JP7461946B2 - 高分子電解質燃料電池用の表面積が拡張された触媒層およびそのような触媒層の生成方法 - Google Patents

高分子電解質燃料電池用の表面積が拡張された触媒層およびそのような触媒層の生成方法 Download PDF

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Description

関連出願への相互参照
本出願は、2018年11月26日に出願された米国仮出願第62/771,540号の利益を主張するものであり、この出願の内容を全体として参照により本明細書に援用する。
技術分野
本開示は、一般に、高分子電解質燃料電池用の触媒層に関する。
背景
最先端の触媒開発には、触媒合成、インキ組成物のスラリーとしての配合、およびインキ組成物のコーティングが必要とされる。コーティング用のインキ組成物を開発するには、担持された触媒(たとえば、炭素担持白金触媒またはPt/C)を分散させるために、バインダー(多くの場合では、バインダーおよびプロトン伝導体の両方として役立つアイオノマー)が、溶剤(たとえば、アルコール)および1種または複数の添加剤(たとえば、分散剤)と共に加えられるのが通常である。溶剤および添加剤などの、インキ組成物のある特定の成分は、触媒表面と不都合に相互作用し、その触媒活性を低下させかねない。
この背景に対処するため、本開示の実施形態を開発する必要が生じた。
要旨
一部の実施形態では、製造プロセスは、触媒担体をガス拡散層上に堆積させて、触媒担体でコーティングされたガス拡散層を生成するステップと、触媒担体でコーティングされたガス拡散層上に触媒を堆積させて、触媒でコーティングされたガス拡散層を生成するステップと、触媒でコーティングされたガス拡散層上にアイオノマーを堆積させて、アイオノマーでコーティングされたガス拡散層を生成するステップとを含む。
一部の実施形態では、燃料電池用の膜電極接合体は、ガス拡散層、高分子電解質膜、およびガス拡散層と高分子電解質膜との間に配置された触媒層とを含み、触媒層は、アイオノマーを含み、アイオノマーの濃度は、濃度プロファイルに従って触媒層内で異なっている。
一部の実施形態では、燃料電池は、前述の実施形態のいずれかの膜電極接合体を含む。
本開示の他の態様および実施形態も企図される。前述の概要および以下の詳細な説明は、本開示を特定のいずれかの実施形態に限定するものではなく、本開示のいくつかの実施形態について単に説明するものにすぎない。
本開示のいくつかの実施形態の性質および目的をより深く理解するために、添付の図面と合わせて取り扱われる以下の詳細な説明を参照すべきである。
図1は、高分子電解質燃料電池の比較用製造プロセスの概略プロセスフローである。
図2は、高分子電解質燃料電池の改良された製造プロセスの概略プロセスフローである。 同上。
図3は、n-プロパノール有りおよび無しの触媒層の比活性および質量活性の比較を示すグラフである。
図4は、イソプロパノール有りおよび無しの触媒層のサイクリックボルタンメトリースキャンを示すグラフである。
図5は、ガス拡散層と高分子電解質膜との間の触媒層の概略図である。
図6(a)は、ガス拡散層と高分子電解質膜との間のサンプル触媒層の横断面を示す図である。図6(b)は、高分子電解質膜からガス拡散層に向かう方向にたどった距離の関数としてのアイオノマー密度を示すグラフである。
説明
図1は、これより下で説明する改良されたプロセスとの対比を示す目的で、高分子電解質燃料電池の比較用製造プロセスの概略プロセスフローである。プロセスフローは、粉末としての触媒担体(たとえば、炭素単体)上に触媒(たとえば、白金(Pt))を堆積させて、担持された触媒を生成するステップを含む。次に、プロセスフローは、担持された触媒を、溶剤(たとえば、アルコール)および1種または複数の添加剤と共にバインダー(たとえば、Nafionなどのスルホン化テトラフルオロエチレン系フルオロポリマー)と混合して、インキ組成物を生成するステップを含む。次に、プロセスフローは、インキ組成物を、アノードでコーティングされた膜(ACM)上に、たとえば、吹付け、真空濾過、転写印刷によって堆積させて、触媒でコーティングされた膜(CCM)を生成するステップを含む。最後に、プロセスフローは、一対のガス拡散層(GDL)間にCCMを配置することによりCCMを組み入れて、膜電極接合体(MEA)を生成するステップを含む。次いで、MEAが、一対のフロープレート間に組み入れられると、高分子電解質燃料電池が得られる。比較用プロセスでは、溶剤および添加剤などの、インキ組成物のある特定の成分が、触媒表面と不都合に相互作用し、その触媒活性を低下させかねない。
