JP6780912B2 - 燃料電池用電極触媒層の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、触媒層、特に燃料電池(PEFC)に用いられる電極触媒層、燃料電池用膜電極接合体、および燃料電池の製造方法に関する。
プロトン伝導性固体高分子膜を用いた固体高分子形燃料電池は、例えば、固体酸化物形燃料電池や溶融炭酸塩形燃料電池など、他のタイプの燃料電池と比較して低温で作動する。このため、固体高分子形燃料電池は、定置用電源や、自動車などの移動体用動力源として期待されており、その実用も開始されている。
このような固体高分子形燃料電池には、一般的に、Pt(白金)やPt合金に代表される高価な金属触媒が用いられており、このような燃料電池の高価格要因となっている。このため、貴金属触媒の使用量を低減して、燃料電池の低コスト化が可能な技術の開発が求められている。
例えば、特許文献1には、導電性担体に触媒金属粒子が担持される電極触媒において、触媒金属粒子の平均粒径が導電性担体の微細孔の平均孔径より大きい電極触媒が開示される。特許文献1には、当該構成により、触媒金属粒子が担体の微細孔内に入り込まないようにし、三相界面に使用される触媒金属粒子の割合を向上させて、高価な貴金属の利用効率を向上できることが記載される。
特開2007−250274号公報
しかしながら、特許文献1の触媒を用いた電極触媒層では、電解質と触媒金属粒子が接触して、触媒活性が低下するという問題があった。一方で、電解質と触媒金属粒子が接触しないように、触媒金属を担体内部の電解質が進入できない微細な空孔内に担持すると、酸素等のガスの輸送距離が増大してガス輸送性が低下する。このため、触媒を有効利用できずに、高負荷条件では触媒性能が低下してしまうという問題があった。
燃料電池の低コスト化のためには、触媒層が含む白金等の貴金属量を低減する必要がある。しかしながら、塗布面の単位面積当たりに担持される貴金属量(目付量)が0.2mg/cm以下と少ない場合、特にガス輸送抵抗が高くなることを本発明者らは見出した。
したがって、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、ガス輸送性、特に白金の目付量が0.2mg/cm以下と少ない場合でもガス輸送性に優れる燃料電池用電極触媒層の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、白金含有触媒金属が触媒担体に担持された触媒と、電解質と、所定の重量比で水およびアルコールを含む溶媒と、を含む塗布液を塗布して触媒層を形成する方法が上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。上記の触媒は、所定のBET比表面積である触媒担体に、白金含有触媒金属が担持されたものである。上記の方法においては、白金の目付量が所定量以下となるように塗布液を塗布する。
本発明においては、触媒と、電解質と、水およびアルコールの混合重量比を7/3以上9/1未満である水−アルコール混合溶媒を電極触媒層の形成に用いる。これにより、触媒への電解質の被覆状態と、触媒の凝集サイズを最適に制御でき、ガス輸送性に優れる燃料電池用電極触媒層の製造方法を提供できる。具体的には、混合溶媒中の水の割合を増やすことで、電解質の触媒への被覆割合を下げることができる。一方、混合溶媒中の水が過度に多いと触媒凝集体のサイズが大きくなり、酸素等のガス輸送距離が増す。水およびアルコールの混合重量比が7/3以上9/1未満である水−アルコール混合溶媒を電極触媒層の形成に用いることで、触媒凝集体を適度な凝集サイズに制御することができ、結果的にガス輸送の観点で最適な触媒層が形成される。これにより、ガス輸送性、特に白金の目付量が0.2mg/cm以下と少ない場合でもガス輸送性に優れる燃料電池用電極触媒層の製造方法が提供される。
本発明の一実施形態に係る固体高分子形燃料電池の基本構成を示す概略断面図である。 本発明の一実施形態に係る製造方法に用いられる触媒の形状・構造を示す概略断面説明図である。 白金の目付量とガス輸送性との関係を示す。 実施例1、比較例1および参考例1の酸素輸送抵抗を示す図である。 実施例1、および比較例1において製造した電極触媒層の走査型電子顕微鏡観察像である。 実施例2、および比較例2の酸素輸送抵抗を示す図である。
本発明者らは、上記特許文献1に記載の触媒では、電解質(高分子電解質)は酸素等のガスに比して触媒表面に吸着し易いため、触媒金属が電解質(高分子電解質)と接触すると、触媒表面の反応活性面積が減少することを見出した。これに対して、本発明者らは、触媒金属が電解質と接触しない場合であっても、触媒に吸着した水や反応により生成した水により三相界面が形成され、触媒を有効に利用できることを見出した。
本発明の製造方法に用いる触媒(本明細書中では、「電極触媒」とも称する)は、触媒担体および前記触媒担体に担持される触媒金属からなる。本発明の製造方法では、BET比表面積が700m/g以上である触媒担体、好ましくはBET比表面積が700m/g以上であり半径1nm以上の空孔を有する触媒担体を用いる。更に好ましくは、本発明の製造方法では、半径1nm未満の空孔をさらに有する触媒担体を用いる。触媒担体のBET比表面積が700m/g以上であることにより、少なくとも一部の触媒金属を触媒担体の内部(特に、メソ孔内)に担持することができる。かような構成を有する触媒によれば、触媒金属を空孔(特に、メソ孔)に収納して電解質との接触を抑えることができる。なお、本明細書中では、半径が1nm未満の空孔を「ミクロ孔」と称する。また、本明細書中では、半径1nm以上の空孔を「メソ孔」と称する。
本発明の製造方法では、触媒と、電解質と、水およびアルコールの混合重量比が7/3以上9/1未満である水−アルコール混合溶媒と、を含む塗布液を用いる。水およびアルコールの混合重量比が7/3以上9/1未満である水−アルコール混合溶媒を塗布液の調製に用いることにより、触媒への電解質の被覆状態と触媒の凝集サイズを最適に制御できる。具体的には、混合溶媒中の水の割合を増やすことで電解質の触媒への被覆割合を下げることができる。一方、混合溶媒中の水が過度に多いと触媒凝集体のサイズが大きくなり、酸素等のガス輸送距離が増す。水およびアルコールの混合重量比が7/3以上9/1未満である水−アルコール混合溶媒を電極触媒層の形成に用いることで、触媒凝集体を適度な凝集サイズに制御することができ、結果的にガス輸送の観点で最適な触媒層が形成される。
更に、電解質が進入できないメソ孔内部に触媒金属を担持する場合には、酸素等のガスの輸送距離が増大してガス輸送性が低下するため、触媒を有効に利用できない場合がある。特に、高負荷条件ではガス輸送性の低下による影響が大きくなるため、触媒性能の低下が顕著となる。本発明の製造方法では、触媒と、電解質と、水およびアルコールの混合重量比が7/3以上9/1未満である水−アルコール混合溶媒と、を含む塗布液を用いる。水およびアルコールの混合重量比が7/3以上9/1未満である水−アルコール混合溶媒を塗布液の調製に用いることにより、電解質によるメソ孔開口部(入口)の被覆を低減・防止できる。これにより、メソ孔内に担持された触媒金属への反応ガスの輸送を促進できる。加えて、ミクロ孔があることにより、触媒担体内部の中でメソ孔とミクロ孔が連通して内部のガス輸送性が更に向上するため、効果が顕著となる。ゆえに、本発明により製造された触媒層は、高い触媒性能を発揮できる。すなわち、反応を促進できる。
燃料電池の低コスト化のためには、触媒層が含む白金等の貴金属量を低減する必要がある。しかしながら、塗布面の単位面積当たりに担持される貴金属量(目付量)が0.2mg/cm以下と少ない場合、特にガス輸送抵抗が高くなることを本発明者らは見出した。しかし、本発明に係る製造方法によると、上述のように触媒活性を向上できる。ゆえに、本発明の製造方法では、白金の目付量が0.2mg/cm以下の条件であっても、ガス輸送性に優れる燃料電池用電極触媒層を製造できる。
