JP2005120346A - 水性インク及びインクジェット記録用インク - Google Patents

水性インク及びインクジェット記録用インク Download PDF

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Abstract

【課題】インクとしての保存安定性に優れ、かつ良好な色相を有し、光及び環境中の活性ガス、特にオゾンガスに対して堅牢性に優れた着色画像や着色材料を与えるインクジェット用水性インクおよびインクジェット記録方法を提供する。
【解決手段】分子中に少なくとも1つのイオン性親水性基を有し、かつ下記一般式(1)で表される色素を少なくとも1種含有するインクジェット用水性インクおよびこのインクを用いたインクジェット記録方法。
一般式(1)
【化1】
Figure 2005120346

式中、AおよびBは、1価の芳香族基または1価の複素環基を表し、R1は芳香族基(ただし無置換フェニル環基を除く)または複素環基を表し、R2は置換基を表す。
【選択図】 なし

Description

本発明は、新規な水性インク、およびそのインクジェット記録用インクとしての使用、ならびにインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方法は、材料費が安価であること、高速記録が可能なこと、記録時の騒音が少ないこと、更にカラー記録が容易であることから、急速に普及し、更に発展しつつある。
インクジェット記録方法には、連続的に液滴を飛翔させるコンティニュアス方式と画像情報信号に応じて液滴を飛翔させるオンデマンド方式が有り、その吐出方式にはピエゾ素子により圧力を加えて液滴を吐出させる方式、熱によりインク中に気泡を発生させて液滴を吐出させる方式、超音波を用いた方式、あるいは静電力により液滴を吸引吐出させる方式がある。また、インクジェット記録用インクとしては、水性インク、油性インク、あるいは固体(溶融型)インクが用いられる。
このようなインクジェット記録用インクに用いられる着色剤に対しては、溶剤に対する溶解性あるいは分散性が良好なこと、高濃度記録が可能であること、色相が良好であること、光、熱、環境中の活性ガス(NOx、オゾン等の酸化性ガスの他SOxなど)に対して堅牢であること、水や薬品に対する堅牢性に優れていること、受像材料に対して定着性が良く滲みにくいこと、インクとしての保存性に優れていること、毒性がないこと、純度が高いこと、更には、安価に入手できることが要求されている。しかしながら、これらの要求を高いレベルで満たす着色剤を捜し求めることは、極めて難しい。
特許文献1(特開昭52−76331号公報)には、複素環を有する水溶性ジスアゾ色素が記載されている。しかし、該水溶性ジスアゾ色素をインク化したところ保存安定性が不十分であり、保存安定性に優れ、かつオゾン等の酸化性ガスに対して堅牢なインクが強く望まれていた。
特開昭52−76331号公報
本発明は、上記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、インクとしての保存安定性に優れ、かつ良好な色相を有し、光および環境中の活性ガス、特にオゾンガスに対する堅牢性に優れた着色画像や着色材料を与えるインクジェット記録用水性インクおよびインクジェット記録方法を提供することである。
本発明者らは、インクとしての保存安定性に優れ、かつ良好な色相を有し、光およびオゾンに対する堅牢性の高い色素を目指して、複素環化合物が含まれる水溶性ジスアゾ色素誘導体を詳細に検討したところ、特に、チオフェン環を有し、かつ、チオフェン環の4位が芳香族基(ただし無置換フェニル環基を除く)または複素環基を有する色素によって上記問題点を解決可能であることを見出した。
即ち、本発明によれば下記構成の水性インク、インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法が提供されて、本発明の上記目的が達成される。
1.分子中に少なくとも1つのイオン性親水性基を有し、かつ下記一般式(1)で表される色素を少なくとも1種含有することを特徴とする水性インク。
一般式(1)
Figure 2005120346
一般式(1)中;
AおよびBは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の1価の芳香族基または置換もしくは無置換の1価の複素環基を表す。
1は、置換もしくは無置換の芳香族基(ただし無置換フェニル基を除く)または置換もしくは無置換の複素環基を表す。
2は、置換基を表す。
2.一般式(1)のBが、置換または無置換の複素環基であることを特徴とする上記1に記載の水性インク。
3.一般式(1)で表されるアゾ色素が、下記一般式(2)で表される色素であることを特徴とする上記1または2に記載の水性インク。
一般式(2)
Figure 2005120346
一般式(2)中;
1およびB2は、それぞれ=CR5−および−CR6=を表すか、あるいはいずれか一方が窒素原子で他方が=CR5−または−CR6=を表す。
G、R5、R6は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基、複素環アミノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキル及びアリールチオ基、複素環チオ基、アルキル及びアリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキル及びアリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基またはスルホ基を表し、各基は更に置換されていても良い。
3、R4は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルまたはアリールスルホニル基またはスルファモイル基を表し、各基は更に置換基を有していても良い。但し、R3およびR4が同時に水素原子であることはない。また、R3とR5あるいはR3とR4が結合して5または6員環を形成しても良い。
4.一般式(2)で表されるアゾ色素が、下記一般式(3)で表される色素であることを特徴とする上記3に記載の水性インク。
一般式(3)
Figure 2005120346
一般式(3)中、R7およびR8は、一般式(2)のR3およびR4と同義である。
5.一般式(1)乃至一般式(3)のR1が、置換フェニル基、置換もしくは無置換のナフチル基または置換もしくは無置換の複素環基であることを特徴とする上記1から4のいずれかに記載の水性インク。
6.上記1から5のいずれかに記載の水性インクを使用することを特徴とするインクジェット記録用インク。
7.支持体上に白色無機顔料粒子を含有するインク受容層を有する受像材料上に、上記6に記載のインクジェット記録用インクを用いて画像形成することを特徴とするインクジェット記録方法。
本発明の水溶性インクは、インク保存安定性に優れ、かつ色相と堅牢性に優れた着色画像や着色材料を与えることができる。特に、本発明の上記水性インクを用いたインクジェット記録用インク及びインクジェット記録方法は、インク安定性が高く、良好な色相を有し、しかも光及び環境中の活性ガス、特にオゾンガスに対して堅牢性の高い画像を形成することができる。
以下、本発明についてより詳細に説明する。本発明における上記一般式(1)、その下位概念である一般式(2)および一般式(3)で表されるアゾ色素について詳細に説明する。まず、これら一般式の基や置換基について説明する。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
