JPH08330107A - 積層型バリスタ - Google Patents

積層型バリスタ

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JPH08330107A
JPH08330107A JP8088782A JP8878296A JPH08330107A JP H08330107 A JPH08330107 A JP H08330107A JP 8088782 A JP8088782 A JP 8088782A JP 8878296 A JP8878296 A JP 8878296A JP H08330107 A JPH08330107 A JP H08330107A
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友宏 嵐
Yukie Nakano
幸恵 中野
Atsushi Hitomi
篤志 人見
Akira Sato
陽 佐藤
Takeshi Nomura
武史 野村
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 積層型バリスタの容量を高くし、しかも耐サ
ージ性を改善する。 【構成】 セラミックス層と内部電極層とが交互に積層
された構成のバリスタチップ体を有し、セラミックス層
が、Tiおよび/またはZrと、Baとを含む複合酸化
物を主成分とし、Siおよび/またはAlを副成分とし
て含有し、Crを実質的に含有せず、ペロブスカイト相
を含み、内部電極層に含まれる導電材が卑金属を主成分
とし、回路中においてノイズを抑制する積層型バリス
タ。セラミック層がCrを実質的に含まないため、耐サ
ージ性が良好である。このため、特に自動車の電気回路
などのように強烈なサージが発生しやすい用途でのノイ
ズ吸収素子に好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バリスタ特性を示
すセラミック層が内部電極層を介して積層された構造の
積層型バリスタに関する。
【0002】
【従来の技術】低電圧で動作する電子機器などでは、高
電圧のパルス性ノイズを吸収するためにバリスタが利用
されている。一方、低電圧や高周波の交流性ノイズの除
去には、バイパスコンデンサが利用されている。そし
て、これら両者の機能を兼備するものとしてバリスタ機
能付きセラミックコンデンサが提案され、さらに、容量
や信頼性を低下させることなく小型化するために、積層
型とすることが提案されている(特開平5−82386
号公報、同5−275270号公報、同6−17695
4号公報、同6−340472号公報等)。
【0003】しかし、特開平5−82386号公報、同
5−275270号公報、同6−176954号公報に
開示されているようなSrTiO3 を主成分とする粒界
絶縁型半導体セラミックスは、容量が小さいため、交流
性ノイズの除去が十分ではなく、また、パルス状ノイズ
の立ち上がりを抑制する作用が弱い。
【0004】特開平6−340472号公報では、10
0モルのBaTiO3 、0.01〜2モルのMnOおよ
び0.01〜10モルのY23 からなる誘電体組成物
と、0.01〜1モルのCr23 および0.5〜10
モルのBaSiO3 、CaSiO3 、(Bax Ca
1-x )SiO3 (ただし、0.43≦x≦0.62)の
うちから選ばれた少なくとも1種のガラス成分とからな
るセラミック組成物を用いて、バリスタ機能付き積層型
セラミックコンデンサを作製している。このセラミック
組成物では、Cr23 はバリスタ特性を発現させるた
めに添加される。この積層型セラミックコンデンサは、
比誘電率が高いため高容量が得られるが、Crを含むた
め、用途によっては耐サージ性が不十分となる。例え
ば、自動車の電気回路では、モーター、スパークプラ
グ、静電気などによりサージが発生しやすいが、このよ
うなサージによりショート破壊してしまうという問題が
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、積層
型バリスタの容量を高くし、しかも耐サージ性を改善す
ることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(12)のいずれかの構成により達成される。 (1)セラミックス層と内部電極層とが交互に積層され
た構成のバリスタチップ体を有し、セラミックス層が、
Tiおよび/またはZrと、Baとを含む複合酸化物を
主成分とし、Siおよび/またはAlを副成分として含
有し、Crを実質的に含有せず、ペロブスカイト相を含
み、内部電極層に含まれる導電材が卑金属を主成分と
し、回路中においてノイズを抑制する積層型バリスタ。 (2)セラミックス層の主成分である複合酸化物が、 式 (Ba1-x-y Cax Srym (Ti1-z Zrz
3 (上記式において、x、y、zおよびmはモル比を表わ
し、 0≦x≦0.4、 0≦y≦0.4、 0≦z≦0.3、 0.9≦m≦1.2 である)で表わされる上記(1)の積層型バリスタ。 (3)0≦x+y≦0.1である上記(2)の積層型バ
リスタ。 (4)SiをSiO2 に、AlをAl23 にそれぞれ
