JP2004256360A - マイクロ波誘電体磁器組成物およびその製造方法 - Google Patents

マイクロ波誘電体磁器組成物およびその製造方法 Download PDF

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Tetsuo Miyazono
哲郎 宮園
Toru Okui
徹 奥井
Yasushi Iwasako
恭 祝迫
Toshiaki Uki
利明 宇木
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Abstract

【課題】εr値およびQf値が高く、τf値をゼロを中心に自由に制御でき、さらに高温負荷寿命および磁器の機械的強度の高く安定したマイクロ波誘電体磁器組成物およびその磁器の製造方法を提供する。
【解決手段】基本組成成分が、xSrTiO2+a(配合比率が1≦a≦2の範囲内)−yLmAlO(LmはLa、Pr、Nd、Smから選択される1種または2種以上)−zLn(Mg1/2Ti1/2)O(LnはLa、Pr、Nd、Smから選択される1種または2種以上)で表され、x+y+z=100mol%とした場合に、それぞれが35<x<60、0.1<y<65、0.1<z<65の範囲内であり、さらに添加物としてNa、Mn、Fe、W、V、Pb、Hf等の酸化物成分を添加することによってεr値が40以上、Qf値が70000以上、かつτf値をゼロを中心に正負に制御できる。また、製法として原料粉末をペレット状にし、微粉末に粉砕調整した仮焼粉末を作製し、その後MgOの通気性容器内において焼成することによって安定した諸特性を得る。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロ波誘電体、特にマイクロ波やミリ波等の高周波領域において使用される種々の共振器材料、フィルター材料、MIC用誘電体基板材料、アンテナ材料、積層チップコンデンサー材料、アイソレータ材料等の携帯電話部品の容量素子等に好適に用いることができるマイクロ波誘電体磁器組成物とその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
近年、通信技術の進歩により、自動車電話や携帯電話、PHS(簡易型携帯電話)などの移動体通信システムやGPS(汎地球測位システム)が急速に普及している。そのため通信機に利用される周波数帯域が拡大し、マイクロ波帯域での利用が盛んになっている。
【0003】
このマイクロ波帯域で使用される回路には、空洞共振器、アンテナ等の部品が用いられていた。しかし、これらの部品はマイクロ波の波長と同程度の大きさになるため、携帯電話基地局用のフィルター装置、自動車用電話機、携帯電話機および小型GPS装置等に適用できるような部品の小型化は不可能であった。
【0004】
これに対し、近年のマイクロ波フィルターや発信機の周波数安定化回路に誘電体共振器を用いることによって回路部品の小型化が盛んに行われ一般化しつつある。
【0005】
このような誘電体共振器に用いられる誘電体材料には、使用周波数帯域における誘電率(εr)が高く、マイクロ波帯域での無負荷品質係数(Q)と共振周波数(f:GHz)との積(Q×f:GHz、以下「Qf」と略称する。)が高く、かつ共振周波数の温度係数(τf:ppm/℃)がゼロを中心に正から負に自由に制御できることが強く要望され、携帯電話基地局のフィルター等に用いられる共振器材は、εr値が30以上、Qf値が60000GHz以上さらにはτf値が任意に制御可能であることが特に重要である。
【0006】
また、最近では使用される共振器も、さらに小型化が進み、εr値を自由に制御でき、また高いQf値を維持しながら、τf値も自由に制御することが必要不可欠となっている。
【0007】
このようなマイクロ波誘電体磁器組成物として、例えば、特許文献1には、組成La−CaO−TiO−MgO系で示され、冷却時に500℃までを5〜50℃/hrで徐冷するマイクロ波誘電体磁器組成物の製造方法が開示されている。この開示された組成物の特性として、εr値が45、Qf値が35880GHz、酸素空孔濃度が0.45×1018(個/cm)のものが示されている。
【0008】
また、特許文献2には、組成がLn−Al−MO−BaO−TiO系で示される(LnはY、La、Ce、Pr、Sm、Eu、Gd、Dy、Er、Yb、Nd等、MはSrあるいはSrとCaである)マイクロ波誘電体磁器組成物、誘電体共振器の製造方法並びに誘電体共振器が開示されており、その特性としては、εr値が39、Qf値が66500GHz、τf値が+1ppm/℃であるものが示されている。
【0009】
さらには、特許文献3には、La−Al−SrO−TiO系のマイクロ波誘電体磁器組成物および共振器が開示され、助剤としてMnOを添加し、焼結後にセラミックス中のカーボン含有量を0.02重量%以下に制御し、120℃におけるQf値が、25℃におけるQf値の75%以上であり、その特性としては、εr値が39、Qf値が68600GHz、τf値が+1ppm/℃であることが示されている。
