JP3821555B2 - サイドカバーの取付構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、作業車両、特に、トラクタのエンジンルームの側方を覆うサイドカバーの取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から農用トラクタやモアトラクタ等の作業車両の、ラジエータや冷却ファンやエンジン等は、エンジンルーム内に収容され、該エンジンルームは、ボンネットによって被覆される。該ボンネットは、上方をトップカバーで、前面をフロントカバーで、左右両側をサイドカバーで覆い、メンテナンスや修理等を容易に行えるように、これらトップカバーやフロントカバーやサイドカバーは開閉または着脱可能に構成されている。
そして、これらトップカバーやフロントカバーやサイドカバーのうち、サイドカバーを容易に着脱できるようにした技術が、特開平7−242183号によって公知となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記の従来技術は、U字形に屈曲されたバネ材を機体側の取付枠に取り付けて、係合突起をカバー側に取り付け、該係合突起をバネ材の間に挿入することによって係止する構成としていた。
しかし、前記技術は、側方より係合突起を挿抜して、カバーの取り付け、取り外しが行えるのであるが、バネ材が摩耗したり、弾性が弱ってきた場合には、グラツキが生じ、外れ易くなるのである。この外れ易くなった状態で、走行すると振動が生じて不快感かあり操縦し難くなる。また、最悪時にはショック等によりカバーが側方へ外れて落下し、危険な状態となったり、カバーを踏みつけたりしてしまう。
そこで、本発明はこのような摩耗や経時変化等で例え係止部があまくなってもガタは少なく、カバーは外れることがない構造を提供しようとする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、次の如く構成したものである。
車体に設けたサイドカバー(4)上方で、トップカバー(2)を開閉する構成の作業車両において、該サイドカバー(4)の取付構造は、サイドカバー(4)の上部の前後二箇 所に被係合部となる前舌片(4c)と後舌片(4d)を形成し、サイドカバー(4)の下部の水平縁部より係合ピン(4e)を下方へ突出し、エンジン(13)を支持すべく前後方向に水平に配置したエンジンフレーム(8)から、ラジエータ(11)を支持すべくサポートフレーム(21)を上方へ突出し、該サポートフレーム(21)の外側面に、前記前舌片(4c)と係合する第一係合部(23)を外側方に突出し、同様にエンジンフレーム(8)から立設したダッシュボードフレーム(40)の外側方へ、前記後舌片(4d)と係合する第二係合部(34)を突出し、更に前記エンジンフレーム(8)の外側面から、前記係合ピン(4e)と係合する第三係合部(33)を外側方に突出し、前記第一係合部(23)と第二係合部(34)には、上方に係合ピン(23a・34a)をそれぞれ突出させ、第三係合部(33)には嵌合孔(33a)を穿設し、前記第一係合部(23)と第二係合部(34)の係合ピン(23a・34a)の突出長さ(L1)は、前記第三係合部(33)の係合ピン(4e)の突出長さ(L2)より長く構成したものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、添付の図面をもとに説明する。
図1は本発明に係るトラクタの全体側面図、図2はボンネットの内部平面図、図3は図2中X−X線断面図、図4はボンネットの内部側面図、図5はサイドカバーを外した状態を示す斜視図、図6は同じく一部正面図である。
【0006】
まず、図1よりトラクタの全体構成を説明する。
クラッチ機構やトランスミッション機構等を内設する本体フレーム43より前方に、前後方向で平行な左右のエンジンフレーム8・8を延設し、各エンジンフレーム8・8下方に左右の前輪46・46を、また、本体フレーム43の後端に配したトランスミッションの左右に後輪47・47を懸架している。
【0007】
本体フレーム43の左右両側には、略水平状のステップ42・42を配設しており、本体フレーム43上において、後部には座席45を配設し、前部にはダッシュボード41を立設して、ダッシュボード41の上部にハンドル44を配置している。ダッシュボード41の前端には、ステップ42・42の前部から後方傾斜状で門型のダッシュボードフレーム40が配設されており、このダッシュボードフレーム40はエンジンフレーム8・8上に立設される。
【0008】
エンジンフレーム8・8の上には、エンジン13等を収容設置するためのボンネット1が、トップカバー2・フロントカバー3・両サイドカバー4・4にて構成され、エンジン13の左右両側をサイドカバー4・4にて、前方をフロントカバー3にて、そして、上方をトップカバー2にて覆っている。
【0009】
ボンネット1内の構成について図2、図3、図4より説明する。
まず、エンジンフレーム8・8間の前部に底板9が横設され、該底板9の前部上にはバッテリー10を載置固定しており、その後方の底板9の後部上面にラジエータ11を立設し、その後部には、機体後方へ向けて冷却風を送出する冷却ファン12が配設されており、その後方にエンジン13が、左右のエンジンフレーム8・8上に防振支持されている。エンジン13の上方には、左右にエアクリーナー14とマフラー15を並設している。
