JP2005270687A - 触媒担持炭素材およびその製造方法 - Google Patents

触媒担持炭素材およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005270687A
JP2005270687A JP2004083674A JP2004083674A JP2005270687A JP 2005270687 A JP2005270687 A JP 2005270687A JP 2004083674 A JP2004083674 A JP 2004083674A JP 2004083674 A JP2004083674 A JP 2004083674A JP 2005270687 A JP2005270687 A JP 2005270687A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon material
catalyst
solution
surface area
supported
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004083674A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaki Ono
正樹 小野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2004083674A priority Critical patent/JP2005270687A/ja
Publication of JP2005270687A publication Critical patent/JP2005270687A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Abstract

【課題】 耐久性が優れた触媒担持炭素材を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、炭素材に触媒粒子が担持されてなる触媒担持炭素材において、前記炭素材は、真密度が1.80〜2.11g/cm、格子面間隔d002が3.36〜3.50Å、BET比表面積が20〜230m/gであることを特徴とする触媒担持炭素材により上記課題を解決する。
【選択図】図2

Description

本発明は、炭素材に触媒粒子が担持された触媒担持炭素材に関し、より詳細には高い耐久性を有する炭素材に触媒粒子が担持された触媒担持炭素材に関する。
近年、エネルギー・環境問題を背景とした社会的要求や動向と呼応して、常温でも作動し高出力密度が得られる固体高分子電解質型燃料電池が電気自動車用電源、定置型電源として注目されている。固体高分子電解質型燃料電池は、フィルム状の固体高分子膜からなる電解質層を用いるのが特徴である。
固体高分子電解質型燃料電池の構成は、一般的には、膜−電極接合体(以下、「MEA」とも記載する。)をセパレータで挟持した構造となっている。また、MEAは、電極触媒を高分散した触媒層を有する触媒担持電極により電解質層が挟持された構造を有する。
かような固体高分子電解質型燃料電池では、電極触媒により、アノードでは燃料の水素ガスをプロトンに変え、カソードでは酸素を還元して電解質層を通ってきたプロトンと結びつき水となる。このようにして、固体高分子電解質型燃料電池は、化学反応により得られた反応エネルギーから電気エネルギーを直接得るものである。
固体高分子電解質型燃料電池は、コストとともに問題となっているのが電池の寿命である。必要とされる電池の寿命は、自動車で5000時間、家庭用では4万時間ともいわれ、長期にわたって所望の発電性能を維持することが求められている。その解決手段として、電極触媒に関する様々な研究開発が進められている。
従来の電極触媒では、カソードおよびアノードともに、炭素を主成分とする炭素材を担体として、これに白金または白金合金等の触媒粒子を担持させた触媒担持炭素材などが用いられている。触媒担持炭素材における炭素材は、微細化された触媒粒子を高分散担持させるために、大きい比表面積を有するものが多く用いられている。これにより、触媒の電極反応面積が大きくすることができ、高い触媒活性が得られる。
しかしながら、燃料電池の長時間の連続運転や起動停止などさまざまな原因でアノードおよびカソードの電位が大きく変化することにより、条件によっては炭素を主成分とする触媒担体の腐食が発生する場合がある。これは、電極性能の低下を招き、燃料電池の性能を劣化させる主な原因となっている。
例えば、カソードにおいて電極電位が貴電位環境(約0.8V以上)となると、担体の電気化学的な酸化反応が起こり担体の腐食反応が進行する。かような担体の腐食反応は、下記化学式に示すように、水を酸化剤として二酸化炭素を生成する反応が進行すると考えられている。
Figure 2005270687
これにより、担体が消失し、担体表面に担持されていた触媒金属の遊離・凝集を招く。触媒粒子の遊離・凝集は、触媒粒子の電極反応面積を低下させ、結果として、電池性能を低下させる要因となる。
一方、アノードにおいて電極反応時などに燃料不足が起こった場合、所望の電流密度を保つために燃料の酸化反応に代わって水の電気分解や担体の酸化が発生する。従って、アノードにおいてもカソードの場合と同様に担体が腐食・消失し、触媒粒子の遊離・凝集が起こる。
そこで、従来では、かようなカーボンを主成分とする担体の耐久性を向上させる試みが多くなされている。例えば、特許文献1には、格子面間隔d002が0.340〜0.362nm、結晶子の大きさLが0.6〜4nm、かつ比表面積が260〜800m/gの炭素担体に触媒粒子を担持させた触媒が開示されている。一般的に炭素は熱処理などで黒鉛化することにより耐久性が向上する。前記特許文献1では、黒鉛化度を制御することにより高い性能を有する触媒が得られることが示されている。
特開2001−357857号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されている炭素担体によっても、実用化に対しては未だにより高い耐久性を有する触媒担持炭素材が所望されている。
そこで、本発明が目的とするところは、高い耐久性を有する炭素材に触媒粒子が担持された触媒担持炭素材を提供することである。
本発明者が鋭意検討した結果、触媒粒子を担持する担体として、真密度、格子面間隔、比表面積が所定の値を有することにより上記課題が解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、炭素材に触媒粒子が担持されてなる触媒担持炭素材において、前記炭素材は、真密度が1.80〜2.11g/cm、格子面間隔d002が3.36〜3.50Å、BET比表面積が20〜230m/gであることを特徴とする触媒担持炭素材である。
