JP2008047473A - 電極触媒 - Google Patents

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Abstract

【課題】カーボン腐食を有効に抑制・防止でき、さらに電極触媒活性に優れた電極体を提供することを目的とする。
【解決手段】
触媒成分と導電性材料とを含む電極触媒において、
前記触媒成分は少なくともPtを含んでおり、
前記導電性材料の1次粒子径と前記触媒成分の平均粒子径との比が0.1〜1であり、かつ前記導電性材料のN−BET表面積あたりのヨウ素吸着量が1.3 mg/m以下であることを特徴とする電極触媒。
【選択図】なし

Description

本発明は、電池に使用される電極触媒、特に固体高分子型燃料電池に使用される電極触媒に関する。
新しいエネルギー源である水素エネルギーの代表格として燃料電池が存在する。燃料電池は、一般的にリン酸型燃料電池(PAFC)、アルカリ型燃料電池(AFC)、固体高分子型燃料電池(PEFC)などがあり、なかでも固体高分子型燃料電池(PEFC)は、常温で起動でき、電解質の散逸の問題が少なく、高電流密度などの利点を有する。
しかし、現在のPEFCでは電極触媒として活性に優れた白金系触媒を用いるが、量産化を前提とした場合、白金の資源供給量の問題があるため、活性に優れ、かつ高効率の触媒開発が必要とされる。
そのため電極触媒は触媒金属質量あたりの表面積を高める目的で、表面積の大きな導電性材料担体上にナノメートルオーダーの超微粒子の状態で分散担持されている。この担体上の触媒金属超微粒子や導電性材料に起こる不可逆な変化としては、(1)触媒粒子の凝集、(2)白金粒子の溶解ならびに再析出、(3)導電性材料の腐食(導電性材料にカーボン材料を使用した場合は、担体カーボンの腐食)、(4)導電性材料の腐食による白金粒子の脱落などが考えられる。これら不可逆的な変化の問題や酸素還元活性などに優れた従来技術として例えば、以下に示す発明が存在する。
特許文献1には、白金粒子の酸素還元活性は、粒子表面に表れる結晶面によって異なることを利用して、平均粒子径5nm以下でかつ結晶子径の平均値D100/D111<1である触媒について開示されている。これにより、白金粒子の酸素還元活性は高くなり、過電圧の小さな空気極を得ることができる。
特許文献2には、平均格子面間隔d002が0.340〜0.362nmで格子の大きさが0.6〜4nmであって、かつ比表面積が260〜800m/gのカーボン担体を利用した燃料電池について記載されている。すなわち、完全なグラファイトではないが、グラファイト化の高いカーボンを担体に用いているため、撥水性や耐食性に優れた燃料電池を得ることができる。
特開2003−157857号公報 特開2001−357857号公報
しかし、上記の特許文献1について実験すると、結晶面を管理しているため電極触媒活性は高いものの、粒子径が小さいなどの理由から、担体カーボンの腐食が進行しやすく、電極性能劣化速度が速く、実用化には耐久性が不十分である問題が存在することがわかった。さらに、粒子径を小さくすればするほど電極触媒活性が優れたものであるとはいえず、触媒成分の結晶構造と電極触媒活性との関係から、ある粒子径を境として逆にそれらの活性が減少するという知見もある。
また、特許文献2のようなグラファイト化カーボンブラックは、触媒金属の高分散担持が困難で触媒金属の凝集が避けれないため、耐久性は高いものの、燃料電池用途としては活性が不十分である問題が存在することが判った。
特に上記のカーボン腐食に関する問題については、比較的最近提起されたものであり、現在、解決手段が強く望まれているものの、有効な解決手段が見出されていない。ここでカソード触媒層でのカーボン担体の腐食を例にあげて図1及び図2を参照しながら以下説明する。例えば、燃料電池の運転を停止して数時間以上放置した場合、スタック周囲のシール部からの微量リークや、スタックに繋がるポンプやコンプレッサー等からのリークにより、アノード触媒層系やカソード触媒層系には外気(空気)が混入して、アノード触媒層側に残存する水素は外気中の酸素により消費されるため、最終的にはアノード触媒層−カソード触媒層系は空気−空気のガス雰囲気となっている(図1の前段部分)。このような状態で起動してアノード側に水素が導入されると、図1の後段に示されるように、アノードの上流(水素供給側)から下流(空気雰囲気)にかけて局部電池が形成する。ここで、アノード下流の空気存在部に対向する領域のカソードは、電解質電位に対して高電位(1.5V程度)になるため、このカソード電位と電解質電位との大きな差が駆動力となって、この領域ではカソード触媒層における導電性担体であるカーボンブラックに対して、C+2HO→CO+4H+4eの反応が起こり(図2参照)、カーボンが腐食し、触媒活性が低下してしまう。このような現象は、上記したように、水素が存在するアノード上流側に対向するカソード触媒層領域や、通常発電時のカソード触媒層においても、非常に遅い速度ではあるものの起こっている。しかしながら、上記したような比較的長期間放置した後に起動した場合には、アノード下流の空気存在部に対向する領域のカソード触媒層領域では腐食の駆動力であるカソード電位と電解質電位の差が特に大きいためカーボンの腐食反応速度が大きくなり、この領域での触媒活性の低下が顕著である。
したがって、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、カーボン腐食を有効に抑制・防止でき、さらに電極触媒活性に優れた電極体を提供することを目的とする。
本発明の触媒成分とカーボン担体との組み合わせにおいては、従来品に比較して粒径を大きくしてもほとんど質量活性を落とすことなく、カーボン腐食を有意に抑制・防止することができる。
すなわち、上記目的は、触媒成分と導電性材料とを含む電極触媒において、前記触媒成分は少なくともPtを含んでおり、前記導電性材料の1次粒子径に対する前記触媒成分の平均粒子径との比が0.1〜1であり、かつ前記導電性材料のN−BET表面積あたりのヨウ素吸着量が1.3 mg/m以下であることを特徴とする電極触媒によって達成される。
上記課題を解決するものである。
(電極触媒)
本発明の第一は、触媒成分と導電性材料とを含む電極触媒において、前記触媒成分は少なくともPtを含んでおり、前記導電性材料の1次粒子径に対する前記触媒成分の平均粒子径との比が0.1〜1であり、かつ前記導電性材料のN−BET表面積あたりのヨウ素吸着量が1.3 mg/m以下である電極触媒を提供する。
Ptの酸素還元比活性と触媒成分の粒径との相関において特定の1次粒子径およびヨウ素の吸着量を有する導電性材料(カーボン担体など)を選択することにより、比活性が著しく大きくなっているため、Pt粒径が大きくなっても高い質量活性を保っていることがわかる。
詳細な理由は現在のところ明らかではないが、ヨウ素吸着量の大きいカーボン表面には多くの未燃分や活性な表面官能基が多いと見られ、そのような部分にはPt担持工程においてPtがより担持されやすいため、小さいPt粒子が高分散に担持されやすいと考えられる。そのようなPt粒子は酸素還元に対する活性は低いにもかかわらず、カーボン腐食に対しては高い活性をもつため、カーボン腐食が促進されてしまうと考えられる。
