JP2019160444A - 電極触媒層/ガス拡散層一体型の電極構造体及びその製造方法、並びに膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池 - Google Patents

電極触媒層/ガス拡散層一体型の電極構造体及びその製造方法、並びに膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】固体高分子形燃料電池の電極部材に適した電極触媒層/ガス拡散層一体型の電極構造体を提供する。【解決手段】炭素材料からなるシート状のガス拡散層と、前記ガス拡散層の片面に形成された炭素材料からなるマイクロポーラス層に形成された電極触媒層とを有する電極触媒層/ガス拡散層一体型の電極構造体であって、前記電極触媒層が、マイクロポーラス層を構成する炭素材料に担持された金属系担体と、前記金属系担体に担持された電極触媒とを含む電極構造体。当該電極構造体は、炭素系担体を用いた場合に生じる腐食劣化が生じず、電極触媒層の導電性に優れ、電極全体の電子伝導性に優れる。当該電極構造体を用いた膜電極接合体を備えた固体高分子形燃料電池は、高い発電性能と耐久性が両立する。【選択図】なし

Description

本発明は、固体高分子形燃料電池等の電極部材として使用される電極触媒層/ガス拡散層一体型の電極構造体、並びに当該電極構造体を含む膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池に関する。
電解質に固体高分子膜を使用した固体高分子形燃料電池(PEFC)は、作動温度が80℃付近と比較的低温であるため、例えば、車載用電源、家庭用等の小規模な固定電源として導入されている。PEFCでは、以下の電気化学反応によって電力を取り出すことができる。
アノ−ド反応:2H2 → 4H++4e- (反応1)
カソ−ド反応:O2+4H++4e-→2H2O (反応2)
全反応 :2H2+O2→2H2
PEFCは、電解質膜と前記電解質膜の両面に積層された電極(アノード及びカソード)とを含む膜電極接合体(MEA)と、前記膜電極接合体の両面に積層されたガス拡散層(GDL)とからなる発電モジュールを、ガス流路が形成された2つのセパレータで挟んだ構造のセルを基本単位として構成されている。PEFCの構成部材は、一般的に、セパレータは金属材料で形成されており、ガス拡散層は多孔質の炭素材料が使用されている。また、電極触媒層(アノード及びカソード)は、担体の表面にPt等の貴金属微粒子が担持された構造を有し、担体には一般的に炭素材料が使用されている(例えば、特許文献1,2)。
一方、PEFCの膜電極接合体(MEA)の電解質膜で使用されるナフィオン(Nafion)は酸性(pH=0〜3)であるため、PEFCの電極材料は超強酸性条件で使用されることになる。また、通常運転しているときのセル電圧は0.4〜1.0Vであるが、起動停止時にはセル電圧が1.5Vまで上昇するため、カソードでは、炭素系担体が電気化学的に酸化されてCO2に分解する反応が起こり、炭素系担体が腐食されて触媒活性成分である貴金属粒子が脱落するという問題があり、アノードにおいても運転初期などに燃料ガスが不足すると、その部分での電圧低下、あるいは濃度分極が生じて局部的に通常と反対の電位となり、炭素系担体の電気化学的酸化分解反応が起こることがある。
上述した炭素系担体の腐食の問題に対し、本発明者らは特許文献3において、強酸性条件、高電位においても安定な酸化スズ系担体を使用し、この担体に電極触媒粒子を担持した電極触媒材料を報告している。
また、本発明者らは特許文献4において、炭素材料からなるガス拡散層の表面に形成されたマイクロポーラス層(MPL)に、電子伝導性酸化物(酸化スズ)からなる担体を物理蒸着で担持し、この担体の上に選択的に電極触媒粒子を担持したPEFC用電極を報告している。このPEFC用電極では、酸化スズ等の電子伝導性酸化物が、PEFC作動条件(強酸性、高電位)で熱力学的に安定であるため酸化腐食されることなく長期間安定であり、かつ、炭素で構成され、電子伝導性に優れるマイクロポーラス層の上に酸化物担体が物理蒸着により形成され、酸化物担体の粒界による抵抗が小さくなるという利点がある。
特開2005−87993号公報 特許第368364号公報 特許第5322110号公報 WO2015/141595
特許文献3や特許文献4で使用されている酸化スズ系担体は、強酸性条件、高電位においても安定であるが、電子伝導率は一般に、金属材料>炭素材料>酸化物材料の関係にあり、電子導電性の点では金属材料や炭素材料と比較すると小さく、電極全体の電子伝導性を高めるためには改善の余地があった。
