JP2004211275A - 伸縮性立体織物およびクッション材 - Google Patents
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Abstract
【課題】立体的な厚みを有し、織物としての伸縮性を兼ね備えた衝撃をソフトに吸収緩和するソフトクッション性を有し、フィット性に富み、通気性やクッション性にも優れた新規な伸縮性立体織物およびクッション材を提供する。
【解決手段】(1) 平行に多数の連通空洞部が形成された立体織物であって、該立体織物の少なくとも片面に形成される前記連通空洞部の長手方向と直交する空洞部の断面が略半円形状を有し、かつ該連通空洞部の長手方向と直交する方向の立体織物の5%ストレッチ時の応力が10〜150N/5cm幅以上である伸縮性立体織物。(2) 前記略半円形状のアーチ部が湾曲したフィラメント糸で構成され、かつ該略半円形状の底辺部が潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の捲縮性を発現させた捲縮発現ポリエステル糸で構成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】(1) 平行に多数の連通空洞部が形成された立体織物であって、該立体織物の少なくとも片面に形成される前記連通空洞部の長手方向と直交する空洞部の断面が略半円形状を有し、かつ該連通空洞部の長手方向と直交する方向の立体織物の5%ストレッチ時の応力が10〜150N/5cm幅以上である伸縮性立体織物。(2) 前記略半円形状のアーチ部が湾曲したフィラメント糸で構成され、かつ該略半円形状の底辺部が潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の捲縮性を発現させた捲縮発現ポリエステル糸で構成されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は伸縮性立体織物およびクッション材に関し、さらに詳しくはクッション性能、伸縮性能および通気性に優れた伸縮性立体織物およびこれを用いた人体とのフィット性に優れたクッション材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、立体構造の織物は、寝具、各種車両用シート、椅子用シート、座布団用シート、応接セット用シート、スポーツ資材等のクッション材として用いられている。このようなクッション材として、例えば、長手方向に多数の凸部が形成された表面空隙層部と該長手方向に多数の連通空洞部が形成された中間空隙層部とからなる実質的にフィラメント繊維で構成された立体多重織組織のクッション構造体が提案されている(例えば、特許文献1等)。しかし、このクッション構造体は、平面状の多重織物を立体化させる手段として、イソフタル酸成分を共重合したポリエステル系高収縮繊維を用いているため、立体化されたクッション構造体に通気性やクッション性は得られるものの、伸縮性がなく、剛直感の強いものとなり、クッション材として用いた場合の人体へのフィット感に乏しいという欠点があった。この理由は、ポリエステル系高収縮糸は熱収縮性は高いものの、熱収縮処理後の伸縮性が極めて低い上、剛性が高く粗剛なタッチになるためと考えられる。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−10468号
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記従来の問題点を解決し、立体的な厚みを有し、かつ織物としての伸縮性を兼ね備えた、衝撃をソフトに吸収緩和するソフトクッション性を有するとともに、フィット性に富み、通気性やクッション性にも優れた新規な伸縮性立体織物およびこれを用いたクッション材を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、立体織物の構造を特定の形状とし、該立体織物の所定のストレッチ時の応力を一定の範囲とすることにより上記課題を解決できることを見いだし、本発明に到達した。
すなわち、上記課題を達成するために本願で特許請求される発明は以下の通りである。
【0006】
(1)平行に多数の連通空洞部が形成された立体織物であって、該立体織物の少なくとも片面に形成される前記連通空洞部の長手方向と直交する空洞部の断面が略半円形状を有し、かつ該連通空洞部の長手方向と直交する方向の立体織物の5%ストレッチ時の応力が10〜150N/5cm幅であることを特徴とする伸縮性立体織物。
(2)前記略半円形状のアーチ部が湾曲したフィラメント糸で構成され、かつ該略半円形状の底辺部が潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の捲縮性を発現させた捲縮発現ポリエステル糸で構成されていることを特徴とする(1)に記載の伸縮性立体織物。
(3)前記潜在捲縮発現性ポリエステル繊維が少なくとも二種以上のポリエステル成分からなり、その一方の成分がポリトリメチレンテレフタレートであることを特徴とする(1)または(2)に記載の伸縮性立体織物。
(4)前記略半円形状のアーチ部が湾曲したフィラメント糸で構成され、かつ該略半円形状の底辺部が弾性繊維で構成されていることを特徴とする(1)に記載の伸縮性立体織物。
(5)前記弾性繊維がポリウレタン系繊維であることを特徴とする(1)または(4)に記載の伸縮性立体織物。
(6)前記湾曲したフィラメント糸がポリトリメチレンテレフタレートであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の伸縮性立体織物。
(7)前記湾曲したポリトリメチレンテレフタレートフィラメント糸がモノフィラメント糸であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の伸縮性立体織物。
(8)(1)〜(7)のいずれかに記載の伸縮性立体織物を用いたクッション材。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の伸縮性立体織物は、平行に多数の連通空洞部が形成された立体織物であって、該立体織物の少なくとも片面に形成される前記連通空洞部の長手方向と直交する方向の断面が略半円形状を有し、かつ該連通空洞部の長手方向と直交する方向の立体織物の5%ストレッチ時の応力が10〜150N/5cm幅である。
本発明における立体織物には、一方向に平行な多数の連通空洞部が形成されている。該立体織物の幅は通常2〜200cmの範囲にあり、立体織物の幅が略5cm幅以上である場合はそのままシート材として好適に使用することができ、幅が5cm未満の特に狭い細幅立体織物の場合には、このベルト状の細幅織物を経、緯方向に組み合わせて面状にして使用することができる。このように立体織物の形態は使用目的に合わせて適宜選定して使用することができる。また立体織物に形成される平行な連通空洞部の数は、通常、10cm当たり2.5〜60本であり、好ましくは3本/10cm以上、より好ましくは4本/10cm以上、最も好ましくは5本/10cm以上であり、好ましくは50本/10cm以下、より好ましくは45本/10cm以下である。
なお、アーチ部の高さHは好ましくは0.3〜20mmであり、アーチ底辺部の幅cは好ましくは2〜40mmの範囲である。
【0008】
また、本発明における立体織物は、少なくとも片面に形成される前記連通空洞部の長手方向と直交する空洞部の断面が略半円形状を有していることが必要である。該空洞部の断面を略半円形状とすることにより、クッション材として使用時の人体との接触を、織物表面全てで接触する全面接触ではなく、点接触または部分面接触などの部分接触とすることが可能となり、使用時のべたつき感や蒸れ感を抑えることができ、また部分接触の指圧作用による血行促進や床ずれ防止などの効果を得ることができる。
本発明において、前記略半円形状のアーチ部は後述するように湾曲したフィラメント糸で構成され、かつ該略半円形状の底辺部は潜在捲縮発現性ポリエステル繊維を熱処理して捲縮性を発現させた捲縮発現ポリエステル糸で構成されていることが好ましく、また該潜在捲縮発現性ポリエステル繊維は少なくとも二種以上のポリエステル成分からなり、その一方の成分がポリトリメチレンテレフタレートであることが好ましい。また前記湾曲したフィラメント糸はポリトリメチレンテレフタレートであることが好ましく、さらにポリトリメチレンテレフタレートのモノフィラメント糸であることがより好ましい。
【0009】
また、本発明における立体織物は、前記連通空洞部の長手方向と直交する方向の立体織物の5%ストレッチ時の応力が10〜150N/5cm幅、好ましくは30〜120N/5cm幅、より好ましくは50〜100N/5cm幅、さらに好ましくは60〜90N/5cm幅の範囲である。立体織物の該方向の5%ストレッチ時の応力が10N/5cm幅未満では、クッション材として使用した際のフィット感が不足し、また底着き感を生じ、体とのフィット性が得られず、衝撃をソフトに吸収緩和するソフトクッション性が得られない。また、上記立体織物の5%ストレッチ時の応力が150N/5cm幅を超えるとクッション性が感じ難くなる。
また上記立体織物に形成された連通空洞部の長手方向と直交する方向のストレッチ率は5%以上であることが好ましく、より好ましくは5〜40%、さらに好ましくは7〜30%、特に好ましくは10〜20%である。該ストレッチ率が5%未満では、クッション材として使用した際の人体へのフィット感が実感し難く、剛直な感じを実感する場合がある。なお、ストレッチ率が40%を超える立体織物を製造することは可能ではあるが、ホールド性が低下する場合がある。
【0010】
本発明の伸縮性立体織物が人体への優れたフィット感とソフトなクッション性を発揮する理由は、立体織物の厚み方向に圧縮を加えた時に起こる立体織物の伸長挙動(人体とのフィット性)と、応力挙動(クッション性)の関係を示す圧縮モデルにより説明することができる。ソフトなクッション性は、立体織物の厚み方向に圧縮が加わった時、まず捲縮を発現した捲縮発現ポリエステル糸の伸長挙動が起こるのに引続いてアーチ形成されたフィラメント糸のアーチが拡がった後にアーチの屈曲変形挙動が連続的に起こるためと考えることができる。
すなわち、捲縮を発現した捲縮発現ポリエステル糸が先行してスプリングの役割を果たすために比較的小さな荷重によっても容易に伸長して人体とフィッティングすることができ、さらに圧縮が加わった時に、連通空洞部のアーチ部を形成するフィラメント糸がアーチの形状を変えながら圧縮荷重を弾力的に受け止める、いわゆる、柔らかなクッション性を発揮する。このように、本発明の立体織物は、捲縮を発現した捲縮発現ポリエステル糸の伸長挙動とフィラメント糸の変形による荷重吸収挙動がバランスよく、かつ遅滞なく発現するために驚くべき良好なフィット感とソフトなクッション性が得られる。
【0011】
本発明の伸縮性立体織物の構造を図面により説明する。
図1は、本発明の一実施例を示す伸縮性立体織物の構造説明図、図2は、該伸縮性立体織物構造の一サイクルを示す略半円形空洞部6の説明図、図3は、該伸縮性立体織物の袋織部Dの説明図、図4は、該袋織部Dのソフトクッション機能の説明図である。