【0010】
さらには、特許文献4には、La−Al−SrO−TiO系のマイクロ波誘電体磁器組成物および共振器が開示され、添加物として、MnO、WO、MoOを合計で6重量部以下含有させQf値を向上させている。その特性は、εr値が30、Qf値が87000GHz、τf値が+1ppm/℃であることが示されている。
【0011】
さらには、特許文献5には、La−Al−SrO−TiO系のマイクロ波誘電体磁器組成物および共振器が開示され、助剤としてBa(Cu1/21/2)Oを添加しQf値を向上させたものである。その特性としては、εr値が30、Qf値が89000GHz、τf値が+1ppm/℃であることが示されている。
【0012】
さらには、特許文献6には、Ln−Al−MO−TiO系の誘電体磁器組成物およびその製造方法並びに誘電体共振器が開示され、焼結保持時間を15時間以上にし、結晶粒子を制御(Tiの結晶相の平均粒径を12〜100μm、Alの結晶相の平均粒径を3〜12μm)することを特徴としたものである。その特性としてはεr値が45、Qf値が49000GHz、τf値が+0ppm/℃であることが示されている。
【0013】
さらには、特許文献7には、La−Al−SrO−TiO系の誘電体磁器およびこれを用いた誘電体共振器が開示され、LaAlOとSrTiOの固溶体の結晶相からX線のピーク強度の範囲で限定し特徴をもたせている。その特性としてはεr値が29、Qf値が88000GHz、τf値が+0ppm/℃であることが示されている。
【0014】
さらには、特許文献8には、Ln−Al−CaO−TiO系の誘電体磁器およびこれを用いた誘電体共振器が開示され、添加物(NaO、MnO、Ta)を含有した組成で大型共振器を作製し、共振周波数800MHzにおける無負荷品質係数が30000以上の共振器を提供している。その特性としてはεr値が42、Quが35400、τf値が−1.3ppm/℃であることが示されている。
【0015】
しかしながら、特許文献1に開示された組成物は、εr値は45と高いが、Qf値は35880GHzと低く、τf値については記載されていない。
【0016】
また、特許文献2に開示された組成物は、まずLaAlOとSrTiOを別々に仮焼し各々を混合し最後に焼結することによりεr値は39を保っているが、Qf値が66500GHzと低いという問題がある。
【0017】
さらに、特許文献3に開示された組成物は、τf値が+1ppm/℃であるが、εr値が39と若干低く、Qf値が68600GHzとまだ70000GHzに足りないという問題がある。
【0018】
さらに、特許文献4に開示された組成物は、Qf値が87000GHzと高く、τf値が+1ppm/℃と制御されているが、εr値が30と著しく低いという問題がある。
【0019】
さらに、特許文献5に開示された組成物は、Qf値が89000GHzと高く、τf値が+1ppm/℃と制御されているが、εr値が30と著しく低いという問題がある。
【0020】
さらに、特許文献6に開示された組成物は、εr値が45と高く、τf値が+0ppm/℃と制御されているが、Qf値が49000GHzと著しく低いという問題がある。
【0021】
さらに、特許文献7に開示された組成物は、Qf値が88000GHzと高く、τf値が+0ppm/℃と制御されているが、εr値が29と著しく低いという問題がある。
【0022】
さらに、特許文献8に開示された組成物は、εr値が42と高く、τf値が−1.3ppm/℃と制御されているが、Quが35400(大型共振器として)と著しく低いという問題がある。
【0023】
このように、以上の従来技術での問題は、εr値が上昇するとQf値が低下する、すなわちεr値とQf値は逆相関関係となり、さらにτf値を自由に選択することは困難である点にある。
【0024】
その最大の要因は、上記開示された組成物は難焼結材料であり、その要因として高温焼成中の酸素分圧の低下からセラミックス中の酸素欠陥が生じることによりQfが低下し、しかもバラツキが大きく量産化工程において安定しないことである。また、大型製品(一例として直径50mm以上のマイクロ波磁器組成物)では、内部と外部とで組織、組成が均一でなく、目的とした特性が得られないという大きな欠点があった。その結果、負荷寿命において、安定した特性を得ることが困難であった。
【0025】
【特許文献1】
特開平5−109318号公報
【0026】
【特許文献2】
特開平11−278927号公報
【0027】
【特許文献3】
特開平2000−203934号公報
【0028】
【特許文献4】
特開平2001−072464号公報
【0029】
【特許文献5】
特開平2001−181028号公報
【0030】
【特許文献6】
特開平2001−206765号公報
【0031】
【特許文献7】
特開平2002−187771号公報
【0032】
【特許文献8】