本明細書において、脂肪族基は、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基および置換アラルキル基を意味する。脂肪族基は分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜16であることがさらに好ましい。アラルキル基および置換アラルキル基のアリール部分はフェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルが特に好ましい。脂肪族基の例には、メチル、エチル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、シアノエチル、トリフルオロメチル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、シクロヘキシル基、ベンジル基、2−フェネチル基、ビニル基およびアリル基を挙げることができる。
1価の芳香族基は、アリール基および置換アリール基を意味する。アリール基は、フェニルまたはナフチルであることが好ましい。1価の芳香族基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6から16がさらに好ましい。1価の芳香族基の例には、フェニル、p−トリル、p−メトキシフェニル、o−クロロフェニルおよびm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニルが含まれる。2価の芳香族基は、これらの1価の芳香族基を2価にしたものであり、その例にはとしてフェニレン、p−トリレン、p−メトキシフェニレン、o−クロロフェニレンおよびm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニレン、ナフチレンなどが含まれる。
複素環基には、置換基を有する複素環基および無置換の複素環基が含まれる。複素環に脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。複素環基としては、5員または6員環の複素環基が好ましく、複素環のヘテロ原子としてはN、O、およびSをあげることができる。上記置換基の例には、脂肪族基、ハロゲン原子、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アシルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、イオン性親水性基などが含まれる。複素環基の例には、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−ベンゾオキサゾリル基および2−フリル基が含まれる。
カルバモイル基には、置換基を有するカルバモイル基および無置換のカルバモイル基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル基およびジメチルカルバモイル基が含まれる。
アルコキシカルボニル基には、置換基を有するアルコキシカルボニル基および無置換のアルコキシカルボニル基が含まれる。アルコキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル基およびエトキシカルボニル基が含まれる。
アリールオキシカルボニル基には、置換基を有するアリールオキシカルボニル基および無置換のアリールオキシカルボニル基が含まれる。アリールオキシカルボニル基としては、炭素原子数が7〜20のアリールオキシカルボニル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アリールオキシカルボニル基の例には、フェノキシカルボニル基が含まれる。
複素環オキシカルボニル基には、置換基を有する複素環オキシカボニル基および無置換の複素環オキシカルボニル基が含まれる。複素環オキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜20の複素環オキシカルボニル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。複素環オキシカルボニル基の例には、2−ピリジルオキシカルボニル基が含まれる。
アシル基には、置換基を有するアシル基および無置換のアシル基が含まれる。アシル基としては、炭素原子数が1〜20のアシル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アシル基の例には、アセチル基およびベンゾイル基が含まれる。
アルコキシ基には、置換基を有するアルコキシ基および無置換のアルコキシ基が含まれる。アルコキシ基としては、炭素原子数が1〜20のアルコキシ基が好ましい。置換基の例には、アルコキシ基、ヒドロキシル基、およびイオン性親水性基が含まれる。アルコキシ基の例には、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、メトキシエトキシ基、ヒドロキシエトキシ基および3−カルボキシプロポキシ基が含まれる。
アリールオキシ基には、置換基を有するアリールオキシ基および無置換のアリールオキシ基が含まれる。アリールオキシ基としては、炭素原子数が6〜20のアリールオキシ基が好ましい。置換基の例には、アルコキシ基およびイオン性親水性基が含まれる。アリールオキシ基の例には、フェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基およびo−メトキシフェノキシ基が含まれる。
複素環オキシ基には、置換基を有する複素環オキシ基および無置換の複素環オキシ基が含まれる。複素環オキシ基としては、炭素原子数が2〜20の複素環オキシ基が好ましい。置換基の例には、アルキル基、アルコキシ基、およびイオン性親水性基が含まれる。複素環オキシ基の例には、3−ピリジルオキシ基、3−チエニルオキシ基が含まれる。
シリルオキシ基としては、炭素原子数が1〜20の脂肪族基、芳香族基が置換したシリルオキシ基が好ましい。シリルオキシ基の例には、トリメチルシリルオキシ、ジフェニルメチルシリルオキシが含まれる。
アシルオキシ基には、置換基を有するアシルオキシ基および無置換のアシルオキシ基が含まれる。アシルオキシ基としては、炭素原子数1〜20のアシルオキシ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アシルオキシ基の例には、アセトキシ基およびベンゾイルオキシ基が含まれる。
カルバモイルオキシ基には、置換基を有するカルバモイルオキシ基および無置換のカルバモイルオキシ基が含まれる。置換基の例には、アルキル基が含まれる。カルバモイルオキシ基の例には、N−メチルカルバモイルオキシ基が含まれる。
アルコキシカルボニルオキシ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルオキシ基および無置換のアルコキシカルボニルオキシ基が含まれる。アルコキシカルボニルオキシ基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニルオキシ基が好ましい。アルコキシカルボニルオキシ基の例には、メトキシカルボニルオキシ基、イソプロポキシカルボニルオキシ基が含まれる。
