明 細 書
エポキシ樹脂組成物および物品
技術分野
[0001] 本発明は、光学、電気、電子部品の接着剤用に好適なエポキシ樹脂組成物に関 する。更に詳細には、特に精密部品用接着剤として低粘度で作業性が良好で且つ 低温短時間で硬化でき、その硬化物が耐高温高湿性に優れた加熱硬化型接着剤 用のエポキシ樹脂組成物、該エポキシ樹脂組成物の接着硬化物を含む部品、並び に該エポキシ樹脂組成物の原料成分の製造方法に関する。 背景技術
[0002] 従来から加熱硬化型エポキシ樹脂組成物は、硬化後の電気、機械、耐熱特性に優 れ、さらにはガラス、金属、無機物、プラスチックなどへの接着性も良好なために、接 着剤として多くの分野で採用されてきた。
[0003] 各種部品の機能の高度化につれ前記エポキシ樹脂組成物に求められる性能も多 様化し、特に光学、電気、電子などの精密部品の接着剤用途では、微少領域や複雑 形状への塗布が必要なために低粘度であること、さらに硬化加熱処理による周辺部 品への影響を少しでも抑えるために低温短時間で硬化が可能であることなど、作業 性改善における要求が中心であった。
[0004] 近年になり作業性改善以外にさらに信頼性重視のために、耐環境試験性に優れた 接着剤、具体的には、例えば 85°C、 85%湿度程度の高温高湿環境下での使用に 十分耐えうる接着剤が要求されているが、前記精密部品用の接着剤としての作業性 、即ち、低粘度且つ低温短時間硬化性を保持したまま環境試験に耐える接着剤は 存在しなレ、のが現状である。
[0005] 前記課題の一つである低温短時間化に対応できる硬化剤として、メルカプト化合物 、脂肪族アミンィ匕合物等が一般に知られている。しかし、メルカプト化合物は通常の 使用条件では反応速度が速すぎて作業性に難点がある。また脂肪族ァミン化合物は 低温硬化で使用でき、且つある程度の作業時間も確保できるとレ、う点では優れるもの の、その硬化物は耐熱性が低く巿場要求に十分応えられるものではない。
[0006] 上記硬化剤に替わるものとしてイミダゾール化合物を硬化剤として使用する例が多 レ、。例えば、エポキシ樹脂としてビスフエノール A型液状エポキシ樹脂(100重量部) 、硬化剤として 2メチルイミダゾール (重量 4部)を使用した場合、 100°Cにおいて 4分 でゲル化可能であり、且つ耐熱性の高い硬化物を得ることが可能である。
[0007] しかし、前記イミダゾールを硬化剤として使用した場合、低温短時間化を実現し且 つ耐熱性は高いという特徴はあるものの、本来の目的である優れた接着機能という点 では近年のより厳しい耐環境試験に十分に耐えられるものではな 高温高湿後の 接着力低下が著しいものであり、従って、接着機能の改善が求められていた。
[0008] この耐環境試験後の接着機能を改善するために、特許文献 1には、接着剤中に粒 径が 0. 01〜0. l x mのシリカ又はジルコニァフイラ一を l〜10wt%添加するという 報告がなされており、該発明の効果で耐久性に優れた固着強度を得ることができると 記述されている。
[0009] 特許文献 1 :特許第 3278577号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0010] しかし、該特許文献 1では、充填剤未添加時の粘度に比べ、シリカフィラー 2wt% 添カ卩時にはすでに 1. 8倍、さらにシリカフィラー 5wt%添加時には 4. 2倍、さらに 10 wt%では 28倍にも粘度が上昇する。このため、作業面から 10wt%が添加量の限界 としている。しかし、各種精密部品の接着剤として使用する場合、粘度が通常品から 3〜4倍以上になればすでに同じ組成物としての範疇は越えている。前記のように接 着剤にシリカ粉末等の充填剤を単に添加して耐環境試験性を改善する手法では作 業面に於いてすでに限界であり、特に、 0. 1ミクロン前後の非常に小さな径に接着剤 を注入する光ファイバ一用コネクタの組み立て作業の場合にはもはや同じ作業性の 接着剤とは言い難 大きな課題を残していた。
[0011] 従って、本発明の目的は、低粘度で作業性が良好であり、且つ低温短時間硬化が 可能であり、その硬化物の特性としては高温高湿の劣悪条件下に於いても良好な接 着機能を発現することができ、光学、電気、電子等のなどにおける精密部品用加熱 硬化型接着剤に適したエポキシ樹脂組成物を提供する事にある。
更に本発明の目的は、該エポキシ樹脂組成物の接着硬化物を含む部品を提供す る事にある。
更に本発明の目的は、該エポキシ樹脂組成物の原料成分の製造方法を提供する 事にある。
課題を解決するための手段
[0012] 本発明は、エポキシ樹脂分散シリカゾル及び硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物 に関する。
更に本発明は、該エポキシ樹脂組成物を、接着対象物に塗布または注入後、加熱 硬化して得られる接着硬化物を含む物品に関する。
更に本発明は、溶剤中に分散しているシリカゾルとエポキシ樹脂を混合した後、溶 剤を除去することを含むエポキシ樹脂分散シリカゾルの製造方法に関する。
発明の効果
[0013] 本発明の加熱硬化型接着剤用に適したエポキシ樹脂組成物は、精密部品用接着 剤として低粘度で作業性が良好で且つ低温短時間硬化可能で、その硬化物が耐高 温高湿性に優れた接着層を有し、その結果、光学、電気、電子等の精密部品の耐環 境信頼性を向上させることができる。
図面の簡単な説明
[0014] [図 1]各種エポキシ樹脂組成物に関して、シリカ含有量 (wt%)と粘度上昇率(%)と の関係について、シリカ含有量 Owt%に対しての対初期値粘度増加率をに示した。 図 1には、表 2に示した実施例 3、 4および 5のエポキシ樹脂組成物の粘度の変化、特 許第 3278577号公報の表 2に記載の回転温度 30rpmおよび lOrpmでの粘度測定 結果、並びに比較例 3のエポキシ樹脂組成物の粘度の変化が示されてレ、る。
発明を実施するための最良の形態
[0015] 本発明について詳細に説明する。なお、以下において「%」および「部」は特記しな い限りそれぞれ「重量%」及び「重量部」を意味する。
本発明の加熱硬化型接着剤用に適したエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂分 散シリカゾル及び硬化剤を含有する。
[0016] 通常、樹脂組成物に使用される充填剤といえば、後添加する粉末粒子のことであり 、これら粉末粒子はその粒径が細力べなればなるほど 1次粒子としては存在せず、 2 次、 3次粒子の集合体として大気中に存在することが知られている。そのようなフイラ 一を樹脂組成物に添加混合する場合、その粒径が細いほど 1次粒子まで凝集をほぐ すのが困難である。従って、粒径の細カ 、、 nmレベルのフィラーほど、フィラーの添 加量の増加と共に急激に樹脂組成物の粘度上昇が発生する。そのため細かい、 nm レベルのフィラーを使用すればするほどその添カ卩量に制限を受けやすくなるという難 点、がある。