図2は、高分子電解質燃料電池の改良された製造プロセスの概略プロセスフローである。概要として、改良されたプロセスは、触媒担体を堆積させる段階に続いて、触媒を堆積させる段階を含み、その結果、触媒の堆積が、触媒担体の堆積から切り離される。
図2を参照すると、プロセスフローは、触媒担体を、たとえば、吹付けまたは別のコーティング技術によってGDL上に堆積させて、触媒担体でコーティングされたGDLを生成するステップを含む。触媒担体は、約5nm~約500nmまたはそれより大きい値、たとえば、約10nm~約400nm、約10nm~約300nm、約10nm~約200nm、約10nm~約150nm、または約10nm~約100nmの範囲のサイズを有し、約3もしくはそれより低い値、または約2もしくはそれより低い値のアスペクト比を有する炭素質ナノ粒子などのナノ粒子の形態であってもよい。カーボンナノホーン、カーボンナノファイバー、カーボンナノリボン、グラファイト、およびグラファイトシート、ならびに非炭素系担体などの、他のタイプの触媒担体を使用してもよい。触媒担体は、溶剤、1種または複数の添加剤、およびバインダーも含むインキ組成物中に分散させ、続いて、焼結などの加工後処理にかけることができ、その処理の中で、溶剤、添加剤、およびバインダーは、実質的に除去される。触媒がなければ、触媒担体を堆積させて触媒担体層を生成することにおける、溶剤、分散剤、コーティング技術、および加工後処理の選択は、非常に融通がきく。触媒担体層は、表面積、アイオノマー組み込み、水分管理などについての規格に従って、触媒活性を損なうことなく、設計および最適化することができる。図2に示されるとおり、GDLは、微孔質層で覆われ、微孔質層の表面に触媒担体が堆積している、炭素布またはカーボン紙などの炭素質繊維層を含む。微孔質層が省かれているなど、他の構成のGDLを実装してもよい。
次に、プロセスフローは、触媒担体層によってもたらされた拡張された表面積に触媒を堆積させ、それによって、表面積が拡張されている触媒層を含む、触媒でコーティングされたGDLを得るステップを含む。触媒担体の堆積の後で触媒を堆積させることにより、触媒は、その触媒活性を低下させかねない、インキ組成物のある特定の成分、たとえば、インキ組成物中に溶剤として使用されるアルコールに曝される、または混ざることがない。触媒担体層によってもたらされた拡張された表面積に触媒を堆積させるには、原子層堆積法などの、拡張された表面積を相似的に(conformally)コーティングすることのできる技術が使用できる。触媒は、Ptなどの白金族金属(PGM)を含む場合がある。Ptに加えて、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、およびイリジウム(Ir)などの他のPGM、ならびに銀(Ag)および金(Au)などの他の貴金属、ならびに前述のものの1つまたは複数を含む合金または他の多元素材料についても、堆積を行うことができる。
原子層堆積法の場合では、堆積は、必要な量の材料が堆積するまで、第1の原子層堆積サイクルを行って、堆積チャンバー内で保持された触媒担体層およびGDL上に触媒の材料を堆積させ、続いて、第2の原子層堆積サイクルを行って、触媒担体層およびGDLに材料を堆積させ、続いて、第3の原子層堆積サイクルを行って、触媒担体層およびGDLに材料を堆積させるなどのステップを含む。堆積サイクルの回数は、たとえば、1~5000回、2~4000回、3~3000回、5~2000回、または10~1000回の範囲になる場合がある。
