JP3376855B2 - 誘電体磁器組成物及びその製造方法とそれを用いた誘電体共振器と誘電体フィルタ - Google Patents

誘電体磁器組成物及びその製造方法とそれを用いた誘電体共振器と誘電体フィルタ

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JP3376855B2
JP3376855B2 JP12925597A JP12925597A JP3376855B2 JP 3376855 B2 JP3376855 B2 JP 3376855B2 JP 12925597 A JP12925597 A JP 12925597A JP 12925597 A JP12925597 A JP 12925597A JP 3376855 B2 JP3376855 B2 JP 3376855B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は特に、マイクロ波、
ミリ波などの高周波領域において誘電体共振器として利
用される誘電体磁器組成物及びその製造方法とそれを用
いた誘電体共振器と誘電体フィルタに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車電話、携帯電話、衛星放送
等、マイクロ波領域の電磁波を利用する通信機器におい
て誘電体共振器や誘電体フィルタ等に誘電体部品が使用
されている。このような誘電体部品に誘電体磁器組成物
を使用するには、用途やデバイスにあう適切な誘電率を
有することの他に、マイクロ波領域で低損失であるこ
と、及び共振周波数の温度変化が小さいこと、すなわち
誘電率の温度変化が小さいことが重要である。従来、こ
のような用途に関係あるものとして、例えば特公昭63
−138605号公報のMgTiO3−CaTiO3−N
2Ti27系、特公平6−92727号公報のMgT
iO3−CaTiO3−Ta25系が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記M
gTiO3−CaTiO3−Nd2Ti27系、MgTi
3−CaTiO3−Ta25系は、Q値が充分とはいえ
ず更に高いQ値の誘電体が望まれていた。また
【0004】
【外1】
【0005】の共振を利用した大型の共振器の場合、空
気中での焼成の際に、その焼結体が還元されやすく、素
子内部が青銅色になってQ値が低くなる欠点を有してい
た。このため焼成後更にアニール処理をしたりする特殊
で複雑な製造プロセスが必要である。そして誘電体磁器
表面に直接AgまたはCu電極を形成する同軸誘電体共
振器やストリップライン共振器などへの応用の場合、誘
電体表面の粗度が大きいと電極による導体損失が増加し
て共振器のQ値が低下してしまう。従って、このような
用途において誘電体磁器のQ値を十分に引き出すには、
電極による導体損失をできるだけ小さくすることが重要
であり、微細な結晶粒子より構成された表面粗度の小さ
い誘電体磁器組成物が望まれていた。
【0006】本発明は上記問題点を解決するものであ
り、適度な誘電率、高い無負荷Q値及び小さい共振周波
数の温度係数を有する誘電体磁器組成物を提供すること
を目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明の誘電体磁器組成物は、一般式として(Mg x
CayCoznO−TiO2(ただし、x+y+z=1.