しかし、触媒成分とカーボン担体との組み合わせることで、導電性材料(導電性材料としてカーボン材料を使用した場合は、カーボン腐食)が起こりにくい電極触媒が得られるため、長期に電極性能が維持できる電極が得られる。
また、カソード電極(または、カソード触媒やカソード触媒層とも称し、アノードについても同様である。)におけるカーボンの腐食については上記「発明が解決しようとする課題」で説明した理由などが考えられ、アノード電極においても詳細は不明ではあるが、アノード側の成分の酸化(腐食)が発生しうる。また、カーボンの腐食は白金粒子近傍で起きていることからカーボン腐食が白金によって促進されている可能性を示唆するという知見もある。
しかし、本発明では、導電性材料に対する白金を含む触媒成分のサイズ比および導電性材料への触媒成分の吸着量などを管理することで、反応に関与しない白金を減少させ、カーボンの腐食を促進させる白金の障害を抑制・防止していると考えられる。
なお、本発明に係る電極触媒を例えば高分子型燃料電池に用いた場合、電極触媒には触媒成分、導電性材料を含み、その他必要に応じて添加剤などを含まれても良い。さらに、当然のことながら、本発明に係る電極触媒は、カソード電極および/またはアノード電極を含む概念である。また、本発明に係る電極触媒は、導電性材料に触媒成分が担持されていることが好ましく、さらに導電性材料に触媒成分が分散担持されていることがより好ましい。
なお、本明細書における「電極触媒活性」とは、カソード電極にあっては、酸素とプロトンと電子との反応により水を生成する反応を促進させたり、アノード電極にあっては、水素からプロトンと電子とを生成する反応を促進させる能をいう。
本発明に係る導電性材料のN−BET比表面積は、公知の窒素を用いたBET比表面積測定方法に従って測定した値を用いることができる。ヨウ素吸着量はヨウ素を吸着媒に用いたカーボン表面物性の測定法であり、ヨウ素吸着量はJIS規格K1474に準じた方法を用いることが好ましく、本発明におけるヨウ素吸着量の算出方法は、具体的には0.1Mヨウ素水溶液50mlに0.1〜2gの試料を懸濁した状態で25℃で24時間振とうした後、懸濁液をろ過し、ろ液を2ml測り取り純水40mlを加えた状態でチオ硫酸ナトリウム水溶液でろ液の残留ヨウ素を滴定・定量し、導電性材料表面へのヨウ素吸着量を求めている。
上記N−BET比表面積はまず試料を試料管に入れ250〜350℃で加熱しながら真空排気し表面の清浄処理を行い、その後の試料重量を測定する。再び装置に吸着セルを取りつけ、試料を液体窒素温度にまで冷却しセル内に窒素ガスを送り込む。試料表面に窒素ガスが吸着し、吹きこむガスの量を増やしていくと試料表面はガス分子で覆われていく。そしてガス分子が多重に吸着していく様子を圧力の変化に対する吸着量の変化としてプロットする。このグラフから試料表面にだけ吸着したガス分子吸着量をBET吸着等温式より求める。窒素分子はあらかじめ吸着占有面積がわかっているのでガス吸着量より試料の表面積を測定することができる。
本発明に係るN−BET比表面積あたりのヨウ素吸着量が0.8〜1.3 mg/mであることが好ましく、0.9 mg/m〜1.3 mg/mであることがより好ましく、1.0 mg/m〜1.3 mg/mであることがさらに好ましい。
−BET比表面積あたりのヨウ素吸着量が1.3 mg/mを超えるような担体では、詳細な理由は明らかではないが、担体表面に多くの未燃分や活性な表面官能基が多いことから、担体そのものの親水性が高く、水による腐食反応(C+2HO→CO+4H+4e)が進みやすいため、十分な耐久性が得られなかったと考えられる。
本発明に係る導電性材料の1次粒子径はX線回折法を用いた公知な方法を用いることにより測定することが可能である。導電性材料の1次粒子径に対する触媒成分との平均粒子径の比については好ましくは0.1〜1.0、さらに好ましくは0.15〜0.8、より好ましくは0.2〜0.6である。
導電性材料の1次粒子径と触媒成分との平均粒子径の比が、0.1未満だと、反応に関与する触媒成分が小さすぎて、かえってカーボン腐食を促進させる、また導電性材料の1次粒子径と触媒成分との平均粒子径の比が1.0超だと触媒成分が大きすぎて、担体表面に固定され難くなり、触媒成分が凝集しやすくなる。
上記のような物性値範囲外の導電性材料を担体として用いた触媒では本発明の製造法によっても十分なカーボン腐食耐性を有する電極触媒を得ることが出来なかった。
本発明に係る電極触媒に用いられる触媒成分として、カソード触媒では、酸素の還元反応に触媒作用を有するものであれば特に制限はなく公知の触媒が同様にして使用できる。また、アノード触媒に用いられる触媒成分もまた、水素の酸化反応に触媒作用を有するものであれば特に制限はなく公知の触媒が同様にして使用できる。具体的には、白金、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、タングステン、鉛、鉄、クロム、金(Au)、銀(Ag)、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウム等の金属、及びそれらの合金等などから選択される。これらのうち、触媒活性、一酸化炭素等に対する耐被毒性、耐熱性などを向上させるために、少なくとも白金を含むものが好ましく用いられる。
本発明に係る触媒成分は組成式Pt(a+b=1)で表され、MはCo、Cr、Fe、Ni、Ir、Rh、Pd、Ag及びAuからなる群から選択される1種以上の元素であり、a=0.5〜1.0、b=0〜0.5であることが好ましい。
電極触媒活性に優れることからPt金属単独あるいはPt基合金あるいはPtと他の金属、金属組成物を混合した電極触媒が望ましい。他の金属成分を加える目的は主に電極触媒活性を高めるためである。具体的には式 Pt で配合を表すことができ、Mは、Co、Cr、Fe、Ni、Ir、Rh、Pd、Ag及びAuから選ばれた1種以上の元素であり、a=0.5〜1.0、b=0〜0.5が良い。b>0.5の場合、第2成分が占める金属が多くなりすぎて十分な活性が得られない上、第2成分溶出による電解質やカーボン担体の劣化の促進が顕著になるため望ましくない。bは好ましくは0〜0.3、さらに好ましくは0〜0.15である。また、a<0.5の場合、Ptが少なくなるため十分な電極性能が得られなくなるため望ましくない。aは好ましくは0.6〜1.0、さらに好ましくは0.7〜1.0である。
なお、合金とは、一般に金属元素に1種以上の金属元素または非金属元素を加えたものであって、金属的性質をもっているものの総称である。
合金の組織には、成分元素が別個の結晶となるいわば混合物である共晶合金、成分元素が完全に溶け合い固溶体となっているもの、成分元素が金属間化合物または金属と非金属との化合物を形成しているものなどがあり、本願ではいずれであってもよい。この際、カソード触媒(層)に用いられる触媒成分及びアノード触媒(層)に用いられる触媒成分は、上記の中から適宜選択できる。以下の説明では、特記しない限り、カソード触媒(層)及びアノード触媒(層)用の触媒成分についての説明は、両者について同様の定義であり、一括して、「触媒成分」と称する。しかしながら、カソード触媒(層)及びアノード触媒(層)用の触媒成分は同一である必要はなく、上記したような所望の作用を奏するように、適宜選択される。
