JP5142700B2 - 誘電体磁器組成物および誘電体共振器 - Google Patents

誘電体磁器組成物および誘電体共振器 Download PDF

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Description

本発明は、誘電体材料等に使用される誘電体磁器組成物およびこれを用いた誘電体磁器を備えた誘電体共振器に関する。
携帯電話の中継基地局などには電波を拾うための共振器が組み込まれている。その共振器の中核部にはフィルタとしての誘電体セラミックスが使用される。優れた誘電特性を有する誘電体磁器組成物として、La、Al、CaおよびTiを含有するものが提案されている(特許文献1を参照)。
特開平6−76633号公報
このような共振器は携帯電話の中継基地局などに限らず、あらゆる場所に設置するケースが増えている。このため、年較温度差または日較温度差が大きい地域などでは、温度によって共振周波数が変化しにくい誘電体磁器組成物により共振器のフィルタを構成することが望まれている。
本発明の誘電体磁器組成物は、La、Al、CaおよびTiを含有し、組成式を、αLa・βAl・γCaO・δTiO(但し、3≦X≦4)と表したとき、モル比α、β、γおよびδが、次の式、0.056≦α≦0.214、0.056≦β≦0.214、0.286≦γ≦0.500、0.230<δ<0.470、α+β+γ+δ=1、を満足し、かつMnをMnO換算で0.01質量%以上1質量%以下含有するものであって、CaTiO結晶を有し、リートベルト法によって求めたCaTiO結晶の格子定数のaが5.406以上5.408以下、bが7.650以上7.652以下、かつcが5.405以上5.407以下であることを特徴とする。
また、CaTiOとLaAlOとの多結晶体からなることを特徴とする。
また、Biと、YbおよびCeの少なくとも一方とを含有し、Bの含有量がBi換算で0.005質量%以上0.3質量%以下であり、さらに、YbをYb 換算し、CeをCe 換算した含有量の総量が、0.014質量%以上3質量%以下であることを特徴とする。
また、平均ボイド率が3%以下であることを特徴とする。
また、本発明の誘電体共振器は、入力端子と、出力端子と、前記入力端子と前記出力端子の間に配置した請求項1乃至4のいずれかに記載の誘電体磁器組成物からなる誘電体磁器とを備えてなることを特徴とする。
本発明によれば、高いQ値を得ることができる。
また、誘電体磁器の強度および破壊靭性等の機械的特性を向上させることができる。
さらに、高い比誘電率が得られ、誘電体磁器およびこれを用いた誘電体共振器を従来サイズからさらに小さくすることが可能となる。特に、誘電体磁器の共振周波数の温度依存性を安定化させることが可能となるので、信頼性の優れた誘電体共振器を提供できる。
以下に本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
本実施形態の誘電体磁器組成物は、La、Al、CaおよびTiを含有し、組成式を、αLa・βAl・γCaO・δTiO(但し、3≦X≦4)と表したとき、モル比α、β、γおよびδが、次の式、0.056≦α≦0.214、0.056≦β≦0.214、0.286≦γ≦0.500、0.230<δ<0.470、α+β+γ+δ=1、を満足し、かつMnをMnO換算で0.01質量%以上1質量%以下含有するものであって、CaTiO結晶を有し、リートベルト法によって求めたCaTiO結晶の格子定数のaが5.406以上5.408以下、bが7.650以上7.652以下、かつcが5.405以上5.407以下である。これにより、Q値を高くすることができ、誘電体磁器組成物の共振周波数の温度依存性を安定化させることができる。
