JP4383163B2 - 水性インク、インクジェット記録用インク及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
即ち、本発明の目的は、良好な色相を有し、堅牢性に優れた着色画像や着色材料を与え、インクジェットなどの印刷用や、筆記用の水性インクの提供にある。
本発明の他の目的は、良好な色相を有し、光及び環境中の活性ガス、特にオゾンガスに対して堅牢性の高い画像を形成することができるインクジェット記録用インク及びインクジェット記録方法の提供にある。
即ち、本発明によれば下記構成の水性インク、インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法が提供されて、本発明の上記目的が達成される。
1.分子中に少なくとも一つのイオン性親水性基を有し、かつ下記一般式(1)で表されるポリアゾ染料の少なくとも一種を含有することを特徴とする水性インク。
一般式(1)
Aは置換されていてもよい芳香族基を表す。Bは置換されていてもよい複素環基を表す。
X1およびX2は、各々独立に、窒素原子、=CR 3 −および−CR 4 =のいずれかを表す。
R1およびR2は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルまたはアリールスルホニル基を表し、各基は更に置換基を有していても良い。
R3およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、シアノ基、ヒドロキシ基、またはアルコキシ基を表し、各基は更に置換されていても良い。
更に置換されていてもよい場合の置換基は、各々独立に、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、シアノ基、ヒドロキシ基、またはアルコキシ基である。
2.上記1に記載の水性インクを使用することを特徴とするインクジェット記録用インク。
3.支持体上に白色無機顔料粒子を含有するインク受容層を有する受像材料上に、上記2に記載のインクジェット記録用インクを用いて画像形成することを特徴とするインクジェット記録方法。
4.上記1記載の一般式(1)で表されることを特徴とする前記ポリアゾ染料。
5.上記4記載のポリアゾ染料を少なくとも1種含有することを特徴とする画像形成用着色組成物。
6.上記4記載のポリアゾ染料を少なくとも1種含有することを特徴とする感熱記録材料、カラートナー、またはカラーフィルター。
本発明は、上記1〜6に係る発明であるが、以下、それ以外の事項についても記載している。
本発明の上記着色組成物を用いたインクジェット記録用インク及びインクジェット記録方法は、良好な色相を有し、しかも光及び環境中の活性ガス、特にオゾンガスに対して堅牢性の高い画像を形成することができる。
本発明の上記着色組成物から形成されたカラートナーは、光堅牢性に優れ、忠実な色再現と高いOHP品質を示す。
まず、本発明における上記一般式(1)で表されるアゾ染料(以下、「本発明の染料」ともいう)について詳細に説明する。
一般式(1)において、AおよびBは各々独立に置換されていてもよい芳香族基および置換されていてもよい複素環基を表す。芳香環の例には、ベンゼン環、ナフタレン環等を挙げることができ、さらにこれらの環にはいかなる置換基で置換されていてもよい。これら置換されてもよい置換基としては、以下に示すR1で表される置換基が挙げられる。
複素環のヘテロ原子の例には、N、O、およびSを挙げることができる。複素環に脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。
Aは好ましくは置換されていてもよいベンゼン環、置換されていてもよいナフタレン環が好ましい。Bの好ましい例としては置換されていてもよいベンゼン環、置換されていてもよいナフタレン環の他に、以下に示す複素環が好ましい。
上記一般式(a)〜(e)のうち、好ましいのは上記一般式(a)、(b)、(c)、(e)で表されるチオフエン環、チアゾール環、イミダゾール環、チエノチアゾール環である。
ここで、ハメットの置換基定数σp値について説明する。
ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年L.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができ、例えば、J.A.Dean編、「Lange's Handbookof Chemistry」第12版、1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。尚、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり、説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値が存在する置換基にのみに置換基が限定されるという意味ではなく、σp値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に包まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。また、本発明の一般式(1)の中には、ベンゼン誘導体でないものも含まれるが、置換基の電子効果を示す尺度として、置換位置に関係なくσp値を使用する。本発明においては、σp値をこのような意味で使用する。
ハメットσp値が0.45以上の電子吸引性基としては、上記に加えアシル基(例えばアセチル基)、アルコキシカルボニル基(例えばドデシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、m−クロロフェノキシカルボニル)、アルキルスルフィニル基(例えば、n−プロピルスルフィニル)、アリールスルフィニル基(例えばフェニルスルフィニル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル)、ハロゲン化アルキル基(例えば、トリフロロメチル)を挙げることができる。
