JP2004168600A - 誘電体磁器組成物及びその製造方法並びに電子部品 - Google Patents

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Tadashi Wakabayashi
忠史 若林
Yuji Anzai
裕司 安西
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Abstract

【課題】ε及びQの誘電特性をいずれも良好な範囲に維持しつつ、簡易にτを所望の範囲に制御できる誘電体磁器組成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の誘電体磁器組成物は、焼成体を1220〜1420℃で熱処理をし、その後、降温速度を500℃/時間以下にして得られる誘電体磁器組成物であって、xAl−ySnO−zTiO(但し、x、y及びzはモル%を表わし、x+y+z=100である。)によって表される組成を有し、且つ上記x、y及びzが、図1において、点P(x=92.5、y=5.5、z=2)、点Q(x=62.5、y=28.5、z=9)、点R(x=62.5、y=2.45、z=35.05)及び点S(x=92.5、y=1、z=6.5)を順に結んで形成される四角形の領域内(辺上を含む)にあり、εが9〜16、Qが4000〜8000、及びτが−37〜+12ppm/℃である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘電体磁器組成物及びその製造方法並びに電子部品に関する。更に詳しくは、比誘電率(以下単に「ε」という)及び無負荷品質係数(1/tanδ、以下単に「Q」という)の誘電特性をいずれも良好な範囲に維持しつつ、共振周波数の温度係数(以下単に「τ」という)を制御することができる誘電体磁器組成物及びその製造方法並びに電子部品に関する。
本発明の誘電体磁器組成物は、マイクロ波領域における誘電体共振器及び誘電体フィルタ等の他、マイクロ波集積回路基板、各種マイクロ波回路のインピーダンス整合部材等として広く利用できる。
【0002】
【従来の技術】
誘電体磁器組成物は、使用周波数が高周波となるに従って誘電損失が大きくなる傾向にある。そのため、マイクロ波領域でのε及びQの大きい誘電体磁器組成物が望まれている。また、同時に共振周波数の温度に対する変化が小さい、即ち、比誘電率の温度依存性の小さい誘電体磁器組成物が望まれている。従って、τの絶対値が小さく、ε、Q及びτが大きいバランスの良い誘電体磁器組成物が要求されている。
この点、アルミナ磁器は機械的強度が大きく、誘電損失が少なく、低コストであることから、上記電気通信分野に利用されてきたが、従来のアルミナ磁器はτが大きいため、用途が制限されてきた。
【0003】
かかる実情に鑑み、本出願人は先にアルミナを主成分としたAl−SnO−TiOの3成分からなり、その組成割合を検討することにより、ε、Q及びτのバランスに優れた誘電体磁器組成物を提案している(特許文献1参照)。また、アルミナを主成分としたAl−SnO−TiOの3成分からなる磁器組成物にLa又はTaを添加することにより、Q、τ等の改善を図ることを提案している(特許文献2、特許文献3参照)。これらの技術は、Al/TiO比を変化させたり、あるいは、La又はTaを添加することによってτを制御するものであるが、従来より、使用目的に応じてQの変化を小さくし若しくは改善しつつ、簡易に所望のτを得ることができる誘電体磁器組成物及びその製造方法が望まれていた。
【0004】
【特許文献1】
特開昭62−119157号公報
【特許文献2】
特開昭62−147603号公報
【特許文献3】
特開昭63−76206号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題を解決するものであり、ε及びQの誘電特性をいずれも良好な範囲に維持しつつ、簡易にτを所望の範囲に制御することができる誘電体磁器組成物及びその製造方法並びに電子部品を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下に示すとおりである。