かかる状況下、本発明の目的は、電極触媒層の導電性に優れ、かつ、腐食劣化が生じづらい電極触媒層/ガス拡散層一体型の電極構造体を提供することである。また、本発明の他の目的は、前記電極構造体を使用した膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> 炭素材料からなるシート状のガス拡散層と、前記ガス拡散層の片面に形成された炭素材料からなるマイクロポーラス層に形成された電極触媒層とを有する電極触媒層/ガス拡散層一体型の電極構造体であって、
前記電極触媒層が、マイクロポーラス層を構成する炭素材料に担持された金属系担体と、前記金属系担体に担持された電極触媒とを含む電極構造体。
<2> 前記金属系担体が、金属チタン又はチタン合金である<1>に記載の電極構造体。
<3> 前記金属系担体が、チタン複合酸化物である<1>に記載の電極構造体。
<4> 前記電極触媒が、貴金属触媒である<1>から<3>のいずれかに記載の電極構造体。
<5> <1>から<4>のいずれかに記載の電極構造体の製造方法であって、
前記金属系担体の担持を、アークプラズマ蒸着法によって行う工程を有する電極構造体の製造方法。
<6> 前記電極触媒の担持を、アークプラズマ蒸着法によって行う工程を有する<5>に記載の電極構造体の製造方法。
<7> 固体高分子電解質膜と、前記固体高分子電解質膜の一方面に接合されたカソードと、前記固体高分子電解質膜の他方面に接合されたアノードと、を有する膜電極接合体であって、前記カソードとアノードの少なくとも一方として、<1>から<4>のいずれかに記載の電極構造体を用いてなる膜電極接合体。
<8> <7>に記載の膜電極接合体を備えてなる固体高分子形燃料電池。
本発明の電極触媒層/ガス拡散層一体型の電極構造体は、その電極触媒層における電極触媒を担持する担体が、電子伝導性が高く、熱力学的に安定な金属系担体によって形成されているため、電極触媒層の導電性に優れ、かつ、炭素材料を用いた場合に生じる腐食劣化が生じない。また、電極触媒層と、ガス拡散層が一体であるため、集電性に優れ、電極全体の電子伝導性に優れるという利点を有する。当該電極構造体を用いた膜電極接合体を備えた固体高分子形燃料電池は、高い発電性能と耐久性が両立する。
固体高分子形燃料電池(単セル)概念図である。 本発明に係る電極触媒層/ガス拡散層一体型の電極構造体の模式図である。 アークプラズマ蒸着装置の概念図である。 実施例で使用したマイクロポーラス層(MPL)/ガス拡散層(GDL)一体型のカーボンペーパー(型番:GDL35BC)のFE−SEM像であり、(a)は全体(MPL/GDL)断面、(b)はMPL断面、(c)はGDL表面、(d)はGDL表面(高倍率)、(e)はMPL表面、(f)MPL表面(高倍率)である。 実施例1及び実施例2の電極構造体の電流-電圧(IV)特性の評価結果である。
以下、本発明について例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下の例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
<1.電極触媒層/ガス拡散層一体型の電極構造体>
本発明は、炭素材料からなるシート状のガス拡散層と、前記ガス拡散層の片面に形成された炭素材料からなるマイクロポーラス層に形成された電極触媒層とを有する電極触媒層/ガス拡散層一体型の電極構造体であって、前記電極触媒層が、マイクロポーラス層を構成する炭素材料に担持された金属系担体と、前記金属系担体に担持された電極触媒とを含む電極構造体(以下、「本発明の電極構造体」と称す場合がある。)に関する。
本発明の電極構造体は、固体高分子形燃料電池(PEFC)の電極部材として好適である。また、PEFC以外にもアルカリ型燃料電池、リン酸型燃料電池などの各種燃料電池における電極として用いることができる。また、水の電解装置用の電極としても好適に使用することができる。水の電解装置としては、本発明の電極構造体とPEFCと同様な固体高分子電解質膜を使用した水の電解装置が好適な一例として挙げられる。
なお、燃料電池や水電解装置の電極(アノード及びカソード)は、通常、ガス拡散層を含まないが、本発明の電極構造体を使用する場合においては、電極(アノード及びカソード)は「電極触媒層及びガス拡散層」である場合を含む概念とする。
本発明の電極構造体の特徴は、電極触媒層において電極触媒を担持する担体に非カーボン系担体である金属系担体を用いていることにある。
金属系担体は、PEFCの運転条件において、十分な耐久性と電子伝導性を併せ持つ材料であればよい。金属系担体の詳細については後述する。
