JP2004363056A - 固体高分子型燃料電池用触媒担持電極とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】大幅に耐食性を改善してなる固体高分子型燃料電池用触媒担持電極を提供する。
【解決手段】触媒金属微粒子を担持した耐食性金属酸化物が、導電性担体表面に分散担持されていることを特徴とする固体高分子型燃料電池用触媒担持電極。
【選択図】 図1
【解決手段】触媒金属微粒子を担持した耐食性金属酸化物が、導電性担体表面に分散担持されていることを特徴とする固体高分子型燃料電池用触媒担持電極。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体高分子型燃料電池用触媒担持電極およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子型燃料電池は、自動車用や定置用電源としての利用が試みられており、長期にわたって所望の発電性能を維持することが求められている。
【0003】
しかしながら、酸素還元電極においては酸素還元過電圧が大きいため、燃料電池の効率を下げる主な原因となっている。
【0004】
詳しくは、貴電位環境で酸素還元電極中の担体カーボンが腐食消失するため、該担体カーボンに担持されているPt粒子などの触媒金属粒子が遊離し、触媒金属(Pt等)の凝集が起こり、有効電極面積が低下するため、電池性能が低下してしまう。
【0005】
そこで、担体カーボンを高温で熱処理をして腐食耐性を高めた燃料電池の電極触媒層が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。これによれば、白金合金担持触媒を用いて形成される燃料電池の電極触媒層において、前記の白金合金担持触媒が、異なる熱処理温度で熱処理された2種類以上のカーボン粉末を混合して形成されたカーボン担体に白金と卑金属を担持して形成された白金合金担持触媒というものである。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−273224号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に記載の燃料電池の電極触媒層でも、高温で熱処理して腐食耐性を高めたとはいえ、貴電位環境で腐食消失を受けるカーボン担体に直接白金と卑金属を担持している構造であることには変わりないので、大幅に耐食性を改善するには至らないという問題があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、大幅に耐食性を改善してなる固体高分子型燃料電池用触媒担持電極およびその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、触媒金属微粒子を担持した耐食性金属酸化物が導電性担体表面に分散担持されていることを特徴とする固体高分子型燃料電池用触媒担持電極により達成されるものである。
【0010】
【発明の効果】
本発明の固体高分子型燃料電池用触媒担持電極によれば、Pt等の触媒金属微粒子を担持したアルミナやシリカ等の耐食性金属酸化物微粒子が導電性カーボン等の導電性担体に担持されていることにより、触媒金属微粒子と接触している該導電性担体が腐食消失しても触媒金属微粒子は耐食性金属酸化物微粒子上に担持されている。そのため、触媒金属微粒子が遊離することなく好適に保持されるため、触媒金属微粒子の凝集が抑制され、有効電極面積が低下するのを大幅に抑えることができる。その結果、当該触媒担持電極を用いてなる固体高分子型燃料電池では、電池性能の向上を図ることができ、ひいては長期にわたって所望の発電性能を維持することができるという最終的な目的を達成し得るものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明における固体高分子型燃料電池用触媒担持電極を実現し得る好適な実施の形態に基づいて説明する。
【0012】
本発明の固体高分子型燃料電池用触媒担持電極は、触媒金属微粒子を担持した耐食性金属酸化物が導電性担体表面に分散担持されていることを特徴とするものである。これにより、耐食性金属酸化物に触媒が担持されることにより触媒の凝集が抑制され、導電性担体の腐食消失を抑制できるため、触媒金属の凝集による性能低下を防ぐことができる。その結果、高い酸素還元活性を長期間保つ固体高分子型燃料電池用触媒担持電極およびこれを用いた燃料電池を提供することができる。なお、導電性担体表面と言う場合には、後述するように、導電性担体の微細構造(微細孔)中に浸入して該導電性担体の微細構造内部表面に均一に分散して担持されてもよいため、こうした導電性担体の微細構造内部表面も、導電性担体の表面に含まれ得るものである。
【0013】
ここで、本発明の対象となる固体高分子型燃料電池用触媒担持電極は、触媒金属微粒子を担持した耐食性金属酸化物が導電性担体表面に分散担持されている、いわば電極触媒のことをいう。よって、固体高分子型燃料電池用触媒担持電極を、単に電極触媒とも略記する。すなわち、固体高分子型燃料電池においては、例えば、本発明の電極触媒、イオン交換樹脂などの固体電解質を含む触媒層をシート状に形成するか、又はガス拡散層上に形成するなど公知の方法を採用して、固体高分子型燃料電池の電極(カソード及びアノード)とすることができる。よって、本発明の対象となる固体高分子型燃料電池用触媒担持電極は、あくまで電極触媒であって、固体高分子型燃料電池の電極(カソード及びアノード)と同義ではない。
【0014】
本発明に用いることのできる上記導電性担体としては、触媒を高分散担持させるために十分な比表面積をもった基体としてだけではなく、集電体として十分な電子導電性を有しているものであれば、特に制限されるべきものではなく、導電性担体表面には耐食性金属酸化物担体に担持される触媒金属粒子を担持していても担持していなくてもよい。具体的には、導電性カーボンあるいは触媒金属担持カーボンなどが挙げられる。より具体的には、導電性カーボンブラック、白金等の触媒金属担持カーボンブラック、活性炭、触媒金属担持活性炭、グラファイト、触媒金属担持グラファイトなどのほか、例えば、りん酸耐食性に優れる2700〜2800℃の温度で熱処理されたカーボン粉末と、触媒活性に優れる2400〜2500℃の温度で熱処理されたカーボン粉末とを混合して形成された導電性カーボンブラックなど、カーボンを高温で熱処理をして腐食耐性を高めたものなども利用可能であることは言うまでもない。これらは、集電体として十分な電子導電性を有し、その上、比表面積が大きいため触媒粒子を高分散担持することができるためである。特に本発明では、高分散に触媒担持金属酸化物微粒子を担持することができるので、高い活性を有する電極触媒が得られる。
【0015】
また、上記触媒金属担持カーボンでは、カーボンへの触媒金属の担持量は、触媒金属担持カーボン全量に対して通常3〜30質量%、好ましくは10〜20質量%の範囲である。これは、導電性担体であるカーボンに触媒金属を多く担持させても、耐久性(耐食性)を大幅に改善し得る手段とはなり得ないため、上記範囲内であれば十分である。触媒金属粒子の担持量は、例えば、誘導結合プラズマ発光分光法によって調べることができる。なお、上記触媒金属担持カーボン中の触媒金属については、耐食性金属酸化物に担持されている触媒金属微粒子と同様のものを用いることができるため、その種類や平均粒径等については後述する。また、導電性担体の粒径に関しては、後述する耐食性金属酸化物の粒径との関係で規定することが本発明においては有用であるため耐食性金属酸化物の項で説明する。
【0016】
次に、本発明に用いることのできる耐食性金属酸化物としては、強酸性かつ貴電位環境で腐食しない材料であれば特に制限されるべきものではない。すなわち、耐食性金属酸化物は、プロトン導電体として使用されるパーフルオロスルホン酸系ポリマーのような強酸性環境でなおかつ貴な電位領域で腐食されないことが必要となる。また、耐食性金属酸化物は、電子導電性あるいはプロトン導電性が高い方がより高い電極性能が期待できるが、電子導電性およびプロトン導電性は有していなくても十分な電極性能が得られ、高い耐久性が得られる。以上のことから、本発明に用いることのできる耐食性金属酸化物としては、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、セリア、酸化インジウムおよび酸化スズよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種を主成分とするものが望ましいものである。これらの耐食性金属酸化物では、強酸性電解質中で貴電位(>0.7V)状態においても腐食されないため、触媒金属粒子の遊離が発生しないため、触媒の凝集が起こらず、触媒金属の凝集による性能低下を防ぐことができる。その結果、高い酸素還元活性を長期間保つ固体高分子型燃料電池を提供することができる。
【0017】
また、電極触媒担体として通常よく用いられる導電性カーボンブラックは、直径約10〜50nm程度のカーボン1次粒子がアグリゲート(aggregate:凝集物の意味)構造を形成し、さらにそれが2次凝集してアグロメレート(agglomerate:集塊物の意味)構造を形成している。大きな比表面積を持つカーボンはこのような高次構造内にnmオーダーの微細孔を多く有している。集電体としても機能する導電性担体と耐食性金属酸化物表面に担持された触媒金属がより多く接触していることが望ましいため、触媒金属担持耐食性金属酸化物粒子は導電性担体の微細構造内に浸入可能でより均一に分散担持が実現できる程度に微細な粒子であることが求められる。以上のことから、本発明に用いることのできる耐食性金属酸化物の1次粒子径は、上記導電性担体の1次粒子径の0.1〜1倍、好ましくは0.4〜0.8倍であることが望ましい。上記耐食性金属酸化物の1次粒子径がかかる範囲内であれば、担体カーボンの微細構造中に侵入してカーボン表面に均一に分散して担持し得るためである。その結果、金属酸化物表面に担持された触媒が有効に担体カーボンに接触するため、触媒利用率を低下させることなく活性を維持することができる。ここで「1次粒子径」とはX線回折ピークの半値幅から算出される結晶子径を示す。また、上記耐食性金属酸化物の1次粒子径を決定する基準となる導電性担体の1次粒子径としては、特に制限されるものではなく、上述した導電性カーボンブラックの例に見られるように従来公知のものを利用することができるものであり、通常5〜100nmの範囲であり、好ましくは10〜50nmの範囲である。なお、導電性担体が触媒金属担持カーボンなどのように触媒金属を担持するような場合の1次粒子径は、触媒金属を含まない担体カーボンの1次粒子径を用いるものとする。これらの耐食性金属酸化物の1次粒子径および導電性担体の1次粒子径の測定方法としては、例えば、X線回折により求めることができる。導電性担体への耐食性金属酸化物の分散担持量としては、電池の使用目的に応じて適宜決定すればよく、導電性担体や耐食性金属酸化物の種類や1次粒子径や導電性担体による微細構造(細孔径)などによっても異なることから一義的に規定することはできないが、触媒金属担持耐食性金属酸化物微粒子全体に対して通常5〜70質量%、好ましくは10〜60質量%の範囲である。かかる範囲で該耐食性金属酸化物を高分散担持することで、該耐食性金属酸化物に担持された触媒金属粒子を遊離、凝集させることなく好適に保持でき、耐久性(耐食性)を大幅に改善し得る手段となり得るためである。耐食性金属酸化物の担持量は、例えば、誘導結合プラズマ発光分光法によって調べることができる。