図1において、伸縮性立体織物1は、一方向に平行に形成された多数の連通空洞部2と、該連通空洞部2内を長手方向に2分割するようにその中央部に配置された捲縮発現ポリエステル糸5と、該捲縮発現ポリエステル糸5によって該連通空洞部2内に形成されるアーチ部aと底辺部bで形成された略半円形空洞部6とから主としてなる。ここで、捲縮発現ポリエステル糸とは、潜在捲縮発現性ポリエステル繊維を熱処理により捲縮を発現させたポリエステル糸をいう。
【0012】
連通空洞部2は、捲縮発現ポリエステル糸5を介して上下に形成される略半円形空洞部6により袋織部Dを形成し、該多数の袋織部Dが結合部Sを介して連続的に結合されて本発明の伸縮性立体織物1を構成する。また略半円形空洞部6は、連通空洞部2の長手方向に略均一な断面形状を有するトンネル状を形成し、図2に示すように、その底辺部bを形成する捲縮発現ポリエステル糸5と、アーチ部aを形成する連通空洞部2の長手方向に直交して配置された湾曲したフィラメント糸3および連通空洞部2の長手方向に配置されたフィラメント糸4で構成される。なお、本願でいう平行または直交する方向とは、本発明の目的を達成するためのほぼ平行またはほぼ直交する方向をいい、厳密な平行状態や直交状態を意味するものではない。
【0013】
また上記袋織部Dには、その中央部に配置される捲縮発現ポリエステル糸5以外には流体(主として空気)の通過を妨げるものがない。また該袋織部Dの断面形状は、図3に示すように長径cと短径dの比(c/d)が、長径の長さにもよるが1/1〜3/1の範囲にあるものが好ましく、真円状〜長円状のものを包含する。該長径cは好ましくは2〜40mm、より好ましくは3〜30mm、さらに好ましくは4〜20mm、最も好ましくは5〜15mmである。短径dは好ましくは0.6〜40mm、より好ましくは1〜30mm、さらに好ましくは2〜20mm、最も好ましくは3〜15mmである。また袋織部Dを構成する略半円形空洞部6では、図4に示すように、底辺部bの捲縮を発現している捲縮発現ポリエステル糸5が伸長率ゼロの状態で、アーチ部aの湾曲したフィラメント糸3とアーチ部aの高さHで釣り合って安定した状態にある。このような構造により本発明のソフトなクッション機能を発現することが可能になる。
【0014】
本発明の伸縮性立体織物は、図5に示す平面多層織物1Aを織成した後、これを熱処理して立体化させることにより、合理的かつ容易に製造することができる。
平面多層織物1Aは、少なくとも上層と下層の織物の中間層に連通空洞部の長手方向に直交して配列された捲縮発現用の潜在捲縮発現性ポリエステル糸(例えば、緯糸)が、連通空洞部の長手方向に配列されたフィラメント糸4(例えば、経糸)と組織することなく、緯糸のみが並列に整列した構造の3層構造の多層織部D0 と一重織部Sが連続的または間欠的に交互に配列された構造を有する。
例えば、連通空洞部(図1参照)に平行な方向、すなわち連通空洞部の長手方向を構成する側(例えば、経糸側)に熱可塑性合成繊維フィラメント糸4を配し、連通空洞部の長手方向に直交する方向、すなわち連通空洞部の幅方向を構成する側(例えば、緯糸側)に、熱可塑性合成繊維フィラメント糸3Aと潜在捲縮発現性ポリエステル繊維5Aとを組み合わせて平面多層織物1Aを織成し、該平面多層織物1Aを熱処理し、潜在捲縮発現性ポリエステル繊維5Aに捲縮を発現させることによって比較的低収縮で剛軟度の高い熱可塑性合成繊維フィラメント糸3Aを浮き上がらせてアーチ状(湾曲したフィラメント糸3)を形成させ、平面多層織物1Aを立体化させることにより、本発明の伸縮性立体織物とすることができる。
【0015】
なお、本発明においては、連通空洞部の長手方向と直交する方向に配され、収縮による立体化作用と立体織物に伸縮機能とを付与する役割を担う繊維の他の例としては、潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の他にも弾性繊維が好ましく使用される。本発明にいう弾性繊維とは、ポリウレタン系弾性繊維やポリエーテルエステル系弾性繊維などの弾性繊維をいうが、中でもポリウレタン系弾性繊維は特に好適である。
この際の弾性繊維の使用形態としては、弾性繊維が立体織物中に完全に埋設され、立体織物の表面には全く露出することがないため、弾性繊維を単独で用いても、または他の繊維を弾性繊維と複合した、例えばカバリング糸や合撚糸などの複合弾性繊維の形態で用いても、またこれらを組み合わせて用いてもよい。
また、ポリウレタン系弾性繊維には優れた形態保持性(高セット性)を有するタイプのほか、ソフトサポート機能(優れた運動追従性)を有するタイプや優れた吸湿性を有するタイプ、さらに優れた消臭機能を有するタイプや耐塩素性に優れたタイプなどの種々の優れた特性を持ったものがあり、使用目的や使用環境に照らして、単独でまたは組み合わせて最適なタイプを選択使用するのが望ましい。
【0016】
この際、連通空洞部の長手方向に配された熱可塑性合成繊維フィラメント糸4は立体化させた時のアーチ部の形態保持性向上と横倒れ防止の役割を有し、また連通空洞部の長手方向に直交して配された2つの繊維のうちの一つである熱可塑性合成繊維フィラメント糸3Aは該アーチ部の形態保持性とクッション性付与の役割を有し、他の繊維である潜在捲縮発現性ポリエステル繊維5Aは熱処理で発現する捲縮による立体化効果(すなわち熱可塑性合成繊維フィラメント糸3Aを押し曲げてアーチ状に起立させて湾曲したフィラメント糸3とする効果、弾性繊維の場合にはリラックス処理で発現する収縮による立体化効果)と優れた耐久伸縮特性付与の役割を有する。
【0017】
伸縮性立体織物に用いられる熱可塑性合成繊維フィラメント糸としては、ポリトリメチレンテレフタレート繊維のほか、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリアミド系繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維などに代表される熱可塑性の合成繊維フィラメント糸が用いられ、マルチフィラメント糸、モノフィラメント糸、モノマルチ糸のいずれをも使用することができる。熱可塑性合成繊維フィラメント糸の総繊度は50dtex以上が好ましく、より好ましくは100〜2000dtexの範囲であり、さらに好ましくは100〜1670dtex、最も好ましくは100〜1000dtexの範囲である。また繊維の形態は、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよく、繊維の断面は丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平(扁平度1.3〜4程度のもので、W型、I型、 ブ−メラン型、波型、 串団子型、まゆ型、直方体型等がある)、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型や不定形なものであってもよい。
【0018】
熱可塑性合成繊維フィラメント糸を連通空洞部の長手方向に平行に配する場合には、モノフィラメント糸が少なくとも50%以上を占めることが好ましく、この場合には、ソフトでかつ高度な弾性回復特性を併せ持つポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント糸を使用するのが特に好ましい。
また熱可塑性合成繊維フィラメント糸を連通空洞部の長手方向に直交する方向に配する場合にはポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント糸を使用するのが好ましい。ポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント糸の使用により、本発明の重要な機能であるアーチ部に耐久性のある高いクッション性と形態保持性を付与することができる。
【0019】
伸縮性立体織物に用いられる潜在捲縮発現性ポリエステル繊維としては熱処理により捲縮性を発現することができる繊維であれば特に制限はないが、高度な捲縮発現特性による立体化効果(熱可塑性の合成繊維フィラメント糸を押し曲げて円弧状(アーチ状)に起立させる効果)と優れた耐久性伸縮特性付与の点から、後述するポリトリメチレンテレフタレート繊維を用いた潜在捲縮発現性ポリエステル繊維が特に好ましい。潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の総繊度は50dtex以上が好ましく、より好ましくは100〜2000dtexの範囲であり、さらに好ましくは100〜1670dtex、最も好ましくは100〜1000dtexの範囲である。
なお、潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の代わりに弾性繊維を用いることも有効な方法である。弾性繊維を用いる場合の総繊度は40dtex以上、さらに470dtex以上、2000dtex以下、特に1300dtex以下、さらには760dtex以下が好ましいが、特に限定されない。
【0020】
本発明において、ポリトリメチレンテレフタレートとは、トリメチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリエステルをいい、トリメチレンテレフタレート単位を約50モル%以上、好ましくは70モル%以上、さらには80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上含有するものをいう。従って、第三成分として他の酸成分および/またはグリコール成分の合計量が、約50モル%以下、好ましくは30モル%以下、さらには20モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下の範囲で含有されたポリトリメチレンテレフタレートを包含する。
【0021】
ポリトリメチレンテレフタレートは、テレフタル酸またはその機能的誘導体と、トリメチレングリコールまたはその機能的誘導体とを、触媒の存在下で、適当な反応条件下に結合せしめることにより合成される。この合成過程において、適当な一種または二種以上の第三成分を添加して共重合ポリエステルとしてもよいし、またポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリトリメチレンテレフタレート以外のポリエステル、ナイロンとポリトリメチレンテレフタレートを別個に合成した後、ブレンドしたりしてもよい。ブレンドする際のポリトリメチレンテレフタレートの含有率は、重量%で50%以上である。
【0022】
添加する第三成分としては、脂肪族ジカルボン酸(シュウ酸、アジピン酸等)、脂環族ジカルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(イソフタル酸、ソジウムスルホイソフタル酸等)、脂肪族グリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、テトラメチレングリコール等)、脂環族グリコール(シクロヘキサンジメタノール等)、芳香族を含む脂肪族グリコール(1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等)、ポリエーテルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、脂肪族オキシカルボン酸(ω−オキシカプロン酸等)、芳香族オキシカルボン酸(P−オキシ安息香酸等)等がある。また、1個または3個以上のエステル形成性官能基を有する化合物(安息香酸等またはグリセリン等)も重合体が実質的に線状である範囲内で使用できる。
