JP4191496B2 - 誘電体磁器組成物および電子部品 - Google Patents

誘電体磁器組成物および電子部品 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば積層セラミックコンデンサの誘電体層などとして用いられる誘電体磁器組成物と、その誘電体磁器組成物を誘電体層として用いる電子部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子部品の一例である積層セラミックコンデンサは、たとえば、所定の誘電体磁器組成物からなるセラミックグリーンシートと、所定パターンの内部電極層とを交互に重ね、その後一体化して得られるグリーンチップを、同時焼成して製造される。積層セラミックコンデンサの内部電極層は、焼成によりセラミック誘電体と一体化されるために、セラミック誘電体と反応しないような材料を選択する必要があった。このため、内部電極層を構成する材料として、従来では白金やパラジウムなどの高価な貴金属を用いることを余儀なくされていた。
【0003】
しかしながら、近年ではニッケルや銅などの安価な卑金属を用いることができる誘電体磁器組成物が開発され、大幅なコストダウンが実現した。
【0004】
近年、電子回路の高密度化に伴う電子部品の小型化に対する要求は高く、積層セラミックコンデンサの小型化、大容量化が急速に進んでいる。それに伴い、積層セラミックコンデンサにおける1層あたりの誘電体層の薄層化が進み、薄層化してもコンデンサとしての信頼性を維持できる誘電体磁器組成物が求められている。特に、高い定格電圧で使用される中耐圧用コンデンサの小型化、大容量には、誘電体磁器組成物に対して非常に高い信頼性が要求される。
【0005】
従来、内部電極を構成する材料として卑金属を用いることができ、しかも静電容量の温度変化がEIA規格のX7R特性(−55〜125℃、ΔC=±15%以内)を満足する技術として、本出願人は、特許文献1〜2などに開示されている誘電体磁器組成物を提案した。これらの技術は、いずれも、Yを添加し、絶縁抵抗(IR)の加速寿命を改善しようとしたものであった。しかし、急速に小型化、大容量化が進むなか、さらなる信頼性の向上が求められている。
【0006】
一方、X7R特性を満足する別の技術として、たとえば特許文献3に開示されている誘電体磁器組成物も知られている。
【0007】
このような誘電体磁器組成物は、チタン酸バリウムに、ScおよびYの少なくとも1種の希土類元素の酸化物と、Gd、TbおよびDyの少なくとも1種の希土類元素の酸化物とが添加されたものである。すなわち特許文献3に開示されている技術は、チタン酸バリウムに対し、任意に分けられた2つの元素群からそれぞれ選ばれる少なくとも2種類の希土類元素の酸化物を添加することにより、EIA規格のX7R特性を満足させ、しかも絶縁抵抗の加速寿命の向上を図ろうとするものである。
【0008】
しかしながら、特許文献3に開示された技術では、X7R特性を満足させようとすると、焼成後の絶縁抵抗の加速寿命が短くなり、X7R特性と寿命とのバランスを図ることに関して課題を有していた。しかも、さらなる小型化、大容量化が進むに従い、誘電損失(tanδ)が大きくなり、DCバイアスなどの信頼性も悪化する傾向があり、これらの改善が求められていた。
特に、定格電圧の高い中耐圧用の積層セラミックコンデンサの材料として用いようとすると、この信頼性の問題から誘電体厚みを15μm以上に十分に厚くする必要があった。
なお、EIA規格のX8R特性の範囲を満たすことを目的とした温度特性の良い誘電体材料が特許文献4に開示されている。これは、温度特性を良好に保つことを目的として、希土類元素を添加しているのであって、そのため、添加する希土類元素の種類が異なっており、また希土類元素のイオン半径に着目しているものではない。
【特許文献1】
特開平6−84692号公報
【特許文献2】
特開平6−342735号公報
【特許文献3】
特開平10−223471号公報
【特許文献4】
特開2000−154057号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、焼成時の耐還元性に優れ、焼成後には優れた容量温度特性を有するとともに、絶縁抵抗の加速寿命が高められた誘電体磁器組成物を提供することである。また、本発明は、このような誘電体磁器組成物を用いて製造され、信頼性が高められた積層セラミックコンデンサなどの電子部品を提供することも目的とする。特に定格電圧の高い中耐圧用などの積層セラミックコンデンサなどの電子部品を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る誘電体磁器組成物は、
チタン酸バリウムからなる主成分と、
MgO、CaO、SrOおよびBaOから選ばれる少なくとも1種からなる第1副成分と、
SiO系の焼結助剤からなる第2副成分と、
、MoOおよびWOから選ばれる少なくとも1種からなる第3副成分と、
R1の酸化物(ただし、R1は、9配位時の有効イオン半径が108pm未満の希土類元素で構成される第1元素群から選ばれる少なくとも1種)からなる第4副成分と、
R2の酸化物(ただし、R2は、9配位時の有効イオン半径が108pm〜113pmの希土類元素で構成される第2元素群から選ばれる少なくとも1種)からなる第5副成分と、
MnOおよびCrの少なくとも1種からなる第6副成分とを、有し、
前記主成分100モルに対する各副成分の比率が、
第1副成分:0.1〜5モル、
第2副成分:2〜10モル、
第3副成分:0.04〜0.06モル、
第4副成分:0.1〜10モル(ただし、第4副成分のモル数は、R1単独での比率)
第5副成分:0.1〜10モル(ただし、第5副成分のモル数は、R2単独での比率)
第6副成分:0.5モル以下である。
【0011】
前記第1元素群を構成する希土類元素の有効イオン半径が106pm超であることが好ましい。
【0012】
前記第1元素群を構成する希土類元素の有効イオン半径をr1とし、前記第2元素群を構成する希土類元素の有効イオン半径をr2とした場合に、r1とr2との比(r2/r1)が、1.007<r2/r1<1.06の関係を満足するように、前記第1元素群および前記第2元素群が構成されていることが好ましい。
【0013】
本発明の第2の観点に係る誘電体磁器組成物は、
チタン酸バリウムからなる主成分と、
MgO、CaO、SrOおよびBaOから選ばれる少なくとも1種からなる第1副成分と、
SiO系の焼結助剤からなる第2副成分と、
、MoOおよびWOから選ばれる少なくとも1種からなる第3副成分と、
R1の酸化物(ただし、R1は、9配位時の有効イオン半径が108pm未満の希土類元素で構成される第1元素群から選ばれる少なくとも1種。ただし、少なくともYを含む)からなる第4副成分と、
R2の酸化物(ただし、R2は、9配位時の有効イオン半径が108pm〜113pmの希土類元素で構成される第2元素群から選ばれる少なくとも1種)からなる第5副成分と、
MnOおよびCrの少なくとも1種からなる第6副成分とを、有し、
前記主成分100モルに対する各副成分の比率が、
第1副成分:0.1〜5モル、
第2副成分:2〜10モル、
第3副成分:0.04〜0.06モル、
第4副成分:0.1〜10モル(ただし、第4副成分のモル数は、R1単独での比率)
第5副成分:0.1〜10モル(ただし、第5副成分のモル数は、R2単独での比率)
第6副成分:0.5モル以下である。
【0014】
前記第1元素群に含まれるYの有効イオン半径をryとし、前記第2元素群を構成する希土類元素の有効イオン半径をr2とした場合に、ryとr2との比(r2/ry)が、1.007<(r2/ry)<1.05の関係を満足するように、前記第2元素群が構成されていることが好ましい。
【0015】
前記第1元素群に含まれるYの有効イオン半径をryとし、前記第2元素群を構成する希土類元素の有効イオン半径をr2とした場合に、ryとr2との比(r2/ry)が、1.007<(r2/ry)<1.03の関係を満足するように、前記第2元素群が構成されていることが好ましい。
【0016】
本発明の第3の観点に係る誘電体磁器組成物は、
チタン酸バリウムからなる主成分と、
MgO、CaO、SrOおよびBaOから選ばれる少なくとも1種からなる第1副成分と、
SiO系の焼結助剤からなる第2副成分と、
、MoOおよびWOから選ばれる少なくとも1種からなる第3副成分と、
R1の酸化物(ただし、R1は、9配位時の有効イオン半径が108pm未満の希土類元素で構成される第1元素群から選ばれる少なくとも1種)からなる第4副成分と、
R2の酸化物(ただし、R2は、9配位時の有効イオン半径が108pm〜113pmの希土類元素で構成される第2元素群から選ばれる少なくとも1種。ただし、少なくともTbを含む)からなる第5副成分と、
MnOおよびCrの少なくとも1種からなる第6副成分とを、有し、
前記主成分100モルに対する各副成分の比率が、
第1副成分:0.1〜5モル、
第2副成分:2〜10モル、
第3副成分:0.04〜0.06モル、
第4副成分:0.1〜10モル(ただし、第4副成分のモル数は、R1単独での比率)
第5副成分:0.1〜10モル(ただし、第5副成分のモル数は、R2単独での比率)
第6副成分:0.5モル以下である。
【0017】
前記第1元素群を構成する希土類元素の有効イオン半径をr1とし、前記第2元素群に含まれるTbの有効イオン半径をrtbとした場合に、r1とrtbとの比(rtb/r1)が、1.018<rtb/r1<1.062の関係を満足するように、前記第1元素群が構成されていることが好ましい。
【0018】
前記第1元素群を構成する希土類元素の有効イオン半径をr1とし、前記第2元素群に含まれるTbの有効イオン半径をrtbとした場合に、r1とrtbとの比(rtb/r1)が、1.018<rtb/r1<1.022の関係を満足するように、前記第1元素群が構成されていることが好ましい。
【0019】