特開平2002−211976号公報
【0033】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記マイクロ波誘電体の要求特性として、εr≧40、Qf≧70000GHzを満たし、τf値について任意の正負の値に制御でき、かつ高温負荷寿命を安定させ、さらには、小型製品から大型製品までの量産化において、特性バラツキを小さくすることを課題とする。
【0034】
【課題を解決するための手段】
本発明のマイクロ波誘電体磁器組成物は、基本組成が、xSrTiO2+a(配合比率が1≦a≦2の範囲内)−yLmAlO(LmはLa、Pr、Nd、Smから選択される1種または2種以上)−zLn(Mg1/2Ti1/2)O(LnはLa、Pr、Nd、Smから選択される1種または2種以上)の3元系で表され、それぞれのx、y、zのmol%がx+y+z=100とした場合に、35<x<60、0.1<y<65、0.1<z<65の範囲にあることを特徴とする。
【0035】
このように、基本組成を前記SrTiO2+a−LmAlO−Ln(Mg1/2Ti1/2)Oの特定組成と範囲を有する3元系とすることで、高いεr値とQf値が得られ、さらにτf値は目的に応じてゼロを中心に、正負に自由に制御を可能にすることができる。
【0036】
なお、前記3元系の基本組成と成分範囲を特定することによって、以下の作用効果を奏する。
【0037】
まず、第1組成成分であるSrTiO2+a成分はマイクロ波誘電体磁器の基本成分の働きをもつ作用を有している。この組成成分の含有量が35mol%以下ではεr値の低下をきたし目的とする高いεr値を得ることが困難となる。また60mol%以上になるとτf値が正に大きくなり、Qf値は低下する。また、SrTiO2+a成分の1≦a≦2範囲内では高周波領域の周波数の変化に対してQf値およびτf値の温度特性(−20℃〜80℃)付近まで著しく安定になる。その結果、共振器用素子として用いた場合、他の電子部品(集積回路、抵抗、コイルなど)との組み合わせにおいて今までにない安定な部材として利用できる。なお、aが1未満ではτf値が大きくなり、安定性が乏しく、Qf値も低下するため好ましくない。また、aが2を超えれば焼結性が悪化し、εr値が低下し、急激にQf値、τf値共に劣化する。
【0038】
また、第2の組成成分のLmAlOはQf値を高くし、τf値を小さく制御する作用を有する。なお、Lmにおいて、LaおよびPr成分は磁器の強度を高め、Qf値を大きくする。NdおよびSm成分は、焼成温度幅を広げ、緻密な磁器を作る作用がある。その結果、Qf値を高く、さらにはτf値を制御する作用がある。なお、yLmAlO成分量において、yが0.1mol%未満では、上記の効果が得られにくい。また、その配合mol%が65を超えるにしたがいεr値が低下する。
【0039】
さらに、第3の組成成分であるLn(Mg1/2Ti1/2)Oにおいて、LaおよびPrは磁器の焼成温度幅を広げ、緻密な磁器を作る作用がある。Nd、Sm成分はMgO、TiOとの固溶性が上がり、その結果電気特性を安定化させる。また、Mg1/2Ti1/2の比率において非常に安定した固溶体を作り、均一性に富んだ磁器が得られ、その結果安定した特性も得られる。なお、配合mol%が0.1mol%未満では磁器の焼結温度幅が著しく狭くなる。また、65を超えるにしたがい、磁器の焼成温度が著しく高くなるため、他の成分との固溶性が悪化し、その結果気孔の多い磁器になる。
【0040】
この3元系からなる基本組成には、その特性改善のためにNa、Mn、Fe、W、V、Pb、Hfから選択される1種または2種以上の金属またはそれらの化合物からなる添加物を添加することができる。この添加物は、NaO、MnO、Fe、WO、V、PbO、HfOの酸化物に換算した場合の重量で、合計で0.03〜7.0重量部まで添加することができる。これにより小型から大型製品までの磁器の内部まで均一な焼結状態にすることができ、その結果εr値、Qf値が高く、τf値を制御することが可能になる。また、磁器の機械的強度を高め、共振器等の機能部品に用いた場合、高温高湿負荷寿命特性等を安定させる作用および効果を有する。
【0041】
特に、添加成分としてのNaおよびその化合物は、特に大型共振器を作製する場合に成形体の内部まで均一に焼結させる添加剤として有効に作用し、そのため均一な焼結体を得ることができ、しかも高Qf値を有する大型共振器とすることができる。しかしながら、その添加量が0.03重量部未満では内部まで均一に焼結する効果が乏しく、7.0重量部を超えると、焼成時にNa成分の蒸発が大きく磁器の気孔が増加し、εr値、Qf値、τf値が共に不安定となり、やはり好ましくない。
【0042】
添加成分としてMnおよびその化合物は、磁器の焼成温度幅を広げ、焼成時における雰囲気を安定させ、高周波領域で、Qf値の劣化を小さく抑える作用を有する。しかしながら、MnO換算で0.03重量部未満では、焼成温度幅を広げる効果および雰囲気安定化の効果が小さくなる。また、7.0重量部を超えると逆にマイクロ波磁器組成物の焼結性が悪化し、磁器の結晶粒子径が増大し気孔が大きくなり、寿命特性等の劣化が生じる。