触媒成分の形状や大きさは、特に制限されず公知の触媒成分と同様の形状及び大きさが使用できるが、触媒成分は、粒状であることが好ましい。この際、触媒スラリーに用いられる触媒成分の平均粒子径は、小さいほど電気化学反応が進行する有効電極面積が増加するため酸素還元活性も高くなり好ましいが、実際には平均粒子径が小さすぎると却って酸素還元活性が低下する現象が見られる。従って、触媒スラリーに含まれる触媒成分の平均粒子径は、6〜15nmであることが好ましく、6〜12nmであることがより好ましく、6〜10nmであることがさらに好ましい。平均粒子径が6nm未満では比表面積が大きいため高い質量活性を得られるが、本発明の触媒製造方法によっても十分なカーボン腐食耐性が得られない。15nm超では高いカーボン腐食耐性が得られるが、比表面積が小さすぎるため十分な質量活性が得られない。
本発明に係る触媒成分の平均粒子径の測定方法としては、透過型電子顕微鏡像から代表サンプルについて数〜数10視野中に観察される粒子の粒径を測定する方法が挙げられる。なお、この測定方法では観察するサンプルや視野によって平均粒子径に有意差が生じる。
より簡易的にはX線回折プロファイルからある特定の反射ピークの半値幅から求められる結晶子径を触媒成分の平均粒子径として用いることも出来る。
本発明の触媒成分の平均粒子径は透過型電子顕微鏡像の8視野中に観察される触媒金属粒子の粒径をすべて測定し、その粒径の中央値を触媒成分の平均粒子径とする条件で行なっている。
本発明に係る導電性材料は、触媒成分を所望の分散状態で担持させるための比表面積を有し、集電体として十分な電子導電性を有しているものであれば本発明に使用することができ、主成分が導電性材料であるのが好ましい。本発明に係る導電性材料に導電性材料を用いることで、電気抵抗ロス、物質拡散ロスの少ない高性能アノード極を得ることが出来る。具体的には、カーボンブラック、活性炭、コークス、天然黒鉛、人造黒鉛などからなるカーボン粒子が挙げられる。また、かようなカーボン材料として、より具体的には、アセチレンブラック、バルカン、ケッチェンブラック、ブラックパール、黒鉛化アセチレンブラック、黒鉛化バルカン、黒鉛化ケッチェンブラック、黒鉛化カーボン、黒鉛化ブラックパール、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、及びカーボンフィブリルから選ばれる少なくとも一種を主成分として含むものなどが挙げられる。
なお、本発明において「主成分がカーボンである」とは、主成分として炭素原子を含むことをいい、炭素原子のみからなる、実質的に炭素原子からなる、の双方を含む概念である。場合によっては、燃料電池の特性を向上させるために、炭素原子以外の元素が含まれていてもよい。なお、実質的に炭素原子からなるとは、2〜3質量%程度以下の不純物の混入が許容されることを意味する。
また、前記導電性材料の大きさは、特に限定されないが、担持の容易さ、触媒利用率、電極触媒(層)の厚みを適切な範囲で制御するなどの観点からは、1次粒子径が10〜60nm、好ましくは15〜50nm、より好ましくは20〜40nm程度とするのがよい。
本発明に係る導電性材料1次粒子径が10nm未満だと触媒成分粒子径に対して小さすぎるため高分散担持を維持することが困難になり、60nm超だと担体として十分な比表面積が得られなくなるため触媒成分の凝集が生じて十分な電極性能が得られなくなる(理由を記載してください)。
なお、本明細書において「1次粒子」とは、導電性材料、例えば上記のカーボンブラックなどの炭素材は、一般的に複数凝集しているが、その個々の粒子をいい、凝集体を構成する個々の粒子をいう。
また、本発明に係る導電性材料の空孔率は、5〜80体積%が好ましく、10〜70体積%がより好ましい。
本発明に係る導電性材料の1次粒子径の測定方法としては、透過型電子顕微鏡像から代表サンプルについて数〜数10視野中に観察される粒子の粒径を測定する方法が挙げられる。なお、この測定方法では観察するサンプルや視野によって平均粒子径に有意差が生じる。
より簡易的にはX線回折プロファイルからある特定の反射ピークの半値幅から求められる結晶子径を触媒成分の平均粒子径として用いることも出来る。
本発明の触媒成分の平均粒子径は透過型電子顕微鏡像の8視野中に観察される導電性材料の粒径をすべて測定し、その粒径の中央値を触媒成分の平均粒子径とする条件で行なっている。
前記導電性材料に触媒成分が担持された電極触媒において、触媒成分の担持量は、導電性材料に対して、好ましくは30〜70質量%、より好ましくは40〜60質量%とするのがよい。なお、触媒成分の担持量は、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)によって調べることができる。
カーボン腐食をより抑制するためには触媒成分担持量を多くしたほうがよい。30質量%未満では触媒層が厚くなり過ぎて低い電極性能しか得られなくなる上、カーボン腐食に起因する電極性能劣化が顕著になる。70質量%超ではカーボン腐食はより抑制されるものの、触媒成分の高分散が困難になるため触媒成分量に対して得られる性能が不十分になる。
本発明に係る導電性材料は85質量%〜100質量%の炭素により構成される粉末または多孔質構造体であることが好ましく、90質量%〜100質量%がより好ましく、95質量%〜100質量%がさらに好ましい。
導電性材料における炭素の割合が、85質量%以下だと十分な導電性あるいは腐食耐性が得られない。
触媒成分を担持する炭素より構成される材料は十分な電子導電性を有し、かつ触媒成分を容易に高分散させることが必要であることから、炭素質の材料が好適に用いられる。炭素以外に含まれる元素としては例えば撥水性を付与するためのフッ素や珪素などのほかに導電性材料の耐腐食性を向上させるためのホウ素や表面官能基に含まれる水素、酸素や窒素のほかに不純金属分などが挙げられる。
(電極触媒の製造方法)
本発明の第二は、触媒成分を担持した導電性材料を含む電極触媒の製造方法において、触媒成分を導電性材料に担持した後に熱処理を加えることを特徴とする電極触媒の製造方法である。
この製造方法により従来の電極触媒よりもカーボン腐食耐性が大幅に向上する。詳細な機構は明らかではないが、本発明に示すような物性を有するカーボン担体種と製造方法の組み合わせにより担持触媒成分粒子と導電性材料担体との界面状態における酸化反応が進行しにくい状態になるからだと考えられる。
なお、本明細書における(電極触媒の製造方法)以下に用いられる触媒成分、導電性材料については、上述の(電極触媒)中に用いられる「触媒成分」、「導電性材料」と同様の物質、物性であるためここでの説明は省略する。
本発明に係る導電性材料への触媒成分の担持は公知の方法で行うことができる。例えば、含浸法、液相還元担持法、蒸発乾固法、コロイド吸着法、噴霧熱分解法、逆ミセル(マイクロエマルジョン法)などの公知の方法が使用できる。
なかでも本発明に係る触媒成分の原料は、液相に溶解または分散された状態で還元されることにより前記導電性材料に担持されることがより好ましい。
本発明に係る導電性材料への触媒成分の担持は、金属塩を液相に溶解あるいは分散させた状態で、金属塩が還元剤により還元された状態で導電性材料に担持される製造方法がより好ましい。そのため、液相還元担持法、コロイド吸着法、逆ミセル法が特に好ましい。