前記主成分100モルに対する第5副成分の比率が、Yの比率以上であることが好ましい。
【0020】
前記主成分100モルに対する、第4副成分および第5副成分の合計の比率が、10モル以下(ただし、第4副成分および第5副成分のモル数は、R1およびR2単独での比率)であることが好ましい。
【0023】
この場合において、前記焼結助剤が、(Ba,Ca)SiO2+x (ただし、x=0.8〜1.2)であることが好ましい。
【0026】
前記誘電体磁器組成物を構成する誘電体粒子のそれぞれの内部には、少なくとも前記R1およびR2を含む拡散部分が存在していることが好ましい。
【0027】
前記誘電体粒子は、実質的に前記R1およびR2を含まない強誘電体部分と、該強誘電体部分の周りに存在する拡散部分とを有し、
該拡散部分の周りには、粒界偏析部分が存在し、
前記拡散部分および粒界偏析部分は、少なくとも前記R1およびR2を含み、前記拡散部分でのR1およびR2のそれぞれの存在量をMAR1およびMAR2とし、前記粒界偏析部分でのR1およびR2のそれぞれの存在量をMBR1およびMBR2としたときに、(MBR1/MBR2)>1、および(MAR1/MAR2)<(MBR1/MBR2)の関係を満足することが好ましい。
【0028】
前記拡散部分内での(MAR1/MAR2)の値が、前記粒界偏析部分側から前記強誘電体部分側に向かうに連れて漸次減少していることが好ましい。
上記第1〜3の観点に係る誘電体磁器組成物では、以下に示す態様の第4の観点に係る発明が好ましい。
本発明の第4の観点に係る誘電体磁器組成物は、
チタン酸バリウムからなる主成分と、
MgOからなる第1副成分と、
SiO系の焼結助剤からなる第2副成分と、
からなる第3副成分と、
R1の酸化物(ただし、R1は、Y)からなる第4副成分と、
R2の酸化物(ただし、R2は、Dy、TbおよびGdから選ばれる少なくとも1種)からなる第5副成分と、
MnOからなる第6副成分とを、有する誘電体磁器組成物であって、
前記主成分100モルに対する各副成分の比率が、
第1副成分:0.1〜5モル、
第2副成分:2〜10モル、
第3副成分:0.04〜0.06モル、
第4副成分:0.1〜10モル(ただし、第4副成分のモル数は、R1単独での比率)
第5副成分:0.1〜10モル(ただし、第5副成分のモル数は、R2単独での比率)
第6副成分:0.25モル未満である。
第4の観点では、前記主成分100モルに対する、第4副成分および第5副成分の合計の比率が、10モル以下(ただし、第4副成分および第5副成分のモル数は、R1およびR2単独での比率)であることが好ましい。
第4の観点では、前記誘電体磁器組成物を構成する誘電体粒子のそれぞれの内部には、少なくとも前記R1およびR2を含む拡散部分が存在していることが好ましい。
第4の観点では、前記誘電体粒子は、実質的に前記R1およびR2を含まない強誘電体部分と、該強誘電体部分の周りに存在する拡散部分とを有し、
該拡散部分の周りには、粒界偏析部分が存在し、
前記拡散部分および粒界偏析部分は、少なくとも前記R1およびR2を含み、
前記拡散部分でのR1およびR2のそれぞれの存在量をMAR1およびMAR2とし、前記粒界偏析部分でのR1およびR2のそれぞれの存在量をMBR1およびMBR2としたときに、(MBR1/MBR2)>1、および(MAR1/MAR2)<(MBR1/MBR2)の関係を満足することが好ましい。
第4の観点では、前記拡散部分内での(MAR1/MAR2)の値が、前記粒界偏析部分側から前記強誘電体部分側に向かうに連れて漸次減少していることが好ましい。
第4の観点では、前記焼結助剤が、(Ba,Ca)SiO2+x (ただし、x=0.8〜1.2)であることが好ましい。
【0029】
本発明に係る電子部品は、誘電体層を有する電子部品であれば、特に限定されず、たとえば誘電体層と共に内部電極層とが交互に積層してあるコンデンサ素子本体を有する積層セラミックコンデンサ素子である。本発明では、前記誘電体層が、上記いずれかの誘電体磁器組成物で構成してある。内部電極層に含まれる導電材としては、特に限定されないが、たとえばNiまたはNi合金である。
特に好ましい電子部品は、
誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層を有する電子部品であって、
前記誘電体磁器組成物が、
チタン酸バリウムからなる主成分と、
MgOからなる第1副成分と、
SiO系の焼結助剤からなる第2副成分と、
からなる第3副成分と、
R1の酸化物(ただし、R1は、Y)からなる第4副成分と、
R2の酸化物(ただし、R2は、Dy、TbおよびGdから選ばれる少なくとも1種)からなる第5副成分と、
MnOからなる第6副成分とを、有し、
前記主成分100モルに対する各副成分の比率が、
第1副成分:0.1〜5モル、
第2副成分:2〜10モル、
第3副成分:0.04〜0.06モル、
第4副成分および第5副成分の合計の比率:10モル以下(ただし、第4副成分および第5副成分のモル数は、R1およびR2単独での比率)、
第6副成分:0.25モル未満である。
この好ましい電子部品では、前記焼結助剤が、(Ba,Ca)SiO2+x (ただし、x=0.8〜1.2)であることが好ましい。この好ましい電子部品では、前記誘電体層と共に、NiまたはNi合金からなる導電材を主成分とする内部電極層とが交互に積層してあるコンデンサ素子本体を有することが好ましい。
定格電圧が100V以上の中耐圧用の積層セラミックコンデンサに特に適している。
【0030】
なお、本明細書に記載のイオン半径は、文献「R.D.Shannon,Acta Crystallogr.,A32,751(1976)」に基づく値である。
【0031】
【発明の作用および効果】
本発明者らは、希土類元素のチタン酸バリウムに対する添加効果に関して研究を進め、複数の希土類元素をチタン酸バリウムに対して添加することが、高温負荷寿命の向上に効果的である、との知見を得た。そして、希土類元素のイオン半径の大小により、希土類元素以外に、ともに添加される添加物元素の分布状態が変化し、これにより、積層セラミックコンデンサに発現する電気特性が異なってくる、との知見を得た。その後、これらを前提にさらに研究を進めた結果、添加される希土類元素のイオン半径が大きいほど、チタン酸バリウム粒子への固溶性が大きくなり、当該希土類元素が前記チタン酸バリウム粒子の内部の深い部分にまで分布する。そして、希土類元素や、添加物元素、特にアルカリ土類元素の偏析が減少する。その結果、絶縁抵抗は高くなり、高温負荷寿命などの信頼性は向上するが、比誘電率は低下し、静電容量の温度変化が大きくなり、X7R特性を満足しなくなることを確認した。その反面、添加される希土類元素のイオン半径が小さい場合には、静電容量の温度変化は小さいが、希土類元素やアルカリ土類元素が、焼結助剤として添加されるSiなどともに偏析しやすく、コンデンサとしての信頼性が低下することを確認した。
【0032】
そこで、本発明者らは、チタン酸バリウムに対して、希土類元素のイオン半径に着目し、イオン半径の異なる複数の希土類元素を添加する研究を進めた結果、本発明に到達したものである。
【0033】
本発明の第1の観点では、様々な有効イオン半径を持つ希土類元素群を、108pmを境に2つの元素群に分け、これらをチタン酸バリウムに対して添加している。第2の観点では、希土類元素を、Yを含む元素群と、108pm以上の有効イオン半径を持つ希土類元素群との2つの元素群に分け、これらをチタン酸バリウムに対して添加している。第3の観点では、希土類元素を、108pm未満の有効イオン半径を持つ希土類元素群と、Tbを含む元素群との2つの元素群に分け、これらをチタン酸バリウムに対して添加している。
【0034】
本発明の第1〜第3の観点に係る誘電体磁器組成物では、いずれも、焼成時の耐還元性に優れ、焼成後には、比誘電率、誘電損失、絶縁抵抗、バイアス特性、破壊電圧、容量温度特性などにおいて優れた特性を有するとともに、絶縁抵抗の加速寿命が高められる。
【0035】
本発明に係る電子部品では、本発明の誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層を有するので、絶縁抵抗の加速寿命が高められている結果、その信頼性が向上する。電子部品としては、特に限定されないが、積層セラミックコンデンサ、圧電素子、チップインダクタ、チップバリスタ、チップサーミスタ、チップ抵抗、その他の表面実装(SMD)チップ型電子部品が例示される。特に第4の観点によれば、定格電圧の高い(たとえば100V以上)中耐圧用などの積層セラミックコンデンサなどに適した電子部品を提供することができる。
【0036】
なお、従来技術の欄で示した特許文献3では、任意に分けられた2つの元素群からそれぞれ選ばれる複数の希土類元素を、チタン酸バリウムに対して添加した誘電体磁器組成物が開示されている。しかしながら、この公報では、本発明のように、希土類元素をその9配位時の有効イオン半径の大小により2つの元素群に分けるという発明思想は何ら開示されていない。その結果、この公報では、YとともにScを1つの元素群に属させることとしている。これについては、従来技術の欄に示した特許文献4も同様である。
【0037】
これに対し、本発明ではScを除外している。なぜなら、Scは、他の希土類元素と比較してイオン半径が大きく異なるため、9配位時の有効イオン半径が規定されていないからである。したがって本発明では、YがScとともに1つの元素群に属することはない。
【0038】
仮に、Scを有効イオン半径108pm以下の元素として用いた場合、X7R特性を満足できるが、絶縁抵抗の加速寿命を改善できる傾向にないことが確認されている(表3の試料24参照)。このような傾向を示す理由は、Scのイオン半径は、Yをはじめとしたその他の希土類元素と比較してかなり小さいため、その他の希土類元素と比較してチタン酸バリウム粒子への固溶性が大きく異なり、アルカリ土類元素の偏析を抑制する効果がないためであると考えられる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図、