σp値が0.20以上の電子吸引性基の具体例としては、上記に加え、ハロゲン原子などが挙げられる。
R1、R2で表される好ましい置換基としては、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルまたはアリールスルホニル基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
芳香族基の例には、フェニル、p−トリル、p−メトキシフェニル、o−クロロフェニルおよびm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニルが含まれる。
複素環基には、置換基を有する複素環基および無置換の複素環基が含まれる。複素環に脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。複素環基としては、5員または6員環の複素環基が好ましい。置換基の例には、脂肪族基、ハロゲン原子、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アシルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、イオン性親水性基などが含まれる。複素環基の例には、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−ベンゾオキサゾリル基および2−フリル基が含まれる。
アルキルおよびアリールスルフィニル基の例としては、それぞれメタンスルフィニル基およびフェニルスルフィニル基をあげることができる。
リン酸60ml、酢酸30ml、ニトロシル硫酸(40%硫酸溶液)2.19mlを0℃で攪拌し、モノアゾ染料(1)5.26g(10mmol)をDMF13mlに溶解させた液を、ゆっくり滴下し、0℃で1時間攪拌させてジアゾニウム塩を生成させた。カプラー(2)3.51g(10mmol)をメタノール182mlに25℃で懸濁攪拌させたところに、上記ジアゾニウム塩を内温25℃で滴下しカップリングさせた。滴下終了後、1時間攪拌させ、内温50℃に上昇させ、イソプロピルアルコール800ml滴下し、さらに塩化リチウムを5g添加して析出してきた染料を濾過した。濾過した染料の粗結晶はファルマシア製セファデックスLH−20担体でメタノール/水=1/1(v/v)の溶離液を使って脱塩および染料の精製を行い、高純度の染料(1−1)を4g得た。収率45% FAB−MASS(Neg.)=887
本発明のインク及びインクジェット記録用インクは、親油性媒体や水性媒体中に前記、本発明のアゾ染料を溶解及び/又は分散させることによって作製することができる。好ましくは、水性媒体を用いる場合である。必要に応じてその他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有される。その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤(特開2003−306623号公報に記載)が挙げられる。これらの各種添加剤は、水溶性インクの場合にはインク液に直接添加する。油溶性染料を分散物の形で用いる場合には、染料分散物の調製後分散物に添加するのが一般的であるが、調製時に油相または水相に添加してもよい。
インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。インクの打滴体積の制御は主にプリントヘッドにより行われる。
ピエゾ素子を用いたドロップオンデマンド方式の場合、サーマルインクジェット方式と同様にプリントヘッドの構造上打滴体積を変えることも可能であるが、後述するようにピエゾ素子を駆動する駆動信号の波形を制御することにより、同じ構造のプリントヘッドで複数のサイズの打滴を行うことができる。
本発明の染料を導入するカラートナー用バインダー樹脂としてはトナー用に一般に使用される全てのバインダーが使用できる。例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン/アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
トナーに対して流動性向上や帯電制御等を付与する目的で、無機微粉末、有機微粒子を外部添加してもよい。表面をアルキル基含有のカップリング剤等で処理したシリカ微粒子、チタニア微粒子が好ましく用いられる。なお、これらは数平均一次粒子径が10〜500nmのものが好ましく、さらにはトナー中に0.1〜20質量%添加するのが好ましい。
本発明の感熱記録材料は、支持体上に本発明の染料をバインダーとともに塗設したインクシート、及び画像記録信号に従ってサーマルヘッドから加えられた熱エネルギーに対応して移行してきた染料を固定する受像シートから構成される。インクシートは、上記染料をバインダーと共に溶剤中に溶解することによって、あるいは溶媒中に微粒子状に分散させることによってインク液を調製し、該インクを支持体上に塗布して適宜に乾燥することにより形成することができる。
用いることができるバインダー樹脂、インク溶媒、支持体、更には受像シートについては、例えば特開平7−137466号公報に記載されたものを好ましく用いることができる。