[0017] 本発明で使用するエポキシ樹脂分散シリカゾルは前記したようなフィラーを使用す るのとは異なり、予め溶剤中に均一分散したシリカゾル溶液、即ち、凝集物がほとん どないため、溶液として沈殿が生じずに安定してシリカゾル成分が分散している透明 溶液状態のシリカゾノレ溶液を原料に使用することを特徴としており、しかも、エポキシ 樹脂分散シリカゾルを得る課程でシリカゾノレ成分を単独で乾燥させずにエポキシ樹 脂のような樹脂成分中に分散させることを特徴としている。これは、明らかに通常のシ リカフィラーなどの充填剤を単純に添加する上記特許文献 1などの方法とは異なるも のである。
本発明において、エポキシ樹脂分散シリカゾルの使用量は、全エポキシ樹脂組成物 中に通常 10〜98重量%、好ましくは 20〜97重量%、さらに好ましくは 30〜95重量 %程度である。
[0018] 前記したエポキシ樹脂分散シリカゾルを得るための具体的な製造法を述べる。
溶剤中に分散してレ、る該シリカゾノレとエポキシ樹脂を混合した後、溶剤を除去するこ とによりエポキシ樹脂を分散媒体としたエポキシ樹脂分散シリカゾルを得ることができ る。溶剤の除去は、例えば減圧加熱方法が採用できる。エポキシ樹脂分散シリカゾル 中には、シリカゾルが 0. :!〜 50wt%、好ましくは 0. 5〜30wt%、さらに好ましくは 1. 0〜25wt%分散しているものがよい。
[0019] 溶剤中に分散してレ、るシリカゾルは、有機溶剤シリカゾノレ溶液であることが好ましく 、溶解させる分散樹脂としては、エポキシ樹脂が使用できる。分散用エポキシ樹脂は 固形のものでもよいが、通常は常温(25°C)で、液状のものが好ましい。液状であれ
ば、物性に影響を与えない限り特に限定されるものではなレ、が、液状状態のものを用 レ、る方が本発明の樹脂組成物を製造する観点からより好ましい。なお、固形樹脂を 使用する場合は、それを該シリカゾルの溶剤分散溶液に溶解させて、同様に溶剤除 去すればよい。この固形樹脂分散シリカゾルは液状の形態で、具体的には加熱して 樹脂を液状化して、または溶剤もしくは液状エポキシ樹脂に溶解して、使用される。
[0020] 本発明で使用する溶剤中に分散しているシリカゾルは、特に限定される物ではなく 、市販されている有機溶剤分散シリカゾル溶液なら使用することができ、前記した製 造法を実施することでエポキシ樹脂中にシリカゾルを分散させる事ができるシリカゾ ル溶液なら特に制限を受けなレ、。
[0021] 例えば、扶桑化学工業製の商品名高純度オノレガノゾノレシリーズの PL— 1 , PL— 2 , PL— 3, PL— 5, PL— 10, PL— 30などのメタノール、 IPA (イソプロパノール)、 M EK (メチルェチルケトン)、 PGM (プロピレングリコールモノメチルエーテル)溶液タイ プが挙げられる。なかでも、 PL2L—メチルェチルケトンシリカゾル溶液、 PL2L—プ ロピレングリコールモノメチルエーテルシリカゾル溶液、 PL2L—トルエンシリ力ゾル 溶液、 PL2L—イソプロパノールシリカゾルなどが特に好ましレ、。また、該シリカゾル溶 液は市販の物以外でも、例えば特開 2004— 91220号公報に記載された製法で作 成された有機溶剤シリカゾル溶液でもよい。
[0022] 他にも日産化学工業製の商品名 STシリーズなども挙げられる。具体的には、メタノ ールシリカゾル、 IPA—ST (イソプロパノール溶液)、 MEK— ST (メチルェチルケトン 溶液)、 PMA—ST (プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液)、 PM G— ST (プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液)、 MIBK— ST (メチルイソブ チルケトン溶液)、 EG— ST (エチレングリコール溶液)、 NPC_ST (n—プロピルセ ルソルブ溶液)、 DMAC— ST (ジメチルァテトアミド溶液)、 8八_3丁(キシレン' !1- ブタノール混合溶液)などである。
[0023] 前記した該シリカゾルは、 nmサイズのシリカ粒子を 1次粒子とした分散液が好ましく 、さらに好ましくは 500nm以下、より好ましくは 200nm以下、さらに好ましくは 50nm 以下である。分散している 1次粒子径が 500nmを越えると、シリカゾルとしての長期 での安定性に欠けた濁ったシリカゾル分散液となり、エポキシ樹脂分散シリカゾルを
製造する際に安定した分散状態の物が出来にくい。なお、シリカ粒子の 1次粒子は 極端に小さなもの、例えば、 lnm以下のシリカ粒子を用いないようにするのが好まし レ、。
[0024] 次に、本発明のエポキシ樹脂分散シリカゾルで使用する、シリカゾルを分散させる 分散用エポキシ樹脂について述べる。
本発明で使用する分散用エポキシ樹脂としては、接着性、耐熱性を確保するという 点では 2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であることが好まし 例えばポリ フエノールイヒ合物のグリシジノレエーテル化物である多官能エポキシ樹脂、各種ノボラ ック樹脂のグリシジルエーテルィヒ物である多官能エポキシ樹脂、脂環式多官能ェポ キシ樹脂、脂肪族系多官能エポキシ樹脂、複素環式多官能エポキシ樹脂、グリシジ ルエステル系多官能エポキシ樹脂、グリシジノレアミン系多官能エポキシ樹脂、ハロゲ ンィ匕フエノール類をグリシジルイ匕した多官能エポキシ樹脂等が挙げられる。
[0025] ポリフエノール類化合物のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ樹脂とし ては、例えば 2— [4— (2, 3—ヒドロキシフエ二ル)一 2— [4— [1 , 1—ビス [4— (2, 3 —ヒドロキシ)フエ二ノレ]ェチノレ]フエ二ノレ]プロパン、ビスフエノーノレ A、ビスフエノーノレ F、ビスフエノール S、 4, 4'ービフエノール、テトラメチルビスフエノール A、ジメチルビ スフエノール八、テトラメチルビスフエノール F、ジメチルビスフエノールF、テトラメチル ビスフエノール S、ジメチルビスフエノール≤、テトラメチル一 4, 4'—ビフヱノール、ジメ チノレ一 4, 4,一ビフエノール、 1— (4—ヒドロキシフエ二ル)一 2— [4— (1 , 1—ビス一 (4—ヒドロキシフエニル)ェチル)フエニル]プロパン、 2, 2,一メチレン一ビス(4—メチ ノレ _6 _tert_ブチルフエノール)、 4, 4'—ブチリデン一ビス(3—メチル _ 6 _tert —ブチルフエノール)、トリスヒドロキシフエニルメタン、レゾルシノール、ハイドロキノン 、ピロガロール、フロログリシノール、ジイソプロピリデン骨格を有するフエノール類、 1 , 1 _ジ一 4—ヒドロキシフエニルフルオレン等のフルオレン骨格を有するフエノール 類、フエノール化ポリブタジエン等のポリフエノール化合物、モノないしまたはジァリノレ 基が結合したフエノール類(例えば、ジァリル化ビスフエノール A)のグリシジルエーテ ル化物などが挙げられる。