換算したとき、主成分の複合酸化物に対するSiO2
Al23 の比率が0.01〜5重量%である上記
(2)または(3)の積層型バリスタ。 (5)主成分の複合酸化物に対するSiO2 +Al2
3 の比率が2重量%以下である上記(4)の積層型バリ
スタ。 (6)セラミックス層がMnを含み、MnをMnOに換
算したとき、主成分の複合酸化物に対するMnOの比率
が5重量%以下である上記(2)〜(5)のいずれかの
積層型バリスタ。 (7)セラミックス層が、Mg、Fe、Co、Ni、C
u、Zn、Sn、Sb、PbおよびBiの少なくとも1
種を含み、これらをそれぞれ酸化物(MgO、Fe2
3 、CoO、NiO、CuO、ZnO、SnO2 、Sb
23 、PbOおよびBi23 )に換算したとき、主
成分の複合酸化物に対する前記各酸化物の比率の合計が
5重量%以下である上記(2)〜(6)のいずれかの積
層型バリスタ。 (8)セラミックス層が、Nb、Ta、Y、W、La、
Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、H
o、Er、Tm、YbおよびLuの少なくとも1種を含
み、これらをそれぞれ酸化物(Nb25 、Ta2
5 、Y23 、WO3 、La23 、CeO2 、Pr2
3 、Nd23 、Sm23 、Eu23 、Gd2
3 、Tb23 、Dy23 、Ho23 、Er2
3 、Tm23 、Yb23 およびLu23 )に換算
したとき、主成分の複合酸化物に対する前記各酸化物の
比率の合計が5重量%以下である上記(2)〜(7)の
いずれかの積層型バリスタ。 (9)セラミックス層の厚さが25μm 以下である上記
(1)〜(8)のいずれかの積層型バリスタ。 (10)内部電極層に含まれる導電材がNiまたはNi
合金である上記(1)〜(9)のいずれかの積層型バリ
スタ。 (11)酸素分圧1×10-8〜1×10-15 気圧の雰囲
気中において1100〜1500℃で焼成されたもので
ある上記(1)〜(10)のいずれかの積層型バリスタ。 (12)焼成後に、酸素分圧1×10-3気圧以下の雰囲
気中において1200℃以下でアニールされたものであ
る上記(1)〜(11)のいずれかの積層型バリスタ。
【0007】
【作用および効果】本発明の積層型バリスタは、(B
a,Ca,Sr)(Ti,Zr)O3 を主成分とするペ
ロブスカイト構造のセラミック層を有するため、高容量
が得られる。そして、セラミック層がSiおよび/また
はAlを含有するので、電圧−電流特性が非直線性をも
つバリスタ特性を示す。
【0008】そして、本発明ではセラミック層がCrを
実質的に含まないため、耐サージ性が良好である。この
ため、本発明の積層型バリスタは、特に自動車の電気回
路などのように強烈なサージが発生しやすい用途でのノ
イズ吸収素子に好適である。
【0009】なお、前記した特開平6−340472号
公報には、Cr23 を含まない比較例(試料No. 1
5)が記載されているが、本発明の積層型バリスタと異
なり、この比較例の試料はバリスタ特性を示しておら
ず、バリスタ機能付きのコンデンサとして使用すること
はできない。また、この比較例の試料の誘電体層の組成
を本発明と同様に上記式により表わすと、主成分の複合
酸化物に対するSiO2 の比率は2.17重量%{ただ
し、(Bax Ca1-x )SiO3 においてx=0.5}
となり、SiO2 の比率が比較的高い。このため、静電
容量が比較的小さくなってしまう。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的構成につい
て詳細に説明する。
【0011】本発明の積層型バリスタの構成例の断面図
を、図1に示す。
【0012】図1に示されるように、本発明の積層型バ
リスタ1は、セラミックス層2と内部電極層3とが交互
に積層された構成のバリスタチップ体10を有し、この
バリスタチップ体10表面に、内部電極層3と導通する
外部電極4を有する。バリスタチップ体10の形状に特
に制限はないが、通常、直方体状とされる。また、その
寸法にも特に制限はなく、用途に応じて適当な寸法とす
ればよいが、通常、(1.0〜5.6mm)×(0.5〜
5.0mm)×(0.5〜1.9mm)程度である。内部電
極層3は、その端面がバリスタチップ体10の対向する
2表面に交互に露出するように積層され、外部電極4
は、バリスタチップ体10の前記対向する2表面に形成
され、所定のコンデンサ回路を構成する。
【0013】<セラミックス層2>セラミックス層2
は、Tiおよび/またはZrと、Baとを含む複合酸化
物を主成分とする。このような主成分を用いるのは、比
誘電率の大きなペロブスカイト型酸化物が形成できるか
らである。主成分の複合酸化物は、 式 (Ba1-x-y Cax Srym (Ti1-z Zrz
3 で表わされるものが好ましい。上記式において、x、
y、zおよびmはモル比を表わし、 0≦x≦0.4、 0≦y≦0.4、 0≦z≦0.3、 0.9≦m≦1.2 であり、好ましくは、 0≦x≦0.1、 0≦y≦0.1、 0≦z≦0.1、 0.95≦m≦1.10 である。また、好ましくは 0≦x+y≦0.1 である。xが大きすぎると、低温域、特に0℃以下にお
