JP4614656B2 - 誘電体磁器および積層型電子部品、並びに積層型電子部品の製法 - Google Patents

誘電体磁器および積層型電子部品、並びに積層型電子部品の製法 Download PDF

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本発明は、誘電体磁器および積層型電子部品並びにその製法に関し、特に、より詳細には、例えば、誘電体層に印加される直流電圧が2V/μm以上であるような高電圧用の積層セラミックコンデンサ等の形成に特に有用な誘電体磁器、および該誘電体磁器を用いて形成された積層型電子部品、並びにその製法に関する。
積層セラミックコンデンサ(MLC)の誘電体層の形成に使用される誘電体材料には、小型、高容量化の為に、高い比誘電率が要求されるのはもちろんのこと、誘電損失が小さく、誘電特性の温度に対する依存性(温度依存性)や直流電圧に対する依存性(DCバイアス依存性)が小さい等の種々の特性が要求される。
また、誘電体層の薄層化に伴い、積層セラミックコンデンサに印加する電界の増大による信頼性低下を抑制するために、粒子径のより小さい誘電体材料が使用されるようになってきているが、例えば、下記の特許文献1によれば、水熱合成法や加水分解法などの製法により調製した原料粉末を用いることにより、焼結後においてもサブミクロン粒径の主結晶粒子を有する誘電体層が得られている。
一方、上述のような誘電体層を有する積層セラミックコンデンサにおいて、誘電体層の薄層化に伴うデラミネーションの発生を防止するために、誘電体層を構成するBaTiOを主成分とする誘電体磁器中にAlなどの副成分を添加することが記載されている(例えば、特許文献2)。
特開平9−241075号 特開2001−247361号
しかしながら、上記特許文献1に開示された誘電体磁器は、厚みが3μmと薄層化され、主結晶粒子の平均粒径が0.1〜0.3μmであり、また、温度特性の異なる2種類以上の微細な主結晶粒子により構成され、温度依存性が小さくなっているものの、このような粒子サイズでは、最大でも2100程度の比誘電率しか得られず、高容量化に限界があった。
また、この特許文献1にて用いられる原料のように、粒子サイズが0.3μm以下になると、焼結時に容易に固溶体を形成し粒成長してしまうため、原料粒子サイズを維持したまま緻密な焼結体を作製することが極めて困難であり、このような誘電体磁器を用いて作製された積層セラミックコンデンサは、焼成時や外部電極形成時にチッピング(欠け)しやすいという問題が生じていた。
一方、特許文献2にかかるAlを添加した誘電体磁器は、高い比誘電率を有するものであるが、そもそも、このような磁器は、特許文献2に記載の製法によれば、Alを、BaCO、TiO、MnCOおよびMgOなどの各種素原料とともに一括で混合し、仮焼、焼成されたものであり、このような製法により形成された誘電体磁器では、主成分であるBaTiOの主結晶粒子の内部にAlが固溶しており、高い比誘電率は得られるものの、反面、比誘電率の温度依存性が大きいという問題があった。
従って、本発明は、結晶粒子を微細化しても高い比誘電率を維持し、比誘電率の温度依存性が小さく、また、チッピングのない誘電体磁器および積層型電子部品ならびに積層型電子部品の製法を提供することを目的とする。
本発明の誘電体磁器は、金属元素として、少なくともBa、Ti、MgおよびMnと、Y、DyおよびHoから選ばれる1種の希土類元素を含有するペロブスカイト型複合酸化物からなる主結晶粒子と、粒界相とからなる誘電体磁器において、前記主結晶粒子およ前記粒界相中にAlを含み、Al 換算したときのAlの含有量が、前記主結晶粒子の内部で0.003〜0.0質量%、前記粒界相0.0.95質量%であることを特徴とする。
このような構成によれば、誘電体磁器中に含まれるAl成分を粒子内から極力排除し、一方、粒界に適正量を介在させることにより、主結晶粒子の比誘電率の低下を抑制しつつ、比誘電率の温度依存性を小さくし、かつ主結晶粒子の焼結性を高めチッピングなどの欠陥の発生を防止できる。
