JP2007099825A - 水性インク、インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法、記録物、インクカートリッジ、インクジェットプリンタ - Google Patents
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Abstract
【課題】生体への毒性が低く、インク安定性が高く、良好な色相を有し、しかも光及び環境中の活性ガス、特にオゾンガスに対して堅牢性の高い画像を形成することができる水性インクを提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される染料を少なくとも1種類含有することを特徴とする水性インク。
一般式(1):A1−N=N−A2−N=N−A3
(式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立に、置換されていてもよい芳香族基または複素環基を表す。但し、一般式(1)で表されるジスアゾ染料のアゾ基が還元的に分解した際に生じる下記一般式(2)で表されるジアミノ化合物のClogPが2.0以下である。)
一般式(2):H2N−A2−NH2
(式中、A2は一般式(1)中のA2と同義である。)
【選択図】なし
【解決手段】下記一般式(1)で表される染料を少なくとも1種類含有することを特徴とする水性インク。
一般式(1):A1−N=N−A2−N=N−A3
(式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立に、置換されていてもよい芳香族基または複素環基を表す。但し、一般式(1)で表されるジスアゾ染料のアゾ基が還元的に分解した際に生じる下記一般式(2)で表されるジアミノ化合物のClogPが2.0以下である。)
一般式(2):H2N−A2−NH2
(式中、A2は一般式(1)中のA2と同義である。)
【選択図】なし
Description
本発明は、特定の物性値を有する染料を含む水性インクに関するものであり、また耐候性、溶液安定性に優れ、かつ生体毒性が低く安全性に富むインクジェット記録用インク、および当該インクを用いたインクジェット記録方法、記録物、インクカートリッジ、インクジェットプリンタに関する。
近年、画像記録材料としては、特にカラー画像を形成するための材料が主流であり、具体的には、インクジェット方式の記録材料、感熱転写方式の記録材料、電子写真方式の記録材料、転写式ハロゲン化銀感光材料、印刷インク、記録ペン等が盛んに利用されている。これらのカラー画像記録材料やカラーフィルターでは、フルカラー画像を再現あるいは記録するために、いわゆる加法混色法や減法混色法の3原色の着色剤(染料や顔料)が使用されているが、好ましい色再現域を実現できる吸収特性を有し、且つさまざまな使用条件、環境条件に耐えうる堅牢な着色剤がないのが実状であり、改善が強く望まれている。
インクジェット記録方法は、材料費が安価であること、高速記録が可能なこと、記録時の騒音が少ないこと、更にカラー記録が容易であることから、急速に普及し、更に発展しつつある。
インクジェット記録方法には、連続的に液滴を飛翔させるコンティニュアス方式と画像情報信号に応じて液滴を飛翔させるオンデマンド方式が有り、その吐出方式にはピエゾ素子により圧力を加えて液滴を吐出させる方式、熱によりインク中に気泡を発生させて液滴を吐出させる方式、超音波を用いた方式、あるいは静電力により液滴を吸引吐出させる方式がある。また、インクジェット記録用インクとしては、水性インク、油性インク、あるいは固体(溶融型)インクが用いられる。
インクジェット記録方法には、連続的に液滴を飛翔させるコンティニュアス方式と画像情報信号に応じて液滴を飛翔させるオンデマンド方式が有り、その吐出方式にはピエゾ素子により圧力を加えて液滴を吐出させる方式、熱によりインク中に気泡を発生させて液滴を吐出させる方式、超音波を用いた方式、あるいは静電力により液滴を吸引吐出させる方式がある。また、インクジェット記録用インクとしては、水性インク、油性インク、あるいは固体(溶融型)インクが用いられる。
このようなインクジェット記録用インクに用いられる着色剤に対しては、溶剤に対する溶解性あるいは分散性が良好なこと、高濃度記録が可能であること、色相が良好であること、光、熱、環境中の活性ガス(NOx、オゾン等の酸化性ガスの他SOxなど)に対して堅牢であること、水や薬品に対する堅牢性に優れていること、受像材料に対して定着性が良く滲みにくいこと、インクとしての保存性に優れていること、毒性がないこと、純度が高いこと、更には、安価に入手できることが要求されている。しかしながら、これらの要求を高いレベルで満たす着色剤を捜し求めることは、極めて難しい。特に、黒色の色相調整が容易な半値幅の広い吸収を有し、光、湿度、熱に対して堅牢であること、なかでも多孔質の白色無機顔料粒子を含有するインク受容層を有する受像材料上に印字する際には環境中のオゾンなどの酸化性ガスに対して堅牢であることが強く望まれている。
従来、ジスアゾ染料、トリスアゾ染料の原料としてフェノール、ナフトール、ナフチルアミン、アニリン等の非複素環化合物が広く使用されている。これらの原料により得られるジスアゾ染料として、特許文献1や特許文献2に開示された染料が知られているが、いずれも耐光性が劣るという問題点を有し、またオゾンなどの酸化性ガスに対する堅牢性は極めて不十分であった。またこれらの染料が生体内で代謝された場合に生じるとされるアミノ体(例えばフェニレンジアミン等)の毒性が高く(非特許文献1)、安全性に関しても懸念があった。
一方、オゾンなどの酸化性ガスに対して堅牢な着色剤として、従来のフェノール、ナフトール、ナフチルアミン、アニリン等の原料に替わり、主に複素環化合物を原料として使
用した研究が特許文献3、特許文献4および特許文献5に開示されている。これまでにも複素環が2個以上含まれるジスアゾ染料、トリスアゾ染料が特許文献6、特許文献7および特許文献8に記載されているが、これらはすべて油溶性であり、これらを水溶性化することで水性インクおよびインクジェット記録用インクとしての使用を可能としたものが特許文献3、特許文献4である。しかし、一般に複素環化合物を原料としたアゾ染料、特にジスアゾ染料、トリスアゾ染料は求核剤(例えばアルカリ)に対して安定性が劣り、インクジェット記録用インクなどの水性インクとして用いる場合の溶液安定性は極めて不十分である。これに対し、オゾンなどの酸化ガスに対して堅牢であり、かつ溶液安定性に優れたインクに関する研究も特許文献9や特許文献10などに記載されている。しかし、上記いずれの特許文献にも、主に複素環化合物を原料としたジスアゾ染料、トリスアゾ染料の安全性・毒性に関する知見、安全性に優れる染料の設計指針は記載されておらず、実際に染料を合成し、その毒性に関して試験を行わなければ、その性能は全く確認できない。そのためオゾンガス等の酸化性ガスに対する堅牢性を含む耐候性、溶液安定性に優れ、かつ安全性の高い染料を得ることは非常に困難であった。
欧州特許第0,761,771号明細書
特許第2,716,541号明細書
特開2003−306,623号公報
国際特許WO2004/113,463号明細書
特開2004−307,633号公報
独国特許2,743,097号明細書
特開昭52−76,331号公報
特開昭59−133,259号公報
特開2005−139,427号公報
特開2005−120,346号公報
G.D.Clayton,F.E.Clayton編、内藤裕史・横手規子監訳「化学物質毒性ハンドブックII」(1999年)丸善出版(株)
用した研究が特許文献3、特許文献4および特許文献5に開示されている。これまでにも複素環が2個以上含まれるジスアゾ染料、トリスアゾ染料が特許文献6、特許文献7および特許文献8に記載されているが、これらはすべて油溶性であり、これらを水溶性化することで水性インクおよびインクジェット記録用インクとしての使用を可能としたものが特許文献3、特許文献4である。しかし、一般に複素環化合物を原料としたアゾ染料、特にジスアゾ染料、トリスアゾ染料は求核剤(例えばアルカリ)に対して安定性が劣り、インクジェット記録用インクなどの水性インクとして用いる場合の溶液安定性は極めて不十分である。これに対し、オゾンなどの酸化ガスに対して堅牢であり、かつ溶液安定性に優れたインクに関する研究も特許文献9や特許文献10などに記載されている。しかし、上記いずれの特許文献にも、主に複素環化合物を原料としたジスアゾ染料、トリスアゾ染料の安全性・毒性に関する知見、安全性に優れる染料の設計指針は記載されておらず、実際に染料を合成し、その毒性に関して試験を行わなければ、その性能は全く確認できない。そのためオゾンガス等の酸化性ガスに対する堅牢性を含む耐候性、溶液安定性に優れ、かつ安全性の高い染料を得ることは非常に困難であった。
本発明は、前記従来における問題点を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。すなわち、本発明の目的は、良好な色相を有し、堅牢性に優れた着色画像や着色材料を与え、インクジェットなどの印刷用や筆記用の水性インクを提供することにある。本発明の他の目的は、良好な色相を有し、光および環境中の活性ガス、特にオゾンガスに対して堅牢性が高い画像を形成することができ、長期間保存しても物性変化の少ない安定なインク、しかも生体に対して安全性の高いインクを提供するとともに、生体に対して安全性を向上させる方法を提供することにある。
本発明者らは、良好な色相を有し、光および環境中の活性ガス、特にオゾンガスに対して堅牢性が高い画像を形成することができ、長期間保存しても物性変化の少ない安定なインク、しかも生体に対して安全性の高いインクをめざして、各種染料およびその誘導体を詳細に検討したところ、特定の構造を有するアゾ染料、特に構造に起因する特定の物性値を有するアゾ染料を含有するインクにより上記問題点を解決可能であることを見出した。
すなわち本発明によれば、下記構成の水性インク、インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法、記録物、インクカートリッジ、及びインクジェットプリンタが提供される。
1. 一般式(1)で表される染料を少なくとも1種類含有することを特徴とする水性インク。
一般式(1): A1−N=N−A2−N=N−A3
(式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立に置換されていてもよい芳香族基または複素環基を表す。但し、一般式(1)で表されるジスアゾ染料のアゾ基が還元的に分解した際に生じる下記一般式(2)で表されるジアミノ化合物のClogPが2.0以下である。)
一般式(2): H2N−A2−NH2
(式中、A2は一般式(1)中のA2と同義である。)
2. 上記A2が5員複素環または含窒素6員複素環であることを特徴とする上記1に記載の水性インク。
3. 上記A2が5員複素環であることを特徴とする上記1または2に記載の水性インク。
4. 分子中に少なくとも1つのイオン性親水性基を有し、且つ一般式(3)で表される染料を少なくとも1種類含有することを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の水性インク。
一般式(3)
1. 一般式(1)で表される染料を少なくとも1種類含有することを特徴とする水性インク。
一般式(1): A1−N=N−A2−N=N−A3
(式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立に置換されていてもよい芳香族基または複素環基を表す。但し、一般式(1)で表されるジスアゾ染料のアゾ基が還元的に分解した際に生じる下記一般式(2)で表されるジアミノ化合物のClogPが2.0以下である。)
一般式(2): H2N−A2−NH2
(式中、A2は一般式(1)中のA2と同義である。)
2. 上記A2が5員複素環または含窒素6員複素環であることを特徴とする上記1に記載の水性インク。
3. 上記A2が5員複素環であることを特徴とする上記1または2に記載の水性インク。
4. 分子中に少なくとも1つのイオン性親水性基を有し、且つ一般式(3)で表される染料を少なくとも1種類含有することを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の水性インク。
一般式(3)
(式中、A1及びA3はそれぞれ独立に置換もしくは無置換の芳香族基または複素環基を表す。X1は窒素原子またはHammetの置換基定数σp値が0.30以上の電子求引性基が置換した炭素原子を表す。X2は下記一般式(4)で表される化合物のClogPが2.0以下となるような基を表す。)
一般式(4)
一般式(4)
(式中、X1及びX2はそれぞれ一般式(3)中のX1及びX2と同義である。)
5. 上記X2が置換芳香族基または置換もしくは無置換の複素環基であることを特徴とする上記4に記載の水性インク。
6. 上記X2が下記一般式(5)〜(7)のいずれかで表される基であることを特徴とする上記4または5に記載の水性インク。
一般式(5)
5. 上記X2が置換芳香族基または置換もしくは無置換の複素環基であることを特徴とする上記4に記載の水性インク。
6. 上記X2が下記一般式(5)〜(7)のいずれかで表される基であることを特徴とする上記4または5に記載の水性インク。
一般式(5)
(式中、Lは単結合または連結基を表す。Wはイオン性親水性基を表す。mは1〜5の整数を表す。nは1〜4の整数を表す。)
一般式(6)
一般式(6)
(式中、Lは単結合または連結基を表す。Wはイオン性親水性基を表す。mは1〜5の整数を表す。nは1〜4の整数を表す。)
一般式(7)
一般式(7)
(式中、Lは単結合または連結基を表す。Wはイオン性親水性基を表す。mは1〜5の整数を表す。nは1〜4の整数を表す。)
