JP2003040671A - 誘電体磁器及び積層型電子部品並びに積層型電子部品の製法 - Google Patents
誘電体磁器及び積層型電子部品並びに積層型電子部品の製法Info
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Abstract
DCバイアス特性が良好で、薄層化しても誘電体磁器の
絶縁破壊電圧を向上できる誘電体磁器、及び高電圧が印
加されても静電容量の低下率が小さく信頼性にすぐれた
積層型電子部品並びに積層型電子部品の製法を提供す
る。 【解決手段】BCT型結晶粒子と、BT型結晶粒子とを
有し、Mg及び希土類元素とを含有する誘電体磁器であ
って、BT型結晶粒子表面に、アルカリ土類元素、希土
類元素及びSiを含有する複合酸化物からなる被覆層が
形成されている。
Description
層型電子部品並びにその製法に関するものであり、より
詳細には、例えば誘電体層に印加される直流電圧が2V
/μm以上であるような高電圧用の積層セラミックコン
デンサ等の形成に特に有用な誘電体磁器、及び該磁器を
用いて形成された積層型電子部品、並びにその製法に関
する。
電体層の形成に使用される誘電体材料には、小型・高容
量化の為に、高い比誘電率が要求されるのはもちろんの
こと、誘電損失が小さく、誘電特性の温度に対する依存
性(温度依存性)や直流電圧に対する依存性(DCバイ
アス依存性)が小さい等の種々の特性が要求される。
ミックコンデンサに印加する電界の増大による信頼性低
下を抑制するために、粒子径のより小さい誘電体材料が
使用されるようになってきた。
あるチタン酸バリウム(BaTiO3)は、コンデンサ
等の電子部品に用いる誘電体材料として広く使用されて
おり、特に小型・高容量で温度特性に優れた積層セラミ
ックコンデンサ用の誘電体材料として、大きな比誘電率
を示すサブミクロン粒径のBT焼結体が主流となってい
る。
知のBT系材料には、DCバイアス依存性が高く、直流
電圧印加による比誘電率の減少が大きいという欠点があ
る。即ち、小型化の為に誘電体層の薄層化を推し進める
と、誘電体層に印加される電界が増大する為、このよう
なBT系材料で形成された誘電体層から成るコンデンサ
では、静電容量の減少が大きく、実効的静電容量が小さ
くなるという問題があった。
ンよりさらに小さくしていくと、DCバイアス依存性を
改善できるが、粒子サイズの微小化に伴い比誘電率も減
少してしまうため、小型・高容量・DCバイアス特性を
同時に満足することはできなかった。
は、平均粒径が0.1〜0.3μmであり、温度特性の
異なる2種類以上の微粒子結晶により構成された誘電体
磁器が提案されており、この誘電体磁器は、平坦な温度
特性(誘電特性の温度依存性が小さい)と、優れたDC
バイアス特性を有していることが記載されている。即
ち、微粒子化により誘電体磁器の誘電的活性を小さくす
ることにより、平坦な温度特性と優れたDCバイアス特
性を得ている。
粒子サイズでは、最大でも2100程度の比誘電率しか
得られず、高容量化に限界があった。
になると、焼結時に容易に固溶体を形成し粒成長してし
まうため、原料粒子サイズを維持したまま緻密な焼結体
を作製するには種々の条件が必要であり、上記先行技術
の誘電体磁器は作製が困難であった。
は、BaTiO3のBaを一部Caで置換した(Ba1-x
Cax)TiO3(以下、BCTと呼ぶことがある)を用