触媒担体として用いられる炭素材が所定の真密度、格子面間隔、BET比表面積を有することにより、本発明の触媒担持炭素材は十分な初期性能と優れた耐久性とを有する。前記触媒担持炭素材は様々な電気化学装置に好ましく用いられ、これにより一定性能を長期に亘り安定して保つことのできる電気化学装置を得ることが可能となった。
本発明の第一は、炭素材に触媒粒子が担持されてなる触媒担持炭素材において、前記炭素材は、真密度が1.80〜2.11g/cm、格子面間隔d002が3.36〜3.50Å、BET比表面積が20〜230m/gであることを特徴とする触媒担持炭素材である。
一般的に、担体として用いられる炭素材は、触媒粒子を高分散坦持させるための十分な比表面積を有していなければならない。また、固体高分子電解質型燃料電池などに用いられる場合には、プロトン伝導性電解質として使用されるパーフルオロスルホン酸系ポリマーなどによる強酸性環境下で腐食されないことが必要とされている。
本発明において、前記炭素材の格子面間隔d002とは、カーボン担体の黒鉛構造に基づく六角網面の面間隔であり、六角網面の垂直方向であるc軸方向の格子定数の1/2層間距離の平均値を意味する。
熱処理などにより黒鉛化された炭素材は黒鉛構造に似た三次元的結晶格子が形成され、黒鉛化が進むにつれて結晶格子間の微細な空隙部分が少なくなり、炭素材の結晶構造が黒鉛の結晶構造に近づく。
本発明の触媒担持炭素材における炭素材は、真密度が1.80〜2.11g/cm、格子面間隔d002が3.36〜3.50Åである。これにより、耐食性および電子伝導性に優れる炭素材が得られる。真密度が1.80g/cm未満、格子面間隔d002が3.50Åを超える場合には、十分に黒鉛構造が発達していない場合などが多く、高い耐食性、電子伝導性が得られない恐れがある。また、真密度が2.11g/cmを超え、格子面間隔d002が3.36Å未満では、黒鉛構造が発達しすぎる場合などが多く、十分な比表面積が得られない恐れがある。
従って、真密度が1.80〜2.11g/cm、格子面間隔d002が3.36〜3.50Åである炭素材を用いる必要があるが、好ましくは真密度が1.90〜2.11g/cm、格子面間隔d002が3.40〜3.49Åであり、より好ましくは真密度が2.0〜2.11g/cm、格子面間隔d002が3.42〜3.49Åである。
本発明では、真密度および格子面間隔d002が前述した所定の範囲内であり、さらに、BET比表面積が20〜230m/gである炭素材を用いた触媒担持炭素材が、十分な初期性能および優れた耐久性を有することが判明した。上述した通り、担体である炭素材は十分な比表面積を有することが望ましいが、比表面積が大きすぎると十分な耐久性が得られない結果となった。このような結果を招く詳細な原因は不明であるが、真密度や格子面間隔が同程度であっても、比表面積が大きいカーボンは黒鉛化層の厚さが薄くなっていると考えられる。黒鉛化層が薄いと、腐食により白金粒子周辺のカーボンが速く消失するため、耐久性が低下したと考えられる。
そこで、本発明では、担体である炭素材のBET比表面積を、20〜230m/g、好ましくは60〜150、より好ましくは70〜120m/gとする。炭素材のBET比表面積が20m/g未満の場合には比表面積が低すぎ十分な初期性能が得られない恐れがあり、230m/gを超える場合には耐久性が低下する恐れがあるため、上記範囲が好ましい。
なお、炭素材の真密度、格子面間隔d002、BET比表面積について、上記では黒鉛化との関係に基づいて説明した。しかしながら、炭素材は、真密度、格子面間隔d002、BET比表面積が所定の要件を満たすのであれば、黒鉛化されたものに限定されない。
本発明における、真密度は、ヘリウムを用いた気相置換法により測定した値とする。また、格子面間隔d002は、X線回折法を用いた学振法(稲垣道夫、炭素 No.36、25〜34(1963))により測定した値とする。比表面積は、窒素を用いたBET法により測定した値とする。
前記炭素材は、高性能な燃料電池の電極触媒などに用いられるため、触媒粒子を担持するだけではなく、電子を外部回路に取り出すあるいは外部回路から取り入れるための集電体としての機能を有することなどが求められる。担体の電気抵抗が高いと燃料電池の内部抵抗が高くなり、結果として電池性能の低下を招く恐れがあるためである。また、燃料電池などでは電解質と供給ガスと触媒粒子とが接触する三相界面で電極反応が進行する。従って、供給ガスを均一に拡散し、電極反応による生成水を速やかに排出するため、形成される電極は多孔質であることが望ましい。
このように、集電体としての機能を有し、かつ、多孔質である電極を形成し易くするためには、担体として炭素を主成分とする炭素材が好ましく用いられる。前記炭素材として、具体的には、カーボンブラック、グラファイト化カーボン、活性炭、天然黒鉛、人造黒鉛などの粉末、あるいは、これらにより構成される発泡体、エアロゲルなどの多孔質構造体を用いることができる。
本発明の触媒担持炭素材において、前記炭素材に担持される触媒粒子としては、Pt、Ir、Au、Ag、およびPdから選択される少なくとも1種が挙げられる。かような触媒粒子は、様々な電気化学反応、例えば酸素還元反応や水素酸化反応など、に対して高い活性を示すため好ましく用いられる。また、前記触媒粒子を基体とした、合金触媒、貴金属−卑金属混合物触媒、金属酸化物触媒も高い活性を示すため、好ましく用いられる。
前記触媒粒子の粒径は、小さいほど電気化学反応が進行する有効電極面積が増加するため得られる触媒活性も高くなる。しかしながら、実際には触媒粒子径が小さくなりすぎるとシンタリングなどを招き易く、むしろ触媒活性が低下する現象が見られる。そのため、炭素材に担持される前記触媒粒子の平均粒径は好ましくは1〜10nm、より好ましくは2〜5nmであるのがよい。ここで「触媒粒子の平均粒径」とはX線回折における触媒粒子の回折ピークの半値幅より求められる結晶子径あるいは透過型電子顕微鏡像より調べられる触媒粒子の粒子径の平均値を示す。
また、触媒粒子の担持量は、前記触媒担持炭素材の全量に対して20〜80質量%、好ましくは40〜60質量%とするのがよい。担持量が20質量%未満である場合、所望する触媒活性を得るために触媒担持炭素材量を増大させる恐れがある。これにより電極が厚くなり、内部抵抗の増加や反応物の拡散抵抗などに起因して電池性能の低下を招く恐れがある。また、80質量%を超えた場合には、炭素材表面に担持する触媒粒子の重なりが多くなり、使用する触媒量に対して得られる触媒活性が小さくなるため、高コストになる恐れなどがある。なお、触媒粒子の担持量は、ICP(誘導結合プラズマ発光分光法)などにより確認することができる。
