JP3813329B2 - ボンネットの開放ロック装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラクタのボンネットを開放して、その開放状態でロックし、容易に解除できるようにするための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、トラクタのボンネット内のラジエータ、冷却ファン、エンジン、バッテリー等の点検や修理等を行うために、ボンネットのロックを解除して、上方へ開けたままの開放状態に維持するように、ボンネットと機体側の間にスタンドロッドを配置してボンネットを突っ張り状に支持するようにした技術は公知となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記の従来技術では、エンジンルーム上またはボンネットの内側の前後方向中途部に、スタンドロッドの一端を一方に枢支し、該スタンドロッドの他端を他方に係止できるようにし、該スタンドロッドは枢支した一方に収納されるようにしていた。しかし、ボンネットを大きく開けるためには、スタンドロッドを長くする必要があり、ロッド収納空間の前後長も長くしなければならなかった。更に、スタンドロッドを長くすると他のエンジンルーム内の部品との干渉も避けなければならなかったのである。
そこで、本発明はスタンドロッドを出来るだけ短くして、その収納空間も小さくできるようにする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、次の如く構成したものである。
【0005】
水平軸線回りに揺動開閉自在なボンネット(1)のトップカバー(2)を開放姿勢に支持するスタンドロッド(36)を、トップカバー(2)の内面の揺動支点近傍位置に垂下状に枢着する一方、トップカバー(2)の揺動に伴うスタンドロッド(36)の上下方向への滑動を案内し、トップカバー(2)が開放姿勢に位置したときに、その重量でスタンドロッド(36)の遊端側を落とし込み係合させて、突っ張り状に支持するガイドレール(35)を、エンジン(13)と燃料タンク(37)とを並置したエンジンルーム内に取り付け、該エンジン(13)と燃料タンク(37)との間には、両者を区画する熱風遮閉板(20)を設け、該熱風遮閉板(20)に前記ガイドレール(35)を取り付けると共に、該ガイドレール(35)の他端を前記エンジン(13)に連結したものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、添付の図面をもとに説明する。
図1は本発明に係るトラクタの全体側面図、図2はボンネットの内部側面図、図3は同じく閉鎖ロック機構を中心とする内部正面図、図4はボンネットを開けた状態の側面断面図、図5はガイドレール取付部の斜視図である。
【0007】
まず、図1よりトラクタの全体構成を説明する。
クラッチ機構やトランスミッション機構等を内設する本体フレーム43より前方に、前後方向で平行な左右のエンジンフレーム8・8を延設し、各エンジンフレーム8・8下方に左右の前輪46・46を、また、本体フレーム43の後端に配したトランスミッションの左右に後輪47・47を懸架している。
【0008】
本体フレーム43の左右両側には略水平状のステップ42・42を配設しており、本体フレーム43上において、後部には座席45を配設し、前部にはダッシュボード41を立設して、ダッシュボード41の上部にハンドル44を配置している。ダッシュボード41の前端には、後方傾斜状で門型のダッシュボードフレーム40が配設されており、このダッシュボードフレーム40はエンジンフレーム8・8上に立設される。樹脂製の燃料タンク27がダッシュボードフレーム40内に配置され、該燃料タンク37の側面に形成したリブ37aに、ダッシュボードフレーム40の左右前端に設けたステー40aを取り付ける。エンジンフレーム8・8の上には、エンジン13等を収容設置するためのボンネット1が、トップカバー2・フロントカバー3・両サイドカバー4・4にて構成され、エンジン13の左右両側をサイドカバー4・4にて、前方をフロントカバー3にて、そして、上方をトップカバー2にて覆っている。
【0009】
以上のような構造のボンネット1内に収容される各部品の配設構造について説明する。
図2、図3に示すように、まず、底板9の前部下段面9a上にはバッテリー10を載置固定しており、その後方の底板9の後部上段面9b上に、前記の如くラジエータ11を立設し、その後部には、機体後方へ向けて冷却風を送出する冷却ファン12が配設されており、その後方にエンジン13が、左右のエンジンフレーム8・8上に防振支持されている。エンジン13の上方には、左右にエアクリーナー14とマフラーを並設している。
【0010】
ラジエータ11と冷却ファン12との境界部分には遮閉板16が固設されており、トップカバー2の上内面及び左右側面に、ウレタンやゴム等のシール部材17が貼設されている。また、ラジエータ11の左右両側面にもシール部材18・18を貼設しており、フロントカバー3の後端にシール部材を貼設している。
【0011】
ボンネット1を形成するトップカバー2、フロントカバー3、サイドカバー4のうち、フロントカバー3にはその上部左右にの照明ランプ5・5が取り付けられており、その下方には外気導入口としてのフロントグリルを形成して、その全面に渡って第一防塵網6を取り付けている。また、サイドカバー4には、機体前後方向に沿う凹部4aを形成し、凹部4aを覆うように第二防塵網7が取り付けられている。また、凹部4aの前半部分に、外気導入口4bが開口されている。