0)で表され、x、y、z及びnはモル比を表し、 0.87≦x<0.95 0.05≦y≦0.09 0<z≦0.04 0.85≦n<1.00 の範囲にある誘電体磁器組成物である。
【0008】この構成により上記の目的が達成できる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、一般式として(MgxCayCoznO−TiO
2(ただし、x+y+z=1.0)で表され、x、y、
z及びnはモル比を表し、 0.87≦x<0.95 0.05≦y≦0.09 0<z≦0.04 0.85≦n<1.00 の範囲にある誘電体磁器組成物であり、共振周波数が負
の温度係数のMgTiO 3に正の温度係数のCaTiO3
を加えて零の温度特性を得るのが従来材料の温度特性の
改善方法だがCaTiO3量に伴ってQ値が低下する欠
点を有しており、この解決策としてMg及びCaの一部
をCoで置換すると同時に限定した(MgCaCo)O
とTiO2のモル比にすることで従来材料の欠点であっ
たQ値の低下を防止して高いQ値と小さい温度係数を両
立できることを見いだした。また主成分の組成比によっ
て、高いQ値を維持しつつ誘電率と共振周波数の温度係
数を調整できる。
【0010】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の誘電体磁器組成物が、MgTi25、CoTi25
いはこれらが固溶した(MgCo)Ti25相と、Mg
TiO3相及びCaTiO3相或いはこれらが固溶した
(MgCa)TiO3相から成る誘電体磁器組成物であ
り、共振周波数の温度係数が正に大きいCoTi25
いはMgOを固溶した(MgCo)Ti25相によっ
て、MgTiO3の負の温度特性を補償することで従来
材料のCaTiO3によるQ値の低下を防止し、小さい
温度特性と高いQ値を得ることができる。
【0011】請求項3に記載の発明は、請求項1または
2に記載の誘電体磁器組成物100重量部に対して、副
成分としてニオブ酸化物をNb25に換算して、0.3
重量部以下(ただし0重量部を除く)の範囲で含有させ
た誘電体磁器組成物であり、ニオブ酸化物を含有させる
ことによって、磁器の結晶粒子が微細になり焼結体磁器
表面の粗度は小さくなる。従って誘電体磁器表面に直接
Ag、Cu等の電極を形成する同軸共振器やストリップ
ライン共振器の導体損失を小さくでき、高いQ値の共振
器を得ることができる。
【0012】請求項4に記載の発明は、請求項1,2及
び3のうちいずれか一つに記載の誘電体磁器組成物10
0重量部に対して、副成分としてCr、Mn、Fe、N
iから選ばれる一種以上の酸化物をCr23、Mn
2、Fe23、NiOに換算して、0.3重量部以下
(ただし0重量部を除く)の範囲で含有させた誘電体磁
器組成物であり、共振周波数の温度係数を若干正側へ調
整できる。このためQ値を低下させるCaTiO3含有
量を減らせるため高いQ値が得られる。また誘電特性の
焼成温度依存性の安定化効果も有しているので量産時の
特性が安定化する。
【0013】請求項5に記載の発明は、請求項1,2,
3及び4のうちいずれか一つに記載の誘電体磁器組成物
100重量部に対して、副成分としてアルミニウム酸化
物をAl23に換算して0.3重量部以下(ただし0重
量部を除く)の範囲で含有させた誘電体磁器組成物であ
り、磁器の結晶粒子が微細になると同時に粒界部のAl
固溶相が粒子間の結合を強化させて機械的強度が増すの
で熱衝撃、落下、共振器の周波数調整の研磨加工等に対
して高い信頼性を得ることができる。また微細な磁器表
面のため同軸共振器やストリップライン共振器等の導体
損失を低下でき、高いQ値の共振器を得ることができ
る。
【0014】請求項6に記載の発明は、請求項1,2,
3,4及び5のうちいずれか一つに記載の誘電体磁器組
成物中に含まれる不純物として、NaをNa2Oに換算