【0043】
Feおよびその化合物は、磁器の焼成温度を下げQf値を向上させる作用がある。しかし、Fe換算で0.03重量部未満では、焼成温度を下げる効果が小さくなり、また、7.0重量部を超えると、他の主成分との反応が大きく、その結果Qf値が低下するため好ましくない。
【0044】
Wおよびその化合物は、焼結助剤として有効に作用し磁器の焼結温度を低下させると共に、τf値を負に制御する作用がある。しかし、WO換算で0.03重量部未満では、焼成温度を下げる効果が小さく、またτf値を制御する作用が小さくなり、また、7.0重量部を超えると、他の主成分との反応が大きく、その結果Qf値が低下するため好ましくない。
【0045】
Vおよびその化合物は、磁器の焼成温度幅を広げると共に焼成時の還元防止の作用があるため、Qf値、τf値等の電気特性を安定させ、高温負荷寿命の劣化を抑える作用がある。しかしながら、その含有量がV換算で、0.03重量部未満では焼成温度幅を広げる効果が小さく、また、7.0重量部を超えると他の成分との反応が著しく、その結果εr値の低下をきたしQf値、τf値の特性を悪化させる。
【0046】
Pbは、高周波領域におけるεr値を高く、τf値を小さく制御する作用を有している。その含有量がPbO換算で0.03重量部未満ではτf値を小さく制御する効果が乏しく、7.0重量部を超えると、焼成時にPb成分の蒸発が大きく磁器の気孔が増加し、εr値、Qf値、τf値が共に不安定となる。その結果、量産化に向けた工業製品として作製するのに好ましくない。
【0047】
Hfおよびその化合物は、特に大型共振器を作製する場合、成形体の内部まで均一に焼結させる添加剤として有効に作用する。その結果、磁器の結晶粒子径を小さくし、機械的強度を高める作用がある。特に高周波領域においてQf値を高め、τf値を小さく制御する。しかしながら、その添加量がHfO換算で0.03重量部未満では磁器の結晶粒径を小さくする作用が乏しく、その結果機械的強度の向上が小さい。また、7.0重量部を超えると焼結性が悪化し、εr値の低下をきたすためやはり好ましくない。
【0048】
なお、上記では単体成分についてその作用を述べたが、範囲内の添加量における複合化成分を添加することによって、さらにその効果は顕著となる。
【0049】
本発明のマイクロ波誘電体磁器組成物は、以下の要領で製造できる。
【0050】
すなわち、前記3元系を構成するSrTiO2+a粉末、LmAlO粉末、それに、Ln(Mg1/2Ti1/2)Oの基礎成分の所定量割合の混合粉末、あるいは、この基礎成分にNa、Mn、Fe、W、V、Pb、Hfから選択される1種または2種以上の金属またはそれらの化合物である添加物の粉末を仮焼結処理し、粉砕を行い、平均粒子径を0.1μm〜2.0μmの範囲内に粉砕調製した仮焼粉末を調製する。これに、有機バインダーを添加、成形し、この成形体を平均気孔率が25%〜60%の酸化マグネシウム製の通気性多孔質焼結体容器を用い、1500℃〜1700℃で、酸素濃度約20%以上の雰囲気中で焼成するものである。
【0051】
前記仮焼に際して、混合組成物粉末を直径3mm〜18mmのペレット状(粒状あるいは塊状)に成形することは仮焼時のペレットへの温度差を最小限に押さえ、安定した仮焼物を得るのに好都合である。
【0052】
仮焼は、組成物の安定した電気特性と機械的特性を得るためには、1000℃〜1400℃で焼成する必要性があり、1000℃未満では均質性に富んだ仮焼粉末が得られず好ましくない。また、1400℃を超えると固相反応が進みペレット状の仮焼物が硬くなり、粉砕および成形以降の量産工程で工数がかかると共に電気特性、機械的特性が著しく悪化する。
【0053】
仮焼粉末の平均粒子径を0.1μm〜2.0μmの範囲内に粉砕調製することによってその後の有機バインダーを添加し、成形する工程において成形時の亀裂、ひずみ、割れの発生を防ぎ、用途に応じた大型形状の複雑成形も可能となる。平均粒子径が0.1μm未満では成形割れが起きやすく、さらに、磁器の内部との焼結状態が不均一になる。また、平均粒子径が2.0μmを超えるとポアが発生しやすく、電気特性も悪化する。
【0054】
焼成用の酸化マグネシウム(MgO)の通気性多孔質焼結体容器としては、純度85%以上のものを使用する。それは焼成温度での組成原料と容器との反応が起きにくく、また蒸発成分であるNa、W、VおよびPb成分を含む組成物は、良好な結果が得られる。
【0055】
平均気孔率25%以下の容器では、容器の破損が起きやすくなるため、量産化には適さない。平均気孔率60%以上では、強度が著しく低下するため、取り扱いが困難となる。
【0056】
さらに、20%以上の酸素濃度の雰囲気中で焼成することによって、著しく安定した電気特性を有する誘電体磁器組成物が得られる。
【0057】
