JP2004224307A - トラクタ - Google Patents

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篤史 林
Mitsuhiko Onbe
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Abstract

【課題】ボンネット内面とラジエータ装置との間を遮蔽するシール材のシール性及び耐久性の向上を図る。
【解決手段】ボンネット20の枢軸40をラジエータ装置15の後上方に設け、ボンネット20の内面にシール受け面55を設け、ラジエータ装置15の外周縁部に、シール受け面55に向けて前後方向に突出し且つボンネット20の閉鎖動作により前記シール受け面55に前後方向に当接して圧縮されるシール材53を設ける。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボンネットの内面とラジエータの外縁部との間にシール材を施したトラクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トラクタ車体の前部にエンジンを設け、このエンジンの前側に前方から吸気するラジエータ装置を設け、エンジン及びラジエータ装置の上方及び左右側方を揺動開閉自在なボンネットで覆い、このボンネットとラジエータ装置との間にシール材を設けているトラクタが下記特許文献1により公知である。
【0003】
【特許文献1】
米国特許5495910号明細書
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1は、ラジエータ通過後の熱風が再度前方へ吹き戻すことがないようにラジエータとボンネット内面との間をシール材により封鎖し、冷却効率の低下を防止できる点である程度は有用である。
しかしながら、上記シール材は、ボンネット上面の内側とラジエータの上部との間に配設された発泡シール材と、ボンネット側面の内側とラジエータ側部との間に配設されたひれ状シール材とによって分割された構造であったため、発泡シール材とひれ状シール材との境界で隙間が生じ、該隙間から熱風が漏れる恐れがあった。
【0005】
また、上記ひれ状シール材はラジエータ装置の側部に左右外方へ突出するように取り付けられ、ボンネットを閉じたときに、該ボンネット側面から突出したリブとボンネット内面とに当接することによって後方へ湾曲し、その弾性復帰による密着力でシールをなすものとなっており、この後方への湾曲の際にボンネットの内面との間に擦れが生じ、早期に摩耗するという問題があった。
このようなひれ状シール材の”擦れ”を防止するため、当該シール材をボンネット内面には当接しないように(リブにのみ当接するように)短く形成することが考えられるが、これではひれ状シール材の湾曲度合いが小さくなり、シール性の低下を招くものとなる。
【0006】
本発明は、上記のような実情に鑑み、ボンネット内面とラジエータ装置との間のシール性の向上及びシール材の耐久性の向上を図ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を講じている。
すなわち、本発明は、前方から吸気するラジエータ装置をエンジンの前側に設け、前記エンジン及びラジエータ装置を左右方向の枢軸回りに揺動開閉するボンネットで覆い、前記ラジエータ装置の外縁部とボンネットの内面との隙間をシール材で遮蔽しているトラクタにおいて、
前記枢軸をラジエータ装置の後上方又は前下方に配設し、前記ボンネットの内面又はラジエータ装置の外縁部のいずれか一方にシール受け面を設け、他方に、前記シール受け面に向けて前後方向に突出し且つボンネットの閉鎖動作により前記シール面に前後方向に当接して圧縮される前記シール材を設けていることを特徴とするものである。
【0008】
これによれば、ボンネットを閉鎖するときにシール材とシール受け面とが前後方向に当接するためにシール材の擦れが防止され、さらに、シール材はシール受け面に向けて前後方向に突出し、シール受け面との当接で前後方向に圧縮されるため、確実なシール効果が得られるようになる。
前記枢軸は、前記ラジエータ装置の上端よりも高位置で後方に配設されていることが好ましい。