上記誘電体磁器では、前記主結晶粒子該主結晶粒子の表面にMO(SiO)型構造(Mはアルカリ土類元素、RはY、DyおよびHoから選ばれる1種の希土類元素)の複合酸化物からなる被覆層を有していることが望ましい。
本発明の誘電体磁器において、特に、主結晶粒子表面に、アルカリ土類元素、希土類元素およびSiからなる複合酸化物を形成すると、この複合酸化物が比較的高い絶縁抵抗を有するため、誘電体層1層当たりの電界強度を高め、誘電体磁器の絶縁破壊電圧を高めることができ、誘電体層を薄層化しても静電容量の温度特性を向上できる。
上記誘電体磁器では、前記主結晶粒子の平均粒径が0.1〜0.4μmであり、c軸/a軸比が1.005以上であることが望ましい。このように微細結晶粒子においても高い正方晶性を有することで、高い誘電率を実現することができる。
上記誘電体磁器では、前記主結晶粒子を構成するBa元素が30原子%以下の比率でCa元素に置換されていることが望ましい。主結晶粒子の一部あるいは全部のBa元素が30原子%以下の比率でCa元素に置き換えることにより、比誘電率の温度特性をさらに平坦化することができる。
つまり、上記誘電体磁器では、比誘電率の温度特性が、JIS規格のB特性(−25〜85℃において、±15%以内)であることが望ましく、さらには、25℃における比誘電率が2500以上であることが望ましい。
本発明の積層型電子部品は、誘電体層と内部電極層とを交互に積層してなる電子部品本体と、該電子部品本体の両端部に設けられた外部電極とを備えた積層型電子部品であって、前記誘電体層が上記の誘電体磁器からなることを特徴とするものであり、特に、誘電体層の厚みが3μm以下であることが望ましい。
本発明の誘電体磁器は、上記したように優れた特性を有するため、主結晶粒子を微細化して誘電体層を薄層化した積層型電子部品を形成したとしても、誘電特性や絶縁抵抗および誘電体磁器の絶縁破壊電圧を高め、誘電体層1層あたりの電界強度を向上することができ、誘電体層を薄層化しても静電容量の温度特性を向上でき、チッピングを抑制できる。
本発明の積層型電子部品の製法は、BaTiO 末の表面に、Y、DyおよびHoから選ばれる1種の希土類元素の酸化物、MgおよびMnOの混合物被覆た被覆BaTiO粉末を調製する工程と、
該被覆BaTiO 粉末に、CaOおよびSi を含み、AlをAl 換算で0.05〜2質量%含有する副成分を、前記BaTiO 粉末100質量部に対して、0.5〜2質量部の割合で添加して混合粉末を調製した後混合粉末に少なくとも有機バインダおよび有機溶媒を加えて誘電体スラリーを調製する工程と、
該誘電体スラリーを用いて誘電体グリーンシートを形成する工程と、
該誘電体グリーンシートの主面上に内部電極パターンを形成する工程と、
該内部電極パターンが形成された前記誘電体グリーンシートを複数積層して、積層成形体を形成する工程と、
該積層成形体を格子状に切断して、電子部品本体の成形体を形成する工程と、
該電子部品本体の成形体を、大気中で5〜40℃/hの昇温速度で200〜400℃にて脱バインダ処理を行い、その後、還元雰囲気中にて500℃からの昇温速度を100〜400℃/hとし、1100〜1300℃の温度で2〜5時間焼成し、続いて100〜400℃/hの降温速度で冷却し、窒素雰囲気中900〜1100℃で処理して、誘電体層と内部電極層とを交互に積層してなる電子部品本体を形成し、前記誘電体層を構成する誘電体磁器の主結晶粒子および粒界相におけるAl 換算したときのAlの含有量を、前記主結晶粒子の内部で0.003〜0.03質量%、前記粒界相で0.4〜0.95質量%とする工程と、
該電子部品本体の両端部に外部電極を形成する工程と
を具備することを特徴とする。
この製法において、先ず、BaTiO 末の表面に、Y、DyおよびHoから選ばれる1種の希土類元素、Mg、およびMnの混合物を被覆し、次に、この被覆BaTiO粉末にAlなどの添加物成分を添加することにより、BaTiOからなる主結晶粒子の表面にほぼ均一に高絶縁性の複合酸化物からなる被覆層を形成できる。このため、主結晶粒子が小さくても後に添加するAlなどの添加物の主結晶粒子への固溶を抑制でき、一方で、添加したAlを粒界相に偏析させることにより、誘電体層の比誘電率を高く維持したまま、薄層化した誘電体層の1層あたりの電界強度を高め、また絶縁破壊電圧を高め、さらには積層型電子部品の静電容量の温度特性を改善でき、チッピングの発生をも抑制することができる。