例えば含浸法により導電性材料表面に触媒成分を担持させるには、導電性材料を、触媒成分を含む溶液(以下、触媒溶液とも称する)に添加する段階と、前記導電性材料表面に前記触媒溶液を含浸させる段階と、により前記導電性材料に触媒成分を担持させる触媒成分担持工程を含む方法が用いられる。これにより、導電性材料表面に触媒成分を高分散担持することができ、十分な初期性能と優れた耐久性を有する電極触媒を得ることができる。
なお、触媒成分を含む溶液とは、導電性材料に担持させる触媒成分の元素を含む溶液のことであり、前記触媒成分
としては、高い触媒活性を示すことから、上記の本発明に係る電極触媒(層)に用いられる触媒成分と同様の元素が挙げられる。
また本発明に係る触媒成分の原料は、塩化物、硝酸塩、またはジニトロジアンミン錯体塩であることが好ましい。
触媒成分原料として用いる金属塩の還元方法は、適度な還元速度を持つものがよく、本用途における導電性材料にPtなど上記の触媒成分の説明の際に列挙した触媒成分を担持する製造方法においては、塩化物、硝酸塩、ジニトロジアンミン錯体塩などが好適に用いられる。
なお、前記触媒溶液として具体的には、例えば、触媒成分としてPtを用いる場合には、塩化白金酸、塩化アンミン白金、ジニトロジアンミン白金;イリジウムを用いる場合には、塩化イリジウムなど;パラジウムを用いる場合には、塩化パラジウムなど所望の触媒成分の元素を含む化合物(以下、単に「触媒化合物」とも記載する。)を、水および/または有機溶媒などに所定濃度に溶解させた溶液などのことである。有機溶媒としては、特に限定されず、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類や、アセトンなどのケトン類などが挙げられ、これらは1種単独で使用してもよいし2種以上を混合して使用してもよい。
触媒溶液における触媒化合物の濃度としては特に限定されず、所望の電極触媒が得られるように適宜決定すればよいが、溶媒に対して0.01〜5質量%、好ましくは0.05〜1質量%程度とすればよい。
前記触媒溶液に導電性材料を添加した後、前記導電性材料が粉末の場合には、前記触媒溶液に導電性材料をホモジナイザ、超音波分散装置等の適当な分散手段により十分に分散させてもよく、これらの分散手段は適宜組み合わせてもよい。前記導電性材料が多孔質構造体の場合には、溶液に添加した後、必要に応じて超音波照射や減圧脱泡により触媒溶液を細部にまで浸透させる手段を加えても良い。これらの手段により、導電性材料表面に触媒溶液を含浸させることができる。
本発明に係る触媒溶液に添加する導電性材料の添加量としては特に限定されず、所望の電極触媒が得られるように適宜決定すればよいが、触媒化合物溶液に対して0.05〜15質量%、好ましくは0.1〜10質量%程度とすればよい。
次に、触媒溶液が含浸された前記導電性材料を、吸引瀘過などの瀘別手段などの公知の手段を用いて、濾取し、乾燥する。その後、前記混合液をろ過して、得られた沈殿物を乾燥することにより、本発明の電極触媒を得ることができる。
本発明の電極触媒の乾燥方法としては、真空乾燥、自然乾燥、ロータリーエバポレータ、沿送風乾燥機による乾燥など、公知の方法を用いればよく、特に限定されない。乾燥時間などは、使用する方法に応じて適宜決定すればよい。
またたとえば、液相還元担持法により導電性材料表面に触媒成分を担持させるには、導電性材料を、触媒溶液に添加する段階と、得られる混合液に還元剤を添加する段階と、により前記導電性材料に触媒成分を担持させる触媒担持工程を含む方法を用いてもよい。なお、前記導電性材料を触媒溶液に添加する段階としては、上記した含浸法においてした説明と同様にして行えばよい。
次に、得られる混合液に還元剤を添加する段階において、前記還元剤としては、触媒化合物を還元できるものであり、適度な還元速度を持つものがよく、特に限定されない。例えば、還元剤としては、チオ硫酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、メタノール、エタノール、水素、エチレン、一酸化炭素などが挙げられる。触媒溶液に添加する前記還元剤の添加量などは特に限定されず、適宜調整して決定すればよい。
前記混合液に還元剤を添加した後は、還流反応装置などを用いて30〜100℃に加熱して、白金などの触媒粒子の還元担持を行えばよい。その後、必要に応じて室温まで放冷した後、触媒成分が担持された導電性材料を吸引瀘過などの瀘別手段により濾取および乾燥すればよく、乾燥方法や、濾過方法は公知の方法や、上記の方法と同様でもよい。
たとえば、コロイド吸着法により導電性材料表面に触媒成分を担持させるには、導電性材料を、触媒コロイド溶液に添加する段階と、前記導電性材料に触媒コロイドを吸着させる段階と、により前記導電性材料に触媒成分を担持させる触媒担持工程を含む方法を用いればよい。
本発明に係る液相に用いる溶媒としては水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類や、アセトンなどのケトン類が例示できるが、本用途においては水が最も好適に用いられる。
前記還元剤としては使用する金属塩の種類や金属種、還元条件によって種々の還元剤が適用可能であるが、例えばアルコール類、蟻酸、アルデヒド類などの有機還元剤や水素化ホウ素塩のような無機還元剤や水素、一酸化炭素のような還元ガスなどが適用可能である。その他具体的には、前記還元剤として、分子状水素、黄燐、ヒドラジン、テトラヒドロホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、タンニン酸、亜硫酸水素ナトリウム等が挙げられる。前記還元剤による還元の代わりに、光照射または超音波照射による還元なども可能である。
また、還元剤により還元する方法のほかに電気化学的に還元する方法も用いることが出来る。すなわち、金属塩を液相に溶解あるいは分散させた状態で金属塩の還元電位以下で電解あるいは荷電触媒成分前駆体を泳動させることにより担体表面に担持させる方法も例示される。
触媒コロイド溶液とは、ナノサイズの触媒成分が溶液中に均一に分散した溶液である。触媒コロイド溶液の調整方法としては公知技術を適宜用いればよいが、例えば、還元されてコロイド粒子となる触媒成分の元素を含む塩(以下、単に「触媒塩」ともいう。)を含む溶液に、還元剤などを添加することにより得られる。
なお、触媒塩を含む溶液中の触媒塩の濃度は、特に制限されるべきものではなく、飽和濃度以下であればよい。ただし、低濃度では所望の担持量になるまでに上記段階を繰り返して調製する必要があることから、必要な濃度を適宜決定すればよい。また、触媒塩を含む溶液中に添加する導電性材料の添加量としても、所望する電極触媒が得られるように、適宜決定すればよい。
前記触媒コロイド溶液には、前記還元剤の他、コロイド安定化剤などが添加されていてもよい。前記コロイド安定化剤としては、保護コロイド作用を有するものであれば特に限定されないが、その好ましい例として、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリビニルアルコール、N−ビニル−2−ピロリドンとアクリルアミド又はアクリル酸メチルとの共重合体、ポリ(メチルビニルエーテル)、ゼラチン、カゼインナトリウムおよびアラビアゴム等を挙げることができる。