[0026] 各種ノボラック樹脂のグリシジノレエーテル化物である多官能エポキシ樹脂としては、
例えばフエノール、タレゾール類、ェチルフエノール類、ブチルフエノール類、ォクチ ルフエノール類、ビスフエノール類(ビスフエノール A、ビスフエノール F、ビスフエノー ル S等)、ナフトール類等の各種フエノールを原料とするノボラック樹脂、キシリレン骨 格含有フエノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジェン骨格含有フエノールノボラック 樹脂、ビフエニル骨格含有フエノールノボラック樹脂、フルオレン骨格含有フヱノール ノボラック樹脂等の各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテルィ匕物などが挙げられる。
[0027] 脂環式多官能エポキシ樹脂としては、例えばシクロへキサン等の脂環式化合物の 多官能エポキシ樹脂が挙げられ、ダイセル化学工業社製のセロキサイド 2080、セロ キサイド 3000、セロキサイド 2021〔(3, 4— 3 ' , 4'エポキシシクロ)へキシルメチル、 へキサンカルボキシレート〕などがある。
脂肪族系多官能エポキシ樹脂としては、 1, 4 ブタンジオール、 1 , 6—へキサンジ オール、ポリエチレングリコール、ペンタエリスリトール等の多価アルコールのグリシジ ルエーテル化物が挙げられる。
複素環式多官能エポキシ樹脂としては、イソシァヌル環、ヒダントイン環等の複素環を 有する複素環式多官能エポキシ樹脂が挙げられる。例えば、トリグリシジルイソシァヌ ル酸などが挙げられる。
[0028] グリシジルエステル系エポキシ樹脂としては、例えばへキサヒドロフタル酸ジグリシジ ルエステル等のカルボン酸エステル類からなるエポキシ樹脂が挙げられる。
グリシジノレアミン系多官能エポキシ樹脂としては、ァニリン、トルイジン等のアミン類を グリシジノレ化したエポキシ樹脂が挙げられる。
ハロゲン化フエノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂としては、ブロム化ビスフエ ノーノレ A、ブロム化ビスフエノール F、ブロム化ビスフエノール S、ブロム化フエノールノ ボラック、ブロム化クレゾ一ルノボラック、クロル化ビスフエノール S、クロル化ビスフエノ ール A等のハロゲン化フエノール類の水酸基をグリシジル化したエポキシ樹脂が挙げ られる。
[0029] これら分散用エポキシ樹脂の性状として、固体、液状を問わず使用できるが、作業 性の観点から液状樹脂であることが好ましい。さらに、その粘度は、 25°C、 E型粘度 計で測定した場合に、 30Pa' s以下のものがより好ましい。特に精密部品用途の場合
には作業性重視の観点から、 lOPa' s以下のものが好まし さらには 5Pa' s以下の 樹脂が好ましい。前記具体例としてはビスフヱノール F、レゾルシノール、ジないしモノ ァリルイ匕ビスフエノール Aなどのグリシジノレ化物、脂環式多官能エポキシ樹脂でシクロ へキサン等の脂環式化合物で市販されているダイセル化学工業社製のセロキサイド 2080、セロキサイド 3000、セロキサイド 2021〔(3, 4— 3 ', 4'エポキシシクロ)へキ シルメチル、へキサンカルボキシレート〕などが挙げられる。
[0030] 本発明のエポキシ樹脂組成物に含有される硬化剤としては、例えば、酸無水物系 硬化剤、イミダゾール系硬化剤、カルボン酸系硬化剤、アミン系硬化剤、ヒドラジド系 硬化剤、フエノール系硬化剤等が挙げられ、これらは、作業性、物性等に悪い影響を 与えない範囲で混合して使用する事ができる。なかでも、作業性、特に低粘度の観 点から液状酸無水物系、液状イミダゾール系、液状アミン系、液状フエノール系等の 液状硬化剤を使用するのが好ましぐより低粘度な液状酸無水物系硬化剤が特に好 ましい。
[0031] 酸無水物系硬化剤としては、例えばフタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリ ット酸無水物、ベンゾフヱノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコール無水トリメリ ット酸無水物、ビフエニルテトラカルボン酸無水物等の芳香族カルボン酸無水物;ァ ゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の脂肪族カルボン酸無水物;テトラヒドロフタ ル酸無水物、へキサヒドロフタル酸無水物、ナジック酸無水物、へット酸無水物、ハイ ミック酸無水物等の脂環式カルボン酸無水物が挙げられる。なかでも、低粘度で作 業性を優先する場合は液状酸無水物系硬化剤が好ましく、脂環式カルボン酸無水 物で例えばテトラヒドロフタル酸無水物、へキサヒドロフタル酸無水物、ナジック酸無 水物、へット酸無水物、ハイミック酸無水物が特に好ましい。
[0032] イミダゾール系硬化剤としては、例えば 2—メチルイミダゾール、 2—フエ二ルイミダ ゾール、 2—ゥンデシルイミダゾール、 2 _ヘプタデシルイミダゾール、 2—フエニル— 4 メチルイミダゾール、 1 _ベンジル— 2_フエ二ルイミダゾール、 1 _ベンジル _ 2 —メチルイミダゾール、 1—シァノエチル _ 2—メチルイミダゾール、 1—シァノエチル _ 2_フエ二ルイミダゾール、 1—シァノエチル _ 2—ゥンデシルイミダゾール、 2, 4- ジァミノ一 6 (2'—メチルイミダゾール(1') )ェチル s トリァジン、 2, 4—ジァミノ一 6