いて比誘電率が大幅に低下するので、好ましくない。y
が大きすぎると、高温域、特に100℃以上において比
誘電率が大幅に低下するので、好ましくない。また、x
+yが大きすぎると焼結性が低下して緻密化が不十分と
なるので、好ましくない。zが大きすぎると、高温域、
特に100℃以上において比誘電率が大幅に低下するの
で、好ましくない。mが小さすぎても大きすぎても焼結
性が低下して緻密化が不十分となるので、好ましくな
い。
【0014】セラミックス層中には、Siおよび/また
はAlが副成分として含有される。これらは、電圧−電
流非直線性を示す粒界相を形成する。また、これらは、
焼結助剤としてもはたらく。SiをSiO2 に、Alを
Al23 にそれぞれ換算したとき、主成分の複合酸化
物に対するSiO2 +Al23 の比率は、好ましくは
0.01〜5重量%、より好ましくは0.1〜3重量
%、さらに好ましくは0.1〜2重量%である。SiO
2 +Al23 の比率が低すぎると電圧−電流非直線
性、いわゆるバリスタ特性が得られない。一方、SiO
2 +Al23 の比率が高すぎると比誘電率が大幅に低
下するので、好ましくない。
【0015】セラミックス層中には、副成分としてMn
が含まれることが好ましい。Mnは電圧非直線係数を増
大させる。また、Mnはセラミックス層焼成時の耐還元
性を向上させるため、絶縁抵抗の劣化防止および損失 t
anδの低減に有効である。MnをMnOに換算したと
き、主成分の複合酸化物に対するMnOの比率は、好ま
しくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下であ
る。MnOの比率が高すぎると、バリスタ電圧より低い
印加電圧での絶縁抵抗が小さくなるので、好ましくな
い。なお、電圧非直線係数の増大および耐還元性の向上
のためには、MnOの比率を0.001重量%以上、特
に0.005重量%以上とすることが好ましい。
【0016】セラミックス層中には、副成分としてM
g、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sn、Sb、Pb
およびBiの少なくとも1種が含まれることが好まし
い。これらは、誘電率の温度特性を改善する効果を示
す。これらのうちでは、Mg、Co、Zn、Pbおよび
Biの少なくとも1種が好ましく、特に、Mgを必須と
することが好ましい。Mgは、直流電界下における容量
の経時変化を抑える効果も示す。また、Mg、Pbおよ
びBiはセラミックス層の再酸化を容易にするため、誘
電損失の低減、電圧非直線係数の増大、バリスタ電圧の
増大に効果的である。これらをそれぞれ酸化物(Mg
O、Fe23 、CoO、NiO、CuO、ZnO、S
nO2 、Sb23 、PbOおよびBi23 )に換算
したとき、主成分の複合酸化物に対する前記各酸化物の
比率の合計は、好ましくは5重量%以下、より好ましく
は1重量%以下である。前記各酸化物の比率の合計が高
すぎると、焼結性が急激に悪化し、緻密化が不十分とな
って絶縁抵抗の劣化が生じやすくなり、また、高い比誘
電率が得られない。なお、前記各酸化物の添加による効
果を十分に発揮させるためには、主成分の複合酸化物に
対する前記各酸化物の比率の合計を、好ましくは0.0
01重量%以上、より好ましくは0.01重量%以上と
する。
【0017】セラミックス層中には、副成分としてN
b、Ta、Y、W、La、Ce、Pr、Nd、Sm、E
u、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybおよび
Luの少なくとも1種が含まれることが好ましい。これ
らは、セラミックス層の半導体化を促進して電圧非直線
係数を増大させるため、バリスタとしての特性が向上す
る。これらのうちでは、Nb、Y、W、La、Ce、N
dおよびSmの少なくとも1種が好ましく、特にNbお
よびYの少なくとも1種を必須とすることが好ましい。
これらをそれぞれ酸化物(Nb25 、Ta25 、Y
23 、WO3 、La23 、CeO2 、Pr23
Nd23 、Sm23 、Eu23 、Gd23 、T
23 、Dy23 、Ho23 、Er23 、Tm
23 、Yb23 およびLu23 )に換算したと
き、主成分の複合酸化物に対する前記各酸化物の比率の
合計は、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重
量%以下である。前記各酸化物の比率の合計が高すぎる
と、比誘電率が大幅に低下してしまう。なお、前記各酸
化物の添加による効果を十分に発揮させるためには、主
成分の複合酸化物に対する前記各酸化物の比率の合計
を、好ましくは0.001重量%以上、より好ましくは
0.005重量%以上とする。
【0018】なお、セラミックス層中の酸化物の酸化状
態は特に限定されず、各酸化物を構成する金属元素の比
率が上記条件を満足していればよい。
【0019】本発明では、耐サージ性を向上させるため
に、セラミックス層にCrを実質的に含有させない。C
rが実質的に含有されないとは、不純物としてCrが含
まれる場合でもCr含有率がCr23 に換算して0.