アリールオキシカルボニルオキシ基には、置換基を有するアリールオキシカルボニルオキシ基および無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基が含まれる。アリールオキシカルボニルオキシ基としては、炭素原子数が7〜20のアリールオキシカルボニルオキシ基が好ましい。アリールオキシカルボニルオキシ基の例には、フェノキシカルボニルオキシ基が含まれる。
アミノ基には、アルキル基、アリール基または複素環基で置換されたアミノ基が含まれ、アルキル基、アリール基および複素環基はさらに置換基を有していてもよい。アルキルアミノ基としては、炭素原子数1〜20のアルキルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルキルアミノ基の例には、メチルアミノ基およびジエチルアミノ基が含まれる。アリールアミノ基には、置換基を有するアリールアミノ基および無置換のアリールアミノ基、さらにはアニリノ基が含まれる。アリールアミノ基としては、炭素原子数が6〜20のアリールアミノ基が好ましい。置換基の例としては、ハロゲン原子、およびイオン性親水性基が含まれる。アリールアミノ基の例としては、フェニルアミノ基および2−クロロフェニルアミノ基が含まれる。複素環アミノ基には、置換基を有する複素環アミノ基および無置換の複素環アミノ基が含まれる。複素環アミノ基としては、炭素数2〜20個の複素環アミノ基が好ましい。置換基の例としては、アルキル基、ハロゲン原子、およびイオン性親水性基が含まれる。
アシルアミノ基には、置換基を有するアシルアミノ基および無置換基のアシルアミノ基が含まれる。前記アシルアミノ基としては、炭素原子数が2〜20のアシルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アシルアミノ基の例には、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、N-フェニルアセチルアミノおよび3,5−ジスルホベンゾイルアミノ基が含まれる。
ウレイド基には、置換基を有するウレイド基および無置換のウレイド基が含まれる。ウレイド基としては、炭素原子数が1〜20のウレイド基が好ましい。置換基の例には、アルキル基およびアリール基が含まれる。ウレイド基の例には、3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基および3−フェニルウレイド基が含まれる。
スルファモイルアミノ基には、置換基を有するスルファモイルアミノ基および無置換のスルファモイルアミノ基が含まれる。置換基の例には、アルキル基が含まれる。スルファモイルアミノ基の例には、N, N−ジプロピルスルファモイルアミノ基が含まれる。
アルコキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルアミノ基および無置換のアルコキシカルボニルアミノ基が含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、エトキシカルボニルアミノ基が含まれる。
アリールオキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアリールオキシカボニルアミノ基および無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基が含まれる。アリールオキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が7〜20のアリールオキシカルボニルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アリールオキシカルボニルアミノ基の例には、フェノキシカルボニルアミノ基が含まれる。
アルキル及びアリールスルホニルアミノ基には、置換基を有するアルキル及びアリールスルホニルアミノ基、および無置換のアルキル及びアリールスルホニルアミノ基が含まれる。スルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜20のスルホニルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。これらスルホニルアミノ基の例には、メチルスルホニルアミノ基、N-フェニル-メチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、および3−カルボキシフェニルスルホニルアミノ基が含まれる。
複素環スルホニルアミノ基には、置換基を有する複素環スルホニルアミノ基および無置換の複素環スルホニルアミノ基が含まれる。複素環スルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜12の複素環スルホニルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。複素環スルホニルアミノ基の例には、2−チオフェンスルホニルアミノ基、3−ピリジンスルホニルアミノ基が含まれる。
複素環スルホニル基には、置換基を有する複素環スルホニル基および無置換の複素環スルホニル基が含まれる。複素環スルホニル基としては、炭素原子数が1〜20の複素環スルホニル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。複素環スルホニル基の例には、2−チオフェンスルホニル基、3−ピリジンスルホニル基が含まれる。
複素環スルフィニル基には、置換基を有する複素環スルフィニル基および無置換の複素環スルフィニル基が含まれる。複素環スルフィニル基としては、炭素原子数が1〜20の複素環スルフィニル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。複素環スルフィニル基の例には、4−ピリジンスルフィニル基が含まれる。
アルキル,アリール及び複素環チオ基には、置換基を有するアルキル,アリール及び複素環チオ基と無置換のアルキル,アリール及び複素環チオ基が含まれる。アルキル,アリール及び複素環チオ基としては、炭素原子数が1から20のものが好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルキル,アリール及び複素環チオ基の例には、メチルチオ基、フェニルチオ基、2−ピリジルチオ基が含まれる。
アルキルおよびアリールスルホニル基には、置換基を有するアルキルおよびアリールスルホニル基、無置換のアルキルおよびアリールスルホニル基が含まれる。アルキルおよびアリールスルホニル基の例としては、それぞれメチルスルホニル基およびフェニルスルホニル基を挙げることができる。
アルキルおよびアリールスルフィニル基には、置換基を有するアルキルおよびアリールスルフィニル基、無置換のアルキルおよびアリールスルフィニル基が含まれる。アルキルおよびアリールスルフィニル基の例としては、それぞれメチルスルフィニル基およびフェニルスルフィニル基を挙げることができる。
スルファモイル基には、置換基を有するスルファモイル基および無置換のスルファモイル基が含まれる。置換基の例には、アルキル基が含まれる。スルファモイル基の例には、ジメチルスルファモイル基およびジ−(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基が含まれる。
次に、一般式(1)、(2)および(3)について説明する。以下の説明において、基、置換基は、既に説明したことが適用される。