して、前記誘電体磁器組成物100重量部中、0.03
重量部以下の範囲の含有量とする誘電体磁器組成物であ
り、不純物Naの含有量が限定した範囲内において優れ
た誘電特性が得られる。
【0015】請求項7に記載の発明は、請求項1,2,
3,4及び5のうちいずれか一つに記載の誘電体磁器組
成物中に含まれる不純物として、KをK2Oに換算し
て、前記誘電体磁器組成物100重量部中、0.03重
量部以下の範囲の含有量とする誘電体磁器組成物であ
り、不純物Kの含有量が限定した範囲内において優れた
誘電特性が得られる。
【0016】請求項8に記載の発明は、請求項1,2,
3,4及び5のうちいずれか一つに記載の誘電体磁器組
成物を、MgTi25、CoTi25或いは(MgC
o)Ti25を出発原料として製造する誘電体磁器組成
物の製造方法であり、磁器の均質化が図られるので、高
いQ値と結晶粒子の微細化に効果があり、高いQ値の共
振器を得ることができる。
【0017】請求項9に記載の発明は、請求項8に記載
の出発原料の粒子径が1μm以下のものであり、磁器の
結晶粒子の微細化と均一化が図られるので磁器の表面粗
度が低下し、直接電極を形成する形態の共振器(例えば
同軸共振器やストリップライン共振器)の導体損失を低
下させ、高いQ値の共振器を得ることができる。
【0018】請求項10に記載の発明は、請求項1,
2,3,4及び5のうちいずれか一つに記載の誘電体磁
器組成物を酸素雰囲気中で焼成する誘電体磁器組成物の
製造方法であり、大型の共振器素子の内部、外部の特性
分布の均一化によって高い信頼性と高いQ値が得られる
効果がある。
【0019】請求項11に記載の発明は、請求項1,
2,3,4及び5のうちいずれか一つに記載の誘電体磁
器組成物を使用した誘電体共振器であり、高い誘電体の
Q値と微細な磁器表面を有しているので、金属製の空胴
容器内に素子を載置する
【0020】
【外2】
【0021】の共振を利用した共振器の場合や、磁器に
直接電極を形成する同軸共振器、ストリップライン共振
器の場合でも高いQ値が得られる。
【0022】請求項12に記載の発明は、請求項11記
載の誘電体共振器によって構成された誘電体フィルタで
あり、高いQ値の誘電体共振器を使用することによって
フィルタの挿入損失を小さくできる。
【0023】
【実施例】
(実施例1)以下、本発明の第1の実施例について詳細
に説明する。
【0024】出発原料には化学的に高純度で粒子径が1
μm以下のMgO、CaO、MgTi25、CoTi2
5、TiO2、Nb25、Cr23、MnO2、Fe2
3、NiO及びAl23粉末を所定の組成比になるよう
に秤量し、これらの粉末をポリエチレン製のボールミル
に入れ、安定化ジルコニア製の玉石及びエタノールを加
え約20時間湿式混合した。ここで使用する出発原料の
粒子径が1μmより大きい場合、最終焼結体磁器の結晶
粒子径が大きくなったり、異常粒成長したりするので同
軸共振器やストリップラインの導体損失が増して共振器
のQ値が低くなる問題が生じる。このため粒子径が1μ
m以下の出発原料の使用は必須である。そして湿式混合
後、乾燥し、この乾燥粉末を高アルミナ質のルツボに入
れ、空気中で800〜1100℃にて2時間仮焼した。
次に、この仮焼粉末を、混合時と同じボールミルにエタ
ノールとともに入れ、約20時間の湿式粉砕後、乾燥し
た。次に、この粉砕粉末に、有機バインダーを加え、均
質に混合した後32メッシュのふるいを通して整粒し、
金型と油圧プレスを用いて成形圧力2ton/cm2
直径17mm、厚み6〜8mmに成形した。次いで、成
形体をアルミナ質のサヤに入れ、空気中にて1200〜
1400℃の焼成温度で2〜50時間焼成し、(表1)
の試料番号1〜31に示す組成の誘電体磁器を得た。
【0025】
【表1】
【0026】この実施例で示す試料の特性は、空気中で
焼成した時の特性であるが、酸素雰囲気中で焼成した場