なお、本明細書において、PEFCの運転条件は、PEFCのカソード条件及びアノード条件の両方を含む。PEFCのカソード条件とは、PEFCの通常運転時のカソードにおける条件であり、温度が室温〜150℃程度、空気等の酸素を含むガスが供給される条件(酸化雰囲気)を意味し、アノード条件とは、PEFCの通常運転時のアノードにおける条件であり、温度が室温〜150℃程度、水素を含む燃料ガスが供給される条件(還元雰囲気)を意味する。
以下、PEFCの構成について説明するが、本発明の電極構造体は、燃料電池以外の電極部材(例えば、固体高分子形水電解装置の電極部材)としても使用することが可能である。
図1は固体高分子形燃料電池の代表的な構成を示す概念図である。固体高分子形燃料電池においてアノードには水素が供給され、(反応1)2H2 → 4H++4e-によって、生成したプロトン(H+)は固体高分子電解質膜を介してカソードに供給され、また、生成した電子は外部回路(図示せず)を介してカソードへ供給され、(反応2)O2+4H++4e-→2H2Oによって、酸素と反応して水を生成する。このアノードとカソードの電気化学反応によって両電極間に電位差を発生させる。
本発明に係るPEFCは、固体高分子電解質膜と、前記固体高分子電解質膜の一方面に接合されたカソードと、前記固体高分子電解質膜の他方面に接合されたアノードと、を有する膜電極接合体であって、前記カソードとアノードの少なくとも一方として、本発明の電極構造体を用いてなる膜電極接合体(MEA)を備える。本発明の電極構造体及び膜電極接合体についての詳細な説明は後述する。
本発明に係る固体高分子形燃料電池において、本発明の電極構造体(アノード及びカソードの少なくとも一方)を用いた本発明の膜電極接合体以外の構成要素は、公知の固体高分子形燃料電池と同様であるため、詳細な説明を省略する。実際には、本発明の固体高分子形燃料電池(単セル)が発電性能に応じた基数だけ積層された燃料電池スタックが形成され、ガス供給装置、冷却装置などその他付随する装置を組み立てることにより使用される。
次に、本発明の電極構造体の構成要素を図面を参照しながら説明する。
図2に本発明の電極構造体の断面模式図を示す。本発明の電極構造体は、炭素材料からなるシート状のガス拡散層と、前記ガス拡散層の片面に形成された炭素材料からなるマイクロポーラス層に形成された電極触媒層から構成される。
(ガス拡散層及びマイクロポーラス層)
ガス拡散層は、炭素材料からなるシート状部材であり、その表面には炭素材料からなるマイクロポーラス層が形成されている。
ガス拡散層及びマイクロポーラス層には、燃料ガスや空気を提供するためのガス拡散性(ガス透過性)、発電により生成する水に対する撥水性、発生した電流をセパレータに集電させるための導電性を有する。
ガス拡散層は、100nm〜90μm程度の細孔径分布を有する導電性の炭素系シート状部材であり、従来PEFCのガス拡散層として使用されている公知の炭素系シート状部材を使用できる。ガス拡散層の厚みは特に制限はないが、通常、50μm〜1mm程度である。
マイクロポーラス層は、上記ガス拡散層の片面に設けられた、平均粒径10〜100nm程度の炭素微粒子の集合体及び撥水剤からなる層である。炭素微粒子は撥水処理されていてもよい。マイクロポーラス層は、上記ガス拡散層(炭素系シート状部材)よりも平均細孔径が小さく、高密度で表面平坦性に優れる。マイクロポーラス層は、好適には1nm〜900nmの細孔径分布を有する。マイクロポーラス層は、後述するアークプラズマ蒸着によって表面(及び一部内部)に金属系担体の担持することに適している。
マイクロポーラス層の厚みは特に制限はないが、好適には10〜100μmである。
マイクロポーラス層は、例えば、炭素微粒子と撥水性のフッ素樹脂を含む塗工液をガス拡散層に塗工・乾燥してガス拡散層と密着化させて製造することができる。
また、公知のマイクロポーラス層付のガス拡散層を使用してもよい。好適な市販品としては、例えば、SIGRACT Gas Diffusion Media社製、GDL25シリーズやGDL35シリーズを挙げることができる。
本発明の電極構造体では、電極触媒層の骨格となるマイクロポーラス層と、基材となるガス拡散層とが一体的に成形されており、かつ、それぞれが炭素材料で構成されるため、異なる部材の電極触媒層とガス拡散層を使用した場合に生じる電気抵抗が生じない。そのため、電極に起因する電気抵抗を小さくすることができ、MEA内における導電性、集電性をさらに向上させることができる。
(電極触媒層)
電極触媒層は、上記マイクロポーラス層に形成され、マイクロポーラス層を構成する炭素材料に担持された金属系担体と、金属系担体に担持された電極触媒とを含む。
金属系担体はマイクロポーラス層の表面及び/又は内部に存在する炭素材料に担持されていればよいが、マイクロポーラス層の表面(及び表面近傍の内部数μm程度)に担持されていてもよい。
本発明の電極構造体において、電極触媒層の厚みは、マイクロポーラス層に担持された金属系担体(及びこれに担持された電極触媒)の厚みに相当する。