い、コアシェル構造を形成する事により、平坦な温度特
性と、優れたDCバイアス特性を実現できることが記載
されている。
をCaで置換した場合には、Ca置換量が少量であって
も、比誘電率が大きく減少する事が知られている。即
ち、BCT焼結粒子の粒径をサブミクロンオーダーとす
ることにより、温度特性やDCバイアス特性を著しく向
上させることはできても、比誘電率を2000よりも高
めることは困難である。
御する上で必要不可欠であるMg、希土類元素と混合
し、焼成すると、Caの拡散にともなって、粒成長が起
こり易く、厳しい条件制御が必要であった。特に、サブ
ミクロン以下の粒径を有する原料を用いた場合には、著
しい粒成長を起こしてしまう。さらに、BCTに含まれ
るCa量が多いほど原子拡散による粒成長が起こりやす
く、BCTのCa置換量が数%以上の場合、微粒子焼結
体を作製する事は容易ではなかった。さらに、粒成長を
抑制するため低温で焼成した場合、Mg、希土類元素の
拡散が不充分となり易く、温度特性が制御できないとい
う問題があった。
とにより絶縁抵抗が低下し、特に直流電圧が2V/μm
以上であるような高電圧を印加する積層セラミックコン
デンサでは、絶縁破壊電圧が低下し、部品寿命が短くな
るという問題があった。
つ比誘電率の温度特性、DCバイアス特性が良好で、薄
層化しても誘電体磁器の絶縁破壊電圧を向上できる誘電
体磁器、及び高電圧が印加されても静電容量の低下率が
小さい積層型電子部品並びに積層型電子部品の製法を提
供することにある。
Aサイトの一部がCaで置換されたペロブスカイト型チ
タン酸バリウム結晶粒子(BCT型結晶粒子)と、置換
Caを含有していないペロブスカイト型チタン酸バリウ
ム結晶粒子(BT型結晶粒子)とを有する誘電体磁器で
あって、前記BT型結晶粒子表面に、アルカリ土類元
素、希土類元素及びSiを含有する複合酸化物からなる
被覆層が形成されていることを特徴とする。
揺らぎに起因して4000を越す大きな比誘電率を示す
が、逐次相転移の前駆現象である原子の揺らぎに起因し
た高比誘電率の為、DCバイアスの印加による比誘電率
の減少が大きい。
の内、最も高温(125℃程度)にある相転移温度は、
Aサイトの一部がCaで置換されても殆ど変わることが
ないが、室温近傍とそれよりさらに低温の構造相転移点
は、置換Ca量の増大に比例して低温にシフトする。即
ち、BTが高誘電率を示す大きな要因は、室温近傍とさ
らに低温の構造相転移の前駆現象である原子の揺らぎの
増大である為、Aサイトの一部がCaで置換されたBC
Tでは、室温近傍及びさらに低温での転移点が低温側に
シフトしており、比誘電率は減少するものの、DCバイ
アス特性は大きく向上する。
率を示し、温度特性に優れたBT型結晶粒子と、DCバ
イアス特性に優れたBCT型結晶粒子との共存構造を実
現する事により、BT型結晶に比べDCバイアス特性に
優れ、また、BCT型結晶に比べ高誘電率であり、且つ
誘電特性の温度依存性が小さいという特性を示すもので
ある。
晶粒子表面に、アルカリ土類元素、希土類元素及びSi
を含有する複合酸化物からなる被覆層が形成されている
ことが重要である。このように絶縁抵抗を向上するため
のアルカリ土類元素が、希土類元素やSiとともに複合
酸化物の形態でBT型結晶粒子表面に存在し、この複合
酸化物が比較的高い絶縁抵抗を有するため、誘電体磁器