(1) 焼成体を1220〜1420℃で熱処理をして得られる誘電体磁器組成物であって、
xAl−ySnO−zTiO(但し、x、y及びzはモル%を表わし、x+y+z=100である。)によって表される組成を有し、且つ上記x、y及びzが、図1において、点P(x=92.5、y=5.5、z=2)、点Q(x=62.5、y=28.5、z=9)、点R(x=62.5、y=2.45、z=35.05)及び点S(x=92.5、y=1、z=6.5)を順に結んで形成される四角形の領域内(辺上を含む)にあることを特徴とする誘電体磁器組成物。
(2)上記熱処理をした後、降温速度を500℃/時間以下にして得られる上記(1)記載の誘電体磁器組成物。
(3)εが9〜16、Qが4000〜8000、及びτが−37〜+12ppm/℃である上記(1)又は(2)記載の誘電体磁器組成物。
(4)上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の誘電体磁器組成物を製造する誘電体磁器組成物の製造方法であって、焼成体を1220〜1420℃で熱処理することを特徴とする誘電体磁器組成物の製造方法。
(5)上記熱処理をした後、降温速度を500℃/時間以下とする上記(4)記載の誘電体磁器組成物の製造方法。
(6)上記誘電体磁器組成物のεが9〜16、Qが4000〜8000、及びτが−37〜+12ppm/℃である上記(4)又は(5)記載の誘電体磁器組成物の製造方法。
(7)上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の誘電体磁器組成物を備えることを特徴とする電子部品。
【0007】
【発明の効果】
本発明の誘電体磁器組成物は、ε、Q及びτのバランスに優れ、且つ成分組成を変えることなくQを改善し、τを所望の値に調整することができる。
また、上記熱処理後の降温速度を500℃/時間以下にすると、τをマイナス方向に大きくシフトすることができ、所望のτを容易に得ることができる。
更に、上記誘電体磁器組成物のεが9〜16であり、Qが4000〜8000であって且つτが−37〜+12ppm/℃である場合は、特にε、Q及びτのバランスが優れているため、誘電体基板及び共振器用磁器等の電子部品に好適に利用できる。
【0008】
本発明の誘電体磁器組成物の製造方法によれば、簡易な方法で、ε、Q及びτのバランスに優れ、且つ成分組成を変えることなくQを改善し、τを所望の値に調整することができる。また、一度製造した誘電体磁器組成物のτを調整することができる。
また、上記熱処理後の降温速度を500℃/時間以下にすると、τをマイナス方向に大きくシフトすることができ、所望のτを容易に得ることができる。
更に、本発明の誘電体磁器組成物の製造方法によれば、誘電体磁器組成物のεが9〜16であり、Qが4000〜8000であって且つτが−37〜+12ppm/℃の範囲であり、ε、Q及びτのバランスが優れた誘電体磁器組成物を得ることができる。
本発明の電子部品によれば、上記優れた特性を有する電子部品とすることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明について以下に詳細に説明する。
(1)誘電体磁器組成物
本発明の誘電体磁器組成物は、焼成体を1220〜1420℃で熱処理をして得られる誘電体磁器組成物であって、xAl−ySnO−zTiO(但し、x、y及びzはモル%を表わし、x+y+z=100である。)によって表される組成を有し、上記x、y及びzが、図1の3成分系組成に示す点P(x=92.5、y=5.5、z=2)、点Q(x=62.5、y=28.5、z=9)、点R(x=62.5、y=2.45、z=35.05)及び点S(x=92.5、y=1、z=6.5)を順に結んで形成される四角形の領域内(辺上を含む)にあるものである。