本実施形態において、各成分のモル比α、β、γおよびδを上記の範囲に限定した理由は以下の通りである。0.056≦α≦0.214としたのは、比誘電率(εr)が大きく、Q値が高く、共振周波数の温度係数τfの絶対値が小さくなるからである。特に、αの下限は0.078が好ましく、αの上限は0.1866が好ましい。0.056≦β≦0.214としたのは、比誘電率(εr)が大きく、Q値が高く、τfの絶対値が小さくなるからである。特に、βの下限は0.078が好ましく、βの上限は0.1866が好ましい。0.286≦γ≦0.500としたのは、比誘電率(εr)が大きく、Q値が高く、τfの絶対値が小さくなるからである。特に、γの下限は0.330が好ましく、γの上限は0.470が好ましい。0.230<δ<0.470としたのは、比誘電率(εr)が大きく、Q値が高く、τfの絶対値が小さくなるからである。特に、δの下限は0.340が好ましく、δの上限は0.450が好ましい。
そして、本実施形態の誘電体磁器組成物において、MnをMn換算で0.01質量%以上1質量%以下含有する理由は、次のことが考えられる。Mn酸化物の価数変化に伴って生じる酸素で、誘電体磁器組成物内の酸素欠陥に酸素供給することが可能となり、誘電体磁器組成物内の酸素欠陥の発生が主な要因となって生じる比誘電率の低下および共振周波数の温度依存性が改善される。MnがMnO換算で0.01質量%以上1質量%以下であれば、格子欠陥に酸素を供給する役割を発揮する傾向にある。これにより、La
AlCaTi系材料の結晶構造自体への悪影響を低減し、本来の機械的特性や比誘電率、共振周波数の温度依存性を改善することができる。よって、MnはMnO換算で0.01質量%以上0.5質量%未満とするのが好ましい。
そして、本実施形態では、X線回折チャートからリートベルト法によって求めたCaTiOの格子定数のaが5.406以上5.408以下、bが7.650以上7.652以下、かつcが5.405以上5.407以下の範囲内とするものである。本実施形態のLaAlCaTi系の誘電体磁器組成物は、未焼結体を焼成すると、LaAlO(アルミン酸ランタン)とCaTiO(チタン酸カルシウム)の2つのペロブスカイト構造が互いに固溶した多結晶体となる。この多結晶体のQ値は、固溶状態によって大きく左右され、最適な固溶状態が得られる組成範囲と製造条件とで高いQ値を得ることができる。
高いQ値を得る固溶状態を確認する方法としては、LaAlO(アルミン酸ランタン)とCaTiO(チタン酸カルシウム)の2つのペロブスカイト構造を有する酸化物のうち、いずれかの格子定数を確認すればよい。例えば、CaTiOにLaAlOが固溶すると考える場合、CaTiOの格子定数が固溶なしの定比からどのような範囲まで変化させれば、高いQ値が得られるのかを確認する。
本実施形態では、LaAlCaTi系の誘電体磁器組成物において、様々な組成範囲と製造条件を検討していく中で、従来よりも特に優れた高いQ値を有する多結晶体を製造できる。そして、このような高いQ値の誘電体磁器組成物を誘電体共振器等に用いれば、エネルギー損失が極めて低く低消費電力化することが可能となる。
なお、前記リートベルト法とは、物質のX線回折パターンから結晶の構造パラメータを精密化する方法である。
測定されたX線回折パターンと結晶の構造データを入力し、構造パラメータなどを変化させることで、計算された回折強度と測定された回折強度とができるだけ一致するように精密化する方法である。
例えば、酸化チタン(TiO)の格子定数の精密化を行おうとすれば、まず試料としてTiOの粉末を準備し、これを充分に粉砕した後、市販のX線回折装置を用いてX線回折測定を実施する。そして、TiOのX線回折パターン(実測値)を得た後、リートベルト解析プログラムを用い、パターン解析(計算値)を実施する。
この解析では原子座標とともに格子定数が精密化される。装置誤差を極小化するために標準試料を用いてX回折測定ピーク位置の補正を行う。また、計算による精密化には初期情報が必要である。この情報をもとにした最小自乗法により、原子座標が精密化される。また、TiOの格子定数等の結晶構造データはJCPDSカードに基づく。なお、CaTiOの格子定数データはa=5.4424、b=7.6417およびc=5.3807である。
本実施形態では、格子定数を精度よく求めるために標準試料Si粉末を加えて試料のX線回折測定を実施した後、格子定数の解析をリートベルト解析プログラムRIETANを用いて実施した。解析時には、標準試料として加えたSiの格子定数をa=5.43119Åに固定し、CaTiOの格子定数を調べる。