図2(A)は参考例の試料9を用いた誘電体磁器組成物の微細構造をEPMA分析して表されたMgの偏析状態を示す写真、図2(B)は同試料を用いた誘電体磁器組成物の微細構造をEPMA分析して表された希土類元素の偏析状態を示す写真、
図3(A)は比較例の試料19を用いた誘電体磁器組成物の微細構造をEPMA分析して表されたMgの偏析状態を示す写真、図3(B)は同試料を用いた誘電体磁器組成物の微細構造をEPMA分析して表された希土類元素の偏析状態を示す写真、
図4(A)は比較例の試料24を用いた誘電体磁器組成物の微細構造をEPMA分析して表されたMgの偏析状態を示す写真、図4(B)は同試料を用いた誘電体磁器組成物の微細構造をEPMA分析して表された希土類元素の偏析状態を示す写真、
図5(A)は比較例の試料18を用いた誘電体磁器組成物の微細構造をEPMA分析して表されたMgの偏析状態を示す写真、図5(B)は同試料を用いた誘電体磁器組成物の微細構造をEPMA分析して表された希土類元素の偏析状態を示す写真、
図6は参考例の試料21と同一の組成であるが、BaTiOの粒径を1μmとした試料21−1を用いた誘電体磁器組成物の微細構造をTEMにより観察した写真、
図7(A)は図6の誘電体磁器組成物に含まれる誘電体粒子の微細構造を模式的に表した模式図、図7(B)は同図(A)の誘電体粒子の各領域における希土類元素R1およびR2の分布濃度(存在量)を分析し、これを模式的に表した図、
図8は本発明の参考例と比較例のそれぞれの試料を用いたコンデンサの容量温度特性を示すグラフである。
【0040】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層2と内部電極層3とが交互に積層された構成のコンデンサ素子本体10を有する。このコンデンサ素子本体10の両端部には、素子本体10の内部で交互に配置された内部電極層3と各々導通する一対の外部電極4が形成してある。コンデンサ素子本体10の形状に特に制限はないが、通常、直方体状とされる。また、その寸法にも特に制限はなく、用途に応じて適当な寸法とすればよいが、通常、(0.6〜5.6mm)×(0.3〜5.0mm)×(0.3〜1.9mm)程度である。
【0041】
内部電極層3は、各端面がコンデンサ素子本体10の対向する2端部の表面に交互に露出するように積層してある。一対の外部電極4は、コンデンサ素子本体10の両端部に形成され、交互に配置された内部電極層3の露出端面に接続されて、コンデンサ回路を構成する。
【0042】
誘電体層2は、本発明の誘電体磁器組成物を含有する。
第1の観点に係る誘電体磁器組成物では、チタン酸バリウム(好ましくは、組成式BaTiO2+m で表され、mが0.995≦m≦1.010であり、BaとTiとの比が0.995≦Ba/Ti≦1.010である)からなる主成分と、
R1の酸化物(ただし、R1は、9配位時の有効イオン半径が108pm未満の希土類元素で構成される第1元素群から選ばれる少なくとも1種)からなる第4副成分と、
R2の酸化物(ただし、R2は、9配位時の有効イオン半径が108pm〜113pmの希土類元素で構成される第2元素群から選ばれる少なくとも1種)からなる第5副成分とを、有する。
【0043】
第1の観点では、前記第1元素群には、Y(107.5pm)、Ho(107.2pm)、Er(106.2pm)、Tm(105.2pm)、Yb(104.2pm)およびLu(103.2pm)が含まれる。また、第1の観点では、前記第2元素群には、Dy(108.3pm)、Tb(109.5pm)、Gd(110.7pm)、およびEu(112pm)が含まれる。Sm(113.2pm)、Pm(114.4pm)、Nd(116.3pm)、Pr(117.9pm)、Ce(119.6pm)およびLa(121.6pm)については、本発明では除かれる。これらのSm、Pm、Nd、Pr、CeおよびLaは、9配位時の有効イオン半径が113pmを超える希土類元素であるからである。括弧内の数字は9配位時の有効イオン半径を示す。以下同様である。なお、Scについては本発明では除かれる。Scについては9配位時の有効イオン半径が規定されていないからである。
【0044】
第1の観点では、前記第1元素群を構成する希土類元素の有効イオン半径が106pm超であることが好ましい。このような第1元素群には、Y、Ho、Erが含まれる。第1元素群の中で有効イオン半径が小さい希土類元素を用いると、異相(偏析)が発生することがある。異相が発生すると、チタン酸バリウム粒子への固溶性が低下し、最終的にはコンデンサとしての信頼性が低下するおそれがある。
そこで、前記第1元素群を構成する希土類元素の中でも、有効イオン半径が大きいものを用いることがより好ましく、特に好ましくは、有効イオン半径が107pm超の前記第1元素群を構成する希土類元素を用いる。このような第1元素群には、Y、Hoが含まれる。より好ましくは、Yである。
【0045】
第1の観点では、前記第1元素群を構成する希土類元素の有効イオン半径をr1とし、前記第2元素群を構成する希土類元素の有効イオン半径をr2とした場合に、r1とr2との比(r2/r1)が、1.007<r2/r1<1.06の関係を満足するように、前記第1元素群および前記第2元素群が構成されていることが好ましい。
【0046】
第2の観点に係る誘電体磁器組成物では、チタン酸バリウム(好ましくは、組成式BaTiO2+m で表され、mが0.995≦m≦1.010であり、BaとTiとの比が0.995≦Ba/Ti≦1.010である)からなる主成分と、
R1の酸化物(ただし、R1は、9配位時の有効イオン半径が108pm未満の希土類元素で構成される第1元素群から選ばれる少なくとも1種。ただし、少なくともYを含む)からなる第4副成分と、
R2の酸化物(ただし、R2は、9配位時の有効イオン半径が108pm〜113pmの希土類元素で構成される第2元素群から選ばれる少なくとも1種)からなる第5副成分とを、有する。
【0047】
第2の観点では、前記第1元素群が、Yのみで構成されていることが好ましい。また、第2の観点では、前記第2元素群には、Dy、Tb、Gd、およびEuが含まれる。より好ましくはTbである。すなわち、YとTbの組み合わせが最も好ましい。
【0048】
第2の観点では、前記第1元素群に含まれるYの有効イオン半径をryとし、前記第2元素群を構成する希土類元素の有効イオン半径をr2とした場合に、ryとr2との比(r2/ry)が、1.007<(r2/ry)<1.05の関係を満足するように、前記第2元素群が構成されていることが好ましい。このような第2元素群には、Dy、Tb、Gd、Euが含まれる。
【0049】
第2の観点では、前記第1元素群に含まれるYの有効イオン半径をryとし、前記第2元素群を構成する希土類元素の有効イオン半径をr2とした場合に、ryとr2との比(r2/ry)が、1.007<(r2/ry)<1.03の関係を満足するように、前記第2元素群が構成されていることが好ましい。このような第2元素群には、Dy、Tb、Gdが含まれる。
【0050】
第3の観点に係る誘電体磁器組成物では、チタン酸バリウム(好ましくは、組成式BaTiO2+m で表され、mが0.995≦m≦1.010であり、BaとTiとの比が0.995≦Ba/Ti≦1.010である)からなる主成分と、
R1の酸化物(ただし、R1は、9配位時の有効イオン半径が108pm未満の希土類元素で構成される第1元素群から選ばれる少なくとも1種)からなる第4副成分と、
R2の酸化物(ただし、R2は、9配位時の有効イオン半径が108pm〜113pmの希土類元素で構成される第2元素群から選ばれる少なくとも1種。ただし、少なくともTbを含む)からなる第5副成分とを、有する。
【0051】
第3の観点では、前記第1元素群には、Y、Ho、Er、Tm、YbおよびLuが含まれる。また、第3の観点では、前記第2元素群が、Tbのみで構成されていることが好ましい。
【0052】
第3の観点では、前記第1元素群を構成する希土類元素の有効イオン半径をr1とし、前記第2元素群に含まれるTbの有効イオン半径をrtbとした場合に、r1とrtbとの比(rtb/r1)が、1.018<rtb/r1<1.062の関係を満足するように、前記第1元素群が構成されていることが好ましい。このような第1元素群には、Y、Ho、Er、Tm、Yb、Luが含まれる。
【0053】
第3の観点では、前記第1元素群を構成する希土類元素の有効イオン半径をr1とし、前記第2元素群に含まれるTbの有効イオン半径をrtbとした場合に、r1とrtbとの比(rtb/r1)が、1.018<rtb/r1<1.022の関係を満足するように、前記第1元素群が構成されていることが好ましい。このような第1元素群には、Y、Hoが含まれる。
【0054】
本発明の誘電体磁器組成物では、前記主成分100モルに対する第5副成分の比率が、Yの比率以上であることが好ましい。ただし、第5副成分の比率が多すぎると、静電容量の温度特性が悪化するおそれがある。このため、第5副成分とYとの比率は、より好ましくは第5副成分:Y=50〜90%:10〜50%、さらに好ましくは第5副成分:Y=50〜70%:30〜50%である。
【0055】
本発明の誘電体磁器組成物では、前記主成分100モルに対する各副成分の比率が、第4副成分:0.1〜10モル、および第5副成分:0.1〜10モルである。より好ましくは、第4副成分:0.2〜5モル、および第5副成分:0.2〜5モルである。
第4副成分の比率は、R1酸化物のモル数ではなく、R1単独のモル比である。すなわち、例えば第4副成分としてY酸化物を用いた場合、第4副成分の比率が1モルであることは、Yの比率が1モルなのではなく、Yの比率が1モルであることを意味する。第5副成分の比率は、R2酸化物のモル数ではなく、R2単独のモル比である。すなわち、例えば第5副成分としてTbの酸化物を用いた場合、第5副成分の比率が1モルであることは、Tbの比率が1モルなのではなく、Tbの比率が1モルであることを意味する。