電極触媒層の厚みは、ガス透過性を有し、かつ、十分な電極触媒作用が得られる範囲であればよく、使用する金属系担体の種類や、形成される電極触媒層の多孔性等を考慮して適宜決定される。通常、0.1〜20μm程度であり、好適には1〜5μmである。電極触媒層の厚みが薄すぎると電極触媒活性が不十分となり、厚すぎるとガス拡散性が不十分となるため好ましくない。
金属系担体は、PEFCのカソード条件及びアノード条件の少なくとも一方において、十分な耐久性と電子伝導性を併せ持つ材料であればよい。なお、本明細書において、PEFCの運転条件は、PEFCのカソード条件及びアノード条件の両方を含む。
PEFCのカソード条件とは、PEFCの通常運転時のカソードにおける条件であり、温度が室温〜150℃程度、空気等の酸素を含むガスが供給される条件(酸化雰囲気)を意味し、アノード条件とは、PEFCの通常運転時のアノードにおける条件であり、温度が室温〜150℃程度、水素を含む燃料ガスが供給される条件(還元雰囲気)を意味する。
金属系担体として使用される材料としては、チタン(Ti)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、スズ(Sn)等の金属種、及びこれらの金属種を主成分とする含む合金が挙げられる。なお、Snは、カソード条件では酸化物であるが、アノード条件において金属であり、金属系担体として使用できる。
なお、本明細書において、「主成分とする合金」とは、「主成分となる金属種とそれ以外の金属からなる合金で、主成分となる金属種を50質量%以上含む合金」を意味する。金属系担体において、主成分となる金属種と合金化させる「それ以外の金属」は特に限定されないが、Co,Ni,Ti,W,Ta,Nb,Snを好適な例として挙げることができる(但し、主成分となる金属種と異なる元素である。)。これらを1種類あるいは2種類以上を使用してもよい。また、分相した状態で主成分となる金属種及びそれ以外の金属を含む合金を使用してもよい。
金属系担体の好適例は金属チタン又はチタン合金である。チタン合金としては、Nbを含むチタン合金が好ましい。Nbの含有量は、好適には0.1〜20mol%である。
また、金属系担体として、電子導電性を有するチタン複合酸化物を使用することもできる。本明細書において、「チタン複合酸化物」は、「酸化チタンを母体酸化物とし、他元素をドープされた酸化物であって、母体酸化物が80mol%以上含まれる複合酸化物」を意味する。
ドープされる元素として、具体的には、Sn,Sb,Nb,Ta,W,In,V,Cr,Mn,Moなどが挙げられる。ドープされる元素は、母体酸化物であるTiより価数が高い元素であり、好適にはNbが選択される。
すなわち、ニオブを含有するチタン複合酸化物(Ti(Nb)O)は、好適な金属系担体の一形態である。Nbのドープ量は、0.1〜20mol%である。
金属系担体の担持量は、使用する金属種、マイクロポーラス層の表面状態(賦活処理の有無、比表面積等)等を考慮して適宜決定される。金属系担体が少なすぎると、これに担持する電極触媒の担持量が少なくなり、電極性能が不十分となり、多すぎると凝集して性能が低下する場合がある。
なお、金属系担体の担持量は、例えば、誘導結合プラズマ発光分析(ICP)によって調べることができる。
マイクロポーラス層を構成する炭素材料に金属系担体を担持させる方法としては、蒸着法が好ましく、特にアークプラズマ蒸着法が好ましい。
図3にアークプラズマ蒸着装置の概念図を示す。アークプラズマ蒸着装置の動作原理を簡単に説明すると、トリガー電極より沿面放電により電子を発生させてトリガーをかけ、外部のコンデンサに充填させた電荷を一気にカソード電極に放電させて、ターゲットをプラズマにして被担持対象物に飛来・付着(担持)させる。この充放電の繰り返し動作のため、被担持対象物への蒸着粒子の付着は間欠的に行われる。
アークプラズマ蒸着法では、電子の発生にガスを用いず、超高真空環境を保つことができ、プラズマのイオン化率が高く、ターゲットを構成する原材料と同様の組成の蒸着粒子を被担持対象物に密着性よく担持することができる。
アークプラズマ蒸着装置としては、市販の装置を使用することができ、例えば、実施例で使用したアークプラズマ成膜装置を挙げることができる。
本発明の電極構造体を製造するに当たり、金属系担体をアークプラズマ蒸着するにおいて、被担持対象物として、マイクロポーラス層を有するガス拡散層を使用していることに特徴のひとつがある。
金属系担体をアークプラズマ蒸着する場合、マイクロポーラス層を有さないガス拡散層では、蒸着種である気体状の金属系担体の構成原料がガス拡散層内部にまで拡散し、表面近傍に集中して金属系担体を担持することが困難であるが、ガス拡散層と比較して高密度であるマイクロポーラス層では、内部において気体状の金属系担体の構成原料が拡散しづらいため、マイクロポーラス層の表面(及び表面近傍の内部数μm程度)に集中的に金属系担体を担持することができる。
