JP2004224527A - 搬送方法および設備 - Google Patents

Abstract

【課題】塗装液に対する車体の入出液姿勢および塗装姿勢を容易かつ自在に調整できる。
【解決手段】デイップ槽１が設置された塗装ラインＬに沿って搬送台車３を走行移動させ、アーム傾動手段１６の作動用カムレール１６Ａにカムローラ１５を介して搬送台車３に支持された傾動アーム１２を下方に傾動させ、傾動アーム１２の先端部に幅方向の軸心周りに回動自在に支持された車体支持フレーム１４を、姿勢調整手段１７により回動させて、車体支持フレーム１４に支持された車体Ｍをデイップ槽１の処理液に浸漬させ、車体Ｍの形状に対応して車体支持フレーム１４を回動することにより、車体Ｍの塗装液への入液角度および塗装姿勢ならびに塗装液からの出液角度を制御する。
【選択図】 図３

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製造工場の塗装ラインなどの処理ラインにおける搬送方法および搬送設備に関する。
【０００２】
【従来の技術】
たとえば特許文献１および特許文献２には、塗装ラインに沿うレールに案内されて移動自在なトロリ装置に、ハンガーを設け、ハンガーに車体を保持させる塗装装置が開示されている。上記各構成において、車体を処理液槽に浸漬させる場合には、下方に傾斜させたレールを走行させて車体を下降させ処理液に浸漬させる。また処理液から出す場合には、上方に傾斜させたレールを走行させて車体を処理液から離脱させている。また特許文献２では、車体の角度を調整するために、トロリ装置の前後の車輪を別のレールで案内して、それぞれのレールに別の傾斜をつけることで、ハンガーを所定角度に傾斜させるように構成されている。
【０００３】
【特許文献１】
特開平２−１２３０１１号公報（第５図）
【０００４】
【特許文献２】
特開昭６３−２７５４７０号公報（第８図）
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、少量多種生産や生産工程の変化から、同一車種を連続的に搬送する生産ラインは減少し、異なる種類の車体が連続して搬送される。また安全性の向上などから車体の形状も年々複雑化する傾向にある。このように車体形状が複雑化し、異なる形状の車体が搬送される生産ラインでは、処理液への入液の車体角度や出液の車体角度の調整が、良好な塗装を行う上で重要な要素となる。
【０００６】
しかしながら、特許文献１および特許文献２では、車体形状ごとに、処理液への入液の車体角度や出液の車体角度の調整をすることができず、車種や車体形状ごとに塗装姿勢が制御できないという問題があった。
【０００７】
本発明は、上記問題点を解決して、処理液に対する被処理物の姿勢を容易かつ自在に調整できて、良好に処理液に浸漬して処理することができる搬送方法および設備を提供することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項１記載の搬送方法は、所定位置に処理液槽が設置された処理ラインに沿って移動体を走行させる移動時または停止時に、前記移動体に支持された作動アームを下方に作動させるとともに、該作動アームの先端部に幅方向の軸心周りに回動自在に支持された支持体を回動させて、該支持体に支持された被搬送体を前記処理液槽の処理液に浸漬させ、各被搬送体の形状に対応して支持体を回動することにより、被搬送体の処理液への入液角度および処理姿勢ならびに処理液からの出液角度を制御するものである。
【０００９】
上記構成によれば、処理ラインを移動する移動体の作動アームを作動して被搬送体を処理液槽の処理液に入液、浸漬、出液させ、作動アームに設けられた支持体を介して被搬送体を回動するので、支持体に支持された被搬送体を任意な角度で処理液に入液および出液することができ、また処理液中の姿勢を任意に選択できるので、複雑な構造の被搬送体であっても処理液により良好に処理することができる。また処理ラインに送られてくる被搬送体の形状が変化しても、被処理体ごとに対応して入液、出液の角度や処理液中の姿勢を適正に制御することができ、形状の異なる被搬送体を良好に処理することができる。
【００１０】
請求項２記載の搬送方法は、移動体とは別に設置されたアーム作動手段の駆動部により、作動アームを傾動させ、移動体とは別に設置された姿勢調整手段の駆動部により、支持体を回動するものである。
【００１１】
上記構成によれば、移動体とは別にアーム作動手段の駆動部および姿勢調整手段の駆動部を設置したので、移動体ごとに駆動部の設置を不要とすることができ、移動体の簡易化、軽量化、部材の削減を図ることができて製造コストを削減することができる。
【００１２】
請求項３記載の搬送設備は、処理ラインに沿って走行自在に配置された複数の移動体と、前記移動体を走行駆動する搬送駆動手段と、前記移動体に作動自在に支持された作動アームと、該作動アームの遊端部に幅方向の回動軸心周りに回動自在に支持されかつ被搬送体を支持する支持体と、前記作動アームを作動するアーム作動手段と、前記支持体を回動して被搬送体の姿勢を調整自在な姿勢調整手段とが具備され、前記搬送体走行手段により処理ラインに沿って走行させる移動時または停止時に、前記アーム作動手段により作動アームを作動して支持体上の被搬送体を処理液槽の処理液に浸漬させ、前記姿勢調整手段により被搬送体の形状に対応して支持体を回動し被搬送体の処理液への入液角度および処理姿勢ならびに処理液からの出液角度を調整可能に構成されたものである。
【００１３】
上記構成によれば、移動体駆動手段により移動体を処理ラインに沿って移動させ、アーム作動手段により作動アームを傾動させて、作動アームに支持体を介して支持された被搬送体を処理液槽の処理液に入液、浸漬、出液させる。そして姿勢調整手段により、支持体を回動させて被搬送体を任意な角度で処理液に入液、出液することができ、また処理液中の姿勢を任意に選択できるので、複雑な構造の被搬送体であっても良好に浸漬させて処理することができる。また処理ラインに送られてくる被搬送体ごとに種類や形状が変化しても、被処理体の入液、出液の角度や処理液中の姿勢を適正に制御することができ、被搬送体を良好に処理することができる。