焼成温度が1500℃未満では、目的とする優れた電気特性が得られず、他の電気特性も低下するため好ましくない。また、1700℃を超えると、誘電体磁器が脆くなり、機械的強度が著しく低下し、高温負荷寿命の劣化が著しくなる。
【0058】
【発明の実施の形態】
以下実施例に基づいてその実施の形態を説明する。
【0059】
【実施例1】
この実施例1は、3元系の基本組成に関する実施例を示す。
【0060】
まず、99%以上の高純度のTiO、SrCO、Al、MgO、La、Pr11、Nd、Smの各種原料を用い、表1の各配合比率になるように秤量し、その後純水あるいはメタノールを用い、300mlのウレタン内張りポットミルおよび高純度で直径5mm〜直径12mmの球状酸化ジルコニウムボールを用いて24時間混合し、その後120℃で乾燥させた。
【0061】
【表1】
Figure 2004256360
乾燥粉末をアルミナ製乳鉢で粉砕し、有機バインダーの一例としてPVA(ポリビニルアルコール)2%を8重量部添加し、加水して、乾燥後に篩い目の異なった自動振動篩いを用い粒状、塊状のペレットを作製した。
【0062】
通気性多孔質焼結体容器として次の方法で作製した。
【0063】
まず純度85%以上の平均粒子径100μm以上の酸化マグネシウム(MgO)原料粉末を用い、添加物として酸化イットリウム2重量部さらに酸化珪素2重量部の成分比率の各原料を用いてウレタン製ポットミル中に投入し、ウレタンボ−ルと水、さらに水ガラス少量を加え3時間湿式混合を行い均一に混合した。この混合物を容器の形状を有した石膏型に流し込み水分を除去した後、型より取り出し十分に乾燥させた。この成形体を高純度の酸化マグネシウム(MgO)平板上に置き、カンタルヒ−タ−を用いた電気炉にて焼成温度1780℃、約2時間保持で酸化マグネシウム成分材質の通気性多孔質焼結体容器を得た。図1は本発明のマイクロ波誘電体磁器の焼成に使用する通気性多孔質焼結体容器を示す。1は酸化マグネシウムを主成分とする通気性多孔質焼結体容器を、2は通気孔を示す。この容器の平均気孔率は約35%〜40%であった。
【0064】
粒子同士が一部固相反応を起こしたいわゆる仮焼物として直径1mm〜直径20mmの粒状または塊状のペレットを作製し、酸化マグネシウムを主成分とする通気性多孔質焼結体容器を用い、仮焼温度900℃〜1450℃(1時間保持)の範囲で変化させた。
【0065】
そして、この仮焼物を再度乳鉢で粉砕し、上記ポットミルを用い粉砕混合し、粉砕粒子径0.05μm〜4.0μmになるように、水簸および篩い分けによって、各粒径に分級した。
【0066】
その後、分別された粉末原料にPVA5%水溶液を4重量部添加し、乳鉢で均一になるよう攪拌し、その後320メッシュの篩いを用い整粒し、プレス圧1ton/cmで直径12mm、厚み7mmの円盤状に成形した。また機械的強度測定用試料として、厚み3.7mm、幅5mm、長さ25mmの成形体も同時に作製した。
【0067】
さらに大型共振器用として、粉砕粒子径平均0.5μm粉末と、平均1.5μm粉末を80:20の割合になるように混合・整粒し、直径φ100mm、厚み70mmの大型製品の成形体も作製した。
【0068】
その後、前記容器を用い、酸素濃度20%以上になるような雰囲気中で、焼成温度1460℃〜1750℃、約2時間保持で焼成し、マイクロ波誘電体磁器を得た。得られたマイクロ波誘電体磁器の上下面を200メッシュのダイヤモンドホイールを用い研磨し、直径10mm×厚さ5mmの測定用素子に加工した後、Hakki−Coleman法によりヒューレットパッカード社のネットワークアナライザーを用い測定周波数5〜10GHz、さらに恒温槽を用いεr値、Qf値およびτf値と温度に対する変化特性を調べた。高温高湿寿命特性については高温高湿槽中で温度120℃、湿度85%で500時間まで処理した後、室温で誘電特性を測定した。機械的強度測定は島津製作所製抗折試験機を用いた。
【0069】
図2は得られた本発明のマイクロ波誘電体磁器組成物の成分であり、SrTi2+aにおいてaを1としたときの、LmAlOにおいてLmをLa成分としたときの、Ln(Mg1/2Ti1/2)OにおいてLnをLa成分としたときの三角図表と各配合比における温度係数(τf)を示す。
【0070】
以上の作業を表1に示す試料について行った。 表1は、xSrTiO2+a−yLmAlO−zLn(Mg1/2Ti1/2)Oの基本組成成分においてaの配合比率を変化、さらにyの成分を変化、zの成分を変化、さらに各々の成分量を変化させたときの諸特性との関連を調べたものである。
【0071】
試料No.001〜009および試料No.050〜054でのxのaの配合比率を1.00一定、LmをLa成分で一定、さらにLnもLa成分で一定とし、x、y、zの比率を変化させた場合で、試料No.050〜054の試料は本範囲外の比較試料である。焼成温度は1650℃で焼成したが、電気特性であるεr値、Qf値、τf値は満足する特性は得られなかった。これに対して発明試料No.001〜試料No.009は範囲内であるx、y、zの成分量であり、良好な電気特性が得られている。特に試料No.006のxが50SrTiO−yが5LaAlO−zが45La(Mg1/2Ti1/2)O組成では、εr値が48と高く、Qf値が73900GHz、τf値が+7ppm/℃と非常に優秀である。