【0056】
本発明の誘電体磁器組成物において、第4副成分(R1の酸化物)は、容量温度特性を平坦化する効果を示す。第4副成分の含有量が少なすぎると、このような効果が不十分となり、容量温度特性が悪くなってしまう。一方、含有量が多すぎると、焼結性が悪化する傾向にある。第4副成分のうちでは、特性改善効果が高く、しかも安価であることから、Y酸化物、Ho酸化物が好ましく、より好ましくはY酸化物である。
【0057】
本発明の誘電体磁器組成物において、第5副成分(R2の酸化物)は、絶縁抵抗(IR)、IR寿命およびDCバイアスを改善する効果を示す。ただし、R2酸化物の含有量が多すぎると、容量温度特性が悪化する傾向にある。第5副成分のうちでは、特性改善効果が高いことから、Dy酸化物、Tb酸化物、Gd酸化物が好ましく、より好ましくはTb酸化物である。
【0058】
本発明の誘電体磁器組成物では、前記主成分100モルに対する、第4副成分および第5副成分の合計の比率が、好ましくは10モル以下、より好ましくは5モル以下である。ただし、第4副成分および第5副成分のモル数は、R1およびR2単独での比率である。焼結性を良好に保つためである。
【0059】
本発明の誘電体磁器組成物には、MgO、CaO、SrOおよびBaOから選ばれる少なくとも1種からなる第1副成分が添加してある。前記主成分100モルに対する第1副成分の比率は、0.1〜5モルである。第1副成分の含有量が少なすぎると、容量温度変化率が大きくなってしまう。一方、含有量が多すぎると、焼結性が悪化する。なお、第1副成分中における各酸化物の構成比率は任意である。
【0060】
本発明の誘電体磁器組成物には、SiO系の焼結助剤からなる第2副成分が添加してある。この場合に、前記焼結助剤が、(Ba,Ca)SiO2+x (ただし、x=0.8〜1.2)であることがさらに好ましい。
【0061】
前記主成分100モルに対する第2副成分の比率は、2〜10モルである。より好ましくは2〜5モルである。第2副成分中に(Ba,Ca)SiO2+x が含まれる場合において、第2副成分中のBaOおよびCaOは第1副成分にも含まれるが、複合酸化物である(Ba,Ca)SiO2+x は融点が低いため主成分に対する反応性が良好なので、本実施形態ではBaOおよび/またはCaOを上記複合酸化物としても添加することが好ましい。第2副成分の含有量が少なすぎると、容量温度特性が悪くなり、また、IR(絶縁抵抗)が低下する。一方、含有量が多すぎると、IR寿命が不十分となるほか、誘電率の急激な低下が生じてしまう。(Ba,Ca)SiO2+x におけるxは、好ましくは0.8〜1.2であり、より好ましくは0.9〜1.1である。xが小さすぎると、すなわちSiOが多すぎると、主成分に含まれるチタン酸バリウムと反応して誘電体特性を悪化させてしまう。一方、xが大きすぎると、融点が高くなって焼結性を悪化させるため、好ましくない。なお、第2副成分においてBaとCaとの比率は任意であり、一方だけを含有するものであってもよい。
【0062】
本発明の誘電体磁器組成物には、V,MoOおよびWOから選ばれる少なくとも1種からなる第3副成分が添加してある。前記主成分100モルに対する第3副成分の比率は、0.04〜0.06モルである。第3副成分は、キュリー温度以上での容量温度特性を平坦化する効果と、IR寿命を向上させる効果とを示す。第3副成分の含有量が少なすぎると、このような効果が不十分となる。一方、含有量が多すぎると、IRが著しく低下する。なお、第3副成分中における各酸化物の構成比率は任意である。
【0063】
本発明の誘電体磁器組成物には、MnOおよびCrの少なくとも1種からなる第6副成分が添加してある。この第6副成分は、焼結を促進する効果と、IRを高くする効果と、IR寿命を向上させる効果とを示す。このような効果を十分に得るためには、前記主成分100モルに対する第6副成分の比率が0.01モル以上であることが好ましい。ただし、第6副成分の含有量が多すぎると容量温度特性に悪影響を与えるので、0.5モル以下とする。CR積を向上させるためには、より好ましくは0.25モル未満とする。
【0064】
本発明の誘電体磁器組成物には、上記各酸化物のほか、Alが含まれていてもよい。Alは容量温度特性にあまり影響を与えず、焼結性、IRおよびIR寿命を改善する効果を示す。ただし、Alの含有量が多すぎると焼結性が悪化してIRが低くなるため、前記主成分100モルに対するAlの比率は、好ましくは1モル以下、さらに好ましくは、誘電体磁器組成物全体の1モル以下である。
【0065】
なお、本明細書では、主成分および各副成分を構成する各酸化物を化学量論組成で表しているが、各酸化物の酸化状態は、化学量論組成から外れるものであってもよい。ただし、各副成分の上記比率は、各副成分を構成する酸化物に含有される金属量から上記化学量論組成の酸化物に換算して求める。
【0066】
なお、Sr,ZrおよびSnの少なくとも1種が、ペロブスカイト構造を構成する主成分中のBaまたはTiを置換している場合、キュリー温度が低温側にシフトするため、125℃以上での容量温度特性が悪くなる。このため、これらの元素を含むBaTiO[例えば(Ba,Sr)TiO]を主成分として用いないことが好ましい。ただし、不純物として含有されるレベル(誘電体磁器組成物全体の0.1モル%程度以下)であれば、特に問題はない。
【0067】
誘電体層2の厚さは、一層あたり、通常、40μm以下、特に30μm以下である。厚さの下限は、通常、0.5μm程度である。なお、誘電体層2の積層数は、通常2〜1000程度とする。
【0068】
誘電体層2は、たとえば図7(A)に示すように、誘電体粒子22と、該誘電体粒子22の周りに存在する粒界偏析部分24とで構成される。なお、同図での符号25は粒界を示す。誘電体粒子22は、強誘電体部分222と、該強誘電体部分222の周りに存在する拡散部分224とを有する。強誘電体部分222は、実質的に前記R1およびR2を含まないことが好ましい。実質的に前記R1およびR2を含まないとは、完全に強誘電体部分で構成されているものの他、本発明の作用効果を奏することができる程度にまでR1およびR2を含有しているものをも含む趣旨である。
【0069】
拡散部分224および粒界偏析部分24には、少なくとも前記R1およびR2が固溶していることが好ましい。
【0070】
より好ましくは、粒界偏析部分24には、R1の方がR2より多く固溶している。すなわち粒界偏析部分24でのR1およびR2のそれぞれの存在量をMBR1およびMBR2としたときに、(MBR1/MBR2)>1の関係を満足することがより好ましい。
【0071】
より好ましくは、拡散部分224には、粒子22の内部方向(粒界偏析部分24側から強誘電体部分222側)に向かうに連れて、R2が多く固溶している。すなわち拡散部分224でのR1およびR2のそれぞれの存在量をMAR1およびMAR2としたときの(MAR1/MAR2)の値が、前記粒界偏析部分24側から前記強誘電体部分222側に向かうに連れて漸次減少していることがより好ましい。
【0072】
より好ましくは、拡散部分224でのR1およびR2の存在量の比(MAR1/MAR2)の値が、粒界偏析部分24でのR1およびR2の存在量の比(MBR1/MBR2)の値よりも小さい。すなわち(MAR1/MAR2)<(MBR1/MBR2)の関係を満足することがより好ましい。
【0073】
こうした構造の誘電体粒子22を有することで、誘電体磁器組成物の、−55℃〜125℃の温度範囲での容量温度依存性が小さくなり、絶縁抵抗の加速寿命(高温負荷寿命)が高められる。
【0074】
誘電体粒子22の平均結晶粒径は、特に限定されず、誘電体層2の厚さなどに応じて例えば0.1〜5μmの範囲から適宜決定すればよい。容量温度特性は、一層あたりの誘電体層2が薄いほど悪化し、また、平均結晶粒径を小さくするほど悪化する傾向にある。このため、本発明の誘電体磁器組成物は、平均結晶粒径を小さくする必要がある場合に、具体的には、平均結晶粒径が0.1〜0.5μmである場合に特に有効である。また、平均結晶粒径を小さくすれば、IR寿命が長くなり、また、直流電界下での容量の経時変化が少なくなるため、この点からも平均結晶粒径は上記のように小さいことが好ましい。
上記第1〜3の観点に係る誘電体磁器組成物では、以下に示す態様の第4の観点に係る発明が好ましい。
本発明の第4の観点に係る誘電体磁器組成物は、
チタン酸バリウムからなる主成分と、
MgOからなる第1副成分と、
SiO系の焼結助剤からなる第2副成分と、
からなる第3副成分と、
R1の酸化物(ただし、R1は、Y)からなる第4副成分と、
R2の酸化物(ただし、R2は、Dy、TbおよびGdから選ばれる少なくとも1種)からなる第5副成分と、
MnOからなる第6副成分とを、有する誘電体磁器組成物であって、
前記主成分100モルに対する各副成分の比率が、
第1副成分:0.1〜5モル、
第2副成分:2〜10モル、
第3副成分:0.04〜0.06モル、
第4副成分:0.1〜10モル(ただし、第4副成分のモル数は、R1単独での比率)
第5副成分:0.1〜10モル(ただし、第5副成分のモル数は、R2単独での比率)
第6副成分:0.25モル未満である。
第4の観点では、前記誘電体磁器組成物を構成する誘電体粒子22のそれぞれの内部には、少なくとも前記R1およびR2を含む拡散部分224が存在していることが好ましい。
第4の観点では、前記誘電体粒子22は、実質的に前記R1およびR2を含まない強誘電体部分222と、該強誘電体部分222の周りに存在する拡散部分224とを有し、
該拡散部分224の周りには、粒界偏析部分24が存在し、
前記拡散部分224および粒界偏析部分24は、少なくとも前記R1およびR2を含み、