さらに、本実施形態の誘電体磁器組成物は前記ペロブスカイト型結晶からなることが望ましい。ABO3型(AおよびBは金属元素)のペロブスカイト型結晶においては、AサイトおよびBサイトの金属元素が規則的に配列した結晶構造であり、かつ酸素欠陥が少ないと、格子歪みが小さくなり高いQ値が得られる。
本実施形態の誘電体磁器組成物では、Aサイト原子がLaとCaとからなり、Bサイト原子がAlおよびTiからなる。本実施形態においては、AサイトおよびBサイトが規則的に配列する。さらに、酸素欠陥が少ないので格子歪みが小さくなり、その結果Q値が高くなると考えられる。また、仮に酸素欠陥が生じても、Mn酸化物、Yb酸化物およびCe酸化物の価数変化により、酸素欠陥に酸素が補給されるために、従来よりもさらに格子歪みが小さくなるため高いQ値を得ることが可能となる。
本実施形態においては、後述する製造方法のように、酸素を含む高温高圧雰囲気中で熱処理することによって、Aサイト、Bサイトおよび酸素原子を規則的に配列させる。さらに酸素欠陥を減少させることによって、格子歪みが小さい誘電体磁器組成物を得ることができる。
さらに、本実施形態によれば、Biと、YbおよびCeの少なくとも一方とを含有し、Biの含有量がBi換算で0.005質量%以上0.3質量%以下でありさらに、bをYb換算し、CeをCe換算した含有量の総量が0.01質量%以上3質量%以下であることにより、従来よりもさらに高い比誘電率と、安定した共振周波数の温度依存性を有する誘電体磁器組成物とすることが可能である。
比誘電率をさらに向上できる理由としては、YbおよびCeのいずれかが前述のMnと同様に磁器組成物内で酸素欠陥に酸素を供給することで、酸素欠陥のより少ない誘電体磁器組成物とできる。安定した共振周波数の温度依存性が得られるのはBi成分が関与していると考えられる。Bi−Yb、Bi−CeおよびBi−Yb−Ceのいずれの組み合わせで添加しても、比誘電率の向上と、安定した共振周波数の温度特性という効果が得られる。
Biについて、その添加量をBi換算で0.005質量%以上0.3質量%以下の範囲内としたのは、0.005質量%以上であれば、τfとその安定性を向上させることができ、0.3質量%以下であれば、比誘電率εr,Q値を殆ど低下させないからである。
さらに、YbおよびCeについては、添加すればMnと同様の作用により、比誘電率εrとQ値が向上するが、Biも含めた各酸化物換算での含有量の総量が0.014質量%以上3質量%以下であれば比誘電率εr,Q値がさらに増加傾向となる。
また、本実施形態によれば、その表面および内部の平均ボイド率が3%以下であることが好ましい。磁器表面および内部の平均ボイド率を3%以下とすることで誘電体磁器の機械的強度の低下を抑えるとともに電気的特性の低下やばらつきを抑えることができる。平均ボイド率が3%以下であれば、誘電体磁器の密度が低下せず、磁器に著しい強度劣化が生じない。これにより、ハンドリング時、落下時、共振器内へ取付け時および各基地局へ設置した後にかかる衝撃等によって、カケ、割れおよび破損等が生じ難い。より好ましくは平均ボイド率を1%以下とすると、機械的特性および電気的特性が安定化する。
なお、平均ボイド率は例えば100μm×100μmの範囲が観察できるように、任意の倍率に調節した金属顕微鏡またはSEM等により、誘電体磁器組成物表面および内部断面を写真または画像として撮影し、この写真または画像を画像解析装置により解析することにより算出することが可能である。画像解析装置としては例えばニレコ社製のLUZEX−FS等を用いればよい。
また、本発明の誘電体磁器組成物の一実施形態に含まれる結晶のうち、金属元素として少なくともLa、Al、CaおよびTiを含有する酸化物を主成分とする前記多結晶の割合は90体積%以上であることが望ましい。90体積%以上であれば、比誘電率の値を維持し、誘電損失の増加を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、少なくとも希土類元素La、Al、CaおよびTiを、それぞれLaO(X+3)/2(3≦X≦4)、Al23、CaおよびTiO2換算で合計85重量%以上含有することが望ましい。さらに、前記主成分からなる結晶はLaAlO(X+3)/2(3≦X≦4)とCaTiO3との固溶体からなるペロブスカイト型結晶であることが望ましい。