【００１４】
請求項４記載の搬送設備は、アーム作動手段に、駆動部が移動体と別に処理液槽近傍に設置されて、作動アームを駆動可能に構成されたものである。
上記構成によれば、移動体とは別にアーム作動手段の駆動部を設置したので、移動体から駆動部を削除することで、移動体の簡易化、軽量化、部材の削減を図ることができ、製造コストを削減することができる。
【００１５】
請求項５記載の搬送設備は、姿勢調整手段の駆動部に、移動体と同期して移動自在に配置されて姿勢調整軸を有する姿勢調整駆動装置と、支持体を回動可能な姿勢調整受動部に前記姿勢調整軸を連結離脱可能な連結機構とが具備されたものである。
【００１６】
上記構成によれば、姿勢調整手段の駆動部を、連結機構により姿勢調整駆動装置の姿勢調整軸を姿勢調整受動部に連結するように構成したので、簡単な構成で駆動部と姿勢調整受動部とを連結して、支持体の姿勢を制御することができる。
【００１７】
請求項６記載の搬送設備は、姿勢調整受動部に、作動アームを支持する支持軸に同軸状に配設されて姿勢調整軸が連結される伝動軸部材と、支持体の回動軸とを連結連動する伝動機構が具備されたものである。
【００１８】
上記構成によれば、姿勢調整手段の受動部を、伝動機構により伝動軸部材と支持体の回動軸とを連結連動することにより、作動アームと一体化したシンプルな構造とすることができ、処理液に対する防浸漬対策も容易に行うことができる。
【００１９】
請求項７記載の搬送設備は、姿勢調整駆動装置が処理ラインと平行に往復移動自在な走行台車に設置され、該走行台車は、移動体と同期して走行される連動機構が具備されたものである。
【００２０】
上記構成によれば、移動体に連動機構を介して同期走行される走行台車に、姿勢調整駆動装置を設けることにより、簡易な構造で姿勢調整手段の駆動部を容易に構成することができる。
【００２１】
請求項８記載の搬送設備は、アーム作動手段は、作動アームに連結された従動部材と、処理ラインに沿って設置されて前記従動部材を案内する作動部材とで構成されたものである。
【００２２】
上記構成によれば、処理ラインに沿って設置された作動部材により、従動部材を介して作動アームを傾動または昇降させることで、簡単な構成で作動アームを駆動することができ、また作動部材の変更で入液位置や出液位置、浸漬深さを容易に変更することもできる。
【００２３】
請求項９記載の搬送設備は、作動部材は処理ラインに沿って複数が並設されるとともに、作動部材の入口部および出口部に切替手段が設けられ、前記作動部材の少なくとも１つが非処理用作動部材に構成されたものである。
【００２４】
上記構成によれば、切替手段により、非処理用作動部材と処理用作動部材との間、および複数の処理用作動部材間での切替を行う容易に行うことができ、異なる種類の被搬送体に容易に対応することができる。
【００２５】
請求項１０記載の搬送設備は、被搬送体の形状に基づいて、姿勢調整手段およびアーム作動手段ならびに移動体駆動手段を制御する処理制御装置が設けられたものである。
【００２６】
上記構成によれば、処理制御装置により、被搬送体の形状に基づいて、移動体の速度、処理液への入液角度、処理液中での処理姿勢、処理液からの出液角度を適正に制御することができ、異なる形状の被搬送体を、最適に処理することができる。
【００２７】
【発明の実施の形態】
ここで、本発明に係る搬送設備を具備した塗装ライン設備の実施の形態を図１〜図９に基づいて説明する。
【００２８】
この塗装ライン設備は、図１に示すように、自動車工場の組立工程の塗装ライン（処理ライン）Ｌに設置されるもので、塗装ラインＬは平面視または側面視が長円無端状のループや、往路および復路の経路間に経路間移動装置であるトラバーサを使用した矩形状の周回経路に構成されている。そして塗装ラインＬの所定位置に複数のディップ槽（処理層）１が設置され、ディップ槽１には、どぶづけ用の塗装液（処理液）などが収容されるとともに、底面または左右側面に塗装用電極板１ａ，１ｂ（図４）が選択的に配置され、図１には１つのデイップ槽１しか記載されていないが、各デイップ槽１ごとに下記の設備が設置されている。
【００２９】
図２，図３に示すように、床面には、ディップ槽１の両側を通る左右一対の走行レール２が塗装ラインＬに沿って敷設されており、被搬送体である車体Ｍがそれぞれ搭載支持された複数の搬送台車（移動体）３が走行レール２に案内されて走行自在に配置されている。
【００３０】
前記搬送台車３は、図４，図５に示すように、平面視で走行方向の前部が開放されたコの字形の台車フレーム４と、台車フレーム４の四隅位置に走行レール２に案内される走行車輪５と、走行レール２に外側方から転動自在に当接される振れ止め車輪６と、また台車フレーム２の後部に支持部材を介して配設された左右一対の浮上防止ローラ７とを具備し、左右の浮上防止ローラ７は、走行レール２の上方に配設された浮上防止レール８に下方から当接されて、搬送台車３の浮き上がりが防止されている。
【００３１】
台車フレーム４の後部には、左右一対の支持部材間に搬送台車３の幅方向に沿う筒状の傾動軸（支持軸）１１が軸心周りに回動自在に支持されており、この傾動軸１１に左右一対の傾動アーム（作動アーム）１２が取り付けられている。これら傾動アーム１２の前端側の駆動アーム部１２ａ間には、傾動軸１１と平行な回動軸１３を介して車体支持フレーム（支持体）１４が回動自在に支持され、車体支持フレーム１４上に係止具（図示せず）を介して車体（被搬送体）Ｍが搭載されている。また左右の傾動アーム１２の後端側の受動アーム部１２ｂと、受動アーム部１２ｂの先端部に回転自在に支持されたカムローラ（従動部材）１５とにより、アーム傾動手段（アーム作動手段）１６の受動部が構成されている。
【００３２】