カラーフィルターの形成方法としては、初めにフォトレジストによりパターンを形成し、次いで染色する方法、或いは特開平4−163552号、特開平4−128703号、特開平4−175753号等の各公報で開示されているように、着色剤を添加したフォトレジストによりパターンを形成する方法がある。本発明の染料をカラーフィルターに導入する場合に用いられる方法としては、これらのいずれの方法を用いてもよいが、好ましい方法としては、特開平4−175753号や特開平6-35182号公報に記載されている方法、即ち、熱硬化性樹脂、キノンジアジド化合物、架橋剤、着色剤及び溶剤を含有してなるポジ型レジスト組成物を基体上に塗布後、マスクを通して露光し、該露光部を現像してポジ型レジストパターンを形成させ、上記ポジ型レジストパターンを全面露光し、次いで露光後のポジ型レジストパターンを硬化させることからなるカラーフィルターの形成方法を挙げることができる。また、常法に従いブラックマトリックスを形成させ、RGB原色系あるいはY.M.C補色系カラーフィルターを得ることができる。
下記の成分に超純水(抵抗値18MΩ以上)、塩基を加え1リッターとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過してブラックインク液 Bk-101を調製した。
〔ブラックインク Bk-101処方〕
(固形分)
本発明のブラック染料(1−1) 60g/l
プロキセル 5g/l
尿素 20g/l
ベンゾトリアゾール 3g/l
(液体成分)
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DGB) 100g/l
グリセリン(GR) 125g/l
ジエチレングリコール(DEG) 100g/l
2-ピロリドン(PRD) 30g/l
トリエタノールアミン(TEA) 30g/l
サーフィノールSTG(SW) 10g/l
次に、インク処方を表1の染料、塩基した以外は、Bk-101と同じ組成のブラックインクBk-102〜110をそれぞれ作製した。
それぞれのインクをEPSON社製インクジェットプリンターPM-980Cのブラックインクのカートリッジに装填し、グレーの階段状に濃度が変化した画像パターンを印字させた。
受像シートは富士写真フイルム(株)製インクジェットペーパーフォト光沢紙「画彩」に画像を印刷し、画像品質、ならびにインクの吐出性と画像堅牢性の評価を行った。
1)色相については、黒染料の長波側染料としてλmaxが590nm付近のブロードな色相を目視にて最良、良好および不良の3段階で評価した。評価結果を表1に示す。下記表中、Aは色相が最良、Bは良好であったことを示し、Cは色相が不良であったことを示す。
2)ブラック色素の画像保存性については、グレー印字サンプルを用いて、以下の評価を行った。画像保存性の評価は、グレー階段状パターンの濃度を、ステータスAフィルターを搭載したX-rite 310濃度測定機を用いて測定し、Dvis=1.0付近の点を基準点として、そこの濃度変化を測定するすることにより行った。
[1]光堅牢性は、印字直後のパターンSの濃度(Dvis)Ciを測定した後、アトラス社製ウェザーメーターを用い画像にキセノン光(8万5千ルックス)を14日照射した。その後再びパターンSの濃度Cfを測定し染料残存率Cf/Ci*100を求め評価を行った。
染料残像率が80%以上の場合をA、70〜80%の場合をB、70%未満の場合をCとした。
[2]熱堅牢性については、80℃70%RHの条件下に21日間、試料を保存する前後でのパターンSの濃度をX-rite 310にて測定し、染料残存率を求め評価した。
染料残像率が90%以上の場合をA、80〜90%の場合をB、80%未満の場合をCとした。
[3]耐オゾン性(O3堅牢性)については、オゾンガス濃度が5ppmに設定されたボックス内に試料を96時間放置し、オゾンガス下放置前後のパターンSの濃度をX-rite 310にて測定し、染料残存率を求め評価した。
ボックス内のオゾンガス濃度は、APPLICS製オゾンガスモニター(モデル:OZG−EM−01)を用いて設定した。
染料残像率が80%以上の場合をA、70〜80%の場合をB、70%未満の場合をCとした。
得られた結果を表2に示す。
実施例1で作製した同じインクを、インクジェットプリンターBJ−F850(CANON社製)のカートリッジに詰め、同機にて同社のフォト光沢紙GP−301に画像をプリントし、実施例1と同様な評価を行ったところ、実施例1と同様な結果が得られた。
Claims (3)
- 分子中に少なくとも一つのイオン性親水性基を有し、かつ下記一般式(1)で表されるポリアゾ染料の少なくとも一種を含有することを特徴とする水性インク。
一般式(1)
上記一般式(1)中:
Aは置換されていてもよい芳香族基を表す。Bは置換されていてもよい複素環基を表す。
X 1 およびX 2 は、各々独立に、窒素原子、=CR 3 −および−CR 4 =のいずれかを表す。
R 1 およびR 2 は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルまたはアリールスルホニル基を表し、各基は更に置換基を有していても良い。
R 3 およびR 4 は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、シアノ基、ヒドロキシ基、またはアルコキシ基を表し、各基は更に置換されていてもよい。
更に置換されていてもよい場合の置換基は、各々独立に、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、シアノ基、ヒドロキシ基、またはアルコキシ基である。 - 請求項1に記載の水性インクを使用することを特徴とするインクジェット記録用インク。
- 支持体上に白色無機顔料粒子を含有するインク受容層を有する受像材料上に、請求項2に記載のインクジェット記録用インクを用いて画像形成することを特徴とするインクジェット記録方法。
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