【0023】
さらに二酸化チタン等の艶消剤、リン酸等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤等が含有されていてもよい。特に、平均粒子径0.01〜5μm程度の酸化チタンや顔料の粒子を0.01〜5重量%含有させると平滑性が高く、紡糸性に優れたものとなる。
繊維の形態は、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよい。繊維の断面においては丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平(扁平度1.3〜4程度のもので、W型、I型、 ブ−メラン型、波型、 串団子型、まゆ型、直方体型等がある)、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型や不定形なものであってもよい。
【0024】
ポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント糸の製造方法については、従来公知の製法を採用すればよく、例えば、以下の工程をとることができる。
乾燥させたポリトリメチレンテレフタレートペレットを押出機に供給し、溶融体とした後、スピンヘッドに送り、紡糸口金より紡出し、フィラメント状として冷水水浴中で冷却しながら、所定の繊度まで細化し未延伸モノフィラメントとした後、所定の温度の温水浴中で第一延伸し、次いで所定温度のスチーム浴中で定長または弛緩熱処理し、巻き取り機で巻き取る。この工程において、モノフィラメント糸の沸水収縮率を調節するために、さらに所望の弛緩率で連続または非連続で熱処理してもよく、例えば弛緩率−10〜+15%で100〜180℃程度の温度で、連続または非連続で熱処理してもよい。
ここで弛緩率とは、熱処理前のモノフィラメント糸の長さL0 、熱処理中の拘束長さL1 とした時に次式で計算される。
弛緩率= [(L0 −L1 )/L0 ] ×100
【0025】
ポリトリメチレンテレフタレートの固有粘度は、0.8〜1.3dl/gが好ましく、さらに好ましくは0.8〜1.1dl/gである。
本発明で使用するポリトリメチレンテレフタレートフィラメント糸の物性としては、強度が2.0cN/dtex以上であることが好ましく、特にマルチフィラメント糸の場合には、2.6cN/dtex以上であることが好ましく、2.6〜5.0cN/dtexの範囲であることがより好ましい。
ポリトリメチレンテレフタレートフィラメント糸の引張伸度は35%以上であることが好ましく、35〜60%の範囲であることがより好ましい。初期引張抵抗度は26.5cN/dtex未満であることが好ましく、17.6〜26.5cN/dtexであることがより好ましい。
【0026】
また、本発明に用いるポリトリメチレンテレフタレートフィラメント糸は、5%伸長時の伸長回復率が好ましくは70%以上、より好ましくは80〜100%であることがよい。また本発明において使用するポリトリメチレンテレフタレートマルチフィラメント糸の単糸繊度は0.1〜20dtexが好ましい。また、本発明で使用するポリトリメチレンテレフタレートフィラメント糸の糸条総繊度は(すなわち、マルチフィラメント糸では総繊度、モノフィラメント糸では単糸繊度)50dtex以上が好ましく、より好ましくは100〜2000dtexであり、特に1670dtex以下が好ましい。
【0027】
本発明において、特に好適な捲縮発現用のフィラメント糸は、少なくとも二種以上のポリエステル成分からなり少なくともその一方の成分がポリトリメチレンテレフタレートである潜在捲縮発現性ポリエステル繊維である。
ここで、潜在捲縮発現性ポリエステル繊維とは、二種以上のポリエステル成分で構成(具体的には、サイドバイサイド型または偏芯鞘芯型に接合されたものが多い)されているものであり、熱処理によって捲縮を発現するものである。二種のポリエステル成分で構成されている場合、ポリエステル成分の複合比は、重量%で、好ましくは70/30〜30/70、より好ましくは60/40〜40/60の範囲である。サイドバイサイド型または偏芯鞘芯型に接合されている場合は、接合面形状(直線または曲線形状のものがある)は限定されない。他の成分としては、第一の成分とは異なるポリエステル、例えば、PTT、PET、PBT等が挙げられる。
【0028】
ポリマーの組み合わせとしては、PTTとPTTの組み合わせ、PTTとPETの組み合わせ、PTTとPBTとの組み合わせ等が挙げられる。特に繊維にしたときに、捲縮の内側にPTTが配置されように、ポリマーを選択して組み合わせるのが好ましい。これらのうち、固有粘度差を有するPTTの組み合わせが最適であるが、この他に、PTTと共重合PTTとの組み合わせ、PTT(または共重合PTT)とPET(または共重合PET)との組み合わせ、PTTまたは共重合PTTとPBT(または共重合PBT)との組み合わせが好ましい。
【0029】
なお、PTTとは、テレフタル酸を主たるジカルボン酸とし、1,3−プロパンジオールを主たるグリコール成分とするポリエステルをいい、エチレングリコール、ブタンジオール等のグリコール類やイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸等を共重合してもよい。また、他ポリマー、艶消剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料等の添加剤を含有してもよい。
またPETとは、テレフタル酸を主たるジカルボン酸とし、エチレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエステルをいい、ブタンジオール等のグリコール類やイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸等を共重合してもよい。また、他ポリマー、艶消剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料等の添加剤を含有してもよい。
またPBTとは、テレフタル酸を主たるジカルボン酸とし、1,4−ブタンジオールを主たるグリコール成分とするポリエステルをいい、エチレングリコール等のグリコール類やイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸等を共重合してもよい。また、他ポリマー、艶消剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料等の添加剤を含有してもよい。
【0030】
固有粘度差を有する2種類のPTTで構成する場合、2種類のPTTの固有粘度差が0.05〜0.40(dl/g)であることが好ましく、より好ましくは0.10〜0.35(dl/g)、最も好ましくは0.15〜0.35(dl/g)である。例えば、高粘度側の固有粘度を0.70〜1.30(dl/g)から選択した場合には、低粘度側の固有粘度は0.50〜1.10(dl/g)から選択するのが好ましい。低粘度側の固有粘度は0.80(dl/g)以上が好ましく、0.85〜1.00(dl/g)がより好ましく、0.90〜1.00(dl/g)が最も好ましい。固有粘度差が0.05未満では、潜在捲縮が発現し難く、0.40(dl/g)を越えると、溶融紡糸しにくくなる。
【0031】
複合繊維自体の固有粘度、すなわち平均固有粘度は0.70〜1.20(dl/g)が好ましく、0.80〜1.20(dl/g)がより好ましく、0.85〜1.15(dl/g)が最も好ましく、0.90〜1.10(dl/g)がさらに好ましい。なお、本発明でいう固有粘度の値は、使用するポリマーではなく、紡糸されている糸の粘度をいう。この理由は、PTT特有の欠点としてポリエチレンテレフタレート等と比較して熱分解が生じ易く、高い固有粘度のポリマーを使用しても熱分解によって固有粘度が著しく低下し、複合マルチフィラメントにおいては両者の固有粘度差を大きく維持することが困難であるためである。
【0032】
ポリトリメチレンテレフタレートマルチフィラメント糸の製造方法については、1500m/分程度の巻取り速度で未延伸糸を得た後、2〜3.5倍程度で延撚する方法、3000m/分以上の紡糸速度で捲取、前配向未延伸糸を得たのち、延伸する方法、紡糸−延伸工程を直結したスピンドロー法、巻取り速度5000m/分以上の高速紡糸法(スピンテイクアップ法)、紡糸後、一度水浴で冷却してから延伸する水冷方法等の何れの方法を採用してもよい。
【0033】
さらに織成された平面多層織物を熱処理して平面状の織物を容易に立体化するために、織成終了までは潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の捲縮発現力を最大限に温存しておく必要がある。そのためには潜在捲縮発現性ポリエステル繊維は、ビリツキ防止のために必要な撚止め熱セットを不要とする目的で無撚〜甘撚の範囲で使用するのが望ましい。ここで甘撚とは、下記式で示される撚係数が4000未満であるものをいう。
撚係数=撚数(t/m)×繊度(dtex)1/2
なお、潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の使用形態は、生糸(原糸)の状態であっても、または、例えば仮撚り加工糸などに代表される捲縮糸の状態であってもよい。この場合、捲縮糸は無撚または上記撚係数未満の範囲で仮撚りの加撚方向と同方向または逆方向に追撚するのが好ましいが、必ずしも限定されるものではない。
また、本発明の目的・効果を損なわない範囲であれば、これら以外の繊維素材を混用してもよい。例えば、吸水性や速乾性、抗菌性、防臭性、消臭性、防黴性、蓄熱性、発熱性、保温性などを有する繊維材料を混用して立体織物やそれを用いたクッション材の機能を高めることも効果的である。
【0034】
本発明の伸縮性立体織物は、上述したように、例えば、連通空洞部の長手方向に配列する繊維として熱可塑性合成繊維フィラメント糸を、また連通空洞部の長手方向と直交して配列する繊維として熱可塑性の合成繊維フィラメント糸および少なくとも二種以上のポリエステル成分からなりその一方の成分がポリトリメチレンテレフタレートである潜在捲縮発現性ポリエステル繊維を用いて織成された平面多層織物を熱処理することによって得られるが、該平面多層織物は従来公知の装置により織成することができる。
例えば、開口装置としてはドビー開口装置やジャガード開口装置等を備えたいわゆるドビー織機やジャガード織機と呼ばれる織機で製織することができる。また緯入れ機構的にはシャットル織機やレピア織機、グリッパー織機等に代表されるような、拘束状態で緯糸が挿入されるタイプが好ましく用いることができる。剛軟度に差異のある2種以上の緯糸を安定的に緯入れする点からは特にレピア織機やグリッパー織機等の使用が好ましい。
【0035】
連通空洞部の長手方向に直交して配される少なくとも2種類の繊維である熱可塑性合成繊維フィラメント糸と潜在捲縮発現性ポリエステル糸(または弾性繊維)との総繊度の比は、1/3〜3/1の範囲が特に好ましいが、必ずしもこの範囲に限定されない。