7. 上記一般式(3)で表される染料が、下記一般式(8)で表される染料であることを特徴とする上記4〜6のいずれかに記載の水性インク。
一般式(8)
7. 上記一般式(3)で表される染料が、下記一般式(8)で表される染料であることを特徴とする上記4〜6のいずれかに記載の水性インク。
一般式(8)
(式中、A1、X1及びX2はそれぞれ一般式(3)中のA1、X1及びX2と同義である。G、R1及びR2はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、複素環オキシカルボニルオキシ基、無置換のアミノ基、脂肪族アミノ基、芳香族アミノ基、複素環アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、またはスルホ基を表し、各基はさらに置換されていてもよい。R3、R4はそれぞれ独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、カルボモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、複素環スルホニル基、スルファモイル基を表し、各基はさらに置換されていてもよい。但し、R3、R4が同時に水素原子であることはない。またR1とR2、R2とR3、あるいはR3とR4が結合して環を形成していてもよい。)
8. 上記Lが連結基であることを特徴とする上記6または7に記載の水性インク。
9. 上記Wがカルボキシル基、スルホ基またはホスホノ基のいずれかであることを特徴とする上記6〜8のいずれかに記載の水性インク。
10. 上記X1、X2が、一般式(4)で表される化合物のClog P値が0以下となるような基であることを特徴とする上記4〜9のいずれかに記載の水性インク。
11. 上記X1、X2が、一般式(4)で表される化合物のClog P値が−2以下となるような基であることを特徴とする上記4〜9のいずれかに記載の水性インク。
12. 上記1〜11のいずれかに記載の水性インクからなることを特徴とするインクジェット用記録インク。
13. 支持体上に白色無機顔料粒子を含有するインク受容層を有する受像材料上に上記12に記載のインクジェット記録用インクを用いて画像形成することを特徴とするインクジェット記録方法。
14. 上記12に記載のインクジェット記録用インクを用いて記録された記録物。
15. 上記12に記載のインクジェット記録用インクを含有するインクカートリッジ。
16. 上記15に記載のインクカートリッジが装填されたインクジェットプリンタ。
8. 上記Lが連結基であることを特徴とする上記6または7に記載の水性インク。
9. 上記Wがカルボキシル基、スルホ基またはホスホノ基のいずれかであることを特徴とする上記6〜8のいずれかに記載の水性インク。
10. 上記X1、X2が、一般式(4)で表される化合物のClog P値が0以下となるような基であることを特徴とする上記4〜9のいずれかに記載の水性インク。
11. 上記X1、X2が、一般式(4)で表される化合物のClog P値が−2以下となるような基であることを特徴とする上記4〜9のいずれかに記載の水性インク。
12. 上記1〜11のいずれかに記載の水性インクからなることを特徴とするインクジェット用記録インク。
13. 支持体上に白色無機顔料粒子を含有するインク受容層を有する受像材料上に上記12に記載のインクジェット記録用インクを用いて画像形成することを特徴とするインクジェット記録方法。
14. 上記12に記載のインクジェット記録用インクを用いて記録された記録物。
15. 上記12に記載のインクジェット記録用インクを含有するインクカートリッジ。
16. 上記15に記載のインクカートリッジが装填されたインクジェットプリンタ。
本発明の水性インクは、生体への毒性が低く、インク保存安定性に優れ、かつ色相と堅牢性に優れた着色画像や着色材料を与えることができる。特に、本発明の上記水性インク
を用いたインクジェット記録用インク及びインクジェット記録方法は、生体への毒性が低く、インク安定性が高く、良好な色相を有し、しかも光及び環境中の活性ガス、特にオゾンガスに対して堅牢性の高い画像を形成することができる。
を用いたインクジェット記録用インク及びインクジェット記録方法は、生体への毒性が低く、インク安定性が高く、良好な色相を有し、しかも光及び環境中の活性ガス、特にオゾンガスに対して堅牢性の高い画像を形成することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の水性インクに含まれる染料に関して詳細に説明する。
本発明は、良好な色相を有し、光および環境中の活性ガス、特にオゾンガスに対して堅牢性が高い画像を形成することができ、長期間保存しても物性変化の少ない安定なインクに、しかも生体に対して安全性の高いインクを提供する技術を組み込んだ化合物への分子設計に特徴がある。
本発明の水性インクに含まれる染料に関して詳細に説明する。
本発明は、良好な色相を有し、光および環境中の活性ガス、特にオゾンガスに対して堅牢性が高い画像を形成することができ、長期間保存しても物性変化の少ない安定なインクに、しかも生体に対して安全性の高いインクを提供する技術を組み込んだ化合物への分子設計に特徴がある。
一般的にアゾ色素の毒性学的特性に関しては、以下に記述したようなことがいわれている。
アゾ色素にかかわらず、有機化合物では化学構造および物理的特性の多様性は、それらの毒性学的あるいは生態学的なふるまいに本質的な違いをもたらしており、それらの有害性を急性毒性のみに基づいて一般化することはできないといわれている。しかしN,N−ジメチル−4−アミノアゾベンゼンや多くの誘導体(染料として使用されない)およびベンジジン染料などこのクラスを代表する物質が動物実験で発癌性であると認められたことによって、アゾ色素の発癌性の可能性が特に注目を集めている。「MAK 委員会」(Senatskommission der deutschen Forschungsgemeinschaft zur Prufung gesundheitsschadlicher Arbeitsstoffe)による最近の告示は、アゾ色素の安全性評価に対する不確実性に影響を及ぼしたが、数多くのこのクラスの物質は動物試験において発癌性の可能性を示す兆候は得られておらず、これら個々の知見をすべてのアゾ色素に一般化することは正当でないが、その懸念は拭い去れない。
アゾ色素にかかわらず、有機化合物では化学構造および物理的特性の多様性は、それらの毒性学的あるいは生態学的なふるまいに本質的な違いをもたらしており、それらの有害性を急性毒性のみに基づいて一般化することはできないといわれている。しかしN,N−ジメチル−4−アミノアゾベンゼンや多くの誘導体(染料として使用されない)およびベンジジン染料などこのクラスを代表する物質が動物実験で発癌性であると認められたことによって、アゾ色素の発癌性の可能性が特に注目を集めている。「MAK 委員会」(Senatskommission der deutschen Forschungsgemeinschaft zur Prufung gesundheitsschadlicher Arbeitsstoffe)による最近の告示は、アゾ色素の安全性評価に対する不確実性に影響を及ぼしたが、数多くのこのクラスの物質は動物試験において発癌性の可能性を示す兆候は得られておらず、これら個々の知見をすべてのアゾ色素に一般化することは正当でないが、その懸念は拭い去れない。
アゾ色素の毒性評価についてはアゾ基の開裂が重要な役割を果す。一定の条件のもとでアゾ結合が、芳香族アミン類を生成するような還元的分解を受けると考えられている。このプロセスは化学的還元や、もしこの物質にバイオアベイラビリティがあるならば、酵素系の影響によって生物体内において起こり、このクラスの物質個々について、実際にアゾ開裂が起こりうるかどうかをチェックする必要があり、もしそうであるなら生成した芳香族アミン類に健康影響があるかどうかについてチェックする必要がある。
(モノアゾ色素の還元的分解反応の一般式)
B1−N=N−B2 → B1−NH2 + H2N−B2
B1−N=N−B2 → B1−NH2 + H2N−B2
(ジスアゾ色素の還元的分解反応の一般式)
A1−N=N−A2−N=N−A3 → A1−NH2 + H2N−A2−NH2 + H2N−A3
A1−N=N−A2−N=N−A3 → A1−NH2 + H2N−A2−NH2 + H2N−A3
この還元的開裂の可能性に基づいて、「MAK 委員会」が1989年7月7日付けの第25次広報において、これらアゾ染料およびアゾ顔料が、色素にバイオアベイラビリティがないかまたは有害ではないという証拠がない限り、それぞれのアミン類と同様の安全対策を講じて取り扱われるべき「MAK−値リスト」のIII A1、III A2またはIII Bにリストされた芳香族アミン類に、ことによると代謝的に還元されるかもしれないと勧告している。
したがって、生体に対して安全性の高いインクに使用する染料は、染料そのものの毒性はもとより、アゾ基が還元的に分解した際に生じる芳香族アミン類や芳香族ジアミン類の
毒性が低いことが好ましい。特にp−フェニレンジアミンに代表される芳香族ジアミン類はその高い毒性が有名である。
毒性が低いことが好ましい。特にp−フェニレンジアミンに代表される芳香族ジアミン類はその高い毒性が有名である。
本発明者らは、ジスアゾ染料で還元的な分解により生じる可能性のある芳香族ジアミン類に着目し、このジアミン類の親/疎水性をコントロールし、生体(特に細胞内)への吸収しにくい分子設計により毒性を下げられる可能性がある事を見出した。すなわち、本発明はジスアゾ染料が還元的分解により生じる可能性のあるジアミノ体化合物(芳香族ジアミン類)のClogP(親/疎水性を表す物性値であるlogPの推算値)が2.0以下、好ましくは0以下、より好ましくは−2.0以下とコントロールすることで生体毒性を大幅に下げることに大きな特徴がある。
logP値について若干説明する。logP値は、分配係数P(Partition Coefficient)の常用対数を意味し、ある有機化合物が油(一般的には1−オクタノール)と水の2相系の平衡でどのように分配されるかを定量的な数値として表す物性値である。
logP = log(Coil/Cwater)
ここでCoilは油相中のモル濃度を表し、Cwaterは水相中のモル濃度を表す。logPの値が0をはさんでプラスに大きくなると油溶性が増し、マイナスで絶対値が大きくなると水溶性が増す。有機化合物の水溶性と負の相関があり、化合物の親/疎水性を見積るパラメータとして広く利用されている。特に薬物の輸送過程(QSAR:Quantitative Structure−Activity Relationship)を左右する因子と考えられており、薬物の定量的構造活性相関解析で良く利用されている。その定義から考えて分配実験で実測するのが原則であり、実測値があればそれを使用するのが原則であるが、しかし、実験自体がかなり面倒なことと、化合物を合成する以前に予測を行えるため、構造式からの推算は有効な手段である。
ここでCoilは油相中のモル濃度を表し、Cwaterは水相中のモル濃度を表す。logPの値が0をはさんでプラスに大きくなると油溶性が増し、マイナスで絶対値が大きくなると水溶性が増す。有機化合物の水溶性と負の相関があり、化合物の親/疎水性を見積るパラメータとして広く利用されている。特に薬物の輸送過程(QSAR:Quantitative Structure−Activity Relationship)を左右する因子と考えられており、薬物の定量的構造活性相関解析で良く利用されている。その定義から考えて分配実験で実測するのが原則であり、実測値があればそれを使用するのが原則であるが、しかし、実験自体がかなり面倒なことと、化合物を合成する以前に予測を行えるため、構造式からの推算は有効な手段である。
logPの推算値であるClogP値についても若干説明する。本明細書におけるClogPは、米国Pomona大学のC.Hansch,A.LeoらのMedchemプロジェクトによって開発されたlogP値推算プログラム:CLOGP(厳密にはDaylight Chemical Information Systems社のシステム:PCModelsに組み込まれたCLOGPプログラム)を使用している。このプログラムは「Hansch−Leoのフラグメント法」に基づいており、化学構造を部分構造(フラグメント)に分割し、そのフラグメントに対して割り当てられたlogP寄与分を合計することによりlogP値を推算している。logP値の推算手法には、置換基パラメータによる方法、Atom Fragment法、Rekkerのフラグメント法など他にも様々な方法があり、各種プログラムも開発・市販されている。適用する化合物の系統により実測値との相関性が左右されるが、概して精度が良くしかも短時間に計算できるため、CLOGPは現在のところ世界で最も広く使われているプログラムと考えられている。
Hansch−Leoのフラグメント法は、有機化合物の2次元構造式を部分構造(フラグメント)に分解し、その実測値から各フラグメントの寄与分fを決め、それらを合計して求める方法である。ただし、単に合計しただけでは実測値との誤差が大きいため、下式のように各種の補正項を加えた形式をとる。
ここでfはフラグメント定数を意味し、孤立炭素原子で分割されたフラグメント単位に決められたlogPの寄与分を表す。aはfの係数を表し、Fは補正項(鎖の直線からのずれ、鎖の分岐、不飽和結合、極性基などの影響を考慮したlogPの補正分)を表し、bはFの係数を表す。
ClogPに関する理論は例えばC. Hansch & A. Leo. SUbstituent Constants For Correlation Analysis in Chemistry and Biology. (John Wiley