一般式(1)において、R1は置換されていてもよい芳香族基(ただし無置換フェニル環基を除く)または置換されていてもよい複素環基を表す。R1として好ましくは、置換フェニル基、置換または無置換のナフチル基、置換または無置換の複素環基(例えばピロール環、チオフェン環、イミダゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ピリジン環またはピリダジン環)であり、特に好ましくは、置換フェニル基(特にパラ位置換のフェニル基)、置換または無置換のβ−ナフチル基、ピリジン環またはチアゾール環である。置換基としては、前述の置換基が挙げられる。
一般式(1)において、R2は置換基を表し、好ましくは電子求引性基である。電子求引性基とは、電子効果で電子求引的な性質を有する置換基であり、置換基の電子求引性や電子供与性の尺度であるハメットの置換基定数σp値を用いれば、σp値が大きい置換基である。例えば、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホン基、トリフルオロメチル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アルキル及びアリールスルホニル基などが挙げられる。ハメットの置換基定数σp値について若干説明する。ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるため、1935年にL.P.Hammettより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J.A.Dean編“Lange’s Handbook of Chemistry”第12版、1979年(Mc Graw-Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。R2の電子求引性基として特に好ましくはシアノ基である。
一般式(1)において、AおよびBは、それぞれ独立して、置換されていてもよい1価の芳香族基(例えばアリール基)または置換されていてもよい1価の複素環基を表す。芳香族環の例としては、ベンゼン環やナフタレン環をあげることができ、複素環のヘテロ原子としてはN、OおよびSをあげることができる。複素環に脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。置換基としてはアリールアゾ基または複素環アゾ基であってもよい。
A,Bの少なくとも1つは、好ましくは複素環であり、特にBが複素環であることが好ましい。Aの好ましい基は、芳香族環、ピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環であり、特に好ましくは、芳香族環またはピラゾール環である。
Bの好ましい複素環基として、下記一般式(4)で表される芳香族含窒素6員複素環基があげられる。Bが下記一般式(4)で表される芳香族含窒素6員複素環基である場合は、一般式(1)は一般式(2)に相当する。
一般式(4)
Figure 2005120346
一般式(2)および一般式(4)において、B1およびB2は、それぞれ=CR5−および−CR6=を表すか、あるいはいずれか一方が窒素原子で他方が=CR5−または−CR6=を表すが、それぞれ=CR5−、−CR6=を表すものがより好ましい。
3、R4は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、スルファモイル基を表し、各基は更に置換基を有していても良い。R3、R4で表される好ましい置換基は、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルまたはアリールスルホニル基を挙げることができる。さらに好ましくは、水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルまたはアリールスルホニル基である。最も好ましくは、水素原子、アリール基、複素環基である。各基は更に置換基を有していても良い。但し、R3、R4が同時に水素原子であることはない。
G、R5、R6は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基、複素環アミノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキル及びアリールチオ基、複素環チオ基、アルキル及びアリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキル及びアリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基を表し、各基は更に置換されていても良い。
Gで表される好ましい置換基は、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、複素環オキシ基、アミノ基(アニリノ基、複素環アミノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキル及びアリールチオ基、または複素環チオ基であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アミノ基(アニリノ基、複素環アミノ基を含む)、アシルアミノ基であり、特に好ましくは、水素原子、アニリノ基、アシルアミノ基である。各基は更に置換基を有していても良い。
5、R6で表される好ましい置換基は、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シアノ基を挙げることができる。各基は更に置換基を有していても良い。R3とR5あるいはR3とR4が結合して5または6員環を形成しても良い。
一般式(2)および一般式(4)において、A、R1、R2、R3、R4、R5、R6、Gで表される各置換基が更に置換基を有する場合の置換基としては、上記G,R5、R6で挙げた置換基を挙げることができる。また、A、R1、R2、R3、R4、R5、R6、Gのいずれかの位置に置換基としてさらにイオン性親水性基を有することが好ましい。
置換基としてのイオン性親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基および4級アンモニウム基等が含まれる。前記イオン性親水性基としては、カルボキシル基、ホスホノ基、およびスルホ基が好ましく、特にカルボキシル基またはスルホ基が好ましい。カルボキシル基、ホスホノ基およびスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)および有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジウムイオン、テトラメチルホスホニウム)が含まれる。
Bの特に好ましい複素環基は、ピリジン環であり下記一般式(3)で表される。
一般式(3)
Figure 2005120346
一般式(3)で表されるアゾ色素として特に好ましい置換基の組み合わせは、R3、R4として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、スルホニル基、アシル基であり、さらに好ましくは水素原子、アリール基、複素環基、スルホニル基であり、最も好ましくは、水素原子、アリール基、複素環基である。ただし、R3およびR4が共に水素原子であることは無い。また、R7およびR8は、一般式(3)のR3およびR4と同義である。
