JP4116498B2 - 画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、色素を含有する着色組成物を用いた画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、画像記録材料としては、特にカラー画像を形成するための材料が主流であり、具体的には、インクジェット方式の記録材料、電子写真方式の記録材料、転写式ハロゲン化銀感光材料、印刷インク、記録ペン等が盛んに利用されている。これらのカラー画像記録材料では、フルカラー画像を再現または記録するために、いわゆる加法混色法や減法混色法の3原色の色素(染料や顔料)が使用されているが、好ましい色再現域を実現できる吸収特性を有し、且つ様々な使用条件、環境条件に耐え得る堅牢な(例えば耐光性、耐熱性、耐湿性、オゾンなどの酸化性ガスに対する耐性、その他亜硫酸ガスなどの耐薬品堅牢性に優れる)色素がないのが実状であり、改善が強く望まれている。
【0003】
画像形成方法としては、インクジェット記録方法が、材料費が安価であること、高速記録が可能なこと、記録時の騒音が少ないこと、更にカラー記録が容易であることから、急速に普及し、更に発展しつつある。
インクジェット記録方法に用いられる方式には、連続的に液滴を飛翔させるコンティニュアス方式と画像情報信号に応じて液滴を飛翔させるオンデマンド方式とが有り、その吐出方式にはピエゾ素子により圧力を加えて液滴を吐出させる方式、熱によりインク中に気泡を発生させて液滴を吐出させる方式、超音波を用いた方式、あるいは静電力により液滴を吸引吐出させる方式があり、またインクとしては、水性インク、油性インク、または固体(溶融型)インクが用いられる。これらのインクジェット記録用インクに用いられる色素に対しては、上記一般の記録材料に要求されるように、色相が良好であること、光、熱、環境中の活性ガス(NOx、オゾン等の酸化性ガスの他SOxなど)に対して堅牢であることが要求され、他にも、溶剤に対する溶解性あるいは分散性が良好なこと、高濃度記録が可能であること、水や薬品に対する堅牢性に優れていること、受像材料に対して定着性が良く滲みにくいこと、インクとしたときの保存性に優れていること、毒性がないこと、純度が高いこと、更には、安価に入手できることなどが要求されている。しかしながら、これらの要求を高いレベルで満たす色素を捜し求めることは、極めて難しい。特に、ブラックインクに用いられる色素に対しては、良好な色相を有し、光、湿度、熱に対して堅牢な色素であること、またインクに対しては、その信頼性が高く、文章の印字品位が高いことが必要である。
【0004】
従来、ブラック色素としてはフェノール、ナフトール、ナフチルアミン、アニリン等の非複素環化合物を原料としたジスアゾ色素、トリスアゾ色素が一般に広く使用されてきた(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。これらの色素は、何れも光堅牢性が劣るという問題点を有し、オゾンなどの酸化性ガスに対する堅牢性も極めて不十分である。また、モル吸光係数も27000〜35000と低く、印字濃度を上げようとするとインク中の色素濃度を上げなければならなくなり、これによるヘッドの目詰まり等が問題となる。
【0005】
本発明者らは、オゾン等の酸化性ガスに対して堅牢な着色剤を開発すべく、従来のフェノール、ナフトール、ナフチルアミン、アニリン等の原料から脱却し、これら以外の原料からの色素開発を行ってきた。複素環化合物を含む染料としては、繊維を染色するために、いわゆる分散染料や反応性染料として開発された、複素環が2個以上含まれる非水溶性のジスアゾ色素、トリスアゾ色素がある(例えば、特許文献3、特許文献4参照)。しかし、この特許文献3,4に記載されている複素環化合物を含む色素では、色再現上好ましい吸収特性や使用される環境条件下における堅牢性(例えば耐光性、耐熱性、耐湿性、特にインクジェット画像形成において問題となるオゾンなどの酸化性ガスに対する耐性、その他亜硫酸ガスなどの耐薬品堅牢性)に優れているかどうかは不確かであり、また該文献からでは、吸収特性や堅牢性を改善するのに最適な色素の特性や構造については全く不明である。
【0006】
【特許文献1】
欧州特許第0761771号明細書
【特許文献2】
特許第2716541号明細書
【特許文献3】
ドイツ特許2743097号明細書
【特許文献4】
特開昭59−133259号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来における問題を解決し、良好な色相を有し、堅牢性が高く、にじみのない画像を高い印字濃度で与えることができる画像形成方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、良好な色相を有し、光およびオゾンに対する堅牢性が高く、且つにじみがなく、印字濃度の高い画像を与え得る手段を提供すべく、染料、特にブラック染料について、各種染料化合物、その誘導体を詳細に検討したところ、分子吸光係数が高く、特定の吸収特性を有し、特定の構造を有するアゾ色素によって、上記問題点が解決可能であることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明によれば、下記構成の画像形成方法が提供されて、上記課題が解決される。
【0009】
(1)水を溶媒として濃度2×10−5mol/Lで測定した色素の吸収スペクトルの最大吸収波長をλmax、該λmaxにおけるモル吸光係数をε、吸光度をa、(λmax−150)nmにおける吸光度をbとし、該λmaxにおける吸光度を1.0としたときのスペクトルの半値幅をHとしたときに、下記条件を満たす下記構造の色素を少なくとも1種含有する着色組成物を用いることを特徴とする画像形成方法。
【0010】
(条件)
ε≧40000
570nm≦λmax≦620nm
H≧80nm
b/a≧0.1
(構造)
A−N=N−B−N=N−C
ここで、Aは、芳香族環若しくは複素環またはアゾ色素の残基を表し、
Bは、下記(a)〜(e)から選ばれる2価の基を表し、
【化1】
(上記R 9 〜R 17 は、それぞれ水素原子または置換基を表わす。)
Cは下記一般式(1)で表される基を表す。
【化2】
(一般式(1)において、B 1 およびB 2 は、各々=CR 1 −および−CR 2 =を表すか、いずれか一方が窒素原子、他方が=CR 1 −または−CR 2 =を表す。R 5 、R 6 は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、スルファモイル基を表し、各基は更に置換基を有していてもよい。但し、R 5 、R 6 が同時に水素原子であることはない。Gは、アニリノ基を表し、R 1 、R 2 は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基、複素環アミノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、またはスルホ基を表し、各基は更に置換されていてもよい。R 1 とR 5 、あるいはR 5 とR 6 が結合して5乃至6員環を形成してもよい。)
【0011】
(2)前記着色組成物が水性インクであることを特徴とする上記(1)に記載の画像形成方法。
(3)画像形成にインクジェット方式を用いることを特徴とする上記(1)〜(2)のいずれかに記載の画像形成方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の「画像形成方法」は、写真やグラフィックスのような狭義の画像のみの形成方法ではなく、文章など、文字情報の印刷などの形成方法も包含する。
【0013】
本発明では、水を溶媒として濃度2×10−5mol/Lで測定した色素の吸収スペクトルの最大吸収波長をλmax、λmaxにおけるモル吸光係数をε、吸光度をa、(λmax−150)nmにおける吸光度をbとし、λmaxにおける吸光度を1.0としたときのスペクトルの半値幅をHとしたときに下記条件を満たし、特定の構造を有するアゾ色素を用いることが特徴である。
【0014】
(条件)
ε≧40000
570nm≦λmax≦620nm
H≧80nm
b/a≧0.1
【0015】
ここでλmaxにおける吸光度を1.0としたときのスペクトルの半値幅とは、ピーク波長がλmaxの吸収ピークのスペクトル幅であり、λmaxの吸光度を1.0となるように規格化した際の吸光度が0.5となる波長の幅である。
なお、上記条件は、溶媒ごとの色素の吸収スペクトルを通常の分光光度計により測定することにより求めることができる。また、測定は室温で行うことができる。