& Sons.)や、A. J. Leo. Calculating logPoct from structure. Chem. Rev., 93, 1281−1306, 1993年.などに詳しい。
ClogPに関する理論は例えばC. Hansch & A. Leo. SUbstituent Constants For Correlation Analysis in Chemistry and Biology. (John Wiley
& Sons.)や、A. J. Leo. Calculating logPoct from structure. Chem. Rev., 93, 1281−1306, 1993年.などに詳しい。
本発明の染料に関わる一般式(1)〜(8)に関して詳細に説明する。
一般式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立に置換されていてもよい芳香族基または複素環基である。それらは単環構造であっても、2つ以上の環が縮環した多環構造であってもよい。
芳香族基の例としてはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、テリレン環、ペリレン環が挙げられる。好ましくはベンゼン環、ナフタレン環である。各環はさらに置換基を有していてもよく、さらに縮環していてもよい。
複素環基は窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含む複素環が望ましい。複素環基の例には、ピロール環、ピラゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、1,2,3−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、イミダゾール環、ベンゾイソチアゾール環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、インドール環、キノリン環、プリン環、カルバゾール環、アクリジン環を挙げる事が出来る。さらに好ましいのはピラゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環である。各複素環はさらに置換基を有していてもよく、さらに縮環していてもよい。
置換基の例としてはハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキル基、アリール基または複素環基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルまたはアリールチオ基、複素環チオ基、アルキルまたはアリールスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基、アリールまたは複素環アゾ基が挙げられ、それぞれの基はさらに置換基を有していてもよい。
ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子が挙げられる。
脂肪族基は、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基および置換アラルキル基を意味する。脂肪族基は、分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は、1〜20である事が好ましく、1〜16である事がさらに好ましい。アラルキル基および置換アラルキル基のアリール部分はフェニルまたはナフチルである事が好ましく、フェニルが特に好ましい。脂肪族基の例には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、s−ブチル、t−ブチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、シアノエチル、トリフルオロメチル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、シクロヘキシル基、ベンジル基、2−フェネチル基、ビニル基、およびアリル基を挙げることができる。
芳香族基は、アリール基および置換アリール基を意味する。アリール基は、フェニルまたはナフチルである事が好ましく、フェニルが特に好ましい。芳香族基の炭素原子数は6〜20である事が好ましく、6〜16がさらに好ましい。芳香族基の例には、フェニル、p−トシル、p−メトキシフェニル、o−クロロフェニルおよびm−(3−スルホプロピル)アミノフェニルを挙げることができる。
複素環基には、置換基を有する複素環基および無置換の複素環基が含まれる。複素環に脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。複素環基としては、5員または6員環の複素環基が好ましい。置換基の例には、脂肪族基、ハロゲン原子、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アシルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、イオン性親水性基などが含まれる。複素環基の例には、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−ベンゾオキサゾリル基および2−フリル基が含まれる。
カルバモイル基には、置換基を有するカルバモイル基および無置換のカルバモイル基が含まれる。置換基の例には、アルキル基が含まれる。カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル基およびジメチルカルバモイル基が含まれる。
アルコキシカルボニル基には、置換基を有するアルコキシカルボニル基および無置換のアルコキシカルボニル基が含まれる。アルコキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜12のアルコキシカルボニル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル基およびエトキシカルボニル基が含まれる。
アリールオキシカルボニル基には、置換基を有するアリールオキシカルボニル基および無置換のアリールオキシカルボニル基が含まれる。アリールオキシカルボニル基としては、炭素原子数が7〜12のアリールオキシカルボニル基が好ましい。置換基には、イオン性親水性基が含まれる。アリールオキシカルボニル基の例には、フェノキシカルボニル基が含まれる。
アシル基には、置換基を有するアシル基および無置換のアシル基が含まれる。アシル基としては、炭素原子数が1〜12のアシル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アシル基の例には、アセチル基およびベンゾイル基が含まれる。
アルコキシ基には、置換基を有するアルコキシ基および無置換のアルコキシ基が含まれ
る。アルコキシ基としては、炭素原子数が1〜12のアルコキシ基が好ましい。置換基の例には、アルコキシ基、ヒドロキシル基、およびイオン性親水性基が含まれる。アルコキシ基の例には、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、メトキシエトキシ基、ヒドロキシエトキシ基および3−カルボキシプロポキシ基が含まれる。
る。アルコキシ基としては、炭素原子数が1〜12のアルコキシ基が好ましい。置換基の例には、アルコキシ基、ヒドロキシル基、およびイオン性親水性基が含まれる。アルコキシ基の例には、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、メトキシエトキシ基、ヒドロキシエトキシ基および3−カルボキシプロポキシ基が含まれる。
アリールオキシ基には、置換基を有するアリールオキシ基および無置換のアリールオキシ基が含まれる。アリールオキシ基としては、炭素原子数が6〜12のアリールオキシ基が好ましい。置換基の例には、アルコキシ基、およびイオン性親水性基が含まれる。アリールオキシ基の例には、フェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基およびo−メトキシフェノキシ基が含まれる。
アシルオキシ基には、置換基を有するアシルオキシ基および無置換のアシルオキシ基が含まれる。アシルオキシ基としては、炭素原子数1〜12のアシルオキシ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アシルオキシ基の例には、アセトキシ基およびベンゾイルオキシ基が含まれる。
カルバモイルオキシ基には、置換基を有するカルバモイルオキシ基および無置換のカルバモイルオキシ基が含まれる。置換基の例には、アルキル基が含まれる。カルバモイルオキシ基の例には、N−メチルカルバモイルオキシ基が含まれる。
ヘテロ環オキシ基には、置換基を有する複素環オキシ基および無置換の複素環オキシ基が含まれる。複素環に脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。複素環オキシ基としては、5員または6員環の複素環オキシ基が好ましい。置換基の例には、脂肪族基、ハロゲン原子、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アシルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、イオン性親水性基などが含まれる。複素環オキシ基の例には、2−ピリジルオキシ基、2−チエニルオキシ基、2−チアゾリルオキシ基、2−ベンゾチアゾリルオキシ基、2−ベンゾオキサゾリルオキシ基および2−フリルオキシ基が含まれる。
アルコキシカルボニルオキシ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルオキシ基および無置換のアルコキシカルボニルオキシ基が含まれる。アルコキシカルボニルオキシ基としては、炭素原子数が1〜12のアルコキシカルボニルオキシ基が好ましい。置換基の例には、アルコキシ基、ヒドロキシル基、およびイオン性親水性基が含まれる。アルコキシカルボニルオキシ基の例には、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、イソプロポキシカルボニルオキシ基、メトキシエトキシカルボニルオキシ基、ヒドロキシエトキシカルボニルオキシ基および3−カルボキシプロポキシカルボニルオキシ基が含まれる。
アリールオキシカルボニルオキシ基には、置換基を有するアリールオキシカルボニルオキシ基および無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基が含まれる。アリールオキシカルボニルオキシ基としては、炭素原子数が6〜12のアリールオキシカルボニルオキシ基が好ましい。置換基の例には、アルコキシ基、およびイオン性親水性基が含まれる。アリールオキシカルボニルオキシ基の例には、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基およびo−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基が含まれる。
アルキル基、アリール基または複素環基で置換されたアミノ基は、さらに置換基を有していてもよい。無置換のアミノ基は含まれない。アルキルアミノ基としては、炭素原子数1〜6のアルキルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルキルアミノ基の例には、メチルアミノ基およびジエチルアミノ基が含まれる。アリー
ルアミノ基には、置換基を有するアリールアミノ基および無置換のアリールアミノ基が含まれる。アリールアミノ基としては、炭素原子数が6〜12のアリールアミノ基が好ましい。置換基の例としては、ハロゲン原子、およびイオン性親水性基が含まれる。アリールアミノ基の例としては、アニリノ基および2−クロロアニリノ基が含まれる。
ルアミノ基には、置換基を有するアリールアミノ基および無置換のアリールアミノ基が含まれる。アリールアミノ基としては、炭素原子数が6〜12のアリールアミノ基が好ましい。置換基の例としては、ハロゲン原子、およびイオン性親水性基が含まれる。アリールアミノ基の例としては、アニリノ基および2−クロロアニリノ基が含まれる。
アシルアミノ基には、置換基を有するアシルアミノ基が含まれる。前記アシルアミノ基としては、炭素原子数が2〜12のアシルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アシルアミノ基の例には、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、N−フェニルアセチルアミノおよび3,5−ジスルホベンゾイルアミノ基が含まれる。
ウレイド基には、置換基を有するウレイド基および無置換のウレイド基が含まれる。前記ウレイド基としては、炭素原子数が1〜12のウレイド基が好ましい。置換基の例には、アルキル基およびアリール基が含まれる。ウレイド基の例には、3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基および3−フェニルウレイド基が含まれる。
スルファモイルアミノ基には、置換基を有するスルファモイルアミノ基および無置換のスルファモイルアミノ基が含まれる。置換基の例には、アルキル基が含まれる。スルファモイルアミノ基の例には、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノが含まれる。
アルコキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルアミノ基および無置換のアルコキシカルボニルアミノ基が含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、エトキシカルボニルアミノ基が含まれる。
アリールオキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアリールオキシカルボニルアミノ基および無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基が含まれる。アリールオキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アリールオキシカルボニルアミノ基の例には、フェノキシカルボニルアミノ基が含まれる。
アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基には、置換基を有するアルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、および無置換のアルキルまたはアリールスルホニルアミノ基が含まれる。スルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜12のスルホニルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。スルホニルアミノ基の例には、メタンスルホニルアミノ基、N−フェニルメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基、および3−カルボキシベンゼンスルホニルアミノ基が含まれる。
アルキル、アリールまたは複素環チオ基には、置換基を有するアルキル、アリールまたは複素環チオ基と無置換のアルキル、アリールまたは複素環チオ基が含まれる。アルキル、アリールまやは複素環チオ基としては、炭素原子数が1〜12のものが好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルキル、アリールまたは複素環チオ基の例には、メチルチオ基、フェニルチオ基、2−ピリジルチオ基が含まれる。
アルキルまたはアリールスルホニル基の例としては、それぞれメタンスルホニル基およびフェニルスルホニル基をあげる事が出来る。
アルキルまたはアリールスルフィニル基の例としては、それぞれメタンスルフィニル基およびフェニルスルフィニル基を挙げる事が出来る。
アルキルまたはアリールスルフィニル基の例としては、それぞれメタンスルフィニル基およびフェニルスルフィニル基を挙げる事が出来る。
スルファモイル基には、置換基を有するスルファモイル基および無置換のスルファモイル基が含まれる。置換基の例には、アルキル基が含まれる。スルファモイル基の例には、ジメチルスルファモイル基およびジ−(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基が含まれる。
アリールまたは複素環アゾ基には、置換基を有するアリールまたは複素環アゾ基と無置換のアリールまたは複素環アゾ基が含まれる。アリールまたは複素環アゾ基としては炭素数2〜12のものが望ましい。アリールまたは複素環アゾ基の例には、フェニルアゾ基、5−メチル−2−ピリジルアゾ基を挙げる事が出来る。
一般式(3)(4)及び(8)中、X1は窒素原子またはHammetの置換基定数σp値が0.30以上の電子求引性基が置換した炭素原子を表す。例えば、Hammetの置換基定数σp値が0.30以上の電子求引性基の例としてはシアノ基、ニトロ基、スルホ基、スルファモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、トリフルオロメチル基などである。Hammetの置換基定数σp値が0.30以上の電子求引性基で好ましい置換基はシアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基であり、より好ましくはシアノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基であり、さらに好ましくはシアノ基である。
Hammetの置換基定数σp値について若干説明する。Hammet則は、ベンゼン誘導体の反応または平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年L. P. Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。Hammett則で求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J. A. Dean編「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版、1979年 (Mc Graw−Hill)や「化学の領域」増刊122号96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。尚、本明細書において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり、説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に包まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。また、本発明の一般式中には、ベンゼン誘導体ではないものも含まれるがが、置換基の電子効果を示す尺度として、置換位置に関係なくσp値を使用する。本明細書においてσp値をこのような意味で使用する。
一般式(3)(4)及び(8)中、X2は一般式(4)で表される化合物のClogPが2.0以下となる置換基であればいずれであっても良い。X2は親/疎水性パラメータの推算値ClogPを調整するための置換基でありいずれであっても良いが、好ましくは1つ以上の置換基を有する芳香族基、または置換もしくは無置換の複素環基であり、より好ましくは一般式(5)〜(7)で表される置換基である。
一般式(5)
一般式(5)
一般式(6)
一般式(7)
一般式(5)〜(7)中、Wはイオン性親水性基を表す。ここでいうイオン性親水性基とは、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及び4級アンモニウム基を意味する。Wで表されるイオン性親水性基の好ましい例は、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基であり、より好ましくは、カルボキシル基、スルホ基である。カルボキシル基、ホスホノ基およびスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)および有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジウムイオン、テトラメチルホスホニウム)が含まれる。
一般式(5)〜(7)中、Lは共有結合または連結基を表す。Lが連結基の場合、2価の連結基であっても3価の連結基であってもよく、それ以上の多価の連結基であってもよい。より好ましくは2価または3価の連結基である。2価の連結基の例として、炭素数1〜6のアルキレン、炭素数6〜12のアリーレン、−NHCOC6H5−(ベンゼン環上の置換位置はいずれであっても良い)、−NHSO2C6H5−(ベンゼン環上の置換位置はいずれであっても良い)、−NHCONHC6H5−(ベンゼン環上の置換位置はいずれであっても良い)、−CONHC6H5−(ベンゼン環上の置換位置はいずれであっても良い)、−SO2NHC6H5−(ベンゼン環上の置換位置はいずれであっても良い)などが挙げられる。
3価の置換基の例としては、上記2価の連結基にさらに連結位を有しているものが挙げられる。
3価の置換基の例としては、上記2価の連結基にさらに連結位を有しているものが挙げられる。
一般式(5)〜(7)中、mは1〜5の整数を表す。好ましくはm=1〜4であり、より好ましくはm=1〜3であり、さらに好ましくはm=1〜2である。
一般式(5)〜(7)中、nは1〜4の整数を表す。好ましくはn=1〜3であり、より好ましくはn=1〜2であり、さらに好ましくはn=1である。
本発明において、特に好ましい染料の構造は、下記一般式(8)で表されるものである。
一般式(8)
一般式(8)
一般式(8)中、A1、X1及びX2はそれぞれ一般式(3)中のA1、X1及びX2と同義である。G、R1及びR2はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、複素環オキシカルボニルオキシ基、無置換のアミノ基、脂肪族アミノ基、芳香族アミノ基、複素環アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルもしくはアリールチオ基、複素環チオ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基を表し、各基は更に置換されていても良い。
Gは、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、複素環オキシ基、アミノ基(アニリノ基、複素環アミノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールチオ基、複素環チオ基であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アミノ基(アニリノ基、複素環アミノ基を含む)、アシルアミノ基であり、特に好ましくは、水素原子、アニリノ基、アシルアミノ基である。各基はさらに置換基を有していても良い。
R1、R2は、それぞれ、好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シアノ基である。各基は更に置換基を有していても良い。
R3、R4は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、スルファモイル基を表し、各基は更に置換基を有していても良い。R3、R4は、それぞれ、好ましくは水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルまたはアリールスルホニル基を挙げることができる。さらに好ましくは、水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルまたはアリールスルホニル基である。最も好ましくは、水素原子、アリール基、複素環基である。各基は更に置換基を有していても良い。但し、R3、R4が同時に水素原子であることはない。
また、R1とR2、R2とR3、R3とR4が結合して、5〜6員環を形成していてもよい。
また、R1とR2、R2とR3、R3とR4が結合して、5〜6員環を形成していてもよい。
尚、前記一般式(8)で表される化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が特に好ましい。
前記一般式(1)で表されるアゾ色素の具体例を以下に示すが、本発明に用いられるアゾ色素は、下記の例に限定されるものではなく、また各染料におけるカルボキシル基、ホスホノ基およびスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンについては、前述の通りである。
前記一般式(1)(3)(8)で表される染料は、ジアゾ成分とカプラーとのカップリング反応によって合成することができる。以下に一般式(1)(3)(8)で表される染料の合成例を示す。
<例示化合物(21)の合成>
(1)化合物(21a)の合成
4−ヒドロキシアセトフェノン 13.6g(0.1mol)、エチレングリコールモノ−2−クロロエチルエーテル14.9 g(0.12mol)、炭酸カリウム20.7g(0.15mol)をジメチルホルムアミド100mlに懸濁させ、内温120℃で2時間反応させた。反応液を水500mlに加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和塩化ナトリウム水溶液で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、ロータリーエバポレータを用いて濃縮し、化合物(21a)を得た。収量20.4g、収率91.0%。
(2)化合物(21b)の合成
化合物(21a)8.97g(0.04mol)、チオ尿素6.09g(0.08mol)、ヨウ素10.2g(0.04mol)を加え、80〜90℃で2時間反応させた。本反応液は目的化合物を単離せずそのまま次工程で使用した。
(3)化合物(21c)の合成
3−アミノナフタレン−1,5−ジスルホン酸15.6g(0.048mol)を水45ml、メタノール45mlに懸濁させ、濃塩酸を16.5ml加えた。内温を5℃以下に冷却し、亜硝酸ナトリウム3.48g(0.05mol)を水9mlに溶解させた溶液を内温5℃以下で滴下し、内温5℃以下で1時間撹拌した(ジアゾ液)。一方、上記の化合物(21b)の反応液に、酢酸リチウム11.6g、メタノール50mlを加え懸濁させた液を40℃に昇温し、上記ジアゾ液を滴下した。内温40℃で1時間反応させた後、4mol/l水酸化カリウム水溶液でpH7.5に調整し、イソプロピルアルコール200mlを加え、酢酸カリウム/メタノール溶液を用いて晶析を行った。析出した結晶をろ取し、化合物(21c)を得た。収量16.9g、収率53.5%(2工程)。
(3)例示化合物(21)の合成
化合物(21c)7.87g(10mmol)、化合物(Cp1)4.60g(10 mmol)を水60mlに溶解させ亜硝酸イソアミルを2.01ml加えた。40℃で60分間撹拌した後、4mol/l水酸化リチウム水溶液を加えpHを7.5に調整し、イソプロピルアルコール180mlをゆっくりと滴下した。析出した結晶をろ取した。得られた粗結晶を水25ml、メタノール25mlに溶解し、60℃でイソプロパノール150mlを滴下した。析出した結晶をろ取し、ファルマシア製セファデックスLH−20ゲルクロマトグラフィ(水/メタノール=1/1)で精製し、例示化合物(21)を得た。収量1.80g、収率15.3%。λmax(H2O)653nm。