また、本発明の誘電体磁器組成物の一実施形態は、さらに格子歪みが0.3%以下であることがQ値を向上させるために好ましく、さらにQ値を向上させるためには0.2%以下であることが好ましい。
なお、本発明の誘電体磁器組成物の一実施形態に含まれる結晶の結晶子径および格子歪みは、Hall法等により測定する。具体的には、例えばX線回折装置を用い、Hall法により試料の結晶子の大きさおよび格子歪みを次のように測定する。
X線回折装置の装置定数の補正はSiを用いた外部標準試料法(SRM640b以降のバージョンの標準試料を使用)により、Siのミラ−指数(111)、(220)、(311)、(400)、(331)、(422)、(511)、(440)および(531)面を用いる。例えば希土類、Al、SrおよびTiを含む試料の結晶子サイズおよび格子歪みの測定においては、立方晶SrTiO3のミラー指数(100)、(110)、(111)、(200)、(210)、(211)、(220)および(310)面を用い、積分幅法により測定する。
また、本発明の誘電体磁器組成物の一実施形態には金属元素としてW、NbおよびTaのうち1種以上をWO3、Nb25およびTa25換算で0.01質量%以上3質量%未満含有させることも可能である。W、NbおよびTaのうち1種以上をWO3、Nb25およびTa25換算で0.01質量%以上3質量%未満含有させるとQ値が向上する。よりQ値を向上させるためにはW、NbおよびTaのうち1種以上を全量中WO3、Nb25およびTa25換算で特に0.02質量%以上2質量%未満含有させることが好ましい。
また、W、NbおよびTaについても固溶体中の酸素欠陥減少に寄与し、さらにQ値を高くすることができると考えられる。
次に、本実施形態の製造方法について以下に詳細を示す。具体的には、例えば以下の工程(1)〜(7)から成る。
(1)出発原料として、高純度の酸化ランタン(La)と高純度の酸化アルミニウム(Al)、炭酸カルシウム(CaCO)および酸化チタン(TiO)の各粉末を準備する。しかる後、まずLaとAlを所望の割合となるように秤量後、純水を加え、混合原料の平均粒径が2.0μm以下となるまで1〜100時間、ジルコニアボール等を使用したボールミルにより湿式混合および粉砕を行い混合物を得る。これと平行してCaCOとTiOについても、同様の工程を経て混合物を得る(1次調合)。
(2)この混合物を乾燥後、1100〜1300℃で1〜10時間仮焼し、LaAlO,CaTiOの仮焼物を得る。
(3)得られた仮焼物をLaAlOについては平均粒径1〜2μm,CaTiOについては平均粒径3〜5μmとなるまで、ボールミル等により湿式粉砕し、得られた混合物をステンレス製容器に移し、乾燥後、メッシュパスしてLaAlO,CaTiOの原料を得る。
(4)次に、LaAlO,CaTiOの原料をそれぞれ所望の割合秤量し、これに高純度の炭酸マンガン(平均粒径1〜5μm)を所望の割合秤量して混合し、純水を加えた後、ジルコニアボール等を使用したボールミルにより湿式混合を行う(2次調合)。なお、酸化ビスマス(Bi),酸化イッテルビウム(Yb),酸化セリウム(Ce)を混合する場合は、市販の高純度原料を購入し、予め平均粒径を2μm以下としたものを前記湿式混合および粉砕前の段階で添加する。
(5)さらに、3〜10重量%のバインダーを加えてから脱水し、その後、例えばスプレードライ法等により造粒または整粒し、得られた造粒体または整粒粉体等を、例えば金型プレス法、冷間静水圧プレス法、押し出し成形法等により任意の形状に成形する。なお、造粒体又は整粒粉体等の形態は粉体等の固体のみならず、スラリー等の固体、液体混合物でもよい。この場合、液体は水以外の液体、例えばIPA(イソプロピルアルコール)、メタノ−ル、エタノ−ル、トルエンまたはアセトン等でもよい。
(6)得られた成形体を大気中1600℃〜1700℃で5〜10時間保持して焼成する。