発明によれば、BaTiO 末の表面に、Y、DyおよびHoから選ばれる1種の希土類元素、MgおよびMnの混合物が被覆された被覆BaTiO粉末と、CaOおよびSi を含み、AlをAl 換算で0.05〜2質量%含有する副成分とを、BaTiO 粉末100質量部に対して、0.5〜2質量部の割合で混合したものを焼成し、結果として、Al 換算したときのAlの含有量、主結晶粒子の内部で0.003〜0.03質量%粒界相0.0.95質量%とすることにより、主結晶粒子の比誘電率の低下を抑制しつつ、比誘電率の温度依存性を小さくし、絶縁抵抗や絶縁破壊電圧を高め、かつ主結晶粒子の焼結性を高めチッピングなどの欠陥の発生を防止できる。
本発明の誘電体磁器は金属元素として、少なくともBa、Ti、Y、DyおよびHoから選ばれる1種の希土類元素、MgおよびMnを含有するペロブスカイト型複合酸化物からなる主結晶粒子と、粒界相とからなる誘電体磁器であって、主結晶粒子内部Al元素がAl 換算で0.003〜0.0質量%あるとともに、粒界相に平均してAl元素をAl 換算で0.質量%から0.95質量%の割合で含有することにより優れた特性を示す。
主結晶粒子は、BaTiO系のペロブスカイト型複合酸化物またはBaの一部がCaで置換されたペロブスカイト型複合酸化物さらにはその混合物であってもよい。主結晶粒子のBサイトには、通常、Y、DyおよびHoから選ばれる1種の希土類元素、MgおよびMnが固溶している。また、この主結晶粒子表面にはCaY、DyおよびHoから選
ばれる1種の希土類元素およびSiを含有する複合酸化物からなる被覆層が形成されており、該被覆層がMO(SiO)型構造(Mはアルカリ土類元素、Rは希土類元素)を有する。この被覆層は主結晶粒子の全周を取り囲むように形成されている。この被覆層を含め、主結晶粒子内部に含有するAl元素は、Al に換算して0.003〜0.0質量%あることが重要である。それ以上Alが主結晶相に含有された場合、特に、微小粒子の場合には比誘電率の低下が著しく、積層型電子部品としての使用に耐えない
一方、粒界相は、例えば、CaO(SiO)結晶相や、他のCa、Y、Si、およびLi等を含む化合物から構成されており、この化合物に、平均して0.質量%から0.95質量%の割合でAl元素がAl 換算で含有されることにより、粒界相の強度、靱性が向上しチッピングの発生が抑制される
これに対して、主結晶粒子内部のAl 含有量が0.0質量%より多い場合には、比誘電率の温度依存性が大きくなる。
粒界相におけるAl含有量が0.質量%より少ない場合には、誘電体磁器の強度が低下しチッピングしやすくなる。また、この粒界相におけるAl含有量が0.95質量%より多い場合には、誘電体磁器の比誘電率が低下する。
Mg、Mnについては、殆どが主結晶粒子内に固溶するが、一部粒界に存在し、非晶質相を形成する場合がある。また、結晶相や被覆層を構成するこのCaO(SiO)結晶相中のYの代わりに、DyおよびHoを用いても同様の複合酸化物を形成することができるが、特に、高誘電率化という点からYが望ましい。
一方、このCaO(SiO)結晶相中のCaの代わりに、他のアルカリ土類元素を用いても同様の複合酸化物を形成することができるが、高い電界強度を有するために高絶縁抵抗化という点からCaがい。
これらの主結晶粒子から構成されるシート状の誘電体層1層の厚みは3μm以下とされている。積層型電子部品A、例えば、積層セラミックコンデンサの大容量化に対して、誘電体層を薄層化することは効果的な手段であり、近年の小型、高容量の積層セラミックコンデンサを構成するためには、その誘電体層厚みは、静電容量の向上の点で薄層化することが、絶縁性向上の点で厚みの確保が必要であり、よって1〜3μmが好適である。