本発明において、特に好ましい構造は、下記一般式(5)で表されるものである。
一般式(5)
Figure 2005120346
式中、Aは1価の芳香族環を表し、特に好ましくはフェニル基またはナフチル基である。R1は置換されていてもよい芳香族基(ただし無置換フェニル環基を除く)または置換されていてもよい複素環基を表し、R5、R6は水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シアノ基を表し、R9、R10はイオン性親水性基を表し、特に好ましくは、スルホ基またはカルボキシル基であり、mおよびnは1〜3の整数を表す。
一般式(5)で説明した各基は更に置換基を有していても良い。これらの各基が更に置換基を有する場合、該置換基としては、一般式(2)で説明した置換基、G、R5、R6で例示した基やイオン性親水性基が挙げられる。
尚、前記一般式(1)で表される化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
前記一般式(1)で表されるアゾ色素の具体例を以下に示すが、本発明に用いられるアゾ色素は、下記の例に限定されるものではなく、またカルボキシル基、ホスホノ基およびスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)および有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジウムイオン、テトラメチルホスホニウム)が含まれる。
Figure 2005120346
Figure 2005120346
Figure 2005120346
Figure 2005120346
Figure 2005120346
Figure 2005120346
前記一般式(1)、(2)、(3)、(5)で表される色素は、ジアゾ成分とカプラーとのカップリング反応によって合成することができる。下記に一般式(1)、(2)、(3)、(5)で表される色素の合成例を示す。
<例示化合物D−1の合成法>
(1)中間体(A−2)の合成法
中間体(A−1)21.8g(0.1モル)とS粉末3.27g(0.1モル)にエタノール40mLを加えた懸濁液にモルホリン8.9mL(0.1モル)を室温で滴下した。反応混合物を50℃で2時間加熱攪拌した後、この反応液を水に注いだ。この水層を酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。フィルターろ過したろ液を濃縮し、シリカゲルカラム精製を行い中間体(A−2)9.8g(黄色結晶、収率39%)得た。
(2)中間体(A−3)の合成法
7−アミノ−1,5−ナフタレンジスルホン酸13.9g(0.04モル)に水100mLと12N塩酸水溶液14.5mLを加えて2℃以下に冷却した。この混合液に亜硝酸ナトリウム2.9g(0.042モル)を水9mLに溶解させた水溶液をゆっくり滴下した。その後、反応液を2℃以下で1時間攪拌した(ジアゾ液)。
一方、中間体(A−2)10.0g(0.04モル)にメタノール250mLと水62.5mLを加えた懸濁液に、上記ジアゾ液を室温で滴下した。この反応液を35℃で1.5時間加熱攪拌して、析出した結晶をろ取、イソプロピルアルコールで洗浄して粗結晶を得た。
この粗結晶に水500mLを加えて、さらにpHが7.0になるまで1N水酸化リチウム水溶液を滴下した。この水溶液に室温で塩化リチウム90gを加えて析出した結晶をろ取し中間体(A−3)15.3g(橙色結晶、収率66%)得た。
(3)例示化合物(D−1)の合成法
85%リン酸270mLと酢酸135mLに40%ニトロシル硫酸4.9mL(0.025モル)を加えて−2℃以下に冷却した。この混合液に中間体(A−3)13g(0.0225モル)を水75mLに溶解させた水溶液をゆっくり滴下した。その後、反応液を−2℃以下で30分攪拌した(ジアゾ液)。
一方、中間体(A−4)10.5g(0.021モル)に水150mLを加えて氷冷攪拌した液に、上記ジアゾ液を滴下した後、室温で1.5時間攪拌した。この反応液を60℃まで加熱し、塩化リチウム90gを添加、析出した結晶をろ過、洗浄した。得られたウェットケーキに水100mLとメタノール100mLを添加し1N水酸化リチウム水溶液でpHを7に調整し、イソプロピルアルコール1000mLを添加した。析出した結晶をろ過、洗浄して例示化合物(D−1)を9.2g(M/S=1060、λmax(水)=607nm)得た。合成ルートを下記に示す。
Figure 2005120346
<例示化合物D−5の合成法>
ジアゾ成分(B−1)は、上記の中間体(A−3)の合成法と同様に合成した。
85%リン酸72mLと酢酸36mLに40%ニトロシル硫酸1.31mL(0.0066モル)を加えて−2℃以下に冷却した。この混合液にジアゾ成分(B−1)3.5g(0.006モル)を水18mLに懸濁させた水溶液をゆっくり滴下した。その後、反応液を−3℃以下で1時間攪拌した(ジアゾ液)。
一方、中間体(B−2)2.81g(0.0057モル)を水40mLに溶解させて氷冷攪拌した液に、上記ジアゾ液を滴下した後、室温で3時間攪拌した。この反応液を55℃まで加熱し、塩化リチウム45gを添加、析出した結晶をろ過、洗浄した。得られたウェットケーキに水20mLとメタノール40mLを添加し1N水酸化リチウム水溶液でpHを7に調整し、イソプロピルアルコール120mLを添加した。析出した結晶をろ過、洗浄して例示化合物(D−5)を4.76g(M/S=1067、λmax(水)=604nm)得た。合成ルートを下記に示す。
Figure 2005120346
インクジェット記録用インクは、親油性媒体や水性媒体中に一般式(1)で表されるアゾ色素を溶解及び/又は分散させることによって作製することができる。好ましくは、水性媒体を用いる場合である。必要に応じてその他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有される。その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。
これらの各種添加剤は、水溶性インクの場合にはインク液に直接添加する。
乾燥防止剤はインクジェット記録方式に用いるノズルのインク噴射口において該インクジェット用インクが乾燥することによる目詰まりを防止する目的で好適に使用される。
乾燥防止剤としては、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。具体的な例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げられる。これらのうちグリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールがより好ましい。また上記の乾燥防止剤は単独で用いてもよいし2種以上併用してもよい。これらの乾燥防止剤はインク中に10〜50質量%含有することが好ましい。
浸透促進剤は、インクジェット用インクを紙により良く浸透させる目的で好適に使用される。浸透促進剤としては、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール等のアルコール類やラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムやノニオン性界面活性剤等を用いることができる。これらはインク中に5〜30質量%含有すれば通常充分な効果があり、印字の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起こさない添加量の範囲で使用するのが好ましい。