上記「x」、「y」及び「z」は、本発明の誘電体磁器組成物中に含まれるAl、Sn及びTiの含有量をAl、SnO及びTiOに換算したモル%の値である。また、上記x、y及びzとして好ましくは、図1の3成分系組成に示す点P’(x=90、y=7、z=3)、点Q’(x=80、y=15、z=5)、点R’(x=80、y=18、z=2)及び点S’(x=90、y=8、z=2)を順に結んで形成される四角形の領域内(辺上を含む)であり、更に好ましくは、図1の3成分系組成に示す点P’(x=90、y=7、z=3)、点Q’(x=80、y=15、z=5)、点R’’(x=80、y=5、z=15)及び点S’’(x=90、y=2、z=8)を順に結んで形成される四角形の領域内(辺上を含む)である。上記x、y及びzの範囲が上記範囲外であると、Qの低下が大きいか、熱処理によるQの改善効果及びτのマイナス方向へのシフト効果が認められないか、あるいは認められてもその効果が小さいので好ましくない。
【0010】
上記焼成体は、上記熱処理により本発明の誘電体磁器組成物が得られる限り、その組成、製造方法については特に限定はない。
【0011】
上記熱処理の温度は1220〜1420℃、好ましくは1250〜1420℃、更に好ましくは1250〜1400℃、より好ましくは1280〜1400℃、特に好ましくは1300〜1400℃、最も好ましくは1300〜1380℃である。上記熱処理の温度が1220℃未満又は1420℃を超えると、Qの改善はほとんどできないか、又は改善できてもその効果は小さく、また、τをマイナス方向にシフトすることができないか、又はシフトできてもその効果は小さいので好ましくない。
尚、上記熱処理のその他の条件、方法については特に限定はなく、例えば、後述の条件及び方法によって上記熱処理を行うことができる。
【0012】
本発明の誘電体磁器組成物は、上記熱処理を行うことにより得られるものであるが、上記熱処理が終わった後の降温速度を制御することによって、τ値のマイナス方向へのシフトを制御することができる。即ち、上記降温速度を500℃/h以下、好ましくは400℃/h以下、更に好ましくは300℃/h以下、より好ましくは200℃/h以下、特に好ましくは150℃以下、最も好ましくは50℃/h以下とすることにより、である。上記降温速度を上記範囲とすることにより、τがよりマイナス方向へシフトした誘電体磁器組成物とすることができるので好ましい。
【0013】
本発明の誘電体磁器組成物は、Al、SnO及びTiOからなり、複合酸化物を形成していると推定される(勿論、複合酸化物を形成しているか否かは、本発明の誘電体磁器組成物の技術的範囲の解釈において何らも影響しない。)。また、この誘電体磁器組成物は上記の3成分の他に誘電特性に影響を及ぼさない限りにおいて、他の成分(製造上の不可避的不純物その他の成分)を含んでいてもよい。
【0014】
本発明の誘電体磁器組成物は、上記構成を備えることにより、ε、Q及びτのバランスに優れている。具体的には、εは好ましくは9〜16、より好ましくは10〜16、更に好ましくは11〜16、より好ましくは11〜15、特に好ましくは11〜14とすることができる。また、Qは好ましくは4000〜8000、より好ましくは4200〜7500、更に好ましくは4500〜7000、より好ましくは5000〜6500とすることができる。τは好ましくは−37〜+12ppm/℃、より好ましくは−35〜+10ppm/℃、更に好ましくは−33〜+8ppm/℃とすることができる。より好ましくは、εが9〜16、Qが4000〜8000、且つτが−37〜+12ppm/℃とすることができる。特に好ましくはεが10〜16、Qが4200〜7500、且つτが−35〜+10ppm/℃とすることができる。更に好ましくは、εが11〜16、Qが4500〜7000、且つτが−33〜+8ppm/℃とすることができる。
【0015】
(2)誘電体磁器組成物の製造方法
本発明の誘電体磁器組成物の製造方法は、本発明の誘電体磁器組成物を製造する製造方法であって、焼成体を1220〜1420℃で熱処理するものである。
上記焼成体を得る方法については特に限定はない。上記焼成体の原料として、通常、Al酸化物及び加熱されてAl酸化物になるAl化合物のうちの少なくとも1種と、Sn酸化物及び加熱されてSn酸化物になるSn化合物のうちの少なくとも1種と、Ti酸化物及び加熱されてTi酸化物になるTi化合物のうちの少なくとも1種とを混合して使用する。加熱されてAl酸化物になるAl化合物、Sn酸化物になるSn化合物及びTi酸化物になるTi化合物としては、加熱されて酸化物になる化合物であれば特に限定はなく、例えば、上記各金属(Al、Sn、Ti)の炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物、硝酸塩等の無機塩の他、上記各金属(Al、Sn、Ti)を含んだ有機金属化合物等が挙げられる。