【0016】
モル吸光係数εが40000以上、つまり分子吸光係数が高い色素を用いることで、色素濃度が低濃度の着色組成物であっても、高い印字濃度で画像形成をすることができ、また発色もよく色相に優れた画像を得ることができる。なお、印字濃度とは、形成された画像の反射濃度(反射光学濃度)を意味し、公知の反射濃度計により測定することができる。
また、最大吸収波長λmaxが570nm以上620nm以下、該λmaxの吸収ピークの半値幅Hが80nm以上で、さらに、λmaxと(λmax−150)nmとの吸光度の比が0.1以上の色素を用いることにより、良好な色相、特に良好なブラック色を呈し、堅牢性が高く、にじみのない画像を得ることができる。
すなわち、上記条件を満たす色素を少なくとも1種含有する着色組成物を用いた画像形成方法により、画像の堅牢性が改良されるとともに、にじみも改良され、印字濃度も高く、色相に優れる画像を得ることができる。
【0017】
さらに、本発明の効果の上で、モル吸光係数εは50000以上がより好ましい。λmaxは580nm以上620nm以下がより好ましい。半値幅Hは100nm以上がより好ましく、120nm以上がさらに好ましい。b/aは、0.15以上がより好ましい。
【0018】
本発明の色素は、上記条件を満足するアゾ色素であり、2つ以上のアゾ基を有する色素である。また、色素は2つ以上の複素環を有している。また、本発明の効果は、ブラック色素において特に顕著である。
【0019】
以下に、本発明で好ましく用いられる色素について詳細に説明する。
まず、色素が有することのできる置換基について説明する。本発明で用いる色素には、置換基として、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アリールアミノ基、複素環アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基などを有していてもよい。
【0020】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
【0021】
脂肪族基としては、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基および置換アラルキル基が挙げられる。脂肪族基は分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜16であることがさらに好ましい。アラルキル基および置換アラルキル基のアリール部分はフェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルが特に好ましい。脂肪族基の例には、メチル、エチル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、シアノエチル、トリフルオロメチル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、シクロヘキシル基、ベンジル基、2−フェネチル基、ビニル基、およびアリル基を挙げることができる。
【0022】
芳香族基としては、アリール基、置換アリール基が挙げられる。アリール基は、フェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルが特に好ましい。1価の芳香族基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6から16がさらに好ましい。1価の芳香族基の例には、フェニル、p−トリル、p−メトキシフェニル、o−クロロフェニルおよびm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニルが含まれる。2価の芳香族基は、これらの1価の芳香族基を2価にしたものであり、その例にはとしてフェニレン、p−トリレン、p−メトキシフェニレン、o−クロロフェニレンおよびm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニレン、ナフチレンなどが含まれる。
【0023】
複素環基には、置換基を有する複素環基および無置換の複素環基が含まれる。複素環に脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。複素環基としては、5員または6員環の複素環基が好ましく、複素環のヘテロ原子としてはN、O、およびSをあげることができる。上記置換基の例には、脂肪族基、ハロゲン原子、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アシルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、イオン性親水性基などが含まれる。複素環基の例には、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−ベンゾオキサゾリル基および2−フリル基が含まれる。
【0024】
カルバモイル基には、置換基を有するカルバモイル基および無置換のカルバモイル基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル基およびジメチルカルバモイル基が含まれる。
【0025】
アルコキシカルボニル基には、置換基を有するアルコキシカルボニル基および無置換のアルコキシカルボニル基が含まれる。アルコキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル基およびエトキシカルボニル基が含まれる。
【0026】
アリールオキシカルボニル基には、置換基を有するアリールオキシカルボニル基および無置換のアリールオキシカルボニル基が含まれる。アリールオキシカルボニル基としては、炭素原子数が7〜20のアリールオキシカルボニル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アリールオキシカルボニル基の例には、フェノキシカルボニル基が含まれる。
【0027】
複素環オキシカルボニル基には、置換基を有する複素環オキシカボニル基および無置換の複素環オキシカルボニル基が含まれる。複素環オキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜20の複素環オキシカルボニル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記複素環オキシカルボニル基の例には、2−ピリジルオキシカルボニル基が含まれる。
【0028】
上記アシル基には、置換基を有するアシル基および無置換のアシル基が含まれる。前記アシル基としては、炭素原子数が1〜20のアシル基が好ましい。上記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。上記アシル基の例には、アセチル基およびベンゾイル基が含まれる。
【0029】
アルコキシ基には、置換基を有するアルコキシ基および無置換のアルコキシ基が含まれる。アルコキシ基としては、炭素原子数が1〜20のアルコキシ基が好ましい。置換基の例には、アルコキシ基、ヒドロキシル基、およびイオン性親水性基が含まれる。上記アルコキシ基の例には、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、メトキシエトキシ基、ヒドロキシエトキシ基および3−カルボキシプロポキシ基が含まれる。
【0030】
アリールオキシ基には、置換基を有するアリールオキシ基および無置換のアリールオキシ基が含まれる。アリールオキシ基としては、炭素原子数が6〜20のアリールオキシ基が好ましい。上記置換基の例には、アルコキシ基およびイオン性親水性基が含まれる。上記アリールオキシ基の例には、フェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基およびo−メトキシフェノキシ基が含まれる。
【0031】
複素環オキシ基には、置換基を有する複素環オキシ基および無置換の複素環オキシ基が含まれる。上記複素環オキシ基としては、炭素原子数が2〜20の複素環オキシ基が好ましい。上記置換基の例には、アルキル基、アルコキシ基、およびイオン性親水性基が含まれる。上記複素環オキシ基の例には、3−ピリジルオキシ基、3−チエニルオキシ基が含まれる。
【0032】
シリルオキシ基としては、炭素原子数が1〜20の脂肪族基、芳香族基が置換したシリルオキシ基が好ましい。シリルオキシ基の例には、トリメチルシリルオキシ、ジフェニルメチルシリルオキシが含まれる。
【0033】