の電界強度を高め、誘電体磁器の絶縁破壊電圧を向上す
ることができる。
層を有するBT型結晶粒子の結晶粒界には、アルカリ土
類とSiを含有するガラス相が形成されていることを特
徴とする。このガラス相は高絶縁性を有しており、添加
成分が焼成時に液相を形成したもので、誘電体層の焼結
を促進するとともに、その一部はBaTiO3粉末を被
覆している希土類元素と反応して、焼結体中のBT型結
晶粒子表面に被覆層を形成している。
覆層が、M4R6O(SiO4)型構造(Mはアルカリ土
類元素、Rは希土類元素)を有する結晶質であることが
望ましい。このようなM4R6O(SiO4)型構造(M
はアルカリ土類元素、Rは希土類元素)を有する結晶相
は、誘電損失が低く、高い絶縁抵抗を示すことから、さ
らに誘電体磁器の絶縁抵抗を高め、誘電体磁器の電界強
度を向上できる。
含有するとともに、該Mg及び希土類元素の少なくとも
一部は、それぞれBCT型結晶粒子及びBT型結晶粒子
中に固溶していることが好ましい。希土類元素として
は、Y、Tb、Dy、Ho、Er及びYbから成る群よ
り選択された少なくとも1種であることが好ましく、B
CT型結晶粒子は、Aサイトの2〜22モル%がCaで
置換されていることが好ましい。
晶粒子とBT型結晶粒子とを、BCT/BT=0.05
乃至20のモル比で含有していることが好適である。更
に、本発明の誘電体磁器は、Mnを、MnCO3換算
で、0.4重量%以下の量で含有していることが望まし
い。
ロンオーダーの平均粒径(0.2〜0.8μm)でBC
T型結晶粒子とBT型結晶粒子が共存し、少なくともB
T型結晶粒子表面に、アルカリ土類元素、希土類元素及
びSiを含有する複合酸化物からなる被覆層が形成され
ており、この結果、高誘電率を有し、しかも、誘電特性
の温度依存性やDCバイアス依存性も極めて小さく、絶
縁抵抗、及び誘電体磁器の絶縁破壊電圧を高め、誘電体
層1層あたりの電界強度を向上することができるという
極めて優れた特性を有している。
器からなる誘電体層と内部電極層とを交互に積層してな
る積層型電子部品が提供される。
a,Ca)TiO3粉末と、表面が少なくとも希土類元
素を含有する酸化物で被覆された被覆BaTiO3粉末
と、少なくともアルカリ土類元素及びSiを含む添加物
粉末を混合し、スラリーを調整する工程と、該スラリー
を用いて作製されたグリーンシートと内部電極パターン
とが交互に積層された積層成形体を作製する工程と、該
積層成形体を焼成する工程とを具備する製法である。
らなる原料粉末の表面に、少なくとも希土類元素を含有
する酸化物を被覆し、この被覆BaTiO3粉末と(B
a,Ca)TiO3原料粉末に添加物成分を添加して混
合することにより、焼成後にBT型結晶粒子の表面にほ
ぼ均一に高絶縁性の複合酸化物からなる被覆層を形成す
るとともに、BCT型結晶粒子に対するMg、希土類元
素の過剰な固溶や粒成長を抑制し、10μm以下に薄層
化した誘電体層の1層あたりの電界強度を高め、絶縁破
壊電圧を高めることができる。
は、BCT型結晶粒子とBT型結晶粒子とを含有するも
のであり、上述した様に、このような2種の結晶粒子が
共存していることにより、優れた特性を示す。
ト)の一部がCaで置換されたペロブスカイト型チタン
酸バリウムであり、理想的には、下記式: (Ba1-xCax)TiO3 で表されるが、本発明においては、Mg及び希土類元素
が、通常、このBサイトに固溶している(Aサイトに固