前記車体支持フレーム１４には、車体Ｍを搬送方向と直交する横向き姿勢で搭載するように構成され、これによりディップ槽１の塗装ラインＬ方向の長さを短くして、塗装ライン設備のコンパクト化を図っている。もちろん、車体Ｍを搬送方向に沿う縦向き姿勢で搭載するように構成することもできる。
【００３３】
前記搬送台車２を走行駆動する搬送駆動手段（移動体駆動手段）は、走行レール２の両側に一定ピッチで搬送駆動ローラ２１ａを配置したメインフリクションローラ装置（ローラ加圧式走行駆動装置）２１により構成されている。このメインフリクションローラ装置２１は、搬送駆動ローラ２１ａにより台車フレーム４を左右側側から挟み込み、その摩擦力により走行駆動力を搬送台車２に伝達するように構成され、各搬送駆動制御部２１ｃ（図９）により搬送駆動装置２１ｂをそれぞれ制御して搬送台車２を等速、加減速および停止させることができる。
【００３４】
搬送台車３の傾動アーム１２を上下に傾動させて車体支持フレーム１４上の車体Ｍをディップ槽の塗装液に浸漬させる前記アーム傾動手段１６と共に、車体支持フレーム１４を回動させて塗装液への入液角度や塗装姿勢、出液角度を制御する姿勢調整手段１７が設けられている。これらアーム傾動手段１６および姿勢調整手段１７の駆動部は、搬送台車３にそれぞれ搭載しても良いが、ここでは、搬送台車３とは別に各ディップ槽１に対応して設置することで、搬送台車３を簡略化して設備コストの削減を図っている。
【００３５】
すなわち、アーム傾動手段１６の駆動部は、ディップ槽１の両側に沿って配設されて車体Ｍの形状に対応して選択される複数（図では２本）のカムレール（作動部材）１６Ａ，１６Ｂを具備し、これらカムレール１６Ａ，１６Ｂは、搬送台車３のカムローラ１５が下方から当接されることにより、その形状に従ってカムローラ１５を介して傾動アーム１２を下方に傾動させ車体をディップ槽１に浸漬させ塗装する作動カムレール１６Ａと、傾動アーム１２の搬送姿勢に維持して下方に傾動させない非作動用カムレール（非作動用作動部材）１６Ｂとで構成される。
【００３６】
そして、ディップ槽１以外の塗装ラインＬには、傾動アーム１２を搬送姿勢に維持する略水平状の拘束用カムレール１９が配設されており、拘束用レール１９からカムレール１６Ａ，１６Ｂへの入口部およびカムレール１６Ａ，１６Ｂから拘束用カムレール１９への出口部には、切替手段１８Ａ，１８Ｂが設けられている。前記入口部の切替手段１８Ａは、支持プレート１８Ａａに上下位置に所定間隔をあけて取り付けられた始端分岐レール１６Ａａ，１６Ｂａと、支持プレート１８Ａａを昇降させる切替シリンダ装置（直線駆動装置）１８Ａｃとを具備し、切替シリンダ装置１８Ａｃにより支持プレート１８Ａａを昇降させて、上位で始端分岐レール１６Ａａにより拘束用レール１７と作動用カムレール１６Ａとを接続し、始端分岐レール１６Ｂａにより拘束用レール１７と非作動用カムレール１６Ｂとを接続するように構成される。また出口部の切替手段１８Ｂは、支持プレート１８Ｂａの上下位置に所定間隔をあけて取り付けられた終端合流レール１６Ｂａ，１６Ｂｂと、支持プレート１８Ｂａを昇降させる切替シリンダ装置（直線駆動装置）１８Ｂｃとを具備し、切替シリンダ装置１８Ｂｃにより支持プレート１８Ｂａを昇降して、上位で終端分岐レール１６Ｂａにより作動用カムレール１６Ａと拘束用レール１７とを接続し、下位で終端分岐レール１６Ｂｂにより非作動用カムレール１６Ｂと拘束用レール１７とを接続するように構成されている。
【００３７】
前記姿勢調整手段１７は、搬送台車３側に設けられた姿勢調整受動部（受動部）３１と、搬送台車３と別に床面に設置された姿勢調整駆動部（駆動部）４１とで構成されている。
【００３８】
前記姿勢調整受動部３１は、傾動アーム１２を支持する傾動軸１１内に同軸状に配設された伝動軸（伝動軸部材）３２と、車体支持フレーム１４を支持する回動軸１３とが、スプロケットとチェーンからなる巻き掛け伝動装置（伝動機構）３３により連結連動され、伝動軸３２の右端部に図７に示すブレーキ機構３５付きのカップリング３４が取り付けられて構成されている。なお、上記ブレーキ機構３５に代えて、ウォームギヤ機構が介在されて伝動軸３２側からのみ傾動アーム１２を作動可能なセルフロック式減速機構を設けてもよい。
【００３９】
一方、姿勢調整駆動部４１は、ディップ槽１の右側部に塗装ラインＬに平行に敷設されたガイドレール４２に往復移動自在に配置された走行台車４３と、この走行台車４３に搭載された姿勢調整駆動装置（電動モータ）４４と、この姿勢調整駆動装置４４により回転駆動される姿勢調整軸４５を、姿勢調整受動部３１のカップリング３４に連結離脱可能な連結機構４６と、車体支持フレーム１４に支持された車体Ｍの形状に対応して姿勢調整駆動装置４４を駆動制御し塗装液への入液角度や塗装姿勢、出液角度を制御する塗装制御装置（処理制御装置）（図９）４７とが具備されている。また走行台車４３には、搬送台車３に同期して走行駆動される台車連動装置（連動機構）４８が具備されている。
【００４０】
前記連結機構４６は、走行台車４３の台車フレーム５１にガイド部材（図示せず）を介してスライド台５２が幅方向に移動自在に配置され、このスライド台５２上に、搬送台車３側に姿勢調整軸４５が突出された姿勢調整駆動装置（電動モータ）４４が設置されている。そして、台車フレーム５１にスライド台５２を出退駆動する調整軸出退シリンダ５３が設けられ、油圧式またはエア式のシリンダからなる調整軸出退装置（直線駆動機構）５３によりスライド台５２を介して姿勢調整駆動装置４４を出退させ、姿勢調整軸４５を前記カップリング３４に嵌合離脱可能に構成されている。
【００４１】