(2,一ゥンデシルイミダゾール(1,))ェチル _ s—トリァジン、 2, 4—ジァミノ一 6 (2,_ ェチル, 4—メチルイミダゾール(1 ') )ェチル _ s—トリァジン、 2, 4—ジァミノ一6 (2' -メチルイミダゾール (1 ') )ェチル _ s—トリァジン'イソシァヌル酸付加物、 2-メチル イミダゾールイソシァヌル酸の 2: 3付加物、 2—フエ二ルイミダゾ一ルイソシァヌル酸 付加物、 2—フエニル一 3, 5—ジヒドロキシメチルイミダゾール、 2—フエ二ノレ一 4—ヒ ドロキシメチル _ 5—メチルイミダゾール、 1—シァノエチル一 2 _フエニル一3, 5—ジ シァノエトキシメチルイミダゾールの各種イミダゾール類、及び、それらイミダゾール類 とフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジ力 ルボン酸、マレイン酸、蓚酸等の多価カルボン酸との塩類、ジシアンジアミド等のアミ ド類、 1 , 8 ジァザービシクロ(5. 4. 0)ゥンデセン 7等のジァザ化合物及びそれら のフエノール類、前記多価カルボン酸類、又はホスフィン酸類との塩類、テトラプチノレ アンモニゥムブロマイド、セチルトリメチルアンモニゥムブロマイド、トリオクチルメチル アンモニゥムブロマイド等のアンモニゥム塩、トリフエニルホスフィン、テトラフエニルホ スホニゥムテトラフエニルボレート等のホスフィン類、 2, 4, 6 トリスアミノメチルフエノ ール等のフエノール類,アミンァダクト等の各種化合物が挙げられ、混合して使用して ちょい。
[0033] カルボン酸系硬化剤としては、例えばコハク酸、アジピン酸、ァゼライン酸、セバシ ン酸などの炭素数 2〜22の脂肪族ポリカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタ ノレ酸、 1, 2, 4_ベンゼントリカルボン酸、 1 , 2, 4, 5 _ベンゼンテトラカルボン酸、ナ フタレンジ (又はテトラ)カルボン酸等の芳香族ポリカルボン酸;テトラヒドロフタノレ酸、 へキサヒドロフタル酸、メチルへキサヒドロフタル酸等の脂環式ポリカルボン酸等が挙 げられる。
[0034] アミン系硬化剤としては、例えば、ジアミノジフエ二ルメタン、 4, 4'—ジァミノ一 3, 3
'—ジェチルジフエニルメタン、ジアミノジフエニルスルフォン、ジアミノジフエ二ルエー テル、 p—フエ二レンジァミン、 m—フエ二レンジァミン、 o _フエ二レンジァミン、 1 , 5 —ジァミノナフタレン、 m_キシリレンジァミン等の芳香族ァミン;エチレンジァミン、ジ エチレンジァミン、イソフォロンジァミン、ビス(4—ァミノ一 3—メチルジシクロへキシル )メタン、ポリエーテルジァミン等の脂肪族ァミン;ジシアンジアミド、 l—(o トリル)ビ
グアニド等のグァニジン類が挙げられる。特に液状で芳香族ァミンである 4, 4 '—ジ アミノー 3, 3 '—ジェチルジフエニルメタンが特に好ましい。
[0035] ヒドラジド系硬化剤としては、例えばカルポジヒドラジド、シユウ酸ジヒドラジド、マロン 酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、 ピメリン酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、ァゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸 ジヒドラジド、ドデカンジォヒドラジド、へキサデカンジォヒドラジド、テレフタル酸ジヒド ラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、 2, 6 _ナフトェ酸ジヒドラジド、 4, 4'—ビスベンゼン ジヒドラジド、 1, 4 ナフトェ酸ジヒドラジド、 2, 6 ピリジンジヒドラジド、 1, 4ーシクロ へキサンジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イミノジ酢酸ジヒドラジ ド、 N, N' へキサメチレンビスセミカルバジド、ィタコン酸ジヒドラジド等のジヒドラジ ド系化合物;ピロメリット酸トリヒドラジド、エチレンジァミン四酢酸テトラヒドラジド、 1, 2 , 4 ベンゼントリヒドラジド等の多官能ヒドラジド系化合物が挙げられる。
[0036] フエノール系硬化剤としては、例えばビスフエノール A、ビスフエノール F、ビスフエノ 一ル 、 4, 4'ービフエニルフエノール、テトラメチルビスフエノール A、ジメチルビスフ エノール八、テトラメチルビスフエノール F、ジメチルビスフエノールF、テトラメチルビス フエノール S、ジメチルビスフエノール3、テトラメチルー 4, 4'ービフエノール、ジメチ ルー 4, 4,一ビフエエルフェノール、 1— (4 ヒドロキシフエ二ル)一 2— [4— (1, 1 - ビス _ (4—ヒドロキシフエニル)ェチル)フエニル]プロパン、 2, 2 '—メチレン一ビス(4 —メチル一 6 _tert_ブチルフエノール)、 4, 4'—ブチリデン一ビス(3—メチル _ 6 _tert_ブチルフエノール)、トリスヒドロキシフエニルメタン、レゾルシノール、ノ、イド口 キノン、ピロガロール、ジイソプロピリデン骨格を有するフエノール類、 1 , 1—ジ _4_ ヒドロキシフエニルフルオレン等のフルオレン骨格を有するフエノール類、フエノール ィ匕ポリブタジエン、フエノール、タレゾール類、ェチルフエノール類、ブチルフエノール 類、ォクチルフエノール類、ビスフエノーノレ A、ビスフエノール F、ビスフエノール S、ナ フトール類等の各種フエノールを原料とするノボラック樹脂、キシリレン骨格含有フエ ノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジェン骨格含有フエノールノボラック樹脂、ビフ ェニル骨格含有フエノールノボラック樹脂、フルオレン骨格含有フエノールノボラック 樹脂、フラン骨格含有フエノールノボラック樹脂等の各種ノボラック樹脂等が挙げられ
る。なかでも、低粘度で作業性を優先する場合は液状フエノール系硬化剤が好ましく 、例えば巿販製品では明和化成製の MEH8000などの液状フエノール硬化剤、ァリ ルイ匕され低融点もしくは液状化されたフエノール化合物、例えばジァリルビスフエノー ノレ Aなどが好ましい。
[0037] また、本発明で使用する硬化剤を、シリカゾル分散用の樹脂として使用することも可 能である。分散用樹脂として使用する場合は、分散用エポキシ樹脂と同様に作業面 に於いては、常温(25°C)で液状樹脂であることが望ましい。溶剤に分散しているシリ カゾノレを液状硬化剤に均一に混合した後、溶剤を除去することにより、この硬化剤分 散シリカゾルが得られる。また、硬化剤が固形の場合、溶剤に分散しているシリカゾル に硬化剤を添加溶解し、その後溶剤を除去することにより、この硬化剤分散シリカゾ ルが得られる。