溶していることもある)。
ペロブスカイト型チタン酸バリウムであり、理想的に
は、下記式: BaTiO3 で表されるが、上記のBCT型結晶粒子と同様、このB
T型結晶粒子においても、このBサイトに、通常、Mg
及び希土類元素が固溶している。
おけるAサイト中のCa置換量は、2〜22モル%、特
に4〜15モル%であることが好ましい。Ca置換量が
この範囲内であれば、室温付近の相転移点が十分低温に
シフトし、BT型結晶粒子との共存構造により、コンデ
ンサとして使用する温度範囲において優れたDCバイア
ス特性を確保できるからである。
の時は、その誘電特性は、BT型結晶粒子と大きな差異
がなく、BCT型結晶粒子を用いる有効性が小さくなっ
てしまう。一方、Ca置換量が上記範囲よりも多くなる
と、CaTiO3が容易に析出してしまい、誘電率の低
下を生じるおそれがある。
子は、何れも、0.2〜0.8μmの平均粒径を有して
おり、特に比誘電率を高め、且つ比誘電率の温度依存性
を抑制するためには、0.3〜0.7μmの平均粒径を
有していることが好ましい。尚、BT型結晶粒子につい
ては、被覆層も含めた平均粒径が0.2〜0.8μmで
ある。例えば、これら結晶粒子の平均粒径が0.2μm
よりも小さいと、これら結晶粒子の比誘電率は何れも低
く、誘電体磁器の比誘電率を高めることが困難となって
しまう。また、焼成に際して、両者の間で容易に固溶が
生じ、共存構造の実現が困難となるからである。更に、
これら結晶粒子の平均粒径が0.8μmよりも大きくな
ると、その粒子サイズの増大に伴って比誘電率が増大
し、温度依存性、DCバイアス依存性が大きくなってし
まう。
結晶粒子の表面には、アルカリ土類元素、希土類元素及
びSiを含有するM4R6O(SiO4)型構造を有する
複合酸化物からなる被覆層が形成されている。被覆層を
形成するアルカリ土類元素としては、Ca、Srがあ
る。この被覆層はBT型結晶粒子の全周を取り囲むよう
に、BT型結晶粒子の表面にほぼ均一厚みで形成されて
いる。また、BT型結晶粒子表面の被覆層は、一部BT
型結晶粒子から離れて粒界に存在する場合がある。
iO4)結晶相や、他のCa、Y、Si、及びLi等を
含む化合物から構成されており、このようなCa4Y6O
(SiO4)結晶相の存在は、透過電子顕微鏡(TE
M)の微小領域電子回折像によって確認できる。
(SiO4)結晶相中のYの代わりに、他の希土類元素
を用いても同様の複合酸化物を形成することができる
が、Y、Tb、Dy、Ho、Er及びYbが望ましく、
特に、高誘電率化という点からYが望ましい。
中のCaの代わりに、他のアルカリ土類元素を用いても
同様の複合酸化物を形成することができるが、Ca4Y6
O(SiO4)結晶相と同じ結晶構造を持つ複合酸化物
を形成する点から、CaもしくはSrが望ましく、特
に、高い電界強度を有するために高絶縁抵抗化という点
からCaが望ましい。
晶粒子及びBT型結晶粒子内に固溶するが、一部粒界に
存在し、非晶質相を形成する場合がある。
T型結晶粒子及びBT型結晶粒子の何れにも、Mg及び
希土類元素が固溶している。これらの元素成分は、原料
粒子の焼結性を高め、粒成長を抑制し、前述した平均粒
径の結晶粒子を形成させるための焼結助剤として使用さ
れるMg化合物及び希土類元素化合物、BaTiO3粉
末の被覆成分に由来するものであり、希土類元素として