また熱可塑性合成繊維フィラメント糸と潜在捲縮発現性ポリエステル糸(または弾性繊維)との配列本数の比は、6/1〜1/6の範囲が特に好ましいが、必ずしもこの範囲に限定されない。なお、中間層に配列する捲縮発現用の潜在捲縮発現性ポリエステル糸は、立体化後の織物の組織ずれを防止し、形態保持性を向上させる目的で経糸と組織させてもよく、目的に応じて選択すればよい。この際、組織のズレを防止する目的で、袋織部と一重織部の境界部分に低融点繊維や鞘成分が低融点成分からなる鞘芯型の熱融着性複合繊維などを配列織込みするのも有効である。
袋織部(多層織部)および一重織部(結合部)はともに平組織や比較的コンパクトな綾組織などを用いることができるが、繰返し圧縮に対する立体織物の形態安定性の点からは最も堅固な組織である平組織がより好ましい。
【0036】
本発明の織物の密度については、使用する繊維の繊度や織組織、素材の配列比率などによっても異なるため適正な範囲を適宜選択するのが望ましい。
本発明の織物は多層構造であるため、密度については上層織物部、下層織物部、中間層部の合計密度で表わされる。上層織物部と下層織物部とは、互いに同一密度であることが最も好ましいが、使用目的によっては若干の差異があってもよい。
熱処理後の織物(立体織物)の一般的な密度としては、トータル経糸密度は好ましくは40〜130本/2.54cm、より好ましくは50〜120本/2.54cm、さらに好ましくは60〜110本/2.54cmであり、トータル緯糸密度は好ましくは50〜150本/2.54cm、より好ましくは60〜140本/2.54cm、さらに好ましくは70〜130本/2.54cmであるが、この範囲に限定されるものではない。
【0037】
従って、熱処理前の織物(多層織物の生機)の密度は、使用繊維の素材や繊度、織組織、繊維の配列、熱処理条件などの熱処理収縮に影響する要素を加味して設定する必要があるが、一般的な密度としては、トータル経糸密度は好ましくは20〜110本/2.54cm、より好ましくは30〜100本/2.54cm、さらに好ましくは40〜90本/2.54cmであり、トータル緯糸密度は好ましくは40〜140本/2.54cm、より好ましくは50〜130本/2.54cm、さらに好ましくは60〜120本/2.54cm程度であるが、この範囲に限定されるものではない。
【0038】
潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の熱処理収縮の大きさは、糸の自己収縮分と捲縮発現による収縮分が加算されたものになるが、捲縮糸の見掛けの収縮率は好ましくは20〜40%、より好ましくは25〜40%、さらに好ましくは30〜40%程度である。直線状態を完全な半円状態にするためには理論上36%程度の圧縮変形が必要なためである。
熱処理は乾熱状態でピンテンターで行うのが最も合理的であるが、湿熱状態であっても、また、オートクレーブなどに代表されるバッチ処理であってもよく、限定されない。処理すべき織物のサイズなども考慮して選択すればよい。乾熱処理条件としては、処理温度は好ましくは150〜200℃、より好ましくは160〜190℃、さらに好ましくは170〜180℃、処理時間は3〜10分間程度であるが、該条件は目安であり、必ずしもこれらの条件に限定されない。
【0039】
本発明の伸縮性立体織物は、事務椅子、ソファー、寝具マット、枕、ベッド、自動車用座席シート(例えばハンモック式の座席シート)、鉄道車両用座席シートや航空機用座席シート、建設機械車両用座席シート、プロテクターや靴インソール等のクッション材に代わるものであり、従来の表皮材やクッション材を用いずに、この織物だけでクッション材を構成するのが最適であるが、本発明の織物に、公知の表皮材およびまたはその他のクッション材、例えば、ポリウレタンフォーム、金属スプリング等を組み合せてもよい。
【0040】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。なお、例中の評価は以下の測定法による。
(1)固有粘度
固有粘度[η](dl/g)は次式の定義に基づいて求められる値である。
[η]=lim(ηr−1)/C
C→0
式中のηrは、純度98%以上のo−クロロフェノール溶媒で溶解したポリトリメチレンテレフタレート糸またはポリエチレンテレフタレート糸の稀釈溶液の35℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶媒の粘度で除した値であり、相対粘度と定義されているものである。Cはg/100mlで表されるポリマー濃度である。
なお、固有粘度の異なるポリマーを用いた複合繊維フィラメントは、フィラメントを構成するそれぞれの固有粘度を測定することは困難であるので、複合フィラメントの紡糸条件と同じ条件で2種類のポリマーをそれぞれ単独で紡糸し、得られた糸を用いて測定した固有粘度を、複合繊維フィラメントを構成する固有粘度とした。
【0041】
(2)5%ストレッチ時の応力評価
島津製作所製の引張試験機を用いて、連通空洞部と直角の方向を引張り方向として、つかみ幅5cm、つかみ間隔10cm、引張速度10cm/minで伸長率5%まで伸長し、伸長率5%での応力を読み取る。
(3)クッション性、フィット性、通気性の評価
立体織物をスチールパイプ枠に張ってサマーベッドを試作し、このベッドに寝た時のクッション性、フィット性、通気性を10人のパネルメンバーで官能評
価し、その結果を総合的に評価した。
【0042】
実施例1
固有粘度が0.90であるポリトリメチレンテレフタレート(酸化チタン含有率0.1重量%)を、溶融押出しして、常法により550dtexのモノフィラメント糸(断面形状は丸型:旭化成製)を製造した。
一方、高粘度側が1.10、低粘度側が0.90である固有粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレート(酸化チタン含有率0.1重量%)を、重量比率1:1でサイドバイサイド型紡口を用いて溶融押出しして、常法により330dtex/144fの複合繊維マルチフィラメント糸(断面形状は丸型:旭化成製)を製造した。
【0043】
得られたモノフィラメント糸を経糸(連通空洞部と平行をなす方向)に用い、緯糸(連通空洞部と直角をなす方向)には、得られたモノフィラメント糸と複合繊維マルチフィラメント糸にダブルツイスター(村田機械製、DT302)でSに80t/m(撚係数1453)の撚糸を加えた糸を用いてモノフィラメント糸/複合繊維マルチフィラメント撚糸を4/1の比で配列し、ドビー開口装置を備えたレピア織機を用いて、トータル経糸密度が62本/2.54cm、トータル緯糸密度が112本/2.54cmで、空洞部の中心に位置する潜在捲縮発現性ポリエステル糸は経糸と組織することがなく、緯糸のみが並列に整列した構造の袋織部と一重織部とを交互に備えた平組織の3層構造の織物を得た。
次いで、該織物(生機)をピンテンターを用いて温度180℃で5分間熱処理した。その結果、トータル経糸密度が81本/2.54cm、トータル緯糸密度が118本/2.54cmで、連通空洞部の長径が3.3mm、短径が3.1mmのほぼ半円形をした凸部(アーチ部)を織物の両面に対称に備えた立体織物を得た。
得られた立体織物の凸部(アーチ部)が形成されている方向と直角方向の5%ストレッチ時の応力は88N/5cm幅であり、好適な範囲にあった。この立体織物を用いて試作したサマーベッドのクッション性、フィット性は共に優れたものであった。また通気性についても申し分なく爽快な寝心地であった。
【0044】
実施例2
実施例1において、複合繊維マルチフィラメント糸を470dtexのポリウレタン繊維(旭化成製、商標名:ロイカ)に替え、ピンテンターによる乾熱処理に替えて沸騰水による熱処理を3分間実施した以外は実施例1と同様にして、トータル経糸密度が83本/2.54cm、トータル緯糸密度が117本/2.54cmで、連通空洞部の長径が3.2mm、短径が3.2mmのほぼ半円形をした凸部(アーチ部)を織物の両面に対称に備えた立体織物を得た。
得られた立体織物の、凸部(アーチ部)が形成されている方向と直角方向の5%ストレッチ時の応力は96N/5cm幅であり、好適な範囲にあった。試作したサマーベッドのクッション性、フィット性は共に優れたものであった。また通気性についても申し分なく爽快な寝心地であった。
【0045】
比較例1
実施例1において、緯糸に用いた複合繊維マルチフィラメント撚糸を550dtexの高収縮ポリエステルモノフィラメント糸(旭化成製)に変更した以外は実施例1と同様にして製織し、トータル経糸密度が62本/2.54cm、トータル緯糸密度が110本/2.54cmで、空洞部の中心に位置する高収縮糸は経糸と組織することがなく、緯糸のみが並列に整列した構造の袋織部と一重織部とを交互に備えた平組織の3層構造の織物を得た。次いで、実施例1と同様の熱処理を行った。その結果、トータル経糸密度が82本/2.54cm、トータル緯糸密度が115本/2.54cmで、連通空洞部の長径が3.2mm、短径が3.2mmのほぼ半円形をした凸部を織物の両面に対称に備えた立体織物を得た。
得られた立体織物は、凸部(アーチ部)が形成されている方向と直角方向の5%ストレッチ時の応力が192N/5cm幅であり、伸縮性に乏しいものであった。また試作したサマーベッドのクッション性、フィット性、通気性のうち、通気性については良好であり、クッション性についても概ね良好であったものの、収縮糸の伸縮性がほとんどないためにフィット性については実施例1対比で特に劣った剛直な感じがするものであり、クッション材としては不適であった。
【0046】
【発明の効果】
本発明の伸縮性立体織物は、立体的な厚みを有し、かつ織物としての伸縮性を兼ね備えた、衝撃をソフトに吸収緩和するソフトクッション性を有するとともに、フィット性に富み、通気性やクッション性にも優れるため、例えば、事務用椅子、ソファー、ベッドパット、寝具、床擦れ防止マット、敷布団、座布団、枕、自動車用座席シート、鉄道車両用座席シート、航空機用座席シート、建設機械車両用座席シート、サポーター、プロテクター、リュック背当て、ベルト緩衝材等の各種クッション材として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す伸縮性立体織物の構造説明図である。
【図2】図1の伸縮性立体織物構造の一サイクルを示す略半円形空洞部6の説明図。
【図3】図1の伸縮性立体織物の袋織部Dの説明図。
【図4】図1の袋織部Dのソフトクッション機能の説明図。
【図5】本発明に用いられる熱処理前の平面多層織物の構造説明図。
【符号の説明】
1…伸縮性立体織物、1A…平面多層織物、2…連通空洞部、3…湾曲したフィラメント糸(連通空洞部の長手方向に直交して配されるフィラメント糸)、3A…フィラメント糸(連通空洞部の長手方向に直交して配されるフィラメント糸)、4…フィラメント糸(連通空洞部の長手方向に配されるフィラメント糸)、5…捲縮発現ポリエステル糸(連通空洞部の長手方向に直交して配されるフィラメント糸)、5A…潜在捲縮発現性ポリエステル繊維、6…略半円形空洞部、a…アーチ部、b…底辺部、c…袋織部の長径、d…袋織部の短径、D、D0 …多層織部(袋織部)、S…一重織部(結合部)。
【発明の属する技術分野】