【0012】
ボンネット1の組立構成について図1乃至図3より説明する。
まず、エンジンフレーム8・8間において、略水平状で前後に上下段差を有する底板9を配設しており、底板9の後部上段面9bにラジエータ11を立設し、ラジエータ11の前方左右にサポートフレーム21・21を立設している。サポートフレーム21の前端より前方に、略水平状の舌片22を延設しており、各舌片22の左右各側より係合ピン22a(図5参照)が上方に突出している。一方、この底板9の前部下段面9aには、フロントカバー3の下端に設けた突起3b・3b(図4及び図5参照)を嵌合する嵌合孔が形成されている。フロントカバー3を組み付けるには、まず、フロントカバー3の上部より後方に延設した舌片3a(図4参照)の孔に前記舌片22の係合ピン22aを挿通させ、次いでフロントカバー3の突起3bを底板9の前部下段面9aの嵌合孔に自然に嵌入させることで、フロントカバー3の組み付けが完了する。
【0013】
サイドカバー4には、上端の前後二箇所に舌片を形成し、下端の一箇所より係合ピン4dを垂設している。一方、左右各サポートフレーム21の外側面には第一舌片23を、左右各エンジンフレーム5の外側面から第二舌片33を、ダッシュボードフレーム40の左右各部より前方に、図4の如く、第三舌片34を、それぞれ略水平方向に延設している。第一・第三舌片23・34には上方に係合ピンを突出させており、第二舌片33には孔が穿設されている。サイドカバー4を組付けるには、サイドカバー4の前舌片及び後舌片(図示せず)に第一・第三舌片23・34の係合ピンを挿通させ、更に、サイドカバー4の下端の係合ピン4dを第二舌片33の孔に嵌入して、サイドカバー4の組み付けが終了する。
【0014】
トップカバー2は、その後端に設けたヒンジ38を、ダッシュボードフレーム40の前端より突設したヒンジステー39に枢支して、枢支軸39aを支点としてトップカバー2の前方を上下回動可能としている。このトップカバー2を閉鎖した状態にロックするため、前記サポートフレーム21に閉鎖ロック機構を構成し、また、後記エンジン13の後上方位置に本発明のガイドレール35及びスタンドロッド36にて、開放した状態にロックするための開放ロック機構を構成している。
【0015】
このうち、閉鎖ロック機構について図2乃至図4より説明する。
前記の如く底板9上に立設される左右の各サポートフレーム21よりガイド部材24を上方に突設しており、トップカバー2を閉めるべくその前端を下降させる際に、トップカバー2の前部左右位置に固設したロック部材25が各ガイド部材24に沿って擦り落ちるようになっている。また、前記舌片22には、前記の係合ピン22aの後方位置にて、上方付勢されたスプリング26を上方に突設しており、トップカバー2を閉める時にロック部材25より下方に突設した押当部25aがスプリング26に押当し、スプリング26の圧縮作用によってトップカバー2の閉鎖時のショックを緩衝するようにしている。
【0016】
前記ロック部材25の押当部25aの下後端には、左右方向に沿うロックピン25bが固設されており、一方、左右の舌片22に横架した回動軸27の各軸端付近にフック部材28・28を一体状に取り付けて、回動軸27の回動にてフック部材28を前後回動するようにしている。回動軸27の一端付近からは後方にバネ受けを延設しており、その同一側のフレーム21より突設するバネ受け21aに対してバネ30を張設し、フック部材28を図4でみて時計回りに付勢している。前記の如く、トップカバー2のロック部材25を、ガイド部材24に擦らせながらトップカバー2の前端を下降させていくと、ガイド部材24に擦りながら下降するロック部材25のロックピン25bが、フック部材28の遊端側に形成したカムに接当し、バネ30の付勢力に抗してフック部材28を押して前方に回動させ、やがてロックピン25bがフック部材28の凹部に嵌入係合し、フック部材28はバネ30の付勢力にて後方へ回動して初期位置に戻り、トップカバー2の閉鎖ロックが完了する。
【0017】
次に、トップカバー2の閉鎖ロック解除構造について説明する。前記の回動軸27の左右中央付近より前方に回動アーム29を延設しており、その前端にロック解除レバー31の上端を枢支し、ロック解除レバー31の下端は、底板9の前部下段面9aに固設したレバーガイド32にて案内されて、更にフロントカバー3の下方に延出し、左右のエンジンフレーム8・8間にて前方へ折り曲げられてレバーの握り部が形成されている。フロントカバー3の下方に手を差し込んでロック解除レバー31を押し下げると、回動アーム29の前端が下方へ回動し、これと一体にフック部材28が前方に回動してロックピン25bが外れ、閉鎖ロックが解除される。この状態で、トップカバー2の前端を持ち上げれば、トップカバー2が、後端のヒンジ38の枢支軸39aを回動支点として上方に開くのである。
【0018】
そして、本発明はこのトップカバー2を開けた状態にロックすることを可能とするためのものであり、図2乃至図5に示すように、エンジンルーム後方の燃料タンク37の前面に配設された熱風遮閉板20がダッシュボードフレーム40下部に取り付けられ、該熱風遮閉板20の下部中央にガイドレール35の下部が固定されている。該ガイドレール35は上部が前斜め上方向に突出され、その上部側面にガイド溝35aが長手方向に沿って開口され、該ガイド溝35aの上端のガイド溝はc字状に構成されてロック部35bとしている。但し、ロック部35bは上端にのみ設けているが、中途部にも配置することができ、複数配置することによってトップカバー2の開放状態を数段階に開けるように構成することも可能である。