0005重量%以下であることを意味する。
【0020】セラミックス層は、ペロブスカイト相を含
む。セラミックス層の結晶粒は、通常、BaTiO3
MnO、MgOなどからなるコア部の周囲を、SiO
2 、Al23 、半導体化剤(Y23 等)などに富む
シェル部が取り囲んだ、いわゆるコア−シェル構造とな
っている。
【0021】セラミックス層の平均結晶粒径は特に限定
されないが、上記組成とすることにより微細な結晶粒が
得られ、通常、平均結晶粒径は0.2〜0.7μm 程度
となる。
【0022】セラミックス層の一層あたりの厚さは、好
ましくは25μm 以下、より好ましくは15μm 以下と
する。セラミックス層が厚すぎると、単位体積あたりの
取得可能な静電容量が小さくなり、素子の小型化と高性
能化との両立が難しくなるので、好ましくない。なお、
セラミックス層の厚さは、通常、1μm 以上、特に3μ
m 以上とすることが好ましい。セラミックス層が薄すぎ
ると、バリスタ電圧より低い印加電圧での絶縁抵抗が小
さくなるので、好ましくない。セラミックス層の積層数
は、通常、1以上、好ましくは2〜200程度とする。
この場合の積層数とは、内部電極層で挟まれたセラミッ
クス層の数を意味する。図中の最上層および最下層のセ
ラミックス層は、内部電極層の保護および絶縁ならびに
バリスタチップ体の全厚Tの調整のために設けられるセ
ラミックス保護層21である。セラミックス保護層の厚
さは特に限定されず、セラミックス層および内部電極層
それぞれの厚さ、積層数ならびにバリスタチップ体全厚
Tに応じて決定すればよいが、少なくともセラミックス
層と同等以上の厚さとすることが好ましい。なお、セラ
ミックス保護層を厚くすれば、後述するアニールの際に
セラミックス層の再酸化が進みにくくなり、薄くすれば
再酸化が進みやすくなる。すなわち、セラミックス保護
層の厚さの変更により、セラミックス層の再酸化の程度
を制御することが可能である。
【0023】<内部電極層3>内部電極層3に含有され
る導電材には、卑金属を主成分とするものを用いる。セ
ラミックス層2は、バリスタとして必要な半導体性を得
るために、還元性雰囲気下で焼成されるので、内部電極
層には卑金属を用いることができる。導電材として用い
る卑金属としては、融点が比較的高いことからNiまた
はNi合金が好ましい。Ni合金としては、Mn、C
r、CoおよびAlから選択される1種以上の元素とN
iとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95重量
%以上であることが好ましい。
【0024】なお、NiまたはNi合金中には、P等の
各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよ
い。
【0025】内部電極層の厚さは用途等に応じて適宜決
定すればよいが、通常、1〜5μm、特に2〜3μm 程
度であることが好ましい。
【0026】<外部電極4>外部電極4に含有される導
電材は特に限定されないが、本発明では安価なNi、C
uや、これらの合金を用いることができる。
【0027】外部電極の厚さは用途等に応じて適宜決定
すればよいが、通常、10〜50μm 程度であることが
好ましい。
【0028】<製造方法>本発明の積層型バリスタは、
ペーストを用いた通常の印刷法やシート法によりグリー
ンチップを作製し、これを焼成した後、外部電極を印刷
ないし転写して焼成することにより製造される。
【0029】<セラミックス層用ペースト>セラミック
ス層用ペーストは、誘電体原料と有機ビヒクルとを混練
して製造される。
【0030】誘電体原料には、上記した複合酸化物や酸
化物の混合物を用いることができるが、その他、焼成に
より上記した複合酸化物や酸化物となる各種化合物、例
えば、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金
属化合物等から適宜選択し、混合して用いることができ
る。誘電体原料中の各化合物の含有量は、焼成後に上記
したセラミックス層の組成となるように決定すればよ
い。
【0031】誘電体原料は、通常、平均粒子径0.1〜
1μm 程度の粉末として用いられる。
【0032】有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中
に溶解したものである。有機ビヒクルに用いるバインダ
は特に限定されず、エチルセルロース等の通常の各種バ
インダから適宜選択すればよい。また、用いる有機溶剤
も特に限定されず、印刷法やシート法など、利用する方
法に応じて、テルピネオール、ブチルカルビトール、ア
セトン、トルエン等の各種有機溶剤から適宜選択すれば
よい。
【0033】<内部電極層用ペースト>内部電極層用ペ
ーストは、上記した各種導電性金属や合金からなる導電
材、あるいは焼成後に上記した導電材となる各種酸化
物、有機金属化合物、レジネート等と、上記した有機ビ
ヒクルとを混練して調製する。
【0034】<外部電極用ペースト>外部電極用ペース
トは、上記した内部電極層用ペーストと同様にして調製
すればよい。
【0035】<有機ビヒクル含有量>上記した各ペース
ト中の有機ビヒクルの含有量に特に制限はなく、通常の
