JP2012177076A - インク組成物、インクジェット記録用インク及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記一般式(1)で表されるモノアゾ染料と、イミダゾリジノン化合物を水性媒体中に含有するインク組成物。
【選択図】なし
Description
インクジェット記録方法には、ピエゾ素子により圧力を加えて液滴を吐出させる方式、熱によりインク中に気泡を発生させて液滴を吐出させる方式、超音波を用いた方式、あるいは静電力により液滴を吸引吐出させる方式がある。これらのインクジェット記録用インクとしては、水性インク、油性インク、あるいは固体(溶融型)インクが用いられる。これらのインクのうち、製造・取り扱い性・臭気・安全性等の点から水性インクが主流となっている。
これまでの研究により、インクジェット記録用インクの性能の改善が行われてきている。特許文献1及び2には、特定のアゾ色素により、インクジェット記録用インクに要求される良好な色相と堅牢性の高さを両立できることが開示されている。
なお、特許文献4には、インクジェット記録用インクなどの記録液の熱に対するコゲーションの発生を防止できる溶媒としてイミダゾリジノン類を用いることが記載されている。
〔1〕
下記一般式(1)で表される少なくとも1種のアゾ化合物を、水性媒体中に含有するインクであって、下記一般式(2)で表される化合物を少なくとも1種含有する、インク組成物。
〔2〕
前記一般式(1)で表されるアゾ化合物が、下記一般式(2−1)で表されるアゾ化合物であることを特徴とする〔1〕に記載のインク組成物。
〔3〕
前記一般式(1)又は(2−1)で表されるアゾ化合物が、下記一般式(3−1)で表されるアゾ化合物であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載のインク組成物。
〔4〕
前記一般式(1)、(2−1)又は(3−1)で表されるアゾ化合物が、下記一般式(4−1)で表されるアゾ化合物であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のインク組成物。
〔5〕
前記一般式(1)で表されるアゾ化合物が、下記一般式(2−2)で表されるアゾ化合物であることを特徴とする〔1〕に記載のインク組成物。
〔6〕
前記一般式(1)又は(2−2)で表されるアゾ化合物が、下記一般式(3−2)で表されるアゾ化合物であることを特徴とする〔1〕又は〔5〕に記載のインク組成物。
〔7〕
前記一般式(1)、(2−2)又は(3−2)で表されるアゾ化合物が、下記一般式(4−2)で表されるアゾ化合物であることを特徴とする〔1〕、〔5〕、〔6〕のいずれか1項に記載のインク組成物。
〔8〕
前記一般式(1)で表されるアゾ化合物が、下記一般式(1−3)で表されるアゾ化合物であることを特徴とする〔1〕に記載のインク組成物。
〔9〕
前記一般式(1−3)で表されるアゾ化合物が、下記一般式(2−3)で表されるアゾ化合物であることを特徴とする〔8〕に記載のインク組成物。
〔10〕
前記一般式(1−3)又は(2−3)で表されるアゾ化合物が、下記一般式(3−3)で表されるアゾ化合物であることを特徴とする〔8〕又は〔9〕に記載のインク組成物。
〔11〕
前記一般式(1−3)又は(2−3)で表されるアゾ化合物が、下記一般式(4−3)で表されるアゾ化合物であることを特徴とする〔8〕又は〔9〕に記載のインク組成物。
〔12〕
前記一般式(1−3)で表されるアゾ化合物が、下記一般式(2−4)で表されるアゾ化合物であることを特徴とする〔8〕に記載のインク組成物。
〔13〕
前記一般式(1−3)又は(2−4)で表されるアゾ化合物が、下記一般式(3−4)で表されるアゾ化合物であることを特徴とする〔8〕又は〔12〕に記載のインク組成物。
〔14〕
前記一般式(1−3)又は(2−4)で表されるアゾ化合物が、下記一般式(4−4)で表されるアゾ化合物であることを特徴とする〔8〕又は〔12〕に記載のインク組成物。
〔15〕
前記一般式(1)、(2−1)、(2−2)、(2−3)、(2−4)、(3−1)、(3−2)、(3−3)、(3−4)、(4−1)、(4−2)、(4−3)、(4−4)で表されるアゾ化合物が、少なくとも3つ以上のイオン性親水性基を有することを特徴とする〔1〕〜14〕のいずれか1項に記載のインク組成物。
〔16〕
前記一般式(1)、(2−1)、(2−2)、(2−3)、(2−4)、(3−1)、(3−2)、(3−3)、(3−4)、(4−1)、(4−2)、(4−3)、(4−4)で表されるアゾ化合物において、少なくとも1つのMがリチウムイオンであることを特徴とする〔1〕〜〔15〕のいずれか1項に記載のインク組成物。
〔17〕
前記一般式(1)で表されるアゾ化合物において、全てのMがリチウムイオンである、〔1〕〜〔16〕のいずれか1項に記載のインク組成物。
〔18〕
前記一般式(2)で表される化合物の含有量が、インク組成物全質量を基準として1〜10質量%である、〔1〕〜〔17〕のいずれか1項に記載のインク組成物。
〔19〕
前記一般式(2)中、X1及びX2が炭素数1〜6のアルキル基であり、R1〜R4が水素原子である、〔1〕〜〔18〕のいずれか1項に記載のインク組成物。
〔20〕
前記一般式(1)で表されるアゾ化合物の含有量が、インク組成物全質量を基準として0.1〜20質量%である、〔1〕〜〔19〕のいずれか1項に記載のインク組成物。
〔21〕
〔1〕〜〔20〕のいずれか1項に記載のインク組成物を含有するインクジェット記録用インク。
〔22〕
〔21〕に記載のインクジェット記録用インクを用いる、インクジェット記録方法。
〔23〕
支持体上に白色無機顔料粒子を含有する受像層を有する受像材料にインク滴を記録信号に応じて吐出させ、受像材料上に画像を記録するインクジェット記録方法であって、インク滴が〔21〕に記載のインクジェット記録用インクからなる、インクジェット記録方法。
炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖アルキル基、炭素数7〜18の直鎖又は分岐鎖アラルキル基、炭素数2〜12の直鎖又は分岐鎖アルケニル基、炭素数2〜12の直鎖又は分岐鎖アルキニル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルケニル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、2−メチルスルホニルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメチル、シクロペンチル)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)、アリール基(例えば、フェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−アミルフェニル)、ヘテロ環基(例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキルオキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メチルスルホニルエトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、3−t−ブチルオキシカルボニルフェノキシ、3−メトキシカルボニルフェニルオキシ、アシルアミノ基(例えば、アセトアミド、ベンズアミド、4−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミド)、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ)、アリールアミノ基(例えば、フェニルアミノ、2−クロロアニリノ)、ウレイド基(例えば、フェニルウレイド、メチルウレイド、N,N−ジブチルウレイド)、スルファモイルアミノ基(例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、2−フェノキシエチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−t−オクチルフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオ)、アルキルオキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ)、アルキルスルホニルアミノ基及びアリールスルホニルアミノ基(例えば、メチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、p−トルエンスルホニルアミノ)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル、オクチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−トルエンスルホニル)、アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル)、ヘテロ環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アゾ基(例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイルオキシ基(例えば、N−メチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオキシ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、イミド基(例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ヘテロ環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジ−フェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ、2−ピリジルチオ)、スルフィニル基(例えば、3−フェノキシプロピルスルフィニル)、ホスホニル基(例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル)、アシル基(例えば、アセチル、3−フェニルプロパノイル、ベンゾイル)、イオン性親水性基(カルボキシル基、スルホ基など)が挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよく、更なる置換基としては、以上に説明した置換基群A’から選択される基を挙げることができる。
例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基、イオン性親水性基が例として挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよく、更なる置換基としては、以上に説明した置換基群Jから選択される基を挙げることができる。
アルキルチオ基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基等が挙げられる。
スルホ基、カルボキシル基、チオカルボキシル基、スルフィノ基、ホスホノ基、ジヒドロキシホスフィノ基などが挙げられる。特に好ましくはスルホ基、カルボキシル基である。またカルボキシル基、ホスホノ基及びスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対カチオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)及び有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジウムイオン、テトラメチルホスホニウム)が含まれ、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が好ましく、リチウム塩又はリチウム塩を主成分とする混合塩が更に好ましく、リチウム塩が最も好ましい。
このような存在比率の条件下において、水素イオン、アルカリ金属イオン(例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン)、アルカリ土類金属イオン(例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオンなど)、4級アンモニウムイオン、4級ホスホニウムイオン、スルホニウムイオンなどを対カチオンとして含むことができる。
分析化学”(1977年 丸善)及び日本化学会編“第4版 実験化学講座15 分析”(1991年 丸善)に、分析方法や元素についての各論が記載されているので、これを参考にして分析方法を選び、分析及び定量することができる。中でもイオンクロマトグラフィー、原子吸光法、誘導結合プラズマ発光分析法(ICP)などの分析法によって決定することが容易である。
対カチオンがリチウムイオンを含む本発明に係るアゾ化合物を得る方法としては、いずれの方法を使用してもよい。例えば、(1)イオン交換樹脂を用いて対カチオンを別のカチオンからリチウムイオンに変換する方法、(2)リチウムイオンを含む系から酸析又は塩析する方法、(3)対カチオンがリチウムイオンである原料及び合成中間体を用いてアゾ化合物を形成させる方法、(4)対カチオンがリチウムイオンである反応剤を用いて、各アゾ化合物の官能基変換によってイオン性親水性基を導入する方法、(5)アゾ化合物中のイオン性親水性基の対カチオンが銀イオンである化合物を合成し、これをリチウムハロゲン化物溶液と反応させ析出したハロゲン化銀を除去することで対カチオンをリチウムイオンにする方法、などが挙げられる。
好ましくはスルホ基、カルボキシル基、又は水酸基(それらの塩を含む)である。イオン性親水性基が塩の場合、好ましいカウンターカチオンはリチウム又はリチウムを主成分とするアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム)、アンモニウム、及び有機のカチオン(例えばピリジニウム、テトラメチルアンモニウム、グアニジニウム)混合塩を挙げることができ、その中でもリチウム又はリチウムを主成分とするアルカリ金属混合塩が好ましく、特にスルホ基のリチウム塩、カルボキシ基のリチウム塩が、水酸基のリチウム塩が好ましい。
本明細書中で用いられるハメットの置換基定数σp値について説明する。
ハメット則はベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年L.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J.A.Dean編、「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版、1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。なお、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に含まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。本発明にかかる化合物はベンゼン誘導体ではないが、置換基の電子効果を示す尺度として、置換位置に関係なくσp値を使用する。本発明においては今後、σp値をこのような意味で使用する。
本発明者らが検討したところ、一般式(1)で表されるアゾ化合物を含有するインクをインクジェット記録装置に搭載した状態でインクジェット記録装置を使用せずに長期間放置させると、インクジェット記録装置によっては吐出性の低下やインクの保存安定性の低下が起こることがわかった。
これらの現象について本発明者らが詳細に検討した結果、一般式(1)のアゾ化合物の含有量が多いインクをインクジェット記録装置に搭載した状態でインクジェット記録装置を使用せずに長期間放置した後に、記録ヘッドを観察したところ、ノズル内部に異物が発生しているものがあった。この異物について検討した結果、アゾ化合物の結晶析出に由来するものであることがわかった。更に、このような異物が発生している記録ヘッドを使用すると、異物によって吐出性が低下することや、また、異物に起因してインクの保存安定性が低下することがわかった。
本発明者らは、上記の技術課題を解決するために検討を行い、本発明に至った。すなわち、本発明では、一般式(1)で表されるアゾ化合物と、一般式(2)で表される化合物を含有するインク組成物により、上記技術課題の解決を図る。