次に、本発明の第二は、上述した触媒担持炭素材の製造方法である。前記触媒担持炭素材は、前記炭素材に触媒粒子が高分散担持されてなるものであり、触媒粒子の担持方法としては特に限定されないが、含浸法、液相還元担持法、蒸発乾固法、コロイド吸着法、噴霧熱分解法、逆ミセル(マイクロエマルジョン法)などの方法が挙げられる。
含浸法により前記触媒担持炭素材を製造するには、真密度が1.80〜2.11g/cm、格子面間隔d002が3.36〜3.50Å、BET比表面積が20〜230m/gである炭素材を、触媒溶液に添加する段階と、前記炭素材表面に前記触媒溶液を含浸させる段階と、を含む方法が用いられる。かような方法によれば、炭素材表面に触媒粒子を高分散担持することができ、十分な初期性能と優れた耐久性を有する触媒担持炭素材を得ることができる。
前記炭素材を触媒溶液に添加する段階において、前記炭素材は、上述の本発明の第一においてした説明と同様であるため、ここではその詳細な説明を省略する。
前記触媒溶液とは、炭素材に担持させる触媒粒子の元素を含む溶液のことである。前記触媒粒子としては、高い触媒活性を示すことから、Pt、Ir、Au、Ag、およびPdから選択される少なくとも1種が挙げられる。
前記触媒溶液として具体的には、例えば、触媒粒子としてPtを用いる場合には、塩化白金酸、塩化アンミン白金、ジニトロジアンミン白金;イリジウムを用いる場合には、塩化イリジウムなど;金を用いる場合には、塩化金酸など;銀を用いる場合には、硝酸銀など;パラジウムを用いる場合には、塩化パラジウムなど所望の触媒粒子の元素を含む化合物(以下、単に「触媒化合物」とも記載する。)を、水および/または有機溶媒などに所定濃度に溶解させた溶液などのことである。有機溶媒としては、特に限定されず、エタノール、メタノール、プロパノールなどが挙げられ、これらは1種単独で使用してもよいし2種以上を混合して使用してもよい。
触媒溶液における触媒化合物の濃度としては特に限定されず、所望の触媒担持炭素材が得られるように適宜決定すればよいが、溶媒に対して0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%程度とすればよい。
前記触媒溶液に炭素材を添加した後、前記炭素材が粉末の場合には、前記触媒溶液に炭素材をホモジナイザー、超音波分散装置等の適当な分散手段により十分に分散させてもよく、これらの分散手段は適宜組み合わせてもよい。前記炭素材が多孔質構造体の場合には、溶液に添加した後、必要に応じて超音波照射や減圧脱泡により触媒溶液を細部にまで浸透させる手段を加えても良い。これらの手段により、炭素材表面に触媒溶液を含浸させることができる。
触媒溶液に添加する炭素材の添加量としては特に限定されず、所望の触媒担持炭素材が得られるように適宜決定すればよいが、触媒化合物溶液に対して0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜3質量%程度とすればよい。
次に、触媒溶液が含浸された前記炭素材を、吸引瀘過などの瀘別手段などの公知の手段を用いて、濾取し、乾燥する。その後、前記混合液をろ過して、得られた沈殿物を乾燥することにより、本発明の触媒担持炭素材を得ることができる。
乾燥方法としては、真空乾燥、自然乾燥、ロータリーエバポレータ、沿送風乾燥機による乾燥など、公知の方法を用いればよく、特に限定されない。乾燥時間などは、使用する方法に応じて適宜決定すればよい。
乾燥させた後に、さらに、焼成を行ってもよく、または、乾燥段階を経ずに焼成のみ行ってもよい。必要に応じて行われる焼成条件としては、特に限定されないが、大気中、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気などの不活性雰囲気中、または水素のような可燃性ガスを含んだ還元雰囲気中で、300〜1000℃で、1〜6時間程度、行えばよい。
前記触媒担持炭素材において、炭素材に担持される触媒粒子の平均粒径および担持量は、上述した本発明の第一において説明したのと同様であるため、ここではその説明を省略する。
また、上述した方法において、触媒溶液に炭素材を添加した後、還元剤を添加する、液相還元担持法により触媒粒子の還元担持を行ってもよい。すなわち、真密度が1.80〜2.11g/cm、格子面間隔d002が3.36〜3.50Å、BET比表面積が20〜230m/gである炭素材を、触媒溶液に添加する段階と、得られる混合液に還元剤を添加する段階と、を含む方法である。かような方法によっても、炭素材表面に触媒粒子を高分散担持することができ、十分な初期性能と優れた耐久性を有する触媒担持炭素材を得ることができる。
前記炭素材を触媒溶液に添加する段階としては、上記した含浸法においてした説明と同様にして行えばよい。
次に、得られる混合液に還元剤を添加する段階において、前記還元剤としては、触媒化合物を還元できるものであれば特に限定されず、例えば、チオ硫酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、メタノール、エタノール、水素、エチレン、一酸化炭素などが挙げられる。触媒溶液に添加する前記還元剤の添加量などは特に限定されず、適宜調整して決定すればよい。
前記混合液に還元剤を添加した後は、還流反応装置などを用いて20〜100℃に加熱して、白金などの触媒粒子の還元担持を行えばよい。その後、室温まで放冷した後、触媒粒子が担持された炭素材を吸引瀘過などの瀘別手段により濾取および乾燥し、必要に応じて焼成を行えばよい。
かような液相還元担持法によっても本発明の触媒担持炭素材を製造することができる。前記乾燥方法および前記焼成方法は、上述の含浸法においてした説明と同様にして行えばよい。
次に、本発明の触媒担持炭素材を蒸発乾固法により製造するには、真密度が1.80〜2.11g/cm、格子面間隔d002が3.36〜3.50Å、BET比表面積が20〜230m/gである炭素材を、触媒溶液に添加する段階と、得られる混合液を蒸発乾固する段階と、を含む方法を用いればよい。かような方法によっても、炭素材表面に触媒粒子を高分散担持することができ、十分な初期性能と優れた耐久性を有する触媒担持炭素材を得ることができる。
炭素材を触媒溶液に添加する段階において、前記前記炭素材は、上述の本発明の第一においてした説明と同様であるため、ここではその詳細な説明を省略する。
前記触媒溶液とは、炭素材に担持させる触媒粒子の元素を含む溶液のことである。前記触媒溶液は、触媒粒子の元素を含む塩(以下、単に「触媒塩」ともいう。)を、水および/またはエタノール、メタノールなどの有機溶媒に溶解させたものを用いる。触媒塩としては、水や有機溶媒などの溶媒に可溶なものであれば特に限定されず、例えば、触媒粒子の元素との硝酸塩、亜硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、硫酸塩、オキシ硝酸塩、ハロゲン化物、金属錯体塩などが挙げられる。