前記拡散部分224でのR1およびR2のそれぞれの存在量をMAR1およびMAR2とし、前記粒界偏析部分24でのR1およびR2のそれぞれの存在量をMBR1およびMBR2としたときに、(MBR1/MBR2)>1、および(MAR1/MAR2)<(MBR1/MBR2)の関係を満足することが好ましい。
第4の観点では、前記拡散部分224内での(MAR1/MAR2)の値が、前記粒界偏析部分24側から前記強誘電体部分222側に向かうに連れて漸次減少していることが好ましい。
第4の観点では、前記焼結助剤が、(Ba,Ca)SiO2+x (ただし、x=0.8〜1.2)であることが好ましい。
【0075】
内部電極層3に含有される導電材は特に限定されないが、誘電体層2の構成材料が耐還元性を有するため、卑金属を用いることができる。導電材として用いる卑金属としては、NiまたはNi合金が好ましい。Ni合金としては、Mn,Cr,CoおよびAlから選択される1種以上の元素とNiとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95重量%以上であることが好ましい。なお、NiまたはNi合金中には、P等の各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよい。内部電極層3の厚さは用途等に応じて適宜決定すればよいが、通常、0.5〜5μm、特に0.5〜2.5μm程度であることが好ましい。
【0076】
外部電極4に含有される導電材は特に限定されないが、本発明では安価なNi,Cuや、これらの合金を用いることができる。外部電極4の厚さは用途等に応じて適宜決定されればよいが、通常、10〜50μm程度であることが好ましい。
【0077】
本発明の誘電体磁器組成物を用いた積層セラミックコンデンサは、従来の積層セラミックコンデンサと同様に、ペーストを用いた通常の印刷法やシート法によりグリーンチップを作製し、これを焼成した後、外部電極を印刷または転写して焼成することにより製造される。以下、製造方法について具体的に説明する。
【0078】
まず、誘電体層用ペーストに含まれる誘電体磁器組成物粉末を準備し、これを塗料化して、誘電体層用ペーストを調整する。
【0079】
誘電体層用ペーストは、誘電体磁器組成物粉末と有機ビヒクルとを混練した有機系の塗料であってもよく、水系の塗料であってもよい。
【0080】
誘電体磁器組成物粉末としては、上記した酸化物やその混合物、複合酸化物を用いることができるが、その他、焼成により上記した酸化物や複合酸化物となる各種化合物、例えば、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等から適宜選択し、混合して用いることもできる。誘電体磁器組成物粉末中の各化合物の含有量は、焼成後に上記した誘電体磁器組成物の組成となるように決定すればよい。
塗料化する前の状態で、誘電体磁器組成物粉末の粒径は、通常、平均粒径0.1〜3μm程度である。
【0081】
有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中に溶解したものである。有機ビヒクルに用いるバインダは特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等の通常の各種バインダから適宜選択すればよい。また、用いる有機溶剤も特に限定されず、印刷法やシート法など、利用する方法に応じて、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン等の各種有機溶剤から適宜選択すればよい。
【0082】
また、誘電体層用ペーストを水系の塗料とする場合には、水溶性のバインダや分散剤などを水に溶解させた水系ビヒクルと、誘電体原料とを混練すればよい。水系ビヒクルに用いる水溶性バインダは特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性アクリル樹脂などを用いればよい。
【0083】
内部電極層用ペーストは、上記した各種導電性金属や合金からなる導電材、あるいは焼成後に上記した導電材となる各種酸化物、有機金属化合物、レジネート等と、上記した有機ビヒクルとを混練して調製する。
外部電極用ペーストは、上記した内部電極層用ペーストと同様にして調製すればよい。
【0084】
上記した各ペースト中の有機ビヒクルの含有量に特に制限はなく、通常の含有量、例えば、バインダは1〜5重量%程度、溶剤は10〜50重量%程度とすればよい。また、各ペースト中には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体、絶縁体等から選択される添加物が含有されていてもよい。これらの総含有量は、10重量%以下とすることが好ましい。
【0085】
印刷法を用いる場合、誘電体層用ペーストおよび内部電極層用ペーストを、PET等の基板上に積層印刷し、所定形状に切断した後、基板から剥離してグリーンチップとする。
【0086】
また、シート法を用いる場合、誘電体層用ペーストを用いてグリーンシートを形成し、この上に内部電極層用ペーストを印刷した後、これらを積層してグリーンチップとする。
【0087】
焼成前に、グリーンチップに脱バインダ処理を施す。脱バインダ処理は、内部電極層ペースト中の導電材の種類に応じて適宜決定されればよいが、導電材としてNiやNi合金等の卑金属を用いる場合、脱バインダ雰囲気中の酸素分圧を10−45 〜10Paとすることが好ましい。酸素分圧が前記範囲未満であると、脱バインダ効果が低下する。また酸素分圧が前記範囲を超えると、内部電極層が酸化する傾向にある。
【0088】
また、それ以外の脱バインダ条件としては、昇温速度を好ましくは5〜300℃/時間、より好ましくは10〜100℃/時間、保持温度を好ましくは180〜400℃、より好ましくは200〜350℃、温度保持時間を好ましくは0.5〜24時間、より好ましくは2〜20時間とする。また、焼成雰囲気は、空気もしくは還元性雰囲気とすることが好ましく、還元性雰囲気における雰囲気ガスとしては、たとえばNとHとの混合ガスを加湿して用いることが好ましい。
【0089】
グリーンチップ焼成時の雰囲気は、内部電極層用ペースト中の導電材の種類に応じて適宜決定されればよいが、導電材としてNiやNi合金等の卑金属を用いる場合、焼成雰囲気中の酸素分圧は、10−8〜10−4Paとすることが好ましい。酸素分圧が前記範囲未満であると、内部電極層の導電材が異常焼結を起こし、途切れてしまうことがある。また、酸素分圧が前記範囲を超えると、内部電極層が酸化する傾向にある。
【0090】
また、焼成時の保持温度は、好ましくは1100〜1400℃、より好ましくは1200〜1350℃である。保持温度が前記範囲未満であると緻密化が不十分となり、前記範囲を超えると、内部電極層の異常焼結による電極の途切れや、内部電極層構成材料の拡散による容量温度特性の悪化、誘電体磁器組成物の還元が生じやすくなる。
【0091】
これ以外の焼成条件としては、昇温速度を好ましくは50〜500℃/時間、より好ましくは200〜300℃/時間、温度保持時間を好ましくは0.5〜8時間、より好ましくは1〜3時間、冷却速度を好ましくは50〜500℃/時間、より好ましくは200〜300℃/時間とする。また、焼成雰囲気は還元性雰囲気とすることが好ましく、雰囲気ガスとしてはたとえば、NとHとの混合ガスを加湿して用いることが好ましい。
【0092】
還元性雰囲気中で焼成した場合、コンデンサ素子本体にはアニールを施すことが好ましい。アニールは、誘電体層を再酸化するための処理であり、これによりIR寿命を著しく長くすることができるので、信頼性が向上する。
【0093】
アニール雰囲気中の酸素分圧は、10−3Pa以上、特に10−2〜10Paとすることが好ましい。酸素分圧が前記範囲未満であると誘電体層の再酸化が困難であり、前記範囲を超えると内部電極層が酸化する傾向にある。
【0094】
アニールの際の保持温度は、1100℃以下、特に500〜1100℃とすることが好ましい。保持温度が前記範囲未満であると誘電体層の酸化が不十分となるので、IRが低く、また、IR寿命が短くなりやすい。一方、保持温度が前記範囲を超えると、内部電極層が酸化して容量が低下するだけでなく、内部電極層が誘電体素地と反応してしまい、容量温度特性の悪化、IRの低下、IR寿命の低下が生じやすくなる。なお、アニールは昇温過程および降温過程だけから構成してもよい。すなわち、温度保持時間を零としてもよい。この場合、保持温度は最高温度と同義である。
【0095】
これ以外のアニール条件としては、温度保持時間を好ましくは0〜20時間、より好ましくは2〜10時間、冷却速度を好ましくは50〜500℃/時間、より好ましくは100〜300℃/時間とする。また、アニールの雰囲気ガスとしては、たとえば、加湿したNガス等を用いることが好ましい。
【0096】
上記した脱バインダ処理、焼成およびアニールにおいて、Nガスや混合ガス等を加湿するには、例えばウェッター等を使用すればよい。この場合、水温は5〜75℃程度が好ましい。
【0097】
脱バインダ処理、焼成およびアニールは、連続して行なっても、独立に行なってもよい。
【0098】
上記のようにして得られたコンデンサ素子本体に、例えばバレル研磨やサンドブラストなどにより端面研磨を施し、外部電極用ペーストを印刷または転写して焼成し、外部電極4を形成する。外部電極用ペーストの焼成条件は、例えば、加湿したNとHとの混合ガス中で600〜800℃にて10分間〜1時間程度とすることが好ましい。そして、必要に応じ、外部電極4表面に、めっき等により被覆層を形成する。
このようにして製造された本発明の積層セラミックコンデンサは、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。
【0099】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0100】