前記姿勢調整軸４５は、図７に示すように、たとえば六角形断面で、先端部にブレーキ解除突起４５ａが突設されている。一方、前記伝動軸３２に取り付けられたカップリング３４には、姿勢調整軸４５が嵌合可能な軸穴３４ａが形成されており、背面側に姿勢調整軸４５が嵌合されていない時に伝動軸３２をロックするブレーキ機構３５が一体に設けられている。このブレーキ機構３５は、伝動軸３２およびカップリング３４が固定されたブレーキディスク３５ａと、このブレーキディスク３５ａの背面に配置された回転規制ディスク３５ｄと、この回転規制ディスク３５ｄをブレーキディスク３５ａの背面に押圧して密着させる付勢部材（図ではコイルばね）３５ｃとを具備し、姿勢調整軸４５が軸穴４５ａに嵌合されると、ブレーキ解除突起４５ａがブレーキディスク３５ａの軸心穴３５ｂから嵌入され、付勢部材３５ｃに抗して回転規制ディスク３５ｄを押圧してブレーキディスク３５ａから離間させることにより傾動軸１１のロックが解除される。また姿勢調整軸４５が軸穴４５ａから離脱されると、付勢部材３５ｃにより回転規制ディスク３５ｄがブレーキディスク３５ａに密着されて摩擦力によりブレーキディスク３５ａを回り止めし伝動軸３２をロックするように構成されている。
【００４２】
台車連動装置４８は、図８に示すように、走行台車４３の台車フレーム５１に搭載されて連動ピン５５を出退自在な連動具出退装置５４と、搬送台車３の台車フレーム４に設置されて嵌合可能なピン穴５６ａを有する受動金具５６とを具備し、走行台車４３を低速で走行させて搬送台車３が接近すると、連動具出退装置５４により連動ピン５５とこの連動ピン５５に取り付けられた係止板５６を突出させ、まず係止部材５６を受動金具５６の前面に当接させて位置決めし、さらに連動ピン５５を突出させて係止金具５６のピン穴５６ａに嵌合させることにより、搬送台車３と走行台車４３とを連結することができる。離脱させる場合は、連動具出退装置５４により連動ピン５５および係止部材５６を後退させればよい。
【００４３】
また台車連動装置の他の実施例として、図１０に示す構成もある。すなわち、この台車連動装置４９は、走行台車４３に幅方向の水平ピンを介して前後に回動自在な一対の把持レバー９１Ａ，９１Ｂが設けられている。前記前部の把持レバー９１Ａは付勢部材９２Ａ（図ではコイルバネ）により前方に回動付勢されるとともに、固定規制部材９３Ａにより受圧位置で前方への回動が規制され、また後部の把持レバー９１Ｂを付勢部材９２ｂにより後方に回動付勢されるとともに可動規制部材９３Ｂで後方への回動が規制されている。したがって、搬送台車３から側方に突設された連動ロッド９４が接近すると、後部の把持レバー９１Ｂが前方に傾動されて前部の把持レバー９１Ａに係止され、後部の把持レバー９１Ｂが元位置に復帰される。これにより、搬送台車３から連動ロッド９４を介して搬送力が走行台車に伝達される。また、分離する場合には、外部に固定された解除部材９５を前部の把持レバー９１Ａに当接させることにより、前部の把持レバー９１Ａを後方に倒して連動ロッド９４を前方に通過させる。この時、後部の把持レバー９１Ｂを後方に回動させる必要があることから、走行台車４３に設けられたアクチュエータやシリンダ装置などの可動装置（図示せず）により可動ブロック９３Ａを後方に位置ずれさせる。
【００４４】
走行台車４３を塗装ラインＬに沿って往復移動させる走行台車走行手段は、ガイドレール４２の両側に一定ピッチで配設されたサブフリクションローラ装置（ローラ加圧式走行駆動装置）２２により構成されている。これらサブフリクションローラ装置２２は、走行駆動装置（電動モータ）２２ｂにより走行駆動ローラ２２ａを回転駆動し、走行駆動ローラ２２ａにより台車フレーム５１を左右両側から挟み込んで、その摩擦力により走行台車４３に走行駆動力を伝達するように構成されている。そして走行速度制御部２２ｃ（図９）により走行駆動装置２２ｂを介して回転駆動ローラ２２ａの回転速度および回転方向が制御される。なお、台車連動装置４８により搬送台車３と連結されている時には、フリー状態としてメインフリクションローラ装置２１に追従してもよい。
【００４５】
図９に示すように、前記塗装制御装置（処理制御装置）４７は、車体Ｍの入出液角度と塗装姿勢の他に、メインフリクションローラ装置２１により搬送台車３の移動速度を制御して、塗装時間や搬送台車３間の距離を制御可能に構成されており、ディップ槽１手前の塗装ラインＬに設置されて搬送台車３のＩＤタグやバーコードなどの識別記号６０を読み取るキャリア検出器６１の検出信号から、搬送台車３に搭載された車体Ｍの車種形状を認識する車種認識部６２と、塗装データテーブル６３から車種（形状）に基づいて入液角度や塗装姿勢、出液角度、移動速度などの制御データを選択する姿勢・速度設定部６４とを具備し、姿勢・速度設定部６４から、姿勢駆動装置４４に制御データを出力する姿勢駆動制御部６５およびメインフリクションローラ装置２１の搬送速度制御部２１ｃならびにサブフリクションローラ装置２２の走行速度制御部２２ｃに制御指令を出力するように構成されている。もちろん、キャリア検出器６１に代えて、塗装ライン設備のホストコンピュータから搬送台車３に支持された車体Ｍのデータを取得してもよい。
【００４６】
上記構成の塗装ライン設備における塗装動作を説明する。
メインフリクションローラ装置２１により搬送台車３が塗装ラインＬに沿って移動されディップ槽１に接近すると、キャリア検出器６１により搬送台車３の識別記号６０が読み取られて、車種認識部６２により搬送台車３に搭載された車体Ｍの車種が認識され、塗装データテーブル６３から車種形状に基づいて、姿勢・速度設定部６４により車体Ｍの入液角度や塗装姿勢、出液角度、搬送台車３と走行台車４３の移動速度などの指令データが出力される。
【００４７】
ディップ槽１の上流側の原点位置で待機された複数（ここでは３台）のうち、サブフリクションローラ装置２２により、まず最前部の走行台車４３が搬送台車の対応位置まで移動され、台車連動装置４８により連動ピン５５を介して搬送台車３に連結される。さらに連結機構４６により姿勢調整軸４５がカップリング３４に連結されてブレーキ機構３５が解除される。
【００４８】