以下、適宜図面を参照しながら、本発明に係る触媒層の製造方法の一実施形態を詳細に説明する。さらに、当該製造方法を有する、燃料電池用膜電極接合体(「膜電極接合体」、「MEA」とも称する。)の製造方法および燃料電池の製造方法の一実施形態を詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の実施形態のみには制限されない。なお、各図面は説明の便宜上誇張されて表現されており、各図面における各構成要素の寸法比率が実際とは異なる場合がある。また、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明した場合では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
また、本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%の条件で測定する。
[燃料電池]
燃料電池は、膜電極接合体(MEA)と、燃料ガスが流れる燃料ガス流路を有するアノード側セパレータと酸化剤ガスが流れる酸化剤ガス流路を有するカソード側セパレータとからなる一対のセパレータとを有する。本形態の燃料電池は、耐久性に優れ、かつ高い発電性能を発揮できる。
図1は、固体高分子形燃料電池(PEFC、Polymer Electrolyte Fuel Cell)1の基本構成を示す概略図である。PEFC 1は、まず、固体高分子電解質膜2と、これを挟持する一対の触媒層(アノード触媒層3aおよびカソード触媒層3c)とを有する。そして、固体高分子電解質膜2と触媒層(3a、3c)との積層体はさらに、一対のガス拡散層(GDL)(アノードガス拡散層4aおよびカソードガス拡散層4c)により挟持されている。このように、固体高分子電解質膜2、一対の触媒層(3a、3c)および一対のガス拡散層(4a、4c)は、積層された状態で膜電極接合体(MEA)10を構成する。
PEFC 1において、MEA 10はさらに、一対のセパレータ(アノードセパレータ5aおよびカソードセパレータ5c)により挟持されている。図1において、セパレータ(5a、5c)は、図示したMEA 10の両端に位置するように図示されている。ただし、複数のMEAが積層されてなる燃料電池スタックでは、セパレータは、隣接するPEFC(図示せず)のためのセパレータとしても用いられるのが一般的である。換言すれば、燃料電池スタックにおいてMEAは、セパレータを介して順次積層されることにより、スタックを構成することとなる。なお、実際の燃料電池スタックにおいては、セパレータ(5a、5c)と固体高分子電解質膜2との間や、PEFC 1とこれと隣接する他のPEFCとの間にガスシール部が配置されるが、図1ではこれらの記載を省略する。
セパレータ(5a、5c)は、例えば、厚さ0.5mm以下の薄板にプレス処理を施すことで図1に示すような凹凸状の形状に成形することにより得られる。セパレータ(5a、5c)のMEA側から見た凸部はMEA 10と接触している。これにより、MEA 10との電気的な接続が確保される。また、セパレータ(5a、5c)のMEA側から見た凹部(セパレータの有する凹凸状の形状に起因して生じるセパレータとMEAとの間の空間)は、PEFC 1の運転時にガスを流通させるためのガス流路として機能する。具体的には、アノードセパレータ5aのガス流路6aには燃料ガス(例えば、水素など)を流通させ、カソードセパレータ5cのガス流路6cには酸化剤ガス(例えば、空気など)を流通させる。
一方、セパレータ(5a、5c)のMEA側とは反対の側から見た凹部は、PEFC 1の運転時にPEFCを冷却するための冷媒(例えば、水)を流通させるための冷媒流路7とされる。さらに、セパレータには通常、マニホールド(図示せず)が設けられる。このマニホールドは、スタックを構成した際に各セルを連結するための連結手段として機能する。かような構成とすることで、燃料電池スタックの機械的強度が確保されうる。
なお、図1に示す実施形態においては、セパレータ(5a、5c)は凹凸状の形状に成形されている。ただし、セパレータは、かような凹凸状の形態のみに限定されるわけではなく、ガス流路および冷媒流路の機能を発揮できる限り、平板状、一部凹凸状などの任意の形態であってもよい。
上記のような、MEAを有する燃料電池は、優れた発電性能を発揮する。ここで、燃料電池の種類としては、特に限定されず、上記した説明中では高分子電解質形燃料電池を例に挙げて説明したが、この他にも、アルカリ型燃料電池、ダイレクトメタノール型燃料電池、マイクロ燃料電池などが挙げられる。なかでも小型かつ高密度・高出力化が可能であるから、高分子電解質形燃料電池(PEFC)が好ましく挙げられる。また、前記燃料電池は、搭載スペースが限定される車両などの移動体用電源の他、定置用電源などとして有用である。なかでも、比較的長時間の運転停止後に高い出力電圧が要求される自動車などの移動体用電源として用いられることが特に好ましい。
燃料電池を運転する際に用いられる燃料は特に限定されない。例えば、水素、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、第2級ブタノール、第3級ブタノール、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどが用いられうる。なかでも、高出力化が可能である点で、水素やメタノールが好ましく用いられる。
また、燃料電池の適用用途は特に限定されるものではないが、車両に適用することが好ましい。本発明の製造方法により得られる電解質膜−電極接合体は、発電性能および耐久性に優れ、小型化が実現可能である。このため、本発明の製造方法により得られる燃料電池は、車載性の点から、車両に該燃料電池を適用した場合、特に有利である。したがって、本発明の一側面では、本発明の製造方法により得られる燃料電池を有する車両を提供する。
以下、本形態の燃料電池を構成する部材について簡単に説明するが、本発明の技術的範囲は下記の形態のみに制限されない。
<電極触媒層>
図1において、電極触媒層(アノード触媒層3a、カソード触媒層3c)は、実際に電池反応が進行する層である。具体的には、アノード触媒層3aでは燃料(水素等)の酸化反応が進行し、カソード触媒層3cでは酸化剤ガス(酸素等)の還元反応が進行する。
図2は、本発明の製造方法に用いられる触媒の一実施形態に係る形状・構造を示す概略断面説明図である。図2に示されるように、触媒20は、触媒金属22および触媒担体23からなる。また、触媒20は、半径1nm以上の空孔(メソ孔)24を有する。触媒担体23は、半径が1nm未満の空孔(ミクロ孔)(図示せず)を有していても良い。ここで、触媒金属22は、メソ孔24の内部に担持される。また、触媒金属22は、少なくとも一部がメソ孔24の内部に担持されていればよく、一部が触媒担体23表面にされていてもよい。しかし、触媒層での電解質と触媒金属の接触を防ぐという観点からは、実質的にすべての触媒金属22がメソ孔24の内部に担持されることが好ましい。ここで、「実質的にすべての触媒金属」とは、十分な触媒活性を向上できる量であれば特に制限されない。「実質的にすべての触媒金属」は、全触媒金属において、好ましくは50重量%以上(上限:100重量%)、より好ましくは80重量%以上(上限:100重量%)の量で存在する。
本明細書において、「触媒金属が空孔(例えば、メソ孔)の内部に担持される」ことは、触媒担体への触媒金属の担持前後の空孔(例えば、メソ孔)の容積の減少によって確認できる。詳細には、触媒担体(以下、単に「担体」とも称する)は空孔(特に、メソ孔)を有し、各空孔(メソ孔)はそれぞれ一定の容積を有しているが、触媒金属がメソ孔等の空孔に担持されると、各空孔(例えば、メソ孔)の容積は減少する。したがって、触媒金属担持前の触媒(担体)の空孔(例えば、メソ孔)の容積と触媒金属担持後の触媒(担体)の空孔(例えば、メソ孔)の容積の差[=(担持前の容積)−(担持後の容積)]が0を超える場合には、「触媒金属が空孔(例えば、メソ孔)の内部に担持される」こととなる。ガス輸送抵抗の低減、ガス輸送のためのパスの確保などを考慮すると、上記触媒金属担持前後の空孔(例えば、メソ孔)の空孔容積の減少値が0.02cc/g以上であることが好ましく、0.02〜0.4cc/gであることがより好ましい。なお、本明細書では、半径1nm未満の空孔の空孔容積を単に「ミクロ孔の空孔容積」と、半径1nm以上の空孔の空孔容積を単に「メソ孔の空孔容積」とも称する。