金属担体は、電子伝導性とガス拡散性とが両立するような条件で、アークプラズマ蒸着の条件を適宜選択される。
ターゲットは、金属系担体の構成原料からなり、アークプラズマ蒸着法に適した形状(例えば、ペレット状)に加工して使用される。
(電極触媒)
電極触媒は、上記金属系担体に担持することができ、本発明の電極触媒構造体の使用時に化学的に安定であり、酸素の還元(及び水素の酸化)に対する電気化学的触媒活性を有するものであれば、貴金属系触媒、非貴金属系触媒のいずれでもよい。
電極触媒として、好適には、Pt,Ru,Ir,Pd,Rh,Os,Au,Ag等の貴金属、及びこれらの貴金属を含む合金が挙げられる。なお、「貴金属を含む合金」とは「上記の貴金属のみからなる合金」と、「上記の貴金属とそれ以外の金属からなる合金で上記の貴金属を10質量%以上含む合金」を含む。貴金属と合金化させる上記「それ以外の金属」は、特に限定されないが、Co,Ni,Ti,W,Ta,Nb,Snを好適な例として挙げることができ、これらを1種類あるいは2種類以上を使用してもよい。また、分相した状態で2種類以上の上記貴金属及び貴金属を含む合金を使用してもよい。なお、上記貴金属、及びこれらの貴金属を含む合金を以下、「電極触媒金属」と呼ぶ場合がある。
非貴金属系触媒としては、例えば、Ta,Zr,Tiの酸化物(TaO、ZrO、TiO)、窒化物(TaN、ZrN、TiN)、酸窒化物(TaO、ZrO、TiO)等が挙げられる(式中、x、yは任意の数)。
本発明の電極構造体をPEFCの電極部材として使用する場合には電極触媒金属としてPt及びPtを含む合金は、80℃以上の温度域において、酸素の還元(及び水素の酸化)に対する電気化学的触媒活性に優れるため特に好適である。
また、本発明の電極構造体を固体高分子形水電解装置の電極部材として使用する場合には電極触媒金属として水の電解活性に優れるIrやIr合金、PtやPt合金が好適である。この場合、IrやIr合金、PtやPt合金は熱処理等によりIr酸化物やPt酸化物として用いてもよい。
また、電極触媒は、結晶に限定されず、目的とする電気化学的触媒活性を有する限り、非晶質であってよく、結晶と非晶質の混合体であってもよい。
本発明の電極構造体において、電極触媒の形状は、特に制限されない。
電極触媒の形状の好適な態様は、電極触媒の形状が粒子状であり、具体的な形状として球形、楕円形、多面体等が挙げられる。
粒子状の電極触媒の大きさは、小さいほど電気化学反応が進行する有効表面積が増加するため、電気化学的触媒活性が高くなる傾向がある。しかし、その大きさが小さすぎると、電気化学的反応活性が低下する。粒子状の電極触媒の大きさは、平均粒子径として1.5〜10nm以下、好ましくは1.5〜5nmである。
なお、本発明における「粒子状の電極触媒の平均粒径」は、電子顕微鏡像より調べられる粒子状の電極触媒(20個)の粒子径の平均値により得ることができる。電子顕微鏡像による平均粒径算出時は、粒子の形状が、球形以外の場合は、粒子における最大長を示す方向の長さをその粒径とする。
また、電極触媒の形状の他の態様は、粒子状の電極触媒が結合した状態であり、島状や膜状の状態が挙げられる。ここで、「島状」とは数個の粒子状の電極触媒が固まりになり、それぞれが分離した状態であり、「膜状」とは連続してつながり薄膜を形成した状態を意味する。島状の電極触媒の大きさや、膜状の電極触媒の大きさ(広さ)や厚みは、十分な導電性と触媒活性を有する限り制限はない。
金属系担体を島状又は膜状の電極触媒が被覆することで金属系担体をコア、電極触媒をシェルとするコアシェル構造が形成される。
電極触媒の担持量は、電極触媒構成材料の種類、金属系担体の大きさ等の条件を考慮して適宜決定される。電極触媒担持量が少なすぎると電極性能が不十分となり、多すぎると触媒粒子が凝集して性能が低下する場合がある。電極触媒がPtやPt合金の場合は、例えば、0.01〜5.0mg/cm2である。
電極触媒の担持方法は乾式法が好ましく、金属系担体の製造と併せて、電極触媒の担持方法を乾式法とすることにより、電極触媒層全体をドライプロセスで製造できるという利点がある。
電極触媒の担持方法の好適例としてはアークプラズマ蒸着が挙げられる。また、スパッタリング蒸着法、電子線蒸着法、熱加熱蒸着法、パルスレーザー蒸着法等の他の蒸着法であってもよい。
電極触媒の担持量は、電極触媒の種類、目的とする性能を考慮して、蒸着条件を制御して適宜調節することができる。