前記触媒粒子としては、高い触媒活性を示すことから、Pt、Ir、Au、Ag、およびPdから選択される少なくとも1種が挙げられる。
なお、前記触媒溶液中の触媒塩の濃度は、特に制限されるべきものではなく、飽和濃度以下であればよい。ただし、低濃度では所望の担持量になるまでに上記段階を繰り返して調製する必要があることから、必要な濃度を適宜決定すればよい。また、触媒溶液中に添加する炭素材の添加量としても、所望する触媒担持炭素材が得られるように、適宜決定すればよい。触媒溶液中への炭素材の分散には、ホモジナイザーなどの適当な攪拌機を用いればよいが、これに制限されるものではなく、超音波分散装置など超音波を印加して均一に分散混合するなどしてもよい。
次に、得られた混合液を蒸発乾固する段階により、溶媒を除去するとともに触媒粒子を炭素材表面に析出させて触媒担持炭素材を得ることができる。蒸発乾固条件としては特に制限されるものではなく、触媒溶液に用いられている溶媒の種類などに応じて適宜決定される。例えば、溶媒が水の場合には、混合液をロータリーエバポレータ等で適当に攪拌等しながら90℃程度以下で、溶媒である水分が完全に蒸発するまで加熱を続ければよい。90℃を超える場合には、溶媒が急激に蒸発するため、一部の炭素材に触媒粒子が偏析する恐れがある。また、溶媒の蒸発は、減圧乾燥器などを用いて減圧環境下で行っても良い。蒸発乾固により得られた触媒担持炭素材がバルク形態の場合には、適当に粉砕していてもよい。
さらに、得られた触媒担持炭素材は、所望の平均粒径を有する触媒粒子が残るように必要に応じて焼成してもよい。具体的な焼成方法としては、用いる触媒粒子や、炭素材の種類により異なるため一義的に定義できないが、上述の含浸法においてした説明と同様にして行えばよい。例えば、水素を1〜3%含む窒素などの還元雰囲気下、300〜1000℃で、1〜6時間程度、行えばよい。
次に、本発明の触媒担持炭素材をコロイド吸着法により製造するには、真密度が1.80〜2.11g/cm、格子面間隔d002が3.36〜3.50Å、BET比表面積が20〜230m/gである炭素材を触媒コロイド溶液に添加する段階と、前記炭素材に触媒コロイドを吸着させる段階と、を含む方法を用いればよい。かような方法によっても、炭素材表面に触媒粒子を高分散担持することができ、十分な初期性能と優れた耐久性を有する触媒担持炭素材を得ることができる。
前記炭素材としては、上述の本発明の第一においてした説明と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
触媒コロイド溶液とは、ナノサイズの触媒粒子が溶液中に均一に分散した溶液である。触媒コロイド溶液の調整方法としては公知技術を適宜用いればよいが、例えば、還元されてコロイド粒子となる触媒粒子の元素を含む塩(以下、単に「触媒塩」ともいう。)を含む溶液に、還元剤などを添加することにより得られる。
触媒塩を含む溶液とは、触媒粒子の元素の硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物などの触媒塩のうち少なくとも1種を、水、アセトン、メタノール、エタノール、エチレングリコール、およびこれらの混合物などの溶媒に溶解することにより得られる。前記触媒粒子としては、高い触媒活性を示すことから、Pt、Ir、Au、Ag、およびPdから選択される少なくとも1種が挙げられる。
なお、触媒溶液中の触媒塩の濃度は、特に制限されるべきものではなく、飽和濃度以下であればよい。ただし、低濃度では所望の担持量になるまでに上記段階を繰り返して調製する必要があることから、必要な濃度を適宜決定すればよい。また、触媒溶液中に添加する炭素材の添加量としても、所望する触媒担持炭素材が得られるように、適宜決定すればよい。
前記還元剤としては、アルコール、分子状水素、黄燐、ヒドラジン、テトラヒドロホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、タンニン酸、ホルムアルデヒドおよび亜硫酸水素ナトリウム等が挙げられる。前記還元剤による還元の代わりに、光照射または超音波照射による還元なども可能である。
前記触媒コロイド溶液には、前記還元剤の他、コロイド安定化剤などが添加されていてもよい。前記コロイド安定化剤としては、保護コロイド作用を有するものであれば特に限定されないが、その好ましい例として、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリビニルアルコール、N−ビニル−2−ピロリドンとアクリルアミド又はアクリル酸メチルとの共重合体、ポリ(メチルビニルエーテル)、ゼラチン、カゼインナトリウムおよびアラビアゴム等を挙げることができる。
前記触媒コロイド溶液に炭素材を加え、適切な温度およびpHを設定することにより、触媒粒子を炭素材表面に吸着担持させることができる。条件は使用する触媒粒子種、炭素材種、溶液種によって変わるが、温度は0〜40℃、pHは1〜10の範囲で適宜調整するのが好ましい。温度は、高すぎると吸着が促進されず、低すぎると溶液によっては凍結する恐れがあるため望ましくない。また、pHは、高すぎても低すぎても触媒粒子の担体への吸着が起こらないかあるいは溶液の触媒粒子の分散性低下・凝集などが起こる恐れがある。
また、炭素材表面に担持される触媒粒子の形態としては、特に限定されず、炭素材表面に触媒粒子の水酸化物などの触媒粒子前駆体が担持されてもよい。その後、焼成などにより触媒粒子前駆体を触媒粒子(金属)に還元し、触媒担持炭素材とすることができる。前記触媒粒子前駆体として触媒粒子水酸化物を得るには、加水分解して水酸化物を生じるものであればよく、触媒粒子のアルコキシドを用いて触媒粒子コロイド溶液を調製することにより、前記アルコキシドが水などの溶媒により加水分解されて水酸化物の形態となる。
触媒塩を含む溶液に添加する還元剤およびコロイド安定化剤などの添加量、ならびに、触媒粒子コロイド溶液に添加する炭素材の添加量などは、所望する触媒担持炭素材が得られるように適宜決定すればよい。
このようにして触媒粒子の吸着担持を行った後は、触媒コロイド溶液に触媒活性を阻害するような物質が含まれていなければ、ろ過および乾燥工程を経るだけで、本発明の触媒担持炭素材を得ることが出来る。乾燥方法としては、上述した含浸法においてした説明と同様にして行えばよい。
また、触媒コロイド溶液に触媒活性を阻害する恐れのある物質、例えば、ポリビニルアルコールのようなコロイド安定化剤等が含まれる場合には、乾燥工程だけではこれらが触媒担持炭素材に残留する恐れがある。このような場合には、窒素やアルゴンなどの不活性雰囲気中、水素を含む窒素などの還元雰囲気中、または大気中で、200〜800℃、1〜6時間程度の焼成を行うのが好ましい。