すなわち、本発明のインク組成物は、下記一般式(1)で表される少なくとも1種のアゾ化合物(以下一般式(1)で表されるアゾ化合物を「アゾ染料」又は「水溶性染料」と表記する場合がある)を、水性媒体中に含有し、該インクが下記一般式(2)で表される化合物を少なくとも1種含有する。インク組成物が、一般式(1)で表されるアゾ化合物を含有し、更に一般式(2)で表される化合物含有することにより、印画物の耐擦性を向上させることができ、保存安定性に優れ、吐出安定性及びプリンタヘッドの放置回復性の確保にも優れたインク組成物が提供される。
本発明のインク組成物において使用するアゾ染料は、一般式(1)で表される。以下に、一般式(1)で表されるアゾ染料(ブラック染料)について説明する。
一般式(1):
一般式(1)において、Y2、Y3、及びY4はそれぞれ独立に、水素原子、イオン性親水性基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のカルバモイル基、置換若しくは無置換のスルファモイル基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアシルアミノ基のいずれかであることが好ましい。置換若しくは無置換のアミノ基である場合、ヘテロ環アミノ基であることが好ましい。
Y2、Y3、及びY4はそれぞれ独立に、水素原子、イオン性親水性基、置換若しくは無置換のヘテロ環アミノ基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアシルアミノ基のいずれかであることがより好ましく、水素原子、置換若しくは無置換のヘテロ環アミノ基、置換若しくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアシルアミノ基のいずれかであることが特に好ましい。
Y2、Y3、及びY4は更に置換基を有していてもよく、更なる置換基としては、水酸基、置換若しくは無置換のアミノ基又はイオン性親水性基を有していてもよいアリール基、イオン性親水性基を有していてもよいヘテロ環基を挙げることができ、置換若しくは無置換のアミノ基であることが好ましい。該置換アミノ基の置換基としては、例えば、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基であることが好ましく、イオン性親水性基で置換されたアルキル基、又はイオン性親水性基で置換されたアリール基であることがより好ましい。
トリアジニルアミノ基が有する置換基としては、置換若しくは無置換のアミノ基が好ましく、置換若しくは無置換のアミノ基であることが特に好ましい。
該置換アミノ基の置換基としては、上述の例が好適に用いられる。ここで、イオン性親水性基で置換されたアルキル基におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、又はn−プロピル基が好ましく、エチル基がより好ましい。イオン性親水性基で置換されたアリール基におけるアリール基としてはフェニル基が好ましい。
Y2、Y3及びY4のなかでも、Y3が置換基を表すことが好ましく、Y2、及びY4が水素原子を表し、Y3が置換基を表すことがより好ましい。
特に、Y2、及びY4は水素原子を表し、Y3は置換若しくは無置換のアミノ基を置換として有するヘテロ環アミノ基、イオン性親水性基を置換基として有するアリールスルホニルアミノ基、又はイオン性親水性基を置換基として有するアシルアミノ基であることが最も好ましい。
L2はカルボニル基であることが好ましい。
RA3は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表し、置換基を有する場合の置換基は、アルキルアミノ基、アリールアミノ基であることが好ましく、アルキルアミノ基又はアリールアミノ基であることがより好ましく、これらは更に置換基を有していてもよくイオン性親水性基により置換されていることが好ましい。
Aが表すアリール基は、炭素数6〜30の置換若しくは無置換のアリール基が好ましく、置換若しくは無置換のフェニル基又は置換若しくは無置換のフェニル基がより好ましい。置換基の例としては、前述の置換基群Jの項で述べた基が挙げられ、前記イオン性親水性基又は前記ハメットのσp値が0.3以上の電子求引性基が好ましい。
一般式(1)で表されるアゾ化合物が混合塩である場合、水に対する溶解性、水溶液の粘度、表面張力、高濃度水溶液の貯蔵安定性の観点から、リチウム塩とナトリウム塩の混合塩であることが好ましく、複数のMの一部がリチウムイオンを表し残りのMがナトリウムイオンを表す態様であっても、一般式(1)中の全てのMがリチウムイオンを表す染料と、一般式(1)中の全てのMがナトリウムイオンを表す染料とを混合した態様であってもよい。
Mがリチウム塩とナトリウム塩の混合塩である場合、リチウム塩とナトリウム塩のモル比(Li:Na)は99:1〜25:75であることが好ましく、特に99:1〜50:50が好ましく、更に99:1〜55:45が好ましくその中でも特に99:1〜65:35であることが最も好ましい。この範囲であれば、水に対する溶解度・溶解速度が良好で、高濃度水溶液の粘度、表面張力の調整が容易となり、更に高濃度水溶液の貯蔵安定性に優れる傾向となるため、例えば水溶性インク組成物特にインクジェット用水溶性インクのインク組成物の構成要件の処方設計が容易となり、インクジェット用水溶性インクの要求性能を高いレベルで満たす優れた原料(高濃度水溶液、インク組成物)を提供できるという効果を奏する。
該混合塩のカチオンの比は、イオンクロマト分析により測定することができる。
Y2、及びY4は水素原子を表し、Y3は置換又は無置換のアミノ基を置換として有するヘテロ環アミノ基、イオン性親水性基を置換基として有するアリールスルホニルアミノ基、又はイオン性親水性基を置換基として有するアシルアミノ基であることが最も好ましい。
その結果、インク組成物としての貯蔵安定性が向上し、インクの要求性能である、光堅牢性、熱安定性、湿熱安定性、耐水性、耐ガス性及び又は耐溶剤性が大幅に向上するため、好ましい例となる。
以下、一般式(3−1)により表される化合物、又はその塩について詳細に説明する。
X1、X2、X3、X4、及びX5はそれぞれ独立に水素原子、イオン性親水性基、シアノ基、置換又は無置換のアルキルスルホニル基、置換又は無置換のアリールスルホニル基、ニトロ基、置換又は無置換のアルコキシカルボニル基、置換又は無置換のカルバモイル基、置換又は無置換のスルファモイル基であることが好ましく、水素原子、イオン性親水性基、シアノ基、メタンスルホニル基、フェニルスルホニル基、ニトロ基、メトキシカルボニル基、カルバモイル基であることがより好ましく、水素原子、イオン性親水性基、又はシアノ基であることが特に好ましい。
X1、X3、及びX5の少なくとも一つが、σp値がこの範囲の電子求引性基であれば、アゾ化合物の色相調整と光堅牢性及びオゾンガス堅牢性向上が可能であり、インクジェット記録黒インク用水溶性染料として使用する点で効果を得ることができる。
その結果、長期保存安定性が可能となり、インクの要求性能である、光堅牢性、熱安定性、湿熱安定性、耐水性、耐ガス性及び又は耐溶剤性が大幅に向上するため、好ましい例となる。
以下、一般式(5)により表される化合物、又はその塩について詳細に説明する。
上記イオン性親水性基で置換されたアルキル基において、アルキル基としては、メチル基、エチル基、又はn−プロピル基、が好ましく、エチル基が特に好ましい。イオン性親水性基としては、−SO3M1又は−CO2M1(M1は水素原子又は一価のカウンターカチオンを表す。)が好ましく、−CO2M1がより好ましく、−CO2Liが特に好ましい。
X1、X2、X3、X4、及びX5はそれぞれ独立に水素原子、イオン性親水性基、シアノ基、置換又は無置換のアルキルスルホニル基、置換又は無置換のアリールスルホニル基、ニトロ基、置換又は無置換のアルコキシカルボニル基、置換又は無置換のカルバモイル基、置換又は無置換のスルファモイル基であることが好ましく、水素原子、イオン性親水性基、シアノ基、メタンスルホニル基、フェニルスルホニル基、ニトロ基、メトキシカルボニル基、カルバモイル基であることがより好ましく、水素原子、イオン性親水性基(−SO3M1又は−CO2M1が好ましく、−CO2M1がより好ましく、−CO2Liが特に好ましい。)、又はシアノ基であることが特に好ましい。
X1、X3、及びX5の少なくとも一つが、σp値がこの範囲の電子求引性基であれば、アゾ化合物の色相調整と光堅牢性及びオゾンガス堅牢性向上が可能であり、インクジェット記録黒インク用水溶性染料として使用する点で効果を得ることができる。