合は特にQ値が空気中焼成に比較して約20%向上する
効果を有している。そして本発明の磁器組成物は酸素雰
囲気中で焼成する事によって、磁器の均質な焼結化が図
られて高い信頼性が得られると同時に高いQ値の共振器
が得られる。次に、得られた焼結体について両面を研磨
し、マイクロ波での誘電特性を測定した。測定は、誘電
体共振器法によって行い、誘電率(εr)、Q・f積、
共振周波数の温度係数τf(ppm/℃)を算出した。
誘電率及びQ値の測定において、共振周波数は5.0〜
6.5GHzであった。共振周波数の温度係数(τf
は−25〜85℃の範囲で測定した。
【0027】上記測定結果を1〜31の試料番号別に
(表1)に示す。(表1)において、*印を付したもの
は本発明の請求の範囲外の比較例である。
【0028】本発明の誘電体磁器組成物の組成範囲を限
定した理由を(表1)と(図1)を参照しながら説明す
る。
【0029】(表1)と(図1)から明らかなように、
CaOのモル比(y)が0.09より多い場合の(領域
A)は、Q値が低下したり共振周波数の温度係数
(τf)が正側へ大きくなり実用的でなくなる。そして
CaOのモル比(y)が0.05より少ない(領域C)
は共振周波数の温度係数(τf)が負側へ大きくなる。
また、CoOのモル比(z)が0.04より多い場合の
(領域B)はQ値が低下するので本発明の範囲から除外
した。そして(MgCaCo)nOとTiO2の比の
(n)を1.0より小さくすると、Q値の向上と温度特
性を正側へとシフトさせる効果があるのでQ値を低下さ
せるCaOの含有量を減らすことができる。しかし、
(n)が0.85より小さい場合はQ値の低下を招くの
で(n)の範囲は限られる。これらの高いQ値と小さい
温度特性の試料をX線回折で分析した結果、共振周波数
の温度係数が正に大きいCoTi25(Mgも固溶)相
の生成による効果であることがわかった。つまり温度係
数が正に大きいCoTi25(Mgも固溶)相を温度特
性の調整に利用することでCaTiO3だけで調整した
場合よりも同じ温度係数で比較すると高いQ値が得られ
る。尚、このとき他にMgTiO 3、CaTiO3が生成
していた。したがって本実施例のようにMg、Coソー
スをMgTi25、CoTi25を出発原料に使用する
ことによって、高いQ値と小さい温度係数の両立に必須
の結晶相であるCoTi25(Mgも固溶)を均質かつ
安定に生成させることが可能になる。そして(n)が1
以上のときはCoTi25相が生成せずMgTiO3
CaTiO3の混相(Coを固溶)になり、温度特性の
改善効果がなくQ値も低いものになる。また(n)が
0.85より小さい場合はQ値が低下したり温度特性が
悪化するので本発明の範囲から除外した。このようにし
て主成分の組成範囲が限定されるのである。次に副成分
の添加効果の説明をする。Nb25の添加は、磁器の結
晶粒子径の微細化に効果がある。無添加のとき7〜10
μmの結晶粒子径がNb添加によって3〜6μmの結晶
粒子径で均一に焼結できるようになる。磁器に直接Ag
やCu電極を形成する同軸共振器やストリップライン共
振器の場合は電極による導体損失が大きい。これを低損
失にするには磁器表面の粗度を低下させて電極の表面抵
抗を小さくする必要がある。Nb添加による磁器表面の
結晶粒子径の微細化は導体損失を小さくできるので誘電
体磁器の高いQ値を引き出せ高いQ値(低損失)の共振
器が得られる。しかし過剰に添加するとQ値の低下を招
くので、その添加量は0.3重量部以下に限られる。ま
た、Cr23、MnO2、Fe23、NiOを添加した
場合、共振周波数の温度係数(τf)は、若干正に変化
する傾向がある。これを利用することで微妙な温度特性
の調整も可能であるし、Q値を低下させるCaO含有量
(τfの正側への調整成分)を若干減らせるので高いQ
値が得られる効果もある。しかし副成分の添加量が0.