各原子層堆積サイクルを行うステップは、触媒担体層およびGDLを、堆積させる材料を含有する第1の前駆体および第2の酸化的前駆体を含む堆積ガスに順次曝すステップを含む。単元素金属の場合では、たとえば、第1の前駆体を、有機配位子が配位した金属を有する有機金属化合物などの含金属前駆体にすることができ、第2の酸化的前駆体を、酸素、オゾン、または酸素プラズマにすることができる。たとえば、Ptの詳細な事例について、第1の前駆体は、トリメチル(メチルシクロペンタジエニル)白金(IV)または別の含Pt有機金属化合物になる場合がある。Ptに加えて、他の貴金属ならびに他の単元素金属についても、堆積を行うことができる。第1の原子層堆積サイクルの間、第1の前駆体がチャンバーに導入されると、第1の前駆体が、触媒担体およびGDLに、第1の前駆体の分子、第1の前駆体の分子の残基、または両方の組合せの形態で吸着され、第2の酸化的前駆体がチャンバーに導入されると、吸着された第1の前駆体と第2の酸化的前駆体が反応して、吸着された第1の前駆体に含まれる配位子を解放し、それによって、触媒担体およびGDLに堆積させた材料は、取り残される。第2の酸化的前駆体の代わりに、またはこれと組み合わせて、水素または水素プラズマなどの第2の還元的前駆体を使用してもよい。各前駆体の導入に引き続いて、たとえば、不活性キャリヤーガスを用いた排気またはパージによる除去操作を行って、反応生成物および未反応の前駆体を除去することができる。
次に、プロセスフローは、触媒でコーティングされたGDLの触媒層上に、アイオノマーを、たとえば、吹付けまたは別のコーティング技術によって堆積させて、アイオノマーを触媒層に少なくとも部分的に含浸させ、アイオノマーでコーティングされたGDLを生成するステップを含む。次に、プロセスフローは、アイオノマーでコーティングされたGDLを、高分子電解質膜と高分子電解質膜を覆うアノード触媒層とを含むACMと組み立てるステップを含む。次いで、得られる中間組立品を、別のGDLと共に加圧し、またはこれに別のGDLを積層して、MEAを生成した後、MEAを、一対のフロープレート間に組み入れると、高分子電解質燃料電池が得られる。
有利なことに、改良されたプロセスでは、比較用プロセスのインキ組成物中には一緒に分散させることが難しくなりかねない、触媒担体、触媒、およびアイオノマーの選択がより広く利用可能になる。また、改良されたプロセスは、触媒の堆積と触媒担体の堆積とを切り離すことにより、ハイスループット触媒スクリーニングおよび高分子電解質燃料電池になる触媒の大規模開発へのグレードアップに、有効に対処することができる。改良されたプロセスでは、アイオノマー-触媒相互作用を調整する道筋も得られ、これにより、燃料電池の性能を改良させることができる。
改良されたプロセスによって、高い性能を有する改良された触媒層構造を得ることもできる。例を以下に示す。
1.無溶剤触媒層
高分子電解質燃料電池における触媒層は、通常、インキ組成物用の溶剤として使用されている、検出可能な量のアルコールを含む。改良されたプロセスから得られる、アルコールを実質的に含まない触媒層は、以下で図3によって示されるとおり、より高い性能をもたらしうる。図3では、空気(上のパネルにおける破線)および酸素(上のパネルにおける実線)中での触媒層の比活性ならびに触媒層の質量活性(下のパネルにおける実線)を比較している。検出可能なn-プロパノール(インキ組成物中に使用された溶剤)を含まない触媒層は、検出可能なn-プロパノールを含む触媒層より高い比活性および高い質量活性を示す。ターフェル勾配(曲線の勾配、より緩やかな勾配がより高い性能の指標である)からも、アルコールを実質的に含まない触媒層の方が高い性能を有することが示される。n-プロパノールまたは別のアルコールの検出は、赤外分光法によって行うことができ、検出可能な量のアルコールの有無は、-OH基と関連するピークまたはトラフなどの、アルコールの特徴的な吸収バンドの有無によって反映される。