前記シール材及びシール受け面は、ラジエータ装置及びボンネットの上部から側部にかけて連続して形成されていることが好ましい。これによって、ラジエータ装置とボンネット内面との間全体を隙間無くシールすることができる。
【0009】
前記シール材は、前記ラジエータ装置の外縁部に設けられ、前記シール受け面は、ボンネットを内側から補強するべく該ボンネットの上面部及び側面部の内面に沿って設けられた補強枠材に形成されていることが好ましい。
このように、補強枠材を利用してシール受け面を形成することにより、部品数減、コスト減が図れるようになる。
また、前記補強枠材と前記枢軸とは連結枠材により連結されていることが好ましい。
【0010】
前記補強枠材とボンネットとの間に隙間が生じる場合には、この隙間を埋める第2のシール材を設けることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図7に示すように、本発明の実施形態にかかるトラクタ1は、左右一対の前輪3及び後輪4により走行可能に構成されたトラクタ車体2を備え、このトラクタ車体2の後上部に運転席6、操縦ハンドル7、操作レバー、ペダル等を有する運転部を設けると共に、この運転部をキャビン5で囲い、このキャビン5の前側にエンジンルームを形成するボンネット20を設けている。
【0012】
トラクタ車体2は、エンジン10、クラッチハウジング、ミッションケース12を前後方向に接続することによって主構成されており、ミッションケース12の後部には後輪を支持する後車軸ケースが左右に突設され、エンジン10の下部には前車軸を支持する前車軸フレーム13が前方に突設されている。
エンジン10の前側で前車軸フレーム13にはラジエータ装置15が支持されており、このラジエータ装置15は、その後部に配設されたラジエータファン16により前方から吸気するようになっている。ラジエータファン16はエンジン10の駆動によって回転する。
【0013】
図1及び図2に示すように、ラジエータ装置15の前方にはバッテリー17、エアクリーナ18、オイルクーラー19等が配置され、これら各機器15,17,18とエンジン10とはボンネット20により覆われている。
ボンネット20は、前記エンジン10及びラジエータ装置15の上方を覆う上面部21と、左右側方を覆う側面部22と、前方を覆う前面部23とを有しており、これらは合成樹脂材によって一体に形成されている。
側面部22は、エンジン10の左右両側に対応する後下部が切りかかれた形状とされており、このため、側面部22の後部側は前後側よりも上下幅が小さくなっている。
【0014】
側面部22の前部側と前面部23には、冷却空気を導入するための側部開口22A及び前部開口23Aが形成されており、これら開口22A,23Aには、それぞれパンチングメタル、網体等の多孔部材よりなるグリル部材24,25が着脱自在に取り付けられ、当該グリル部材24,25の各孔からボンネット20内部に冷却空気を導入可能となっている。
また、ボンネット20の前面部23にはヘッドライト26が設けられており、このヘッドライト26の収容凹部26Aは、ボンネット20の前面部23に一体的に成形することができる。
【0015】
ボンネット20は合成樹脂材により形成されていることから、その強度を高めるために内側には補強体30が設けられるようになっている。
この補強体30は、図3にも示すように、ボンネット20の前後中途部であって側面部22の上下幅が広い部分に対応して配設された前補強枠材31と、前補強枠材31の後方で側面部22の上下幅が狭い部分に対応して配設された後補強枠材32とを有し、これら前後の補強枠材31,32は、パイプ材(中実棒材、フラットバー、チャンネル材、アングル材等であってもよい)等をボンネット20の上面部21及び側面部22に沿うように門型に折曲することにより構成されている。前補強枠材31はその左右側部の上下に設けられたブラケット33を介して、後補強枠材32はその左右両側の下部に設けられたブラケット34を介して、それぞれボルト等によってボンネット20に取付けられている。
【0016】
前後の補強枠材31,32の左右側部は、側面視で上下垂直に配設され、上部は左右方向に向けて配設されている。