アシルオキシ基には、置換基を有するアシルオキシ基および無置換のアシルオキシ基が含まれる。アシルオキシ基としては、炭素原子数1〜20のアシルオキシ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アシルオキシ基の例には、アセトキシ基およびベンゾイルオキシ基が含まれる。
【0034】
カルバモイルオキシ基には、置換基を有するカルバモイルオキシ基および無置換のカルバモイルオキシ基が含まれる。置換基の例には、アルキル基が含まれる。カルバモイルオキシ基の例には、N−メチルカルバモイルオキシ基が含まれる。
【0035】
アルコキシカルボニルオキシ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルオキシ基および無置換のアルコキシカルボニルオキシ基が含まれる。アルコキシカルボニルオキシ基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニルオキシ基が好ましい。アルコキシカルボニルオキシ基の例には、メトキシカルボニルオキシ基、イソプロポキシカルボニルオキシ基が含まれる。
【0036】
アリールオキシカルボニルオキシ基には、置換基を有するアリールオキシカルボニルオキシ基および無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基が含まれる。アリールオキシカルボニルオキシ基としては、炭素原子数が7〜20のアリールオキシカルボニルオキシ基が好ましい。アリールオキシカルボニルオキシ基の例には、フェノキシカルボニルオキシ基が含まれる。
【0037】
アミノ基には、アルキル基、アリール基または複素環基で置換されたアミノ基が含まれ、アルキル基、アリール基および複素環基はさらに置換基を有していてもよい。アルキルアミノ基としては、炭素原子数1〜20のアルキルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルキルアミノ基の例には、メチルアミノ基およびジエチルアミノ基が含まれる。
アリールアミノ基には、置換基を有するアリールアミノ基および無置換のアリールアミノ基、さらにはアニリノ基が含まれる。アリールアミノ基としては、炭素原子数が6〜20のアリールアミノ基が好ましい。置換基の例としては、ハロゲン原子、およびイオン性親水性基が含まれる。アリールアミノ基の例としては、フェニルアミノ基および2−クロロフェニルアミノ基が含まれる。
複素環アミノ基には、置換基を有する複素環アミノ基および無置換の複素環アミノ基が含まれる。複素環アミノ基としては、炭素数2〜20個の複素環アミノ基が好ましい。置換基の例としては、アルキル基、ハロゲン原子、およびイオン性親水性基が含まれる。
【0038】
アシルアミノ基には、置換基を有するアシルアミノ基および無置換基のアシルアミノ基が含まれる。前記アシルアミノ基としては、炭素原子数が2〜20のアシルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アシルアミノ基の例には、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、N−フェニルアセチルアミノおよび3,5−ジスルホベンゾイルアミノ基が含まれる。
【0039】
ウレイド基には、置換基を有するウレイド基および無置換のウレイド基が含まれる。ウレイド基としては、炭素原子数が1〜20のウレイド基が好ましい。置換基の例には、アルキル基およびアリール基が含まれる。ウレイド基の例には、3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基および3−フェニルウレイド基が含まれる。
【0040】
スルファモイルアミノ基には、置換基を有するスルファモイルアミノ基および無置換のスルファモイルアミノ基が含まれる。置換基の例には、アルキル基が含まれる。スルファモイルアミノ基の例には、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ基が含まれる。
【0041】
アルコキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルアミノ基および無置換のアルコキシカルボニルアミノ基が含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、エトキシカルボニルアミノ基が含まれる。
【0042】
アリールオキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアリールオキシカボニルアミノ基および無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基が含まれる。アリールオキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が7〜20のアリールオキシカルボニルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アリールオキシカルボニルアミノ基の例には、フェノキシカルボニルアミノ基が含まれる。
【0043】
アルキル及びアリールスルホニルアミノ基には、置換基を有するアルキル及びアリールスルホニルアミノ基、および無置換のアルキル及びアリールスルホニルアミノ基が含まれる。スルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜20のスルホニルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。これらスルホニルアミノ基の例には、メチルスルホニルアミノ基、N−フェニル-メチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、および3−カルボキシフェニルスルホニルアミノ基が含まれる。
【0044】
複素環スルホニルアミノ基には、置換基を有する複素環スルホニルアミノ基および無置換の複素環スルホニルアミノ基が含まれる。複素環スルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜12の複素環スルホニルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。複素環スルホニルアミノ基の例には、2−チオフェンスルホニルアミノ基、3−ピリジンスルホニルアミノ基が含まれる。
【0045】
アルキル、アリール及び複素環チオ基には、置換基を有するアルキル,アリール及び複素環チオ基と無置換のアルキル,アリール及び複素環チオ基が含まれる。アルキル,アリール及び複素環チオ基としては、炭素原子数が1から20のものが好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルキル,アリール及び複素環チオ基の例には、メチルチオ基、フェニルチオ基、2−ピリジルチオ基が含まれる。
【0046】
アルキルおよびアリールスルホニル基には、置換基を有するアルキルおよびアリールスルホニル基、無置換のアルキルおよびアリールスルホニル基が含まれる。アルキルおよびアリールスルホニル基の例としては、それぞれメチルスルホニル基およびフェニルスルホニル基を挙げることができる。
【0047】
複素環スルホニル基には、置換基を有する複素環スルホニル基および無置換の複素環スルホニル基が含まれる。複素環スルホニル基としては、炭素原子数が1〜20の複素環スルホニル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。複素環スルホニル基の例には、2−チオフェンスルホニル基、3−ピリジンスルホニル基が含まれる。
【0048】
アルキルおよびアリールスルフィニル基には、置換基を有するアルキルおよびアリールスルフィニル基、無置換のアルキルおよびアリールスルフィニル基が含まれる。アルキルおよびアリールスルフィニル基の例としては、それぞれメチルスルフィニル基およびフェニルスルフィニル基を挙げることができる。
【0049】
複素環スルフィニル基には、置換基を有する複素環スルフィニル基および無置換の複素環スルフィニル基が含まれる。複素環スルフィニル基としては、炭素原子数が1〜20の複素環スルフィニル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。複素環スルフィニル基の例には、4−ピリジンスルフィニル基が含まれる。
【0050】