その結果、長期保存安定性が可能となり、インクの要求性能である、光堅牢性、熱安定性、湿熱安定性、耐水性、耐ガス性及び又は耐溶剤性が大幅に向上するため、好ましい例となる。
上記一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(1−3)で表される化合物であることも好ましい。
X1、X2、X3、X4、X5、X6、及びX7はそれぞれ独立に水素原子、イオン性親水性基、シアノ基、置換又は無置換のアルキルスルホニル基、置換又は無置換のアリールスルホニル基、ニトロ基、置換又は無置換のアルコキシカルボニル基、置換又は無置換のカルバモイル基、置換又は無置換のスルファモイル基であることが好ましく、水素原子、イオン性親水性基、シアノ基、メタンスルホニル基、フェニルスルホニル基、ニトロ基、メトキシカルボニル基、カルバモイル基であることがより好ましく、水素原子、イオン性親水性基、又はシアノ基であることが特に好ましい。
一般式(1−3)において、X1、X3、X5及びX7はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基群Jのいずれかであることが好ましく、更に、X2、X4、及びX6の少なくとも一つはハメットのσp値が0.3以上の電子求引性基を表すことが好ましい。
X2、X4、及びX6の少なくとも一つが、σp値がこの範囲の電子求引性基であれば、アゾ化合物の色相調整と光堅牢性及びオゾンガス堅牢性向上が可能であり、インクジェット記録黒インク用水溶性染料として使用する点で効果を得ることができる。
Y2、及びY4は水素原子を表し、Y3は置換又は無置換のアミノ基を置換として有するヘテロ環アミノ基、イオン性親水性基を置換基として有するアリールスルホニルアミノ基、又はイオン性親水性基を置換基として有するアシルアミノ基であることが最も好ましい。
その結果、インク組成物としての貯蔵安定性が向上し、インクの要求性能である、光堅牢性、熱安定性、湿熱安定性、耐水性、耐ガス性及び又は耐溶剤性が大幅に向上するため、好ましい例となる。
R11、R12において、一方が水素原子、他方が水素原子又はイオン性親水性基を有するアルキル基、アリール基が好ましい。R13、R14においても、一方が水素原子、他方が水素原子又はイオン性親水性基を有するアルキル基、アリール基が好ましい。
以下、一般式(3−3)により表される化合物、又はその塩について詳細に説明する。
以下、一般式(4−3)により表される化合物、又はその塩について詳細に説明する。
その結果、長期保存安定性が可能となり、インクの要求性能である、光堅牢性、熱安定性、湿熱安定性、耐水性、耐ガス性及び又は耐溶剤性が大幅に向上するため、好ましい例となる。
その結果、長期保存安定性が可能となり、インクの要求性能である、光堅牢性、熱安定性、湿熱安定性、耐水性、耐ガス性及び又は耐溶剤性が大幅に向上するため、好ましい例となる。
一般式(6)中のY2、Y3、及びY4の例は、それぞれ独立に上記一般式(1)中のY2、Y3、及びY4の例と同義であり、好ましい例も同じである。
また、本発明では、一般式(1)、(2−1)、(2−2)、(2−3)、(2−4)、(3−1)、(3−2)、(3−3)、(3−4)、(4−1)、(4−2)、(4−3)、(4−4)、(5)〜(7)、式(8)で表される化合物は少なくとも3つ以上のイオン性親水性基を有することが好ましい。より好ましくはイオン性親水性基を3〜6個有し、更に好ましくはイオン性親水性基を4〜5個有する。これにより本発明のアゾ化合物の水溶性、水溶液貯蔵安定性が向上し、インクジェット記録黒インク用水溶性染料としての要求性能を高いレベルで満足し更にインクジェット記録用インクとして使用した際のインクジェット印画物の画質を更に向上できる点という効果を奏する。
一般式(1)、(2−1)、(2−2)、(2−3)、(2−4)、(3−1)、(3−2)、(3−3)、(3−4)、(4−1)、(4−2)、(4−3)、(4−4)、(5)〜(7)、式(8)で表されるアゾ化合物において、少なくとも1つのMがリチウムイオンであることが好ましい。
また、本発明では、一般式(1)、(2−1)、(2−2)、(2−3)、(2−4)、(3−1)、(3−2)、(3−3)、(3−4)、(4−1)、(4−2)、(4−3)、(4−4)、(5)〜(7)、式(8)で表される化合物中に同位元素(例えば、2H、3H、13C、15N)を含有していても適用できる。
一般式(1)で表される染料は、一般的な合成法で合成することが可能であり、例えば、ジアゾ成分とカプラーとのカップリング反応によって合成することができる。具体的には、特開2003−306623号公報や特開2005−139427号公報に記載の方法により合成することができる。
本発明のインク組成物(本発明のインクともいう)は、前記一般式(1)で表される少なくとも1種の染料を、水性媒体中に溶解してなる。
一般式(1)で表される染料のインク組成物中への含有量は、インク組成物全質量に対し、好ましくは、0.1〜20質量%含有し、より好ましくは、0.5〜15質量%、更に好ましくは1〜10質量%、特に好ましくは4.5〜8.0質量%含有する。当該染料を使用することで、印画物の耐擦性を向上させることができ、保存安定性に優れたものとすることができる。更に、一般的なアゾ染料に比して、光、熱、空気、水、薬品等に対する堅牢性に優れるため、インク及び記録画像の保存安定性に寄与する。
また本発明のインク組成物は、インクジェット記録用インクとして用いられることが好ましい。すなわち、本発明は本発明のインク組成物を含有するインクジェット記録用インクにも関する。インクジェット記録用インクにおける一般式(1)で表される染料の含有量は、上記インク組成物中における含有量と同様である。
本発明のインクジェット記録用インクは、インクジェット記録用インクの原液を水等により希釈して調整することができる。一般式(1)で表される染料のインクジェット記録用インク原液中への添加量は、広い範囲で使用可能であるが、インクジェット記録用インク原液全量に対し、好ましくは、1〜20質量%、より好ましくは、5〜15質量%である。また本発明のインクジェット記録用インクには、本発明のインク組成物が含有していてもよい後述の成分を同様に含ませることができる。
併用することが出来る染料や色素の例としては以下を挙げることが出来る。
また、ポリアゾ染料などのブラック染料も使用することができる。
C.I.ダイレクトレッド2、4、9、23、26、31、39、62、63、72、75、76、79、80、81、83、84、89、92、95、111、173、184、207、211、212、214、218、21、223、224、225、226、227、232、233、240、241、242、243、247、
C.I.ダイレクトバイオレット7、9、47、48、51、66、90、93、94、95、98、100、101、
C.I.ダイレクトイエロー8、9、11、12、27、28、29、33、35、39、41、44、50、53、58、59、68、86、87、93、95、96、98、100、106、108、109、110、130、132、142、144、161、163、
C.I.ダイレクトブルー1、10、15、22、25、55、67、68、71、76、77、78、80、84、86、87、90、98、106、108、109、151、156、158、159、160、168、189、192、193、194、199、200、201、202、203、207、211、213、214、218、225、229、236、237、244、248、249、251、252、264、270、280、288、289、291、
C.I.ダイレクトブラック9、17、19、22、32、51、56、62、69、77、80、91、94、97、108、112、113、114、117、118、121、122、125、132、146、154、166、168、173、199、
C.I.アシッドレッド35、42、52、57、62、80、82、111、114、118、119、127、128、131、143、151、154、158、249、254、257、261、263、266、289、299、301、305、336、337、361、396、397、
C.I.アシッドバイオレット5、34、43、47、48、90、103、126、
C.I.アシッドイエロー17、19、23、25、39、40、42、44、49、50、61、64、76、79、110、127、135、143、151、159、169、174、190、195、196、197、199、218、219、222、227、