【0072】
また試料No.007のxが56SrTiO−yが40のLaAlO、zが4のLa(Mg1/2Ti1/2)Oの組成では、εr値が41で、Qf値が83000GHzと高く、τf値は+1ppm/℃と小さくやはり極めて優れた特性を示した。
【0073】
試料No.010〜013および試料No.055〜059の試料は、LmはLa成分一定、LnはLa成分一定とし、xの配合比率であるaを0.9〜2.2まで変化させ、さらに各々の成分のmol比の範囲内で変化させた場合の特性である。試料No.010〜013の試料は本発明の範囲内にある実施例であり、特に試料No.010(xのaの比率が1.5で、xが56Sr1.5TiO3.5−yが40LaAlO−zが4La(Mg1/2Ti1/2)O)の組成での電気特性においては、εr=40、Qf=94000GHzと高く、またτf値は−2ppm/℃と負に小さく、優秀な値であった。
【0074】
これに対して本発明の範囲外の組成である試料No.055〜059では、Qf値が低いものであった。
【0075】
つぎに、試料No.014〜018はLmの置換成分を変え、さらにLnの置換成分も変化させた場合であり、これらの電気特性も非常に良好なものであった。
【0076】
なお、図2には、xのa比率1.00のSrTiO−y成分のLmAlOにおいて、LmをLa成分であるLaAlO−zのLn(Mg1/2Ti1/ )O成分において、LnをLa成分としたLa(Mg1/2Ti1/2)Oの三角図表をもとに、τf値の変化を示している。x成分であるSrTiO成分が多くなるにしたがい、τf値はプラスになる傾向を示している。yのLaAlO成分が増えるにしたがい、τf値はマイナスに移行する傾向にあった。zのLa(Mg1/2Ti1/2)O成分が増えるにしたがい、マイナス側への移行の傾向が認められた。但し、三角図表中網掛けで示したように、xが約35〜45mol%、yが約10〜30mol%、zが約30〜50mol%の範囲内で、特異な現象が認められ、τf値がゼロを中心に小さく制御することが可能であることが認められた。
【0077】
【実施例2】
この実施例は、3元系の基本成分に添加物を添加した実施例を示す。
【0078】
実施例1では本発明の3元系の基本組成からなるマイクロ波誘電体磁器組成物が優れた特性を示すことが分かったが、本実施例ではそれに添加物としてNaO、MnO、Fe、WO、V、PbO、HfOを添加した試料についての実験を行ない、添加物、焼結条件および得られた諸特性を表2に示した。
【0079】
【表2】
Figure 2004256360
No.試料No.101〜104および試料No.151の試料は、実施例1中の試料No.006の試料にNaOを添加し、その添加量を変化させたものである。表に示す通り、添加量の増大に伴い最適焼成温度が低温側へ移行し、焼結状態も良好になることがわかる。またその添加によりτf値はプラス側に移行することがわかった。さらにNaOの添加により、機械的強度を向上させ、高温負荷寿命も安定にする効果が認められた。但し、試料No.151のように添加量が多い領域では焼結状態が悪く、高温負荷寿命特性においても、劣化の傾向が認められた。
【0080】
試料No.105、106、152の各試料は、実施例1の試料No.006を基本組成とし、添加物としてHfOを加え、さらに添加量を変化させた試料である。その結果、HfOには電気特性であるεr値を高め、τf値をマイナスにする傾向が認められ、また機械的強度が著しく向上することがわかった。しかし、添加量が多い試料No.152の試料は、電気特性が著しく劣化するため好ましくなかった。 また、試料No.106の組成にて作製した素子を高温(120℃)高湿(85%)中で500時間処理し、室温で誘電特性を測定したが、εr値、Qf値共に劣化は認められなかった。
【0081】
試料No.107と108の試料は、試料No.006を基本組成とし、また、試料No.112〜121の試料は試料No.007を基本組成とし、いずれも添加物を複成分添加した場合の実施例である。範囲内の添加量であればいずれも良好な特性を示した。ところが、試料No.154に示すように添加物が本発明の範囲内である7重量部を超えると焼結状態が悪くなり、また電気特性においても著しい劣化が認められた。
【0082】
試料No.111とNo.153は、実施例1中の試料No.007を基本組成とし、添加物としてWOを加えたものである。添加物としてのWO成分は、τf値をマイナス側に移行する働きを持っており、特定範囲内の試料No.111は、εr=41.7、Qf=80200GHz、τf=0ppm/℃との特性を示し、機械的強度も高いものであった。しかしながら、添加量の多い試料No.153は、焼結状態が悪く、また電気特性においても、著しい劣化が認められた。