[0038] 本発明で使用する硬化剤は、エポキシ樹脂と反応して 3次元架橋の硬化物を得る ことが可能になり、物性を発現する。そのため、エポキシ樹脂に対する添加量をコント ロールする事は重要である。特にそのエポキシ基に対する硬化剤の当量比ということ を考慮すると、通常 0. 4〜: 1. 4、好ましくは 0. 6〜: 1. 0の範囲で用いられる。それ以 外の範囲での使用では十分な硬化物を得ることが難しい。しかし、イミダゾール系硬 化剤を使用する場合、当量比という考えではなく全エポキシ樹脂 100部に対してイミ ダゾール系硬化剤を 2〜: 15部、より好ましは 5〜: 10部使用するのがよい。
[0039] 本発明の加熱硬化型接着剤用に適したエポキシ樹脂組成物は、低温短時間硬化 を実現させるために、エポキシ樹脂と硬化剤の反応を促進させる硬化促進剤を使用 する場合がある。具体的には、硬化促進剤としては、イミダゾール系硬化促進剤また はホスフィン類を用いるのが好ましい。しかし、硬化促進剤はこれらに限定される物で はなぐ他にエポキシ樹脂と各硬化剤の反応を促進する触媒として利用できる化合 物、例えば第 3級ァミン類、ォクチル酸スズなどの金属化合物、第 4級ホスホニゥム塩 類なども挙げられる。
[0040] 上記硬化促進剤としては、例えば 2—メチルイミダゾール、 2—フエ二ルイミダゾール 、 2—ゥンデシルイミダゾール、 2 _ヘプタデシルイミダゾール、 2—フエ二ノレ _4—メ チルイミダゾール、 1一べンジルー 2—フエ二ルイミダゾール、 1一べンジルー 2—メチ
ノレイミダゾール、 1—シァノエチル _ 2—メチルイミダゾール、 1—シァノエチル一 2 _ フエ二ルイミダゾール、 1—シァノエチル _ 2—ゥンデシルイミダゾール、 2, 4—ジアミ ノ一 6 (2'—メチルイミダゾール(1') )ェチル _ s—トリァジン、 2, 4—ジァミノ一 6 (2' _ ゥンデシルイミダゾール(1') )ェチル _ s—トリァジン、 2, 4—ジァミノ— 6 (2' _ェチル , 4—メチルイミダゾール(1') )ェチル _ s—トリァジン、 2, 4—ジァミノ一6 (2'—メチ ノレイミダゾール(1') )ェチル _ s—トリァジン 'イソシァヌル酸付加物、 2-メチルイミダゾ 一ルイソシァヌル酸の 2 : 3付加物、 2_フヱニルイミダゾ一ルイソシァヌル酸付加物、 2 フエニル一 3, 5 ジヒドロキシメチルイミダゾール、 2 フエ二ノレ一 4—ヒドロキシメ チルー 5 メチルイミダゾール、 1ーシァノエチルー 2 フエ二ルー 3, 5 ジシァノエ トキシメチルイミダゾール、イミダゾール、 2—ェチルー 4ーメチルーイミダゾール、 1 シァノエチル 2 ェチル 4 メチル イミダゾール、 1 シァノエチル 2—メチ ルーイミダゾール、 1一べンジルー 2—ェチルーイミダゾール、 1ーシァノエチルー 2 フエニノレー 4, 5—ジー(シァノエトキシメチル) イミダゾール、の各種イミダゾール 類、及び、それらイミダゾール類とフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸 、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、マレイン酸、蓚酸等の多価カルボン酸との 塩類、ジシアンジアミド等のアミド類、 1 , 8 ジァザービシクロ(5. 4. 0)ゥンデセン 7等のジァザ化合物及びそれらのフエノール類、前記多価カルボン酸類、又はホスフ イン酸類との塩類、テトラプチルアンモニユウムブロマイド、セチルトリメチルアンモニュ ゥムブロマイド、トリオクチルメチルアンモニユウムブロマイド等のアンモニユウム塩、ト リフエニルホスフィン、テトラフェニルホスホニゥムテトラフエニルボレート等のホスフィ ン類、 2, 4, 6—トリスァミノメチルフエノール等のフエノール類,アミンァダクト等の各種 化合物が挙げられ、混合して使用してもよい。
なかでも液状イミダゾールイ匕合物が好ましぐ具体的には、イミダゾール、 2—ェチ ノレ一 4 _メチル一イミダゾール、 1—シァノエチル一 2 _ェチル _4_メチル一イミダゾ ール、 1 _ベンジル— 2 _メチル—イミダゾール、 1—シァノエチル— 2 _メチル—イミ ダゾール、 1 _ベンジル— 2 _ェチル—イミダゾール、 1—シァノエチル— 2 _フエ二 ノレ一 4, 5 _ジ一(シァノエトキシメチル)一イミダゾール、 1 , 8_ジァザ一ビシクロ(5. 4. 0)ゥンデセン 7等が挙げられる。
[0042] 本発明で硬化促進剤を使用する場合、その使用量は、エポキシ樹脂 100部に対し て通常 0.:!〜 5部、好ましくは 0. 3〜4部、更に好ましくは 0. 5〜3部である。硬化促 進剤の使用量が 0. 1部より少ない場合、エポキシ樹脂と各硬化剤との充分な架橋反 応の促進効果が薄く耐熱性に悪影響を及ぼし、 5部より多い場合、可使時間が短く 作業性が悪くなる。
[0043] 本発明で使用する硬化促進剤が固形である場合、硬化剤や他液状樹脂に一度溶 解して液状化硬化促進剤として使用することも可能である。例えば、溶解用液状樹脂 としては、液状酸無水物(例えば、 4メチルへキサヒドロ無水フタル酸など)、液状フエ ノールイ匕合物(例えば、明和化成製 MEH8000など)、液状ァミン化合物(例えばへ キサメチレンジァミンなど)、脂環式エポキシ樹脂 (例えば、ダイセル化学工業社製の セロキサイド 2080、セロキサイド 3000、セロキサイド 2021〔(3, 4— 3 ' , 4 'エポキシ シクロ)へキシルメチル、へキサンカルボキシレート〕など)が挙げられる。その他にも 物性等に影響を及ぼさない範囲で 130°C以上の高沸点溶剤(例えばプロピレンダリ コールモノメチルエーテルなど)も使用可能である。
[0044] 更に、本発明の加熱硬化型接着剤用エポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、力 ップリング剤、界面活性剤、充填剤、酸化安定剤、光安定剤、耐湿性向上剤、チキソ トロピー付与剤、消泡剤、粘着付与剤、帯電防止剤、滑剤、紫外線吸収剤等の添カロ 剤を配合することもできる。
[0045] 該カップリング剤としては、例えば、 3—グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、 3 - シラン、 2— (3, 4—エポキシシクロへキシル)ェチルトリメトキシシラン、 N— (2—アミ ノエチル) 3—ァミノプロピルメチルジメトキシシラン、 N— (2—アミノエチル) 3—ァミノ プロピルメチルトリメトキシシラン、 3—ァミノプロピルトリエトキシシラン、 3 _メルカプト プロピルトリメトキシシラン、ビュルトリメトキシシラン、 N— (2 - (ビュルベンジルァミノ)
ラン等のシラン系カップリング斉 lj、イソプロピル(N _ェチルアミノエチルァミノ)チタネ ート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、チタニウムジ(ジォクチルピロフォス