【0010】
前記ラジエータ11と冷却ファン12との境界部分には、遮閉板16が固設されており、トップカバー2を閉じた状態の時に、遮閉板16の上端及び左右端とトップカバー2の上内面及び左右側面との間の隙間を埋めるべく、トップカバー2の上内面及び左右側面に、ウレタンやゴム等のシール部材17が貼設されている。
また、ラジエータ11の左右両側面にもシール部材18・18を貼設しており、各サイドカバー4を閉じた時に、その内面に各シール部材18が当接するようにしている。こうして、ラジエータ11、遮閉板16、シール部材17及び18にて、ボンネット1内を前後に区画する仕切り部を構成している。
【0011】
ボンネット1を形成するトップカバー2、フロントカバー3、サイドカバー4のうち、フロントカバー3にはその上部左右にの照明ランプ5・5が取り付けられており、その下方には外気導入口としてのフロントグリルを形成して、その全面に渡って第一防塵網6を取り付けている。
また、フロントカバー3の上部両側より後方に舌片3a・3aを延設し、該舌片3a・3aにはそれぞれ係止孔を開口し、フロントカバー3下端の両側下方には突起3b・3bを突出している。一方、前記底板9の前部下面には前記突起3b・3bを嵌合する嵌合孔9a・9aが形成されている。
【0012】
また、前記ラジエータ11の前方左右にサポートフレーム21・21が立設され、該サポートフレーム21の前端より前方に、略水平状の舌片22・22を延設しており、各舌片22の左右各側より係合ピン22aが上方に突出している。こうして、フロントカバー3を組み付けるには、まず、舌片3aの孔に前記舌片22の係合ピン22aを挿通させ、次いでフロントカバー3の突起3bを底板9の嵌合孔に自然に嵌入させることで、フロントカバー3を組み付けられるようにしている。
【0013】
また、前記サイドカバー4の前外側には、機体前後方向に沿う凹部4aを形成し、該凹部4aを覆うように第二防塵網7が取り付けられ前記凹部4aの前半部分に、外気導入口4bが開口されている。
そして、本発明の要部であるサイドカバー4の取付構成は、サイドカバー4の上端に一つ以上、本実施例では前後二箇所に被係合部となる前舌片4cと後舌片4dを形成し、サイドカバー4下端にも一つ以上、本実施例では一か所、水平縁部より、係合ピン4eを下方へ突出している。一方、前記左右各サポートフレーム21の外側面には、第一係合部23を外側方に突出し、前記左右各エンジンフレーム8・8の外側面から第三係合部33を外側方に突出し、ダッシュボードフレーム40の左右各部より外側方に、第二係合部34を突出している。
【0014】
前記第一・第二係合部23・34には、上方に係合ピン23a・34aをそれぞれ突出させており、第三係合部33には嵌合孔33aが穿設されている。そして、図6に示すように、前記係合ピン23a・34aの突出長さL1は前記係合ピン4eの突出長さL2より長く構成している。
【0015】
このような構成でサイドカバー4を組付けるには、サイドカバー4の上下の長さと、第一・第二係合部23・34と第三係合部33の間の上下長さは同じとしているので、サイドカバー4の前舌片4cに第一係合部23の係合ピン23aを、後舌片4dに第二係合部34の係合ピン34aをそれぞれ差し込んでから、更に、サイドカバー4の下端の係合ピン4eを第三係合部33の嵌合孔33aに差し込めばサイドカバー4が組み付けられ、前後左右方向の移動が規制される。
【0016】
前記トップカバー2は、図4に示すように、その後端に設けたヒンジ38を、ダッシュボードフレーム40の前端より突設したヒンジステー39に枢支して、枢支軸39aを支点として上下回動可能としている。このトップカバー2を閉鎖した状態にロックするため、前記サポートフレーム21に閉鎖ロック機構を構成し、また、エンジン13の後上方位置に配設したガイドステー35及びスタンドバー36にて、開放した状態にロックするための開放ロック機構を構成している。
【0017】
前記閉鎖ロック機構は底板9上に立設される左右の各サポートフレーム21よりガイド部材24を上方に突設しており、トップカバー2を閉めるべくその前端を下降させる際に、トップカバー2の前部左右位置に固設したロック部材25が各ガイド部材24に沿って擦り落ちるようになっている。
また、前記舌片22には、前記の係合ピン22aの後方位置にて、上方付勢されたスプリング26を上方に突設しており、トップカバー2を閉める時にロック部材25より下方に突設した押当部25aがスプリング26に押当し、スプリング26の圧縮作用によってトップカバー2の閉鎖時のショックを緩衝するようにしている。
【0018】