さらに、本発明の触媒担持炭素材は、噴霧熱分解法によっても製造することができる。すなわち、触媒溶液を霧状にして熱分解した後、真密度が1.80〜2.11g/cm、格子面間隔d002が3.36〜3.50Å、BET比表面積が20〜230m/gである炭素材表面に堆積させる段階を含む方法である。かような方法によっても、炭素材表面に触媒粒子を高分散担持することができ、十分な初期性能と優れた耐久性を有する触媒担持炭素材を得ることができる。
噴霧熱分解法による触媒担持炭素材の前記製造方法は、従来一般的に用いられている噴霧熱分解装置などを用いて行えばよい。以下に、図1に示す噴霧熱分解装置を用いた方法を例に挙げて説明する。
図1に示す装置は本発明に好ましく使用できる噴霧熱分解装置を示す図である。該装置において、超音波噴霧器10、加熱域配管20と、サイクロン40とを有し、前記加熱域配管20は、外周を加熱装置30で覆われることにより内部の温度を所望の温度に設定され炭素材導入管25が接続している。また、超音波噴霧器10は、キャリアガス導入配管15が接続され、サイクロン40にはキャリアガス排出管45が接続している。
当該装置において、まず、キャリアガス導入配管15を介して、溶液タンク(図示せず)から触媒溶液のみを超音波噴霧乾燥器10内に送る。触媒溶液は、超音波噴霧器10により液滴化され触媒溶液液滴11とされた後、キャリアガス導入配管15から供給されたキャリアガス12により加熱域配管20に送られる。加熱域配管20では、キャリアガスなどの気流と共に送られた触媒溶液液滴に含まれる触媒粒子元素を含む塩を加熱装置30により加熱することにより触媒粒子に熱分解する。炭素材13は炭素材導入管25から導入され、これにより熱分解して得られた触媒粒子を炭素材表面に堆積させることができる。このようにして、前記触媒粒子が堆積した前記炭素材は、加熱域配管20の上部に設けられた出口から気流と共に排出されてサイクロン40によって補集され、本発明の触媒担持炭素材14を得ることができる。
前記触媒溶液としては、触媒粒子の元素を含む塩(以下、単に「触媒塩」ともいう。)を、水および/またはエタノール、メタノールなどの有機溶媒に溶解させたものであり、上述の蒸発乾固法において説明したのと同様であるためここでは詳細な説明を省略する。前記触媒溶液の溶媒としては、余分な炭素の析出を容易に抑制することが可能なため、水を用いることが特に好ましい。
前記触媒粒子としては、高い触媒活性を示すことから、Pt、Ir、Au、Ag、およびPdから選択される少なくとも1種が挙げられる。
前記触媒溶液を霧状にする方法としては、上述した超音波噴霧法に限定されず、スプレー法、イオナイザ法など各種公知技術を適宜用いればよい。
霧状にされた前記触媒溶液を加熱域配管20に送るためのキャリアガスとしては、特に限定されないが、好ましくは、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス、水素を含む窒素などの還元性ガスなどが挙げられる。
次に、加熱域配管20は、キャリアガスなどの気流と共に送られた液滴に含まれる触媒塩を触媒粒子に熱分解させる温度に設定されている。加熱域配管20内の温度は、用いた触媒塩によって異なるため一義的に定義できないが、一般的には300〜800℃程度に設定する。かような温度に設定することにより、液滴の触媒溶液を熱分解した後、加熱域配管20に導入され炭素材表面に堆積させ、球状粉末とすることができる。
前記炭素材としては、上述の本発明の第一においてした説明と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
また、加熱域配管20における前記炭素材の導入方法としては特に限定されず、圧粉して試料台に設置するなど予め加熱域配管20内に前記炭素材が設置されていてもよい。また、前記炭素材表面に均一に触媒粒子が担持されるように、別のガス経路により流動させるなど攪拌手段が別途設けられていてもよい(図示せず)。
触媒粒子が表面に堆積された前記炭素材は、加熱域配管20の上部に設けられた出口からキャリアガスと共に排出されてサイクロン40によって補集され、本発明の触媒担持炭素材を得ることができる。
上述した本発明の触媒担持炭素材は、真密度、格子面間隔d002、およびBET比表面積が所定の値を有する炭素材に前記触媒粒子が担持されることにより、十分な初期性能と優れた耐久性を有し、様々な電気化学反応に用いることができる。従って、前記触媒担持炭素材によれば、一定性能を長期に亘り安定して保つことのできる電気化学装置が得られる。
すなわち、本発明の第三は、上述した触媒担持炭素材を用いた電気化学装置である。前記電気化学装置としては、前記触媒担持炭素材が好適に用いられるのであれば特に制限されないが、金属−空気電池、電気化学センサ、水電解装置などの電解処理装置、燃料電池などが挙げられる。なかでも、従来よりも優れた耐久性を有するため、燃料電池の電極触媒として用いるのが好ましい。これにより、移動体用電源、定置用電源として信頼性の高い燃料電池が得られる。
燃料電池の種類としては、所望する電池特性が得られるのであれば特に限定されないが、実用性・安全性などの観点から固体高分子電解質型燃料電池(以下、「PEFC」とも記載する。)として用いるのが好ましい。
PEFCにおいて、前記触媒担持炭素材は、カソードおよびアノードの双方の電極触媒として好適に用いられる。しかしながら、アノードにおける水素の酸化反応に対してカソードでの還元反応は過電圧が大きく、触媒担体の腐食などによる劣化が生じ易い。従って、前記触媒担持炭素材は、カソードの電極触媒として用いるのが好ましい。PEFCにおけるその他の構成要件としては、従来公知の各種技術を適宜参照して用いればよく、特に限定されない。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されることはない。また、当該実施例において、「%」は特記しない限り質量百分率を表わすものとする。
<実施例1>
炭素材A粉末(電気化学工業製デンカブラック)を用いてPt担持炭素材粉末を以下の通りにして調製した。なお、用いた炭素材A粉末の真密度、格子面間隔(d002)、比表面積を、表1に示す。
炭素材A粉末1gを、0.4%の白金を含有する塩化白金酸水溶液250g中にホモジナイザーを用いて十分に分散させた後、これにホルムアルデヒド20mlを加え、還流反応装置を使用して50℃に加熱し、白金の還元担持を行った。そして、室温まで放冷した後、白金が担持されたカーボンを濾別することにより、Pt担持炭素材粉末を得た。
得られたPt担持炭素材粉末の平均粒子径、担持量、および1A/cmにおける初期セル電圧値を表2に示す。なお、表2において、平均Pt粒子径は透過型電子顕微鏡観察の結果から、Pt担持量は誘導結合プラズマ発光分光法によって測定した。また、セル電圧値は後述の運転条件で測定したものである。