【0083】
試料No.131とNo.132は、試料No.007の基本組成中Lm成分を複合成分で置換、Ln成分も複合化置換を行い、添加物を複合化で添加した試料であり、良好な電気特性、さらには安定した高温高湿負荷寿命特性を示し、また機械的強度も高いものであった。
【0084】
また基本組成であるxSrTiO2+aのa値を本発明の範囲外である2.2としたところ、焼結が進行せずに特性は全く得られなかった。
【0085】
以上のように、本発明の添加物および規定する範囲の添加量は、高温高湿負荷寿命を安定させ、また機械的強度を向上させさらには成形体の内部まで均一に焼結させる作用効果が認められた。
【0086】
【実施例3】
この実施例は、本発明に基づく成形体の焼成条件に関する実施例である。
【0087】
実施例2における試料No.105の組成を用いて作製した大型共振器は内部まで均一に焼結され、また特性の劣化のない良好なものであった。実施例1および実施例2は実施例1中に記載の条件にて焼結を行ったが、本実施例ではそのより詳細な製造条件について実験を行った。焼結の際の容器は試料No.260を除き、酸化マグネシウム製のものを用いた。
【0088】
表3は、実施例2における試料No.105に示す実施例の試料について、実施例1および実施例2に示した条件とは異なる条件にて製作した結果に関する表である。記載した試料はNo.105の組成物(50SrTiO−5LaAlO−45La(Mg1/2Ti1/2)Oの組成物に、添加物としてHfOを0.30重量部加えたもの)を基にして、通気性多孔質容器の気孔率、仮焼温度、仮焼後の粉末平均粒子径、さらには本焼成温度と酸素濃度との関係を示したものである。
【0089】
【表3】
Figure 2004256360
試料No.251のように、通気性多孔質容器の平均気孔率が10〜23%と低いものでは、他の条件(仮焼温度、仮焼後の粉末平均粒子径、本焼成温度及び酸素濃度)が本発明の範囲内の製造条件であっても、素子の焼結状態が悪く、他の電気特性も悪化した。
【0090】
No.252、253、201〜204の試料は、通気性多孔質容器の気孔率を25〜40%と一定にし、さらには仮焼後の粉末平均粒子径を0.1〜1.0μm一定、また本焼成温度を1650℃一定、酸素濃度を20〜40%一定にし、粉末の仮焼温度を変化させたものである。試料No.252は、仮焼温度が950℃と低い場合には、焼結状態が悪く(表面が脆い)、他の電気特性も悪いものであった。また、本発明の範囲内にあるNo.201〜204は、素子の焼結状態も良好であり、電気特性においても優秀なものであった。しかしながら、No.253の場合のように、仮焼温度が規定温度より高い場合は、焼結状態が悪く、電気特性であるεr値、Qf値も低いものであった。
【0091】
試料No.205およびNo.206は、酸素濃度を変化させた試料であり、酸素濃度が高くなるに伴い、Qf値は向上した。
【0092】
No.207、254およびNo.255は、仮焼後の粉末粒子径を変化させたもので、粒子径が小さい試料No.254では焼結状態が悪く、他の電気特性も悪化していた。逆に規定範囲よりも粒子径の大きい試料No.255焼結状態が悪く、電気特性も悪化していた。
【0093】
試料No.256に示すように、本焼成温度が1460℃と低い場合は、素子は吸水性があり、他の特性は測定不能であった。
【0094】
また、試料No.257に示すように、通気性多孔質容器の気孔率が65〜75%と大きいものは、他の条件が範囲内であっても得られた焼結体は特性的には悪いものであった。
【0095】
試料No.208、209、210、211およびNo.258は焼成温度を変化させたもので、規定の範囲内ではいずれも良好な特性を示した。しかしながら試料No.258は素子の表面が溶解し、電気特性は著しく劣化した。
【0096】
また試料No.259は酸素濃度が10〜15%と低い雰囲気での焼成であり、素子の焼結状態は良好であるが、Qf値の劣化が認められた。試料No.260は通気性多孔質容器としてアルミナを85重量%含有(酸化マグネシウム成分との比較対象物として)のものを用いたものでは、焼結素子の表面にピンホールが発生し、Qf値は著しく低下していた。
【0097】
以上の結果より、本発明のマイクロ波誘電体磁器の製造に際しては、本発明で規定する製造条件で行うことが適当であることが明らかになった。
【0098】
【発明の効果】
本発明の基本組成成分のマイクロ波誘電体磁器組成物は、それぞれの組成成分を特定範囲内で制御することによって、高周波領域におけるεr値が40以上と高く、Qf値が70000以上と大きく、τf値をゼロを中心に正負に自由に制御できる。
【0099】
また、基本組成成分に、特定の添加物を特定の範囲内で添加することによって、さらに、εr値、Qf値、τf値を向上させ、負荷寿命特性、さらには磁器の機械的強度を高く安定させる。