(7)得られた焼結体を酸素5〜30体積%以上含むガス中において、温度1500〜1700℃、圧力300〜3000気圧で、1分〜100時間熱処理する。より好ましくは、温度1550〜1650℃、圧力1000〜2500気圧で20分〜3時間熱処理する。
本実施形態においては、(1)〜(3)および(6)の工程としては以下とすることが好ましい。
(1)〜(3)の工程において、LaとAlを所望の割合で混合し仮焼して予め平均粒径1〜2μmのLaAlOに、CaCOとTiOを所望の割合で混合し仮焼して予め平均粒径3〜5μmのCaTiOとすることによって、後の工程で両者を混合し、焼成した際にCaTiOへのLaAlOの固溶を促進させ、CaTiOの格子定数を所望の範囲内へとした本発明の誘電体磁器組成物の一実施形態を製造可能となる。
LaAlOの平均粒径が1μm以上であれば、CaTiO粒子との接触面積が増加して固溶が進み過ぎることがなく、焼成後の誘電体磁器のCaTiOの格子定数が本発明の範囲外となり難く、Q値が低下し難く、粉砕に時間がかかり製造コストが著しく増加するようなことはない。
LaAlOの平均粒径が2μm以下であれば、逆にCaTiO粒子との接触面積が減ることなく固溶が進み、CaTiOの格子定数が本発明の範囲内となりQ値が低下することはない。
CaTiOの平均粒径が3μm以上であれば、LaAlO粒子との接触面積が増加せず、CaTiOへのLaAlOの固溶が進みすぎることもなく、CaTiOの格子定数が本発明の範囲外となってQ値が低下することもない。
CaTiOの平均粒径が5μm以下であれば、LaAlOとの接触面積が低下せず、CaTiOへのLaAlOの固溶が適度に進み、CaTiOの格子定数が本発明の範囲外となりQ値が低下することもない。
また、(7)の工程において、記載されている焼成条件以外で焼成した場合には、誘電体磁器組成物中のMn成分およびBi成分の価数変化が起こりにくくなり、誘電体磁器中の酸素欠陥へ思うように酸素供給できなくなる場合がある。また、格子歪みが増加し良好な電気的特性の得られなくなる場合がある。
なお、前記平均粒径については、例えば分散媒に測定する原料粉体を投入し、分散機にて分散媒中に分散させた後、レーザー回折散乱法を用いた測定装置(日機装(株)社製マイクロトラック)にて測定を行う方法を用いることにより測定することが可能である。
次に、本実施形態の誘電体磁器組成物が使用された誘電体共振器の一例について以下詳細を示す。
図1に示すTEモ−ド型の誘電体共振器の誘電体共振器は、ステンレス等からなる金属ケース1の内壁における相対向する両側に入力端子2および出力端子3を設け、入力端子2と出力端子3の間に上記誘電体磁器組成物からなる誘電体磁器4を配置して構成される。このような誘電体共振器は、入力端子2からマイクロ波が入力され、マイクロ波は誘電体磁器4と自由空間との境界の反射によって誘電体磁器4内に閉じこめられ、特定の周波数で共振を起こす。そしてこの信号が出力端子3と電磁界結合して出力される。
また、図示しないが、本実施形態の誘電体磁器組成物を同軸型共振器やストリップ線路共振器、誘電体磁器共振器およびその他の共振器に適用してもよいことは勿論である。
さらには、入力端子2および出力端子3を誘電体磁器4に直接設けても誘電体共振器を構成できる。
また、前記誘電体磁器4は、本実施形態の誘電体磁器組成物からなる所定形状の共振媒体であるが、その形状は直方体、立方体、板状体、円板、円柱、多角柱、または、その他共振が可能な立体形状であればよい。また、入力される高周波信号の周波数は500MHz〜500GHz程度であり、共振周波数としては2GHz〜80GHz程度が実用上好ましい。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更は何等差し支えない。
本発明の実施例について説明する。
<実施例1>
LaAlCaTi系材料のモル比α、β、γおよびδの値とMnの添加量を固定し、2次調合の際のCaTiOとLaAlOの粒径をそれぞれ調整して試料を製造し、比誘電率εrおよびQ値を測定した。製造方法および特性測定方法の詳細を以下に示す。
出発原料として純度99.5質量%以上のLa、Al、CaCOおよびTiOを準備した。