スルファモイル基には、置換基を有するスルファモイル基および無置換のスルファモイル基が含まれる。置換基の例には、アルキル基が含まれる。スルファモイル基の例には、ジメチルスルファモイル基およびジ−(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基が含まれる。
【0051】
次に、本発明において有することが好ましい複素環について説明する。
複素環のヘテロ原子としては好ましくはN、O、およびS原子である。複素環には脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合してもよい。好ましい複素環の1つとしては、下記一般式(1)で表される芳香族含窒素6員複素環が挙げられる。
【0052】
【化1】
【0053】
一般式(1)において、B1およびB2は、各々=CR1−および−CR2=を表すか、いずれか一方が窒素原子、他方が=CR1−または−CR2=を表すか、または各々=CR1−、−CR2=を表すものがより好ましい。
R5、R6は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、スルファモイル基を表し、各基は更に置換基を有していてもよい。R5、R6で表される好ましい置換基は、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルまたはアリールスルホニル基を挙げることができる。さらに好ましくは水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルまたはアリールスルホニル基である。最も好ましくは、水素原子、アリール基、複素環基である。各基は更に置換基を有していても良い。但し、R5、R6が同時に水素原子であることはない。
【0054】
R 1、R2は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基、複素環アミノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、またはスルホ基を表し、各基は更に置換されていてもよい。
【0055】
Gで表される置換基は、アニリノ基である。アニリノ基は更に置換基を有していてもよい。
【0056】
R1、R2で表される好ましい置換基は、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シアノ基を挙げることができる。各基は更に置換基を有していてもよい。
【0057】
R1とR5、あるいはR5とR6が結合して5乃至6員環を形成してもよい。
【0058】
R1、R2、R5、R6、Gで表される各置換基が更に置換基を有する場合の置換基としては、上記G、R1、R2で挙げた置換基を挙げることができる。また、A,R1、R2、R5、R6、G上のいずれかの位置に置換基としてさらにイオン性親水性基を有することが好ましい。
置換基としてのイオン性親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基および4級アンモニウム基等が含まれる。イオン性親水性基としては、カルボキシル基、ホスホノ基、およびスルホ基が好ましく、特にカルボキシル基、スルホ基が好ましい。カルボキシル基、ホスホノ基およびスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)および有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジニウムイオン、テトラメチルホスホニウムイオン)が含まれる。
【0059】
また、他の好ましい複素環としてチオフェン環、チアゾール環、イミダゾール環、ベンゾチアゾール環、チエノチアゾール環を挙げることができる。各複素環基は更に置換基を有していてもよい。
【0060】
本発明で用いる色素はアゾ化合物であり、アゾ基が2個以上ある、下記構造の色素である。
【0061】
A−N=N−B−N=N−C
【0062】
ここで、Aは芳香族環または複素環である。Cは、前記一般式(1)の複素環である。Bは、下記(a)から(e)で表されるチオフェン環、チアゾール環、イミダゾール環、ベンゾチアゾール環、チエノチアゾール環である。
【0063】
【化2】
【0064】
上記R9〜R17は、それぞれ水素原子または置換基を表わし、置換基の例としてはR1で挙げた置換基が好ましい。
【0065】
上記Aは、芳香族環(ベンゼン環やナフタレン環)でも複素環(例えば、含窒素芳香族6員環やチオフェン環、チアゾール環、イミダゾール環、ベンゾチアゾール環、チエノチアゾール環)でもよく、また、Aはアゾ色素の残基であってもよい。
【0066】
本発明の上記条件を満たす色素としては、例えば下記一般式(3)で表される化合物である。
【0067】
【化3】
【0068】
一般式(3)中、Z1はハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。Z1は、σp値が0.30以上の電子吸引性基であるのが好ましく、0.45以上の電子吸引性基が更に好ましく、0.60以上の電子吸引性基が特に好ましいが、1.0を超えないことが望ましい。好ましい具体的な置換基については後述する電子吸引性基を挙げることができるが、なかでも、炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20のアルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基、炭素数1〜20のカルバモイル基及び炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基が好ましい。特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基であり、最も好ましいものはシアノ基である。
【0069】
R1、R2、R5、R6は、一般式(1)と同義である。−NR 3 R 4 は、置換基を有していてもよいアニリノ基を表す。例えば、R 3 が水素原子、R 4 がスルホ基が置換したアリール基は、好ましい。
【0070】
一般式(3)で説明した各基は更に置換基を有していてもよい。これらの各基が更に置換基を有する場合、該置換基としては、上記本発明の色素が有してもよいとして挙げた置換基、一般式(1)のG、R1、R2で例示した基やイオン性親水性基などが挙げられる。
【0071】
ここで、本明細書中で用いられるハメットの置換基定数σp値について説明する。ハメット則はベンゼン誘導体の反応または平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年にL. P. Hammett により提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J. A. Dean編、「Lange's Handbook of Chemistry 」第12版、1979年(Mc Graw-Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。尚、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり、説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に包まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。また、本発明の一般式(1)または(3)の中には、ベンゼン誘導体ではないものも含まれるがが、置換基の電子効果を示す尺度として、置換位置に関係なくσp値を使用する。本発明において、σp値をこのような意味で使用する。
【0072】
ハメット置換基定数σp値が0.60以上の電子吸引性基としては、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル基、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル基)を例として挙げることができる。
ハメットσp値が0.45以上の電子吸引性基としては、上記に加えアシル基(例えばアセチル基)、アルコキシカルボニル基(例えばドデシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、m−クロロフェノキシカルボニル)、アルキルスルフィニル基(例えば、n−プロピルスルフィニル)、アリールスルフィニル基(例えばフェニルスルフィニル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル)、ハロゲン化アルキル基(例えば、トリフロロメチル)を挙げることができる。