は、特に制限されるものではないが、上記したように、
特に希土類元素としてはY、Tb、Dy、Ho、Er及
びYbを例示することができ、これら希土類元素は、1
種単独でも2種以上であってもよい。
ら結晶粒子の粒界に存在する場合がある。粒界に存在す
る場合は主として非晶質として存在する。
割について述べる。BT及びBCT型結晶粒子は、何れ
も、焼結時に原子拡散による粒成長を起こしやすく、微
小粒径の緻密焼結体を得にくい。特に、用いた原料粒子
サイズがサブミクロンより小さい場合、粒子体積に対
し、表面積が大きな割合を占め、表面エネルギーが大き
いことによって、エネルギー的に不安定な状態になって
しまう。このため、焼成に際して、原子拡散による粒成
長を生じ、表面積が小さくなって表面エネルギーの低下
による安定化が生じる。従って、粒成長が起こりやす
く、微小サイズの粒子からなる緻密焼結体は得にくいも
のとなっている。具体的には、0.2μmより小さい微
小粒子サイズのBT及びBCTの焼結体は、容易に固溶
・粒成長を生じ、粒子間の原子の移動を抑制するものを
粒子間に導入しなければ1μmを越える大きな粒子サイ
ズからなる焼結体が形成されてしまい、サブミクロン以
下の微小粒子サイズからなる緻密な焼結体を得るのは困
難である。
Yの様な希土類元素を添加剤として導入し、さらに焼成
条件を調整する事により、原料結晶粒子のサイズを反映
した微小粒子焼結体を得る事ができる。これらの添加物
は、粒子表面に拡散し液相を形成する事により、焼結を
促進するとともに、粒界近傍及び粒界に存在して母相で
あるBT、BCT型結晶粒子間におけるBa、Ca、T
i原子の移動を妨げ、粒成長を抑制する。
元素の固溶、拡散状態は、これらの結晶粒子を透過型電
子顕微鏡で観察することにより確認することができる。
とは、BCT/BT=0.05乃至20、特に、0.2
5乃至4のモル比で存在していることが好ましい。即
ち、BCT型結晶粒子の割合が上記範囲よりも少ないか
或いはBT型結晶粒子の割合が上記範囲よりも多いと、
BCT型結晶粒子の優れた特性、例えば温度特性やDC
バイアス特性が損なわれてしまうおそれがある。また、
BCT型結晶粒子の割合が上記範囲よりも多いか或いは
BT型結晶粒子の割合が上記範囲よりも少ないと、BT
型結晶粒子を共存させた技術的意義が失われ、例えば誘
電率の低下を生じたり、BCT型結晶粒子における焼成
時のCa拡散を有効に抑制することが困難となり、焼結
性の低下や粒成長を生じ、温度特性やDCバイアス特性
の低下を生じるおそれがある。
ぞれ酸化物換算で、0.05乃至0.5重量%、特に
0.1乃至0.5重量%のMgと、0.1乃至1.7重
量%、特に0.1乃至1.5重量%の希土類元素とを含
有していることが好ましい。これらは、前記の如く、焼
結助剤に由来する元素成分であり、少なくとも一部はB
CT型結晶粒子及びBT型結晶粒子中に固溶している。
これら元素成分の量が上記範囲よりも少ないと、緻密な
焼結体を得ることが困難となるばかりか、誘電体磁器の
温度特性やDCバイアス特性も低下する傾向がある。ま
た、これらの元素成分の量が上記範囲よりも多いと、上
記結晶粒子の粒界への析出量が増大する結果、誘電体磁
器の優れた特性が全般的に低下する傾向がある。 (他成分)さらに、本発明の誘電体磁器は、上述した結
晶粒子やMg、希土類元素成分以外の他の成分を含有し
ていてもよく、例えば、Mnを、MnCO3換算で0.