次いで姿勢設定部６４で車体Ｍに応じて塗装か非塗装かが選択された操作信号に基づいて、切替手段１８Ａ（１８Ｂ）が操作される。塗装が行われる場合には、入口部で切替手段１８Ａにより始端分岐レール１６Ａａを介して拘束用レール１９ｓ作動カムレール１６Ａが接続され、出口部では切替手段１８Ｂにより、終端分岐レール１６Ｂａを介して作動カムレール１６Ａと拘束用レール１９とが接続される。なお、出口部側では、塗装時間が考慮されて搬送台車３の通過時に操作される。また塗装が行われない場合には、入口部で始端分岐レール１６Ａｂを介して拘束用レール１９と非作動カムレール１６Ｂとが接続され、出口部で終端分岐レール１６Ｂｂを介して非作動カムレール１６Ｂと拘束用レール１９とが接続される。
【００４９】
塗装される場合、搬送台車３のカムローラ１５が作動カムレール１６Ａに案内されて転動されることにより、作動カムレール１６Ａに追従されて傾動アーム１２が傾斜され、車体支持フレーム１４および車体Ｍがディップ槽１の塗装液に浸漬される。この時、姿勢・速度設定部６４からの操作信号に基づいて姿勢調整駆動装置４４により姿勢調整軸４５からカップリング３４、伝動軸３２、巻き掛け伝動機構３３および回動軸１３を介して車体支持フレーム１４が回動され、塗装液への最適な入液角度、塗装液中での最適な塗装姿勢、塗装液からの最適な出液角度となるように操作される。またメインフリクションローラ装置２１の搬送駆動装置２１ｂが制御されて、搬送台車３が最適な移動速度に調整され、入液速度や塗装時間、出液速度、隣接する搬送台車３（車体Ｍ）との間隔が最適な値になるように操作される。
【００５０】
これにより、多車種混合の車体Ｍや異種金属（たとえばアルミニウム）製の車体Ｍ、強度が考慮された複雑な形状であっても、隅々まで均一な塗膜を形成することができ、塗装面の気泡をなくし、塗装液の同伴量を効果的に低減することができる。
【００５１】
作動カムレール１６Ａにより傾動アーム１２が上方に傾動されて車体Ｍが塗装液から出されると、カムローラ１５が切替手段１８Ｂの終端合流レール１６Ａｂから拘束レール１９に復帰され、傾動フレーム１２および台車支持フレーム１４が搬送姿勢に戻される。
【００５２】
塗装が終了されると、連結機構４６により姿勢調整軸４５が後退されてカップリング３４から離脱されるとともにブレーキ機構３５が作動されて傾動アーム１２がロックされ、台車連動装置４８により連動ピン５５が離脱されて走行台車４３が搬送台車３から切り離される。
【００５３】
このような手順が後続の搬送台車３について順次繰り返され、最後尾の搬送台車３がディップ槽１を通過すると、サブフリクションローラ装置２２により、走行台車４３が逆方向に復路移動されて原点位置に復帰され、次の搬送台車３に連結される。
【００５４】
上記実施の形態によれば、メインフリクションローラ装置２１により搬送台車３をそれぞれ塗装ラインＬに沿って移動させ、アーム傾動手段１６により傾動アーム１２を傾動させて、傾動アーム１２の車体支持フレーム１４に支持された車体Ｍをディップ槽１の塗装液に浸漬させ、さらに姿勢調整手段１７により車体支持フレーム１４を回動することにより、車体Ｍを任意な角度で塗装液に入液および出液することができ、また塗装液中の姿勢を任意に選択できるので、複雑な構造や材質の異なる車体Ｍであっても良好に処理することができる。またディップ槽１の電極１ａ，１ｂの配置位置に対応して、適正な姿勢に車体Ｍを制御することにより、必要部分に必要な膜厚の塗装を適正に施すことができる。さらに塗装ラインＬに送られてくる車体Ｍの種類（形状）が変化しても、車体Ｍの種類ごとに入液、出液の角度やと塗装姿勢を適正に制御することができ、車体Ｍを良好に塗装することができる。
【００５５】
またアーム傾動手段１７の姿勢調整駆動部４１を、搬送台車３と別にディップ槽１近傍に設置したので、搬送台車３ごとに駆動部が不要となり、搬送台車３の簡易化、軽量化と部材の削減を図ることができ、製造コストを削減することができる。
【００５６】
さらに姿勢調整駆動部４１に、搬送台車３と同期して移動自在な走行台車４３に配置されて姿勢調整軸４５を有する姿勢調整駆動装置４４と、車体支持フレーム１４を回動可能な姿勢調整手段１７の姿勢調整受動部３１のカップリング３４に姿勢調整軸４４を連結離脱可能な連結機構４６と設けたので、連結機構４６により姿勢調整軸４５をカップリング３４に連結する簡単な構成で、ディップ槽１を通過する搬送台車３の車体支持フレーム１４の姿勢を精度よく制御することができる。また姿勢調整受動部３１に、傾動軸１１に同軸状に内装された伝動軸３２と、車体支持フレーム１４の回動軸１３とを連結連動する巻き掛け伝動機構３３を傾動アーム１２に内装したので、傾動アーム１２と姿勢調整受動部３１とを一体化した簡単な構造とすることができ、塗装液に対する防浸漬対策も容易に行うことができる。
さらにまた、アーム傾動手段１６を、傾動アーム１２の後端側に設けられたカムローラ１５と、塗装ラインＬに沿って設置されてカムローラ１５を案内するカムレール１６Ａ，１６Ｂとで構成したので、車体Ｍの荷重の大きい傾動アーム１２をカムローラ１５を介して容易かつ精度良く傾動させることができ、またカムレール１６Ａ，１６Ｂを変更することで、入液位置や出液位置、浸漬深さを容易に変更することもできる。さらにカムレール１６Ａ，１６Ｂを塗装ラインに沿って複数本を並設するとともに、入口部と出口部に切替手段１８Ａ，１８Ｂを設けることで、車体Ｍの形状に対応して搬送台車３ごとに非処理用と処理用とを切り換えることができる。
【００５７】
さらにキャリア検出機６１の検出信号に基づいて、塗装姿勢制御装置４７により、搬送台車３に搭載された車体Ｍの種類（形状）を判断し、車体Ｍの種類に応じた搬送台車３の移動速度と、塗装液への入液角度、塗装液中での塗装姿勢、塗装液からの出液角度を制御することができる。したがって、順次種類の異なる車体Ｍが搬送されてきても、最適な塗装作業が可能となる。また搬送台車３の移動速度を制御することで、隣接する搬送台車３の車体Ｍとの間隔を適正に制御することができ、これにより塗装状態を低下させることなく、搬送台車３の前後の間隔を狭く設定でき、効率良く塗装作業を行うことができる。