含有量、例えば、バインダは1〜5重量%程度、溶剤は
10〜50重量%程度とすればよい。また、各ペースト
中には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体、絶
縁体等から選択される添加物が含有されていてもよい。
これらの総含有量は、10重量%以下とすることが好ま
しい。
【0036】<グリーンチップ作製>印刷法を用いる場
合、セラミックス層用ペーストおよび内部電極層用ペー
ストを、PET等の基板上に積層印刷し、所定形状に切
断した後、基板から剥離してグリーンチップとする。
【0037】また、シート法を用いる場合、セラミック
ス層用ペーストを用いてグリーンシートを形成し、この
上に内部電極層用ペーストを印刷した後、これらを積層
してグリーンチップとする。
【0038】なお、セラミックス保護層形成のためのグ
リーンシートは、通常、セラミックス層形成のためのグ
リーンシートよりも厚いものとし、かつこれを複数枚積
層して所望の厚さのセラミックス保護層が得られるよう
にする。
【0039】<脱バインダ処理>焼成前に行なわれる脱
バインダ処理は、通常の条件で行えばよいが、内部電極
層の導電材にNiやNi合金等の卑金属を用いる場合、
特に下記の条件で行うことが好ましい。 昇温速度:5〜300℃/時間、特に10〜100℃/
時間 保持温度:200〜400℃、特に250〜300℃ 温度保持時間:0.5〜24時間、特に5〜20時間 雰囲気:空気中
【0040】<焼成>グリーンチップ焼成時の雰囲気
は、内部電極層用ペースト中の導電材の種類に応じて適
宜決定すればよいが、導電材としてNiやNi合金等の
卑金属を用いる場合、焼成雰囲気中の酸素分圧は、好ま
しくは1×10-8〜1×10-15 気圧、より好ましくは
1×10-8〜1×10-12 気圧である。酸素分圧が前記
範囲未満であると、内部電極層の導電材が異常焼結を起
こし、途切れてしまうことがある。また、酸素分圧が前
記範囲を超えると、内部電極層が酸化する傾向にある。
【0041】また、焼成時の保持温度は、好ましくは1
100〜1500℃、より好ましくは1150〜145
0℃、さらに好ましくは1200〜1400℃である。
保持温度が前記範囲未満であると緻密化が不十分であ
り、前記範囲を超えると、不連続な粒成長が発生して特
性にばらつきが生じ、また、直流電界印加時の容量の経
時変化が大きくなるので、好ましくない。
【0042】上記条件以外の各種条件は、下記のように
することが好ましい。 昇温速度:50〜500℃/時間、特に200〜300
℃/時間 温度保持時間:0.1〜10時間、特に0.5〜8時
間、最も好ましくは1〜3時間 冷却速度:50〜500℃/時間、特に200〜300
℃/時間 焼成雰囲気は還元性雰囲気とすることが好ましく、雰囲
気ガスとしては、例えば、N2 とH2 との混合ガスを加
湿して用いることが好ましい。
【0043】<アニール>還元性雰囲気中で焼成した場
合、バリスタチップ体にはアニールが施されることが好
ましい。アニールは、セラミックス層を再酸化するため
の処理である。これにより結晶粒界の電位障壁が高くな
ったり厚くなったりして、電圧非直線係数が増大すると
考えられる。
【0044】アニール雰囲気中の酸素分圧は、好ましく
は1×10-3気圧以下、より好ましくは1×10-8〜1
×10-3気圧、さらに好ましくは1×10-6〜1×10
-3気圧である。酸素分圧が低すぎるとセラミックス層の
再酸化が困難であり、酸素分圧が高すぎると内部電極層
が酸化する傾向がある。
【0045】アニールの際の保持温度は、好ましくは1
200℃以下、より好ましくは500〜1100℃であ
る。保持温度が低すぎるとセラミックス層の酸化が不十
分となって寿命が短くなる傾向にあり、保持温度が高す
ぎると内部電極層が酸化し、容量が低下するだけでな
く、内部電極層とセラミックス層とが反応してしまい、
寿命も短くなる傾向にある。なお、アニールは昇温およ
び降温だけから構成してもよい。この場合、温度保持時
間は零であり、保持温度は最高温度と同義である。
【0046】上記条件以外の各種条件は下記のようにす
ることが好ましい。 温度保持時間:0〜20時間、特に6〜10時間 冷却速度:50〜500℃/時間、特に100〜300
℃/時間 雰囲気用ガスには、加湿したN2 ガス等を用いることが
好ましい。
【0047】なお、上記した脱バインダ処理、焼成およ
びアニールにおいて、N2 ガスや混合ガス等を加湿する
には、例えばウェッター等を使用すればよい。この場
合、水温は5〜75℃程度が好ましい。
【0048】脱バインダ処理、焼成およびアニールは、
連続して行なっても、独立に行なってもよい。
【0049】これらを連続して行なう場合、脱バインダ
処理後、冷却せずに雰囲気を変更し、続いて焼成の保持
温度まで昇温して焼成を行ない、次いで冷却し、アニー
ル工程での保持温度に達したときに雰囲気を変更してア
ニールを行なうことが好ましい。
【0050】また、これらを独立して行なう場合の焼成
工程では、脱バインダ処理工程での保持温度に相当する
温度まで昇温する際には脱バインダ処理と同様な雰囲気
とし、ここで上記焼成雰囲気に変えて保持温度まで昇温