図3は、塗布面の単位面積当たりに担持される貴金属量(目付量)が0.2mg/cm以下と少ない場合に、特にガス輸送抵抗が高くなることを示す。図3では、カソード触媒層の白金目付量を任意に変更した以外は下記の比較例1(触媒スラリの水/NPAの重量比が6/4)と同じ条件で作製した膜電極接合体を用いて、ガス輸送抵抗を測定した。図3では、カソード触媒層の白金目付量を0.35、0.25、0.20、0.15、0.12、または0.05mg/cmとしている(触媒担体:ケッチェンブラック、BET比表面積:718m/g)。また、酸素輸送抵抗は実施例に記載の方法で行った。図3から、目付量が0.2mg/cm以下と少ない場合、触媒層の酸素輸送抵抗が顕著に増大(ガス輸送性が顕著に低下)することが分かる。本発明の技術的範囲を制限するものではないが、これは、以下の理由によるものと考えられる。すなわち、触媒層における酸化還元反応は、酸素等の反応ガスが触媒金属(特に、白金)表面まで輸送されて進行する。反応ガスの供給量を一定にした場合、目付量が多いときは、触媒金属あたりのガス供給量は比較的少ない。一方、目付量が少ないときは、触媒金属近傍(触媒金属が担持された担体内部)に局所的にガス供給が集中し、ガス輸送性が低下するものと推測される。
触媒は、カソード触媒層またはアノード触媒層のいずれに存在してもいてもよいが、カソード触媒層で使用されることが好ましい。触媒が電解質と接触しなくても、水との三相界面を形成することによって有効に触媒作用を発揮できるが、カソード触媒層で水が形成するためである。
(触媒担体)
触媒担体(本明細書では、「担体」または「導電性担体」とも称する。)の材質は、BET比表面積が700m/g以上であり、充分な電子伝導性を有するものであれば特に制限されない。好ましくは、主成分がカーボンである。具体的には、カーボンブラック(ケッチェンブラック、オイルファーネスブラック、チャネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなど)、活性炭などからなるカーボン粒子が挙げられる。「主成分がカーボンである」とは、主成分として炭素原子を含むことをいい、炭素原子のみからなる、実質的に炭素原子からなる、の双方を含む概念であり、炭素原子以外の元素が含まれていてもよい。「実質的に炭素原子からなる」とは、2〜3重量%程度以下の不純物の混入が許容されうることを意味する。
上記カーボン材料の他、Sn(錫)やTi(チタン)などの多孔質金属、さらには導電性金属酸化物なども担体として使用可能である。
担体のBET比表面積は、700m/g以上であればよい。担体のBET比表面積は、好ましくは700m/g以上1800m/g未満、より好ましくは700〜1500m/gであり、更に好ましくは700m/g以上900m/g未満である。好ましくはBET比表面積が700m/g以上であり、半径1nm以上の空孔を有する触媒担体が用いられる。更に好ましくは、本発明の製造方法では、半径1nm未満の空孔をさらに有する触媒担体を用いる。BET比表面積が700m/g未満であると、触媒金属(白金など)の分散性が悪くなるために有効利用ができなくなるが、700m/g以上であれば触媒金属を高分散に担持することができる。また、700m/g以上の場合、内部に空孔(特に、メソ孔)を有する触媒担体も存在する。その結果、空孔(特に、メソ孔)内にも触媒金属を担持することができ、触媒層での電解質と触媒金属とを物理的に離すことができるため、より触媒金属を有効に利用することができる。更に、ミクロ孔が存在する場合、担体内部でメソ孔とミクロ孔が連通し輸送経路が増えるためガス輸送性が増す。更に、BET比表面積が900m/g未満であることにより、触媒粒子が凝集しにくく凝集サイズが小さくなるため、ガス輸送性が向上するという利点がある。
触媒担体としては、熱処理を行うことでBET表面積をできるだけ維持したまま耐久性を高めることや、酸処理や賦活処理で触媒金属を担持しやすくしても良い。
本明細書において、触媒、および触媒担体の「BET比表面積(m/g担体)」は、窒素吸着法により測定される。詳細には、触媒粉末、または触媒担体約0.04〜0.07gを精秤し、試料管に封入する。この試料管を真空乾燥器で90℃×数時間予備乾燥し、測定用サンプルとする。秤量には、島津製作所株式会社製電子天秤(AW220)を用いる。なお、塗布シートの場合には、これの全重量から、同面積のテフロン(登録商標)(基材)重量を差し引いた塗布層の正味の重量約0.03〜0.04gを試料重量として用いる。次に、下記測定条件にて、BET比表面積を測定する。吸着・脱着等温線の吸着側において、相対圧(P/P0)約0.00〜0.45の範囲から、BETプロットを作成することで、その傾きと切片からBET比表面積を算出する。
「ミクロ孔の空孔の半径(nm)」は、窒素吸着法(MP法)により測定される空孔の半径を意味する。また、「ミクロ孔の空孔分布のモード半径(nm)」は、窒素吸着法(MP法)により得られる微分細孔分布曲線においてピーク値(最大頻度)をとる点の空孔半径を意味する。ここで、ミクロ孔の空孔半径の下限は、窒素吸着法により測定可能な下限値、すなわち、0.42nm以上である。同様にして、「メソ孔の空孔の半径(nm)」は、窒素吸着法(DH法)により測定される空孔の半径を意味する。また、「メソ孔の空孔分布のモード半径(nm)」は、窒素吸着法(DH法)により得られる微分細孔分布曲線においてピーク値(最大頻度)をとる点の空孔半径を意味する。ここで、メソ孔の空孔半径の上限は、特に制限されないが、5nm以下である。
「ミクロ孔の空孔容積」は、触媒(または、触媒担体)に存在する半径1nm未満のミクロ孔の総容積を意味し、担体1gあたりの容積(cc/g担体)で表される。「ミクロ孔の空孔容積(cc/g担体)」は、窒素吸着法(MP法)によって求めた微分細孔分布曲線の下部の面積(積分値)として算出される。同様にして、「メソ孔の空孔容積」は、触媒(または、触媒担体)に存在する半径1nm以上のメソ孔の総容積を意味し、担体1gあたりの容積(cc/g担体)で表される。「メソ孔の空孔容積(cc/g担体)」は、窒素吸着法(DH法)によって求めた微分細孔分布曲線の下部の面積(積分値)として算出される。
「微分細孔分布」とは、細孔径を横軸に、触媒(または、触媒担体)中のその細孔径に相当する細孔容積を縦軸にプロットした分布曲線である。すなわち、窒素吸着法(ミクロ孔の場合にはMP法;メソ孔の場合にはDH法)により得られる触媒(または、触媒担体)の空孔容積をVとし、空孔直径をDとした際の、差分空孔容積dVを空孔直径の対数差分d(logD)で割った値(dV/d(logD))を求める。そして、このdV/d(logD)を各区分の平均空孔直径に対してプロットすることにより微分細孔分布曲線が得られる。差分空孔容積dVとは、測定ポイント間の空孔容積の増加分をいう。
ここで、窒素吸着法(MP法)によるミクロ孔の半径及び空孔容積の測定方法は、特に制限されず、例えば、「吸着の科学」(第2版近藤精一、石川達雄、安部郁夫共著、丸善株式会社)、「燃料電池の解析手法」(高須芳雄、吉武優、石原達己編、化学同人)、R. Sh. Mikhail, S. Brunauer,E. E. Bodor J.Colloid Interface Sci.,26, 45(1968)等の公知の文献に記載される方法が採用できる。本明細書では、窒素吸着法(MP法)によるミクロ孔の半径及び空孔容積は、R. Sh. Mikhail, S. Brunauer, E. E. Bodor J.Colloid Interface Sci.,26, 45(1968)に記載される方法によって、測定された値である。
また、窒素吸着法(DH法)によるメソ孔の半径及び空孔容積の測定方法もまた、特に制限されず、例えば、「吸着の科学」(第2版近藤精一、石川達雄、安部郁夫共著、丸善株式会社)や「燃料電池の解析手法」(高須芳雄、吉武優、石原達己編、化学同人)、D. Dollion, G. R. Heal : J. Appl. Chem., 14, 109 (1964)等の公知の文献に記載される方法が採用できる。本明細書では、窒素吸着法(DH法)によるメソ孔の半径及び空孔容積は、D. Dollion, G. R. Heal : J. Appl. Chem., 14, 109 (1964) に記載される方法によって、測定された値である。