C.I.アシッドブルー9、25、40、41、62、72、76、78、80、82、92、106、112、113、120、127:1、129、138、143、175、181、205、207、220、221、230、232、247、258、260、264、271、277、278、279、280、288、290、326、
C.I.アシッドブラック7、24、29、48、52:1、172、
C.I.リアクティブレッド3、13、17、19、21、22、23、24、29、35、37、40、41、43、45、49、55、
C.I.リアクティブバイオレット1、3、4、5、6、7、8、9、16、17、22、23、24、26、27、33、34、
C.I.リアクティブイエロー2、3、13、14、15、17、18、23、24、25、26、27、29、35、37、41、42、
C.I.リアクティブブルー2、3、5、8、10、13、14、15、17、18、19、21、25、26、27、28、29、38、
C.I.リアクティブブラック4、5、8、14、21、23、26、31、32、34、
C.I.ベーシックレッド12、13、14、15、18、22、23、24、25、27、29、35、36、38、39、45、46、
C.I.ベーシックバイオレット1、2、3、7、10、15、16、20、21、25、27、28、35、37、39、40、48、
C.I.ベーシックイエロー1、2、4、11、13、14、15、19、21、23、24、25、28、29、32、36、39、40、
C.I.ベーシックブルー1、3、5、7、9、22、26、41、45、46、47、54、57、60、62、65、66、69、71、
C.I.ベーシックブラック8、
等が挙げられる。
本技術に用いられる顔料としては、市販のものの他、各種文献に記載されている公知のものが利用できる。文献に関してはカラーインデックス(The Society of
Dyers and Colourists編)、「改訂新版顔料便覧」日本顔料技術協会編(1989年刊)、「最新顔料応用技術」CMC出版(1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版(1984年刊)、W.Herbst,K.Hunger共著によるIndustrial Organic Pigments (VCH Verlagsgesellschaft、1993年刊)等がある。具体的には、有機顔料ではアゾ顔料(アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料)、多環式顔料(フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、インジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料等)、染付けレーキ顔料(酸性又は塩基性染料のレーキ顔料)、アジン顔料等があり、無機顔料では、黄色顔料のC.I.Pigment Yellow 34,37,42,53など、赤系顔料のC.I.Pigment Red 101,108など、青系顔料のC.I.Pigment Blue 27,29,17:1など、黒系顔料のC.I.Pigment Black 7,マグネタイトなど、白系顔料のC.I. Pigment White 4,6,18,21などを挙げることができる。
この他、オレンジ顔料(C.I.Pigment Orange 13,16など)や緑顔料(C.I.Pigment Green 7など)を使用してもよい。
(1) 金属石鹸の性質と応用(幸書房)
(2) 印刷インキ印刷(CMC出版 1984)
(3) 最新顔料応用技術(CMC出版 1986)
(4) 米国特許5,554,739号、同5,571,311号
(5) 特開平9−151342号、同10−140065号、同10−292143号、同11−166145号
特に、上記(4)の米国特許に記載されたジアゾニウム塩をカーボンブラックに作用させて調製された自己分散性顔料や、上記(5)の日本特許に記載された方法で調製されたカプセル化顔料は、インク中に余分な分散剤を使用することなく分散安定性が得られるため特に有効である。
本技術に使用できる顔料の粒径は、分散後で0.01〜10μmの範囲であることが好ましく、0.05〜1μmであることが更に好ましい。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造時に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、縦型あるいは横型のアジテーターミル、アトライター、コロイドミル、ボールミル、3本ロールミル、パールミル、スーパーミル、インペラー、デスパーサー、KDミル、ダイナトロン、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986)に記載がある。
次に、一般式(2)で表される化合物について説明する。
本発明のインクは下記一般式(2)で表される化合物(イミダゾリジノン系化合物)を含有する。
X1、X2、R1、R2、R3、及びR4は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。但し、X1とX2が同時に水素原子になることはない。
X1、X2、R1、R2、R3、及びR4で表されるアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。
アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、sec−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、シクロヘキシル基、メチルシクロペンチル基、
更に好ましいのは、X1及びX2が炭素数1〜5のアルキル基であり、R1〜R4が水素原子である化合物である。該炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、sec−ペンチル基、シクロペンチル基等が好ましい。
3質量%以上であれば、該化合物の添加する効果が顕著になり、10質量%以下であれば、染料の溶解安定性に優れ、好ましい。
次に、本発明のインク組成物が含有し得る界面活性剤について説明する。
本発明で使用される界面活性剤としては脂肪酸塩類、高級アルコールのエステル塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類、高級アルコールのリン酸エステル塩類等のアニオン界面活性剤、脂肪族アミン塩類、4級アンモニウム塩類等のカチオン界面活性剤、高級アルコールのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物、アセチレングリコール及びそのエチレンオキサイド付加物等のノニオン界面活性剤、アミノ酸型、ベタイン型等の両性界面活性剤、フッ素系、シリコン系化合物等が挙げられる。これらは単独であるいは2種以上を用いることができる。
本発明で用いるインク組成物は、界面活性剤を0.005〜5質量%含有することが好ましく、より好ましくは0.005〜3質量%含有する。インク組成物中の界面活性剤の含有量が0.005〜5質量%の範囲にあると、吐出安定性の低下、混色時の滲みの発生、ひげ発生などの印字品質の低下が起こらず、吐出時、ノズル周辺部へのインクの付着等による印字不良を抑えることができる。
このときの溶解方法としては、攪拌による溶解、超音波照射による溶解、振とうによる溶解等種々の方法が使用可能である。なかでも特に攪拌法が好ましく使用される。攪拌を行う場合、当該分野では公知の流動攪拌や反転アジターやディゾルバを利用した剪断力を利用した攪拌など、種々の方式が利用可能である。一方では、磁気攪拌子のように、容器底面との剪断力を利用した攪拌法も好ましく利用できる。
本発明の染料はその構造によって溶解性に多少変動があるが、本発明のインクは、染料種によってその溶解度が10(g/100g溶剤)以下となるような水混和性有機溶剤を適宜選択することが好ましい。
本発明の染料の25℃における溶解度は、より好ましくは8(g/100g溶剤)以下であり、更に好ましくは5(g/100g溶剤)以下である。