【００５８】
なお、上記実施の形態において、搬送台車３の搬送駆動装置として、フリクションローラ装置２１またはチェーン駆動式搬送装置７１を採用したが、同様に外部駆動形式では、ラック・ピニオン式の走行装置としてもよい。また自走形式として、搬送台車３に自走式走行駆動装置を搭載してもよい。
【００５９】
第１の実施の形態では、塗装時間などに対応する搬送台車３の搬送速度を任意に制御可能に構成したが、搬送台車３の速度にあまり影響を受けない車体Ｍである場合に採用される第２の実施の形態を、図１１を参照して説明する。なお、先の実施の形態と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【００６０】
ディップ槽１に対応して設置された搬送駆動手段は、チェーン駆動式搬送装置７１により構成されている。すなわち、ディップ槽１の両側で前後位置に配設された従動スプロケット７２と駆動スプロケット７３に搬送チェーン７４が巻張され、搬送チェーン７４の所定位置に係合爪７５が設けられている。一方、搬送台車３の左右側部に、前記係合爪７５に嵌合される受動ロッド７６が側方にそれぞれ突設されており、従動スプロケット７２における搬送チェーン７４の転向位置で、係合爪７５が搬送台車３の両側に突設された受動ロッド７６に嵌合され、駆動スプロケット７３における搬送チェーン７４の転向位置で係合爪７５が受動ロッド７６から離脱される。左右の駆動スプロケット７３は駆動軸により連結連動され、駆動軸の右端部に減速機を介して設けられた搬送駆動装置（電動モータ）７７により搬送チェーン７４が駆動される。
【００６１】
また右側のチェーン駆動式搬送装置７１の外側には、３台の姿勢調整駆動装置４４を搭載して一体に形成された走行台車８１がガイドレール８２を介して塗装ラインＬに平行に走行自在に配設されている。この走行台車８１の台車フレーム８３には、複数（図では３台）の搬送台車３にそれぞれ対応する姿勢調整手段１７の３基の姿勢調整駆動部４１がそれぞれ設けられている。また台車フレーム８３の前部には、前部の走行台車３の受動ロッド７６の前面に係止する受動部材７８が出退装置により搬送台車３側に出退自在に立設配置されており、チェーン駆動式搬送装置７１の駆動力を受動ロッド７６を介して走行台車８１に伝達するように構成されてる。またガイドレール８２に沿って、前部の原点位置に走行台車８１を原点位置に復帰させるための復帰用駆動シリンダ（復路駆動用直線駆動装置）８４が設けられている。
【００６２】
したがって、従動スプロケット７２の駆動チェーン７４の転向位置で、係合爪７５が搬送台車３の受動ロッド７６に嵌合されて搬送台車３を塗装ラインＬに沿って移動させる。そして、原点位置の走行台車８１で突出姿勢の受動部材７８に受動ロッド７６が当接され、走行台車８１が搬送台車３に連動されて同期移動される。
【００６３】
また最後部の搬送台車３の塗装が終了すると、係合爪７５が受動ロッド７６から外れ、受動部材７８が後退されて受動ロッド７６が離脱された後、復帰用駆動シリンダ８４により走行台車８１が原点位置に復帰される。
【００６４】
上記第２の実施の形態によれば、搬送台車３の移動速度および間隔が制御できない以外は、同様の作用効果を奏することができる。
なお、上記実施の形態では、走行台車４３，８１を往復駆動させて、塗装作業中は、デイップ槽１の手前で走行台車４３を待機させる間欠走行式を採用したが、複数の走行台車４３，８１を復路を有する無端状走行経路を設け、複数の走行台車４３，８１を循環移動させて、連続して塗装作業を行うこともできる。
【００６５】
塗装ライン設備の第３の実施の形態として、図１２に示すように、搬送台車３を停止させた状態で、傾動アーム２１を下方に回動して車体Ｍを塗装液に浸漬させるとともに、車体Ｍの姿勢を制御し、傾動アーム２１を上方に回動して車体Ｍを塗装液から取り出すように構成することもできる。すなわち、アーム傾動手段１６は、停止位置の搬送台車３のカムローラ１５に対応して、昇降駆動装置１６Ｄにより拘束用カムレール１９に連続する位置から上昇可能な作動カムレール１６Ｃを設置する。また姿勢調整駆動部３１は、図示しないが走行台車４３を削除し、ディップ槽１の搬送台車３の停止位置に対応して、姿勢調整駆動装置（図示せず）を固定して設置する。
【００６６】
上記実施の形態によれば、ディップ槽１の長さを短くできて塗装ラインＬを短くすることができる。また姿勢調整駆動部３１を簡略化できるとともに、走行台車４３や台車連動装置４８，４９を削除できて、設備を簡略化できる。
【００６７】
第１〜第３の実施の形態では、作動アームを上下に回動される傾動アーム１２として車体支持フレーム１４を昇降させたが、図１３および図１４に示す第４の実施の形態では、作動アームをパンタグラフ式の平行リンクアーム１０１として、車体支持フレーム１４を垂直方向に昇降させるように構成したものである。なお、上記実施の形態と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【００６８】
すなわち、平面視が矩形枠状に形成された搬送台車３の台車フレーム１０２には、架台部１０２ａに設けられた支持軸受１０３に支持軸１０４を介して下方に伸縮自在な左右一対の平行リンクアーム１０１が支持されている。これら平行リンクアーム１０１は、支持軸１０４に支持された前後一対の基端側アーム１０１ａと、前後の基端側アーム１０１ａの先端部と車体支持フレーム１４の回動軸１３とを回動自在に連結する前後一対の先端側アーム１０１ｂと、基端側アーム１０１ａの基端部から上方に連続された受動アーム部１０１ｃとを具備し、前後の受動アーム部１０１ｃの先端部にカムローラ１５がそれぞれ支持されている。
【００６９】
この第４の実施の形態では、図１１に示す第３の実施の形態と同様に、搬送台車３を停止した状態で車体Ｍを浸漬させるもので、アーム作動手段１０５は、ディップ槽１の両側で上方に配置された作動カムレール１０５Ａと、作動カムレール１０５Ａを昇降駆動する駆動装置１０５Ｂとを具備している。
