JP3683167B2 - 作業機のステップ取付構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンバインや運搬車といった作業機のステップ取付構造に係り、詳しくは、運転部に配置されるフロアステップの着脱が簡単に行えるようにして、その下方部分の点検・整備作業をより行い易くしてメンテナンス性を向上させる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
運転部に配置されるフロアステップは、搭乗者の荷重を支える強度部品であり、機体の一部を構成する部材として強度フレームと一体的に取付けられて装備してあるのが一般的であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
作業機においては、特開平10−127143号公報や、特開平11−35号公報に示されたコンバインのように、フロアステップの下側に各種機械装置類を配備してあることが多いので、フロアステップ下方部分をメンテナンスするには、機体の下方に潜り込んで下から見上げながら行うしかなく、作業としてはやりづらいものであった。
【0004】
或いは、複数のボルト等を操作してフロアステップを機体から外して、その上方から作業できる場合もあるが、そのボルト締結構造は、頻繁な着脱を考慮したものではなく、強度十分に固定させるものであるため、フロアステップの着脱操作が比較的煩わしいものであった。従って、フロアステップ下方のメンテナンス性は芳しくないのが実情であった。
【0005】
本発明の目的は、フロアステップの取付構造を工夫することにより、フロアステップ下方部分に対するメンテナンス性を向上できるようにする点にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
〔構成〕
請求項1の構成は、作業機のステップ取付構造において、運転部に配置されるフロアステップを、取外し自在にフロアフレームに載置するとともに、フロアステップがフロアフレームに載置された装着状態では、フロアステップとフロアフレームとがピン嵌合し、且つ、前記フロアフレームにおけるクロスフレーム部に前記フロアステップの裏面側部分を係合させてこれら両者の前後及び左右方向での相対位置が定まるように構成してあることを特徴とする。
【0007】
請求項2の構成は、請求項1の構成において、フロアフレームにおける左右に延びるクロスフレーム部に、合成樹脂材で形成されたフロアステップの左右中間部分を乗せ付けてあることを特徴とする。
【0008】
請求項3の構成は、請求項2の構成において、フロアステップの左右中間部分とクロスフレーム部との前後方向への相対移動が不能となるように、フロアステップの左右中間部分とクロスフレーム部とを係合させてあることを特徴とする。
【0009】
〔作用〕
請求項1の構成によれば、フロアステップを取外し自在としたので、必要時にはフロアステップを容易に取外して、その下方のメンテナンスをステップ上方から楽な姿勢で行えるようになる。そして、フロアフレームに載置されたフロアステップの装着状態では、フロアステップとフロアフレームとがピン嵌合し、且つ、前記フロアフレームにおけるクロスフレーム部に前記フロアステップの裏面側部分を係合させてこれら両者の前後及び左右方向での相対位置が定まるように位置決めされているので、ボルト等の固定手段を用いること無く単に乗せ付ける構造を採用しながらも、ステップがずれ動くといったことが無く、所定の載置姿勢を維持できるようになる。
【0010】
請求項2の構成によれば、フロアステップを合成樹脂で形成することにより、板金材では不可能な3次元的形状のものが実現可能になり、かつ、軽量化できるようになる。そして、フロアステップの左右中間部をクロスフレーム部に乗せ付けてあるから、合成樹脂材故の強度不足を補うことができ、実用に耐える強度・剛性が得られるようになる。
【0011】
請求項3の構成によれば、フロアステップの左右中間部とクロスフレーム部とが前後方向に相対移動不能に係合されているので、これら両者を確実に上下に重ねる機能と、フロアステップの前後方向の位置決め機能との双方の機能を出せるようになる。
【0012】
〔効果〕
請求項1に記載の作業機のステップ取付構造では、前後左右への位置決めがされた状態でフロアステップをフロアフレームに載置することにより、装備状態ではしっかりと位置が定まるようにしてフロアステップとしての機能を十分に備えながら、フロアステップを簡単に取外せるようにしてその下方部分のメンテナンス性の向上を図ることができた。
【0013】