本発明は伸縮性立体織物およびクッション材に関し、さらに詳しくはクッション性能、伸縮性能および通気性に優れた伸縮性立体織物およびこれを用いた人体とのフィット性に優れたクッション材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、立体構造の織物は、寝具、各種車両用シート、椅子用シート、座布団用シート、応接セット用シート、スポーツ資材等のクッション材として用いられている。このようなクッション材として、例えば、長手方向に多数の凸部が形成された表面空隙層部と該長手方向に多数の連通空洞部が形成された中間空隙層部とからなる実質的にフィラメント繊維で構成された立体多重織組織のクッション構造体が提案されている(例えば、特許文献1等)。しかし、このクッション構造体は、平面状の多重織物を立体化させる手段として、イソフタル酸成分を共重合したポリエステル系高収縮繊維を用いているため、立体化されたクッション構造体に通気性やクッション性は得られるものの、伸縮性がなく、剛直感の強いものとなり、クッション材として用いた場合の人体へのフィット感に乏しいという欠点があった。この理由は、ポリエステル系高収縮糸は熱収縮性は高いものの、熱収縮処理後の伸縮性が極めて低い上、剛性が高く粗剛なタッチになるためと考えられる。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−10468号
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記従来の問題点を解決し、立体的な厚みを有し、かつ織物としての伸縮性を兼ね備えた、衝撃をソフトに吸収緩和するソフトクッション性を有するとともに、フィット性に富み、通気性やクッション性にも優れた新規な伸縮性立体織物およびこれを用いたクッション材を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、立体織物の構造を特定の形状とし、該立体織物の所定のストレッチ時の応力を一定の範囲とすることにより上記課題を解決できることを見いだし、本発明に到達した。
すなわち、上記課題を達成するために本願で特許請求される発明は以下の通りである。
【0006】
(1)平行に多数の連通空洞部が形成された立体織物であって、該立体織物の少なくとも片面に形成される前記連通空洞部の長手方向と直交する空洞部の断面が略半円形状を有し、かつ該連通空洞部の長手方向と直交する方向の立体織物の5%ストレッチ時の応力が10〜150N/5cm幅であることを特徴とする伸縮性立体織物。
(2)前記略半円形状のアーチ部が湾曲したフィラメント糸で構成され、かつ該略半円形状の底辺部が潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の捲縮性を発現させた捲縮発現ポリエステル糸で構成されていることを特徴とする(1)に記載の伸縮性立体織物。
(3)前記潜在捲縮発現性ポリエステル繊維が少なくとも二種以上のポリエステル成分からなり、その一方の成分がポリトリメチレンテレフタレートであることを特徴とする(1)または(2)に記載の伸縮性立体織物。
(4)前記略半円形状のアーチ部が湾曲したフィラメント糸で構成され、かつ該略半円形状の底辺部が弾性繊維で構成されていることを特徴とする(1)に記載の伸縮性立体織物。
(5)前記弾性繊維がポリウレタン系繊維であることを特徴とする(1)または(4)に記載の伸縮性立体織物。
(6)前記湾曲したフィラメント糸がポリトリメチレンテレフタレートであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の伸縮性立体織物。
(7)前記湾曲したポリトリメチレンテレフタレートフィラメント糸がモノフィラメント糸であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の伸縮性立体織物。
(8)(1)〜(7)のいずれかに記載の伸縮性立体織物を用いたクッション材。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の伸縮性立体織物は、平行に多数の連通空洞部が形成された立体織物であって、該立体織物の少なくとも片面に形成される前記連通空洞部の長手方向と直交する方向の断面が略半円形状を有し、かつ該連通空洞部の長手方向と直交する方向の立体織物の5%ストレッチ時の応力が10〜150N/5cm幅である。
本発明における立体織物には、一方向に平行な多数の連通空洞部が形成されている。該立体織物の幅は通常2〜200cmの範囲にあり、立体織物の幅が略5cm幅以上である場合はそのままシート材として好適に使用することができ、幅が5cm未満の特に狭い細幅立体織物の場合には、このベルト状の細幅織物を経、緯方向に組み合わせて面状にして使用することができる。このように立体織物の形態は使用目的に合わせて適宜選定して使用することができる。また立体織物に形成される平行な連通空洞部の数は、通常、10cm当たり2.5〜60本であり、好ましくは3本/10cm以上、より好ましくは4本/10cm以上、最も好ましくは5本/10cm以上であり、好ましくは50本/10cm以下、より好ましくは45本/10cm以下である。
なお、アーチ部の高さHは好ましくは0.3〜20mmであり、アーチ底辺部の幅cは好ましくは2〜40mmの範囲である。
【0008】
また、本発明における立体織物は、少なくとも片面に形成される前記連通空洞部の長手方向と直交する空洞部の断面が略半円形状を有していることが必要である。該空洞部の断面を略半円形状とすることにより、クッション材として使用時の人体との接触を、織物表面全てで接触する全面接触ではなく、点接触または部分面接触などの部分接触とすることが可能となり、使用時のべたつき感や蒸れ感を抑えることができ、また部分接触の指圧作用による血行促進や床ずれ防止などの効果を得ることができる。
本発明において、前記略半円形状のアーチ部は後述するように湾曲したフィラメント糸で構成され、かつ該略半円形状の底辺部は潜在捲縮発現性ポリエステル繊維を熱処理して捲縮性を発現させた捲縮発現ポリエステル糸で構成されていることが好ましく、また該潜在捲縮発現性ポリエステル繊維は少なくとも二種以上のポリエステル成分からなり、その一方の成分がポリトリメチレンテレフタレートであることが好ましい。また前記湾曲したフィラメント糸はポリトリメチレンテレフタレートであることが好ましく、さらにポリトリメチレンテレフタレートのモノフィラメント糸であることがより好ましい。
【0009】
また、本発明における立体織物は、前記連通空洞部の長手方向と直交する方向の立体織物の5%ストレッチ時の応力が10〜150N/5cm幅、好ましくは30〜120N/5cm幅、より好ましくは50〜100N/5cm幅、さらに好ましくは60〜90N/5cm幅の範囲である。立体織物の該方向の5%ストレッチ時の応力が10N/5cm幅未満では、クッション材として使用した際のフィット感が不足し、また底着き感を生じ、体とのフィット性が得られず、衝撃をソフトに吸収緩和するソフトクッション性が得られない。また、上記立体織物の5%ストレッチ時の応力が150N/5cm幅を超えるとクッション性が感じ難くなる。
また上記立体織物に形成された連通空洞部の長手方向と直交する方向のストレッチ率は5%以上であることが好ましく、より好ましくは5〜40%、さらに好ましくは7〜30%、特に好ましくは10〜20%である。該ストレッチ率が5%未満では、クッション材として使用した際の人体へのフィット感が実感し難く、剛直な感じを実感する場合がある。なお、ストレッチ率が40%を超える立体織物を製造することは可能ではあるが、ホールド性が低下する場合がある。
【0010】
本発明の伸縮性立体織物が人体への優れたフィット感とソフトなクッション性を発揮する理由は、立体織物の厚み方向に圧縮を加えた時に起こる立体織物の伸長挙動(人体とのフィット性)と、応力挙動(クッション性)の関係を示す圧縮モデルにより説明することができる。ソフトなクッション性は、立体織物の厚み方向に圧縮が加わった時、まず捲縮を発現した捲縮発現ポリエステル糸の伸長挙動が起こるのに引続いてアーチ形成されたフィラメント糸のアーチが拡がった後にアーチの屈曲変形挙動が連続的に起こるためと考えることができる。
すなわち、捲縮を発現した捲縮発現ポリエステル糸が先行してスプリングの役割を果たすために比較的小さな荷重によっても容易に伸長して人体とフィッティングすることができ、さらに圧縮が加わった時に、連通空洞部のアーチ部を形成するフィラメント糸がアーチの形状を変えながら圧縮荷重を弾力的に受け止める、いわゆる、柔らかなクッション性を発揮する。このように、本発明の立体織物は、捲縮を発現した捲縮発現ポリエステル糸の伸長挙動とフィラメント糸の変形による荷重吸収挙動がバランスよく、かつ遅滞なく発現するために驚くべき良好なフィット感とソフトなクッション性が得られる。
【0011】
本発明の伸縮性立体織物の構造を図面により説明する。
図1は、本発明の一実施例を示す伸縮性立体織物の構造説明図、図2は、該伸縮性立体織物構造の一サイクルを示す略半円形空洞部6の説明図、図3は、該伸縮性立体織物の袋織部Dの説明図、図4は、該袋織部Dのソフトクッション機能の説明図である。
図1において、伸縮性立体織物1は、一方向に平行に形成された多数の連通空洞部2と、該連通空洞部2内を長手方向に2分割するようにその中央部に配置された捲縮発現ポリエステル糸5と、該捲縮発現ポリエステル糸5によって該連通空洞部2内に形成されるアーチ部aと底辺部bで形成された略半円形空洞部6とから主としてなる。ここで、捲縮発現ポリエステル糸とは、潜在捲縮発現性ポリエステル繊維を熱処理により捲縮を発現させたポリエステル糸をいう。
【0012】
連通空洞部2は、捲縮発現ポリエステル糸5を介して上下に形成される略半円形空洞部6により袋織部Dを形成し、該多数の袋織部Dが結合部Sを介して連続的に結合されて本発明の伸縮性立体織物1を構成する。また略半円形空洞部6は、連通空洞部2の長手方向に略均一な断面形状を有するトンネル状を形成し、図2に示すように、その底辺部bを形成する捲縮発現ポリエステル糸5と、アーチ部aを形成する連通空洞部2の長手方向に直交して配置された湾曲したフィラメント糸3および連通空洞部2の長手方向に配置されたフィラメント糸4で構成される。なお、本願でいう平行または直交する方向とは、本発明の目的を達成するためのほぼ平行またはほぼ直交する方向をいい、厳密な平行状態や直交状態を意味するものではない。
【0013】
また上記袋織部Dには、その中央部に配置される捲縮発現ポリエステル糸5以外には流体(主として空気)の通過を妨げるものがない。また該袋織部Dの断面形状は、図3に示すように長径cと短径dの比(c/d)が、長径の長さにもよるが1/1〜3/1の範囲にあるものが好ましく、真円状〜長円状のものを包含する。該長径cは好ましくは2〜40mm、より好ましくは3〜30mm、さらに好ましくは4〜20mm、最も好ましくは5〜15mmである。短径dは好ましくは0.6〜40mm、より好ましくは1〜30mm、さらに好ましくは2〜20mm、最も好ましくは3〜15mmである。また袋織部Dを構成する略半円形空洞部6では、図4に示すように、底辺部bの捲縮を発現している捲縮発現ポリエステル糸5が伸長率ゼロの状態で、アーチ部aの湾曲したフィラメント糸3とアーチ部aの高さHで釣り合って安定した状態にある。このような構造により本発明のソフトなクッション機能を発現することが可能になる。