たとえば、上述した実施形態では、本発明に係る電子部品として積層セラミックコンデンサを例示したが、本発明に係る電子部品としては、積層セラミックコンデンサに限定されず、上記組成の誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層を有するものであれば何でも良い。
【0101】
【実施例】
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
【0102】
実施例1
それぞれ粒径0.1〜1μmの主成分原料および副成分原料を用意した。MgOおよびMnOの原料には炭酸塩を用い、他の原料には酸化物を用いた。また、第2副成分の原料には、主成分原料100モルに対して3モルの(Ba0.6 Ca0.4 )SiOを用いた。3モルの(Ba0.6 Ca0.4 )SiOは、1.8モルのBaCO、1.2モルのCaCOおよび3モルのSiOとをボールミルにより16時間湿式混合し、乾燥後、1150℃で空気中で焼成し、さらに、ボールミルにより100時間湿式粉砕することにより製造した。これらの原料を、焼成後の組成が表1に示すものとなるように配合して、ボールミルにより16時湿式混合し、乾燥して誘電体原料を得た。
すなわち、参考例の試料(試料8,9,16,17)では、R1(第4副成分)とR2(第5副成分)とが含まれているが、比較例の試料(試料1〜5,10,11,18)では、R1(第4副成分)か、R2(第5副成分)のいずれかしか含まれていない。
【0103】
なお、試料1ではScがさらに含まれている。また、試料18ではSmが含まれている。参考例の試料では、R1(第4副成分)をYに固定し、R2(第5副成分)の種類を変化させたものである。
【0104】
得られた誘電体原料100重量部と、アクリル樹脂4.8重量部と、塩化メチレン40重量部と、酢酸エチル20重量部と、ミネラルスピリット6重量部と、アセトン4重量部とをボールミルで混合し、ペースト化して誘電体層用ペーストを得た。
【0105】
平均粒径0.2〜0.8μmのNi粒子100重量部と、有機ビヒクル(エチルセルロース8重量部をブチルカルビトール92重量部に溶解したもの)40重量部と、ブチルカルビトール10重量部とを3本ロールにより混練し、ペースト化して内部電極層用ペーストを得た。
【0106】
得られた誘電体層用ペーストを用いてPETフィルム上にグリーンシートを形成した。この上に内部電極用ペーストを印刷した後、PETフィルムからシートを剥離した。次いで、これらのグリーンシートと保護用グリーンシート(内部電極層用ペーストを印刷しないもの)とを積層、圧着して、グリーンチップを得た。
【0107】
次いで、グリーンチップを所定サイズに切断し、脱バインダ処理、焼成およびアニールを下記条件にて行って、積層セラミック焼成体を得た。脱バインダ処理条件は、昇温速度:30℃/時間、保持温度:260℃、温度保持時間:8時間、雰囲気:空気中とした。焼成条件は、昇温速度:200℃/時間、保持温度:1280℃、温度保持時間:2時間、冷却速度:200℃/時間、雰囲気ガス:加湿したN+H混合ガス(酸素分圧:10−6Pa)とした。アニール条件は、保持温度:900℃、温度保持時間:9時間、冷却速度:300℃/時間、雰囲気ガス:加湿したNガス(酸素分圧:10−2Pa)とした。なお、焼成およびアニールの際の雰囲気ガスの加湿には、水温を35℃としたウエッターを用いた。
【0108】
次いで、得られた積層セラミック焼成体の端面をサンドブラストにて研磨した後、外部電極としてIn−Gaを塗布し、図1に示す積層セラミックコンデンサのサンプルを得た。
【0109】
得られたコンデンササンプルのサイズは、3.2mm×1.6mm×0.6mmであり、内部電極層に挟まれた誘電体層の数は4、1層あたりの誘電体層の厚み(層間厚み)は約11.5μmまたは約9.5μmであり、内部電極層の厚さは1.5μmであった。各サンプルについて下記特性の評価を行った。
【0110】
比誘電率(ε)、誘電損失(tanδ)、絶縁抵抗(IR)、CR積
コンデンサのサンプルに対し、基準温度25℃において、デジタルLCRメータ(YHP社製4274A)にて、周波数1kHz,入力信号レベル(測定電圧)1Vrmsの条件下で、静電容量を測定した。そして、得られた静電容量から、比誘電率(単位なし)を算出した。その後、絶縁抵抗計(アドバンテスト社製R8340A)を用いて、25℃においてDC100Vを、コンデンササンプルに60秒間印加した後の絶縁抵抗IRを測定した。
【0111】
CR積は、静電容量(C,μF)と、絶縁抵抗(IR,MΩ)との積で表した。 誘電損失(tanδ)は、基準温度25℃において、デジタルLCRメータ(YHP社製4274A)にて、周波数1kHz,入力信号レベル(測定電圧)1Vrmsの条件下で測定した。
【0112】
比誘電率εは、小型で高誘電率のコンデンサを作成するために重要な特性である。実施例1では、比誘電率εの値は、コンデンサの試料数n=10個を用いて測定した値の平均値とし、好ましくは1800以上を良好とした。
実施例1では、誘電損失tanδの値は、コンデンサの試料数n=10個を用いて測定した値の平均値とし、好ましくは1.1%未満を良好、より好ましくは1.0%未満を良好とした。結果を表1に示す。
【0113】
静電容量の温度特性1
コンデンサのサンプルに対し、デジタルLCRメータ(YHP社製4274A)にて、周波数1kHz、入力信号レベル(測定電圧)1Vrmsの条件下で、静電容量を測定し、基準温度を25℃としたとき、−55〜125℃の温度範囲内で、温度に対する静電容量変化率(ΔC/C)がEIA規格のX7R特性を満足するかどうかを調べ、満足する場合を○、満足しない場合を×とし、結果を表1に示す。
【0114】
DCバイアス特性(誘電率の直流電圧印加依存性)
コンデンサのサンプルに対し、一定温度(25℃)において、徐々に直流電圧をかけていった際の誘電率の変化(単位は%)を算出した(測定条件は4V/μm)。実施例1では、DCバイアス特性は、10個のコンデンササンプルを用いて測定・算出した値の平均値とし、好ましくは±(プラスマイナス)30%以内を良好とした。結果を表1に示す。参考例の代表的な試料9については、高い電圧をかけても誘電率が減少しにくく、安定したDCバイアス特性を有することが確認された。
【0115】
高温負荷寿命(絶縁抵抗の加速寿命)
コンデンサのサンプルに対し、200℃で10V/μm、17.4V/μm、21V/μmの直流電圧の印加状態に保持することにより、高温負荷寿命を測定した。この高温負荷寿命は、誘電体層を薄層化する際に特に重要となるものである。実施例1では印加開始から抵抗が一桁落ちるまでの時間を寿命と定義し、これを10個のコンデンササンプルに対して行い、その平均寿命時間を算出した。結果を表1に示す。
【0116】
破壊電圧
コンデンサのサンプルに対し、直流電圧を昇温速度100V/sec.で印加し、100mAの漏洩電流を検知するか、または素子の破壊時の電圧(破壊電圧、単位はV/μm)を測定した。実施例1では、破壊電圧は、10個のコンデンササンプルを用いて測定した値の平均値とし、好ましくは80V/μm以上を良好とした。結果を表1に示す。
【0117】
【表1】
【0118】
表1(表2〜6も含む)中、絶縁抵抗(IR)の数値において、「mE+n」は「m×10+n」を意味する。
【0119】
表1に示すように、R1(第4副成分)とR2(第5副成分)とが含まれている参考例の試料を用いたサンプルは、X7R特性を満足し、しかも、比誘電率および絶縁抵抗が十分に高く、誘電損失は問題なく、CR積が良好で、DCバイアス特性、高温負荷寿命、破壊電圧も良好であることが判明した。参考例のサンプルは、X7R特性のほか、EIA規格のB特性も満足することが確認された。 これに対し、ScやR1(第4副成分)のみが含まれている比較例の試料(試料1〜5)を用いたサンプルでは、X7R特性は満足するが、高温負荷寿命または誘電損失が悪化することが確認できた。また、R2(第5副成分)のみが含まれている比較例の試料(試料11)を用いたサンプルでは、X7R特性すら満足せず、しかも誘電損失やDCバイアス、破壊電圧などの特性も悪化することが確認できた。
なお、表1中の試料8、9、16および17は、参考例である。
【0120】
実施例2
下記表2に示す組成を有するサンプル(ただし、1層あたりの誘電体層の厚み(層間厚み)=9.5μm)を、実施例1と同様にして作製した。参考例の試料(試料21〜23,23−1)では、R1(第4副成分)とR2(第5副成分)とが含まれているが、比較例の試料(試料24,19,20)では、R1(第4副成分)か、R2(第5副成分)のいずれかしか含まれていない。なお、試料24ではScがさらに含まれている。参考例の試料では、R2(第5副成分)をTbに固定し、R1(第4副成分)の種類を変化させたものである。これらのサンプルについて、実施例1と同様な測定を行った。結果を表2に示す。
【0121】
【表2】
【0122】
表2に示すように、R1(第4副成分)とR2(第5副成分)とが含まれている参考例の試料を用いたサンプルは、X7R特性を満足し、しかも、比誘電率および絶縁抵抗が十分に高く、誘電損失は問題なく、CR積が良好で、DCバイアス特性、高温負荷寿命、破壊電圧も良好であることが判明した。参考例のサンプルは、X7R特性のほか、EIA規格のB特性も満足していることが確認された。
これに対し、R1(第4副成分)のみが含まれている比較例の試料(試料19)を用いたサンプルでは、X7R特性は満足するが、高温負荷寿命または誘電損失が悪化することが確認できた。Scが含まれている比較例の試料(試料24)を用いたサンプルでは、誘電損失や高温負荷寿命が悪化することが確認できた。R2(第5副成分)のみが含まれている比較例の試料(試料20)を用いたサンプルでは、誘電損失やDCバイアス、破壊電圧、容量温度特性などが悪化することが確認できた。
なお、表2中の試料21、22、23および23−1は、参考例である。
【0123】
誘電体磁器組成物の微細構造1
