240gを均一になるように混合し、80℃でエバポレーターを用いて溶媒の減圧留去を行った。収量249.7g、粘度40Pa・sであった。(比較例1用樹脂組成物)
(YX−8000/SiO(シリコーンオリゴマーPPSQ−E)=70/30(wt%))
水添ビスフェノールA(ジャパンエポキシレジン社製、JER YX−8000、エポキシ当量205)22.8gとシリコーンオリゴマー(小西化学工業社製、PPSQ−E、数平均分子量850)9.8gを均一になるように混合した。収量32.6g、粘度3Pa・sであった。(比較例2用樹脂組成物)
(828EL/SiO(MEK−ST)=70/30(wt%))
ビスフェノールA(ジャパンエポキシレジン社製、JER 828EL、エポキシ当量184〜194)42.1gとオルガノシリカゾル(日産化学工業社製、MEK−ST、粒子径10〜15nm、固形分30%)60.1gを均一になるように混合し、80℃でエバポレーターを用いて溶媒の減圧留去を行った。収量70.9g、粘度30Pa・sであった。(比較例3用樹脂組成物)
(硬化用樹脂組成物の調製)
上記樹脂組成物に対して、離型剤としてステアリン酸を全重量に対して0.5wt%となるように、80℃で均一混合した。45℃に冷却後、カチオン系重合開始剤(三新化学工業社製、サンエイドSI−60L)を全重量に対して1.5wt%(固形分換算0.5wt%)となるように添加し均一になるように混合した。
(成形体)
樹脂組成物を必要に応じて熱を加え(50℃等)減圧脱泡処理を行った後、溶媒の存在により気泡が発生する場合には、減圧処理を行いながら、140℃、5時間で硬化を行い、1mm厚の注型板を得た。
樹脂組成物を必要に応じて熱を加え(50℃等)減圧脱泡処理を行った後、スキージ法にて成膜を行い、溶媒の存在により気泡が発生する場合には、減圧処理を行いながら、140℃、5時間で硬化を行い、250μmのフィルムを得た。
<不飽和結合量の定量>
上記硬化用樹脂組成物の硬化体に含まれる不飽和結合量を上述した方法により求めた。概略を説明すると、以下のとおりである。
上記硬化用樹脂組成物を150℃、1時間加熱し硬化体を得た。実施例1の場合、加熱後の硬化体の重量は、加熱前の硬化用樹脂組成物の98.1%であった。樹脂組成物及び硬化体のNMR及びIR測定し、不飽和結合(芳香環)の存在を確認した。400MHz H−NMR測定により不飽和結合を形成する炭素原子と水素原子の定量を行った。TMS基準で6.5〜8ppmにピークが検出され、実施例1の場合、硬化体100質量%中、45.4%含まれていた。
<透明性の評価(透過率)>
透過率:吸光度計(島津製作所製、分光光度計UV−3100)を用いて、波長500nmにおける硬化物の透過率を評価した。
(硬化物):厚みが1mmの成型体、厚みが250μmであるフィルムの透過率を評価した。
<粘度>
樹脂組成物の40℃、回転速度D=1/s時の粘度をR/Sレオメーター(米国ブルックフィールド社製)にて評価した。粘度20Pa・s以上ではRC25−1の測定治具を使用し、20未満ではRC50−1、RCS75−1の治具を使用した。D=1/s時点の粘度が測定できないものについては、D=5〜100/sの値を外挿して、樹脂組成物の粘度として評価した。
<屈折率、アッベ数の評価>
屈折率計(アタゴ社製、DR−M2)を用いて20℃にて評価した。
(硬化物):前述の成形体、フィルムの屈折率、アッベ数を評価した。
Figure 2008266609
上述した実施例及び比較例から、本発明の数値範囲の臨界的意義については、次のようにいえることがわかった。すなわち、硬化後の硬化体100質量%に対して、不飽和結合量を40質量%以上含有することにより、透明性及び屈折率が高く、アッベ数が低い等の光学特性において有利な効果を発揮し、それが顕著であることがわかった。
数値範囲の下限の技術的意義については、実施例3が41.4質量%で下限値であり、その下限値を下回る比較例3と比較すると明らかである。実施例3では、500nmの透過率が90.1%であるが、それに対して、比較例3では、68.9%である。実施例3では、光学用途やその他種々の用途に好適に適用できるレベルであるが、比較例3では、特にレンズ等の光学用途やオプトデバイス用途等に好適に用いることができない。このような効果、つまり光学用途やその他種々の用途に好適に使用することができるという効果は、際立ったものであるということはいうまでもない。実施例3以外の実施例では、不飽和結合量を40質量%以上含有しているが、これらの実施例においても、本発明の効果が顕著に現れることになる。
なお、上述した実施例及び比較例では、エポキシ樹脂とシリカ系高分子化合物を用いているが、不飽和結合量が40質量%以上である有機無機複合樹脂組成物である限り、透明性及び屈折率が高く、アッベ数を低くさせる機構は同様である。したがって、不飽和結合量が40質量%以上である有機成分と無機成分とを含む有機無機複合樹脂組成物であれば、本発明の有利な効果を発現することは確実であるといえる。少なくとも、有機成分として、熱可塑性樹脂組成物とシリカ系高分子化合物とを含み、特に芳香環を有するエポキシ樹脂と芳香環を有するシリカ系高分子化合物とを主体とする場合においては、上述した実施例及び比較例で充分に本発明の有利な効果が立証され、本発明の技術的意義が裏付けられている。


Claims (8)

  1. 有機成分と無機成分とを含む有機無機複合樹脂組成物であって、
    該有機無機複合樹脂組成物は、硬化後の硬化体100質量%に対して不飽和結合量が40質量%以上であることを特徴とする有機無機複合樹脂組成物。
  2. 前記有機無機複合樹脂組成物は、有機成分が芳香環を有することを必須とし、硬化後の硬化体100質量%に対して芳香環量が40質量%以上であることを特徴とする請求項1記載の有機無機複合樹脂組成物。
  3. 前記無機成分は、芳香環を有するものであることを特徴とする請求項1又は2記載の有機無機複合樹脂組成物。
  4. 前記無機成分は、芳香環を有するシリカ系高分子化合物であり、ケイ素原子量100質量%に対するシリカ系高分子化合物中の芳香環量が40質量%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機無機複合樹脂組成物。
  5. 前記有機成分は、アッベ数が35以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の有機無機複合樹脂組成物。
  6. 前記有機成分は、芳香環を有するエポキシ化合物を必須とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の有機無機複合樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の有機無機複合樹脂組成物によって構成されることを特徴とする光学部材用硬化性材料。
  8. 請求項7に記載の光学部材用硬化性材料を硬化させてなることを特徴とする光学部材。
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