紫外線吸収剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。紫外線吸収剤としては特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号明細書等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
褪色防止剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類などがあり、金属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体などがある。より具体的にはリサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのIないしJ項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンおよびその塩等が挙げられる。これらはインク中に0.02〜1.00質量%使用するのが好ましい。
pH調整剤としては、中和剤(有機塩基、無機アルカリ)を用いることができる。pH調整剤はインクジェット用インクの保存安定性を向上させる目的で、該インクジェット用インクがpH6〜10と夏用に添加するのが好ましく、pH7〜10となるように添加するのがより好ましい。
表面張力調整剤としてはノニオン、カチオンあるいはアニオン界面活性剤が挙げられる。尚、本発明のインクジェット用インクの表面張力は20〜60mN/mが好ましく、25〜45mN/mがより好ましい。また本発明のインクジェット記録用インクの粘度は、30mN/m以下が好ましい。更に20mN/m以下に調整することがより好ましい。
界面活性剤の例としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。更に、特開昭59−157,636号の第(37)〜(38)頁、リサーチディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。
消泡剤としては、フッ素系、シリコーン系化合物やEDTAに代表されるキレート剤等も必要に応じて使用することができる。
水性媒体は、水を主成分とし、所望により、水混和性有機溶剤を添加した混合物を用いることができる。水混和性有機溶剤の例には、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン)及びその他の極性溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン)が含まれる。尚、前記水混和性有機溶剤は、二種類以上を併用してもよい。
本発明のインクジェット記録用インク100質量部中は、一般式(1)で表されるアゾ色素を0.2質量部以上30質量部以下含有するのが好ましい。また、本発明のインクジェット記録用インクには、前記アゾ色素とともに、他の着色剤を併用してもよい。2種類以上の着色剤を併用する場合は、着色剤の含有量の合計が前記範囲となっているのが好ましい。
本発明のインクジェット記録用インクは、単色の画像形成のみならず、フルカラーの画像形成に用いることができる。フルカラー画像を形成するために、マゼンタ色調インク、シアン色調インク、及びイエロー色調インクを用いることができる。
適用できるイエロー色素としては、任意のものを使用することができる。例えばカップリング成分(以降カプラー成分と呼ぶ)としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロンやピリドン等のようなヘテロ環類、開鎖型活性メチレン化合物類などを有するアリールもしくはヘテリルアゾ色素;例えばカプラー成分として開鎖型活性メチレン化合物類などを有するアゾメチン色素;例えばベンジリデン色素やモノメチンオキソノール色素等のようなメチン色素;例えばナフトキノン色素、アントラキノン色素等のようなキノン系色素などがあり、これ以外の色素種としてはキノフタロン色素、ニトロ・ニトロソ色素、アクリジン色素、アクリジノン色素等を挙げることができる。
適用できるマゼンタ色素としては、任意のものを使用することができる。例えばカップリング成分(以降カプラー成分と呼ぶ)としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラジンのようなヘテロ環類、開鎖型活性メチレン化合物類などを有するアリールもしくはヘテリルアゾ色素;例えばカプラー成分として開鎖型活性メチレン化合物類などを有するアゾメチン色素;アントラピリドン色素をあげることができる。
適用できるシアン色素としては、任意のものを使用することができる。例えばカプラー成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類などを有するアリールもしくはヘテリルアゾ色素;例えばカプラー成分としてフェノール類、ナフトール類、ピロロトリアゾールのようなヘテロ環類などを有するアゾメチン色素;シアニン色素、オキソノール色素、メロシアニン色素などのようなポリメチン色素;ジフェニルメタン色素、トリフェニルメタン色素、キサンテン色素などのようなカルボニウム色素;フタロシアニン色素;アントラキノン色素;インジゴ・チオインジゴ色素などを挙げることができる。
これらの各色素は、クロモフォアの一部が解離して初めてイエロー、シアンの各色を呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
〔インクジェット記録方法〕
本発明のインクジェット記録方法は、前記インクジェット記録用インクにエネルギーを供与して、公知の受像材料、即ち普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8−169172号公報、同8−27693号公報、同2−276670号公報、同7−276789号公報、同9−323475号公報、特開昭62−238783号公報、特開平10−153989号公報、同10−217473号公報、同10−235995号公報、同10−337947号公報、同10−217597号公報、同10−337947号公報等に記載されているインクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等に画像を形成する。
画像を形成する際に、光沢性や耐水性を与えたり耐候性を改善する目的からポリマーラテックス化合物を併用してもよい。ラテックス化合物を受像材料に付与する時期については、着色剤を付与する前であっても,後であっても、また同時であってもよく、したがって添加する場所も受像紙中であっても、インク中であってもよく、あるいはポリマーラテックス単独の液状物として使用してもよい。具体的には、特開2002-166638号、同2002-121440号、同2002-154201号、同2002-144696号、同2002-80579号、同2002-187342号、同2002-172774号の各明細書に記載された方法を好ましく用いることができる。
以下に、本発明のインクを用いてインクジェットプリントをするのに用いられる記録紙及び記録フィルムについて説明する。