ハメット置換基定数σp値が0.30以上の電子吸引性基としては、上記に加え、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、ハロゲン化アルコキシ基(例えば、トリフロロメチルオキシ)、ハロゲン化アリールオキシ基(例えば、ペンタフロロフェニルオキシ)、スルホニルオキシ基(例えばメチルスルホニルオキシ基)、ハロゲン化アルキルチオ基(例えば、ジフロロメチルチオ)、2つ以上のσp値が0.15以上の電子吸引性基で置換されたアリール基(例えば、2,4−ジニトロフェニル、ペンタクロロフェニル)、およびヘテロ環(例えば、2−ベンゾオキサゾリル、2−ベンゾチアゾリル、1−フェニルー2−ベンズイミダゾリル)を挙げることができる。
σp値が0.20以上の電子吸引性基の具体例としては、上記に加え、ハロゲン原子などが挙げられる。
【0073】
前記一般式(3)で表されるアゾ色素として特に好ましい置換基の組み合わせは、R5およびR6として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、スルホニル基、アシル基であり、さらに好ましくは水素原子、アリール基、複素環基、スルホニル基であり、最も好ましくは、水素原子、アリール基、複素環基である。ただし、R5およびR6が共に水素原子であることは無い。
【0074】
以上の色素において、好ましく有するアニオン性基が塩を形成する場合の対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)および有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジウムイオン、テトラメチルホスホニウム)が含まれる。これらの中でもアンモニウムイオン、有機カチオン、リチウムイオンの場合が好ましく、リチウムイオンが最も好ましい。
【0075】
本発明で規定する条件を満たす色素の具体例を以下に示す(ただし、b−2は、本発明で規定する条件を満たしていない)が、本発明の画像記録方法に用いられる色素は下記の例に限定されるものではない。また、カルボキシル基、ホスホノ基およびスルホ基は、プロトン体の形で示しているが、前述の塩の状態であってもよい。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
【表3】
【0079】
【表4】
【0080】
【表5】
【0081】
【表6】
【0082】
【表7】
【0083】
【表8】
【0084】
【表9】
【0085】
【表10】
【0086】
【表11】
【0087】
【表12】
【0088】
【表13】
【0089】
前記のアゾ色素は、それぞれの原料成分を用いて、従来から知られたジアゾ成分とカプラーとのカップリング反応によって合成することができる。
【0090】
上記例示色素のうち、主な色素について本発明で規定する上記特性値(λmax、ε、b/a、半値幅)を下記表に示す。
【0091】
【表14】
【0092】
【表15】
【0093】
本発明の画像形成方法に用いる着色組成物は、上記した特定の色素を含有するものであれば、特に限定されるものではないが、着色組成物の用途に応じて種々のものを含有させることができる。例えば、インク組成物としては、媒体(油溶性又は水溶性媒体)に溶解/又は分散させて、さらに適宜、インク組成物として所望する性質や性能を満たすための後述する添加物を添加するのが好ましい。
また、例えば、特開平7−209912号公報記載のカラートナー組成物、特開平6−35182号公報記載のカラーフィルター用レジスト組成物、特開平7−137466号公報記載の熱転写色素供与材料に用いられているものを含有させることができる。
【0094】
本発明に用いる着色組成物に含有することのできる上記特定のアゾ化合物は、その用途に適した溶解性、分散性、熱移動性などの物性を、置換基で調整して使用する。また、本発明の着色組成物に含有される特定のアゾ化合物は、用いられる系に応じて溶解状態、乳化分散状態、さらには固体分散状態でも使用することができる。
【0095】
本発明に用いる着色組成物は、具体的には、以下に詳述するインクジェット方式記録材料を始めとして、感熱記録材料、感圧記録材料、電子写真方式を用いる記録材料、転写式ハロゲン化銀感光材料、等として本発明の画像形成方法に適用できる。好ましくはインクジェット方式記録材料である。また、本発明の画像形成方法は、CCDなどの固体撮像素子やLCD,PDP等のディスプレーで用いられるカラー画像を記録・再現するためのカラーフィルター、各種繊維の染色などの形成にも適用することができる。
【0096】
次に、本発明の特に好ましい画像記録方法であるインクジェット記録方法に関し、用いるインク組成物およびインクジェット記録方法について詳述する。
【0097】
[インク組成物]
インク組成物、例えばインクジェット記録用インク組成物は、親油性媒体や水性媒体中に上記した特定のアゾ化合物を溶解及び/又は分散させることによって作製することができる。好ましくは、水性媒体を用いる場合である。必要に応じて、その他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有される。その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、褪色防止剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、防腐剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、水溶性インクの場合にはインク液に直接添加する。油溶性染料を分散物の形で用いる場合には、染料分散物の調製後分散物に添加するのが一般的であるが、調製時に油相または水相に添加してもよい。
【0098】
前記乾燥防止剤はインクジェット記録方式に用いるノズルのインク噴射口においてインクジェット記録用インクが乾燥することによる目詰まりを防止する目的で好適に使用される。
【0099】
前記乾燥防止剤としては、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。具体的な例としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げられる。これらのうちグリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールがより好ましい。また上記の乾燥防止剤は単独で用いても良いし2種以上併用しても良い。これらの乾燥防止剤はインク中に10〜50質量%含有することが好ましい。
【0100】
前記浸透促進剤は、インクジェット記録用インクを紙により良く浸透させる目的で好適に使用される。前記浸透促進剤としてはエタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール等のアルコール類やラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムやノニオン性界面活性剤等を用いることができる。これらはインク中に5〜30質量%含有すれば通常充分な効果があり、印字の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起こさない添加量の範囲で使用するのが好ましい。
【0101】
前記紫外線吸収剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。前記紫外線吸収剤としては特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
【0102】
前記褪色防止剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。前記褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類などがあり、金属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体などがある。より具体的にはリサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのIないしJ項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
【0103】
前記防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンおよびその塩等が挙げられる。これらはインク中に0.02〜1.00質量%使用するのが好ましい。
【0104】