【００７０】
また姿勢調整手段１７の姿勢調整受動部３１に設けられた巻き掛け伝動機構３３’は、前後一方（図では前部）の基端側アーム１０２ａと先端側アーム１０２ｂに内装されて中間スプロケットを介して直列に連結され構成されている。
【００７１】
また姿勢調整駆動部は、図示しないが、走行台車４３が削除されており、ディップ槽１に対応する搬送台車３の停止位置に姿勢調整駆動装置（図示せず）が固定されて設置されている。
【００７２】
したがって、搬送台車３が停止位置に停止されると、駆動装置１０５Ｂにより作動カムレール１０５Ａが上昇され、車体支持フレーム１４と車体Ｍの重量で付勢されカムローラ１５が互いに接近されて前後の受動アーム部１０１ｃを閉動されることにより、平行リンクアーム１０１が下方に進展される。これにより車体支持フレーム１４が下降されてディップ槽１の塗装液に車体Ｍを浸漬させる。同時に、図示しない姿勢調整駆動装置の姿勢調整軸が、支持軸１０４の端部に回転自在に設けられたカップリング３５に連結される。そして、姿勢調整駆動装置により姿勢調整軸、カップリング３４および伝動軸３２を介して巻き掛け伝動機構３３’が駆動され、回動軸１３を介して車体支持フレーム１４が回動され、車体Ｍが塗装に最適な入液角度、塗装姿勢、出液角度に制御される。
【００７３】
もちろん、第１および第２の実施の形態と同様に、作動カムレールを有するアーム作動手段により、搬送台車３を移動させつつ車体Ｍをディップ槽１に浸漬させることもできる。
【００７４】
上記実施の形態によれば、車体Ｍを塗装に最適な入液角度、塗装姿勢、出液角度に制御することができるとともに、パンタグラフ式の平行リンクアーム１０１により車体支持フレーム１４を垂直方向に昇降するように構成したので、ディップ槽１の前後長さを短く設定することができて塗装ラインを短くでき、さらに搬送台車３をコンパクトに構成することができる。
【００７５】
なお、 さらに、上記実施の形態では、搬送台車３と別にアーム傾動手段１６の駆動部や姿勢調整駆動部４１を設置したが、搬送台車３に回転駆動装置を設置して傾動アームを駆動したり、姿勢調整受動部３１を駆動することもできる。
【００７６】
さらにまた、上記実施の形態では、床面上に搬送台車３および走行台車４３を走行自在に配置したが、天井部に沿って配設した走行レール２およびガイドレール４２に搬送台車３および走行台車４３を移動自在に配置してもよい。
【００７７】
【発明の効果】
以上に述べたごとく請求項１記載の搬送方法によれば、処理ラインを移動する移動体の作動アームを作動して被搬送体を処理液槽の処理液に入液、浸漬、出液させ、作動アームに設けられた支持体を介して被搬送体を回動するので、支持体に支持された被搬送体を任意な角度で処理液に入液および出液することができ、また処理液中の姿勢を任意に選択できるので、複雑な構造の被搬送体であっても処理液により良好に処理することができる。また処理ラインに送られてくる被搬送体の形状が変化しても、被処理体ごとに対応して入液、出液の角度や処理液中の姿勢を適正に制御することができ、形状の異なる被搬送体を良好に処理することができる。
【００７８】
請求項２記載の搬送方法によれば、移動体とは別にアーム作動手段の駆動部および姿勢調整手段の駆動部を設置したので、移動体ごとに駆動部の設置を不要とすることができ、移動体の簡易化、軽量化、部材の削減を図ることができて製造コストを削減することができる。
【００７９】
請求項３記載の搬送設備によれば、移動体駆動手段により移動体を処理ラインに沿って移動させ、アーム作動手段により作動アームを傾動させて、作動アームに支持体を介して支持された被搬送体を処理液槽の処理液に入液、浸漬、出液させる。そして姿勢調整手段により、支持体を回動させて被搬送体を任意な角度で処理液に入液、出液することができ、また処理液中の姿勢を任意に選択できるので、複雑な構造の被搬送体であっても良好に浸漬させて処理することができる。また処理ラインに送られてくる被搬送体ごとに種類や形状が変化しても、被処理体の入液、出液の角度や処理液中の姿勢を適正に制御することができ、被搬送体を良好に処理することができる。
【００８０】
請求項４記載の搬送設備によれば、移動体とは別にアーム作動手段の駆動部を設置したので、移動体から駆動部を削除することで、移動体の簡易化、軽量化、部材の削減を図ることができ、製造コストを削減することができる。
【００８１】
請求項５記載の搬送設備によれば、姿勢調整手段の駆動部を、連結機構により姿勢調整駆動装置の姿勢調整軸を姿勢調整受動部に連結するように構成したので、簡単な構成で駆動部と姿勢調整受動部とを連結して、支持体の姿勢を制御することができる。
【００８２】
請求項６記載の搬送設備によれば、姿勢調整手段の受動部を、伝動機構により伝動軸部材と支持体の回動軸とを連結連動することにより、作動アームと一体化したシンプルな構造とすることができ、処理液に対する防浸漬対策も容易に行うことができる。
【００８３】
請求項７記載の搬送設備によれば、移動体に連動機構を介して同期走行される走行台車に、姿勢調整駆動装置を設けることにより、簡易な構造で姿勢調整手段の駆動部を容易に構成することができる。
【００８４】
請求項８記載の搬送設備によれば、処理ラインに沿って設置された作動部材により、従動部材を介して作動アームを傾動または昇降させることで、簡単な構成で作動アームを駆動することができ、また作動部材の変更で入液位置や出液位置、浸漬深さを容易に変更することもできる。
【００８５】
請求項９記載の搬送設備によれば、切替手段により、非処理用作動部材と処理用作動部材との間、および複数の処理用作動部材間での切替を行う容易に行うことができ、異なる種類の被搬送体に容易に対応することができる。
【００８６】