触媒担体のサイズについても特に限定されるものではないが、担持の簡便さ、白金含有触媒金属の触媒としての利用率、電極触媒層の厚みを適切な範囲で制御するなどの観点からは、平均一次粒子径を2〜100nm程度、好ましくは10〜50nmとすると良い。担体の平均一次粒径は、特に言及のない限り、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用い、数〜数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値を採用する。また、「粒子径」とは、粒子の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離を意味する。
本発明に用いられる触媒担体の半径1nm以上の空孔(メソ孔)の空孔容積は、特に制限されないが、好ましくは0.01〜0.6cc/g担体であり、より好ましくは0.1〜0.6cc/g担体であることが好ましい。また、ガス輸送性の向上効果を考慮すると、ミクロ孔の空孔容積は、好ましくは0.1〜0.8cc/g担体であり、より好ましくは0.2〜0.8cc/g担体である。
(白金含有触媒金属(触媒金属))
アノード触媒層に用いられる白金含有触媒金属(本明細書においては、「白金含有触媒金属」を、「触媒金属」とも称する。)は、白金を含み、かつ燃料(水素等)の酸化反応に触媒作用を有するものであれば、特に限定されるものではなく、従来公知の触媒を適用することができる。また、カソード触媒層に用いられる白金含有触媒金属もまた、白金を含み、かつ酸化剤ガス(酸素等)の還元反応に触媒作用を有するものであれば、特に限定されるものではなく、従来公知の触媒を同様に使用できる。
白金含有触媒金属の具体例としては、白金(Pt)の単体粒子、または白金粒子とルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、タングステン(W)、鉛(Pb)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、ガリウム(Ga)及びアルミニウム(Al)からなる群より選ばれる少なくとも1種の他の金属の粒子との混合物、白金と他の金属との合金などを挙げることができる。触媒活性、一酸化炭素等に対する耐被毒性、耐熱性などを向上させるために、少なくとも白金を含む合金が用いられる。合金を用いる場合、上記合金の組成は、合金化する金属の種類にもよるが、白金の含有量を30〜90原子%とし、白金と合金化する金属の含有量を10〜70原子%とするのがよい。なお、合金とは、一般に金属元素に1種以上の金属元素または非金属元素を加えたものであって、金属的性質をもっているものの総称である。合金の組織には、成分元素が別個の結晶となるいわば混合物である共晶合金、成分元素が完全に溶け合い固溶体となっているもの、成分元素が金属間化合物または金属と非金属との化合物を形成しているものなどがあり、本発明においてはいずれであってもよい。この際、アノード触媒層に用いられる白金含有触媒金属及びカソード触媒層に用いられる白金含有触媒金属は、上記の中から適宜選択することができる。本発明においては、特記しない限り、アノード触媒層用及びカソード触媒層用の白金含有触媒金属についての説明は、両者について同様の定義である。よって、一括して「白金含有触媒金属」と称する。しかしながら、アノード触媒層及びカソード触媒層の白金含有触媒金属は同一である必要はなく、上記したような所望の作用を奏するように、適宜選択することができる。
白金含有触媒金属の大きさは、特に限定されるものではなく、従来公知の触媒と同様の大きさを採用することができる。この際、白金含有触媒金属の平均粒子径は、好ましくは1〜30nm、より好ましくは2〜10nmである。白金含有触媒金属の平均粒子径がこのような範囲内の値であると、電気化学反応が進行する有効電極面積に関連する触媒利用率と担持の簡便さとのバランスを適切に制御することができる。なお、本発明における「白金含有触媒金属の平均粒子径」は、X線回折における白金含有触媒金属の回折ピークの半値幅より求められる結晶子径や、透過形電子顕微鏡像より調べられる白金含有触媒金属の粒子径の平均値として測定することができる。
(電解質)
本発明の製造方法により製造される触媒層内では、触媒の少なくとも一部が電解質で被覆される。水およびアルコールの混合重量比が7/3以上9/1未満である水−アルコール混合溶媒を塗布液の調製に用いることにより、触媒への電解質の被覆状態と触媒の凝集サイズを制御できる。具体的には、混合溶媒中の水の割合を増やすことで電解質の触媒への被覆割合を下げることができる。一方、混合溶媒中の水が過度に多いと触媒凝集体のサイズが大きくなり、酸素等のガス輸送距離が増す。水およびアルコールの混合重量比が7/3以上9/1未満である水−アルコール混合溶媒を電極触媒層の形成に用いることで、触媒凝集体を適度な凝集サイズに制御することができ、結果的にガス輸送の観点で最適な触媒層が形成される。また、図2において、電解質(図示せず)は、担体23のメソ孔24内には侵入しない。このため、担体23表面の触媒金属22は電解質26と接触するが、メソ孔24内部に担持された触媒金属22は電解質と非接触状態である。メソ孔内の触媒金属が、電解質と非接触状態で酸素ガスと水との三相界面を形成することにより、触媒金属の反応活性面積を確保できる。本発明の製造方法によれば、メソ孔24の少なくとも一部は、電解質により被覆されない構造となると考えられる。これにより、メソ孔24内に担持された触媒金属22への反応ガスの輸送を促進できる。
電解質は、特に制限されないが、イオン伝導性の高分子電解質であることが好ましい。上記高分子電解質は、燃料極側の触媒活物質周辺で発生したプロトンを伝達する役割を果たすことから、プロトン伝導性高分子とも呼ばれる。
電解質(アイオノマ)としては、例えば、フッ素系高分子電解質材料や炭化水素系高分子電解質材料を挙げることができる。
構成材料であるイオン交換樹脂の種類によって、フッ素系高分子電解質材料と炭化水素系高分子電解質材料とに大別される。これらのうち、フッ素系高分子電解質が好ましい。
フッ素系高分子電解質を構成するイオン交換樹脂としては、例えば、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)等のパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマー、パーフルオロカーボンホスホン酸系ポリマー、トリフルオロスチレンスルホン酸系ポリマー、エチレンテトラフルオロエチレン−g−スチレンスルホン酸系ポリマー、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオリド−パーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマーなどが挙げられる。耐熱性、化学的安定性、耐久性、機械強度に優れるという観点からは、これらのフッ素系高分子電解質が好ましく用いられ、特に好ましくはパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマーから構成されるフッ素系高分子電解質が用いられる。
炭化水素系電解質として、具体的には、スルホン化ポリエーテルスルホン(S−PES)、スルホン化ポリアリールエーテルケトン、スルホン化ポリベンズイミダゾールアルキル、ホスホン化ポリベンズイミダゾールアルキル、スルホン化ポリスチレン、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン(SPEEK)、スルホン化ポリフェニレン(S−PP)などが挙げられる。原料が安価で製造工程が簡便であり、かつ材料の選択性が高いといった製造上の観点からは、これらの炭化水素系高分子電解質が好ましく用いられる。なお、上述したイオン交換樹脂は、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。また、上述した材料のみに制限されず、その他の材料が用いられてもよい。
プロトンの伝達を担う高分子電解質においては、プロトンの伝導度が重要となる。ここで、高分子電解質のEWが大きすぎる場合には触媒層全体でのイオン伝導性が低下する。したがって、本形態の触媒層は、EWの小さい高分子電解質を含むことが好ましい。具体的には、本形態の触媒層は、好ましくはEWが1500g/mol以下の高分子電解質を含み、より好ましくは1300g/mol以下の高分子電解質を含み、特に好ましくは1200g/mol以下の高分子電解質を含む。