30重量%より増加させるとf・Q積を低下させるので
本発明の範囲から除外した。そしてAl23の添加は磁
器の微細化と機械的強度を向上させる効果がある。磁器
の微細化による効果についてはNbと同じ効果が得られ
る。一方、機械的強度についてはAl23の高強度によ
って、粒界部の主成分とAlとの固溶相が微細な結晶粒
子間の結合力を強化させるので機械的強度が向上する。
例えば、Al無添加の場合は約1.2〜1.5t/cm
2の抗折強度であるが、Alを添加した場合1.8〜
2.2t/cm2の高い強度が得られるようになる。従
って、共振器の熱衝撃、落下等に対する信頼性が向上す
る。また製造工程での周波数調整等の素子の研磨や加工
などでの素子の欠けや割れを防ぐ効果もある。しかし、
その添加量を0.30重量部より増加させるとQ値を低
下させるので本発明の範囲から除外した。このようにし
て本発明の組成範囲と副成分とその添加量が限定される
のである。以上より本発明の実施例の中には、例えばε
rが21、Q・f積が71430で共振周波数の温度係
数(τf)が+2.5ppm/℃の優れたマイクロ波誘
電特性を有する組成がある(試料5)。
【0030】(実施例2)以下、本発明の第2の実施例
について詳細に説明する。
【0031】実施例1の試料5の組成を、同じく配合、
混合、仮焼、粉砕、整粒した後、外形35mm、内径
7.6mmで高さが22mmの円筒形状に1〜2t/c
2の成形圧力で成形した。その後、空気中及び酸素雰
囲気中で1200〜1400℃の温度において2〜50
時間焼成を行った。そしてAgメッキしたキャビティ内
のアルミナ支持台上に試料を置き
【0032】
【外3】
【0033】の共振周波数とQ値の測定を行った。また
アルキメデス法で磁器密度の測定も行った。
【0034】その結果を32〜33の試料番号別に(表
2)に示す。
【0035】
【表2】
【0036】この(表2)から明らかなように、酸素雰
囲気中で焼成した実施例の試料のQ・f積が比較例より
も約20%程高いことがわかる。また共振周波数が実施
例のほうが低い。これは試料の磁器密度が大きいために
誘電率が高くなった結果であるが、酸素雰囲気中で焼成
すると素子内部まで均一に焼結できるからである。大気
中で焼成した比較例の試料は素子の内外部で磁器の密度
が異なり、特に内部はポーラスになっている。大型素子
の主な用途である基地局フィルタには高い信頼性が要求
されるが、素子が不均質の場合は信頼性(熱衝撃、耐湿
性等)が低下するので均質な高い信頼性の素子が求めら
れる。
【0037】以上より酸素雰囲気中で大型素子を焼成す
ることによって高い信頼性の高いQ値の共振器を提供で
きる。
【0038】(実施例3)以下、本発明の第3の実施例
について詳細に説明する。
【0039】出発原料には化学的に高純度なもの(純度
99.99%以上)と工業用の原料(純度98.0〜9
9.9%)を使用し、MgO、CaO、MgTi25
CoTi25、TiO2粉末を所定の組成比になるよう
に秤量し、次に、実施例1と同様にして、焼結体を作成
し、マイクロ波誘電特性を評価した。そして各々の焼結
体に含まれる不純物の含有量を蛍光X線分析を行い、予
め組成及びNa2O、K2Oの含有量の判明している試料
を標準試料として磁器の組成と不純物含有量を求めた。
各試料の誘電特性と磁器中の不純物であるNa2O、K2
Oの含有量を(表3)に示す。
【0040】
【表3】
【0041】(表3)より明らかなように、我々は出発
原料の中に含まれる極微量の不純物であるNa2O、K2
Oの含有量が最終焼結体磁器の誘電特性へ多大な影響を
与えていることを突き止めた。Na2O及びK2Oの含有
量が0.03重量部より多くなると、f・Q積が急激に
低下してしまう。また誘電率と温度特性にも変化を与え
る。更に、焼結体磁器に異常粒成長を招き磁器強度も低
下してしまう。特に基地局フィルタへの応用の場合は低
損失もさることながら素子の発熱や耐環境性等高い信頼
性が求められる。従って、特に磁器中のNa2O及びK2
Oの含有量を0.03重量部以下になるように出発原料
の使用や誘電体磁器の製造工程のなかで使用される純
水、分散剤及びバインダー等についてNa、Kを含まな
い、或いは本発明の範囲内の不純物含有量にすることに
よって高いf・Q積と高信頼性を得ることができる。以
上のように本発明の範囲内にNa、Kの含有量を管理し
た出発原料及び製造工程を採用することにより、従来、
出発原料の原料ロットや製造工程に敏感であったり不安
定であった高いQ値と高い信頼性を有する誘電体磁器の
誘電特性を再現性よく安定化できる。
【0042】
【発明の効果】以上のように本発明は、一般式として
(MgxCayCoznO−TiO2(ただし、x+y+
z=1.0)で表され、x、y、z及びnはモル比を表
し、 0.87≦x<0.95 0.05≦y≦0.09 0<z≦0.04 0.85≦n<1.00 の範囲にある誘電体磁器組成物であり、Mg及びCaの
一部をCoで置換すると同時に限定した(MgCaC
o)OとTiO2のモル比にすることで従来材料の欠点
であったQ値の低下を防止して高いQ値と小さい温度係
数を両立できる。また主成分の組成比によって、高いQ