触媒層中の検出可能な量のアルコールの有無は、サイクリックボルタンメトリーにも反映される。たとえば、イソプロパノール(IPA)を含有するインキ組成物から触媒層が生成されているとき、ある特定の電圧でPt/IPA相互作用が誘発される場合がある。図4の左のパネルに示されるとおり、相互作用は、サイクリックボルタンメトリーにおいて約0.02~1Vでは顕著でない。この電圧範囲では、-OH吸着/脱着領域(約0.75~1V)における特徴が、図4の右のパネルにおけるイソプロパノールを実質的に含まない触媒層に比べて抑えられている。サイクリックボルタンメトリーの上限を約1Vから約1.2Vに増加すると、-OH吸着/脱着領域における電流の増加だけでなく、吸着/脱着領域における電流の増加も観察され、Ptがイソプロパノール除去の触媒となり、これにより、Pt表面上の電気化学表面積が拡張されたことが示唆される。
2.勾配のあるアイオノマー濃度を有する触媒層
図5に示されるとおり、触媒層は、GDLの微孔質層に近接して配置され、これに付着している一表面と、高分子電解質膜(PEM)に近接して配置され、これに付着している反対側の表面とを有する。プロトン伝導性の観点からは、より高い濃度のアイオノマー(プロトン伝導体)が、プロトン輸送のためになる場合がある。それにもかかわらず、アイオノマーにおける酸素質量移動インピーダンスも考慮すべきである。ほとんどの場合では、酸素は、GDLから、アイオノマーを介して拡散して、触媒表面に到達する。これを考慮すると、より低い濃度のアイオノマーが望ましい。アイオノマーおよび触媒がインキ組成物中で均等に混合される場合、これら2つの効果をもとに、アイオノマー/触媒比に折り合いをつけることができる。改良されたプロセスでは、PEM側において、GDL側に比べて高い濃度のアイオノマーを含ませることにより、これら2つの効果のバランスの最適化を、勾配のある濃度のアイオノマーによって実現することができる。プロトンは、PEM側からGDL側へ、この方向で電流密度を下げながら移動する。プロトン伝導性の基準は、PEM側に比べてGDL側の方が低い。酸素は、GDL側からPEMへと拡散するため、GDL側においてアイオノマーの濃度または密度が低い方が、酸素拡散のためになり、酸素利用が向上する。PEM側においてより高い濃度または密度がGDL側に向かって低下していくアイオノマー勾配は、プロトン伝導性および酸素移動インピーダンスの両方に適合する。この濃度勾配は、触媒を堆積させた後にアイオノマーが含浸され、アイオノマーの溶液の粘度および表面張力によって勾配を調整することのできる、改良されたプロセスにおいて実現することができる。たとえば、触媒層とPEMとの間の第1の界面に近接するアイオノマーの濃度または密度を、第1の濃度または密度とすることができ、触媒層とGDLとの間の第2の界面に近接するアイオノマーの濃度または密度を、第2の濃度または密度とすることができ、第1の界面と第2の界面との中間の位置におけるアイオノマーの濃度または密度を、第3の濃度または密度とすることができ、第1の濃度は、第2の濃度より高く(たとえば、少なくとも約1.1倍高い、少なくとも約1.3倍高い、または少なくとも約1.5倍高い)、第1の濃度は、第3の濃度より高く(たとえば、少なくとも約1.05倍高い、少なくとも約1.1倍高い、または少なくとも約1.2倍高い)、第3の濃度は、第2の濃度より高い(たとえば、少なくとも約1.05倍高い、少なくとも約1.1倍高い、または少なくとも約1.2倍高い)。より一般には、アイオノマーの濃度は、PEM側におけるより高い(またはより低い)濃度がGDL側に向かって低下していく(または上昇していく)アイオノマー勾配に従って異なるものであってもよく、または別の濃度プロファイルに従って異なるものであってもよい。また、触媒または触媒担体の濃度は、勾配または他の濃度プロファイルに従って異なる場合もある。アイオノマー勾配の特徴付けは、オージェ電子分光法によって行うことができ、この場合では、アイオノマー中に存在し、触媒層の他の成分中には存在しない特徴的な元素(たとえば、フッ素または硫黄)のオージェピークの強度が、アイオノマーの濃度を反映する。走査型電子顕微鏡横断面分析などの画像分析によっても、アイオノマー勾配の特徴付けを行うことができる。