前記pH調整剤としては有機塩基、無機アルカリを用いることができる。前記pH調整剤はインクジェット記録用インクの保存安定性を向上させる目的で、該インクジェット記録用インクがpH6〜10となるように添加するのが好ましく、pH7〜10となるように添加するのがより好ましい。
【0105】
前記表面張力調整剤としてはノニオン、カチオンあるいはアニオン界面活性剤が挙げられる。尚、本発明のインクジェット記録用インク組成物の表面張力は20〜60mN/mが好ましい。さらに25〜45mN/mが好ましい。インクジェット記録用インク組成物の粘度は30mPa・s以下に調整することが好ましく、更に20mPa・s以下に調整することがより好ましい。
界面活性剤の例としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。更に、特開昭59−157636号公報の第37〜38頁、リサーチディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。
【0106】
前記消泡剤としては、フッ素系、シリコーン系化合物やEDTAに代表されるキレート剤等も必要に応じて使用することができる。
【0107】
上記した特定のアゾ化合物を水性媒体に分散させる場合は、特開平11−286637号、特願2000−78491号、同2000−80259号、同2000−62370号の各公報に記載されるように、色素と油溶性ポリマーとを含有する着色微粒子を水性媒体に分散させたり、特願2000−78454号、同2000−78491号、同2000−203856号,同2000−203857号の各公報に記載されるように、高沸点有機溶媒に溶解した色素を水性媒体中に分散させることが好ましい。
上記した特定のアゾ化合物を水性媒体に分散させる場合の具体的な方法、使用する油溶性ポリマー、高沸点有機溶剤、添加剤及びそれらの使用量は、前記公報に記載されたものを好ましく使用することができる。あるいは、前記アゾ化合物を固体のまま微粒子状態に分散してもよい。分散時には、分散剤や界面活性剤を使用することができる。
分散装置としては、簡単なスターラーやインペラー攪拌方式、インライン攪拌方式、ミル方式(例えば、コロイドミル、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテーターミル等)、超音波方式、高圧乳化分散方式(高圧ホモジナイザー;具体的な市販装置としてはゴーリンホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、DeBEE2000等)を使用することができる。上記のインクジェット記録用インク組成物の調製方法については、先述の公報以外にも特開平5−148436号、同5−295312号、同7−97541号、同7−82515号、同7−118584号、特開平11−286637号、特願2000−87539号の各公報に詳細が記載されていて、本発明においてもインクジェット記録用インク組成物の調製に利用できる。
【0108】
前記水性媒体は、水を主成分とし、所望により、水混和性有機溶剤を添加した混合物を用いることができる。前記水混和性有機溶剤の例には、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル)、アミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン)及びその他の極性溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン)が含まれる。尚、前記水混和性有機溶剤は、二種類以上を併用してもよい。
【0109】
本発明で用いるインク組成物としては、例えばインクジェット記録用インク組成物100質量部中に、前述した色素を0.2質量部以上10質量部以下含有するのが好ましい。また、前述したアゾ化合物とともに、他の色素を併用してもよい。他の色素を併用する場合は、前述したアゾ化合物と他の色素の含有量の合計が前記範囲となっているのが好ましい。
【0110】
本発明に係わるインク組成物は、単色の画像形成のみならず、フルカラーの画像形成に用いることができる。フルカラー画像を形成するために、前述したアゾ化合物とは別に、イエロー染料、マゼンタ染料、シアン染料を用いることができ、また、色調を整えるために、更にブラックの色材を用いてもよい。前述した色素以外に用いることができる染料を下記に記載する。
【0111】
適用できるイエロー染料としては、任意のものを使用する事ができる。例えばカップリング成分(カプラー成分とも呼ぶ)としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロンやピリドン等のようなヘテロ環類、開鎖型活性メチレン化合物類、などを有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカプラー成分として開鎖型活性メチレン化合物類などを有するアゾメチン染料;例えばベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;例えばナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料などがあり、これ以外の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。
【0112】
適用できるマゼンタ染料としては、任意のものを使用する事ができる。例えばカプラー成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類などを有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカプラー成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類などを有するアゾメチン染料;例えばアリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、シアニン染料、オキソノール染料などのようなメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料などのようなカルボニウム染料、例えばナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドンなどのようなキノン染料、例えばジオキサジン染料等のような縮合多環染料等を挙げることができる。
【0113】
適用できるシアン染料としては、任意のものを使用する事ができる。例えばカプラー成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類などを有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカプラー成分としてフェノール類、ナフトール類、ピロロトリアゾールのようなヘテロ環類などを有するアゾメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料などのようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料などのようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料; インジゴ・チオインジゴ染料などを挙げることができる。
【0114】
前記の各染料は、クロモフォアの一部が解離して初めてイエロー、マゼンタ、シアンの各色を呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
【0115】
適用できるブラック色材としては、ジスアゾ、トリスアゾ、テトラアゾ染料のほか、カーボンブラックの分散体を挙げることができる。
【0116】
[インクジェット記録方法]
次に、インクジェット記録方法について説明する。
本発明に係わるインクジェット記録方法は、好ましくは支持体上に白色無機顔料粒子を含有するインク受容層を有する受像材料を用い、該受像材料上に上記したインクジェット記録用インク組成物を用いて画像形成することができる。
【0117】
本発明に係わるインクジェット記録方法で使用され得る受像材料の支持体としては、限定されるものではないが、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等、合成紙、プラスチックフィルムシート等が挙げられる。
また、こられには、必要に応じて従来公知の顔料、バインダー、サイズ剤、定着剤、カチオン剤、紙力増強剤等の添加剤を混合することや、長網抄紙機、円網抄紙機等の各種装置で製造されたもの等が使用可能である。