(1)化合物(21a)の合成
4−ヒドロキシアセトフェノン 13.6g(0.1mol)、エチレングリコールモノ−2−クロロエチルエーテル14.9 g(0.12mol)、炭酸カリウム20.7g(0.15mol)をジメチルホルムアミド100mlに懸濁させ、内温120℃で2時間反応させた。反応液を水500mlに加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和塩化ナトリウム水溶液で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、ロータリーエバポレータを用いて濃縮し、化合物(21a)を得た。収量20.4g、収率91.0%。
(2)化合物(21b)の合成
化合物(21a)8.97g(0.04mol)、チオ尿素6.09g(0.08mol)、ヨウ素10.2g(0.04mol)を加え、80〜90℃で2時間反応させた。本反応液は目的化合物を単離せずそのまま次工程で使用した。
(3)化合物(21c)の合成
3−アミノナフタレン−1,5−ジスルホン酸15.6g(0.048mol)を水45ml、メタノール45mlに懸濁させ、濃塩酸を16.5ml加えた。内温を5℃以下に冷却し、亜硝酸ナトリウム3.48g(0.05mol)を水9mlに溶解させた溶液を内温5℃以下で滴下し、内温5℃以下で1時間撹拌した(ジアゾ液)。一方、上記の化合物(21b)の反応液に、酢酸リチウム11.6g、メタノール50mlを加え懸濁させた液を40℃に昇温し、上記ジアゾ液を滴下した。内温40℃で1時間反応させた後、4mol/l水酸化カリウム水溶液でpH7.5に調整し、イソプロピルアルコール200mlを加え、酢酸カリウム/メタノール溶液を用いて晶析を行った。析出した結晶をろ取し、化合物(21c)を得た。収量16.9g、収率53.5%(2工程)。
(3)例示化合物(21)の合成
化合物(21c)7.87g(10mmol)、化合物(Cp1)4.60g(10 mmol)を水60mlに溶解させ亜硝酸イソアミルを2.01ml加えた。40℃で60分間撹拌した後、4mol/l水酸化リチウム水溶液を加えpHを7.5に調整し、イソプロピルアルコール180mlをゆっくりと滴下した。析出した結晶をろ取した。得られた粗結晶を水25ml、メタノール25mlに溶解し、60℃でイソプロパノール150mlを滴下した。析出した結晶をろ取し、ファルマシア製セファデックスLH−20ゲルクロマトグラフィ(水/メタノール=1/1)で精製し、例示化合物(21)を得た。収量1.80g、収率15.3%。λmax(H2O)653nm。
<例示化合物(10)の合成>
(1)化合物(10a)の合成
チオ尿素93.6g(1.23mol)を水3000mlに溶解させ、α−ブロモ−4−ニトロアセトフェノン300g(1.23mol)を加えた。内温85℃で3時間反応させ析出した結晶をろ取した。ろ取した結晶を水3500mlに懸濁させ、4mol/l水酸化リチウム水溶液350mlを加え、室温で1時間撹拌した。結晶をろ取し、水5000mlで洗浄し化合物(10a)を得た。収量312g、収率98.5%。
(2)化合物(10b)の合成
還元鉄130g(2.33mol)、塩化アンモニウム11.4g(0.21mol)を水80ml、イソプロパノール570mlに懸濁させ、80℃に昇温した。化合物(10a)50.0g(0.23mol)を粉体添加し1時間還流加熱した。セライトろ過した後、ろ液を濃縮、その後濃縮液に水500mlを加え、析出した結晶をろ取し、化合物(10b)を得た。収量37.6g、収率87.0%。
(3)化合物(10c)の合成
5−カルボキシベンゼン−1,3−ジスルホン酸2ナトリウム塩19.5g(0.06mol)を水100mlに溶解し、化合物(10b)9.5g(0.05mol)、アセトニトリル100ml、WSC(water−soluble carbodiimide)12.0g(0.06mol)を順次加えた室温で3時間撹拌した後、塩化リチウム35gで塩析を行った。析出した結晶をろ取し、得られた粗体をイソプロパノールで懸濁洗浄し、化合物(10c)を得た。収量23.1g、収率98.7%。
(4)化合物(10d)の合成
3−アミノナフタレン−1,5−ジスルホン酸6.98g(0.020mol)を水21.5ml、メタノール21.5mlに懸濁させ、濃塩酸を7.16ml加えた。内温を5℃以下に冷却し、亜硝酸ナトリウム1.56g(0.022mol)を水2.7mlに溶解させた溶液を内温7℃以下で滴下し、内温5℃以下で1時間撹拌した(ジアゾ液)。一方、化合物(10c)8.60g(0.019mol)、酢酸リチウム5.48gを水45ml、メタノール45mlに溶解させた液に、上記ジアゾ液を室温で滴下し、1.5時間反応させた。エタノール200mlを加え、析出した結晶をろ取し、化合物(10d)を得た。収量9.99g、収率63.7%。
(5)例示化合物(10)の合成
化合物(10d)9.99g(0.011mol)を水100mlに懸濁させ、4mol/l水酸化リチウム水溶液を用いてpH7.7に調整した。化合物(Cp1)6.43g(0.014mol)、次いで亜硝酸イソアミル6.2mlを注入し、40℃で2時間反応させた。塩化リチウム2.97gを加え、イソプロパノール420mlを滴下し、析出した結晶を、ファルマシア製セファデックスLH−20ゲルクロマトグラフィ(水/メタノール=1/1)で精製し、例示化合物(10)を得た。収量12.2g、収率82.4%。λmax(H2O)654nm。
(1)化合物(10a)の合成
チオ尿素93.6g(1.23mol)を水3000mlに溶解させ、α−ブロモ−4−ニトロアセトフェノン300g(1.23mol)を加えた。内温85℃で3時間反応させ析出した結晶をろ取した。ろ取した結晶を水3500mlに懸濁させ、4mol/l水酸化リチウム水溶液350mlを加え、室温で1時間撹拌した。結晶をろ取し、水5000mlで洗浄し化合物(10a)を得た。収量312g、収率98.5%。
(2)化合物(10b)の合成
還元鉄130g(2.33mol)、塩化アンモニウム11.4g(0.21mol)を水80ml、イソプロパノール570mlに懸濁させ、80℃に昇温した。化合物(10a)50.0g(0.23mol)を粉体添加し1時間還流加熱した。セライトろ過した後、ろ液を濃縮、その後濃縮液に水500mlを加え、析出した結晶をろ取し、化合物(10b)を得た。収量37.6g、収率87.0%。
(3)化合物(10c)の合成
5−カルボキシベンゼン−1,3−ジスルホン酸2ナトリウム塩19.5g(0.06mol)を水100mlに溶解し、化合物(10b)9.5g(0.05mol)、アセトニトリル100ml、WSC(water−soluble carbodiimide)12.0g(0.06mol)を順次加えた室温で3時間撹拌した後、塩化リチウム35gで塩析を行った。析出した結晶をろ取し、得られた粗体をイソプロパノールで懸濁洗浄し、化合物(10c)を得た。収量23.1g、収率98.7%。
(4)化合物(10d)の合成
3−アミノナフタレン−1,5−ジスルホン酸6.98g(0.020mol)を水21.5ml、メタノール21.5mlに懸濁させ、濃塩酸を7.16ml加えた。内温を5℃以下に冷却し、亜硝酸ナトリウム1.56g(0.022mol)を水2.7mlに溶解させた溶液を内温7℃以下で滴下し、内温5℃以下で1時間撹拌した(ジアゾ液)。一方、化合物(10c)8.60g(0.019mol)、酢酸リチウム5.48gを水45ml、メタノール45mlに溶解させた液に、上記ジアゾ液を室温で滴下し、1.5時間反応させた。エタノール200mlを加え、析出した結晶をろ取し、化合物(10d)を得た。収量9.99g、収率63.7%。
(5)例示化合物(10)の合成
化合物(10d)9.99g(0.011mol)を水100mlに懸濁させ、4mol/l水酸化リチウム水溶液を用いてpH7.7に調整した。化合物(Cp1)6.43g(0.014mol)、次いで亜硝酸イソアミル6.2mlを注入し、40℃で2時間反応させた。塩化リチウム2.97gを加え、イソプロパノール420mlを滴下し、析出した結晶を、ファルマシア製セファデックスLH−20ゲルクロマトグラフィ(水/メタノール=1/1)で精製し、例示化合物(10)を得た。収量12.2g、収率82.4%。λmax(H2O)654nm。
<例示化合物(3)の合成>
(1)化合物(3a)の合成
β,β−ジシアノ−α−メチルスチレン−2−カルボン酸6.37g(0.03mol)と硫黄962mg(0.03mol)をエタノール12mlに懸濁し、トリエチルアミン8.36ml(0.06mol)を添加後、40℃で2時間反応させた。反応液を室温まで冷却し、水を60ml加え、次いで希塩酸70mlを加え、析出した結晶をろ取し化合物(3a)を得た。収量6.70g、収率91.4%。
(2)化合物(3b)の合成
3−アミノナフタレン−1,5−ジスルホン酸7.81g(0.024mol)を水22.6ml、メタノール22.6mlに懸濁させ、濃塩酸を8.23ml加えた。内温を5℃以下に冷却し、亜硝酸ナトリウム1.74g(0.025mol)を水3mlに溶解させた溶液を内温5℃以下で滴下し、内温5℃以下で1時間撹拌した(ジアゾ液)。一方、化合物(3a)4.89g(0.02mol)、酢酸リチウム5.80gをメタノール25mlに懸濁させた液を40℃に昇温し、上記ジアゾ液を滴下した。内温40℃で1.5時間反応させた後、4mol/l水酸化リチウム水溶液でpH6に調整し、その後濃塩酸を用いてpH0.8に調整した。イソプロピルアルコール100mlを加えた後塩化リチウムを用いて塩析を行った。析出した結晶をろ取し、化合物(3b)を得た。収量5.02g、収率44.0%。
(3)例示化合物(3)の合成
化合物(3b)3.00g(5.25mmol)、化合物(Cp1)2.42g(5.25mmol)を水30ml、酢酸15mlに溶解させ亜硝酸イソアミル0.74ml加えた。室温で40分間撹拌した後、4mol/l水酸化リチウム水溶液2.63mlを加え、60℃まで昇温した。イソプロピルアルコール135mlをゆっくりと滴下した後に、室温まで冷却し、析出した結晶をろ取した。得られた粗結晶を水25ml、メタノール25mlに溶解し、60℃でイソプロパノール150mlを滴下した。析出した結晶をろ取し、ファルマシア製セファデックスLH−20ゲルクロマトグラフィ(水/メタノール=1/1)で精製し、例示化合物(3)を得た。収量1.39g、収率25.0%。λmax(H2O)671nm。
(1)化合物(3a)の合成
β,β−ジシアノ−α−メチルスチレン−2−カルボン酸6.37g(0.03mol)と硫黄962mg(0.03mol)をエタノール12mlに懸濁し、トリエチルアミン8.36ml(0.06mol)を添加後、40℃で2時間反応させた。反応液を室温まで冷却し、水を60ml加え、次いで希塩酸70mlを加え、析出した結晶をろ取し化合物(3a)を得た。収量6.70g、収率91.4%。
(2)化合物(3b)の合成
3−アミノナフタレン−1,5−ジスルホン酸7.81g(0.024mol)を水22.6ml、メタノール22.6mlに懸濁させ、濃塩酸を8.23ml加えた。内温を5℃以下に冷却し、亜硝酸ナトリウム1.74g(0.025mol)を水3mlに溶解させた溶液を内温5℃以下で滴下し、内温5℃以下で1時間撹拌した(ジアゾ液)。一方、化合物(3a)4.89g(0.02mol)、酢酸リチウム5.80gをメタノール25mlに懸濁させた液を40℃に昇温し、上記ジアゾ液を滴下した。内温40℃で1.5時間反応させた後、4mol/l水酸化リチウム水溶液でpH6に調整し、その後濃塩酸を用いてpH0.8に調整した。イソプロピルアルコール100mlを加えた後塩化リチウムを用いて塩析を行った。析出した結晶をろ取し、化合物(3b)を得た。収量5.02g、収率44.0%。
(3)例示化合物(3)の合成
化合物(3b)3.00g(5.25mmol)、化合物(Cp1)2.42g(5.25mmol)を水30ml、酢酸15mlに溶解させ亜硝酸イソアミル0.74ml加えた。室温で40分間撹拌した後、4mol/l水酸化リチウム水溶液2.63mlを加え、60℃まで昇温した。イソプロピルアルコール135mlをゆっくりと滴下した後に、室温まで冷却し、析出した結晶をろ取した。得られた粗結晶を水25ml、メタノール25mlに溶解し、60℃でイソプロパノール150mlを滴下した。析出した結晶をろ取し、ファルマシア製セファデックスLH−20ゲルクロマトグラフィ(水/メタノール=1/1)で精製し、例示化合物(3)を得た。収量1.39g、収率25.0%。λmax(H2O)671nm。
インクジェット記録用インクは、親油性媒体や水性媒体中に前記アゾ染料を溶解及び/又は分散させることによって作製することができる。好ましくは、水性媒体を用いる場合である。必要に応じてその他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有させ得る。その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、水溶性インクの場合にはインク液に直接添加する。油溶性染料を分散物の形で用いる場合には、染料分散物の調製後分散物に添加するのが一般的であるが、調製時に油相または水相に添加してもよい。
乾燥防止剤はインクジェット記録方式に用いるノズルのインク噴射口においてインクジェット用インクが乾燥することによる目詰まりを防止する目的で好適に使用される。乾燥防止剤としては、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。具体的な例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げられる。これらのうちグリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールがより好ましい。また上記の乾燥防止剤は単独で用いてもよいし2種以上併用してもよい。これらの乾燥防止剤はインク中に10〜50質量%含有することが好ましい。