【0014】
本発明の伸縮性立体織物は、図5に示す平面多層織物1Aを織成した後、これを熱処理して立体化させることにより、合理的かつ容易に製造することができる。
平面多層織物1Aは、少なくとも上層と下層の織物の中間層に連通空洞部の長手方向に直交して配列された捲縮発現用の潜在捲縮発現性ポリエステル糸(例えば、緯糸)が、連通空洞部の長手方向に配列されたフィラメント糸4(例えば、経糸)と組織することなく、緯糸のみが並列に整列した構造の3層構造の多層織部D0 と一重織部Sが連続的または間欠的に交互に配列された構造を有する。
例えば、連通空洞部(図1参照)に平行な方向、すなわち連通空洞部の長手方向を構成する側(例えば、経糸側)に熱可塑性合成繊維フィラメント糸4を配し、連通空洞部の長手方向に直交する方向、すなわち連通空洞部の幅方向を構成する側(例えば、緯糸側)に、熱可塑性合成繊維フィラメント糸3Aと潜在捲縮発現性ポリエステル繊維5Aとを組み合わせて平面多層織物1Aを織成し、該平面多層織物1Aを熱処理し、潜在捲縮発現性ポリエステル繊維5Aに捲縮を発現させることによって比較的低収縮で剛軟度の高い熱可塑性合成繊維フィラメント糸3Aを浮き上がらせてアーチ状(湾曲したフィラメント糸3)を形成させ、平面多層織物1Aを立体化させることにより、本発明の伸縮性立体織物とすることができる。
【0015】
なお、本発明においては、連通空洞部の長手方向と直交する方向に配され、収縮による立体化作用と立体織物に伸縮機能とを付与する役割を担う繊維の他の例としては、潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の他にも弾性繊維が好ましく使用される。本発明にいう弾性繊維とは、ポリウレタン系弾性繊維やポリエーテルエステル系弾性繊維などの弾性繊維をいうが、中でもポリウレタン系弾性繊維は特に好適である。
この際の弾性繊維の使用形態としては、弾性繊維が立体織物中に完全に埋設され、立体織物の表面には全く露出することがないため、弾性繊維を単独で用いても、または他の繊維を弾性繊維と複合した、例えばカバリング糸や合撚糸などの複合弾性繊維の形態で用いても、またこれらを組み合わせて用いてもよい。
また、ポリウレタン系弾性繊維には優れた形態保持性(高セット性)を有するタイプのほか、ソフトサポート機能(優れた運動追従性)を有するタイプや優れた吸湿性を有するタイプ、さらに優れた消臭機能を有するタイプや耐塩素性に優れたタイプなどの種々の優れた特性を持ったものがあり、使用目的や使用環境に照らして、単独でまたは組み合わせて最適なタイプを選択使用するのが望ましい。
【0016】
この際、連通空洞部の長手方向に配された熱可塑性合成繊維フィラメント糸4は立体化させた時のアーチ部の形態保持性向上と横倒れ防止の役割を有し、また連通空洞部の長手方向に直交して配された2つの繊維のうちの一つである熱可塑性合成繊維フィラメント糸3Aは該アーチ部の形態保持性とクッション性付与の役割を有し、他の繊維である潜在捲縮発現性ポリエステル繊維5Aは熱処理で発現する捲縮による立体化効果(すなわち熱可塑性合成繊維フィラメント糸3Aを押し曲げてアーチ状に起立させて湾曲したフィラメント糸3とする効果、弾性繊維の場合にはリラックス処理で発現する収縮による立体化効果)と優れた耐久伸縮特性付与の役割を有する。
【0017】
伸縮性立体織物に用いられる熱可塑性合成繊維フィラメント糸としては、ポリトリメチレンテレフタレート繊維のほか、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリアミド系繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維などに代表される熱可塑性の合成繊維フィラメント糸が用いられ、マルチフィラメント糸、モノフィラメント糸、モノマルチ糸のいずれをも使用することができる。熱可塑性合成繊維フィラメント糸の総繊度は50dtex以上が好ましく、より好ましくは100〜2000dtexの範囲であり、さらに好ましくは100〜1670dtex、最も好ましくは100〜1000dtexの範囲である。また繊維の形態は、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよく、繊維の断面は丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平(扁平度1.3〜4程度のもので、W型、I型、 ブ−メラン型、波型、 串団子型、まゆ型、直方体型等がある)、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型や不定形なものであってもよい。
【0018】
熱可塑性合成繊維フィラメント糸を連通空洞部の長手方向に平行に配する場合には、モノフィラメント糸が少なくとも50%以上を占めることが好ましく、この場合には、ソフトでかつ高度な弾性回復特性を併せ持つポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント糸を使用するのが特に好ましい。
また熱可塑性合成繊維フィラメント糸を連通空洞部の長手方向に直交する方向に配する場合にはポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント糸を使用するのが好ましい。ポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント糸の使用により、本発明の重要な機能であるアーチ部に耐久性のある高いクッション性と形態保持性を付与することができる。
【0019】
伸縮性立体織物に用いられる潜在捲縮発現性ポリエステル繊維としては熱処理により捲縮性を発現することができる繊維であれば特に制限はないが、高度な捲縮発現特性による立体化効果(熱可塑性の合成繊維フィラメント糸を押し曲げて円弧状(アーチ状)に起立させる効果)と優れた耐久性伸縮特性付与の点から、後述するポリトリメチレンテレフタレート繊維を用いた潜在捲縮発現性ポリエステル繊維が特に好ましい。潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の総繊度は50dtex以上が好ましく、より好ましくは100〜2000dtexの範囲であり、さらに好ましくは100〜1670dtex、最も好ましくは100〜1000dtexの範囲である。
なお、潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の代わりに弾性繊維を用いることも有効な方法である。弾性繊維を用いる場合の総繊度は40dtex以上、さらに470dtex以上、2000dtex以下、特に1300dtex以下、さらには760dtex以下が好ましいが、特に限定されない。
【0020】
本発明において、ポリトリメチレンテレフタレートとは、トリメチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリエステルをいい、トリメチレンテレフタレート単位を約50モル%以上、好ましくは70モル%以上、さらには80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上含有するものをいう。従って、第三成分として他の酸成分および/またはグリコール成分の合計量が、約50モル%以下、好ましくは30モル%以下、さらには20モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下の範囲で含有されたポリトリメチレンテレフタレートを包含する。
【0021】
ポリトリメチレンテレフタレートは、テレフタル酸またはその機能的誘導体と、トリメチレングリコールまたはその機能的誘導体とを、触媒の存在下で、適当な反応条件下に結合せしめることにより合成される。この合成過程において、適当な一種または二種以上の第三成分を添加して共重合ポリエステルとしてもよいし、またポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリトリメチレンテレフタレート以外のポリエステル、ナイロンとポリトリメチレンテレフタレートを別個に合成した後、ブレンドしたりしてもよい。ブレンドする際のポリトリメチレンテレフタレートの含有率は、重量%で50%以上である。
【0022】
添加する第三成分としては、脂肪族ジカルボン酸(シュウ酸、アジピン酸等)、脂環族ジカルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(イソフタル酸、ソジウムスルホイソフタル酸等)、脂肪族グリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、テトラメチレングリコール等)、脂環族グリコール(シクロヘキサンジメタノール等)、芳香族を含む脂肪族グリコール(1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等)、ポリエーテルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、脂肪族オキシカルボン酸(ω−オキシカプロン酸等)、芳香族オキシカルボン酸(P−オキシ安息香酸等)等がある。また、1個または3個以上のエステル形成性官能基を有する化合物(安息香酸等またはグリセリン等)も重合体が実質的に線状である範囲内で使用できる。
【0023】
さらに二酸化チタン等の艶消剤、リン酸等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤等が含有されていてもよい。特に、平均粒子径0.01〜5μm程度の酸化チタンや顔料の粒子を0.01〜5重量%含有させると平滑性が高く、紡糸性に優れたものとなる。
繊維の形態は、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよい。繊維の断面においては丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平(扁平度1.3〜4程度のもので、W型、I型、 ブ−メラン型、波型、 串団子型、まゆ型、直方体型等がある)、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型や不定形なものであってもよい。
【0024】
ポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント糸の製造方法については、従来公知の製法を採用すればよく、例えば、以下の工程をとることができる。
乾燥させたポリトリメチレンテレフタレートペレットを押出機に供給し、溶融体とした後、スピンヘッドに送り、紡糸口金より紡出し、フィラメント状として冷水水浴中で冷却しながら、所定の繊度まで細化し未延伸モノフィラメントとした後、所定の温度の温水浴中で第一延伸し、次いで所定温度のスチーム浴中で定長または弛緩熱処理し、巻き取り機で巻き取る。この工程において、モノフィラメント糸の沸水収縮率を調節するために、さらに所望の弛緩率で連続または非連続で熱処理してもよく、例えば弛緩率−10〜+15%で100〜180℃程度の温度で、連続または非連続で熱処理してもよい。