フェート)ォキシアセテート、テトライソプロピルジ(ジォクチルフォスファイト)チタネート 、ネオアルコキシトリ(p— N—( j3—アミノエチル)ァミノフエニル)チタネート等のチタ ン系カップリング剤、 Zr—ァセチルァセトネート、 Zr—メタタリレート、 Zr—プロビオネ ート、ネオアルコキシジルコネート、ネオアルコキシトリスネオデカノィルジルコネート、 ネオアルコキシトリス(ドデカノィノレ)ベンゼンスルフォニルジルコネート、ネオアルコキ シトリス(エチレンジアミノエチル)ジルコネート、ネオアルコキシトリス(m—ァミノフエ二 ノレ)ジルコネート、アンモニゥムジルコニウムカーボネート等のジルコニウム系カツプリ ング剤、 A1—ァセチルァセトネート、 A1—メタタリレート、 A1—プロピオネート等のアル ミニゥム系カップリング剤等が挙げられる。
[0046] なかでもシラン系カップリング剤が好ましぐエポキシ基を有するシラン系カップリン グ剤がより好ましい。カップリング剤を使用すると基材との密着性が向上し、かつ耐湿 信頼性の点でより優れた接着層が得られる。カップリング剤を用いる場合、その使用 量はエポキシ樹脂 100部に対して 0.:!〜 10部程度、好ましくは 0. 5〜5部程度であ る。
[0047] 本発明の加熱硬化型接着剤用に適したエポキシ樹脂組成物の基材への塗布性を 向上させるために界面活性剤を用いることもできる。該界面活性剤としては、例えば、 シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤が用いられ、用いる場合、その添加量 fまエポキシ樹月旨 100咅 こ対し、通常 0. 001-0. 5咅程度、好ましく ίま 0. 08-0. 3 部程度である。
[0048] 本発明のエポキシ樹脂組成物を使用する場合、本発明に必要な全成分を一度に配 合した 1液タイプとして使用してもよい。また、エポキシ樹脂類と硬化剤類を予め分け て製造し使用直前に液を混ぜる 2液タイプとして使用してもよい。
[0049] 本発明のエポキシ樹脂組成物は液状状態で使用するのが好ましい。しかし、本組 成物として粘度が高い場合や固形の場合は溶剤等で希釈して使用してもよい。ただ し、本組成物を加熱硬化処理する場合は予め希釈溶剤等を低温で予備加熱して除 去するなどの工程が追加必要になる。上記溶剤としては、本組成物が可溶な溶剤な ら特に制限を受ける必要はないが、例えば、メチルェチルケトン、メチルイソプチルケ トン、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコール系溶剤などが好ましレヽ
[0050] 本発明のエポキシ樹脂組成物は低粘度且つ低温短時間硬化が可能で、ガラス、金 属、無機物、プラスチック等の種々の材料に対して優れた密着性を有しており、各種 精密部品の接着剤として適用可能であるが、特に光学精密部品、具体的には光ファ ィバーコネクタの製造、ボールレンズの固定、 V溝などへのファイバの固定、などにお けるガラス、金属、無機物間等の接着に使用した場合、高温高湿などの劣悪条件下 でも接着力を保持することが可能であることから、加熱硬化型接着剤用として、非常 に有用である。
[0051] 本発明の加熱硬化型接着剤用に適したエポキシ樹脂組成物には、それを塗布又 は注入後、加熱して得られる硬化物も本発明に含まれる。即ち、従来のエポキシ樹 脂を用いた加熱接着方法に準じた方法が適用可能であるが、具体的には光学部品 である光ファイバ一/コネクタの接着の場合、コネクタ中心に本発明のエポキシ樹脂 組成物の 1液混合物を注入後、光ファイバ一を挿入し加熱炉にて 100°C X 60分程 度熱処理を実施することで、該接着硬化物により強固に固定された光学部品を得る 事が可能である。また、本発明の加熱硬化型接着剤用に適したエポキシ樹脂組成物 をガラスクロス、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、紙、不職布などに含浸させてから 使用してもよい。ただし、低温短時間硬化を示す本発明の加熱硬化型接着剤用に適 したエポキシ樹脂組成物は、室温において徐々に増粘するため、適当な可使時間の 設定が望ましい。
[0052] 以下、本発明を実施例、比較例により更に詳細に説明する。尚、本発明はこれら実 施例に限定されるものではない。また、実施例中特に断りがない限り、部は重量部を 示す。エポキシ当量 fお IS K_ 7236に準じた方法で測定した。
[0053] 実施例 1
エポキシ樹脂分散シリカゾルの均一混合物の調製
1L丸底フラスコに、分散用エポキシ樹脂としてビスフエノール F型エポキシ樹脂 15 Og (JER社製 商品名:ェポミック 807、粘度: 3. 28Pa' s、E型粘度計: 25°C)、有機 溶剤シリカゾル 31. 3g (扶桑化学工業社製 商品名: PL2LPGME、シリカ分 25. 2 %、プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液)を配合して約 2時間攪拌混合した
次いで、 70°Cにセットしたオイルバスに混合溶液をセットしてエバポレーターにて減 圧溶剤除去を開始した。約 1時間掛けてオイルバスの温度を 180°C、減圧度 800Pa まで到達させ、さらにその状況で約 1時間減圧乾燥を継続した後オイルバスからフラ スコを外して約 100°C以下まで自然放冷し、粘調な液体であるエポキシ樹脂分散シリ カゾル (以下、シリカ溶剤除去マスターバッチを MB1と記述する)を得た。
前記エポキシ樹脂分散シリカゾルを TG/DTA (昇温速度 40°CZ分、 600°Cで 20 分以上保持)を測定して灰分量を測定した結果、灰分値 6. 1%の物が得られている 事が判明した。これは、配合割合から計算したシリカ成分 5wt%と良く一致している。
[0054] 実施例 2
ヱポキシ榭脂分散シリカゾルの均一混合物の調製
1L丸底フラスコに、分散用エポキシ樹脂としてビスフエノール F型エポキシ樹脂 10 Og CJER社製 商品名:ェポミック 807、粘度: 3. 28Pa' s、E型粘度計: 25°C)、有機 溶剤シリカゾル 100g (扶桑化学工業社製 商品名: PL2LPGME、シリカ分 25. 2% 、プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液)を配合して約 2時間攪拌混合した。 次いで、 70°Cにセットしたオイルバスに混合溶液をセットしてエバポレーターにて減 圧溶剤除去を開始した。約 1時間掛けてオイルバスの温度を 180°C、減圧度 800Pa まで到達させ、さらにその状況で約 1時間減圧乾燥を継続した後オイルバスからフラ スコを外して約 100°C以下まで自然放冷し、粘調な液体であるエポキシ樹脂分散シリ カゾル (以下シリカ溶剤除去マスターバッチを MB2と記述する)を得た。