【0019】
また、ガイドレール35の上端はエンジン13上に立設した支持ブラケット50の上部にステー51を介して固定する。これにより熱風遮閉板20の剛性がアップされる。該支持ブラケット50には半円弧状の受板50aが連設され、該受板50aにエアクリーナー14がバンド52によって固定される。
【0020】
一方、トップカバー2の後部内面中央に枢支ステー53を下方に突設し、該枢支ステー53にスタンドロッド36の上部先端をL字状に曲げて挿入し垂下状に枢支している。この枢支部(枢支ステー53)の位置はトップカバー2を開けたときに前記ガイド溝35a上端のロック部35bよりも後方に位置するように配置している。また、前記スタンドロッド36の下部もL字状に曲げて下端を前記ガイド溝35a内に挿入して摺動自在に係止され、該スタンドロッド36は側面視「く」字状に曲げて、トップカバー2を閉じたときにスタンドロッド36が燃料タンク37や熱風遮閉板20と干渉せずにできるだけ狭い空間に収納できるようにしている。
【0021】
このような構成において、トップカバー2を開く際には、トップカバー2に吊り下げ状に枢着したスタンドロッド36の下端が、エンジンルーム後端側の熱風遮閉板20に固設したガイドレール35のガイド溝35a内を上方に滑動し、最も開いた位置でオペレーターがスタンドロッド36の下端を手前に引っ張ってロック部35bに入り込ませてトップカバー2のその状態のまま降ろすとロックされ、このスタンドロッド35が該ロック部35bと枢支ステー53の間で突っ張る。このような開放ロック機構の構成によりトップカバー2を開けた状態にロックすることができるのである。
【0022】
そして、トップカバー2を閉じるときには、トップカバー2を上方へ持ち上げると、スタンドロッド36も上方へ持ち上げられて、スタンドロッド36下端はロック部35bから抜けて出てガイド溝35a内に入り、トップカバー2を降ろすと、スタンドロッド36下端はガイド溝35aに沿って下降するのである。
【0023】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成したので、次のような効果を奏する。
水平軸線回りに揺動開閉自在なボンネット(1)のトップカバー(2)を開放姿勢に支持するスタンドロッド(36)を、トップカバー(2)の内面の揺動支点近傍位置に垂下状に枢着する一方、トップカバー(2)の揺動に伴うスタンドロッド(36)の上下方向への滑動を案内し、トップカバー(2)が開放姿勢に位置したときに、その重量でスタンドロッド(36)の遊端側を落とし込み係合させて、突っ張り状に支持するガイドレール(35)を、エンジン(13)と燃料タンク(37)とを並置したエンジンルーム内に取り付けたので、スタンドロッドの枢着部と係合させて突っ張る位置が揺動支点に近くなり、スタンドロッドの長さを短縮しつつ、トップカバーの開放姿勢を大きくとることができたのである。
また、開放姿勢の位置まで回動してスタンドロッドの遊端側をガイドレールに係合させるだけの簡単な操作で開放位置にロックすることができる。
【0024】
また、該エンジン(13)と燃料タンク(37)との間には、両者を区画する熱風遮閉板(20)を設け、該熱風遮閉板(20)に前記ガイドレール(35)を取り付けると共に、該ガイドレール(35)の他端を前記エンジン(13)に連結したので、ガイドレールは熱風遮閉板の剛性を強化して振動を低減すると共に、ボンネットの開放状態を安定させることができたのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るトラクタの全体側面図である。
【図2】 ボンネットの内部側面図である。
【図3】 同じく閉鎖ロック機構を中心とする内部正面図である。
【図4】 ボンネットを開けた状態の側面断面図である。
【図5】 ガイドレール取付部の斜視図である。
【符号の説明】
1 ボンネット
2 トップカバー
13 エンジン
35 ガイドレール
35b ロック部
36 スタンドロッド
37 燃料タンク

Claims (1)

  1. 水平軸線回りに揺動開閉自在なボンネット(1)のトップカバー(2)を開放姿勢に支持するスタンドロッド(36)を、トップカバー(2)の内面の揺動支点近傍位置に垂下状に枢着する一方、トップカバー(2)の揺動に伴うスタンドロッド(36)の上下方向への滑動を案内し、トップカバー(2)が開放姿勢に位置したときに、その重量でスタンドロッド(36)の遊端側を落とし込み係合させて、突っ張り状に支持するガイドレール(35)を、エンジン(13)と燃料タンク(37)とを並置したエンジンルーム内に取り付け、該エンジン(13)と燃料タンク(37)との間には、両者を区画する熱風遮閉板(20)を設け、該熱風遮閉板(20)に前記ガイドレール(35)を取り付けると共に、該ガイドレール(35)の他端を前記エンジン(13)に連結したことを特徴とするボンネットの開放ロック装置。
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