ここで弛緩率とは、熱処理前のモノフィラメント糸の長さL0 、熱処理中の拘束長さL1 とした時に次式で計算される。
弛緩率= [(L0 −L1 )/L0 ] ×100
【0025】
ポリトリメチレンテレフタレートの固有粘度は、0.8〜1.3dl/gが好ましく、さらに好ましくは0.8〜1.1dl/gである。
本発明で使用するポリトリメチレンテレフタレートフィラメント糸の物性としては、強度が2.0cN/dtex以上であることが好ましく、特にマルチフィラメント糸の場合には、2.6cN/dtex以上であることが好ましく、2.6〜5.0cN/dtexの範囲であることがより好ましい。
ポリトリメチレンテレフタレートフィラメント糸の引張伸度は35%以上であることが好ましく、35〜60%の範囲であることがより好ましい。初期引張抵抗度は26.5cN/dtex未満であることが好ましく、17.6〜26.5cN/dtexであることがより好ましい。
【0026】
また、本発明に用いるポリトリメチレンテレフタレートフィラメント糸は、5%伸長時の伸長回復率が好ましくは70%以上、より好ましくは80〜100%であることがよい。また本発明において使用するポリトリメチレンテレフタレートマルチフィラメント糸の単糸繊度は0.1〜20dtexが好ましい。また、本発明で使用するポリトリメチレンテレフタレートフィラメント糸の糸条総繊度は(すなわち、マルチフィラメント糸では総繊度、モノフィラメント糸では単糸繊度)50dtex以上が好ましく、より好ましくは100〜2000dtexであり、特に1670dtex以下が好ましい。
【0027】
本発明において、特に好適な捲縮発現用のフィラメント糸は、少なくとも二種以上のポリエステル成分からなり少なくともその一方の成分がポリトリメチレンテレフタレートである潜在捲縮発現性ポリエステル繊維である。
ここで、潜在捲縮発現性ポリエステル繊維とは、二種以上のポリエステル成分で構成(具体的には、サイドバイサイド型または偏芯鞘芯型に接合されたものが多い)されているものであり、熱処理によって捲縮を発現するものである。二種のポリエステル成分で構成されている場合、ポリエステル成分の複合比は、重量%で、好ましくは70/30〜30/70、より好ましくは60/40〜40/60の範囲である。サイドバイサイド型または偏芯鞘芯型に接合されている場合は、接合面形状(直線または曲線形状のものがある)は限定されない。他の成分としては、第一の成分とは異なるポリエステル、例えば、PTT、PET、PBT等が挙げられる。
【0028】
ポリマーの組み合わせとしては、PTTとPTTの組み合わせ、PTTとPETの組み合わせ、PTTとPBTとの組み合わせ等が挙げられる。特に繊維にしたときに、捲縮の内側にPTTが配置されように、ポリマーを選択して組み合わせるのが好ましい。これらのうち、固有粘度差を有するPTTの組み合わせが最適であるが、この他に、PTTと共重合PTTとの組み合わせ、PTT(または共重合PTT)とPET(または共重合PET)との組み合わせ、PTTまたは共重合PTTとPBT(または共重合PBT)との組み合わせが好ましい。
【0029】
なお、PTTとは、テレフタル酸を主たるジカルボン酸とし、1,3−プロパンジオールを主たるグリコール成分とするポリエステルをいい、エチレングリコール、ブタンジオール等のグリコール類やイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸等を共重合してもよい。また、他ポリマー、艶消剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料等の添加剤を含有してもよい。
またPETとは、テレフタル酸を主たるジカルボン酸とし、エチレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエステルをいい、ブタンジオール等のグリコール類やイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸等を共重合してもよい。また、他ポリマー、艶消剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料等の添加剤を含有してもよい。
またPBTとは、テレフタル酸を主たるジカルボン酸とし、1,4−ブタンジオールを主たるグリコール成分とするポリエステルをいい、エチレングリコール等のグリコール類やイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸等を共重合してもよい。また、他ポリマー、艶消剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料等の添加剤を含有してもよい。
【0030】
固有粘度差を有する2種類のPTTで構成する場合、2種類のPTTの固有粘度差が0.05〜0.40(dl/g)であることが好ましく、より好ましくは0.10〜0.35(dl/g)、最も好ましくは0.15〜0.35(dl/g)である。例えば、高粘度側の固有粘度を0.70〜1.30(dl/g)から選択した場合には、低粘度側の固有粘度は0.50〜1.10(dl/g)から選択するのが好ましい。低粘度側の固有粘度は0.80(dl/g)以上が好ましく、0.85〜1.00(dl/g)がより好ましく、0.90〜1.00(dl/g)が最も好ましい。固有粘度差が0.05未満では、潜在捲縮が発現し難く、0.40(dl/g)を越えると、溶融紡糸しにくくなる。
【0031】
複合繊維自体の固有粘度、すなわち平均固有粘度は0.70〜1.20(dl/g)が好ましく、0.80〜1.20(dl/g)がより好ましく、0.85〜1.15(dl/g)が最も好ましく、0.90〜1.10(dl/g)がさらに好ましい。なお、本発明でいう固有粘度の値は、使用するポリマーではなく、紡糸されている糸の粘度をいう。この理由は、PTT特有の欠点としてポリエチレンテレフタレート等と比較して熱分解が生じ易く、高い固有粘度のポリマーを使用しても熱分解によって固有粘度が著しく低下し、複合マルチフィラメントにおいては両者の固有粘度差を大きく維持することが困難であるためである。
【0032】
ポリトリメチレンテレフタレートマルチフィラメント糸の製造方法については、1500m/分程度の巻取り速度で未延伸糸を得た後、2〜3.5倍程度で延撚する方法、3000m/分以上の紡糸速度で捲取、前配向未延伸糸を得たのち、延伸する方法、紡糸−延伸工程を直結したスピンドロー法、巻取り速度5000m/分以上の高速紡糸法(スピンテイクアップ法)、紡糸後、一度水浴で冷却してから延伸する水冷方法等の何れの方法を採用してもよい。
【0033】
さらに織成された平面多層織物を熱処理して平面状の織物を容易に立体化するために、織成終了までは潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の捲縮発現力を最大限に温存しておく必要がある。そのためには潜在捲縮発現性ポリエステル繊維は、ビリツキ防止のために必要な撚止め熱セットを不要とする目的で無撚〜甘撚の範囲で使用するのが望ましい。ここで甘撚とは、下記式で示される撚係数が4000未満であるものをいう。
撚係数=撚数(t/m)×繊度(dtex)1/2
なお、潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の使用形態は、生糸(原糸)の状態であっても、または、例えば仮撚り加工糸などに代表される捲縮糸の状態であってもよい。この場合、捲縮糸は無撚または上記撚係数未満の範囲で仮撚りの加撚方向と同方向または逆方向に追撚するのが好ましいが、必ずしも限定されるものではない。
また、本発明の目的・効果を損なわない範囲であれば、これら以外の繊維素材を混用してもよい。例えば、吸水性や速乾性、抗菌性、防臭性、消臭性、防黴性、蓄熱性、発熱性、保温性などを有する繊維材料を混用して立体織物やそれを用いたクッション材の機能を高めることも効果的である。
【0034】
本発明の伸縮性立体織物は、上述したように、例えば、連通空洞部の長手方向に配列する繊維として熱可塑性合成繊維フィラメント糸を、また連通空洞部の長手方向と直交して配列する繊維として熱可塑性の合成繊維フィラメント糸および少なくとも二種以上のポリエステル成分からなりその一方の成分がポリトリメチレンテレフタレートである潜在捲縮発現性ポリエステル繊維を用いて織成された平面多層織物を熱処理することによって得られるが、該平面多層織物は従来公知の装置により織成することができる。
例えば、開口装置としてはドビー開口装置やジャガード開口装置等を備えたいわゆるドビー織機やジャガード織機と呼ばれる織機で製織することができる。また緯入れ機構的にはシャットル織機やレピア織機、グリッパー織機等に代表されるような、拘束状態で緯糸が挿入されるタイプが好ましく用いることができる。剛軟度に差異のある2種以上の緯糸を安定的に緯入れする点からは特にレピア織機やグリッパー織機等の使用が好ましい。
【0035】
連通空洞部の長手方向に直交して配される少なくとも2種類の繊維である熱可塑性合成繊維フィラメント糸と潜在捲縮発現性ポリエステル糸(または弾性繊維)との総繊度の比は、1/3〜3/1の範囲が特に好ましいが、必ずしもこの範囲に限定されない。
また熱可塑性合成繊維フィラメント糸と潜在捲縮発現性ポリエステル糸(または弾性繊維)との配列本数の比は、6/1〜1/6の範囲が特に好ましいが、必ずしもこの範囲に限定されない。なお、中間層に配列する捲縮発現用の潜在捲縮発現性ポリエステル糸は、立体化後の織物の組織ずれを防止し、形態保持性を向上させる目的で経糸と組織させてもよく、目的に応じて選択すればよい。この際、組織のズレを防止する目的で、袋織部と一重織部の境界部分に低融点繊維や鞘成分が低融点成分からなる鞘芯型の熱融着性複合繊維などを配列織込みするのも有効である。
袋織部(多層織部)および一重織部(結合部)はともに平組織や比較的コンパクトな綾組織などを用いることができるが、繰返し圧縮に対する立体織物の形態安定性の点からは最も堅固な組織である平組織がより好ましい。
【0036】
本発明の織物の密度については、使用する繊維の繊度や織組織、素材の配列比率などによっても異なるため適正な範囲を適宜選択するのが望ましい。
本発明の織物は多層構造であるため、密度については上層織物部、下層織物部、中間層部の合計密度で表わされる。上層織物部と下層織物部とは、互いに同一密度であることが最も好ましいが、使用目的によっては若干の差異があってもよい。
熱処理後の織物(立体織物)の一般的な密度としては、トータル経糸密度は好ましくは40〜130本/2.54cm、より好ましくは50〜120本/2.54cm、さらに好ましくは60〜110本/2.54cmであり、トータル緯糸密度は好ましくは50〜150本/2.54cm、より好ましくは60〜140本/2.54cm、さらに好ましくは70〜130本/2.54cmであるが、この範囲に限定されるものではない。
【0037】