【0016】
また、上記原料として、上記各金属(Al、Sn、Ti)の複合酸化物の2種以上を混合して使用することができる。この複合酸化物としては、例えば、酸化スズと酸化チタンの固溶体が挙げられる。この場合、上記各金属(Al、Sn、Ti)酸化物(加熱されて酸化物となる化合物も含む。)の少なくとも1種と、上記金属複合酸化物のうちの少なくとも1種とを混合して使用することができる。例えば、アルミナ及び水酸化アルミニウム等のうちの1種以上の粉末と、酸化スズと酸化チタンの固溶体の粉末とを使用することができる。
尚、上記原料の形態としては、通常の粉末の他、仮焼粉末を使用することができる。更に、粉末のみならず液状物、ゾル等の使用も可能である。例えば、液状物である上記各金属(Al、Sn、Ti)を含んだ有機金属化合物や、原料中のSnO及びTiOとして両者の固溶体ゾルを使用することもできる。ここで、上記仮焼粉末とは、通常、700〜1100℃程度、好ましくは800〜1000℃程度で加熱したものが例示される。また、上記仮焼粉末は、各原料を混合後まとめて仮焼し、粒度調整を行ったものでもよく、各原料を各々仮焼したものでもよい。
【0017】
本発明の誘電体磁器組成物の製造方法では、上記金属酸化物粉末等を秤量して混合し、この混合物を用いて所望の形状に成形体とし、次いで、この成形体を焼成することにより、上記焼成体を得る。上記成形体の形状、大きさ等は特に限定されず、また、その成形方法も特に限定はない。また、上記成形体を得る際、上記の3成分の他に誘電特性に影響を及ぼさない限り、他の成分(製造上の不可避的不純物、その他の成分)を含んでいてもよい。
また、焼成条件についても必要に応じて適宜の条件とすることができる。例えば、焼成温度は通常1300〜1600℃、好ましくは1400〜1600℃、更に好ましくは1450〜1570℃、より好ましくは1500〜1570℃、特に好ましくは1520〜1550℃である。また、焼成時間は通常0.5〜5時間、好ましくは0.5〜3時間、更に好ましくは1〜3時間である。また、焼成時の焼成雰囲気についても特に限定はない。通常は大気雰囲気であるが、アルゴン等の不活性ガス雰囲気や真空中、窒素ガス等の非酸化性雰囲気での焼成も可能である。また、上記焼成は、常圧焼成でもよいが、より緻密な焼結体を得るために、常圧焼成後、HIP処理をすることも可能である。更に、HP(ホットプレス)等の加圧焼結も可能である。
【0018】
本発明の誘電体磁器組成物の製造方法では、上記焼成体について、所定温度で熱処理を行う。かかる熱処理を行うことにより、Qを改善すると共に、τをマイナス方向にシフトさせることができる。上記熱処理の温度は1220〜1420℃、好ましくは1250〜1420℃、更に好ましくは1250〜1400℃、より好ましくは1280〜1400℃、特に好ましくは1300〜1400℃、最も好ましくは1300〜1380℃である。上記熱処理の温度が1220℃未満又は1420℃を超えると、Qの改善はほとんどできないか、又は改善できてもその効果は小さく、また、τをマイナス方向にシフトすることができないか、又はシフトできてもその効果は小さいので好ましくない。
【0019】
また、上記熱処理の方法についても特に限定はない。通常、上記熱処理は大気中において行う。また、上記熱処理のその他の条件についても特に限定はない。例えば、上記熱処理の時間も特に限定はないが、通常は好ましくは0.2〜5時間であり、より好ましくは0.5〜4時間であり、更に好ましくは1〜3時間である。上記範囲とすることにより、簡易且つ効率的にQを改善し、τをマイナス方向へシフトさせることができるので好ましい。
【0020】