【0018】
次に、本発明に用いることのできる触媒金属微粒子としては、特に制限されるべきものではなく、従来公知の固体高分子型燃料電池用触媒担持電極に用いられる触媒金属を利用することができる。例えば、Pt、Au、Ru、Ir、Os、AgおよびPdなどが挙げられる。これらの金属触媒は1種単独で用いてもよいし、2種以上を単に併用してもよいほか、これらの一部または全部を合金形態で使用してもよい。好ましくは酸素還元活性の高い電極触媒であるPt、Ir、AgおよびPdのうち少なくとも1種を含んでおり(好ましくは主成分として含んでおり)、平均粒径が1〜10nmである。この場合にもこれら好適な金属触媒の一部または全部を合金形態で使用してもよいことはいうまでもない。ここで、触媒金属微粒子が、Pt、Ir、AgおよびPdのうち少なくとも1種を含んでいればよいとしたのは、これら貴金属は、単体あるいは合金として高い酸素還元活性を有し、酸素還元活性の高い電極触媒を得ることができるためである。すなわち、各貴金属単体について酸素還元活性はPt、Pd、Ir、Agなどが高い活性を示し、さらにPt、Pd、Ir、Agを基体とした貴金属合金も高い酸素還元活性を示すためである。なかでも質量活性が高いPtないしPtを主成分とするものがより望ましい。また、触媒金属微粒子の粒子径は、小さいほど電気化学反応が進行する有効電極面積が増加するため酸素還元活性も高くなるが、実際には触媒金属微粒子の粒子径が小さくなりすぎるとむしろ活性が低下する現象が見られた。そのため、本発明に用いることのできる触媒金属微粒子の平均粒径としては、好ましくは1〜10nmの範囲であり、より好ましくは2〜5nmの範囲がよい。これらの要件を満足する触媒金属微粒子では、高酸素還元活性を有する電極触媒を得ることができる。触媒金属微粒子の平均粒径は、例えば、CO(一酸化炭素)吸着法や透過型電子顕微鏡で調べることができる。また、耐食性金属酸化物への触媒金属微粒子の担持量は、電池の使用目的に応じて適宜決定すればよく、また、耐食性金属酸化物や触媒金属微粒子の種類や平均粒径や1次粒子径、導電性担体による微細構造(細孔径)などによっても異なることから一義的に規定することはできないが、触媒金属担持耐食性金属酸化物全体に対して通常1〜80質量%、好ましくは10〜50質量%の範囲である。かかる範囲で該触媒金属微粒子を耐食性金属酸化物に担持させておくことで、導電性単体のカーボン腐食が起こっても該耐食性金属酸化物に担持された触媒金属粒子を遊離、凝集させることなく、好適に保持できる。そのため、本発明の燃料電池用電極の耐久性(耐食性)を大幅に改善し得る手段となり得るものである。触媒金属粒子の担持量は、例えば、誘導結合プラズマ発光分光法によって調べることができる。また、固体高分子型燃料電池用触媒担持電極全体に対する触媒金属微粒子の担持量は、通常30〜80質量%、好ましくは40〜60質量%の範囲である。かかる規定は、電極触媒を分析する場合、耐食性金属酸化物への触媒金属微粒子の担持量等よりも簡便に測定できる点で有利である。
【0019】
なお、固体高分子型燃料電池用触媒担持電極における、触媒金属微粒子と、耐食性金属酸化物と、導電性担体との含有比率は、上記した導電性担体への耐食性金属酸化物の担持量等から決定されるべきものである。触媒金属微粒子:耐食性金属酸化物:導電性担体(質量比)=1:0.1〜2:0.1〜2程度であるが、これに制限されるものではない。なお、耐食性金属酸化物担体への触媒金属粒子の担持量(A)と、導電性担体表面への触媒金属粒子を担持量(B)との比率(A/B)は、導電性担体に触媒金属粒子を多く担持させても、耐久性(耐食性)を大幅に改善し得る手段とはなり得ないことから、A/B(質量比)=1以上となるように調整するのが望ましい。
【0020】
また、本発明の固体高分子型燃料電池用触媒担持電極たる電極触媒全体の平均粒径は、通常0.05〜0.5μm、好ましくは0.1〜0.3μmの範囲である。これは、イオン導電性を有するアイオノマーとともに導電性担体が、カーボン1次粒子がアグリゲート構造を形成し、さらにそれが凝集してアグロメレート構造を形成しており、かかるアグロメレート構造体の平均粒径により、電極触媒の平均粒径も決定されるためである。
【0021】
次に、本発明の固体高分子型燃料電池用触媒担持電極の製造方法は、耐食性金属酸化物に触媒金属を担持させて触媒金属担持耐食性金属酸化物を得る工程と、
それに続いて、該触媒金属担持耐食性金属酸化物を導電性担体表面に担持させる工程と、を含むことを特徴とするものである。本発明の製造方法では、はじめに金属触媒(例えば、Pt等の貴金属触媒)を耐食性金属酸化物(例えば、耐食性金属酸化物材料の表面)に担持させておき、これを導電性担体表面に担持させることで、触媒金属は耐食性金属酸化物に担持され、導電性担体表面に担持されることはない。なお、触媒金属担持耐食性金属酸化物を導電性担体表面に担持させることで、触媒金属の一部は導電性担体によっても担持されることはあるが、基本的には耐食性金属酸化物に担持されている。そのため、貴電位環境で金属触媒(例えば、Ptなど)と接触している導電性担体(例えば、導電性カーボン)のカーボン腐食が起こっても触媒金属粒子は耐食性金属酸化物(例えば、耐食性金属酸化物材料の表面)に好適に保持されるので金属触媒の凝集が抑制され、活性が長期間維持されるものである。一方、上記工程順ではなく、例えば、導電性担体に触媒金属を担持していない耐食性金属酸化物を担持した後、触媒金属担持工程を行うと、触媒金属が導電性担体表面にも多く担持されるため、所望の耐久性が得られにくく、触媒金属の担持量を調整する必要があるが、かかる製法方法によっても、本発明の固体高分子型燃料電池用触媒担持電極として規定する、触媒金属微粒子を担持した耐食性金属酸化物が、導電性担体表面に分散担持されていることを特徴とするものが得られることはいうまでもない。
【0022】
また本発明の製造法においては、前記触媒金属担持耐食性金属酸化物を得る工程としては、特に制限されるべきものではなく、従来公知の触媒金属担持技術を適用し得るものである。
【0023】
例えば、(1)触媒金属化合物溶液中に耐食性金属酸化物微粒子を分散させ、蒸発乾固する段階と、その後に熱処理を加える段階とを含む方法、(2)触媒金属コロイド溶液中に耐食性金属酸化物微粒子を分散させ、触媒金属コロイドを耐食性金属酸化物微粒子担体に吸着させることにより、触媒金属を耐食性金属酸化物微粒子に担持させる段階を含む方法、(3)耐食性金属酸化物の原料となる金属化合物を1種あるいはそれ以上含む溶液と触媒金属コロイド溶液との混合溶液のpHを調整することにより金属酸化物、含水酸化物、金属水酸化物を得ると同時に触媒金属コロイドを吸着させる段階と、それを焼成する段階とを含む方法、などが挙げられるが、これらに何ら制限されるべきものではない。
【0024】
前記触媒金属担持耐食性金属酸化物を得る工程として、上記(1)の各段階を行う方法では、耐食性金属酸化物微粒子表面に触媒金属を高分散担持することができ、所望の触媒金属担持耐食性金属酸化物微粒子を得ることができる点で優れている。
【0025】
上記(1)の各段階を行って耐食性金属酸化物に触媒金属を分散担持させる方法としては、通常の含浸法を用いることができる。
【0026】
ここで、触媒金属化合物溶液としては、上述したような触媒金属が、上記各段階を経て生成し得る(熱処理後に残る)ものであればよく、例えば、塩化白金酸水溶液、塩化イリジウム、硝酸銀、塩化パラジウムなどが挙げられるが、これらに何ら制限されるべきものではない。
【0027】
なお、上記触媒金属化合物溶液中の触媒金属の含有量は、特に制限されるべきものではなく、飽和濃度以下であればよい。ただし、低濃度では所望の担持量になるまでに上記段階を繰り返して調整する必要があることから、適宜必要な濃度を決定すればよい。触媒金属化合物溶液中の触媒金属の含有量としては、0.01〜10質量%程度であるが、これに制限されるものではない。
【0028】
上記触媒金属化合物溶液中への耐食性金属酸化物微粒子の添加量は、使用目的に応じて適宜決定すればよい。なお、耐食性金属酸化物微粒子の種類や1次粒子径に関しては、既に説明した通りであるのでここでの説明は省略する。
【0029】
また、蒸発乾固条件としては、特に制限されるものではなく、触媒金属化合物溶液に用いられている溶媒、例えば、水、アルコール類などの種類に応じて適宜決定されるものであり、水の場合には、後述する実施例1にあるように混合溶液を適当に攪拌等しながら20〜90℃程度で、水分(溶媒分)が完全に蒸発するまで加熱を続ければよい。20℃未満では長持間を要し不経済であり、90℃を超える場合には、所望しない反応が進行する恐れがあるほか、溶媒が急激に蒸発するため、一部の耐食性金属酸化物微粒子が揮発性ガスに同伴されるおそれがある。また、蒸発乾固は常圧でも減圧雰囲気下でもよく、蒸発乾固により得られる試料がバルク形態の場合には、熱処理を加える段階を行う前に適当に粉砕しておくのが望ましい。
【0030】
なお、触媒金属化合物溶液中への耐食性金属酸化物微粒子の分散には、ホモジナイザなどの適当な攪拌機を用いればよいが、これに制限されるものではなく、超音波分散装置など超音波を印加して均一に分散混合するなどしてもよい。
【0031】
上記熱処理を加える段階では、耐食性金属酸化物微粒子表面に付着した触媒金属化合物をしゃく熱して所望の粒径の触媒金属が残るように行えばよい。よって、熱処理条件としては、用いる触媒金属化合物や耐食性金属酸化物微粒子の種類等によっても異なることから、一義的に規定することはできないが、例えば、塩化白金酸水溶液とシリカ微粒子とを用いる場合、酸化雰囲気中、好ましくは空気中で200〜600℃で1〜6時間程度行うことで触媒金属である白金を耐食性金属酸化物微粒子であるシリカの表面に担持させることができる。200℃未満では未焼成の触媒金属化合物が残留したり所望の粒径の触媒金属が形成するのが困難であり、また長持間を要し不経済である。一方、600℃を超える場合には耐食性金属酸化物微粒子や触媒金属粒子の一部が融着等を起こすおそれがある。また1時間未満でも未焼成の触媒金属化合物が残留するおそれがあり、6時間を超える場合には既に所望の粒径の触媒金属が形成されており、更なる加熱を行うのは不経済である。他の触媒金属化合物や耐食性金属酸化物微粒子の組み合わせにおいても、上記熱処理条件とほぼ同程度で触媒金属を耐食性金属酸化物微粒子表面に担持させることができるものである。上記熱処理を行うことにより、耐食性金属酸化物微粒子に触媒金属を担持できるものであるが、このときの触媒金属の平均粒径は、既に述べたように1〜10nm、好ましくは2〜5nmとするのが好ましく、上記段階での熱処理条件を制御することによる達成可能である。