前記触媒成分コロイド溶液に導電性材料を加え、適切な温度およびpHを設定することにより、触媒成分を導電性材料表面に吸着担持させることができる。条件は使用する触媒成分種、導電性材料種、溶液種によって変わるが、温度は10〜40℃、pHは2〜10の範囲で適宜調整するのが好ましい。温度は、高すぎると吸着が促進されず、低すぎると溶液によっては凍結する恐れがあるため望ましくない。また、pHは、高すぎても低すぎても触媒成分の担体への吸着が起こらないかあるいは溶液の触媒成分の分散性低下・凝集などが起こる恐れがある。
また、導電性材料表面に担持される触媒成分の形態としては、特に限定されず、導電性材料表面に触媒成分の水酸化物などの触媒成分前駆体が担持されてもよい。
触媒塩を含む溶液に添加する還元剤およびコロイド安定化剤などの添加量、ならびに、触媒成分コロイド溶液に添加する導電性材料の添加量などは、所望する電極触媒が得られるように適宜決定すればよい。
このようにして触媒成分の吸着担持を行った後は、触媒コロイド溶液に触媒活性を阻害するような物質が含まれていなければ、ろ過および乾燥工程を経るだけで、本発明の電極触媒を得ることが出来る。乾燥方法としては、上述した含浸法においてした説明と同様にして行えばよい。
本発明に係る製造方法は、導電性材料に触媒成分を担持させる工程の後に、不活性ガス雰囲気下で熱処理する段階(I)、還元性ガス雰囲気下で熱処理する段階(II)、および酸化性ガス雰囲気下で熱処理する段階(III)からなる群から選択された少なくとも一つの段階を含むことが好ましい。
不活性ガス雰囲気下で熱処理する段階(I)、還元性ガス雰囲気下で熱処理する段階(II)、および酸化性ガス雰囲気下で熱処理する段階(III)の少なくともいずれか1つの段階を、導電性材料に触媒成分を上記方法により担持することに加えて熱処理を行うことによって、さらに高いカーボン腐食耐性を得ることが出来る。詳細なカーボン腐食耐性向上機構は不明であるが、不活性ガス中で所定の熱処理を加えることによって担持触媒成分と担体カーボン界面状態が形成が促進されるためと考えられる。
本発明に係る不活性ガス雰囲気下で熱処理する段階(I)および還元性ガス雰囲気下で熱処理する段階(II)の温度は、300〜1200℃であることが好ましい。
不活性ガス雰囲気下で熱処理する温度または還元性ガス雰囲気下で熱処理する温度が300℃より低いと、十分なカーボン腐食耐性の向上が得られず、1200℃より高いと粒子のシンタリングが過剰に進み所望の触媒成分粒径が得られない。好ましくは400〜1000℃、より好ましくは500〜900℃である。
本発明に係る不活性ガスは、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、および窒素(N)からなる群から選ばれた1種以上であることが好ましい。
本発明に係る還元性ガスの還元性成分が水素であり、水素濃度が1〜100体積%であり、バランスガスがヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、および窒素(N)からなる群から選ばれた1種以上であることが好ましい。
本発明に係る酸化性ガス雰囲気下で熱処理する段階(III)の温度が、500℃〜150℃であることが好ましく、より好ましくは400℃〜180℃、さらに好ましくは300℃〜200℃である。
酸化性ガス雰囲気下で熱処理する温度が、500℃を超えるとでは担体である導電性材料の酸化(燃焼)が進行し、触媒が劣化する。また、150℃未満だと、触媒金属成分の粒子径や形状の変化が見られず改善効果も見られない。
本発明に係る酸化性ガスの酸化性成分は酸素であり、酸素濃度が0.1〜30体積%であり、バランスガスがヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、および窒素(N)から選ばれた1種以上であることが好ましい。
第三の発明は、上記の本発明の第二によって製造された電極触媒、および本発明の第一の電極触媒を有する膜−電極接合体である。本明細書における「膜−電極接合体」は、高分子電解質膜の片面にアノード触媒層が配置され、他方の面にカソード触媒層が配置されているものをいう。
本発明の膜−電極接合体に用いられる高分子電解質膜としては、特に限定されず、電極触媒層に用いたものと同様の高分子電解質からなる膜が挙げられる。また、デュポン社製の各種のNafion(デュポン社登録商標)やフレミオンに代表されるパーフルオロスルホン酸膜、ダウケミカル社製のイオン交換樹脂、エチレン−四フッ化エチレン共重合体樹脂膜、トリフルオロスチレンをベース高分子とする樹脂膜などのフッ素系高分子電解質や、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂系膜など、一般的に市販されている高分子型電解質膜、高分子微多孔膜に液体電解質を含浸させた膜、多孔質体に高分子電解質を充填させた膜などを用いてもよい。前記高分子電解質膜に用いられる高分子電解質と、各電極触媒層に用いられる高分子電解質とは、同じであっても異なっていてもよいが、各電極触媒層と高分子電解質膜との密着性を向上させる観点から、同じものを用いるのが好ましい。
前記高分子電解質膜の厚みとしては、得られる膜電極接合体の特性を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは10〜75μm、より好ましくは15〜70μm、特に好ましくは20〜60μmである。製膜時の強度や膜電極接合体作動時の耐久性の観点から10μm以上であることが好ましく、膜電極接合体作動時の出力特性の観点から75μm以下であることが好ましい。
また、上記高分子電解質膜としては、上記したようなフッ素系高分子電解質や、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂による膜に加えて、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などから形成された多孔質状の薄膜に、リン酸やイオン性液体等の電解質成分を含浸したものを使用してもよい。
次に、以下、本発明の膜電極接合体の製造方法の好ましい態様を説明して、上記の膜電極接合体を説明する。なお、以下の態様は、本発明の好ましい態様を示したものであり、本発明の膜電極接合体の製造方法が下記方法に限定されるものではない。
本発明の電極触媒は、上記に詳説しているが、例えばカーボンブラックなどの導電性担体に、白金などの触媒成分イオン水溶液に加えて、ホモジナイザなどで分散させた後還元担持させる。次いで、加熱および乾燥さ成分を担持した導電性材料を得た後、不活性ガス、酸性ガス、または還元性ガス雰囲気下で熱処理を行って作製する。その後、導電性担体に触媒成分を担持させた電極触媒、ならびにナフィオンなどのプロトン伝導性高分子を、を必要に応じて水またはアルコールなどの溶剤に添加して、触媒スラリーを調整する。