電極触媒層は、金属系担体及び電極触媒のみから構成されていてもよいが、より電極性能を高めることができる点で、プロトン導電性材料を含んでいることが好ましい。プロトン導電性材料としては、電解質膜と同様の材料が用いられ、ポリマー骨格の全部または一部にフッ素原子を含むフッ素系電解質材料と、ポリマー骨格にフッ素原子を含まない炭化水素系電解質材料に大別され、この両者を電解質材料として使用することができる。
フッ素系電解質材料としては、具体的には、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)などが好適例として挙げられる。
炭化水素系電解質材料としては、具体的には、ポリスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリールエーテルケトンスルホン酸、ポリフェニルスルホン酸、ポリベンズイミダゾールアルキルスルホン酸、ポリベンズイミダゾールアルキルホスホン酸などが好適一例として挙げられる。
<2.膜電極接合体(MEA)>
本発明の膜電極接合体は、固体高分子電解質膜と、前記固体高分子電解質膜の一方面に接合されたカソードと、前記固体高分子電解質膜の他方面に接合されたアノードと、を有する膜電極接合体であって、前記カソードとアノードの少なくとも一方として、上記本発明の電極構造体であることを特徴とする。
なお、本発明の電極構造体は、電極触媒の担体として使用されている金属系担体がアノード条件、カソード条件のいずれでも安定であるため、アノードとカソードのいずれにも使用できるが、本発明の膜電極接合体は、少なくともカソードに本発明の電極構造体を使用することが好ましい。
本発明の好適な実施形態として、本発明の電極構造体をカソードに使用した膜電極接合体について説明する。
膜電極接合体は、カソード及びアノードが固体高分子電解質膜に対面して配置された構造を有する。
本実施形態において、カソードは、本発明の電極構造体を用いているため、詳細な説明は省略する。より電極性能を高めるため、例えば、プロトン導電性材料を含む溶液を滴下する等の方法で、カソードの電極触媒層にプロトン導電性材料を付与してもよい。なお、アノードとして本発明の電極構造体を使用した場合には、カソードとしてその他の公知のカソードも使用できる。
アノードは、電極触媒層とガス拡散層で構成される。アノードとしては、本発明の電極構造体のほか、その他の公知のアノードも同様に使用できる。例えば、グラファイト、カーボンブラック、活性炭、カーボンナノチューブ、グラッシーカーボンなどの炭素系材料からなる導電性担体の表面上に、触媒である貴金属粒子を担持した電極材料と、燃料電池の電解質材料との分散液を塗布・乾燥して製造された電極触媒層を、ガス拡散層上に形成した電極が挙げられる。アノードのガス拡散層は、公知の炭素系のガス拡散層を使用できる。
固体高分子電解質膜としては、プロトン導電性を有し、化学的安定性及び熱的安定性を有するものであれば公知のPEFC用電解質膜を用いればよい。電気抵抗を小さくするため固体高分子電解質膜6の厚みは通常0.05mm程度である。
固体高分子電解質膜を構成する電解質材料としては、フッ素系電解質材料、炭化水素系電解質材料が挙げられる。特にフッ素系電解質材料で形成されている電解質膜が、耐熱性、化学的安定性などに優れているため好ましい。具体的には、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)などが好適例として挙げられる。
炭化水素系高分子電解質材料としては、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテル、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン等が挙げられる。また、電解質膜として、無機系プロトン導電体であるリン酸塩、硫酸塩などからなる電解質膜を使用することもできる。
以上、本発明の本発明の膜電極接合体の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
例えば、上記実施の形態ではカソードのみに本発明の電極構造体を採用しているが、アノードにも本発明の電極構造体を用いてもよい。
カソードとアノードの両方に本発明の電極構造体を使用し、これらに固体高分子電解質膜を挟み込んで圧着する膜電極接合体の製造方法であると、膜電極接合体の製造プロセスをすべてドライプロセスにすることができるという利点がある。すなわち、アークプラズマ蒸着法による金属系担体及び電極触媒の担持によって電極構造体を製造する工程と、電極構造体と固体高分子電解質膜との圧着する工程で、膜電極接合体が製造できるので、全行程を連続してドライプロセスとすることができる。これにより、膜電極接合体の製造コストの大幅な低減に寄与する。