参考例の試料9(Y:2モル、Tb:2モル)と、比較例の試料19(Y:4モル),試料24(Tb:2モル、Sc:2モル),試料18(Y:2モル、Sm:2モル)とを用いた各誘電体磁器組成物の微細構造をEPMA分析し、Mgの偏析状態を表すそれぞれの写真を、図2(A)、図3(A)、図4(A)および図5(A)に示し、希土類元素の偏析状態を表すそれぞれの写真を、図2(B)、図3(B)、図4(B)および図5(B)に示した。
図3(A)および同図(B)に示すように、希土類元素としてYのみを添加した比較例の試料19では、希土類元素とアルカリ土類元素(Mg)の偏析がともに多く見られた。図4(A)および同図(B)に示すように、希土類元素としてTbとScを添加した比較例の試料24では、希土類元素の偏析は少ないが、アルカリ土類元素の偏析が多く見られた。図5(A)および同図(B)に示すように、希土類元素としてYとSmを添加した比較例の試料18では、アルカリ土類元素の偏析は少ないが、希土類元素の偏析が多く見られた。
これに対し、図2(A)および同図(B)に示すように、希土類元素としてYとTbを添加した参考例の試料9においては、希土類元素とアルカリ土類元素の偏析がともに抑制されていることが確認できた。
【0124】
誘電体磁器組成物の微細構造2
参考例の試料21と同一の組成であるが、BaTiOの粒径を1μmとした試料21−1を用いた誘電体磁器組成物の微細構造をTEM(Transmission Electron Microscope)により観察した写真を図6に示す。そして、この図6の誘電体磁器組成物に含まれる誘電体粒子の微細構造を模式的に表した模式図を図7(A)に示し、この図7(A)の誘電体粒子の各領域における希土類元素R1およびR2の分布濃度(存在量)を分析し、これの模式図を図7(B)に示す。
図6、図7(A)および図7(B)により、およそ、前記誘電体磁器組成物の微細構造は、誘電体粒子22と、該誘電体粒子22の周りに存在する粒界偏析部分24とで構成され、しかも誘電体粒子22は、強誘電体部分222と、該強誘電体部分222の周りに存在する拡散部分224とを有することが確認された。
【0125】
図7(B)に示すように、強誘電体部分222には、添加されたR1およびR2の希土類元素が実質的に殆ど固溶されていないことが確認された。
また、拡散部分224および粒界偏析部分24には、R1およびR2の希土類元素がともに固溶されていることが確認された。
【0126】
さらに、粒界偏析部分24には、R1の方がR2より多く固溶していることが確認された。すなわち粒界偏析部分24でのR1およびR2のそれぞれの存在量をMBR1およびMBR2としたときに、(MBR1/MBR2)>1の関係を満足することが確認された。
さらにまた、拡散部分224でのR1およびR2の存在量の比(MAR1/MAR2)の値が、粒界偏析部分24でのR1およびR2の存在量の比(MBR1/MBR2)の値よりも小さいことが確認された。すなわち(MAR1/MAR2)<(MBR1/MBR2)の関係を満足することが確認された。
【0127】
静電容量の温度特性2
本発明の参考例としてY+Tbを含有するサンプル(試料21)、Ho+Tbを含有するサンプル(試料22)およびEr+Tbを含有するサンプル(試料23)を選び、比較例としてDy+Tbを含有するサンプル(試料20)を選び、これらのサンプルの−55℃〜125℃における容量温度特性を図8に示した。図8には、X7R特性を満足する矩形範囲を併記した。同図からも明らかなように、参考例の試料21〜23につき、良好な容量温度特性を示すことが理解できる。
なお、比較例の試料20では、基準温度25℃を境に上に凸の曲線を描いているが、このような曲線を描く場合には、上述した誘電体粒子22内の強誘電体部分222にDyとTbとが相当量、固溶しているものと考えられる。
【0128】
実施例3
下記表3に示す組成を有するサンプルを、実施例2と同様にして作製した。これらのサンプルは、第4副成分のR1の種類および添加量、ならびに第5副成分のR2の種類および添加量、が実施例2の試料21と共通するが、Vの添加量を変化させた点で異なるものである。これらのサンプルについて、実施例2と同様な測定を行った。結果を表3に示す。
【0129】
【表3】
【0130】
表3に示すように、Vの添加量を所定量まで増やしていくことで、高温負荷寿命が改善される傾向にあることが確認できた。
なお、表3中の試料26および27は実施例であり、試料25および28は、参考例である。
【0131】
実施例4
下記表4に示す組成を有するサンプルを、実施例1と同様にして作製した。これらのサンプルは、第4副成分のR1の種類および第5副成分のR2の種類が実施例1の試料9と共通するが、R1およびR2の添加量を変化させた点で異なるものである。これらのサンプルについて、実施例1と同様な測定を行った。結果を表4に示す。なお、表2における試料21も併せて記載した。
【0132】
【表4】
【0133】
表4に示すように、Y(R1)が多いと(試料30)、X7R特性は満足するが、高温負荷寿命が悪化する傾向が見られる。一方、Tb(R2)が多くなるにつれて(試料21,32)、高温負荷寿命が改善されていく傾向が見られる。しかしTbが多くなりすぎると、容量温度特性や高温負荷寿命が悪くなる傾向がある。
なお、表4中の試料21、30および32は、参考例である。
【0134】
実施例5
下記表5に示す組成を有するサンプルを、実施例1と同様にして作製した。これらのサンプルは、第4副成分のR1を複数用いた場合(試料33〜34)を示している。これらのサンプルについて、実施例1と同様な測定を行った。結果を表5に示す。
【0135】
【表5】
【0136】
表5に示すように、2種の希土類元素を添加した場合のみならず、3種以上の希土類元素添加した場合においても、(9配位時の有効イオン半径に関して)本発明で規定した範囲を満たすように希土類元素の種類を選択すれば、本発明の効果が得られることが分かる。
なお、表5中の試料33および34は、参考例である。
【0137】
実施例6
下記表6に示す組成を有するサンプルを、実施例1と同様にして作製した。これらのサンプルは、第6副成分のMn量を変化させた場合(試料35〜37)を示している。これらのサンプルについて、実施例1と同様な測定を行った。結果を表6に示す。
【0138】
【表6】
【0139】
表6に示すように、Mn量を0.2モル、すなわち0.25モル未満にすることで、CR積を向上できることが分かる。
なお、表6中の試料35〜37は、参考例である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図である。
【図2】 図2(A)は参考例の試料9を用いた誘電体磁器組成物の微細構造をEPMA分析して表されたMgの偏析状態を示す写真、図2(B)は同試料を用いた誘電体磁器組成物の微細構造をEPMA分析して表された希土類元素の偏析状態を示す写真である。
【図3】 図3(A)は比較例の試料19を用いた誘電体磁器組成物の微細構造をEPMA分析して表されたMgの偏析状態を示す写真、図3(B)は同試料を用いた誘電体磁器組成物の微細構造をEPMA分析して表された希土類元素の偏析状態を示す写真である。
【図4】 図4(A)は比較例の試料24を用いた誘電体磁器組成物の微細構造をEPMA分析して表されたMgの偏析状態を示す写真、図4(B)は同試料を用いた誘電体磁器組成物の微細構造をEPMA分析して表された希土類元素の偏析状態を示す写真である。
【図5】 図5(A)は比較例の試料18を用いた誘電体磁器組成物の微細構造をEPMA分析して表されたMgの偏析状態を示す写真、図5(B)は同試料を用いた誘電体磁器組成物の微細構造をEPMA分析して表された希土類元素の偏析状態を示す写真である。
【図6】 図6は参考例の試料21と同一の組成であるが、BaTiOの粒径を1μmとした試料21−1を用いた誘電体磁器組成物の微細構造をTEMにより観察した写真である。
【図7】 図7(A)は図6の誘電体磁器組成物に含まれる誘電体粒子の微細構造を模式的に表した模式図、図7(B)は同図(A)の誘電体粒子の各領域における希土類元素R1およびR2の分布濃度(存在量)を分析し、これを模式的に表した図である。
【図8】 図8は本発明の参考例と比較例のそれぞれの試料を用いたコンデンサの容量温度特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1… 積層セラミックコンデンサ
10… コンデンサ素子本体
2… 誘電体層
22… 誘電体粒子
222… 強誘電体部分
224… 拡散部分
24… 粒界偏析部分
25… 粒界
3… 内部電極層
4… 外部電極

Claims (24)

  1. チタン酸バリウムからなる主成分と、
    MgO、CaO、SrOおよびBaOから選ばれる少なくとも1種からなる第1副成分と、
    SiO系の焼結助剤からなる第2副成分と、
    、MoOおよびWOから選ばれる少なくとも1種からなる第3副成分と、
    R1の酸化物(ただし、R1は、9配位時の有効イオン半径が108pm未満の希土類元素で構成される第1元素群から選ばれる少なくとも1種)からなる第4副成分と、
    R2の酸化物(ただし、R2は、9配位時の有効イオン半径が108pm〜113pmの希土類元素で構成される第2元素群から選ばれる少なくとも1種)からなる第5副成分と、
    MnOおよびCrの少なくとも1種からなる第6副成分とを、有し、
    前記主成分100モルに対する各副成分の比率が、
    第1副成分:0.1〜5モル、
    第2副成分:2〜10モル、
    第3副成分:0.04〜0.06モル、
    第4副成分:0.1〜10モル(ただし、第4副成分のモル数は、R1単独での比率)
    第5副成分:0.1〜10モル(ただし、第5副成分のモル数は、R2単独での比率)
    第6副成分:0.5モル以下である誘電体磁器組成物。
  2. 前記第1元素群を構成する希土類元素の有効イオン半径が106pm超である請求項1に記載の誘電体磁器組成物。