また、該水混和性有機溶剤は、少なくとも1種がアルコール及び/又はその誘導体含む2種以上からなる混合物であることが好ましい。水混和性有機溶剤の添加量は1〜60質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜50質量%である。この値とすることで、インクの安定性、吐出安定性、乾燥性が良好となる傾向にある。
アルコール(例、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、グリコール誘導体(例、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングルコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングルコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、
用いられる高沸点有機溶媒の沸点は150℃以上であるが、好ましくは170℃以上である。高沸点有機溶媒は油溶性染料に対して質量比で0.01〜3倍量、好ましくは0.01〜1.0倍量で使用できる。
これらの高沸点有機溶媒は単独で使用しても、数種の混合で使用してもよい。
乳化安定剤、防腐剤、防黴剤等の添加剤を必要に応じて添加することができる。乳化法としては水相中に油相を添加する方法が一般的であるが、油相中に水相を滴下して行く、いわゆる転相乳化法も好ましく用いることができる。
具体的な例としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチルー2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げられる。これらのうちグリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールがより好ましい。また上記の乾燥防止剤は単独で用いても良いし2種以上併用しても良い。これらの乾燥防止剤はインク中に10〜50質量%含有することが好ましい。
本発明では分散剤、分散安定剤として上述のカチオン、アニオン、ノニオン系の各種界面活性剤、消泡剤としてフッソ系、シリコーン系化合物やEDTAに代表されるキレート剤等も必要に応じて使用することができる。
インク受容層は、顔料及び水性結着剤の他に媒染剤、耐水化剤、耐光性向上剤、耐オゾン性向上剤、界面活性剤、その他の添加剤を含有することができる。
ポリマー媒染剤については、特開昭48−28325号、同54−74430号、同54−124726号、同55−22766号、同55−142339号、同60−23850号、同60−23851号、同60−23852号、同60−23853号、同60−57836号、同60−60643号、同60−118834号、同60−122940号、同60−122941号、同60−122942号、同60−235134号、特開平1−161236号の各公報、米国特許2484430号、同2548564号、同3148061号、同3309690号、同4115124号、同4124386号、同4193800号、同4273853号、同4282305号、同4450224号の各明細書に記載がある。特開平1−161236号公報の212〜215頁に記載のポリマー媒染剤を含有する受像材料が特に好ましい。同公報記載のポリマー媒染剤を用いると、優れた画質の画像が得られ、かつ画像の耐光性が改善される
これらの具体的な化合物例としては、特開平10−182621号、特開2001−260519号、特開2000−260519号、特公平4−34953号、特公平4−34513号、特公平4−34512号、特開平11−170686号、特開昭60−67190号、特開平7−276808号、特開2000−94829号、特表平8−512258号、特開平11−321090号等に記載のものが挙げられる。
界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。有機フルオロ化合物の例には、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれる。有機フルオロ化合物については、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭61−20994号、同62−135826号の各公報に記載がある。
本発明のインクはインクジェットの記録方式に制限はなく、公知の方式例えば静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット方式等に用いられる。
インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
好ましい被記録材と記録方式の組み合わせは、支持体上に白色無機顔料粒子を含有する受像層を有する受像材料にインク滴を記録信号に応じて吐出させ、受像材料上に画像を記録するインクジェット記録方法である。
以下、実施例に本発明の染料混合物の調製法を詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
以下の実施例において、λmaxは吸収極大波長であり、εmaxは吸収極大波長におけるモル吸光係数を意味する。
BLACK−11(M:Li/Na≒70/30(mol/mol))の合成スキームを下記に示す。
アミノアセトフェノン(a−2)8.5g、マロノニトリル4.9g、トルエン26.5mL、酢酸アンモニウム5.0g及び酢酸5.9gを室温で添加後、内温を100℃まで昇温して同温度で3時間撹拌した。反応液を40℃まで冷却後メタノール31.8mLを注加し、20分撹拌後に反応液を濾過した。イソプロピルアルコール42.4mLで洗浄し60℃で8時間乾燥した。(B−5)11.1gを得た。
(B−5)8.0g、硫黄2.8g、炭酸水素ナトリウム7.4g、ジメチルアセトアミド160mL、アセトニトリル80mL及び水80mLを室温で混ぜた後、内温40℃まで昇温、同温度で1時間撹拌した。反応液を25℃まで冷却後、不溶物をろ過し、(C−5)を溶液状態で得た。
アセトン100mLを内温0℃に冷却し塩化シアヌル18.4gを添加した。次に2,5−ジスルホアニリン27.5g、炭酸ナトリウム10.6gを95gの水に溶解させ、内温0以上4℃以下で30分かけて滴下した。内温0〜5℃で2.5時間撹拌後、メタノール200mL、イソプロピルアルコール200mLを内温5℃以下で滴下し、析出した不溶物をろ過した後、(T−1)の溶液状態で得た。
上記(3)で得られた(T−1)を内温20℃に維持したまま(C−5)240.0gを滴下した。滴下後内温を30℃まで昇温して2.0時間撹拌した。イソプロピルアルコール2.3Lを内温30〜35℃で1時間かけて滴下した後、同温度で30分撹拌した。反応液をろ過、イソプロピルアルコールで洗浄、乾燥して(T−2)を24.0gで得た。
タウリン8.0g及び炭酸ナトリウム6.8gを水650mLに室温で完溶させ、その溶液の中に(T−2)24.0gを粉体で添加した。内温を100℃まで昇温して同温度で1.5時間撹拌した。反応液を内温25℃まで冷却し、中間体(T−3)を溶液状態で得た。
2−アミノベンゾニトリル(e−1)4.4gに水58mLを加え室温で撹拌し、12M塩酸水10.5mLを滴下後、反応液を内温0℃まで冷却した。内温を0〜4℃に保ちながら亜硝酸ナトリウム2.8gの25%水溶液を滴下し内温0〜5℃で1.5時間撹拌した。その後、尿素0.4gを加え15分撹拌しジアゾニウム塩溶液を得た。上記ジアゾニウム塩溶液とは別に、中間体(T−3)に水300mLを加え内温2℃まで冷却後、先ほど調整したジアゾニウム塩溶液を内温2〜4℃で15分かけて滴下した。内温を2〜4℃に保ち2時間撹拌後、(f−6)を溶液状態で得た。
上記(6)で得られた(f−6)を室温で撹拌し、中間体(G)17.7gを水60mLに完溶させ滴下した。亜硝酸イソアミル4.5gを内温22℃で滴下し、同温度で30分撹拌した。その後更に亜硝酸イソアミル0.2gを滴下し内温22℃で2時間撹拌した。反応液を除塵ろ過し不溶物を除いた後、反応液にジメチルアセトアミド183mLを加え更にイソプロピルアルコール1.1Lを30分かけて滴下した。スラリー状の反応液をろ過しメタノール2Lで洗浄し粗(BLACK−11)を得た。