また、主結晶粒子の平均粒径は高い絶縁抵抗を有するという理由から1μm以下、誘電体層を3μm以下とするためには、特には0.1〜0.4μmの範囲が望ましい。さらに、このような粒径で高い誘電率を発現するために、結晶粒子の正方晶性はc軸/a軸比が1.005以上であることが望ましい。c軸/a軸比がこれよりも小さいと、必要な容量を得るために誘電体層は1μm以下となるが、粒成長、添加物の固溶が必要以上に進行しやすく、所望の温度特性が得られない場合がある。このように、誘電体層の厚みが3μm以下の薄い誘電体層の場合には、厚い誘電体層に対する絶縁抵抗よりも高い絶縁抵抗が要求されるが、本発明の誘電体磁器では、上記したように高い誘電率、絶縁抵抗を有するため、特に望ましい。
そして。このような誘電体磁器は積層セラミックコンデンサに代表されるような積層型電子部品に好適である。
即ち、本発明の積層型電子部品は、誘電体層と内部電極層とを交互に積層してなる電子部品本体5を備えてなるものである。
本発明の積層型電子部品は、先ず、誘電体層となるグリーンシートを作製する。このグリーンシートは、例えば、BaTiO 末を用いて形成する。
主原料のBaTiOの合成法は、固相法、液相法(シュウ酸塩を経過する方法等)、水熱合成法等があるが、そのうち粒度分布が狭く、結晶性が高いという理由から水熱合成法が望ましい。BaTiOの比表面積は1.7〜12.5(m/g)、平均粒径は0.1〜0.4μmが好ましい。
そして、本発明の誘電体磁器を作製するには、BaTiO 末として、その表面をY,DyおよびHoから選ばれる1種の希土類元素、Mg、Mnの混合物で被覆したもの(以下、被覆BaTiO粉ということもある)を用いることが重要である。このようなBaTiO 末の被覆手法としては、固相法、液相法、気相法などがあるが、手法は特に限定されるものではない。上記のBaTiOの表面に形成された被覆膜は、Y、DyおよびHoから選ばれる1種の希土類元素、Mg、Mnの3種類の元素が混合されて、これらの元素が酸化物の状態で混在した状態となっていてもよいし、層状に形成されていてもよい。さらに、この被覆BaTiO を700℃から1000℃で熱処理し、被覆成分、特にMg、Mnを原料粉末粒子の外周部に固溶させることで他の添加成分が粒子内部に入しにくくなる。
また、Y,DyおよびHoから選ばれる1種の希土類元素、Mg、Mnによる被覆量は、BaTiOが100重量部に対して酸化イットリウム(Y)を0.5〜1.5モル部、酸化マグネシウム(MgO)を0.1〜0.3モル部、酸化マンガン(MnO)を0.1〜0.3モル部の割合が望ましい。
グリーンシートの誘電体磁器組成は、この被覆BaTiO粉と、少なくともLiO、SiO、CaO、及び0.05〜2質量%のAlを含む添加物成分(Li、SiおよびCaのモル比が、それぞれ、0.9〜1.2:4.8〜5.3:0.5〜2.3)を、BaTiO100質量部に対して0.5〜2質量部添加して構成されている。なお、上記BaTiOの他、その一部あるいは全部が、Baの一部がCaに置換された粉体を使用することもできる。
次に、上記グリーンシートに内部電極ペーストを塗布して内部電極パターンを形成し、これを乾燥させ、この内部電極パターンが形成されたグリーンシートを複数枚積層し、熱圧着させる。その後、この積層物を格子状に切断して、電子部品本体の成形体を得る。この電子部品本体の成形体の両端面には、内部電極パターンの端部が交互に露出している。
次に、この電子部品本体の成形体を大気中で5〜40℃/hの昇温速度で200〜400℃にて脱バインダ処理を行い、その後、還元雰囲気中で少なくとも500℃からの昇温速度を100〜400℃/hとし、1100〜1300℃の温度で2〜5時間焼成し、続いて100〜400℃/hの降温速度で冷却し、窒素雰囲気中900〜1100℃で再酸化処理を行う。
特に、500℃からの昇温速度を100〜400℃/hとし、1150〜1260℃の温度で焼成することにより、被覆された希土類元素、Mg、Mnが、主結晶粒子中により中央部側まで存在するようになるとともに、アルカリ土類元素、Y,DyおよびHoから選ばれる1種の希土類元素およびSiを含有する複合酸化物を粒界相に存在させるとともに、Al主結晶粒子中への進入を防ぎ、粒界相に存在させることができる。