図6(a)は、サンプル触媒層の横断面を、左側に面するGDLと共に示す。走査型透過電子顕微鏡法(STEM)においてエネルギー分散型X線分光法(EDS)を使用する化学マッピングによって濃淡が付けられており、これによって、各画素に含まれている白金(Pt)およびフッ素(F)が定量化される。アイオノマーはFを含むため、Fの強度は、アイオノマー密度の強度に比例する。触媒層における同じ厚さレベルの各画素のF強度を合算することにより、プロファイルが構築される。図6(b)に示されるとおり、プロファイルは、アイオノマー密度が、膜に面する側からGDLに面する側に向かって減少していることを示している。
本明細書で使用するとき、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈からそうでないことが明らかに規定されない限り、複数の指示対象を包含しうる。したがって、たとえば、対象物(an object)への言及は、文脈からそうでないことが明らかに規定されない限り、複数の対象物(multiple objects)を包含しうる。
本明細書で使用するとき、用語「実質的に」、「実質的な」、「およそ」、および「約」は、小さいばらつきを記載および説明するのに使用される。これら用語は、事象または状況と併せて使用されるとき、事象または状況が確実に起こる事例だけでなく、事象または状況が極めて確実に近く起こる事例も指しうる。これら用語は、数値と併せて使用されるとき、その数値の±10%未満もしくはそれと等しい、たとえば、±5%未満もしくはそれと等しい、±4%未満もしくはそれと等しい、±3%未満もしくはそれと等しい、±2%未満もしくはそれと等しい、±1%未満もしくはそれと等しい、±0.5%未満もしくはそれと等しい、±0.1%未満もしくはそれと等しい、または±0.05%未満もしくはそれと等しいばらつきの範囲を指しうる。
一部の実施形態についての記述において、別の対象物(another object)「上の(on)」対象物(an object)は、後の対象物が前の対象物のすぐ上にある(たとえば、それと物理的に接触している)事例だけでなく、前の対象物と後の対象物の間に、介在する1つまたは複数の対象物が配置されている事例も包含しうる。
加えて、量、比、および他の数値は、本明細書では、時に、範囲形式で表される。そのような範囲形式は、利便を図って、および簡潔にするために使用されると理解され、範囲の限界として明確に指定された数値を含むが、その範囲内に含まれるすべての個々の数値または下位範囲も、各数値および下位範囲が明確に指定されたかのごとく含むと柔軟に理解すべきである。たとえば、約1~約200の範囲にある比は、約1と約200という明確に列挙された限界を含むが、約2、約3、および約4などの個々の比、ならびに約10~約50、約20~約100などの下位範囲も含むと理解すべきである。
本開示について、その詳細な実施形態に関連して述べてきたが、添付の請求項によって規定されるとおりの本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、種々の変更がなされてもよく、均等物で代用されてもよいことを、当業者は理解すべきである。加えて、特定の状況、材料、物質の組成、方法、1つまたは複数の操作を本開示の目的、趣旨、および範囲に適合させるために、多数の改変がなされてもよい。そのような改変はすべて、本明細書に添付される請求項の範囲内にあるものとする。特に、ある特定の方法について、特定の順序で行われる特定の操作に関連して記載した場合もあるが、そうした操作を組み合わせ、細分し、または再配列して、本開示の技術から逸脱することなく、等価な方法を作り上げることができると理解される。したがって、本明細書で詳細に指摘しない限り、操作の順序および組分けは、本開示を限定するものではない。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
触媒担体をガス拡散層上に堆積させて、触媒担体でコーティングされたガス拡散層を生成するステップと、