この粗体に水220mLを加え溶解しイソプロピルアルコール370mLを滴下し再度ろ過しウェットケーキを得た。このウェットケーキを水220mLに完溶させ、1N―水酸化リチウム水溶液を加えpH値を8.3(25℃)に調整した後、メタノール100mLを加え除塵ろ過をした。この溶液を内温40℃に昇温し同温度で、飽和LiClイソプロピルアルコール溶液300mLを滴下し、析出した結晶を濾過しウェット結晶を得た。得られたウェット結晶に水170mL、メタノール100mLを加え内温40℃で撹拌しながら飽和LiClイソプロピルアルコール溶液430mLを滴下し析出した結晶をろ別した。イソプロピルアルコール500mLで洗浄後、40℃で12時間乾燥し、精(BLACK−11)M:Li/Na≒70/30(mol/mol)を11.3gで得た。
BLACK−32(M:Li)の合成スキームを下記に示す。
チオ尿素12.5gと水120mlの中に原料(A−11;和光純薬品)40gを添加し、70℃で5時間攪拌した。析出した結晶を濾別し、5%NaOH溶液400mlを加え、室温で3時間攪拌した後、濾過し、中間体(B−11)の黄色結晶を35.5g得た。
還元鉄57.0g、塩化アンモニウム5.0g、水35ml及びイソプロピルアルコール250mlを30分還流し、中間体(B−11)22.0gを添加し、1時間還流攪拌した。濾過した後、濃縮し、中間体(C−11)の黄色結晶を15.0g得た。
中間体(C−11)9.6gをアセトン125mLに加え内温50℃で攪拌し溶解させた。氷浴で内温を4℃まで冷却後無水酢酸5.6gを15分で滴下した。室温まで昇温後、水50mLを添加し、アセトンを減圧下で留去した。結晶を濾別後50mLの水で2回洗浄し、80℃で6時間乾燥させ中間体(D−11)の白色結晶を9.9g得た。
中間体(E−11) 4.3gを水 43mLに添加し室温で攪拌した。12N塩酸 4.0mLを滴下後、内温4℃まで冷却した。そこへ亜硝酸ナトリウム 0.9gの水溶液 3mLを滴下し5℃以下で2時間攪拌した。その後、尿素 0.1gを加え内温4℃で15分撹拌しジアゾニウム溶液を得た。別途、中間体(D−11) 2.4gと酢酸リチウム 8.6gをメタノール55mLとジメチルアセトアミド 3.5mLに溶かし内温5℃以下まで冷却した。ジアゾニウム溶液を内温5℃以下で5分かけて滴下した。1.5時間撹拌した後、塩化リチウム 15.0gを添加し、続いてイソプロピルアルコール
150mLを滴下した。結晶を濾別後イソプロピルアルコール100mLで洗浄した。80℃で乾燥後、中間体(F−11)の茶色結晶を5.4g得た。
中間体(F−11) 5.0g、(G) 3.8g及び水 50mLの溶液を12N塩酸でpH2以下に調整し、内温35から40℃で亜硝酸イソアミル 1.5gを滴下した。内温40℃で4時間撹拌後、塩化リチウム 20gを添加し、続いてイソプロピルアルコール 25mL滴下した。内温25℃まで冷却し、結晶を濾別後、イソプロピルアルコール 50mLで洗浄した。この結晶を水60mLを添加し、内温40℃まで昇温後、イソプロピルアルコール 100mLを滴下した。内温25℃まで冷却後結晶を濾別した。得られた結晶を水 35mLに加え、pHが8.3となるように4mol/L水酸化リチウム水溶液を加えた。この溶液にイソプロピルアルコール 250mLを滴下し析出した結晶を濾別した。イソプロピルアルコール30mLで洗浄後、80℃で乾燥して(BLACK−32)(M:Li)の黒色結晶 2.7gを得た。
BLACK−31(M:Li)の合成スキームを下記に示す。
p−アミノアセトフェノン(A−12;東京化成品) 20.3gをアセトニトリル 150mLに添加し、室温で攪拌することで完溶させた。続いて、ピリジン 13.4mLを添加し、氷浴下で内温を4℃に保った。無水酢酸 11.8gを滴下し、内温4℃で15分攪拌した。反応液に水 300mL、続いて12N塩酸を5mL添加し、結晶を濾別した。結晶を水 100mLで洗浄後、80℃で乾燥し中間体(B−12)の白色結晶を18.6g得た。
ディーンスタークトラップを装着した100mL三つ口フラスコに、中間体(B−12)17.7g、マロノニトリル 7.3g、酢酸 4.6mL、酢酸アンモニウム 1.5gとトルエン 20mLを投入し、125℃のオイルバスで還流させた。1時間攪拌後、酢酸 4.6mLと酢酸アンモニウム 1.5gを追添し、還流条件で2時間攪拌した。放冷後、メタノール 30mL添加し、氷浴で30分攪拌した。結晶を濾別後、冷メタノール20mLで洗浄し乾燥させた。中間体(C−12)の白色結晶を12.1g得た。
中間体(C−12) 11.3gとエタノール 20mLの溶液に硫黄 1.5gを添加し、続いてトリエチルアミン6.6mLを滴下した。内温50℃で30分攪拌後、酢酸エチル500mLと水300mLを加え、振盪後、分液を実施した。有機層に食塩水200mLを加え振盪後分液し、有機層に硫酸マグネシウムを添加し乾燥させた。有機溶媒を留去後、イソプロパノールを50mL添加し、懸濁攪拌後に結晶を濾別した。80℃で乾燥後、中間体(D−12)の白色結晶 8.1gを得た。
中間体(E−11) 6.0gを水 60mLに加え室温で撹拌し、12N塩酸 5.6mLを滴下後、内温4℃まで冷却した。内温5℃以下で亜硝酸ナトリウム 1.3gの水溶液 4mLを滴下した。内温5℃以下で2時間攪拌した後に、尿素 0.1gを加え、15分撹拌しジアゾニウム溶液を得た。
別途、中間体(D−12) 3.4gと酢酸リチウム 12.0gをメタノール 90mLとジメチルアセトアミド 10mLに室温で溶解し、内温4℃まで冷却後、先のジアゾニウム溶液を内温5℃以下で15分滴下した。内温4℃以下で1.5時間撹拌した後、塩化リチウム 20.0g添加し、アセトニトリル 75mLを滴下した。結晶を濾別後、アセトニトリルで洗浄した。単離結晶をイソプロピルアルコール 75mLを用いて内温50℃で懸濁洗浄した。結晶を濾別後イソプロピルアルコールで洗浄した。80℃で乾燥後、中間体(F−12)の茶色結晶を6.4g得た。
中間体(F−12) 5.0gと(G) 3.7g及び水 50mLの溶液を12N塩酸水でpH2以下に調整し、内温35〜40℃で亜硝酸イソアミル 1.2gを滴下した。内温40℃で3時間撹拌後、塩化リチウム 50.0gを加え内温25℃まで冷却した。結晶を濾別後、イソプロピルアルコール 150mLで洗浄した。単離結晶をメタノール 200mLに加え内温40℃まで昇温後、アセトニトリル 800mLを滴下した。滴下後15分撹拌し、内温25℃まで冷却した。結晶を濾別後、水 150mLに加え、室温でイソプロピルアルコール 450mLを滴下した。結晶を濾別後、水 50mLに加え、pH8.3になるまで4mol/L水酸化リチウム水溶液を加えた。この溶液にイソプロピルアルコール 150mLを滴下し析出した結晶を濾別した。イソプロピルアルコール 50mLで洗浄後、80℃で乾燥し(BLACK−31)(M:Li)の黒色結晶4.3gを得た。
〔インク液1〜10及び比較インク液101の調整〕
下記表1の成分(g)に超純水を加え1000gとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間攪拌溶解した。その後、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧ろ過し、インク液1〜10及び比較インク液101を得た。
以上の本発明(インク液1〜10)及び比較例(比較インク液101)のインクジェット用インクについて、下記評価を行った。その結果を表2に示した。
各インク組成物をPET製容器に入れて密栓し65℃恒温槽中で14日間保存し、保存後の0.5μm以上の粒子の総個数及び分光吸収を測定した。また、同様の方法で保存前のインクの粘度及び分光吸収を測定した。0.5μm以上の粒子の総個数は個数カウント方式粒度分布測定装置(Particle Sizing Systems社製、「AccuSizer780」)を用い、測定する液を5μl投入した際の総個数を測定した。分光吸収は、V−570(日本分光株式会社 社製)を用い、インクを超純水で2000倍に希釈し、石英セル、対照に超純水を用いて測定し、500nm付近の吸光度の変化を比較した。測定値を指標にして、下記の評価基準に従ってインクの安定性の評価を行った。
A:0.5μm以上の粒子の総個数及び吸光度変化ともに、保存前の値の±10%未満であった。
B:0.5μm以上の粒子の総個数及び吸光度変化いずれかの値が、保存前の値の±10%以上であった。
C:0.5μm以上の粒子の総個数及び吸光度変化ともに、保存前の値の±10%以上であった。