<実施例2>
炭素材B粉末(ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製ケッチェンブラックEC)を、黒鉛炉を用いて、高純度アルゴンガス気流(アルゴン99.9999%以上含有)中、2400℃で4時間熱処理したものを炭素材粉末として用いた以外は、実施例1と同様にしてPt担持炭素材粉末を調製した。なお、熱処理した炭素材B粉末の真密度、格子面間隔(d002)、比表面積を表1に、また、得られたPt担持炭素材の平均粒子径、担持量、および1A/cmにおける初期セル電圧値を表2に示す。
<実施例3>
炭素材C粉末(Cabot社製Black Pearls 2000)を、黒鉛炉を用いて、高純度アルゴンガス気流(アルゴン99.9999%以上含有)中、2400℃で4時間熱処理したものを炭素材粉末として用いた以外は、実施例1と同様にしてPt担持炭素材粉末を調製した。なお、熱処理した炭素材C粉末の真密度、格子面間隔(d002)、比表面積を表1に、また、得られたPt担持炭素材の平均粒子径、担持量、および1A/cmにおける初期セル電圧値を表2に示す。
<実施例4>
炭素材D粉末(Cabot社製Vulcan XC−72)を、黒鉛炉を用いて、高純度アルゴンガス気流(アルゴン99.9999%以上含有)中、2400℃で4時間熱処理したものを炭素材粉末として用いた以外は、実施例1と同様にしてPt担持炭素材粉末を調製した。なお、熱処理した炭素材D粉末の真密度、格子面間隔(d002)、比表面積を表1に、また、得られたPt担持炭素材の平均粒子径、担持量、および1A/cmにおける初期セル電圧値を表2に示す。
<比較例1>
炭素材B粉末(ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製ケッチェンブラックEC)を熱処理しないで炭素材として用いた以外は、実施例1と同様にしてPt担持炭素材粉末を調製した。なお、炭素材B粉末の真密度、格子面間隔(d002)、比表面積を表1に、また、得られたPt担持炭素材の平均粒子径、担持量、および1A/cmにおける初期セル電圧値を表2に示す。
<比較例2>
炭素材C粉末(Cabot社製Black Pearls 2000)を熱処理しないで炭素材として用いた以外は、実施例1と同様にしてPt担持炭素材粉末を調製した。なお、炭素材C粉末の真密度、格子面間隔(d002)、比表面積を表1に、また、得られたPt担持炭素材の平均粒子径、担持量、および1A/cmにおける初期セル電圧値を表2に示す。
<比較例3>
炭素材D粉末(Cabot社製Vulcan XC−72)を熱処理しないで炭素材として用いた以外は、実施例1と同様にしてPt担持炭素材粉末を調製した。なお、炭素材D粉末の真密度、格子面間隔(d002)、比表面積を表1に、また、得られたPt担持炭素材の平均粒子径、担持量、および1A/cmにおける初期セル電圧値を表2に示す。
<比較例4>
炭素材E粉末(呉羽化学製クレカKS)を炭素材として用いた以外は、実施例1と同様にしてPt担持炭素材粉末を調製した。なお、炭素材E粉末の真密度、格子面間隔(d002)、比表面積を表1に、また、得られたPt担持炭素材の平均粒子径、担持量、および1A/cmにおける初期セル電圧値を表2に示す。
Figure 2005270687
Figure 2005270687
<評価>
各実施例1〜4および比較例1〜4で調製したPt担持炭素材を用いて作製したMEAの初期セル電圧および耐久性を測定することにより、各Pt担持炭素材の評価を行った。
・MEAの作製
MEA(膜−電極接合体)の作製についてはいずれのPt担持炭素材についても以下のように行った。
各実施例および比較例のPt担持炭素材の重量に対して、5倍量の精製水を加えた後、0.5倍量のイソプロピルアルコールを加え、さらにはNafion(登録商標)の重量が1倍量となるようにNafion溶液(Aldrich社製 5wt%Nafion(登録商標)含有)を加えた。混合スラリーを超音波ホモジナイザーでよく分散させ、それに続いて減圧脱泡操作を加えることによって触媒スラリーを作製した。これをガス拡散層(GDL)であるカーボンペーパー(東レ株式会社製 TGP−H−90)の片面にスクリーン印刷法によって所望の厚さに応じて所定量の触媒スラリーを印刷し、60℃で24時間乾燥させることにより、カソード触媒層が形成されたガス拡散層を得た。
次に、比較例1のPt担持炭素材を用いて、カソード触媒層と同様にして、ガス拡散層上にアノード触媒層を形成した。
電解質膜としてNafion112(厚さ:約50μm)を用い、これを触媒層が形成された面が内側となるようにして先に作製した各ガス拡散層を用いて挟持し、120℃、0.8MPaで10分間ホットプレスを行うことによりMEAを作製した。
なお、カソード触媒層およびアノード触媒層は、厚さが約10μmであった。アノード、カソードともにPt使用量を見かけの電極面積1cmあたり0.5mgとし、電極面積は300cmとした。
・耐久性測定
作製したMEAを用いて燃料電池単セルを構成し、耐久性を以下のような方法で測定した。本測定では燃料電池を発電運転させる場合にはアノード側に燃料として水素を供給し、カソード側には空気を供給した。両ガスとも供給圧力は大気圧とし、水素は56℃、空気は50℃で飽和加湿し、燃料電池本体の温度は70℃に設定し、水素利用率は70%、空気利用率は40%として、電流密度1A/cmで10分間運転を続けた。発電を停止する場合には取り出す電流をゼロにした後、アノードは30秒間窒素パージをして水素を排出した後出口側を大気開放とし、カソードも同様に出口側を大気開放とした。このとき燃料電池本体の温度は70℃一定に保ったままで停止時間は20分とした。発電停止時、実験環境は室温が20〜25℃、湿度は40〜60%RHの範囲内であった。停止後、運転を再開する場合には、再び上記条件でセルにガスを導入し、発電を行った。この運転−停止サイクルを繰り返すことによって、燃料電池単セルの耐久性測定を行った。
・耐久性評価
各Pt担持炭素材を用いた燃料電池単セルを各運転―停止サイクルごとに電流密度1A/cmにおけるセル電圧を測定し、セル電圧の運転−停止サイクル数に対する変化について比較調査し、得られた結果を図2に示す。また、各燃料電池単セルの初期セル電圧を、表2に示す。
図2において、各比較例のPt担持炭素材を用いた燃料電池単セルについて、実験開始時は、高いセル電圧を示していたが、運転−停止サイクル数の増加とともに急速にセル電圧が低下し、400サイクルに満たないうちにセル電圧は0.4V以下にまで低下することが判る。また、比較例4のPt担持炭素材を用いた燃料電池単セルについては、表2に示すように、初期セル電圧が他と比較してかなり低かったため、本試験は行わなかった。