請求項2に記載の作業機のステップ取付構造では、請求項1の発明による効果を奏するとともに、強度不足が無いようにしながらフロアステップを樹脂化して軽くすることができた。
【0014】
請求項3に記載の作業機の機体構造では、請求項2の発明による効果を奏するとともに、合成樹脂製のフロアステップを強度十分に載置させる構造によって前後方向の位置決めも行え、機能の兼用化が図れる利点がある。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1にコンバインAの全体側面図が示されており、運転部Bの前方に刈取部Cが配備され、後方に脱穀部DやグレンタンクFが配備され、下方にクローラ式の走行装置Gを配備している。
【0016】
図1、図2に示すように、運転部Bは、運転座席1を上部に備え、かつ、内部にエンジンEを備えたボンネット2の前側に位置するフロアステップ3と、このフロアステップ3の前方に配置された操縦塔4と、フロアステップ3の左側(刈取部Cの搬送装置存在側)に立設された操作パネル5等から構成されている。これら操縦塔4、操作パネル5、ボンネット2は連結されて一体化されているので、フロアステップ3の右端部、即ち操縦塔4右端部とボンネット2右端部との前後間は開放されていて、運転部Bの乗降部6に設定されている。
【0017】
ボンネット2は、運転座席1を載置する上面2a、フロアステップ3側の縦向き面である前面2b、グレンタンクFに面する縦向き面である後面2c、機体左側の縦面である外側面2dとを有して構成されているとともに、外側面2dの外側面を覆い、かつ、運転座席1の右横の手摺部8を一体に有した側面カバー7を備えている。
【0018】
図4〜図7に示すように、一段落とし込まれた上面にゴム製のフロアシート41が載置された基本的に平面視で矩形のフロアステップ3は、縦リブ部33が周設された蓋状のものであり、前部右側に形成される主クラッチ・ブレーキ用の操作ぺダル34配置用の第1切欠き部31と、前部左端に形成される操縦塔4の付け根部回避用の第2切欠き部32とを備えている。又、フロアステップ3における、前後方向に長い第1切欠き部31の右側の前端部は、操作34に固着された手動操作用で駐車ブレーキ用のハンドブレーキアーム35の操作逃げのために一段低くされた落し込み部36に形成されている。
【0019】
フロアステップ3の裏側に、ほぼ前後中央部に位置する左右に伸びた補強リブ部材42と、後部において左右に伸びた補強ブラケット(請求項2の左右中間部分の一例)43とを備えてある。補強ブラケット43の下端部には、下向き開放の円弧状凹部43aが形成されており、ほぼフロアステップ3の全幅に亘る長さを有している。又、フロアステップ3の右側面部分の縦リブ部33下端に形成された広幅の折曲げ面44に、補強ブラケット43の直前に位置させて嵌合用孔44aを形成してある。
【0020】
一方、図5に示すように、フロアフレーム10は、左右の前後向きフレーム部37,38と、これら前後向きフレーム部に亘って架設された棒材で成るクロスフレーム部39と、操縦塔4付け根の左右向きリブフレーム部40とを備えて構成されている。リブフレーム部40と右前後向きフレーム部38との間には、ボンネット2を支持した中間部材9を上下軸心Y回りで旋回揺動自在に支持している(図4参照)。クロスフレーム部39の右端部における前側に、上下向きの挿通ピン45を立設してある。
【0021】
しかして、フロアステップ3のフロアフレーム10に載置された装備状態では、縦リブ部33の前側部分がリブフレーム部40に、縦リブ部33の左側部分が左前後向きフレーム部37に夫々載っており、かつ、図7に示すように、挿通ピン45と嵌合用孔44aとが嵌合するとともに、クロスフレーム部39が円弧状凹部43aに入り込んでいる。つまり、フロアステップ3がフロアフレーム10に載置された装着状態では、フロアステップ3とフロアフレーム10とが嵌合してこれら両者3,10の前後及び左右方向での相対位置が定まるように構成してある。
【0022】
図2〜4,9,10,13に示すように、ボンネット2は、その下端部における機体左右方向で外側端に設けた前後軸心X回りで揺動開閉自在に機体側の中間部材9に支持してあり、その中間部材9は、その前端部に設けた上下軸心Y回りで旋回揺動自在に機体に枢支してある。そして、中間部材9を閉じ姿勢に固定維持する旋回ロック機構Rと、ボンネット2を閉じ姿勢に固定維持する開閉ロック機構(図示せず)とを設けてある。
【0023】