記録紙及び記録フィルムにおける支持体は、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等からなり、必要に応じて従来公知の顔料、バインダー、サイズ剤、定着剤、カチオン剤、紙力増強剤等の添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機等の各種装置で製造されたもの等が使用可能である。これらの支持体の他に合成紙、プラスチックフィルムシートのいずれであってもよく、支持体の厚みは10〜250μm、坪量は10〜250g/m2が望ましい。支持体には、そのままインク受容層及びバックコート層を設けてもよいし、デンプン、ポリビニルアルコール等でサイズプレスやアンカーコート層を設けた後、インク受容層及びバックコー卜層を設けてもよい。更に支持体には、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置により平坦化処理を行ってもよい。本発明では支持体としては、両面をポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブテン及びそれらのコポリマー)でラミネートした紙及びプラスチックフィルムがより好ましく用いられる。ポリオレフィン中に、白色顔料(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛)又は色味付け色素(例えば、コバルトブルー、群青、酸化ネオジウム)を添加することが好ましい。
支持体上に設けられるインク受容層には、顔料や水性バインダーが含有される。顔料としては、白色顔料が好ましく、白色顔料としては、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、合成非晶質シリカ、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、硫化亜鉛、炭酸亜鉛等の白色無機顔料、スチレン系ピグメント、アクリル系ピグメント、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。インク受容層に含有される白色顔料としては、多孔性無機顔料が好ましく、特に細孔面積が大きい合成非晶質シリカ等が好適である。合成非晶質シリカは、乾式製造法によって得られる無水珪酸及び湿式製造法によって得られる含水珪酸のいずれも使用可能であるが、特に含水珪酸を使用することが望ましい。
インク受容層に含有される水性バインダーとしては、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド誘導体等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。これらの水性バインダーは単独又は2種以上併用して用いることができる。本発明においては、これらのなかでも特にポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコールが顔料に対する付着性、インク受容層の耐剥離性の点で好適である。
インク受容層は、顔料及び水性結着剤の他に媒染剤、耐水化剤、耐光性向上剤、界面活性剤、その他の添加剤を含有することができる。
インク受容層中に添加する媒染剤は、不動化されていることが好ましい。そのためには、ポリマー媒染剤が好ましく用いられる。
ポリマー媒染剤については、特開昭48−28325号、同54−74430号、同54−124726号、同55−22766号、同55−142339号、同60−23850号、同60−23851号、同60−23852号、同60−23853号、同60−57836号、同60−60643号、同60−118834号、同60−122940号、同60−122941号、同60−122942号、同60−235134号、特開平1−161236号の各公報、米国特許2484430号、同2548564号、同3148061号、同3309690号、同4115124号、同4124386号、同4193800号、同4273853号、同4282305号、同4450224号の各明細書に記載がある。特開平1−161236号公報の212〜215頁に記載のポリマー媒染剤を含有する受像材料が特に好ましい。同公報記載のポリマー媒染剤を用いると、優れた画質の画像が得られ、かつ画像の耐光性が改善される。
耐水化剤は、画像の耐水化に有効であり、これらの耐水化剤としては、特にカチオン樹脂が望ましい。このようなカチオン樹脂としては、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン、ポリエチレンイミン、ポリアミンスルホン、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、カチオンポリアクリルアミド、コロイダルシリカ等が挙げられ、これらのカチオン樹脂の中で特にポリアミドポリアミンエピクロルヒドリンが好適である。これらのカチオン樹脂の含有量は、インク受容層の全固形分に対して1〜15質量%が好ましく、特に3〜10質量%であることが好ましい。
耐光性向上剤としては、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、ヒンダーアミン系酸化防止剤、ベンゾフェノン等のベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤等が挙げられる。これらの中で特に硫酸亜鉛が好適である。
界面活性剤は、塗布助剤、剥離性改良剤、スベリ性改良剤あるいは帯電防止剤として機能する。界面活性剤については、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載がある。界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。有機フルオロ化合物の例には、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例えば、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例えば、四フッ化エチレン樹脂)が含まれる。有機フルオロ化合物については、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭61−20994号、同62−135826号の各公報に記載がある。その他のインク受容層に添加される添加剤としては、顔料分散剤、増粘剤、消泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、pH調整剤、マット剤、硬膜剤等が挙げられる。尚、インク受容層は1層でも2層でもよい。
記録紙及び記録フィルムには、バックコート層を設けることもでき、この層に添加可能な成分としては、白色顔料、水性バインダー、その他の成分が挙げられる。バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬べーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
バックコート層に含有される水性バインダーとしては、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