上記熱処理が終わった後、温度を降下させることにより、誘電体磁器組成物を得ることができる。この場合の降温速度については特に限定はなく、必要に応じて様々な速度とすることができるが、上記降温速度を制御することによって、τ値のマイナス方向へのシフトを制御することができる。即ち、上記降温速度としては、通常500℃/h以下、好ましくは400℃/h以下、更に好ましくは300℃/h以下、より好ましくは200℃/h以下、特に好ましくは150℃以下、最も好ましくは50℃/h以下である。上記降温速度を上記範囲とすることにより、効率的にτをマイナス方向へシフトさせることができるので好ましい。
【0021】
本発明の誘電体磁器組成物及びその製造方法において、上記熱処理の温度と上記降温速度の組み合わせについては特に限定はなく、上記の範囲で種々組み合わせることができる。好ましい組み合わせとしては、上記熱処理の温度が1250〜1400℃、且つ上記降温速度が500℃/h以下であり、更に好ましい組み合わせとしては、上記熱処理の温度が1310〜1390℃、且つ上記降温速度が400℃/h以下、より好ましい組み合わせとしては、上記熱処理の温度が1320〜1380℃、且つ上記降温速度が300℃/h以下である。
【0022】
本発明の電子部品は、本発明の誘電体磁器組成物を備えるものである。上記電子部品としては、例えば、マイクロ波領域における誘電体共振器及び該誘電体共振器用基板、並びに誘電体フィルタ等の他、マイクロ波集積回路基板、各種マイクロ波回路のインピーダンス整合部材、誘電体アンテナ、セラミックコンデンサ等が挙げられる。
【0023】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
(1)誘電体磁器組成物の調製
Al粉末(純度;99.95%)、SnO粉末(純度;99.3%)及びTiO粉末(純度;99.5%)を出発原料とした。そして、xAl−ySnO−zTiOにおけるx、y、zが、それぞれ表1の実験例1〜30の値となるように所定量を秤量した。上記実験例1〜30で得られた試料のx、y及びzの値は全て図1に示す特定範囲内のもの(辺上のものを含む)であり、図1中に実験例で得られた各試料をP〜S及びA〜Eにプロットした。
【0024】
その後、所定量の上記各粉末をミキサーによって30分間乾式混合し、この混合粉末を振動ミルによって一次粉砕した。玉石としてはアルミナボールを使用し、粉砕時間は4時間とした。次いで、得られた粉末を、大気雰囲気下、1000℃の温度で2時間仮焼した後、この仮焼粉末に適量の有機バインダと水とを加え、トロンメル粉砕機を用いて二次粉砕した。その後、二次粉砕した粉末を噴霧乾燥機を用いて乾燥し、造粒した。造粒後、ふるいによって40〜200メッシュの粒度の粉末を得、プレス機によって直径19mm、厚さ11mmの円柱状の成形体を作製した。プレス圧力は3トンとし、成形圧力を1トン/cmとした。
【0025】
上記成形体を脱脂した後、大気雰囲気下、1535℃で4時間焼成した。この焼成工程における降温速度は20℃/hであった。得られた焼結体の周面及び両端面を研磨し、直径が16mm、厚さ8mmの寸法の円柱状とした。この加工した焼結体を1200〜1450℃で大気中おいて2時間熱処理をし、その後、降温速度を20、120又は500℃/hとして実験例1〜30の各試料を得た。尚、表1中、「*」は、本発明の範囲外であることを意味する。
【0026】
【表1】
Figure 2004168600
【0027】
(2)誘電特性の評価
上記実験例1〜30の各試料のε、Q及びτを以下の方法により測定した。その結果を表1に併記する。
ε及びQは、JIS R 1627の平行導体板型誘電体円柱共振器法におけるTE011モードに従い測定して得た。
τは、空洞開放型誘電体共振器法におけるTE01δモードに従い測定して得た。25〜80℃の温度領域で測定し、τ=(f80−f25)/(f25×ΔT)、ΔT=80−25=55℃によって算出した。また、測定時の共振周波数は7.0GHz前後とした。
【0028】
(3)実施例の効果