ボンネット20の上面部21の下側には、前後方向に配設された連結枠材35が設けられている。この連結枠材35は、アングル材、チャンネル材(パイプ材、中実棒材、フラットバー等であってもよい)等の長尺部材により構成され、左右一対の備えられている。この連結枠材35も適宜箇所に設けたブラケット36を介してボンネット20にボルト等により取り付けられている。左右連結枠材35の左右間隔は、前後の補強枠材31,32の左右幅よりも小さくなっている。
【0017】
連結枠材35の前端部は、前補強枠材31の上部に溶接やボルト等により接続され、連結枠材35の前後中途部は、後補強枠材32の上部に溶接やボルト等により接続されている。
ボンネット20の上面部21は前下がり状に傾斜し、前後中央部が上方に盛り上がるように湾曲しており、連結枠材35とボンネット上面部21の下面との間には隙間が形成されている。後補強枠材32の左右方向に伸びる上部は、この隙間に配設されている。
【0018】
連結枠材35はボンネット20の後部にまで後方へ延設され、その後端部にはボンネット20を開閉揺動自在に支持するためのヒンジ具39が設けられている。
ヒンジ具39は、左右の連結枠材35に渡って架設された枢軸40と、前部側に前記枢軸40が回動自在に挿通される筒部41Aを備えた取付板41とを有しており、この取付板41は、トラクタ車体2におけるエンジン10の背後(キャビン5の直前)に立設された支持台42の上端部にボルト等により取り付けられるようになっている。
【0019】
このように取り付けられたヒンジ具39の枢軸40は、ラジエータ装置15の上端部よりも高位置で後方に配設されるようになっている。ボンネット20は、枢軸40を支点として全体が上下に揺動可能となり、上方に揺動したときにエンジン10、ラジエータ装置15等の機器を開放し、下方に揺動したときに当該機器を覆うようになっている。
なお、前記ボンネット20内には、ボンネット20を開方向に付勢するガススプリングよりなる開放支持具43が設けられており、この開放支持具43は、エンジン10やマフラー44の熱影響を受け難くラジエータ装置15による冷却効果を期待できるラジエータ装置15のすぐ後に設けられており、これによって熱に起因したガス圧の上昇でボンネット20の跳ね上げ速度が変化してしまうようなことを防止している。
【0020】
前記ラジエータ装置15は、上下のタンク部47,48の間にコア部49を設けたラジエータ本体50と、ラジエータ本体50の後方に配設されたラジエータファン16と、コア部49の周囲(上下左右)を取り囲む枠体51とを有し、この枠体51は、コア部49よりも後方に延設されてラジエータファン16の外周部を囲う部分を有している。
図3〜図5に示すように、ラジエータ装置15(枠体51)の前部側の周囲には、エンジンルーム内をラジエータ装置15の位置で前後に仕切る板材よりなる仕切材52が左右外方及び上方に突出して設けられており、この仕切材52の外縁部全体にはシール材53が取り付けられている。このシール材53は、仕切材52の外縁部に嵌合する嵌合部53Aと、シールの主体をなす中空のシール部53Bとを有し、このシール部53Bが前記仕切材52よりも前方に突出(後述のシール受け面55に向けて前後方向に突出)するように取り付けられている。
【0021】
前記ボンネット20の内面には、前記シール材53に当接するシール受け面55が形成されている。具体的に本実施形態では、前記前補強枠材31の後面をシール受け面55として構成しており、ボンネット20を閉鎖した状態で、シール材53の前面が前補強枠材31の後面に当接し、シール材53のシール部53Bが前後に圧縮されるようになっている。
これによって、ボンネット20内面とラジエータ装置15の外縁部との間のシールが確実になされるようになっている。
【0022】
なお、図4,図5では、シール材53は圧縮変形されていない状態で示しているが、実際にはシール受け面55により圧縮されて扁平状に変形される。
シール材53のシール面53Cは、その先端側が内方(上下内方又は左右内方)に向くように傾斜している。
ボンネット20の揺動支点である枢軸40は、ラジエータ装置15の後上方(仕切材52の上端部よりも高位置で後方)に配設されているため、ボンネット20を閉方向(下方)に揺動したとき、完全に閉じる直前でシール受け面55が後方に移動するようになっており、これにより、シール材53に対して上下に擦れることがほとんどなく前後方向に当接する。このため、シール材53の摩耗は少なく、耐久性が向上されるようになる。また、シール材53及びシール受け面55は、ラジエータ装置15及びボンネット20内面の上部から側部にかけてコの字形に連続して形成されているため、その途中で部分的に隙間が生じることもない。