【0032】
前記触媒金属担持耐食性金属酸化物を得る工程として、上記(2)の段階を行う方法でも、耐食性金属酸化物微粒子表面に触媒金属を高分散担持することができ、所望の触媒金属担持耐食性金属酸化物微粒子を得ることができる点で優れている。
【0033】
上記(2)の段階を行って耐食性金属酸化物に触媒金属を分散担持させる方法としては、通常のコロイド吸着法を用いることができる。
【0034】
ここで、触媒金属コロイド溶液(懸濁液)に用いられる触媒金属としては、上述したように固体高分子型燃料電池用触媒として使用できるものであれば用いることができ、例えば、Pt、Ir、AgおよびPdのうち少なくとも1種を含んでいるものなどが挙げられる。また、こうした触媒金属の固体粒子(コロイド粒子)を均一に分散(懸濁)させるのに用いられる液体(分散媒)としては、例えば、水やアルコール類などが挙げられるが、これらに何ら制限されるべきものでない。触媒金属コロイド溶液(懸濁液)としては、コロイドの安定化剤として、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)のような水溶性ポリマーやエチレングリコールデシルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルなどの非イオン系界面活性剤を加えたPt、Ir、AgおよびPdコロイド溶液を用いることが出来る。なかでも、高い質量活性を示すことから、Ptコロイド溶液が好適に使用される。
【0035】
なお、上記触媒金属コロイド溶液中の触媒金属の含有量は、耐食性金属酸化物に所望の担持量となるように触媒金属を担持させることができるものであればよく、特に制限されるべきものではない。よって、触媒金属コロイド溶液中の触媒金属の含有量としては、0.001〜10質量%程度であるが、これに制限されるものではない。なお、この場合でも、所望の担持量になるまでに上記段階を繰り返して調整してもよい。
【0036】
上記(2)の段階を行う方法では、コロイド状の触媒微粒子を溶解させた触媒金属コロイド溶液を用いるため、上記(1)の方法のように、媒金属化合物溶液中に耐食性金属酸化物微粒子を分散させ蒸発乾固した後の熱処理工程が不要であり、触媒金属粒子のシンタリング(sintering 焼結;半融)を抑制することが可能であり、所望の触媒金属担持耐食性金属酸化物微粒子を簡便に得ることができる。また、上記(2)の方法により得られる触媒金属担持耐食性金属酸化物微粒子がバルク(塊状)形態の場合には、次工程を行う前に適当に粉砕しておくのが望ましい。ただし、上記(2)の方法でも、上記(1)と同様に、乾燥、粉砕後に適当な条件下で熱処理を行ってもよいことはいうまでもない。
【0037】
また、上記(2)の方法での、分散、吸着には、適当な分散装置を用いて行うことができ、ホモジナイザ、超音波分散装置、マグネチックスターラーなどを適当に組み合わせて行うことができる。
【0038】
前記触媒金属担持耐食性金属酸化物を得る工程として、上記(3)の各段階を行う方法でも、耐食性金属酸化物微粒子表面に触媒金属を高分散担持することができ、所望の触媒金属担持耐食性金属酸化物微粒子(粉末)を得ることができる点で優れている。
【0039】
上記(3)の各段階を行って耐食性金属酸化物に触媒金属を分散担持させる方法としては、耐食性金属酸化物の原料となる金属化合物を1種あるいはそれ以上含む溶液(以下、単に金属化合物含有溶液ともいう)と触媒金属コロイド溶液との混合溶液中での耐食性金属酸化物前駆体となる金属酸化物、含水酸化物または金属水酸化物の沈殿を形成すると同時に触媒金属コロイドを吸着させる段階と、それを焼成する段階を含むものである。
【0040】
ここで、耐食性金属酸化物の原料となる金属化合物としては、例えば、硝酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、珪酸ナトリウム、シリコンエトキシド、シリコンメトキシド、オキシ硝酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムメトキシド、ジルコニウムプロポキシド、塩化チタン、チタニウムエトキシド、チタニウムメトキシド、チタニウムプロポキシド、硝酸セリウム、塩化インジウム、硝酸インジウム、インジウムエトキシド、インジウムメトキシド、インジウムプロポキシド、塩化スズなどが挙げられるが、これらに制限されるものではない。これらの金属化合物は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。上記金属化合物種を1種あるいはそれ以上含み得る溶液としては、例えば、上記金属化合物の混合溶液などが例示できるが、これらに制限されるものではない。
【0041】
また、触媒金属コロイド溶液としては、上記(2)の方法で説明したものと同様のものを用いることができる。なお、金属化合物含有溶液と触媒金属コロイド溶液とは、共に相溶性のある溶液を選択する。各溶液が2層に分離した状態では混合溶液にしにくいためである。
【0042】
上記混合溶液のpHを調整は、耐食性金属酸化物前駆体となる金属酸化物、含水酸化物または金属水酸化物の沈殿を形成すると同時に触媒金属コロイドを吸着させることができればよい。すなわち、混合溶液に用いる上記金属化合物含有溶液や触媒金属コロイド溶液の種類等によっても異なることから一義的に規定することはできないが、金属化合物含有溶液および触媒金属コロイド溶液の種類に応じて、これらの混合溶液のpHを酸またはアルカリ(溶液)を添加するなどして調整すればよい。同様に、上記金属化合物含有溶液中の金属化合物の濃度(添加量)、触媒金属コロイド溶液中の触媒金属の濃度(添加量)、混合溶液中の上記金属化合物含有溶液と触媒金属コロイド溶液の配合比率などに関しては、上記(3)の方法により、上述した触媒金属微粒子の担持量を有する所望の触媒金属担持耐食性金属酸化物が得られるように適宜決定すればよい。
【0043】
また、耐食性金属酸化物前駆体となる金属酸化物、含水酸化物または金属水酸化物の沈殿を形成すると同時に触媒金属コロイドを吸着させたものを焼成する条件としては、耐食性金属酸化物前駆体を耐食性金属酸化物とすることができ、この耐食性金属酸化物に触媒金属を担持させることができればよく、大気中あるいは不活性雰囲気中で、焼成温度200〜600℃、好ましくは300〜500℃の範囲で、1〜8時間、好ましくは2〜6時間焼成すればよい。200℃未満では未焼成の耐食性金属酸化物前駆体や触媒金属コロイドが残留したり所望の粒径の耐食性金属酸化物や触媒金属微粒子を形成するのが困難であり、また長持間を要し不経済である。一方、600℃を超える場合には耐食性金属酸化物微粒子や担持した触媒金属微粒子の一部が融着等を起こすおそれがある。また1時間未満でも未焼成の耐食性金属酸化物前駆体や触媒金属コロイドが残留したり所望の粒径の耐食性金属酸化物や触媒金属微粒子を形成するのが困難であり、8時間を超える場合には既に所望の粒径の耐食性金属酸化物微粒子が形成され、かつ触媒金属が担持させており、更なる加熱を行うのは不経済である。
【0044】
次に、上述したような方法で得られた触媒金属担持耐食性金属酸化物を導電性担体表面に担持させる工程としては、特に制限されるべきものではなく、従来公知の担持方法を適宜利用することができるものであるが、好ましくは、触媒金属担持耐食性金属酸化物粉末と導電性担体粉末を液体中に分散させ、触媒金属担持耐食性金属酸化物微粒子を導電性担体表面に吸着させることを特徴とする方法が望ましい。これにより、導電性担体表面に触媒金属担持金属酸化物を高分散担持することができ、所望の耐久性に優れた電極触媒を得ることができるためである。
【0045】
なお、上記方法では、触媒金属担持耐食性金属酸化物と導電性担体を液体媒体中に分散させて吸着担持させた後、濾取して乾燥させることで、触媒金属微粒子を担持した耐食性金属酸化物が導電性担体表面に分散担持されてなる所望の電極触媒を得ることができるが、必要であれば、その後に更に熱処理を加えてもよい。
【0046】
ここで、触媒金属担持耐食性金属酸化物粉末と導電性担体粉末を分散させるのに用いることのできる液体媒体としては、例えば、エタノール、水などが挙げられるが、これらに制限されるべきものではない。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
【0047】
また、上記触媒金属担持耐食性金属酸化物及び導電性担体の種類や1次粒子径等に関しては、既に説明した通りであるのでここでの説明は省略する。
【0048】
また、導電性担体の1種である触媒金属担持カーボンの製造方法としては、特に制限されるべきものではなく、従来公知の方法を用いることができるものであり、例えば、後述する実施例2に示すような方法により、市販の導電性カーボンから所望の触媒金属担持量に調整した触媒金属担持カーボンを得ることができるものである。すなわち、触媒金属担持カーボンは、適量の導電性カーボンを所定の濃度の触媒金属(例えば、白金)を含んだ触媒金属溶液(塩化白金酸水溶液)中にホモジナイザ等の分散装置を用いて十分に分散させた後、ここにクエン酸ナトリウムなどの還元剤を適量加え、還流反応装置を用いて20〜100℃に加熱して触媒金属(例えば、白金)の還元担持を行う。その後、室温まで放冷した後、触媒金属(例えば、白金)が担持されたカーボンを濾別することにより、所望の触媒金属担持量を有する(触媒金属担持カーボン)を得ることができるが、この方法に何ら制限されるものではない。
【0049】
触媒金属担持耐食性金属酸化物と導電性担体を液体媒体中に分散させる方法としては、特に制限されるべきものではなく、ホモジナイザ、超音波分散装置、マグネチックスターラー等の適当な分散手段を適宜組み合わせるなどして行うことができる。また、触媒金属担持耐食性金属酸化物及び導電性担体は、一度に液体媒体中に分散させてもよいし、例えば、導電性担体を初めに分散させ、その後に触媒金属担持耐食性金属酸化物を分散させるなど、二度に分けて分散させてもよい。この際、分散に用いる分散手段もその都度最適なものを選択して用いればよい。
【0050】
さらに触媒金属担持耐食性金属酸化物と導電性担体を液体媒体中に分散させて吸着担持させる方法としては、特に制限されるべきものではなく、上記分散操作により、触媒金属担持耐食性金属酸化物を導電性担体に吸着担持させることができる。これは、上述したように、触媒金属担持耐食性金属酸化物と導電性担体の1次粒子径の違いや、導電性担体の持つ微細構造(nmオーダーの微細孔)などにより、適当な分散操作、例えば、超音波分散操作により、導電性担体の持つ微細構造内に触媒金属担持耐食性金属酸化物微粒子が容易に浸入し、均一に分散担持ができるためである。かかる観点から、本発明の製造法に用いる触媒金属担持耐食性金属酸化物や導電性担体の1次粒子径やその構造に関しては、固体高分子型燃料電池用触媒担持電極の実施形態において規定した範囲のものを用いるのが望ましいものである。また、上記液体媒体中の上記触媒金属担持耐食性金属酸化物粉末と導電性担体粉末との配合比率の配合比率などに関しても、上述した導電性担体への触媒金属担持耐食性金属酸化物の担持量を有する所望の電極触媒が得られるように適宜決定すればよい。