本発明の触媒スラリーを転写用台紙上に塗布・乾燥して、電極触媒層を形成する。この際、転写用台紙としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)シート、PET(ポリエチレンテレフタレート)シート、ポリエステルシートなどの公知のシートが使用できる。なお、転写用台紙は、使用する触媒スラリー(特にインク中のカーボン等の導電性担体)の種類に応じて適宜選択される。また、上記工程において、電極触媒層の厚みは、水素の酸化反応(アノード側)及び酸素の還元反応(カソード側)の触媒作用が十分発揮できる厚みであれば特に制限されず、従来と同様の厚みが使用できる。具体的には、電極触媒層の厚みは、1〜50μm、より好ましくは5〜20μmである。
転写用台紙上への触媒スラリーは、特に制限されず、スクリーン印刷法、沈積法、あるいはスプレー法などの公知の方法が同様にして適用できる。また、塗布された電極触媒層乾燥条件もまた、電極触媒層から極性溶剤を完全に除去できる条件であれば特に制限されない。具体的には、触媒スラリーの塗布層(電極触媒層)を真空乾燥機内にて、室温〜100℃、より好ましくは50〜80℃で、30〜60分間、乾燥する。この際、触媒層の厚みが十分でない場合には、所望の厚みになるまで、上記塗布・乾燥工程を繰り返す。次に下記の工程に進む。
すなわち、このようにして作製された固体高分子電解質膜を挟持した後、当該積層についてホットプレスを行なう。この際、ホットプレス条件は、電極触媒層及び固体高分子電解質膜が十分密接に接合できる条件であれば特に制限されないが、110〜150℃、より好ましくは120〜140℃で、電極面に対して1〜5MPaのプレス圧力で行なうのが好ましい。これにより固体高分子電解質膜および電極触媒層との接合性を高めることができる。
ホットプレスを行なった後、転写用台紙を剥がすことにより、電極触媒層および固体高分子電解質膜を含む膜−電極接合体を得ることができる。
以下に説明するが、本発明に係る膜−電極接合体を用いた燃料電池の作成方法については、膜−電極接合体の両側に一対のガス拡散層を設ける必要がある。このガス拡散層の作製は、必要に応じてカーボンペーパまたはカーボン不織布またはカーボンクロスを、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系樹脂を含む溶液中含浸させ、大気中または窒素などの不活性ガス中に乾燥させた後、ガス拡散層作製する。
そして、上記に作製したガス拡散層2枚を用いて電極触媒層および固体高分子電解質膜を含む電極を挟持することにより膜電極接合体を作製する。
本発明の触媒スラリーにおいて、電極触媒は、所望の作用、即ち、水素の酸化反応(アノード側)及び酸素の還元反応(カソード側)を触媒する作用を十分発揮できる量であればいずれの量で、使用されてもよい。電極触媒が、触媒スラリー中、5〜75質量%、より好ましくは10〜60質量%となるような量で存在することが好ましい。
本発明の触媒スラリーには、電極触媒、イオン伝導性高分子、及び溶剤に加えて、必要があればポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体といった撥水性高分子、増粘剤などが含まれてもよい。これにより、得られる電極触媒層の撥水性を高めることができ、発電時に生成した水などを速やかに排出することができる。
本発明に係る電極触媒層におけるイオン導電性高分子は、特に限定されず公知のものを用いることができるが、高分子電解質膜に用いられたものと同様の材料が挙げられ、少なくとも高いプロトン伝導性を有する材料であればよい。本発明のカソード触媒(層)/アノード触媒(層)(以下、単に「触媒(層)」とも称する)には、電極触媒の他に、高分子電解質が含まれる。この際使用できる高分子電解質は、高分子骨格の全部又は一部にフッ素原子を含むフッ素系電解質と、高分子骨格にフッ素原子を含まない炭化水素系電解質とに大別される。
前記フッ素系電解質として、具体的には、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)等のパーフルオロカーボンスルホン酸系高分子、ポリトリフルオロスチレンスルフォン酸系高分子、パーフルオロカーボンホスホン酸系高分子、トリフルオロスチレンスルホン酸系高分子、エチレンテトラフルオロエチレン−g−スチレンスルホン酸系高分子、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオリド−パーフルオロカーボンスルホン酸系高分子などが好適な一例として挙げられる。
前記炭化水素系電解質として、具体的には、ポリスルホンスルホン酸、ポリアリールエーテルケトンスルホン酸、ポリベンズイミダゾールアルキルスルホン酸、ポリベンズイミダゾールアルキルホスホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリエーテルエーテルケトンスルホン酸、ポリフェニルスルホン酸等が好適な一例として挙げられる。
高分子電解質は、耐熱性、化学的安定性などに優れることから、フッ素原子を含むのが好ましく、なかでも、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)などのフッ素系電解質が好ましく挙げられる。
また、導電性材料への触媒成分の担持は公知の方法で行うことができる。以下の(電極触媒の製造方法)の欄でも説明するが、例えば、含浸法、液相還元担持法、蒸発乾固法、コロイド吸着法、噴霧熱分解法、逆ミセル(マイクロエマルジョン法)などの公知の方法が使用できる。
尚、本発明に係る電極を膜−電極接合体(MEA)として用いる場合において、高分子電解質膜と電極層とで用いる高分子電解質は、異なってもよいが、膜と電極の接触抵抗などを考慮すると同じものを用いるのが好ましい。また、本発明に係る電極触媒を膜−電極接合体(MEA)として用いる場合の電極触媒層の厚さは、好ましくは1〜50μm、より好ましくは5〜20μm程度とするのがよい。
前記高分子電解質は、接着の役割をする高分子として電極触媒を被覆しているのが好ましい。これにより、電極の構造を安定に維持できるとともに、電極反応が進行する三相界面を十分に確保して、高い触媒活性を得ることができる。電極中に含まれる前記イオン導電性高分子の含有量は、特に限定されないが、導電性材料の全量に対して20〜60質量%とするのがよい。
増粘剤の使用は、触媒スラリーなどが転写用台紙上にうまく塗布できない場合などに有効である。この際使用できる増粘剤は、特に制限されず、公知の増粘剤が使用できるが、例えば、グリセリン、(EG(エチレングリコール)、PVA(ポリビニルアルコール))などが挙げられる。増粘剤を使用する際の、増粘剤の添加量は、本発明の上記効果を妨げない程度の量であれば特に制限されないが、触媒スラリーの全質量に対して、好ましくは0〜10質量%である。さらに、本発明で使用される触媒スラリーを構成する溶剤としては、特に制限されず、触媒層を形成するのに使用される通常の溶剤が同様にして使用できる。具体的には、水、シクロヘキサノールやエタノールや2−プロパノール等の低級アルコールが使用できる。