乳化安定剤としては、例えばポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、ゼラチン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセトブチレート、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、モンモリロナイト、リグニンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸およびその共重合体、無水マレイン酸共重合体の加水分解物、ポリアクリル酸およびその共重合体、ポリメタクリル酸およびその共重合体、ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸およびその共重合体、さらにはこれらの塩などが挙げられる。これらの乳化安定剤は単独または混合して用いられる。
浸透促進剤は、インクジェット用インクを紙により良く浸透させる目的で好適に使用される。浸透促進剤としては、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−へキサンジオール等のアルコール類やラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムやノニオン性界面活性剤等を用いることができる。これらはインク中に5〜30質量%含有すれば通常充分な効果があり、印字の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起こさない添加量の範囲で使用するのが好ましい。
紫外線吸収剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。紫外線吸収剤としては特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号明細書等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物が挙げられ、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。紫外線吸収剤はインク中に0.01〜10質量%含有することが好ましい。
褪色防止剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類などがあり、金属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体などがある。より具体的にはリサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのIないしJ項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。褪色防止剤はインク中に0.01〜10質量%含有することが好ましい。
防腐剤としては、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン及びその塩等が挙げられる。これらはインク中に0.02〜1.00質量%使用するのが好ましい。
防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチ
オン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンおよびその塩等が挙げられる。これらはインク中に0.02〜1.00質量%使用するのが好ましい。
オン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンおよびその塩等が挙げられる。これらはインク中に0.02〜1.00質量%使用するのが好ましい。
pH調整剤としては、中和剤(有機塩基、無機アルカリ)を用いることができる。pH調整剤はインクジェット用インクの保存安定性を向上させる目的で、インクジェット用インクがpH6〜10となるように添加するのが好ましく、pH7〜10となるように添加するのがより好ましい。
表面張力調整剤としてはノニオン、カチオンあるいはアニオン界面活性剤が挙げられる。本発明のインクジェット用インクの表面張力は20〜60mN/mが好ましく、25〜45mN/mがより好ましい。また本発明のインクジェット記録用インクの粘度は、30mN/m以下が好ましい。更に20mN/m以下に調整することがより好ましい。
界面活性剤の例としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。更に、特開昭59−157,636号の第(37)〜(38)頁、リサーチディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。
界面活性剤の例としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。更に、特開昭59−157,636号の第(37)〜(38)頁、リサーチディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。
粘度調整剤としては、例えば、ゼラチン、カゼイン等のタンパク質、アラビアゴム等の天然ゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、リグニンスルホン酸塩、セラック等の天然高分子、ポリアクリル酸塩、スチレン−アクリル酸共重合塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられ、これらのうちの一種以上を添加させることも可能である。
分散剤および分散安定剤としては、上述のカチオン、アニオン、ノニオン系の各種界面活性剤などが好適に挙げられる。
防錆剤としては、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等が挙げられる。
消泡剤としては、フッ素系、シリコーン系化合物等が挙げられる。キレート剤としてはEDTA等が挙げられる。
水性媒体としては、水を主成分とし、所望により、水混和性有機溶剤を添加した混合物を用いることができる。水混和性有機溶剤の例には、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン)及びその他の極性溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン)が含まれる。水混和性有機溶剤は、二種類以上を併用してもよい。
本発明のインクジェット記録用インク100質量部中には、前記アゾ染料を0.2質量部以上30質量部以下含有するのが好ましい。また、本発明のインクジェット記録用インクには、前記アゾ染料とともに、他の着色剤を併用してもよい。2種類以上の着色剤を使用する場合は、着色剤の含有量の合計が前記範囲となるのが好ましい。
本発明のインクジェット記録用インクは、他のブラック染料と併用することができる。例えば、ポリアゾ染料、直接染料であるC.I.ダイレクトブラック9、17、19、22、32、51、56、62、69、77、80、91、94、97、108、112、113、114、117、118、121、122、125、132、146、154、166、168、173、199、酸性染料であるC.I.アシッドブラック7、24、29、48、52:1、172、反応性染料であるC.I.リアクティブブラック4、5、8、14、21、23、26、31、32、34、塩基性染料であるC.I.ベーシックブラック8、及び下記一般式(A)〜(E)で記載される染料等が挙げられる。
式中、Z1は、置換基を有するフェニル基またはナフチル基を表す。置換基の例としては炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ヒドロキシル基、ホスホノ基、カルボキシ基、スルホ基、またはスルホフェニルアゾ基が挙げられる。これらは、さらに置換されていても良い。Z2は、置換基を有していても良いフェニレン基またはナフチレン基を表す。置換基の例としては炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。これらは、さらに置換されていても良い。Z3は水素原子、または置換されていてもよいフェニル基を表す。M1はH、Li、Na、K、NH4、または有機アミン類を表す。U1は0〜1の整数を表す。
式中、Z4は、置換基を有するフェニル基を表す。置換基の例としては、カルボキシ基、スルホ基、ホスホノ基が挙げられる。Z5は置換基を有していても良いフェニレン基を表す。置換基の例としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ヒドロキシル基が挙げられる。これらは、さらに置換されていても良い。Z6は−CO−、または次式を表す。
(式中、Z7はヒドロキシル基、置換基を有するアミノ基を表す。)
式中、Z8は置換基を有するフェニル基またはナフチル基を表す。置換基の例としては、カルボキシ基、スルホ基、ホスホノ基が挙げられる。Z9は置換基を有していても良いフェニレン基を表す。置換基の例としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ヒドロキシル基が挙げられる。これらは、さらに置換されていても良い。Z10は水素原子または次式を表す。
(式中、Z11、Z12は各々独立に、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキルチオ基、炭素数1〜4のアルキルアミノ基を表す。これらは、さらに置換されていても良い。)
式中、Z13は置換基を有するフェニル基を表す。置換基の例としては、カルボキシ基、スルホ基、ホスホノ基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ニトロ基が挙げられる。Z14は置換基を有していても良いフェニレン基を表す。置換基の例としては、カルボキシ基、スルホ基、ホスホノ基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられる。Z5は置換基を有する含窒素5員複素環から誘導される一価の基を表す。M2はH、Li、Na、K、NH4、または有機アミン類を表す。
式中Z16は、置換基を有するフェニル基またはナフチル基を表す。置換基の例としては、カルボキシ基、スルホ基、ホスホノ基が挙げられる。Z17は置換基を有する炭素数1〜4のアルキル基を表す。M3は2価の金属イオンを表す。M4はH、Li、Na、K、NH4、または有機アミン類を表す。
前記一般式(A)〜(E)で表される染料の具体例を以下に示すが、併用可能な色素は下記に限定されるものではない。
本発明のインクジェット記録用インクは、単色の画像形成のみならず、フルカラーの画像形成に用いることができる。フルカラー画像を形成するために、マゼンタ色調インク、シアン色調インク、及びイエロー色調インクを用いることができる。
適用できるイエロー染料としては、任意のものを使用することができる。例えばカップリング成分(以降カプラー成分と呼ぶ)としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロンやピリドン等のようなヘテロ環類、開鎖型活性メチレン化合物類などを有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカプラー成分として開鎖型活性メチレン化合物類などを有するアゾメチン染料;例えばベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;例えばナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料などがあり、これ以外の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。
適用できるマゼンタ染料としては、任意のものを使用することができる。例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラジンのようなヘテロ環類、開鎖型活性メチレン化合物類などを有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカプラー成分として開鎖型活性メチレン化合物類などを有するアゾメチン染料;アントラピリドン染料をあげることができる。
適用できるイエロー染料としては、任意のものを使用することができる。例えばカップリング成分(以降カプラー成分と呼ぶ)としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロンやピリドン等のようなヘテロ環類、開鎖型活性メチレン化合物類などを有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカプラー成分として開鎖型活性メチレン化合物類などを有するアゾメチン染料;例えばベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;例えばナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料などがあり、これ以外の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。