表1より、熱処理の温度が本発明の範囲内である実験例2〜5及び11〜14と、熱処理の温度が本発明の範囲から外れる実験例1、6〜10とを対比すると、実験例2〜5及び11〜14では、実験例1、6〜10と比較して、いずれの試料もτがマイナス方向にシフトしている。特に実験例3では、0.13ppm/℃とτの絶対値が非常に小さくなるようにシフトしている。また、実験例2〜5及び11〜14では、Qが5631〜6408であり、ほとんど変化していない。同様に、表1より、熱処理の温度が本発明の範囲内である実験例15、17、19、21、23、25、27及び29は、熱処理の温度が本発明の範囲から外れている実験例16、18、20、22、24、26、28及び30に比較して、いずれもτがマイナス方向にシフトすると共に、Qは改善されている。
以上より、成分組成が本発明の範囲にある誘電体磁器組成物において、本発明の範囲内の温度で熱処理を行うことにより、Qを改善すると共に、τをマイナス方向にシフトさせることができることが分かる。
【0029】
また、表1より、降温速度が20℃/hである実験例2〜5と、120℃/hである実験例11〜13とを対比すると、実験例11〜13では、Qが5631〜6226であり、τが5.69〜11.66であるのに対し、実験例2〜5では、Qが6132〜6408と改善されていると共に、τが0.13〜11.09と、τがマイナス方向にシフトしていることが分かる。また、組成及び熱処理温度が同じで降温速度が異なる実験例3、12及び14とを対比すると、Qは実験例14<実験例12<実験例3となり、τは実験例3<実験例12<実験例14となっている。
以上より、降温速度を小さくすることにより、Q値はほとんど変化しないか又は改善されていると共に、τがマイナス方向にシフトさせることができることが分かる。
【0030】
以上の結果より、本発明の誘電体磁器組成物の製造方法によれば、簡易な方法によりQ及びτを調整することができ、また、一度焼結が完了した誘電体磁器組成物のQ及びτを調整することができることが分かる。そして、本発明の誘電体磁器組成物は、所定のτ値を必要とする誘電体共振器等の回路設計にあたって広く利用することができることが分かる。
【0031】
尚、本発明においては、上記具体的実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】誘電体磁器組成物を構成する成分をモル比で表した3成分系組成図である。

Claims (7)

  1. 焼成体を1220〜1420℃で熱処理をして得られる誘電体磁器組成物であって、
    xAl−ySnO−zTiO(但し、x、y及びzはモル%を表わし、x+y+z=100である。)によって表される組成を有し、且つ上記x、y及びzが、図1において、点P(x=92.5、y=5.5、z=2)、点Q(x=62.5、y=28.5、z=9)、点R(x=62.5、y=2.45、z=35.05)及び点S(x=92.5、y=1、z=6.5)を順に結んで形成される四角形の領域内(辺上を含む)にあることを特徴とする誘電体磁器組成物。
  2. 上記熱処理をした後、降温速度を500℃/時間以下にして得られる請求項1記載の誘電体磁器組成物。
  3. 上記誘電体磁器組成物の比誘電率が9〜16、無負荷品質係数が4000〜8000、及び共振周波数の温度係数が−37〜+12ppm/℃である請求項1又は2記載の誘電体磁器組成物。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の誘電体磁器組成物を製造する誘電体磁器組成物の製造方法であって、焼成体を1220〜1420℃で熱処理することを特徴とする誘電体磁器組成物の製造方法。
  5. 上記熱処理をした後、降温速度を500℃/時間以下とする請求項4記載の誘電体磁器組成物の製造方法。
  6. 上記誘電体磁器組成物の比誘電率が9〜16、無負荷品質係数が4000〜8000、及び共振周波数の温度係数が−37〜+12ppm/℃である請求項4又は5記載の誘電体磁器組成物の製造方法。
  7. 請求項1乃至3のいずれかに記載の誘電体磁器組成物を備えることを特徴とする電子部品。
JP2002337089A 2002-11-20 2002-11-20 誘電体磁器組成物及びその製造方法並びに電子部品 Pending JP2004168600A (ja)

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