一方、EWが小さすぎる場合には、親水性が高すぎるため水の円滑な排除が困難となり、ガスの輸送経路を塞いでしまうといった課題が顕在化する。かような観点から、高分子電解質のEWは600g/mol以上であることが好ましい。なお、EW(Equivalent Weight)は、プロトン伝導性を有する交換基の当量重量を表している。当量重量は、イオン交換基1当量あたりのイオン交換膜の乾燥重量であり、「g/mol」の単位で表される。
また、触媒層は、EWが異なる2種類以上の高分子電解質を発電面内に含み、この際、高分子電解質のうち最もEWが低い高分子電解質が流路内ガスの相対湿度が90%以下の領域に用いることが好ましい。このような材料配置を採用することにより、電流密度領域によらず、抵抗値が小さくなって、電池性能の向上を図ることができる。流路内ガスの相対湿度が90%以下の領域に用いる高分子電解質、すなわちEWが最も低い高分子電解質のEWとしては、900g/mol以下であることが望ましい。これにより、上述の効果がより確実、顕著なものとなる。
さらに、EWが最も低い高分子電解質を冷却水の入口と出口の平均温度よりも高い領域に用いることが望ましい。これによって、電流密度領域によらず、抵抗値が小さくなって、電池性能のさらなる向上を図ることができる。
さらには、燃料電池システムの抵抗値を小さくするとする観点から、EWが最も低い高分子電解質は、流路長に対して燃料ガス及び酸化剤ガスの少なくとも一方のガス供給口から3/5以内の範囲の領域に用いることが望ましい。
触媒層には、必要に応じて、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などの撥水剤、界面活性剤などの分散剤、グリセリン、エチレングリコール(EG)、ポリビニルアルコール(PVA)、プロピレングリコール(PG)などの増粘剤、造孔剤等の添加剤が含まれていても構わない。
触媒層の厚み(乾燥膜厚)は、好ましくは0.05〜30μm、より好ましくは2〜20μm、さらに好ましくは2〜10μmである。なお、上記厚みは、カソード触媒層およびアノード触媒層双方に適用される。しかし、カソード触媒層及びアノード触媒層の厚みは、同じであってもあるいは異なってもよい。
(触媒層の製造方法)
以下、本発明に係る触媒層の製造方法を記載するが、本発明の技術的範囲は下記の形態のみには限定されない。また、触媒層の各構成要素の材質などの諸条件については、上述した通りである。
まず、触媒担体を準備する。本発明に係る触媒層の製造方法においては、BET比表面積が700m/g以上である触媒担体が用いられる。
次いで、触媒担体に触媒金属を担持して、触媒粉末とする。触媒担体への触媒金属の担持は公知の方法で行うことができる。例えば、含浸法、液相還元担持法、蒸発乾固法、コロイド吸着法、噴霧熱分解法、逆ミセル(マイクロエマルジョン法)などの公知の方法が使用できる。例えば、液相還元担持法の場合、クエン酸等の酸を用いて触媒金属を担体へ還元担持すればよい。用いる酸の量は、担体量や触媒金属量を考慮して任意に調整すればよい(例えば、触媒金属重量に対して1.5〜2倍量)。なお、担持する際の触媒を含む固液混合体を減圧下に置くことが好ましい。これにより、触媒担体の内部(空孔内)へ、触媒金属をより多く侵入させることができる。減圧時の圧力は特に制限されないが、例えば1〜50kPaである。減圧下におく時間も特に制限されず、触媒担体から気泡が出なくなる程度であれば良いが、例えば10秒〜3分である。また、触媒金属の平均粒径を所望の範囲とするために、触媒金属を担体に担持させた後、還元雰囲気下で加熱処理を行ってもよい。このとき、加熱処理温度は、300〜1200℃の範囲であると好ましく、500〜1150℃の範囲であるとより好ましく、700〜1000℃の範囲であると特に好ましい。また、還元雰囲気とは、触媒金属の粒成長に寄与するものであれば特に制限されないが、還元性ガスと不活性ガスとの混合雰囲気下で行うことが好ましい。還元性ガスは、特に制限されないが、水素(H)ガスが好ましい。また、不活性ガスは、特に制限されないが、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、及び窒素(N)などが使用できる。上記不活性ガスは、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合ガスの形態で使用されてもよい。また、加熱処理時間は、0.1〜5時間であると好ましく、0.5〜4時間であるとより好ましい。触媒担体がメソ孔を有する場合には、上記工程を行うことにより、触媒金属を触媒担体のメソ孔内に粒成長させて担持することができる。
触媒担体における白金含有触媒金属の担持濃度は、触媒の全量に対して、好ましくは10〜80重量%、より好ましくは20〜70重量%である。白金含有触媒金属の担持量がこのような数値範囲内であると、触媒担体上での白金含有触媒金属の分散度と触媒性能とのバランスを適切に制御することができる。なお、触媒担体における白金含有触媒金属の担持濃度は、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)によって測定することができる。
続いて、触媒、電解質、および溶媒を含む触媒スラリ(塗布液)を調製する。当該塗布液の調製には、水およびアルコールの混合重量比が7/3以上9/1未満である水−アルコール混合溶媒を用いる。水およびアルコールの混合重量比が7/3以上9/1未満である水−アルコール混合溶媒を用いることにより、白金の目付量が0.2mg/cm以下と少ない場合でもガス輸送性に優れる燃料電池用電極触媒層を製造することができる。
水およびアルコールの混合重量比は7/3以上9/1未満であればよいが、好ましくは7/3〜8.5/1.5であり、より好ましくは7/3〜8/2である。水およびアルコールの混合重量比が7/3未満の場合、電解質による触媒の被覆率が高くなり、反応ガスが触媒金属の表面に至る過程において、電解質を通過する確率が高くなる。また、担体がメソ孔を有する場合は、メソ孔開口部の被覆によってガス輸送性が低下することとなる。一方、水およびアルコールの混合重量比が9/1以上の場合、やはりガス輸送性が低下する。本発明の技術的範囲を制限するものではないが、これは、触媒の凝集サイズが大きくなり、ガスの輸送パスが長くなるためである。
触媒スラリの調製に用いられるアルコールとしては、電解質の分散性の観点から、メタノール、エタノール、1−プロパノール(NPA)、2−プロパノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−ブタノールおよび2−メチル−2−プロパノールからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。特に、沸点が100℃未満のアルコールを用いることが好ましい。沸点が100℃未満のアルコールを用いることにより、乾燥過程における構造制御性や時間短縮という利点がある。沸点が100℃未満のアルコールとしては、メタノール(沸点:65℃)、エタノール(沸点:78℃)、1−プロパノール(沸点:97℃)、2−プロパノール(沸点:82℃)、および2−メチル−2−プロパノール(沸点:83℃)からなる群より選択されるものが例示できる。これらのアルコールを1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
触媒スラリの調製に用いられる水は、例えば水道水、純水、イオン交換水、または蒸留水である。
担体に対する電解質比(重量比)は、特に制限されるものではないが、例えば、担体1に対して0.4〜1.5(重量比)であり、好ましくは0.6〜1.3(重量比)である。
触媒スラリを構成する混合溶媒の量は、特に制限されず、所望の白金目付量をできるだけ少ない回数で塗布できるだけの固形分率となるように調製すればよい。具体的には、触媒粉末および高分子電解質などを合わせた固形分の濃度が、触媒スラリ中、1〜50重量%、より好ましくは5〜30重量%程度とするのが好ましい。