値を維持しつつ誘電率と共振周波数の温度係数を調整で
きる。
【0043】さらに誘電体磁器の表面は微細な結晶粒子
により構成されているので、この誘電体磁器組成物を用
いて例えば素子に直接電極を形成させる同軸誘電体共振
器を形成した際電極部の導体損失を小さくできるため共
振器のQ値を高くすることができる。また素体と電極と
の接着強度を大きくできるので高信頼性の誘電体共振器
を得ることができる。
【0044】その上、本発明の誘電体磁器組成物を用い
たマイクロ波用誘電体共振器及び温度補償用磁器コンデ
ンサは、通信機器、電気機器の小型化及び高性能化に寄
与するところが大であり工業的利用価値が大きいもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の誘電体磁器組成物の主成分の組成範囲
を示す図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−167327(JP,A) 特開 平6−199568(JP,A) 特開 平4−118807(JP,A) 特開 平3−131568(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/42 - 35/50 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式として(MgxCayCoznO−
    TiO2(ただし、x+y+z=1.0)で表され、
    x、y、z及びnはモル比を表し、 0.87≦x<0.95 0.05≦y≦0.09 0<z≦0.04 0.85≦n<1.00 の範囲にある誘電体磁器組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の誘電体磁器組成物が、
    MgTi25、CoTi25或いはこれらが固溶した
    (MgCo)Ti25相と、MgTiO3相及びCaT
    iO3相或いはこれらが固溶した(MgCa)TiO3
    から成る誘電体磁器組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の誘電体磁器組
    成物100重量部に対して、ニオブ酸化物をNb25
    換算して、0.3重量部以下(ただし0重量部を除く)
    の範囲で含有させた誘電体磁器組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1,2及び3のうちいずれか一つ
    に記載の誘電体磁器組成物100重量部に対してCr、
    Mn、Fe、Niから選ばれる一種以上の酸化物をCr
    23、MnO2、Fe23、NiOに換算して0.3重
    量部以下(ただし0重量部を除く)の範囲で含有させた
    誘電体磁器組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1,2,3及び4のうちいずれか
    一つに記載の誘電体磁器組成物100重量部に対してA
    23に換算して0.3重量部以下(ただし0重量部を
    除く)の範囲で含有させた誘電体磁器組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1,2,3,4及び5のうちいず
    れか一つに記載の誘電体磁器組成物中に含まれる不純物
    として、NaをNa2Oに換算して、前記誘電体磁器組
    成物100重量部中、0.03重量部以下の範囲の含有
    量とする誘電体磁器組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1,2,3,4及び5のうちいず
    れか一つに記載の誘電体磁器組成物中に含まれる不純物
    として、KをK2Oに換算して、前記誘電体磁器組成物
    100重量部中、0.03重量部以下の範囲の含有量と
    する誘電体磁器組成物。
  8. 【請求項8】 請求項1,2,3,4及び5のうちいず
    れか一つに記載の誘電体磁器組成物を、MgTi25
    CoTi25或いは(MgCo)Ti25を出発原料と
    して製造する誘電体磁器組成物の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の出発原料の粒径が1μm
    以下のものを使用する誘電体磁器組成物の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1,2,3,4及び5のうちい
    ずれか一つに記載の誘電体磁器組成物を酸素雰囲気中で
    焼成する誘電体磁器組成物の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1,2,3,4及び5のうちい
    ずれか一つに記載の誘電体磁器組成物を使用した誘電体
    共振器。
  12. 【請求項12】 請求項11記載の誘電体共振器によっ
    て構成された誘電体フィルタ。
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