本発明で使用される溶剤の量は、電解質を完全に溶解できる量であれば特に制限されないが、電解質が、溶剤中、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.5〜10質量%の濃度になるような量である。この際、電解質の濃度が20質量%を超えると、電解質を完全には溶解せずに一部コロイドが形成される可能性があり、逆に0.1質量%未満であると、含まれる電界質量が少なすぎて、電解質高分子の分子鎖がよく絡まりあいきれずに、形成される電極触媒層の機械的強度が劣る可能性がある。また、触媒スラリーにおいて、電極触媒および固体高分子電解質などを合わせた固形分の濃度は、触媒スラリー中、5〜50質量%、より好ましくは10〜40質量%程度とするのがよい。
本発明の触媒スラリーは、カソード側電極触媒層またはアノード側電極触媒層のいずれか一方のみに使用されてもあるいは双方に使用されてもよいが、カソード側は特に出力変動による生成水量の変化により乾湿の変化を受けて、初期状態における電極触媒層の多孔構造が崩れ、空隙率が低下して、電極触媒層への反応ガス供給量が低下する危険性が高いため、少なくともアノード側電極触媒層に使用されることが好ましい。
第4の発明は、第3の発明の膜電極接合体を用いたことを特徴とする燃料電池である。
本発明に係る膜電極接合体を、用いた前記燃料電池は、下記に詳述されるように、一般的にガス拡散層をさらに有しており、この際、ガス拡散層は、上記方法において、転写用台紙を剥がし、得られた接合体をさらにガス拡散層で挟持することによって、電極触媒層と固体高分子電解質膜との接合後にさらに各電極触媒層に接合することが好ましい。または、電極触媒層を予めガス拡散層表面上に形成して電極触媒層−ガス拡散層接合体を製造した後、上記したのと同様にして、この電極触媒層−ガス拡散層接合体で固体高分子電解質膜をホットプレスにより挟持・接合することもまた好ましい。
前記のホットプレス方法以外に、ガス拡散層上に逐次塗布により電極触媒層−高分子電解質膜−電極触媒層−ガス拡散層を積層する方法を用いても良い。
本発明に係るガス拡散層(以下GDLと称する)に用いられる材料としては、カーボンペーパー、不織布、炭素製の織物、紙状抄紙体、フェルトなどからなるシート状材料が提案されている。GDLが優れた電子伝導性を有していると、発電反応により生じた電子の効率的な運搬が達成され、燃料電池の性能が向上する。またGDLが優れた撥水性を有していると、生成した水が効率的に排出される。
高い撥水性を確保するために、GDLを構成する材料を撥水処理する技術も提案されている。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系樹脂を含む溶液中にカーボンペーパーなどのGDLを構成する材料を含浸させ、大気中または窒素などの不活性ガス中に乾燥させる。場合によっては、親水化処理がGDLを構成する材料に施されてもよい。
その他に、カーボンペーパー、不織布、炭素製の織物、紙状抄紙体、フェルトなどからなるシート状GDL上に、カーボン粒子およびバインダーを配置して、両者をガス拡散層として使用してもよく、カーボン粒子およびバインダーからなるフィルム自体をガス拡散層として使用してもよい。この結果、フィルム自体に均一に撥水材料、カーボン粒子が形成されているため、上記の塗布に比較して撥水効率の上昇がみられる。
前記撥水材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。なかでも、撥水性、電極反応時の耐食性などに優れることから、フッ素系樹脂が好ましい。
尚、「バインダー」とは接着の役割を有する物質をいい、本発明に係る実施例では、バインダーの役割および撥水性の役割を兼ね備えたフッ素系樹脂を使用しているが、必ずしもこれに限定されず、バインダーおよび撥水材料を個々独立した物質で混合して使用しても良い。
本発明に係るアノード側電極触媒層およびカソード側電極触媒層は、触媒成分、イオン伝導性高分子、撥水材料を含む。
前記電極触媒層の空孔率は、30〜70%が好ましく、より好ましくは35〜50%である。空孔率が30%未満では、ガスの拡散が十分ではなく、高電流域でのセル電圧が低下する。また、空孔率が70%超では、電極触媒層の強度が十分ではなく、転写プロセスにおいて空孔率が低下する。
前記燃料電池の種類としては、特に限定されず、上記した説明中では高分子電解質型燃料電池を例に挙げて説明したが、この他にも、アルカリ型燃料電池、リン酸型燃料電池に代表される酸型電解質の燃料電池、ダイレクトメタノール型燃料電池、マイクロ燃料電池などが挙げられる。なかでも小型かつ高密度・高出力化が可能であるから、固体高分子電解質型燃料電池が好ましく挙げられる。また、前記燃料電池は、搭載スペースが限定される車両などの移動体用電源の他、定置用電源などとして有用であるが、特にシステムの起動/停止や出力変動が頻繁に発生する自動車用途で特に好適に使用できる。
前記高分子電解質型燃料電池は、定置用電源の他、搭載スペースが限定される自動車などの移動体用電源などとして有用である。なかでも、比較的長時間の運転停止後に高い出力電圧が要求されることによるカーボン担体の腐食、および、運転時に高い出力電圧が取り出されることにより高分子電解質の劣化が生じやすい自動車などの移動体用電源として用いられるのが特に好ましい。
前記燃料電池の構成としては、特に限定されず、従来公知の技術を適宜利用すればよいが、一般的には膜電極接合体をセパレータで挟持した構造を有する。
前記セパレータとしては、緻密カーボングラファイト、炭素板等のカーボン製や、ステンレス等の金属製のものなど、従来公知のものであれば制限なく用いることができる。セパレータは、空気と燃料ガスとを分離する機能を有するものであり、それらの流路を確保するための流路溝が形成されてもよい。セパレータの厚さや大きさ、流路溝の形状などについては、特に限定されず、得られる燃料電池の出力特性などを考慮して適宜決定すればよい。
また、各触媒層に供給されるガスが外部にリークするのを防止するために、ガスケット層上の触媒層が形成されていない部位にさらにガスシール部が設けられてもよい。前記ガスシール部を構成する材料としては、フッ素ゴム、シリコンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ポリイソブチレンゴム等のゴム材料、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等のフッ素系の高分子材料、ポリオレフィンやポリエステル等の熱可塑性樹脂などが挙げられる。また、ガスシール部の厚さとしては、2mm〜50μm、望ましくは1mm〜100μm程度とすればよい。
さらに、燃料電池が所望する電圧等を得られるように、セパレータを介して膜電極接合体を複数積層して直列に繋いだスタックを形成してもよい。燃料電池の形状などは、特に限定されず、所望する電圧などの電池特性が得られるように適宜決定すればよい。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されることはない。また、当該実施例において、「%」は特記しない限り質量百分率を表わすものとする。
(電極触媒層の作製)
導電性材料のN−BET表面積表面積はQuantachrome社のChemBET3000を用いて先述の(電極触媒の製造方法)の欄に記載の方法に従って求めた。また、ヨウ素吸着量はJIS規格K1474に準じた先述の方法を用いた。