インクジェット記録紙及び記録フィルムの構成層(バックコート層を含む)には、ポリマーラテックスを添加してもよい。ポリマーラテックスは、寸度安定化、カール防止、接着防止、膜のひび割れ防止のような膜物性改良の目的で使用される。ポリマーラテックスについては、特開昭62−245258号、同62−1316648号、同62−110066号の各公報に記載がある。ガラス転移温度が低い(40℃以下の)ポリマーラテックスを媒染剤を含む層に添加すると、層のひび割れやカールを防止することができる。また、ガラス転移温度が高いポリマーラテックスをバックコート層に添加しても、カールを防止することができる。
本発明のインクは、インクジェットの記録方式に制限はなく、公知の方式、例えば静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して、放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット方式等に用いられる。インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
下記の成分に脱イオン水を加え1リッターとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後KOH 10mol/LにてpH=9に調製し、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過しインク液101を調製した。
インク液101の組成:
本発明の色素(D−1) 25g
ジエチレングリコール 20g
グリセリン 120g
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 230g
2−ピロリドン 80g
トリエタノールアミン 17.9g
ベンゾトリアゾール 0.06g
サーフィノールTG 8.5g
PROXEL XL2 1.8g
色素を、下記表7に示すように変更した以外は、インク液101の調製と同様にして、インク液102〜104を作製した。色素を変更する場合は、色素の添加量がインク液101に対して等モルとなるように使用した。
(溶液安定性、画像記録評価)
以上の各インク液101〜104からなるインクジェット用記録インクについて、下記評価を行った。その結果を表7に示した。
なお、表7において、「インク安定性」、「紙依存性」、「耐水性」、「耐光性」、「暗熱保存性」、「耐オゾンガス性」は、各インクジェット用記録インクを、インクジェットプリンター(EPSON(株)社製;PM−700C)でフォト光沢紙(EPSON社製PM写真紙<光沢>(KA420PSK、EPSON)に画像を記録した後、下記方法で評価したものである。
<インク安定性>
インク液を70℃、2日間経時して、吸光度の変化から色素残存率を測定した。色素残存率が90%以上をA、色素残存率が70〜90%をB、色素残存率が70%未満をCとして、三段階で評価した。
<紙依存性>
フォト光沢紙に形成した画像と、別途にPPC用普通紙に形成した画像との色調を比較し、両画像間の差が小さい場合をA(良好)、両画像間の差が大きい場合をB(不良)として、二段階で評価した。
<耐水性>
画像を形成したフォト光沢紙を、1時間室温乾燥した後、10秒間脱イオン水に浸漬し、室温にて自然乾燥させ、滲みを観察した。滲みが無いものをA、滲みが僅かに生じたものをB、滲みが多いものをCとして、三段階で評価した。
<耐光性>
画像を形成したフォト光沢紙に、ウェザーメーター(アトラスC.I65)を用いて、キセノン光(85000lx)を7日間照射し、キセノン照射前後の画像濃度を反射濃度計(X-Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率として評価した。なお、前記反射濃度は、1、1.5及び2.0の3点で測定した。何れの濃度でも色素残存率が70%以上の場合をA、1又は2点が70%未満をB、全ての濃度で70%未満の場合をCとして、三段階で評価した。
<暗熱保存性>
前記画像を形成したフォト光沢紙を、80℃−15%RHの条件下で7日間試料を保存し、保存前後の画像濃度を反射濃度計(X-Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率として評価した。色素残存率について反射濃度が1,1.5,2の3点にて評価し、いずれの濃度でも色素残存率が90%以上の場合をA、1又は2点が90%未満の場合をB、全ての濃度で90%未満の場合をCとし、三段階で評価した。
<耐オゾンガス性>
画像を形成したフォト光沢紙を、オゾンガス濃度が5ppm、室温、暗所に設定されたボックス内に4日間放置し、オゾンガス下放置前後の画像濃度を反射濃度計(X-Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率として評価した。なお、前記反射濃度は、1、1.5及び2.0の3点で測定した。ボックス内のオゾンガス濃度は、APPLICS製オゾンガスモニター(モデル:OZG−EM−01)を用いて設定した。何れの濃度でも色素残存率が80%以上の場合をA、1又は2点が80%未満をB、全ての濃度で80%未満の場合をCとして、三段階で評価した。
Figure 2005120346
Figure 2005120346
表7に示されるように、本発明のインク液101および102はインク保存安定性が優れており、かつ得られた画像も、光堅牢性、耐オゾンガス性も比較インクに対して優れていた。
更に、インク液101および102を用いて、インクジェットプリンター(PM−700C、セイコーエプソン(株)製)により、スーパーファイン専用光沢紙(MJA4S3P、セイコーエプソン(株)製)に画像を記録した。得られた画像の色相と光堅牢性を評価したところ、いずれも表7と同様の結果が得られた。
[実施例2]
実施例1で作製した同じインクを用いて、実施例1の同機にて画像を富士写真フイルム製インクジェットペーパーフォト光沢紙EXにプリントし、実施例1と同様な評価を行ったところ、実施例1と同様な結果が得られた。
[実施例3]
実施例1で作製した同じインクを、インクジェットプリンターBJ−F850(CANON社製)のカートリッジに詰め、同機にて同社のフォト光沢紙GP−301に画像をプリントし、実施例1と同様な評価を行ったところ、実施例1と同様な結果が得られた。

Claims (4)

  1. 分子中に少なくとも1つのイオン性親水性基を有し、かつ下記一般式(1)で表される色素を少なくとも1種含有することを特徴とする水性インク。
    一般式(1)
    Figure 2005120346
    一般式(1)中;
    AおよびBは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の1価の芳香族基または置換もしくは無置換の1価の複素環基を表す。
    1は、置換もしくは無置換の芳香族基(ただし無置換フェニル基を除く)または置換もしくは無置換の複素環基を表す。
    2は、置換基を表す。
  2. 一般式(1)のBが、置換または無置換の複素環基であることを特徴とする請求項1に記載の水性インク。
  3. 一般式(1)のR1が、置換フェニル基、置換もしくは無置換のナフチル基または置換もしくは無置換の複素環基であることを特徴とする請求項1または2に記載の水性インク。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の水性インクを用いたことを特徴とするインクジェット記録用インク。
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