それぞれの材料を表1の割合となるように秤量後、LaとAlとを混合したもの、およびCaCOとTiOを、それぞれ別のボールミル内で純水を加え、混合原料の平均粒径が2μm以下となるまでジルコニアボールを使用したボールミルにより、湿式混合および粉砕し1次調合を行い2種類の混合物を得た。
そして、それぞれの混合物を乾燥後、1200℃で仮焼しLaAlOとCaTiOの仮焼物を得た。
得られた2種類の仮焼物を湿式粉砕により、CaTiOは2,3,4,5,6μm、LaAlOは0.5,1,2,3μmの平均粒径となるように粉砕した。
これらを表1に示すような粒径の組み合わせでそれぞれ混合し、さらに市販の平均粒径1μmの炭酸マンガン(MnCO)を添加し、純水を加え1〜100時間ジルコニアボール等を使用したボールミルにより、湿式混合を行い2次調合して数種類のスラリーを得た。
そして前記スラリーにさらに1〜10質量%のバインダーを加えてから所定時間混合した後、脱水し、このスラリーをスプレードライヤーで噴霧造粒して2次原料を得て、この2次原料を金型プレス成形法によりφ20mm,高さ15mmの円柱体に成形し成形体を得た。
得られた成形体を大気中1500℃〜1600℃で10時間保持して焼成して試料No.1〜16を得た。なお、試料は焼成後に上下面と側面の一部に研磨加工を施し、アセトン中で超音波洗浄した。
次にこれらの試料について、X線回折測定装置(PANalytical社製 X’PertPRO)にてX線回折測定を実施した後、CaTiOの格子定数の解析をリートベルト解析プログラムRIETANを用いて実施した。なお、格子定数の測定には格子定数をより精度良く求めるために、各々の試料に標準試料Siを添加して実施し、格子定数の解析時には標準試料Siの格子定数をa=5.43119°に固定し測定を実施している。
また、これらの試料について誘電特性を測定した。誘電特性は円柱共振器法により測定周波数800MHzで比誘電率εr,Q値を測定した。Q値は、マイクロ波誘電体において一般的に成立する(Q値)×(測定周波数f)=一定の関係から、1GHzでのQ値に換算した。
本発明におけるリートベルト法によって算出されるCaTiOの格子定数のaが5.406〜5.408,bが7.650〜7.652,cが5.405〜5.407とした臨界的意義を示す結果を表1に示す。
Figure 0005142700
表1に示すように、試料No.1,2,3,4,8,9,13,14,15,16については、2次調合の際のCaTiO,LaAlOの平均粒径がそれぞれ良好な3〜5μm,1〜2μmの範囲外であるため、CaTiOの格子定数が本発明範囲外であった。従って、CaTiOへのLaAlOの固溶状態が誘電特性を最大化できるものではなく、比誘電率εr,Q値がそれぞれ44未満,50000未満の値となった。
これと比較して試料No.5,6,7,10,11,12については、2次調合時のCaTiO,LaAlOの平均粒径がそれぞれ良好な3〜5μm,1〜2μmの範囲内であるため、CaTiOの格子定数が本発明範囲内となり、誘電特性も比誘電率εr,Q値がそれぞれ44以上,50000以上と高い値を示し、このような誘電体セラミックスは、温度変化により特性が変化しにくいため、各国の携帯電話基地局の誘電体共振器用として好適に用いることが可能であると言える。
<実施例2>
次に、実施例1のLaAlCaTi系材料と同様の製法で、2次調合時に純度99.5質量%以上のBi,Yb,Ceを所望の割合添加し、Bi,Yb,Ce量を変化させ添加した試料を製造し、各誘電特性を測定した。
なお、誘電特性εr,Q値は実施例1と同様の測定方法を用い、共振周波数の温度係数τfは、25℃の時の共振周波数を基準にして25〜60℃の温度係数τfを算出した。
また、前記共振周波数の温度係数について、−40〜20℃間,20〜80℃間のτf(A),τf(B)をそれぞれ測定し、その差の絶対値である|τf(A)−τf(B)|をτfの変化とした。
果を表2に示す。
Figure 0005142700
表2に示すように、試料No.2,5,6,9については、酸化ビスマス(Bi)の含有量がいずれも範囲外であり、共振周波数の温度特性τfの変化が大きく1を超えてしまう。また試料No.12については、酸化ビスマス(Bi)の含有量は本発明範囲内であるものの、酸化イッテルビウム(Yb),酸化セリウム(Ce)が添加されていないために、比誘電率εr、Q値が低く、共振周波数の温度特性τfも1を超え大きくなる。