なお、本発明の電極構造体にプロトン導電性材料を塗布した後に圧着工程に供すれば、全行程をほぼすべてドライプロセスとすることが可能となる。また、このようなドライプロセス一貫製法であると、実質的には電極構造体を製造する際のアークプラズマ蒸着の条件のみを制御することで、膜電極接合体の性能を制御できるという利点がある。
上述した本発明の電極構造体は、表面に炭素材料からなるマイクロポーラス層を有する炭素材料からなるシート状のガス拡散層に対して、金属系担体に対応する組成を有するターゲットを使用し、アークプラズマ蒸着法にて金属系担体と担持する工程(以下、「工程(1)」と記載する場合がある。)と、マイクロポーラス層の炭素材料に担持された担持された金属系担体に対し、電極触媒を担持する工程(以下、「工程(2)」と記載する場合がある。)と、を有する製造方法(以下、「本発明の電極構造体の製造方法」)によって製造することが好ましい。
工程(1)では、表面に炭素材料からなるマイクロポーラス層を有する炭素材料からなるシート状のガス拡散層に対して、金属系担体に対応する組成を有するターゲットを使用し、アークプラズマ蒸着法にて金属系担体と担持する工程である。
本発明の電極構造体の製造方法の特徴は、工程(1)において、金属系担体の担持をアークプラズマ蒸着法により行うことにある。
アークプラズマ蒸着法では、マイクロポーラス層を構成する炭素材料に、金属系担体を密着性よく担持することができるため、金属系担体とマイクロポーラス層を構成する炭素材料との間の電気抵抗が小さくなる傾向にある。また、炭素系担体はPt等の電極触媒が固着しづらいのに対し、金属系担体であると担持された電極触媒の凝集が起こりづらい傾向にある。そのため、従来の場合と比較して、本発明の製造方法では、より電子伝導性に優れ、電極触媒粒子の凝集が起こりづらい電極触媒層を得ることができる。
工程(2)において、工程(1)で形成した金属系担体に対し、電極触媒をアークプラズマ蒸着法により担持すれば、電極触媒の担持量をより確実に制御できることに加え、マイクロポーラス層への金属系担体の担持(工程(1))と、金属系担体への電極触媒粒子の担持(工程(2))の全工程をドライプロセスで行うことができるという利点がある。
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1:(金属系担体:Ti(Nb)O、電極触媒:Pt)
1.電極触媒層/ガス拡散層一体型の電極構造体の製造
下記工程(1)、(2)により、実施例1の電極触媒層/ガス拡散層一体型の電極構造体を製造した。
実施例では、マイクロポーラス層(MPL)/ガス拡散層(GDL)一体型のカーボンペーパーとして、SIGRACT Gas Diffusion Media社製、型番「GDL35BC」を使用した。GDL35BCのGDL層は、撥水処理されたカーボン繊維で構成されている。
図4(a)〜(f)にGDL35BCの断面及びGDL、MPLの表面のFE−SEM像を示す。
図4(a)からGDL35BCの全体厚さは約330.5μm、MPLの厚さは50〜60μm程度であることが確認できる。また、図4(c)、(d)からGDL表面は幅数十μm程度のファイバーが重なり合っており、十分な空隙を有することが確認されることからガスの拡散性も充分に保たれている。また、図4(b)、(e)、(f)からMPL表面は低倍率でみると空隙が確認できないが、高倍率でみると数十〜数百nm程度のカーボンが3次元的に層を形成しており、ガスの拡散性が保たれる程度の空隙が存在することが確認された。
工程(1):
マイクロポーラス層(MPL)付きのカーボンペーパー(GDL35BC)を用い、ターゲットとしてTi(Nb)O(Ti:Nb=95:5(mol比)、10mmφ×17mmペレット)を用いて、アークプラズマ成膜装置(アルバック理工株式会社、型番:APD-1P-N2-S)により、アークプラズマ蒸着(電圧:100V、圧力:10-3Pa、充放電周波数:3Hz、充放電回数100回)を行い、MPLの表面に、Ti(Nb)O担体を担持した。
工程(2)
工程(1)の後、ターゲットをPt(20mmφペレット)に代え、アークプラズマ蒸着(電圧:100V、圧力:10-3Pa、充放電周波数:3Hz)を行うことにより、Pt粒子をTi(Nb)O担体に担持することによって、実施例1の電極構造体を得た。
実施例1の電極構造体のMPL表面を観察すると、アークプラズマ蒸着により、MPL表面のカーボンが減肉しており、MPL表面の空隙が増加していた。また、工程(1)後のMPL表面の、工程(2)後のMPL表面を、それぞれ電子顕微鏡観察を行ったところ、金属系担体,Ptともに高分散に存在していることが確認できた。
実施例2:(金属系担体:Ti−Nb、電極触媒:Pt)