4重量%以下、特に0.05乃至0.4重量%の割合で
含有することができる。Mnは、還元雰囲気における焼
成によって生成するBT、BCT型結晶中の酸素欠陥を
補償し、絶縁的信頼性を向上させるために使用される。
このようなMn成分を含有させることにより、誘電体磁
器の電気的絶縁性が増大し、また高温負荷寿命を大きく
し、コンデンサ等の電子部品としての信頼性が高められ
る。尚、Mn含量が上記範囲よりも多量となると、誘電
体磁器の比誘電率及び絶縁性が低下するおそれがある。
このようなMnは、主としてBT型結晶粒子やBCT型
結晶粒子内部に拡散し均一固溶するが、粒界に非晶質と
して存在することもある。
成長を抑制するために少量のBaCO3を含有していて
もよい。
部電極層とを交互に積層してなるものであり、誘電体層
が上記した誘電体磁器から構成されている。誘電体層厚
みは、高い絶縁性が要求されるという点から、本発明
は、誘電体層の厚みが4μm以下の場合に好適に用いら
れる。このような積層型電子部品は、例えば、先ず、誘
電体層となるグリーンシートを作製する。このグリーン
シートは、(Ba,Ca)TiO3原料粉末及びBaT
iO3原料粉末の混合物を用いて形成する。
aTiO3粉の合成法は、固相法、液相法(シュウ酸塩
を経過する方法等)、水熱合成法等があるが、そのうち
粒度分布が狭く、結晶性が高いという理由から水熱合成
法が望ましい。(Ba,Ca)TiO3粉及びBaTi
O3粉の比表面積は1.7〜6.6(m2/g)が好まし
い。
は、BaTiO3原料粉末として、その表面を希土類元
素、Mg及びMnのそれぞれの酸化物の混合物で被覆し
たもの(以下、被覆BaTiO3粉ということもある)
を用いる。このようなBaTiO3原料粉末の被覆手法
としては、固相法、液相法、気相法などがあるが、手法
は特に限定されるものではない。上記のBaTiO3粉
の表面に形成された被覆膜は、希土類元素、Mg、Mn
の3種類の元素が混合されており、これらの元素が酸化
物の状態で混在した状態となっている。被覆層には少な
くとも希土類元素を含む必要がある。
量は、BaTiO3が100重量部に対して酸化イット
リウム(Y2O3)を0.5〜1.5重量部、酸化マグネ
シウム(MgO)を0.1〜0.3重量部、酸化マンガ
ン(MnO)を0.1〜0.3重量部の割合が望まし
い。
a,Ca)TiO3粉と、被覆BaTiO3粉に対して、
Li2O、SiO2及びCaOを含む添加物成分(ガラス
成分)を、(Ba、Ca)TiO3粉及びBaTiO3粉
の混合粉100重量部に対して0.5〜2重量部添加し
て構成されている。さらに所望のMg化合物、Mn化合
物、希土類酸化物粉末を添加することもできる。
ストを塗布して内部電極パターンを形成し、これを乾燥
させ、この内部電極パターンが形成されたグリーンシー
トを複数枚積層し、熱圧着させる。その後、この積層物
を格子状に切断して、電子部品本体成形体を得る。この
電子部品本体成形体の両端面には、内部電極パターンの
端部が交互に露出している。
5〜40℃/hの昇温速度で200〜400℃にて脱バ
インダ処理を行い、その後、還元雰囲気中で500℃か
らの昇温速度を100〜400℃/hとし、1100〜
1300℃の温度で2〜5時間焼成し、続いて100〜
400℃/hの降温速度で冷却し、窒素雰囲気中900
〜1100℃で再酸化処理を行う。
400℃/hとし、1180〜1270℃の温度で焼成
することにより、アルカリ土類元素、希土類元素及びS
iを含有する複合酸化物をBT型結晶粒子表面に存在さ
せることができる。
なる被覆層は、BaTiO3粉に、Y、Mg、Mnの3
種類の元素を同時に湿式法により化学的に被覆し、(B
a、Ca)TiO3粉と被覆BaTiO3粉に対して、C
aO、Li2O及びSiO2とを含む添加物成分を混合
し、この誘電体磁器を還元雰囲気中で500℃から焼結
温度までの昇温速度を100〜400℃/hとし、11
00〜1300℃の温度で2〜5時間焼結し、続いて1
00〜400℃/hの降温速度で冷却することによって