これに対し、各実施例のPt担持炭素材を用いた燃料電池単セルについては、運転−停止サイクル数に対するセル電圧の低下速度が著しく低下し、運転−停止サイクル数が増加してもかなり高いセル電圧を示すことが判明した。
この結果から、所定の範囲の真密度、格子面間隔(d002)、およびBET比表面積が所定の値を有する炭素材を触媒担体として用いれば、耐久性に優れる燃料電池単セルが得られることがわかった。従って、このような炭素材を用いることにより、炭素材の腐食が抑制され、カーボン腐食により発生すると推測される触媒粒子の遊離や凝集が抑制されることから、起動停止運転によっても電池性能の劣化が小さく抑えられると考えられる。
本発明の触媒担持炭素材を噴霧熱分解法により製造する噴霧熱分解装置を略体的に示した構造図である。 本発明のPt担持炭素材を電極として用いた燃料電池単セル、および、従来の電極触媒を用いた燃料電池単セルの運転−停止サイクル試験した場合の性能変化を示すグラフである。
符号の説明
10…超音波噴霧器、11…触媒溶液液滴、12…キャリアガス、13…炭素材、14…触媒担持炭素材、15…キャリアガス導入管、20…加熱域配管、25…炭素材導入管、30…加熱装置、40…サイクロン、45…キャリアガス排出管。

Claims (12)

  1. 炭素材に触媒粒子が担持されてなる触媒担持炭素材において、
    前記炭素材は、真密度が1.80〜2.11g/cm、格子面間隔d002が3.36〜3.50Å、BET比表面積が20〜230m/gであることを特徴とする触媒担持炭素材。
  2. 前記炭素材は、炭素を主成分とする、粉末あるいは多孔性構造体であることを特徴とする請求項1記載の触媒担持炭素材。
  3. 前記触媒粒子は、Pt、Ir、Au、Ag、およびPdから選択される少なくとも1種を含んでいる請求項1または2記載の触媒担持炭素材。
  4. 前記触媒粒子の平均粒径が1〜10nmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の触媒担持炭素材。
  5. 前記触媒粒子の担持量が、前記触媒担持炭素材の全量に対して20〜80質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の触媒担持炭素材。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の触媒担持炭素材を備えた電気化学装置。
  7. 固体高分子電解質型燃料電池である請求項6に記載の電気化学装置。
  8. 真密度が1.80〜2.11g/cm、格子面間隔d002が3.36〜3.50Å、BET比表面積が20〜230m/gである炭素材を、触媒溶液に添加する段階と、
    前記炭素材表面に前記触媒溶液を含浸させる段階と、を含むことを特徴とする触媒担持炭素材の製造方法。
  9. 真密度が1.80〜2.11g/cm、格子面間隔d002が3.36〜3.50Å、BET比表面積が20〜230m/gである炭素材を、触媒溶液に添加する段階と、
    得られる混合液に還元剤を添加する段階と、を含むことを特徴とする触媒担持炭素材の製造方法。
  10. 真密度が1.80〜2.11g/cm、格子面間隔d002が3.36〜3.50Å、BET比表面積が20〜230m/gである炭素材を、触媒溶液に添加する段階と、
    得られる混合液を蒸発乾固する段階と、を含むことを特徴とする触媒担持炭素材の製造方法。
  11. 真密度が1.80〜2.11g/cm、格子面間隔d002が3.36〜3.50Å、BET比表面積が20〜230m/gである炭素材を、触媒コロイド溶液に添加する段階と、
    前記炭素材に触媒コロイドを吸着させる段階と、を含むことを特徴とする触媒担持炭素材の製造方法。
  12. 触媒溶液を霧状にして熱分解した後、真密度が1.80〜2.11g/cm、格子面間隔d002が3.36〜3.50Å、BET比表面積が20〜230m/gである炭素材表面に堆積させる段階を含むことを特徴とする触媒担持炭素材の製造方法。
JP2004083674A 2004-03-22 2004-03-22 触媒担持炭素材およびその製造方法 Pending JP2005270687A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004083674A JP2005270687A (ja) 2004-03-22 2004-03-22 触媒担持炭素材およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004083674A JP2005270687A (ja) 2004-03-22 2004-03-22 触媒担持炭素材およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005270687A true JP2005270687A (ja) 2005-10-06

Family

ID=35170911

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004083674A Pending JP2005270687A (ja) 2004-03-22 2004-03-22 触媒担持炭素材およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005270687A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006057139A1 (ja) 2004-11-25 2006-06-01 Nissan Motor Co., Ltd. 固体高分子型燃料電池
WO2010126119A1 (ja) 2009-04-27 2010-11-04 ジャパンゴアテックス株式会社 燃料電池用アノード側触媒組成物および固体高分子形燃料電池用膜電極接合体(mea)
WO2012057236A1 (ja) 2010-10-26 2012-05-03 日本ゴア株式会社 燃料電池用アノード側触媒組成物およびこれを含んでなる固体高分子形燃料電池用膜電極接合体(mea)
JP2014220240A (ja) * 2013-05-02 2014-11-20 コリア インスティチュートオブ エナジー リサーチ 燃料電池用合金触媒の製造方法及びこれによって製造された燃料電池用合金触媒
JP2015204216A (ja) * 2014-04-15 2015-11-16 トヨタ自動車株式会社 燃料電池用電極触媒、及び燃料電池用電極触媒の製造方法
KR20200020825A (ko) * 2017-09-27 2020-02-26 다나카 기킨조쿠 고교 가부시키가이샤 고체 고분자형 연료 전지용 촉매 및 그 제조 방법