これはBaTiOの表面に、Y、DyおよびHoから選ばれる1種の希土類元素、MgおよびMnを被覆しているため、これらのY、DyおよびHoから選ばれる1種の希土類元素、MgおよびMnBaTiO粉末へ固溶し易くなり、BaTiO内部まで全体に存在するようになるが、そのうちMgおよびMnが優先的にBaTiO粉末へ固溶していくため、被覆している希土類元素のうち一部がBaTiO粉末に固溶しきれず、BaTiO 表面に取り残され、上記したような、500℃から焼結温度までの昇温速度を従来よりも低い100〜400℃/hとすることにより、添加物成分として添加したCaO、SiOと反応し、アルカリ土類元素、希土類元素およびSiとの複合酸化物、例えばCaO(SiO)結晶相からなる被覆層が主結晶粒子表面に生成すると考えている。
この後、焼成した電子部品本体をボールミルにてバレル研磨し、その両端面に、外部電極ペーストを塗布して窒素中で焼き付けることによって外部電極を形成する。さらに外部電極の表面を脱脂、酸洗浄、純水を用いた水洗を行った後、バレル方式により、メッキを行う。
積層型電子部品の一つである積層セラミックコンデンサを以下のようにして作製した。まず、誘電体素材料として、平均粒径が2.5μmのBaTiO粉末を用い、このBaTiO粉末100重量部に対して、MgOを0.2モル部、MnCOを0.1モル部と、Y、Dy、およびHoのうちのいずれか1種類0.5mol部とを、Mg、Mn、Y等が混在した状態で存在するように被覆し、この被覆BaTiO粉に対して、Alを1質量%含有するLiOおよびSiOと、CaOからなる添加物成分を、被覆BaTiO粉100質量部に対して、1質量部添加し、直径5mmのZrOボールを用いたボールミルにて湿式粉砕することにより調製した。
次に、この粉末に有機バインダを混合してスラリーを調製し、ドクターブレードによりグリーンシートを作製した。その厚みは3.0μmである。
次にこのグリーンシート上に、Niを主成分とする内部電極ペーストをスクリーン印刷した。
次に、内部電極ペーストを印刷したグリーンシートを100枚積層し、その上下面に、内部電極ペーストを印刷していないグリーンシートをそれぞれ20枚積層し、プレス機を用いて一体化し、積層成形体を得た。
この後、積層成形体を格子状に切断して、2.3mm×1.5mm×0.5mmの電子部品本体の成形体を作製した。
次に、この電子部品本体の成形体を10℃/hの昇温速度で大気中で250℃/hにて脱バインダー処理を行い、500℃からの昇温速度が150℃/hの昇温速度で、1150℃〜1250℃(酸素分圧10−11atm)で2時間焼成し、続いて150℃/hの降温速度で1000℃まで冷却し、窒素雰囲気中1000℃で4時間再酸化処理をし、150℃/hの降温速度で冷却し、電子部品本体を作製した。この内部電極層5の有効面積は2.1mmであった。また、誘電体層の厚みは2.3μmであった。また、誘電体粉末として、BaTiOのBaサイトをCaで10モル%置換したものも同様に作製した。
比較例として、被覆のないBaTiO100モル部に対して、粉末状のMgOを0.2モル部、MnCOを0.1モル部と、表1に示す割合の、Yを加え、さらにこれらの混合物100重量部に対して、LiOとSiOとBaOおよびAlからなる低融点ガラス成分(それぞれ20モル%、50モル%、20モル%、10mol%)を1重量部加えた組成物を湿式調製して、厚み3.0μmのグリーンシートを作製した。この比較例となる試料についても上記した積層、焼成工程を経て作製した。
次に、焼成した電子部品本体をバレル研磨した後、電子部品本体の両端部にCu粉末とガラスを含んだ外部電極ペーストを塗布し、850℃、窒素中で焼き付けを行い外部電極を形成した。その後、電解バレル機を用いて、この外部電極の表面に、順にNiメッキおよびSnメッキを行い、積層セラミックコンデンサを作製した。
次に、これらの積層セラミックコンデンサの比誘電率、絶縁耐圧、静電容量の温度特性の測定を行った。比誘電率及び静電容量の温度特性は周波数1.0kHz、測定電圧0.5Vrmsの測定条件で、また絶縁耐圧は、リーク電流が0.5Aに達したときの電圧を測定した。また、バレル研磨時に100個あたり発生したチッピングの個数を表1に記載した。また、比誘電率は、静電容量と内部電極層の有効面積、誘電体層の厚みから算出した。主結晶粒子の平均粒径は断面の電子顕微鏡観察よりインターセプト法により求めた。結晶粒子のc/aはX線回折により求めた。結果を表1に記載する。