生成させることができる。
素、Mg及びMnを被覆しているため、これらの希土類
元素、Mg及びMnが特にBaTiO3粉末へ固溶し易
くなり、そのうちMg及びMnが優先的にBaTiO3
粉末へ固溶していくため、被覆している希土類元素のう
ち一部がBaTiO3粉末に固溶しきれず、BaTiO3
表面に取り残され、上記したような、500℃から焼結
温度までの昇温速度を従来よりも低い100〜400℃
/hとすることにより、添加物成分として添加したCa
O、SiO2と反応し、アルカリ土類元素、希土類元素
及びSiとの複合酸化物、例えばCa4Y6O(Si
O4)結晶相からなる被覆層がBT型結晶粒子表面に生
成すると考えている。
に、外部電極ペーストを塗布して窒素中で焼き付けるこ
とによって外部電極を形成する。さらに外部電極の表面
を脱脂、酸洗浄、純水を用いた水洗を行った後、バレル
方式により、メッキを行う。
なる積層型電子部品では、高誘電率で、優れたDCバイ
アス特性を有する本発明の誘電体磁器により形成された
誘電層を備えているため、印加直流電圧が2V/μm以
上であるような高電圧用に極めて有用であり、誘電体層
1層あたりの電界強度を高め、絶縁破壊電圧を向上させ
ることができ、高温負荷試験における信頼性をも向上す
ることができるため、高容量化・小型化をさらに推し進
めることができる。更に、平均粒径の小さい誘電体磁器
を用いていることにより、誘電体層厚みを容易に薄層化
することができ、静電容量の向上、小型化が可能になる
と共に、Ni、Cu等の卑金属を導体として用いること
により、安価な積層セラミックコンデンサが得られる。
コンデンサを以下のようにして作製した。まず、誘電体
素材料として、平均粒径0.35〜0.4μmのBaT
iO3粉末を用い、BaTiO3100重量部に対して、
MgOを0.2重量部、MnOを0.1重量部と、表1
に示すY2O3、Dy2O3、Ho2O3、Er2O3及びYb
2O3を1.0重量部とを、Mg、Mn、Y等が混在した
状態で存在するように被覆し、この被覆BaTiO3粉
と、平均粒径0.4μmのBCT粉末を表1に示したよ
うな所定の比率になるよう調整し、被覆BaTiO3粉
とBCT粉末の合量100重量部に対して、Li2O、
SiO2、BaO、CaOを含有する低融点ガラス粉末
1重量部と、さらに表1に示す粉末添加物成分を、被覆
BaTiO3粉とBCT粉末の合量100重量部に対し
て、表1に示す割合で添加し、直径5mmのZrO2ボ
ールを用いたボールミルにて湿式粉砕することにより調
製した。尚、表1において、BCT粉末のAサイトのC
a置換量は、式:(Ba1- xCax)TiO3におけるx
の値で示した。
スラリーを調製し、ドクターブレードにより厚み5.5
μmのグリーンシートを作製した。
分とする内部電極ペーストをスクリーン印刷した。
ンシートを100枚積層し、その上下面に、内部電極ペ
ーストを印刷していないグリーンシートをそれぞれ20
枚積層し、プレス機を用いて一体化し、積層成形体を得
た。
速度で大気中で300℃/hにて脱バインダ処理を行
い、500℃からの昇温速度が300℃/hの昇温速度
で、1100℃〜1300℃(酸素分圧10-11at
m)で2時間焼成し、続いて300℃/hの降温速度で
1000℃まで冷却し、窒素雰囲気中1000℃で4時
間再酸化処理をし、300℃/hの降温速度で冷却し、
電子部品本体を作製した。この誘電体層の厚みは3.9
μmであった。
以外は、上記と同様にして、即ち、被覆BaTiO3粉
末100重量部に対して、Li2O、SiO2、BaO、
CaOを含有する低融点ガラス粉末1重量部を加えた原
料粉末(試料No.22)、及びBCT粉末を用いず、
被覆層を形成していないBaTiO3粉末100重量部
に対して、MnCO3を0.1重量部、MgOを0.2
重量部、Y2O3を1.0重量部、Li2O、SiO2、B
aO、CaOを含有する低融点ガラス粉末を1.0重量
部加えた原料粉末(No.23)を調製して、厚み5.