適用できるマゼンタ染料としては、任意のものを使用することができる。例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラジンのようなヘテロ環類、開鎖型活性メチレン化合物類などを有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカプラー成分として開鎖型活性メチレン化合物類などを有するアゾメチン染料;アントラピリドン染料をあげることができる。
適用できるシアン染料としては、任意のものを使用することができる。例えばカプラー成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類などを有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカプラー成分としてフェノール類、ナフトール類、ピロロトリアゾールのようなヘテロ環類などを有するアゾメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料などのようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料などのようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;インジゴ・チオインジゴ染料などを挙げることができる。
これらの各染料は、クロモフォアの一部が解離して初めてイエロー、マゼンタ、シアンの各色を呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
〔インクジェット記録方法〕
本発明のインクジェット記録方法は、前記インクジェット記録用インクにエネルギーを供与して、公知の受像材料、即ち普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8−169172号公報、同8−27693号公報、同2−276670号公報、同7−276789号公報、同9−323475号公報、特開昭62−238783号公報、特開平10−153989号公報、同10−217473号公報、同10−235995号公報、同10−337947号公報、同10−217597号公報、同10−337947号公報等に記載されているインクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布、ガラス、金属、陶磁器等に画像を形成する。
本発明のインクジェット記録方法は、前記インクジェット記録用インクにエネルギーを供与して、公知の受像材料、即ち普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8−169172号公報、同8−27693号公報、同2−276670号公報、同7−276789号公報、同9−323475号公報、特開昭62−238783号公報、特開平10−153989号公報、同10−217473号公報、同10−235995号公報、同10−337947号公報、同10−217597号公報、同10−337947号公報等に記載されているインクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布、ガラス、金属、陶磁器等に画像を形成する。
画像を形成する際に、光沢性や耐水性を与えたり耐候性を改善する目的からポリマーラテックス化合物を併用してもよい。ラテックス化合物を受像材料に付与する時期については、着色剤を付与する前であっても,後であっても、また同時であってもよく、したがって添加する場所も受像紙中であっても、インク中であってもよく、あるいはポリマーラテックス単独の液状物として使用してもよい。具体的には、特開2002−166638号、同2002−121440号、同2002−154201号、同2002−144696号、同2002−80759号、同2002−187342号、同2002−172774号の各公報に記載された方法を好ましく用いることができる。
以下に、本発明のインクを用いてインクジェットプリントをするのに用いられる記録紙及び記録フィルムについて詳細に説明する。
記録紙及び記録フィルムにおける支持体は、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP
、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIPなどの古紙パルプ等からなり、必要に応じて従来公知の顔料、バインダー、サイズ剤、定着剤、カチオン剤、紙力増強剤等の添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機等の各種装置で製造されたもの等が使用可能である。これらの支持体の他に合成紙、プラスチックフィルムシートのいずれであってもよく、支持体の厚みは10〜250μm、坪量は10〜250g/m2が望ましい。支持体には、そのままインク受容層及びバックコート層を設けてもよいし、デンプン、ポリビニルアルコール等でサイズプレスやアンカーコート層を設けた後、インク受容層及びバックコー卜層を設けてもよい。更に支持体には、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置により平坦化処理を行ってもよい。本発明では支持体としては、両面をポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブテン及びそれらのコポリマー等でラミネートした紙及びプラスチックフィルムがより好ましく用いられる。ポリオレフィン中に、白色顔料(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛)又は色味付け染料(例えば、コバルトブルー、群青、酸化ネオジウム)を添加することが好ましい。
記録紙及び記録フィルムにおける支持体は、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP
、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIPなどの古紙パルプ等からなり、必要に応じて従来公知の顔料、バインダー、サイズ剤、定着剤、カチオン剤、紙力増強剤等の添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機等の各種装置で製造されたもの等が使用可能である。これらの支持体の他に合成紙、プラスチックフィルムシートのいずれであってもよく、支持体の厚みは10〜250μm、坪量は10〜250g/m2が望ましい。支持体には、そのままインク受容層及びバックコート層を設けてもよいし、デンプン、ポリビニルアルコール等でサイズプレスやアンカーコート層を設けた後、インク受容層及びバックコー卜層を設けてもよい。更に支持体には、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置により平坦化処理を行ってもよい。本発明では支持体としては、両面をポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブテン及びそれらのコポリマー等でラミネートした紙及びプラスチックフィルムがより好ましく用いられる。ポリオレフィン中に、白色顔料(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛)又は色味付け染料(例えば、コバルトブルー、群青、酸化ネオジウム)を添加することが好ましい。
支持体上に設けられるインク受容層には、顔料や水性バインダーが含有される。顔料としては、白色顔料が好ましく、白色顔料としては、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、合成非晶質シリカ、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、硫化亜鉛、炭酸亜鉛等の白色無機顔料、スチレン系ピグメント、アクリル系ピグメント、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。インク受容層に含有される白色顔料としては、多孔性無機顔料が好ましく、特に細孔面積が大きい合成非晶質シリカ等が好適である。合成非晶質シリカは、乾式製造法によって得られる無水珪酸及び湿式製造法によって得られる含水珪酸のいずれも使用可能であるが、特に含水珪酸を使用することが望ましい。
インク受容層に含有される水性バインダーとしては、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド誘導体等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。これらの水性バインダーは単独又は2種以上併用して用いることができる。本発明においては、これらのなかでも特にポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコールが顔料に対する付着性、インク受容層の耐剥離性の点で好適である。
インク受容層は、顔料及び水性結着剤の他に媒染剤、耐水化剤、耐光性向上剤、界面活性剤、その他の添加剤を含有することができる。
インク受容層は、顔料及び水性結着剤の他に媒染剤、耐水化剤、耐光性向上剤、界面活性剤、その他の添加剤を含有することができる。
インク受容層中に添加する媒染剤は、不動化されていることが好ましい。そのためには、ポリマー媒染剤が好ましく用いられる。ポリマー媒染剤については、特開昭48−28325号、同54−74430号、同54−124726号、同55−22766号、同55−142339号、同60−23850号、同60−23851号、同60−23852号、同60−23853号、同60−57836号、同60−60643号、同60−118834号、同60−122940号、同60−122941号、同60−122942号、同60−235134号、特開平1−161236号の各公報、米国特許2484430号、同2548564号、同3148061号、同3309690号、同4115124号、同4124386号、同4193800号、同4273853号、同4282305号、同4450224号の各明細書に記載がある。特開平1−161236号公報の212〜215頁に記載のポリマー媒染剤を含有する受像材料が特に好ましい。同公報記載のポリマー媒染剤を用いると、優れた画質の画像が得られ、かつ画像の耐光性が改善される。
耐水化剤は、画像の耐水化に有効であり、これらの耐水化剤としては、特にカチオン樹脂が望ましい。このようなカチオン樹脂としては、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン、ポリエチレンイミン、ポリアミンスルホン、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、カチオンポリアクリルアミド、コロイダルシリカ等が挙げられ、これらのカチオン樹脂の中で特にポリアミドポリアミンエピクロルヒドリンが好適である。これらのカチオン樹脂の含有量は、インク受容層の全固形分に対して1〜15質量%が好ましく、特に3〜10質量%であることが好ましい。
耐光性向上剤としては、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、ヒンダードアミン系酸化防止剤、ベンゾフェノン等のベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤等が挙げられる。これらの中で特に硫酸亜鉛が好適である。
界面活性剤は、塗布助剤、剥離性改良剤、スベリ性改良剤あるいは帯電防止剤として機能する。界面活性剤については、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載がある。界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。有機フルオロ化合物の例には、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例えば、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例えば、四フッ化エチレン樹脂)が含まれる。有機フルオロ化合物については、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭61−20994号、同62−135826号の各公報に記載がある。その他のインク受容層に添加される添加剤としては、顔料分散剤、増粘剤、消泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、pH調整剤、マット剤、硬膜剤等が挙げられる。尚、インク受容層は1層でも2層でもよい。
記録紙及び記録フィルムには、バックコート層を設けることもでき、この層に添加可能な成分としては、白色顔料、水性バインダー、その他の成分が挙げられる。バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬べーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
バックコート層に含有される水性バインダーとしては、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
インクジェット記録紙及び記録フィルムの構成層(バックコート層を含む)には、ポリマーラテックスを添加してもよい。ポリマーラテックスは、寸度安定化、カール防止、接着防止、膜のひび割れ防止のような膜物性改良の目的で使用される。ポリマーラテックスについては、特開昭62−245258号、同62−1316648号、同62−110066号の各公報に記載がある。ガラス転移温度が低い(40℃以下の)ポリマーラテックスを媒染剤を含む層に添加すると、層のひび割れやカールを防止することができる。また、ガラス転移温度が高いポリマーラテックスをバックコート層に添加しても、カールを防止することができる。