電極触媒層の作製については以下のように行った。下記の表1の条件で示されるような各触媒成分担持導電性材料粉末の質量に対して5倍量の精製水を加えた後、0.5倍量のイソプロピルアルコールを加え、さらにはNafionの重量が0.8倍量になるようにNafion溶液(Aldrich社製5wt.%Nafion含有)を加えた。混合スラリーを超音波ホモジナイザでよく分散させ、それに続いて減圧脱泡操作を加えることによって触媒インクを作製した。これをガス拡散層(GDL)であるカーボンペーパー(東レ製TGP−H−060)の片面にスクリーン印刷法によって所定量の触媒インクを印刷し、60℃で24時間乾燥させることにより電極層を作製した。
(MEAの作製)
MEA(膜―電極接合体)の作製については触媒を塗布した面を電解質膜に合わせて120℃、1.2MPaで10分間ホットプレスを行うことによりMEAを作製した。すべてについてアノード触媒としては実施例1触媒を用いた。比較例、実施例ともに使用したMEAはPt使用量を見かけの電極面積1cmあたりアノードでは0.3mg、カソードでは0.5mgとし、電極面積は25cmとした。また、電解質膜としてNafion112(厚さ:約50μm)を用いた。
(単セル評価・カーボン腐食耐性試験)
作製したMEAを用いて燃料電池単セルを構成し、起動時や発電停止時にカソードで発生する高電位を模擬したカーボン腐食耐性試験を以下のような方法で行った。燃料電池単セルのアノード側には水素を供給し、カソード側には窒素を供給した。両ガスとも供給圧力は大気圧とし、燃料電池本体の温度は70℃に設定し、ガスはいずれも露点70℃に加湿して水素流量は500 ml/min、窒素流量は100 ml/minとした。この状態でカソードの電位を1.5Vに設定し、30分間定電位電解を行った。このとき、このような条件下ではカーボンの腐食反応が優勢に進み、カーボン腐食の進行によって担持されていた触媒成分粒子が遊離(脱落)することによりPtの電気化学的有効表面積(ECA)が低下する。つまり、定電位電解前後でのECAの比較によりカーボン腐食耐性の評価を行った。カソードのECAの測定はサイクリックボルタンメトリにより水素吸着波面積から見積もった。(単セル評価・酸素還元活性評価(i0.9))
作製したMEAを用いて燃料電池単セルを構成し、カソード触媒の酸素還元活性の評価を以下のような方法で行った。燃料電池単セルのアノード側には水素を供給し、カソード側には酸素を供給した。両ガスとも供給圧力は大気圧とし、燃料電池本体の温度は70℃に設定し、水素は60%RH、酸素は100%RHの加湿条件で水素流量は261 ml/min、酸素流量は1041 ml/minとした。この状態で発電特性の測定を行い、セル電圧0.9Vのときの電流値をカソードPt使用重量で割った値(質量活性)i0.9を定義し、この値により酸素還元活性の比較を行った。
表1は、その結果を示すものであって、比較例に比べ、実施例の方がECAの低下率が小さく実施例触媒を用いた方がカーボン腐食耐性を著しく改善することが可能であり、電極性能を長く保つことが出来ることがわかった。また、実施例7に示すように平均粒径が6nm以下の触媒や実施例8に示すような熱処理を施していない触媒では幾分カーボン腐食耐性が劣る傾向がみられた。一方、実施例6触媒は十分なカーボン腐食耐性を有するものの、質量活性i0.9が低く、実際の電極として適用するには性能が不十分であると考えられる。
Figure 2008047473
カーボン腐食の原因に関する膜−電極接合体の模式図 カーボン腐食の原因に関する膜−電極接合体の模式図

Claims (16)

  1. 触媒成分と導電性材料とを含む電極触媒において、
    前記触媒成分は少なくともPtを含んでおり、
    前記導電性材料の1次粒子径に対する前記触媒成分の平均粒子径との比が0.1〜1であり、かつ前記導電性材料のN−BET表面積あたりのヨウ素吸着量が1.3 mg/m以下であることを特徴とする電極触媒。
  2. 前記触媒成分は組成式Pt(a+b=1)で表され、MはCo、Cr、Fe、Ni、Ir、Rh、Pd、Ag及びAuからなる群から選択される1種以上の元素であり、a=0.5〜1.0、b=0〜0.5である、請求項1に記載の電極触媒。
  3. 前記触媒成分の平均粒子径は6〜15nmである、請求項1または2に記載の電極触媒
  4. 前記導電性材料は85質量%以上の炭素により構成される粉末または多孔質構造体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電極触媒。
  5. 前記導電性材料に対して触媒成分は30〜70質量%含有している、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電極触媒。
  6. 触媒成分を担持した導電性材料を含む電極触媒の製造方法において、
    触媒成分を導電性材料に担持した後に熱処理を加えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電極触媒の製造方法。
  7. 前記触媒成分の原料はPtの塩化物、Ptの硝酸塩、またはPtのジニトロジアンミン錯体塩である、請求項6に記載の電極触媒の製造方法。
  8. 前記触媒成分の原料は液相に溶解または分散された状態で還元されることにより前記導電性材料に担持される、請求項6または7に記載の電極触媒の製造方法。
  9. 前記導電性材料に触媒成分を担持させる工程の後に、不活性ガス雰囲気下で熱処理する段階(I)、還元性ガス雰囲気下で熱処理する段階(II)、および酸化性ガス雰囲気下で熱処理する段階(III)からなる群から選択された少なくとも一つの段階を含む、請求項6〜8のいずれか1項に記載の電極触媒の製造方法。
  10. 不活性ガス雰囲気下で熱処理する段階(I)および還元性ガス雰囲気下で熱処理する段階(II)の温度は、300〜1200℃である、請求項9に電極触媒の製造方法。
  11. 酸化性ガス雰囲気下で熱処理する段階(III)の温度は、500℃以下である、請求項9に電極触媒の製造方法。
  12. 前記不活性ガスは、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、および窒素(N)からなる群から選ばれた1種以上である、請求項9また10に記載の電極触媒の製造方法。
  13. 前記還元性ガスの還元性成分が水素であり、水素濃度が1〜100体積%であり、バランスガスがヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、および窒素(N)からなる群から選ばれた1種以上である、請求項9または10に記載の電極触媒の製造方法。
  14. 前記酸化性ガスの酸化性成分は酸素であり、酸素濃度が0.1〜30体積%であり、バランスガスがヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、および窒素(N)から選ばれた1種以上である、請求項9または11に記載の電極触媒の製造方法。
  15. 請求項6〜14の製造方法により得られる電極触媒。
  16. 請求項1〜5および請求項15に記載の電極触媒を有する膜−電極接合体。
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