支持体の厚みは10〜250μm、坪量は10〜250g/m2が望ましい。
【0118】
支持体には、インク受容層、必要に応じてバックコート層が設けられるが、これらの層はそのまま設けてもよいし、デンプン、ポリビニルアルコール等でサイズプレスやアンカーコート層を設けた後、インク受容層及びバックコー卜層を設けてもよい。更に支持体には、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置により平坦化処理を行ってもよい。
本発明では支持体としては、両面をポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブテン及びそれらのコポリマー)でラミネートした紙及びプラスチックフィルムがより好ましく用いられる。ポリオレフィン中に、白色顔料(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛)又は色味付け染料(例えば、コバルトブルー、群青、酸化ネオジウム)を添加することが好ましい。
【0119】
支持体上に設けられるインク受容層には、顔料や水性バインダーが含有される。顔料としては、白色顔料が好ましく、白色顔料としては、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、合成非晶質シリカ、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、硫化亜鉛、炭酸亜鉛等の白色無機顔料、スチレン系ピグメント、アクリル系ピグメント、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
インク受容層に含有される白色顔料としては、多孔性無機顔料が好ましく、特に細孔面積が大きい合成非晶質シリカ等が好適である。合成非晶質シリカは、乾式製造法によって得られる無水珪酸及び湿式製造法によって得られる含水珪酸のいずれも使用可能であるが、特に含水珪酸を使用することが望ましい。
【0120】
インク受容層に含有される水性バインダーとしては、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド誘導体等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。これらの水性バインダーは単独又は2種以上併用して用いることができる。本発明においては、これらの中でも特にポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコールが顔料に対する付着性、インク受容層の耐剥離性の点で好適である。
【0121】
インク受容層は、顔料及び水性バインダーの他に媒染剤、耐水化剤、耐光性向上剤、界面活性剤、その他の添加剤を含有することができる。
【0122】
インク受容層中に添加する媒染剤は、不動化されていることが好ましい。そのためには、ポリマー媒染剤が好ましく用いられる。
ポリマー媒染剤については、特開昭48−28325号、同54−74430号、同54−124726号、同55−22766号、同55−142339号、同60−23850号、同60−23851号、同60−23852号、同60−23853号、同60−57836号、同60−60643号、同60−118834号、同60−122940号、同60−122941号、同60−122942号、同60−235134号、特開平1−161236号の各公報、米国特許2484430号、同2548564号、同3148061号、同3309690号、同4115124号、同4124386号、同4193800号、同4273853号、同4282305号、同4450224号の各明細書に記載があり、本発明でもこれらに記載のポリマー媒染剤を用いることができる。特開平1−161236号公報の212〜215頁に記載のポリマー媒染剤を含有する受像材料が特に好ましい。同公報記載のポリマー媒染剤を用いると、優れた画質の画像が得られ、かつ画像の耐光性が改善される。
【0123】
前記耐水化剤は、画像の耐水化に有効であり、これらの耐水化剤としては、特にカチオン樹脂が望ましい。このようなカチオン樹脂としては、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン、ポリエチレンイミン、ポリアミンスルホン、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、カチオンポリアクリルアミド、コロイダルシリカ等が挙げられ、これらのカチオン樹脂の中で特にポリアミドポリアミンエピクロルヒドリンが好適である。これらのカチオン樹脂の含有量は、インク受容層の全固形分に対して1〜15質量%が好ましく、特に3〜10質量%であることが好ましい。
【0124】
前記耐光性向上剤としては、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、ヒンダーアミン系酸化防止剤、ベンゾフェノン等のベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤等が挙げられる。これらの中で特に硫酸亜鉛が好適である。
【0125】
前記界面活性剤は、塗布助剤、剥離性改良剤、スベリ性改良剤あるいは帯電防止剤として機能する。界面活性剤については、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載がある。界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。有機フルオロ化合物の例には、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例えば、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例えば、四フッ化エチレン樹脂)が含まれる。有機フルオロ化合物については、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭61−20994号、同62−135826号の各公報に記載がある。
インク受容層に添加されるその他の添加剤としては、顔料分散剤、増粘剤、消泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、pH調整剤、マット剤、硬膜剤等が挙げられる。尚、インク受容層は1層でも2層でもよい。
【0126】
本発明の方法において、上記した通り必要に応じて支持体にはバックコート層が設けられるが、この層にも各種成分を添加することができる。
添加可能な成分としては、白色顔料、水性バインダー、その他の成分が挙げられる。バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬べーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント,ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
【0127】
バックコート層に含有される水性バインダーとしては、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
【0128】
本発明に用いる受像材料(必要に応じてバックコート層を含む)には、ポリマーラテックスを添加してもよい。ポリマーラテックスは、光沢性や耐水性を与えたり耐候性を改善したり、寸度安定化、カール防止、接着防止、膜のひび割れ防止のような膜物性改良の目的で使用される。
ポリマーラテックスを受像材料に付与する時期については、着色剤を付与する前であっても,後であっても、また同時であってもよく、したがって添加する場所も受像紙中であっても、インク中であってもよく、あるいはポリマーラテックス単独の液状物として使用しても良い。
ガラス転移温度が低い(40℃以下の)ポリマーラテックスを媒染剤を含む層に添加すると、層のひび割れやカールを防止することができる。また、ガラス転移温度が高いポリマーラテックスをバックコート層に添加しても、カールを防止することができる。
【0129】
具体的には、特開昭62−245258号、同62−1316648号、同62−110066号の各公報、特願2000−363090号、同2000−315231号、同2000−354380号、同2000−343944号、同2000−268952号、同2000−299465号、同2000−297365号の各明細書に記載された方法を好ましく用いることができる。
【0130】
本発明の方法において、上記した支持体とインク受容層とからなる受像材料は、公知の受像材料を使用することができる。