これらと比較して試料No.1,3,4,7,8,10,11については、誘電特性が何れも良好な値を示した。特に、酸化ビスマスの効果によって共振周波数の温度特性τfの変化が小さく、このような誘電体セラミックスは、温度変化により特性が変化しにくいため、各国の携帯電話基地局の誘電体共振器用として好適に用いることが可能であるといえる。
また、試料No.1と試料No.2について、さらに円柱共振器法により測定周波数800MHzで−40℃を基準(0)としたときの−40、20,0,20,40,60、80℃での共振周波数の温度係数τfを測定した結果を図2のグラフに示す。図2に示すように、試料No.1は試料No.2と比較して−40〜80℃までのτfの変化、および絶対値である|τf(A)−τf(B)|の変化が少ないことが分かる。
なお、共振周波数の温度特性τfを制御しているのは、主にBi、Yb,Ceの組成が支配的であるが、本発明における、La、Al、Ca、Tiを含有し、組成式をαLa2X・βAl23・γCaO・δTiO2(但し、3≦X≦4)と表したときモル比α,β,γ,δが、0.056≦α≦0.214、 0.056≦β≦0.214、 0.286≦γ≦0.500、 0.230<δ<0.470、 α+β+γ+δ=1を満足し、かつMnをMnO換算で0.01〜1質量%含有とした臨界的意義を示す結果を表3に示す。
Figure 0005142700
表3に示すように、試料No1〜21において、Bi、Yb,Ceの組成は固定してあるため、τfの変化はいずれも少なかったが、上記α,β,γ,δおよびMnの組成が本願発明の範囲から外れると、試料No.2と3,No.4と5、No.6と7、No.8と9、No.10と11、No.12と13No.14と15、No.16と17、No.20と21の比較から明らかなように、比誘電率εrおよびQ値が低くなることが判明した。
本発明に係る誘電体共振器の一実施形態を模式的に示す一部断面図である。 実施例および比較例の各試料のτfの温度変化のグラフである。
符号の説明
1:金属ケース
2:入力端子
3:出力端子
4:誘電体磁器

Claims (5)

  1. La、Al、CaおよびTiを含有し、組成式を、
    αLa・βAl・γCaO・δTiO(但し、3≦X≦4)と表したとき、モル比α、β、γおよびδが、下記式を満足し、
    0.056≦α≦0.214、
    0.056≦β≦0.214、
    0.286≦γ≦0.500、
    0.230<δ<0.470、
    α+β+γ+δ=1、
    かつMnをMnO換算で0.01質量%以上1質量%以下含有する誘電体磁器組成物であって、
    CaTiO結晶を有し、リートベルト法によって求めたCaTiO結晶の格子定数のaが5.406以上5.408以下、bが7.650以上7.652以下、かつcが5.405以上5.407以下であることを特徴とする誘電体磁器組成物。
  2. CaTiOとLaAlOとの多結晶体からなることを特徴とする請求項1に記載の誘電体磁器組成物。
  3. Biと、YbおよびCeの少なくとも一方とを含有し、Bの含有量がBi換算で0.005質量%以上0.3質量%以下であり、さらに、YbをYb 換算し、CeをCe 換算した含有量の総量が、0.014質量%以上3質量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の誘電体磁器組成物。
  4. 平均ボイド率が3%以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の誘電体磁器組成物。
  5. 入力端子と、出力端子と、前記入力端子と前記出力端子の間に配置した請求項1乃至4のいずれかに記載の誘電体磁器組成物からなる誘電体磁器とを備えてなることを特徴とする誘電体共振器。
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