請求項１０記載の搬送設備によれば、処理制御装置により、被搬送体の形状に基づいて、移動体の速度、処理液への入液角度、処理液中での処理姿勢、処理液からの出液角度を適正に制御することができ、異なる形状の被搬送体を、最適に処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る塗装ライン設備の実施の形態を示す全体斜視図である。
【図２】同各ディップ槽部分の塗装ライン設備を示す斜視図である。
【図３】同一部を切欠いた塗装ライン設備を示す斜視図である。
【図４】同塗装ライン設備の縦断面図である。
【図５】同搬送台車を示す搬送状態の斜視図である。
【図６】同搬送台車を示す塗装作業状態の斜視図である。
【図７】同搬送台車のブレーキ付きカップリングを示す斜視図である。
【図８】同台車連動装置を示す部分拡大斜視図である。
【図９】同塗装ライン設備の制御構成図である。
【図１０】（ａ）、（ｂ）はそれぞれ台車連動装置の他の形式を示す動作説明図である。
【図１１】本発明に係る塗装ライン設備の第２の実施の形態を示し、ディップ槽部分の斜視図である。
【図１２】本発明に係る塗装ライン設備の第３の実施の形態を示し、塗装動作の説明図である。
【図１３】本発明に係る塗装ライン設備の第４の実施の形態を示し、ディップ槽部分の搬送台車の側面図である。
【図１４】同塗装ライン設備における塗装状態を示す搬送台車の側面図である。
【符号の説明】
Ｌ 塗装ライン
Ｍ 車体
１ デイップ槽（処理液槽）
３ 搬送台車（移動体）
１１ 傾動軸（支持軸）
１２ 傾動アーム（作動アーム）
１３ 回動軸
１４ 車体支持フレーム（支持体）
１５ カムローラ（受動部材）
１６ アーム傾動手段（アーム作動手段）
１６Ａ 作動カムレール（作動部材）
１６Ｂ 非作動カムレール（作動部材）
１７ 姿勢調整手段
１８Ａ，１８Ｂ 切替手段
１９ 拘束用カムレール
２１ メインフリクションローラ装置
２２ サブフリクションローラ装置
３１ 姿勢調整受動部
３２ 伝動軸
３３ 巻き掛け伝動機構
３４ カップリング
３５ ブレーキ機構
４１ 姿勢調整駆動部
４３ 走行台車
４４ 姿勢調整駆動装置
４５ 姿勢調整軸
４６ 連結機構
４７ 塗装制御装置
４８，４９ 台車連動装置
５５ 連動ピン
５７ 受動金具
６１ キャリア検出器
６２ 車種認識部
６３ 塗装データテーブル
６４ 姿勢・速度設定部
７１ チェーン駆動式搬送装置
８１ 走行台車
８４ 復帰用駆動シリンダ
１０１ 平行リンクアーム（作動アーム）
１０５ アーム作動手段
１０５Ａ 作動レール（作動部材）
１０５Ｂ 駆動装置

Claims (10)

1. 所定位置に処理液槽が設置された処理ラインに沿って移動体を走行させる移動時または停止時に、前記移動体に支持された作動アームを下方に作動させるとともに、該作動アームの先端部に幅方向の軸心周りに回動自在に支持された支持体を回動させて、該支持体に支持された被搬送体を前記処理液槽の処理液に浸漬させ、
   各被搬送体の形状に対応して支持体を回動することにより、被搬送体の処理液への入液角度および処理姿勢ならびに処理液からの出液角度を制御する
   ことを特徴とする搬送方法。
2. 移動体とは別に設置されたアーム作動手段の駆動部により、作動アームを傾動させ、
   移動体とは別に設置された姿勢調整手段の駆動部により、支持体を回動する
   ことを特徴とする請求項１記載の搬送方法。
3. 処理ラインに沿って走行自在に配置された複数の移動体と、
   前記移動体を走行駆動する搬送駆動手段と、
   前記移動体に作動自在に支持された作動アームと、
   該作動アームの遊端部に幅方向の回動軸心周りに回動自在に支持されかつ被搬送体を支持する支持体と、
   前記作動アームを作動するアーム作動手段と、
   前記支持体を回動して被搬送体の姿勢を調整自在な姿勢調整手段とが具備され、
   前記搬送体走行手段により処理ラインに沿って走行させる移動時または停止時に、前記アーム作動手段により作動アームを作動して支持体上の被搬送体を処理液槽の処理液に浸漬させ、前記姿勢調整手段により被搬送体の形状に対応して支持体を回動し被搬送体の処理液への入液角度および処理姿勢ならびに処理液からの出液角度を調整可能に構成された
   ことを特徴とする搬送設備。
4. アーム作動手段に、駆動部が移動体と別に処理液槽近傍に設置されて、作動アームを駆動可能に構成された
   ことを特徴とする請求項３記載の搬送設備。
5. 姿勢調整手段の駆動部に、移動体と同期して移動自在に配置されて姿勢調整軸を有する姿勢調整駆動装置と、支持体を回動可能な姿勢調整受動部に前記姿勢調整軸を連結離脱可能な連結機構とが具備された
   ことを特徴とする請求項３または４記載の搬送設備。
6. 姿勢調整受動部に、
   作動アームを支持する支持軸に同軸状に配設されて姿勢調整軸が連結される伝動軸部材と、
   支持体の回動軸とを連結連動する伝動機構が具備された
   ことを特徴とする請求項５記載の搬送設備。
7. 姿勢調整駆動装置が処理ラインと平行に往復移動自在な走行台車に設置され、
   該走行台車は、移動体と同期して走行される連動機構が具備された
   ことを特徴とする請求項５または６記載の搬送設備。
8. アーム作動手段は、
   作動アームに連結された従動部材と、
   処理ラインに沿って設置されて前記従動部材を案内する作動部材とで構成された
   ことを特徴とする請求項３乃至７のいずれかに記載の搬送設備。
9. 作動部材は処理ラインに沿って複数が並設されるとともに、作動部材の入口部および出口部に切替手段が設けられ、
   前記作動部材の少なくとも１つが非処理用作動部材に構成された
   ことを特徴とする請求項８記載の搬送設備。
10. 被搬送体の形状に基づいて、姿勢調整手段およびアーム作動手段ならびに移動体駆動手段を制御する処理制御装置が設けられた
    ことを特徴とする請求項３乃至９のいずれかに記載の搬送設備。

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