5μmのグリーンシートを作製した。試料No.22、
23についても実施例と同様にして電子部品本体を作製
した。
した後、電子部品本体の両端部にCu粉末とガラスを含
んだ外部電極ペーストを塗布し、850℃、窒素中で焼
き付けを行い外部電極を形成した。その後、電解バレル
機を用いて、この外部電極の表面に、順にNiメッキ及
びSnメッキを行い、積層セラミックコンデンサを作製
した。
の比誘電率、静電容量の温度特性、DCバイアス特性及
び高温負荷寿命の測定を行った。比誘電率及び静電容量
の温度特性は周波数1.0kHz、測定電圧0.5Vr
msの測定条件で、DCバイアス特性は20℃、0Vの
場合に対して室温で8Vの直流電圧をかけた場合の容量
変化として示した。
125℃、電圧64Vの条件で、試料数100個につき
絶縁破壊時間を測定し、その平均値を算出した。また、
比誘電率は、静電容量と内部電極層の有効面積、誘電体
層の厚みから算出した。誘電体層を構成するBT型結晶
粒子(被覆層まで含む)とBCT型結晶粒子の平均粒径
を求めた。
顕微鏡観察と微小領域電子線回折法により行い、被覆B
aTiO3粉末を用いた場合はBT型結晶粒子にM4R6
O(SiO4)型構造を有する結晶質の複合酸化物被覆
層が形成されていることを確認した。
電体層とするセラミックコンデンサは、誘電体層の比誘
電率2000以上を示し、温度変化率、DCバイアス、
高温負荷寿命とも優れた特性を示したのに対し、BT単
独で誘電体層を形成した場合には、DCバイアスによる
容量変化が−35%前後と大きく、さらに被覆層の形成
されていない試料No.23では絶縁破壊電圧が低下
し、高温負荷寿命が短くなった。
000以上で、比誘電率の温度特性が±10%以内で、
かつ2V/μmのDCバイアス印加による比誘電率の変
化率が20%以内の特性を有し、絶縁破壊電圧を向上で
き、それにより高電圧が印加されても静電容量の低下率
が小さい小型・高容量・高信頼性の積層型セラミックコ
ンデンサ等の積層型電子部品を実現することができる。
Claims (6)
- 【請求項1】Aサイトの一部がCaで置換されたペロブ
スカイト型チタン酸バリウム結晶粒子(BCT型結晶粒
子)と、置換Caを含有していないペロブスカイト型チ
タン酸バリウム結晶粒子(BT型結晶粒子)とを有する
誘電体磁器であって、前記BT型結晶粒子表面に、アル
カリ土類元素、希土類元素及びSiを含有する複合酸化
物からなる被覆層が形成されていることを特徴とする誘
電体磁器。 - 【請求項2】結晶粒界にアルカリ土類元素とSiを含有
するガラス相が形成されていることを特徴とする請求項
1記載の誘電体磁器。 - 【請求項3】被覆層が、M4R6O(SiO4)型構造
(Mはアルカリ土類元素、Rは希土類元素)を有する結
晶質であることを特徴とする請求項1又は2記載の誘電
体磁器。 - 【請求項4】Mg及び希土類元素を含有するとともに、
該Mg及び希土類元素の少なくとも一部は、それぞれB
CT型結晶粒子及びBT型結晶粒子中に固溶しているこ
とを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれかに記載の
誘電体磁器。 - 【請求項5】請求項1乃至4のうちいずれかに記載の誘
電体磁器からなる誘電体層と内部電極層とを交互に積層
してなることを特徴とする積層型電子部品。 - 【請求項6】(Ba,Ca)TiO3粉末と、表面が少
なくとも希土類元素を含有する酸化物で被覆された被覆
BaTiO3粉末と、少なくともアルカリ土類元素及び
Siを含む添加物粉末とを混合し、スラリーを調製する
工程と、該スラリーを用いて作製されたグリーンシート
と内部電極パターンとが交互に積層された積層成形体を
作製する工程と、該積層成形体を焼成する工程とを具備
することを特徴とする積層型電子部品の製法。
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