中間部材9は、上下長さが長く横幅の狭い偏平な断面形状を呈する角パイプで構成されており、閉じ旋回揺動した収納姿勢では、フロアステップ3の右端部と、フロアフレーム10との上下間に丁度嵌合され、かつ、外側面9aがフロアステップ3の右外側面3aとフロアフレーム10の右外側面10aと面位置となる状態に設定してある。図5に示すように、中間部材9の前端部は、フロアフレーム10とフロアステップ3前端外側の支持板11とに亘って架設され、かつ、上下軸心Yを有した縦軸12によって枢支されている。
【0024】
図3、図8、図11に示すように、旋回ロック機構Rは、運転部フレームfにおける後端の左右向き後縦板部25の右上角部分にボルト止めされた受け金具13と、この受け金具13に前後向きの支点P回りで回動自在なロックアーム14と、中間部材9の後端に板ブラケット19を介して装備された前後向きのロック軸15とで構成されている。
【0025】
受け金具13には、ロック軸15嵌入用の右横向きに開いた受入れ溝13aが形成され、板材製のロックアーム14には、ロック軸15の受入れ溝13aからの抜け出しを阻止するストップ部14aと、手指による操作部14bとが形成されている。又、ストップ部14aの右外側には上部ほど右に寄る傾斜縁14cを形成してあるとともに、操作部14bが水平となる姿勢にロックアーム14を維持するべく、その下方揺動を阻止するピン16を受け金具13から突設してある。
【0026】
つまり、中間部材9を閉じ姿勢から開き姿勢に旋回揺動するには、ロックアーム14を上昇揺動操作してストップ部4aを受入れ溝13aから上方に遠ざけてロック解除することにより可能となる。開き姿勢の中間部材9を閉じ姿勢にするには、単に閉じ旋回揺動するだけで、ロック軸15が傾斜縁14cに接当してロックアーム14を自動的に上昇揺動させて、ロック軸15が受入れ溝13aに嵌まり込み、それによってロックアーム14が下降揺動してのロック状態が現出されるのである。
【0027】
図3、図8、図11に示すように、中間部材9の後端部と前後中間部には、ほぼ中間部材9の下端近くの高さレベルに位置させた前後軸心Xを有するステー17,18を固着してあり、これらステー17,18にボンネット2を前後軸心Xにて枢支してある。そして、ボンネット2の開き限界位置を定めるストップ機構20を設けてある。ストップ機構20は、中間部材9の後端部の内側面に固着された支持プレート21に前後軸心Zで揺動自在に枢支されたガイドプレート22と、これの先端側に形成されたガイド長孔22aに嵌合する状態でボンネット2の後面2c下端部に取付けられたピン軸23とで構成されている。
【0028】
つまり、ボンネット2を前後軸心Xで左横に開き揺動すると、ピン軸23がガイド長孔22a内でスライド移動し、その長孔22aの先端にピン軸23が接当することで開き揺動が阻止されるのであり、図12に示すように、その状態では、ボンネット2は90度近く横に倒れた姿勢となっている。ボンネット2が閉じ姿勢に操作された状態では、ピン軸23はガイド長孔22aの基端近くに位置しており、前述した図外の開閉ロック機構によるボンネット2の閉じロックの妨げとならないようにしてある。
【0029】
図14、図15に示すように、中間部材9における上下軸心が設けられていない側である後端部に、中間部材9を開き旋回揺動した状態において接地作動可能なスタンド24を装備してある。スタンド24は丸棒材で構成されており、基端側を左右向きの支点qで揺動自在に、ブラケット板26を介して中間部材9の内側面9bに支持するとともに、折り曲げによる接地部24aを先端に形成してある。スタンド24を、接地部24aが接地する起立作用姿勢とすることにより、ボンネット2と中間部材9との合計重量を、中間部材9先端の縦軸12とスタンド24とに分散して、バランス良く安定的に両持ち状態で支持することができる。
【0030】
ブラケット板26は、スタンド24の起立作用姿勢を規定するものでもあるとともに、上方に揺動して中間部材9の長手方向に沿った横が姿勢で収納するための収納穴27を内側面9bに形成してある。つまり、スタンド24を一旦収納穴27を通り越すまで上方に持ち上げてから、内側面9bに押え付けるようにしながら下げ揺動すれば、先端の接地部24aを収納穴27に入り込ませることができ、それによって収納状態に維持することが自在である。
【0031】
図1、図9に示すように、外側面2dに配備される側面カバー7は、前後向きのライン下部28aと、これに続くライン湾曲部28bと、縦向きのライン上部28cとを備えた湾曲ラインカバー部28、及び前述の手摺部8を含んだ穴空き状に形成されている。湾曲ラインカバー部28と中間部材9とが側面視において一続きのラインを呈するように、ライン下部28aと中間部材9とが左右方向で重なる状態に配置設定してある。これにより、運転部としての側面視形状におけるデザイン性が豊富になり、シャープな外観の実現に寄与することができている。