実施例1の工程(1)において、ターゲットとしてTi(Nb)Oに代えて、Ti−Nb合金(Ti:Nb=95:5(mol比)、10mmφ×17mmペレット)を使用した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の電極構造体を得た。
実施例3:(金属系担体:Ti、電極触媒:Pt)
実施例1の工程(1)において、ターゲットとしてTi(Nb)Oに代えて、Ti(10mmφ×17mmペレット)を使用した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の電極構造体を得た。
実施例4:(金属系担体:W、電極触媒:Pt)
実施例1の工程(1)において、ターゲットとしてTi(Nb)Oに代えて、W(10mmφ×17mmペレット)を使用した以外は、実施例1と同様にして、実施例4の電極構造体を得た。
(2)電気化学的評価(単セル、初期性能評価)
以下の通りにMEAを作製し、単セルによる発電実験(IV測定)を行った。固体電解質膜としてナフィオン膜(デュポン社製、ナフィオン212 厚さ51μm)を使用した。まず、標準触媒である46wt%Pt/C(田中貴金属工業株式会社、TEC10E50E)を、ナフィオン溶液を含む所定の有機溶媒に分散させて、アノード形成用の分散溶液を調合した。得られた分散溶液をナフィオン膜上にスプレー印刷して、所定の厚みのアノード(電極触媒層)をナフィオン膜上に作製した。
アノード(電極触媒層)の上には、ガス拡散層として撥水性カーボンペーパー(東レ社製,型番:EC−TP1−060T)を配置した。なお、アノードの形成において、Pt量が0.3mg/cm2になるように調整した。
カソードは、実施例1または実施例2の電極構造体を使用した。
実施例1または実施例2の電極構造体の電極触媒層が形成された面に所定量のナフィオンを含む溶液を滴下して電極触媒層部分にナフィオンを含ませたのちに、アノードを形成したナフィオン膜の反対面に、圧着させて、カソードを形成し、目的とするMEAを得た。
作製したMEAを組み込んだ単セル発電評価用治具(自作)を80℃に設定した恒温槽内に設置し、以下の条件で発電試験を行った。なお、燃料電池評価装置(東陽テクニカ社製、型番:PE−8900K)およびポテンショ/ガルバノスタット(Solatron社製、型番:SI1287)を用いた。
(アノード条件)
電極面積:1cm2
供給ガス種 :100% H2
ガス供給速度 :139mL/分
供給ガス加湿温度 :80℃(相対湿度:100%)
(カソード条件)
電極面積:1cm2
供給ガス種 :Air
ガス供給速度 :332mL/分
供給ガス加湿温度 :80℃(相対湿度:100%)
図5に実施例1及び実施例2の電極構造体を使用したPEFCの電流-電圧(IV)特性の評価結果を示す。実施例1,2の電極構造体ともに所定の起電力を生じ、IV特性を評価することができた。
本発明の電極構造体は、自動車、電力、ガス、家電業界で使用される固体高分子形燃料電池の電極構成部材として有望である。特に、負荷変動が激しい燃料電池自動車向けに称されることが期待される

Claims (8)

  1. 炭素材料からなるシート状のガス拡散層と、前記ガス拡散層の片面に形成された炭素材料からなるマイクロポーラス層に形成された電極触媒層とを有する電極触媒層/ガス拡散層一体型の電極構造体であって、
    前記電極触媒層が、マイクロポーラス層を構成する炭素材料に担持された金属系担体と、前記金属系担体に担持された電極触媒とを含むことを特徴とする電極構造体。
  2. 前記金属系担体が、金属チタン又はチタン合金である請求項1に記載の電極構造体。
  3. 前記金属系担体が、チタン複合酸化物である請求項1に記載の電極構造体。
  4. 前記電極触媒が、貴金属触媒である請求項1から3のいずれかに記載の電極構造体。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の電極構造体の製造方法であって、
    前記金属系担体の担持を、アークプラズマ蒸着法によって行う工程を有することを特徴とする電極構造体の製造方法。
  6. 前記電極触媒の担持を、アークプラズマ蒸着法によって行う工程を有する請求項5に記載の電極構造体の製造方法。
  7. 固体高分子電解質膜と、前記固体高分子電解質膜の一方面に接合されたカソードと、前記固体高分子電解質膜の他方面に接合されたアノードと、を有する膜電極接合体であって、前記カソードとアノードの少なくとも一方として、請求項1から4のいずれかに記載の電極構造体を用いてなることを特徴とする膜電極接合体。
  8. 請求項7に記載の膜電極接合体を備えてなることを特徴とする固体高分子形燃料電池。
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