して焼成を行ない、次いでアニール工程での保持温度に
相当する温度まで降温し、ここで上記アニール雰囲気に
変えてさらに降温することが好ましい。また、独立して
行なう場合のアニール工程では、N2 ガス雰囲気下で保
持温度まで昇温した後、加湿したN2 ガス雰囲気に変更
してもよく、アニールの全工程を加湿したN2 ガス雰囲
気としてもよい。
【0051】本発明では、焼成条件やアニール条件を変
更することにより、他の特性をほとんど変化させずにバ
リスタ電圧だけを大きく変えることが可能である。
【0052】<外部電極形成>上記のようにして得られ
たバリスタチップ体に、例えばバレル研磨やサンドブラ
ストなどにより端面研磨を施し、外部電極用ペーストを
印刷ないし転写して焼成し、外部電極4を形成する。外
部電極用ペーストの焼成条件は、例えば、600〜80
0℃にて10分間〜1時間程度とすることが好ましい。
【0053】そして、必要に応じ、外部電極4表面に、
めっき等により被覆層を形成する。
【0054】このようにして製造された本発明の積層型
バリスタは、ハンダ付等によりプリント基板上などに実
装され、所定の回路中においてノイズを抑制する素子と
して利用される。
【0055】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0056】<実施例1>表1および表2に示される積
層型バリスタサンプルを、以下の手順で作製した。
【0057】まず、下記の各ペーストを調製した。セラミックス層用ペースト 原料粉末をボールミルにより16時間湿式混合し、次い
でスプレードライヤーで乾燥させて、誘電体原料とし
た。原料粉末は、表1に示される比率となるように混合
した。主成分の原料には、平均粒径0.5μm のBaT
iO3 、BaCO3 、CaCO3 、SrCO3 、ZrO
2 を用いた。副成分の原料のうち、酸化物を用いなかっ
たものは、MnCO3 、MgCO3 である。
【0058】各誘電体原料100重量部と、アクリル樹
脂5重量部、塩化メチレン50重量部、酢酸エチル20
重量部、ミネラルスピリット6重量部およびアセトン4
重量部とを、ボールミルで混合してペースト化した。
【0059】内部電極層用ペースト 平均粒径0.8μm のNi粒子100重量部と、有機ビ
ヒクル(エチルセルロース8重量部をブチルカルビトー
ル92重量部に溶解したもの)40重量部およびブチル
カルビトール10重量部とを、3本ロールにより混練し
てペースト化した。
【0060】外部電極用ペースト 平均粒径0.5μm のCu粒子100重量部と、有機ビ
ヒクル(エチルセルロース8重量部をブチルカルビトー
ル92重量部に溶解したもの)35重量部およびブチル
カルビトール7重量部とを、混練してペースト化した。
【0061】次に、セラミックス層用ペーストを用いて
PETフィルム上にグリーンシートを作製し、この上に
内部電極層用ペーストを印刷した。次いで、PETフィ
ルムからシートを剥離して積層し、この作業を繰り返し
た。なお、セラミックス保護層形成のために、この作業
の最初および最後に、厚さ30μm のグリーンシートを
複数枚積層した。次いで、加圧接着してグリーンチップ
を得た。
【0062】次いでグリーンチップを所定サイズに切断
し、脱バインダ処理、焼成およびアニールを下記の条件
にて連続的に行ない、バリスタチップ体を作製した。
【0063】脱バインダ処理 昇温速度:15℃/時間 保持温度:280℃ 温度保持時間:8時間 雰囲気ガス:空気中
【0064】焼成 昇温速度:200℃/時間 保持温度:1300℃ 温度保持時間:2時間 冷却速度:300℃/時間 雰囲気ガス:加湿したN2 とH2 との混合ガス 酸素分圧:10-9気圧
【0065】アニール 保持温度:900℃ 温度保持時間:9時間 冷却速度:300℃/時間 雰囲気ガス:加湿したN2 ガス 酸素分圧:10-5気圧
【0066】なお、それぞれの雰囲気ガスの加湿にはウ
ェッターを用い、水温は35℃とした。
【0067】得られたバリスタチップ体の端面をサンド
ブラストにて研磨した後、上記外部電極用ペーストを前
記端面に転写し、N2 +H2 雰囲気中で800℃にて1
0分間焼成して外部電極を形成し、積層型バリスタサン
プルを得た。
【0068】このようにして製造した各サンプルのセラ
ミック層の平面寸法は、3.2mm×1.6mmであった。
セラミックス層の厚さは7μm 、セラミックス層の積層
数は15、内部電極層の厚さは2.5μm 、バリスタチ
ップ体の全厚は0.5mmであった。
【0069】各サンプルについて、下記の測定を行なっ
た。結果を表2に示す。
【0070】バリスタ特性 バリスタ電圧V0.1 :電流を0.1 mA としたときのバ
リスタ電圧値である。
【0071】非直線係数α:1/log(V1.0 /V
0.1 )である。V1.0 は、電流を1.0 mA としたとき
のバリスタ電圧値である。
【0072】エネルギー耐量:電子材料工業会標準規格
EMAS−8302に定められた方法で試験を行なっ
た。2ms方形波インパルス電流を印加したときに、バリ
スタ電圧の変化率が±10%以内に収まる最大のエネル
ギー値である。
【0073】サージ耐量:電子材料工業会標準規格EM