触媒が連なった凝集体(アグリゲート)のサイズとしては、50〜500nm程度、好ましくは100〜400nm程度が良い。触媒凝集体のサイズが50〜500nmであることにより、電解質による触媒の被覆率を低く維持しつつ、ガスの輸送パスが長くなることを防止できる。触媒凝集体のサイズは、水−アルコール混合溶媒における水分率を高くすることで大きくすることができ、水分率を低くすることで小さくすることができる。触媒凝集体のサイズとしては、担体と同様にSEMやTEMで計測され、または触媒凝集体を溶媒中に分散させた状態でのレーザー散乱や光散乱で計測される、粒度分布測定で得られるモード値を採用する。
なお、撥水剤、分散剤、増粘剤、造孔剤等の添加剤を使用する場合には、触媒スラリにこれらの添加剤を添加すればよい。この際、添加剤の添加量は、本発明の上記効果を妨げない程度の量であれば特に制限されない。例えば、添加剤の添加量は、それぞれ、触媒スラリの全重量に対して、好ましくは5〜20重量%である。
次に、基材の表面に触媒スラリ(塗布液)を塗布する。基材への塗布方法は、特に制限されず、公知の方法を使用できる。具体的には、スプレー(スプレー塗布)法、ガリバー印刷法、ダイコーター法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法など、公知の方法を用いて行うことができる。
この際、触媒スラリを塗布する基材としては、固体高分子電解質膜やガス拡散基材(ガス拡散層)を使用することができる。かような場合には、固体高分子電解質膜またはガス拡散基材(ガス拡散層)の表面に触媒層を形成した後、得られた積層体をそのまま膜電極接合体の製造に利用することができる。あるいは、基材としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)[テフロン(登録商標)]シート等の剥離可能な基材を使用し、基材上に触媒層を形成した後に基材から触媒層部分を剥離することにより、触媒層を得てもよい。
本発明に係る製造方法においては、上記の塗布液を、塗布面の単位面積当たりに担持される白金量(白金の目付量)が0.2mg/cm以下となるように塗布する。白金(Pt)や白金合金に代表される高価な貴金属触媒の使用は燃料電池の高価格要因となっている。0.2mg/cm以下となるように塗布することで、白金の使用量を抑えることができ、製造コストを削減することができる。白金の目付量は0.2mg/cm以下であれば良いが、好ましくは0.15mg/cm以下である。下限値は発電性能が得られる限り特に制限されず、例えば、0.01mg/cm以上である。より好ましくは、当該白金含有量は0.05〜0.12mg/cmである。白金の目付量は、塗布液に含まれる白金量(触媒量)や、塗膜の厚さを制御することにより、当業者であれば任意に調整することができる。
触媒層における白金含有触媒金属の表面積は、10〜100cm Pt/cmであることが好ましく、20〜90cm Pt/cmであることがより好ましい。なお、本発明における「白金含有触媒金属の比表面積」は、例えば、Journal of Electroanalytical Chemistry 693 (2013) 34−41等に記載される方法によって測定できる。本明細書では、「白金含有触媒金属の比表面積」は、以下の方法によって測定された値を採用する。
(白金含有触媒金属の比表面積の測定方法)
カソード触媒層について、サイクリックボルタンメトリーによる電気化学的有効表面積(ECA:Electrochemical surface area)を求める。ここで、対向するアノードには、測定温度において飽和するよう加湿した水素ガスを流通させ、これを参照極および対極として用いる。カソードには同様に加湿した窒素ガスを流通させておき、測定を開始する直前に、カソード入口および出口のバルブを閉じ、窒素ガスを封入する。この状態で、電気化学測定装置(北斗電工(株)製、型番:HZ−5000)を用いて下記条件にて測定する。
最後に、触媒スラリの塗布層(膜)を、空気雰囲気下あるいは不活性ガス雰囲気下、室温〜180℃で、1〜60分間、乾燥する。これにより、触媒層が形成される。
[膜電極接合体]
本発明のさらなる実施形態によれば、上記方法にしたがって燃料電池用電極触媒層を形成することを有する、燃料電池用膜電極接合体の製造方法が提供される。
例示的に示される図1においては、本発明に係る製造方法により製造される燃料電池用膜電極接合体10は、固体高分子電解質膜2、前記電解質膜の一方の側に配置されたカソード触媒層3cと、前記電解質膜の他方の側に配置されたアノード触媒層3aと、を有する。さらに、燃料電池用膜電極接合体10は、前記電解質膜2並びに前記アノード触媒層3a及び前記カソード触媒層3cを挟持する一対のガス拡散層(4a,4c)とを有する。本実施形態に係る膜電極接合体の製造方法においては、前記カソード触媒層およびアノード触媒層の少なくとも一方は、上記に記載した実施形態の触媒層の製造方法により製造する。プロトン伝導性の向上および反応ガス(特にO)の輸送特性(ガス拡散性)の向上の必要性を考慮すると、少なくともカソード触媒層が上記に記載した実施形態の触媒層であることが好ましい。ただし、上記形態に係る触媒層は、アノード触媒層として用いてもよいし、カソード触媒層およびアノード触媒層双方として用いてもよいなど、特に制限されるものではない。
本発明のさらなる実施形態によれば、上記形態の燃料電池用膜電極接合体を製造することを有する、燃料電池の製造方法が提供される。すなわち、本発明の一実施形態は、上記形態の膜電極接合体を挟持する一対のアノードセパレータおよびカソードセパレータを有する燃料電池の製造方法である。
以下、図1を参酌しつつ、本発明に係る燃料電池用膜電極接合体の製造方法および燃料電池の製造方法についてより詳細に説明する。なお、本発明は触媒層の製造方法に特徴を有する。よって、燃料電池を構成する触媒層以外の部材の具体的な形態については、従来公知の知見を参照しつつ、適宜、改変が施されうる。
<固体高分子電解質膜>
電解質膜は、例えば、図1に示す形態のように固体高分子電解質膜2から構成される。この固体高分子電解質膜2は、PEFC 1の運転時にアノード触媒層3aで生成したプロトンを膜厚方向に沿ってカソード触媒層3cへと選択的に透過させる機能を有する。また、固体高分子電解質膜2は、アノード側に供給される燃料ガスとカソード側に供給される酸化剤ガスとを混合させないための隔壁としての機能をも有する。
固体高分子電解質膜2を構成する電解質材料としては特に限定されず従来公知の知見が適宜参照されうる。例えば、先に高分子電解質として説明したフッ素系高分子電解質や炭化水素系高分子電解質を用いることができる。この際、触媒層に用いた高分子電解質と必ずしも同じものを用いる必要はない。
電解質層の厚さは、得られる燃料電池の特性を考慮して適宜決定すればよく、特に制限されない。電解質層の厚さは、通常は5〜300μm程度である。電解質層の厚さがかような範囲内の値であると、製膜時の強度や使用時の耐久性及び使用時の出力特性のバランスが適切に制御されうる。
<ガス拡散層>
ガス拡散層(アノードガス拡散層4a、カソードガス拡散層4c)は、セパレータのガス流路(6a、6c)を介して供給されたガス(燃料ガスまたは酸化剤ガス)の触媒層(3a、3c)への拡散を促進する機能、および電子伝導パスとしての機能を有する。
ガス拡散層(4a、4c)の基材を構成する材料は特に限定されず、従来公知の知見が適宜参照されうる。例えば、炭素製の織物、紙状抄紙体、フェルト、不織布といった導電性および多孔質性を有するシート状材料が挙げられる。基材の厚さは、得られるガス拡散層の特性を考慮して適宜決定すればよいが、30〜500μm程度とすればよい。基材の厚さがかような範囲内の値であれば、機械的強度とガスおよび水などの拡散性とのバランスが適切に制御されうる。
ガス拡散層は、撥水性をより高めてフラッディング現象などを防止することを目的として、撥水剤を含むことが好ましい。撥水剤としては、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系の高分子材料、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。
また、撥水性をより向上させるために、ガス拡散層は、撥水剤を含むカーボン粒子の集合体からなるカーボン粒子層(マイクロポーラス層;MPL、図示せず)を基材の触媒層側に有するものであってもよい。