従って、熱処理前の織物(多層織物の生機)の密度は、使用繊維の素材や繊度、織組織、繊維の配列、熱処理条件などの熱処理収縮に影響する要素を加味して設定する必要があるが、一般的な密度としては、トータル経糸密度は好ましくは20〜110本/2.54cm、より好ましくは30〜100本/2.54cm、さらに好ましくは40〜90本/2.54cmであり、トータル緯糸密度は好ましくは40〜140本/2.54cm、より好ましくは50〜130本/2.54cm、さらに好ましくは60〜120本/2.54cm程度であるが、この範囲に限定されるものではない。
【0038】
潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の熱処理収縮の大きさは、糸の自己収縮分と捲縮発現による収縮分が加算されたものになるが、捲縮糸の見掛けの収縮率は好ましくは20〜40%、より好ましくは25〜40%、さらに好ましくは30〜40%程度である。直線状態を完全な半円状態にするためには理論上36%程度の圧縮変形が必要なためである。
熱処理は乾熱状態でピンテンターで行うのが最も合理的であるが、湿熱状態であっても、また、オートクレーブなどに代表されるバッチ処理であってもよく、限定されない。処理すべき織物のサイズなども考慮して選択すればよい。乾熱処理条件としては、処理温度は好ましくは150〜200℃、より好ましくは160〜190℃、さらに好ましくは170〜180℃、処理時間は3〜10分間程度であるが、該条件は目安であり、必ずしもこれらの条件に限定されない。
【0039】
本発明の伸縮性立体織物は、事務椅子、ソファー、寝具マット、枕、ベッド、自動車用座席シート(例えばハンモック式の座席シート)、鉄道車両用座席シートや航空機用座席シート、建設機械車両用座席シート、プロテクターや靴インソール等のクッション材に代わるものであり、従来の表皮材やクッション材を用いずに、この織物だけでクッション材を構成するのが最適であるが、本発明の織物に、公知の表皮材およびまたはその他のクッション材、例えば、ポリウレタンフォーム、金属スプリング等を組み合せてもよい。
【0040】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。なお、例中の評価は以下の測定法による。
(1)固有粘度
固有粘度[η](dl/g)は次式の定義に基づいて求められる値である。
[η]=lim(ηr−1)/C
C→0
式中のηrは、純度98%以上のo−クロロフェノール溶媒で溶解したポリトリメチレンテレフタレート糸またはポリエチレンテレフタレート糸の稀釈溶液の35℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶媒の粘度で除した値であり、相対粘度と定義されているものである。Cはg/100mlで表されるポリマー濃度である。
なお、固有粘度の異なるポリマーを用いた複合繊維フィラメントは、フィラメントを構成するそれぞれの固有粘度を測定することは困難であるので、複合フィラメントの紡糸条件と同じ条件で2種類のポリマーをそれぞれ単独で紡糸し、得られた糸を用いて測定した固有粘度を、複合繊維フィラメントを構成する固有粘度とした。
【0041】
(2)5%ストレッチ時の応力評価
島津製作所製の引張試験機を用いて、連通空洞部と直角の方向を引張り方向として、つかみ幅5cm、つかみ間隔10cm、引張速度10cm/minで伸長率5%まで伸長し、伸長率5%での応力を読み取る。
(3)クッション性、フィット性、通気性の評価
立体織物をスチールパイプ枠に張ってサマーベッドを試作し、このベッドに寝た時のクッション性、フィット性、通気性を10人のパネルメンバーで官能評
価し、その結果を総合的に評価した。
【0042】
実施例1
固有粘度が0.90であるポリトリメチレンテレフタレート(酸化チタン含有率0.1重量%)を、溶融押出しして、常法により550dtexのモノフィラメント糸(断面形状は丸型:旭化成製)を製造した。
一方、高粘度側が1.10、低粘度側が0.90である固有粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレート(酸化チタン含有率0.1重量%)を、重量比率1:1でサイドバイサイド型紡口を用いて溶融押出しして、常法により330dtex/144fの複合繊維マルチフィラメント糸(断面形状は丸型:旭化成製)を製造した。
【0043】
得られたモノフィラメント糸を経糸(連通空洞部と平行をなす方向)に用い、緯糸(連通空洞部と直角をなす方向)には、得られたモノフィラメント糸と複合繊維マルチフィラメント糸にダブルツイスター(村田機械製、DT302)でSに80t/m(撚係数1453)の撚糸を加えた糸を用いてモノフィラメント糸/複合繊維マルチフィラメント撚糸を4/1の比で配列し、ドビー開口装置を備えたレピア織機を用いて、トータル経糸密度が62本/2.54cm、トータル緯糸密度が112本/2.54cmで、空洞部の中心に位置する潜在捲縮発現性ポリエステル糸は経糸と組織することがなく、緯糸のみが並列に整列した構造の袋織部と一重織部とを交互に備えた平組織の3層構造の織物を得た。
次いで、該織物(生機)をピンテンターを用いて温度180℃で5分間熱処理した。その結果、トータル経糸密度が81本/2.54cm、トータル緯糸密度が118本/2.54cmで、連通空洞部の長径が3.3mm、短径が3.1mmのほぼ半円形をした凸部(アーチ部)を織物の両面に対称に備えた立体織物を得た。
得られた立体織物の凸部(アーチ部)が形成されている方向と直角方向の5%ストレッチ時の応力は88N/5cm幅であり、好適な範囲にあった。この立体織物を用いて試作したサマーベッドのクッション性、フィット性は共に優れたものであった。また通気性についても申し分なく爽快な寝心地であった。
【0044】
実施例2
実施例1において、複合繊維マルチフィラメント糸を470dtexのポリウレタン繊維(旭化成製、商標名:ロイカ)に替え、ピンテンターによる乾熱処理に替えて沸騰水による熱処理を3分間実施した以外は実施例1と同様にして、トータル経糸密度が83本/2.54cm、トータル緯糸密度が117本/2.54cmで、連通空洞部の長径が3.2mm、短径が3.2mmのほぼ半円形をした凸部(アーチ部)を織物の両面に対称に備えた立体織物を得た。
得られた立体織物の、凸部(アーチ部)が形成されている方向と直角方向の5%ストレッチ時の応力は96N/5cm幅であり、好適な範囲にあった。試作したサマーベッドのクッション性、フィット性は共に優れたものであった。また通気性についても申し分なく爽快な寝心地であった。
【0045】
比較例1
実施例1において、緯糸に用いた複合繊維マルチフィラメント撚糸を550dtexの高収縮ポリエステルモノフィラメント糸(旭化成製)に変更した以外は実施例1と同様にして製織し、トータル経糸密度が62本/2.54cm、トータル緯糸密度が110本/2.54cmで、空洞部の中心に位置する高収縮糸は経糸と組織することがなく、緯糸のみが並列に整列した構造の袋織部と一重織部とを交互に備えた平組織の3層構造の織物を得た。次いで、実施例1と同様の熱処理を行った。その結果、トータル経糸密度が82本/2.54cm、トータル緯糸密度が115本/2.54cmで、連通空洞部の長径が3.2mm、短径が3.2mmのほぼ半円形をした凸部を織物の両面に対称に備えた立体織物を得た。
得られた立体織物は、凸部(アーチ部)が形成されている方向と直角方向の5%ストレッチ時の応力が192N/5cm幅であり、伸縮性に乏しいものであった。また試作したサマーベッドのクッション性、フィット性、通気性のうち、通気性については良好であり、クッション性についても概ね良好であったものの、収縮糸の伸縮性がほとんどないためにフィット性については実施例1対比で特に劣った剛直な感じがするものであり、クッション材としては不適であった。
【0046】
【発明の効果】
本発明の伸縮性立体織物は、立体的な厚みを有し、かつ織物としての伸縮性を兼ね備えた、衝撃をソフトに吸収緩和するソフトクッション性を有するとともに、フィット性に富み、通気性やクッション性にも優れるため、例えば、事務用椅子、ソファー、ベッドパット、寝具、床擦れ防止マット、敷布団、座布団、枕、自動車用座席シート、鉄道車両用座席シート、航空機用座席シート、建設機械車両用座席シート、サポーター、プロテクター、リュック背当て、ベルト緩衝材等の各種クッション材として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す伸縮性立体織物の構造説明図である。
【図2】図1の伸縮性立体織物構造の一サイクルを示す略半円形空洞部6の説明図。
【図3】図1の伸縮性立体織物の袋織部Dの説明図。
【図4】図1の袋織部Dのソフトクッション機能の説明図。
【図5】本発明に用いられる熱処理前の平面多層織物の構造説明図。
【符号の説明】
1…伸縮性立体織物、1A…平面多層織物、2…連通空洞部、3…湾曲したフィラメント糸(連通空洞部の長手方向に直交して配されるフィラメント糸)、3A…フィラメント糸(連通空洞部の長手方向に直交して配されるフィラメント糸)、4…フィラメント糸(連通空洞部の長手方向に配されるフィラメント糸)、5…捲縮発現ポリエステル糸(連通空洞部の長手方向に直交して配されるフィラメント糸)、5A…潜在捲縮発現性ポリエステル繊維、6…略半円形空洞部、a…アーチ部、b…底辺部、c…袋織部の長径、d…袋織部の短径、D、D0 …多層織部(袋織部)、S…一重織部(結合部)。
Claims (8)
- 平行に多数の連通空洞部が形成された立体織物であって、該立体織物の少なくとも片面に形成される前記連通空洞部の長手方向と直交する空洞部の断面が略半円形状を有し、かつ該連通空洞部の長手方向と直交する方向の立体織物の5%ストレッチ時の応力が10〜150N/5cm幅であることを特徴とする伸縮性立体織物。
- 前記略半円形状のアーチ部が湾曲したフィラメント糸で構成され、かつ該略半円形状の底辺部が潜在捲縮発現性ポリエステル繊維の捲縮性を発現させた捲縮発現ポリエステル糸で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の伸縮性立体織物。
- 前記潜在捲縮発現性ポリエステル繊維が少なくとも二種以上のポリエステル成分からなり、その一方の成分がポリトリメチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1または2に記載の伸縮性立体織物。
- 前記略半円形状のアーチ部が湾曲したフィラメント糸で構成され、かつ該略半円形状の底辺部が弾性繊維で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の伸縮性立体織物。
- 前記弾性繊維がポリウレタン系繊維であることを特徴とする請求項1または4に記載の伸縮性立体織物。
- 前記湾曲したフィラメント糸がポリトリメチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の伸縮性立体織物。
- 前記湾曲したポリトリメチレンテレフタレートフィラメント糸がモノフィラメント糸であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の伸縮性立体織物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の伸縮性立体織物を用いたクッション材。
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