前記エポキシ樹脂分散シリカゾルを TG/DTA (昇温速度 40°CZ分、 600°Cで 20 分以上保持)を測定して灰分量を測定した結果、灰分値 19. 6%の物が得られてい る事が判明した。これは、配合割合から計算したシリカ成分 20wt%と良く一致してい る。
[0055] 比較例 1
エポキシ樹脂とシリカゾル溶剤除去物との混合物の調製
120°Cに加熱したホットプレート上にアルミカップを設置して、そこに該有機溶剤シ リカゾルとして、 1次粒子が 20nmである有機溶剤シリカゾル溶液 20g〔扶桑化学工業
社製 Z商品名 PL2LPGMEZシリカ分 25. 2%Zプロピレングリコールモノメチルェ 一テル溶液〕を少量ずつ滴下して 20分以上溶剤を乾燥させた。溶剤乾燥後、さらに 150°C加熱炉にて 1時間追加乾燥し、その後放冷してシリカゾル溶剤除去物を得た 次レ、で、エポキシ樹脂としてビスフエノール F型エポキシ樹脂 CFER社製 商品名: ェポミック 807、粘度: 3. 28Pa' s、 E型粘度計: 25°C) 80gに前記シリカゾル溶剤除 去物 20gを枰とり、 3本ロールにて 5分間分散させて、エポキシ樹脂とシリカゾノレ溶剤 除去物との混合物(MB3)を得た。
[0056] 実施例 3
本発明のヱポキシ樹脂組成物の調製
実施例 1で調製したシリカ成分 5wt%のビスフエノール F型エポキシ樹脂分散シリカ ゾル (MB1)を使用して、表 1に示された実施例 3の配合比率にて全成分を配合した 。次いで、 5分間攪拌混合、 20分真空脱法の工程を経てエポキシ樹脂組成物を調製 した。
[0057] 実施例 4〜5
本発明のヱポキシ樹脂組成物の調製
表 1に示された実施例 4〜5の配合比率に従い、実施例 3と同様な方法にてェポキ シ樹脂組成物を調製した。
[0058] 比較例 2
シリカ成分を含有しないエポキシ樹脂組成物の調製
ビスフエノール F型液状エポキシ樹脂(エポキシ樹脂 A)を用いて、表 1に示した比 較例 2の配合比率に従い、実施例 3と同様な方法にて、シリカ成分を含有しないェポ キシ樹脂組成物を調製した。
[0059] 比較例 3
比較例 1で調製した混合物を用いたエポキシ樹脂組成物の調製
比較例 1で調製したビスフエノール F型エポキシ樹脂とシリカゾル溶剤除去物との混 合物(MB3)を使用して、表 1に示した比較例 3にある配合比率にて全成分を配合し た。次いで、 5分間攪拌混合、 20分真空脱法の工程を経てエポキシ樹脂組成物を調
製した。
[0060] 比較例 4
特許第 3278577号公報に記載のエポキシ接着剤
特許第 3278577号公報(特許文献 1)の実施例に使用されている、ェポテック社製 の 353NDをエポキシ接着剤として使用した。
[0061] 比較例 2および 3、並びに実施例 3から 5の各エポキシ樹脂組成物の配合成分およ びその量を、表 1に示した。
[0062] 表 1:エポキシ樹脂組成物の配合
比較例 2 実施例 3 実施例 4 実施例 5 比較例 3
エポキシ樹脂 A 100 40
MB1 - 100
MB2 - 50 100 -
MB3 - - 100
硬化剤 C 73.0 70.7 58.5 58.5 58.5
当量値 0.75 0.75 0.75 0.75 0.75
硬化促進剤 D 1.65 1.60 1.32 1.32 1.32
添加剤 1 1.75 1.72 1.50 1.72 1.72
添加剤 2 0.35 0.35 0.30 0.35 0.35
シリカ含有量 wt% 0 2.8 6.6 12.8 12.8
表 1中、シリカ含有量 wt%はエポキシ樹脂組成物中の重量%を示し、他の量は重量 部を示す。当量値は、エポキシ基に対する硬化剤 Cの酸無水物基の比率が 1 : 1にな る状態を当量 1 (1/1 = 1)として、その比率を示した。
[0063] 表 1の各配合成分の詳細は以下のとおりである。
エポキシ樹脂 A:
ビスフエノール F型液状エポキシ樹脂(エポキシ当量:約 170g/eq、商品名ェピコ ート 807、 E型粘度計で 3. 28Pa' s、 JER株式会社製)
MB1 :
実施例 1にて得られたビスフエノール F型液状エポキシ樹脂分散シリカゾル (シリカ
ゾル成分 5wt%)
MB2 :
実施例 2にて得られたビスフヱノール F型液状エポキシ樹脂分散シリカゾル (シリカ ゾル成分 20wt%)
MB3 :
比較例 1にて得られたビスフエノール F型液状エポキシ樹脂とシリカゾル溶剤除去 物との混合物(シリカゾル成分 20wt%)
石 ィ 吝 He :
メチルへキサヒドロフタル酸(商品名 MH— 700G、新日本理化社製)
石更ィ Wl¾隹吝 1ID :
2E4MZ— CN ( 1—シァノエチル— 2—ェチル— 4—メチルイミダゾール、四国化成 社製)
油吝 1 :
7ーグリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名 S— 510、チッソ社製) 油吝 112 :
消泡剤(商品名 BYK088、ビックケミ一社製)
[0064] 試験例 1
エポキシ榭脂組成物の粘度の評価
1.比較例 2および 3、並びに実施例 3から 5のエポキシ樹脂組成物
表 1記載の配合成分を有する、比較例 2、 3、並びに実施例 3、 4および 5の各ェポ キシ樹脂組成物の粘度 (E型粘度計、 25°C)の測定結果を表 2に示した。
[0065] 表 2:エポキシ樹脂組成物粘度値
シリカ含有量 wt% 粘度値 Pa- s 対初期値栾化率%
比較例 2 0 0.48 100.0
実施例 3 2.8 0.63 131.3
実施例 4 6.6 0.67 139.6
実施例 5 12.3 1.09 227.1
比較例 3 12.3 2.68 558.3
[0066] 2.特許第 3278577号公報に記載のエポキシ接着剤
特許第 3278577号公報(特許文献 1)の表 2に記載されているシリカフィラーを充 填していった際の接着剤の粘度増加データを表 3および 4に転記した。
[0067] 表 3:特許第 3278577号公報の接着剤の 30rpm時の粘度
シリカ含有量 wt% 粘度値 Pa - s 対初期値 ¾ h率。/。
1.85 100.0
2.6 140.5
3.4 183.8
7.8 421.6
52.6 2843.2 表 4 :特許第 3278577号公報の接着剤の lOrom時の粘度
シリカ含有量 wt% 粘度値 pa * s ym
3.9 100.0
7.3 187.2
8.5 217.9