AS−8302に定められた方法で試験を行なった。8
/20μs インパルス電流を印加したときに、バリスタ
電圧の変化率が±10%以内に収まる最大の電流波高値
である。
【0074】コンデンサ特性 静電容量C:LCRメータにより測定した。測定条件
は、電圧1V 、周波数1kHz 、温度25℃とした。
【0075】誘電損失 tanδ:LCRメータにより測定
した。測定条件は、電圧1V 、周波数1kHz 、温度25
℃とした。
【0076】絶縁抵抗log{IR(Ω)}:IRは、
室温でDC10V を印加したときの抵抗である。
【0077】静電気放電試験 国際電気標準会議IEC規格801−2に基づく静電気
放電試験を行なった。上記規格を満たす静電気放電発生
器を使用し、外部電極に対して接触放電試験を直接試験
{厳しさレベル4(8 kV )で10回の単一放電}にて
行なった。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】表1および表2から、本発明の効果が明ら
かである。すなわち、セラミックス層の組成が本発明の
範囲内であるサンプルでは、容量が大きく、しかもサー
ジ耐量が大きい。これに対し、Crを添加したサンプル
No. 1、3(比較例)では、サージ耐量が不十分であ
り、また、SiO2 およびAl23 のいずれも含まな
いサンプルNo. 10(比較例)では、印加電圧1000
V までの範囲で0.1 mA 以上の電流が流れず、エネル
ギー耐量およびサージ耐量が測定できなかった。
【0081】また、静電気放電試験の結果、本発明サン
プルでは、バリスタ電圧、静電容量および絶縁抵抗につ
いて変化は認められなかったが、比較例であるサンプル
No.10ではショート破壊が発生し、静電容量は1/1
0以下まで、また、絶縁抵抗は1 kΩ以下まで、それぞ
れ不可逆的に減少した。
【0082】また、SiO2 の比率が2重量%を超える
サンプルNo. 1、2では、容量が小さくV0.1 が大きく
なっている。
【0083】なお、表1のサンプルのうちNo. 5、11
〜15では、容量の温度特性がB特性[−25〜85℃
で容量変化率±10%以内(基準温度20℃)]および
X7R特性[−55〜125℃で容量変化率±15%以
内(基準温度25℃)]を満足していた。
【0084】<実施例2>実施例1のサンプルNo. 5の
セラミックス層厚さおよび積層数を表3に示すように変
更したサンプルを作製し、これらについて実施例1と同
様な測定を行なった。ただし、サンプルNo. 19の全厚
Tは1.5mmとした。結果を表3に示す。なお、比較の
ために、サンプルNo. 5の結果も併記する。
【0085】
【表3】
【0086】表3に示されるように、セラミック層厚さ
が25μm を超えるサンプルNo. 18は、サージ耐量は
十分であるが、容量が小さくV0.1 が極端に大きい。こ
のため、ノイズ抑制効果は小さくなる。
【0087】<実施例3>セラミックス層の厚さを3μ
m 、セラミックス層の積層数を2として、実施例1の各
サンプルよりも静電容量が小さくなる設計とし、また、
セラミックス層の組成を表4および表6に示すものとし
た以外は実施例1と同様にして、積層型バリスタサンプ
ルを作製した。ただし、内部電極層用ペーストには平均
粒径0.4μm のNi粒子を用い、内部電極層の厚さを
1.5μm に変更し、脱バインダ条件のうち保持温度を
240℃に変更し、焼成条件のうち保持温度を1260
℃、酸素分圧を1×10-11 気圧に変更し、アニール条
件のうち酸素分圧を1×10-6気圧に変更した。また、
サンプルNo. 62〜63は、セラミックス層の厚さを2
5μm とした。
【0088】これらのサンプルについて、絶縁抵抗の測
定を除き実施例1と同様な測定を行った。結果をそれぞ
れ表5および表7に示す。
【0089】
【表4】
【0090】
【表5】
【0091】
【表6】
【0092】
【表7】
【0093】表4〜7から、セラミックス層の厚さ、そ
の積層数、その組成を変えた場合でも、本発明サンプル
では良好な特性が得られることがわかる。具体的には、
Mn添加により非直線係数αが増大し、誘電損失 tanδ
が減少することがわかる(サンプルNo. 20〜23)。
また、Mg、Pb、Biの添加により誘電損失 tanδが
著しく減少し、バリスタ電圧が増大し、非直線係数αが
増大することがわかる(サンプルNo. 32〜35、4
3、47〜48)。
【0094】<実施例4>実施例3のサンプルNo. 20
のセラミックス層厚さ、その積層数およびバリスタチッ
プ体の全厚Tを表8に示すように変更したサンプルを作
製し、これらについて実施例3と同様な測定を行なっ
た。結果を表8に示す。なお、比較のために、サンプル
No. 20の結果も併記する。
【0095】
【表8】
【0096】表8に示されるように、セラミック層厚さ
が25μm を超えるサンプルNo. 67は、サージ耐量は
十分であるが、容量が小さくV0.1 が極端に大きい。こ
のため、ノイズ抑制効果は小さくなる。
【0097】また、全厚Tだけが異なるサンプルNo. 2
0、72、73の比較から、全厚Tが厚くなるほど、す
なわちセラミックス保護層が厚くなるほど、セラミック
ス層が再酸化されにくくなってバリスタ電圧が小さくな