即ち、普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8−169172号公報、同8−27693号公報、同2−276670号公報、同7−276789号公報、同9−323475号公報、特開昭62−238783号公報、特開平10−153989号公報、同10−217473号公報、同10−235995号公報、同10−337947号公報、同10−217597号公報、同10−337947号公報等に記載されているインクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等が挙げられる。
【0131】
本発明に係わるインクジェット記録方法は、前記インクジェット記録用インク組成物にエネルギーを供与して、受像材料に画像を形成するものであるが、そのインクジェットの記録方式に制限はなく、公知の方式、例えば静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して、放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット方式等に用いられる。
インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
【0132】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
(水性インクの調製)
下記の成分に脱イオン水を加え1リッターとした後、30〜40℃で加熱しながら1時時間撹拌した。その後LiOH 10mol/LにてpH=9に調製し、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過し、インク液Aを調製した。
【0133】
−インク液Aの組成−
色素(e−1) 25g
ジエチレングリコール 20g
グリセリン 120g
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 230g
2−ピロリドン 80g
トリエタノールアミン 17.9g
ベンゾトリアゾール 0.06g
サーフィノールTG 8.5g
PROXEL XL2 1.8g
【0134】
次に、色素の種類を、下記表16に示すように変更した以外は、インク液Aの調製と同様にして、本発明のインク液B、比較用のインクC,Dを調製した。なお、色素として用いた化合物例の番号は、上記で具体例として示したアゾ化合物に付した番号を意味し、比較色素は、下記構造式を有する化合物である。各比較色素の特性値は、比較色素1がλmax=570.0nm、ε=31700、b/a=0.420、半値幅(H)=150nmであり、比較色素2がλmax=572nm、ε=27200、b/a=0.427、半値幅(H)=186nmであった。
【0135】
【化4】
【0136】
(画像記録及び評価)
インク液A〜Dを用いて、インクジェットプリンター(PM−700C、セイコーエプソン(株)製)で、でフォト光沢紙(セイコーエプソン社製PM写真紙<光沢>(KA420PSK)に画像を記録した後、得られた画像について、下記方法で紙依存性、光堅牢性、耐オゾンガス性、にじみ性、印字濃度を評価した。評価結果は下記表16に示す。<紙依存性>
前記フォト光沢紙に形成した画像と、別途にPPC用普通紙に形成した画像との色調を比較し、両画像間の差が小さい場合をA(良好)、両画像間の差が大きい場合をB(不良)として、二段階で評価した。
【0137】
<耐光性>
前記画像を形成したフォト光沢紙に、ウェザーメーター(アトラスC.I65)を用いて、キセノン光(85000lx)を7日間照射し、キセノン照射前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite 310TR(X−Rite社製))を用いて測定し、色素残存率として評価した。なお、前記反射濃度は、1、1.5及び2.0の3点で測定した。
何れの濃度でも色素残存率が70%以上の場合をA、1又は2点が70%未満をB、全ての濃度で70%未満の場合をCとして、三段階で評価した。
【0138】
<耐オゾンガス性>
前記画像を形成したフォト光沢紙を、オゾンガス濃度が0.5ppm、室温、暗所に設定されたボックス内に7日間放置し、オゾンガス下放置前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite 310TR(X−Rite社製))を用いて測定し、色素残存率として評価した。なお、前記反射濃度は、1、1.5及び2.0の3点で測定した。ボックス内のオゾンガス濃度は、APPLICS製オゾンガスモニター(モデル:OZG−EM−01)を用いて設定した。
何れの濃度でも色素残存率が70%以上の場合をA、1又は2点が70%未満をB、全ての濃度で70%未満の場合をCとして、三段階で評価した。
【0139】
<にじみ性>
前記画像を形成したフォト光沢紙を、25℃−90%RHの条件下で3日間試料を保存し、保存前後の滲みを目視で評価し、滲みが無いものをA、滲みが僅かに生じたものをB、滲みが多いものをCとして3段階で評価した。
【0140】
<印字濃度>
各インク液について、記録画像の印字濃度(反射濃度)が2.5を与えるのに必要な色素の濃度(質量%)を求めた。
【0141】
【表16】
【0142】
上表に示されるように、本発明で規定する条件を満足する色素を含むインク液A,Bから得られた画像は、比較インク液C,Dから得られた画像よりも鮮明でにじみもなく、しかも光堅牢性、耐オゾンガス性が優れていた。また、インク液A,Bは、色素濃度が低濃度であっても、高い印字濃度を与えることができる。
【0143】
更に、インク液A〜Dを用いて、インクジェットプリンター(PM−700C、セイコーエプソン(株)製)により、スーパーファイン専用光沢紙(MJA4S3P、セイコーエプソン(株)製)に画像を記録した。得られた画像の光堅牢性、耐オゾンガス性を評価したところ、いずれも表16と同様の結果が得られ、色相も良好な画像が得られた。また、にじみ性、印字濃度の評価についても同様な結果が得られた。
【0144】
[実施例2]
実施例1で作製した同じインクを用いて、実施例1の同機にて画像を富士写真フイルム製インクジェットペーパーフォト光沢紙EXにプリントし、実施例1と同様な評価を行ったところ、実施例1と同様な結果が得られた。
【0145】
[実施例3]
実施例1で作製した同じインクを、インクジェットプリンターBJ−F850(CANON社製)のカートリッジに詰め、同機にて同社のフォト光沢紙GP−301に画像をプリントし、実施例1と同様な評価を行ったところ、実施例1と同様な結果が得られた。
【0146】
【発明の効果】
本発明の画像記録方法は、良好な色相を有し、しかも光及び環境中の活性ガス、特にオゾンガスに対して堅牢性の高く、さらににじみが少なく、印字濃度の高い画像を形成することができる。また、本発明によれば、紙、記録機種などの条件に依らず、高品質な画像を得ることができ、印字濃度の高い画像や文書を、安定して提供できる。
Claims (3)
- 水を溶媒として濃度2×10−5mol/Lで測定した色素の吸収スペクトルの最大吸収波長をλmax、該λmaxにおけるモル吸光係数をε、吸光度をa、(λmax−150)nmにおける吸光度をbとし、該λmaxにおける吸光度を1.0としたときのスペクトルの半値幅をHとしたときに、下記条件を満たす下記構造の色素を少なくとも1種含有する着色組成物を用いることを特徴とする画像形成方法。
(条件)
ε≧40000
570nm≦λmax≦620nm
H≧80nm
b/a≧0.1
(構造)
A−N=N−B−N=N−C
ここで、Aは、芳香族環若しくは複素環またはアゾ色素の残基を表し、
Bは、下記(a)〜(e)から選ばれる2価の基を表し、
Cは下記一般式(1)で表される基を表す。
- 前記着色組成物が水性インクであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
- 画像形成にインクジェット方式を用いることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の画像形成方法。
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- 2003-06-18 JP JP2003173486A patent/JP4116498B2/ja not_active Expired - Fee Related
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