  3. 前記第1元素群を構成する希土類元素の有効イオン半径をr1とし、前記第2元素群を構成する希土類元素の有効イオン半径をr2とした場合に、r1とr2との比(r2/r1)が、1.007<r2/r1<1.06の関係を満足するように、前記第1元素群および前記第2元素群が構成されている請求項2に記載の誘電体磁器組成物。
  4. チタン酸バリウムからなる主成分と、
    MgO、CaO、SrOおよびBaOから選ばれる少なくとも1種からなる第1副成分と、
    SiO系の焼結助剤からなる第2副成分と、
    、MoOおよびWOから選ばれる少なくとも1種からなる第3副成分と、
    R1の酸化物(ただし、R1は、9配位時の有効イオン半径が108pm未満の希土類元素で構成される第1元素群から選ばれる少なくとも1種。ただし、少なくともYを含む)からなる第4副成分と、
    R2の酸化物(ただし、R2は、9配位時の有効イオン半径が108pm〜113pmの希土類元素で構成される第2元素群から選ばれる少なくとも1種)からなる第5副成分と、
    MnOおよびCrの少なくとも1種からなる第6副成分とを、有し、
    前記主成分100モルに対する各副成分の比率が、
    第1副成分:0.1〜5モル、
    第2副成分:2〜10モル、
    第3副成分:0.04〜0.06モル、
    第4副成分:0.1〜10モル(ただし、第4副成分のモル数は、R1単独での比率)
    第5副成分:0.1〜10モル(ただし、第5副成分のモル数は、R2単独での比率)
    第6副成分:0.5モル以下である誘電体磁器組成物。
  5. 前記第1元素群に含まれるYの有効イオン半径をryとし、前記第2元素群を構成する希土類元素の有効イオン半径をr2とした場合に、ryとr2との比(r2/ry)が、1.007<(r2/ry)<1.05の関係を満足するように、前記第2元素群が構成されている請求項4に記載の誘電体磁器組成物。
  6. 前記第1元素群に含まれるYの有効イオン半径をryとし、前記第2元素群を構成する希土類元素の有効イオン半径をr2とした場合に、ryとr2との比(r2/ry)が、1.007<(r2/ry)<1.03の関係を満足するように、前記第2元素群が構成されている請求項4に記載の誘電体磁器組成物。
  7. チタン酸バリウムからなる主成分と、
    MgO、CaO、SrOおよびBaOから選ばれる少なくとも1種からなる第1副成分と、
    SiO系の焼結助剤からなる第2副成分と、
    、MoOおよびWOから選ばれる少なくとも1種からなる第3副成分と、
    R1の酸化物(ただし、R1は、9配位時の有効イオン半径が108pm未満の希土類元素で構成される第1元素群から選ばれる少なくとも1種)からなる第4副成分と、
    R2の酸化物(ただし、R2は、9配位時の有効イオン半径が108pm〜113pmの希土類元素で構成される第2元素群から選ばれる少なくとも1種。ただし、少なくともTbを含む)からなる第5副成分と、
    MnOおよびCrの少なくとも1種からなる第6副成分とを、有し、
    前記主成分100モルに対する各副成分の比率が、
    第1副成分:0.1〜5モル、
    第2副成分:2〜10モル、
    第3副成分:0.04〜0.06モル、
    第4副成分:0.1〜10モル(ただし、第4副成分のモル数は、R1単独での比率)
    第5副成分:0.1〜10モル(ただし、第5副成分のモル数は、R2単独での比率)
    第6副成分:0.5モル以下である誘電体磁器組成物。
  8. 前記第1元素群を構成する希土類元素の有効イオン半径をr1とし、前記第2元素群に含まれるTbの有効イオン半径をrtbとした場合に、r1とrtbとの比(rtb/r1)が、1.018<rtb/r1<1.062の関係を満足するように、前記第1元素群が構成されている請求項7に記載の誘電体磁器組成物。
  9. 前記第1元素群を構成する希土類元素の有効イオン半径をr1とし、前記第2元素群に含まれるTbの有効イオン半径をrtbとした場合に、r1とrtbとの比(rtb/r1)が、1.018<rtb/r1<1.022の関係を満足するように、前記第1元素群が構成されている請求項7に記載の誘電体磁器組成物。
  10. チタン酸バリウムからなる主成分と、
    MgOからなる第1副成分と、
    SiO系の焼結助剤からなる第2副成分と、
    からなる第3副成分と、
    R1の酸化物(ただし、R1は、Y)からなる第4副成分と、
    R2の酸化物(ただし、R2は、Dy、TbおよびGdから選ばれる少なくとも1種)からなる第5副成分と、
    MnOからなる第6副成分とを、有する誘電体磁器組成物であって、
    前記主成分100モルに対する各副成分の比率が、
    第1副成分:0.1〜5モル、
    第2副成分:2〜10モル、
    第3副成分:0.04〜0.06モル、
    第4副成分:0.1〜10モル(ただし、第4副成分のモル数は、R1単独での比率)
    第5副成分:0.1〜10モル(ただし、第5副成分のモル数は、R2単独での比率)
    第6副成分:0.25モル未満である請求項1に記載の誘電体磁器組成物。
  11. 前記主成分100モルに対する第5副成分の比率が、Yの比率以上である請求項4〜6のいずれかに記載の誘電体磁器組成物。
  12. 前記主成分100モルに対する、第4副成分および第5副成分の合計の比率が、10モル以下(ただし、第4副成分および第5副成分のモル数は、R1およびR2単独での比率)である請求項1〜11のいずれかに記載の誘電体磁器組成物。
  13. 前記焼結助剤が、(Ba,Ca)SiO2+x (ただし、x=0.8〜1.2)である請求項1〜12のいずれかに記載の誘電体磁器組成物。
  14. 前記誘電体磁器組成物を構成する誘電体粒子のそれぞれの内部には、少なくとも前記R1およびR2を含む拡散部分が存在している請求項1〜13のいずれかに記載の誘電体磁器組成物。
  15. 前記誘電体粒子は、実質的に前記R1およびR2を含まない強誘電体部分と、該強誘電体部分の周りに存在する拡散部分とを有し、
    該拡散部分の周りには、粒界偏析部分が存在し、
    前記拡散部分および粒界偏析部分は、少なくとも前記R1およびR2を含み、
    前記拡散部分でのR1およびR2のそれぞれの存在量をMAR1およびMAR2とし、前記粒界偏析部分でのR1およびR2のそれぞれの存在量をMBR1およびMBR2としたときに、(MBR1/MBR2)>1、および(MAR1/MAR2)<(MBR1/MBR2)の関係を満足する請求項14に記載の誘電体磁器組成物。
  16. 前記拡散部分内での(MAR1/MAR2)の値が、前記粒界偏析部分側から前記強誘電体部分側に向かうに連れて漸次減少している請求項15に記載の誘電体磁器組成物。
  17. 誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層を有する電子部品であって、
    定格電圧が100V以上であり、
    前記誘電体磁器組成物が、
    請求項1〜3のいずれかに記載の誘電体磁器組成物である電子部品。
  18. 誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層を有する電子部品であって、
    定格電圧が100V以上であり、
    前記誘電体磁器組成物が、
    請求項4〜6のいずれかに記載の誘電体磁器組成物である電子部品。
  19. 誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層を有する電子部品であって、
    定格電圧が100V以上であり、
    前記誘電体磁器組成物が、
    請求項7〜9のいずれかに記載の誘電体磁器組成物である電子部品。
  20. 誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層と、内部電極層とが交互に積層してあるコンデンサ素子本体を有する積層セラミックコンデンサであって、
    定格電圧が100V以上であり、
    前記誘電体磁器組成物が、
    請求項1〜3のいずれかに記載の誘電体磁器組成物である積層セラミックコンデンサ。
  21. 誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層と、内部電極層とが交互に積層してあるコンデンサ素子本体を有する積層セラミックコンデンサであって、
    定格電圧が100V以上であり、
    前記誘電体磁器組成物が、
    請求項4〜6のいずれかに記載の誘電体磁器組成物である積層セラミックコンデンサ。
  22. 誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層と、内部電極層とが交互に積層してあるコンデンサ素子本体を有する積層セラミックコンデンサであって、
    定格電圧が100V以上であり、
    前記誘電体磁器組成物が、
    請求項7〜9のいずれかに記載の誘電体磁器組成物である積層セラミックコンデンサ。
  23. 前記内部電極層に含まれる導電材がNiまたはNi合金である請求項20〜22のいずれかに記載の積層セラミックコンデンサ。
  24. 誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層と、NiまたはNi合金からなる導電材を主成分とする内部電極層とが交互に積層してあるコンデンサ素子本体を有する積層セラミックコンデンサであって、
    定格電圧が100V以上であり、
    前記誘電体磁器組成物が、
    請求項10に記載の誘電体磁器組成物である積層セラミックコンデンサ。
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