11.3 289.7
114 2923.1
[0069] 3.シリカ含有量の粘度変化
次いで、表 2、 3、 4の粘度データをもとに、シリカ含有量 Owt%に対して初期値変化 率をシリカ含有量と粘度上昇率との関係で図 1に示した。
[0070] 4.評価結果
表 2、 3、 4と図 1から確認できるように、特許第 3278577号公報で示されているシリ 力充填の例ではシリカフィラー 5wt%含有時に於いて既に初期粘度の 3〜5倍近い 増粘を示し、さらにシリカフィラー 10wt%含有時には 30倍近い増粘を示しており、接 着剤としての作業性を著しく落としていることが分かる。また、有機溶剤シリカゾル単
独を乾燥させた溶剤除去物とエポキシ樹脂との混合物である比較例 1の混合物を使 用したシリカゾル 12. 8%含有時の比較例 3のエポキシ樹脂組成物の場合には、初 期粘度の 5倍近い増粘を示した。
一方、本発明の実施例 1および 2で示す製造方法で調製したエポキシ樹脂分散シ リカゾルを使用した場合においては、シリカゾル 6. 6wt%含有時(実施例 4のェポキ シ樹脂組成物)で 1. 4倍、 12. 8%添カ卩時(実施例 5のエポキシ樹脂組成物)で 2. 2 倍となり、特許第 3278577号公報の接着剤またはシリカゾル溶剤除去物を一度乾 燥させてから添加して得た比較例 1の混合物を用いた比較例 3のエポキシ樹脂組成 物に比べ、増粘率が非常に低いことが判明し、作業性を犠牲にする事無ぐシリカ成 分を充填できることを確認した。
また、前記した実施例 1および 2のエポキシ樹脂分散シリカゾルの製法とは異なり、 比較例 1に示したように、ナノレベルの 1次粒子径を持つ該シリカゾル溶液を単体で 溶剤乾燥させたシリカゾル溶剤除去物とエポキシ樹脂との混合物は、凝集を起こした 粗目状の物しか得られない。
試験例 2
エポキシ ^旨! ai?¾ の ィ ¾ 言平ィ ffi
比較例 2、 4、並びに実施例 3〜5のエポキシ樹脂組成物について、その硬化物性 について評価した。
1.雄
1 - 1. Si
測定機器として E型粘度計を使用した。サンプルホルダーは 25°Cにて恒温状態を 維持した。シリンジにて 1. 4mlのサンプルを枰取り、サンプルホルダーに注入した。 センサーを回転させて、測定レンジの中央に針が来るようにサンプル毎に最適な回 転数を決め、 5分安定させた後の値を樹脂組成物の粘度として採用した。
1 - 2. TMA-Tg (ガラス転移点)
長さ 30mm、 φ 5のテフロン(登録商標)チューブに該組成物を充填して、 100°Cォ ーブンにて、比較例 2、実施例 3〜5のエポキシ樹脂組成物の場合には 1時間、比較 例 4の特許第 3278577号公報で用いているエポキシ接着剤 353NDの場合には、
その推奨条件である 30分間時間硬化させた。その硬化物を長さ 15mmほどの円柱 に成型して TMA— Tg用サンプルとした。 TMA装置(真空理工製、 TA— 7000、測 定温度幅: 30°C〜230°C、加重 5g、昇温速度 2°C/分)を用いて TMA_Tg (ガラス 転移点)を測定した。
[0072] 1 - 3.ガラス/ガラスチップ接着試験による接着試験 1および 2
ガラス基板(5cm X 5cm X lmm)の上に、エポキシ樹脂組成物を少量塗布した。そ の上にガラスチップ(1. 5mm X l . 5mm X 0. 7mm)を載せて力を掛けて接着させ た。接着させたガラス基板をトレーに載せて 100°Cオーブンに投入して、比較例 2、 実施例 3〜5のエポキシ樹脂組成物の場合には 1時間、比較例 4の特許第 3278577 号公報で用いているエポキシ接着剤 353NDの場合には、その推奨条件である 30分 間時間硬化させ後放冷させて接着サンプルとした。
[0073] 西進商事製 SS— 30WDボンドテスターを使用してガラスチップの横方向から外力 を加えて(速度 0. 166mm/s)、剪断接着強度を測定した。硬化後の剪断接着強度 の測定結果を接着強度試験 1として示した。また高温高湿履歴(温度 85°C、湿度 85 %で 48時間処理)を接着サンプルに掛けた後に剪断接着強度を測定し、その結果 を接着強度試験 2として示した。
1 -4. ^m^
接着強度保持率は下記式により求めた。
(接着強度試験 2の強度) / (接着強度試験 1の強度) X 100
=接着強度保持率(%)
[0074] 2. M
各評価結果は表 5に示した。
表 5:エポキシ榭脂組成物の硬化物性評価
比較例 2 実施例 3 実施例 4 実施例 5 比較例 4
粘 度 (mPa's) 0.47 0.63 0.67 1.11 1.40
TMA— Tg 100°C 103°C 93°C 91°C *1)
接着強度試験 1 7.9kgf 6.7kgf 7.4kgf 7.4kgf 7.7kgf
接着強度試験 2 5.4kgf 6.4kgf 7.3kgf 8.3kgf 5.4kgf
接着強度保持率 67.8% 96.6% 98.1% 111.9% 70.4% シリカ含有量 wt% 0.0 2.8 6.6 12.8 0.0
*1):発砲がひど TMA-Tg測定用サンプルの作成が困難であった。 表 5中、シリカ含有量 wt%はエポキシ樹脂組成物中の重量%を示す。
[0075] 3.評価結果
表 5の結果から、エポキシ樹脂分散シリカゾルを含有する実施例 3〜5のエポキシ 樹脂組成物は、 85°C/85%湿度の厳しレ、耐環境試験下に於レ、ても接着強度の低 下がほとんど無いことを確認した。一方、エポキシ樹脂分散シリカゾノレを含有していな レ、比較例 2及び 4のエポキシ樹脂組成物は、 85°C/85 %の厳しレ、耐環境試験下に 於いて、すでに初期接着強度が維持できない状態を確認し、近年要求されている耐 環境信頼性を有してレ、なレ、事が分かる。
さらに、図 1に示されるように、作業性の面で本発明の実施例 3〜5のエポキシ樹脂 組成物は、特許第 3278577号公報または比較例 3に示されているように単純にシリ カフイラ一を充填して急激な粘度増加率を生じる例とは異なり、シリカゾル成分を含 有していてもその粘度増加率を低く抑えることが可能であることも確認した。
従って、本発明によるエポキシ樹脂組成物は、従来使用されていた製品と同様な 作業性範囲で使用する事が可能であり、またより低粘度が必要な部品の接着作業で も十分に使用できるような設計が可能であることを示している。
産業上の利用可能性
[0076] エポキシ樹脂分散シリカゾル及び硬化剤を含有する本発明のエポキシ樹脂組成物 は、低粘度で作業性が良好で且つ低温短時間硬化が可能であり、その硬化物が耐 高温高湿性に優れている。従って、エポキシ樹脂組成物は、光学、電気、電子等の 精密部品用加熱硬化型接着剤に適している。