CN113233454A (zh) * 2021-06-24 2021-08-10 黑龙江普莱德新材料科技有限公司 一种利用回收酸生产高纯石墨的方法

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7901836B2 (en) 2004-11-25 2011-03-08 Nissan Motor Co., Ltd. Polymer electrolyte fuel cell
US8329359B2 (en) 2004-11-25 2012-12-11 Nissan Motor Co., Ltd. Polymer electrolyte fuel cell
WO2006057139A1 (ja) 2004-11-25 2006-06-01 Nissan Motor Co., Ltd. 固体高分子型燃料電池
WO2010126119A1 (ja) 2009-04-27 2010-11-04 ジャパンゴアテックス株式会社 燃料電池用アノード側触媒組成物および固体高分子形燃料電池用膜電極接合体(mea)
US9825307B2 (en) 2010-10-26 2017-11-21 W. L. Gore & Associates, Co., Ltd. Anode-side catalyst composition for fuel cells, and membrane electrode assembly (MEA) for solid polymer fuel cells which comprises same
WO2012057236A1 (ja) 2010-10-26 2012-05-03 日本ゴア株式会社 燃料電池用アノード側触媒組成物およびこれを含んでなる固体高分子形燃料電池用膜電極接合体(mea)
JP2014220240A (ja) * 2013-05-02 2014-11-20 コリア インスティチュートオブ エナジー リサーチ 燃料電池用合金触媒の製造方法及びこれによって製造された燃料電池用合金触媒
US9806347B2 (en) 2013-05-02 2017-10-31 Korea Institute Of Energy Research Method of preparing alloy catalyst for fuel cells and alloy catalyst for fuel cells prepared by the same
JP2015204216A (ja) * 2014-04-15 2015-11-16 トヨタ自動車株式会社 燃料電池用電極触媒、及び燃料電池用電極触媒の製造方法
KR20200020825A (ko) * 2017-09-27 2020-02-26 다나카 기킨조쿠 고교 가부시키가이샤 고체 고분자형 연료 전지용 촉매 및 그 제조 방법
CN111095638A (zh) * 2017-09-27 2020-05-01 田中贵金属工业株式会社 固体高分子型燃料电池用催化剂及其制造方法
KR102286905B1 (ko) * 2017-09-27 2021-08-09 다나카 기킨조쿠 고교 가부시키가이샤 고체 고분자형 연료 전지용 촉매 및 그 제조 방법
CN113233454A (zh) * 2021-06-24 2021-08-10 黑龙江普莱德新材料科技有限公司 一种利用回收酸生产高纯石墨的方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5322110B2 (ja) 燃料電池用カソード電極材料の製造方法及び燃料電池用カソード電極材料並びに該カソード電極材料を用いた燃料電池
JP4590937B2 (ja) 電極触媒およびその製造方法
JP5294235B2 (ja) 電極材料
KR101679809B1 (ko) 질소(N)가 도핑된 탄소에 담지된 백금(Pt)촉매의 제조방법 및 이의 이용하여 제조된 질소(N)가 도핑된 탄소에 담지된 백금(Pt)촉매
KR100868756B1 (ko) 백금/루테늄 합금 담지 촉매, 그 제조방법 및 이를 이용한연료전지
EP2634850B1 (en) Composite, catalyst including the same, fuel cell and lithium air battery including the same
US20080020924A1 (en) Method of fabricating platinum alloy electrocatalysts for membrane fuel cell applications
JP6598159B2 (ja) 燃料電池用電極材料およびその製造方法、並びに燃料電池用電極、膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池
JP2004363056A (ja) 固体高分子型燃料電池用触媒担持電極とその製造方法
JP2004071253A (ja) 燃料電池用電極触媒及び燃料電池
JP2006297355A (ja) 触媒およびその製造方法
JP2005149742A (ja) 燃料電池用触媒坦持電極およびその製造方法
JP2006187744A (ja) カーボン担体、およびこの製造方法
JP2004172107A (ja) 燃料電池用電極触媒及びその製造方法
JP2005100713A (ja) 燃料電池用電極触媒およびその製造方法
JP2005216772A (ja) 電極触媒、該触媒を用いた触媒担持電極およびmea
JP2008047473A (ja) 電極触媒
JP2005270687A (ja) 触媒担持炭素材およびその製造方法
JP4539086B2 (ja) 電極触媒、触媒担持電極、燃料電池用meaおよび燃料電池
JP2006012691A (ja) 電極触媒、およびその製造方法
JP4892811B2 (ja) 電極触媒
JP2008047472A (ja) 電極触媒
JP2010161034A (ja) 金属触媒担持カーボン粉末の製造方法
JP2005317467A (ja) 燃料電池用電極、およびこれを用いた燃料電池用mea
JP6165359B2 (ja) 触媒担体及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061225

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090708

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090714

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20091110