本発明のインクは、インクジェット記録方式に制限はなく、公知の方式、例えば静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して、放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット方式等に用いられる。インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
以下、本発明を実施例に基づき更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
〔実施例1〕
下記の成分に脱イオン水を加え1000mlとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後10mol/l水酸化カリウム水溶液にてpH=9に調製し、平均孔計0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過しインク液を調製した。
〔実施例1〕
下記の成分に脱イオン水を加え1000mlとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後10mol/l水酸化カリウム水溶液にてpH=9に調製し、平均孔計0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過しインク液を調製した。
インク液Aの組成:
本発明の染料化合物 (1) 25g
ジエチレングリコール 20g
グリセリン 120g
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 230g
2−ピロリドン 80g
トリエタノールアミン 17.9g
ベンゾトリアゾール 0.06g
サーフィノールTG (エアープロダクツ社製) 8.5g
PROXEL XL2 (アベシア社製) 1.8g
本発明の染料化合物 (1) 25g
ジエチレングリコール 20g
グリセリン 120g
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 230g
2−ピロリドン 80g
トリエタノールアミン 17.9g
ベンゾトリアゾール 0.06g
サーフィノールTG (エアープロダクツ社製) 8.5g
PROXEL XL2 (アベシア社製) 1.8g
染料を、下記表1に示すように変更した以外は、インク液Aの調製と同様にして、インク液B〜Dを作製した。また、比較用のインク液として表に記載の比較色素H1〜H2を用いて比較インク液E〜Fを作成した。染料の添加量はインク液Aに対して等モルとなるように調整した。
(インク液安定性、画像記録評価)
以上の各インク液A〜D及び比較インク液E〜Fからなるインクジェット用記録インクについて、下記評価を行った。その結果を表1に示した。
なお、表1において、「紙依存性」、「耐水性」、「耐光性」、「暗熱保存性」、「耐オゾンガス性」は、各インクジェット用記録インクを、インクジェットプリンター(EPSON(株)社製;PM−G800)でフォト光沢紙(EPSON(株)社製写真紙<光沢>)に画像を記録した後、下記方法で評価したものである。
以上の各インク液A〜D及び比較インク液E〜Fからなるインクジェット用記録インクについて、下記評価を行った。その結果を表1に示した。
なお、表1において、「紙依存性」、「耐水性」、「耐光性」、「暗熱保存性」、「耐オゾンガス性」は、各インクジェット用記録インクを、インクジェットプリンター(EPSON(株)社製;PM−G800)でフォト光沢紙(EPSON(株)社製写真紙<光沢>)に画像を記録した後、下記方法で評価したものである。
<生体安全性>
前記インクで使用する化合物に関して、6週齢の雌雄SD(IGU)ラットを用いた反復経口投与(用量300mg/kg、7日間)を行い、症状観察、体重測定、血液学的検査、血液生化学的検査、臓器重量測定、病理解剖学的検査、及び病理組織学的検査(肝臓、腎臓、脾臓、心臓、肺)を実施した。無毒性のものをS、軽度の毒性であるものをA、中程度の毒性であるものをB、重篤な毒性であるものをCとし、四段階で評価した。さらに微妙なものに関してはこれらに加え、±(プラスが毒性小、マイナスが毒性大)で評価した。
<安定性>
前記インク液を60℃、2日間経時して、吸光度の変化から色素残存率を測定した。色素残存率が90%以上をA、色素残存率が70〜90%をB、色素残存率が70%未満をCとして、三段階で評価した。
前記インクで使用する化合物に関して、6週齢の雌雄SD(IGU)ラットを用いた反復経口投与(用量300mg/kg、7日間)を行い、症状観察、体重測定、血液学的検査、血液生化学的検査、臓器重量測定、病理解剖学的検査、及び病理組織学的検査(肝臓、腎臓、脾臓、心臓、肺)を実施した。無毒性のものをS、軽度の毒性であるものをA、中程度の毒性であるものをB、重篤な毒性であるものをCとし、四段階で評価した。さらに微妙なものに関してはこれらに加え、±(プラスが毒性小、マイナスが毒性大)で評価した。
<安定性>
前記インク液を60℃、2日間経時して、吸光度の変化から色素残存率を測定した。色素残存率が90%以上をA、色素残存率が70〜90%をB、色素残存率が70%未満をCとして、三段階で評価した。
<紙依存性>
前記フォト光沢紙に形成した画像と、別途にPPC用普通紙に形成した画像との色調を比較し、両画像間の差が小さい場合をA(良好)、両画像間の差が大きい場合をB(不良)として、二段階で評価した。
前記フォト光沢紙に形成した画像と、別途にPPC用普通紙に形成した画像との色調を比較し、両画像間の差が小さい場合をA(良好)、両画像間の差が大きい場合をB(不良)として、二段階で評価した。
<耐水性>
前記画像を形成したフォト光沢紙を、1時間室温乾燥した後、10秒間脱イオン水に浸漬し、室温にて自然乾燥させ、滲みを観察した。滲みが無いものをA、滲みが僅かに生じたものをB、滲みが多いものをCとして、三段階で評価した。
前記画像を形成したフォト光沢紙を、1時間室温乾燥した後、10秒間脱イオン水に浸漬し、室温にて自然乾燥させ、滲みを観察した。滲みが無いものをA、滲みが僅かに生じたものをB、滲みが多いものをCとして、三段階で評価した。
<耐光性>
前記画像を形成したフォト光沢紙に、ウェザーメーター(アトラスC.I65)を用いて、キセノン光(85,000 lx)を7日間照射し、キセノン照射前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率として評価した。なお、前記反射濃度は、1、1.5及び2.0の3点で測定した。何れの濃度でも色素残存率が70%以上の場合をA、1又は2点の濃度が70%未満をB、全ての濃度で70%未満の場合をCとして、三段階で評価した。
前記画像を形成したフォト光沢紙に、ウェザーメーター(アトラスC.I65)を用いて、キセノン光(85,000 lx)を7日間照射し、キセノン照射前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率として評価した。なお、前記反射濃度は、1、1.5及び2.0の3点で測定した。何れの濃度でも色素残存率が70%以上の場合をA、1又は2点の濃度が70%未満をB、全ての濃度で70%未満の場合をCとして、三段階で評価した。
<暗熱保存性>
前記画像を形成したフォト光沢紙を、80℃−15%RHの条件下で7日間試料を保存し、保存前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率として評価した。色素残存率について反射濃度が1、1.5、2の3点にて評価し、いずれの濃度でも色素残存率が90%以上の場合をA、1又は2点の濃度が90%未満の場合をB、全ての濃度で90%未満の場合をCとし、三段階で評価した。
前記画像を形成したフォト光沢紙を、80℃−15%RHの条件下で7日間試料を保存し、保存前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率として評価した。色素残存率について反射濃度が1、1.5、2の3点にて評価し、いずれの濃度でも色素残存率が90%以上の場合をA、1又は2点の濃度が90%未満の場合をB、全ての濃度で90%未満の場合をCとし、三段階で評価した。
<耐オゾンガス性>
前記画像を形成したフォト光沢紙を、オゾンガス濃度が0.5±0.1ppm、室温、暗所に設定されたボックス内に7日間放置し、オゾンガス下放置前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率として評価した。ボックス内のオゾンガス濃度は、APPLICS製オゾンガスモニター(モデル:OZG−EM−01)を用いて設定した。前記反射濃度は、1、1.5及び2の3点で測定した。何れの濃度でも色素残存率が80%以上の場合をA、1又は2点の濃度が80%未満をB、全ての濃度で80%未満の場合をCとして、三段階で評価した。
前記画像を形成したフォト光沢紙を、オゾンガス濃度が0.5±0.1ppm、室温、暗所に設定されたボックス内に7日間放置し、オゾンガス下放置前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率として評価した。ボックス内のオゾンガス濃度は、APPLICS製オゾンガスモニター(モデル:OZG−EM−01)を用いて設定した。前記反射濃度は、1、1.5及び2の3点で測定した。何れの濃度でも色素残存率が80%以上の場合をA、1又は2点の濃度が80%未満をB、全ての濃度で80%未満の場合をCとして、三段階で評価した。
表1に示されるように、本発明のインク液A〜Dは、比較インク液EおよびFに比べて生体安全性が優れており、かつ得られた画像も、対光性、耐オゾンガス性において比較インクより優れていた。
更に、インク液A〜Dを用いて、インクジェットプリンター(PM−G800、セイコーエプソン(株)製)により、スーパーファイン専用光沢紙(セイコーエプソン(株)製)に画像を記録した。得られた画像の色相と光堅牢性を評価したところ、いずれも表1と同様の結果が得られた。
〔実施例2〕
実施例1で作製した同じインクを用いて、実施例1の同機にて画像を富士写真フイルム(株)製フォト光沢紙(スーパーフォトグレード)にプリントし、実施例1と同様な評価
を行ったところ、実施例1と同様な結果が得られた。
実施例1で作製した同じインクを用いて、実施例1の同機にて画像を富士写真フイルム(株)製フォト光沢紙(スーパーフォトグレード)にプリントし、実施例1と同様な評価
を行ったところ、実施例1と同様な結果が得られた。
〔実施例3〕
実施例1で作製した各インクを、インクジェットプリンターBJ−F850(CANON社製)のカートリッジに詰め、同機にて同社のプロフェッショナルフォトペーパーPR−101に画像をプリントし、実施例1と同様な評価を行ったところ、実施例1と同様な結果が得られた。
実施例1で作製した各インクを、インクジェットプリンターBJ−F850(CANON社製)のカートリッジに詰め、同機にて同社のプロフェッショナルフォトペーパーPR−101に画像をプリントし、実施例1と同様な評価を行ったところ、実施例1と同様な結果が得られた。
Claims (16)
- 下記一般式(1)で表される染料を少なくとも1種類含有することを特徴とする水性インク。
一般式(1): A1−N=N−A2−N=N−A3
(式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立に、置換されていてもよい芳香族基または複素環基を表す。但し、一般式(1)で表されるジスアゾ染料のアゾ基が還元的に分解した際に生じる下記一般式(2)で表されるジアミノ化合物のClogPが2.0以下である。)
一般式(2): H2N−A2−NH2
(式中、A2は一般式(1)中のA2と同義である。) - A2が5員複素環または含窒素6員複素環であることを特徴とする請求項1に記載の水性インク。
- A2が5員複素環であることを特徴とする請求項1または2に記載の水性インク。
- X2が置換芳香族基または置換もしくは無置換の複素環基であることを特徴とする請求項4に記載の水性インク。
- 一般式(3)で表される染料が、下記一般式(8)で表される染料であることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の水性インク。
一般式(8)
- Lが連結基であることを特徴とする請求項6または7に記載の水性インク。
- Wがカルボキシル基、スルホ基またはホスホノ基のいずれかであることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の水性インク。
- X1、X2が、一般式(4)で表される化合物のClog P値が0以下となるような基であることを特徴とする請求項4〜9のいずれかに記載の水性インク。
- X1、X2が、一般式(4)で表される化合物のClog P値が−2以下となるような基であることを特徴とする請求項4〜9のいずれかに記載の水性インク。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の水性インクからなることを特徴とするインクジェット用記録インク。
- 支持体上に白色無機顔料粒子を含有するインク受容層を有する受像材料上に請求項12に記載のインクジェット記録用インクを用いて画像形成することを特徴とするインクジェット記録方法。
- 請求項12に記載のインクジェット記録用インクを用いて記録された記録物。
- 請求項12に記載のインクジェット記録用インクを含有するインクカートリッジ。
- 請求項15に記載のインクカートリッジが装填されたインクジェットプリンタ。
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