【0051】
また、液体媒体中の触媒金属微粒子を担持した耐食性金属酸化物が導電性担体表面に分散担持されてなる所望の電極触媒は、吸引瀘過などの瀘別手段など常法により、濾取し、60〜100℃で2〜24時間乾燥することにより得られるものであるが、これらに何ら制限されるべきものではない。60℃未満では長持間を要し不経済であり、100℃を超える場合には触媒粉末が発火する可能性が生じるほか、液体媒体が急激に蒸発するため、一部の触媒金属微粒子を担持した耐食性金属酸化物や導電性担体が揮発性ガスに同伴されるおそれがある。
【0052】
さらに、必要に応じて行われる熱処理条件としては、不活性または還元雰囲気中で、焼成温度150〜1000℃、好ましくは200〜900℃の範囲で、1〜8時間、好ましくは4〜6時間加熱すればよい。150℃未満では導電性担体表面への耐食性金属酸化物微粒子の担持のされ方が不十分となるおそれがあり、また長持間を要し不経済である。一方、1000℃を超える場合には導電性担体であるカーボンの一部が燃焼するおそれがある。また1時間未満でも導電性担体表面への耐食性金属酸化物微粒子の担持のされ方が不十分となるおそれがあり、8時間を超える場合には既に導電性担体表面に耐食性金属酸化物微粒子が強固に担持されており、更なる加熱を行うのは不経済である。
【0053】
【実施例】
以下では、本発明の実施例を記載するが、この実施例は本発明を限定するものではない。
【0054】
(実施例1)
耐食性金属酸化物微粒子としてのSiO2を1g含んだ1次粒子径10nmのシリカ分散物(日産化学株式会社製スノーテックスS、30質量%)と、触媒金属化合物溶液として1gの白金を含んだ塩化白金酸水溶液を十分に混合させたあと、この混合溶液を攪拌しながら80℃に保ち、水分が完全に蒸発するまで加熱しつづけた。乾燥後、試料を粉砕して、空気中400℃で4時間熱処理することによって触媒金属担持耐食性金属酸化物としてPt担持シリカを得た。
【0055】
導電性担体としての導電性カーボンブラック(Cabot社Vulcan XC−72、1次粒子径30nm)2gとエタノール25mlを混ぜたものに精製水500mlを加え、ホモジナイザを用いて該導電性カーボンブラックをよく分散させた。これに上記方法によって調製したPt担持シリカを加えてさらに超音波分散により30分間よく分散させるとともに該導電性カーボンブラック表面にPt担持シリカを吸着担持させた。これを吸引濾過により試料を濾取し、80℃で12時間乾燥させることにより、電極触媒としてPt担持シリカ微粒子担持カーボンブラック(実施例1の電極触媒)を得た。この試料の定量分析を行った結果、Pt担持量は20.1質量%であった。また、透過型電子顕微鏡観察によりPtの平均粒子径は2.5nmと見積もられた。
【0056】
(実施例2)
実施例1に示した調製法における導電性カーボンブラックの代わりに10質量%Pt担持カーボンブラックを用いた以外は実施例1と同様な方法で、Pt担持シリカ微粒子担持カーボンブラック(実施例2の電極触媒)を得た。この試料の定量分析を行った結果、Pt担持量は22.3質量%であった。また、透過型電子顕微鏡観察によりPtの平均粒子径は2.1nmと見積もられた。
【0057】
尚、上記10質量%Pt担持カーボンブラックは、導電性カーボンブラック(Cabot社Vulcan XC−72、1次粒子径30nm)9gを0.4質量%の白金を含んだ塩化白金酸水溶液250g中にホモジナイザを用いて十分に分散させた後、ここにクエン酸ナトリウム3gを加え、還流反応装置を用いて80℃に加熱して白金の還元担持を行った。室温まで放冷した後、白金が担持されたカーボンを濾別することにより得た。
【0058】
(比較例1)
導電性カーボンブラック(Cabot社Vulcan XC−72、1次粒子径30nm)3gを0.4質量%の白金を含んだ塩化白金酸水溶液250g中にホモジナイザを用いて十分に分散させた後、ここにクエン酸ナトリウム3gを加え、還流反応装置を用いて80℃に加熱して白金の還元担持を行った。室温まで放冷した後、白金が担持されたカーボンを濾別することにより比較例1の電極触媒を得た。この試料の定量分析を行った結果、Pt担持量は23.2質量%であった。また、透過型電子顕微鏡観察によりPtの平均粒子径は2.7nmと見積もられた。
【0059】
(比較例2)
導電性カーボンブラック(Cabot社Vulcan XC−72、1次粒子径30nm)2gとエタノール25mlを混ぜたものに精製水500mlを加え、ホモジナイザを用いてカーボンをよく分散させた。これにSiO2を1g含んだ1次粒子径10nmのシリカ分散物(日産化学製スノーテックスS、30質量%)を加え、さらに超音波分散により、よく分散させるとともにカーボンブラック表面にシリカを担持させた。これを吸引濾過により、試料を濾取し、80℃で12時間乾燥させることにより、シリカ微粒子担持カーボンブラックを得た。
【0060】
このシリカ微粒子担持カーボンブラックを0.4質量%の白金を含んだ塩化白金酸水溶液250g中にホモジナイザを用いて十分に分散させた後、ここにクエン酸ナトリウム3gを加え、還流反応装置を用いて80℃に加熱して白金の還元担持を行った。室温まで放冷した後、粉末試料を濾別することにより比較例2の電極触媒を得た。この試料の定量分析を行った結果、Pt担持量は23.3質量%であった。また、透過型電子顕微鏡観察によりPtの平均粒子径は2.5nmと見積もられた。さらに比較例2の製法ではPtのほとんどがカーボンブラック表面に担持されており、シリカにはほとんど担持されていなかった。これは比較例1のPt担持カーボンと同様な構成になっており、シリカによる抑制効果が働かなかったと考えられ、少なくともPtの一部は耐食性金属酸化物表面に担持されていないと耐久性が賦与されないといえる。
【0061】
(電極触媒の性能評価)
MEA(膜−電極接合体)の作製については以下のように行った。
【0062】
カソードとして各実施例および比較例の電極触媒に精製水とイソプロピルアルコールを加え、さらには所定量のNafionを含んだ溶液に加えてホモジナイザでよく分散させ、さらに脱泡操作を加えることによって触媒スラリーを作製した。これをガス拡散層(GDL)であるカーボンペーパー(東レ株式会社製TGP−H)の片面にスクリーン印刷法によって所定量印刷し、60℃で24時間乾燥させて触媒層を形成した。触媒層を形成した面を電解質膜に合わせて120℃、0.2MPaで、3分間ホットプレスを行うことによりそれぞれのMEAを作製した。
【0063】
アノードは同様な方法を用いて電極触媒として25質量%Pt担持カーボンを用いてMEAを作製した。
【0064】
これらのアノードおよびカソードのMEAを組み立てて燃料電池単セルをそれぞれ作製した。なお、これらのMEAは、アノード、カソードともにPt使用量を見かけの電極面積1cm2あたり0.5mgとし、電極面積は300cm2とした。また、電解質膜としてNafion112を用いた。
【0065】
これらの燃料電池単セルの耐久性測定は、以下のように行った。本測定では燃料電池を発電運転させる場合にはアノード側に燃料として水素を供給し、カソード側には空気を供給した。両ガスとも供給圧力は大気圧とし、水素は80℃、空気は60℃で飽和加湿し、燃料電池本体の温度は80℃に設定し、水素利用率は70%、空気利用率は40%として、電流密度0.5A/cm2で30分間運転を続けた。発電を停止する場合にはアノード、カソードともに加湿窒素パージとし、燃料電池本体の温度制御は行わなかった。停止時間は30分とした。この運転−停止サイクルを繰り返すことによって、燃料電池単セルの耐久性評価を行った。
【0066】
図1は、実施例1、2、比較例1および比較例2の電極触媒を用いて構成した各固体高分子電解質型燃料電池を電流密度0.5A/cm2におけるセル電圧の運転開始からの低下率の運転−停止サイクル数に対する変化を示すグラフである。図に示すように、従来型のPt担持カーボンを電極触媒とした比較例1の電極触媒を用いた燃料電池は運転当初からセル電圧の低下率が大きく、500サイクルに達する前にセル電圧は半分近くにまで低下した。また、比較例2の電極触媒を用いた燃料電池もセル電圧低下速度が大きく、600サイクルでセル電圧は運転開始時の約60%にまで低下した。比較例2の電極触媒を用いた燃料電池の耐久試験の結果から、耐食性金属酸化物を担持した導電性カーボン担体にPt担持を行った場合には、電極触媒の耐久性はほとんど賦与されておらず、カーボンの腐食を抑制する効果が発現していないことが示唆される。
【0067】
一方、実施例1および実施例2の電極触媒を用いた燃料電池は、両比較例の場合と大きく異なり、1000サイクル経過後もセル電圧は初期のセル電圧の95%前後を保っていることがわかった。
【0068】
この結果から、実施例電極では触媒金属が耐食性の高い金属酸化物に担持されているため、燃料電池の運転によってカーボン腐食が起こっても触媒金属の遊離が発生せず、凝集やシンタリングが抑制されるため、電極活性の低下が抑えられたと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1、実施例2、比較例1および比較例2の電極触媒(固体高分子型燃料電池用触媒担持電極)を用いて構成した各固体高分子電解質型燃料電池の電流密度0.5A/cm2でのセル電圧の低下率と運転−停止サイクル数との関係を示すグラフ図面である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体高分子型燃料電池用触媒担持電極およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子型燃料電池は、自動車用や定置用電源としての利用が試みられており、長期にわたって所望の発電性能を維持することが求められている。
【0003】
しかしながら、酸素還元電極においては酸素還元過電圧が大きいため、燃料電池の効率を下げる主な原因となっている。
【0004】
詳しくは、貴電位環境で酸素還元電極中の担体カーボンが腐食消失するため、該担体カーボンに担持されているPt粒子などの触媒金属粒子が遊離し、触媒金属(Pt等)の凝集が起こり、有効電極面積が低下するため、電池性能が低下してしまう。
【0005】