前記触媒担体でコーティングされたガス拡散層上に触媒を堆積させて、触媒でコーティングされたガス拡散層を生成するステップと、
前記触媒でコーティングされたガス拡散層上にアイオノマーを堆積させて、アイオノマーでコーティングされたガス拡散層を生成するステップと
を含む製造プロセス。
(項目2)
前記触媒担体が炭素質ナノ粒子を含む、項目1に記載の製造プロセス。
(項目3)
前記触媒担体を堆積させるステップが、前記触媒担体および溶剤を含むインキ組成物を生成することと、前記インキ組成物を前記ガス拡散層上に付与することとを含む、項目1または2に記載の製造プロセス。
(項目4)
前記インキ組成物を付与することの後に、前記溶剤を除去するステップをさらに含む、項目3に記載の製造プロセス。
(項目5)
前記触媒が白金族金属を含む、項目1に記載の製造プロセス。
(項目6)
前記触媒を堆積させるステップが、原子層堆積によって行われる、項目1に記載の製造プロセス。
(項目7)
前記アイオノマーを堆積させるステップが、前記触媒でコーティングされたガス拡散層の触媒層に、前記アイオノマーを少なくとも部分的に含浸させることを含む、項目1に記載の製造プロセス。
(項目8)
前記アイオノマーの濃度が前記ガス拡散層に向かう方向に低下していく濃度勾配に従って、前記アイオノマーを堆積させる、項目7に記載の製造プロセス。
(項目9)
前記アイオノマーでコーティングされたガス拡散層を、アノードでコーティングされた膜と組み立てて、中間組立品を生成するステップと、前記中間組立品に、別のガス拡散層を積層して、膜電極接合体を生成するステップとをさらに含む、項目1に記載の製造プロセス。
(項目10)
ガス拡散層、
高分子電解質膜、および
前記ガス拡散層と前記高分子電解質膜との間に配置された触媒層
を含み、前記触媒層が、アイオノマーを含み、前記アイオノマーの濃度が、濃度プロファイルに従って前記触媒層内で異なっている、燃料電池用の膜電極接合体。
(項目11)
前記アイオノマーの濃度が、前記高分子電解質膜から前記ガス拡散層に向かう方向に前記アイオノマーの濃度が低下していく濃度勾配に従って異なっている、項目10に記載の膜電極接合体。
(項目12)
前記触媒層がアルコールを実質的に含まない、項目10に記載の膜電極接合体。
(項目13)
項目10から12のいずれか一項に記載の膜電極接合体を含む燃料電池。

Claims (7)

  1. 触媒担体および溶剤を含むインキ組成物をガス拡散層上に堆積させるステップと
    前記溶媒を除去し、触媒担体でコーティングされたガス拡散層を生成するステップと、
    前記触媒担体でコーティングされたガス拡散層上に触媒を堆積させて、触媒でコーティングされたガス拡散層を生成するステップと、
    前記触媒でコーティングされたガス拡散層上にアイオノマーを堆積させて、アイオノマーでコーティングされたガス拡散層を生成するステップと
    を含む製造プロセス。
  2. 前記触媒担体が炭素質ナノ粒子を含む、請求項1に記載の製造プロセス。
  3. 前記インキ組成物を堆積させるステップが、前記触媒担体および前記溶剤を含む前記インキ組成物を生成することと、前記インキ組成物を前記ガス拡散層上に付与することとを含む、請求項1または2に記載の製造プロセス。
  4. 前記触媒が白金族金属を含む、請求項1に記載の製造プロセス。
  5. 前記触媒を堆積させるステップが、原子層堆積によって行われる、請求項1に記載の製造プロセス。
  6. 前記アイオノマーを堆積させるステップが、前記触媒でコーティングされたガス拡散層の触媒層に、前記アイオノマーを少なくとも部分的に含浸させることを含む、請求項1に記載の製造プロセス。
  7. 前記アイオノマーでコーティングされたガス拡散層を、アノードでコーティングされた膜と組み立てて、中間組立品を生成するステップと、前記中間組立品に、別のガス拡散層を積層して、膜電極接合体を生成するステップとをさらに含む、請求項1に記載の製造プロセス。
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