カーボン粒子層に含まれるカーボン粒子は特に限定されず、カーボンブラック、グラファイト、膨張黒鉛などの従来公知の材料が適宜採用されうる。なかでも、電子伝導性に優れ、比表面積が大きいことから、オイルファーネスブラック、チャネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックが好ましく用いられうる。カーボン粒子の平均粒径は、10〜100nm程度とするのがよい。これにより、毛細管力による高い排水性が得られるとともに、触媒層との接触性も向上させることが可能となる。
カーボン粒子層に用いられる撥水剤としては、上述した撥水剤と同様のものが挙げられる。なかでも、撥水性、電極反応時の耐食性などに優れることから、フッ素系の高分子材料が好ましく用いられうる。
カーボン粒子層におけるカーボン粒子と撥水剤との混合比は、撥水性および電子伝導性のバランスを考慮して、重量比で90:10〜40:60(カーボン粒子:撥水剤)程度とするのがよい。なお、カーボン粒子層の厚さについても特に制限はなく、得られるガス拡散層の撥水性を考慮して適宜決定すればよい。
<ガスケット>
本発明の製造方法において、必要によりガスケットを電解質膜とセパレータとの間に設けてもよい(図示せず)。当該ガスケットは、気体、特に酸素や水素ガスに対して不透過であればよいが、一般的には、ガス不透過材料からなるOリングなどの単一の不透過部により構成されていればよい。さらに、必要に応じて、電解質膜や酸素極及び触媒層のエッジとの接着を目的とする接着部を設けてなる、接着剤付きのガスシールテープ等のような複合的な構成としてもよい。Oリングやガスシールテープの不透過部を構成する材料は、設置後に所定の圧力がかかった状態で、酸素や水素ガスに対して不透過性を示すものであれば特に制限するものではない。
こうした不透過部を構成する材料のうち、Oリングを構成する材料としては、例えば、フッ素ゴム、シリコンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ポリイソブチレンゴム等のゴム材料、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等のフッ素系の高分子材料、ポリオレフィンやポリエステル等の熱可塑性樹脂などを挙げることができる。
一方、ガスシールテープ等の不透過部を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)などを挙げることができる。また、ガスシールテープ等の接着部を構成する材料としては、電解質膜や酸素極及び燃料極触媒層と、ガスケットを密接に接着できるものであれば特に制限するものではない。例えば、ポリオレフィン、ポリプロピレン、熱可塑性エラストマー等のホットメルト系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル、ポリオレフィン等のオレフィン系接着剤などが使用できる。
<膜電極接合体の製造方法>
膜電極接合体の製造方法は、上記方法にしたがって燃料電池用電極触媒層を形成することを有する。すなわち、膜電極接合体の製造方法では、上記方法に従って製造された燃料電池用電極触媒層を用いて、従来公知の方法により膜電極接合体を製造する。例えば、当該方法にて触媒層を固体高分子電解質膜等に形成し、ガス拡散層を接合する方法が採用できる。また、ガス拡散層のマイクロポーラス層側(マイクロポーラス層を含まない場合には、基材層の片面)に触媒層を有するガス拡散電極(GDE)を2枚作製し、固体高分子電解質膜の両面にこのガス拡散電極をホットプレスで接合する方法を使用することができる。ホットプレス等の塗布、接合条件は、固体高分子電解質膜や触媒層内の高分子電解質の種類(パ−フルオロスルホン酸系や炭化水素系)によって適宜調整すればよい。
(セパレータ)
セパレータは、固体高分子形燃料電池などの燃料電池の単セルを複数個直列に接続して燃料電池スタックを構成する際に、各セルを電気的に直列に接続する機能を有する。また、セパレータは、燃料ガス、酸化剤ガス、および冷却剤を互に分離する隔壁としての機能も有する。これらの流路を確保するため、上述したように、セパレータのそれぞれにはガス流路および冷却流路が設けられていることが好ましい。セパレータを構成する材料としては、緻密カーボングラファイト、炭素板などのカーボンや、ステンレスなどの金属など、従来公知の材料が適宜制限なく採用できる。セパレータの厚さやサイズ、設けられる各流路の形状やサイズなどは特に限定されず、得られる燃料電池の所望の出力特性などを考慮して適宜決定できる。
燃料電池の製造方法は、特に制限されることなく、燃料電池の分野において従来公知の知見が適宜参照されうる。
さらに、燃料電池が所望する電圧を発揮できるように、セパレータを介して膜電極接合体を複数積層して直列に繋いだ構造の燃料電池スタックを形成してもよい。燃料電池の形状などは、特に限定されず、所望する電圧などの電池特性が得られるように適宜決定すればよい。
上述したPEFCや膜電極接合体は、発電性能および耐久性に優れる触媒層を用いている。したがって、当該PEFCや膜電極接合体は発電性能および耐久性に優れる。
本実施形態のPEFCやこれを用いた燃料電池スタックは、例えば、車両に駆動用電源として搭載されうる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1:膜電極接合体の作製>
触媒担体としては、ケッチェンブラック(ケッチェンブラックEC300J、ケッチェン・ブラック・インターナショナル株式会社より購入、窒素BET比表面積:718m/g、ミクロ孔容積:0.28cc/g担体、メソ孔容積:0.36cc/g担体、平均一次粒子径40nm)を用いて、カソード触媒スラリを調製した。
まず、触媒における白金粒子担持濃度が50重量%となるように、塩化白金酸水溶液(40重量%白金含有)にケッチェンブラックを添加し、ホモジナイザを用いて十分に分散させた。また、ケッチェンブラック内部の空孔中に、十分に白金含有塩化白金酸水溶液を含ませるために、気泡が出る程度まで分散液を減圧した。
次いで、分散液に塩化白金酸の約1.5倍のクエン酸ナトリウムを加え、十分に混合させて反応液を調製した。更に、還流反応装置を用い、反応液を攪拌しながら85℃で4時間還流して白金をケッチェンブラック表面および内部に還元担持させた。
反応終了後、室温まで試料溶液を放冷し、白金担持されたケッチェンブラック粉末を吸引ろ過装置でろ別し、十分に水洗した後、80℃で6時間減圧乾燥して、白金担持ケッチェンブラックを得た。
最後に、上記白金担持ケッチェンブラックを、900℃の水素雰囲気で2時間焼成し、触媒(平均粒子径4nm、担持後のメソ孔容積:0.33cc/g担体)を得た。
次に、白金担持ケッチェンブラックからなる触媒と、イオン交換水と、1−プロパノール(NPA)と、アイオノマであるNAFION(登録商標)(20重量%NAFION分散NPA溶液(Sigma−Aldrich社製)、EW=1100g/mol)とを混合した。更に、混合液を超音波ホモジナイザで十分に分散させ、減圧脱泡し、カソード触媒スラリを得た。溶媒組成であるイオン交換水/NPAの重量比が、7/3、および8/2としたカソード触媒スラリを調製した。
触媒担体に対するアイオノマ比(重量比)は0.9であり、触媒とアイオノマを足し合わせた固形分濃度は、スラリ全体に対して7重量%とした。なお、触媒凝集体の平均サイズは、300nmであった。
担体として、黒鉛化ケッチェンブラック(粒径:20〜40nm)を用い、これに触媒金属として平均粒径4nmの白金(Pt)を担持濃度が30重量%となるように担持させて、触媒粉末を得た。この触媒粉末と、高分子電解質としてのアイオノマ分散液(Nafion(登録商標)D2020,EW=1100g/mol、DuPont社製)とをカーボン担体とアイオノマの重量比が1.3となるよう混合した(混合物1)。別途、水とn−プロピルアルコールとの混合重量比が50/50である混合溶媒1を調製した。この混合溶媒1を、上記混合物1に、固形分率(Pt+カーボン担体+アイオノマ)が7重量%となるよう添加して、アノード触媒スラリを調製した。
次に、上記カソード触媒スラリとアノード触媒スラリとを、スプレー塗布法により高分子電解質膜(Dupont社製、NAFION(登録商標) NR211、厚み:25μm、EW=1100g/mol)の上に5cm×2cmのサイズにそれぞれ塗布した。これにより、カソード触媒層(乾燥膜厚5μm)、およびアノード触媒層(乾燥膜厚2μm)を形成した。カソード触媒層の白金目付量は0.15mg/cmとした。このときの白金表面積は、51cm Pt/cmであった。また、アノード触媒層の白金目付量は0.05mg/cmであった。