作製したインク組成物について、インクジェット記録装置としてインクジェットプリンター(商品名:PIXUS iP8600;キヤノン製)を用い、ブラック単色ベタ画像を印字した35℃環境にてベタ及び罫線パターンの連続印字を行った。連続印字前にノズルチェックを行い、充填性を確認したあとに評価を開始した。記録媒体としてキャノン社製 光沢プロフェッショナル(PR201)を用いた。印字中にドット抜け又はインクの飛び散りや曲がり等による乱れが生じた際、回復動作としてクリーニングを都度行った。A4サイズで連続印刷100ページ中に要したクリーニング回数を結果とし、下記の基準に従って評価した。評価結果を表2に示す。
A:クリーニング回数ゼロ。
B:クリーニング回数1〜3回。
C:クリーニング回数4回以上。
作製したインク組成物について、インクジェットプリンター(商品名:PIXUS iP8600;キヤノン製)を用いて、評価した。
正常に印字できることを確認した後、2ヶ月間23℃、50%RHの環境に放置し、ヘッドクリーニングによる回復操作を正常に印字できるまで繰り返して、回数を記録し、下記の基準で評価した。評価結果を表2に示す。
B:2〜3回で回復
C:4〜5回で回復
D:6回以上で回復
作製したインク組成物について、インクジェット記録装置としてインクジェットプリンター(商品名:PIXUS iP8600;キヤノン製)を用い、記録媒体としてキャノン社製 フォト光沢フィルム HG201にベタ画像を印画した。
ベタ画像の印画面を文鎮(重量470g、サイズ15mm×30mm×120mm)に白紙のFX−L紙(富士ゼロックス(株)製)を巻きつけたもので3往復擦った(荷重260kg/m2に相当)。擦った後の印画面を目視により観察し、予め定めておいた限度見本に照合して、下記評価基準に従って、目視による官能評価を行った。評価結果を表2に示す。
AA:傷がつかなかった。
A:わずかに(2箇所以下)傷がついた。
B:3〜10箇所の傷がついたが、実用上の許容レベルだった。
C:11箇所以上の傷がつき、実用上問題があるレベルだった。
なお、耐擦性について。使用する受像紙を富士フイルム社製「画彩写真仕上げPro」、EPSON社製PM写真用紙、キャノン社製 PR−201に変更した場合でも上記結果と同様の効果が見られた。
(実施例11)
BLACK−11(M:Li/Na≒70/30(mol/mol)を陽イオン交換樹脂(オルガノ社製、アンバーライトIR−120をLi型に変換したもの)を用いて、BLACK−11のM=Li(100%)を得た。
実施例1のインク液1において、染料化合物を上記のBLACK−11のM=Li(100%)に変更した以外は、インク液1と同様にしてインク液11を調製した。
得られたインク液11について、実施例1と同様な評価を行ったところ、インク液1と同様な評価結果が得られた。更に、予想外なことに、インク液11を用いて得た画像は、他のインク液1〜10及び比較インク101を用いた場合と比較して、より高濃度で鮮明な黒色を呈していた。
実施例1のインク液1において、ブラック染料をBLACK−11から、下記BLACK−51、BLACK−52、及びBLACK−101にそれぞれ変更した以外は同様にしてインク液12及び13、並びに比較インク液102を調製した。
なお、耐擦性について。使用する受像紙を富士フイルム社製「画彩写真仕上げPro」、EPSON社製PM写真用紙、キャノン社製 PR−201に変更した場合でも上記結果と同様の効果が見られた。
Claims (23)
- 下記一般式(1)で表される少なくとも1種のアゾ化合物を、水性媒体中に含有するインクであって、下記一般式(2)で表される化合物を少なくとも1種含有する、インク組成物。
- 前記一般式(1)で表されるアゾ化合物が、下記一般式(2−1)で表されるアゾ化合物であることを特徴とする請求項1に記載のインク組成物。
- 前記一般式(1)又は(2−1)で表されるアゾ化合物が、下記一般式(3−1)で表されるアゾ化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインク組成物。
- 前記一般式(1)、(2−1)又は(3−1)で表されるアゾ化合物が、下記一般式(4−1)で表されるアゾ化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 前記一般式(1)で表されるアゾ化合物が、下記一般式(2−2)で表されるアゾ化合物であることを特徴とする請求項1に記載のインク組成物。
- 前記一般式(1)又は(2−2)で表されるアゾ化合物が、下記一般式(3−2)で表されるアゾ化合物であることを特徴とする請求項1又は5に記載のインク組成物。
- 前記一般式(1)、(2−2)又は(3−2)で表されるアゾ化合物が、下記一般式(4−2)で表されるアゾ化合物であることを特徴とする請求項1、5、6のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 前記一般式(1)で表されるアゾ化合物が、下記一般式(1−3)で表されるアゾ化合物であることを特徴とする請求項1に記載のインク組成物。
- 前記一般式(1−3)で表されるアゾ化合物が、下記一般式(2−3)で表されるアゾ化合物であることを特徴とする請求項8に記載のインク組成物。
- 前記一般式(1−3)又は(2−3)で表されるアゾ化合物が、下記一般式(3−3)で表されるアゾ化合物であることを特徴とする請求項8又は9に記載のインク組成物。
- 前記一般式(1−3)又は(2−3)で表されるアゾ化合物が、下記一般式(4−3)で表されるアゾ化合物であることを特徴とする請求項8又は9に記載のインク組成物。
- 前記一般式(1−3)で表されるアゾ化合物が、下記一般式(2−4)で表されるアゾ化合物であることを特徴とする請求項8に記載のインク組成物。
- 前記一般式(1−3)又は(2−4)で表されるアゾ化合物が、下記一般式(3−4)で表されるアゾ化合物であることを特徴とする請求項8又は12に記載のインク組成物。
- 前記一般式(1−3)又は(2−4)で表されるアゾ化合物が、下記一般式(4−4)で表されるアゾ化合物であることを特徴とする請求項8又は12に記載のインク組成物。
- 前記一般式(1)、(2−1)、(2−2)、(2−3)、(2−4)、(3−1)、(3−2)、(3−3)、(3−4)、(4−1)、(4−2)、(4−3)、(4−4)で表されるアゾ化合物が、少なくとも3つ以上のイオン性親水性基を有することを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 前記一般式(1)、(2−1)、(2−2)、(2−3)、(2−4)、(3−1)、(3−2)、(3−3)、(3−4)、(4−1)、(4−2)、(4−3)、(4−4)で表されるアゾ化合物において、少なくとも1つのMがリチウムイオンであることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 前記一般式(1)で表されるアゾ化合物において、全てのMがリチウムイオンである、請求項1〜16のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 前記一般式(2)で表される化合物の含有量が、インク組成物全質量を基準として1〜10質量%である、請求項1〜17のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 前記一般式(2)中、X1及びX2が炭素数1〜6のアルキル基であり、R1〜R4が水素原子である、請求項1〜18のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 前記一般式(1)で表されるアゾ化合物の含有量が、インク組成物全質量を基準として0.1〜20質量%である、請求項1〜19のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 請求項1〜20のいずれか1項に記載のインク組成物を含有するインクジェット記録用インク。
- 請求項21に記載のインクジェット記録用インクを用いる、インクジェット記録方法。
- 支持体上に白色無機顔料粒子を含有する受像層を有する受像材料にインク滴を記録信号に応じて吐出させ、受像材料上に画像を記録するインクジェット記録方法であって、インク滴が請求項21に記載のインクジェット記録用インクからなる、インクジェット記録方法。
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