【0100】
さらに、その製造過程における仮焼に際して、仮焼温度1000℃〜1400℃の範囲内で仮焼し、その後平均粒子径を0.1μm〜2.0μmの範囲内に調製し、有機バインダーを添加・成形し、平均気孔率が25%〜60%の範囲内にある酸化マグネシウムを主成分とする通気性多孔質焼結体容器を用い、1500℃〜1700℃の温度および酸素濃度20%以上の雰囲気中で焼成することで、小型から大型製品まで良好な電気特性を有する均一なマイクロ波誘電体磁器を得ることができる。
【0101】
本発明の基本組成成分のマイクロ波誘電体磁器組成物は、寿命特性に優れているので、高周波領域において使用される共振器材料、フィルター材料、コンデンサー材料、アイソレータ等の部材として利用できる。
【0102】
また、機械的強度が高いので、部品としてその製品形状を小さく設計でき、さらに軽薄化することができ、著しく厳しい環境下の使用状況にあっても、高い信頼性の部品を作製することが可能となり、今後の情報通信分野等の産業的分野での利用価値は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマイクロ波誘電体磁器の焼成に使用する通気性多孔質焼結体容器を示す。
【図2】本発明のマイクロ波誘電体磁器組成物の成分範囲と特性を示す。
【符号の説明】
1 酸化マグネシウムを主成分とする通気性多孔質焼結体容器
2 通気孔

Claims (4)

  1. 基本組成が、
    xSrTiO2+a(配合比率が1≦a≦2の範囲内)
    −yLmAlO(LmはLa、Pr、Nd、Smから選択される1種または2種以上)
    −zLn(Mg1/2Ti1/2)O(LnはLa、Pr、Nd、Smから選択される1種または2種以上)
    で表され、
    前記x、y、zのそれぞれがx+y+z=100mol%であり、
    且つ、
    それぞれのmol%が、35<x<60、0.1<y<65、0.1<z<65の範囲であるマイクロ波誘電体磁器組成物。
  2. マイクロ波誘電体磁器組成物100重量部に対して、Na、Mn、Fe、W、V、Pb、Hfから選択される1種または2種以上の金属またはそれらの化合物を、その金属またはそれらの化合物をNaO、MnO、Fe、WO、V、PbO、HfOのいずれかの化学式で表される酸化物に換算して、総量で0.03〜7.0重量部を添加してなる請求項1に記載のマイクロ波誘電体磁器組成物。
  3. SrTiO2+a粉末(配合比率が1≦a≦2の範囲内)と、LmAlO粉末(LmはLa、Pr、Nd、Smから選択される1種または2種以上)と、Ln(Mg1/2Ti1/2)O粉末(LnはLa、Pr、Nd、Smから選択される1種または2種以上)からなり、かつ、組成が、xSrTiO2+a−yLmAlO−zLn(Mg1/2Ti1/2)Oで表され、xとyとzのそれぞれが、x+y+z=100mol%、35<x<60、0.1<y<65、0.1<z<65の範囲にある混合粉末を、
    粉末の状態で温度1000℃〜1400℃の範囲内で粒子同士が一部固相反応を起こす仮焼結処理をした後、粉砕を行い、平均粒子径を0.1μm〜2.0μmの範囲内に粉砕調製した仮焼粉末を作製し、
    その仮焼粉末に有機バインダーを添加して成形し、平均気孔率25%〜60%の酸化マグネシウムを主成分とする通気性多孔質焼結体容器を用いて、1500℃〜1700℃の温度範囲内で、酸素濃度約20%以上の雰囲気中で焼成するマイクロ波誘電体磁器の製造方法。
  4. SrTiO2+a粉末(配合比率が1≦a≦2の範囲内)とLmAlO粉末(LmはLa、Pr、Nd、Smから選択される1種または2種以上)とLn(Mg1/2Ti1/2)O粉末(LnはLa、Pr、Nd、Smから選択される1種または2種以上)からなり、かつ、組成が、xSrTiO2+a−yLmAlO−zLn(Mg1/2Ti1/2)Oで表され、x、y、zのそれぞれが、x+y+z=100mol%であり、35<x<60、0.1<y<65、0.1<z<65の範囲にある混合粉末の100重量部に、Na、Mn、Fe、W、V、Pb、Hfから選択される1種または2種以上の金属またはそれらの化合物であって、その金属またはそれらの化合物の総てをNaO、MnO、Fe、WO、V、PbO、HfOの酸化物に換算したとき、合計で0.03〜7.0重量部からなる粉末を添加混合して得られた混合粉末を、
    粉末の状態で温度1000℃〜1400℃で粒子同士が一部固相反応を起こす仮焼結処理をした後、粉砕し、平均粒子径を0.1μm〜2.0μmに粉砕調製した仮焼粉末を作製し、その仮焼粉末に有機バインダーを添加し成形し、平均気孔率25%〜60%の酸化マグネシウムを主成分とする通気性多孔質焼結体容器を用い1500℃〜1700℃の範囲内で、酸素濃度約20%以上の雰囲気中で焼成するマイクロ波誘電体磁器の製造方法。
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