そこで、担体カーボンを高温で熱処理をして腐食耐性を高めた燃料電池の電極触媒層が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。これによれば、白金合金担持触媒を用いて形成される燃料電池の電極触媒層において、前記の白金合金担持触媒が、異なる熱処理温度で熱処理された2種類以上のカーボン粉末を混合して形成されたカーボン担体に白金と卑金属を担持して形成された白金合金担持触媒というものである。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−273224号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に記載の燃料電池の電極触媒層でも、高温で熱処理して腐食耐性を高めたとはいえ、貴電位環境で腐食消失を受けるカーボン担体に直接白金と卑金属を担持している構造であることには変わりないので、大幅に耐食性を改善するには至らないという問題があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、大幅に耐食性を改善してなる固体高分子型燃料電池用触媒担持電極およびその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、触媒金属微粒子を担持した耐食性金属酸化物が導電性担体表面に分散担持されていることを特徴とする固体高分子型燃料電池用触媒担持電極により達成されるものである。
【0010】
【発明の効果】
本発明の固体高分子型燃料電池用触媒担持電極によれば、Pt等の触媒金属微粒子を担持したアルミナやシリカ等の耐食性金属酸化物微粒子が導電性カーボン等の導電性担体に担持されていることにより、触媒金属微粒子と接触している該導電性担体が腐食消失しても触媒金属微粒子は耐食性金属酸化物微粒子上に担持されている。そのため、触媒金属微粒子が遊離することなく好適に保持されるため、触媒金属微粒子の凝集が抑制され、有効電極面積が低下するのを大幅に抑えることができる。その結果、当該触媒担持電極を用いてなる固体高分子型燃料電池では、電池性能の向上を図ることができ、ひいては長期にわたって所望の発電性能を維持することができるという最終的な目的を達成し得るものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明における固体高分子型燃料電池用触媒担持電極を実現し得る好適な実施の形態に基づいて説明する。
【0012】
本発明の固体高分子型燃料電池用触媒担持電極は、触媒金属微粒子を担持した耐食性金属酸化物が導電性担体表面に分散担持されていることを特徴とするものである。これにより、耐食性金属酸化物に触媒が担持されることにより触媒の凝集が抑制され、導電性担体の腐食消失を抑制できるため、触媒金属の凝集による性能低下を防ぐことができる。その結果、高い酸素還元活性を長期間保つ固体高分子型燃料電池用触媒担持電極およびこれを用いた燃料電池を提供することができる。なお、導電性担体表面と言う場合には、後述するように、導電性担体の微細構造(微細孔)中に浸入して該導電性担体の微細構造内部表面に均一に分散して担持されてもよいため、こうした導電性担体の微細構造内部表面も、導電性担体の表面に含まれ得るものである。
【0013】
ここで、本発明の対象となる固体高分子型燃料電池用触媒担持電極は、触媒金属微粒子を担持した耐食性金属酸化物が導電性担体表面に分散担持されている、いわば電極触媒のことをいう。よって、固体高分子型燃料電池用触媒担持電極を、単に電極触媒とも略記する。すなわち、固体高分子型燃料電池においては、例えば、本発明の電極触媒、イオン交換樹脂などの固体電解質を含む触媒層をシート状に形成するか、又はガス拡散層上に形成するなど公知の方法を採用して、固体高分子型燃料電池の電極(カソード及びアノード)とすることができる。よって、本発明の対象となる固体高分子型燃料電池用触媒担持電極は、あくまで電極触媒であって、固体高分子型燃料電池の電極(カソード及びアノード)と同義ではない。
【0014】
本発明に用いることのできる上記導電性担体としては、触媒を高分散担持させるために十分な比表面積をもった基体としてだけではなく、集電体として十分な電子導電性を有しているものであれば、特に制限されるべきものではなく、導電性担体表面には耐食性金属酸化物担体に担持される触媒金属粒子を担持していても担持していなくてもよい。具体的には、導電性カーボンあるいは触媒金属担持カーボンなどが挙げられる。より具体的には、導電性カーボンブラック、白金等の触媒金属担持カーボンブラック、活性炭、触媒金属担持活性炭、グラファイト、触媒金属担持グラファイトなどのほか、例えば、りん酸耐食性に優れる2700〜2800℃の温度で熱処理されたカーボン粉末と、触媒活性に優れる2400〜2500℃の温度で熱処理されたカーボン粉末とを混合して形成された導電性カーボンブラックなど、カーボンを高温で熱処理をして腐食耐性を高めたものなども利用可能であることは言うまでもない。これらは、集電体として十分な電子導電性を有し、その上、比表面積が大きいため触媒粒子を高分散担持することができるためである。特に本発明では、高分散に触媒担持金属酸化物微粒子を担持することができるので、高い活性を有する電極触媒が得られる。
【0015】
また、上記触媒金属担持カーボンでは、カーボンへの触媒金属の担持量は、触媒金属担持カーボン全量に対して通常3〜30質量%、好ましくは10〜20質量%の範囲である。これは、導電性担体であるカーボンに触媒金属を多く担持させても、耐久性(耐食性)を大幅に改善し得る手段とはなり得ないため、上記範囲内であれば十分である。触媒金属粒子の担持量は、例えば、誘導結合プラズマ発光分光法によって調べることができる。なお、上記触媒金属担持カーボン中の触媒金属については、耐食性金属酸化物に担持されている触媒金属微粒子と同様のものを用いることができるため、その種類や平均粒径等については後述する。また、導電性担体の粒径に関しては、後述する耐食性金属酸化物の粒径との関係で規定することが本発明においては有用であるため耐食性金属酸化物の項で説明する。
【0016】
次に、本発明に用いることのできる耐食性金属酸化物としては、強酸性かつ貴電位環境で腐食しない材料であれば特に制限されるべきものではない。すなわち、耐食性金属酸化物は、プロトン導電体として使用されるパーフルオロスルホン酸系ポリマーのような強酸性環境でなおかつ貴な電位領域で腐食されないことが必要となる。また、耐食性金属酸化物は、電子導電性あるいはプロトン導電性が高い方がより高い電極性能が期待できるが、電子導電性およびプロトン導電性は有していなくても十分な電極性能が得られ、高い耐久性が得られる。以上のことから、本発明に用いることのできる耐食性金属酸化物としては、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、セリア、酸化インジウムおよび酸化スズよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種を主成分とするものが望ましいものである。これらの耐食性金属酸化物では、強酸性電解質中で貴電位(>0.7V)状態においても腐食されないため、触媒金属粒子の遊離が発生しないため、触媒の凝集が起こらず、触媒金属の凝集による性能低下を防ぐことができる。その結果、高い酸素還元活性を長期間保つ固体高分子型燃料電池を提供することができる。
【0017】
また、電極触媒担体として通常よく用いられる導電性カーボンブラックは、直径約10〜50nm程度のカーボン1次粒子がアグリゲート(aggregate:凝集物の意味)構造を形成し、さらにそれが2次凝集してアグロメレート(agglomerate:集塊物の意味)構造を形成している。大きな比表面積を持つカーボンはこのような高次構造内にnmオーダーの微細孔を多く有している。集電体としても機能する導電性担体と耐食性金属酸化物表面に担持された触媒金属がより多く接触していることが望ましいため、触媒金属担持耐食性金属酸化物粒子は導電性担体の微細構造内に浸入可能でより均一に分散担持が実現できる程度に微細な粒子であることが求められる。以上のことから、本発明に用いることのできる耐食性金属酸化物の1次粒子径は、上記導電性担体の1次粒子径の0.1〜1倍、好ましくは0.4〜0.8倍であることが望ましい。上記耐食性金属酸化物の1次粒子径がかかる範囲内であれば、担体カーボンの微細構造中に侵入してカーボン表面に均一に分散して担持し得るためである。その結果、金属酸化物表面に担持された触媒が有効に担体カーボンに接触するため、触媒利用率を低下させることなく活性を維持することができる。ここで「1次粒子径」とはX線回折ピークの半値幅から算出される結晶子径を示す。また、上記耐食性金属酸化物の1次粒子径を決定する基準となる導電性担体の1次粒子径としては、特に制限されるものではなく、上述した導電性カーボンブラックの例に見られるように従来公知のものを利用することができるものであり、通常5〜100nmの範囲であり、好ましくは10〜50nmの範囲である。なお、導電性担体が触媒金属担持カーボンなどのように触媒金属を担持するような場合の1次粒子径は、触媒金属を含まない担体カーボンの1次粒子径を用いるものとする。これらの耐食性金属酸化物の1次粒子径および導電性担体の1次粒子径の測定方法としては、例えば、X線回折により求めることができる。導電性担体への耐食性金属酸化物の分散担持量としては、電池の使用目的に応じて適宜決定すればよく、導電性担体や耐食性金属酸化物の種類や1次粒子径や導電性担体による微細構造(細孔径)などによっても異なることから一義的に規定することはできないが、触媒金属担持耐食性金属酸化物微粒子全体に対して通常5〜70質量%、好ましくは10〜60質量%の範囲である。かかる範囲で該耐食性金属酸化物を高分散担持することで、該耐食性金属酸化物に担持された触媒金属粒子を遊離、凝集させることなく好適に保持でき、耐久性(耐食性)を大幅に改善し得る手段となり得るためである。耐食性金属酸化物の担持量は、例えば、誘導結合プラズマ発光分光法によって調べることができる。
【0018】