前記ロック部材25の押当部25aの下後端には、左右方向に沿うロックピン25bが固設されており、一方、左右の舌片22に横架した回動軸27の各軸端付近にフック部材28・28を一体状に取り付けて、回動軸27の回動にてフック部材28を前後回動するようにしている。回動軸27の一端付近からは後方にバネ受けを延設しており、その同一側のフレーム21より突設するバネ受け21aに対してバネ30を張設し、フック部材28を図4でみて時計回りに付勢している。前記の如く、トップカバー2のロック部材25をガイド部材24に擦らせながらトップカバー2の前端を下降させていくと、ガイド部材24に擦りながら下降するロック部材25のロックピン25bがフック部材28の遊端側に形成したカムに接当し、バネ30の付勢力に抗してフック部材28を押して前方に回動させ、やがてロックピン25bがフック部材28の凹部に嵌入係合し、フック部材28はバネ30の付勢力にて後方へ回動して初期位置に戻り、トップカバー2の閉鎖ロックが完了する。
【0019】
そして、このロックした状態では、図3に示すように、トップカバー2の両側はサイドカバー4・4の上水平縁部を、弾性体50を介して押さえ付けるようになるため、サイドカバー4・4の上下方向の移動が規制されてガタツキが抑制され、トップカバー2がロックされている限りサイドカバー4・4が外れることはないのである。
【0020】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成したので、次のような効果を奏する。
車体に設けたサイドカバー(4)上方で、トップカバー(2)を開閉する構成の作業車両において、該サイドカバー(4)の取付構造は、サイドカバー(4)の上部の前後二箇所に被係合部となる前舌片(4c)と後舌片(4d)を形成し、サイドカバー(4)の下部の水平縁部より係合ピン(4e)を下方へ突出し、エンジン(13)を支持すべく前後方向に水平に配置したエンジンフレーム(8)から、ラジエータ(11)を支持すべくサポートフレーム(21)を上方へ突出し、該サポートフレーム(21)の外側面に、前記前舌片(4c)と係合する第一係合部(23)を外側方に突出し、同様にエンジンフレーム(8)から立設したダッシュボードフレーム(40)の外側方へ、前記後舌片(4d)と係合する第二係合部(34)を突出し、更に前記エンジンフレーム(8)の外側面から、前記係合ピン(4e)と係合する第三係合部(33)を外側方に突出し、前記第一係合部(23)と第二係合部(34)には、上方に係合ピン(23a・34a)をそれぞれ突出させ、第三係合部(33)には嵌合孔(33a)を穿設し、前記第一係合部(23)と第二係合部(34)の係合ピン(23a・34a)の突出長さ(L1)は、前記第三係合部(33)の係合ピン(4e)の突出長さ(L2)より長く構成したことにより、該サイドカバーの前後左右方向の移動を規制したので、係合部材の構成を簡単にできて、サイドカバーを上下方向へ移動することで着脱できるようになる。
【0021】
そして、この上からの前記トップカバーを閉じることによりサイドカバーの上下方向の移動を規制するように構成したので、トップカバーがサイドカバーを押さえつけて、サイドカバーが固定されるため、振動やショック等で外れることがなく、トップカバーをロックすることでサイドカバーも同時にロックすることができるのである。
また、このような構成でサイドカバー4を組付けるには、サイドカバー4の前舌片4c に第一係合部23の係合ピン23aを、後舌片4dに第二係合部34の係合ピン34aをそれぞれ差し込んでから、更に、サイドカバー4の下端の係合ピン4eを第三係合部33の嵌合孔33aに差し込めば、サイドカバー4が簡単に組み付けられ、サイドカバー44の前後左右方向の移動が規制されるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るトラクタの全体側面図である。
【図2】 外気の導入状態を示すボンネットの内部平面図である。
【図3】 図2中X−X線断面図である。
【図4】 ボンネットの内部側面図である。
【図5】 サイドカバーを外した状態を示す斜視図である。
【図6】 同じく一部正面図である。
【符号の説明】
1 ボンネット
2 トップカバー
3 フロントカバー
4 サイドカバー

Claims (1)

  1. 車体に設けたサイドカバー(4)上方で、トップカバー(2)を開閉する構成の作業車両において、該サイドカバー(4)の取付構造は、サイドカバー(4)の上部の前後二箇所に被係合部となる前舌片(4c)と後舌片(4d)を形成し、サイドカバー(4)の下部の水平縁部より係合ピン(4e)を下方へ突出し、エンジン(13)を支持すべく前後方向に水平に配置したエンジンフレーム(8)から、ラジエータ(11)を支持すべくサポートフレーム(21)を上方へ突出し、該サポートフレーム(21)の外側面に、前記前舌片(4c)と係合する第一係合部(23)を外側方に突出し、同様にエンジンフレーム(8)から立設したダッシュボードフレーム(40)の外側方へ、前記後舌片(4d)と係合する第二係合部(34)を突出し、更に前記エンジンフレーム(8)の外側面から、前記係合ピン(4e)と係合する第三係合部(33)を外側方に突出し、前記第一係合部(23)と第二係合部(34)には、上方に係合ピン(23a・34a)をそれぞれ突出させ、第三係合部(33)には嵌合孔(33a)を穿設し、前記第一係合部(23)と第二係合部(34)の係合ピン(23a・34a)の突出長さ(L1)は、前記第三係合部(33)の係合ピン(4e)の突出長さ(L2)より長く構成したことを特徴とするサイドカバーの取付構造。
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