【0023】
なお、上記前補強枠材31とボンネット20内面との隙間には、発泡体よりなる第2シール材56が設けられており、この隙間からの熱風の吹き戻しを防止している。ただし、前補強枠材31とボンネット20内面とに隙間が生じない場合は、この第2シール材56は省略することが可能である。
本発明は、上記実施形態に限定されることなく適宜設計変更可能である。
前補強枠材31は、ボンネット20内面から一体的に突出するリブにより構成することも可能である。
【0024】
前記シール材53は、ボンネット20側の前補強枠材31に対して後方突出状に設けてもよく、この場合、このシール受け面55をラジエータ装置15側(例えば仕切材52の前面)に形成し、これにシール材53を前後方向に当接することで圧縮すればよい。また、シール材53は、発泡材により構成することもできる。
前記枢軸40は、ラジエータ装置15の前下方(ボンネット20の前下部)に配設することも可能である。
【0025】
トラクタは、キャビン無しの構成としてもよい。
【0026】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、ボンネットとラジエータ装置との間のシール性とシール材の耐久性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかるボンネットの側面図である。
【図2】同ボンネットの平面図である。
【図3】同斜視図である。
【図4】図1のA部拡大断面図である。
【図5】図2のB部拡大断面図である。
【図6】(a)はヒンジ具の側面図、(b)はヒンジ具の平面図である。
【図7】トラクタの全体側面図である。
【符号の説明】
10 エンジン
15 ラジエータ装置
20 ボンネット
21 上面部
22 側面部
31 前補強枠材
35 連結枠材
40 枢軸
53 シール材
53A 嵌合部
53B シール部
55 シール受け面

Claims (6)

  1. 前方から吸気するラジエータ装置(15)をエンジン(10)の前側に設け、前記エンジン(10)及びラジエータ装置(15)を左右方向の枢軸(40)回りに揺動開閉するボンネット(20)で覆い、前記ラジエータ装置(15)の外縁部とボンネット(20)の内面との間をシール材(53)で遮蔽しているトラクタにおいて、
    前記枢軸(40)を前記ラジエータ装置(15)の後上方又は前下方に配設し、前記ボンネット(20)の内面又はラジエータ装置(15)の外縁部のいずれか一方にシール受け面(55)を設け、他方に、前記シール受け面(55)に向けて前後方向に突出し且つボンネット(20)の閉鎖動作により前記シール受け面(55)に前後方向に当接して圧縮されるシール材(53)を設けていることを特徴とするトラクタ。
  2. 前記枢軸(40)が、前記ラジエータ装置(15)の上端よりも高位置で後方に配設されていることを特徴とする請求項1に記載のトラクタ。
  3. 前記シール材(53)及び前記シール受け面(55)が前記ラジエータ装置(15)及び前記ボンネット(20)の上部から側部にかけて連続して形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のトラクタ。
  4. 前記シール材(53)が前記ラジエータ装置(15)の外縁部に設けられ、前記シール受け面(55)が、前記ボンネット(20)を内側から補強するべく該ボンネット(20)の上面部(21)及び側面部(22)の内面に沿って設けられた補強枠材(31)に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のトラクタ。
  5. 前記補強枠材(31)と前記枢軸(40)とが連結枠材(35)により連結されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のトラクタ。
  6. 前記補強枠材(31)とボンネット(20)内面との間に、該間を埋める第2のシール材(56)が設けられていることを特徴とする請求項4又は5に記載のトラクタ。
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