次に、本発明に用いることのできる触媒金属微粒子としては、特に制限されるべきものではなく、従来公知の固体高分子型燃料電池用触媒担持電極に用いられる触媒金属を利用することができる。例えば、Pt、Au、Ru、Ir、Os、AgおよびPdなどが挙げられる。これらの金属触媒は1種単独で用いてもよいし、2種以上を単に併用してもよいほか、これらの一部または全部を合金形態で使用してもよい。好ましくは酸素還元活性の高い電極触媒であるPt、Ir、AgおよびPdのうち少なくとも1種を含んでおり(好ましくは主成分として含んでおり)、平均粒径が1〜10nmである。この場合にもこれら好適な金属触媒の一部または全部を合金形態で使用してもよいことはいうまでもない。ここで、触媒金属微粒子が、Pt、Ir、AgおよびPdのうち少なくとも1種を含んでいればよいとしたのは、これら貴金属は、単体あるいは合金として高い酸素還元活性を有し、酸素還元活性の高い電極触媒を得ることができるためである。すなわち、各貴金属単体について酸素還元活性はPt、Pd、Ir、Agなどが高い活性を示し、さらにPt、Pd、Ir、Agを基体とした貴金属合金も高い酸素還元活性を示すためである。なかでも質量活性が高いPtないしPtを主成分とするものがより望ましい。また、触媒金属微粒子の粒子径は、小さいほど電気化学反応が進行する有効電極面積が増加するため酸素還元活性も高くなるが、実際には触媒金属微粒子の粒子径が小さくなりすぎるとむしろ活性が低下する現象が見られた。そのため、本発明に用いることのできる触媒金属微粒子の平均粒径としては、好ましくは1〜10nmの範囲であり、より好ましくは2〜5nmの範囲がよい。これらの要件を満足する触媒金属微粒子では、高酸素還元活性を有する電極触媒を得ることができる。触媒金属微粒子の平均粒径は、例えば、CO(一酸化炭素)吸着法や透過型電子顕微鏡で調べることができる。また、耐食性金属酸化物への触媒金属微粒子の担持量は、電池の使用目的に応じて適宜決定すればよく、また、耐食性金属酸化物や触媒金属微粒子の種類や平均粒径や1次粒子径、導電性担体による微細構造(細孔径)などによっても異なることから一義的に規定することはできないが、触媒金属担持耐食性金属酸化物全体に対して通常1〜80質量%、好ましくは10〜50質量%の範囲である。かかる範囲で該触媒金属微粒子を耐食性金属酸化物に担持させておくことで、導電性単体のカーボン腐食が起こっても該耐食性金属酸化物に担持された触媒金属粒子を遊離、凝集させることなく、好適に保持できる。そのため、本発明の燃料電池用電極の耐久性(耐食性)を大幅に改善し得る手段となり得るものである。触媒金属粒子の担持量は、例えば、誘導結合プラズマ発光分光法によって調べることができる。また、固体高分子型燃料電池用触媒担持電極全体に対する触媒金属微粒子の担持量は、通常30〜80質量%、好ましくは40〜60質量%の範囲である。かかる規定は、電極触媒を分析する場合、耐食性金属酸化物への触媒金属微粒子の担持量等よりも簡便に測定できる点で有利である。
【0019】
なお、固体高分子型燃料電池用触媒担持電極における、触媒金属微粒子と、耐食性金属酸化物と、導電性担体との含有比率は、上記した導電性担体への耐食性金属酸化物の担持量等から決定されるべきものである。触媒金属微粒子:耐食性金属酸化物:導電性担体(質量比)=1:0.1〜2:0.1〜2程度であるが、これに制限されるものではない。なお、耐食性金属酸化物担体への触媒金属粒子の担持量(A)と、導電性担体表面への触媒金属粒子を担持量(B)との比率(A/B)は、導電性担体に触媒金属粒子を多く担持させても、耐久性(耐食性)を大幅に改善し得る手段とはなり得ないことから、A/B(質量比)=1以上となるように調整するのが望ましい。
【0020】
また、本発明の固体高分子型燃料電池用触媒担持電極たる電極触媒全体の平均粒径は、通常0.05〜0.5μm、好ましくは0.1〜0.3μmの範囲である。これは、イオン導電性を有するアイオノマーとともに導電性担体が、カーボン1次粒子がアグリゲート構造を形成し、さらにそれが凝集してアグロメレート構造を形成しており、かかるアグロメレート構造体の平均粒径により、電極触媒の平均粒径も決定されるためである。
【0021】
次に、本発明の固体高分子型燃料電池用触媒担持電極の製造方法は、耐食性金属酸化物に触媒金属を担持させて触媒金属担持耐食性金属酸化物を得る工程と、
それに続いて、該触媒金属担持耐食性金属酸化物を導電性担体表面に担持させる工程と、を含むことを特徴とするものである。本発明の製造方法では、はじめに金属触媒(例えば、Pt等の貴金属触媒)を耐食性金属酸化物(例えば、耐食性金属酸化物材料の表面)に担持させておき、これを導電性担体表面に担持させることで、触媒金属は耐食性金属酸化物に担持され、導電性担体表面に担持されることはない。なお、触媒金属担持耐食性金属酸化物を導電性担体表面に担持させることで、触媒金属の一部は導電性担体によっても担持されることはあるが、基本的には耐食性金属酸化物に担持されている。そのため、貴電位環境で金属触媒(例えば、Ptなど)と接触している導電性担体(例えば、導電性カーボン)のカーボン腐食が起こっても触媒金属粒子は耐食性金属酸化物(例えば、耐食性金属酸化物材料の表面)に好適に保持されるので金属触媒の凝集が抑制され、活性が長期間維持されるものである。一方、上記工程順ではなく、例えば、導電性担体に触媒金属を担持していない耐食性金属酸化物を担持した後、触媒金属担持工程を行うと、触媒金属が導電性担体表面にも多く担持されるため、所望の耐久性が得られにくく、触媒金属の担持量を調整する必要があるが、かかる製法方法によっても、本発明の固体高分子型燃料電池用触媒担持電極として規定する、触媒金属微粒子を担持した耐食性金属酸化物が、導電性担体表面に分散担持されていることを特徴とするものが得られることはいうまでもない。
【0022】
また本発明の製造法においては、前記触媒金属担持耐食性金属酸化物を得る工程としては、特に制限されるべきものではなく、従来公知の触媒金属担持技術を適用し得るものである。
【0023】
例えば、(1)触媒金属化合物溶液中に耐食性金属酸化物微粒子を分散させ、蒸発乾固する段階と、その後に熱処理を加える段階とを含む方法、(2)触媒金属コロイド溶液中に耐食性金属酸化物微粒子を分散させ、触媒金属コロイドを耐食性金属酸化物微粒子担体に吸着させることにより、触媒金属を耐食性金属酸化物微粒子に担持させる段階を含む方法、(3)耐食性金属酸化物の原料となる金属化合物を1種あるいはそれ以上含む溶液と触媒金属コロイド溶液との混合溶液のpHを調整することにより金属酸化物、含水酸化物、金属水酸化物を得ると同時に触媒金属コロイドを吸着させる段階と、それを焼成する段階とを含む方法、などが挙げられるが、これらに何ら制限されるべきものではない。
【0024】
前記触媒金属担持耐食性金属酸化物を得る工程として、上記(1)の各段階を行う方法では、耐食性金属酸化物微粒子表面に触媒金属を高分散担持することができ、所望の触媒金属担持耐食性金属酸化物微粒子を得ることができる点で優れている。
【0025】
上記(1)の各段階を行って耐食性金属酸化物に触媒金属を分散担持させる方法としては、通常の含浸法を用いることができる。
【0026】
ここで、触媒金属化合物溶液としては、上述したような触媒金属が、上記各段階を経て生成し得る(熱処理後に残る)ものであればよく、例えば、塩化白金酸水溶液、塩化イリジウム、硝酸銀、塩化パラジウムなどが挙げられるが、これらに何ら制限されるべきものではない。
【0027】
なお、上記触媒金属化合物溶液中の触媒金属の含有量は、特に制限されるべきものではなく、飽和濃度以下であればよい。ただし、低濃度では所望の担持量になるまでに上記段階を繰り返して調整する必要があることから、適宜必要な濃度を決定すればよい。触媒金属化合物溶液中の触媒金属の含有量としては、0.01〜10質量%程度であるが、これに制限されるものではない。
【0028】
上記触媒金属化合物溶液中への耐食性金属酸化物微粒子の添加量は、使用目的に応じて適宜決定すればよい。なお、耐食性金属酸化物微粒子の種類や1次粒子径に関しては、既に説明した通りであるのでここでの説明は省略する。
【0029】
また、蒸発乾固条件としては、特に制限されるものではなく、触媒金属化合物溶液に用いられている溶媒、例えば、水、アルコール類などの種類に応じて適宜決定されるものであり、水の場合には、後述する実施例1にあるように混合溶液を適当に攪拌等しながら20〜90℃程度で、水分(溶媒分)が完全に蒸発するまで加熱を続ければよい。20℃未満では長持間を要し不経済であり、90℃を超える場合には、所望しない反応が進行する恐れがあるほか、溶媒が急激に蒸発するため、一部の耐食性金属酸化物微粒子が揮発性ガスに同伴されるおそれがある。また、蒸発乾固は常圧でも減圧雰囲気下でもよく、蒸発乾固により得られる試料がバルク形態の場合には、熱処理を加える段階を行う前に適当に粉砕しておくのが望ましい。
【0030】
なお、触媒金属化合物溶液中への耐食性金属酸化物微粒子の分散には、ホモジナイザなどの適当な攪拌機を用いればよいが、これに制限されるものではなく、超音波分散装置など超音波を印加して均一に分散混合するなどしてもよい。
【0031】
上記熱処理を加える段階では、耐食性金属酸化物微粒子表面に付着した触媒金属化合物をしゃく熱して所望の粒径の触媒金属が残るように行えばよい。よって、熱処理条件としては、用いる触媒金属化合物や耐食性金属酸化物微粒子の種類等によっても異なることから、一義的に規定することはできないが、例えば、塩化白金酸水溶液とシリカ微粒子とを用いる場合、酸化雰囲気中、好ましくは空気中で200〜600℃で1〜6時間程度行うことで触媒金属である白金を耐食性金属酸化物微粒子であるシリカの表面に担持させることができる。200℃未満では未焼成の触媒金属化合物が残留したり所望の粒径の触媒金属が形成するのが困難であり、また長持間を要し不経済である。一方、600℃を超える場合には耐食性金属酸化物微粒子や触媒金属粒子の一部が融着等を起こすおそれがある。また1時間未満でも未焼成の触媒金属化合物が残留するおそれがあり、6時間を超える場合には既に所望の粒径の触媒金属が形成されており、更なる加熱を行うのは不経済である。他の触媒金属化合物や耐食性金属酸化物微粒子の組み合わせにおいても、上記熱処理条件とほぼ同程度で触媒金属を耐食性金属酸化物微粒子表面に担持させることができるものである。上記熱処理を行うことにより、耐食性金属酸化物微粒子に触媒金属を担持できるものであるが、このときの触媒金属の平均粒径は、既に述べたように1〜10nm、好ましくは2〜5nmとするのが好ましく、上記段階での熱処理条件を制御することによる達成可能である。
【0032】
前記触媒金属担持耐食性金属酸化物を得る工程として、上記(2)の段階を行う方法でも、耐食性金属酸化物微粒子表面に触媒金属を高分散担持することができ、所望の触媒金属担持耐食性金属酸化物微粒子を得ることができる点で優れている。
【0033】
上記(2)の段階を行って耐食性金属酸化物に触媒金属を分散担持させる方法としては、通常のコロイド吸着法を用いることができる。
【0034】
ここで、触媒金属コロイド溶液(懸濁液)に用いられる触媒金属としては、上述したように固体高分子型燃料電池用触媒として使用できるものであれば用いることができ、例えば、Pt、Ir、AgおよびPdのうち少なくとも1種を含んでいるものなどが挙げられる。また、こうした触媒金属の固体粒子(コロイド粒子)を均一に分散(懸濁)させるのに用いられる液体(分散媒)としては、例えば、水やアルコール類などが挙げられるが、これらに何ら制限されるべきものでない。触媒金属コロイド溶液(懸濁液)としては、コロイドの安定化剤として、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)のような水溶性ポリマーやエチレングリコールデシルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルなどの非イオン系界面活性剤を加えたPt、Ir、AgおよびPdコロイド溶液を用いることが出来る。なかでも、高い質量活性を示すことから、Ptコロイド溶液が好適に使用される。
【0035】