尚、誘電体層中の被覆層の評価は、電子顕微鏡観察およびEDS測定と微小領域電子線回折法により行った。主結晶粒子内および粒界層中のAl量は透過電子顕微鏡観察およびEDS測定により算出した。
Figure 0004614656
表1の結果から明らかなように、本発明にかかる試料No.1、3、5〜7では、比誘電率が2050以上、静電容量の温度依存性が−10〜0%の範囲内、絶縁耐圧が210V以上でチッピングが無かった。また、本発明の試料では、いずれも主結晶粒子の平均粒径は0.4μm以下、結晶粒子のc/aは1.005以上であった。
一方、粒界層のAl含有量が本発明の範囲に満たない場合、バレル研磨時に多くのチッピングが発生し、粒内において本発明の範囲よりもAl含有量が多いと温度特性が大きくなった。

Claims (6)

  1. 金属元素として、少なくともBa、Ti、MgおよびMnと、Y、DyおよびHoから選ばれる1種の希土類元素を含有するペロブスカイト型複合酸化物からなる主結晶粒子と、粒界相とからなる誘電体磁器において、前記主結晶粒子およ前記粒界相中にAlを含み、Al 換算したときのAlの含有量が、前記主結晶粒子の内部で0.003〜0.0質量%、前記粒界相0.0.95質量%であることを特徴とする誘電体磁器。
  2. 前記主結晶粒子該主結晶粒子の表面にMO(SiO)型構造(Mはアルカリ土類元素、RはY、DyおよびHoから選ばれる1種の希土類元素)の複合酸化物からなる被覆層を有していることを特徴とする請求項1に記載の誘電体磁器。
  3. 前記主結晶粒子の平均粒径が0.1〜0.4μmであり、c軸/a軸比が1.005以上であることを特徴とする請求項1または2記載の誘電体磁器。
  4. 前記主結晶粒子を構成するBa元素が30原子%以下の比率でCa元素に置換されていることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか記載の誘電体磁器。
  5. 誘電体層と内部電極層とを交互に積層してなる電子部品本体と、該電子部品本体の両端部に設けられた外部電極とを備えた積層型電子部品であって、前記誘電体層が請求項1乃至のうちいずれか記載の誘電体磁器からなることを特徴とする積層型電子部品。
  6. BaTiO 末の表面に、Y、DyおよびHoから選ばれる1種の希土類元素の酸化物、MgおよびMnOの混合物被覆た被覆BaTiO粉末を調製する工程と、
    該被覆BaTiO 粉末に、CaOおよびSi を含み、AlをAl 換算で0.05〜2質量%含有する副成分を、前記BaTiO 粉末100質量部に対して、0.5〜2質量部の割合で添加して混合粉末を調製した後混合粉末に少なくとも有機バインダおよび有機溶媒を加えて誘電体スラリーを調製する工程と、
    該誘電体スラリーを用いて誘電体グリーンシートを形成する工程と、
    該誘電体グリーンシートの主面上に内部電極パターンを形成する工程と、
    該内部電極パターンが形成された前記誘電体グリーンシートを複数積層して、積層成形体を形成する工程と、
    該積層成形体を格子状に切断して、電子部品本体の成形体を形成する工程と、
    該電子部品本体の成形体を、大気中で5〜40℃/hの昇温速度で200〜400℃にて脱バインダ処理を行い、その後、還元雰囲気中にて500℃からの昇温速度を100〜400℃/hとし、1100〜1300℃の温度で2〜5時間焼成し、続いて100〜400℃/hの降温速度で冷却し、窒素雰囲気中900〜1100℃で処理して、誘電体層と内部電極層とを交互に積層してなる電子部品本体を形成し、前記誘電体層を構成する誘電体磁器の主結晶粒子および粒界相におけるAl 換算したときのAlの含有量を、前記主結晶粒子の内部で0.003〜0.03質量%、粒界相で0.4〜0.95質量%とする工程と、
    該電子部品本体の両端部に外部電極を形成する工程と
    を具備することを特徴とする積層型電子部品の製法。
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