ることがわかる。
【0098】<実施例5>実施例3のサンプルNo. 20
の焼成およびアニールの条件を表9に示すように変更し
てサンプルを作製し、これらについて実施例3と同様な
測定を行なった。結果を表10に示す。なお、比較のた
めに、サンプルNo. 20の結果も併記する。
【0099】
【表9】
【0100】
【表10】
【0101】表9〜10から、焼成条件やアニール条件
を変更することにより、他の特性をほとんど変化させず
にバリスタ電圧を大きく変化させることが可能であるこ
とがわかる。
【0102】以上の実施例の結果から、本発明の効果が
明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層型バリスタの構成例を示す断面図
である。
【符号の説明】
1 積層型バリスタ 10 バリスタチップ体 2 セラミックス層 21 セラミックス保護層 3 内部電極層 4 外部電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 陽 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 野村 武史 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックス層と内部電極層とが交互に
    積層された構成のバリスタチップ体を有し、セラミック
    ス層が、Tiおよび/またはZrと、Baとを含む複合
    酸化物を主成分とし、Siおよび/またはAlを副成分
    として含有し、Crを実質的に含有せず、ペロブスカイ
    ト相を含み、内部電極層に含まれる導電材が卑金属を主
    成分とし、回路中においてノイズを抑制する積層型バリ
    スタ。
  2. 【請求項2】 セラミックス層の主成分である複合酸化
    物が、 式 (Ba1-x-y Cax Srym (Ti1-z Zrz
    3 (上記式において、x、y、zおよびmはモル比を表わ
    し、 0≦x≦0.4、 0≦y≦0.4、 0≦z≦0.3、 0.9≦m≦1.2 である)で表わされる請求項1の積層型バリスタ。
  3. 【請求項3】 0≦x+y≦0.1である請求項2の積
    層型バリスタ。
  4. 【請求項4】 SiをSiO2 に、AlをAl23
    それぞれ換算したとき、主成分の複合酸化物に対するS
    iO2 +Al23 の比率が0.01〜5重量%である
    請求項2または3の積層型バリスタ。
  5. 【請求項5】 主成分の複合酸化物に対するSiO2
    Al23 の比率が2重量%以下である請求項4の積層
    型バリスタ。
  6. 【請求項6】 セラミックス層がMnを含み、MnをM
    nOに換算したとき、主成分の複合酸化物に対するMn
    Oの比率が5重量%以下である請求項2〜5のいずれか
    の積層型バリスタ。
  7. 【請求項7】 セラミックス層が、Mg、Fe、Co、
    Ni、Cu、Zn、Sn、Sb、PbおよびBiの少な
    くとも1種を含み、これらをそれぞれ酸化物(MgO、
    Fe23 、CoO、NiO、CuO、ZnO、SnO
    2 、Sb2 3 、PbOおよびBi23 )に換算した
    とき、主成分の複合酸化物に対する前記各酸化物の比率
    の合計が5重量%以下である請求項2〜6のいずれかの
    積層型バリスタ。
  8. 【請求項8】 セラミックス層が、Nb、Ta、Y、
    W、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、T
    b、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuの少なく
    とも1種を含み、これらをそれぞれ酸化物(Nb2
    5 、Ta25 、Y23 、WO3 、La23 、Ce
    2 、Pr23 、Nd23 、Sm23、Eu23
    、Gd23 、Tb23 、Dy23 、Ho2
    3 、Er23、Tm23 、Yb23 およびLu2
    3 )に換算したとき、主成分の複合酸化物に対する前
    記各酸化物の比率の合計が5重量%以下である請求項2
    〜7のいずれかの積層型バリスタ。
  9. 【請求項9】 セラミックス層の厚さが25μm 以下で
    ある請求項1〜8のいずれかの積層型バリスタ。
  10. 【請求項10】 内部電極層に含まれる導電材がNiま
    たはNi合金である請求項1〜9のいずれかの積層型バ
    リスタ。
  11. 【請求項11】 酸素分圧1×10-8〜1×10-15
    圧の雰囲気中において1100〜1500℃で焼成され
    たものである請求項1〜10のいずれかの積層型バリス
    タ。
  12. 【請求項12】 焼成後に、酸素分圧1×10-3気圧以
    下の雰囲気中において1200℃以下でアニールされた
    ものである請求項1〜11のいずれかの積層型バリス
    タ。
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