なお、上記触媒金属コロイド溶液中の触媒金属の含有量は、耐食性金属酸化物に所望の担持量となるように触媒金属を担持させることができるものであればよく、特に制限されるべきものではない。よって、触媒金属コロイド溶液中の触媒金属の含有量としては、0.001〜10質量%程度であるが、これに制限されるものではない。なお、この場合でも、所望の担持量になるまでに上記段階を繰り返して調整してもよい。
【0036】
上記(2)の段階を行う方法では、コロイド状の触媒微粒子を溶解させた触媒金属コロイド溶液を用いるため、上記(1)の方法のように、媒金属化合物溶液中に耐食性金属酸化物微粒子を分散させ蒸発乾固した後の熱処理工程が不要であり、触媒金属粒子のシンタリング(sintering 焼結;半融)を抑制することが可能であり、所望の触媒金属担持耐食性金属酸化物微粒子を簡便に得ることができる。また、上記(2)の方法により得られる触媒金属担持耐食性金属酸化物微粒子がバルク(塊状)形態の場合には、次工程を行う前に適当に粉砕しておくのが望ましい。ただし、上記(2)の方法でも、上記(1)と同様に、乾燥、粉砕後に適当な条件下で熱処理を行ってもよいことはいうまでもない。
【0037】
また、上記(2)の方法での、分散、吸着には、適当な分散装置を用いて行うことができ、ホモジナイザ、超音波分散装置、マグネチックスターラーなどを適当に組み合わせて行うことができる。
【0038】
前記触媒金属担持耐食性金属酸化物を得る工程として、上記(3)の各段階を行う方法でも、耐食性金属酸化物微粒子表面に触媒金属を高分散担持することができ、所望の触媒金属担持耐食性金属酸化物微粒子(粉末)を得ることができる点で優れている。
【0039】
上記(3)の各段階を行って耐食性金属酸化物に触媒金属を分散担持させる方法としては、耐食性金属酸化物の原料となる金属化合物を1種あるいはそれ以上含む溶液(以下、単に金属化合物含有溶液ともいう)と触媒金属コロイド溶液との混合溶液中での耐食性金属酸化物前駆体となる金属酸化物、含水酸化物または金属水酸化物の沈殿を形成すると同時に触媒金属コロイドを吸着させる段階と、それを焼成する段階を含むものである。
【0040】
ここで、耐食性金属酸化物の原料となる金属化合物としては、例えば、硝酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、珪酸ナトリウム、シリコンエトキシド、シリコンメトキシド、オキシ硝酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムメトキシド、ジルコニウムプロポキシド、塩化チタン、チタニウムエトキシド、チタニウムメトキシド、チタニウムプロポキシド、硝酸セリウム、塩化インジウム、硝酸インジウム、インジウムエトキシド、インジウムメトキシド、インジウムプロポキシド、塩化スズなどが挙げられるが、これらに制限されるものではない。これらの金属化合物は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。上記金属化合物種を1種あるいはそれ以上含み得る溶液としては、例えば、上記金属化合物の混合溶液などが例示できるが、これらに制限されるものではない。
【0041】
また、触媒金属コロイド溶液としては、上記(2)の方法で説明したものと同様のものを用いることができる。なお、金属化合物含有溶液と触媒金属コロイド溶液とは、共に相溶性のある溶液を選択する。各溶液が2層に分離した状態では混合溶液にしにくいためである。
【0042】
上記混合溶液のpHを調整は、耐食性金属酸化物前駆体となる金属酸化物、含水酸化物または金属水酸化物の沈殿を形成すると同時に触媒金属コロイドを吸着させることができればよい。すなわち、混合溶液に用いる上記金属化合物含有溶液や触媒金属コロイド溶液の種類等によっても異なることから一義的に規定することはできないが、金属化合物含有溶液および触媒金属コロイド溶液の種類に応じて、これらの混合溶液のpHを酸またはアルカリ(溶液)を添加するなどして調整すればよい。同様に、上記金属化合物含有溶液中の金属化合物の濃度(添加量)、触媒金属コロイド溶液中の触媒金属の濃度(添加量)、混合溶液中の上記金属化合物含有溶液と触媒金属コロイド溶液の配合比率などに関しては、上記(3)の方法により、上述した触媒金属微粒子の担持量を有する所望の触媒金属担持耐食性金属酸化物が得られるように適宜決定すればよい。
【0043】
また、耐食性金属酸化物前駆体となる金属酸化物、含水酸化物または金属水酸化物の沈殿を形成すると同時に触媒金属コロイドを吸着させたものを焼成する条件としては、耐食性金属酸化物前駆体を耐食性金属酸化物とすることができ、この耐食性金属酸化物に触媒金属を担持させることができればよく、大気中あるいは不活性雰囲気中で、焼成温度200〜600℃、好ましくは300〜500℃の範囲で、1〜8時間、好ましくは2〜6時間焼成すればよい。200℃未満では未焼成の耐食性金属酸化物前駆体や触媒金属コロイドが残留したり所望の粒径の耐食性金属酸化物や触媒金属微粒子を形成するのが困難であり、また長持間を要し不経済である。一方、600℃を超える場合には耐食性金属酸化物微粒子や担持した触媒金属微粒子の一部が融着等を起こすおそれがある。また1時間未満でも未焼成の耐食性金属酸化物前駆体や触媒金属コロイドが残留したり所望の粒径の耐食性金属酸化物や触媒金属微粒子を形成するのが困難であり、8時間を超える場合には既に所望の粒径の耐食性金属酸化物微粒子が形成され、かつ触媒金属が担持させており、更なる加熱を行うのは不経済である。
【0044】
次に、上述したような方法で得られた触媒金属担持耐食性金属酸化物を導電性担体表面に担持させる工程としては、特に制限されるべきものではなく、従来公知の担持方法を適宜利用することができるものであるが、好ましくは、触媒金属担持耐食性金属酸化物粉末と導電性担体粉末を液体中に分散させ、触媒金属担持耐食性金属酸化物微粒子を導電性担体表面に吸着させることを特徴とする方法が望ましい。これにより、導電性担体表面に触媒金属担持金属酸化物を高分散担持することができ、所望の耐久性に優れた電極触媒を得ることができるためである。
【0045】
なお、上記方法では、触媒金属担持耐食性金属酸化物と導電性担体を液体媒体中に分散させて吸着担持させた後、濾取して乾燥させることで、触媒金属微粒子を担持した耐食性金属酸化物が導電性担体表面に分散担持されてなる所望の電極触媒を得ることができるが、必要であれば、その後に更に熱処理を加えてもよい。
【0046】
ここで、触媒金属担持耐食性金属酸化物粉末と導電性担体粉末を分散させるのに用いることのできる液体媒体としては、例えば、エタノール、水などが挙げられるが、これらに制限されるべきものではない。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
【0047】
また、上記触媒金属担持耐食性金属酸化物及び導電性担体の種類や1次粒子径等に関しては、既に説明した通りであるのでここでの説明は省略する。
【0048】
また、導電性担体の1種である触媒金属担持カーボンの製造方法としては、特に制限されるべきものではなく、従来公知の方法を用いることができるものであり、例えば、後述する実施例2に示すような方法により、市販の導電性カーボンから所望の触媒金属担持量に調整した触媒金属担持カーボンを得ることができるものである。すなわち、触媒金属担持カーボンは、適量の導電性カーボンを所定の濃度の触媒金属(例えば、白金)を含んだ触媒金属溶液(塩化白金酸水溶液)中にホモジナイザ等の分散装置を用いて十分に分散させた後、ここにクエン酸ナトリウムなどの還元剤を適量加え、還流反応装置を用いて20〜100℃に加熱して触媒金属(例えば、白金)の還元担持を行う。その後、室温まで放冷した後、触媒金属(例えば、白金)が担持されたカーボンを濾別することにより、所望の触媒金属担持量を有する(触媒金属担持カーボン)を得ることができるが、この方法に何ら制限されるものではない。
【0049】
触媒金属担持耐食性金属酸化物と導電性担体を液体媒体中に分散させる方法としては、特に制限されるべきものではなく、ホモジナイザ、超音波分散装置、マグネチックスターラー等の適当な分散手段を適宜組み合わせるなどして行うことができる。また、触媒金属担持耐食性金属酸化物及び導電性担体は、一度に液体媒体中に分散させてもよいし、例えば、導電性担体を初めに分散させ、その後に触媒金属担持耐食性金属酸化物を分散させるなど、二度に分けて分散させてもよい。この際、分散に用いる分散手段もその都度最適なものを選択して用いればよい。
【0050】
さらに触媒金属担持耐食性金属酸化物と導電性担体を液体媒体中に分散させて吸着担持させる方法としては、特に制限されるべきものではなく、上記分散操作により、触媒金属担持耐食性金属酸化物を導電性担体に吸着担持させることができる。これは、上述したように、触媒金属担持耐食性金属酸化物と導電性担体の1次粒子径の違いや、導電性担体の持つ微細構造(nmオーダーの微細孔)などにより、適当な分散操作、例えば、超音波分散操作により、導電性担体の持つ微細構造内に触媒金属担持耐食性金属酸化物微粒子が容易に浸入し、均一に分散担持ができるためである。かかる観点から、本発明の製造法に用いる触媒金属担持耐食性金属酸化物や導電性担体の1次粒子径やその構造に関しては、固体高分子型燃料電池用触媒担持電極の実施形態において規定した範囲のものを用いるのが望ましいものである。また、上記液体媒体中の上記触媒金属担持耐食性金属酸化物粉末と導電性担体粉末との配合比率の配合比率などに関しても、上述した導電性担体への触媒金属担持耐食性金属酸化物の担持量を有する所望の電極触媒が得られるように適宜決定すればよい。
【0051】
また、液体媒体中の触媒金属微粒子を担持した耐食性金属酸化物が導電性担体表面に分散担持されてなる所望の電極触媒は、吸引瀘過などの瀘別手段など常法により、濾取し、60〜100℃で2〜24時間乾燥することにより得られるものであるが、これらに何ら制限されるべきものではない。60℃未満では長持間を要し不経済であり、100℃を超える場合には触媒粉末が発火する可能性が生じるほか、液体媒体が急激に蒸発するため、一部の触媒金属微粒子を担持した耐食性金属酸化物や導電性担体が揮発性ガスに同伴されるおそれがある。
【0052】
さらに、必要に応じて行われる熱処理条件としては、不活性または還元雰囲気中で、焼成温度150〜1000℃、好ましくは200〜900℃の範囲で、1〜8時間、好ましくは4〜6時間加熱すればよい。150℃未満では導電性担体表面への耐食性金属酸化物微粒子の担持のされ方が不十分となるおそれがあり、また長持間を要し不経済である。一方、1000℃を超える場合には導電性担体であるカーボンの一部が燃焼するおそれがある。また1時間未満でも導電性担体表面への耐食性金属酸化物微粒子の担持のされ方が不十分となるおそれがあり、8時間を超える場合には既に導電性担体表面に耐食性金属酸化物微粒子が強固に担持されており、更なる加熱を行うのは不経済である。
【0053】
【実施例】
以下では、本発明の実施例を記載するが、この実施例は本発明を限定するものではない。
【0054】
(実施例1)