塗付の際、高分子電解質膜は80℃に制御されたステージ上に保持した。高分子電解質膜の両面に触媒スラリを塗布後、更に恒温槽で80℃30分間熱処理した。熱処理後の膜電極接合体の両面の周囲にガスケット(帝人Dupont社製、テオネックス(登録商標)、厚み:25μm(接着層:10μm))を配置し、膜電極接合体を得た。
上記のように調製した膜電極接合体を、市販のガス拡散層用部材(25BC、SGLカーボン社製、厚さ225μm、マイクロポーラス層:5重量%PTFE含有、マイクロポーラス層の厚み35μm)、カーボンプレートにガス流路を形成したセパレータ、およびエンドプレートで挟持し、ボルトにて締め付けることでサブスケール単セルを作製した。
<比較例1:膜電極接合体の作製>
カソード触媒スラリのイオン交換水/NPAの重量比を、2/8、6/4、および9/1とした以外は実施例1と同じ要領で、白金担持ケッチェンブラック、触媒スラリ、膜電極接合体、およびサブスケール単セルを得た。
<参考例1:膜電極接合体の作製>
カソード触媒層の白金目付量を0.35mg/cmとし、カソード触媒スラリのイオン交換水/NPAの重量比をそれぞれ2/8、6/4、8/2とした以外は実施例1と同じ要領で、膜電極接合体を作製した。このときの白金表面積は、121cmPt/cm2であった。
<カソード触媒層の酸素輸送抵抗評価>
白金目付量を0.15mg/cm(実施例1、比較例1)または0.35mg/cm(参考例1)としたサブスケール単セルを用いて、カソード触媒層の酸素輸送抵抗を評価した。評価方法は、T. Mashio et al., ECS Trans. 2007, Volume 11, Issue 1, Pages 529−540.に記載の方法を用いた。より具体的には、希釈酸素を用いて限界電流密度(A/cm)を計測する。この際、酸素分圧(kPa)に対する限界電流密度(A/cm)の傾きから、ガス輸送抵抗(s/m)を算出する。ガス輸送抵抗はガスの全圧に比例し、ガスの全圧に依存する成分(分子拡散によるガス輸送抵抗)と、依存しない成分とに分離できる。このうち、前者は例えばガス拡散層などに存在する100nm以上の比較的大きな空孔における輸送抵抗成分であり、後者は触媒層などに存在する100nm未満の比較的小さな空孔における輸送抵抗成分である。このように、ガス輸送抵抗の全圧依存性を計測し、全圧に依存しない成分を抽出することで、触媒層内のガス輸送抵抗を得た。結果を図4に示す。
白金目付量0.15mg/cmの場合、イオン交換水/NPAの重量比が7/3以上9/1未満の範囲(7/3と8/2)で、最も酸素輸送抵抗が下がる傾向が観測された。従来の白金目付量が多い製造条件である0.35mg/cm(参考例1)の場合では、酸素輸送抵抗が最も低いイオン交換水/NPAの重量比は6/4であった。従って、カソード白金目付量が0.20mg/cm以下の場合、触媒層のガス輸送抵抗最小化の観点で、白金目付量が多い従来製法とは異なるイオン交換水/NPAの重量比が相応しいことを意味する。
白金目付量0.15mg/cmとした場合、水およびアルコールの混合重量比を7/3以上9/1未満のときにガス輸送抵抗が低下した理由を確認するため、走査型電子顕微鏡(SEM)にて触媒層の構造を確認した。具体的には、カソード触媒スラリを載せたサンプル片を、液体窒素に浸して十分に冷却した銅板に押し付けることで瞬間的に凍結し、凍結したカソード触媒スラリの最表面の溶媒を昇華除去して固形分を露出させた。凍結したカソード触媒スラリの表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。SEM観察には、実施例1および比較例1で調製したカソード触媒スラリを用いた。その結果を図5に示す((B):イオン交換水/NPA=8/2、(C):イオン交換水/NPA=6/4、(D):イオン交換水/NPA=2/8)。図5において、(B)、(C)、(D)の順でカソード触媒スラリの水分率が高い。図5より、カソード触媒スラリの水分率の増加と共に、触媒凝集体のサイズが大きくなっていることが分かる。本発明の技術的範囲を制限するものではないが、水およびアルコールの混合重量比を7/3以上9/1未満のときにガス輸送抵抗が低下したメカニズムは以下のように考えられる。すなわち、カソード触媒スラリの水分率が低い(例えば、図5(D))と、触媒凝集体のサイズが小さく分散性が良好となる。このため、電解質による凝集体の被覆率が高くなり、反応ガスは電解質を通過後に白金表面に到達することとなり、ガス輸送性が低下する。またメソ孔を有する場合、メソ孔開口部を被覆してしまうことで、ガス輸送性が低下する。一方、触媒スラリの水分率が過度に高いと、電解質による凝集体の被覆が不均一となるものの、顕著に相分離を起こし凝集体のサイズが過度に大きくなる。その結果、反応ガスが電解質を通過する確率は低下するものの、凝集体内部のガス輸送距離が増大するため、ガス輸送性が低下すると考えられる。触媒スラリの水分率が適度(水およびアルコールの混合重量比が7/3以上9/1未満、例えば、図5(B))であると、触媒と溶媒との相分離が部分的なものとなり、触媒凝集体のサイズが中程度となる。その結果、電解質に覆われない部分を優先的にガスが通過し、適度なサイズとなった触媒凝集体内部に反応ガスが輸送されることで、ガス輸送抵抗が小さくなると考えられる。また、電解質によるメソ孔開口部の被覆を低減・防止できるものと考えられる。
<実施例2、比較例2:膜電極接合体の作製>
カソード触媒層の白金目付量を0.11mg/cmとし、カソード触媒スラリのイオン交換水/NPAの重量比を2/8、6/4および8/2とした以外は実施例1と同様に、膜電極接合体を作製した。
<カソード触媒層の酸素輸送抵抗評価>
上記と同様にカソード触媒層の酸素輸送抵抗を測定した結果を、図6に示す。図6に示す通り、イオン交換水/NPAの重量比を8/2とした場合に、最小の酸素輸送抵抗を示した。白金目付量0.35mg/cmの場合、酸素輸送抵抗が最小となるイオン交換水/NPAの重量比は6/4であった。一方、白金目付量が0.11mg/cmの場合、酸素輸送抵抗が最小となるイオン交換水/NPAの重量比は8/2であった。
1…固体高分子形燃料電池(PEFC)、
2…固体高分子電解質膜、
3…触媒層、
3a…アノード触媒層、
3c…カソード触媒層、
4a…アノードガス拡散層、
4c…カソードガス拡散層、
5…セパレータ、
5a…アノードセパレータ、
5c…カソードセパレータ、
6a…アノードガス流路、
6c…カソードガス流路、
7…冷媒流路、
10…膜電極接合体(MEA)、
20…触媒、
22…触媒金属、
23…触媒担体、
24…メソ孔。

Claims (6)

  1. BET比表面積が700m/g以上である触媒担体および前記触媒担体に担持される白金含有触媒金属からなる触媒と、電解質と、水−アルコール混合溶媒と、を含む塗布液を調製し、この際、前記塗布液中の水およびアルコールの混合重量比が7/3以上8/2以下であり、前記塗布液を前記白金の目付量が0.15mg/cm以下となるように塗布して電極触媒層を形成することを有する、燃料電池用電極触媒層の製造方法。
  2. 前記電解質がフッ素系高分子電解質である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記アルコールが、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−ブタノールおよび2−メチル−2−プロパノールからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記電極触媒層がカソード触媒層である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法にしたがって燃料電池用電極触媒層を形成することを有する、燃料電池用膜電極接合体の製造方法。
  6. 請求項5に記載の方法にしたがって燃料電池用膜電極接合体を製造することを有する、燃料電池の製造方法。
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