【0032】
図1に示すように、グレンタンクFは、その後部に設けた縦軸芯P2回りで、機体右側方側に回動しての開閉が自在に構成されており、グレンタンクFを開き移動すれば、運転部Bの後部を開放することができ、エンジンボンネット2の後側が露出状態となる。従って、このグレンタンクFを開き、かつ、ボンネット2開き揺動してから前方に旋回揺動すれば、エンジンE部分(エンジンルーム)が前後及び右方に対して丸出し状態にすることができる。これにより、エンジンE及びその周辺機器を良好に修理やメンテナンスすることができる。
【0033】
図16〜図18に示すように、主クラッチ46の振動が操作ペダル34に伝わってくるのを軽減する振動軽減機構48を設けてある。主クラッチ46のテンションアーム49と、操作ペダル34にパイプ軸47を介して連動される回動部材50とを、これらに枢支連結される連動部材51を用いて連動連結してあり、振動軽減機構48は、テンションアーム49と枢支ピン53と、及び回動部材50と枢支ピン53との夫々の間に並列状態で介装される2個のOリング52,52によって構成されている。尚、54は、フロアフレーム10にボルト止めされたパイプ軸47ストッパー用ブラケット55とテンションアーム49とに架設されるテンションバネである。
【0034】
[別実施形態]
フロアステップ3を合成樹脂で形成する場合には、図19に示すような形状になる。即ち、基本的に、縦リブ部56が周設されたフロアシート41載置用の上面55から下方に多数リブ出しされたものであり、フロアフレーム10に載置される部分以外は高さを低くしてリブ出ししてある。
【0035】
クロスフレーム部39は、前後一対の横リブ57,57間に形成された多数の縦リブ58先端の円弧状凹入部58aに入れ込んで載置することで前後方向に位置決めされる係合構造であり、これら横リブ57や縦リブ58で左右中間部分43を構成してある。この場合、挿通ピン45の入り込み用として、金属製フロアステップ3の嵌合用孔44aは、周囲がリブで囲まれた嵌合用穴59に形成されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンバインの全体側面図
【図2】運転部の平面図
【図3】運転部の背面図
【図4】フロアステップを示す斜視図
【図5】フロアステップ及び、その下方の機体構造を示す斜視図
【図6】フロアステップの底面斜視図
【図7】フロアステップの載置構造を示す側面図
【図8】ロック機構の動作状態を示す背面図
【図9】ボンネットの倒れ方向を示す運転部の斜視図
【図10】倒れたボンネットの旋回移動方向を示す運転部の斜視図
【図11】旋回ロック機構のロック状態を示す背面図
【図12】旋回ロック機構のロック解除状態を示す背面図
【図13】ボンネットが旋回移動された状態の運転部を示す平面図
【図14】ボンネットが旋回移動された状態の運転部を示す斜視図
【図15】スタンドの支持構造を示す部分図
【図16】主クラッチの操作構造を示す側面図
【図17】主クラッチの操作構造を示す平面図
【図18】振動軽減機構を示す拡大断面図
【図19】合成樹脂材によるフロアステップを示す図
【符号の説明】
3 フロアステップ
10 フロアフレーム
39 クロスフレーム部
43 左右中間部分
B 運転部

Claims (3)

  1. 運転部(B)に配置されるフロアステップ(3)を、取外し自在にフロアフレーム(10)に載置するとともに、前記フロアステップ(3)が前記フロアフレーム(10)に載置された装着状態では、前記フロアステップ(3)と前記フロアフレーム(10)とがピン嵌合し、且つ、前記フロアフレーム(10)におけるクロスフレーム部(39)に前記フロアステップ(3)の裏面側部分を係合させてこれら両者の前後及び左右方向での相対位置が定まるように構成してある作業機のステップ取付構造。
  2. 前記フロアフレーム(10)における左右に延びるクロスフレーム部(39)に、合成樹脂材で形成された前記フロアステップ(3)の左右中間部分を乗せ付けてある請求項1に記載の作業機のステップ取付構造。
  3. 前記フロアステップ(3)の左右中間部分と前記クロスフレーム部(39)との前後方向への相対移動が不能となるように、前記フロアステップ(3)の左右中間部分と前記クロスフレーム部(39)とを係合させてある請求項2に記載の作業機のステップ取付構造。
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