耐食性金属酸化物微粒子としてのSiO2を1g含んだ1次粒子径10nmのシリカ分散物(日産化学株式会社製スノーテックスS、30質量%)と、触媒金属化合物溶液として1gの白金を含んだ塩化白金酸水溶液を十分に混合させたあと、この混合溶液を攪拌しながら80℃に保ち、水分が完全に蒸発するまで加熱しつづけた。乾燥後、試料を粉砕して、空気中400℃で4時間熱処理することによって触媒金属担持耐食性金属酸化物としてPt担持シリカを得た。
【0055】
導電性担体としての導電性カーボンブラック(Cabot社Vulcan XC−72、1次粒子径30nm)2gとエタノール25mlを混ぜたものに精製水500mlを加え、ホモジナイザを用いて該導電性カーボンブラックをよく分散させた。これに上記方法によって調製したPt担持シリカを加えてさらに超音波分散により30分間よく分散させるとともに該導電性カーボンブラック表面にPt担持シリカを吸着担持させた。これを吸引濾過により試料を濾取し、80℃で12時間乾燥させることにより、電極触媒としてPt担持シリカ微粒子担持カーボンブラック(実施例1の電極触媒)を得た。この試料の定量分析を行った結果、Pt担持量は20.1質量%であった。また、透過型電子顕微鏡観察によりPtの平均粒子径は2.5nmと見積もられた。
【0056】
(実施例2)
実施例1に示した調製法における導電性カーボンブラックの代わりに10質量%Pt担持カーボンブラックを用いた以外は実施例1と同様な方法で、Pt担持シリカ微粒子担持カーボンブラック(実施例2の電極触媒)を得た。この試料の定量分析を行った結果、Pt担持量は22.3質量%であった。また、透過型電子顕微鏡観察によりPtの平均粒子径は2.1nmと見積もられた。
【0057】
尚、上記10質量%Pt担持カーボンブラックは、導電性カーボンブラック(Cabot社Vulcan XC−72、1次粒子径30nm)9gを0.4質量%の白金を含んだ塩化白金酸水溶液250g中にホモジナイザを用いて十分に分散させた後、ここにクエン酸ナトリウム3gを加え、還流反応装置を用いて80℃に加熱して白金の還元担持を行った。室温まで放冷した後、白金が担持されたカーボンを濾別することにより得た。
【0058】
(比較例1)
導電性カーボンブラック(Cabot社Vulcan XC−72、1次粒子径30nm)3gを0.4質量%の白金を含んだ塩化白金酸水溶液250g中にホモジナイザを用いて十分に分散させた後、ここにクエン酸ナトリウム3gを加え、還流反応装置を用いて80℃に加熱して白金の還元担持を行った。室温まで放冷した後、白金が担持されたカーボンを濾別することにより比較例1の電極触媒を得た。この試料の定量分析を行った結果、Pt担持量は23.2質量%であった。また、透過型電子顕微鏡観察によりPtの平均粒子径は2.7nmと見積もられた。
【0059】
(比較例2)
導電性カーボンブラック(Cabot社Vulcan XC−72、1次粒子径30nm)2gとエタノール25mlを混ぜたものに精製水500mlを加え、ホモジナイザを用いてカーボンをよく分散させた。これにSiO2を1g含んだ1次粒子径10nmのシリカ分散物(日産化学製スノーテックスS、30質量%)を加え、さらに超音波分散により、よく分散させるとともにカーボンブラック表面にシリカを担持させた。これを吸引濾過により、試料を濾取し、80℃で12時間乾燥させることにより、シリカ微粒子担持カーボンブラックを得た。
【0060】
このシリカ微粒子担持カーボンブラックを0.4質量%の白金を含んだ塩化白金酸水溶液250g中にホモジナイザを用いて十分に分散させた後、ここにクエン酸ナトリウム3gを加え、還流反応装置を用いて80℃に加熱して白金の還元担持を行った。室温まで放冷した後、粉末試料を濾別することにより比較例2の電極触媒を得た。この試料の定量分析を行った結果、Pt担持量は23.3質量%であった。また、透過型電子顕微鏡観察によりPtの平均粒子径は2.5nmと見積もられた。さらに比較例2の製法ではPtのほとんどがカーボンブラック表面に担持されており、シリカにはほとんど担持されていなかった。これは比較例1のPt担持カーボンと同様な構成になっており、シリカによる抑制効果が働かなかったと考えられ、少なくともPtの一部は耐食性金属酸化物表面に担持されていないと耐久性が賦与されないといえる。
【0061】
(電極触媒の性能評価)
MEA(膜−電極接合体)の作製については以下のように行った。
【0062】
カソードとして各実施例および比較例の電極触媒に精製水とイソプロピルアルコールを加え、さらには所定量のNafionを含んだ溶液に加えてホモジナイザでよく分散させ、さらに脱泡操作を加えることによって触媒スラリーを作製した。これをガス拡散層(GDL)であるカーボンペーパー(東レ株式会社製TGP−H)の片面にスクリーン印刷法によって所定量印刷し、60℃で24時間乾燥させて触媒層を形成した。触媒層を形成した面を電解質膜に合わせて120℃、0.2MPaで、3分間ホットプレスを行うことによりそれぞれのMEAを作製した。
【0063】
アノードは同様な方法を用いて電極触媒として25質量%Pt担持カーボンを用いてMEAを作製した。
【0064】
これらのアノードおよびカソードのMEAを組み立てて燃料電池単セルをそれぞれ作製した。なお、これらのMEAは、アノード、カソードともにPt使用量を見かけの電極面積1cm2あたり0.5mgとし、電極面積は300cm2とした。また、電解質膜としてNafion112を用いた。
【0065】
これらの燃料電池単セルの耐久性測定は、以下のように行った。本測定では燃料電池を発電運転させる場合にはアノード側に燃料として水素を供給し、カソード側には空気を供給した。両ガスとも供給圧力は大気圧とし、水素は80℃、空気は60℃で飽和加湿し、燃料電池本体の温度は80℃に設定し、水素利用率は70%、空気利用率は40%として、電流密度0.5A/cm2で30分間運転を続けた。発電を停止する場合にはアノード、カソードともに加湿窒素パージとし、燃料電池本体の温度制御は行わなかった。停止時間は30分とした。この運転−停止サイクルを繰り返すことによって、燃料電池単セルの耐久性評価を行った。
【0066】
図1は、実施例1、2、比較例1および比較例2の電極触媒を用いて構成した各固体高分子電解質型燃料電池を電流密度0.5A/cm2におけるセル電圧の運転開始からの低下率の運転−停止サイクル数に対する変化を示すグラフである。図に示すように、従来型のPt担持カーボンを電極触媒とした比較例1の電極触媒を用いた燃料電池は運転当初からセル電圧の低下率が大きく、500サイクルに達する前にセル電圧は半分近くにまで低下した。また、比較例2の電極触媒を用いた燃料電池もセル電圧低下速度が大きく、600サイクルでセル電圧は運転開始時の約60%にまで低下した。比較例2の電極触媒を用いた燃料電池の耐久試験の結果から、耐食性金属酸化物を担持した導電性カーボン担体にPt担持を行った場合には、電極触媒の耐久性はほとんど賦与されておらず、カーボンの腐食を抑制する効果が発現していないことが示唆される。
【0067】
一方、実施例1および実施例2の電極触媒を用いた燃料電池は、両比較例の場合と大きく異なり、1000サイクル経過後もセル電圧は初期のセル電圧の95%前後を保っていることがわかった。
【0068】
この結果から、実施例電極では触媒金属が耐食性の高い金属酸化物に担持されているため、燃料電池の運転によってカーボン腐食が起こっても触媒金属の遊離が発生せず、凝集やシンタリングが抑制されるため、電極活性の低下が抑えられたと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1、実施例2、比較例1および比較例2の電極触媒(固体高分子型燃料電池用触媒担持電極)を用いて構成した各固体高分子電解質型燃料電池の電流密度0.5A/cm2でのセル電圧の低下率と運転−停止サイクル数との関係を示すグラフ図面である。
Claims (10)
- 触媒金属微粒子を担持した耐食性金属酸化物が、導電性担体表面に分散担持されていることを特徴とする固体高分子型燃料電池用触媒担持電極。
- 前記導電性担体が、導電性カーボンあるいは触媒金属担持カーボンであることを特徴とする請求項1に記載の固体高分子型燃料電池用触媒担持電極。
- 耐食性金属酸化物が、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、セリア、酸化インジウムおよび酸化スズよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種を主成分とすることを特徴とする請求項1または2に記載の固体高分子型燃料電池用触媒担持電極。
- 耐食性金属酸化物の1次粒子径は、導電性担体の1次粒子径の0.1〜1倍であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池用触媒担持電極。
- 触媒金属は、Pt、Ir、AgおよびPdのうち少なくとも1種を含んでおり、平均粒径が1〜10nmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池用触媒担持電極。
- 耐食性金属酸化物に触媒金属を担持させて触媒金属担持耐食性金属酸化物を得る工程と、
それに続いて、該触媒金属担持耐食性金属酸化物を導電性担体表面に担持させる工程と、を含むことを特徴とする固体高分子型燃料電池用触媒担持電極の製造方法。 - 前記触媒金属担持耐食性金属酸化物を得る工程が、
触媒金属化合物溶液中に耐食性金属酸化物微粒子を分散させ、蒸発乾固する段階と、その後に熱処理を加える段階と、を含むことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。 - 前記触媒金属担持耐食性金属酸化物を得る工程が、
触媒金属コロイド溶液中に耐食性金属酸化物微粒子を分散させ、触媒金属コロイドを耐食性金属酸化物微粒子担体に吸着させることにより、触媒金属を耐食性金属酸化物微粒子に担持させる段階を含むことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。 - 前記触媒金属担持耐食性金属酸化物を得る工程が、
耐食性金属酸化物の原料となる金属化合物を1種あるいはそれ以上含む溶液と触媒金属コロイド溶液との混合溶液のpHを調整することにより、金属酸化物、含水酸化物または金属水酸化物を得ると同時に触媒金属コロイドを吸着させる段階と、
それを焼成する段階と、を含むことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。 - 該触媒金属担持耐食性金属酸化物を導電性担体表面に担持させる工程が、
触媒金属担持耐食性金属酸化物粉末と導電性担体粉末を液体中に分散させ、触媒金属担持耐食性金属酸化物微粒子を導電性担体表面に吸着させる段階を含むことを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
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